(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020980
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】両面テープ付き耐火部材
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20250205BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20250205BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20250205BHJP
C09K 21/02 20060101ALI20250205BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20250205BHJP
【FI】
B32B27/00 M
B32B27/18 B
B32B27/30 A
C09K21/02
C09J7/38
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124640
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】高津 知道
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 真佐之
(72)【発明者】
【氏名】小澤 太基
【テーマコード(参考)】
4F100
4H028
4J004
【Fターム(参考)】
4F100AA04A
4F100AA37A
4F100AK25B
4F100AK25D
4F100AK28A
4F100AK42C
4F100AK51B
4F100AK51D
4F100AK64A
4F100AN02A
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CA02B
4F100CA02D
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4F100CB05B
4F100CB05D
4F100GB07
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4F100JL13D
4F100YY00A
4H028AA03
4J004AA10
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4J004AB01
4J004BA02
4J004CA03
4J004CA04
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4J004CB03
4J004CC02
4J004DB02
4J004EA05
4J004FA08
4J004FA10
(57)【要約】
【課題】積層した粘着剤層の経時的な凝集力低下が少ない耐火部材を提供する。
【解決手段】本発明によれば、マトリクスポリマー成分と、無機化合物と、軟化剤と、熱膨張性化合物を含有する耐火層と、前記耐火層の一方、又は両方の面側に設けられた、支持体の両面に粘着剤層を有する両面テープと、を有する両面テープ付き耐火部材が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクスポリマー成分と、無機化合物と、軟化剤と、熱膨張性化合物を含有する耐火層と、
前記耐火層の一方、又は両方の面に設けられた、支持体の両面に粘着剤層を有する両面テープと、
を有する両面テープ付き耐火部材。
【請求項2】
前記耐火層が、前記マトリクスポリマー成分100質量部に対し、前記無機化合物を20~600質量部、前記軟化剤を10~200質量部、前記熱膨張性化合物を5~400質量部含む、請求項1に記載の両面テープ付き耐火部材。
【請求項3】
前記無機化合物が、亜リン酸水素アルミニウムを含む請求項1又は請求項2に記載の両面テープ付き耐火部材。
【請求項4】
前記熱膨張性化合物が、熱膨張性黒鉛を含む、請求項1又は請求項2に記載の両面テープ付き耐火部材。
【請求項5】
前記粘着剤層が、架橋されたアクリル系粘着剤である請求項1又は請求項2に記載の両面テープ付き耐火部材。
【請求項6】
シート又は成形体である請求項1又は請求項2に記載の両面テープ付き耐火部材。
【請求項7】
建具または鉄骨の耐火被覆に使用される、請求項1又は請求項2に記載の両面テープ付き耐火部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面テープ付き耐火部材に関する。
【背景技術】
【0002】
耐火性と粘着剤層を有する耐火部材としては、耐液状添加剤性粘着剤層を用いた特許文献1と2が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/034002号
【特許文献2】特開2017-145682
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献に記載された粘着剤層は、特定の配合にすることで成分移行をある程度抑えられているものの、耐火材に直接粘着剤層を積層しているため、耐火材から粘着剤層への低分子量物の移行の抑制が十分ではなく、積層した粘着剤層の経時的な凝集力低下が課題であった。
また、下地層を設けた場合では、その下地層を塗布する際に使用する溶媒や乾燥時の熱により、耐火材が変質する課題があった。
