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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020996
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】歩行車
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20250205BHJP
   A61H 3/04 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
B62B5/00 F
A61H3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124664
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(72)【発明者】
【氏名】久保田 澄花
(72)【発明者】
【氏名】村田 和正
【テーマコード(参考)】
3D050
4C046
【Fターム(参考)】
3D050AA03
3D050BB02
3D050DD01
3D050EE08
3D050EE15
3D050JJ07
4C046AA24
4C046BB07
4C046CC01
4C046CC04
4C046DD26
4C046DD33
(57)【要約】
【課題】ユーザがトレイの後方に座ってトレイを使用する際に、好適に使用することが可能な歩行車を提供する。
【解決手段】歩行車10は、上下方向に延びる左右一対のフレーム部11と、物を載置可能なトレイ42と、トレイ42を支持するフレーム体43と、フレーム体43よりも下方において各フレーム部11を連結する連結部14と、を備える。トレイ42は、その後端部が連結部14よりも後方に位置するように配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる左右一対のフレーム部と、
物を載置可能なトレイと、
前記トレイを支持するトレイ支持部と、
前記トレイ支持部よりも下方又は上方において、前記各フレーム部を連結する連結部と、を備える歩行車であって、
前記トレイは、その後端部が前記連結部よりも後方に位置するように配置されている、歩行車。
【請求項2】
前記連結部は、前記トレイ支持部よりも下方に設けられた下側連結部であり、
前記トレイは、前記後端部が前記下側連結部よりも後方に位置するように配置されている、請求項1に記載の歩行車。
【請求項3】
前記下側連結部は、後方から見てX字状をなすように形成されている、請求項2に記載の歩行車。
【請求項4】
前記各フレーム部を左右に離間した状態から左右に接近する状態に移行させることで折り畳み可能とされた歩行車であって、
前記下側連結部は、互いに交差して前記X字状をなす一対のリンク部を有し、前記一対のリンク部が軸部を介して回動可能に連結されることで左右方向の長さを変更可能となっている、請求項3に記載の歩行車。
【請求項5】
前記トレイは、前記各フレーム部の上端部に設けられハンドル及びブレーキレバーを有してなる左右一対の操作部の間、又は前記各フレーム部の間に配置されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の歩行車。
【請求項6】
前記トレイは、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなっている、請求項5に記載の歩行車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高齢者等が歩行する際の補助を行う歩行車が知られている。歩行車は、上下方向に延びる左右一対のフレーム部と、各フレーム部の上端側に設けられた左右一対のハンドルとを備える。
【0003】
歩行車には、例えば特許文献1に開示されているように、物を載置可能なトレイが設けられているものがある。トレイ付きの歩行車では、ユーザが椅子に座った状態でトレイ上で食事をしたり作業したりする場合がある。
【0004】
