(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020908
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】除虫用餌剤容器
(51)【国際特許分類】
A01M 1/02 20060101AFI20250205BHJP
A01M 1/10 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
A01M1/02 A
A01M1/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124543
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【弁理士】
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】長村 隆央
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA17
2B121BA12
2B121BA36
2B121BA47
2B121BA51
2B121BA58
2B121EA03
2B121FA15
(57)【要約】
【課題】 使用後の容器外面に直接触れることなく回収し廃棄できるようにした除虫用餌剤容器を創出することを課題とする。
【解決手段】 害虫を誘引するベイト剤が内部に配置された容器本体10と、該容器本体10の天面を覆う蓋体20とを有する除虫用餌剤容器であって、前記蓋体20の頂壁21又は側壁22に、棒状部材30を保持する保持機構Aが設けられた構成とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
害虫を誘引する餌剤が内部に配置された容器本体(10)と、該容器本体(10)の天面を覆う蓋体(20)とを有する除虫用餌剤容器であって、
前記蓋体(20)の頂壁(21)又は側壁(22)に、棒状部材(30)を保持する保持機構(A)が設けられていることを特徴とする除虫用餌剤容器。
【請求項2】
保持機構(A)は、頂壁(21)に設けられた貫通穴(25)と、該貫通穴(25)の縁部にヒンジ部(26)を介して屈曲可能に設けられた少なくとも一対の可動片(27)と、を有して構成され、該可動片(27)が棒状部材(30)を挟持可能とされている請求項1記載の除虫用餌剤容器。
【請求項3】
可動片(27)の対向辺(28)に凹凸部(28a)が形成されている請求項2記載の除虫用餌剤容器。
【請求項4】
容器本体(10)に設けた被係止部(17)と蓋体(20)に設けた係止部(23a)とが係止することにより、前記蓋体(20)が前記容器本体(10)に組み付けられている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の除虫用餌剤容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除虫用餌剤容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ベイト剤(毒餌)を内部に収容するとともに、害虫の侵入、喫食、退避を可能とする連通口を四方に開口し、害虫の好む狭い空間に配置可能な容器が知られている(特許文献1参照)。これにより、毒餌を食した害虫が巣に戻った後、その死骸等を食した他の害虫も駆除する効果を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の容器は、例えば冷蔵庫の裏や流し台の下などに配置されるが、使用後には容器を回収して破棄する必要がある。
しかしながら、害虫は容器の外面のいずれかに触れながら容器内部に誘引された可能性があり、手で容器外面を直接保持して回収するのは衛生面で抵抗があることから、直接触ることなく回収して破棄できる構成が望まれている。
【0005】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、使用後の容器外面に直接触れることなく回収し廃棄できるようにした除虫用餌剤容器を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる手段は、
害虫を誘引する餌剤が内部に配置された容器本体と、該容器本体の天面を覆う蓋体とを有する除虫用餌剤容器であって、
前記蓋体の頂壁又は側壁に、棒状部材を保持する保持機構が設けられていることを特徴とする、と云うものである。
本発明の主たる手段では、棒状部材が保持機構によって保持されることから、棒状部材と一緒に除虫用餌剤容器を引き戻すことで直接触れることなく除虫用餌剤容器を回収することが可能となる。
【0007】
本発明の他の手段は、上記主たる手段に、保持機構は、頂壁又は側壁に設けられた貫通穴と、該貫通穴の縁部にヒンジ部を介して屈曲可能に設けられた少なくとも一対の可動片と、を有して構成され、該可動片が棒状部材を挟持可能とされている、との手段を加えたものである。
上記手段では、少なくとも一対の可動片の間に棒状部材を差し込むと、可動片が棒状部材を挟み込んで保持するため、直接触れることなく除虫用餌剤容器を回収することが可能となる。
【0008】
本発明の他の手段は、上記の手段に、可動片の対向辺に凹凸部が形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、可動片と棒状部材との間の滑りを抑制できるようになるため、除虫用餌剤容器をより確実に回収することができる。
【0009】
本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、容器本体に設けた被係止部と蓋体に設けた係止部とが係止することにより、前記蓋体が前記容器本体に組み付けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、除虫用餌剤容器の組み立てを容易とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、棒状部材を保持機構に差し込むと、棒状部材が保持機構によって保持されるため、棒状部材と一緒に除虫用餌剤容器を引き戻すことが可能となることから、直接触れることなく除虫用餌剤容器を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例としての除虫用餌剤容器を示し、(a)は除虫用餌剤容器の平面図、(b)は縦断面図である。
【