【0005】
本発明の目的は、積層した粘着剤層の経時的な凝集力低下が少ない耐火部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、粘着剤と耐火材の層を含む積層体を特定の構成にすることで上記の課題を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]マトリクスポリマー成分と、無機化合物と、軟化剤と、熱膨張性化合物を含有する耐火層と、
前記耐火層の一方、又は両方の面に設けられた、支持体の両面に粘着剤層を有する両面テープと、
を有する両面テープ付き耐火部材。
[2]前記耐火層が、前記マトリクスポリマー成分100質量部に対し、前記無機化合物を20~600質量部、前記軟化剤を10~200質量部、前記熱膨張性化合物を5~400質量部含む、[1]に記載の両面テープ付き耐火部材。
[3]前記無機化合物が、亜リン酸水素アルミニウムを含む[1]又は[2]に記載の両面テープ付き耐火部材。
[4]前記熱膨張性化合物が、熱膨張性黒鉛を含む、[1]~[3]の何れか1つに記載の両面テープ付き耐火部材。
[5]前記粘着剤層が、架橋されたアクリル系粘着剤である[1]~[3]の何れか1つに記載の両面テープ付き耐火部材。
[6]シート又は成形体である[1]~[4]の何れか1つに記載の両面テープ付き耐火部材。
[7]建具または鉄骨の耐火被覆に使用される、[1]~[5]の何れか1つに記載の両面テープ付き耐火部材。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、経時的な凝集力低下が少ない耐火部材を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】耐火層の一方の面側に両面テープが設けられた耐火部材の例を示すの概略図である。
【
図2】耐火層の両方の面側に両面テープが設けられた耐火部材の例を示すの概略図である。
【
図3】可撓性試験用接合体の作成方法を説明する図である。
【
図4】可撓性試験用接合体の折り曲げ方向と、角度θを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0011】
<両面テープ付き耐火部材>
本実施形態の耐火部材は、耐火層(耐火材)と両面テープ(両面テープ層)を有する両面テープ付き耐火部材である。
図1のように、両面テープ付き耐火部材1において、両面テープ5は、耐火層3の一方に設けられてもよい。両面テープ5は、基材である支持体9の両面に粘着剤層7(7a、7b)を有する両面テープである。また、
図2のように、両面テープ付き耐火部材10において、両面テープ15(15a、15b)は、耐火層13の両方の面に設けられる。両面テープ15(15a、15b)は、基材である支持体19(19a、19b)の両面に粘着剤層17(17aa、17ab、17ba、17bb)を有する両面テープである。なお、両面テープは、耐火層に他の層を介して設けられていてもよいが、好ましくは耐火層に直接設けられている(直接貼り付けられている)。
【0012】
本実施形態の耐火部材は、例えば、シート状の耐火材と両面テープを張り合わせることにより製造することができる。耐火部材は、シート又は成形体であってよい。耐火部材は、シート形状に限られない。耐火材(耐火層)及び両面テープを耐火部材が取り付けられる構造体の形状に応じて成形し、また変形させることができ、様々な形状の耐火部材を得てもよい。
【0013】
<耐火層>
耐火層は、マトリクスポリマー成分と、無機化合物と、軟化剤と、熱膨張性化合物を含有する。
【0014】
<マトリクスポリマー成分>
マトリクスポリマー成分としては、公知の樹脂を広く使用でき、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0015】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹、ポリエチレン樹脂、ポリ(1-)ブテン樹脂、ポリペンテン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ノボラック樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソブチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル(EVA)等の合成樹脂が挙げられる。
【0016】
熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリイソシアネート、ポリイソシアヌレート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等の合成樹脂が挙げられる。
【0017】
エラストマーとしては、ゴムや熱可塑性エラストマーが挙げられる。熱可塑性エラストマーは、加熱によって軟化し流動性を示す性質を有するエラストマーであり、このような性質を有さないゴムと区別可能である。
【0018】
ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチレンゴム、ブタジエンゴム、1,2-ポリブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、エチレン・酢ビゴム、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、再生ゴムなどの架橋可能なゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。