また、特許文献1の歩行車には、各フレーム部の上端部を連結した状態でアームレストが設けられている。アームレストは、各フレーム部よりも後方に延びるように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018―164531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ユーザが歩行車を用いて歩行する際には、ユーザは歩行車の後方に立って歩行することになる。そのため、ユーザが椅子に座ってトレイ上で食事等をする際には、歩行車の後方(換言するとトレイの後方)に座るのが使い勝手の点から好ましいといえる。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の歩行車では、トレイよりも後方にアームレストが設けられているため、ユーザがトレイの後方に座ってトレイを使用する際にアームレストが邪魔になると考えられる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ユーザがトレイの後方に座ってトレイを使用する際に、好適に使用することが可能な歩行車を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、第1の発明の歩行車は、上下方向に延びる左右一対のフレーム部と、物を載置可能なトレイと、前記トレイを支持するトレイ支持部と、前記トレイ支持部よりも下方又は上方において、前記各フレーム部を連結する連結部と、を備える歩行車であって、前記トレイは、その後端部が前記連結部よりも後方に位置するように配置されている。
【0010】
第1の発明によれば、上下方向に延びる左右一対のフレーム部が連結部により連結され、その連結部がトレイを支持するトレイ支持部よりも下方又は上方に配置されている。そして、かかる構成において、トレイは、その後端部が連結部よりも後方に位置するように配置されている。この場合、ユーザがトレイの後方に座ってトレイを使用する際、連結部がユーザの邪魔になるのを抑制することができる。これにより、ユーザがトレイの後方に座ってトレイを使用する際に、好適に使用することが可能となる。
【0011】
第2の発明の歩行車は、第1の発明において、前記連結部は、前記トレイ支持部よりも下方に設けられた下側連結部であり、前記トレイは、前記後端部が前記下側連結部よりも後方に位置するように配置されている。
【0012】
第2の発明によれば、トレイの後端部がトレイ支持部よりも下方に設けられた下側連結部より後方に位置しているため、トレイの後方に座るユーザの足が下側連結部に干渉しにくくすることができる。これにより、トレイの後方に座り易くすることができる。
【0013】
第3の発明の歩行車は、第2の発明において、前記下側連結部は、後方から見てX字状をなすように形成されている。
【0014】
第3の発明によれば、下側連結部が後方から見てX字状に形成されているため、下側連結部の左右方向の中央側が高い位置に位置している。この場合、ユーザがトレイの後方に座った際、下側連結部の下方に足を入れ易く、その結果、トレイの後方により座り易くすることができる。
【0015】
第4の発明の歩行車は、第3の発明において、前記各フレーム部を左右に離間した状態から左右に接近する状態に移行させることで折り畳み可能とされた歩行車であって、前記下側連結部は、互いに交差して前記X字状をなす一対のリンク部を有し、前記一対のリンク部が軸部を介して回動可能に連結されることで左右方向の長さを変更可能となっている。
【0016】
歩行車には、各フレーム部を左右に接近させることで折り畳み可能となっているものがある。第4の発明では、かかる歩行車において、各フレーム部を連結する下側連結部が、互いに交差してX字状をなす一対のリンク部を有し、それら一対のリンク部が軸部を介して回動可能に連結されることで左右方向の長さを変更可能となっている。この場合、各フレーム部を左右に接近させると、それに伴い下側連結部の左右方向の長さが短くなる。これにより、歩行車を左右に折り畳み可能としながら、トレイの後方に座り易くすることができる。
【0017】
第5の発明の歩行車は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記トレイは、前記各フレーム部の上端部に設けられハンドル及びブレーキレバーを有してなる左右一対の操作部の間、又は前記各フレーム部の間に配置されている。
【0018】
第5の発明によれば、トレイが各操作部の間、又は各フレーム部の間に配置されている。この場合、トレイを各フレーム部よりも後方に延出させた状態で配置することができる。そのため、トレイを、その後方に座るユーザの側に引き寄せて配置し易く、その結果、トレイをより好適に使用することが可能となる。
