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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020813
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】混練機
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/72 20060101AFI20250205BHJP
   B29B 7/58 20060101ALI20250205BHJP
   B29B 7/38 20060101ALI20250205BHJP
   F16J 15/3232 20160101ALI20250205BHJP
   F16J 15/40 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
B29B7/72
B29B7/58
B29B7/38
F16J15/3232 201
F16J15/40 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124408
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100214961
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 洋三
(72)【発明者】
【氏名】山根 孝志
(72)【発明者】
【氏名】山口 和郎
(72)【発明者】
【氏名】原野 孝也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 克典
【テーマコード(参考)】
3J006
3J042
4F201
【Fターム(参考)】
3J006AE08
3J006AE16
3J006AE41
3J006CA01
3J042AA04
3J042AA12
3J042BA03
3J042CA15
3J042DA20
4F201AJ08
4F201AM23
4F201AR02
4F201BA01
4F201BC02
4F201BC13
4F201BK02
4F201BK14
4F201BK35
4F201BK74
(57)【要約】
【課題】混練セクションにおける物質が混練セクションよりも後方に位置する非混練セクションに配置されたシール部材を超えて更に後方にリークすることを抑制する。
【解決手段】混練機(1A)は、材料を搬送しながら混練するための混練セクション(SC2)と、混練セクション(SC2)よりも後方に位置する非混練セクション(SC1)と、を備え、非混練セクション(SC1)におけるロータ軸(2)とケーシング(8)との間の隙間であって混練セクション(SC2)に隣接して連通する隙間である後方隙間(G1)にはケーシング(8)に支持されるシール部材が配置されており、シール部材よりも後方において後方隙間(G1)に連通する圧力付与空間(SP)と、圧力付与空間(SP)の圧力を大気圧よりも高い圧力に調節するための第1ガスを供給する第1ガス供給ライン(L1)と、が形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ軸と前記ロータ軸の少なくとも一部を収容するケーシングとを備えた混練機であって、
材料を搬送しながら混練するための混練セクションと、
前記混練セクションよりも後方に位置する非混練セクションと、を備え、
前記非混練セクションにおける前記ロータ軸と前記ケーシングとの間の隙間であって前記混練セクションに隣接して連通する隙間である後方隙間には前記ケーシングに支持されるシール部材が配置されており、
前記シール部材よりも後方において前記後方隙間に連通する圧力付与空間と、前記圧力付与空間の圧力を大気圧よりも高い圧力に調節するための第1ガスを供給する第1ガス供給ラインと、が形成されている、混練機。
【請求項2】
前記シール部材は接触シールであり、
前記後方隙間のうち前記シール部材よりも前方に位置する部分には、第2ガスを供給する第2ガス供給ラインが連通している、請求項1に記載の混練機。
【請求項3】
前記第2ガス供給ラインは、ガス供給源につながる供給源側ラインと、前記供給源側ラインから分岐する第1分岐ライン及び第2分岐ラインと、を含み、
前記第1分岐ライン及び前記第2分岐ラインは、前記ロータ軸の周方向に互いにずれた位置に形成されている、請求項2に記載の混練機。
【請求項4】
前記第1ガス供給ライン及び前記第2ガス供給ラインは、1つのガス供給源に接続される、請求項2に記載の混練機。
【請求項5】
前記第1ガス供給ラインを通じて供給される前記第1ガスの流量を調節するための第1流量調節弁と、
前記第2ガス供給ラインを通じて供給される前記第2ガスの流量を調節するための第2流量調節弁と、を備える、請求項4に記載の混練機。
【請求項6】
前記シール部材は非接触シールであり、
前記シール部材と前記ロータ軸との間の隙間であるシール隙間の大きさは、前記シール隙間に対して後方に隣接する前記後方隙間の大きさよりも小さい、請求項1に記載の混練機。
【請求項7】
前記ケーシングは、前記後方隙間において当該ケーシングの内周面の一部が全周に亘って前記ロータ軸に向かって隆起する隆起部を有し、
前記隆起部と前記ロータ軸との隙間は、前記後方隙間における最小の隙間である、請求項1に記載の混練機。
【請求項8】
前記圧力付与空間よりも後方において前記ロータ軸を回転可能に支持する軸受けを備え、
前記圧力付与空間よりも後方において前記圧力付与空間に連通する隙間であって前記ロータ軸と前記ケーシングとの間の隙間である軸受側隙間が形成されており、
前記軸受側隙間における前記軸受けと前記圧力付与空間との間の部分には接触シールが配置されている、請求項1~7の何れか1項に記載の混練機。
【請求項9】
ロータ軸と前記ロータ軸の少なくとも一部を収容するケーシングとを備えた混練機であって、
材料を搬送しながら混練するための混練セクションと、
前記混練セクションよりも後方に位置する非混練セクションと、を備え、
前記非混練セクションにおける前記ロータ軸と前記ケーシングとの間の隙間であって前記混練セクションに隣接して連通する隙間には前記ケーシングに支持されるシール部材が配置されており、
前記非混練セクションには、圧力付与空間と、第1ガス供給ラインと、が形成され、
前記第1ガス供給ラインを通じて前記圧力付与空間にガスが供給されることにより前記圧力付与空間の圧力が大気圧よりも高い圧力に調節され、前記隙間のうち前記圧力付与空間と前記シール部材との間の部分が前記ガスで満たされるように構成される、混練機。
【請求項10】
前記圧力付与空間の圧力は、前記非混練セクションに隣接する前記混練セクションの後端における圧力よりも高くなるように調節される、請求項9に記載の混練機。
【請求項11】
前記シール部材は接触シールであり、
前記非混練セクションには、前記隙間のうち前記接触シールよりも前方に位置する部分の圧力を大気圧よりも高い圧力に調節するためのガスを供給する第2ガス供給ラインがさらに形成されている、請求項9又は10に記載の混練機。
【請求項12】
前記第1ガス供給ラインの圧力及び前記第2ガス供給ラインの圧力の少なくとも一方は、前記第2ガス供給ラインの圧力が前記第1ガス供給ラインの圧力よりも相対的に低くなるように調節される、請求項11に記載の混練機。
【請求項13】
前記第2ガス供給ラインは、ガス供給源につながる供給源側ラインと、前記供給源側ラインから分岐する第1分岐ライン及び第2分岐ラインと、を含み、