【0019】
熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)等が挙げられる。
【0020】
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロック及び共役ジエンを主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体が好ましい。ビニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン等があり、これらは単体だけでなく2種以上を組み合わせて使用しても良い。共役ジエンとしては1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン等があり、これらは単体だけでなく2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0021】
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーの具体的な例としては、スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン(SIS)共重合体、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン(SEBS)共重合体、スチレン・イソプレン・水添スチレン・イソプレン・スチレン(SEPS)共重合体、スチレン・エチレンプロピレン(SEP)共重合体、スチレン・エチレンプロピレン・スチレン(SEPS)共重合体、スチレン・エチレン‐エチレンプロピレン・スチレン(SEEPS)共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体等が挙げられる。スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有量は、例えば15質量%以上70質量%以下であり、20質量%以上60質量%以下が好ましい。この含有量は、例えば、5、10、15、18、20、23、25、30、31、35、40、45、50、55、60、65、70質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0022】
これらのマトリクスポリマー成分は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0023】
<熱膨張性化合物>
熱膨張性化合物としては、加熱時に膨張するものであれば特に限定はないが、例えば、マイクロスフェアー、メラミン、アゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジン誘導体、重炭酸塩、バーミキュライト、カオリン、マイカ、熱膨張性黒鉛等が挙げられる。これらの中でも、膨張開始温度が低いことから熱膨張性黒鉛が好ましく、熱膨張性化合物は熱膨張性黒鉛を含むことが好ましい。
【0024】
熱膨張性黒鉛は、天然グラファイト、熱分解グラファイト等の粉末を、硫酸、硝酸等の無機酸と濃硝酸、過マンガン酸塩等の強酸化剤とで処理されたものであり、グラファイト層状構造を維持した結晶化合物である。これらは200℃程度以上の温度に曝されると、例えば、100倍以上に熱膨張するものである。なお、これら天然グラファイト、熱分解グラファイト等の粉末は、脱酸処理に加え、更に中和処理したタイプ他、各種品種があるがいずれも使用できる。
【0025】
本発明に使用する熱膨張性黒鉛は、熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比が20以上であることが好ましい。熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比が20以上であることにより、防火性樹脂サッシなどの建具の開口枠体を構成する枠体の内部に十分に充填が出来、鉄骨被覆にも好適に使用できる。
【0026】
平均アスペクト比は、鉛直方向の厚さに対する水平方向の平均径の割合である。本発明に使用する熱膨張性黒鉛は概ね平板状をしているため、鉛直方向が厚み方向、水平方向が径方向に一致すると見ることができるため、水平方向の最大寸法を鉛直方向の厚みで除した値をアスペクト比とする。
そして、十分大きな数、すなわち10個以上の黒鉛片につきアスペクト比を測定し、その平均値を平均アスペクト比とする。熱膨張性黒鉛の平均粒径も、水平方向の最大寸法の平均値として求めることができる。
熱膨張性黒鉛の水平方向における最大寸法及び厚みは、例えば電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて測定することができる。
【0027】
熱膨張性化合物の含有量は、マトリクスポリマー成分100質量部に対して5~400質量部であり、35~300質量部が好ましく、65~200質量部がさらに好ましい。熱膨張性化合物の含有量がこの範囲であることで、熱膨張倍率と熱膨張後の耐火材の形状安定性の両立化が図れる。
【0028】
<無機化合物>
