(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020934
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
B65D 81/32 20060101AFI20250205BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20250205BHJP
B05B 11/10 20230101ALI20250205BHJP
【FI】
B65D81/32 T
B65D81/32 R
B05B11/00 101F
B05B11/10 101F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124574
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013AC01
3E013AD12
3E013AE02
3E013AF08
3E013AF32
(57)【要約】
【課題】簡便な手入れで異なる種類の内容液を使用できる吐出器を提供する。
【解決手段】本発明に係る態様の吐出器は、上方付勢状態で下方移動可能に設けられたステム、及びステムの上下動によって内圧が増減するシリンダを有するポンプと、シリンダ内に連通する流通路、流通路に連通する吐出口が形成され、ステムを押し下げ操作する押下ヘッドと、を備えている。押下ヘッドは、吐出口が形成されるとともに、ステムに取り付けられたノズル部材と、ノズル部材への装着状態において流通路内に連通する連通口、及び第2液体が収容されるとともに、連通口を通じて流通路に連通する収容空間を形成し、ノズル部材に着脱可能に装着されたカートリッジと、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方付勢状態で下方移動可能に設けられたステム、及び前記ステムの上下動によって内圧が増減するシリンダを有し、前記シリンダの内圧減少により容器体内の第1液体が前記シリンダ内に導入されるとともに、前記シリンダの内圧上昇により前記シリンダ内の第1液体を送り出すポンプと、
前記シリンダ内に連通する流通路、前記流通路に連通する吐出口が形成され、前記ステムを押し下げ操作する押下ヘッドと、を備え、
前記押下ヘッドは、
前記吐出口が形成されるとともに、前記ステムに取り付けられたノズル部材と、
前記ノズル部材への装着状態において前記流通路内に連通する連通口、及び第2液体が収容されるとともに、前記連通口を通じて前記流通路に連通する収容空間を形成し、前記ノズル部材に着脱可能に装着されたカートリッジと、を備えている吐出器。
【請求項2】
前記カートリッジは、
有底筒状のカートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体の開口部を閉塞する蓋部と、を備えている請求項1に記載の吐出器。
【請求項3】
前記蓋部は、前記ノズル部材への装着状態において前記押下ヘッドの押下部を構成し、
前記蓋部における少なくとも一部は、押し下げ操作時に弾性変形可能な薄肉部を含んでいる請求項2に記載の吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体が収容される容器体と、液体を吐出する吐出口を有し、容器体に着脱可能に装着される吐出器と、を備えた吐出容器が知られている。例えば下記特許文献1には、薬剤収納室に収納された添加剤(薬剤)を、吐出容器の使用前(吐出前)に容器体内に投入することで、添加剤が添加された液体を吐出する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した吐出容器のように容器体内に添加剤を直接添加する構成にあっては、例えば添加剤が香料を含む場合に、現在使用している添加剤の香料とは異なる香料を含む添加剤を使用する際、容器体の匂い残りが課題となる。容器体に匂い残りが発生すると、消費者は、容器体の洗浄に手間が掛かったり、吐出容器全体を買い替えたりする必要があった。
また、添加剤の性質(添加後の時間経過等によって、混合物の性質が変化してしまう場合等)によっては、添加剤を吐出直前に添加することが好ましい場合もある。
