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特開2025-21022判定方法、コンピュータプログラム、判定装置、及び蓄電装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021022
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】判定方法、コンピュータプログラム、判定装置、及び蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/30 20230101AFI20250205BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250205BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
G06Q10/30
H02J7/00 Q
H01M10/42 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124704
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】福島 敦史
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5L049
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503EA09
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA09
5H030AS08
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】判定方法、コンピュータプログラム、判定装置、及び蓄電装置の提供。
【解決手段】リユースに用いられる二次電池の将来的な性能を予測し、前記二次電池の搭載先が必要とする前記二次電池の性能の情報を取得し、予測した前記二次電池の将来的な性能と、前記搭載先が必要とする前記二次電池の性能とを比較することにより、前記搭載先に対する前記二次電池の適合性を判定し、前記適合性の判定結果を出力する処理を1又は複数のコンピュータにより実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リユースに用いられる二次電池の将来的な性能を予測し、
前記二次電池の搭載先が必要とする前記二次電池の性能の情報を取得し、
予測した前記二次電池の将来的な性能と、前記搭載先が必要とする前記二次電池の性能とを比較することにより、前記搭載先に対する前記二次電池の適合性を判定し、
前記適合性の判定結果を出力する
処理を1又は複数のコンピュータにより実行する適合性判定方法。
【請求項2】
前記二次電池の現在の性能に関する情報、前記搭載先での前記二次電池の使用環境に関する情報、及び前記搭載先に関する情報を取得し、
取得した情報に基づき、前記二次電池の将来的な性能を予測する
処理を前記コンピュータにより実行する請求項1に記載の適合性判定方法。
【請求項3】
予測すべき前記二次電池の性能は、満充電容量及び出力性能の値を含む
請求項1に記載の適合性判定方法。
【請求項4】
前記二次電池の寸法の情報と、前記搭載先に搭載可能な二次電池の寸法の情報とを取得し、
取得した寸法の情報に基づき、前記適合性を判定する
処理を前記コンピュータにより実行する請求項1に記載の適合性判定方法。
【請求項5】
前記二次電池の製造元の情報と、前記搭載先に標準搭載される二次電池の製造元の情報とを取得し、
取得した製造元の情報に基づき、前記適合性を判定する
処理を前記コンピュータにより実行する請求項1に記載の適合性判定方法。
【請求項6】
前記二次電池の通信仕様に関する情報と、前記搭載先の通信仕様に関する情報とを取得し、
取得した通信仕様に関する情報に基づき、前記適合性を判定する
処理を前記コンピュータにより実行する請求項1に記載の適合性判定方法。
【請求項7】
前記搭載先は、前記二次電池の電力を利用する車両である
請求項1に記載の適合性判定方法。
【請求項8】
リユースに用いられる二次電池の将来的な性能を予測し、
前記二次電池の搭載先が必要とする前記二次電池の性能の情報を取得し、
予測した前記二次電池の将来的な性能と、前記搭載先が必要とする前記二次電池の性能とを比較することにより、前記搭載先に対する前記二次電池の適合性を判定し、
前記適合性の判定結果を出力する
処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項9】
リユースに用いられる二次電池の将来的な性能の予測結果と、前記二次電池の搭載先が必要とする前記二次電池の性能の情報とを取得する取得部と、
前記予測結果が示す性能と、前記搭載先が必要とする前記二次電池の性能とを比較することにより、前記搭載先に対する前記二次電池の適合性を判定する判定部と、
