IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産サンキョー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-レンズユニット 図1
  • 特開-レンズユニット 図2
  • 特開-レンズユニット 図3
  • 特開-レンズユニット 図4
  • 特開-レンズユニット 図5
  • 特開-レンズユニット 図6
  • 特開-レンズユニット 図7
  • 特開-レンズユニット 図8
  • 特開-レンズユニット 図9
  • 特開-レンズユニット 図10
  • 特開-レンズユニット 図11
  • 特開-レンズユニット 図12
  • 特開-レンズユニット 図13
  • 特開-レンズユニット 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020840
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】レンズユニット
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20250205BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20250205BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20250205BHJP
【FI】
G02B7/02 C
G03B30/00
G02B7/02 H
G02B7/04 D
G02B7/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124448
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】笠原 拓也
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AC01
2H044AG01
2H044AJ04
2H044BD06
2H044BD14
(57)【要約】
【課題】レンズに対する調芯を容易に行うことができるレンズユニットを提供する。
【解決手段】レンズユニット1は、第5レンズ7を含む複数のレンズと、複数のレンズを内側に収容する第1鏡筒部材20と、複数のレンズの何れかのレンズ間に設けられた絞りと、第5レンズ7を径方向外側から保持するとともに、第1鏡筒部材20に保持されるホルダ70と、を有する。ホルダ70は、第1鏡筒部材20に保持される第1保持部材71と、第5レンズ7を保持するとともに、第1鏡筒部材20の内周面220に接しておらず、第1保持部材71に対して光軸X回りに回転可能な第2保持部材72と、を備える。第1鏡筒部材20は、光軸Xと直交する方向から見たときに、第2保持部材72の少なくとも一部と重なる位置に設けられた複数の開口部29を備える。第2保持部材72が光軸Xに対して回転されることによって、第5レンズ7が調芯される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿った光軸方向に配列された複数のレンズであって、調芯レンズを含む複数のレンズと、
前記複数のレンズを内側に収容する第1鏡筒部材と、
前記複数のレンズの何れかのレンズ間に設けられた絞りと、
前記調芯レンズを径方向外側から保持するとともに、前記第1鏡筒部材に保持されるホルダと、
を有し、
前記ホルダは、
前記第1鏡筒部材に保持される第1保持部材と、
前記調芯レンズを保持するとともに、前記第1鏡筒部材の内周面に接しておらず、前記第1保持部材に対して前記光軸回りに回転可能な第2保持部材と、
を備え、
前記第1鏡筒部材は、前記光軸と直交する方向から見たときに、前記第2保持部材の少なくとも一部と重なる位置に設けられた複数の開口部を備え、
前記第2保持部材が前記光軸に対して回転されることによって、前記調芯レンズが調芯されることを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記調芯レンズは、前記複数のレンズのうち、前記絞りの物体側および前記絞りの像側の何れか一方で隣り合うレンズであることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記ホルダは、前記第1保持部材に対して前記第2保持部材を前記光軸回りに回転可能に支持するガイド部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記第1保持部材および前記第2保持部材の一方側に設けられて径方向内側を向くとともに前記光軸を中心とした円弧状の第1面部と、前記第1保持部材および前記第2保持部材の他方側に設けられて径方向外側を向くとともに前記光軸を中心とした円弧状の第2面部と、を備え、
前記第1面部と前記第2面部とは、径方向で対向することを特徴とする請求項3に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記第1面部は、前記第1保持部材および前記第2保持部材の他方側に向かって径方向外側に傾斜し、
前記第2面部は、前記第1保持部材および前記第2保持部材の一方側に向かって径方向内側に傾斜することを特徴とする請求項4に記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記ホルダは、前記第2保持部材が前記第1保持部材に対して回転した際に、前記第1保持部材に対して前記第2保持部材を前記光軸方向に移動させる調整部を備えることを特徴とする請求項3に記載のレンズユニット。
【請求項7】
前記調整部は、前記第1保持部および前記第2保持部の一方側に設けられる雌ネジ部と、前記第1保持部および前記第2保持部の他方側に設けられるとともに前記雌ネジ部にねじ込まれる雄ネジ部と、を備えることを特徴とする請求項6に記載のレンズユニット。
【請求項8】
前記調整部は、前記第1保持部および前記第2保持部の一方側に設けられるとともに前記光軸方向に螺旋状に形成されたカム溝と、前記第1保持部および前記第2保持部の他方側に設けられるとともに前記カム溝に挿入されるカムピンと、を備えることを特徴とする
請求項6に記載のレンズユニット。
【請求項9】
前記第2保持部材は、外周面に凹部を備えることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項10】
