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特開2025-20981運転計画生成装置、運転計画生成装置の制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020981
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】運転計画生成装置、運転計画生成装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20250205BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20250205BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20250205BHJP
【FI】
H02J3/14 160
H02J3/00 170
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124642
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 祐志
(72)【発明者】
【氏名】横林 亮介
【テーマコード(参考)】
5G066
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5G066AA02
5G066HB06
5G066JB06
5G066KA12
5G066KB01
5G066KB07
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】電気料金をより確実に抑制できるような電気温水器の運転計画を作成する。
【解決手段】電気温水器の運転計画を生成する運転計画生成装置であって、電気温水器の電力消費量を記憶し、需要家の昼間及び夜間の電気料金単価及び売電単価を記憶し、運転計画の生成対象日の気象予報データの見込み値を元に、需要家の余剰電力量の各コマの予測値と、電気温水器の1日の電力消費量の合計の予測値を算出し、電気温水器の1日の電力消費量の合計がこの予測値になるように定めた運転計画の複数の候補を生成し、運転計画の候補毎に、各コマの余剰電力量の予測値から電気温水器の電力消費量を減算することにより、各コマの電力過不足量を算出し、各コマの電力過不足量と、電気料金単価及び売電単価と、を元に、需要家の1日の電気料金を候補毎に算出し、その結果を元に、一つの候補を運転計画として選出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1日を所定時間毎に区切ってなるコマ毎に電気温水器を運転するか否かの運転状態を定めた前記電気温水器の運転計画を生成する運転計画生成装置であって、
前記電気温水器の単位時間当たりの電力消費量を記憶する電気温水器電力消費量記憶部と、
前記電気温水器を有する需要家の昼間及び夜間として定められた各時間帯のそれぞれの電気料金単価、及び余剰電力の売電単価を記憶した料金記憶部と、
前記運転計画の生成対象日における所定種類の気象予報データの各コマの見込み値を元に、前記需要家が有する太陽光発電設備の発電量から前記需要家の前記電気温水器以外の電気機器の電力消費量を差し引いた余剰電力量の各コマの予測値を求める余剰電力量予測値算出部と、
前記気象予報データの前記見込み値を元に、前記生成対象日における前記電気温水器の1日の電力消費量の合計である第1電力消費量の予測値を算出する第1電力消費量予測値算出部と、
前記電気温水器の1日の電力消費量の合計が前記第1電力消費量の予測値になるように各コマの前記電気温水器の運転状態を定めた前記運転計画の複数の候補を生成する候補生成部と、
前記運転計画の候補毎に、各コマの前記余剰電力量の予測値から前記電気温水器の運転状態に応じた電力消費量を減算することにより、各コマの電力過不足量を算出する電力過不足量算出部と、
前記候補毎に算出した各コマの電力過不足量と、前記電気料金単価及び売電単価と、を元に、前記需要家の1日の電気料金を前記候補毎に算出し、前記電気料金の算出結果を元に、前記複数の候補の中から一つの候補を前記運転計画として選出する運転計画生成部と、
を備える、運転計画生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転計画生成装置であって、
前記生成対象日における前記気象予報データの各コマの複数のメンバーの予報値を取得する気象データ取得部
を備え、
前記余剰電力量予測値算出部は、前記コマ毎に、前記気象予報データと前記余剰電力量との関係を表す第1関係式に前記複数のメンバーの予報値を入力することにより前記余剰電力量の複数の予測値を算出し、前記余剰電力量の予測値が最小となるメンバーの予報値を、前記気象予報データの見込み値として特定する、
運転計画生成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の運転計画生成装置であって、
前記生成対象日における前記気象予報データの各コマの複数のメンバーの予報値を取得する気象データ取得部
を備え、
前記第1電力消費量予測値算出部は、前記気象予報データと、前記第1電力消費量と、の関係を表す第5関係式に前記複数のメンバーの予報値を入力することにより前記第1電力消費量の複数の予測値を算出し、前記第1電力消費量の予測値が最大となるメンバーの予報値を、前記気象予報データの見込み値として特定する、
運転計画生成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の運転計画生成装置であって、