前記適合性の判定結果を出力する出力部と
を備える判定装置。
【請求項10】
請求項1から請求項7の何れか1つに記載の適合性判定方法により、搭載先での適合性が判定される蓄電装置であって、
前記蓄電装置の満充電容量及び出力性能の推定に必要な履歴データを、前記満充電容量及び前記出力性能を推定する外部装置へ送信する送信部
を備える蓄電装置。
【請求項11】
請求項1から請求項7の何れか1つに記載の適合性判定方法により、搭載先での適合性が判定される蓄電装置であって、
前記蓄電装置の満充電容量及び出力性能の推定に必要なデータを計測する計測部と、
前記計測部が計測したデータを、前記満充電容量及び前記出力性能を推定する外部装置へ送信する送信部と
を備える蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定方法、コンピュータプログラム、判定装置、及び蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池やリチウムイオン電池といった二次電池が広く利用されている。例えば、二次電池は、自動車等の車両に搭載され、エンジン始動時におけるスタータへの電力供給源や、ライト等の各種電装品への電力供給源として利用されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
近年では、二次電池の長寿命化が進んでおり、法規制などの社会的要請によって、二次電池のリユースが求められている。このような状況下では、リユースに用いられる二次電池は中古市場に出回り、普及することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-78147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中古の二次電池を新たな搭載先に搭載することになった場合、その二次電池が新たな搭載先に適合するか否かを判定する手法は現状では存在していない。
【0006】
本発明は、リユース品として搭載される搭載先での蓄電装置の適合性を判定できる適合性判定方法、コンピュータプログラム、判定装置、及び蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る適合性判定方法は、リユースに用いられる二次電池の将来的な性能を予測し、前記二次電池の搭載先が必要とする前記二次電池の性能の情報を取得し、予測した前記二次電池の将来的な性能と、前記搭載先が必要とする前記二次電池の性能とを比較することにより、前記搭載先に対する前記二次電池の適合性を判定し、前記適合性の判定結果を出力する処理を1又は複数のコンピュータにより実行する。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、リユース品として搭載される搭載先での蓄電装置の適合性を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係るリユース支援システムの概要を説明する説明図である。
図2】車両での適用例を説明する説明図である。
図3】蓄電装置の内部構成を示すブロック図である。
図4】予測装置の内部構成を示すブロック図である。
図5】判定装置の内部構成を示すブロック図である。
図6】予測装置が実行する予測処理の手順を示すフローチャートである。
図7】判定装置が実行する判定処理の手順を示すフローチャートである。
図8】予測結果と搭載先での必要値との比較例を示すグラフである。
図9】実施の形態2における判定装置が実行する判定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)本開示の適合性判定方法は、リユースに用いられる二次電池の将来的な性能を予測し、前記二次電池の搭載先が必要とする前記二次電池の性能の情報を取得し、予測した前記二次電池の将来的な性能と、前記搭載先が必要とする前記二次電池の性能とを比較することにより、前記搭載先に対する前記二次電池の適合性を判定し、前記適合性の判定結果を出力する処理を1又は複数のコンピュータにより実行する。
【0011】
上記(1)の適合性判定方法によれば、リユースに用いられる二次電池の将来的な性能を予測し、その予測結果が搭載先の要求を満たすか否かにより、搭載先に対する二次電池の適合性を判定できる。
【0012】
(2)上記(1)に記載の適合性判定方法において、前記二次電池の現在の性能に関する情報、前記搭載先での前記二次電池の使用環境に関する情報、及び前記搭載先に関する情報を取得し、取得した情報に基づき、前記二次電池の将来的な性能を予測する処理を前記コンピュータにより実行する。
【0013】
