(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020866
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】振動呈示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20250205BHJP
B06B 1/04 20060101ALI20250205BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
G06F3/01 560
B06B1/04 S
G06F3/041 480
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124489
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石谷 智也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】坂口 和隆
【テーマコード(参考)】
5D107
5E555
【Fターム(参考)】
5D107AA12
5D107BB08
5D107CC09
5D107FF10
5E555AA08
5E555AA78
5E555BA08
5E555BA23
5E555BB08
5E555BB23
5E555BC14
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】組立性や、実装後のキャリブレーション等にかかるコストを低減することが可能な振動呈示装置を提供する。
【解決手段】支持部と、支持部に支持され、振動アクチュエータが実装された被支持部と、ひずみゲージが配置されたゲージプレートと、板バネ部を有する連結部材と、を備え、被支持部は、ゲージプレートおよび連結部材を介して前記支持部に支持される。例えば、ゲージプレートは、ゲージプレートを被支持部に固定するための被支持部固定用の穴、および、ゲージプレートを板バネ部に固定するための板バネ部固定用の穴を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部と、
振動アクチュエータが実装された被支持部と、
ひずみゲージが配置されたゲージプレートと、
板バネ部を有する連結部材と、
を備え、
前記被支持部は、前記ゲージプレートおよび前記連結部材を介して前記支持部に支持される、
振動呈示装置。
【請求項2】
前記ゲージプレートは、前記ゲージプレートを前記被支持部に固定するための被支持部固定用の穴、および、前記ゲージプレートを前記板バネ部に固定するための板バネ部固定用の穴を有する、
請求項1に記載の振動呈示装置。
【請求項3】
前記被支持部は、操作パネルを有し、
前記振動アクチュエータは、前記操作パネルの押込み操作方向に対し直交する方向に振動する、
請求項1に記載の振動呈示装置。
【請求項4】
前記ひずみゲージは、前記操作パネルが押込み操作された場合における前記ゲージプレートのひずみを検出する、
請求項3に記載の振動呈示装置。
【請求項5】
前記板バネ部は、前記操作パネルを前記押込み操作方向に弾性的に支持可能な第1弾性支持部と、前記操作パネルを前記振動アクチュエータのアクチュエータ振動方向に弾性的に支持可能な第2弾性支持部と、を有する、
請求項3に記載の振動呈示装置。
【請求項6】
前記第1弾性支持部は、前記押込み操作方向に対面する平板面における外形形状が直角に曲げられた第1直角曲げ部を有し、
前記第2弾性支持部は、前記アクチュエータ振動方向に対面する平板面における外形形状が直角に曲げられた第2直角曲げ部を有する、
請求項5に記載の振動呈示装置。
【請求項7】
前記第1直角曲げ部における外形形状は、一または複数のL字形状であり、
前記第2直角曲げ部における外形形状は、一または複数のL字形状である、
請求項6に記載の振動呈示装置。
【請求項8】
前記支持部と前記被支持部とは、前記被支持部が前記押込み操作方向および前記アクチュエータ振動方向のそれぞれの方向に減衰する減衰機構として機能するように、前記支持部と前記被支持部との間に与圧がかかった状態で組付けられる、
請求項5に記載の振動呈示装置。
【請求項9】
前記被支持部と前記支持部とが互いに固定される固定点は3以上であり、
前記3以上の固定点の中の少なくとも2つの固定点が同一の直線上に配置される場合、前記3以上の固定点の中の少なくとも1以上の固定点は、同一の直線の外に配置される、
請求項1に記載の振動呈示装置。
【請求項10】
前記振動アクチュエータは、固定体と、前記固定体に移動自在に支持される可動体と、を有し、
前記支持部、前記被支持部、および、前記固定体のそれぞれを含む振動系を第1振動系とし、
前記被支持部、前記固定体、および、前記可動体のそれぞれを含む振動系を第2振動系とした場合、
前記第1振動系の共振周波数は第2振動系の共振周波数よりも高い、
請求項1に記載の振動呈示装置。
【請求項11】
前記第1振動系の共振周波数は、80[Hz]以上、300[Hz]以下である、
請求項10に記載の振動呈示装置。
【請求項12】
前記第2振動系の共振周波数は、50[Hz]以上、80[Hz]未満である、
請求項10に記載の振動呈示装置。
【請求項13】
前記振動アクチュエータの周波数特性は、所定範囲内で変更可能に構成され、前記第2振動系の共振周波数に基づいて定められる、
請求項10に記載の振動呈示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動呈示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作パネルに加わる荷重の検出結果に基づいて操作パネルを振動させる振動フィードバック機能付きのタッチパネルが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、電極と、前記電極と対向するセンサ用弾性体部と、操作パネルに加わる荷重を検出する検出部と、アクチュエータの動作により発生する振動を操作パネルに伝達する振動用弾性体部と、を備え、センサ用弾性体部は、操作パネルに加わる荷重により振動用弾性体が押下されることで電極から離隔するように配置され、検出部は、電極からのセンサ用弾性体部の離隔に伴う電極とセンサ用弾性体部との間の静電容量の変化を検出し、当該静電容量の変化の大きさに基づいて操作パネルに加わる荷重の大きさを検出する、タッチパネルが開示されている。
【0004】
なお、部材に加わる荷重の大きさを検出する方法としては、例えば、強磁性材により構成された部材と、部材内の磁束に漏れ磁束を発生させる励磁コイルと、発生させた漏れ磁束を検出する検出コイルとを備え、検出された漏れ磁束に基づいて、荷重の大きさを検出する荷重検出方法が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-149879号公報
