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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002076
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】発電システム
(51)【国際特許分類】
   F02D 19/02 20060101AFI20241226BHJP
   H02J 15/00 20060101ALI20241226BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20241226BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20241226BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20241226BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20241226BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20241226BHJP
   F02D 19/06 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
F02D19/02 B
H02J15/00 G
H02J3/38 170
H02P9/04 J
C25B1/04
C25B9/00 A
F02M21/02 G
F02D19/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101995
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】岡本 泰英
(72)【発明者】
【氏名】阿部 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】阿佐美 研二
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 誠
(72)【発明者】
【氏名】青木 美貴
(72)【発明者】
【氏名】本田 智之
【テーマコード(参考)】
3G092
4K021
5G066
5H590
【Fターム(参考)】
3G092AB01
3G092AB09
3G092AC08
3G092BB20
3G092FA15
4K021AA01
4K021BA02
4K021DC03
5G066HB07
5H590CA07
5H590CE02
5H590GA06
5H590HA06
(57)【要約】
【課題】非常用発電装置を電力需要逼迫時に活用するにあたり環境負荷低減を図る。
【解決手段】発電システム1は、水素燃料と水素燃料以外の他の内燃機関用燃料である液体燃料とを燃料として使用可能な内燃機関を稼働させて発電して負荷系統80に出力する発電装置10と、発電装置に液体燃料を供給する燃料供給装置20と、発電装置に水素燃料を供給する水素燃料供給装置30と、発電装置への燃料の供給元を燃料供給装置または水素燃料供給装置とで切り替える制御を行う制御装置40と、再生可能エネルギーにより発電する再生可能エネルギー発電装置50と、再生可能エネルギー発電装置から供給される電力を用いて水の電気分解によって水素燃料供給装置から供給される水素燃料を発生する水電気分解装置60と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素燃料と前記水素燃料以外の液体燃料とを燃料として使用可能な内燃機関を稼働させて発電して負荷系統に出力する発電装置と、
前記発電装置に前記液体燃料を供給する燃料供給装置と、
前記発電装置に前記水素燃料を供給する水素燃料供給装置と、
前記発電装置への燃料の供給元を前記燃料供給装置または前記水素燃料供給装置とで切り替える制御を行う制御装置と、
再生可能エネルギーにより発電する再生可能エネルギー発電装置と、
前記再生可能エネルギー発電装置から供給される電力を用いて水の電気分解によって前記水素燃料供給装置から供給される前記水素燃料を発生する水電気分解装置と、
を備える発電システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
電力系統から前記負荷系統に電力が供給される場合に前記水素燃料を前記発電装置に供給し、