前記所定種類の気象予報データには、気温、湿度、風速、及び日射量の少なくともいずれかが含まれる、
運転計画生成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の運転計画生成装置であって、
前記運転計画生成部は、前記需要家の1日の電気料金が最小となる候補を前記運転計画として選出する、
運転計画生成装置。
【請求項6】
請求項2に記載の運転計画生成装置であって、
前記第1関係式は、
前記気象予報データと、前記太陽光発電設備の発電量と、の関係を表す第2関係式と、
前記気象予報データと、前記需要家の前記電気温水器以外の電気機器の電力消費量と、の関係を表す第3関係式と、
を含んで構成される、
運転計画生成装置。
【請求項7】
1日を所定時間毎に区切ってなるコマ毎に電気温水器を運転するか否かの運転状態を定めた前記電気温水器の運転計画を生成する運転計画生成装置の制御方法であって、
前記運転計画生成装置が、
前記電気温水器の単位時間当たりの電力消費量を記憶し、
前記電気温水器を有する需要家の昼間及び夜間として定められた各時間帯のそれぞれのの電気料金単価、及び余剰電力の売電単価を記憶し、
前記運転計画の生成対象日における所定種類の気象予報データの各コマの見込み値を元に、前記需要家が有する太陽光発電設備の発電量から前記需要家の前記電気温水器以外の電気機器の電力消費量を差し引いた余剰電力量の各コマの予測値を求め、
前記気象予報データの前記見込み値を元に、前記生成対象日における前記電気温水器の1日の電力消費量の合計である第1電力消費量の予測値を算出し、
前記電気温水器の1日の電力消費量の合計が前記第1電力消費量の予測値になるように各コマの前記電気温水器の運転状態を定めた前記運転計画の複数の候補を生成し、
前記運転計画の候補毎に、各コマの前記余剰電力量の予測値から前記電気温水器の運転状態に応じた電力消費量を減算することにより、各コマの電力過不足量を算出し、
前記候補毎に算出した各コマの電力過不足量と、前記電気料金単価及び売電単価と、を元に、前記需要家の1日の電気料金を前記候補毎に算出し、前記電気料金の算出結果を元に、前記複数の候補の中から一つの候補を前記運転計画として選出する、
運転計画生成装置の制御方法。
【請求項8】
コンピュータに、1日を所定時間毎に区切ってなるコマ毎に電気温水器を運転するか否かの運転状態を定めた前記電気温水器の運転計画を生成させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記電気温水器の単位時間当たりの電力消費量を記憶する機能と、
前記電気温水器を有する需要家の昼間及び夜間として定められた各時間帯のそれぞれの電気料金単価、及び余剰電力の売電単価を記憶する機能と、
前記運転計画の生成対象日における所定種類の気象予報データの各コマの見込み値を元に、前記需要家が有する太陽光発電設備の発電量から前記需要家の前記電気温水器以外の電気機器の電力消費量を差し引いた余剰電力量の各コマの予測値を求める機能と、
前記気象予報データの前記見込み値を元に、前記生成対象日における前記電気温水器の1日の電力消費量の合計である第1電力消費量の予測値を算出する機能と、
前記電気温水器の1日の電力消費量の合計が前記第1電力消費量の予測値になるように各コマの前記電気温水器の運転状態を定めた前記運転計画の複数の候補を生成する機能と、
前記運転計画の候補毎に、各コマの前記余剰電力量の予測値から前記電気温水器の運転状態に応じた電力消費量を減算することにより、各コマの電力過不足量を算出する機能と、
前記候補毎に算出した各コマの電力過不足量と、前記電気料金単価及び売電単価と、を元に、前記需要家の1日の電気料金を前記候補毎に算出し、前記電気料金の算出結果を元に、前記複数の候補の中から一つの候補を前記運転計画として選出する機能と、
を実現するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転計画生成装置、運転計画生成装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電設備を有する需要家の場合、太陽光発電により生成された電力を使用することで、電力会社からの電力購入量を減らすことができるが、太陽光発電量が需要家の電力消費量を上回った場合は余剰電力が生じる。
【0003】
この余剰電力を活用するための技術として、翌日の昼間に発生する余剰電力を予測した上で、この余剰電力で電気温水器の沸き上げに必要な電力を賄える場合には沸き上げを翌日の昼間に実行し、賄えない場合には沸き上げを昼間と夜間に分けて実行するようにする技術が開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-066217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電気温水器の沸き上げに必要な電力を昼間の余剰電力で賄えたとしても、夜間に沸き上げを行って昼間の余剰電力はそのまま売却した方が需要家の電気料金の支払額が低減できる場合もある。
【0006】
また余剰電力の予測が外れて電気温水器の沸き上げに必要な電力を余剰電力で賄うことができなかった場合は、割高な昼間の電気を使って電気温水器を運転することになり、電気料金の支払額が増加してしまう。
【0007】
そのため、昼間及び夜間の電気料金単価や余剰電力の売電価格単価を考慮して、電気料金の支払額をより確実に抑制できるような電気温水器の運転計画を作成することが可能な技術が望まれている。
