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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020945
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】二液型樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20250205BHJP
   C08L 33/10 20060101ALI20250205BHJP
   C08L 33/08 20060101ALI20250205BHJP
   C08K 3/10 20180101ALI20250205BHJP
   C08K 5/07 20060101ALI20250205BHJP
   C08F 265/06 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
C08F2/44 Z
C08L33/10
C08L33/08
C08K3/10
C08K5/07
C08F265/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124589
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】大久保 知恵
【テーマコード(参考)】
4J002
4J011
4J026
【Fターム(参考)】
4J002BG042
4J002BG052
4J002BG071
4J002DE146
4J002EE049
4J002EG049
4J002EG059
4J002EG069
4J002EG079
4J002EG089
4J002EG099
4J002EG109
4J002EH048
4J002EH077
4J002EH148
4J002EK029
4J002EK039
4J002EL069
4J002EU197
4J002FD147
4J002FD149
4J002FD159
4J002FD206
4J002GN00
4J002GQ00
4J011PA04
4J011PA07
4J011PA27
4J011PA29
4J011PA30
4J011PA34
4J011PA43
4J011PA44
4J011PA69
4J011PB22
4J011PB23
4J011PB30
4J011QA03
4J011QA11
4J011QA25
4J011QA39
4J026AA45
4J026BA05
4J026BA17
4J026BA19
4J026DB05
4J026DB15
4J026GA09
(57)【要約】
【課題】 従来よりも、硬化時のモノマー転化率が高い二液型樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 A液及びB液からなる二液型樹脂組成物であって、該A液は、重合性単量体と、反応促進剤とを含有し、該重合性単量体は、置換基を有していてもよい炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを含み、該反応促進剤は、金属化合物を含み、該B液は、開始剤と反応促進助剤とを含有し、該反応促進助剤は、ジケトン化合物を含む、二液型樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A液及びB液からなる二液型樹脂組成物であって、
該A液は、重合性単量体と、反応促進剤とを含有し、
該重合性単量体は、置換基を有していてもよい炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを含み、
該反応促進剤は、金属化合物を含み、
該B液は、開始剤と反応促進助剤とを含有し、
該反応促進助剤は、ジケトン化合物を含む、二液型樹脂組成物。
【請求項2】
前記置換基を有していてもよい炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートは、炭素数4~15のアルキル(メタ)アクリレートである、請求項1に記載の二液型樹脂組成物。
【請求項3】
前記ジケトン化合物、前記金属化合物における金属及び開始剤の合計の含有割合が、前記重合性単量体100質量%に対して2~50質量%である、請求項1に記載の二液型樹脂組成物。
【請求項4】
前記重合性単量体100質量%に対して、前記開始剤の含有割合が1.5質量%以上である、請求項1に記載の二液型樹脂組成物。
【請求項5】
前記重合性単量体の含有割合が、A液の総量(但し、A液に無機粒子が含まれる場合、無機粒子は除く)100質量%に対して、40~99.9質量%である、請求項1に記載の二液型樹脂組成物。
【請求項6】
前記置換基を有していてもよい炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートの含有量が、重合性単量体100質量%に対して、40~99.8質量%である、請求項1に記載の二液型樹脂組成物。
【請求項7】
前記A液及び/又はB液が、(メタ)アクリル系ポリマーを含む、請求項1に記載の二液型樹脂組成物。
【請求項8】
前記A液及び/又はB液が、可塑剤を含む、請求項1に記載の二液型樹脂組成物。
【請求項9】
前記A液及び/又はB液が、無機粒子を含む、請求項1に記載の二液型樹脂組成物。
【請求項10】
放熱材用途に用いられる、請求項1~9のいずれかに記載の二液型樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二液型樹脂組成物に関する。より詳しくは、放熱材料等に有用な二液型樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車のバッテリーやパソコン等の電子機器等の性能向上に伴い発熱量が増加し、効率よく熱を放散するための放熱材が求められている。
放熱材料としては、例えば、樹脂に金属フィラーを分散させた熱伝導性組成物が知られている。
放熱材用樹脂組成物に関して、特許文献1には、A液およびB液を含む放熱材用二液型樹脂組成物であって、前記A液が(メタ)アクリル系ポリマー、ラジカル重合性モノマー、反応促進剤、ならびに(メタ)アクリレート系架橋剤およびアリル系架橋剤からなる群より選ばれた少なくとも1種の架橋剤を含有し、前記B液が(メタ)アクリル系ポリマーおよび過酸化物系重合開始剤を含有する放熱材用二液型樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2021/039749号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の通り、従来、放熱材用途に用いられる樹脂組成物が開発されているが、残存モノマーによる臭気の問題、基板や人体への影響を充分に低減する観点から、二液型樹脂組成物は、硬化時のモノマー転化率(単官能モノマー転化率)をより向上させることが期待されている。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、従来よりも、硬化時のモノマー転化率が高い二液型樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、二液型樹脂組成物について種々検討したところ、置換基を有していてもよい炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを含む重合性単量体と反応促進剤とを含有するA液と、ジケトン化合物を含む反応促進助剤と開始剤とを含有するB液からなる二液型樹脂組成物が、従来の二液型樹脂組成物よりも、硬化時のモノマー転化率が高いことを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0007】
本発明は、以下の二液型樹脂組成物等を包含する。
〔1〕A液及びB液からなる二液型樹脂組成物であって、該A液は、重合性単量体と、反応促進剤とを含有し、該重合性単量体は、置換基を有していてもよい炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを含み、該反応促進剤は、金属化合物を含み、該B液は、開始剤と反応促進助剤とを含有し、該反応促進助剤は、ジケトン化合物を含む、二液型樹脂組成物。
〔2〕上記置換基を有していてもよい炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートは、炭素数4~15のアルキル(メタ)アクリレートである、上記〔1〕に記載の二液型樹脂組成物。
〔3〕上記ジケトン化合物、上記金属化合物における金属及び開始剤の合計の含有割合が、上記重合性単量体100質量%に対して2~50質量%である、上記〔1〕又は〔2〕に記載の二液型樹脂組成物。
〔4〕上記重合性単量体100質量%に対して、上記開始剤の含有割合が1.5質量%以上である、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の二液型樹脂組成物。
〔5〕上記重合性単量体の含有割合が、A液の総量(但し、A液に無機粒子が含まれる場合、無機粒子は除く)100質量%に対して、40~99.9質量%である、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の二液型樹脂組成物。
〔6〕上記置換基を有していてもよい炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートの含有量が、重合性単量体100質量%に対して、40~99.8質量%である、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の二液型樹脂組成物。
〔7〕上記A液及び/又はB液が、(メタ)アクリル系ポリマーを含む、上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の二液型樹脂組成物。
〔8〕上記A液及び/又はB液が、可塑剤を含む、上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の二液型樹脂組成物。
〔9〕上記A液及び/又はB液が、無機粒子を含む、上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の二液型樹脂組成物。
〔10〕放熱材用途に用いられる、上記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の二液型樹脂組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の二液型樹脂組成物は、上述の構成よりなり、従来の二液型樹脂組成物よりも硬化時のモノマー転化率が高いため、残存モノマーによる臭気の問題、基板や人体への影響を充分に低減することができ、例えば、放熱材用の樹脂、接着剤、粘着剤等に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
【0010】
本発明の二液型樹脂組成物は、A液とB液とからなる二液型の樹脂組成物である。A液とB液と反応させて硬化物等を得ることができる。
【0011】
上記A液は、重合性単量体と、反応促進剤とを含有し、上記重合性単量体は、置換基を有していてもよい炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを含み、上記反応促進剤は、金属化合物を含むことを特徴とする。
上記B液は、開始剤と反応促進助剤とを含有し、該反応促進助剤が、ジケトン化合物を含むことを特徴とする。
