(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020931
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】ポリオレフィン系樹脂発泡体、該ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法、並びに該ポリオレフィン系樹脂発泡体を用いた緩衝材、及び輸送用容器
(51)【国際特許分類】
C08J 9/06 20060101AFI20250205BHJP
【FI】
C08J9/06 CES
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124571
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(72)【発明者】
【氏名】荒木 久雄
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA20L
4F074AD09
4F074AD14
4F074AG04
4F074BA13
4F074BA29
4F074BB02
4F074CA24
4F074CA30
4F074DA02
4F074DA15
4F074DA24
4F074DA32
4F074DA33
4F074DA34
4F074DA35
4F074DA36
4F074DA45
4F074DA47
(57)【要約】
【課題】廃棄物からなる樹脂材料を用いても、品質の高い樹脂発泡体を製造し得る技術を提供すること。
【解決手段】本技術では、再生ポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂と、硫黄含有物と、を含有し、JIS K6767に準じた圧縮歪試験における25%圧縮時の圧縮応力-ひずみが、130kPa以上である、ポリオレフィン系樹脂発泡体を提供する。本技術では、また、再生ポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂と、硫黄含有物と、を含有する材料を混練して発泡性樹脂組成物を調製する混練工程と、前記発泡性樹脂組成物を発泡させて、架橋剤の分解率が50%以上である一次発泡体を形成する一次発泡工程と、前記一次発泡体を発泡させて二次発泡体を形成する二次発泡工程と、を含む、ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生ポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂と、
硫黄含有物と、を含有し
JIS K6767に準じた圧縮歪試験における25%圧縮時の圧縮応力-ひずみが、130kPa以上である、ポリオレフィン系樹脂発泡体。
【請求項2】
請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法であって、
再生ポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂と、硫黄化合物と、を含有する材料を混錬して発泡性樹脂組成物を調製する混錬工程と、
前記発泡性樹脂組成物を発泡させる発泡工程と、
を含む、ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
【請求項3】
再生ポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂と、硫黄含有物と、を含有する材料を混練して発泡性樹脂組成物を調製する混練工程と、
前記発泡性樹脂組成物を発泡させて、架橋剤の分解率が50%以上である一次発泡体を形成する一次発泡工程と、
前記一次発泡体を発泡させて二次発泡体を形成する二次発泡工程と、
を含む、ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体を用いた、緩衝材。
【請求項5】
請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体を用いた、輸送用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ポリオレフィン系樹脂発泡体に関する。より詳しくは、再生樹脂を用いたポリオレフィン系樹脂発泡体、該ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法、並びに該ポリオレフィン系樹脂発泡体を用いた緩衝材、及び輸送用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野において、プラスチック発泡体が使用されており、それに伴いプラスチック発泡体の廃棄物の処理が社会問題となっており、持続可能な社会の形成に貢献するためには、プラスチック発泡体の廃棄物を、再生可能な資源として如何に利用するかが注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、架橋ポリオレフィンの樹脂発泡体を粉砕機で粗粉砕する粗粉砕工程と、粗粉砕された樹脂発泡体を単軸押出機で加熱押出し、カットし、微粉砕物を得る微粉砕工程と、微粉砕物を、同方向二軸押出機で溶融混練する溶融混練工程と、を行うことで、樹脂を劣化させることなく、高効率で樹脂再生材を得る技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、架橋ポリエチレン系連続気泡体端材を粉砕、脱泡する工程と、脱泡物にポリエチレン系樹脂及び必要に応じて架橋剤を練和して密閉式金型に充填し加圧下に加熱後除圧して発泡させる工程と、得られた発泡体を2枚の金属板間に挟んで加圧しながら冷却する工程を行うことで、架橋ポリエチレン系連続気泡体端材を有効利用できる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-195482号公報
【特許文献2】特開2000-143860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、廃棄物からなる樹脂材料を用いて樹脂発泡体を製造する技術は、開発されつつあるが、用途に応じて品質を制御することが難しいといった課題があった。例えば、各種製品の輸送に用いられる輸送用容器や緩衝材は、製品を保護するために、ある程度の硬さが必要であるが、廃棄物からなる樹脂材料を用いて高い硬度の樹脂発泡体を製造しようとすると、製造時に破損や亀裂等が発生し易くなるといった問題があった。