前記第1分岐ライン及び前記第2分岐ラインは、前記ロータ軸の周方向に互いにずれた位置において、前記隙間のうち前記シール部材よりも前方に位置する部分に連通している、請求項11に記載の混練機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、樹脂などの材料を混練する混練機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、樹脂押出機の固定部と、固定部に回転可能に挿入され端部が固定部より突出している回転体との隙間から外部へ漏れる樹脂を封止する樹脂封止方法が開示されている。この樹脂封止方法では、固定体に締結されている本体が固定部側の加熱部と外部側の冷却部とからなり、加熱部において樹脂を溶融し、冷却部において樹脂を固化し、その境界で溶融樹脂が固化する直前の粘度の高い樹脂を形成し、この樹脂により樹脂押出機内部と外部を遮断して樹脂の漏れを封止する。
【0003】
特許文献2には、モノマーガスの漏洩及び製品への異物混入を防止し、且つ、押出機の長期に及ぶ連続運転を可能にするための押出機のグランドボックス構造が開示されている。この特許文献2のグランドボックス構造は、冷却部で固化したポリマーがグランドパッキンに固着することによりグランドパッキンが損傷するという特許文献1の樹脂封止方法における課題を解決することを目的としている。特許文献2のグランドボックス構造では、グランドボックス(後端側筒状固定部)におけるグランドパッキンよりも軸方向前端側に加熱部と窒素ガス吹出口が設けられ、加熱部でグランドボックスを加熱すると共に、窒素ガス吹出口より窒素ガスをグランドボックスとスクリュウとの間の隙間に吹き出すことにより当該隙間を封止するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-337209号公報
【特許文献2】特開2008-201051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の押出機のグランドボックス構造では、ロータ軸にたわみが生じることでグランドパッキンとロータ軸との間に隙間が形成される場合がある。この場合、窒素ガス吹出口から供給される窒素ガスが、グランドパッキンとロータ軸との間に形成された隙間を通じてグランドパッキンよりも後方にリークするので、材料を混練するセクションにおける材料(例えばパウダー材料)、ガスなどの物質が当該セクションからグランドパッキンよりも後方にリークするおそれがある。
【0006】
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、混練セクションにおける物質が混練セクションよりも後方に位置する非混練セクションに配置されたシール部材を超えて、更に後方にリークすることを効果的に抑制できる混練機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
提供されるのは、ロータ軸と前記ロータ軸の少なくとも一部を収容するケーシングとを備えた混練機であって、材料を搬送しながら混練するための混練セクションと、前記混練セクションよりも後方に位置する非混練セクションと、を備え、前記非混練セクションにおける前記ロータ軸と前記ケーシングとの間の隙間であって前記混練セクションに隣接して連通する隙間である後方隙間には前記ケーシングに支持されるシール部材が配置されており、前記シール部材よりも後方において前記後方隙間に連通する圧力付与空間と、前記圧力付与空間の圧力を大気圧よりも高い圧力に調節するための第1ガスを供給する第1ガス供給ラインと、が形成されている。
【0008】
この混練機では、非混練セクションにおいてシール部材が後方隙間に配置されることにより、シール部材が例えば接触シールである場合にはロータ軸とケーシングの隙間がこの接触シールによって塞がれ、また、シール部材が例えば非接触シールである場合にはロータ軸とケーシングの隙間がこの非接触シールによって狭小化されるので、混練セクションにおける物質が非混練セクションに配置されたシール部材を超えて更に後方にリークすることが抑制される。また、接触シールによるリーク抑制作用が低下する程度までロータ軸にたわみが生じるような状況、及び、シール部材が非接触シールであることでロータ軸と非接触シールの間に隙間があるような状況の何れの状況においても、シール部材よりも後方において圧力付与空間に付与される圧力(陽圧)によって、ロータ軸とシール部材の隙間において混練セクションへ向かうガスの流れが形成されるので、混練セクションにおける物質が非混練セクションに配置されたシール部材を超えて更に後方にリークすることが抑制される。
【0009】
前記混練機において、前記シール部材は接触シールであり、前記後方隙間のうち前記シール部材よりも前方に位置する部分には、第2ガスを供給する第2ガス供給ラインが連通していることが好ましい。これにより、当該部分に第2ガス供給ラインから供給される第2ガスが混練セクションに向かうようなガスの流れが形成されるので、混練セクションにおける物質が非混練セクションに配置されたシール部材を超えて更に後方にリークすることをより効果的に抑制できる。
【0010】
前記第2ガス供給ラインは、ガス供給源につながる供給源側ラインと、前記供給源側ラインから分岐する第1分岐ライン及び第2分岐ラインと、を含み、前記第1分岐ライン及び前記第2分岐ラインは、前記ロータ軸の周方向に互いにずれた位置に形成されていることが好ましい。これにより、後方隙間に供給される第2ガスの供給量が周方向においてばらつくことを抑制できる。
【0011】
前記第1ガス供給ライン及び前記第2ガス供給ラインは、1つのガス供給源に接続されることが好ましい。これにより、混練機及びその周辺機器の構造を簡素化することができる。
【0012】
前記混練機は、前記第1ガス供給ラインを通じて供給される前記第1ガスの流量を調節するための第1流量調節弁と、前記第2ガス供給ラインを通じて供給される前記第2ガスの流量を調節するための第2流量調節弁と、を備えることが好ましい。これにより、第1ガスの流量及び第2ガスの流量をそれぞれ個別に調節することができる。
【0013】
前記シール部材は非接触シールであり、前記シール部材と前記ロータ軸との間の隙間であるシール隙間の大きさは、前記シール隙間に対して後方に隣接する前記後方隙間の大きさよりも小さいことが好ましい。この構成では、圧力付与空間から混練セクションに向かって流れるガスの流速は当該ガスがシール隙間を通過することで高められる。従って、混練セクションにおける物質が非混練セクションにリークすることをさらに効果的に抑制できる。
【0014】
前記ケーシングは、前記後方隙間において当該ケーシングの内周面の一部が全周に亘って前記ロータ軸に向かって隆起する隆起部を有し、前記隆起部と前記ロータ軸との隙間は、前記後方隙間における最小の隙間であってもよい。この構成では、上記のようなシール隙間を形成する非接触シールを後方隙間に配置しなくても、圧力付与空間から混練セクションに向かって流れるガスの流速は当該ガスが隆起部の近傍を通過することで高められるので、混練セクションにおける物質が非混練セクションにリークすることを効果的に抑制できる。
【0015】