【0019】
また、トレイ全体を各フレーム部よりも後方に位置させることも考えられるが、その場合、ユーザが歩行車を用いて歩行する際、つまりユーザが歩行車の後方に立って歩行する際に、トレイがユーザの邪魔になり易い。その点、上記の構成によれば、歩行時にトレイがユーザの邪魔になるのを抑制しながら、上記の効果を得ることが可能となる。
【0020】
第6の発明の歩行車は、第5の発明において、前記トレイは、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなっている。
【0021】
第6の発明によれば、トレイの前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなっているため、トレイを、その後方に座るユーザの側に近づけて配置し易く、その結果、トレイをより好適に使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】歩行車を斜め後方から見た斜視図。
図2】歩行車を示す側面図。
図3】歩行車を示す平面図。
図4】歩行車を後方から見た図であり、(a)が歩行車の展開状態を示しており、(b)が歩行車の折り畳み状態を示している。
図5】操作部の高さ位置及びトレイの高さ位置を高く設定した状態において、歩行車を斜め後方から見た斜視図。
図6】フレーム体に支持された収容部及びトレイを斜め上方から見た斜視図。
図7】フレーム体を示す斜視図。
図8図6において収容部を引き出した状態でかつトレイを持ち上げた状態で示す斜視図。
図9】フレーム体に支持された収容部及びトレイを斜め下方から見た斜視図。
図10図6のA枠内を拡大した状態で後方から見た図。
図11】収容部、トレイ及びフレーム体を歩行車から取り外した状態を示す斜視図。
図12】操作部の高さ位置を高く設定し、かつトレイの高さ位置を低く設定した状態において、歩行車を斜め後方から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、歩行車として、屋内で用いられる屋内用の歩行車について具体化している。図1は、歩行車10を斜め後方から見た斜視図である。図2は、歩行車10を示す側面図であり、図3は、歩行車10を示す平面図である。図4は、歩行車10を後方から見た図であり、(a)が歩行車10の展開状態を示しており、(b)が歩行車10の折り畳み状態を示している。なお、以下の説明では、歩行車10を移動させる際の移動方向を前後方向とし、その前後方向に対して直交する方向を左右方向として説明を行う。
【0024】
図1図3に示すように、歩行車10は、上下方向に延びる左右一対のフレーム部11と、各フレーム部11の下端側に設けられた前輪12及び後輪13と、各フレーム部11を連結する連結部14とを備える。各フレーム部11は、アルミニウム等の軽金属により形成されている。各フレーム部11は、その下部に設けられ前後方向に延びる下側フレーム部15と、下側フレーム部15の中間部から上方に延びる縦フレーム部16とを有する。各下側フレーム部15の前端部に前輪12が取り付けられ、後端部に後輪13が取り付けられている。
【0025】
図4(a)及び(b)に示すように、各フレーム部11は、左右に離間する離間状態(図1図4(a)の状態)と、左右に接近する接近状態(図4(b)の状態)とに移行可能となっている。なお、図4(a)及び(b)では、各フレーム部11を連結する連結部14周辺の部材を一部省略した状態で示している。
【0026】
連結部14は、各フレーム部11の縦フレーム部16の間に配置され、後方から見てX字状をなしている。連結部14は、上記X字状をなして交差する一対のリンク部14aと、各リンク部14aの交差部に設けられた軸部14bとを有している。軸部14bは、前後方向に延びている。各リンク部14aは、その軸部14bを介して回動可能に連結されている。連結部14は、各リンク部14aの回動により、左右に展開及び折り畳み変形可能となっており、換言すると左右方向の長さを変更可能となっている。
【0027】
各フレーム部11が離間状態とされると、連結部14が左右に展開される。このとき、歩行車10は展開状態(図4(a)の状態)とされる。また、各フレーム部11が接近状態とされると、連結部14が左右に折り畳まれる。このとき、歩行車10は折り畳み状態(図4(b)の状態)とされる。