前記電力系統から前記負荷系統に電力が供給されない場合に前記液体燃料を前記発電装置に供給する、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記発電装置は、
前記水素燃料供給装置から前記水素燃料が供給される場合に発電した電力を、電力需給逼迫時に前記電力系統からの要求に応じて前記電力系統から前記負荷系統への電力の供給量を減少させるために、前記負荷系統に供給する、
請求項2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記水素燃料供給装置は、前記負荷系統に供給する電力の量に応じた量の前記水素燃料を供給する、
請求項2に記載の発電システム。
【請求項5】
前記再生可能エネルギー発電装置は、前記水電気分解装置に供給する電力の余剰電力を前記負荷系統に供給する、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項6】
前記発電装置を複数備え、
前記制御装置は、
電力系統から前記負荷系統に電力が供給される場合に、前記負荷系統に供給する電力の量に応じた台数の前記発電装置に前記水素燃料を供給し、
前記電力系統から前記負荷系統に電力が供給されない場合に複数の前記発電装置に前記液体燃料を供給する、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項7】
前記再生可能エネルギー発電装置は、太陽光発電装置である、請求項1に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
非常用発電装置は、主に災害による停電などの非常時に需要家において使用されるものとして知られている。需要家では、電力系統から負荷系統に電力が供給されない非常時において、電力供給元を商用電源の電力系統から非常用発電装置に切り替えることで、需要家の設備に電力を供給する。非常用発電装置は、自然災害の増加に伴い必要性が高まっている。
【0003】
非常用発電装置は、BCP(Business Continuity Plan)対策として非常時において天候に左右されることなく発電を行うことが求められる。このため、非常用発電装置は、内燃機関を動力源とするのが一般的である。非常用発電装置の燃料には、ガソリン、軽油、あるいは、重油などの既存の内燃機関用液体燃料(以下、「液体燃料」という。)が通常用いられる。これらの液体燃料は、非常用発電装置の十分な稼働時間の確保ができる燃費が得られるとともに、燃料の確保が容易である。
【0004】
なお、内燃機関のための燃料供給および点火に関する技術、具体的には、プレチャンバー内で圧縮点火されるパイロットチャージの燃焼ガスによる主チャージのスパークレス点火に関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第11078826号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、非常用発電装置は、上述したように非常時に使用するものであるため、一般的に稼働率が低い。一方で、近年では、急激な気候変動等に伴い電力の需要需給が逼迫することが懸念されている。そこで、電力需給逼迫時に、非常用発電装置を稼働することにより、非常用発電装置の発電能力を有効に活用するとともに需要家から電力系統に対する電力の需要量を減少させることが求められている。
【0007】
しかしながら、非常用発電装置は、上述したように一般的に液体燃料を用いて稼働する。このため、非常用発電装置を電力需給逼迫時に使用した場合に、非常用発電装置の稼働時間が増えるため、非常用発電装置稼働に伴う二酸化炭素の排出ガス量が増加する。このため、非常用発電装置に限らず、内燃機関を動力源とする発電装置を電力需給逼迫時に使用するにあたって、二酸化炭素の排出ガスを低減することが求められている。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、非常用発電装置を電力需給逼迫時に活用するにあたり環境負荷低減を図る発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の代表的な実施の形態に係る発電システムは、水素燃料と前記水素燃料以外の液体燃料とを燃料として使用可能な内燃機関を稼働させて発電して負荷系統に出力する発電装置と、前記発電装置に前記液体燃料を供給する燃料供給装置と、前記発電装置に前記水素燃料を供給する水素燃料供給装置と、前記発電装置への前記液体燃料の供給元を前記燃料供給装置または前記水素燃料供給装置とで切り替える制御を行う制御装置と、再生可能エネルギーにより発電する再生可能エネルギー発電装置と、前記再生可能エネルギー発電装置から供給される電力を用いて水の電気分解によって前記水素燃料供給装置から供給される前記水素燃料を発生する水電気分解装置と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、非常用発電装置を電力需給逼迫時に活用するにあたり環境負荷低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る発電システムの概略を示す機能ブロック図である。