【0007】
そこで、本技術では、廃棄物からなる樹脂材料を用いても、品質の高い樹脂発泡体を製造し得る技術を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を解決するために、鋭意研究を行ったところ、樹脂発泡体から再生した再生樹脂には、発泡助剤が残存しており、この残存する発泡助剤が、発泡を行う際に、破損等の原因になることを突き止めた。そして、再生樹脂を用いた発泡工程において、硫黄含有物が適度な発泡阻害作用を発揮すること、及び、樹脂発泡体の圧縮応力-ひずみが特定の範囲となるように発泡条件を工夫することで、高い硬度を有しながらも、破損や亀裂等の外観不良を防止することに成功し、本技術を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本技術では、まず、再生ポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂と、
硫黄含有物と、を含有し、
JIS K6767に準じた圧縮歪試験における25%圧縮時の圧縮応力-ひずみが、130kPa以上である、ポリオレフィン系樹脂発泡体を提供する。
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体は、
再生ポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂と、硫黄化合物と、を含有する材料を混錬して発泡性樹脂組成物を調製する混錬工程と、
前記発泡性樹脂組成物を発泡させる発泡工程と、
を含む、ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法により製造することができる。
【0010】
本技術では、次に、再生ポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂と、硫黄含有物と、を含有する材料を混練して発泡性樹脂組成物を調製する混練工程と、
前記発泡性樹脂組成物を発泡させて、架橋剤の分解率が50%以上である一次発泡体を形成する一次発泡工程と、
前記一次発泡体を発泡させて二次発泡体を形成する二次発泡工程と、
を含む、ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法を提供する。
【0011】
本技術では、更に、本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体を用いた、緩衝材、及び輸送用容器を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、いずれの実施形態も組み合わせることが可能である。また、これらにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0013】
1.ポリオレフィン系樹脂発泡体
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体は、再生ポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂と、硫黄含有物と、を含有する。即ち、本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体は、再生ポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂と、硫黄含有物と、を含有する樹脂組成物の発泡体である。また、本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体を製造するための樹脂組成物(以下、「前記樹脂組成物」ともいう)には、発泡剤、架橋剤、発泡助剤、滑剤、架橋促進剤、及びその他目的に応じてポリオレフィン系樹脂発泡体の製造に用いることが可能な各種成分を含有させることができる。以下、各成分について詳細に説明する。
【0014】
(1)ポリオレフィン系樹脂
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体に用いることができるポリオレフィン系樹脂は、オレフィン成分単位を主成分とする樹脂である。オレフィン成分単位を主成分とする樹脂とは、オレフィン成分単位が50質量%以上含まれる樹脂である。本技術において、樹脂中のオレフィン成分単位の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、樹脂成分がポリオレフィン系樹脂のみから構成されていることが特に好ましい。
【0015】
本技術に用いることができるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、ポリペンテン、及びオレフィン系モノマーと該オレフィン系モノマーと共重合し得るモノマーとの共重合体等が挙げられ、これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0016】
ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)等のエチレン単独重合体;エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体、エチレン-ブテンブロック共重合体、エチレン-ブテンランダム共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びエチレン-メチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0017】
ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、及びアタクチックポリプロピレン等のプロピレン単独重合体;プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-ブテンランダム共重合体、プロピレン-ブテンブロック共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン三元共重合体、プロピレン-アクリル酸共重合体、及びプロピレン-無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
【0018】