【0028】
なお、本歩行車10では、各フレーム部11を連結する部材が連結部14のみとなっている。したがって、本歩行車10では、連結部14よりも前方に各フレーム部11を連結する部材が一切設けられておらず、また連結部14よりも後方にも各フレーム部11を連結する部材が一切設けられていない。
【0029】
図1図3に示すように、各フレーム部11の縦フレーム部16の上端部には操作部21が設けられている。操作部21は、縦フレーム部16の上端部に取り付けられた取付部22と、取付部22により支持されたハンドル23及びブレーキレバー24とを有している。ハンドル23は、ユーザが歩行車10を移動させる際に把持する部分である。ブレーキレバー24は、ブレーキ操作を行うためのものであり、ハンドル23の下方に配置されている。ハンドル23及びブレーキレバー24は、取付部22に対して後方に延びる向きで取り付けられている。なお、取付部22には、段差等で歩行車10を持ち上げる際に把持する持ち手25が形成されている。
【0030】
本歩行車10では、ユーザの身長等に応じて操作部21の高さ位置を調整することが可能となっている。そこで、以下では、操作部21の高さ位置調整に関する構成について図5に基づき説明する。図5は、操作部21の高さ位置を高く設定した状態において、歩行車10を斜め後方から見た斜視図である。
【0031】
図5に示すように、各フレーム部11の縦フレーム部16はそれぞれ、第1フレーム28と第2フレーム29とを有している。第1フレーム28及び第2フレーム29はいずれも上下方向に延びる筒状に形成されている。詳しくは、これら各フレーム28,29は四角筒状に形成され、左右方向の長さが前後方向の長さよりも短くなっている。
【0032】
第1フレーム28は、その下端部が下側フレーム部15の中間部に連結されている。第2フレーム29は、第1フレーム28の内側に上方から挿入されている。第2フレーム29の上端部には操作部21が取り付けられている。第2フレーム29は、第1フレーム28に挿入された状態で上下方向に変位可能となっている。そして、その第2フレーム29の変位により、操作部21の高さ位置を調整可能となっている。
【0033】
第2フレーム29は、操作部21の高さ位置が調整された状態で、第1フレーム28にハンドル付きの固定ねじ31を用いて固定される。第1フレーム28の上端部には、固定ねじ31を挿通可能な孔部(図示略)が設けられている。また、第2フレーム29には、固定ねじ31を挿通可能な孔部32が上下方向に所定の間隔で複数設けられている。固定ねじ31は、第1フレーム28の孔部と第2フレーム29の各孔部32のうちのいずれかとにそれぞれ挿通され、その挿通状態で固定ねじ31が締め込まれることにより第2フレーム29が第1フレーム28に固定されるようになっている。なお、固定ねじ31は、第1フレーム28の上端部に設けられたブラケット35に締め込み可能な状態で保持されている。
【0034】
図1図3に示すように、歩行車10には、物を収容可能な収容部41と、物を載置可能なトレイ42と、収容部41及びトレイ42を支持するフレーム体43とが設けられている。以下、これら収容部41、トレイ42及びフレーム体43の構成について図6図10を用いながら説明する。図6は、フレーム体43に支持された収容部41及びトレイ42を斜め上方から見た斜視図である。図7は、フレーム体43を示す斜視図である。図8は、図6において収容部41を引き出した状態でかつトレイ42を持ち上げた状態で示す斜視図である。図9は、フレーム体43に支持された収容部41及びトレイ42を斜め下方から見た斜視図である。図10は、図6のA枠内を拡大した状態で後方から見た図である。
【0035】
図6及び図8に示すように、収容部41は、上方に開口された扁平の四角箱状に形成されている。収容部41は、例えば硬質樹脂により形成されている。収容部41は、矩形平板状の底板部41aと、底板部41aの周縁部から上方に立ち上がる周壁部41bとを有する。周壁部41bの後側の壁部には、その一部が下方に凹ませられることにより持ち手44が形成されている。また、収容部41は、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなっている。
【0036】