【0008】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、電気料金をより確実に抑制できるような電気温水器の運転計画を作成する運転計画生成装置、運転計画生成装置の制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する運転計画生成装置は、1日を所定時間毎に区切ってなるコマ毎に電気温水器を運転するか否かの運転状態を定めた前記電気温水器の運転計画を生成する運転計画生成装置であって、前記電気温水器の単位時間当たりの電力消費量を記憶する電気温水器電力消費量記憶部と、前記電気温水器を有する需要家の昼間及び夜間として定められた各時間帯のそれぞれの電気料金単価、及び余剰電力の売電単価を記憶した料金記憶部と、前記運転計画の生成対象日における所定種類の気象予報データの各コマの見込み値を元に、前記需要家が有する太陽光発電設備の発電量から前記需要家の前記電気温水器以外の電気機器の電力消費量を差し引いた余剰電力量の各コマの予測値を求める余剰電力量予測値算出部と、前記気象予報データの前記見込み値を元に、前記生成対象日における前記電気温水器の1日の電力消費量の合計である第1電力消費量の予測値を算出する第1電力消費量予測値算出部と、前記電気温水器の1日の電力消費量の合計が前記第1電力消費量の予測値になるように各コマの前記電気温水器の運転状態を定めた前記運転計画の複数の候補を生成する候補生成部と、前記運転計画の候補毎に、各コマの前記余剰電力量の予測値から前記電気温水器の運転状態に応じた電力消費量を減算することにより、各コマの電力過不足量を算出する電力過不足量算出部と、前記候補毎に算出した各コマの電力過不足量と、前記電気料金単価及び売電単価と、を元に、前記需要家の1日の電気料金を前記候補毎に算出し、前記電気料金の算出結果を元に、前記複数の候補の中から一つの候補を前記運転計画として選出する運転計画生成部と、を備える。
【0010】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄の記載、及び図面の記載等により明らかにされる。
【発明の効果】
【0011】
電気料金の支払額をより確実に抑制できるような電気温水器の運転計画を作成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】全体構成を示す図である。
図2】運転計画生成装置のハードウェア構成図である。
図3】運転計画生成装置の記憶装置を示す図である。
図4】気象データ管理テーブルを示す図である。
図5】料金テーブルを示す図である。
図6】電気温水器管理テーブルを示す図である。
図7】設備テーブルを示す図である。
図8】電力管理テーブルを示す図である。
図9】運転計画生成装置の機能ブロック図である。
図10】運転計画の候補を示す図である。
図11】運転計画の候補を示す図である。
図12】運転計画の候補を示す図である。
図13】運転計画生成装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。以下、本発明をその一実施形態に即して添付図面を参照しつつ説明する。
==全体構成==
本発明の実施形態に係る運転計画生成装置100を含む全体構成を図1に示す。
【0014】
運転計画生成装置100は、インターネットやLAN(Local Area Network)、電話網等のネットワーク500を介して、気象情報提供装置200及びHEMS(Home Energy Management System)コントローラ300と通信可能に接続されて構成されている。
【0015】
運転計画生成装置100は、需要家1000が有する電気温水器410を運転するか否かの運転状態を、1日を所定時間(本実施形態では30分)毎に区切って構成される時間枠(コマ)毎に定めた運転計画を生成するコンピュータ等の情報処理装置である。つまり運転計画生成装置100は、1日を30分毎に48個に分割した各コマについて、電気温水器410を運転するか否かを定める。
【0016】
この運転計画は、運転計画生成装置100からHEMSコントローラ300に送信され、HEMSコントローラ300がこの運転計画に従って電気温水器410の運転を制御する。電気温水器410の運転状態はコマ単位に定められ、運転する場合は30分間運転を継続し、運転しない場合は停止を継続する。なお本実施形態では一例として、運転計画生成装置100は、毎日21時に、翌日0時から24時間先までの電気温水器410の運転計画を生成してHEMSコントローラ300に送信する。
【0017】
気象情報提供装置200は、日射量、気温、湿度、風速の少なくともいずれかを含む所定種類の気象データを提供するコンピュータ等の情報処理装置である。気象情報提供装置200は、例えば気象庁が提供しているMSM(Meso-Scale Model)やMEPS(Meso-scale Ensemble Prediction System)を提供する。MSMは、一辺5kmの格子状に区切られた各領域における所定種類の気象予測値を数値的に算出したものである。気象庁は、毎日3時間ごとに(つまり1日8回)、1時間間隔で39時間先までのMSMを配信している。またそのうち2回は、1時間間隔で78時間先までのMSMを提供している。
【0018】
MEPSは、誤差の要因に対応するわずかなばらつきを与え、一辺5kmの格子状に区切られた各領域における所定種類の複数メンバーの気象予測値を算出したものである。気象庁は、毎日6時間ごとに(つまり1日4回)、3時間間隔で39時間先までのMEPSを配信している。MSMおよびMEPSには、日射量や気圧、気温、相対湿度、降水量、風、雲量等の各種気象データの予測値が含まれている。
【0019】
気象予報データは毎日6時間ごとに(つまり1日4回)MSMとMEPSを合成して、1時間間隔で39時間先まで複数メンバーの予報値を算出したものである。
【0020】