無機化合物としては、例えば、アルミナ、アルミノシリケート、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム、けい酸カルシウム等のカルシウム塩、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化けい素、カーボンブラック、グラファイト、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化けい素、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、フライアッシュ、無機中空フィラー、パーライト、黒曜岩、真珠岩、松脂岩、珪藻土、脱水汚泥、ホウ素、四ホウ酸ナトリウム水和物(ホウ砂)、ガラス繊維、シリカ、粘土鉱物、無機リン系化合物などが挙げられる。これらは単体で使用してもよく、また2種以上を併用しても良い。分散性の観点から、無機化合物の平均粒径は、レーザー回折法の測定値で1~100μmが好ましい。
【0029】
<無機リン系化合物>
無機リン系化合物は、リン酸系化合物、亜リン酸系化合物、次亜リン酸系化合物、メタリン酸系化合物、ピロリン酸系化合物及びポリリン酸系化合物のうちの少なくとも1種を含む。
【0030】
リン酸系化合物としては、例えば、第1リン酸アルミニウム、第1リン酸ナトリウム、第1リン酸カリウム、第1リン酸カルシウム、第1リン酸亜鉛、第2リン酸アルミニウム、第2リン酸ナトリウム、第2リン酸カリウム、第2リン酸カルシウム、第2リン酸亜鉛、第3リン酸アルミニウム、第3リン酸ナトリウム、第3リン酸カリウム、第3リン酸カルシウム、第3リン酸亜鉛、第3リン酸マグネシウム、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三カルシウム、リン酸アルミニウム等が挙げられる。
【0031】
亜リン酸系化合物としては、例えば、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸水素アルミニウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛などが挙げられる。
【0032】
次亜リン酸系化合物としては、例えば、次亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸亜鉛などが挙げられる。
【0033】
メタリン酸系化合物としては、例えば、メタリン酸アルミニウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸亜鉛、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0034】
ピロリン酸系化合物としては、例えば、ピロリン酸ナトリウムが挙げられる。
【0035】
ポリリン酸系化合物としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0036】
無機化合物の含有量は、マトリクスポリマー成分100質量部に対して20~600質量部であり、80~470質量部が好ましく、140~340質量部がさらに好ましい。無機化合物の含有量がこの範囲であることで、難燃性と可撓性の両立化が図れる。
【0037】
無機化合物は、亜リン酸水素アルミニウムを含有することが好ましい。この場合に、耐火材に含まれる熱膨張性化合物が膨張した後の形状安定性が良好になりやすい。
【0038】
<軟化剤>
軟化剤としては、特に限定されないが、例えば、菜種油、綿実油、パーム油、やし油、落花生油、トール油、パインタール、プロセスオイル(パラフィン系オイル、ナフテン系オイルおよび芳香族系プロセスオイル)、カルボン酸エステル系可塑剤(フタル酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、トリメリット酸エステル、クエン酸エステル、オレイン酸エステル、リシノール酸エステル、ステアリン酸エステル、グリコール酸エステル等)、リン酸エステル系可塑剤(リン酸トリトリル、トリイソプロピルフェニルホスフェート等)が挙げられる。軟化剤は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0039】
軟化剤の含有量は、マトリクスポリマー成分100質量部に対して、好ましくは10~200質量部であり、より好ましくは40~170質量部であり、さらに好ましくは70~140質量部である。軟化剤の含有量がこの範囲であることで、可撓性と難燃性の両立化が図れる。
【0040】
本実施形態では、その効果を阻害しない範囲で、通常のゴム配合物に使用される加硫剤、加硫促進剤を含有してもよい。加硫剤及び加硫促進剤は、加硫可能なゴムの架橋度を向上させ、ゴム自体の強度を向上させるものである。なお、ゴムの強度は、硬度にて評価できるものである。但し、本発明の耐火材は、加硫剤と加硫促進剤を含有していなくてもよい。言い換えると、本発明の耐火材は、加硫されていなくてもよい。
【0041】
本実施形態では、その効果を阻害しない範囲で、通常のゴム配合物に使用される、老化防止剤、加工助剤、滑剤、有機繊維、粘着付与剤等を併用してもよい。
【0042】
本実施形態の耐火層(耐火材)は、上記各成分をバンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール等公知の混練装置を用いて混練されたものを、例えば、プレス成形、ロール成形、押し出し成形、カレンダー成形等の従来公知の成形方法でシート状に成形することで得ることが出来る。
