(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020870
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】車両用発光ユニット、車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/16 20180101AFI20250205BHJP
F21S 43/241 20180101ALI20250205BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20250205BHJP
F21S 43/31 20180101ALI20250205BHJP
F21S 43/50 20180101ALI20250205BHJP
F21S 43/27 20180101ALI20250205BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20250205BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250205BHJP
【FI】
F21S43/16
F21S43/241
F21S43/14
F21S43/31
F21S43/50
F21S43/27
F21W103:00
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124494
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】池之上 翔
(57)【要約】
【課題】この発明は、光源部からの励起光を、導光部材を介して、複数の光変換パネル全部に効率良く照射することができる車両用発光ユニット、車両用灯具を提供することにある。
【解決手段】この発明は、導光部材4が、光変換パネル用反射面420と、重合部分用反射面430と、を有する、ものである。光変換パネル用反射面420により、励起光L1を光変換パネル3A、3B、3C側に反射させる。重合部分用反射面430により、励起光L1を重合部分33A、33B側に反射させる。この結果、この発明は、光源部2からの励起光L1を、導光部材4を介して、3枚の光変換パネル3A、3B、3C全部に効率良く照射することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を出射する光源部と、
前記励起光を2次光に変換する複数の光変換パネルと、
前記光源部からの前記励起光を入射して所定光路で導く導光部材と、
を備え、
前記導光部材は、
前記励起光を、複数の前記光変換パネル側に反射させる複数の光変換パネル用反射面と、
複数の前記光変換パネル用反射面に対して前記所定光路の上流側に設けられていて、前記励起光を、前記所定光路の上流側の前記光変換パネルのうち、前記所定光路の下流側の前記光変換パネルと前記所定光路の方向で重なり合う重合部分側に、反射させる重合部分用反射面と、
を有する、
ことを特徴とする車両用発光ユニット。
【請求項2】
複数の前記光変換パネルは、前記所定光路の方向と交差する方向に並べられていて、かつ、前記所定光路の方向に間を開けて配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用発光ユニット。
【請求項3】
前記重合部分用反射面と、前記重合部分用反射面に対して前記所定光路の下流側の前記光変換パネル用反射面の一部とは、前記所定光路の方向で重なり合っている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用発光ユニット。
【請求項4】
前記重合部分用反射面の一部には、前記励起光の一部を前記光変換パネル用反射面側に透過させる透過面が、設けられている、
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用発光ユニット。
【請求項5】
複数の前記光変換パネルは、前記励起光により前記2次光を発光させる発光面を有し、
複数の前記光変換パネル用反射面は、前記励起光を、複数の前記光変換パネルの前記発光面にそれぞれ均一に反射させる複数の反射面セグメントに分割されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用発光ユニット。
【請求項6】
複数の前記光変換パネルは、前記励起光により前記2次光を発光させる発光面を有し、
前記重合部分用反射面は、前記励起光を、前記重合部分の前記発光面に均一に反射させる複数の反射面セグメントに分割されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用発光ユニット。
【請求項7】
前記導光部材は、
前記光源部からの前記励起光を入射させる第1部分と、
前記第1部分から前記所定光路の方向に延長されて設けられていて、前記第1部分からの前記励起光を前記所定光路で導く第2部分と、
を有し、
前記第1部分は、
前記光源部からの前記励起光を入射させる入射面と、
前記入射面からの前記励起光を前記第2部分に反射させる複合反射面と、
を有し、
前記第2部分は、
複数の前記光変換パネル用反射面および前記重合部分用反射面と、
複数の前記光変換パネル用反射面で反射された前記励起光を複数の前記光変換パネルに出射させる光変換パネル用出射面と、
前記重合部分用反射面で反射された前記励起光を前記重合部分に出射させる重合部分用出射面と、
を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用発光ユニット。
【請求項8】
複数の前記光変換パネル用反射面および前記重合部分用反射面により前記励起光を反射させる方向は、前記第2部分の前記所定光路の方向と交差する方向に一致し、
前記第2部分の前記所定光路の方向と交差する方向の寸法は、前記光源部と前記第1部分との配置方向の寸法に対して小さい、
ことを特徴とする請求項7に記載の車両用発光ユニット。
【請求項9】
前記第2部分は、複数の前記光変換パネルが並べられている方向の直線と前記所定光路の方向の直線とを含む平面を2つ有し、前記所定光路の方向と交差する方向であって、2つの前記平面と交差する方向を板厚とする板形状をなす、
ことを特徴とする請求項8に記載の車両用発光ユニット。
【請求項10】
空間を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記空間内に配置されている請求項1から9のいずれか1項に記載の車両用発光ユニットと、
を備え、
前記車両用発光ユニットの前記導光部材の複数の前記光変換パネル用反射面と前記ランプレンズとの間には、遮蔽部品が配置されている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項11】
前記車両用発光ユニットの前記光源部および前記導光部材の前記光源部からの前記励起光が入射する部分と前記ランプレンズとの間には、遮蔽部材が配置されている、
ことを特徴とする請求項10に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用発光ユニット、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
励起光により励起して発光する2次光(ルミネセンス)を利用する車両用発光ユニット、車両用灯具としては、たとえば、特許文献1および特許文献2に示すものがある。
【0003】
以下、特許文献1の車両用灯具および特許文献2の車両用灯具の構成について説明する。特許文献1の車両用灯具および特許文献2の車両用灯具は、励起光源と、励起光制御部材と、複数枚の発光パネルと、を備える。励起光源から出射した励起光(例えば、青色光)は、励起光制御部材に入射しかつ制御されて所定の光路に進み、励起光制御部材から出射して複数枚の発光パネルに向けて照射され、複数枚の発光パネルにおいて2次光(例えば、赤色光)に変換される。2次光は、複数枚の発光パネルから所定の配光パターン(例えば、テールランプの配光パターン)として車両の外部に出射する。
【0004】
このように、特許文献1の車両用灯具および特許文献2の車両用灯具は、複数枚の発光パネルが2次光により発光するものであるから、複数枚の発光パネルの配置や複数枚の発光パネルの形状を意匠的にデザインすることにより、複数枚の発光パネルの発光面の意匠の自由度が向上される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-079422号公報
【特許文献2】特開2022-079423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる車両用灯具(車両用発光ユニット、車両用灯具)においては、励起光源(光源部)からの励起光を、励起光制御部材(導光部材)を介して、複数の発光パネル(光変換パネル)全部に効率良く照射することが重要である。
【0007】