本発明の二液型樹脂組成物は、このようなA液とB液とからなることで、残存モノマーによる臭気の問題、基板や人体への影響を充分に低減することができる。
また、残存モノマーの低減により、硬化後の粘着安定性を向上させることもできる。
【0012】
上記重合性単量体の含有割合は、特に制限されないが、A液に無機粒子が含まれない場合には、A液の総量100質量%に対して、40~99.9質量%であることが好ましい。より好ましくは42~90質量%であり、更に好ましくは44~80質量%であり、特に好ましくは46~70質量%である。
A液に無機粒子が含まれる場合には、無機粒子を除いたA液の総量100質量%に対して、上記重合性単量体の含有割合は、40~99.9質量%であることが好ましい。より好ましくは42~90質量%であり、更に好ましくは44~80質量%であり、特に好ましくは46~70質量%である。
また、無機粒子を含むA液の総量100質量%に対して、上記重合性単量体の含有割合は、0.8~40質量%であることが好ましい。より好ましくは1.0~30質量%であり、更に好ましくは1.5~20質量%であり、特に好ましくは2.0~12.0質量%である。
【0013】
上記反応促進剤の含有割合は、特に制限されないが、A液に無機粒子が含まれない場合には、A液の総量100質量%に対して、0.001~5質量%であることが好ましい。より好ましくは0.01~3質量%であり、更に好ましくは0.02~2質量%である。
A液に無機粒子が含まれる場合には、無機粒子を除いたA液の総量100質量%に対して、上記反応促進剤の含有割合は、0.001~5質量%であることが好ましい。より好ましくは0.01~3質量%であり、更に好ましくは0.02~2質量%である。
また、無機粒子を含むA液の総量100質量%に対して、上記反応促進剤の含有割合は0.00002~2質量%であることが好ましい。より好ましくは0.0002~1質量%であり、更に好ましくは0.001~0.3質量%である。
なお、本明細書において、上記反応促進剤中の金属化合物の質量は、金属の質量に換算して算出するものとする。
【0014】
上記反応促進剤の含有割合は、重合性単量体100質量%に対して、0.001~10質量%であることが好ましい。より好ましくは0.005~8質量%であり、更に好ましくは0.01~6質量%であり、特に好ましくは0.02~4質量%である。
【0015】
上記反応促進剤の含有割合は、上記B液における開始剤100質量%に対して、0.1~500質量%であることが好ましい。より好ましくは0.2~250質量%であり、更に好ましくは0.4~100質量%である。
【0016】
上記反応促進剤中の上記金属化合物の割合は、反応促進剤100質量%に対して、1~100質量%であることが好ましい。より好ましくは50~100質量%であり、更に好ましくは100質量%である。
【0017】
上記B液における反応促進助剤の含有割合は、特に制限されないが、重合性単量体100質量%に対して、0.1~40質量%であることが好ましい。より好ましくは1~30質量%であり、更に好ましくは2~20質量%である。
【0018】
上記B液における開始剤の含有割合は特に制限されないが、重合性単量体100質量%に対して、1.5~50質量%であることが好ましい。これにより、樹脂組成物をより充分に硬化することができる。
開始剤の含有割合としてより好ましくは2~30質量%であり、更に好ましくは2.5~20質量%であり、特に好ましくは3~12質量%である。
【0019】
上記B液におけるジケトン化合物の含有割合は特に制限されないが、A液の反応促進剤における金属化合物1モルに対して1~600モルであることが好ましい。より好ましくは5~400モルであり、更に好ましくは10~200モルであり、特に好ましくは12~50モルである。
【0020】
上記二液型樹脂組成物中の開始剤と反応促進剤と反応促進助剤との合計の割合が、重合性単量体100質量%に対して、2~50質量%であることが好ましい。より好ましくは4~30質量%であり、更に好ましくは6~25質量%である。
【0021】
上記二液型樹脂組成物中の反応促進剤と反応促進助剤との合計の割合が、開始剤100質量%に対して、10~2000質量%であることが好ましい。より好ましくは15~1000質量%であり、更に好ましくは20~500質量%である。
【0022】
上記二液型樹脂組成物中のジケトン化合物と金属化合物における金属との合計の割合が、開始剤100質量%に対して、10~1000質量%であることが好ましい。より好ましくは15~500質量%であり、更に好ましくは20~300質量%である。
【0023】
上記ジケトン化合物、金属化合物における金属及び開始剤の合計の含有割合が、重合性単量体100質量%に対して、2~50質量%であることが好ましい。より好ましくは4~30質量%であり、更に好ましくは6~25質量%である。
【0024】
上記A液及び/又はB液は、後述するように(メタ)アクリル系ポリマーを含むことが好ましい。上記二液型樹脂組成物中の(メタ)アクリル系ポリマーの含有割合は、特に制限されないが、A液およびB液に無機粒子が含まれない場合には、二液型樹脂組成物(A液及びB液の総量)100質量%に対して、0~60質量%であることが好ましい。より好ましくは0~40質量%であり、更に好ましくは10~30質量%である。
A液またはB液に無機粒子が含まれる場合には、無機粒子を除いた二液型樹脂組成物(A液及びB液の総量)100質量%に対して、(メタ)アクリル系ポリマーの含有割合は、0~60質量%であることが好ましい。より好ましくは0~40質量%であり、更に好ましくは10~30質量%である。
無機粒子を含む二液型樹脂組成物(A液及びB液の総量)100質量%に対して、(メタ)アクリル系ポリマーの含有割合は、0~24質量%であることが好ましい。より好ましくは0~10質量%であり、更に好ましくは0.5~4.5質量%である。
【0025】
また、上記二液型樹脂組成物中の(メタ)アクリル系ポリマーの含有割合は、重合性単量体100質量%に対して、0~150質量%であることが好ましい。より好ましくは25~120質量%であり、更に好ましくは50~100質量%である。
【0026】
上記A液及び/又はB液は、後述するように可塑剤を含むことが好ましい。上記可塑剤の含有割合は、特に制限されないが、A液およびB液に無機粒子が含まれない場合には、二液型樹脂組成物(A液及びB液の総量)100質量%に対して、10~80質量%であることが好ましい。より好ましくは25~70質量%であり、更に好ましくは40~60質量%である。
A液またはB液に無機粒子が含まれる場合には、無機粒子を除いた二液型樹脂組成物(A液及びB液の総量)100質量%に対して、上記可塑剤の含有割合は、10~80質量%であることが好ましい。より好ましくは25~70質量%であり、更に好ましくは40~60質量%である。
また、無機粒子を含む二液型樹脂組成物(A液及びB液の総量)100質量%に対して、上記可塑剤の含有割合は、0.2~32質量%であることが好ましい。より好ましくは1~20質量%であり、更に好ましくは2~10質量%である。
【0027】
上記可塑剤の含有割合は、二液型樹脂組成物中の(メタ)アクリル系ポリマー100質量%に対して、50~700質量%であることが好ましい。より好ましくは80~600質量%であり、更に好ましくは100~500質量%である。
【0028】
上記可塑剤の含有割合は、重合性単量体100質量%に対して、20~500質量%であることが好ましい。より好ましくは50~400質量%であり、更に好ましくは80~300質量%である。
【0029】
上記A液及び/又はB液は、後述するように無機粒子を含むことが好ましい。
上記無機粒子の含有割合は、特に制限されないが、二液型樹脂組成物(A液及びB液の総量)100質量%に対して、60~98質量%であることが好ましい。これにより、得られる硬化物は、熱伝導性により優れることとなる。
無機粒子の含有割合としてより好ましくは75~97質量%であり、更に好ましくは80~96質量%であり、特に好ましくは85~95質量%である。
【0030】
上記無機粒子の含有割合は、上記二液型樹脂組成物中の(メタ)アクリル系ポリマー及び重合性単量体の合計量100質量%に対して、400~5000質量%であることが好ましい。より好ましくは500~4500質量%であり、更に好ましくは600~4000質量%であり、特に好ましくは600~3500質量%である。
【0031】
上記A液及び/又はB液は、後述するようにその他の添加剤を含んでいてもよい。
上記二液型樹脂組成物におけるその他の添加剤の含有割合は、特に制限されないが、A液およびB液に無機粒子が含まれない場合には、二液型樹脂組成物(A液及びB液の総量)100質量%に対して、0~30質量%であることが好ましい。より好ましくは0~20質量%であり、更に好ましくは0~10質量%であり、特に好ましくは0~5質量%である。
A液またはB液に無機粒子が含まれる場合には、無機粒子を除いた二液型樹脂組成物(A液及びB液の総量)100質量%に対して、その他の添加剤の含有割合は、0~30質量%であることが好ましい。より好ましくは0~20質量%であり、更に好ましくは0~10質量%であり、特に好ましくは0~5質量%である。
また、無機粒子を含む二液型樹脂組成物(A液及びB液の総量)100質量%に対して、その他の添加剤の含有割合は、0~12質量%であることが好ましい。より好ましくは0~6質量%であり、更に好ましくは0~2質量%であり、特に好ましくは0~1質量%である。
【0032】
以下では、本発明の二液型樹脂組成物に含まれる必須成分及び任意成分について更に説明する。
【0033】
<A液>
上記A液は、重合性単量体と、反応促進剤とを含有し、上記重合性単量体は、置換基を有していてもよい炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを含み、上記反応促進剤は、金属化合物を含むことを特徴とする。
(重合性単量体)
上記重合性単量体は、重合性不飽和結合を少なくとも1つ有する単量体であって、置換基を有していてもよい炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを含む。
上記置換基を有していてもよい炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートは、かさ高い構造を有するため、樹脂組成物の硬化物の柔軟性を高めることができる。これにより、放熱材として用いた場合に放熱材の発熱体や放熱体に対する追従性を高めることができる。
本発明者は、重合性単量体として置換基を有していてもよい炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートと、反応促進剤としての金属化合物と反応促進助剤としてのジケトン化合物とを組み合わせることにより、発熱体や放熱体に対する追従性と高いモノマー転化率とを両立することができることを見出した。
【0034】
上記炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートは、置換基を有していてもよく、置換基としては特に制限されないが、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アシル基、スルホン酸基、アミノ基、リン酸基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基、ハロゲン基等が挙げられる。
【0035】
上記置換基を有していてもよい炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートにおける炭化水素基の炭素数は4~15であればよいが、上記炭化水素基の炭素数には、置換基の炭素数も含むものとする。