前記複数のレンズの何れかのレンズ間に設けられた弾性部材を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項11】
前記弾性部材は、前記複数のレンズの何れかのレンズ間のうち、最も軸上面間隔が大きいレンズ間に設けられることを特徴とする請求項10に記載のレンズユニット。
【請求項12】
前記複数のレンズの物体側に配置される物体側レンズと、前記物体側レンズを内側に収容するとともに、前記第1鏡筒部材を内側で保持する第2鏡筒部材と、を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズの調芯を行うことができるレンズユニットに関する。
【0002】
自動車や監視カメラに搭載される撮像装置で使用されるレンズユニットは特許文献1に記載されている。同文献のレンズユニットは、光軸方向に配列された複数のレンズと、複数のレンズを内側に保持するホルダと、複数のレンズのいずれかのレンズ間に設けられた絞りと、を有する。複数のレンズのうち、絞りに物体側で隣り合う物体側レンズ、および絞りに像側で隣り合う像側レンズのうちの一方のレンズは、光軸に対して直交する方向に位置調整が行われる調芯レンズである。ホルダは、調芯レンズを内側に保持する第1ホルダ、および第1ホルダを内側に保持する第2ホルダと、を備える。第2ホルダには、光軸方向に対して直交する方向から見たときに、第1ホルダの少なくとも一部と重なる位置に調芯用開口部が周方向の複数個所に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-175918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のレンズユニットを組み立てる際には、光軸に対して直交する方向であるX方向およびY方向に、調芯レンズをそれぞれ移動させることによって、光軸に対して調芯レンズの調芯を行っている。これにより、レンズユニットの光学性能が調整される。しかしながら、光軸と直交するとともに互いが直交する2軸方向にレンズを移動させる必要があるので、調芯レンズの調芯が難しいという問題がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、レンズに対する調芯を容易に行うことができるレンズユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のレンズユニットは、光軸に沿った光軸方向に配列された複数のレンズであって、調芯レンズを含む複数のレンズと、前記複数のレンズを内側に収容する第1鏡筒部材と、前記複数のレンズの何れかのレンズ間に設けられた絞りと、前記調芯レンズを径方向外側から保持するとともに、前記第1鏡筒部材に保持されるホルダと、を有し、前記ホルダは、前記第1鏡筒部材に保持される第1保持部材と、前記調芯レンズを保持するとともに、前記第1鏡筒部材の内周面に接しておらず、前記第1保持部材に対して前記光軸回りに回転可能な第2保持部材と、を備え、前記第1鏡筒部材は、前記光軸と直交する方向から見たときに、前記第2保持部材の少なくとも一部と重なる位置に設けられた複数の開口部を備え、前記第2保持部材が前記光軸に対して回転されることによって、前記調芯レンズが調芯されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、調芯レンズを保持する第2保持部材を、第1保持部材に対して、第1鏡筒部材の外側から回転させることが可能である。ここで、第2保持部材に保持された調芯レンズの中心は、光軸に対して偏芯している場合がある。この場合、光軸回りに第2保持部材を回転させると、第2保持部材の角度位置に応じて、調芯レンズの偏芯のズレ量は変化する。したがって、第2保持部材を回転させることによって、調芯レンズの偏芯のズレ量が小さくなるように調芯を行うことができる。よって、光軸と直交するとともに互いが直交する2軸方向に調芯レンズを移動させて調芯レンズの調芯を行う場合と比較して、
本発明のレンズユニットは、調芯レンズの調芯を容易に行うことができる。
【0008】
本発明において、前記調芯レンズは、前記複数のレンズのうち、前記絞りの物体側および前記絞りの像側の何れか一方で隣り合うレンズであることが好ましい。このようにすれば、レンズユニットにおいて最も光学性能に影響を及ぼすレンズを調芯することができる。
【0009】
本発明において、前記ホルダは、前記第1保持部材に対して前記第2保持部材を前記光軸回りに回転可能に支持するガイド部を備えることが好ましい。このようにすれば、第1保持部材に対して第2保持部材を回転させやすい。
【0010】
本発明において、前記ガイド部は、前記第1保持部材および前記第2保持部材の一方側に設けられて径方向内側を向くとともに前記光軸を中心とした円弧状の第1面部と、前記第1保持部材および前記第2保持部材の他方側に設けられて径方向外側を向くとともに前記光軸を中心とした円弧状の第2面部と、を備え、前記第1面部と前記第2面部とは、径方向で対向することが好ましい。
【0011】
本発明において、前記第1面部は、前記第1保持部材および前記第2保持部材の他方側に向かって径方向外側に傾斜し、前記第2面部は、前記第1保持部材および前記第2保持部材の一方側に向かって径方向内側に傾斜することが好ましい。このようにすれば、第1保持部材と第2保持部材との中心位置を一致させやすい。
【0012】
本発明において、前記ホルダは、前記第2保持部材が前記第1保持部材に対して回転した際に、前記第1保持部材に対して前記第2保持部材を前記光軸方向に移動させる調整部を備えるが好ましい。このようにすれば、調芯レンズの調芯を行いつつ、調芯レンズの光軸方向の位置を調整することができる。
【0013】
本発明において、前記調整部は、前記第1保持部および前記第2保持部の一方側に設けられる雌ネジ部と、前記第1保持部および前記第2保持部の他方側に設けられるとともに前記雌ネジ部にねじ込まれる雄ネジ部と、を備えることができる。
【0014】
本発明において、前記調整部は、前記第1保持部および前記第2保持部の一方側に設けられるとともに前記光軸方向に螺旋状に形成されたカム溝と、前記第1保持部および前記第2保持部の他方側に設けられるとともに前記カム溝に挿入されるカムピンと、を備えることができる。
【0015】