上記(2)の適合性判定方法によれば、例えば、搭載先における使用環境の情報、及び搭載先の情報を考慮し、リユースされる二次電池の現在の性能を初期値として、当該二次電池の将来的な性能を予測できる。使用環境の情報は、搭載先での環境温度の情報(例えば、年間の気温の推移)を含む。搭載先の情報は、搭載先での標準的な充放電パターンや搭載先での搭載位置における蓄電素子の温度上昇レベルを含む。
【0014】
(3)上記(1)又は(2)に記載の適合性判定方法において、予測すべき前記二次電池の性能は、満充電容量及び出力性能の値を含む。
【0015】
上記(3)の適合性判定方法によれば、リユースされる二次電池の満充電容量及び出力性能の予測値を算出し、搭載先での要求を満たすか否かを判断することによって、適合性を判定できる。満充電容量には、搭載先を駆動若しくは始動させる能力があるか否かを表す指標である。出力性能には二次電池の内部抵抗値が用いられる。
【0016】
(4)上記(1)から(3)の何れか1つに記載の適合性判定方法において、前記二次電池の寸法の情報と、前記搭載先に搭載可能な二次電池の寸法の情報とを取得し、取得した寸法の情報に基づき、前記適合性を判定する処理を前記コンピュータにより実行する。
【0017】
上記(4)の適合性判定方法によれば、リユースに用いられる二次電池の寸法と、搭載先に搭載可能な二次電池の寸法とを比較することによって、リユース用の二次電池を搭載先に物理的に配置できるか否かを判定できる。
【0018】
(5)上記(1)から(4)の何れか1つに記載の適合性判定方法において、前記二次電池の製造元の情報と、前記搭載先に標準搭載される二次電池の製造元の情報とを取得し、取得した製造元の情報に基づき、前記適合性を判定する処理を前記コンピュータにより実行する。
【0019】
上記(5)の適合性判定方法によれば、リユースに用いられる二次電池の製造元と、搭載先に標準搭載される二次電池の製造元とが一致するか否かを判断することによって、リユース用の二次電池を搭載先に搭載できるか否かを判断できる。
【0020】
(6)上記(1)から(5)の何れか1つに記載の適合性判定方法において、前記二次電池の通信仕様に関する情報と、前記搭載先の通信仕様に関する情報とを取得し、取得した通信仕様に関する情報に基づき、前記適合性を判定する処理を前記コンピュータにより実行する。
【0021】
上記(6)の適合性判定方法によれば、リユースに用いられる二次電池の通信仕様と、搭載先の通信仕様とが一致するか否かを判断することによって、リユース用の二次電池を搭載先で通信可能に接続できるか否かを判断できる。
【0022】
(7)上記(1)から(6)の何れか1つに記載の適合性判定方法において、前記搭載先は、前記二次電池の電力を利用する車両である。
【0023】
二次電池は、例えば、車両始動用、補機類用、若しくはメイン電源失陥時のバックアップ用の電源として車両に搭載される。二次電池は、走行用のモータを駆動するための電源として車両に搭載される場合もある。上記(7)の適合性判定方法によれば、車両用の電源として搭載される二次電池に関して、搭載先への適合性を判定できる。
【0024】
(8)本開示のコンピュータプログラムは、リユースに用いられる二次電池の将来的な性能を予測し、前記二次電池の搭載先が必要とする前記二次電池の性能の情報を取得し、予測した前記二次電池の将来的な性能と、前記搭載先が必要とする前記二次電池の性能とを比較することにより、前記搭載先に対する前記二次電池の適合性を判定し、前記適合性の判定結果を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【0025】
上記(8)のコンピュータプログラムによれば、リユースに用いられる二次電池の将来的な性能を予測し、その予測結果が搭載先の要求を満たすか否かにより、搭載先に対する二次電池の適合性を判定できる。
【0026】
(9)本開示の判定装置は、リユースに用いられる二次電池の将来的な性能の予測結果と、前記二次電池の搭載先が必要とする前記二次電池の性能の情報とを取得する取得部と、前記予測結果が示す性能と、前記搭載先が必要とする前記二次電池の性能とを比較することにより、前記搭載先に対する前記二次電池の適合性を判定する判定部と、前記適合性の判定結果を出力する出力部とを備える。
【0027】
上記(9)の判定装置によれば、リユースに用いられる二次電池の将来的な性能を予測し、その予測結果が搭載先の要求を満たすか否かにより、搭載先に対する二次電池の適合性を判定できる。
【0028】
(10)本開示の蓄電装置は、上記(1)から(7)の何れか1つに記載の適合性判定方法により、搭載先での適合性が判定される蓄電装置であって、前記蓄電装置の満充電容量及び出力性能の推定に必要な履歴データを、前記満充電容量及び前記出力性能を推定する外部装置へ送信する送信部を備える。
【0029】