上記炭化水素基の炭素数として好ましくは4~12であり、更に好ましくは4~10であり、特に好ましくは4~8である。
【0036】
上記(メタ)アクリレートにおける炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基等が挙げられる。
上記炭化水素基として好ましくは置換基を有しないものである。
【0037】
炭素数4~15のアルキル基としては、例えば、n-ブチル基、n-ペンチル基(アミル基)、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、sec-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、i-アミル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、t-アミル基、1,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、2-エチル-2-メチルプロピル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、1,5-ジメチルヘキシル基、t-オクチル基、2,6-ジメチルオクチル基、2-ブチルオクチル基、分岐したノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等の脂肪族アルキル基;シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキシルプロピル基、シクロドデシル基、ノルボルニル基(C7)、アダマンチル基(C10)、シクロペンチルエチル基等の脂環式アルキル基が挙げられる。
【0038】
炭素数4~15のアルケニル基としては、例えば、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基等が挙げられる。
【0039】
炭素数4~15のアルキニル基としては、例えば、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基等が挙げられる。
炭素数4~15のアリール基としては、例えば、フェニル基;ナフチル基;アントラセニル基;ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、4-フェニルブチル基等が挙げられる。
【0040】
上記(メタ)アクリレートにおける炭化水素基として好ましくはアルキル基であり、より好ましくは直鎖又は分岐鎖を有する脂肪族アルキル基であり、更に好ましくはドデシル基、イソデシル基、ノニル基、イソノニル基、オクチル基、1-メチルへプチル基、2-エチルヘキシル基、ブチル基であり、特に好ましくはオクチル基、1-メチルへプチル基、2-エチルヘキシル基である。
【0041】
上記炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートとして具体的にはブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、メチルブチル(メタ)アクリレート、ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルブチル(メタ)アクリレート、エチルブチル(メタ)アクリレート、メチルプロピル(メタ)アクリレート、メチルヘプチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジメチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。好ましくは、ドデシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、1-メチルへプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートであり、更に好ましくはオクチル(メタ)アクリレート、1-メチルへプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
【0042】
上記重合性単量体は、重合性不飽和結合を2以上有する単量体を含むことが好ましい。このような単量体は、樹脂組成物において架橋剤として作用し、樹脂組成物をより充分に硬化させることができる。
重合性不飽和結合を2以上有する単量体としては、2以上の(メタ)アクリレート基を有する多官能(メタ)アクリレート、2以上のアリル基を有する多官能アリルエステル、2以上のアリル基を有する多官能アリルエーテル等が挙げられる。
【0043】
上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)等の(メタ)アクリレート基含有シアヌレート化合物等の3官能(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0044】
上記多官能アリルエステルとしては、例えば、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレートなどのアリル基含有シアヌレート化合物;シュウ酸ジアリル、マロン酸ジアリル、コハク酸ジアリル、グルタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、ピメリン酸ジアリル、スベリン酸ジアリル、アゼライン酸ジアリル、セバシン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、クエン酸トリアリル、酒石酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、シトラコン酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル等の脂肪族系多官能アリルエステル等が挙げられる。
【0045】
上記多官能アリルエーテルとしては、例えば、ジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、1,4-ブタンジオールジアリルエーテル、ノナンジオールジアリルエーテル、1,4-シクロへキサンジメタノールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル、ソルビトールジアリルエーテル、1,3-ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3,5-トリス(アリルオキシ)アダマンタン、ビスフェノールSジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジアリルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジアリルエーテル、2,5-ジアリルフェノールアリルエーテル、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、エポキシ樹脂のグリシジル基がアリル基と置換された化合物、1,1,2,2-テトラアリロキシエタン、エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、ブチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル等が挙げられる。
【0046】
上記重合性不飽和結合を2以上有する単量体として好ましくは多官能(メタ)アクリレート、多官能アリルエステルであり、より好ましくは(メタ)アクリレート基含有シアヌレート化合物、アリル基含有シアヌレート化合物であり、更に好ましくはイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)、イソシアヌル酸トリアリルである。
【0047】
上記重合性単量体は、置換基を有していてもよい炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレート、重合性不飽和結合を2以上有する単量体以外のその他の重合性単量体を含んでいてもよい。
その他の重合性単量体としては、特に制限されないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート等の炭素数1~3のアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、αメチルスチレン、N-ビニル-2-ピロリドン等のビニル基含有モノマー、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート等の反応型光安定剤等が挙げられる。
【0048】
上記置換基を有していてもよい炭素数4~15の炭化水素基を有する(メタ)アクリレートの含有量は、特に制限されないが、重合性単量体100質量%に対して、40~99.8質量%であることが好ましい。より好ましくは50~99.5質量%であり、更に好ましくは60~99質量%であり、特に好ましくは70~98質量%である。
【0049】
上記重合性不飽和結合を2以上有する単量体の含有量は、特に制限されないが、重合性単量体100質量%に対して、0.1~10質量%であることが好ましい。より好ましくは0.2~8質量%であり、更に好ましくは0.5~6質量%であり、特に好ましくは1~4質量%である。
【0050】
上記その他の重合性単量体の含有量は、特に制限されないが、重合性単量体100質量%に対して、0~10質量%であることが好ましい。より好ましくは0~5質量%であり、更に好ましくは0~1質量%であり、特に好ましくは0~0.1質量%であり、最も好ましくは0質量%である。
【0051】
(反応促進剤)
上記反応促進剤は、金属化合物を含む。
上記金属化合物としては、コバルト、鉄、マンガン、銅、亜鉛、チタン、クロム、バナジウム、ジルコニウム等の遷移金属元素を含むものであればよいが、炭素数4~20の有機化合物と上記遷移金属元素との塩(錯体)が好ましい。上記金属化合物として具体的には例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉄、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸鉄、ネオデカン酸コバルト、ネオデカン酸銅、コバルトアセチルアセトネート、銅アセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネート、クロムアセチルアセトネート、鉄アセチルアセトネート、バナジルアセチルアセトネート等の金属石鹸が挙げられる。
上記金属化合物における金属元素として好ましくはコバルト、鉄、マンガンであり、より好ましくはコバルトである。
上記金属化合物として好ましくはナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、コバルトアセチルアセトネートであり、より好ましくはナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルトである。
【0052】
上記反応促進剤は、上記金属化合物以外の化合物を含んでいてもよい。