トレイ42は、矩形形状(長方形状)に形成され、収容部41の上方に配置されている。トレイ42は、矩形平板状の平板部42aと、平板部42aの周縁部から上方に立ち上がる縁部42bとを有している。トレイ42は、例えば硬質樹脂により形成されている。トレイ42の縁部42bは、上端側が外方に延出してフランジ部42cとなっている。また、トレイ42は、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなっている。トレイ42と収容部41とは平面視の大きさが略同じとなっており、詳しくは、トレイ42の大きさが収容部41の大きさよりも若干大きくなっている。
【0037】
フレーム体43は、図6図10に示すように、収容部41を支持する支持フレーム45と、トレイ42を支持するトレイフレーム46とを有する。支持フレーム45は、フレーム本体47と、左右一対のレール部48とを有する。なお、フレーム体43が「トレイ支持部」に相当する。
【0038】
フレーム本体47は、金属製の棒材又はパイプ材により形成され、平面視にて四角環状をなしている。フレーム本体47は、左右方向に延びる前フレーム部47a及び後フレーム部47bと、それら各フレーム部47a,47bの端部同士を繋ぐ左右一対の側フレーム部47cとを有する。前フレーム部47a及び後フレーム部47bは同じ高さ位置に配置されている。
【0039】
各側フレーム部47cは、前後方向に延びている。各側フレーム部47cは、前フレーム部47a及び後フレーム部47bよりも上方に延びており、側面視にて上方に凸となる山形形状をなしている。詳しくは、各側フレーム部47cは、その頂部となる部分が前後方向に水平に延びる水平部49となっている。また、各水平部49には、下方に延びる向きで板状の垂下部53が固定されている。
【0040】
各レール部48は、前後方向に延びており、フレーム本体47の前フレーム部47a及び後フレーム部47bに架け渡されて設けられている。各レール部48はそれぞれ、前後方向に延びる2つのレール構成部51,52を有する。各レール構成部51,52はいずれも長尺の板金部材からなり、フレーム本体47の前フレーム部47a及び後フレーム部47bに溶接により固定されている。各レール構成部51,52のうち、レール構成部51は平板状に形成されている。一方、レール構成部52は段曲げされて横断面がZ形状とされている。これにより、レール構成部52の一部は、レール構成部51の上方に配置されて当該レール構成部51との間に側方に開放されたレール溝55(図10参照)を形成している。
【0041】
各レール部48の上には、収容部41が載置された状態で設けられている。この場合、収容部41は、支持フレーム45の各側フレーム部47cの間に配置されている。また、収容部41は、トレイ42の下方から後方に引き出し可能に設けられている。以下、その引き出しに関する構成について説明する。
【0042】
収容部41の底面には、各レール部48に案内される左右一対のガイド部56が設けられている。図9では、右側のレール構成部51を取り外した状態で示しており、それにより、右側のガイド部56を見易くしている。ガイド部56は、前後方向に延びる長尺状に形成されている。ガイド部56は、収容部41の底面に取り付けられた取付部56aと、取付部56aの下部から側方に延出する延出部56bとを有する。ガイド部56は、レール部48のレール構成部51上に載置され、その載置状態で延出部56bがレール部48のレール溝55に挿入されている。これにより、各ガイド部56はレール溝55に沿って前後方向に案内可能(スライド可能)とされ、ひいては収容部41が前後方向にスライド可能とされている。そして、そのスライドにより、収容部41が後方に引き出し可能となっている。また、収容部41を引き出す際には、持ち手44を持って引き出すことが可能となっている。
【0043】
レール構成部51には、下方から手締めのねじ部58がねじ込まれている。ねじ部58は、レール構成部51の後端側に配置されている。レール構成部51の上方に配置されたガイド部56には、ねじ部58が挿通される長孔59(図9参照)が形成されている。長孔59は前後方向に延びており、その長孔59の後端部にねじ部58が入り込んでいる。かかる構成では、収容部41が後方に引き出されてガイド部56が後方に変位すると、ねじ部58が長孔59内において前方に変位する。この場合、ねじ部58が長孔59の前端部に当接するまで収容部41を後方に引き出すことが可能となる。つまり、ねじ部58は、収容部41を後方に引き出し過ぎないようにするためのストッパとして機能している。なお、ねじ部58を取り外せば、収容部41を後方に引き出しフレーム体43から取り外すことが可能となる。