【0005】
本発明は、簡便な手入れで異なる種類の内容液を使用できる吐出器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係る吐出器は、上方付勢状態で下方移動可能に設けられたステム、及び前記ステムの上下動によって内圧が増減するシリンダを有し、前記シリンダの内圧減少により容器体内の第1液体が前記シリンダ内に導入されるとともに、前記シリンダの内圧上昇により前記シリンダ内の第1液体を送り出すポンプと、前記シリンダ内に連通する流通路、前記流通路に連通する吐出口が形成され、前記ステムを押し下げ操作する押下ヘッドと、を備え、前記押下ヘッドは、前記吐出口が形成されるとともに、前記ステムに取り付けられたノズル部材と、前記ノズル部材への装着状態において前記流通路内に連通する連通口、及び第2液体が収容されるとともに、前記連通口を通じて前記流通路に連通する収容空間を形成し、前記ノズル部材に着脱可能に装着されたカートリッジと、を備えている。
【0007】
本態様によれば、押し下げ操作(吐出操作)時において、第1液体が流通路を通過する際、流通路に負圧が作用することで、収容空間の第2液体が連通口を通じて流通路内に流入する。これにより、第1液体及び第2液体が流通路で混合された状態で、吐出口から吐出される。この場合、同一製品について、例えば香料等の添加剤の種類を変えて複数種類の吐出容器として展開する際、容器体には各種類間で共通の第1液体(例えば、無香料の液体)を充填することで、容器体内に種類ごとの液体を充填する必要がない。そのため、製造工程の簡素化を図ることができる。
また、容器体には各種類で共通の第1液体が充填されるので、カートリッジのみの交換によって異なる種類の混合液体を使用することができる。これにより、異なる種類の香料が添加された液体を吐出したい場合、容器体への匂い残りを軽減することができる。そのため、容器体の洗浄の手間を軽減した上で、吐出容器全体を買い替えることなく、異なる種類の混合液体を吐出することができる。
また、添加剤となる第2液体を吐出直前に第1液体に添加することができるので、混合液体の性質変化も抑制できる。
その結果、消費者にとって使い勝手に優れた吐出容器を提供することができる。
【0008】
上記態様に係る吐出器において、前記カートリッジは、有底筒状のカートリッジ本体と、前記カートリッジ本体の開口部を閉塞する蓋部と、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、カートリッジ内に第2液体を容易に収容することができる。
【0009】
上記態様に係る吐出器において、前記蓋部は、前記ノズル部材への装着状態において前記押下ヘッドの押下部を構成し、前記蓋部における少なくとも一部は、押し下げ操作時に弾性変形可能な薄肉部を含んでいることが好ましい。
本態様によれば、押下部を介して押下ヘッドを押し下げ操作する際に、押下部が弾性変形することで、収容空間が加圧される。これにより、収容空間の第2液体を流通路内に効果的に供給することができる。そのため、第1液体に対して第2液体が十分に混合された混合液体を吐出することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡便な手入れで異なる種類の内容液を使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】実施形態に係る吐出容器の拡大断面図である。
【
図4】実施形態に係るカートリッジの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、吐出器が容器体に装着された状態の吐出容器を例にして、本発明に係る吐出器を説明する。
図1に示す吐出容器1は、有底筒状の容器体と、容器体の口部に着脱可能に装着された有頂筒状の吐出器3と、を備えている。容器体及び吐出器3は、軸線Oを同軸として配置されている。以下、軸線Oに沿う方向を上下方向とし、上下方向のうち、吐出器3の押下ヘッド13側を上方といい、容器体の底部(不図示)側を下方という。また、上下方向から見て軸線Oに交差する方向を径方向といい、上下方向から見て軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0013】