この中でも、本技術では、ポリエチレン系樹脂を用いることが好ましく、ポリエチレン系樹脂の中でも、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体を用いることが好ましい。
【0019】
[再生ポリオレフィン系樹脂]
本技術で用いるポリオレフィン系樹脂は、以上説明したポリオレフィン系樹脂の廃棄物から再生される再生ポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする。本技術において、再生ポリオレフィン系樹脂とは、一般的な方法を用いて脱泡及び脱架橋した樹脂組成物から製造される樹脂である。即ち、本技術において、再生ポリオレフィン系樹脂とは、樹脂発泡体や樹脂を粉砕しただけの樹脂粉砕物ではなく、使用済のポリオレフィン系樹脂発泡体を、粉砕、剪断、及び溶融混練等を行うことで、脱泡及び脱架橋された状態の樹脂である。
【0020】
使用済のポリオレフィン系樹脂発泡体の脱泡及び脱架橋方法は、本技術の効果を損なわない限り特に限定されず、一般的な脱泡及び脱架橋方法を自由に選択して用いることができる。本技術では、例えば、前記特許文献1に記載された方法を用いて再生された再生ポリオレフィン系樹脂を好適に用いることができる。
【0021】
原料における再生ポリオレフィン系樹脂のゲル分率は、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、原料における再生ポリオレフィン系樹脂のゲル分率の上限値は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができるが、例えば50%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、更に好ましくは15%以下である。原料における再生ポリオレフィン系樹脂のゲル分率をこの範囲にすることで、破損や亀裂等が少ない樹脂発泡体を製造することができる。
【0022】
原料における再生ポリオレフィン系樹脂のゲル分率の下限値は特に限定されないが、例えば0%、1%以上、2%以上等に設定することができる。
【0023】
なお、本技術において、原料における再生ポリオレフィン系樹脂のゲル分率は、JIS K 6796/ISO-15875-2:2003に基づく方法に準拠して測定した値である。
【0024】
本技術で用いるポリオレフィン系樹脂中の再生ポリオレフィン系樹脂の含有量は、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、原料における樹脂成分中の再生ポリオレフィン系樹脂の含有量の下限値は、例えば5質量%以上、好ましくは7質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。樹脂成分中の再生ポリオレフィン系樹脂の含有量をこの範囲とすることで、発泡性を向上させることができるため、後述する発泡助剤の使用量を低減しても、発泡性の良好なポリオレフィン系樹脂発泡体を製造することができる。
【0025】
原料における樹脂成分中の再生ポリオレフィン系樹脂の含有量の上限値は、例えば75質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。樹脂成分中の再生ポリオレフィン系樹脂の含有量をこの範囲とすることで、高い硬度を有しながらも、破損や亀裂等が少ない樹脂発泡体を製造することができる。
【0026】
なお、本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体には、ポリオレフィン系樹脂の他に、本技術の目的や作用効果を損なわない範囲で他の樹脂や、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー等が含まれていてもよい。ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。熱硬化性エラストマーとしては、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM)等の合成ゴムや天然ゴムが挙げられる。
【0027】
(2)硫黄含有物
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体に用いる硫黄含有物とは、硫黄を含有し、発泡阻害作用を発揮する物質である。例えば、2-メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプト-5-メチルベンズイミダゾール、2-メルカプト-5-メトキシベンズイミダゾール、2-メルカプト-5-カルボキシベンズイミダゾール、2-メルカプト-5-ニトロベンズイミダゾール、1,3-ジヒドロ-1-フェニル-2H-ベンズイミダゾール-2-チオン、2-メルカプトベンズイミダゾール等のメルカプタン類;硫化銅や硫化鉄等の金属硫化物等の硫化物;メタンスルホン酸等の有機スルホン酸類等のスルホン酸類;ジメチルスルホキシド、アホエン、アリシン等のスルホキシド類等が挙げられ、これらの硫黄含有物を1種又は2種以上自由に選択して用いることができる。この中でも、本技術では特に、硫黄含有物として、メルカプタン類を用いることが好ましく、2-メルカプトベンズイミダゾール(MBI)を用いることがより好ましい。
【0028】
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体に用いる硫黄含有物の量は、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、前記樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対する硫黄含有物の含有量の上限値は、例えば1質量部以下、好ましくは0.8質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.2質量部以下である。前記樹脂組成物中の硫黄含有物の含有量をこの範囲とすることにより、発泡体製造時の発泡性の低下を防止することができる。
【0029】
本技術では、前記樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対する硫黄含有物の含有量の下限値は、例えば、0.005質量部以上、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上、更に好ましくは0.03質量部以上である。前記樹脂組成物中の硫黄含有物の含有量をこの範囲とすることにより、発泡体製造時の発泡性の過度な上昇を抑制することができ、製造された発泡体の亀裂や破損を防止して、製造された発泡体の品質を向上させることができる。