前記混練機は、前記圧力付与空間よりも後方において前記ロータ軸を回転可能に支持する軸受けを備え、前記圧力付与空間よりも後方において前記圧力付与空間に連通する隙間であって前記ロータ軸と前記ケーシングとの間の隙間である軸受側隙間が形成されており、前記軸受側隙間における前記軸受けと前記圧力付与空間との間の部分には接触シールが配置されていることが好ましい。これにより、圧力付与空間が陽圧である状態を維持しやすくなる。
【0016】
本開示における他の混練機は、ロータ軸と前記ロータ軸の少なくとも一部を収容するケーシングとを備えた混練機であって、材料を搬送しながら混練するための混練セクションと、前記混練セクションよりも後方に位置する非混練セクションと、を備え、前記非混練セクションにおける前記ロータ軸と前記ケーシングとの間の隙間であって前記混練セクションに隣接して連通する隙間には前記ケーシングに支持されるシール部材が配置されており、前記非混練セクションには、圧力付与空間と、第1ガス供給ラインと、が形成され、前記第1ガス供給ラインを通じて前記圧力付与空間にガスが供給されることにより前記圧力付与空間の圧力が大気圧よりも高い圧力に調節され、前記隙間のうち前記圧力付与空間と前記シール部材との間の部分が前記ガスで満たされるように構成される。
【0017】
この混練機では、非混練セクションにおいてシール部材が前記隙間に配置されることにより、シール部材が例えば接触シールである場合にはロータ軸とケーシングの隙間がこの接触シールによって塞がれ、また、シール部材が例えば非接触シールである場合にはロータ軸とケーシングの隙間がこの非接触シールによって狭小化されるので、混練セクションにおける物質が非混練セクションに配置されたシール部材を超えて更に後方にリークすることが抑制される。また、接触シールによるリーク抑制作用が低下する程度までロータ軸にたわみが生じるような状況、及び、シール部材が非接触シールであることでロータ軸と非接触シールの間に隙間があるような状況の何れの状況においても、圧力付与空間の圧力が大気圧よりも高い圧力に調節され、前記隙間のうち圧力付与空間とシール部材との間の部分が前記ガスで満たされるように構成されるので、混練セクションにおける物質が非混練セクションに配置されたシール部材を超えて更に後方にリークすることが抑制される。
【0018】
前記圧力付与空間の圧力は、前記非混練セクションに隣接する前記混練セクションの後端における圧力よりも高くなるように調節されることが好ましい。これにより、ロータ軸とシール部材の隙間において圧力付与空間から混練セクションへ向かうガスの流れが効果的に形成されるので、混練セクションにおける物質が非混練セクションに配置されたシール部材を超えて更に後方にリークすることが効果的に抑制される。
【0019】
前記シール部材は接触シールであり、前記非混練セクションには、前記隙間のうち前記接触シールよりも前方に位置する部分の圧力を大気圧よりも高い圧力に調節するためのガスを供給する第2ガス供給ラインがさらに形成されていることが好ましい。これにより、第2ガス供給ラインから供給されるガスが混練セクションに向かうようにガスの流れが形成されるので、混練セクションにおける物質が非混練セクションに配置されたシール部材を超えて更に後方にリークすることをより効果的に抑制できる。
【0020】
前記第1ガス供給ラインの圧力及び前記第2ガス供給ラインの圧力の少なくとも一方は、前記第2ガス供給ラインの圧力が前記第1ガス供給ラインの圧力よりも相対的に低くなるように調節されることが好ましい。この構成では、前記隙間のうち接触シールよりも後方に位置する部分の圧力を、前記隙間のうち接触シールよりも前方に位置する部分の圧力よりも大きくすることができる。これにより、非混練セクションから混練セクションに向かうガスの流れが第1ガスと第2ガスによってより効果的に形成されるので、混練セクションにおける物質が非混練セクションに配置されたシール部材を超えて更に後方にリークすることをより効果的に抑制できる。
【0021】
前記第2ガス供給ラインは、ガス供給源につながる供給源側ラインと、前記供給源側ラインから分岐する第1分岐ライン及び第2分岐ラインと、を含み、前記第1分岐ライン及び前記第2分岐ラインは、前記ロータ軸の周方向に互いにずれた位置において、前記隙間のうち前記シール部材よりも前方に位置する部分に連通していることが好ましい。これにより、前記隙間に供給される第2ガスの供給量が周方向においてばらつくことを抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、混練セクションにおける物質が混練セクションよりも後方に位置する非混練セクションに配置されたシール部材を超えて更に後方にリークすることを効果的に抑制できる混練機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の第1実施形態に係る混練機の断面図である。
図2】第1実施形態に係る混練機の前端側部分及び処理機の断面図である。
図3】第1実施形態に係る混練機の概略の構成を示すブロック図である。
図4図1における一点鎖線IVで囲まれた領域を拡大した断面図である。
図5】第1実施形態に係る混練機における非混練セクションに形成された圧力付与空間、第1ガス供給ライン、第2ガス供給ライン、及びこれらの周辺の構造を示す断面図である。
図6】第1実施形態の変形例に係る混練機を示す断面図である。
図7】第1実施形態に係る混練機における第2ガス供給ラインの配置を示す断面図である。
図8】第2実施形態に係る混練機を示す断面図である。
図9】第2実施形態の変形例に係る混練機を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施形態に係る混練機について図面を参照しながら説明する。
【0025】
[第1実施形態]
図1及び図2は、第1実施形態に係る混練機1Aを備える連続式混練装置1の断面図である。連続式混練装置1は、混練機1Aと、処理機1Bと、を含み、混練機1Aと処理機1Bとは連続して配置されている。図1は、混練機1Aを示す断面図であり、図2は、混練機1Aの前端側部分及び処理機1Bを示す断面図である。なお、図2は、図1の断面位置II-IIにおける断面図に相当する。
【0026】
連続式混練装置1は、例えばゴム、ポリオレフィン系樹脂などのような熱可塑性の樹脂材料を混練するのに適している。混練機1Aは、樹脂材料を所定の搬送経路1Kに沿って搬送しながら混練し、処理機1Bは、混練機1Aから混練された樹脂材料を受けて所定の処理を行う。樹脂材料は、図1に示すように混練機1A内を矢印DA方向に搬送され、図2に示すように混練機1Aの前端側部分及び処理機1B内を矢印DB方向に搬送される。
【0027】
なお、図1及び図2では、図1の混練機1Aにおいて樹脂材料が搬送される方向を前方として、前後方向、上下方向及び左右方向が図示されているが、これらの方向は本実施形態に係る混練機1A、及び処理機1Bを説明するために便宜的に示すものであって、本開示に係る混練機の使用態様、構造を限定するものではない。
【0028】
図1に示すように、混練機1Aは、非混練セクションSC1と、混練セクションSC2と、を備える。混練セクションSC2は、樹脂材料を搬送しながら混練するためのセクションである。非混練セクションSC1は、混練セクションSC2よりも後方に位置するセクションである。非混練セクションSC1と混練セクションSC2は前後に隣接するように配置されている。混練セクションSC2の後端は、後述するロータ軸2の混練軸部2Eの後端に対応する部位であり、具体的には、後述する混練軸部2Eのフィード部2Bの後端に対応する部位である。
【0029】
図1及び図2に示すように、混練機1Aは、ケーシング8と、一対のロータ軸2と、材料投入部3と、絞り部4と、を備える。