容器体には、第1液体が収容されている。第1液体としては、例えば化粧料や薬剤、消臭剤や洗浄剤等の溶媒として用いられる液体であって、無色透明や無香料のような容器体に色や匂いが移り難いものが好適に用いられる。第1液体としては、水やアルコール等であってもよい。
【0014】
吐出器3は、装着キャップ11と、ポンプ12と、押下ヘッド13と、を備えている。
装着キャップ11は、環状の頂壁11aを有する有頂筒状に形成されている。装着キャップ11は、容器体の口部に着脱可能に装着される。装着キャップ11において、頂壁11aには装着筒11bが形成されている。装着筒11bは、頂壁11aの内径よりも内側に張り出すことで、下方を向く下面を有している。頂壁11aのうち、装着筒11bに対して径方向の外側に位置する部分には、ガイド筒11cが形成されている。ガイド筒11cは、装着筒11bの周囲を取り囲んでいる。
【0015】
ポンプ12は、装着キャップ11に取り付けられている。ポンプ12は、シリンダ21と、ピストン22と、付勢部材23と、筒部24と、軸部25と、シール筒26と、ステム27と、を備えている。ポンプ12は、シリンダ21の内容積の増加による内圧減少により、容器体内の第1液体をシリンダ21内に導入するとともに、シリンダ21の内容積の減少による内圧上昇により、シリンダ21内の第1液体を押下ヘッド13に送り出す。
【0016】
シリンダ21は、シリンダ本体21aと、弁筒部21bと、嵌合筒21cと、フランジ部21d、を備えている。
シリンダ本体21aは、軸線Oと同軸に配置された筒状に形成されている。シリンダ本体21aには、シリンダ本体21aを径方向に貫通する圧逃がし孔31及び連絡孔32が形成されている。圧逃がし孔31は、連絡孔32よりも下方に位置している。シリンダ本体21aの内周面において、圧逃がし孔31よりも下方に位置する部分には、圧逃がし溝33が形成されている。圧逃がし溝33は、周方向に間欠的に設けられている。
【0017】
弁筒部21bは、シリンダ本体21aから下方に延びている。弁筒部21bは、シリンダ本体21aと同軸上で、下方に向かうに従い漸次外径が縮小するテーパ状に形成されている。弁筒部21bの内周面には、ボール弁34が上方に向けて離反可能に配置されている。ボール弁34は、シリンダ本体21a内の加圧時に容器体内とシリンダ本体21a内との連通を遮断する一方、シリンダ本体21a内の減圧時に容器体内とシリンダ本体21a内とを連通させる逆止弁である。
【0018】
嵌合筒21cは、弁筒部21bから下方に向けて延びている。嵌合筒21c内には、吸上げパイプ35の上端部が嵌め込まれている。吸上げパイプ35の下端部は、容器体内において、底部に近接している。
【0019】
フランジ部21dは、シリンダ本体21aの上端開口縁から径方向の外側に張り出している。フランジ部21dは、装着キャップ11内に嵌め込まれている。フランジ部21dは、パッキンを介して口部の上端開口縁と頂壁11aとにより上下方向に挟まれる。すなわち、シリンダ21は、装着キャップ11を介して容器体に固定される。
【0020】
ピストン22は、ステム27の上下動に連係し、かつシリンダ21内に上下摺動可能に嵌め込まれている。ピストン22は、シリンダ本体21aの内周面のうち、圧逃がし孔31と圧逃がし溝33との間に位置する部分に当接している。ピストン22の下降端位置において、ピストン22の下端部は、圧逃がし溝33に到達する。
【0021】
付勢部材23は、シリンダ本体21a内において、ピストン22よりも下方に位置する部分に収容されている。付勢部材23は、ピストン22の下端部と、シリンダ本体21aの下端部(弁筒部21bとの境界部分)と、の間に介在して、ピストン22を上方に向けて付勢する。なお、付勢部材23は、例えばコイルばねである。
【0022】
筒部24は、ピストン22に一体形成されている。筒部24は、軸線Oと同軸上で、ピストン22から上方に向けて延びている。