蓄電装置の満充電容量は、OCV(Open Circuit Voltage)と電流積算値との組み合わせで推定する方法、定電流で設定電圧まで放電させたときの電流及び電圧の計測値を用いて推定する方法など、既存の方法を用いて推定される。出力性能には蓄電装置1の内部抵抗値が用いられる。上記(10)の蓄電装置では、満充電容量及び出力性能の推定に必要なデータとして、例えば、蓄電装置に流れる電流の大きさや蓄電装置の内部抵抗などの計測値を履歴として蓄積する。上記(10)の蓄電装置によれば、履歴データを外部装置へ送信することによって、性能予測に必要な情報が得られる。
【0030】
(11)本開示の蓄電装置は、上記(1)から(7)の何れか1つに記載の適合性判定方法により、搭載先での適合性が判定される蓄電装置であって、前記蓄電装置の満充電容量及び出力性能の推定に必要なデータを計測する計測部と、前記計測部が計測したデータを、前記満充電容量及び前記出力性能を推定する外部装置へ送信する送信部とを備える。
【0031】
蓄電装置の満充電容量は、OCVと電流積算値との組み合わせで推定する方法、定電流で設定電圧まで放電させたときの電流及び電圧の計測値を用いて推定する方法など、既存の方法を用いて推定される。出力性能には蓄電装置1の内部抵抗値が用いられる。蓄電装置は、満充電容量及び出力性能の推定に必要なデータとして、例えば、蓄電装置に流れる電流の大きさや蓄電装置の内部抵抗を計測すればよい。上記(11)の蓄電装置によれば、計測部が計測したデータを外部装置へ送信することによって、性能予測に必要な情報が得られる。
【0032】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態に係るリユース支援システムの概要を説明する説明図である。実施の形態に係るリユース支援システムは、予測装置110及び判定装置120を備える。予測装置110は、蓄電装置1の現在の性能に関する情報や蓄電装置1の使用環境に関する情報などに基づいて、蓄電装置1の将来的な性能を予測する。蓄電装置1の将来的な性能とは、例えば、リユース開始後から所定年後の満充電容量及び出力性能を表す。判定装置120は、予測装置110による予測結果を参照し、蓄電装置1がリユース品として搭載される予定の搭載先に適合するか否かを判定する。リユース支援システムは、判定装置120による判定結果をユーザに提供することによって、蓄電装置1のリユースを支援する。上記ユーザは、リユース品の販売業者であってもよいし、リユース品を購入する一般のユーザであってもよい。
【0033】
実施の形態では、予測装置110及び判定装置120を別体とした。代替的に、予測装置110は判定装置120に内蔵されてもよい。すなわち、判定装置120は、蓄電装置1の現在の性能に関する情報や蓄電装置1の使用環境に関する情報に基づいて、蓄電装置1の将来的な性能を予測し、予測結果等の情報に基づき、蓄電装置1が搭載予定の搭載先に適合するか否かを判定してもよい。
【0034】
図2は車両での適用例を説明する説明図である。以下では、車両C0での使用を終えた蓄電装置1をリユースし、別の車両C1に搭載する場合のリユース支援について説明する。
【0035】
車両C0,C1は、エンジン車両、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)などの車両である。車両C0,C1は同一車種であってもよく、別車種であってもよい。車両C0,C1には、車両始動用(スタータモータの作動用)及び補機類用の12V系バッテリが搭載される。車両C0,C1には、メイン電源失陥時のバックアップ用として12V系バッテリが搭載されることもある。車両C0,C1がEVやHEVなどである場合、車両C0,C1には、走行用のモータを駆動するための高電圧系バッテリが搭載される。12V系バッテリや高電圧系バッテリにはリチウムイオン電池などのリユース可能な2次電池が用いられる。実施の形態において、蓄電装置1は、車両C0,C1に搭載される12V系バッテリ若しくは高電圧系バッテリである。
【0036】
リユース前の蓄電装置1の状態は、蓄電装置1が搭載されていた元の車両C0のBMS(Battery Management System)2によって管理される。BMS2は、蓄電装置1より得られる各種の計測データに基づき、蓄電装置1の満充電容量や出力性能を推定し、それらの値を現在値として内蔵のメモリに記憶させる。換言すれば、現在値はメモリに記憶されている最新の値を表す。満充電容量は、OCVと電流積算値との組み合わせで推定する方法、定電流で設定電圧まで放電させたときの電流や電圧などの計測値を用いて推定する方法など、既存の方法を用いて推定される。出力性能には蓄電装置1の内部抵抗値が用いられる。
【0037】
BMS2は、周期的なタイミングで満充電容量や出力性能の値を推定し、それらの値を履歴として内蔵のメモリに記憶させてもよい。BMS2は、満充電容量及び出力性能の現在値(若しくは履歴)に加え、蓄電装置1のSOH(State Of Health)、電流、電圧、温度、充放電サイクルなどの値を履歴として内蔵のメモリに記憶させてもよい。
【0038】