【0030】
ケーシング8は、図1の前後方向(ロータ軸2の軸方向)に沿って長く延びる筒状の部材である。ケーシング8の内部には、一対のロータ軸2が収容される内部空間が形成されている。当該内部空間は、ケーシング8の内周面によって画定されている。
【0031】
一対のロータ軸2は、ケーシング8の前記内部空間に収容され、これらのロータ軸2が回転することによって樹脂材料を混練する。一対のロータ軸2は、ケーシング8の内部空間において軸方向に沿ってそれぞれ挿通されている。混練機1Aでは、一対のロータ軸2が互いに反対方向に回転する。すなわち、混練機1Aでは一対のロータ軸2の回転に伴い、当該一対のロータ軸2のそれぞれとケーシング8との間で発生するせん断力によって樹脂材料の混練が行なわれる。
【0032】
一対のロータ軸2のそれぞれは、複数の軸受けを介してケーシング8に回転可能に支持されている。複数の軸受けは、前後方向に互いに間隔をおいて配置されている。一対のロータ軸2のそれぞれの後端部は、図1に示すように駆動装置9に接続されている。駆動装置9は、図略のモーターを備え、一対のロータ軸2のそれぞれに回転力を伝達する。駆動装置9は、前記モーターと前記一対のロータ軸2との間に介在する減速機をさらに備えていてもよい。
【0033】
一対のロータ軸2のそれぞれは、後方軸部2Aと、混練軸部2Eと、を含む。混練軸部2Eは、混練セクションSC2に配置され、樹脂材料を前方に搬送しながら混練するための部分である。後方軸部2Aは、非混練セクションSC1に配置され、混練軸部2Eから後方に向かって延びる部分である。混練軸部2Eは、フィード部2Bと、混練部2Cと、搬送部2Dと、を含む。フィード部2Bは、材料投入部3から投入された樹脂材料を前方に搬送する。フィード部2Bは、樹脂材料を前方に搬送するための外形(例えば螺旋状の外形)を有する部分である。混練部2Cは、当該混練部2Cとケーシング8との間で樹脂材料を混練する。混練部2Cは、樹脂材料を混練するための外形(円柱形状及び円筒形状ではない外形)を有する部分である。搬送部2Dは、混練された樹脂材料を更に前方に搬送する。搬送部2Dは、樹脂材料を前方に搬送するための外形(例えば螺旋状の外形)を有する部分である。
【0034】
ケーシング8は、一対のロータ軸2の混練軸部2Eを収容する混練側ケーシング84と、混練側ケーシング84に隣接するように配置され、一対のロータ軸2の後方軸部2Aの少なくとも前側部分を収容する後方隣接ケーシング83と、を含む。
【0035】
混練側ケーシング84は、一対のロータ軸2のフィード部2Bを収容する第1部分と、一対のロータ軸2の混練部2Cを収容する第2部分と、一対のロータ軸2の搬送部2Dを収容する第3部分と、を含む。
【0036】
後方隣接ケーシング83は、例えばその側面に開閉可能なサイドカバーを備えていてもよい。本実施形態では、このサイドカバー又はサイドカバーに設けられた開口を通じて後述する第1ガスが後述する圧力付与空間SPに圧送されて供給されてもよい。ただし、第1ガスを圧力付与空間SPに供給する構造は、上記の具体例に限られず、後方隣接ケーシング83の他の部位に設けられてもよい。
【0037】
ケーシング8は、駆動装置9と後方隣接ケーシング83との間に配置された第1後方ケーシング81と、第1後方ケーシング81と後方隣接ケーシング83との間に配置された第2後方ケーシング82と、をさらに含む。第1後方ケーシング81は、後方隣接ケーシング83に対して後方に間隔をおいて配置されている。
【0038】
複数の軸受けは、図1に示すように、第1後方ケーシング81内に配置される一対の第1軸受けB1と、後方隣接ケーシング83内に配置される一対の第2軸受けB2と、一対のロータ軸2の前端部に対応する位置において混練側ケーシング84内に配置される一対の第3軸受けB3と、を含む。一対のロータ軸2の一方は、一対の第1軸受けB1の一方と、一対の第2軸受けB2の一方と、一対の第3軸受けB3の一方と、によって回転可能に支持されている。一対のロータ軸2の他方は、一対の第1軸受けB1の他方と、一対の第2軸受けB2の他方と、一対の第3軸受けB3の他方と、によって回転可能に支持されている。
【0039】
材料投入部3は、ケーシング8内に樹脂材料を供給するための部分である。材料投入部3は、ケーシング8の混練側ケーシング84(具体的には、混練側ケーシング84の第1部分)の上壁を上下に貫通する材料投入口に接続されている。材料投入部3はその上部に開口を有し、この開口から樹脂材料が投入されることによってケーシング8の混練側ケーシング84内に材料が供給される。
【0040】
絞り部4は、ロータ軸2の混練部2Cの前方に配置され、混練部2Cにおける樹脂材料の滞留度合いを変化させて材料の混練度を調整する。
【0041】
図2に示すように、処理機1Bは、ギヤポンプ5と、スクリーンチェンジャ6と、ペレタイザ7と、を有する。
【0042】
ギヤポンプ5は、図2に示すように、一対のロータ軸2よりも搬送経路1Kの下流(図2では右方)に配置され、一対のロータ軸2から樹脂材料を受け取るとともに、当該樹脂材料を搬送経路1Kの更に下流に搬送する。ギヤポンプ5は、一対のロータ軸2の前端部とギヤポンプ5との間の排出空間1S内の圧力を規定の圧力値に保つようにその回転数を変化させながら、樹脂を昇圧させ、当該樹脂を下流に搬送する。
【0043】
一対のロータ軸2から排出空間1Sを通じてギヤポンプ5に受け渡された樹脂材料は、ギヤポンプ5によってスクリーンチェンジャ6に圧送される。スクリーンチェンジャ6は、樹脂材料から異物を除去する。そして、このスクリーンチェンジャ6で異物が除去された樹脂材料は、ペレタイザ7に送られる。ペレタイザ7は、粒状のペレットを作製する。
【0044】
連続式混練装置1の全体的な構造は以上の通りである。以下、第1実施形態に係る混練機1Aの特徴について説明する。
【0045】
図3は、第1実施形態に係る混練機1Aの概略の構成を示すブロック図である。図4は、図1における一点鎖線IVで囲まれた領域を拡大した断面図である。図5は、図4の一部をさらに拡大した断面図である。
【0046】
非混練セクションSC1において、後方隣接ケーシング83は静止する部材であり、この後方隣接ケーシング83に収容されるロータ軸2の後方軸部2Aは回転する部材であるので、必然的に、ロータ軸2の後方軸部2Aと後方隣接ケーシング83との間には、図5に示すような隙間Gが形成されている。この隙間Gは、混練セクションSC2に連通している。この隙間Gの全域のうち、混練セクションSC2の後方において、混練セクションSC2に隣接し、混練セクションSC2に連通する部分を後方隙間G1と称する。混練機1Aが樹脂材料を混練する際には、混練セクションSC2おける物質(具体的には例えば、樹脂材料から発生するガス、パウダー状の樹脂材料などの物質)が混練セクションSC2から非混練セクションSC1にリークする可能性がある。
【0047】
そこで、本実施形態に係る混練機1Aでは、後方隙間G1には後方隣接ケーシング83に支持される接触シール12が配置されている。接触シール12自体が後方軸部2Aと接触して接触シール12と後方軸部2Aとの間に隙間を作らないことで、混練セクションSC2おける物質が接触シール12よりも更に後方へとリークすることを防止している。しかも、この混練機1Aでは、接触シール12よりも後方において後方隙間G1に連通する圧力付与空間SPと、この圧力付与空間SPの圧力を大気圧よりも高い圧力に調節するための第1ガスを供給する第1ガス供給ラインL1と、が形成されている。この混練機1Aでは、第1ガス供給ラインL1を通じて圧力付与空間SPに第1ガスが供給されることにより圧力付与空間SPの圧力が大気圧よりも高い圧力に調節され、後方隙間G1のうち圧力付与空間SPと接触シール12との間の部分が第1ガスで満たされるように構成される。