本発明において、前記第2保持部材は、外周面に凹部を備えることが好ましい。このようにすれば、開口部から調芯用の治具を差し込んで、第2保持部材を回転させる際、治具の先端を凹部に嵌め込むことができる。これにより、第2保持部材を治具で保持させやすい。
【0016】
本発明において、前記複数のレンズの何れかのレンズ間に設けられた弾性部材を有することが好ましい。このようにすれば、第1鏡筒部材に複数のレンズを組み込んだ後において複数のレンズに光軸方向の力が加わっていた場合であっても、第2保持部材を回転させる際に発生する複数のレンズに加わる光軸方向の力は、弾性部材が光軸方向に圧縮されることによって逃げる。これにより、第2保持部材を回転させやすい。
【0017】
本発明において、前記弾性部材は、前記複数のレンズの何れかのレンズ間のうち、最も軸上面間隔が大きいレンズ間に設けられることが好ましい。このようにすれば、第2保持部材を回転させる際に、弾性部材の圧縮量が変化した場合であっても、レンズユニットの
光学性能に影響が及びにくい。
【0018】
本発明において、前記複数のレンズの物体側に配置される物体側レンズと、前記物体側レンズを内側に収容するとともに、前記第1鏡筒部材を内側で保持する第2鏡筒部材と、を有することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、調芯レンズを保持する第2保持部材を、第1保持部材に対して、第1鏡筒部材の外側から回転させることが可能である。これにより、第2保持部材を回転させることによって、調芯レンズの偏芯のズレ量が小さくなるように調芯を行うことができるので、本発明のレンズユニットは、調芯レンズの調芯を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1のレンズユニットの外観斜視図である。
図2図1のA-A線におけるレンズユニットの断面図である。
図3】レンズユニットの分解斜視図である。
図4】第1鏡筒部材の斜視図である。
図5】実施形態1のホルダの斜視図である。
図6】物体側から見た実施形態1のホルダの分解斜視図である。
図7】像側から見た実施形態1のホルダの分解斜視図である。
図8】実施形態1における第1鏡筒部材とホルダとの関係を示す図である。
図9】実施形態2のホルダの斜視図である。
図10】物体側から見た実施形態2のホルダの分解斜視図である。
図11】実施形態2における第1鏡筒部材とホルダとの関係を示す図である。
図12】実施形態3のホルダの斜視図である。
図13】物体側から見た実施形態3のホルダの分解斜視図である。
図14】実施形態3における第1鏡筒部材とホルダとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明を適用したレンズユニットの実施形態について説明する。
【0022】
図1は、実施形態1のレンズユニットの外観斜視図である。図2は、図1のA-A線におけるレンズユニットの断面図である。図3は、レンズユニットの分解斜視図である。本形態のレンズユニット1は、自動車や監視カメラに搭載される撮像装置に用いられる。
【0023】
(全体構成)
図1に示すように、レンズユニット1は、第1レンズ3と、鏡筒2と、を備える。図2に示すように、レンズユニット1は、第1レンズ3の光軸Xに沿った光軸方向で第1レンズ3の像側X1で鏡筒2に保持された複数のレンズからなるレンズ群11を有する。レンズ群11は、光軸方向を物体側X2から像側X1に向かって第2レンズ4、第3レンズ5、第4レンズ6、第5レンズ7および第6レンズ10を備える。第6レンズ10は、2枚のレンズを接合した接合レンズである。レンズ群11を構成する各レンズ4~10は、第1レンズ3よりも外径寸法が小さい。また、レンズユニット1は、第2レンズ4と第3レンズ5との間に配置された円環状の遮光シート12と、第4レンズ6と第5レンズ7との間に配置された円環状の絞り13と、備える。なお、絞り13は、レンズユニット1の光学系の明るさを規定する上で設定された開口絞りでもある。
【0024】
(レンズ)
第1レンズ3は、樹脂製またはガラス製である。図2に示すように、第1レンズ3は、
物体側X2に凸形状を備えるメニスカスレンズである。第1レンズ3は、像側X1のレンズ面の外周側に、光軸Xと直交する方向に広がる環状の端面3aを備える。第1レンズ3の端面3aの像側X1には、環状の弾性部材15が配置されている。本形態では、弾性部材15は、Oリングである。
【0025】
第2レンズ4は、樹脂製である。第2レンズ4は、レンズ面を備えるレンズ本体部4aと、レンズ本体部4aを囲むフランジ部4bと、を備える。第2レンズ4は、物体側X2に凸形状を備えるメニスカスレンズである。フランジ部4bの物体側X2の端面には、物体側X2に突出する環状突部4cが設けられている。環状突部4cの先端は、第1レンズ3の端面3aに接する。
【0026】
図2に示すように、第3レンズ5は、樹脂製である。第3レンズ5は、レンズ面を備えるレンズ本体部5aと、レンズ本体部5aを囲むフランジ部5bと、を備える。第3レンズ5は、像側X1に凸形状を備えるメニスカスレンズである。
【0027】
図2に示すように、第2レンズ4と第3レンズ5との間には、環状の弾性部材16が配置されている。弾性部材16は、Oリングである。
弾性部材16は、第2レンズ4のフランジ部4bと第3レンズ5のフランジ部5bとの間で、光軸方向に圧縮されている。本形態では、弾性部材16は、遮光シート12を介して第2レンズ4と第3レンズ5との間に位置する。第2レンズ4と第3レンズ5とは、互いは当接しておらず、弾性部材16が圧縮されることによって、第2レンズ4と第3レンズ5とが光軸方向に位置決めされる。よって、第2レンズ4と第3レンズ5との軸上面間隔は、弾性部材16の圧縮量によって規定されている。ここで、第2レンズ4と第3レンズ5との間は、最も軸上面間隔が大きいレンズ間である。
【0028】
第4レンズ6は、樹脂製である。図2に示すように、第4レンズ6は、レンズ面を備えるレンズ本体部6aと、レンズ本体部6aを囲むフランジ部6bと、を備える。レンズ本体部6aは、物体側X2に、物体側X2に突出する湾曲面を備え、像側X1に、像側X1に突出する湾曲面を備える。
【0029】