図2の例では、蓄電装置1とBMS2とを別体とした。代替的に、BMS2は、蓄電装置1に搭載されるユニット(BMU : Battery Management Unit)であってもよい。この場合、蓄電装置1の満充電容量及び出力性能は内蔵のBMUによって推定され、BMUのメモリに記憶される。BMUを内蔵する蓄電装置1は、車内回線を介して、車両C0,C1内のECU(Electronic Control Unit)に接続される。
【0039】
予測装置110は、蓄電装置1の将来的な性能を予測するコンピュータである。予測装置110は、車両C0での使用を終えて蓄電装置1をリユースする際に、蓄電装置1の情報を取得する。例えば、予測装置110は、蓄電装置1が車両C0に搭載されている間に車両C0の車載通信装置(不図示)と通信することによって、BMS2に記憶されている蓄電装置1の情報を取得する。予測装置110が取得する蓄電装置1の情報は、車両C0に搭載されていたときの蓄電装置1の満充電容量及び出力性能の現在値を含む。蓄電装置1の情報は、満充電容量や出力性能の履歴を含んでもよく、SOH、電流、電圧、温度、充放電サイクルなどの履歴を含んでもよい。
【0040】
予測装置110は、取得した蓄電装置1の情報に基づき、蓄電装置1の劣化推移を計算するシミュレーションを実行し、リユース開始後を含む蓄電装置1の将来的な性能の予測値を求める。
【0041】
蓄電装置1の使用環境は、リユースにより変化することが想定される。例えば、リユースの開始前後で蓄電装置1の使用地域が変われば、環境温度が変化する場合がある。このため、予測装置110は、気象データベース130にアクセスして、リユース品の使用が想定される地域(車両C1の走行地域)に関して、使用環境情報を取得し、取得した使用環境情報を参照して予測値を求めてもよい。
【0042】
更に、蓄電装置1の搭載先が車両C0から車両C1に変われば、蓄電装置1の使用パターンや温度上昇レベルが変化する場合がある。このため、予測装置110は、車両データベース140にアクセスして、リユース品が搭載される予定の車両C1における標準的な充放電パターンや車両C1での搭載位置における蓄電装置1の温度上昇レベルを含む搭載先情報を取得し、取得した搭載先情報を参照して予測値を求めてもよい。
【0043】
判定装置120は、リユース品の蓄電装置1が搭載先(車両C1)に適合するか否かを判定するコンピュータである。判定装置120は、リユース品として搭載先に搭載される予定の蓄電装置1に関する情報を取得する。当該情報は、予測装置110による予測値、蓄電装置1の寸法、製造元、及び通信仕様に関する情報の少なくとも1つを含む。判定装置120は、更に、搭載先に関する情報を取得する。当該情報は、搭載先に搭載されるべき蓄電装置に求める性能の基準値、搭載先で搭載可能な蓄電装置の寸法、搭載先に標準搭載される蓄電装置の製造元、搭載先における通信仕様の情報の少なくとも1つを含む。
【0044】
判定装置120は、取得した情報に基づき、蓄電装置1が搭載先の車両C1に適合するか否かを判定し、判定結果を出力する。例えば、判定装置120は、予測装置110から取得した予測値と、搭載先の車両C1での基準値とを比較することによって、蓄電装置1が搭載先の車両C1に適合するか否かを判断する。更に、判定装置120は、蓄電装置1の寸法、製造元、通信仕様の情報に基づき、搭載先の車両C1に適合するか否かを判定してもよい。
【0045】
図3は蓄電装置1の内部構成を示すブロック図である。蓄電装置1は、蓄電素子11、制御装置12、電流センサ13、電圧センサ14、温度センサ15、リレー16などを備える。蓄電素子11は、例えば、直列に接続された複数の蓄電セルから構成される。
【0046】
電流センサ13は、蓄電素子11と負極端子10Aとの間に設けられており、蓄電素子11に流れ込む電流を計測する。電流センサ13は、計測結果を制御装置12へ出力する。電圧センサ14は、蓄電素子11に並列に接続されており、蓄電素子11の両端電圧を計測する。電圧センサ14は、計測結果を制御装置12へ出力する。温度センサ15は、蓄電装置1の内部又は外部に設けられており、蓄電素子11の温度又は蓄電装置1の設置環境の温度を計測する。温度センサ15は、計測結果を制御装置12へ出力する。
【0047】
リレー16は、蓄電素子11と正極端子10Bとの間に設けられており、制御装置12からの制御指令に応じて、蓄電素子11の充放電経路を遮断又は接続するための回路要素である。代替的に、FET(Field-Effect Transistor)などの半導体スイッチを用いて充放電経路を遮断又は接続する構成としてもよい。
【0048】
制御装置12は、制御部12A、記憶部12B、接続部12C、通信部12Dを備える。制御部12Aは、CPU(Central Processing Unit)などを備え、装置全体の制御を実行する。記憶部12Bはメモリを備え、各種センサによって計測された計測データなどを記憶する。接続部12Cには、各種センサやリレー16などが接続される。通信部12Dは、予め定められた通信仕様を有する車内回線を介して、BMS2と通信可能に接続される。車内回線には、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)などが用いられる。蓄電装置1の制御装置12は、各種センサによって計測された計測データを車内回線を介してBMS2へ出力する。