図2】第1の実施の形態に係る発電システムの処理の一例を示すフローチャートである。
図3】本発明の第2の実施の形態に係る発電システムの概略を示す機能ブロック図である。
図4】第2の実施の形態に係る発電システムの処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0013】
[1] 水素燃料と前記水素燃料以外の液体燃料とを燃料として使用可能な内燃機関を稼働させて発電して負荷系統(80)に出力する発電装置(10)と、前記発電装置に前記液体燃料を供給する燃料供給装置(20)と、前記発電装置に前記水素燃料を供給する水素燃料供給装置(30)と、前記発電装置への燃料の供給元を前記燃料供給装置または前記水素燃料供給装置とで切り替える制御を行う制御装置(40)と、再生可能エネルギーにより発電する再生可能エネルギー発電装置(50)と、前記再生可能エネルギー発電装置から供給される電力を用いて水の電気分解によって前記水素燃料供給装置から供給される前記水素燃料を発生する水電気分解装置(60)と、を備える発電システム(1)。
【0014】
[2] 前記制御装置は、電力系統(70)から前記負荷系統に電力が供給される場合に前記水素燃料を前記発電装置に供給し、前記電力系統から前記負荷系統に電力が供給されない場合に前記液体燃料を前記発電装置に供給する、[1]に記載の発電システム。
【0015】
[3] 前記発電装置は、前記水素燃料供給装置から前記水素燃料が供給される場合に発電した電力を、電力需給逼迫時に前記電力系統からの要求に応じて前記電力系統から前記負荷系統への電力の供給量を減少させるために、前記負荷系統に供給する、[1]または[2]に記載の発電システム。
【0016】
[4] 前記水素燃料供給装置は、前記負荷系統に供給する電力の量に応じた量の前記水素燃料を供給する、[1]から[3]のいずれか1つに記載の発電システム。
【0017】
[5] 前記再生可能エネルギー発電装置は、前記水電気分解装置に供給する電力の余剰電力を前記負荷系統に供給する、[1]から[4]のいずれか1つに記載の発電システム。
【0018】
[6] 前記発電装置を複数備え、前記制御装置は、電力系統から前記負荷系統に電力が供給される場合に、前記負荷系統に供給する電力の量に応じた台数の前記発電装置に前記水素燃料を供給し、前記電力系統から前記負荷系統に電力が供給されない場合に複数の前記発電装置に前記液体燃料を供給する、[1]から[5]のいずれか1つに記載の発電システム。
【0019】
[7] 前記再生可能エネルギー発電装置は、太陽光発電装置である、[1]から[6]のいずれか1つに記載の発電システム。
【0020】
2.実施の形態の具体例
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、実物と異なる場合がある。
【0021】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る発電システムの概略を示す機能ブロック図である。図1に示すように、発電システム1は、発電装置10と、燃料供給装置20と、水素燃料供給装置30と、制御装置40と、再生可能エネルギー発電装置の一例としての太陽光発電装置50と、水電気分解装置60と、を備える。
【0022】
発電システム1は、例えばデータセンターなどの需要家に備えられる。発電システム1は、商用電源の送電網などの電力系統70が停電した場合などの非常時に、図1における矢印Aに示すように、発電装置10から需要家の負荷系統80に電力を供給する。また、発電システム1は、電力系統70から負荷系統80に電力が供給されている通常時において、矢印Bに示すように電力系統70から負荷系統80への電力供給に加えて、電力系統70からの要求に応じて、矢印Aに示すように負荷系統80に電力を供給して商用電源の需要量を減少させる、いわゆる下げデマンドレスポンス(DR)運転を行う。以下の説明において、単にデマンドレスポンスまたはDRという場合は、下げDR運転を指す。
【0023】