【0048】
また、本実施形態に係る混練機1Aでは、後方隙間G1のうち接触シール12よりも前方に位置する部分に第2ガスを供給する第2ガス供給ラインL2が形成されている。当該部分に第2ガス供給ラインL2から第2ガスが供給されることにより、当該部分の圧力が大気圧よりも高い圧力に調節されることが好ましい。
【0049】
さらに、本実施形態に係る混練機1Aでは、後方隙間G1のうち接触シール12よりも前方に位置する部分には非接触シール11が配置されている。この非接触シール11は、第2ガス供給ラインL2のガス出口(すなわち第2ガス供給ラインL2が後方隙間G1に接続される部分)よりも前方に配置されている。
【0050】
図5に示すように、圧力付与空間SPは、後方隣接ケーシング83の内面とロータ軸2の後方軸部2Aの外周面とにより囲まれた空間(閉鎖空間)である。本実施形態では、圧力付与空間SPは、ロータ軸2の周りを囲むように形成された円環状(例えばドーナツ状)の空間である。圧力付与空間SP(閉鎖空間)は、気体の出入りが全くない密閉された空間ではなく、隙間Gの一部である後方隙間G1(圧力付与空間SPの前方において圧力付与空間SPに隣接する後方隙間G1)と連通している。また、圧力付与空間SPは、隙間Gの一部である軸受側隙間G2(圧力付与空間SPの後方において後方隣接ケーシング83とロータ軸2の後方軸部2Aとの間に形成される隙間であり、圧力付与空間SPに隣接する軸受側隙間G2)と連通していてもよい。
【0051】
後方隙間G1及び軸受側隙間G2のそれぞれは、第1ガス供給ラインL1を通じて第1ガスが圧力付与空間SPに供給されているときに、後方隙間G1及び軸受側隙間G2のそれぞれを通じて圧力付与空間SP内の気体が流出することがある程度抑制されることにより、圧力付与空間SPの圧力が大気圧よりも高い圧力に維持されることが可能な程度のサイズに調節される。また、圧力付与空間SPを囲む後方隣接ケーシング83は、後方隙間G1及び軸受側隙間G2以外に、圧力付与空間SPと外部とを連通する小さな隙間及び/又は孔を有していてもよい。小さな隙間及び/又は孔のサイズは、第1ガス供給ラインL1を通じて第1ガスが圧力付与空間SPに供給されているときに、圧力付与空間SPの圧力が大気圧よりも高い圧力に維持されることが可能な大きさであれば許容される。
【0052】
この混練機1Aでは、ロータ軸2のたわみが小さい場合又はロータ軸2にたわみがほとんど生じていない場合には、非混練セクションSC1において後方隙間G1に配置された接触シール12によるリーク抑制作用が得られる。そして、接触シール12の損耗等により接触シール12とロータ軸2との間に隙間が生じたとしても、接触シール12よりも後方において後方隙間G1に連通する圧力付与空間SPに付与される圧力(陽圧)によるリーク抑制作用が得られる。具体的には、ロータ軸2のたわみが小さい場合又はロータ軸2にたわみがほとんど生じていない場合には、接触シール12自体がロータ軸2の後方軸部2Aと接触して接触シール12と後方軸部2Aとの間に隙間を作らないので、混練セクションSC2における物質が非混練セクションSC1に配置された接触シール12よりも後方へリークすることを抑制する効果が得られる。また、接触シール12とロータ軸2の後方軸部2Aとの間に隙間が生じないので、第2ガス供給ラインL2から供給される第2ガスが圧力付与空間SPに向かって流れず、非混練セクションSC1から混練セクションSC2に向かうガスの流れが形成され、混練セクションSC2における物質が非混練セクションSC1にリークすることを抑制できる効果も得られる。
【0053】
また、接触シール12によるリーク抑制作用が低下する程度までロータ軸2にたわみが生じた場合、すなわち、ロータ軸2のたわみに起因して接触シール12とロータ軸2の後方軸部2Aとの間に隙間が形成された場合であっても、接触シール12よりも後方において圧力付与空間SPに付与される圧力(陽圧)による次のようなリーク抑制作用が得られる。すなわち、ロータ軸2のたわみに起因して接触シール12と後方軸部2Aとの間に隙間が形成されると、第2ガス供給ラインL2から供給される第2ガスが接触シール12と後方軸部2Aとの間の隙間を通じて圧力付与空間SPに向かって流れる懸念が生じるが、本実施形態では、圧力付与空間SPが陽圧になることで、圧力付与空間SPから混練セクションSC2に向かうガスの流れが形成されるので、圧力付与空間SPに向かう第2ガスの流れを弱めること、圧力付与空間SPに向かう第2ガスの流れを留めること、又は、圧力付与空間SPから非混練セクションSC1に向かう第1ガスの流れに第2ガスを合流させることができるので、混練セクションSC2における物質が非混練セクションSC1にリークすることが抑制される。従って、この混練機1Aでは、上記の何れの場合であっても、混練セクションSC2における物質が非混練セクションSC1に配置された接触シール12を超えて更に後方にリークすることを効果的に抑制できる。
【0054】
また、本実施形態に係る混練機1Aでは、図4に示すように、第2軸受けB2と圧力付与空間SPとの間には接触シール13がさらに配置されている。この接触シール13は、圧力付与空間SPの後方における後方隣接ケーシング83とロータ軸2の後方軸部2Aとの間の軸受側隙間G2のうち第2軸受けB2と圧力付与空間SPとの間の部分をシールするためのものである。接触シール13は、圧力付与空間SPに対して後方に位置し、圧力付与空間SPに隣接するような位置に配置されている。接触シール13によって圧力付与空間SPの圧力がより安定する。なお、接触シール13は、図4に示すように、第2軸受けB2の近くに配置されている。ロータ軸2の後方軸部2Aのうち、第2軸受けB2に支持されている部分及びその近くの部分は、ロータ軸2のたわみがほとんど生じない。従って、ロータ軸2のたわみに起因して接触シール13と後方軸部2Aとの間に隙間が生じにくい。
【0055】
図5に示す具体例では、接触シール12及び接触シール13のそれぞれは、オイルシールである。接触シール12及び接触シール13のそれぞれを構成するオイルシールは2つのリップ12A,12Bを有し、これらのリップ12A,12Bにオイル供給ラインからオイルが供給される。2つのリップ12A,12Bは、図5に示すようにこれらの背面が互いに対向するような姿勢で配置されることが好ましい。リップ12Aは、リップ12Bの前に配置されている。
【0056】
リップ12Aを前方に向けることで、第2ガス供給ラインL2から供給される第2ガスが後方に流れることを抑制できる。また、仮に、混練セクションSC2からパウダー状の樹脂材料がリップ12Aのあたりまで進入した場合であっても、その樹脂材料がリップ12Aよりもさら後方に移動することを抑制できる。
【0057】
リップ12Bを後方に向けることで、第1ガス供給ラインL1から圧力付与空間SPに供給される第1ガスの流量をあまり大きくしなくても、圧力付与空間SPの圧力を陽圧に調節しやすくなる。これにより、第1ガスの流量を小さくしてエネルギーを節約することができる。また、仮に第1ガスにダストが含まれていたとしても、後方に向くリップ12Bは、ダストが圧力付与空間SPから後方隙間G1を通って混練セクションSC2に向かうことを抑制できる。リップ12Aとリップ12Bとの間には、ランタンリングを配置して、メンテナンスのために定期的に給脂することが好ましい。