【0049】
図4は予測装置110の内部構成を示すブロック図である。予測装置110は、専用又は汎用のコンピュータであり、制御部111、記憶部112、通信部113、操作部114、表示部115などを備える。
【0050】
制御部111は、例えば、CPU、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えた演算回路である。制御部111が備えるCPUは、ROM又は記憶部112に格納されている各種コンピュータプログラムを読み込んで実行することにより、ハードウェア各部を制御し、蓄電装置1の将来的な性能を予測する機能を実現する。
【0051】
代替的に、制御部111は、複数のCPU、マルチコアCPU、GPU(Graphics Processing Unit)、マイコン、揮発性又は不揮発性のメモリ等を備えた任意の演算回路であってもよい。制御部111は、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ、日時情報を出力するクロック等の機能を備えてもよい。
【0052】
記憶部112は、フラッシュメモリ、ハードディスクなどの記憶装置を備える。記憶部112には、各種のコンピュータプログラム及びデータが記憶される。記憶部112に記憶されるコンピュータプログラムは、蓄電装置1の使用履歴などの情報に基づき、蓄電装置1の将来的な性能を予測する処理をコンピュータに実行させるための予測プログラムPG1を含む。記憶部112に記憶されるデータは、予測プログラムPG1において用いられる各種パラメータや制御部111により生成されるデータなどを含む。
【0053】
予測プログラムPG1を含むコンピュータプログラムは、当該コンピュータプログラムを読み取り可能に記録した非一時的な記録媒体RM1により提供される。記録媒体RM1は、CD-ROM、USBメモリ、SD(Secure Digital)カードなどの可搬型メモリである。制御部111は、図に示していない読取装置を用いて記録媒体RM1から所望のコンピュータプログラムを読み取り、読み取ったコンピュータプログラムを記憶部112に記憶させる。代替的に、予測プログラムPG1を含むコンピュータプログラムは通信により提供されてもよい。
【0054】
通信部113は、各種の情報を送受信する通信インタフェースを備える。通信部113は、車両C0,C1に搭載される車載通信装置(不図示)と通信可能に接続され、電池情報や搭載先情報を含む必要な情報を受信する。更に、通信部113は、判定装置120と通信可能に接続され、制御部111による予測結果などの情報を判定装置120へ送信する。
【0055】
操作部114は、各種のスイッチやボタンなどの入力装置を備えており、ユーザによる操作を受付ける。表示部115は、液晶ディスプレイ装置などの表示装置を備えており、ユーザに対して報知すべき情報を表示する。代替的に、予測装置110は、外部コンピュータを通じて必要な操作を受付け、ユーザに通知すべき情報を外部コンピュータへ送信する構成であってもよい。この場合、操作部114及び表示部115は予測装置110に搭載されていなくてもよい。
【0056】
図5は判定装置120の内部構成を示すブロック図である。判定装置120は、専用又は汎用のコンピュータであり、制御部121、記憶部122、通信部123、操作部124、表示部125などを備える。
【0057】
制御部121は、例えば、CPU、ROM、RAMなどを備えた演算回路である。制御部121が備えるCPUは、ROM又は記憶部122に格納されている各種コンピュータプログラムを読み込んで実行することにより、ハードウェア各部を制御し、蓄電装置1の搭載先での適合性を判定する機能を実現する。
【0058】
代替的に、制御部121は、複数のCPU、マルチコアCPU、GPU、マイコン、揮発性又は不揮発性のメモリ等を備えた任意の演算回路であってもよい。制御部121は、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ、日時情報を出力するクロック等の機能を備えてもよい。
【0059】
記憶部122は、フラッシュメモリ、ハードディスクなどの記憶装置を備える。記憶部122には、各種のコンピュータプログラム及びデータが記憶される。記憶部122に記憶されるコンピュータプログラムは、予測装置110による予測結果等の情報に基づき、搭載先での蓄電装置1の適合性を判定する処理をコンピュータに実行させるための判定プログラムPG2を含む。記憶部122に記憶されるデータは、判定プログラムPG2において用いられる各種パラメータや制御部121により生成されるデータなどを含む。