この発明は、光源部からの励起光を、導光部材を介して、複数の光変換パネル全部に効率良く照射することができる車両用発光ユニット、車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の観点の車両用発光ユニットは、前記の課題を解決するため、励起光を出射する光源部と、前記励起光を2次光に変換する複数の光変換パネルと、前記光源部からの前記励起光を入射して所定光路で導く導光部材と、を備え、前記導光部材は、前記励起光を、複数の前記光変換パネル側に反射させる複数の光変換パネル用反射面と、複数の前記光変換パネル用反射面に対して前記所定光路の上流側に設けられていて、前記励起光を、前記所定光路の上流側の前記光変換パネルのうち、前記所定光路の下流側の前記光変換パネルと前記所定光路の方向で重なり合う重合部分側に、反射させる重合部分用反射面と、を有する、ことを特徴とする。
【0009】
この発明の車両用発光ユニットにおいて、複数の前記光変換パネルは、前記所定光路の方向と交差する方向に並べられていて、かつ、前記所定光路の方向に間を開けて配置されている、ことが好ましい。
【0010】
この発明の車両用発光ユニットにおいて、前記重合部分用反射面と、前記重合部分用反射面に対して前記所定光路の下流側の前記光変換パネル用反射面の一部とは、前記所定光路の方向で重なり合っている、ことが好ましい。
【0011】
この発明の車両用発光ユニットにおいて、前記重合部分用反射面の一部には、前記励起光の一部を前記光変換パネル用反射面側に透過させる透過面が、設けられている、ことが好ましい。
【0012】
この発明の車両用発光ユニットにおいて、複数の前記光変換パネルは、前記励起光により前記2次光を発光させる発光面を有し、複数の前記光変換パネル用反射面は、前記励起光を、複数の前記光変換パネルの前記発光面にそれぞれ均一に反射させる複数の反射面セグメントに分割されている、ことが好ましい。
【0013】
この発明の車両用発光ユニットにおいて、複数の前記光変換パネルは、前記励起光により前記2次光を発光させる発光面を有し、前記重合部分用反射面は、前記励起光を、前記重合部分の前記発光面に均一に反射させる複数の反射面セグメントに分割されている、ことが好ましい。
【0014】
この発明の車両用発光ユニットにおいて、前記導光部材は、前記光源部からの前記励起光を入射させる第1部分と、前記第1部分から前記所定光路の方向に延長されて設けられていて、前記第1部分からの前記励起光を前記所定光路で導く第2部分と、を有し、前記第1部分は、前記光源部からの前記励起光を入射させる入射面と、前記入射面からの前記励起光を前記第2部分に反射させる複合反射面と、を有し、前記第2部分は、複数の前記光変換パネル用反射面および前記重合部分用反射面と、複数の前記光変換パネル用反射面で反射された前記励起光を複数の前記光変換パネルに出射させる光変換パネル用出射面と、前記重合部分用反射面で反射された前記励起光を前記重合部分に出射させる重合部分用出射面と、を有する、ことが好ましい。
【0015】
この発明の車両用発光ユニットにおいて、複数の前記光変換パネル用反射面および前記重合部分用反射面により前記励起光を反射させる方向は、前記第2部分の前記所定光路の方向と交差する方向に一致し、前記第2部分の前記所定光路の方向と交差する方向の寸法は、前記光源部と前記第1部分との配置方向の寸法に対して小さい、ことが好ましい。
【0016】
この発明の車両用発光ユニットにおいて、前記第2部分は、複数の前記光変換パネルが並べられている方向の直線と前記所定光路の方向の直線とを含む平面を2つ有し、前記所定光路の方向と交差する方向であって、2つの前記平面と交差する方向を板厚とする板形状をなす、ことが好ましい。
【0017】
また、この発明の第1の観点の車両用灯具は、前記の課題を解決するため、空間を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、前記空間内に配置されているこの発明の車両用発光ユニットと、を備え、前記車両用発光ユニットの前記導光部材の複数の前記光変換パネル用反射面と前記ランプレンズとの間には、遮蔽部品が配置されている、ことを特徴とする。
【0018】
この発明の車両用灯具において、前記車両用発光ユニットの前記光源部および前記導光部材の前記光源部からの前記励起光が入射する部分と前記ランプレンズとの間には、遮蔽部材が配置されている、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
この発明の車両用発光ユニット、車両用灯具は、光源部からの励起光を、導光部材を介して、複数の光変換パネル全部に効率良く照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、この発明にかかる車両用発光ユニット、車両用灯具の実施形態を示す縦断面図である。
【
図2】
図2は、車両用発光ユニットの光源部および導光部材を示す平面図(
図1におけるII-II線矢視図)である。
【
図3】
図3は、車両用発光ユニットの複数の光変換パネルを示す平面図(
図1におけるIII-III線矢視図)である。
【
図4】
図4は、車両用発光ユニットの導光部材および複数の光変換パネルを示す正面図(
図1におけるIV-IV線矢視図)である。
【
図5】
図5は、車両用発光ユニットを示す縦断面図(
図2におけるV-V線断面図)である。
【
図6】
図6は、車両用発光ユニットの導光部材の第2部分の一部を示す拡大縦断面図(
図5におけるVI部の拡大縦断面図)である。
【
図7】
図7は、車両用発光ユニットの導光部材の第1部分の一部を示す拡大平面図(
図2におけるVII部の拡大平面図)である。
【
図8】
図8は、車両用発光ユニットの導光部材の第1部分の一部を示す拡大縦断面図(
図7におけるVIII-VIII線拡大縦断面図)である。
【
図9】
図9は、導光部材の光変換パネル用反射面において反射された励起光の出射範囲と光変換パネルの発光面の範囲との相対位置関係を示す説明図である。
図9(A)は、
図2におけるIXA-IXA線断面説明図である。
図9(B)は、
図2におけるIXB-IXB線断面説明図である。
図9(C)は、
図2におけるIXC-IXC線断面説明図である。
【
図10】
図10は、車両用発光ユニットの導光部材の光変換パネル用反射面における励起光の反射光路を示す説明図である。
【
図11】
図11は、車両用発光ユニットの導光部材の光変換パネル用反射面を示す一部斜視図である。
【
図12】
図12は、車両用発光ユニットの導光部材の第2部分の変形例1を示す拡大縦断面図(
図6に対応する拡大縦断面図)である。
【
図13】
図13は、車両用発光ユニットの導光部材の第2部分の変形例2を示す拡大縦断面図(
図6に対応する拡大縦断面図)である。
【
図14】
図14は、車両用発光ユニットの導光部材の第2部分の変形例3を示す拡大縦断面図(
図6に対応する拡大縦断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明にかかる車両用発光ユニットの実施形態(実施例)の1例、および、この発明にかかる車両用灯具の実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0022】
この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用発光ユニット、車両用灯具が車両に搭載された車両搭載状態における前、後、上、下、左、右である。また、前後、上下、左右の各方向は、車両用発光ユニット、車両用灯具が車両に搭載された車両搭載状態における方向であって、運転席から車両の進行方向を見た場合における方向を示す。前後方向は、車両の進行方向(前進方向および後退方向)であり、上下方向は、鉛直方向に平行であり、左右方向は、水平方向である。正面方向および背面方向において、車両用発光ユニット、車両用灯具から光が出射される方向を正面方向とし、正面方向の反対方向を背面方向とする。
【0023】
なお、図面は、この発明にかかる車両用発光ユニット、車両用灯具を示す概略図であるから、この発明にかかる車両用発光ユニット、車両用灯具の主要部品を図示し、主要部品以外の部品の図示を省略する。また、ハッチングの一部が省略されている。さらに、図において、符号「F」は車両の「前側」、「B」は車両の「後側」、「U」は車両の「上側」、「D」は車両の「下側」、「L」は車両の「左側」、「R」は車両の「右側」である。
【0024】
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態にかかる車両用発光ユニット、車両用灯具の構成について説明する。
【0025】
(車両用灯具100の説明)
図1中、符号100は、この実施形態にかかる車両用灯具である。車両用灯具100は、この例では、リアコンビネーションランプであって、車両(図示せず)の後部の左右両側L、Rにそれぞれ取り付けられていて、光を車両の後側Bの方向に出射させる。したがって、この実施形態においては、正面方向が後側B方向であり、背面方向が前側F方向である。
【0026】