上記金属化合物以外のその他の反応促進剤としては特に制限されないが、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-アミノメチル-2-メチルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-フェニルイミダゾール等のイミダゾール骨格を有する化合物;アニリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、m-トルイジン、p-トルイジン、N-エチル-m-トルイジン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等のアニリン骨格を有する化合物;p-トリルジエタノールアミン、N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアニリン等のアルカノールアミン骨格を有する化合物;ジエチレントリアミン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4-(N-メチル-N-ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、ピリジン、ピペリジン、フェニリモルホリン;エチレンチオ尿素、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、N-アセチルチオ尿素、N-ベンゾイルチオ尿素、ジフェニルチオ尿素、ジシクロヘキシルチオ尿素等のチオ尿素化合物が挙げられる。
【0053】
上記その他の反応促進剤としては、アルカノールアミン骨格を有する化合物、チオ尿素化合物が好ましい。
アルカノールアミン骨格を有する化合物としてより好ましくはエタノールアミン骨格を有する化合物であり、更に好ましくはp-トリルジエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミンである。
チオ尿素化合物として好ましくはジアルキルチオ尿素であり、より好ましくはジブチルチオ尿素である。
【0054】
(可塑剤)
上記A液は、可塑剤を含むことが好ましい。これにより硬化後も樹脂組成物の柔軟性を保つことができる。また、溶媒を用いない場合にも樹脂組成物が加工性に優れるものとなる。
トリ2-エチルヘキシルトリメリテート、トリn-オクチルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテートなどのトリメリット酸エステル系可塑剤;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジ2-エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレートなどのフタル酸エステル系可塑剤;ジn-ブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブトキシエチルアジペート、ジn-オクチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ビス2-エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペートなどのアジピン酸エステル系可塑剤;トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニル-2-エチルヘキシルホスフェート、トリクレシルホスフェートなどのリン酸エステル系可塑剤;ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジ2-エチルヘキシルセバケートなどのセバシン酸エステル系可塑剤;ジヘキシルアゼレート、ジオクチルアゼレートなどのアゼライン酸エステル系可塑剤;トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリn-ブチルシトレートなどのクエン酸エステル系可塑剤;メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレートなどのグリコール酸エステル系可塑剤;トリオクチルトリメリテート、トリn-オクチル-n-デシルトリメリテート、トリメリット酸トリアルキル(アルキル基の炭素数:4~11)などのトリメリット酸エステル系可塑剤;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリンモノリシノレートなどのリシノール酸エステル系可塑剤;ジn-ブチルマレートなどのマレイン酸エステル系可塑剤;モノブチルイタコネートなどのイタコン酸エステル系可塑剤;ブチルオレートなどのオレイン酸エステル系可塑剤;グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレートなどのグリセリン系可塑剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの可塑剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの可塑剤のなかでは、可塑剤の気化を防止し、長期間にわたる可塑剤の熱安定性を向上させる観点から、トリメリット酸エステル系可塑剤が好ましい。
【0055】
((メタ)アクリル系ポリマー)
上記A液は、(メタ)アクリル系ポリマーを含んでいてもよい。
後述するように、本発明の二液型樹脂組成物においてB液が(メタ)アクリル系ポリマーを含んでいてもよく、A液及び/又はB液が、(メタ)アクリル系ポリマーを含んでいてもよい。このような形態は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0056】
(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル系モノマーに由来の構造単位を有する。(メタ)アクリル系モノマー由来の構造単位は、(メタ)アクリル系モノマーが有する炭素-炭素間二重結合が炭素-炭素間単結合となった構造を有する単位である。
(メタ)アクリル系モノマーに由来の構造単位は、(メタ)アクリル系モノマーを重合させることにより、(メタ)アクリル系ポリマーに導入することができる。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの(メタ)アクリル系モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0057】
上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1~18のアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレートや上述の炭素数4~15のアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのアルキル(メタ)アクリレートの中では、硬化物の柔軟性を高め、当該硬化物を放熱材として用いた場合に発熱体及び放熱体に対する追従性を高める観点から、アルキル基の炭素数が4~15であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、n-ブチル(メタ)アクリレート及びn-オクチル(メタ)アクリレート及び1-メチルへプチル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0058】
上記(メタ)アクリル系ポリマーにおけるアルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位の含有割合は、特に制限されないが、放熱材の発熱体及び放熱体に対する追従性を高める観点から、全構造単位100質量%に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、より一層好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、その上限値は100質量%である。したがって、(メタ)アクリル系モノマーにおけるアルキル(メタ)アクリレートの含有割合は、好ましくは50~100質量%、より好ましくは60~99質量%、更に好ましくは70~98質量%、特に好ましくは80~97質量%である。
【0059】
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレートなどのエステル部の炭素数が1~18である水酸基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水酸基含有(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの水酸基含有(メタ)アクリレートのなかでは、反応性の観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びグリセリンモノ(メタ)アクリレートが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、2-ヒドロキシエチルアクリレートがさらに好ましい。また、後述する無機粒子をA液に含有させたときに、A液における無機粒子の分散安定性を向上させる観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びグリセリンモノ(メタ)アクリレートが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、2-ヒドロキシエチルアクリレートがさらに好ましい。
【0060】
上記(メタ)アクリル系ポリマーにおける水酸基含有(メタ)アクリレート由来の構造単位の含有割合は、樹脂組成物の分散安定性の向上及び樹脂組成物の低粘度化の観点から、全構造単位100質量%に対して、好ましくは0質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、一層好ましくは1質量%以上であり、(メタ)アクリル系ポリマーの低粘度化及び(メタ)アクリル系モノマーとラジカル重合性モノマーとの相容性を向上させる観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。したがって、(メタ)アクリル系モノマーにおける水酸基含有(メタ)アクリレートの含有割合は、全構造単位100質量%に対して、好ましくは0~30質量%であり、より好ましくは0.3~30質量%、更に好ましくは0.5~20質量%、一層好ましくは1~20質量%である。
【0061】
上記(メタ)アクリル系ポリマーは、本発明の目的が阻害されない範囲内で、前記したモノマー以外のその他のモノマー由来の構造単位を有していてもよい。
その他のモノマーとしては、例えば、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基を有する炭素-炭素間二重結合含有モノマー、シラン基を有する炭素-炭素間二重結合含有モノマー、窒素原子を有する炭素-炭素間二重結合含有モノマー、オキソ基を有する炭素-炭素間二重結合含有モノマー、フッ素原子を有する炭素-炭素間二重結合含有モノマー、エポキシ基を有する炭素-炭素間二重結合含有モノマー、アラルキル基を有する炭素-炭素間二重結合含有モノマー、スチレンなどの炭素-炭素間二重結合を有する芳香族系モノマー等が挙げられる。
【0062】
上記(メタ)アクリル系ポリマーにおけるその他のモノマー由来の構造単位の含有割合は特に制限されないが、全構造単位100質量%に対して、好ましくは0~10質量%であり、より好ましくは0~5質量%、更に好ましくは0~1質量%、一層好ましくは0~0.1質量%であり、最も好ましくは0質量%である。
【0063】
(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル系モノマーを含む単量体成分を、例えば、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法などの重合法で重合させることによって調製することができる。これらの重合法のなかでは、溶媒及び分散媒が(メタ)アクリル系ポリマーに含まれないようにする観点から、塊状重合法が好ましい。