【0043】
得られる耐火層の厚みは、特に限定されないが、0.1~20mmが好ましく、特には0.5~10mmが好ましい。
【0044】
<支持体の両面に粘着剤層を有する両面テープ>
本実施形態で使用される両面テープは、支持体と粘着剤で構成され、基材である支持体の両面に粘着剤層を有する両面テープである。粘着剤としては、従来公知の粘着剤が使用でき、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などがあり、これらの組み合わせでも良い。一実施形態においては、粘着剤層は架橋されたアクリル系粘着剤であることが好ましい。アクリル系粘着剤が、イソシアネート化合物等で架橋されたアクリル系粘着剤である場合、耐火材から粘着剤層への低分子量物の移行が抑制され、積層した粘着剤層の経時的な凝集力低下を抑制することができる。
【0045】
<ゴム系粘着剤>
ゴム系粘着剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤、スチレン系熱可塑性エラストマー系粘着剤、ブチルゴム系粘着剤などがある。
【0046】
<アクリル系粘着剤>
アクリル系粘着剤は、アクリル酸エステルを主成分とするアクリル系粘着剤等が挙げられる。通常、アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー成分と、官能基含有モノマーと、重合開始剤とを混合し、モノマー成分を重合させることにより得られる。
【0047】
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、ブチル(メタ)アクリレート、2-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、及びエトキシ-n-プロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
【0048】
官能基含有モノマーとしては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、アミド基、アミノ基、メチロール基等を有するものが挙げられる。
【0049】
ヒドロキシル基を有する官能基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシビニルエーテル等が挙げられる。
【0050】
カルボキシル基を有する官能基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリルアミドN-グリコール酸、及びケイ皮酸等が挙げられる。
【0051】
エポキシ基を有する官能基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0052】
アミド基を有する官能基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0053】
アミノ基を有する官能基含有モノマーとしては、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0054】
メチロール基を有する官能基含モノマーとしては、例えば、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0055】
その他の共重合性モノマーとしては、例えばN-アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N-ビニルピロリドン、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン等が挙げられる。
【0056】
重合開始剤としては、特に限定されず、例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、過酸化ベンゾイル等が挙げられる。これらは単独もしくは併用して用いてもよい。
【0057】
アクリル系粘着剤は、架橋剤を使用することにより接着力と凝集力(保持力)とを任意の値に設定することができる。このような架橋剤としては、多価イソシアネート化合物、多価エポキシ化合物、多価アジリジン化合物、キレート化合物等がある。
【0058】
多価イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族系イソシアネート、脂環族系イソシアネート、及び脂肪族系イソシアネート等が挙げられ、具体的にはトリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、およびこれらのアダクトタイプのもの等が用いられる。
【0059】
多価エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル等が用いられる。
【0060】
多価アジリジン化合物としては、例えば、トリス-2,4,6-(1-アジリジニル)-1,3,5-トリアジン、トリス〔1-(2-メチル)-アジリジニル〕ホスフィンオキシド、ヘキサ〔1-(2-メチル)-アジリジニル〕トリホスファトリアジン等が用いられる。
【0061】
キレート化合物としては、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が用いられる。
【0062】
