(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020953
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】導電性シール付き転がり軸受
(51)【国際特許分類】
F16C 33/78 20060101AFI20250205BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20250205BHJP
F16C 33/58 20060101ALI20250205BHJP
F16J 15/3204 20160101ALI20250205BHJP
【FI】
F16C33/78 D
F16C19/06
F16C33/58
F16J15/3204 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124603
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】セリン オン フイツ
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 克明
【テーマコード(参考)】
3J006
3J216
3J701
【Fターム(参考)】
3J006AE12
3J006AE15
3J006AE34
3J006AE40
3J006AE41
3J006CA01
3J216AA02
3J216AA12
3J216AB06
3J216AB29
3J216BA02
3J216BA18
3J216BA19
3J216CA01
3J216CA04
3J216CA05
3J216CB03
3J216CB07
3J216CB12
3J216CB19
3J216CC14
3J216CC24
3J216CC33
3J216DA01
3J216DA09
3J216DA11
3J216DA21
3J216EA01
3J701AA02
3J701AA32
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701BA53
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3J701BA56
3J701BA69
3J701BA73
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3J701DA11
3J701EA02
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3J701GA01
3J701GA24
3J701XB03
3J701XB18
(57)【要約】
【課題】シール部材を介して外輪と内輪の間で安定した導電性を確保することができる導電性シール付き転がり軸受を提供する。
【解決手段】シール部材5が導電性ゴムで形成され、内輪2にシール部材5が摺接するシール摺接面13が形成されている導電性シール付き転がり軸受において、シール摺接面13は、周方向に直交する方向の粗さ曲線のスキューネスRskとクルトシスRkuが、Rsk>0かつRku<3を満たす面とされている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外輪(1)と、
前記外輪(1)の径方向内側に配置される内輪(2)と、
前記外輪(1)と前記内輪(2)の間に形成される環状の軸受空間(3)に組み込まれた複数の転動体(4)と、
前記軸受空間(3)の軸方向の一方の端部開口を塞ぐ環状のシール部材(5)と、を有し、
前記シール部材(5)が導電性ゴムで形成され、
前記内輪(2)と前記外輪(1)の両軌道輪のうちの一方の軌道輪に前記シール部材(5)が固定され、他方の軌道輪に前記シール部材(5)が摺接するシール摺接面(13)が形成されている導電性シール付き転がり軸受において、
前記シール摺接面(13)は、周方向に直交する方向の粗さ曲線のスキューネスRskとクルトシスRkuが、Rsk>0かつRku<3を満たす面とされていることを特徴とする導電性シール付き転がり軸受。
【請求項2】
前記シール摺接面(13)は、周方向に延びる複数の突条(15)が0.2mm以上の一定ピッチで平行に並んで形成された面である請求項1に記載の導電性シール付き転がり軸受。
【請求項3】
前記外輪(1)と前記内輪(2)は鋼材で形成され、
前記シール摺接面(13)は、前記鋼材の硬さよりも低い硬さを有する導電性皮膜(16)がコーティングされた面である請求項1または2に記載の導電性シール付き転がり軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、導電性シール付き転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
走行用の原動機として電動モータを使用する自動車として、EV(バッテリー式電気自動車)やHEV(ハイブリッド電気自動車)などの電気自動車が知られている。これらの電気自動車では、電動モータに交流電力を供給するために、バッテリの直流電力を交流電力に変換するインバータが使用され、電動モータの高効率化を図るために、電動モータに供給する交流電力の周波数が高く設定される。