【特許文献2】特開平02-145934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に係るタッチパネルでは、操作パネルに加わる荷重を静電容量の変化として検出している。その静電容量の変化は、可動側の振動用弾性体と固定側の電極との間の距離に依存している。これにより、高い組立性や、実装後のキャリブレーション等によりコストを低減することが困難になるという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に係る荷重検出方法を用いて、操作パネルに加わる荷重を漏れ磁束の変化として検出する場合においても、漏れ磁束の変化は、励磁コイルと検出コイルとの間の距離に依存している。これにより、特許文献1に係るタッチパネルと同様に、高い組立性や、実装後のキャリブレーション等によりコストを低減することが困難になるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、組立性や、実装後のキャリブレーション等にかかるコストを低減することが可能な振動呈示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の振動呈示装置は、
支持部と、
振動アクチュエータが実装された被支持部と、
ひずみゲージが配置されたゲージプレートと、
板バネ部を有する連結部材と、
を備え、
前記被支持部は、前記ゲージプレートおよび前記連結部材を介して前記支持部に支持される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、組立性や、実装後のキャリブレーション等にかかるコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態における振動呈示装置の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態における振動呈示装置の正面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態における操作パネルとパネルベースが取り外された振動呈示装置の正面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態における振動呈示装置の側面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態におけるパネルベースの正面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態における振動呈示装置の斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態における支持部と被支持部との間の内部に配置される振動アクチュエータ等を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態におけるケースとその内部の駆動ユニットとを分解した状態を示す振動アクチュエータの分解斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態における振動アクチュエータの縦断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施の形態におけるコイル保持部からコイルを外した状態を示すコイル組立体の斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施の形態における弾性支持部が取り付けられる可動体の分解斜視図である。
【
図13】
図13は、シミュレーションにより取得された第1振動系の共振周波数と第2振動系の共振周波数との関係の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施の形態における被支持部と支持部との固定点を示す図である。
【
図15】
図15は、変形例における被支持部と支持部との固定点を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施の形態に係るゲージプレートの正面を斜め上方から見た場合の斜視図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施の形態に係る連結部材およびゲージプレートの組立図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施の形態に係るゲージプレートの背面を斜め上方から見た場合の斜視図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施の形態に係る連結部材の正面を斜め上方から見た場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態における振動呈示装置の分解斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態における振動呈示装置の正面図である。
図3は、本発明の実施の形態における操作パネルとパネルベースが取り外された振動呈示装置の正面図である。
図4は、本発明の実施の形態における振動呈示装置の側面図である。
図5は、本発明の実施の形態におけるパネルベースの正面図である。
図6は、本発明の実施の形態における振動呈示装置の斜視図である。
【0014】
図2には、X軸、Y軸およびZ軸が描かれている。
図2において、左右方向をX方向といい、右方向を右側または「+X方向」、左方向を左側または「-X方向」という。また、
図2において、上下方向をY方向といい、上方向を上側または「+Y方向」といい、下方向を下側または「-Y方向」という。また、
図2における紙面の奥行き方向をZ方向といい、手前方向を正面側または「+Z方向」といい、奥方向を背面側または「-Z方向」という。
【0015】
<振動呈示装置の全体構成>
本発明の実施の形態に係る振動呈示装置1Aは、例えば、車両の室内に配置されるセンターコンソールや、操作者によって種々の機器を操作するためのリモートコントローラとして使用される。なお、本発明の実施の形態に係る振動呈示装置1Aが適用される対象は、上記に限定されず種々の対象に適用される。
図1から
図6に示す振動呈示装置1Aは、操作パネル101および振動アクチュエータ1を有し、操作パネル101に対して正面側(+Z方向)から背面側(-Z方向)への押込み操作が行われた場合、操作パネル101を左右方向(X方向)に振動させる振動フィードバック機能を備えている。
【0016】
振動呈示装置1Aは、支持部1Bと、被支持部1Cと、ダンパー270と、ゲージプレート310と、連結部材350と、を有している。支持部1Bは、固定治具210と、固定プレート230と、保護カバー250と、を有している。被支持部1Cは、上記の操作パネル101と、パネルベース104と、上記の振動アクチュエータ1とを有している。
【0017】
(操作パネル101)
操作パネル101は、ポリカーボネート材などにより成形され、左右方向(X方向)を長手方向とし、上下方向(Y方向)を短手方向とする矩形状の外形形状を有し、正面側(+Z方向)に面する正面102、および、背面側(-Z方向)に面する背面103を有している。