【0064】
(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、硬化物の柔軟性を高め、当該硬化物を放熱材として用いた場合に発熱体及び放熱体に対する追従性を高める観点から、好ましくは-20℃以下、より好ましくは-30℃以下である。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度の下限値は、特に限定されないが、好ましくは-200℃以上、より好ましくは-180℃以上である。
【0065】
本発明において、ポリマーのガラス転移温度は、当該ポリマーの原料に用いられるモノマーの単独重合体のガラス転移温度を用いて、下記式(1):
1/Tg=Σ(Wm/Tgm)/100 (1)
〔式中、Wmは重合体を構成する単量体成分における単量体mの含有率(質量%)、Tgmは単量体mの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度:K)を示す〕
で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて求められた温度を意味する。
ポリマー(不揮発分)のガラス転移温度は、当該ポリマーの原料として用いられる単量体成分に含まれている単量体からなる単独重合体のガラス転移温度(Tg)(絶対温度:K)と単量体の質量分率から、下記式(2):
1/Tg=W/Tg+W/Tg+W/Tg+・・・・+W/Tg (2)
〔式中、Tgは、求められるポリマーのガラス転移温度(K)、W、W、W・・・・Wは、それぞれ各単量体の質量分率、Tg、Tg、Tg・・・・Tgは、それぞれ各単量体の質量分率に対応する単量体からなる単独重合体のガラス転移温度(K)を示す〕
で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて求めることができる。
本明細書においては、ポリマーのガラス転移温度は、式(2)に基づいて求められたガラス転移温度を意味する。なお、ガラス転移温度が不明のモノマーについては、ガラス転移温度が判明しているモノマーのみを用いてガラス転移温度が求められる。
前記ポリマーのガラス転移温度を考慮して、当該ポリマーの原料として用いられるラジカル重合性モノマーの組成を決定することができる。
単独重合体のガラス転移温度は、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体では105℃、メチルアクリレートの単独重合体では8℃、エチルアクリレートの単独重合体では-20℃、n-ブチルアクリレートの単独重合体では-56℃、n-ブチルメタクリレートの単独重合体では20℃、n-オクチルアクリレートの単独重合体では-80℃、イソオクチルアクリレートの単独重合体では-58℃、2-エチルヘキシルアクリレートの単独重合体では-70℃、シクロへキシルアクリレートの単独重合体では16℃、シクロへキシルメタクリレートの単独重合体では83℃、2-ヒドロキシエチルアクリレートの単独重合体では-15℃、2-ヒドロキシエチルメタクリレートの単独重合体では55℃、4-ヒドロキシブチルアクリレートの単独重合体では-40℃、アクリル酸の単独重合体では106℃、メタクリル酸の単独重合体では105℃、スチレンの単独重合体では80℃、N-ビニルピロリドンの単独重合体では170℃である。
(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、前記したポリマーのガラス転移温度の測定方法に基づいて求められたときの温度を意味する。
(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、当該(メタ)アクリル系ポリマーの原料である(メタ)アクリル系モノマーの種類及びその量を適宜調整することによって容易に調節することができる。
【0066】
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、好ましくは1万~150万、より好ましくは2万~100万であり、更に好ましくは3万~50万であり、一層好ましくは5万~30万である。
また、一態様において、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、10万以上、15万以上であってもよい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)の測定装置として東ソー(株)製、品番:HLC-8220GPC及び分離カラムとして東ソー(株)製、品番:TSKgel Super HZM-Mを用い、標準ポリスチレン〔東ソー(株)製〕による換算値である。
【0067】
(無機粒子)
本発明の二液型樹脂組成物は、無機粒子を含むことが好ましく、上記A液又は後述するB液の少なくとも一方が、無機粒子を含むことが好ましい。これにより樹脂組成物の熱伝導性を向上させることができる。
上記無機粒子としては特に制限されないが、例えば、炭酸ナトリウム粒子、炭酸水素ナトリウム粒子、炭酸カリウム粒子、炭酸水素カリウム粒子などのアルカリ金属炭酸塩粒子;炭酸マグネシウム粒子、炭酸カルシウム粒子、炭酸バリウム粒子などのアルカリ土類金属炭酸塩粒子;炭酸アンモニウム粒子、炭酸水素アンモニウム粒子などの炭酸アンモニウム塩粒子などの炭酸塩粒子、酸化亜鉛粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化ベリリウム粒子、酸化カルシウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム(アルミナ)粒子、二酸化チタン粒子、シリカ粒子、水酸化マグネシウム粒子、水酸化アルミニウム粒子、珪酸カルシウム粒子、珪酸アルミニウム粒子、炭化珪素粒子、窒化硅素粒子、窒化硼素粒子、硫酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、炭酸マグネシウム粒子、ガラス粒子、カオリン、タルク、雲母粉末、金属粒子、カーボンブラック粒子などが挙げられる。これらの無機粒子は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも好ましくは酸化アルミニウム(アルミナ)粒子である。
【0068】
上記無機粒子の平均粒子径は、当該無機粒子の凝集を防止する観点から、好ましくは0.3μm以上であることが好ましい。より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上である。また、無機粒子の分散安定性を向上させる観点から、平均粒子径は100μm以下であることが好ましい。より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。したがって、無機粒子の平均粒子径は、好ましくは0.3~100μm、より好ましくは0.5~80μm、さらに好ましくは1~50μmである。なお、無機粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱法の粒度分布測定装置〔ベックマン・コールター社製、品番:LS13320〕を用いて測定された体積平均粒子径を意味する。
【0069】
<B液>
上記B液は、開始剤と反応促進助剤とを含有し、該反応促進助剤が、ジケトン化合物を含むことを特徴とする。
(反応促進助剤)
反応促進助剤は、ジケトン化合物を含むものであり、ジケトン化合物は、カルボニル基を2つ有する化合物であればよいが、下記式(3);
【0070】
【化1】
【0071】
(式中、R、R、Rは、同一又は異なって、有機基を表す。RとR及び/又はRとRは、互いに結合して環構造を形成していてもよい。)で表される化合物であることが好ましい。
上記有機基は、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、シアノ基、ハロゲン基等が挙げられる。
上記ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素の炭素数は、特に制限されないが、1~20が好ましい。より好ましくは1~15であり、更に好ましくは1~10であり、一層好ましくは1~8であり、特に好ましくは1~6である。
【0072】
上記炭化水素はヘテロ原子を有していてもよく、例えば、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、シアノ基、ハロゲン基、水酸基、エーテル基、エステル基、チオエーテル基等のヘテロ原子を有する置換基を有していてもよい。
【0073】
上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環式化合物から水素を引き抜いて得られる基等が挙げられる。
【0074】
上記アルキル基としては、上述の炭素数4~15のアルキル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基、イコシル基等の脂肪族アルキル基、シクロプロピル基等の脂環式アルキル基が挙げられる。
【0075】
上記アルケニル基としては、上述の炭素数4~15のアルケニル基、ビニル基、アリル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデシニル基、イコシニル基等が挙げられる。
【0076】
上記アルキニル基、上記アリール基としては、上述の炭素数4~15のアルキニル基、上述の炭素数4~15のアリール基等が挙げられる。
【0077】
上記複素環式化合物としては、イミダゾール、イミダゾリジン、ピラゾール、ベンゾイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、ピロリン、チオフェン、フラン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、カルバゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ベンゾチアジアゾール、フェナントリジン、オキサジアゾール、チアジアゾール等が挙げられる。
【0078】
上記Rとしては、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、フェニル基が好ましい。より好ましくはメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基であり、更に好ましくはメチル基である。
上記R、Rとして好ましくは、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、フェニル基、R及びRが結合して炭素数3~8の環構造を形成する形態である。より好ましくはR及びRが結合して炭素数3~8のラクトン構造を形成する形態である。
上記ラクトン構造が有する炭素数として好ましくは3~7であり、より好ましくは3~6であり、更に好ましくは3~5である。
【0079】