【0003】
ここで、電動モータに供給される交流電力の周波数が高くなると、急峻な電圧変動の影響で電動モータを構成するステータの巻線から漏れ磁束が発生し、軸の両端で電位差が発生するため、電動モータの主軸を支持する転がり軸受に電流が流れやすくなる。そして、転がり軸受に電流が流れると、転がり軸受の軌道面と転動体の間にスパークが発生し、そのスパークによって軌道面の損傷が次第に進行する現象(電食)が生じることがある。
【0004】
この電食を防止するための軸受として、特許文献1の導電性シール付き転がり軸受が知られている。特許文献1の導電性シール付き転がり軸受は、外輪と、外輪の径方向内側に同軸に配置される内輪と、外輪と内輪の間に形成される環状の軸受空間に組み込まれた複数の転動体と、軸受空間の軸方向の一方の端部開口を塞ぐ環状のシール部材とを有する。シール部材は、外輪の内周に固定され、内輪の外周には、シール部材のシールリップが摺接するシール摺接面が形成されている。
【0005】
ここで、特許文献1の導電性シール付き転がり軸受においては、電食を防止するため、シール部材を導電性ゴムで形成し、そのシール部材を通って外輪と内輪の間で電流が流れる(つまり電流がバイパスする)ようにすることで、転動体を通って電流が流れないようにしている。また、シール部材のシールリップと、内輪の外周のシール摺接面との間を潤滑する潤滑剤として、導電性潤滑剤を使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のように導電性潤滑剤を使用した場合でも、シール部材のシールリップと内輪の外周のシール摺接面との間での導電性が不足することがあり、シール部材を介して外輪と内輪の間で安定した導電性を確保することは難しい。
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、シール部材を介して外輪と内輪の間で安定した導電性を確保することができる導電性シール付き転がり軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、この発明では、以下の構成の導電性シール付き転がり軸受を提供する。
[構成1]
外輪と、
前記外輪の径方向内側に配置される内輪と、
前記外輪と前記内輪の間に形成される環状の軸受空間に組み込まれた複数の転動体と、
前記軸受空間の軸方向の一方の端部開口を塞ぐ環状のシール部材と、を有し、
前記シール部材が導電性ゴムで形成され、
前記内輪と前記外輪の両軌道輪のうちの一方の軌道輪に前記シール部材が固定され、他方の軌道輪に前記シール部材が摺接するシール摺接面が形成されている導電性シール付き転がり軸受において、
前記シール摺接面は、周方向に直交する方向の粗さ曲線のスキューネスRskとクルトシスRkuが、Rsk>0かつRku<3を満たす面とされていることを特徴とする導電性シール付き転がり軸受。
【0010】
この構成を採用すると、シール摺接面の周方向に直交する方向の粗さ曲線のスキューネスがRsk>0を満たすので、シール摺接面は、平滑面に多数の谷がある面というよりは、平滑面に多数の山がある面に近い表面性状となり、それらの山の頂部とシール部材との間が潤滑剤を介さない直接接触に近い状態となる。そのため、シール部材を介して外輪と内輪の間で安定した導電性を確保することができる。また、シール摺接面の周方向に直交する方向の粗さ曲線のクルトシスがRku<3を満たすので、シール摺接面は、その表面の多数の山の頂部のとがりが丸められた状態となっている。そのため、シール部材の摩耗を抑制することができる。
【0011】
[構成2]
前記シール摺接面は、周方向に延びる複数の突条が0.2mm以上の一定ピッチで平行に並んで形成された面である構成1に記載の導電性シール付き転がり軸受。
【0012】
この構成を採用すると、Rsk>0かつRku<3を満たすシール摺接面を容易に形成することができる。すなわち、まず、旋削によってシール摺接面の元になる面を形成すると、その面は、周方向に延びる複数の突条(旋削痕)が一定ピッチで平行に並んで形成された面となり、その突条(旋削痕)の存在によりスキューネスがRsk>0を満たす面となる。このとき、まだ突条(旋削痕)の頂部が尖った状態であることから、粗さ曲線のクルトシスはRku>3である。次に、その面に、周方向に延びる突条(旋削痕)が無くならない程度に研磨(例えばラッピング研磨)を施し、その突条(旋削痕)の山の頂部を丸めることで、スキューネスをRsk>0に保ちながら、クルトシスをRku<3とすることができる。このように、旋削によってシール摺接面の元になる面を加工し、次に、その面に旋削痕が無くならない程度に研磨を施すことで、Rsk>0かつRku<3を満たすシール摺接面を容易に形成することができる。このようにして形成されたシール摺接面は、周方向に延びる複数の突条が0.2mm以上の一定ピッチで平行に並んで形成された面となる。
【0013】
なお、一般のシール付き転がり軸受のシール摺接面は、旋削でシール摺接面の元になる面を加工し、その後、その面を研削して仕上げるため、周方向に延びる突条(旋削痕)は無くなり、完全に平滑な面となる。そのため、周方向に直交する方向の粗さ曲線のスキューネスはRsk≒0、周方向に直交する方向の粗さ曲線のクルトシスはRku≒3となる。