【0030】
(3)発泡剤
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体を製造するための前記樹脂組成物には、発泡剤を含有させることができる。本技術に用いることができる発泡剤としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリオレフィン系樹脂発泡体に用いることができる発泡剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0031】
本技術に用いることができる発泡剤としては、例えば、有機系又は無機系の熱分解型化学発泡剤を用いることができる。有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のアゾ化合物、N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。無機系発泡剤としては、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
【0032】
この中でも、本技術では、発泡剤として有機系発泡剤を用いることが好ましく、有機系発泡剤の中でも、アゾジカルボンアミド(ADCA)を用いることが好ましい。
【0033】
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の製造に用いる発泡剤の量は、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、前記樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対する発泡剤の含有量としては、例えば、0.7質量部以上、好ましくは2.0質量部以上、より好ましくは3.0質量部以上である。前記樹脂組成物中の発泡剤の含有量をこの範囲とすることにより、発泡体製造時の発泡性を向上し、製造する発泡体の物性を向上させることができる。
【0034】
本技術では、前記樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対する発泡剤の含有量としては、例えば、25質量部以下、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。前記樹脂組成物中の発泡剤の含有量をこの範囲とすることにより、発泡過剰による形成不良を抑制することができ、また、コスト削減に貢献することもできる。
【0035】
(4)架橋剤
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体は、架橋発泡体であってもよい。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の製造時に架橋を行うことにより、発泡前の前記組成物(混練物)の粘度を向上させて、発泡性を向上させることができる。また、製造された発泡体の物性を向上させることができる。
【0036】
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体が架橋発泡体の場合、電離性放射線照射による架橋を行うこともできるが、架橋剤を用いて化学的に架橋することもできる。本技術に用いることができる架橋剤としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリオレフィン系樹脂発泡体に用いることができる架橋剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0037】
本技術に用いることができる架橋剤としては、例えば、シラン基、過酸化物、水酸基、アミド基、エステル基等の化学構造を有する架橋剤が挙げられる。この中でも、本技術では、架橋剤として、有機過酸化物を用いることが好ましい。
【0038】
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5
-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペ
ルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン
-3、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチ
ルシクロヘキサンおよびt-ジブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。この中でも、
本技術では、架橋剤として、ジクミルパーオキサイドを用いることが好ましい。
【0039】
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の製造に用いる架橋剤の量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、前記樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対する架橋剤の含有量としては、例えば、0.1質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上である。前記樹脂組成物中の架橋剤の含有量をこの範囲とすることにより、粘度を向上させて発泡性を向上させることができる。また、製造された発泡体の耐久性等の機械的特性を向上させることができる。
【0040】
本技術では、前記樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対する架橋剤の含有量としては、例えば、4.0質量部以下、好ましくは3.0質量部以下、より好ましくは2.0質量部以下である。前記樹脂組成物中の架橋剤の含有量をこの範囲とすることにより、発泡時に裂け等が生じることを防ぎ、成形性を向上させることができる。
【0041】
(5)発泡助剤
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体を製造するための前記樹脂組成物には、発泡助剤を含有させることができる。前述の通り、本技術では、発泡助剤が残存する再生ポリオレフィン系樹脂を用いるため、発泡助剤は必ずしも必須ではないが、再生ポリオレフィン系樹脂の含有量に応じて、発泡助剤を用いることも可能である。