上記ジケトン化合物として具体的には、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、シクロペンタノン-2-カルボン酸エチル、シクロペンタノン-2-カルボン酸メチル、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸-n-ブチル、アセト酢酸-iso-プロピル、アセト酢酸アリルエーテル、1,1-シクロプロパンジカルボン酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸-tert-ブチルエチル、メチルマロン酸ジメチル、エチルマロン酸ジエチル、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオン、アセトアセトアミド、N-メチルアセトアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアセトアミド、N,N-ジイソプロピルアセトアセトアミド、N,N-ジブチルアセトアセトアミド、N,N-ジヒドロキシエチルアセトアセトアミド、N-メチルアセトアセトアニリド、1-アセトアセチルピロリジン、1-アセトアセチルインドール、1-アセトアセチルイミダゾール、1-アセトアセチルピロール、1-アセトアセチルイミダゾリン、1-アセトアセチルピロリン、1-アセトアセチルイミダゾリジン、1-アセトアセチルピペリジン、1-アセトアセチルピペラジン、N-ピロジニノアセトアセトアミド等が挙げられる。
好ましくはα-アセチル-γ-ブチロラクトン、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、シクロペンタノン-2-カルボン酸エチル、シクロペンタノン-2-カルボン酸メチル、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオンであり、より好ましくはα-アセチル-γ-ブチロラクトンである。
【0080】
上記B液に含まれる開始剤は、上記重合性単量体の重合反応を開始することができる限り特に制限されず、例えば、ケトンパーオキサイド系重合開始剤、ハイドロパーオキサイド系重合開始剤、ジアシルパーオキサイド系重合開始剤、パーオキシエステル系重合開始剤、パーオキシケタール系重合開始剤、ジアルキルパーオキサイド系重合開始剤、パーオキシジカーボネート系重合開始剤等が挙げられる。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記開始剤として好ましくはハイドロパーオキサイド系重合開始剤、ジアシルパーオキサイド系重合開始剤、パーオキシエステル系重合開始剤である。
【0081】
上記ケトンパーオキサイド系重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサンパーオキサイド、メチルシクロヘキサンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどが挙げられる。
【0082】
上記ハイドロパーオキサイド系重合開始剤としては、例えば、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert-ヘキシルハイドロパーオキサイド、tert-ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。中でも好ましくはクメンハイドロパーオキサイド、tert-ブチルハイドロパーオキサイドである。
【0083】
上記ジアシルパーオキサイド系重合開始剤として、例えば、ジイソブチルパーオキサイド、ジ-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイド、ジコハク酸パーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイド、m-ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。中でも好ましくはm-ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドである。
上記パーオキシエステル系重合開始剤として、例えば、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネートなどが挙げられる。中でも好ましくはt-ブチルパーオキシベンゾエートである。
上記パーオキシケタール系重合開始剤として、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)バレレート、2,2-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ブタンなどが挙げられる。
上記ジアルキルパーオキサイド系重合開始剤として、ジクミルパーオキサイド、α,α’-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン-3などが挙げられる。
上記パーオキシジカーボネート系重合開始剤として、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネートなどのジパーオキシジカーボネート系重合開始剤などが挙げられる。
【0084】
((メタ)アクリル系ポリマー)
上記B液は、(メタ)アクリル系ポリマーを含むことが好ましい。これにより無機粒子をより充分に分散させることができる。
上記A液及びB液が(メタ)アクリル系ポリマーを含む形態は本発明の好ましい実施形態の1つである。
上記A液及びB液が(メタ)アクリル系ポリマーを含む場合、それぞれに含まれる(メタ)アクリル系ポリマーは同一であっても異なっていてもよい。
例えば、A液及びB液の一方が、重量平均分子量が1万~15万の(メタ)アクリル系ポリマーを含み、もう一方が、重量平均分子量が15万~150万の(メタ)アクリル系ポリマーを含む形態は、本発明の好適な実施形態の1つである。
【0085】
(無機粒子)
上記B液は、無機粒子を含んでいてもよい。
上記無機粒子の具体例及び好ましい例は、A液において述べた通りである。
上記A液及びB液が無機粒子を含む形態は本発明の好ましい実施形態の1つである。
上記A液及びB液が無機粒子を含む場合、それぞれに含まれる無機粒子は同一であっても異なっていてもよい。
【0086】
上記A液及び/又はB液には、それぞれ、本発明の目的が阻害されない範囲内で、その他の添加剤が含まれていてもよい。その他の添加剤としては、例えば、顔料などの着色剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、抗酸化剤、重合禁止剤、充填剤、カップリング剤、防錆剤、抗菌剤、金属不活性化剤、湿潤剤、消泡剤、界面活性剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、防曇剤、防食剤、顔料分散剤、流動調整剤、過酸化物分解剤、鋳型脱色剤、蛍光性増白剤、有機防炎剤、無機防炎剤、滴下防止剤、溶融流改質剤、静電防止剤、防藻剤、防カビ剤、難燃剤、スリップ剤、金属キレート剤、アンチブロッキング剤、耐熱安定剤、加工安定剤、分散剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、発泡剤、老化防止剤、防腐剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、成膜助剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0087】
上記A液及びB液の調製方法は特に制限されないが、それぞれ必須成分及び任意成分をバッチミキサー、タンブラー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ロール、ニーダー、単軸押出機、二軸押出機などの手段で混合することにより、調製することができる。
上記成分を混合するときの温度は特に制限されず、室温であってもよく、室温よりも高い温度であってもよく、室温よりも低い温度であってもよい。
上記成分を混合する際の雰囲気は特に制限されず、大気であってもよいが、大気中に含まれている酸素ガスによる影響を回避する観点から、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであってもよい。
【0088】
〔二液型樹脂組成物〕
本発明の二液型樹脂組成物は、以上のようにして得られたA液及びB液からなる。
A液とB液との割合は、A液及びB液に含まれる成分が、上述の好ましい割合となるように調整されることが好ましい。
【0089】
また、B液100質量部あたりの無機粒子を除いたA液の量は、A液とB液とを混合する際の利便性を考慮して、3~300質量部程度であることが好ましい。
本発明においては、A液及びB液を混合したとき、室温下であってもA液とB液とが速やかに反応することから、従来のような加熱によって放熱材等の硬化物を製造することが必要ではないため、例えば、工場内の製造ラインで効率よく放熱材等の硬化物を製造することができる。
【0090】
A液及びB液を混合する際には、攪拌装置を用いることができる。攪拌装置としては、例えば、バッチミキサー、タンブラー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ロール、ニーダー、単軸押出機、二軸押出機などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。A液及びB液を混合するときの温度は、特に限定がないが、加熱装置、冷却装置などの装置を使用することなく放熱材等の硬化物を効率よく製造する観点から、室温であることが好ましい。ここで、室温は、地域によって異なるので一概には決定することができないが、通常、0~40℃、好ましくは0~35℃、より好ましくは1~30℃である。また、A液及びB液を混合するときの温度は、必要により、室温以上の温度であってもよく、室温以下の温度であってもよいが、放熱材等の硬化物を効率よく製造する観点から、0~50℃程度の温度であることが好ましい。また、A液及びB液を混合する際の雰囲気は、特に限定されず、大気であってもよいが、大気中に含まれている酸素ガスによる影響を回避する観点から、例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであってもよい。
【0091】
A液及びB液を混合したとき、得られた混合液の硬化が開始し、通常、室温下で3日以内には硬化が終了する。混合液の硬化の終点は、当該混合液によって得られる硬化物の表面のタックフリータイムとすることができる。タックフリータイムとは、A液及びB液を混合した時点から、A液及びB液の混合液の硬化によって形成された硬化物の表面をエタノールなどで油脂分を除去したヒトの手指で指触したときに当該手指に当該硬化物の成分が付着しなくなるまでの時間を意味する。
以上のようにして本発明の二液型樹脂組成物に含まれているA液及びB液を混合することにより、A液とB液とが反応し、放熱材等の硬化物を得ることができる。
【0092】
本発明の二液型樹脂組成物は、放熱材用の樹脂、接着剤、粘着剤等に好適に用いることができる。
本発明は、上記二液型樹脂組成物を硬化してなる放熱材でもある。
なお、本発明の二液型樹脂組成物を用いて得られた放熱材の形状には特に限定がない。当該放熱材の形状としては、例えば、シート状(フィルム状)、テープ状、円筒状、所望の成形体の形状などが挙げられるが、本発明は、かかる形状のみに限定されるものではない。シート状又はテープ状を有する放熱材は、例えば、A液及びB液を混合し、得られた混合液を、例えば、刷毛、バーコーター、アプリケーター、エアスプレー、エアレススプレー、ロールコーター、フローコーターなどで基材上に被膜を形成させ、形成された被膜を硬化させることによって製造する方法、A液及びB液を混合し、得られた混合液を押し出し成形機からTダイを介して押し出すことによってシート又はフィルムを形成させ、硬化させる方法などの方法によって製造することができる。円筒状を有する放熱材は、例えば、A液及びB液を混合し、得られた混合液を押し出し成形機からスパイダーを介して押し出すことによって円筒状の放熱材を形成させ、硬化させることによって製造することができる。所望の成形体の形状を有する放熱材は、例えば、A液及びB液を混合し、得られた混合液を射出成形機などで所望の形状となるように成形することによって製造することができる。