【0014】
[構成3]
前記外輪と前記内輪は鋼材で形成され、
前記シール摺接面は、前記軸受鋼の硬さよりも低い硬さを有する導電性皮膜がコーティングされた面である構成1または2に記載の導電性シール付き転がり軸受。
【0015】
この構成を採用すると、シール部材の摩耗を特に効果的に抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
この発明の導電性シール付き転がり軸受は、シール摺接面の周方向に直交する方向の粗さ曲線のスキューネスがRsk>0を満たすので、シール摺接面は、平滑面に多数の谷がある面というよりは、平滑面に多数の山がある面に近い表面性状となり、それらの山の頂部とシール部材との間が潤滑剤を介さない直接接触に近い状態となる。そのため、シール部材を介して外輪と内輪の間で安定した導電性を確保することができる。また、シール摺接面の周方向に直交する方向の粗さ曲線のクルトシスがRku<3を満たすので、シール摺接面は、その表面の多数の山の頂部のとがりが丸められた状態となっている。そのため、シール部材の摩耗を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の実施形態にかかる導電性シール付き転がり軸受を示す断面図
【
図3】
図2のシール摺接面を、導電性皮膜がコーティングされた面とした例を示すシール摺接面の近傍の拡大断面図
【
図4】
図1のシール摺接面を外輪に形成した変形例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に、この発明の実施形態にかかる導電性シール付き転がり軸受を示す。この導電性シール付き転がり軸受は、外輪1と、外輪1の径方向内側に同軸に配置される内輪2と、外輪1と内輪2の間に形成される環状の軸受空間3に周方向に間隔をおいて組み込まれた複数の転動体4と、軸受空間3の軸方向の一方の端部開口を塞ぐ環状のシール部材5と、軸受空間3の軸方向の他方の端部開口を塞ぐ環状のシール部材6と、複数の転動体4の周方向の間隔を保持する保持器7とを有する。軸受空間3には潤滑剤が封入されている。
【0019】
外輪1の内周には、転動体4が転がり接触する外輪軌道面8と、外輪軌道面8の軸方向外側に位置する一対の外輪肩部9と、外輪肩部9の軸方向外側に位置する一対のシール固定溝10とが形成されている。一対の外輪肩部9は、外輪軌道面8を軸方向に挟む両側を周方向に延びる土手状の部分である。シール固定溝10は、外輪肩部9の軸方向外側に隣接して形成された周方向に延びる溝である。一対のシール固定溝10には、シール部材5,6がそれぞれ嵌合して固定されている。
【0020】
内輪2の外周には、転動体4が転がり接触する内輪軌道面11と、内輪軌道面11の軸方向外側に位置する一対の内輪肩部12と、内輪肩部12の軸方向外側に位置する一対のシール摺接面13とが形成されている。一対の内輪肩部12は、内輪軌道面11を軸方向に挟む両側を周方向に延びる土手状の部分である。シール摺接面13は、内輪肩部12の軸方向外側に隣接して形成された周方向に延びる凹部の内面である。一対のシール摺接面13には、シール部材5,6の内周に形成されたシールリップ14がそれぞれしゅう接している。シール摺接面13は、図では、軸方向に沿って外径が一定の円筒面である。
【0021】
外輪1、内輪2、転動体4は、それぞれ鋼材で形成されている。転動体4は、ここでは玉である。転動体4は、外輪軌道面8と内輪軌道面11との間で径方向に挟み込まれている。外輪軌道面8および内輪軌道面11は、周方向に直交する断面形状が円弧状の溝の内面である。
【0022】
シール部材5は、図示しない芯金に導電性ゴムを加硫接着して形成されている。導電性ゴムは、ゴム材料に導電性フィラーを分散したゴム組成物である。ゴム材料としては、アクリルゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム等を使用することができる。導電性フィラーとしては、炭素系導電フィラーを使用することができる。シール部材6もシール部材5と同じ構成を有する。
【0023】
シール摺接面13は、周方向に延びる複数の突条15が0.2mm以上1.0mm以下の一定ピッチで平行に並んで形成された面である。突条15は、5μm以上30μm以下(好ましくは20μm以下)の高さを有する。このシール摺接面13は、周方向に直交する方向の粗さ曲線のスキューネスがRsk>0(好ましくはRsk>0.5、より好ましくはRsk>1.0)を満たし、かつ、周方向に直交する方向の粗さ曲線のクルトシスがRku<3(好ましくはRku<2.8、より好ましくはRku<2.6)を満たす面とされている。
【0024】
このシール摺接面13は、次のようにして形成された面である。すなわち、まず、内輪2のブランクとなるリング状素材に、旋削によってシール摺接面13の元になる面を形成する。この旋削により形成された面は、周方向に延びる複数の突条15(旋削痕)が、一定ピッチ(=旋削の1回転あたりの送り量)で平行に並んで形成された面となり、その突条15(旋削痕)の存在によりスキューネスがRsk>0を満たす面となる。このとき、まだ突条15(旋削痕)の頂部が尖った状態であることから、粗さ曲線のクルトシスはRku>3である。