HEMSコントローラ300は、需要家1000が有するコンピュータ等の情報処理装置であり、需要家1000が使用する電気温水器410、電気温水器410以外の電気機器420(以下、単に電気機器420と記す)、及び分電盤400と、LAN等の需要家内ネットワーク510で通信可能に接続されている。そしてHEMSコントローラ300は、電気温水器410や電気機器420の動作を制御する。例えばHEMSコントローラ300は、電気温水器410の他、エアコン、テレビ、冷蔵庫、照明機器等の電気機器420の動作を制御する。
【0021】
分電盤400は、電力系統1100及び太陽光発電設備900から供給される電力を電気温水器410や電気機器420に分配すると共に、これらの電力の量を示すデータや、電気温水器410及び電気機器420に分配した電力の量を表すデータをHEMSコントローラ300に送信する。なお、電気温水器410以外の電気機器420の電力使用量は、需要家1000の総電力使用量から電気温水器410の電力使用量を差し引くことで計算可能であるため、分電盤400は、電気温水器410の電力使用量と、需要家1000の総電力使用量と、をHEMSコントローラ300に送信する態様でもよい。
【0022】
太陽光発電設備900は、太陽光エネルギー(自然エネルギー)を利用して発電を行う発電設備である。太陽光発電設備900は、パワーコンディショナ910及び太陽電池パネル920を含んで構成される。太陽電池パネル920は、需要家1000の建屋の屋上などに設置され、太陽光エネルギーを直流電力に変換する。パワーコンディショナ910は、太陽電池パネル920で発生した直流電力を交流電力に変換する。
【0023】
そして運転計画生成装置100は、毎日21時になると、上記の気象予測データを元に、翌日0時から24時間先までの各コマの太陽光発電量と、電気温水器410及び電気機器420の電力使用量を予測し、これらの予測値から各コマの電力過不足量を計算して、需要家1000の電気料金がより割安となるような電気温水器410の運転計画を生成する。
【0024】
このような態様により、電気料金の支払額をより確実に抑制できるような電気温水器410の運転計画を作成することが可能になる。
【0025】
また運転計画生成装置100は、太陽光発電量から電気温水器410以外の電気機器420の電力消費量を差し引いた余剰電力量が最小となるような気象予報データのメンバー(見込み値)を用いて、電気温水器410の運転計画を生成する。
【0026】
このような態様により、気象データの予測値が実績値と乖離したとしても、電気料金の支払額をより確実に抑制できるような電気温水器410の運転計画を作成することが可能になる。
【0027】
詳細については後述する。
==運転計画生成装置==
次に、運転計画生成装置100について詳細に説明する。
【0028】
運転計画生成装置100のハードウェア構成の一例を図2に示す。運転計画生成装置100は、CPU(Central Processing Unit)110、メモリ120、通信装置130、記憶装置140、入力装置150、出力装置160及び記録媒体読取装置170を有して構成される。
【0029】
CPU110は運転計画生成装置100の全体の制御を司るもので、記憶装置140に記憶される本実施形態に係る各種の動作を行うためのコードから構成される運転計画生成装置制御プログラム700や各種データをメモリ120に読み出して実行あるいは処理することにより、運転計画生成装置100としての各種機能を実現する。
【0030】
例えば、CPU110により運転計画生成装置制御プログラム700及び各種データが実行あるいや処理され、メモリ120や通信装置130、記憶装置140等のハードウェア機器と協働することにより、後述する電気温水器電力消費量記憶部101、料金記憶部102、余剰電力量予測値算出部103、第1電力消費量予測値算出部104、候補生成部105、電力過不足量算出部106、運転計画生成部107、気象データ取得部108などの機能が実現される。
【0031】
運転計画生成装置制御プログラム700は、運転計画生成装置100が有する機能を実現するためのプログラムを総称しており、例えば、運転計画生成装置100上で動作するアプリケーションプログラムやOS(Operating System)、種々のライブラリ等を含む。
【0032】
メモリ120は例えば半導体記憶装置により構成することができる。
【0033】
記憶装置140は例えばハードディスクドライブやSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の各種プログラムやデータ、テーブル等を記憶するための非一時的な記憶領域を提供する装置である。本実施形態では、図3に示すように、記憶装置140には運転計画生成装置制御プログラム700の他、気象データ管理テーブル600、料金テーブル610、電気温水器管理テーブル620、関係式630、設備テーブル640、電力管理テーブル650などの各種データが記憶されている。
【0034】
気象データ管理テーブル600の一例を図4に示す。
【0035】
運転計画生成装置100は、日射量を含む所定種類の気象データを毎日の所定時刻に気象情報提供装置200から取得して、これらの気象データを気象データ管理テーブル600に記憶する。
【0036】
図4に示すように、気象データ管理テーブル600は、「日時」欄と、「気温」欄と、「湿度」欄と、「風速」欄と、「日射量」欄とを有する。
【0037】