【0018】
正面102は、ユーザによる押込み操作が行われる操作面である。背面103には、操作パネル101と平行に回路基板(不図示)が設けられている。回路基板には、操作パネル101に画像を表示させるための表示制御回路などが配置されている。また、背面103には、パネルベース104が配置されている。
【0019】
(パネルベース104)
パネルベース104は、操作パネル101を背面103において支持している。パネルベース104は、ポリカーボネートや、アルミニウムや、樹脂材などにより成形される、所定の板厚を有する平板状の部材であって、操作パネル101の外形形状に対応するように矩形状の外形形状を有し、正面側(+Z方向)に面する表面105、および、背面側(-Z方向)に面する裏面106を有している。パネルベース104は、なお、左右方向(X方向)における中心線を軸として線対称となる位置を「左右対称」という場合がある。
【0020】
パネルベース104は、穴107,108,109を有している。穴107は、操作パネル101を支持するための支持用の穴であって、パネルベース104の矩形状の外形形状における4つの角部のそれぞれに配置されている。穴108は、振動アクチュエータ1を固定するための固定用の穴であって、パネルベース104の矩形状の外形形状において左右対称に上下2つずつ配置されている。穴109は、パネルベース104とゲージプレート310とを固定するための固定用の穴であって、パネルベース104の矩形状の外形形状において左右対称に1つずつ配置されている。
パネルベース104は、操作パネル101と共に被支持部1Cを構成するため、被支持部1Cの重量を調整する部材として用いることが可能である。また、パネルベース104は、操作パネル101を背面103において支持しているため、操作パネルの剛性を上げることが可能となる。また、パネルベース104は、
図7に示すように、その裏面106にブラケット2を介して振動アクチュエータ1を固定する固定部としての役割を有している。さらに、パネルベース104は、ゲージプレート310を固定する固定部としての役割も有している。
【0021】
(振動アクチュエータ1)
図7は、本発明の実施の形態における支持部と被支持部との間の内部に配置される振動アクチュエータ等を示す斜視図である。
図8は、
図2の
図A-A線断面図である。
図9は、本発明の実施の形態におけるケースとその内部の駆動ユニットとを分解した状態を示す振動アクチュエータの分解斜視図である。
図10は、本発明の実施の形態における振動アクチュエータの縦断面図である。
図11は、本発明の実施の形態におけるコイル保持部からコイルを外した状態を示すコイル組立体の斜視図である。
図12は、本発明の実施の形態における弾性支持部が取り付けられる可動体の分解斜視図である。
【0022】
振動アクチュエータ1は、駆動することにより振動して、操作パネル101の押込み操作を行ったユーザに対して操作感を与えるものである。振動アクチュエータ1の振動方向を
図9に上下方向で示す。なお、
図9に示す上下方向を「軸方向」という場合がある。振動アクチュエータ1は、軸方向を
図2に示す左右方向(X方向)にしてパネルベース104の裏面106に実装される。振動アクチュエータ1の実装には、ブラケット2および穴108(
図1を参照)が用いられている。
【0023】
振動アクチュエータ1は、
図9に示すように、駆動ユニット15を有する。駆動ユニット15は、可動体20(
図12を参照)と、固定体40と、弾性支持部81,82と、を有する。
【0024】
<可動体20>
可動体20は、固定体の筒状のコイル保持部の内側に周方向で間隔を空けて配置される。可動体20は、柱状であり、コイル保持部42の内周面に沿って、軸方向に往復移動可能に支持される。可動体20は、軸方向(振動方向)で離間する両端部(上下端部)で弾性支持部の内周部に接続されている。可動体20は、マグネット21と、一対のヨーク23,25と、一対の錘部27,29と、一対の接続部31,33と、を有する。マグネット21は、可動体20の中心(振動方向の中央部)に配置されている。一対のヨーク23,25、一対の錘部27,29、一対の接続部31,33のそれぞれは、マグネット21を中心に対称に配置されている。
【0025】
マグネット21は、振動方向に着磁された中実の柱状のものである。マグネット21における振動方向で離間する表面および裏面のそれぞれの極性は、互いに異なる。マグネット21は、コイル61,62の内側であって、コイル61,62の軸の延在方向に2つの着磁面のそれぞれを向けて配置される。
【0026】
一対のヨーク23,25のそれぞれは磁性体である。ヨーク23は、マグネット21の表面に固定されている。ヨーク25は、マグネット21の裏面に固定されている。
【0027】
錘部27,29は、非磁性体で構成されている。錘部27はヨーク23に積層されている。錘部29はヨーク25に積層されている。
【0028】
接続部31は、
図10および
図12に示すように、ヨーク23、錘部27および弾性支持部81を接続する。接続部33は、ヨーク25、錘部29および弾性支持部82を接続する。なお、弾性支持部81には、弾性支持部81において発生する振動を減衰する減衰手段としてのダンパー(不図示)が取り付けられている。また、弾性支持部82には、弾性支持部82において発生する振動を減衰する減衰手段としてのダンパー(不図示)が取り付けられている。
【0029】
<固定体40>
固定体40は、弾性支持部81,82を介して可動体20の軸方向(振動方向であり、コイル軸方向でもある)に移動自在に支持する。固定体40は、ケース10と、コイル保持部42と、一対のコイル61,62と、アウターヨーク50と、を有する。
【0030】
ケース10は、有底筒状のケース本体11と、蓋体12とを含む、中空の円柱体である。
【0031】
コイル保持部42は、
図11に示すように、筒状本体部422と、フランジ部426,427,428とを有する。筒状本体部422は、ベークライト等のフェノール樹脂を含む素材により筒状体に形成されている。フランジ部426,427,428のそれぞれは筒状本体部422の外周面から放射方向に突出する。フランジ部426,427,428のそれぞれは、軸方向で相互に離間するように配置されている。フランジ部426は、筒状本体部422における軸方向中央部の位置に配置され、フランジ部427は、筒状本体部422における軸方向一端部の位置に配置され、フランジ部428は、筒状本体部422における軸方向他端部の位置に配置されている。
【0032】
コイル61は、フランジ部426,427間に巻き回されている。コイル62は、フランジ部426,428間に巻き回されている。コイル61,62のそれぞれと、外部機器(例えば、電源供給部)とは、外部機器からコイル61,62のそれぞれに電力供給可能なように接続される。コイル61,62のそれぞれは、振動アクチュエータ1において、軸方向(マグネット21の着磁方向)を振動方向として、マグネット21、ヨーク23,25とともに、駆動源の発生に用いられる磁気回路を構成する。
【0033】
アウターヨーク50は、