第5レンズ7(調芯レンズ)は、ガラス製である。図2に示すように、第5レンズ7は、第2レンズ4、第3レンズ5、第4レンズ6よりも外径寸法が小さい。第5レンズ7は、レンズ面を備えるレンズ本体部7aと、レンズ本体部7aを囲むフランジ部7bと、を備える。第5レンズ7は、両凸レンズである。第5レンズ7は、環状のホルダ70に保持された状態で第4レンズ6と第6レンズ10との間に位置する。ここで、絞り13は、第4レンズ6とホルダ70との間に挟まれている。すなわち、第5レンズ7は、絞り13の像側X1で隣り合うレンズである。
【0030】
第6レンズ10は、物体側レンズ8と、物体側レンズ8の像側X1に位置する像側レンズ9と、を備える。物体側レンズ8および像側レンズ9は、いずれも樹脂製である。物体側レンズ8は、レンズ面を備えるレンズ本体部8aと、レンズ本体部8aを囲むフランジ部8bと、を備える。レンズ本体部8aは、物体側X2に、像側X1に湾曲する湾曲面を備え、像側X1に、物体側X2に窪む湾曲面を備える。フランジ部8bの物体側X2の端面81の内周縁部には、物体側X2に突出する環状突部8cが設けられている。環状突部8cの外周面は、物体側X2に向かって傾斜する傾斜面82を備える。ここで、端面81、傾斜面82および環状突部8cの先端面83には、シボ加工が施されている。また、端面81、傾斜面82および環状突部8cの先端面83には、黒墨が塗布されている。
【0031】
像側レンズ9は、レンズ面を備えるレンズ本体部9aと、レンズ本体部9aを囲むフランジ部9bと、を備える。レンズ本体部9aは、物体側X2に、物体側X2に突出する湾
曲面を備え、像側X1に、像側X1に突出する湾曲面を備える。像側レンズ9は、物体側X2に突出する湾曲面が、物体側レンズ8の物体側X2に窪む湾曲面に挿入された状態で、物体側レンズ8に接合されている。像側レンズ9の外径寸法は、物体側レンズ8の外径寸法よりも小さい。したがって、図2に示すように、像側X1から見た場合に、物体側レンズ8のフランジ部8bは、像側レンズ9から外周側に張り出す部分を備える。
【0032】
ここで、第3レンズ5の外径寸法、第4レンズ6の外径寸法、第5レンズ7を保持するホルダ70の外径寸法、および第6レンズ10の外径寸法は、この順番で、僅かに短くなる。
【0033】
(鏡筒)
図2図3に示すように、鏡筒2は、レンズ群11を保持する第1鏡筒部材20と、第1レンズ3を保持する第2鏡筒部材30と、を備える。第1鏡筒部材20は、第2鏡筒部材30の内周側に収容されている。
【0034】
第1鏡筒部材20は、光吸収性を備える非晶性樹脂からなる。第2鏡筒部材30は、光吸収性を備える結晶性樹脂からなる。本形態では、第1鏡筒部材20は、ポリカーボネイト製である。第2鏡筒部材30は、ポリアミド系の樹脂からなる。
【0035】
(第2鏡筒部材)
図2図3に示すように、第2鏡筒部材30は、第1レンズ3を外周側から保持する第1筒部31と、第1鏡筒部材20を外周側から保持する第2筒部32と、第2筒部32の物体側X2の端部に環状の段部33と、第2筒部32の像側X1の端部から内周側から突出した環状の段部34と、を備える。
【0036】
第1筒部31は、物体側X2の端部に、内周側に屈曲して第1レンズ3に物体側X2から当接する当接部35を備える。第2筒部32の物体側X2の内周面36には、周方向の複数個所に径方向内側に突出する突起360が設けられている。本形態では、突起360は、周方向の3か所に、等角度間隔で設けられている。突起360は、第1鏡筒部材20を径方向で位置決めするための位置決め部である。
【0037】
段部33の物体側X2を向く端面33aには、弾性部材15が配置される。弾性部材15は、第1レンズ3の端面3aと端面33aとの間で光軸方向に弾性変形している。段部34は、第1鏡筒部材20に像側X1から当接して第1鏡筒部材20を像側X1から支持する。
【0038】
(第1鏡筒部材)
図4は、第1鏡筒部材20の斜視図である。図2図4に示すように、第1鏡筒部材20は、第2レンズ4を外周側から保持する第1筒部21と、第3レンズ5~第6レンズ10を外周側から保持する第2筒部22と、第2筒部22の物体側X2の端部に環状の段部23と、第2筒部22の像側X1の端部から内周側から突出した環状の段部24と、第2筒部22の像側X1の端部に環状の段部25と、像側レンズ9の外周側を囲う第3筒部26と、を備える。
【0039】
第1筒部21は、物体側X2の端部に、内周側に屈曲して第2レンズ4に物体側X2から当接する当接部27を備える。段部23の物体側X2を向く端面23aには、遮光シート12を介して第2レンズ4が載置される。段部24は、第6レンズ10における物体側レンズ8のフランジ部8bに像側X1から当接して、第3レンズ5~第6レンズ10を像側X1から支持する。
【0040】
段部25は、光軸方向において、段部34に当接する。これにより、第1鏡筒部材20は、光軸方向において、第2鏡筒部材30に位置決めされる。第3筒部26は、第6レンズ10の像側レンズ9に接触していない。第3筒部26は、像側X1の端部に、径方向内側に突出する環状板部28を備える。環状板部28の内周側の端縁は、円形開口280を区画する。環状板部28の像側X1の面には、円形開口280を封鎖するように不図示の撮像素子が固定される。
【0041】
第2筒部22の内周面220は、像側X1に向かって、僅かに、内周側に傾斜する。図4に示すように、第1筒部21の内周面210には、内周面210に沿って光軸方向に延びるリブ211が設けられている。第2筒部22の内周面220には、内周面220に沿って光軸方向に延びるリブ221が設けられている。リブ221は、光軸方向に複数配列されている。リブ211とリブ221とは、光軸Xを中心とした同一の角度位置に配置されている。図2に示すように、リブ211は、レンズ群11が第1鏡筒部材20に収容されたときに、第2レンズ4のフランジ部5bに径方向外側から当接して、第2レンズ4を径方向で位置決めする。各リブ221は、レンズ群11が第1鏡筒部材20に収容されたときに、第3レンズ5のフランジ部5b、第4レンズ6のフランジ部6b、第5レンズ7を保持するホルダ70、および第6レンズ10の物体側レンズ8のフランジ部8bに径方向外側から当接して、第3レンズ5~第6レンズ10を径方向で位置決めする。
【0042】
図2図4に示すように、第2筒部22は、光軸Xと直交する方向から見たときに、ホルダ70の第2保持部材72の少なくとも一部と重なる位置に設けられた複数の開口部29を備える。開口部29は、周方向に延びる貫通した長孔である。本形態では、開口部29は、光軸Xを中心として90°間隔で、第2筒部22に4つ設けられている。