図2】回収直前の除虫用餌剤容器を示す縦断面図である。
【
図3】回収中の除虫用餌剤容器を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
最初に除虫用餌剤容器の構成について説明する。
本発明の除虫用餌剤容器は、特にゴキブリなどの害虫を駆除するための容器であり、合成樹脂材料から成形されて成る容器本体10と、この容器本体10の天面を覆う蓋体20とを有して構成されている。
【0013】
容器本体10は、底壁11と、その中央に陥没設された凹部12と、底壁11の周方向の複数の箇所に外周端から径方向外側に向かって下り傾斜状に形成された案内傾斜部13と、底壁11上の周方向の複数の箇所に垂設された柱部14を介して水平に延設された水平面部15と、水平面部15上に立設されると共にその内面にアンダーカット状の被係止部17が形成された外周壁部16と、を有し、上方の天面部分が開放された状態で一体に形成されている。尚、案内傾斜部13の径方向外側にはゴキブリが入り込むための入口18が設けられている。
【0014】
蓋体20は、円板状の頂壁21と、頂壁21の外周端に傾斜状に連設された傾斜状の側壁22と、側壁22の下端部に径方向外側に延設されたフランジ部24とを有し、側壁22の下端部側の内面の複数の箇所(本実施例では3箇所)には平面視円弧状に形成されて成る連結壁部23が垂下設されている。連結壁部23の外面には、容器本体10側の被係止部17と係止可能な係止部23aが形成されている。
【0015】
頂壁21には保持機構Aが設けられている。保持機構Aは、頂壁21の中央部に形成された貫通穴25と、貫通穴25の対向する図示左右の縁部に夫々肉薄状に形成さられた一対のヒンジ部26と、各ヒンジ部26を介して貫通穴25の内側に向かって連設された一対の可動片27とを有し、容器軸Oに対して水平に交差する一方の仮想線Oyに対して線対称となるように配置されている。そして、仮想線Oyを挟んで対向配置された一対の可動片27の対向辺28には、ギザギザの凹凸部28aが形成されている。すなわち、一対の可動片27は凹凸部28a同士を対向させ、貫通穴25の左右の縁部の位置に片持ち支持された状態で夫々形成されている。
【0016】
尚、蓋体20を構成する側壁22の形状は傾斜状であることに限定されるものではなく、例えば頂壁21の外周端に垂直に垂下設された形状であってもよく、そのような側壁22に保持機構Aを設ける構成としても良い。また蓋体20の形状が側壁22を有しないドーム状等である場合には、例えば連結壁部23を避けたドームのいずれかの位置に保持機構Aを設ける構成としても良い。
【0017】
次に、上記構成から成る除虫用餌剤容器の作用効果について説明する。
容器本体10の凹部12に、ゴキブリ誘引用の餌剤(図示せず)として、例えば、ベイト剤等が配置される。続いて、蓋体20を容器本体10の天面に被せた状態において、蓋体20の係止部23aと容器本体10の被係止部17とを係止させ、除虫用餌剤容器1の組み立てを完成させる。尚、除虫用餌剤容器1は、ベイト剤が内部に配置された状態で流通過程に置かれる。
【0018】
除虫用餌剤容器1は、使用者によって例えば冷蔵庫の裏や流し台の下などに設置される。すると、ゴキブリがベイト剤に誘引されて入口18から入り込み、案内傾斜部13を介して凹部12内に達し、そこに配置されているベイト剤を食することで死に至ることになる。またはベイト剤を食したゴキブリが巣に戻ってフンをし、又は死んだ場合には、それらのフンや死骸の中にはベイト剤の有効成分が残っているため、巣の中の仲間や幼虫がそのフンや死骸を食べることにより死に至ることになる。これら作用により複数のゴキブリを巣ごと退治することが可能となっている。
【0019】
使用後は、
図2に示すように、例えば不要となった割りばしなどの棒状部材30を用意し、頂壁21の上方の位置から棒状部材30を降下させその下端を、保持機構Aを構成する一対の可動片27間に差し込む。すると、
図3に示すように、一対の可動片27が左右のヒンジ部26を起点に貫通穴25内に向かって弾性変形して屈曲し、対向辺28同士の対向間隔が広がるため、一対の可動片27の間(一対の対向辺28同士の間)に棒状部材30の下端部を挟入させることができる。
【0020】
ここで、一対の可動片27には、常に元の形状に復帰しようとする弾性力が作用しているため、一対の可動片27は棒状部材30を左右両側から押圧して挟持し続ける。しかも各対向辺28には凹凸部28aが夫々形成されているため、棒状部材30と対向辺28との間の滑りが抑えられ、より確実に保持することが可能となっている。
このため、使用者が棒状部材30を上方に引き戻すことにより、除虫用餌剤容器1を回収することができる。すなわち、使用者は、使用後の除虫用餌剤容器1に直接触れることなく回収し、そのまま廃棄することができる。
【0021】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
例えば上記実施例では、保持機構Aを蓋体20の頂壁21又は側壁22に配置する構成を示して説明したが、容器本体10の外周壁部16のいずれか一箇所の位置又は複数の位置に配置する構成であっても良い。
【0022】
また本実施例では、保持機構Aを貫通穴25の縁部に対向するように配置された一対(2個)の可動片27で構成される場合を示して説明したが、可動片27の個数はこれに限られるものではなく、3個構成、4個構成などであっても良く、更に上記実施例同様に各可動片27の対向辺28には凹凸部28aを設ける構成が好ましい。また保持機構Aは上記のような可動片27以外の保持手段、例えば粘着剤などで構成されていても良い。
【0023】
また上記実施例では、害虫の一例としてゴキブリを示して説明したが、例えば蟻やダンゴムシなどその他の害虫であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、除虫用餌剤容器の分野における用途展開を更に広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 :除虫用餌剤容器
10 :容器本体
11 :底壁
12 :凹部
13 :案内傾斜部
14 :柱部
15 :水平面部
16 :外周壁部
17 :被係止部
18 :入口
20 :蓋体
21 :頂壁
22 :側壁
23 :連結壁部
23a :係止部
24 :フランジ部
25 :貫通穴
26 :ヒンジ部
27 :可動片
28 :対向辺
28a :凹凸部
30 :棒状部材
A :保持機構
O :容器軸
Oy :仮想線