図10に示すように、筒状の磁性体であって、コイル保持部42の外周面を囲み、コイル61,62を径方向の外側で覆う位置に配置される。アウターヨーク50は、コイル61,62とともに固定体側の磁気回路を構成し可動体側の磁気回路、つまり、マグネット21、ヨーク23,25とともに磁気回路を構成する。アウターヨーク50は、磁気回路における振動アクチュエータ1の外部への漏れ磁束を防止する。
【0034】
以上に、振動アクチュエータ1の主な構成について説明した。次に、振動アクチュエータ1の駆動による振動で、振動呈示装置1Aがどのように共振するかについて説明する。振動提示装置1Aにおける共振は、振動提示装置1Aが有する振動系の構成する構成部品や、それらの構成部品を弾性的に支持する弾性支持部や、振動を減衰させる減衰手段などによって異なる共振となる。ここで、保護カバー250、固定プレート230、固定治具210、および、加振対象(操作パネル101、パネルベース104、振動アクチュエータ1の固定体40)を含む振動系を「第1振動系」という。また、上記の加振対象および振動アクチュエータ1の可動体20を含む振動系を「第2振動系」という。
【0035】
第1振動系の共振周波数および第2振動系の共振周波数は、シミュレーションや実験により取得することが可能である。
図13は、シミュレーションにより取得された第1振動系の共振周波数と第2振動系の共振周波数との関係の一例を示す図である。
図13の横軸に周波数[Hz]、縦軸に加速度[G]を示す。なお、加速度の方向は左右方向(X方向)であり、Gは約9.8[m/s
2]である。
図13に、第2振動系が共振したときの共振周波数f
2および加速度を最初のピークの位置で示す。また、第1振動系が共振したときの共振周波数f
1および加速度を次のピークの位置で示す。
図13に示すように、第1振動系の共振周波数f
1は第2振動系の共振周波数f
2よりも高い(f
1>f
2)。換言すれば、第2振動系の共振周波数f
2は、第1振動系の共振周波数f
1よりも低い。
【0036】
上述するように、振動提示装置1Aにおける共振はその構成部品、弾性支持部および減衰手段などによって異なるため、第1振動系の共振周波数f1および共振周波数f2のそれぞれは、一定範囲がある。具体的には、第1振動系の共振周波数f1は、80[Hz]以上、300[Hz]以下に設定される。共振周波数f1の設定理由は、人間の感覚器は、80[Hz]から300[Hz]の周波数帯の振動を比較的容易に感知することができるためである。
【0037】
また、第2振動系の共振周波数f2は、50[Hz]以上、80[Hz]未満に設定される。50[Hz]以上に設定する理由は、車両に搭載された振動呈示装置1Aが、車両の走行中のロードノイズ(50[Hz]未満)の影響を受けないようにするためである。80[Hz]未満に設定する理由は、第2振動系の共振周波数f2は、上記シミュレーションの結果により、第1振動系の共振周波数f1よりも低く設定する必要があるためである。
【0038】
本実施の形態では、振動アクチュエータ1の周波数特性は、所定範囲内で変更可能に構成されている。例えば、外部機器(例えば、不図示の制御部)は、上記シミュレーションの結果により取得された共振周波数f2に基づいて、振動アクチュエータ1の周波数特性を設定される。
【0039】
<弾性支持部81,82>
弾性支持部81,82は、
図10および
図12に示すように、可動体20を固定体40に対して振動方向に往復動自在に支持する。弾性支持部81,82は、可動体20の振動方向で可動体20を挟み、かつ、可動体20と固定体40との双方に振動方向と交差するように架設されている。
【0040】
(固定治具210)
次に、支持部1Bについて
図1から
図6および
図8を参照して説明する。上述するように、支持部1Bは、固定治具210と、固定プレート230と、保護カバー250と、を有している。固定治具210は、台211とアングル部材213とを有している。台211は、所定の板厚を有する平板状の部材であって、左右方向(X方向)を長手方向とし、奥行方向(Z方向)を短手方向とする矩形状の外形形状を有し、上側(+Y方向)に面する上面215、および、下側(-Y方向)に面する下面217を有している。
【0041】
アングル部材213は、上面215において左右対称に配置されている。アングル部材213は、所定の板厚を有し、右側から見た右側面視でL字形状を有している。アングル部材213は、上面215における奥行方向(Z方向)で中央部の位置から上方向(+Y方向)に延ばされた上方向延在部218と、上面215における奥行方向(Z方向)で中央部の位置から上面215に沿うように奥方向(-Z方向)に延ばされた奥方向延在部219と、を有している。上方向延在部218は、固定プレート230を支持するための支持用の穴218aを有している。奥方向延在部219は、上面215に固定されている。
【0042】
(固定プレート230)
固定プレート230は、所定の板厚を有する平板状の部材であって、左右方向(X方向)を長手方向とし、上下方向(Y方向)を短手方向とする矩形状の外形形状を有し、正面側(+Z方向)に面する正面231F、背面側(-Z方向)に面する背面231B、右側(+X方向)に面する右側面231R、左側(-X方向)に面する左側面231L、上側(+Y方向)に面する上面231A、および、下側(-Y方向)に面する下面231Uを有している。
【0043】
固定プレート230は、穴232,233を有している。穴232は、固定プレート230をアングル部材213に支持するための奥行き方向(Z方向)に貫通する貫通穴であって、正面視で穴218aと同じ位置に配置されている。穴233は、外部機器(例えば、バッテリー)からコイル61,62のそれぞれに電力を伝送する電線を通すとともに、ひずみゲージ330(
図18を参照)から外部機器(例えば、不図示の制御部)に信号を伝送する信号線を通すための貫通穴であって、左右対称に1つずつ配置されている。
【0044】
固定プレート230は、さらに、穴234,235を有している。穴234は、連結部材350を固定するための固定用の穴であって、右側面231Rおよび左側面231Lのそれぞれに上下2つずつ配置されている。穴235は、保護カバー250を取り付けるための取付用の穴であって、上面231Aおよび下面231Uのそれぞれに3つずつ配置され、右側面231Rおよび左側面231Lのそれぞれに1つずつ配置されている。
【0045】
(保護カバー250)
図1、
図7および
図8に示すように、保護カバー250は、第1カバー251および第2カバー252を有している。第1カバー251は、上側カバー部253、右側カバー部254および左側カバー部255を有し、上側カバー部253は、X方向を長手方向とし、Z方向を短手方向とする長尺状の平板であって、支持部1B(固定プレート230)と被支持部1C(パネルベース104)との奥行方向(Z方向)の間の隙間を上側(+Y方向)から覆うように配置される。右側カバー部254は、上側カバー部253における右側(+X方向)の端部の位置から下側(-Y方向)に延在し、隙間を右側(+X方向)から覆うように配置される。左側カバー部255は、上側カバー部253における左側(-X方向)の端部の位置から下側(-Y方向)に延在し、隙間を左側(+X方向)から覆うように配置される。上側カバー部253は、上面231Aに取付用の穴235を用いて取り付けられる。右側カバー部254は、右側面231Rに取付用の穴235を用いて取り付けられる。左側カバー部255は、左側面231Lに取付用の穴235を用いて取り付けられる。