図1に示されている車両用灯具100は、車両の後部の左側Lに装備されている左側の車両用灯具100である。以下、左側の車両用灯具100について説明する。なお、車両の後部の右側Rに装備されている右側の車両用灯具(図示せず)は、左側の車両用灯具100の構成を左右反転させたものであるから、説明を省略する。
【0027】
車両用灯具100は、
図1に示すように、アウターハウジング(ランプハウジング)101と、アウターレンズ(ランプレンズ)102と、車両用灯具ユニット、この例では、信号灯としてのテールランプユニット100Uと、その他のランプユニット(図示せず)と、を備える。
【0028】
アウターハウジング101は、光不透過性の部材(樹脂部材など)から構成されている。アウターレンズ102は、光透過性の部材(樹脂部材など)から構成されている。アウターハウジング101とアウターレンズ102とは、相互に固定されていて、アウターハウジング101とアウターレンズ102との内部には、空間すなわち灯具空間103が形成されている。
【0029】
アウターレンズ102は、この例では、無色の素通しのアウターカバーなどである。なお、アウターレンズ102は、赤レンズであっても良い。アウターレンズ102は、内側(灯具空間103側)から外側(灯具空間103に対して反対側)に突出した湾曲形状をなす。アウターレンズ102は、上から下にかけて、前から後に傾斜している。
【0030】
灯具空間103内の上下方向の中央部分には、前記のテールランプユニット100Uが配置されている。また、灯具空間103内には、前記のその他のランプユニットが配置されている。その他のランプユニットは、ストップランプ、テール・ストップランプ、ターンシグナルランプ、バックアップランプやテールフォグランプなどの信号灯や照明灯である。
【0031】
(テールランプユニット100Uの説明)
テールランプユニット100Uは、
図1に示すように、インナーハウジング(ランプハウジング)101Uと、インナーレンズ(ランプレンズ)102Uと、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1と、を備える。
【0032】
インナーハウジング101Uは、光不透過性の部材(樹脂部材など)から構成されている。インナーレンズ102Uは、この例では、赤レンズから構成されていて、PMMA、PCなどの光透過性の樹脂部材から構成されている。インナーハウジング101Uとインナーレンズ102Uとは、相互に固定されていて、インナーハウジング101Uとインナーレンズ102Uとの内部には、空間すなわち灯具ユニット空間103Uが形成されている。
【0033】
インナーハウジング101Uは、アウターハウジング101に、取付部材104を介して取り付けられている。なお、インナーハウジング101Uは、アウターハウジング101に直接取り付けられていても良い。インナーハウジング101Uとアウターハウジング101との上側U、下側D、前側Fには、間(灯具空間103)が空いている。インナーハウジング101Uの後側Bの垂直壁には、透孔104Uが設けられている。これにより、灯具空間103内と灯具ユニット空間103U内とは、連通している。
【0034】
インナーレンズ102Uは、アウターレンズ102に対向して配置されている。すなわち、インナーレンズ102Uとアウターレンズ102とは、相互に近接していて平行もしくはほぼ平行に向き合っている。インナーレンズ102Uは、アウターレンズ102と同様に、内側(灯具ユニット空間103U側)から外側(灯具ユニット空間103Uに対して反対側)に突出した湾曲形状をなす。インナーレンズ102Uは、上から下にかけて、前から後に傾斜している。
【0035】
インナーレンズ102Uおよびアウターレンズ102は、車両用発光ユニット1から出射された2次光L2を外部(灯具ユニット空間103Uおよび灯具空間103の外側)に出射させる。なお、インナーレンズ102Uは、アウターレンズ102が赤レンズである場合においては、赤レンズでなくとも良い。また、インナーレンズ102Uとアウターレンズ102とが双方共赤レンズであっても良い。インナーレンズ102Uまたはアウターレンズ102の少なくともいずれか一方の赤色のレンズは、赤色光の2次光L2を透過し、赤色光(2次光L2)とは異なる光を吸収する。したがって、外部の光に含まれる後記の励起光L1成分が赤色のレンズによって吸収される。なお、インナーレンズ102Uおよびアウターレンズ102の正面視形状(車両の後側Bから前側Fを見た形状)は、図示されていないが、上下方向UDの幅(上下幅)が小さく(狭く)、左右方向LRの幅(左右幅)が大きい(広い)。
【0036】
(車両用発光ユニット1の説明)
車両用発光ユニット1は、
図1に示すように、空間としての灯具ユニット空間103Uおよび灯具空間103内に配置されている。車両用発光ユニット1は、
図1、
図2、
図4、
図5に示すように、光源部(光源ユニット)2と、複数の、この例では、3枚の光変換パネル3A、3B、3C(以下、単に「光変換パネル3A、3B、3C」と称する場合がある)と、導光部材4と、遮蔽部品5と、を備える。導光部材4は、光源部2からの励起光L1を入射して、前側Fから後側Bに、所定光路で導く。励起光L1の所定光路は、この例では、励起光L1が前後方向FBと平行もしくはほぼ平行であって前側Fから後側Bに進む、経路である。
【0037】
(光源部2の説明)
光源部2は、励起光L1を出射する。光源部2は、
図1、
図2、
図5、
図7、
図8に示すように、光源20と、基板21と、を有する。
【0038】
光源20は、
図1に示すように、インナーハウジング101Uとアウターハウジング101との間の灯具空間103内の前側Fに配置されている。また、光源20は、
図2に示すように、左右に複数個、この例では、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cに対応させて、9個配置されている。なお、光源20の個数は、9個以外の複数個でも、1個でも、特に限定しない。光源20は、励起光源であって、この例では、青色LEDである。光源20の一面(下面)は、基板21の一面(上面)に実装されている。光源20の他面(上面)は、出射面22である。出射面22の中心を通り、かつ、出射面22に対して垂直な線を光源軸Zとする。
【0039】
光源20は、主波長が約350nmから約500nmまでの範囲の励起光L1を、出射面22から導光部材4の後記の入射面に向けて出射する。なお、光源20としては、青色LED以外の光源、たとえば、LD(半導体レーザー)などを使用しても良い。また、励起光L1は、この例では、主波長が約450nmの青色光である。さらに、出射面22から出射される励起光L1の指向角は、例えば、180°と、広い。
【0040】
基板21は、光不透過性でかつ熱伝導率が高い部材(樹脂部材または金属部材など)から構成されている。基板21は、アウターハウジング101またはインナーハウジング101Uのうち少なくともいずれか一方に取り付けられている。基板21は、この例では、3個の光源20が実装されている1枚の基板21から構成されている。なお、基板21は、1個の光源20が実装されている1枚の基板21から構成されているものであっても良い。基板21の枚数は、光源20の個数と同様に、限定されない。
【0041】
(光変換パネル3A、3B、3Cの説明)
光変換パネル3A、3B、3Cは、
図1、
図2、
図5に示すように、灯具ユニット空間103U内の後側Bに配置されている。これにより、光変換パネル3A、3B、3Cは、光源部2と、前後方向FBにおいて、間を空けて配置されている。光変換パネル3A、3B、3Cは、光源部2から出射された励起光L1を2次光L2に変換して、その2次光L2を出射させる。
【0042】
3枚の光変換パネル3A、3B、3Cは、
図3の平面図(車両の上側Uから下側Dを見た図)および
図4の正面図(車両の後側Bから前側Fを見た図)に示すように、所定光路の方向(この例では、前後方向FB)と交差する方向(この例では、左右方向LR)に並べられていて、かつ、所定光路の方向(前後方向FB)に間を開けて配置されている。左右に隣り合う光変換パネルの一部分は、所定光路の方向で重なり合っている。
【0043】
所定光路の上流側(この例では、前側F)の光変換パネル3Aまたは3Bのうち、所定光路の下流側(この例では、後側B)の光変換パネル3Bまたは3Cと重なり合う一部分を重合部分33Aまたは33Bと称する。すなわち、1番左側Lに配置されている所定光路の上流側の光変換パネル3Aのうち、その右隣の中間に配置されている所定光路の下流側の光変換パネル3Bと重なり合う一部分(右端部分)を重合部分33Aと称する。また、中間に配置されている所定光路の上流側(前側F)の光変換パネル3Bのうち、その右隣の1番右側Rに配置されている所定光路の下流側(後側B)の光変換パネル3Cと重なり合う一部分(右端部分)を重合部分33Bと称する。
【0044】
光変換パネル3A、3B、3Cは、インナーハウジング101Uに取付部材(図示せず)を介して、または、直接、取り付けられている。光変換パネル3A、3B、3Cの正面(インナーレンズ102Uおよびアウターレンズ102に対向している面)は、上側に向いた状態で傾斜している。光変換パネル3A、3B、3Cの正面は、2次光L2により発光する発光面30を形成する。