軸部25は、筒部24の上端開口部を閉塞するとともに、筒部24に対して上方に突出している。軸部25の上端部は、上方に向かうに従い漸次先細っている。軸部25の少なくとも上端部は、シリンダ本体21aの上端開口部を通じて上方に突出している。
【0023】
シール筒26は、一部がシリンダ21の上端開口部から上方に突出した状態で、シリンダ本体21a内に挿入されている。具体的に、シール筒26の下端部は、シール筒26の上昇端位置において、シリンダ本体21aの内周面のうち、連絡孔32よりも上方に位置する部分に当接している。一方、シール筒26の下端部は、シール筒26が下降端位置に位置したときに、連絡孔32と圧逃がし孔31との間に位置する。すなわち、シール筒26の下降時に、シール筒26の下端部は、連絡孔32を通過する。シール筒26の上端部は、軸部25の上端部より下方に位置している。シール筒26の外周面と、装着筒11bの内周面と、の間には、径方向の隙間が設けられている。
【0024】
シール筒26の内周面と、筒部24及び軸部25それぞれの外周面と、の間には、上下方向に延び、上方に向けて開口した連通路29が形成されている。連通路29は、筒部24を径方向に貫く貫通孔を通して筒部24内に連通している。
【0025】
ステム27は、上方付勢状態で下方移動可能に軸部25に支持されている。ステム27は、軸線Oと同軸に配置されるとともに、上方に位置するものほど外径が小さい多段筒状に形成されている。具体的に、ステム27は、下筒部27aと、上筒部27bと、を備えている。
下筒部27aは、シール筒26の外周面と、装着筒11bの内周面と、の間に差し込まれている。下筒部27aの下端開口縁は、シリンダ本体21aの上端開口部と上下方向に向かい合っている。下筒部27aの内周面には、シール筒26における上端部の外周面が液密に当接している。下筒部27aの下端部には、径方向の外側に向けて突出する規制突起27cが形成されている。ステム27は、規制突起27cが装着筒11bの下面(頂壁11aから張り出した部分)に当接することで、装着キャップ11に対する上方移動が規制されている。
【0026】
上筒部27bは、下筒部27aから上方に延びている。上筒部27bは、下筒部27aと同軸で、かつ下筒部27aよりも小径に形成されている。上筒部27bと下筒部27aとの境界部分には、上筒部27bに対して径方向の内側に張り出す内フランジ部27dが形成されている。内フランジ部27dの内周縁には、軸部25の上端部が、全周にわたって液密に当接している。これにより、上筒部27b内と下筒部27a内との連通が遮断されるとともに、ステム27は、上方付勢状態で下方移動可能に構成されている。
図2に示すように、上筒部27bの内周面には、連通溝27eが形成されている。連通溝27eは、上筒部27bにおける上下方向の全長に亘って延びるとともに、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0027】
押下ヘッド13は、ポンプ12を押し下げ操作するためのものである。押下ヘッド13は、吐出器3が容器体に装着された状態において、容器体の外部(上方)に位置している。押下ヘッド13は、ノズル部材51と、カートリッジ52と、を備えている。
ノズル部材51は、軸線Oと同軸に配置された有頂筒状に形成されている。具体的に、挿入筒61と、天壁部62と、嵌合筒63と、シール筒64と、導入筒65と、を備えている。
【0028】
挿入筒61は、少なくとも下端部がガイド筒11c内に挿入されている。挿入筒61がガイド筒11cによって径方向の外側から支持されることで、装着キャップ11に対するノズル部材51の上下動が案内される。挿入筒61の上端部(ガイド筒11cよりも上方に位置する部分)において、周方向の一部には、吐出口61aが形成されている。吐出口61aは、径方向の外側に向けて開口している。以下の説明において、径方向のうち、吐出口61aの開口する向きを前方、吐出口61aの向きと反対側を後方として説明する。本実施形態の挿入筒61は、前半分が後半分よりも上方に突出している。
【0029】
天壁部62は、挿入筒61の上端開口縁から径方向の内側に張り出している。
図1、