発電装置10は、内燃機関を稼働させて発電して負荷系統80に出力する。発電装置10において、内燃機関は、水素燃料供給装置30から供給される水素燃料と、燃料供給装置20から供給される水素燃料以外の他の液体燃料とを燃料として用いることができる。水素燃料は、気体の水素である。発電システム1において、液体燃料の種類は、内燃機関用燃料であれば特に限定されない。なお、ガソリン1リットル(約750g)と同じエネルギーを得るために必要な水素は、1立方メートル(約90g)である。
【0024】
発電装置10は、発電装置10がDR運転を行うことができる状態である場合に、後述する制御装置40からの指示に応じて、水素燃料供給装置30から供給される水素燃料を燃焼させて発電する。一方、発電装置10は、発電装置10が非常時運転を行う状態である場合に、制御装置40からの指示に応じて、燃料供給装置20から供給される液体燃料を燃焼させて発電する。
【0025】
制御装置40は、発電システム1における各構成要素の動作を制御する装置である。
【0026】
制御装置40は、発電装置10への燃料の供給元を、電力系統70から負荷系統80に電力が供給されるか否かに応じて切り替える制御を行う。外部の電力系統70から負荷系統80に電力が供給されるか否かの判断とは、例えば、具体的には、発電装置10が、非常時の運転を行う状態である否かの判断である。非常時の運転を行う場合、制御装置40は、発電装置10に燃料を供給する装置を、液体燃料を供給する装置である燃料供給装置20に切り替える制御を行う。
【0027】
制御装置40は、外部の電力系統70から負荷系統80に電力が供給される場合、すなわち、通常時に、外部の電力系統70から負荷系統80への電力供給の状況に応じて、発電装置10が負荷系統80に対してデマンドレスポンス(DR)運転を行うことができる状態であるか否かを判断する。この場合において、制御装置40は、発電装置10に水素燃料を用いて発電させる。このため、制御装置40は、発電装置10に水素燃料を供給するように、水素燃料供給装置30を制御する。制御装置40は、発電装置10がDR運転を行う時間を特定して、DR運転に必要な水素燃料の量を特定する。制御装置40は、特定した水素燃料の量を水素燃料供給装置30に指示する。また、制御装置40は、水素燃料供給装置30のタンクにある水素の量が、特定された水素燃料の量を下回る場合には、水素燃料の製造を水電気分解装置60に指示することにより、水電気分解装置60の運転を制御する。
【0028】
制御装置40は、DR運転ができる状態において、外部の電力系統70から負荷系統80への電力供給の状況に応じて、水素燃料を用いて発電装置10が発電した電力を負荷系統80に供給するように、発電装置10を制御する。
【0029】
制御装置40は、水電気分解装置60の運転に必要な電力の量を特定する。制御装置40は、水電気分解装置60の運転に必要な電力を供給する太陽光発電装置50に対して、特定した電力の量を指示することにより、太陽光発電装置50からの電力の供給量を制御する。また、制御装置40は、太陽光発電装置50が発電した電力の量が、水電気分解装置60の運転に必要な電力量を上回る場合に、電力の供給先を、水電気分解装置60から、図1において矢印Cで示すように負荷系統80に切り替える。
【0030】
燃料供給装置20は、発電装置10に液体燃料を供給する。燃料供給装置20は、具体的には、液体燃料を貯蔵するタンクと、タンクから発電装置10に液体燃料を運ぶ配管などにより構成される。
【0031】
水素燃料供給装置30は、発電装置10に水素燃料を供給する。水素燃料供給装置30は、水素燃料を貯蔵するタンクと、タンクから発電装置10に水素燃料を運ぶ配管などにより構成される。水素燃料は、気体であるためガソリンに比べて体積が大きいももの、圧縮することで体積を小さくしてタンクに貯蔵することができる。水素燃料供給装置30は、水電気分解装置60から送られた水素燃料を貯蔵する。具体的には、水素燃料供給装置30のタンクには、負荷系統80に供給する電力の量に応じた量の水素燃料が貯蔵される。
【0032】
太陽光発電装置50は、再生可能エネルギー発電装置の一例である。太陽光発電装置50は、再生可能エネルギーである太陽光により発電する。太陽光発電装置50は、水電気分解装置60による水素燃料の発生に用いる電力に供給する。太陽光発電装置50は、水電気分解装置60に供給する電力の余剰電力を負荷系統80に供給する。
【0033】
水電気分解装置60は、太陽光発電装置50から供給される電力を用いて、水の電気分解によって水素燃料を発生する。発電システム1において、水電気分解装置60による水素燃料の発生方法には特に限定されず、例えば、固体高分子型水電解、アルカリ水電解、高温水蒸気水分解などの方法を採用することができる。