【0045】
光変換パネル3A、3B、3Cの正面の発光面30は、任意の形状の意匠面からなる。光変換パネル3A、3B、3Cの発光面30の平面視形状(車両の上側Uから下側Dを見た形状)は、
図3に示す形状をなす。また、光変換パネル3A、3B、3Cの発光面30の正面視形状は、
図4に示す形状をなす。さらに、光変換パネル3A、3B、3Cの発光面30の断面形状は、
図1、
図5、
図9(A)(B)(C)に示す形状をなす。これにより、光変換パネル3A、3B、3Cの発光面30は、前後方向FB、上下方向UDおよび左右方向LR(3次元方向)に任意に変化する意匠面を形成する。なお、
図2および
図9(A)(B)(C)中の符号「BP」は、1番右側に配置されている光変換パネル3Cおよび導光部材4の最も後側Bに位置する端(以下、「最後端」と称する)を示す。
【0046】
光変換パネル3A、3B、3Cは、保持部材31と、光変換層32と、を有する。保持部材31は、薄い板形状をなしている。保持部材31は、この例では、励起光L1を反射させる部材からなる。また、保持部材31は、光変換層32を直接形成する時の熱などの影響を受けたりして変形したりすることがない部材、例えば、ガラスや樹脂部材からなる。保持部材31の厚さは、励起光L1の減衰との相対関係に基づいて決定されていて、特に、限定しない。
【0047】
光変換層32は、保持部材31の正面に直接形成されている。これにより、光変換層32は、保持部材31に保持されている。光変換層32は、導光部材4から出射した励起光L1および保持部材31から反射した励起光L1を2次光L2に変換して2次光L2を正面からインナーレンズ102Uおよびアウターレンズ102側に出射させる。光変換層32の正面は、発光面30を形成する。
【0048】
光変換層32は、有機発光材料、または、無機発光材料のいずれでも良い。すなわち、光変換層32の材料は、有機蛍光体材料、有機燐光体材料または無機蛍光体材料のうち、少なくとも1つからなる。光変換層32の厚さは、励起光L1から2次光L2への変換との相対関係に基づいて決定されていて、特に、限定しない。
【0049】
(導光部材4の説明)
導光部材4は、光透過性の部材(樹脂部材など)であって、この例では、アクリル樹脂やPC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル、メタクリル樹脂)などの無色透明樹脂材からなる。導光部材4は、レンズ部材であって、いわゆる、ライトガイドである。導光部材4は、前側Fの光源部2からの励起光L1を入射し、入射した励起光L1を所定光路で後側Bの光変換パネル3A、3B、3C側に導く、ものである。
【0050】
導光部材4は、
図1および
図5に示すように、インナーハウジング101Uの透孔104Uを通して、灯具空間103内および灯具ユニット空間103U内に配置されている。導光部材4は、前側Fの光源部2と後側Bの光変換パネル3A、3B、3Cとの間を、前後方向FBに、かつ、上側Uにおいて、渡った状態(跨いだ状態)で配置されている。
【0051】
導光部材4は、
図1、
図2、
図4から
図14に示すように、一側部分(前側Fの部分)の第1部分41と、他側部分(後側Bの部分)の第2部分42と、を有する。なお、
図2および
図5中の符号「BL」は、第1部分41と第2部分42との間の境界線(
図2および
図5中の二点鎖線を参照)を示す。この第1部分41と第2部分42との境界線BLは、この例に限定されない。
【0052】
(第1部分41の説明)
第1部分41は、導光部材4の一側部分であって、光源部2の上側に配置されている部分である。第1部分41は、光源部2からの励起光L1を入射させる。第1部分41は、入射面と、複合1次反射面と、を有する。
【0053】
入射面は、第1入射面411と、第2入射面412と、を有する。第1入射面411は、
図1、
図5および
図8に示すように、第1入射面411は、光源部2からの励起光L1(出射面22の中心を点(角の頂点)とする立体角が約70°~80°の励起光L1)を、平行もしくはほぼ平行な第1入射光L11(入射光の一部)として、屈折入射させる面、すなわち、コリメーターである。第1入射光L11は、光源軸Zと平行もしくはほぼ平行である。第1入射面411は、光源部2の出射面22に対向して設けられている。第1入射面411は、出射面22の中心もしくはその近傍を焦点とする双曲線を、双曲線の主軸(光源軸Z)を回転軸として回転させてなる回転双曲面の屈折面である。
【0054】
第2入射面412は、
図1、
図5および
図8に示すように、光源部2からの励起光L1(出射面22の中心を点(角の頂点)とする立体角が約70°~80°から約180°までの間の励起光L1)を、第2入射光L12(入射光の一部)として、屈折入射させる面である。第2入射面412は、第1入射面411の外周側部であって、光源部2の出射面22に対向して設けられている。第2入射面412は、直線もしくは曲線を、光源軸Zを回転軸として回転させてなる回転面の屈折面である。第2入射面412は、光源軸Z方向に対して、少なくとも、導光部材4の成形金型(図示せず)の抜き勾配(図示せず)分傾斜してなる屈折面である。
【0055】
複合1次反射面は、第1反射面413と、3分割の第2反射面414B、414L、414Rと、左側第3反射面415Lおよび右側第3反射面415Rと、を有する。また、3分割の第2反射面414B、414L、414Rは、後側第2反射面414Bと、左側第2反射面414Lと、右側第2反射面414Rと、を有する。
【0056】
第1反射面413は、
図5および
図8に示すように、第2入射面412から入射した第2入射光L12を、光源軸Zと平行もしくはほぼ平行な第1反射光L13として、全反射させる面、すなわち、コリメーターである。第1反射面413は、光源部2の出射面22の中心もしくはその近傍を焦点とする放物線を、光源軸Zを回転軸として回転させてなる回転放物面である。または、第1反射面413は、前記の放物線に倣った直線を、光源軸Zを回転軸として回転させてなる回転面の反射面である。
【0057】
後側第2反射面414Bは、
図5に示すように、第1入射面411からの第1入射光L11の一部および第1反射面413からの第1反射光L13の一部を、第2反射光L14として、所定光路に沿って後側Bに全反射させる面である。第2反射光L14は、光源軸Zに対して垂直方向、この例では、前後方向FBに平行もしくはほぼ平行である平行光である。後側第2反射面414Bは、第1入射面411の後側の部分および第1反射面413の後側の部分に対向して設けられている。後側第2反射面414Bは、光源軸Zに対してこの例では45°で交差する(傾斜する)直線を、光源軸Zを回転軸として回転させてなる回転曲面の反射面である。
【0058】
左側第2反射面414Lは、
図8に示すように、第1入射面411からの第1入射光L11の一部および第1反射面413からの第1反射光L13の一部を、光源軸Zに対して垂直方向に平行もしくはほぼ平行な左側第2反射光L14Lとして、左方向に全反射させる面である。左側第2反射面414Lは、第1入射面411の左側の部分に対向して設けられている。左側第2反射面414Lは、光源軸Zに対してこの例では45°で交差する(傾斜する)直線を、光源軸Zを回転軸として回転させてなる回転曲面の反射面である。
【0059】
右側第2反射面414Rは、
図8に示すように、第1入射面411からの第1入射光L11の一部および第1反射面413からの第1反射光L13の一部を、光源軸Zに対して垂直方向に平行もしくはほぼ平行な右側第2反射光L14Rとして、右方向に全反射させる面である。右側第2反射面414Rは、第1入射面411の右側の部分および第1反射面413の右側の部分に対向して設けられている。右側第2反射面414Rは、光源軸Zに対してこの例では45°で交差する(傾斜する)直線を、光源軸Zを回転軸として回転させてなる回転曲面の反射面である。
【0060】
左側第3反射面415Lは、
図7および
図8に示すように、左側第2反射面414Lからの左側第2反射光L14Lを、左側第3反射光L15Lとして、所定光路に沿って後側Bに全反射させる面である。左側第3反射光L15Lは、第2反射光L14と同様に、光源軸Zに対して垂直方向、この例では、前後方向FBに平行もしくはほぼ平行である平行光であり、かつ、第2反射光L14と平行もしくはほぼ平行である。左側第3反射面415Lは、左側第2反射面414Lに対向して設けられている。左側第3反射面415Lは、光源軸Zと平行に、かつ、前後方向に対してこの例では45°で交差する(傾斜する)平面の反射面である。
【0061】
右側第3反射面415Rは、
図7および
図8に示すように、左側第2反射面414Lからの右側第2反射光L14Rを、右側第3反射光L15Rとして、所定光路に沿って後側Bに全反射させる面である。右側第3反射光L15Rは、第2反射光L14および左側第3反射光L15Lと同様に、光源軸Zに対して垂直方向、この例では、前後方向FBに平行もしくはほぼ平行である平行光であり、かつ、第2反射光L14および左側第3反射光L15Lと平行もしくはほぼ平行である。右側第3反射面415Rは、右側第2反射面414Rに対向して設けられている。右側第3反射面415Rは、光源軸Zと平行に、かつ、前後方向に対してこの例では45°で交差する(傾斜する)平面の反射面である。