【0044】
続いて、トレイ42を支持するトレイフレーム46について説明する。トレイフレーム46は、金属製の棒材又はパイプ材により形成され、平面視にて四角環状をなしている。トレイフレーム46は、支持フレーム45の各水平部49に溶接により固定されている。これにより、トレイフレーム46は、支持フレーム45と一体化されている。
【0045】
トレイフレーム46の上には、トレイ42が載置された状態で設けられている。トレイ42は、トレイフレーム46の内側を通じて配置され、そのフランジ部42cがトレイフレーム46の上に載置されている。これにより、トレイ42は、トレイフレーム46に取り外し可能な状態で設けられている。また、トレイ42は、収容部41の上方において収容部41の開口を覆うように配置されている。
【0046】
トレイフレーム46の前辺部及び後辺部にはそれぞれ下方に凹む凹み部61が形成されている。各凹み部61は、さらに前後方向の内側にも凹んでいる。凹み部61が形成されている箇所では、トレイ42のフランジ部42cが載置されていない。そのため、フランジ部42cひいてはトレイ42を持ち易くなっている。
【0047】
以上が、収容部41、トレイ42及びフレーム体43に関する説明である。続いて、歩行車10における収容部41、トレイ42及びフレーム体43の配置構成について、図1及び図2に基づき説明する。
【0048】
図1及び図2に示すように、フレーム体43(詳しくは支持フレーム45)は、各フレーム部11の縦フレーム部16に架け渡されて設けられている。フレーム体43は、各縦フレーム部16の上端側に架け渡されている。この場合、フレーム体43により支持された収容部41は、各縦フレーム部16の上端側の間に配置されている。そのため、ユーザは収容部41を使用し易くなっている。また、詳しくは、収容部41は、その上端部が各縦フレーム部16の上端部と略同じ高さに位置している。
【0049】
収容部41は、各縦フレーム部16よりも後方に延出する延出長さL1が、各縦フレーム部16よりも前方に延出する延出長さL2よりも短くされている。例えば、後方の延出長さL1は、前方の延出長さL2の略半分とされている。
【0050】
トレイ42は、各操作部21の間に配置されている。この場合、ユーザはトレイ42を使用し易くなっている。また、詳しくは、トレイ42は、その上端部が各操作部21の上端部よりも下方に位置するように配置されている。トレイ42は、各縦フレーム部16よりも後方に延出する延出長さL3が、各縦フレーム部16よりも前方に延出する延出長さL4よりも短くされている。例えば、後方の延出長さL3は、前方の延出長さL4の略半分とされている。
【0051】
トレイ42は、各縦フレーム部16を連結する連結部14よりも上方に配置されている。この場合、連結部14は、トレイ42を支持するフレーム体43よりも下方に配置されている。トレイ42は、その後端部が連結部14よりも後方に位置している。また、トレイ42の後端部は、操作部21のハンドル23及びブレーキレバー24の各後端部よりも前方に位置している。なお、連結部14が「下側連結部」に相当する。
【0052】
フレーム体43は、各縦フレーム部16に着脱可能に取り付けられている。以下、その着脱に関する構成について図11に基づき説明する。図11は、収容部41、トレイ42及びフレーム体43を歩行車10から取り外した状態を示す斜視図である。
【0053】
図11に示すように、各縦フレーム部16には、フレーム体43を支持する支持部63が設けられている。各支持部63は、縦フレーム部16が挿通される挿通孔64を有している。各支持部63は、その挿通孔64に縦フレーム部16を挿通した状態で縦フレーム部16に取り付けられている。
【0054】
各支持部63は、縦フレーム部16よりも左右方向の内側に張り出した張出部63aを有している。各支持部63の張出部63aには、フレーム体43の垂下部53が挿し込まれる挿込孔65が形成されている。挿込孔65は、上方に開口された孔部となっている。各支持部63の挿込孔65にはそれぞれ上方からフレーム体43の垂下部53が挿し込まれている(図12参照)。これにより、フレーム体43が各支持部63に架け渡されており、ひいては各支持部63を介して各縦フレーム部16に架け渡されている。