【0034】
水電気分解装置60は、発電装置10から負荷系統80に供給する電力の量に応じた量の水素燃料を発生する。水電気分解装置60が発生させた水素燃料は、水素燃料供給装置30に送られる。
【0035】
図2は、第1の実施の形態に係る発電システムの処理の一例を示すフローチャートである。
【0036】
制御装置40は、電力系統70からの電力の供給状況に応じて、DR運転を行うことができる状態であるか、あるいは、非常時運転を行う状態であるか、を判断する(ステップS101)。
【0037】
制御装置40は、DR運転を行うことができる状態である場合において(S101:DR運転)、電力系統70から負荷系統80への電力供給の状況に応じて、DR運転を行う時間を特定する(ステップS102)。
【0038】
制御装置40は、特定したDR運転を行う時間に応じて、DR運転に必要な水素の量を特定する(ステップS103)。
【0039】
制御装置40は、特定した水素燃料の量と水素燃料供給装置30のタンクに貯蔵されている水素燃料の量とに基づいて、水電気分解装置60により製造する必要があるか否かを判断する(ステップS104)。
【0040】
制御装置40は、水電気分解装置60により水素燃料を製造する必要がある場合に(S104:YES)、太陽光発電装置50から水電気分解装置60に電力の供給を指示する(ステップS105)。また、制御装置40は、水電気分解装置60に水素燃料の製造を指示する。水電気分解装置60は、制御装置40からの指示に応じて太陽光発電装置50から供給される電力を用いて水素燃料の製造を行う(ステップS106)。
【0041】
制御装置40は、水電気分解装置60により水素燃料を製造する必要がない場合に(S104:NO)、太陽光発電装置50により発明された電力が水電気分解装置60により使用されない余剰電力となる。このため、太陽光発電装置50は、余剰電力を負荷系統80に供給する(ステップS107)。
【0042】
水素燃料供給装置30は、制御装置40からの指示に応じて水素燃料を発電装置10に供給する(ステップS108)。発電装置10は、水素燃料を用いてDR用の発電を行う(ステップS109)。発電装置10は、発電された電力をDR用の電力として供給する(ステップS110)。
【0043】
制御装置40は、非常時運転を行う状態である場合において(S101:非常時運転)、燃料供給装置20に液体燃料の供給を指示する。燃料供給装置20は、指示に応じて、発電装置10に液体燃料を供給する(ステップS111)。
【0044】
発電装置10は、液体燃料を用いて非常用の発電を行う(ステップS112)。発電装置10は、発電された電力を非常用の電力として供給する(ステップS113)。
【0045】
発電システム1では、以上説明したように発電装置10が使用する燃料の種類を切り替えることにより、電力需給逼迫時には排出ガスがクリーンな燃料である水素燃料を使用して、電力系統70の電力供給の状況に応じて、発電装置10をDR運転することができる。また、発電システム1では、以上説明したように発電装置10が使用する燃料の種類を切り替えることにより、停電時などの非常時には水素燃料よりも燃費が良いため長時間の稼働が可能であり安定的に燃料の供給を受けることができる液体燃料を使用して発電装置10を非常用発電装置として運転することができる。
【0046】
発電システム1では、太陽光発電装置50が、水素燃料の発生に用いる電力を水電気分解装置60に供給する。このため、発電システム1によれば、クリーンな再生可能エネルギーにより水素燃料を発生させてDR運転を行うことができる。
【0047】
発電システム1では、水電気分解装置60が、発電装置10から負荷系統80に供給する電力の量に応じた量の水素燃料を発生する。太陽光発電装置50は、水電気分解装置60に供給する電力の余剰電力を負荷系統80に供給する。このため、発電システム1によれば、DR運転に用いられない余剰の再生可能エネルギーを活用した電力供給を行うことができる。
【0048】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る発電システム1Bについて説明する。以下、上述の第1の実施の形態に係る発電システム1と異なる構成についてのみ説明する。
【0049】
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る発電システム1Bの概略を示す機能ブロック図である。
【0050】