【0042】
本技術に用いることができる発泡助剤としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリオレフィン系樹脂発泡体に用いることができる発泡助剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。本技術に用いることができる発泡助剤としては、例えば、尿素等の尿素系助剤、金属酸化物、脂肪酸金属塩、及び無機金属塩が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化鉛等が挙げられる。脂肪酸金属塩としては、例えば、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸カルシウム等が挙げられる。無機金属塩としては、例えば、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、二塩基性亜リン酸鉛、及び三塩基性硫酸鉛等が挙げられる。この中でも、本技術では、発泡助剤として酸化亜鉛及び/又は尿素を用いることが好ましい。
【0043】
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の製造に用いる発泡助剤の量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、前記樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対する発泡助剤の含有量としては、例えば、0.01質量部以上、好ましくは0.02質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上である。前記樹脂組成物中の発泡助剤の含有量をこの範囲とすることにより、発泡体製造時の発泡性を向上させることができる。
【0044】
本技術では、前記樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対する発泡助剤の含有量としては、例えば、3.0質量部以下、好ましくは2.0質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下である。前記樹脂組成物中の発泡助剤の含有量をこの範囲とすることにより、発泡過剰による形成不良を抑制することができ、また、コスト削減に貢献することもできる。
【0045】
(6)滑剤
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体を製造するための前記樹脂組成物には、滑剤を含有させることができる。本技術に用いることができる滑剤としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリオレフィン系樹脂発泡体に用いることができる滑剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。本技術に用いることができる滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、シリコーンオイル、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート等が挙げられる。この中でも、本技術では、滑剤としてステアリン酸を用いることが好ましい。
【0046】
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の製造に用いる滑剤の量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、前記樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対する滑剤の含有量としては、例えば、0.01質量部以上、好ましくは0.02質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上である。前記樹脂組成物中の滑剤の含有量をこの範囲とすることにより、発泡体製造時の作業性を向上することができる。
【0047】
本技術では、前記樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対する滑剤の含有量としては、例えば、3.0質量部以下、好ましくは2.0質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下である。前記樹脂組成物中の滑剤の含有量をこの範囲とすることにより、形成不良を抑制することができ、また、コスト削減に貢献することもできる。
【0048】
(7)その他
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の製造には、本技術の目的や効果を損なわない限り、その他の成分として、ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造に用いることができる各種成分を、目的に応じて1種又は2種以上自由に選択して用いることができる。
【0049】
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の製造に用いることができる成分としては、例えば、架橋促進剤、無機充填剤、整泡剤、難燃剤、安定剤、可塑剤、着色剤、酸化防止剤、分散剤、紫外線吸収剤等を挙げることができる。
【0050】
(8)密度
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の密度は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、ポリオレフィン系樹脂発泡体の密度の下限値として、例えば25kg/m3以上、好ましくは30kg/m3以上、より好ましくは40kg/m3以上、更に好ましくは50kg/m3以上である。ポリオレフィン系樹脂発泡体の密度の下限値をこの範囲にすることで、柔らかくなりすぎるのを防止し、適度な弾力性を付与することができる。
【0051】
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の密度の上限値は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができるが、例えば80kg/m3以下、好ましくは75kg/m3以下、より好ましくは70kg/m3以下である。ポリオレフィン系樹脂発泡体の密度をこの範囲にすることで、ポリオレフィン系樹脂発泡体が硬くなりすぎて柔軟性が損なわれることを防止し、適度なクッション性を付与することができる。