上記架橋剤の好ましい添加量は、アクリル系共重合体100質量部に対して0.1~20質量部である。0.1重量部より少ないと軟らかすぎてしまい、構造体に貼り付けた際の保持性に問題がある。20質量部より多いと硬くなりすぎてしまい、構造体への濡れ広がり(密着性)が悪くなる。
【0063】
得られる粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、5~200μmが好ましく、特には10~150μm、更には15~100μmが好ましい。、下限値以上では粘着物性が安定し、上限値以下であると糊残りを起こしにくい。
【0064】
本発明で使用される両面テープの支持体は、例えば、レーヨンやポリエステルなどの不織布、和紙、プラスチックフィルム、金属箔などがある。
【0065】
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン共重合体等)、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリエーテルケトン(ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等)、ポリアミド(ナイロン、アラミド等)、ポリアセテート、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン等)、セロハン、ビニロン、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、各種ゴム類、等のポリマーの一種または二種以上を含む材料がある。
【0066】
支持体と粘着剤層との密着性を上げるため、支持体にコロナ処理や電子線処理を施しても良い。また、下地層としてポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、アミド系樹脂、ウレタン系樹脂、及びメラミン系樹脂などの下地層を設けても良い。
【0067】
支持体を設けることで、耐火材層から粘着剤層への低分子量物の移行を効率的に防止できる。
【0068】
<用途>
本実施形態の耐火部材は、種々の用途に適用可能であるが、例えば建具または鉄骨の耐火被覆等に使用されうる。また、本発明の一実施形態に係る封止材は、上記耐火部材からなる建具の封止材又は鉄骨の耐火被覆材等である。
【実施例0069】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0070】
表(表1~表5)中の成分の詳細は、以下の通りである。なお、表中の各成分の含有量の単位は「質量部」である。
【0071】
<耐火材層>
[マトリクスポリマー成分]
・ポリ塩化ビニル(PVC):大洋塩ビ株式会社製「TH-1000」
・エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA):三井ダウポリケミカル株式会社製「エバフレックスEV460」
・エポキシ樹脂:三菱ケミカル株式会社製「jER806」
・エポキシ樹脂用硬化剤:三菱ケミカル株式会社製「FL052」
・ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO):三井化学株式会社製「ミラストマー4010NS」
・ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS):三菱化学株式会社製「テファブロック」
・ブチルゴム:JSR株式会社製「BUTYL268」
・EPDMゴム:三井化学株式会社製「EPT3092M」
・クロロプレンゴム(CR):デンカ株式会社製「S-40V」
[無機化合物]
・炭酸カルシウム(炭酸Ca):秩父石灰工業株式会社製「TA-004」
・亜リン酸水素アルミニウム(亜リン酸水素Al):太平化学産業株式会社製「NSF」
[軟化剤]
・プロセスオイル:出光興産株式会社製「AH-16」
[熱膨張性化合物]
・熱膨張性黒鉛:エア・ウオーター・ケミカル株式会社製「SS-3」
【0072】
<粘着剤層>
・ブチルアクリレート(BA):三菱ケミカル株式会社製「アクリル酸ブチル」
・2-ヒドロキシエチルアクリレート(HA):東京化成工業株式会社製「アクリル酸2-ヒドロキシエチル」
・アクリル酸(AA):三菱ケミカル株式会社製「アクリル酸」
・アゾビスイソブチロニトリル:東京化成工業株式会社製「2,2'-アゾジイソブチロニトリル」
・トリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネート系架橋剤(NCO):綜研化学株式会社製「TD-75」
・エポキシ系架橋剤(Epoxy):三菱瓦斯化学株式会社製「テトラッドC」
・ポリエチレンテレフタレートフィルム:東洋紡株式会社製「E5200」0.025mm厚
<両面テープ>
・テープ1:日東電工株式会社製「No.5000NS」(総厚160μm、アクリル系粘着剤、支持体は不織布70μm)
・テープ2:古藤工業株式会社製「W-503」(総厚1mm、ブチルゴム系粘着剤、支持体はポリエチレンフィルム210μm)
【0073】
<各種評価>
実施例・比較例の両面テープ付き耐火部材について、以下に示す各種評価を行った。その結果を表(表1~表5)に示す。
【0074】
(1)実施例1~42及び比較例1,2の耐火部材サンプルの製造
[実施例1]
【0075】
・耐火材の作製