図3に示すように、天壁部62は、挿入筒61の後半分に連なる下天壁部62aと、下天壁部62aの前端縁から上方に立ち上がる天壁立ち上がり部62bと、天壁立ち上がり部62bの上端縁から前方に延びる上天壁部62cと、を備えている。
図3に示すように、立ち上がり部62bは、前方に向けて突の円弧状に形成されている。
【0030】
図1、
図2に示すように、嵌合筒63は、下天壁部62aの前端部から下方に突出している。嵌合筒63の上端開口部は、下天壁部62aの上面で開放されている。なお、図示の例において、嵌合筒63の軸線は、軸線Oに対して後方に位置している。
【0031】
シール筒64は、軸線Oと同軸上において、天壁部62から下方に延びている。シール筒64は、平面視において、上天壁部62c及び下天壁部62aを周方向に跨っている。したがって、シール筒64のうち、前半分は後半分よりも上方に突出している。シール筒64の下端部内には、上筒部27bが液密に嵌め込まれている。
【0032】
導入筒65は、嵌合筒63から下方に延びる有底筒状に形成されている。導入筒65は、軸線Oと同軸に配置されている。導入筒65は、上筒部27b内に嵌め込まれている。導入筒65の底部には、底部を上下方向に貫通する導入口65aが形成されている。導入口65aの内径は、内フランジ部27dの内径よりも小さくなっている。但し、導入口65aは、内フランジ部27dの内側よりも流路抵抗が大きくなっていればよい。図示の例において、導入筒65の底部と内フランジ部27dとの間には、上下方向に隙間が設けられている。本実施形態において、導入筒65の底部と内フランジ部27dとの間の隙間は、合流流路(流通路)70として機能する。合流流路70は、連通溝27eに連通している。なお、連通溝27eは、導入筒65の外周面に形成されていてもよい。
【0033】
ノズル部材51の内側空間のうち、上筒部27bよりも上方であって、天壁部62、嵌合筒63、シール筒64及び導入筒65で囲まれた空間は、連絡流路(流通路)72を形成する。連絡流路72の下端部は、連通溝27eを通じて合流流路70に連通している。連絡流路72の上端部は、吐出口61aに連通している。
【0034】
カートリッジ52は、第1液体に溶質として混合される第2液体を収容するものであって、ノズル部材51に着脱可能に装着されている。第2液体としては、第1液体と同様の用途に用いられる液体であって、例えば顔料や香料が含まれたものが好適に用いられる。但し、第2液体としては、必ずしも顔料や香料が含まれたものに限られない。また、第1液体として水を用い、第2液体として例えば濃縮された機能性の添加剤を混合する用途等であってもよい。以下の説明では、カートリッジ52がノズル部材51に装着された装着状態を基準に、カートリッジ52の詳細について説明する。
【0035】
カートリッジ52は、カートリッジ本体81と、カートリッジ本体81の開口部を閉塞する蓋部82と、を備えている。
カートリッジ本体81は、底壁部84及び周壁部85を有し、軸線Oと同軸に配置された有底筒状に形成されている。底壁部84は、ノズル部材51への装着状態において、天壁部62に重ね合わされている。底壁部84は、天壁部62と同様に、側面視において、前方に位置するものほど上方にする階段状に形成されている。具体的に、底壁部84は、下底壁部84aと、下底壁部84aの前端縁から上方に延びる底壁立ち上がり部84bと、底壁立ち上がり部84bの上端縁から前方に延びる上底壁部84cと、を備えている。
【0036】
下底壁部84aは、下天壁部62aに平面視で重なり合っている。底壁立ち上がり部84bは、天壁立ち上がり部62bに前後方向から見て重なり合っている。上底壁部84cは、上天壁部62cに平面視で重なり合っている。
【0037】
下底壁部84aには、下方に延びる連結筒86が形成されている。連結筒86は、カートリッジ本体81の内外を連通させている。連結筒86は、ノズル部材51への装着状態において、嵌合筒63内に液密に嵌め込まれている。連結筒86の下端部には、切欠き部86aが形成されている。切欠き部86aは、連結筒86の下端部のうち、前方に位置する部分を前後方向に貫通している。したがって、切欠き部86aは、連結筒86の下端面上で開口するとともに、連結筒86の前面で開口している。連結筒86内は、切欠き部86aを通じて導入筒65内に連通している。