【0043】
(ホルダ)
図5は、実施形態1のホルダ70の斜視図である。図6は、物体側X2から見た実施形態1のホルダ70の分解斜視図である。図7は、像側X1から見た実施形態1のホルダ70の分解斜視図である。図8は、実施形態1における第1鏡筒部材20とホルダ70との関係を示す図である。
【0044】
ホルダ70は、樹脂製である。図5~8に示すように、ホルダ70は、第1鏡筒部材20の第2筒部22に保持される第1保持部材71と、第5レンズ7を保持する第2保持部材72と、ガイド部75と、を備える。
【0045】
第1保持部材71は、環状である。第1保持部材71は、第2筒部22の内周面220に圧入されている。第1保持部材71の像側X1の端面711は、物体側レンズ8の端面81と接している。第1保持部材71は、内周縁部から物体側X2の突出する突出部73を備える。突出部73は、物体側X2に向かって内側に傾斜する。突出部73は、径方向内側を向く内周面731と、径方向外側を向く外周面732(第2面部)と、を備える。内周面731は、光軸Xを中心とした円弧状である。本形態では、内周面731は、環状である。外周面732は、光軸Xを中心とした円弧状である。本形態では、外周面732は、環状である。外周面732は、物体側X2に向かって径方向内側に傾斜する。
【0046】
内周面731は、物体側X2に向かって径方向内側に傾斜する。内周面731は、物体側レンズ8の傾斜面82と同一の傾斜角度であり、傾斜面82と接している。ここで、端面711および内周面731には、シボ加工が施されている。したがって、物体側レンズ8の端面81および傾斜面82にもシボ加工が施されているので、物体側レンズ8と第1保持部材71とが接した際の摩擦抵抗は大きい。
【0047】
第2保持部材72は、環状である。第2保持部材72は、第2筒部22の内周面220
に接しておらず、第1保持部材71に対して光軸X回りに回転可能である。第2保持部材72の中央部分には、第5レンズ7が圧入されている。第2保持部材72の物体側X2の端面721は、絞り13を介して、第4レンズ6のフランジ部6bに当接する。第2保持部材72は、端面721の内周縁部分に像側X1に傾斜する傾斜面722を備える。傾斜面722には、切欠き部723が3つ設けられている。切欠き部723には、第5レンズ7を固定するために接着剤が塗布される。
【0048】
第2保持部材72は、第2保持部材72の像側X1の端面724から像側X1に突出する突出部74を備える。突出部74は、径方向内側を向く内周面741(第1面部)と、像側X1を向く端面742を備える。内周面741と外周面732とは、径方向で対向する。内周面741は、光軸Xを中心とした円弧状である。本形態では、内周面741は、環状である。内周面741は、像側X1に向かって径方向外側に傾斜する。内周面741は、外周面732と同一の傾斜角度である。内周面741と外周面732との間には、僅かに隙間が形成されている。端面742は、第1保持部材71の物体側X2を向く端面712に当接する。
【0049】
第2保持部材72は、外周面720に凹部76を備える。凹部76は、径方向に等間隔で複数設けられている。本形態では、凹部76は、円形の穴である。なお、凹部76は、光軸方向に延びる溝であってもよい。
【0050】
ガイド部75は、第1保持部材71の突出部73と、第2保持部材72の突出部74とで構成されている。ガイド部75は、第1保持部材71に対して第2保持部材72を光軸X回りに回転可能に支持する。ここで、内周面741および外周面732には、鏡面仕上げ施されている。したがって、内周面741と外周面732とが接した際の摩擦抵抗は小さい。また、端面742および端面712には、鏡面仕上げ施されている。したがって、端面742と端面712とが接した際の摩擦抵抗は小さい。これにより、第1保持部材71に対して第2保持部材72を光軸X回りに回転させやすい。
【0051】
図7に示すように、突出部74には、切欠き部77が3つ設けられている。切欠き部77には、第1保持部材71と第2保持部材72とを固定するために接着剤が塗布される。
【0052】
(レンズユニットの組み立て)
レンズユニット1を組み立てる際には、第1鏡筒部材20にレンズ群11を保持させる組立動作を行った後、第1鏡筒部材20を第2鏡筒部材30に保持させる組立動作を行う。
【0053】
先ず、第1鏡筒部材20に第3レンズ5~第6レンズ10を物体側X2から収容して、第6レンズ10を段部24に支持させる。その後、第1鏡筒部材20に弾性部材16と第2レンズ4を収容して、しかる後に、第1鏡筒部材20の物体側X2の端をカシメることにより、当接部27を形成する。これにより、レンズ群11は、第1鏡筒部材20に、光軸方向の両側から保持される。
【0054】
次に、第5レンズ7の調芯を行う。具体的には、第1鏡筒部材20に形成した開口部29から調芯用の治具を差し込んで、第1保持部材71に対して第2保持部材72を光軸X回りに回転させる。調芯用の治具を差し込む際には、治具の先端は、凹部76に嵌め込まれる。
【0055】
第5レンズ7の調芯を行う際には、第2レンズ4の側からモニター光を入射させながら、像側X1でモニター光を検出し、解像度、画角、光量分布等のモニター結果に基づいて、第1保持部材71に対する第2保持部材72の角度位置を調整する。なお、第2保持部
材72が第1保持部材71に対して回転する際に発生するレンズ群11に加わる光軸方向の力は、弾性部材16が光軸方向に圧縮されることによって逃げるので、レンズ群11の光軸方向の保持力は一定に維持される。
【0056】
第5レンズ7の調芯が終了すると、開口部29から、切欠き部77に接着剤が塗布される。これにより、第1保持部材71、第2保持部材72および第1鏡筒部材20の間に接着剤が供給される。この接着剤としては、例えば、光硬化性の接着剤が用いられる。その結果、第1保持部材71、第2保持部材72および第1鏡筒部材20は、径方向外側から開口部29を介して見える位置に設けられた接着剤によって固定され、第1鏡筒部材20が完成する。
【0057】
次に、第2鏡筒部材30の内周面の段部38に接着剤を塗布し、第1鏡筒部材20を第2鏡筒部材30に挿入する。この際、第1鏡筒部材20の段部25を第2鏡筒部材30の段部34に当接させる。
【0058】