【0093】
上記放熱材の熱伝導率は、例えば、熱伝導性材料としての無機粒子の使用量などを調整することによって調節することができる。放熱材の熱伝導率は、特に限定されないが、放熱材の放熱性能を高める観点から、0.5W/m・K以上であることが好ましく、1W/m・K以上であることがより好ましい。なお、放熱材の熱伝導率は、京都電子工業(株)製、迅速熱伝導率計(品番:QTM-500)を用い、25℃の温度で測定したときの値である。
【実施例0094】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0095】
[モノマー転化率の評価]
25°Cの大気中でA液及びB液を混合後24時間静置し、形成された硬化物から1g切り出し、酢酸エチル9g、内標としてトリデカン0.03gを加えて50度で攪拌しながら2時間加熱後の溶液をガスクロマトグラフィー(GC)により測定し、単官能モノマー転化率を求め、以下の評価基準に基づいてモノマー転化率を評価した。
なお、モノマー転化率は、ガスクロマトグラフィー(GC)の測定装置として、(株)島津製作所製、GC-2014を用いて下記条件にて測定した値である。
・昇温条件:40℃5minホールド⇒40℃から230℃まで15℃/minのスピードで昇温⇒230℃で10minホールド
・カラム:G-100(長さ:20.0m, 膜厚:1.00μm)
・キャリアガス:N2
・キャリアガス流量:20.0mL/min
・気化室温度:230℃
・検出器:FID
・検出器温度:230℃
(評価基準)
〇:単官能モノマー転化率が97%以上である。
△:単官能モノマー転化率が90%以上97%未満である。
×:単官能モノマー転化率が90%未満である。
【0096】
〔硬化性の評価〕
25℃の大気中でA液及びB液を混合した樹脂組成物を静置させ、得られた硬化物の表面をエタノールで油脂分を除去したヒトの手指で指触したときに、混合直後から当該組成物の付着がなくなるまでの時間(タックフリータイム)を測定し、以下の評価基準に基づいて硬化性を評価した。
(評価基準)
〇:タックフリータイムが72時間未満である。
×:72時間以上経過後もタックフリーにならない。
【0097】
<実施例1>
[A液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:20万、ガラス転移温度:約-68℃〕14g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕33.3g、2-エチルヘキシルアクリレート50g、ナフテン酸コバルト〔東京化成工業(株)、コバルト約8%含有〕1.2g及び架橋剤としてイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)〔東亞合成(株)製、商品名:M-313〕1.5g、を室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することにより、A液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをA液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をA液として用いた。
[B液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:5万、ガラス転移温度:約-68℃〕26g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕65g、促進助剤としてα-アセチル-γ-ブチロラクトン〔東京化成工業(株)〕5g、重合開始剤として過酸化物系開始剤(tert-ブチルパーオキシベンゾエートとクメンハイドロパーオキサイドの混合物)〔化薬ヌーリオン(株)製、商品名:328E〕4gを室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することによってB液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをB液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をB液として用いた。
次に、前記で得られたA液及びB液を用い、二液型硬化性組成物(二液型樹脂組成物)を調製し、上記のとおり物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0098】
<実施例2>
[A液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:20万、ガラス転移温度:約-68℃〕14g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕33.3g、2-オクチルアクリレート50g、ナフテン酸コバルト〔東京化成工業(株)、コバルト約8%含有〕1.2g及び架橋剤としてイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)〔東亞合成(株)製、商品名:M-313〕1.5g、を室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することにより、A液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをA液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をA液として用いた。
[B液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:5万、ガラス転移温度:約-68℃〕26g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕65g、促進助剤としてα-アセチル-γ-ブチロラクトン〔東京化成工業(株)〕5g、重合開始剤として過酸化物系開始剤(tert-ブチルパーオキシベンゾエート)〔日油(株)製、商品名:パーブチルZ〕4gを室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することによってB液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをB液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をB液として用いた。
次に、前記で得られたA液及びB液を用いて二液型硬化性組成物を調製し、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0099】
<実施例3>
[A液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:20万、ガラス転移温度:約-68℃〕14g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕33.3g、2-エチルヘキシルアクリレート50g、ナフテン酸コバルト〔東京化成工業(株)、コバルト約8%含有〕1.2g及び架橋剤としてイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)〔東亞合成(株)製、商品名:M-313〕1.5g、を室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することにより、A液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをA液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をA液として用いた。
[B液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:5万、ガラス転移温度:約-68℃〕26g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕67.5g、促進助剤としてα-アセチル-γ-ブチロラクトン〔東京化成工業(株)〕5g、重合開始剤として過酸化物系開始剤〔日油(株)製、商品名:パーブチルZ〕1.5gを室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することによってB液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをB液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をB液として用いた。
次に、前記で得られたA液及びB液を用いて二液型硬化性組成物を調製し、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0100】
<実施例4>
[A液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:20万、ガラス転移温度:約-68℃〕14g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕33.3g、2-エチルヘキシルアクリレート50.9g、ナフテン酸コバルト〔東京化成工業(株)、コバルト約8%含有〕0.3g及び架橋剤としてイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)〔東亞合成(株)製、商品名:M-313〕1.5g、を室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することにより、A液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをA液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をA液として用いた。
[B液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:5万、ガラス転移温度:約-68℃〕26g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕64g、促進助剤としてα-アセチル-γ-ブチロラクトン〔東京化成工業(株)〕5g、重合開始剤として過酸化物系開始剤〔日油(株)製、商品名:パーブチルZ〕5gを室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することによってB液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをB液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をB液として用いた。
次に、前記で得られたA液及びB液を用いて二液型硬化性組成物を調製し、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0101】
<実施例5>
[A液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:20万、ガラス転移温度:約-68℃〕14g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕33.3g、2-エチルヘキシルアクリレート50.2g、ナフテン酸コバルト〔東京化成工業(株)、コバルト約8%含有〕1g及び架橋剤としてイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)〔東亞合成(株)製、商品名:M-313〕1.5g、を室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することにより、A液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをA液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をA液として用いた。