【0025】
次に、その面に、周方向に延びる突条15(旋削痕)が無くならない程度に研磨(例えばバレル研磨やラッピング研磨)を施し、その突条15(旋削痕)の山の頂部を丸める。これにより、スキューネスをRsk>0に保ちながら、クルトシスをRku<3とすることができる。
【0026】
このように、旋削によってシール摺接面13の元になる面を加工し、次に、その面に旋削痕が無くならない程度に研磨を施すことで、周方向に直交する方向の粗さ曲線のスキューネスがRsk>0(好ましくはRsk>0.5、より好ましくはRsk>1.0)を満たし、かつ、周方向に直交する方向の粗さ曲線のクルトシスがRku<3(好ましくはRku<2.8、より好ましくはRku<2.6)を満たすシール摺接面13を形成することができる。
【0027】
なお、一般のシール付き転がり軸受のシール摺接面13は、内輪2のブランクとなるリング状素材に、旋削でシール摺接面13の元になる面を加工し、その後、その面を研削して仕上げるため、周方向に延びる突条15(旋削痕)は無くなり、完全に平滑な面となる。そのため、周方向に直交する方向の粗さ曲線のスキューネスはRsk≒0、周方向に直交する方向の粗さ曲線のクルトシスはRku≒3となる。
【0028】
シール摺接面13の粗さ曲線のスキューネスRskおよびクルトシスRkuの測定は、日本産業規格JISB0601:2013「製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-用語,定義及び表面性状パラメータ」(ISO4287:1997,Amd.1:2009)、日本産業規格JISB0651:2001「製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-触針式表面粗さ測定機の特性」(ISO3274:1996)に従って行なう。また、シール摺接面13の位置によるスキューネスRskおよびクルトシスRkuのばらつきは小さいため、スキューネスRskおよびクルトシスRkuの測定は、シール摺接面13の複数箇所で行なう必要はなく、シール摺接面13の1箇所で行えば良い。
【0029】
この導電性シール付き転がり軸受は、シール摺接面13の周方向に直交する方向の粗さ曲線のスキューネスがRsk>0(好ましくはRsk>0.5、より好ましくはRsk>1.0)を満たすので、シール摺接面13は、平滑面に多数の谷がある面というよりは、平滑面に多数の山がある面に近い表面性状となり、それらの山の頂部とシール部材5との間が潤滑剤を介さない直接接触に近い状態となる。そのため、シール部材5を介して外輪1と内輪2の間で安定した導電性を確保することができ、軸受の長寿命化を図ることができる。また、隣り合う突起15同士の間に潤滑剤が溜まるので、その潤滑剤でシール部材5のシールリップ14を潤滑することができる。
【0030】
また、シール摺接面13の周方向に直交する方向の粗さ曲線のクルトシスがRku<3(好ましくはRku<2.8、より好ましくはRku<2.6)を満たすので、シール摺接面13は、その表面の多数の山の頂部のとがりが丸められた状態となっている。そのため、シール部材5の摩耗を抑制することができる。
【0031】
図3に示すように、シール摺接面13は、内輪2を構成する鋼材よりも低い硬さを有する導電性皮膜16をコーティングした面とすることができる。そのような導電性皮膜16としては、銀、銅、金、ニッケル、錫、クロム等の金属めっき皮膜や、ポリウレタン等の樹脂材料に導電性フィラー(カーボンブラック等)を分散した導電性樹脂皮膜を採用することができる。クロムめっき皮膜を採用すると、耐摩耗性と耐食性があるので好適である。
【0032】
上記実施形態では、
図2に示すように、シール部材5のシールリップ14が、軸方向に沿って外径が一定の円筒状のシール摺接面13に摺接するもの(ラジアル接触シール)を例に挙げて説明したが、この発明は、シール部材5のシールリップ14が、軸方向に対して直角なシール摺接面13に摺接するものや、シール部材5のシールリップ14が、軸方向に対して傾斜角をもつテーパ状のシール摺接面13に摺接するものにも同様に適用することができる。
【0033】
また、上記実施形態では、外輪1と内輪2の両軌道輪のうち、外輪1にシール部材5を固定し、内輪2にシール部材5が摺接するシール摺接面13を形成した導電性シール付き転がり軸受を例に挙げて説明したが、この発明は、
図4に示すように、内輪2にシール部材5を固定し、外輪1にシール部材5が摺接するシール摺接面13を形成した導電性シール付き転がり軸受にも同様に適用することができる。
【0034】
また、上記実施形態では、軸受空間3の両側にシール部材5,6を設けた導電性シール付き転がり軸受を例に挙げて説明したが、軸受空間3の片側にのみシール部材5を設けるようにしてもよい。
【0035】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0036】
1 外輪
2 内輪
3 軸受空間
4 転動体
5 シール部材
13 シール摺接面
15 突条
16 導電性皮膜