【0062】
(第2部分42の説明)
第2部分42は、第1部分41から所定光路に沿って前側Fから後側Bに延長されて一体に設けられている。第2部分42は、第1部分41からの第2反射光L14、左側第3反射光L15Lおよび右側第3反射光L15Rを、所定光路で、平行光として、前側Fから後側Bに導く。なお、第1部分41と第2部分42との間を境界線BLとする。
【0063】
第2部分42は、導光部材4の中間部分の境界線BLから他側部分までの部分である。第2部分42の中間部分は、インナーハウジング101Uの透孔104Uを通して、灯具空間103内および灯具ユニット空間103U内に配置されている。第2部分42の後側Bの部分は、灯具空間103内であって、光変換パネル3A、3B、3Cの上側に配置されている。
【0064】
第2部分42は、第1部分41からの励起光L1を所定光路で導いて下側Dの光変換パネル3A、3B、3C側に出射させる。第2部分42は、2次反射面420、430と、出射面421、431と、を有する。2次反射面420、430は、複数、この例では、3つの光変換パネル用反射面420と、複数、この例では、2つの重合部分用反射面430と、からなる。出射面421、431は、光変換パネル用出射面421と重合部分用出射面431とからなる。
【0065】
図1、
図4、
図5、
図6に示すように、光変換パネル用反射面420および重合部分用反射面430により励起光L1を反射させる方向は、第2部分42の所定光路の方向(前後方向FB)に対して交差する方向(上下方向UD)と一致もしくはほぼ一致する。第2部分42の上下方向UDの寸法T1は、光源部2と第1部分41との上下の配置方向の寸法T2に対して小さい。
【0066】
第2部分42は、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cが並べられている方向(左右方向LR)の直線と所定光路の方向(前後方向FB)の直線とを含む平面を2つ有し、所定光路と交差する方向であって、2つの平面(上下2平面)と交差する方向(上下方向UD)を板厚とする板形状をなす。上下2平面は、前後方向FBおよび左右方向LRに広い。
【0067】
第2部分42の上下方向UDと第2部分42の板厚方向とは、一致する。第2部分42の上下方向UDの寸法T1は、第2部分42の板厚の寸法T1となる。第2部分42の上下方向UDの寸法T1である第2部分42の板厚の寸法T1は、前記の通り、光源部2と第1部分41との上下の配置方向の寸法T2に対して小さい。
【0068】
(光変換パネル用反射面420および光変換パネル用出射面421の説明)
光変換パネル用反射面420は、
図1、
図5に示すように、第2部分42のうち、第1部分41に対して反対側、この例では、他側面(後側Bの端面)に設けられている。光変換パネル用反射面420は、上側Uから下側Dにかけて、前側Fから後側Bに傾斜している。光変換パネル用反射面420は、第1部分41から所定光路で前側Fから後側Bに導かれた平行光の励起光L1(第2反射光L14、左側第3反射光L15Lおよび右側第3反射光L15R)を、下側Dに向けて反射させる。
【0069】
光変換パネル用反射面420は、上下方向UDおよび左右方向LRに、すなわち、縦横に、複数の反射面セグメント422に分割されている。縦横に隣り合う反射面セグメント422は、繋面としての段差面セグメント423を介して相互に繋がっている。これにより、
図9(A)(B)(C)に示すように、第2部分42の板厚寸法T1を同等(一定)に保った状態で、複数の反射面セグメント422の傾斜角度を調整することができ、かつ、段差面セグメント423の寸法を調整して隣り合う反射面セグメント422の間の寸法を調整することができる。
【0070】
この結果、3つの光変換パネル用反射面420の正面視形状が、
図4に示す長方形形状をなし、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cの正面視形状と異なっていても、3つの光変換パネル用反射面420の平面視形状は、
図3に示す形状をなし、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cの平面視形状と同一もしくはほぼ同一となす。これにより、3つの光変換パネル用反射面420で反射され、光変換パネル用出射面421から出射された励起光L1の範囲は、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cの発光面30の範囲と合致する。
【0071】
以下、光変換パネル用反射面420の反射面セグメント422の傾斜角度の調整について、
図10を参照して説明する。第2部分42中を所定光路で導かれた励起光L1(
図10中の実線矢印にて示す第2反射光L14、左側第3反射光L15Lおよび右側第3反射光L15R)は、光変換パネル用反射面420の反射面セグメント422で下側Dに向かった反射する(
図10中の実線を参照)。この時の入射角と反射角とは、45°である。
【0072】
ここで、反射面セグメント422を反時計方向に傾斜させた場合、励起光L1は、反射面セグメント422で斜め前下方向に反射する(
図10中の一点鎖線を参照)。この時の入射角と反射角とは、30°である。一方、反射面セグメント422を時計方向に傾斜させた場合、励起光L1は、反射面セグメント422で斜め後ろ下方向に反射する(
図10中の二点鎖線を参照)。この時の入射角と反射角とは、60°である。
【0073】
このように、反射面セグメント422の傾斜角度を調整することにより、光変換パネル用反射面420の反射面セグメント422からの励起光L1の反射方向(反射範囲)を調整することができる。また、隣り合う反射面セグメント422の間の寸法を調整することにより、反射面セグメント422からの励起光L1の反射範囲を調整することができる。
【0074】
反射面セグメント422および段差面セグメント423は、この例では、平面をなしている。少なくとも反射面セグメント422を曲面とし、その曲率を調整することにより、反射面セグメント422からの励起光L1の反射範囲を調整することができる。
【0075】
光変換パネル用出射面421は、
図1、
図5に示すように、第2部分42のうち、第1部分41に対して反対側、この例では、他側部分(後側Bの部分)の下面に、光変換パネル用反射面420に対向して設けられている。光変換パネル用出射面421は、光変換パネル用反射面420で反射された励起光L1を、下側Dの光変換パネル3A、3B、3Cに向けて出射させる。光変換パネル用出射面421は、この例では、平面をなしているが、曲面であっても良い。
【0076】
(重合部分用反射面430および重合部分用出射面431の説明)
重合部分用反射面430は、
図1、
図5に示すように、第2部分42のうち、光変換パネル用反射面420に対して、所定光路の上流側、この例では、前側Fの部分に設けられている。これにより、重合部分用反射面430と、重合部分用反射面430に対して所定光路の下流側の光変換パネル用反射面420の一部とは、所定光路の方向で重なり合っている。
【0077】
重合部分用反射面430は、第2部分42の上面から凹んだ凹空間部Sの前側Fの面に設けられていて、上側Uから下側Dにかけて、前側Fから後側Bに傾斜している。重合部分用反射面430は、第1部分41から所定光路で前側Fから後側Bに導かれた平行光の励起光L1(第2反射光L14、左側第3反射光L15Lおよび右側第3反射光L15R)の一部を、下側Dに向けて反射させ、かつ、励起光L1の残りの一部を、光変換パネル用反射面420側に透過させる。
【0078】
重合部分用反射面430は、光変換パネル用反射面420と同様に、上下方向UDおよび左右方向LRに、すなわち、縦横に、複数の反射面セグメント432に分割されている。縦横に隣り合う反射面セグメント432は、繋面兼用の透過面セグメント433を介して相互に繋がっている。これにより、
図9(A)(B)(C)に示す光変換パネル用反射面420の反射面セグメント422と同様に、複数の反射面セグメント432の傾斜角度を調整することができ、かつ、透過面セグメント433の寸法を調整して隣り合う反射面セグメント432の間の寸法を調整することができる。
【0079】
この結果、2つの重合部分用反射面430で反射され、重合部分用出射面431から出射された励起光L1の範囲は、2つの重合部分33A、33Bの発光面30の範囲と合致する。また、重合部分用反射面430の反射面セグメント432の傾斜角度の調整は、前記の光変換パネル用反射面420の反射面セグメント422の傾斜角度の調整と同様であるから、説明を省略する。
【0080】