【0055】
各支持部63には、挿込孔65に挿し込まれた垂下部53を固定する固定ねじ67が設けられている。固定ねじ67は、つまみねじからなる。この固定ねじ67により各垂下部53が固定されることで、フレーム体43が各支持部63に固定される。また、固定ねじ67を緩めることにより各垂下部53の固定が解除されると、各垂下部53を挿込孔65から抜いてフレーム体43を各支持部63から取り外すことが可能となる。これにより、フレーム体43は、各支持部63に対して着脱可能に取り付けられており、ひいては各支持部63を介して各縦フレーム部16に着脱可能に取り付けられている。
【0056】
上記の構成によれば、フレーム体43を各縦フレーム部16から取り外すことにより、フレーム体43に支持された収容部41及びトレイ42についても取り外すことが可能となる。本歩行車10では、各フレーム部11を左右に接近させて歩行車10を折り畳む際に(図4(b)参照)、フレーム体43を各縦フレーム部16から取り外してから歩行車10を折り畳むようになっている。
【0057】
本歩行車10では、各縦フレーム部16に架け渡されるフレーム体43の高さ位置を調整可能となっている。そして、フレーム体43の高さ位置を調整することにより、収容部41及びトレイ42の高さ位置を調整することが可能となっている。そこで、以下では、その高さ位置調整に関する構成について、図5に基づき説明する。
【0058】
各支持部63は、上述したように、挿通孔64に縦フレーム部16を挿通した状態で縦フレーム部16に取り付けられている。この場合、各支持部63は、図5に示すように、挿通孔64に縦フレーム部16の第2フレーム29を挿通した状態で当該第2フレーム29に取り付けられている(図12も参照)。各支持部63は、かかる挿通状態で第2フレーム29に沿って上下方向にスライド移動が可能となっている。そして、各支持部63は、かかるスライド移動により高さ位置を調整することが可能となっている。
【0059】
各支持部63には、支持部63を第2フレーム29に固定する固定ねじ68が設けられている。固定ねじ68は、つまみねじからなる。各支持部63には、固定ねじ68を挿通可能な孔部(図示略)が設けられている。固定ねじ68は、支持部63の孔部と、第2フレーム29の各孔部32のうちいずれかとにそれぞれ挿通され、その挿通状態で締め込まれる。これにより、支持部63が、高さ位置調整された状態で第2フレーム29に固定されるようになっている。
【0060】
上記のように、各支持部63の高さ位置を調整することにより、各支持部63に架け渡されるフレーム体43の高さ位置を調整することが可能となっている。そして、フレーム体43の高さ位置調整により、収容部41及びトレイ42の高さ位置を調整することが可能となっている。
【0061】
図5の例では、上述したように、操作部21の高さ位置が図1の例と比べて高く設定されている。また、図5の例では、収容部41及びトレイ42の高さ位置が図1の例よりも高く設定されており、それにより、図1の例と同様、収容部41が各縦フレーム部16の上端側の間に位置し、トレイ42が各操作部21の間に位置している。これにより、図5の例においても、ユーザは収容部41及びトレイ42を使用し易くなっている。
【0062】
ここで、本歩行車10では、図3に示すように、ユーザUが椅子Iに座ってトレイ42の上で食事や作業等をすることが可能となっている。本歩行車10では、ユーザUがトレイ42の後方(換言すると歩行車10の後方)に座って食事等をすることが可能となっている。ユーザUが、このようにトレイ42の後方に座ってトレイ42を使用する際には、図1図12に示すように、トレイ42の高さ位置を低い位置に設定する。また、本歩行車10では、上述したように、トレイ42の後端部が連結部14よりも後方に位置しているため(図1図2参照)、トレイ42の後方に座るユーザUの足が連結部14に干渉しにくくなっている。そのため、トレイ42の後方に座り易くなっている。
【0063】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0064】
上下方向に延びる左右一対のフレーム部11が連結部14により連結される構成において、トレイ42は、その後端部が連結部14よりも後方に位置するように配置されている。この場合、ユーザがトレイ42の後方に座ってトレイ42を使用する際、連結部14がユーザの邪魔になるのを抑制することができる。これにより、ユーザがトレイ42の後方に座ってトレイ42を使用する際に、好適に使用することが可能となる。