【0052】
なお、本技術において、ポリオレフィン系樹脂発泡体の密度は、JIS K6767に基づく方法に準拠して測定した値である。
【0053】
(9)アスカーC硬度
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体のアスカーC硬度は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、ポリオレフィン系樹脂発泡体のアスカーC硬度の下限値として、例えば30以上、好ましくは35以上、より好ましくは40以上、更に好ましくは45以上である。ポリオレフィン系樹脂発泡体のアスカーC硬度の下限値をこの範囲にすることで、ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐久性を向上させることができる。
【0054】
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体のアスカーC硬度の上限値は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができるが、例えば80以下、好ましくは75以下、より好ましくは70以下、更に好ましくは60以下である。ポリオレフィン系樹脂発泡体のアスカーC硬度をこの範囲にすることで、硬くなりすぎることを防止し、適度な柔軟性を付与することできる。
【0055】
なお、本技術において、ポリオレフィン系樹脂発泡体のアスカーC硬度は、JIS K7312に基づく方法に準拠して測定した値である。
【0056】
(10)25%圧縮時の圧縮応力-ひずみ
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の25%圧縮時の圧縮応力-ひずみは、130kPa以上である。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の25%圧縮時の圧縮応力-ひずみの下限値は、本技術の目的や効果を損なわない限り、130kPa以上の範囲で自由に設定することができるが、好ましくは140kPa以上、より好ましくは145kPa以上、更に好ましくは150kPa以上である。ポリオレフィン系樹脂発泡体の25%圧縮時の圧縮応力-ひずみをこの範囲に設定することで、一般的な輸送物を梱包するのに適した硬さとなる。
【0057】
本技術に係る架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の25%圧縮時の圧縮応力-ひずみの上限値は特に限定されないが、例えば1000kPa以下等に設定することができる。
【0058】
なお、本技術において、ポリオレフィン系樹脂発泡体の25%圧縮時の圧縮応力―ひずみは、JIS K6767に基づく方法に準拠して測定した値である。
【0059】
2.ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体は、その組成に特徴があって、その製造方法については、特に限定されない。例えば、ポリオレフィン系樹脂、及び硫黄含有物に発泡剤を加え、さらに必要に応じて、架橋剤やその他の添加剤を任意に加えて混合し、その後、発泡成形する方法を採用することができる。好ましくは、ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法は、以下の一段ブロック発泡法、二段ブロック発泡法、化学架橋を用いた長尺発泡法、電子線架橋を用いた長尺発泡法のいずれであってもよく、二段ブロック発泡法を用いることが、より好ましい。
【0060】
<一段ブロック発泡法>
一段ブロック発泡法は、例えば以下の工程(1)-(2)を備える。
(1)混練工程
再生ポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂、硫黄含有物、発泡剤、及び適宜必要とされる架橋剤、発泡助剤、滑剤、その他の任意成分を、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどの混練装置によって発泡剤の分解温度以下の温度で溶融混練し、発泡性樹脂組成物を調製する。
【0061】
(2)発泡工程
混練工程で得られた発泡性樹脂組成物を、金型内に充填して密封し、加圧した状態で、発泡剤及び架橋剤(架橋剤を用いる場合)の分解温度以上の温度で、所定時間加熱することにより、発泡剤及び架橋剤(架橋剤を用いる場合)の分解を進行させる。その後、金型を開いて除圧することにより、ポリオレフィン系樹脂発泡体を得る。
【0062】
<二段ブロック発泡法>
二段ブロック発泡法は、例えば以下の工程(1)-(3)を備える。
(1)混練工程
再生ポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂、硫黄含有物、発泡剤、及び適宜必要とされる架橋剤、発泡助剤、滑剤、その他の任意成分を、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどの混練装置によって発泡剤の分解温度以下の温度で溶融混練し、発泡性樹脂組成物を調製する。
【0063】
(2)一次発泡工程
混練工程で得られた発泡性樹脂組成物を、一次金型の成形空間に充填し、加圧下で加熱する。これにより発泡剤の一部、及び架橋剤(架橋剤を用いる場合)の一部又は全部を分解させる。その後除圧し、発泡性樹脂組成物中間体(一次発泡体)を取り出す。加熱温度は、通常120-160℃、加熱時間は通常25-60分の範囲で決定される。
【0064】
一次発泡工程では、架橋剤の分解率が50%以上となるように一次発泡体を形成することが好ましい。一次発泡工程における架橋剤の分解率のこの範囲に調整することで、25%圧縮時の圧縮応力-ひずみが130kPa以上のポリオレフィン系樹脂発泡体を確実に製造することができ、また、高い硬度を有しながらも、破損や亀裂等が少ない樹脂発泡体を製造することができる。
【0065】
一次発泡工程における架橋剤の分解率の下限値は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。一次発泡工程における架橋剤の分解率の上限値は特に限定されないが、例えば100%、99%以下、98%以下等に設定することができる。
【0066】