「日時」欄には、30分毎に到来する各コマの開始時刻が、気象予報データの予測対象時点として記載されている。なお気象予報データの予測値は1時間おきであるため、時間順に隣り合う2つの気象予報データの平均値を求めることで、30分おきの気象予報データの想定値を生成している。あわせて、気象予報データの複数メンバーの予測値から作成される想定値を生成している。また、気象情報提供装置200はMEPSを6時間おきに1日4回提供しているため、運転計画生成装置100は、最新のMEPSを取得する毎に、気象データ管理テーブル600を最新の気象予報データに更新するようにしてもよい。
【0038】
「気温」欄には、各予測対象時点における気温の想定値が記載されている。「湿度」欄には、各予測対象時点における湿度の想定値が記載されている。「風速」欄には、各予測対象時点における風速の想定値が記載されている。「日射量」欄には、各予測対象時点における日射量の想定値が記載されている。なお図4の各欄には一つの想定値しか記載されていないが、上述した様に、気象予報データの複数メンバーの予測値から想定値を生成しているため、各欄には、気象予報データの複数メンバーに対応する複数の想定値が記憶されている。また図4には示されていないが、気象データ管理テーブル600には、気圧や雲量等、その他の種類の気象データの想定値が記憶されていてもよい。
【0039】
続いて、料金テーブル610の一例を図5に示す。
【0040】
料金テーブル610には、電気温水器410を有する需要家1000の昼間及び夜間として定められた各時間帯のそれぞれの電気料金単価、及び余剰電力の売電単価が記録されている。例えば昼間の時間帯は7時から23時であり、夜間の時間帯は23時から翌日7時である。
【0041】
図5に示す例では、昼間の電気料金単価は1kWあたり45円であり、夜間の電気料金単価は1kWあたり30円であり、余剰電力の売電単価は1kWあたり7.5円である。
【0042】
次に、電気温水器管理テーブル620の一例を図6に示す。
【0043】
電気温水器管理テーブル620は、電気温水器410の単位時間当たり(例えば1時間当たり)の電力消費量が記録されている。図6に示す例では、電気温水器410の運転時の電力消費量は1時間当たり5kWである。この場合、電気温水器410を1コマ(30分)運転すると、2.5kWの電力を消費することになる。なお、電気温水器410を運転しないときの電力消費量はごくわずかであるため、本実施形態では0kWと仮定する。
【0044】
次に設備テーブル640の一例を図7に示す。
【0045】
設備テーブル640には、太陽光発電設備900の発電量を気象予報データから予測する際に用いられる太陽光発電設備900に関する情報が記録されている。図7に示すように、例えば、設備テーブル640は、太陽光発電設備900の設置場所を表す「地点」、太陽電池パネル920の設置角度を表す「傾斜角度」、太陽電池パネル920の向きを表す「設置方位角度」、太陽光発電設備900の種別を表す「種別」、太陽電池パネル920の容量を表す「パネル容量」、パワーコンディショナ910の容量を示す「パワコン容量」、経時変化や損失等を考慮するため設備種別等に応じて設定される係数(以下,「固定係数」)を示す各フィールドを有している。
【0046】
次に、電力管理テーブル650の一例を図8に示す。
【0047】
電力管理テーブル650は、需要家1000が有する電気温水器410の各コマの電力消費量、電気温水器410以外の電気機器420の各コマの電力消費量、各コマの太陽光発電量を記録したテーブルである。
【0048】
なお、電気温水器410以外の電気機器420の各コマの電力消費量は、コマ毎に、需要家1000が消費する全電力消費量(分電盤400から取得可能)から、電気温水器410の電力消費量(分電盤400から取得可能)を減じることにより求めてもよい。
【0049】
運転計画生成装置100は、HEMSコントローラ300を通じてこれらの消費電力量、及び太陽光発電量を随時取得し、電力管理テーブル650に記録する。
【0050】
また運転計画生成装置100は、記憶装置140に関係式630を記憶している。
【0051】
関係式630は、例えば以下のように、第1関係式631、第2関係式632、第3関係式633、第4関係式634、第5関係式635などである。
【0052】
第1関係式631は、下記の式(1)に示すように、コマi(i=0~47)における気象予報データとコマiにおける余剰電力量との関係を表している。
【0053】
余剰電力量(i)=a+b×気温(i)+c×湿度(i)+d×風速(i)+e×日射量(i) …式(1)
なお余剰電力量は、需要家1000が有する太陽光発電設備900の発電量から需要家1000の電気温水器410以外の全電気機器420の電力消費量を差し引いたものである。
【0054】
また式(1)における定数a、b、c、d、eの値は、コマ毎に異なる値であり、気象データ管理テーブル600及び電力管理テーブル650を参照して、過去の気象予報データと余剰電力量についてコマ毎に回帰分析を行うことにより特定することができる。
【0055】
また第1関係式631は、上記の式(1)に代わり、下記の第2関係式632~第4関係式634から構成されてもよい。
【0056】
第2関係式632は、下記の式(2)~(5)に示すように、コマiにおける気象予報データとコマiにおける太陽光発電設備の発電量との関係を表している。
【0057】
Tpa=Ta+(A/(B×V0.8+1)+2)×Ga-2 …(2)
(Tpa:太陽電池パネル温度(℃),Ta:外気温度(℃),A:係数(例えば屋根置き型「50」),B:係数(例えば屋根置き型「0.38」),V:風速(m/s),Ga:傾斜面日射量(kW/m2))
Kpt=1+αmax×(Tpa-25) …(3)
(Kpt:温度補正係数,αmax:最大出力温度係数(1/℃),Tpa:太陽電池パネル温度(℃))
システム出力係数=Kloss × Kpt …(4)