表の配合に示した成分を、容量3リットルのニーダーミキサーを用いて120℃で2分間混練して組成物を得た。得られた組成物を更に熱プレス機でプレスして厚さ2mmのシート状のEPDMゴム系耐火材を得た。
【0076】
・両面テープの作製
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器にブチルアクリレート95重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート5重量部、及び、酢酸エチル80重量部を加え、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。
続いて、上記反応器内に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を添加した。次いで5時間還流して、アクリル共重合体の溶液を得た。
このアクリル共重合体の溶液に、トリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネート系架橋剤(綜研化学株式会社製,製品名「TD-75」)を固形分比で3重量部配合し、撹拌することで架橋剤入りアクリル共重合体の溶液を得た。
この架橋剤入りアクリル共重合体の溶液を離型紙の上に塗工し乾燥させ、0.05mm(片側厚み)の粘着剤層を得た。それをポリエチレンテレフタレート製の0.025mm厚の支持体の両面に貼り合わせ、40℃で3日間養生することで、両面テープを得た。
【0077】
・耐火部材の作製
作成した両面テープを、2mm厚のEPDMゴム系耐火材の一方の面に設けられるように貼り合わせ、耐火部材とした。
【0078】
[実施例2]
粘着剤層において、ブチルアクリレート95重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート5重量部に代えてブチルアクリレート95重量部、アクリル酸5重量部を用い、架橋剤をエポキシ系架橋剤(三菱瓦斯化学株式会社製、製品名「テトラッドC」)にした以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0079】
[実施例3]
両面テープに日東電工株式会社製「No.5000NS」(総厚160μm、アクリル系粘着剤、支持体は不織布70μm)を使用した以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0080】
[実施例4]
両面テープに古藤工業株式会社製「W-503」(総厚1mm、ブチルゴム系粘着剤、支持体はポリエチレンフィルム210μm)を使用した以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0081】
[実施例5]
架橋剤を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0082】
[実施例6]
架橋剤を使用しなかったこと以外は、実施例2と同様に耐火部材を製造した。
【0083】
[実施例7]
架橋剤を0.05重量部としたこと以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0084】
[実施例8]
架橋剤を0.1重量部としたこと以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0085】
[実施例9]
架橋剤を19重量部としたこと以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0086】
[実施例10]
架橋剤を21重量部としたこと以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0087】
[比較例1]
支持体を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様に耐火材を製造した。
【0088】
[比較例2]
支持体を使用しなかったこと以外は、実施例2と同様に耐火材を製造した。
【0089】
[実施例11]
耐火材層のマトリクスポリマー成分を熱可塑性樹脂のPVCにした以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0090】
[実施例12]
耐火材層のマトリクスポリマー成分を熱可塑性樹脂のEVAにした以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0091】
[実施例13]
耐火材層のマトリクスポリマー成分を熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂にした以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0092】
[実施例14]
耐火材層のマトリクスポリマー成分をポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)にした以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0093】
[実施例15]
耐火材層のマトリクスポリマー成分をポリスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)にした以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0094】