次に、弾性部材15を段部33の端面33aに載置する。その後、第1レンズ3を、弾性部材15を介して、段部33の端面33aに支持させる。しかる後に、第2鏡筒部材30の物体側X2の端をカシメることにより、当接部35を形成する。ここで、第1レンズ3が第2鏡筒部材30に保持されると、第1レンズ3の端面3aは、環状突部4cの先端に面接触した状態となる。
【0059】
(作用効果)
本形態のレンズユニット1によれば、第5レンズ7を保持する第2保持部材72を、第1保持部材71に対して、第1鏡筒部材20の外側から回転させることが可能である。これにより、第2保持部材72を回転させることによって、第5レンズ7の偏芯のズレ量が小さくなるように調芯を行うことができる。よって、光軸Xと直交するとともに互いが直交する2軸方向にレンズを移動させてレンズの調芯を行う場合と比較して、本形態のレンズユニットは、第5レンズ7の調芯を容易に行うことができる。
【0060】
第5レンズ7は、複数のレンズのうち、絞り13の物体側X2で隣り合うレンズである。これにより、レンズユニット1において最も光学性能に影響を及ぼすレンズを調芯することができる。
【0061】
ホルダ70は、第1保持部材71に対して第2保持部材72を光軸X回りに回転可能に支持するガイド部75を備える。これにより、第1保持部材71に対して第2保持部材72を回転させやすい。
【0062】
ガイド部75は、第2保持部材72に設けられて径方向内側を向くとともに光軸Xを中心とした円弧状の内周面741と、第1保持部材71に設けられて径方向外側を向くとともに光軸Xを中心とした円弧状の外周面732と、を備える。内周面741と外周面732とは、径方向で対向する。この場合、内周面741は、第1保持部材71に向かって径方向外側に傾斜し、外周面732は、第2保持部材72に向かって径方向内側に傾斜する。これにより、第1保持部材71と第2保持部材72との中心位置を一致させやすい。
【0063】
本形態において、前記第2保持部材は、外周面に凹部76を備える。これにより、開口部29から調芯用の治具を差し込んで、第2保持部材72を回転させる際、治具の先端を凹部76に嵌め込むことができるので、第2保持部材72を治具で保持させやすい。
【0064】
レンズユニット1は、複数のレンズの何れかのレンズ間に設けられた弾性部材16を有する。これにより、第1鏡筒部材20にレンズ群11を組み込んだ後においてレンズ群1
1に光軸方向の力が加わっていた場合であっても、第2保持部材72を回転させる際に発生するレンズ群11に加わる光軸方向の力は、弾性部材16が光軸方向に圧縮されることによって逃げるので、第2保持部材を回転させやすい。
【0065】
弾性部材16は、複数のレンズの何れかのレンズ間のうち、最も軸上面間隔が大きい第2レンズ4と第3レンズ5との間に設けられる。このようにすれば、第2保持部材72を回転させる際に、弾性部材16の圧縮量、すなわち、第2レンズ4と第3レンズ5との軸上面間隔が変化した場合であっても、レンズユニット1の光学性能に影響が及びにくい。
【0066】
(実施形態2)
次に、実施形態2のレンズユニットについて説明する。実施形態2のレンズユニットは、ホルダ70の構成が、実施形態1のレンズユニット1と相違する。よって、実施形態2では、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。図9は、実施形態2のホルダ70の斜視図である。図10は、物体側X2から見た実施形態2のホルダ70の分解斜視図である。図11は、実施形態2における第1鏡筒部材20とホルダ70との関係を示す図である。
【0067】
ホルダ70は、樹脂製である。図9~11に示すように、ホルダ70は、第1鏡筒部材20の第2筒部22に保持される第1保持部材71と、第5レンズ7を保持する第2保持部材72と、ガイド部75と、調整部78と、を備える。
【0068】
第1保持部材71は、環状である。第1保持部材71は、第2筒部22の内周面220に圧入されている。第1保持部材71の像側X1の端面711は、物体側レンズ8の端面81と接している。ここで、物体側レンズ8において、レンズ本体部8aの端面85、レンズ本体部8aの外周面86およびフランジ部8bの端面81には、には、黒墨が塗布されている。
【0069】
第1保持部材71は、径方向内側を向く内周面751(第1面部)を備える。内周面751は、光軸Xを中心とした円弧状である。本形態では、内周面751は、環状である。内周面751には、雌ネジ部781が設けられている。
【0070】
第2保持部材72は、環状である。第2保持部材72は、第2筒部22の内周面220に接しておらず、第1保持部材71に対して光軸X回りに回転可能である。第2保持部材72は、環状の本体部725と、本体部725の像側X1から突出する筒部726と、を備える。本体部725の中央部分には、第5レンズ7が圧入されている。筒部726の外径寸法は、本体部725より小さい。筒部726は、第1保持部材71の内部に挿入される。筒部726は、径方向外側を向く外周面752(第2面部)を備える。内周面751と外周面752とは、径方向で対向する。外周面752は、光軸Xを中心とした円弧状である。本形態では、外周面752は、環状である。外周面752には、雄ネジ部782が設けられている。雄ネジ部782は、雌ネジ部781にねじ込まれる。
【0071】
第2保持部材72の物体側X2の端面721は、絞り13を介して、第4レンズ6のフランジ部6bに当接する。第2保持部材72は、端面721の内周縁部分に像側X1に傾斜する傾斜面722を備える。傾斜面722には、第5レンズ7を固定するために接着剤が塗布される。
【0072】
ガイド部75は、第1保持部材71の内周面751と、第2保持部材72の外周面752とで構成されている。ガイド部75は、第1保持部材71に対して第2保持部材72を光軸X回りに回転可能に支持する。調整部78は、雌ネジ部781と、雄ネジ部782とで構成される。これにより、調整部78は、第2保持部材72が第1保持部材71に対し
て回転した際に、第2保持部材72を光軸方向に移動させる。
【0073】
レンズユニット1を組み立てる際に、第5レンズ7の調芯および第1鏡筒部材20のピント調整が同時に行われる。これらの調整を行う場合には、実施形態1と同様に、第1鏡筒部材20に形成した開口部29から調芯用の治具を差し込んで、第1保持部材71に対して第2保持部材72を光軸X回りに回転させる。
【0074】