(Kloss:経時変化(汚れ,劣化),配線抵抗損失,インバータ損失等を考慮するため設備種別等に応じて汎用的に使用される固定の係数,Kpt:温度補正係数)
発電量(i)=傾斜面日射量(Ga)×システム出力係数×パネル容量 …(5)
式(2)~(5)に記載されている各係数は、設備テーブル640等を参照することで取得すればよい。
【0058】
第3関係式633は、下記の式(6)のように、コマiにおける気象予報データとコマiにおける需要家1000の電気温水器410以外の電気機器420の電力消費量との関係を表している。
【0059】
電気機器の電力消費量(i)=f+g×気温(i)+h×湿度(i)+j×風速(i)+k×日射量(i) …式(6)
式(6)における定数f、g、h、j、kの値はコマ毎に異なる値であり、気象データ管理テーブル600及び電力管理テーブル650を参照して、過去の気象予報データと電気温水器以外の電力消費量についてコマ毎に回帰分析を行うことにより特定することができる。
【0060】
そして第4関係式634は、下記の式(7)に示すように、上記の第2関係式632及び第3関係式633の各算出結果から、コマiにおける余剰電力量を計算する式である。
【0061】
余剰電力量(i)=発電量(i) - 電気機器の電力消費量(i) …式(7)
第5関係式635は、下記の式(8)のように、運転計画の生成対象日における、気象予報データと、電気温水器410の1日の電力消費量である第1電力消費量と、の関係を表している。
【0062】
第1電力消費量=m+n×気温+p×湿度+q×風速+r×日射量 …式(8)
なお運転計画の生成対象日における気象予報データは、その日における全コマの気象予報データの代表値(例えば気象予報データの全コマの平均値や最高値、最低値)を用いればよい。
【0063】
また式(8)における定数m、n、p、q、rの値は、気象データ管理テーブル600及び電力管理テーブル650を参照して、過去の気象予報データの各日の代表値と電気温水器410の1日の電力消費量の合計について回帰分析を行うことにより特定することができる。
【0064】
図2に戻って、記憶装置140は、運転計画生成装置100に内蔵されている形態とすることもできるし、外付されている形態とすることもできる。
【0065】
記録媒体読取装置170は、CD-ROMやDVD等の記録媒体800に記録されたプログラムやデータを読み取り、記憶装置140に格納する。
【0066】
通信装置130は、インターネットやLAN(Local Area Network)等のネットワーク500を介して気象情報提供装置200やHEMSコントローラ300等の他のコンピュータとデータやプログラムの授受を行う。例えば不図示の他のコンピュータに、上述した運転計画生成装置制御プログラム700を格納しておき、運転計画生成装置100がこのコンピュータから運転計画生成装置制御プログラム700をダウンロードして実行するようにすることができる。
【0067】
あるいは通信装置130は、気象情報提供装置200やHEMSコントローラ300から、太陽光発電量の実績値や、需要家1000の電力消費量、気温、日射量などの各種気象データを定期的に受信する。また運転計画生成装置100は記憶装置140を備えずに、ネットワーク500を通じて通信可能に接続された不図示の他のコンピュータに記憶されている上記のプログラムやテーブル等の各種データを用いて運転計画生成装置100としての機能を実現する形態も可能である。
【0068】
入力装置150は、オペレータ等による運転計画生成装置100へのデータ入力等のために用いられる装置でありユーザインタフェースとして機能する。入力装置150としては例えばキーボードやマウス、マイク等を用いることができる。
【0069】
出力装置160は、情報を外部に出力するための装置でありユーザインタフェースとして機能する。出力装置160としては例えばディスプレイやプリンタ、スピーカ等を用いることができる。
<機能構成>
図9に、本実施形態に係る運転計画生成装置100の機能ブロック図を示す。運転計画生成装置100は、電気温水器電力消費量記憶部101、料金記憶部102、余剰電力量予測値算出部103、第1電力消費量予測値算出部104、候補生成部105、電力過不足量算出部106、運転計画生成部107、気象データ取得部108の各機能を備える。これらの機能は、図2に示したハードウェアによって本実施形態に係る運転計画生成装置制御プログラム700や各種のデータが実行あるいは処理されることにより実現される。
【0070】
電気温水器電力消費量記憶部101は、電気温水器410の単位時間当たりの電力消費量を記憶する。本実施形態では、電気温水器電力消費量記憶部101は図6に示した電気温水器管理テーブル620として具現化されている。
【0071】
料金記憶部102は、電気温水器410を有する需要家1000の昼間及び夜間のそれぞれの電気料金単価、及び余剰電力の売電単価を記憶している。本実施形態では料金記憶部102は図5に示した料金テーブル610として具現化されている。
【0072】
気象データ取得部108は、運転計画の生成対象日における気象予報データの各コマの複数のメンバーの予報値(想定値)を取得する。本実施形態では、気象データ取得部108は、気象情報提供装置200から送信されるMSM及びMEPSを元に1時間おきの気象予報データを生成した上で、30分おきの気象予報データの想定値を生成することで、各コマの複数のメンバーの予報値を取得する。各コマの予報値は、上述した気象データ管理テーブル600に記憶される。
【0073】
余剰電力量予測値算出部103は、運転計画の生成対象日における所定種類の気象予測データの各コマの見込み値を元に、需要家1000が有する太陽光発電設備900の発電量から需要家1000の電気温水器410以外の電気機器420の電力消費量を差し引いた余剰電力量の各コマの予測値を求める。