【0058】
接触シール12,13としては、例えば、リップシールなどのオイルシール、Vパッキンなどの成形パッキン、グランドパッキン、Oリング、シールリングなどを採用することができる。
【0059】
図5に示す具体例では、非接触シール11は、シールリングである。図5に示すように、非接触シール11とロータ軸2の後方軸部2Aとの間の隙間であるシール隙間G3は後方隙間G1の一部である。当該シール隙間G3の大きさは、後方隙間G1のうちシール隙間G3に対して後方に隣接する部分(図5では隙間G4)の大きさよりも小さい。これにより、第1ガス及び/又は第2ガスが混練セクションSC2に向かって流れるときの流速がシール隙間G3を通過することで高められる。従って、混練セクションSC2における物質が非混練セクションSC1に配置された接触シール12を超えて更に後方にリークすることをさらに効果的に抑制できる。シール隙間G3を通過することで高められるガスの流速は、例えば、0.18m/s以上であることが好ましい。
【0060】
シールリングは、例えば、PTFEなどのフッ素樹脂により構成されるものであってもよく、フッ素樹脂をコーティングした金属により構成されるものであってもよい。フッ素樹脂は、シールリングとロータ軸2とが接触しても焼き付き等の不具合を軽減することができる。非接触シール11としては、上述したシールリングの他に、例えば、ラビリンスシール、メカニカルシールなどを採用することができる。
【0061】
なお、非接触シール11を用いてガスの流速を高める手段に代えて、例えば後述する図6に示す変形例のように、後方隣接ケーシング83の内面自体と、ロータ軸2の後方軸部2Aとの間の隙間を、後方隙間G1における他の部位よりも局所的に小さくしてもよい。この局所的に小さな隙間は、第1ガス及び/又は第2ガスが混練セクションSC2に向かって流れるときの流速を高めることができる。この局所的に小さな隙間は、第2ガス供給ラインL2のガス出口よりも前方に形成されることが好ましい。なお、後方隙間G1のうち、局所的に小さな隙間以外の部位においても、隙間の大きさは、第1ガスの供給量を小さく抑えるために、50mm以下であることが好ましい。
【0062】
図6は、第1実施形態の変形例に係る混練機1Aを示す断面図である。この変形例では、ケーシング8の後方隣接ケーシング83は、後方隙間G1において、当該後方隣接ケーシング83の内周面の一部が全周に亘ってロータ軸2の後方軸部2Aに向かって隆起する隆起部85を有する。隆起部85は、後方隣接ケーシング83の内周面のうち隆起部85に隣接する部分からロータ軸2の後方軸部2Aに向かって円環状に突出するような形状を有する。なお、後方隣接ケーシング83の内周面は、ロータ軸2の後方軸部2Aの外周面に対して、ロータ軸2の径方向に対向する面である。
【0063】
隆起部85は、ケーシング8の後方隣接ケーシング83の内周面のうち、接触シール12よりも前方に位置する部分に形成されている。隆起部85は、ケーシング8の後方隣接ケーシング83の内周面のうち、第2ガス供給ラインL2のガス出口よりも前方に位置する部分に形成されていてもよい。隆起部85は、ケーシング8の後方隣接ケーシング83の内周面のうち、第2ガス供給ラインL2のガス出口と後述するスクリューシール2Sとの間の部分に形成されていてもよい。
【0064】
図6に示すように、隆起部85とロータ軸2の後方軸部2Aとの隙間である隆起部隙間G5は、後方隙間G1の一部である。隆起部隙間G5の大きさは、後方隙間G1のうち隆起部隙間G5に対して後方に隣接する部分(図6では隙間G4)の大きさよりも小さい。また、隆起部隙間G5は、後方隙間G1における最小の隙間であってもよい。この変形例では、図5に示すような非接触シール11を後方隙間G1に配置しなくても、圧力付与空間SPから混練セクションSC2に向かって流れるガス(第1ガス及び/又は第2ガス)の流速は当該ガスが隆起部85の近傍、すなわち隆起部隙間G5を通過することで高められる。これにより、混練セクションSC2における物質が非混練セクションSC1にリークすることを効果的に抑制できる。
【0065】
なお、図5に示すように、ロータ軸2の後方軸部2Aの前端部には、スクリューシール2Sが設けられている。スクリューシール2Sは、ロータ軸2の混練軸部2Eの後端(混練軸部2Eのフィード部2Bの後端)の後方に位置している。スクリューシール2Sは、このスクリューシール2Sとスクリューシール2Sの径方向外側に対向する後方隣接ケーシング83の内周面との間の隙間に樹脂材料(例えば溶融した樹脂材料)が詰まった際に、スクリューシール2Sのポンプ作用により樹脂材料を混練セクションSC2へと押し出す機能を有する。
【0066】
以上が本実施形態に係る混練機1Aの主な特徴である。以下では、混練機1Aの特徴についてさらに具体的に説明する。
【0067】
図3に示すように、第1実施形態に係る混練機1Aでは、非混練セクションSC1は、ベアリングセクションSC11と、第1ガス供給セクションSC12と、第2ガス供給セクションSC13と、を含む。
【0068】
ベアリングセクションSC11は、図1に示す第1軸受けB1及び第2軸受けB2を含むセクションであり、駆動装置9よりも前方に位置している。
【0069】
第1ガス供給セクションSC12は、ガス供給源23から第1ガス供給ラインL1を通じて圧力付与空間SPに第1ガスが供給されるセクションであり、ベアリングセクションSC11よりも前方に位置している。第1ガス供給セクションSC12は、圧力付与空間SPと、第1ガス供給ラインL1と、を含む。
【0070】
第2ガス供給セクションSC13は、ガス供給源23から第2ガス供給ラインL2を通じて後方隙間G1に第2ガスが供給されるセクションであり、第1ガス供給セクションSC12よりも前方に位置している。第2ガス供給セクションSC13は、第2ガス供給ラインL2と、後方隙間G1のうち第2ガス供給ラインL2に連通する部分と、を含む。
【0071】
本実施形態では、第1ガス及び第2ガスのそれぞれは窒素ガスであり、第1ガス供給セクションSC12及び第2ガス供給セクションSC13には、1つのガス供給源23から窒素ガスが供給される。なお、第1ガス及び第2ガスのそれぞれは窒素ガス以外のガス(例えば他の不活性ガス)であっておよい。第1ガスと第2ガスは異なるガスであってもよい。
【0072】
ガス供給源23と第1ガス供給セクションSC12及び第2ガス供給セクションSC13との間には、バルブスタンド24が介在している。バルブスタンド24は、例えば、ガス供給源23から第1ガス供給セクションSC12及び第2ガス供給セクションSC13のそれぞれに窒素ガスを供給するために必要な機器を含む。
【0073】
ガス供給源23と圧力付与空間SPとをつなぐ第1ガス供給ラインL1には、第1流量調節弁21が設けられている。また、ガス供給源23と後方隙間G1とをつなぐ第2ガス供給ラインL2には、第2流量調節弁22が設けられている。第1流量調節弁21は、圧力付与空間SPに供給される窒素ガス(第1ガス)の流量を調節することができる。第2流量調節弁22は、後方隙間G1に供給される窒素ガス(第2ガス)の流量を調節することができる。
【0074】