【0046】
第2カバー252は、X方向を長手方向とし、Z方向を短手方向とする長尺状の平板であって、隙間を下側(-Y方向)から覆うように配置される。第2カバー252は、下面231Uに取付用の穴235を用いて取り付けられる。第1カバー251および第2カバー252で隙間S1を外部から覆うことによって、外部から隙間にコンタミが侵入するのを防止することが可能となる。
【0047】
(ダンパー270)
図14は、本発明の実施の形態におけるダンパーが配置される位置を示す図である。ダンパー270は、隙間に複数(ここでは、3個)配置されている。3個のダンパー270の中の2個のダンパー270は、他の一つのダンパー270を中心として左右対称に配置されている。3個のダンパー270のそれぞれは、固定プレート230とパネルベース104とにより奥行方向(Z方向)で圧縮された状態で配置されている。ダンパー270は、奥行方向(Z方向)を軸方向とし、軸方向の中央部に配置された大径軸部271と、大径軸部271の手前側(+Z方向)に配置され、大径軸部271よりも小径である中径軸部273と、大径軸部271の奥側(-Z方向)に配置され、中径軸部273の径よりも小径である小径軸部275と、を有している。中径軸部273は、シリコーン材により成形され、パネルベース104に圧縮された状態で当接している。また、大径軸部271は、中径軸部273を受ける台座である。小径軸部275は、固定プレート230の穴(
図8を参照)にねじ止めや嵌合により締結される。これにより、ダンパー270のX方向およびY方向のそれぞれの移動が拘束される。
【0048】
ダンパー270が支持部1B(固定プレート230)と被支持部1C(パネルベース104)とにより奥行方向(Z方向)で圧縮された状態で配置されている。換言すれば、支持部1Bと被支持部1Cとは、支持部1Bと被支持部1Cとの間に与圧がかかった状態で組付けられている。これにより、ダンパー270は、押込み操作方向(-Z方向)およびアクチュエータ振動方向(X方向)のそれぞれの方向に減衰する減衰機構として機能する。
【0049】
図14に示すように、被支持部1Cと支持部1Bとが互いに固定あるいは支持される箇所(以下、固定点)は、被支持部1Cと支持部1Bとが互いに固定される2点である。操作者により、操作パネル101側から見て操作パネル101の上下方向(Y方向)縁端部側に想定以上の力が加わった際、その2点を結ぶ直線L2を軸として、被支持部1Cが回転しようとし、直線L2の外に配置される固定点がないため、被支持部1Cが直線L2を軸として回転する場合がある。
【0050】
図15は、比較する変形例における被支持部1Cと支持部1Bとが互いに固定あるいは支持される固定点を示す図である。
図15に示すように、固定点は、3点である。3点の中の2点は、同一の直線L1上に配置されている。3点の中の1点は、直線L1の外に配置されている。例えば、直線L1を軸として被支持部1C(操作パネル101等)が回転しようとする場合、直線L1の外に配置される固定点が、直線L1を軸とする被支持部1Cの回転を抑えることが可能となる。なお、この変形例では、3点の固定点を設け、3点の固定点の中の1点を同一の直線の外に配置したが、本発明はこれに限定せず、例えば、3点以上の固定点を設け、3点以上の固定点の中の2点以上を、同一の直線の外に配置してもよい。
【0051】
(支持構造)
図16は、本発明の実施の形態に係るゲージプレートの正面を斜め上方から見た場合の斜視図である。
図17は、本発明の実施の形態に係る連結部材およびゲージプレートの組立図である。
図3、
図5、
図7、
図16および
図17に示すように、パネルベース104と固定プレート230との間の隙間には、一対のゲージプレート310が左右対称に配置される。左側に配置されたゲージプレート310をゲージプレート310Lとし、右側に配置されたゲージプレート310をゲージプレート310Rとする。また、パネルベース104と固定プレート230との間の隙間には、一対の連結部材350が左右対称に配置される。左側に配置された連結部材350を連結部材350Lとし、右側に配置された連結部材350を連結部材350Rとする。
【0052】
図5に示すように、被支持部1C(パネルベース104)は、ゲージプレート310Rおよび連結部材350Rを介して支持部1B(固定プレート230)に支持されている。
また、被支持部1C(パネルベース104)は、ゲージプレート310Lおよび連結部材350Lを介して支持部1B(固定プレート230)に支持されている。つまり、ゲージプレート310Rおよび連結部材350R、並びに、ゲージプレート310Lおよび連結部材350Lは、被支持部1Cを弾性支持するとともに、被支持部1Cを位置決めする。被支持部1Cがゲージプレート310Rおよび連結部材350Rを介して支持部1Bに支持される支持構造と、被支持部1Cがゲージプレート310Lおよび連結部材350Lを介して支持部1Bに支持される支持構造とは、互いに左右対称である点を除けば同じである。以下の説明では、被支持部1Cがゲージプレート310Rおよび連結部材350Rを介して支持部1Bに支持される支持構造を代表して説明し、被支持部1Cがゲージプレート310Lおよび連結部材350Lを介して支持部1Bに支持される支持構造の説明を省略する。
【0053】
(ゲージプレート310)
ゲージプレート310Rは、略矩形の外形形状を有する平板状の部材であって、正面側(+Z方向)に面する表面311、背面側(-Z方向)に面する裏面313、外形形状において左側(-X方向)の端に位置する左側縁部314、および、外形形状において右側(+X方向)の端に位置する右側縁部315を有している。
【0054】
外形形状において、左右対称に穴316,317が配置されている。穴316は、奥行方向(Z方向)に貫通する貫通穴であって、パネルベース104とゲージプレート310Rとを固定するための固定用の穴である。穴317は、奥行方向(Z方向)に貫通する貫通穴であって、ゲージプレート310Rと連結部材350R(右側に配置される連結部材350)とを固定するための固定用の穴である。
【0055】
外形形状において、左右対称に切欠部318,319が配置されている。切欠部319は、右側縁部315が半円形状に切り欠かれた切欠部である。切欠部319は、ゲージプレート310Rと連結部材350Rを相互に位置決めするための位置決め用の切欠部である。なお、穴317、穴394、および、締結具(例えばボルト、ナット)を用いてゲージプレート310Rと連結部材350Rとを固定し、穴394A(
図17を参照)、切欠部319、および、位置決め用の軸状部材(例えば、ロケートピン)を用いて、ゲージプレート310Rと連結部材350Rとを相互に位置決めすることについては後述する。