反射面セグメント432および透過面セグメント433は、この例では、平面をなしている。少なくとも反射面セグメント432を曲面とし、その曲率を調整することにより、反射面セグメント432からの励起光L1の反射範囲を調整することができる。また、透過面セグメント433をも曲面とし、その曲率を調整することにより、透過面セグメント433側から光変換パネル用反射面420側への励起光L1の透過範囲を調整することができる。
【0081】
重合部分用出射面431は、
図1、
図5に示すように、第2部分42のうち、重合部分用反射面430に対して、所定光路の上流側、この例では、前側Fの部分の下面に、重合部分用反射面430に対向して設けられている。重合部分用出射面431は、重合部分用反射面430で反射された励起光L1を、下側Dの重合部分33A、33Bに向けて出射させる。重合部分用出射面431は、この例では、平面をなしているが、曲面であっても良い。
【0082】
(遮蔽部品5の説明)
遮蔽部品5は、
図1、
図5に示すように、灯具ユニット空間103U内であって、導光部材4の第2部分42の光変換パネル用反射面420および光変換パネル用出射面421と、ランプレンズ(インナーレンズ102Uおよびアウターレンズ102)との間に配置されている。遮蔽部品5は、例えば、インナーパネルなどであって、光不透過性の部材(樹脂部材など)から構成されている。
【0083】
遮蔽部品5は、ランプレンズから灯具ユニット空間103U内を見た時に、導光部材4が見えないように、導光部材4を覆い隠す。遮蔽部品5の正面視形状は、
図4中の二点鎖線にて示すように、導光部材4の光変換パネル用反射面420の正面視形状の長方形形状よりも若干大きい長方形形状をなす。遮蔽部品5の正面視形状の長方形形状は、上下幅が小さく(狭く)、左右幅が大きい(広い)。
【0084】
光源部2および導光部材4の第1部分41とランプレンズとの間には、遮蔽部材としてのインナーハウジング101Uが配置されている。インナーハウジング101Uは、光不透過性の部材(樹脂部材など)から構成されているので、ランプレンズから空間(灯具空間103および灯具ユニット空間103U)内を見た時に、光源部2および導光部材4の第1部分41が見えないように、光源部2および導光部材4の第1部分41を覆い隠す。なお、インナーハウジング101Uの代わりに、光不透過性の部材(樹脂部材など)から構成されていて、インナーハウジング101Uと別個のインナーパネルなどであっても良い。
【0085】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかる車両用発光ユニット1、車両用灯具100は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0086】
光源20を点灯すると、光源20の出射面22から励起光L1が出射する。この励起光L1の一部は、導光部材4の第1入射面411から光源軸Zと平行な第1入射光L11として導光部材4中に入射する。また、励起光L1の残りの一部は、導光部材4の第2入射面412から第2入射光L12として導光部材4中に入射し、この第2入射光L12は、第1反射面413で光源軸Zと平行な第1反射光L13として反射する。
【0087】
平行光の第1入射光L11および第1反射光L13の一部は、後側第2反射面414Bで平行光の第2反射光L14として後側Bに反射する。平行光の第1入射光L11および第1反射光L13の残りの一部は、左側第2反射面414L、右側第2反射面414Rで左側第2反射光L14L、右側第2反射光L14Rとして左方向、右方向に反射する。左側第2反射光L14L、右側第2反射光L14Rは、左側第3反射面415L、右側第3反射面415Rで平行光の左側第3反射光L15L、右側第3反射光L15Rとして後側Bに反射する。
【0088】
後側Bに反射した平行光の第2反射光L14、左側第3反射光L15Lおよび右側第3反射光L15R(以下、「励起光L1」と称する場合がある)は、導光部材4の第1部分41から第2部分42へと、所定光路で導かれる。
【0089】
導光部材4の第2部分42に所定光路で導かれた励起光L1の一部であって、第2部分42の上側Uの部分を通る励起光L1は、光変換パネル用反射面420よりも上流側の重合部分用反射面430の反射面セグメント432で下側Dに反射する。この反射した励起光L1は、導光部材4の中間部分の下面の重合部分用出射面431から下側Dの光変換パネル3A、3Bの重合部分33A、33Bに向けて出射する。
【0090】
重合部分用出射面431から出射した青色光の励起光L1(
図4中の破線を参照)は、光変換パネル3A、3Bの重合部分33A、33Bの光変換層32により、赤色光の2次光L2に変換される。2次光L2は、光変換層32の正面の発光面30から出射する。これにより、下流側の光変換パネル3B、3Cで覆い隠されている上流側の光変換パネル3A、3Bの重合部分33A、33Bが発光する。
【0091】
一方、重合部分用反射面430において、反射面セグメント432で反射しなかった励起光L1は、透過面セグメント433を透過して凹空間部Sに出射し、かつ、凹空間部Sの後側Bの面から第2部分42中に再び入射して光変換パネル用反射面420側に進む。これにより、導光部材4の第2部分42の途中に重合部分用反射面430を設けても、光変換パネル用反射面420側に進む励起光L1を完全に遮断することが無く、励起光L1の一部を光変換パネル用反射面420側に進めることができる。
【0092】
また、導光部材4の第2部分42に所定光路で導かれた励起光L1の残りの一部であって、第2部分42の下側Dの部分を通る励起光L1は、光変換パネル用反射面420側に進む。光変換パネル用反射面420に導かれた励起光L1は、光変換パネル用反射面420の反射面セグメント422で下側Dに反射する。この反射した励起光L1は、導光部材4の他側部分の下面の光変換パネル用出射面421から下側Dの3枚の光変換パネル3A、3B、3Cに向けて出射する。
【0093】
光変換パネル用出射面421から出射した青色光の励起光L1(
図4中の実線を参照)は、光変換パネル3A、3B、3Cの光変換層32により、赤色光の2次光L2に変換される。2次光L2は、光変換層32の正面の発光面30から出射する。これにより、光変換パネル3A、3B、3Cのうち重合部分33A、33Bを除いた部分の全面が、前記の重合部分33A、33Bの全面発光と共に、発光する。これにより、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cの全面から出射した2次光L2は、インナーレンズ102Uおよびアウターレンズ102を透過して外部に、所定の配光パターン、この例では、テールランプの配光パターンとして、出射する。
【0094】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかる車両用発光ユニット1、車両用灯具100は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0095】
この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、導光部材4が、励起光L1を、3枚の光変換パネル3A、3B、3C側に反射させる3つの光変換パネル用反射面420と、3つの光変換パネル用反射面420に対して所定光路の上流側(前側F)に設けられていて、励起光L1を、所定光路の上流側(前側F)の光変換パネル3A、3Bのうち、所定光路の下流側(後側B)の光変換パネル3B、3Cと所定光路の方向(前後方向FB)で重なり合う重合部分33A、33B側に、反射させる重合部分用反射面430と、を有する、ものである。
【0096】
この結果、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、3つの光変換パネル用反射面420により、励起光L1を、3枚の光変換パネル3A、3B、3C側に反射させることができ、かつ、2つの重合部分用反射面430により、励起光L1を、2枚の光変換パネル3A、3Bの2つの重合部分33A、33B側に反射させることができる。これにより、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、光源部2からの励起光L1を、導光部材4を介して、3枚の光変換パネル3A、3B、3C全部に効率良く照射することができる。
【0097】
この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cが、所定光路の方向(前後方向FB)と交差する方向(左右方向LR)に並べられていて、かつ、所定光路の方向(前後方向FB)に間を開けて配置されている、ものである。この結果、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、
図3、
図4に示すように、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cにより、左右方向LRに細長い発光面を得ることができる。
【0098】