第5レンズ7の調芯および第1鏡筒部材20のピント調整を行う際には、第2レンズ4の側からモニター光を入射させながら、像側X1でモニター光を検出し、解像度、画角、光量分布等のモニター結果に基づいて、第1保持部材71に対する第2保持部材72の角度位置を調整する。
【0075】
第5レンズ7の調芯および第1鏡筒部材20のピント調整が終了すると、開口部29から、第1保持部材71と第2保持部材72との隙間Sに接着剤が塗布される。これにより、第1保持部材71、第2保持部材72および第1鏡筒部材20の間に接着剤が供給される。第1保持部材71、第2保持部材72および第1鏡筒部材20が接着剤によって固定され、第1鏡筒部材20が完成する。
【0076】
(作用効果)
ホルダ70は、第2保持部材72が第1保持部材71に対して回転した際に、第1保持部材71に対して第2保持部材72を光軸方向に移動させる調整部78を備える。この場合、調整部78は、第1保持部材71に設けられる雌ネジ部781と、第2保持部材72に設けられるとともに雌ネジ部781にねじ込まれる雄ネジ部782と、を備える。これにより、第5レンズ7の調芯を行いつつ、第5レンズ7の光軸方向の位置を調整することができる。
【0077】
(実施形態3)
次に、実施形態3のレンズユニットについて説明する。実施形態3のレンズユニットは、ホルダ70の構成が、実施形態1のレンズユニット1と相違する。よって、実施形態3では、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。図12は、実施形態3のホルダ70の斜視図である。図13は、物体側X2から見た実施形態3のホルダ70の分解斜視図である。図14は、実施形態3における第1鏡筒部材20とホルダ70との関係を示す図である。
【0078】
ホルダ70は、樹脂製である。図12~13に示すように、ホルダ70は、第1鏡筒部材20の第2筒部22に保持される第1保持部材71と、第5レンズ7を保持する第2保持部材72と、ガイド部75と、調整部78と、を備える。
【0079】
第1保持部材71は、環状である。第1保持部材71は、第2筒部22の内周面220に圧入されている。第1保持部材71の像側X1の端面711は、物体側レンズ8の端面81と接している。ここで、物体側レンズ8において、レンズ本体部8aの端面85、レンズ本体部8aの外周面86およびフランジ部8bの端面81には、黒墨が塗布されている。
【0080】
第1保持部材71は、径方向内側を向く内周面751(第1面部)と、光軸方向に螺旋状に形成されたカム溝783と、を備える。内周面751は、光軸Xを中心とした円弧状である。本形態では、内周面751は、環状である。カム溝783は、第1保持部材71の物体側X2の端部から像側X1に、螺旋状に切り欠かれた溝である。
【0081】
第2保持部材72は、環状である。第2保持部材72は、第2筒部22の内周面220
に接しておらず、第1保持部材71に対して光軸X回りに回転可能である。第2保持部材72は、環状の本体部725と、本体部725の像側X1から突出する筒部726と、を備える。本体部725の中央部分には、第5レンズ7が圧入されている。筒部726の外径寸法は、本体部725より小さい。筒部726は、第1保持部材71の内部に挿入される。筒部726は、径方向外側を向く外周面752(第2面部)と、径方向外側に突出したカムピン784と、を備える。内周面751と外周面752とは、径方向で対向する。外周面752は、光軸Xを中心とした円弧状である。本形態では、外周面752は、環状である。カムピン784は、カム溝783に挿入される。
【0082】
第2保持部材72の物体側X2の端面721は、絞り13を介して、第4レンズ6のフランジ部6bに当接する。第2保持部材72は、端面721の内周縁部分に像側X1に傾斜する傾斜面722を備える。傾斜面722には、第5レンズ7を固定するために接着剤が塗布される。
【0083】
ガイド部75は、第1保持部材71の内周面751と、第2保持部材72の外周面752とで構成されている。ガイド部75は、第1保持部材71に対して第2保持部材72を光軸X回りに回転可能に支持する。調整部78は、カム溝783と、カムピン784とで構成される。これにより、調整部78は、第2保持部材72が第1保持部材71に対して回転した際に、カムピン784が、カム溝783に沿って移動することにより、第1保持部材71に対して第2保持部材72を光軸方向に移動させる。
【0084】
レンズユニット1を組み立てる際に、実施形態2と同様に、第1保持部材71に対する第2保持部材72の角度位置を調整する。第5レンズ7の調芯および第1鏡筒部材20のピント調整が終了すると、開口部29から、第1保持部材71と第2保持部材72との隙間Sに接着剤が塗布される。これにより、第1保持部材71、第2保持部材72および第1鏡筒部材20の間に接着剤が供給される。第1保持部材71、第2保持部材72および第1鏡筒部材20が接着剤によって固定され、第1鏡筒部材20が完成する。
【0085】
(作用効果)
ホルダ70は、第2保持部材72が第1保持部材71に対して回転した際に、第1保持部材71に対して第2保持部材72を光軸方向に移動させる調整部78を備える。この場合、調整部78は、第1保持部材71に設けられるとともに光軸方向に螺旋状に形成されたカム溝783と、第2保持部材72に設けられるとともにカム溝783に挿入されるカムピン784と、を備える。これにより、第5レンズ7の調芯を行いつつ、第5レンズ7の光軸方向の位置を調整することができる。
【0086】
(他の実施形態)
実施形態1では、ホルダ70は、ガイド部75を備えていたが、他の実施形態では、ホルダ70は、ガイド部75を備えていなくてもよい。この場合、第2保持部材72が、第1保持部材71に対して光軸X回りに回転可能であればよい。
【0087】
実施形態1では、内周面741(第1面部)および外周面732(第2面部)は、傾斜面であったが、これに限定されない。例えば、他の実施形態では、内周面741(第1面部)および外周面732(第2面部)は、光軸方向に延びる面であってもよい。
【0088】
実施形態1では、ガイド部75は、第1保持部材71の突出部73と、第2保持部材72の突出部74とで構成されていたが、これに限定されない。例えば、他の実施形態では、ガイド部は、第1保持部材71および第2保持部材72の一方側に設けられた突出部と、第1保持部材71および第2保持部材72の他方側に設けられ、突出部が嵌る凹部とで構成されてもよい。この場合、突出部および凹部の一方側に第1面部が設けられ、突出部