【0074】
例えば、余剰電力量予測値算出部103は、上述した第1関係式631に気象予測データの見込み値を代入することで余剰電力量を計算することができる。あるいは余剰電力量予測値算出部103は、上述した第2関係式632~第4関係式634を用いることにより、余剰電力量を計算することができる。
【0075】
なお気象予報データの各コマの見込み値は、気象データ管理テーブル600に記憶されている複数のメンバーの予報値(想定値)の中から選出される値とし、需要家1000の余剰電力量が最小となるような値である。
【0076】
余剰電力量予測値算出部103は、これらの複数のメンバーの予報値の中から見込み値を選定する。具体的にはまず、余剰電力量予測値算出部103は、コマ毎に、気象予測データと余剰電力量との関係を表す第1関係式631、あるいは第2関係式632~第4関係式634に、各メンバーの予報値をそれぞれ入力することにより余剰電力量の複数の予測値を算出する。そして余剰電力量予測値算出部103は、余剰電力量の予測値が最小となるメンバーの予報値を、気象予報データの見込み値として特定する。
【0077】
つまり、余剰電力量予測値算出部103は、気象予報データの複数のメンバーの予測値を用いて余剰電力量を算出する際に、余剰電力量の予測値が最小となるような予測値を、気象予報データの見込み値として特定する。そして、運転計画生成装置100は、需要家1000の余剰電力量が最小となる気象条件の下で、需要家1000が電力会社に支払う電気料金がなるべく抑制されるような電気温水器410の運転計画を立てる。
【0078】
第1電力消費量予測値算出部104は、気象予報データの見込み値を元に、運転計画の生成対象日における電気温水器410の1日の電力消費量の合計である第1電力消費量の予測値を算出する。 例えば、第1電力消費量予測値算出部104は、上述した第5関係式635に、生成対象日における気象予報データの代表値(例えばコマ0~コマ47の各値の平均値や最大値、最小値など)を入力することで第1電力消費量を計算することができる。
【0079】
候補生成部105は、電気温水器410の1日の電力消費量の合計が第1電力消費量の予測値になるように各コマの電気温水器410の運転状態を定めた運転計画の複数の候補を生成する。
【0080】
運転計画の候補の例を図10図12に示す。図10は、深夜1時から明け方の6時までの各コマを連続で電気温水器410を運転する場合の例である。また図11は、深夜1時から明け方の5時30分までと、昼間の12時~12時30までの各コマで電気温水器410を運転する場合の例である。図12は、昼間の10時から15時までの各コマを連続で電気温水器410を運転する場合の例である。いずれの候補も、電気温水器410の総運転時間は5時間であり、第1電力消費量は同じ(電気温水器410の消費電力の5時間分)である。
【0081】
候補生成部105は、電気温水器410をどのコマで運転するかをランダムに決めることで、候補を生成するようにしてもよいし、以下のようなアルゴリズムに従って電気温水器410を運転するコマを決めるようにしてもよい。
【0082】
(1)最初(1番目)の候補は、夜間の所定時刻(たとえば1時)に運転を開始し、電気温水器410の電力使用量の合計が第1電力使用量になるまで各コマで連続運転するように定める(例えば図10は1番目の候補を表す)。
【0083】
(2)n番目(nは2以上の自然数)の候補は、n-1番目の候補において夜間の電力消費量(電気温水器410の電力消費量と電気機器420の電力消費量の合計)がn-1番目に多いコマから、昼間の太陽光発電量がn-1番目に多いコマに、1コマ分の電気温水器410の運転を移動する(例えば図11がn(2)番目の候補、図10がn-1(1)番目の候補を表す)。
【0084】
(3)以下、nを1ずつ増やしながら(2)の処理を繰り返す。
【0085】
このような手法を用いることにより、候補生成部105により生成される候補の数が幾何級数的に増大する事態を防止でき、運転計画生成装置100の処理効率化を図ることが可能になる。
【0086】
電力過不足量算出部106は、運転計画の候補毎に、各コマの余剰電力量の予測値から電気温水器410の運転状態に応じた電力消費量を減算することにより、各コマの電力過不足量を算出する。
【0087】
図10図12に示す各候補において、各コマの電力過不足量が折れ線グラフで示されている。
【0088】
運転計画生成部107は、候補毎に算出した各コマの電力過不足量と、電気料金単価及び売電単価と、を元に、需要家1000の1日の電気料金を候補毎に算出し、電気料金の算出結果を元に、複数の候補の中から一つの候補を運転計画として選出する。
【0089】
具体的には、運転計画生成部107は、各コマの電力過不足量と図5の料金テーブル610を参照することで1日の電気料金を算出する。
【0090】
そして運転計画生成部107は、需要家1000の1日の電気料金が最小となる候補を運転計画として選出する。
【0091】
このような態様により、電気料金がより確実に抑制できるような電気温水器410の運転計画を作成することが可能となる。
【0092】
また需要家1000の余剰電力量が最小となるような気象予測データのメンバーの予測値(見込み値)を用いて需要家1000の電力過不足量を求めた結果により電気料金を計算することにより、気象予測データの予測が外れても実際の電気料金が増加する可能性を低減することが可能となる。
【0093】
なお、候補生成部105が運転計画の候補を一つ生成する毎に、電力過不足量算出部106及び運転計画生成部107が、その候補に対する電力過不足量及び電気料金を計算する処理を繰り返すことで、電気料金が最小となる候補を見つけ出すようにしてもよい。