しかも、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、後側Bの光変換パネル3B、3Cと所定光路の方向(前後方向FB)で重なり合う前側Fの光変換パネル3A、3Bの重合部分33A、33Bが、前記の通り、発光する。この結果、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、
図3に示すように、車幅方向外側(左側L)の視点EPから車幅方向内側(右側R)を見た場合、重なり合う前側Fの光変換パネル3Aと後側Bの光変換パネル3Bとの間から、前側Fの光変換パネル3Aの重合部分33Aが見え、また、重なり合う前側Fの光変換パネル3Bと後側Bの光変換パネル3Cとの間から、前側Fの光変換パネル3Bの重合部分33Bが、見える。これにより、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、車幅方向内側から車幅方向外側にかけて視点EPを移動させても、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cの発光面30が、途中で途切れることなく、左右方向LRに細長い発光面として得られ、車両用灯具のシグネチャー発光面として、最適である。
【0099】
この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、重合部分用反射面430と、重合部分用反射面430に対して所定光路の下流側(後側B)の光変換パネル用反射面420の一部とが、所定光路の方向(前後方向FB)で重なり合っていて、重合部分用反射面430に、励起光L1の一部を光変換パネル用反射面420側に透過させる透過面セグメント433を、設けた、ものである。この結果、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、重合部分用反射面430の反射面セグメント432により、励起光L1の一部を重合部分33A、33B側に反射させることができ、かつ、重合部分用反射面430の透過面セグメント433により、励起光L1の残りの一部を光変換パネル用反射面420側に透過させることができる。これにより、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、導光部材4の途中に重合部分用反射面430を設けても、光変換パネル用反射面420側に進む励起光L1を完全に遮断することが無く、励起光L1の一部を光変換パネル用反射面420側に進めることができる。このように、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、励起光L1を、光変換パネル用反射面420で反射させて、下流側(後側B)の光変換パネル3B、3C全部に効率良く照射することができる。
【0100】
この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cが、励起光L1により2次光L2を発光させる発光面30を有し、3つの光変換パネル用反射面420が、励起光L1を、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cの発光面30にそれぞれ均一に反射させる複数の反射面セグメント422に分割されている、ものである。この結果、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、反射面セグメント422により、励起光L1を、反射させて、光変換パネル用出射面421から3枚の光変換パネル3A、3B、3Cの発光面30に均一に出射させることができる。これにより、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cの発光面30を、3次元方向に任意に変化する意匠面として形成しても、励起光L1を、導光部材4の出射面421、431から3枚の光変換パネル3A、3B、3Cの発光面30に効率良く照射することができ、励起光L1を効率良く利用することができる。
【0101】
この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、2つの重合部分用反射面430が、励起光L1を、重合部分33A、33Bの発光面30に均一に反射させる複数の反射面セグメント432に分割されている、ものである。この結果、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、反射面セグメント432により、励起光L1を、反射させて、重合部分用出射面431から2枚の光変換パネル3A、3Bの重合部分33A、33Bの発光面30に均一に出射させることができる。これにより、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、励起光L1を、2枚の光変換パネル3A、3Bの重合部分33A、33Bの発光面30に効率良く照射することができる。
【0102】
この実施形態にかかる車両用発光ユニット1において、導光部材4は、光源部2からの励起光L1を入射させる第1部分41と、第1部分41から所定光路の方向(前後方向FB)に延長されて設けられていて、第1部分41からの励起光L1を所定光路で導く第2部分42と、を有する。また、第1部分41は、光源部2からの励起光L1を入射させる入射面(第1入射面411、第2入射面412)と、入射面からの励起光L1(第1入射光L11、第2入射光L12)を第2部分42に反射させる複合1次反射面(第1反射面413、後側第2反射面414B、左側第2反射面414L、右側第2反射面414R、左側第3反射面415L、右側第3反射面415R)と、を有する。さらに、第2部分42は、3つの光変換パネル用反射面420および2つの重合部分用反射面430と、3つの光変換パネル用反射面420で反射された励起光L1を3枚の光変換パネル3A、3B、3Cに出射させる光変換パネル用出射面421と、2つの重合部分用反射面430で反射された励起光L1を2つの重合部分33A、33Bに出射させる重合部分用出射面431と、を有する。これにより、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、光源部2からの励起光L1を、導光部材4を介して、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cおよび2つの重合部分33A、33Bに効率良く出射させることができ、励起光L1を効率良く利用することができる。
【0103】
この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、3つの光変換パネル用反射面420および2つの重合部分用反射面430により励起光L1を反射させる方向が、第2部分42の所定光路の方向(前後方向FB)と交差する方向(上下方向UD)に一致し、第2部分42の所定光路の方向(前後方向FB)と交差する方向(上下方向UD)の寸法T1が、光源部2と第1部分41との配置方向の寸法T2に対して小さい。この結果、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、導光部材4の第2部分42を上下方向UDにおいて覆い隠す場合、導光部材4の第2部分42を覆い隠す範囲を、光源部2と導光部材4の第1部分41とを覆い隠す範囲よりも、狭く(小さく)することができるので、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cのデザインの自由度を向上させることができる。
【0104】
この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、第2部分42が、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cが並べられている方向(左右方向LR)の直線と所定光路の方向(前後方向FB)の直線とを含む平面を2つ有し、所定光路の方向(前後方向FB)と交差する方向であって、2つの平面と交差する方向(上下方向UD)を板厚とする板形状をなす、ものである。これにより、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、第2部分42の上下方向UDの寸法である第2部分42の板厚の寸法T1が、光源部2と第1部分41との上下の配置方向の寸法T2に対して小さい。この結果、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、板形状の第2部分42を板厚の方向において覆い隠す場合、板形状の第2部分42を覆い隠す範囲を、光源部2と導光部材4の第1部分41とを覆い隠す範囲よりも、狭く(小さく)することができるので、光変換パネル3A、3B、3Cのデザインの自由度を向上させることができる。
【0105】