【0056】
図18は、本発明の実施の形態に係るゲージプレートの背面を斜め上方から見た場合の斜視図である。ひずみゲージ330は、ゲージプレート310R,310Lのそれぞれの裏面313に配置されている。ひずみゲージ330は、左右方向(X方向)の中央部に配置され、操作パネル101が押込み操作された場合におけるゲージプレート310のひずみを検出する。ひずみゲージ330の検出結果は、介して外部機器(例えば、不図示の制御部)に送られる。
【0057】
(連結部材350)
図19は、右側に配置される連結部材350Rの正面を斜め上方から見た場合の斜視図である。連結部材350Rは、板バネ部370を有している。
【0058】
板バネ部370は、パネルベース104を介して操作パネル101を弾性的に支持する。具体的には、板バネ部370は、操作パネル101に対する押込み操作方向(-Z方向)に弾性的に支持可能な支持部である第1弾性支持部380Aと、振動アクチュエータ1のアクチュエータ振動方向(X方向)に弾性的に支持可能な支持部である第2弾性支持部380Bとを有している。
【0059】
第1弾性支持部380Aは、押込み操作方向(-Z方向)に対面する平板面における外形形状が直角に曲げられた第1直角曲げ部390Aを有する。第1直角曲げ部390Aは、上下方向(Y方向)に延在するY方向延在部391と、Y方向延在部391の下側(-Y方向)の端部位置から左方向(-X方向)に延在する下側左方向延在部392と、Y方向延在部391の上側(+Y方向)の端部位置から右方向(+X方向)に延在する上側右方向延在部393と、を有する。つまり、第1弾性支持部380Aにおける外形形状は、Y方向延在部391から下側左方向延在部392にL字状に曲げられたL字形状と、Y方向延在部391から上側右方向延在部393にL字形状に曲げられたL字形状と、を有している。なお、上側右方向延在部393は、第2弾性支持部380Bと連結される連結部である。
【0060】
下側左方向延在部392は、ゲージプレート310Rと連結される連結部である。下側左方向延在部392は、穴394,394Aを有している。穴394は、連結部材350Rとゲージプレート310Rとを固定するための固定用の穴である。穴394Aは、連結部材350Rとゲージプレート310Rとを相互に位置決めするための位置決め用の穴である。締結具(例えば
図17に示すボルト、ナット)を用いて連結部材350Rとゲージプレート310Rとを固定する場合に、ボルトは穴394と穴317に通される。これにより、穴394の位置と穴317の位置とが一致する。しかし、連結部材350Rとゲージプレート310Rとがボルトを中心として相対的に回転可能であるため、位置決めが不完全な状態である。そこで、位置決め用の軸状部材(例えばロケートピン)を穴394Aに通すとともに、ロケートピンの外周を切欠部319に嵌め込む。これにより、連結部材350Rとゲージプレート310Rとのボルトを中心とした相対的な回転が拘束される。以上により、連結部材350Rとゲージプレート310Rとを相互に所定位置に固定することが可能となる。
【0061】
操作パネル101の押込み操作方向(-Z方向)の力は、パネルベース104およびゲージプレート310Rに伝達され、さらに、ゲージプレート310Rと連結される連結部である下側左方向延在部392に伝達される。なお、上側右方向延在部393が第2弾性支持部380Bと連結される連結部であるため、Y方向延在部391は、その上側の端部を支点として、その下側の端部が奥行方向(Z方向)に撓むようになる。換言すれば、操作パネル101の押込み操作方向(-Z方向)の力がY方向延在部391の下側の端部が撓むことで吸収される。
【0062】
第2弾性支持部380Bは、アクチュエータ振動方向(X方向)に対面する平板面における外形形状が直角に曲げられた第2直角曲げ部390Bを有する。第2直角曲げ部390Bは、上下方向(Y方向)に延在するY方向延在部395と、Y方向延在部395の下側(-Y方向)の端部位置から奥方向(-Z方向)に延在する下側奥方向延在部396と、Y方向延在部395の上側(+Y方向)の端部位置から手前方向(+Z方向)に延在する上側手前方向延在部397と、を有する。つまり、第2弾性支持部380Bにおける外形形状は、Y方向延在部395から下側奥方向延在部396にL字状に曲げられたL字形状と、Y方向延在部395から上側手前方向延在部397にL字形状に曲げられたL字形状と、を有している。なお、上側手前方向延在部397の手前側(+Z方向)の端部は、上側右方向延在部393の右側(+X方向)の端部と連結されている。
【0063】
下側奥方向延在部396の奥側(-Z方向)の端部は、上下2つの穴398を有している。穴398は、連結部材350Rと固定プレート230とを固定するための固定用の穴である。上下2つの穴398のそれぞれは、上下2つの穴234(
図1参照)のそれぞれと対応する位置に配置される。上下2つの穴398のそれぞれの位置と上下2つの穴234のそれぞれの位置を合わせて、穴398と穴234とに通したボルトにナットを締結することで、連結部材350Rと固定プレート230とを相互に所定位置に固定することが可能となる。
【0064】
振動アクチュエータ1によって、操作パネル101を振動させるアクチュエータ振動方向(X方向)の力は、パネルベース104およびゲージプレート310Rに伝達され、さらに、ゲージプレート310Rと連結される連結部である下側左方向延在部392に伝達される。さらに、Y方向延在部391に伝達され、さらに、上側右方向延在部393の右側(+X方向)の端部と連結されている上側手前方向延在部397の手前側の端部に伝達される。なお、下側奥方向延在部396の奥側(-Z方向)の端部が固定プレート230に固定されているため、Y方向延在部395は、その下側の端部を支点として、その上側の端部が左右方向(X方向)に撓むようになる。換言すれば、アクチュエータ振動方向(X方向)の力がY方向延在部395の上側の端部が撓むことで吸収される。
【0065】
以上に説明したように、被支持部1C(パネルベース104)とゲージプレート310R(右側に配置されたゲージプレート310)とを、穴109、穴316、および、締結具(ボルト、ナット)を用いることによって、容易に固定することが可能となる。同様に、パネルベース104)とゲージプレート310L(左側に配置されたゲージプレート310)とを、穴109、穴317、および、締結具(ボルト、ナット)を用いることによって、容易に固定することが可能となる。
【0066】
また、連結部材350R(右側に配置された連結部材350)とゲージプレート310R(右側に配置されたゲージプレート310)とを、穴394、穴316、穴394A、切欠部319、締結具(ボルト、ナット)、および、軸状部材(ロケートピン)を用いることによって、容易かつ正確に相互に所定位置に固定することが可能となる。同様に、連結部材350L(左側に配置された連結部材350)とゲージプレート310L(左側に配置されたゲージプレート310)とを、穴109、穴317、穴394A、切欠部318、締結具(ボルト、ナット)、および、軸状部材(ロケートピン)を用いて、容易かつ正確に相互に所定位置に固定することが可能となる。