[B液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:5万、ガラス転移温度:約-68℃〕26g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕71g、促進助剤としてα-アセチル-γ-ブチロラクトン〔東京化成工業(株)〕1g、重合開始剤として過酸化物系開始剤〔日油(株)製、商品名:パーブチルZ〕2gを室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することによってB液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをB液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をB液として用いた。
次に、前記で得られたA液及びB液を用いて二液型硬化性組成物を調製し、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0102】
<比較例1>
[A液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:20万、ガラス転移温度:約-68℃〕14g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕33.3g、2-エチルヘキシルアクリレート50g、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン1.2g及び架橋剤としてイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)〔東亞合成(株)製、商品名:M-313〕1.5g、を室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することにより、A液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをA液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をA液として用いた。
[B液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:5万、ガラス転移温度:約-68℃〕26g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕69g、重合開始剤として過酸化物系開始剤(過酸化ベンゾイル)〔日油(株)製、商品名:ナイパーNS〕5gを室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することによってB液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをB液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をB液として用いた。
次に、前記で得られたA液及びB液を用いて二液型硬化性組成物を調製し、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0103】
<比較例2>
[A液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:20万、ガラス転移温度:約-68℃〕14g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕33.3g、2-エチルヘキシルアクリレート50g、ナフテン酸コバルト〔東京化成工業(株)、コバルト約8%含有〕1.2g及び架橋剤としてイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)〔東亞合成(株)製、商品名:M-313〕1.5g、を室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することにより、A液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをA液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をA液として用いた。
[B液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:5万、ガラス転移温度:約-68℃〕26g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕69g、重合開始剤として過酸化物系開始剤(クメンヒドロペルオキシド)〔日油(株)製、商品名:パークミルH-80〕5gを室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することによってB液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをB液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をB液として用いた。
次に、前記で得られたA液及びB液を用いて二液型硬化性組成物を調製し、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0104】
<比較例3>
[A液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:20万、ガラス転移温度:約-68℃〕14g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕33.3g、2-エチルヘキシルアクリレート50g、N,N’-ジブチルチオ尿素〔東京化成工業(株)〕1.2g及び架橋剤としてイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)〔東亞合成(株)製、商品名:M-313〕1.5g、を室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することにより、A液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをA液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をA液として用いた。
[B液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:5万、ガラス転移温度:約-68℃〕26g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕69g、重合開始剤として過酸化物系開始剤〔日油(株)製、商品名:パークミルH-80〕5gを室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することによってB液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをB液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をB液として用いた。
次に、前記で得られたA液及びB液を用いて二液型硬化性組成物を調製し、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0105】
<比較例4>
[A液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:20万、ガラス転移温度:約-68℃〕14g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕33.3g、2-エチルヘキシルアクリレート50g、ナフテン酸コバルト〔東京化成工業(株)、コバルト約8%含有〕1.2g及び架橋剤としてイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)〔東亞合成(株)製、商品名:M-313〕1.5g、を室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することにより、A液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをA液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をA液として用いた。
[B液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:5万、ガラス転移温度:約-68℃〕26g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕70g、重合開始剤として過酸化物系開始剤〔日油(株)製、商品名:パーブチルZ〕4gを室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することによってB液を調製し、さらにアルミナ粉末(平均粒子径:10μm)733gをB液に添加し、均一な組成となるまで混合することによって得られた混合物をB液として用いた。
次に、前記で得られたA液及びB液を用いて二液型硬化性組成物を調製し、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0106】
<比較例5>
[A液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:20万、ガラス転移温度:約-68℃〕14g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕33.3g、2-エチルヘキシルアクリレート50g、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン1.2g及び架橋剤としてイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)〔東亞合成(株)製、商品名:M-313〕1.5g、を室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することにより、A液を調製した。
[B液の調製]
(メタ)アクリル系ポリマーとして2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー〔2-エチルヘキシルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート(質量比)=95/5、重量平均分子量:5万、ガラス転移温度:約-68℃〕26g、トリメリット酸エステル系可塑剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカサイザーC-880〕69g、重合開始剤として過酸化物系開始剤〔日油(株)製、商品名:ナイパーNS〕5gを室温(約25℃)下で大気中にて均一な組成となるまで混合することによってB液を調製した。
次に、前記で得られたA液及びB液を用いて二液型硬化性組成物を調製し、実施例1と同様にして物性を調べた。その結果を表1に示す。
【0107】
【表1】