[実施例16]
耐火材層のマトリクスポリマー成分をゴム系のブチルゴムにした以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0095】
[実施例17]
耐火材層のマトリクスポリマー成分をゴム系のクロロプレンゴム(CR)にした以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0096】
[実施例18~24]
耐火材層の無機化合物に炭酸カルシウムを使用し、その配合量を20~600質量部にした以外は、
実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0097】
[実施例25~30]
耐火材層の無機化合物に亜リン酸水素アルミニウムを使用し、その配合量を20~600質量部にした以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0098】
[実施例31~36]
耐火材層の軟化剤にプロセスオイルを使用し、その配合量を10~200質量部にした以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0099】
[実施例37~42]
耐火材層の熱膨張性化合物に熱膨張性黒鉛を使用し、その配合量を5~400質量部にした以外は、実施例1と同様に耐火部材を製造した。
【0100】
試験による各サンプルの性能評価方法を下記に記す。
【0101】
<可撓性>
厚さ1mm、幅25mm、長さ100mmのSUS板を2枚用意し、長さ方向に3mmの間隔をあけて横並びにする。そこに幅10mm、長さ100mmの両面テープ付き耐火部材を貼り接合体を作製した(
図3)。当該接合体を試料片を貼った面とは逆方向に折り曲げ、試験片の耐火層に亀裂が入った時点での角度θを測定し(
図4)、以下の基準で可撓性を判定した。なお、亀裂が入ったときの角度が大きいほど、可撓性が良好であることを示す。
◎:180度の角度でも亀裂なし
○:150度以上、180度未満の角度で亀裂が発生
△:120度以上、150未満の角度で亀裂が発生
×:120度未満の角度で亀裂が発生
【0102】
<熱膨張性>
厚さ2mm、幅30mm、長さ30mmの耐火材(両面テープと張り合わせる前)の試験片を300℃で0.5時間熱処理し、その膨張倍率を測定した。具体的には、熱処理後の体積を、熱処理前の体積で除することにより、体積膨張倍率を算出し、以下の基準で熱膨張性を判定した。なお、体積は、圧さ、幅、長さを実測して算出した。
◎:体積膨張倍率が6倍以上
○:体積膨張倍率が4倍以上6倍未満
△:体積膨張倍率が2倍以上4倍未満
×:体積膨張倍率が2倍未満
【0103】
<形状安定性>
上記の熱膨張性を評価した後、3点曲げ試験治具(上部押し側先端R1mmおよび幅80mm、下部2点支点側R1mm、幅80mm、支点間距離20mm)を用い、熱膨張後の試験片を圧縮速度50mm/minの条件にて破壊した際の強度(3点曲げ破壊強度)を測定した。そして、以下の基準で熱膨張後の形状安定性を判定した。
◎:3点曲げ破壊強度が2.0N以上
○:3点曲げ破壊強度が1.5N以上2.0N未満
△:3点曲げ破壊強度が1N以上1.5N未満
×:3点曲げ破壊強度が1N未満
【0104】
<難燃性>
JIS K6269に準じて燃焼試験装置(スガ試験機(株)製,ON-1型)を用いて耐火材(両面テープと張り合わせる前)の試験片の酸素指数を測定し、以下の基準で難燃性を判定した。なお、酸素指数が大きいほど、難燃性が高いことを示す。
◎:酸素指数が55以上
○:酸素指数が50以上55未満
△:酸素指数が45以上50未満
×:酸素指数が45未満
【0105】
<凝集性(保持力)>
保持力をJIS Z 0237に準じて測定した。具体的には、実施例および比較例の両面テープ付き耐火部材を40℃の雰囲気下で1日間静置後、ステンレス製の試験板に20mm幅×20mm長さで貼り付け、1kgの荷重を掛けて21℃の雰囲気下で放置し、1時間経過後の元の位置からのズレ移動距離(mm)を測定した。
◎:ズレが2mm未満
○:ズレが2mm以上、4mm未満
△:ズレが4mm以上、6mm未満
×:ズレが6mm以上
【0106】
<経時凝集性(経時保持力)>
保持力をJIS Z 0237に準じて測定した。具体的には、実施例および比較例の両面テープ付き耐火部材を40℃の雰囲気下で7日間静置後、ステンレス製の試験板に20mm幅×20mm長さで貼り付け、1kgの荷重を掛けて21℃の雰囲気下で放置し、1時間経過後の元の位置からのズレ移動距離(mm)を測定した。
◎:ズレが2mm未満
○:ズレが2mm以上、4mm未満
△:ズレが4mm以上、6mm未満
×:ズレが6mm以上
【0107】
<粘着性(粘着力)>
粘着力をJIS Z 0237に準じて測定した。具体的には、実施例および比較例の両面テープ付き耐火部材を40℃の雰囲気下で1日間静置後、、ステンレス製の試験板に20mm幅×150mm長さで貼り付け、1kgのゴムロールにて1往復圧着後21℃の雰囲気下で20分放置。300mm/分の速度で180度方向に剥離し、粘着力を測定した。
◎:粘着力が6N/20mm以上
○:粘着力が4N/20mm以上、6N/20mm未満
△:粘着力が2N/20mm以上、4N/20mm未満
×:粘着力が2N/20mm未満
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】