【0067】
また、連結部材350R(右側に配置された連結部材350)と固定プレート230とを、上下2つの穴398、上下2つの穴234、および、締結具(ボルト、ナット)用いることによって、容易かつ正確に相互に所定位置に固定することが可能となる。同様に、連結部材350L(左側に配置された連結部材350)と固定プレート230とを、上下2つの穴398、上下2つの穴234、および、締結具(ボルト、ナット)用いることによって、容易かつ正確に相互に所定位置に固定することが可能となる。
【0068】
上記実施の形態に係る振動呈示装置1Aは、支持部1Bに支持され、振動アクチュエータ1が実装された被支持部1Cと、ひずみゲージ330が配置されたゲージプレート310と、板バネ部370を有する連結部材350と、を備え、被支持部1Cは、ゲージプレート310および連結部材350を介して支持部1Bに支持される。
【0069】
上記構成により、ゲージプレート310および連結部材350は、被支持部1Cを弾性支持するとともに、被支持部1Cを予め定められた位置に位置決めすることが可能となる。これにより、支持部1Bと被支持部1Cとの間の距離が予め定められた距離に一致するため、組立性や、実装後のキャリブレーション等にかかるコストを低減することが可能となる。また、簡易な構成により、被支持部1Cの弾性支持や、被支持部1Cの位置決めができるため、ゲージプレート310および連結部材350のそれぞれの部品形状や、それぞれの部品の組付構造を複雑にする必要がなく、かつ、操作パネル101のサイズ、構造、形状に依存する依存度を低くすることが可能である。ひいては、製造コストを低減することが可能となる。
【0070】
また、上記実施の形態に係る振動呈示装置1Aでは、ゲージプレート310は、ゲージプレート310を被支持部1Cに固定するための被支持部固定用の穴316、および、ゲージプレート310を板バネ部370に固定するための板バネ部固定用の穴317を有する。これにより、穴316,317は、被支持部1Cに対してゲージプレート310を組み付けるための穴や、ゲージプレート310に対して板バネ部370を組み付けるための穴であるため、これらの穴の位置や大きさ等を予め設定された通りに製造することで、被支持部1Cとゲージプレート310とを組み付けるときの組付精度や、ゲージプレート310と板バネ部370とを組み付けるときの組付精度を、所望の精度に維持することが可能となる。
【0071】
被支持部1Cは、操作パネル101を有し、振動アクチュエータ1は、操作パネル101の押込み操作方向(-Z方向)に対し直交する方向(X方向)に振動する。仮に、操作パネル101を面直方向(Z方向)に振動させるタイプのアクチュエータを実装した場合、一般的に振動音が大きくなる傾向がある。これに対して、本実施の形態では、振動アクチュエータ1は、押込み操作方向に対し直交する方向に振動するため、振動音を抑制することが可能となる。
【0072】
また、上記実施の形態に係る振動呈示装置1Aでは、ひずみゲージ330は、操作パネル101が押込み操作された場合におけるゲージプレート310のひずみを検出する。操作パネル101に対する押込み操作によって、ゲージプレート310が伸び縮みする。これにより、ひずみゲージ330の抵抗値が変化するため、抵抗値を測定することで、操作パネル101が押込み操作された場合における操作荷重を検出することが可能となる。
【0073】
また、上記実施の形態に係る振動呈示装置1Aでは、板バネ部370は、操作パネル101を押込み操作方向に弾性的に支持可能な第1弾性支持部380Aと、操作パネル101を振動アクチュエータ1のアクチュエータ振動方向に弾性的に支持可能な第2弾性支持部380Bと、を有する。これにより、第1弾性支持部380Aが操作パネル101を弾性的に支持するため、操作パネル101の押込み操作方向(-Z方向)の力に対して押し返す力(反力)が生じ、操作パネル101の押込み操作を行ったユーザに対して操作感を与えることが可能となる。また、第2弾性支持部380Bが被支持部1C(操作パネル101、パネルベース104)を弾性的に支持するため、被支持部1Cの共振駆動が可能となる。また、第2弾性支持部380Bの大きさや、形状や、板厚を変更することで、第1振動系の共振周波数f
1(
図13を参照)を調整することが可能となる。
【0074】
また、上記実施の形態に係る振動呈示装置1Aでは、第1弾性支持部380Aは、押込み操作方向に対面する平板面における外形形状が直角に曲げられた第1直角曲げ部390Aを有し、第2弾性支持部380Bは、アクチュエータ振動方向に対面する平板面における外形形状が直角に曲げられた第2直角曲げ部390Bを有する。これにより、例えば、第1直角曲げ部390Aにおける直角に曲げられた方向のいずれか一方の方向に延在する部位を、第1弾性支持部380Aとして用いることが可能となる。他方の方向に延在する部位を、ゲージプレート310と連結するための連結部位として用いることが可能となる。また、第2直角曲げ部390Bにおける直角に曲げられた方向のいずれか一方の方向に延在する部位を、第2弾性支持部380Bとして用いることが可能となる。他方の方向に延在する部位を、支持部1B(固定プレート230)と連結するための連結部位として用いることが可能となる。
【0075】
また、上記実施の形態に係る振動呈示装置1Aでは、第1直角曲げ部390Aにおける外形形状は、一または複数のL字形状であり、第2直角曲げ部390Bにおける外形形状は、一または複数のL字形状である。これにより、少なくとも一つのL字形状を第1直角曲げ部390Aとして用いることが可能となる。また、少なくとも一つのL字形状を第2直角曲げ部390Bとして用いることが可能となる。一方で、第1直角曲げ部390Aを複数のL字形状によって構成することで、第1直角曲げ部390Aのバネ定数が低下するため、バネ定数を調整することが可能となり、また、第1直角曲げ部390Aの形状上の自由度が上がるため、連結部材350の組付性を上げることが可能となる。また、同様に、第2直角曲げ部390Bを複数のL字形状によって構成することで、第2直角曲げ部390Bのバネ定数が低下するため、バネ定数を調整することが可能となり、また、第2直角曲げ部390Bの形状上の自由度が上がるため、連結部材350の組付性を上げることが可能となる。
【0076】
また、上記実施の形態に係る振動呈示装置1Aでは、支持部1Bと被支持部1Cとは、被支持部1Cが押込み操作方向およびアクチュエータ振動方向のそれぞれの方向に減衰する減衰機構として機能するように、支持部1Bと被支持部1Cとの間に与圧がかかった状態で組付けられる。例えば、ダンパー270が支持部1B(固定プレート230)と被支持部1C(パネルベース104)とにより奥行方向(Z方向)で圧縮された状態で配置される。これにより、被支持部1Cが比較的長時間にわたり継続的に振動する振動余韻を抑制することが可能となる。また、被支持部1Cに対する外部衝撃を抑制することが可能となる。
【0077】