【0038】
蓋部82は、頂壁部87及び周壁部88を有し、軸線Oと同軸に配置された有頂筒状に形成されている。蓋部82の周壁部88内には、カートリッジ本体81の周壁部85が嵌め込まれている。
頂壁部87は、周壁部88の上端開口部を閉塞している。そして、カートリッジ52のうち、カートリッジ本体81と蓋部82とで囲まれた空間は、第2液体が収容される収容空間を構成している。カートリッジ52の収容空間は、導入筒65を通じて合流流路70に常時連通している。
【0039】
頂壁部87のうち、周壁部88よりも径方向の内側に位置する部分には、シール筒89が形成されている。シール筒89は、周壁部85の内側に液密に嵌まり込んでいる。頂壁部87のうち、シール筒89よりも径方向の内側に位置する部分は、押下ヘッド13の押し下げ時において、指等によって操作される押下部87aとして機能する。本実施形態において、押下部87aの肉厚は、蓋部82における他の部分に比べて薄肉になっている。したがって、押下部87aは、押し下げ操作時において、上下方向に弾性変形可能に構成されている。なお、カートリッジ52のうち、押下部87a以外の部分は、押し下げ操作時において、変形しない程度の剛性を有している。
【0040】
なお、
図4に示すように、カートリッジ52は、ノズル部材51に組み付けられる前において、オーバーキャップ90によって封止されている。オーバーキャップ90は、カートリッジ本体81の底壁部84を覆う有底筒状の部材であって、連結筒86が液密に嵌め込まれている。
【0041】
次に、吐出容器1の作用について説明する。以下の説明では、混合液体の吐出動作について説明した後、カートリッジ52の着脱方法について説明する。
図1、
図2に示すように、混合液体を吐出するにあたっては、まず押下部87aを押し下げる。すると、押下部87aが下方に向けて弾性変形することで、収容空間が加圧される。収容空間が加圧されると、収容空間の第2液体が連結筒86の切欠き部86aを通じて導入筒65内に供給される(強制吐出)。
【0042】
その後、押下部87aをさらに押し下げることで、押下ヘッド13全体が押し下げられる。この際、ステム27、シール筒26、軸部25、筒部24、及びピストン22が、押下ヘッド13とともに付勢部材23の付勢力に抗して押し下げられる。ピストン22がシリンダ本体21aの内周面上を下方に向けて摺動し、シリンダ本体21aの内容積が減少することで、シリンダ本体21a内が加圧される。シリンダ本体21aの内圧上昇により、弁筒部21b内のボール弁34が、シリンダ本体21a内と容器体内との連通を遮断する。れにより、シリンダ本体21a内で加圧された第1液体が、筒部24内及び連通路29を通して、シール筒26の上端部と、軸部25の上端部と、下筒部27aと、内フランジ部27dと、により囲まれた蓄圧空間Yに流入する。その結果、蓄圧空間Yが加圧される。
【0043】
押下ヘッド13が装着キャップ11に対して下降する過程において、シリンダ本体21a内の圧力と蓄圧空間Yの圧力は同等になる。しかし、シール筒26の上端部の受圧面積がピストン22の受圧面積よりも大きいため、蓄圧空間Yの第1液体から軸部25が下向きに受ける力は、シリンダ本体21a内の第1液体から軸部25が上向きに受ける力よりも大きくなる。そして、軸部25が下向きに受ける力が、付勢部材23の上方付勢力よりも大きくなると、軸部25がステム27に対して下降する。これにより、軸部25の上端部が、内フランジ部27dの内側を開放し、蓄圧空間Yと上筒部27b内とが連通する。
【0044】
内フランジ部27dの内側が開放されると、蓄圧空間Yの第1液体が上筒部27b内の合流流路70に流入する。合流流路70内に流入した第1液体は、連通溝27eを通じて連絡流路72内に流れる。この際、合流流路70を第1液体が通過することで、合流流路70には負圧が発生する。合流流路70に負圧が作用することで、導入筒65内の第2液体が導入口65aを通じて合流流路70に引き込まれる。これにより、第1液体と第2液体とが合流流路70で混合される。第1液体と第2液体との混合液体は、連通溝27e及び連絡流路72を流れた後、吐出口61aを通じて外部に吐出される。