なお、本技術において、架橋剤の分解率は、下記の数式(1)に基づいて算出された値である。
架橋剤の分解率(%)={1-exp(-kdt)}×100 ・・・(1)
t:反応時間
kd:熱分解速度定数
kd=Aexp(-ΔE/RT)
A:頻度因子
ΔE:活性化エネルギー
R:気体定数
T:絶対温度(K)
【0067】
(3)二次発泡工程
一次発泡工程で得られた発泡性樹脂組成物中間体(一次発泡体)を、非密閉の二次金型の成形空間に配置し、常圧下で加熱して二次発泡させ、冷却した後に、二次金型から樹脂発泡体を取り出す。加熱温度は、通常140-180℃、加熱時間は通常30分-6時間の範囲で決定される。
【0068】
<化学架橋を用いた長尺発泡法>
長尺発泡法は、例えば以下の工程(1)-(2)を備える。
(1)混練工程
再生ポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂、硫黄含有物、発泡剤、及び適宜必要とされる架橋剤、発泡助剤、滑剤、その他の任意成分を、単軸押出機、二軸押出機などで混練するとともにシート状に押出してシート等の所定形状の発泡性樹脂組成物(以下、母板という)を押出す。混練及び押出しは押出機により一括して行うことができる。
【0069】
(2)発泡工程
混練工程で得られた母板を、オーブン等の加熱装置中に運搬しながら、120-250℃(発泡剤及び架橋剤の分解温度以上)にて5-20分間加熱して発泡させることにより樹脂発泡体を得る。なお、オーブン等の加熱装置と運搬装置とが一体となった装置を用いると、当該母板を連続して処理することができるため好ましい。
【0070】
<電子線架橋を用いた長尺発泡法>
電子線架橋を用いた長尺発泡法は、例えば以下の工程(1)-(3)を備える。
(1)混練工程
再生ポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂、硫黄含有物、発泡剤、及び適宜必要とされる架橋剤、発泡助剤、滑剤、その他の任意成分を、単軸押出機、二軸押出機などで混練するとともに、シート状等の所定形状の樹脂組成物(以下、母板という)を押出す。混練及び押出しは押出機により一括して行うことができる。
【0071】
(2)架橋工程
混練工程で得られた母板を架橋する。架橋方法としては、電子線、γ線等の電離放射線を照射する方法を用いることができ、電子線照射による架橋(電子線架橋)が好ましい。電子線架橋は、電子線照射機を用いて行うことができる。なお、必要に応じて、前述した有機過酸化物等の架橋剤を併用してもよい。
【0072】
(3)発泡工程
架橋工程で得られた架橋済みの母板を、オーブン等の加熱装置中に運搬しながら、120-250℃(発泡剤の分解温度以上)にて5-20分間加熱して発泡させることにより樹脂発泡体を得る。なお、オーブン等の加熱装置と運搬装置とが一体となった装置を用いると、当該母板を連続して処理することができるため好ましい。
【0073】
以上説明した本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法では、目的に応じて、その他の工程を行うことができる。例えば、架橋工程や発泡工程後に、冷却工程、熟成工程等を行うことができる。また、製造した発泡体を耳切りしたり、スライスしたりする成形工程等を行うことも可能である。
【0074】
3.ポリオレフィン系樹脂発泡体の用途
本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体は、その品質の高さを利用して、あらゆる分野であらゆる用途に用いることができる。例えば、建築用緩衝材、建築用シール材、家電用シール材、梱包材、輸送用容器、車両用緩衝材、建築用内装材、車両用内装材、家電用緩衝材、配管断熱材、各種カバー、クッション材、玩具、雑貨、クリーナー、各種スポンジ、ビート板、浮き、スポーツ雑貨等に好適に用いることができる。本技術に係るポリオレフィン系樹脂発泡体は、通函のような何度も繰り返し使用される耐久性が求められる輸送用容器や緩衝材に、特に好適に用いることができる。
【実施例0075】
以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0076】
実施例では、再生ポリオレフィン系樹脂を用いて発泡体を製造する場合の物性について検証した。
【0077】
(1)原料
再生ポリオレフィン系樹脂:架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の廃材を脱架橋したもの
バージン樹脂:低密度ポリエチレン(LDPE)(MFR:3.0g/10min、融点:110℃)
発泡剤:アゾジカルボンアミド(ADCA)
架橋剤:ジクミルパーオキサイド(DCP)
発泡助剤1:酸化亜鉛
発泡助剤2:尿素
滑剤:ステアリン酸
硫黄含有物:2-メルカプトベンズイミダゾール
リサイクル工程添加酸化防止剤:Pentaerythritol tetrakis[3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl)propionate]
【0078】
(2)発泡体の製造
下記表1に示す各発泡体原料をニーダーにて混練した後、型に充填し、下記表1に示す条件にて加熱、及び加圧して一次発泡させた後、前記型よりも大きな型に移し、160℃で90分加熱、及び加圧して二次発泡させ、更に90分間冷却することにより、各発泡体を製造した。
【0079】
(3)物性測定
製造した発泡体について、下記の方法を用いて密度と外観の評価を行った。
【0080】
[密度]
密度は、JIS K6767に準拠して測定した。
【0081】
[外観]
下記の基準に従って、発泡体の外観を評価した。
〇:破損・亀裂なし
△:破損はないが、亀裂あり
×:破損あり
【0082】
[アスカーC硬度]
アスカーC硬度は、JIS K7312に準拠して測定した。
【0083】
[25%圧縮時の圧縮応力-ひずみ]
JIS K6767に準拠して測定した。
【0084】
【0085】
(5)考察
表1に示す通り、実施例1~4は、一般的なポリオレフィン系樹
脂発泡体である再生樹脂を用いなかったブランク(BL)と同等の物性を有していた。一方、硫黄含有物を用いずに、再生樹脂を50質量部用いて発泡体を製造した比較例2は、一次発泡の際に破損してしまい、各物性を測定することができなかった。また、25%圧縮時の圧縮応力-ひずみが、130kPa未満である比較例1は、外観は良好であったが、アスカーC硬度が低く、硬度が必要な用途には不向きであることが分かった。