また、上記実施の形態に係る振動呈示装置1Aでは、被支持部1Cとゲージプレート310と連結部材350と支持部1Bとが互いに固定される固定点は2点である。操作者により、操作パネル101側から見て操作パネル101の上下方向(Y方向)縁端部側に想定以上の力が加わった際、その2点を結ぶ直線L2を軸として、被支持部1Cが回転しようとし、直線L2の外に配置される固定点がないため、被支持部1Cが直線L2を軸として回転する場合がある。
【0078】
また、上記変形例に係る振動呈示装置1Dでは、被支持部1Cとゲージプレート310と連結部材350と支持部1Bとが互いに固定される固定点は3以上であり、3以上の固定点の中の少なくとも2つの固定点が同一の直線上に配置される場合、3以上の固定点の中の少なくとも1以上の固定点は、同一の直線の外に配置される。これにより、例えば、同一の直線を軸として被支持部1C(操作パネル101等)が回転しようとする場合、同一の直線の外に配置される固定点が、直線L1を軸とする被支持部1Cの回転を抑えることが可能となる。
【0079】
また、上記実施の形態に係る振動呈示装置1Aでは、振動アクチュエータ1は、固定体40と、固定体40に移動自在に支持される可動体20と、を有し、支持部1B、被支持部1C、および、固定体40のそれぞれを含む振動系を第1振動系とし、被支持部1C、固定体40、および、可動体20のそれぞれを含む振動系を第2振動系とした場合、第1振動系の共振周波数f1は第2振動系の共振周波数f2よりも高い。これにより、第2振動系が周波数f2で共振すると、周波数f2よりも高い周波数f1で第1振動系が共振する振動呈示装置1Aにおいて、共振周波数f1,f2のそれぞれを、第1振動系の共振周波数および第2振動系の共振周波数として設定することが可能となる。
【0080】
また、上記実施の形態に係る振動呈示装置1Aでは、第1振動系の共振周波数f1は、80[Hz]以上、300[Hz]以下である。80[Hz]以上、300[Hz]以下の周波数は、人間の感覚器が比較的感知し易い周波数であるため、ユーザは、第1振動系の振動を容易に感知することができる。
【0081】
また、上記実施の形態に係る振動呈示装置1Aでは、第2振動系の共振周波数f2は、50[Hz]以上、80[Hz]未満である。共振周波数f2を50[Hz]以上としたため、例えば、車両に搭載された振動呈示装置1Aが、車両の走行中のロードノイズ(50[Hz]未満)の影響を受けないようにすることができる。また、共振周波数f2を80[Hz]未満としたため、第2振動系の共振周波数f2が第1振動系の共振周波数f1よりも低い振動呈示装置1Aにおいて、80[Hz]の周波数を、第1振動系の共振周波数f1として設定する場合に、80[Hz]未満の周波数を第2振動系の共振周波数として設定することが可能となる。
【0082】
また、上記実施の形態に係る振動呈示装置1Aでは、振動アクチュエータ1の周波数特性は、所定範囲内で変更可能に構成され、第2振動系の共振周波数f2に基づいて定められる。これにより、例えば、シミュレーションの結果により取得された第2振動系の共振周波数f2に基づいて、第2振動系の共振周波数を設定することが可能となる。
【0083】
なお、上記実施の形態に係る振動呈示装置1Aでは、ゲージプレート310と連結部材350とを別部品としたが、一体部品としてもよい。この場合において、被支持部1Cは、一体部品を介して支持部1Bに支持される。また、ひずみゲージ330は、操作パネル101が押込み操作された場合における一体部品のひずみを検出する。
【0084】
また、上記実施の形態に係る振動呈示装置1Aでは、第1弾性支持部380Aが第1直角曲げ部390Aを有し、第2弾性支持部380Bが第2直角曲げ部390Bを有するものを示しが、第1弾性支持部380Aは、被支持部1C(操作パネル101等)を押込み操作方向に弾性的に支持可能なものであればよく、また、第2弾性支持部380Bは、被支持部1Cを振動アクチュエータ1のアクチュエータ振動方向に弾性的に支持可能なものであればよく、第1弾性支持部380Aおよび第2弾性支持部380Bのそれぞれの形状は問わず、種々の形状にすることが可能である。
【0085】
また、上記実施の形態に係る振動呈示装置1Aでは、パネルベース104とゲージプレート310との固定や、ゲージプレート310と連結部材350との固定や、連結部材350と固定プレート230との固定に締結具(ボルト、ナット)を用いたが、リベットなどの固定部材を用いてもよい。
【0086】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施す
ることができる。
【0087】
例えば、上記実施の形態において、連結部材350Lと連結部材350Rは、振動アクチュエータ1の長手方向、つまり左右方向(X方向)を中心として線対称形状(左右反転形状)の別部品として構成されているが、振動アクチュエータ1の操作パネル101側から見て右側(+X方向側)に配置されている連結部材350Rの代わりに、従来、振動アクチュエータ1の操作パネル101側から見て左側(-X方向側)に配置されている連結部材350Lを振動アクチュエータ1の操作パネル101側から見て上下方向(Y方向)を180度回転させて配置することで、連結部材350を一種類の部品とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、組立性や、実装後のキャリブレーション等にかかるコストを低減することが要求される振動呈示装置を備えた車両室内に配置されるセンターコンソールなどに好適に利用される。
【符号の説明】
【0089】
1 振動アクチュエータ
1A,1D 振動呈示装置
1B 支持部
1C 被支持部
10 ケース
11 ケース本体
12 蓋体
15 駆動ユニット
20 可動体
21 マグネット
23 ヨーク
25 ヨーク
27 錘部
29 錘部
31 接続部
33 接続部
40 固定体
42 コイル保持部
50 アウターヨーク
61 コイル
62 コイル
81 弾性支持部
82 弾性支持部
101 操作パネル
102 正面
103 背面
104 パネルベース
105 表面
106 裏面
107,108,109 穴
210 固定治具
230 固定プレート
231A 上面
231B 背面
231F 正面
231L 左側面
231R 右側面
231U 下面
232,233,234,235 穴
250 保護カバー
270 ダンパー
271 大径軸部
273 中径軸部
275 小径軸部
310,310L,310R ゲージプレート
311 表面
313 裏面
314 左側縁部
315 右側縁部
316,317 穴
318,319 切欠部
330 ひずみゲージ
350、350L,350R 連結部材
370 板バネ部
380A 第1弾性支持部
380B 第2弾性支持部
390A 第1直角曲げ部
390B 第2直角曲げ部
391 Y方向延在部
392 下側左方向延在部
393 上側右方向延在部
395 Y方向延在部
396 下側奥方向延在部
397 上側手前方向延在部
398 穴
422 筒状本体部
426 フランジ部
427 フランジ部
428 フランジ部