第1流量調節弁21及び第2流量調節弁のそれぞれは、例えば比例弁であってもよい。第1流量調節弁21の開度の調節及び第2流量調節弁22の開度の調節は、作業者が行ってもよく、コントローラが行ってもよい。コントローラは、演算処理装置とメモリとを有するコンピュータを備えるものであり、混練機1Aの一部であってもよく、混練機1Aとは別に設けられたものであってもよい。コントローラが第1流量調節弁21及び第2流量調節弁22の少なくとも一方の流量調節弁の開度の調節を行う場合には、その流量調節弁は、例えば電磁比例弁により構成されていてもよい。この場合、コントローラが当該流量調節弁に開度調節のための指令(指令電流)を入力することにより、当該流量調節弁の開度が調節される。
【0075】
本実施形態では、図3に示すように、混練機1Aは、第1圧力センサ41と、第2圧力センサ42と、をさらに備えている。第1圧力センサ41は、圧力付与空間SPの圧力又はこれに対応する圧力を検出する。第1圧力センサ41は、圧力付与空間SPの圧力を検出してもよく、第1ガス供給ラインL1の圧力を検出してもよい。第2圧力センサ42は、後方隙間G1のうち第2ガス供給ラインL2に連通する部分の圧力又はこれに対応する圧力を検出する。第2圧力センサ42は、後方隙間G1のうち第2ガス供給ラインL2に連通する部分の圧力(例えば、後方隙間G1のうち接触シール12よりも前方に位置する部分の圧力)を検出してもよく、第2ガス供給ラインL2の圧力を検出してもよい。
【0076】
作業者は、第1圧力センサ41により検出される圧力(圧力付与空間SPの圧力)が所定の第1圧力Pαに調節される又は所定の第1圧力範囲PRαに含まれるように第1流量調節弁21の開度を調節してもよい。第1圧力Pαは、大気圧よりも高い圧力であり、第1圧力範囲PRαは、大気圧よりも高い圧力の範囲である。圧力付与空間SPの圧力、すなわち第1圧力センサ41により検出される第1圧力Pαは、非混練セクションSC1に隣接する混練セクションSC2の後端における圧力よりも高くなるように調節されることが好ましい。混練セクションSC2の後端における圧力は、図略の圧力センサにより検出されてもよい。
【0077】
作業者は、第2圧力センサ42により検出される圧力が所定の第2圧力Pβに調節される又は所定の第2圧力範囲PRβに含まれるように第2流量調節弁22の開度を調節してもよい。第2圧力Pβは、大気圧よりも高い圧力であることが好ましい。第2圧力Pβは、大気圧よりも高い圧力であり、かつ、第1圧力Pαよりも低い圧力であることがより好ましい。第2圧力範囲PRβは、大気圧よりも高い圧力の範囲であることが好ましい。第2圧力範囲PRβは、大気圧よりも高い圧力であり、かつ、第2圧力範囲PRβの上限値は、第1圧力範囲PRαの上限値よりも小さいことがより好ましい。
【0078】
コントローラが第1流量調節弁21の開度の調節を行う場合には、コントローラは、第1圧力センサ41により検出される圧力(圧力付与空間SPの圧力)が前記所定の第1圧力Pαに調節される又は前記所定の第1圧力範囲PRαに含まれるように、第1流量調節弁21に開度調節のための指令(指令電流)を入力する。同様に、コントローラが第2流量調節弁22の開度の調節を行う場合には、コントローラは、第2圧力センサ42により検出される圧力が前記所定の第2圧力Pβに調節される又は前記所定の第2圧力範囲PRβに含まれるように、第2流量調節弁22に開度調節のための指令(指令電流)を入力する。
【0079】
作業者は、第2ガス供給ラインL2の圧力が第1ガス供給ラインL1の圧力よりも相対的に低くなるように、第1ガス供給ラインL1の圧力及び第2ガス供給ラインL2の圧力の少なくとも一方を調節してもよい。また、コントローラは、第2ガス供給ラインL2の圧力が第1ガス供給ラインL1の圧力よりも相対的に低くなるように、第1流量調節弁21及び第2流量調節弁22の少なくとも一方に指令を入力することによって第1ガス供給ラインL1の圧力及び第2ガス供給ラインL2の圧力の少なくとも一方を調節してもよい。
【0080】
なお、図3に示す具体例では、第1圧力センサ41及び第2圧力センサ42が設けられているが、この具体例に限られない。圧力付与空間SPの圧力と、第2ガスが供給される隙間G4の圧力との圧力差を検出するための他の手段としては、例えば、圧力発信器、圧力変換器、圧力伝送器などの圧力計、マノメータ、差圧測定器などが採用されてもよい。
【0081】
図7は、混練機1Aにおける第2ガス供給ラインL2の配置を示す断面図である。第2ガス供給ラインL2は、図3に示すガス供給源23につながる供給源側ラインL20(図3及び図4参照)と、供給源側ラインL20から分岐する第1分岐ラインL21及び第2分岐ラインL22と(図7参照)、を含む。第1分岐ラインL21及び第2分岐ラインL22は、一方のロータ軸2の周方向に互いにずれた位置において、後方隙間G1のうち接触シール12よりも前方に位置する部分(隙間G4)に連通している。図7に示す具体例では、第1分岐ラインL21と第2分岐ラインL22は、一方のロータ軸2を介して、当該ロータ軸2の径方向に対向するような位置に配置されている。言い換えると、第1分岐ラインL21は、一方のロータ軸2を介して、第2分岐ラインL22の前記径方向の反対側に配置されている。これにより、ロータ軸2の後方軸部2Aと後方隣接ケーシング83との間の後方隙間G1のうち、非接触シール11と圧力付与空間SPとの間の部分に供給される窒素ガス(第2ガス)の供給量が、周方向においてばらつくことを抑制できる。
【0082】
また、図7に示す具体例では、第2ガス供給ラインL2は、第1分岐ラインL21からさらに周方向に延びる周方向ラインL200と、周方向ラインL200から後方隙間G1に連通する複数の連通ラインL201と、第2分岐ラインL22からさらに周方向に延びる周方向ラインL200と、周方向ラインL200から後方隙間G1に連通する複数の連通ラインL201と、を含む。複数の連通ラインL201は、周方向に互いにずれた位置に配置されている。これにより、ロータ軸2の後方軸部2Aと後方隣接ケーシング83との間の後方隙間G1のうち、非接触シール11と圧力付与空間SPとの間の部分に供給される窒素ガス(第2ガス)の供給量が、周方向においてより均一になる。
【0083】
図7に示すように、第1分岐ラインL21及び第2分岐ラインL22は、他方のロータ軸2の周方向に互いにずれた位置にも形成されている。他方のロータ軸2の周りに形成された第1分岐ラインL21及び第2分岐ラインL22は、上述した一方のロータ軸2の周りに形成された第1分岐ラインL21及び第2分岐ラインL22と同様の構造を備えるので、詳細な説明を省略する。
【0084】
(圧力について)
以下では、後方隙間G1のうちシール隙間G3に対して後方に隣接する部分(図5では隙間G4)における圧力を隙間圧力P1と称し、圧力付与空間SPにおける圧力を空間圧力P2と称し、混練セクションSC2の圧力を混練セクション圧力P3と称する。
【0085】
空間圧力P2は、混練セクション圧力P3よりも大きくなるように調節されることが好ましい。圧力付与空間SPと混練セクションSC2との間の後方隙間G1をガスが通過する際の圧損をΔPとすると、空間圧力P2は、例えば、P3+ΔPよりも十分に高い圧力に調節されることが好ましい。これにより、常時、非混練セクションSC1から混練セクションSC2へ向かうガスの流れを形成することができる。これにより、パウダー状の樹脂材料、混練セクションSC2において発生するガスなどの物質が非混練セクションSC1にリークするのを防ぐことができる。
【0086】