【0060】
判定プログラムPG2を含むコンピュータプログラムは、当該コンピュータプログラムを読み取り可能に記録した非一時的な記録媒体RM2により提供される。記録媒体RM2は、CD-ROM、USBメモリ、SDカードなどの可搬型メモリである。制御部121は、図に示していない読取装置を用いて記録媒体RM2から所望のコンピュータプログラムを読み取り、読み取ったコンピュータプログラムを記憶部122に記憶させる。代替的に、判定プログラムPG2を含むコンピュータプログラムは通信により提供されてもよい。
【0061】
通信部123は、各種の情報を送受信する通信インタフェースを備える。通信部123は、例えば、予測装置110と通信可能に接続され、予測装置110による予測結果などの情報を受信する。通信部123は、車両C0,C1に搭載される車載通信装置(不図示)と通信可能に接続され、判定に必要な情報を車両C0,C1から受信してもよい。
【0062】
操作部124は、各種のスイッチやボタンなどの入力装置を備えており、ユーザによる操作を受付ける。表示部125は、液晶ディスプレイ装置などの表示装置を備えており、ユーザに対して報知すべき情報を表示する。代替的に、判定装置120は、外部コンピュータを通じて必要な操作を受付け、ユーザに通知すべき情報を外部コンピュータへ送信する構成であってもよい。この場合、操作部124及び表示部125は判定装置120に搭載されていなくてもよい。
【0063】
以下、予測装置110が実行する予測処理について説明する。
図6は予測装置110が実行する予測処理の手順を示すフローチャートである。予測装置110の制御部111は、記憶部112に記憶されている予測プログラムPG1を読み出して実行することにより、以下の手順を実行する。
【0064】
制御部111は、リユース前の蓄電装置1に関して現在の性能に関する情報を取得する(ステップS101)。リユース前の蓄電装置1の状態は車両C0に搭載されているBMS2によって管理される。BMS2は、蓄電装置1より得られる各種の計測データに基づき、蓄電装置1の満充電容量や出力性能などの値を推定し、蓄電装置1の現在の性能に関する情報として内蔵のメモリに記憶させる。制御部111は、車両C0と通信することにより、蓄電装置1の現在の性能に関する情報(例えば満充電容量及び出力性能の現在値)をBMS2から取得する。BMS2のメモリに、現在値だけでなく、過去の値が逐次記憶されている場合、制御部111は、満充電容量及び出力性能の履歴をBMS2から取得してもよい。
【0065】
制御部111は、リユース後に蓄電装置1が搭載される搭載先での使用環境に関する情報を取得する(ステップS102)。使用環境に関する情報は、例えば、搭載先の車両C1が走行する地域の気温に関する情報であり、ヒストグラムによって表される。温度ヒストグラムは、一日の平均気温を月単位で集計して得られる度数分布を表す。代替的に、搭載先の車両C1が走行する地域の気温に関する情報は、平均気温の年間の推移を示す情報であってもよい。制御部111は、通信部113を通じて、気象データベース130にアクセスすることにより、使用環境に関する情報を取得する。
【0066】
制御部111は、リユース後に蓄電装置1が搭載される搭載先に関する情報を取得する(ステップS103)。実施の形態において、搭載先は車両C1である。搭載先に関する情報は、例えば、車両C1における蓄電装置1の標準的な充放電パターン、及び蓄電装置1が搭載される位置での温度上昇レベルの情報を含む。制御部111は、通信部113を通じて、車両データベース140にアクセスすることにより、搭載先に関する情報を取得する。
【0067】
制御部111は、ステップS101~S103で取得した情報に基づき、蓄電装置1の将来的な性能を予測する(ステップS104)。制御部111は、ステップS101で得られる蓄電装置1の現在の性能を初期値とし、搭載先の気温、搭載先での標準的な充放電パターン、及び搭載位置での温度上昇レベルの情報が条件として与えられた場合、蓄電装置1の性能が経年的にどのように劣化するのかを推定する。
【0068】
蓄電装置1の将来的な性能の予測には公知の手法が用いられる。等価回路モデルを用いて二次電池の劣化を推定する手法として、例えば特開2019-148537号公報に開示されている手法が知られている。機械学習による学習モデルを用いて二次電池の劣化を推定する手法として、例えば特開2019-168453号公報に開示されている手法が知られている。二次電池内部の物理現象をモデル化した物理モデルを用いて二次電池の劣化を推定する手法として、例えば特開2021-148585号公報に開示されている手法が知られている。制御部111は、上記のような公知の手法を用いて、蓄電装置1の将来的な性能を予測する。
【0069】
一例では、予測結果は、リユース開始後のX年後(X=1,2,3,…)の蓄電装置1の満充電容量及び出力性能の値(数値データ)によって表される。代替的に、予測結果は、リユース開始後の蓄電装置1の劣化推移を示す関数又はグラフであってもよい。