【0065】
連結部14がトレイ42を支持するフレーム体43よりも下方に配置されている構成において、トレイ42は、その後端部が連結部14よりも後方に位置するように配置されている。この場合、トレイ42の後方に座るユーザの足が連結部14に干渉しにくくすることができる。これにより、ユーザがトレイ42の後方に座り易くすることができる。
【0066】
連結部14が後方から見てX字状に形成されているため、連結部14の左右方向の中央側が高い位置に位置している。この場合、ユーザがトレイ42の後方に座った際、連結部14の下方に足を入れ易く、その結果、トレイ42の後方により座り易くすることができる。
【0067】
各フレーム部11を左右に接近させることで折り畳み可能とされた歩行車10において、各フレーム部11を連結する連結部14が、互いに交差してX字状をなす一対のリンク部14aを有して構成されている。そして、連結部14は、一対のリンク部14aが軸部14bを介して回動可能に連結されることで左右方向の長さを変更可能となっている。この場合、各フレーム部11を左右に接近させると、それに伴い連結部14の左右方向の長さが短くなる。これにより、歩行車10を左右に折り畳み可能としながら、トレイ42の後方に座り易くすることができる。
【0068】
トレイ42は、各操作部21の間に配置されている(図1参照)。また、図12の例では、トレイ42が各フレーム部11の間に配置されている。これらの場合、トレイ42を各フレーム部11よりも後方に延出させた状態で配置することができる。そのため、トレイ42を、その後方に座るユーザの側に引き寄せて配置し易く、その結果、トレイ42をより好適に使用することが可能となる。
【0069】
また、トレイ42全体を各フレーム部11よりも後方に位置させることも考えられるが、その場合、ユーザが歩行車10を用いて歩行する際、つまりユーザが歩行車10の後方に立って歩行する際に、トレイ42がユーザの邪魔になり易い。その点、上記の構成によれば、歩行時にトレイ42がユーザの邪魔になるのを抑制しながら、上記の効果を得ることが可能となる。
【0070】
トレイ42の前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなっているため、トレイ42を、その後方に座るユーザの側に近づけて配置し易い。そのため、トレイ42をより好適に使用することが可能となる。
【0071】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0072】
・上記実施形態では、トレイ42を支持するフレーム体43(トレイ支持部に相当)よりも下方に各フレーム部11を連結する連結部14(下側連結部に相当)が設けられていたが、歩行車によっては、トレイ支持部よりも上方に各フレーム部11を連結する連結部(以下、上側連結部という)が設けられている場合もある。そこで、かかる歩行車において、トレイを、その後端部が上側連結部よりも後方に位置するように配置してもよい。この場合、ユーザがトレイの後方に座ってトレイを使用する際に、上側連結部が邪魔になるのを抑制することができる。
【0073】
・上記実施形態では、各フレーム部11を左右に接近させて折り畳み可能とされた歩行車10に本発明を適用したが、折り畳み不能とされた歩行車に本発明を適用してもよい。この場合にも、連結部14をX字状に形成することで、ユーザがトレイ42の後方に座り易くすることができる。また、この場合に、連結部を、X字状に代えて、例えば左右に延びる棒状に形成してもよい。
【0074】
・歩行車としては、左右一対のフレーム部の上端部にハンドルフレームが架け渡されて設けられているものがある。かかる歩行車においても、各フレーム部の間にトレイを配置することで、トレイを各フレーム部よりも後方に延出させて配置でき、その結果、トレイを、その後方に座るユーザの側に引き寄せて配置し易くできる。
【符号の説明】
【0075】
10…歩行車、11…フレーム部、14…下側連結部としての連結部、21…操作部、23…ハンドル、24…ブレーキレバー、42…トレイ、43…トレイ支持部としてのフレーム体。
図1
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図12