【0045】
押下ヘッド13が下降端位置まで押し下げられると、シール筒26の下端部は、連絡孔32と圧逃がし孔31との間に位置し、ピストン22は圧逃がし溝33と径方向に向かい合う。すると、ピストン22は、シリンダ本体21aの内周面から離間する。そのため、シリンダ本体21a内が圧逃がし孔31を通じて容器体内に連通する。これにより、シリンダ本体21a内の第1液体の少なくとも一部、及びシリンダ本体21a内の空気が、容器体内に流出する。その結果、シリンダ本体21a内の残圧が開放される。
【0046】
シリンダ本体21a内及び蓄圧空間Yそれぞれの圧力が低下すると、付勢部材23の上方付勢力により、軸部25がステム27に対して上昇し、軸部25の上端部が内フランジ部27dの内周縁に当接する。これにより、下筒部27a及び上筒部27b内との連通が遮断される。
【0047】
押下ヘッド13の押し下げを解除すると、付勢部材23の上方付勢力によって、ピストン22、筒部24、軸部25及びシール筒26が、ステム27とともに上昇する。この過程において、ピストン22がシリンダ本体21aの内周面を摺動することで、シリンダ本体21aの内容積(シリンダ本体21a内と筒部24内とで囲まれた部分の容積)が増加して、シリンダ本体21a内が減圧される。シリンダ本体21aの内圧減少により、ボール弁34が弁筒部21bの内周面から上方に離反して、シリンダ本体21a内と容器体内とが連通し、容器体内の第1液体がシリンダ本体21a内に吸い上げられる。これにより、次の吐出に備えることができる。
【0048】
続いて、カートリッジ52の着脱方法について説明する。
カートリッジ52内の第2液体を使い切った後、カートリッジ52をノズル部材51から取り外す。具体的には、カートリッジ52を引き上げると、連結筒86が嵌合筒63から引き抜かれる。これにより、カートリッジ52がノズル部材51から取り外される。
【0049】
ノズル部材51に対して新しいカートリッジ52を取り付けるには、まずカートリッジ52からオーバーキャップ90を取り外す。その後、連結筒86を嵌合筒63に差し込むように、カートリッジ52をノズル部材51に接近させる。そして、連結筒86の下端縁が導入筒65の上端縁に当接する位置までカートリッジ52を押し込むことで、ノズル部材51への装着が完了する。
【0050】
このように、本実施形態において、押下ヘッド13は、吐出口61aが形成されるとともに、ステム27に取り付けられたノズル部材51と、ノズル部材51への装着状態において流通路(合流流路70、連通溝27e及び連絡流路72)内に連通する連通口(連結筒86の下端開口部及び切欠き部86a)、及び第2液体が収容されるとともに、連通口を通じて流通路に連通する収容空間を形成し、ノズル部材51に着脱可能に装着されたカートリッジ52と、を備えている構成とした。
この構成によれば、押下ヘッド13の押し下げ操作(吐出操作)時において、第1液体が流通路を通過する際、流通路に負圧が作用することで、収容空間の第2液体が連通口及び導入口65aを通じて流通路内に流入する。これにより、第1液体及び第2液体が流通路で混合された状態で、吐出口61aから吐出される。この場合、同一製品について、例えば香料等の添加剤の種類を変えて複数種類の吐出容器1として展開する際、容器体には各種類間で共通の第1液体(例えば、無香料の液体)を充填することで、容器体内に種類ごとの液体を充填する必要がない。そのため、製造工程の簡素化を図ることができる。
また、容器体には各種類で共通の第1液体が充填されるので、カートリッジ52のみの交換によって異なる種類の混合液体を使用することができる。これにより、異なる種類の香料が添加された液体を吐出したい場合、容器体への匂い残りを軽減することができる。そのため、容器体の洗浄の手間を軽減した上で、吐出容器1全体を買い替えることなく、異なる種類の混合液体を吐出することができる。
また、添加剤となる第2液体を吐出直前に第1液体に添加することができるので、混合液体の性質変化も抑制できる。
その結果、消費者にとって使い勝手に優れた吐出容器1を提供することができる。
【0051】