【0094】
この場合は、例えば山登り法などの既存の手法を用いて電気料金が最小となる候補を見つけ出すことができる。山登り法は、k(1以上の自然数)番目の候補について計算した電気料金と、k+1番目の候補について計算した電気料金と、を比較して、電気料金が小さな方を暫定解として残していく処理を、kを1ずつ増加させながら所定回数繰り返し、最終的に残った暫定解を解とする手法である。
==処理の流れ==
次に、図13を参照しながら、本実施形態に係る運転計画生成装置100が電気温水器410の運転計画を生成する際の処理の流れを説明する。
【0095】
まず運転計画生成装置100は、気象予測データの各コマの複数の各メンバーの予報値(想定値)を取得する(S1000)。具体的には、運転計画生成装置100は、気象情報提供装置200から送信されたMSM及びMEPSを用いて生成した1時間毎の気象予報データから30分毎の想定値を計算することで、各コマの想定値を取得する。
【0096】
そして運転計画生成装置100は、コマ毎に、気象予測データと余剰電力量との関係を表す第1関係式631に、上記の複数のメンバーの予報値を入力することにより、余剰電力量の複数の予測値を算出する(S1010)。
【0097】
そして運転計画生成装置100は、余剰電力量の予測値が最小となるメンバーの予報値を、気象予報データの見込み値として特定する(S1020)。
【0098】
運転計画生成装置100は、例えば第5関係式635に上記のメンバーの予報値(見込み値)を入力することにより、運転計画の生成対象日における電気温水器410の1日の電力消費量の合計である第1電力消費量の予測値を算出する(S1030)。
【0099】
そして運転計画生成装置100は、電気温水器410の1日の電力消費量の合計が第1電力消費量の予測値になるように各コマの電気温水器410の運転状態を定めた運転計画の複数の候補を生成する(S1040)。
【0100】
運転計画生成装置100は、運転計画の候補毎に、各コマの余剰電力量の予測値から電気温水器410の運転状態に応じた電力消費量を減算することにより、各コマの電力過不足量を算出する(S1050)。
【0101】
運転計画生成装置100は、候補毎に算出した各コマの電力過不足量と、電気料金単価及び売電単価と、を元に、需要家1000の1日の電気料金を候補毎に算出し、電気料金の算出結果を元に、例えば需要家1000の1日の電気料金が最小となるように、複数の候補の中から一つの候補を運転計画として選出する(S1060)。
【0102】
このような態様により、電気料金がより確実に抑制できるような電気温水器410の運転計画を作成することが可能となる。
【0103】
また需要家1000の余剰電力量が最小となるような気象予測データを用いて需要家1000の電力過不足量を求めた結果により電気料金を計算することにより、気象予報が実績値と乖離しても電気料金が増加する可能性を低減することが可能となる。
【0104】
なお上述した実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0105】
例えば上記実施形態では、太陽光発電量から電気機器420の電力消費量を差し引いた需要家1000の余剰電力量が最小となるような気象予報データのメンバーを見込み値とし、運転計画生成装置100は、余剰電力量が最小となるような気象予報データのメンバー(見込み値) を用いて、電気温水器410の運転計画を生成する場合について説明したが、電気温水器410の1日の電力使用量が最大となるような気象予報データのメンバーを見込み値として、電気温水器410の運転計画を生成するようにしてもよい。
【0106】
この場合は、第1電力消費量予測値算出部104は、第5関係式635に気象予報データの複数のメンバーの予報値を入力することにより第1電力消費量の複数の予測値を算出し、この第1電力消費量の予測値が最大となるときのメンバーの予報値を、気象予報データの見込み値として特定する。
【0107】
そして余剰電力量予測値算出部103は、気象予報データの各コマの見込み値を元に、太陽光発電発電量から電気機器420の電力消費量を差し引いた余剰電力量の各コマの予測値を求めるようにすればよい。
【0108】
このような態様によっても、気象データの予測値が実績値と乖離したとしても、電気料金の支払額をより確実に抑制できるような電気温水器410の運転計画を作成することが可能になる。
【符号の説明】
【0109】
100 運転計画生成装置
101 電気温水器電力消費量記憶部
102 料金記憶部
103 余剰電力量予測値算出部
104 第1電力消費量予測値算出部
105 候補生成部
106 電力過不足量算出部
107 運転計画生成部
108 気象データ取得部
110 CPU
120 メモリ
130 通信装置
140 記憶装置
150 入力装置
160 出力装置
170 記録媒体読取装置
200 気象情報提供装置
300 HEMSコントローラ
400 分電盤
410 電気温水器
420 電気機器
500 ネットワーク
510 需要家内ネットワーク
600 気象データ管理テーブル
610 料金テーブル
620 電気温水器管理テーブル
630 関係式
631 第1関係式
632 第2関係式
633 第3関係式
634 第4関係式
635 第5関係式
640 設備テーブル
650 電力管理テーブル
700 運転計画生成装置制御プログラム
800 記録媒体
900 太陽光発電設備
910 パワーコンディショナ
920 太陽電池パネル
1000 需要家
1100 電力系統
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13