図3に示すように、第2の実施の形態に係る発電システム1Bは、複数、例えば、3台の発電装置10A,10B,10Cを備える点が、先に説明した発電システム1と相違する。また、発電システム1Bは、複数の発電装置10A,10B,10Cから、負荷系統80に電力を供給する点が、先に説明した発電システム1と相違する。
【0051】
以上のような発電システム1Bにおいて、電力系統70から負荷系統80に電力が供給される状態で行うDR運転では、複数の発電装置10A,10B,10Cのうち、負荷系統80に供給する電力の量に応じた台数が、水素燃料を使用して発電する。発電システム1Bで発電された電力は、先に説明した発電システム1と同様に、電力系統70からの電力供給の状況に応じて、電力系統70からの電力とともに供給される。
【0052】
一方、発電システム1Bにおいて、電力系統70から負荷系統80に電力が供給されない非常時運転では、DR運転を行っている発電装置10A,10B,10Cを、DR運転用から切り離す(解列する)。そして、発電システム1Bの非常時運転において、DR運転を行っていたものとDR運転を行っていなかったものとを含めて、負荷系統80において必要とする電力の量に応じた台数の発電装置10A,10B,10Cが、液体燃料を使用して発電して負荷系統80に電力を供給する。
【0053】
図4は、第2の実施の形態に係る発電システム1Bの処理の一例を示すフローチャートである。図4において、ステップS201,S202,S203の処理が、図2を参照して先に説明した発電システム1の処理の一例を示すフローチャートと異なる。このため、以下の説明では、主にステップS201,S202,S203の処理について説明する。
【0054】
制御装置40は、DR運転を行うことができる状態である場合において(S101:YES)、電力系統70から負荷系統80への電力供給の状況に応じて、DR運転を行う発電装置10A,10B,10Cの台数を特定する(ステップS201)。DR運転を行う発電装置10A,10B,10Cの台数を特定した後、制御装置40は、S102においてDR運転を行う時間を特定する。
【0055】
制御装置40は、非常時運転を行う状態である場合において(S101:NO)、DR運転を行っている発電装置10A,10B,10Cを、DR運転から解列する(ステップS202)。
【0056】
制御装置40は、非常時運転を行う発電装置10A,10B,10Cの台数を特定する(ステップS202)。非常時運転を行う発電装置10A,10B,10Cの台数を特定した後、制御装置40は、燃料供給装置20に液体燃料の供給を指示し、燃料供給装置20が、S111において指示に応じて発電装置10に液体燃料を供給する。
【0057】
発電システム1Bでは、以上説明したように複数の発電装置10A,10B,10Cを備え、電力需給逼迫時には排出ガスがクリーンな燃料である水素燃料を使用して、電力系統70の電力供給の状況に応じて、必要な台数の複数の発電装置10A,10B,10CをDR運転して負荷系統80に電力を供給することができる。
【0058】
また、発電システム1Bでは、以上説明したように非常時運転を行う際には、DR運転を行っている発電装置10A,10B,10CとDR運転用としては稼働していない他の発電装置10A,10B,10Cとを含めて、負荷系統80において必要とする電力の量に応じた発電量を確保するために非常時運転に用いる。このようにすることにより、発電システム1Bによれば、非常時には液体燃料を用いて負荷系統80が必要とする電力の量に応じた電力を供給することができる。
【0059】
[実施の形態の拡張]
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られるものではない。
【0060】
本発明における再生可能エネルギー発電装置は、自然から定常的に補充されるエネルギー資源により発電する装置である。つまり、本発明における再生可能エネルギー発電装置は、発電システム1,1Bにおける太陽光発電装置50に限定されず、例えば、水力発電装置、風力発電装置など、他の様々な再生可能エネルギーをエネルギー資源とする発電装置であってもよい。
【0061】
例えば、発電システム1Bにおいて、発電装置10A,10B,10Cの台数は例示した台数に限定されず、2台以上の複数台であればよい。
【符号の説明】
【0062】
1,1B:発電システム、10,10A,10B,10C:発電装置、20:燃料供給装置、30:水素燃料供給装置、40:制御装置、50:太陽光発電装置(再生可能エネルギー発電装置)、60:水電気分解装置、70:電力系統、80:負荷系統
図1
図2
図3
図4