本実施形態において、カートリッジ52は、有底筒状のカートリッジ本体81と、カートリッジ本体81の開口部を閉塞する蓋部82と、を備えている構成とした。
この構成によれば、カートリッジ52内に第2液体を容易に収容することができる。
【0052】
本実施形態において、蓋部82は、ノズル部材51への装着状態において押下ヘッド13の押下部87aを構成し、蓋部82における少なくとも一部は、押し下げ操作時に弾性変形可能な薄肉部を含んでいる構成とした。
この構成によれば、押下部87aを介して押下ヘッド13を押し下げ操作する際に、押下部87aが弾性変形することで、収容空間が加圧される。これにより、収容空間の第2液体を流通路内に効果的に供給することができる。そのため、第1液体に対して第2液体が十分に混合された混合液体を吐出することができる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、流通路が全てノズル部材51に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。流通路は、少なくとも一部がカートリッジ52に形成されていてもよく、ノズル部材51とカートリッジ52との間に形成されていてもよい。
【0054】
上述した実施形態では、押下部87aの全体が弾性変形可能な薄肉部として形成された構成について説明したが、この構成に限られない。例えば
図5に示すように、押下部87a全体が蓋部82の他の部分と同様の厚さに形成され、押し下げ操作時に弾性変形不能に構成されていてもよい。この場合には、収容空間の第2液体は、第1液体が流通路を通過することで発生する負圧によって流通路内に合流させることができる。そして、押下部87aを弾性変形不能とすることで、押下部87aを介して押下ヘッド13を確実に押し下げることができる。
また、
図6に示すように、押下部87aのうち、一部が弾性変形可能な薄肉部とされ、残りが弾性変形不能な構成であってもよい。この場合には、押し下げる位置によって、強制吐出の有無を選択することができ、操作性を向上させることができる。なお、
図6に示す例では、押下部87aの上面に対して薄肉部を窪ませることで、薄肉部と薄肉部以外の部分とが区別し易くなる。
【0055】
上述した実施形態では、カートリッジ52がノズル部材51に対して上方から取り付けられる構成について説明したが、この構成に限られない。カートリッジ52は、ノズル部材51に対して前後方向に取り付けられる構成等であってもよい。
上述した実施形態では、カートリッジ52がノズル部材51に嵌め込まれることで装着される構成について説明したが、この構成に限られない。
【0056】
上述した実施形態では、押下ヘッド13がカートリッジ52を介して押し下げられる構成について説明したが、この構成に限られない。カートリッジ52は、押下ヘッド13の少なくとも一部を構成していればよい。この場合、押下ヘッド13は、ノズル部材51を介して押し下げられる構成であってもよい。
上述した実施形態では、カートリッジ52の頂壁部87(押下部87a)が押下ヘッド13の頂壁全体を構成する場合について説明したが、この構成に限られない。例えば、頂壁部87と上天壁部62cとが面一に設けられていてもよい。この場合、押下部87aを介して押下ヘッド13を押し下げることで、押下部87aを弾性変形させて第2液体を強制吐出させてもよく、上天壁部62cを介して押下ヘッド13を押し下げることで、合流流路70に生じる負圧のみで第2液体を供給してもよい。
上述した実施形態では、連通口として、連結筒86の下端開口部に加えて、切欠き部86aを形成する構成について説明したが、この構成に限られない。連通口は、連結筒86の下端開口部のみで構成されていてもよい。
【0057】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
3:吐出器
12:ポンプ
13:押下ヘッド
21:シリンダ
27:ステム
27e:連通溝(流通路)
51:ノズル部材
52:カートリッジ
61a:吐出口
70:合流流路(流通路)
72:連絡流路(流通路)
81:カートリッジ本体
82:蓋部
86a:切欠き部(連通口)
87a:押下部