空間圧力P2と混練セクション圧力P3との圧力差を取得する手段としては、圧力発信器、圧力変換器、圧力伝送器などの圧力計、マノメータ、差圧測定器などを例示できる。空間圧力P2と混練セクション圧力P3との圧力差を確認する手段としては、圧損ΔPが生じる部分におけるガスの流量を検出してもよい。すなわち、非混練セクションSC1から混練セクションSC2に向かう空間又は隙間におけるガスの流量を検出可能なように、差圧流量計等を設けてもよい。検出されるガスの流量から前記圧力差を取得できる。
【0087】
「空間圧力P2>P3+ΔP」の関係が成り立つような状態を維持するためには、圧力付与空間SPに供給する第1ガスの流量又は流体圧力を調節すればよい。
【0088】
また、空間圧力P2が隙間圧力P1よりも大きくなるように(P2>P1)第1流量調節弁21の開度と第2流量調節弁22の開度が調節されることが好ましい。この調節は、作業者が行ってもよく、コントローラが行ってもよい。これにより、仮に、接触シール12とロータ軸2の後方軸部2Aとの間に隙間が生じたとしても、圧力付与空間SPから前方に向かうガスの流れが形成されるので、混練セクションSC2における物質が非混練セクションSC1に配置された接触シール12を超えて、更に後方にリークすることをより効果的に抑制できる。
【0089】
ただし、空間圧力P2が隙間圧力P1より低くてもよい。空間圧力P2は大気圧よりも大きい陽圧に調節されているので、混練セクションSC2における物質が非混練セクションSC1にリークすることを抑制できる。
【0090】
なお、圧力付与空間SPにおける陽圧を効率よく維持するために、圧力付与空間SPを囲む複数の部材同士の隙間において、他のシール部材(例えばシールリングなど)をさらに配置してもよい。
【0091】
空間圧力P2の上限は、特に限定されないが、0.6MPaであってもよい。
【0092】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態に係る混練機1Aを示す断面図である。この第2実施形態に係る混練機1Aは、図5に示す第1実施形態に係る混練機1Aにおける第2ガス供給ラインL2と、接触シール12と、を備えていない点で、第1実施形態に係る混練機1Aと相違している。第2実施形態に係る混練機1Aにおけるその他の構成は、第1実施形態に係る混練機1Aと同様である。
【0093】
この第2実施形態に係る混練機1Aでは、後方隙間G1には後方隣接ケーシング83に支持される非接触シール11が配置されており、非接触シール11よりも後方において後方隙間G1に連通する圧力付与空間SPと、この圧力付与空間SPの圧力を大気圧よりも高い圧力に調節するための第1ガスを供給する第1ガス供給ラインL1と、が形成されている。従って、この第2実施形態に係る混練機1Aでは、圧力付与空間SPに供給される第1ガスが非混練セクションSC1から混練セクションSC2に向かうガスの流れを形成し、混練セクションSC2における物質が非混練セクションSC1に配置された非接触シール11よりも後方にリークすることを効果的に抑制できる。
【0094】
また、第2実施形態に係る混練機1Aでは、第2軸受けB2と圧力付与空間SPとの間には接触シール13がさらに配置されている。この接触シール13は、後方隣接ケーシング83とロータ軸2の後方軸部2Aとの間の後方隙間G1のうち第2軸受けB2と圧力付与空間SPとの間の部分をシールするためのものである。接触シール13は、圧力付与空間SPに対して後方に位置し、圧力付与空間SPに隣接するような位置に配置されている。接触シール13によって圧力付与空間SPの圧力がより安定する。
【0095】
図9は、第2実施形態の変形例に係る混練機1Aを示す断面図である。この第2実施形態の変形例に係る混練機1Aは、図5に示す第1実施形態に係る混練機1Aにおける第2ガス供給ラインL2と、接触シール12と、接触シール13と、を備えていない点で、第1実施形態に係る混練機1Aと相違し、接触シール13を備えていない点で、図8に示す第2実施形態に係る混練機1Aと相違している。第2実施形態の変形例に係る混練機1Aにおけるその他の構成は、第1実施形態に係る混練機1Aと同様である。
【0096】
この第2実施形態の変形例に係る混練機1Aは、図8における接触シール13を備えていないので、圧力付与空間SPの圧力は、図5に示す第1実施形態に係る混練機1A及び図8に示す第2実施形態に係る混練機1Aに比べて、多少不安定になる。ただし、この第2実施形態の変形例においても、次のように第1流量調節弁21の開度を調節することで、混練セクションSC2における物質が非混練セクションSC1に配置された非接触シール11よりも後方にリークすることを効果的に抑制できる。すなわち、作業者は、第1圧力センサ41により検出される圧力(圧力付与空間SPの圧力)が前記所定の第1圧力Pαに調節される又は前記所定の第1圧力範囲PRαに含まれるように第1流量調節弁21の開度を調節することで、混練セクションSC2における物質が非混練セクションSC1に配置された非接触シール11よりも後方にリークすることを効果的に抑制できる。また、コントローラが第1流量調節弁21の開度の調節を行う場合には、コントローラは、第1圧力センサ41により検出される圧力(圧力付与空間SPの圧力)が前記所定の第1圧力Pαに調節される又は前記所定の第1圧力範囲PRαに含まれるように、第1流量調節弁21に開度調節のための指令(指令電流)を入力することで、混練セクションSC2における物質が非混練セクションSC1に配置された非接触シール11よりも後方にリークすることを効果的に抑制できる。
【0097】
以上、本開示の各実施形態に係る混練機1Aを含む連続式混練装置1について説明したが、本開示は、これらの実施形態に限定されるものではなく、以下のような変形実施形態を含む。
【0098】
連続式混練装置1は、混練機1A(樹脂混練機)に代えて、公知の単軸押出機を有する混練機でもよいし、公知の2軸押出機を有する混練機でもよい。
【0099】
また、図1図5に示す第1実施形態に係る混練機1Aでは、後方隙間G1に接触シール12と非接触シール11とが配置されているが、後方隙間G1には接触シール12が配置される一方で非接触シール11が配置されていなくてもよい。具体的には例えば、図5に示す混練機1Aにおいて後方隙間G1に配置された接触シール12及び非接触シール11のうち、非接触シール11が省略されてもよい。また、図8及び図9に示す第2実施形態に係る混練機1Aでは、後方隙間G1に非接触シール11が配置されているが、後方隙間G1において、非接触シール11が省略され、接触シール12が配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1A :混練機
2 :ロータ軸
2A :後方軸部
2E :混練軸部
8 :ケーシング
11 :非接触シール(後方隙間に配置されるシール部材の一例)
12 :接触シール(後方隙間に配置されるシール部材の一例)
13 :接触シール(軸受側隙間に配置される接触シールの一例)
21 :第1流量調節弁
22 :第2流量調節弁
23 :ガス供給源
41 :第1圧力センサ
42 :第2圧力センサ
83 :後方隣接ケーシング
84 :混練側ケーシング
85 :隆起部
B1 :第1軸受け
B2 :第2軸受け
B3 :第3軸受け
G1 :後方隙間
G2 :軸受側隙間
L1 :第1ガス供給ライン
L2 :第2ガス供給ライン
L20 :供給源側ライン
L21 :第1分岐ライン
L22 :第2分岐ライン
SC1 :非混練セクション
SC2 :混練セクション
SP :圧力付与空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9