この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、3つの光変換パネル用反射面420の複数の反射面セグメント422を縦横に分割する、ものであるから、板形状の第2部分42の板厚寸法T1を同等(一定)に保った状態で、複数の反射面セグメント422の傾斜角度、および、隣り合う反射面セグメント422の間の寸法を調整することができる。これにより、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、3つの光変換パネル用反射面420の正面視形状が、左右方向LRに細長い長方形形状をなし、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cの正面視形状と異なっていても(
図4を参照)、3つの光変換パネル用反射面420の平面視形状を、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cの平面視形状と同一もしくはほぼ同一となすことができる。この結果、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、3つの光変換パネル用反射面420で反射され、光変換パネル用出射面421から出射された励起光L1の範囲を、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cの発光面30の範囲と合致させることができるので、励起光L1を効率良く利用することができ、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cのデザインの自由度を向上させることができる。
【0106】
特に、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1は、板形状の第2部分42および3つの光変換パネル用反射面420により、ランプレンズ(インナーレンズ102U、アウターレンズ102)の正面視形状が、上下方向UDの幅(上下幅)が小さく(狭く)、左右方向LRの幅(左右幅)が大きい(広い)場合であって、励起光L1を効率良く利用することができ、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cのデザインの自由度を向上させることができる。
【0107】
この実施形態にかかる車両用灯具100は、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1を備えるものであるから、この実施形態にかかる車両用発光ユニット1と同様の効果を達成することができる。
【0108】
この実施形態にかかる車両用灯具100は、車両用発光ユニット1の導光部材4の第2部分42とランプレンズ(インナーレンズ102U、アウターレンズ102)との間に、遮蔽部品5を配置したものであるから、遮蔽部品5により、ランプレンズ(インナーレンズ102U、アウターレンズ102)から灯具ユニット空間103U内を見た時に、導光部材4の第2部分42が見えないように、導光部材4の第2部分42を覆い隠すことができる。これにより、この実施形態にかかる車両用灯具100は、光変換パネル3A、3B、3Cの発光面30を際立てることができ、光変換パネル3A、3B、3Cのデザインの自由度を向上させることができる。
【0109】
この実施形態にかかる車両用灯具100は、車両用発光ユニット1の光源部2および導光部材4の第1部分41とランプレンズ(インナーレンズ102U、アウターレンズ102)との間に、遮蔽部材としてのインナーハウジング101Uを配置したものであるから、インナーハウジング101Uにより、ランプレンズ(インナーレンズ102U、アウターレンズ102)から灯具ユニット空間103U内を見た時に、光源部2および導光部材4の第1部分41が見えないように、光源部2および導光部材4の第1部分41を覆い隠すことができる。これにより、この実施形態にかかる車両用灯具100は、光変換パネル3A、3B、3Cの発光面30を際立てることができ、光変換パネル3A、3B、3Cのデザインの自由度を向上させることができる。
【0110】
(第2部分42の変形例の説明)
以下、第2部分42の変形例を、
図12、
図13、
図14を参照して説明する。
【0111】
図12は、第2部分42の変形例1を示す拡大縦断面図である。前記の実施形態における第2部分42の重合部分用反射面430は、凹空間部Sの所定光路の上流側(前側F)の面に設けられているものである。これに対して、この変形例1における第2部分42の重合部分用反射面430は、中空空間部S1の所定光路の上流側(前側F)の面に設けられているものである。中空空間部S1は、入れ子金型により、成形することができる。
【0112】
図13は、第2部分42の変形例2を示す拡大縦断面図である。この変形例2における第2部分42の重合部分用反射面430は、凹空間部S2の所定光路の上流側(前側F)の面に設けられているものである。この変形例2における凹空間部S2の所定光路の下流側(後側B)の面が、前記の実施形態における凹空間部Sの所定光路の下流側(後側B)の面と比較して広く、かつ、緩やかに傾斜している。
【0113】
図14は、第2部分42の変形例3を示す拡大縦断面図である。この変形例3における第2部分42は、他側部分かつ上側部分に導光部材4と別個の導光部品44を一体に設けたものである。導光部品44は、導光作用を有する材質であって、かつ、屈折率が導光部材4の屈折率よりも小さい、材質を使用する。
【0114】
第2部分42の変形例1、2、3は、前記の実施形態における第2部分42と同様の作用効果を達成することができる。
【0115】
(実施形態以外の例の説明)
なお、前記の実施形態においては、車両用発光ユニット1、車両用灯具100がリアコンビネーションランプを構成するテールランプである、例について説明するものである。しかしながら、この発明においては、車両用発光ユニット1、車両用灯具100がテールランプ以外のストップランプ、テール・ストップランプまたはターンシグナルランプであっても良い。ストップランプ、テール・ストップランプの場合において、2次光L2は、赤色光であり、ターンシグナルランプの場合において、2次光L2は、黄橙色光となる。この発明は、前記の実施形態により限定されるものではない。
【0116】
また、前記の実施形態においては、3枚の光変換パネル3A、3B、3Cを使用した例について説明するものである。なお、この発明においては、光変換パネルの使用枚数を特に限定しない。光変換パネルを、2枚、または、4枚以上使用しても良い。この場合においては、光源20、および、導光部材4の光変換パネル用反射面420および重合部分用反射面430を、2枚の光変換パネル、または、4枚以上の光変換パネルに対応させて、設ける必要がある。
【0117】
さらに、前記の実施形態においては、重合部分用反射面430に透過面セグメント433を設けた例について説明するものである。なお、この発明においては、重合部分用反射面430に透過面セグメント433を設けなくとも良い。この場合において、重合部分用反射面430と、重合部分用反射面430に対して所定光路の下流側(後側B)の光変換パネル用反射面420の一部とが、所定光路の方向(前後方向FB)で重なり合っている。このため、導光部材4の中を所定光路以外で進む励起光L1が、重合部分用反射面430を透過して光変換パネル用反射面420側に進むことができ、これにより、所定光路以外で進む励起光L1が、光変換パネル用反射面420で反射して、下流側(後側B)の光変換パネル3B、3C全部に効率良く照射される。
【符号の説明】
【0118】
100 車両用灯具
101 アウターハウジング(ランプハウジング)
102 アウターレンズ(ランプレンズ)
103 灯具空間
104 取付部材
100U テールランプユニット(車両用灯具ユニット)
101U インナーハウジング(ランプハウジング)
102U インナーレンズ(ランプレンズ)
103U 灯具ユニット空間
104U 透孔
1 車両用発光ユニット
2 光源部
20 光源
21 基板
22 出射面
3A、3B、3C 光変換パネル
30 発光面
31 保持部材
32 光変換層
33A、33B 重合部分
4 導光部材
41 第1部分
411 第1入射面
412 第2入射面
413 第1反射面
414B 後側第2反射面
414L 左側第2反射面
414R 右側第2反射面
415L 左側第3反射面
415R 右側第3反射面
42 第2部分
420 光変換パネル用反射面(2次反射面)
421 光変換パネル用出射面(出射面)
422 反射面セグメント
423 段差面セグメント
430 重合部分用反射面(2次反射面)
431 重合部分用出射面(出射面)
432 反射面セグメント
433 透過面セグメント
44 導光部品
5 遮蔽部品
B 後側(下流側)
BL 境界線
BP 最後端
D 下側
EP 視点
F 前側(上流側)
FB 前後方向(所定光路の方向)
L 左側
L1 励起光
L2 2次光
L11 第1入射光
L12 第2入射光
L13 第1反射光
L14 第2反射光
L14L 左側第2反射光
L14R 右側第2反射光
L15L 左側第3反射光
L15R 右側第3反射光
LR 左右方向(所定光路と交差する方向)
R 右側
S 凹空間部
S1 中空空間部
S2 凹空間部
T1 第2部分42の上下方向の寸法(第2部分42の板厚の寸法)
T2 光源部2と第1部分41との配置方向の寸法
U 上側
UD 上下方向
Z 光源軸