および凹部の他方側に第2面部が設けられる。
【0089】
実施形態3では、カム溝783およびカムピン784は、それぞれ、1つ配置されていたが、他の実勢形態では、カム溝783およびカムピン784は、それぞれ、複数配置されていてもよい。例えば、カム溝783およびカムピン784が、それぞれ、等間隔で3つ設けられた場合には、カム溝783およびカムピン784は、90°間隔で4つ設けられた開口部29から外側に露出する状態となる。このようにすれば、開口部29からカム溝783およびカムピン784の位置を確認することができるので、開口部29からカム溝783およびカムピン784に接着剤を塗布しやすい。
【0090】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
【0091】
(1)
光軸に沿った光軸方向に配列された複数のレンズであって、調芯レンズを含む複数のレンズと、
前記複数のレンズを内側に収容する第1鏡筒部材と、
前記複数のレンズの何れかのレンズ間に設けられた絞りと、
前記調芯レンズを径方向外側から保持するとともに、前記第1鏡筒部材に保持されるホルダと、
を有し、
前記ホルダは、
前記第1鏡筒部材に保持される第1保持部材と、
前記調芯レンズを保持するとともに、前記第1鏡筒部材の内周面に接しておらず、前記第1保持部材に対して前記光軸回りに回転可能な第2保持部材と、
を備え、
前記第1鏡筒部材は、前記光軸と直交する方向から見たときに、前記第2保持部材の少なくとも一部と重なる位置に設けられた複数の開口部を備え、
前記第2保持部材が前記光軸に対して回転されることによって、前記調芯レンズが調芯されることを特徴とするレンズユニット。
【0092】
(2)
前記調芯レンズは、前記複数のレンズのうち、前記絞りの物体側および前記絞りの像側の何れか一方で隣り合うレンズであることを特徴とする(1)に記載のレンズユニット。
【0093】
(3)
前記ホルダは、前記第1保持部材に対して前記第2保持部材を前記光軸回りに回転可能に支持するガイド部を備えることを特徴とする(1)または(2)に記載のレンズユニット。
【0094】
(4)
前記ガイド部は、前記第1保持部材および前記第2保持部材の一方側に設けられて径方向内側を向くとともに前記光軸を中心とした円弧状の第1面部と、前記第1保持部材および前記第2保持部材の他方側に設けられて径方向外側を向くとともに前記光軸を中心とした円弧状の第2面部と、を備え、
前記第1面部と前記第2面部とは、径方向で対向することを特徴とする(3)に記載のレンズユニット。
【0095】
(5)
前記第1面部は、前記第1保持部材および前記第2保持部材の他方側に向かって径方向外側に傾斜し、
前記第2面部は、前記第1保持部材および前記第2保持部材の一方側に向かって径方向内側に傾斜することを特徴とする(4)に記載のレンズユニット。
【0096】
(6)
前記ホルダは、前記第2保持部材が前記第1保持部材に対して回転した際に、前記第1保持部材に対して前記第2保持部材を前記光軸方向に移動させる調整部を備えることを特徴とする(3)から(5)のうち何れか一項に記載のレンズユニット。
【0097】
(7)
前記調整部は、前記第1保持部および前記第2保持部の一方側に設けられる雌ネジ部と、前記第1保持部および前記第2保持部の他方側に設けられるとともに前記雌ネジ部にねじ込まれる雄ネジ部と、を備えることを特徴とする(6)に記載のレンズユニット。
【0098】
(8)
前記調整部は、前記第1保持部および前記第2保持部の一方側に設けられるとともに前記光軸方向に螺旋状に形成されたカム溝と、前記第1保持部および前記第2保持部の他方側に設けられるとともに前記カム溝に挿入されるカムピンと、を備えることを特徴とする(6)に記載のレンズユニット。
【0099】
(9)
前記第2保持部材は、外周面に凹部を備えることを特徴とする(1)から(8)のうち何れか一項に記載のレンズユニット。
【0100】
(10)
前記複数のレンズの何れかのレンズ間に設けられた弾性部材を有することを特徴とする(1)から(9)のうち何れか一項に記載のレンズユニット。
【0101】
(11)
前記弾性部材は、前記複数のレンズの何れかのレンズ間のうち、最も軸上面間隔が大きいレンズ間に設けられることを特徴とする(10)に記載のレンズユニット。
【0102】
(12)
前記複数のレンズの物体側に配置される物体側レンズと、前記物体側レンズを内側に収容するとともに、前記第1鏡筒部材を内側で保持する第2鏡筒部材と、を有することを特徴とする(1)から(11)のうち何れか一項に記載のレンズユニット。
【符号の説明】
【0103】
1…レンズユニット、2…鏡筒、3…第1レンズ、3a…端面、4…第2レンズ、4a…レンズ本体部、4b…フランジ部、4c…環状突部、5…第3レンズ、5a…レンズ本体部、5b…フランジ部、6…第4レンズ、6a…レンズ本体部、6b…フランジ部、7…第5レンズ(調芯レンズ)、7a…レンズ本体部、7b…フランジ部、8…物体側レンズ、8a…レンズ本体部、8b…フランジ部、8c…環状突部、9…像側レンズ、9a…レンズ本体部、9b…フランジ部、10…第6レンズ、11…レンズ群、12…遮光シート、15…弾性部材、16…弾性部材、20…第1鏡筒部材、21…第1筒部、22…第2筒部、23…段部、23a…端面、24…段部、25…段部、26…第3筒部、27…当接部、28…環状板部、29…開口部、30…第2鏡筒部材、31…第1筒部、32…第2筒部、33…段部、33a…端面、34…段部、35…当接部、36…内周面、38…段部、70…ホルダ、71…第1保持部材、72…第2保持部材、73…突出部、74…突出部、75…ガイド部、76…凹部、77…切欠き部、78…調整部、81…端面、82…傾斜面、83…先端面、85…端面、86…外周面、210…内周面、211…リブ
、220…内周面、221…リブ、280…円形開口、360…突起、711…端面、712…端面、720…外周面、721…端面、722…傾斜面、723…切欠き部、724…端面、725…本体部、726…筒部、731…内周面、732…外周面、741…内周面、742…端面、751…内周面、752…外周面、781…雌ネジ部、782…雄ネジ部、783…カム溝、784…カムピン、S…隙間、X…光軸、X1…像側、X2…物体側。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14