【0070】
制御部111は、ステップS104の予測結果を判定装置120へ出力する(ステップS105)。制御部111は、通信部113を通じて、蓄電装置1の将来的な性能の予測結果を判定装置120へ送信する。
【0071】
図7は判定装置120が実行する判定処理の手順を示すフローチャートである。判定装置120の制御部121は、記憶部122に記憶されている判定プログラムPG2を読み出して実行することにより、以下の手順を実行する。
【0072】
制御部121は、予測装置110から予測結果を取得する(ステップS121)。予測結果は、蓄電装置1を車両C1に搭載した場合における蓄電装置1の将来的な性能の情報を含む。将来的な性能の情報は、蓄電装置1の満充電容量及び出力性能の値を含む。制御部121は、通信部123を通じて、予測装置110と通信することにより、蓄電装置1の将来的な性能に関する予測結果を取得できる。
【0073】
制御部121は、搭載先の車両C1が必要とする蓄電装置1の性能の情報を取得する(ステップS122)。搭載先の車両C1が必要とする蓄電装置1の性能は、例えば、駐車中に所定期間の電力供給を維持できるだけの容量値、一定以上の航続距離を実現可能な容量値、又は車両始動時や高負荷が必要となる状況で電圧を一定以上に保つための出力性能値を表す。制御部121は、通信部113を通じて、車両データベース140にアクセスすることにより、搭載先の車両C1が必要とする蓄電装置1の性能の情報を取得する。
【0074】
制御部121は、ステップS121で取得した予測結果と、ステップS122で取得した搭載先の車両C1が必要とする蓄電装置1の性能の情報とを比較することにより、車両C1での蓄電装置1の適合性を判定する(ステップS123)。
【0075】
図8は予測結果と搭載先での必要値との比較例を示すグラフである。図8に示すグラフの横軸は蓄電装置1の使用開始からの経過年数を表し、縦軸は蓄電装置1の満充電容量の値を表す。図8の実線のグラフは、リユース前の蓄電装置1が車両C0に搭載されていたときの満充電容量の時系列推移(履歴)を示している。図8では、説明のために、車両C0に搭載されていたときの満充電容量の時系列推移(履歴)を示しているが、リユース後の予測には、最新の値(図8の例では、使用開始から2年後の値)のみを用いてもよい。破線のグラフは、使用開始から2年後に車両C0から蓄電装置1を取り外し、別の車両C1でリユース品として使用を開始した場合の満充電容量の時系列推移(予測)を示している。
【0076】
車両C1での必要容量が一点鎖線で示される値である場合、図8の例では、蓄電装置1の使用期間(例えば8年)において、蓄電装置1の満充電容量の予測値は、車両C1での必要容量を下回ることはない。このため、制御部121は、蓄電装置1が車両C1に適合すると判定する。ここでは、蓄電装置1の使用期間は、蓄電装置1の製造メーカが規定している標準的な使用期間であってもよく、ユーザが使用を予定している期間であってもよい。使用期間において蓄電装置1の満充電容量の予測値が車両C1での必要容量を下回る場合、制御部121は、その蓄電装置が車両C1に適合しないと判定する。
【0077】
ステップS123で適合性を判定した結果、適合するとの判定結果が得られた場合(S124:YES)、制御部121は、車両C1への搭載が可能である旨の情報を出力する(ステップS125)。一方、適合しないとの判定結果が得られた場合(S124:NO)、制御部121は、車両C1への搭載が適切でない旨の情報を出力する(ステップS126)。制御部121は、車両C1への搭載が可能である旨の情報(若しくは車両C1への搭載が適切でない旨の情報)を表示部125に表示させてもよく、通信部123を通じてユーザが携帯する携帯端末に通知してもよい。
【0078】
以上のように、実施の形態1では、蓄電装置1の将来的な性能を予測し、その予測結果と、搭載先が必要とする蓄電装置1の性能の情報とを比較することによって、蓄電装置1の搭載先での適合性を判断できる。
【0079】
(実施の形態2)
実施の形態2では、蓄電装置1の寸法、製造元、及び通信仕様に関する情報に関する情報を参照して、車両C1への搭載の適否を判定する構成について説明する。
リユース支援システムの全体構成、予測装置110及び判定装置120の内部構成等は実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0080】
図9は実施の形態2における判定装置120が実行する判定処理の手順を示すフローチャートである。判定装置120の制御部121は、記憶部122に記憶されている判定プログラムPG2を読み出して実行することにより、以下の手順を実行する。
【0081】
制御部121は、リユースに用いられる蓄電装置1の寸法、製造元、及び通信仕様の情報を取得する(ステップS201)。これらの情報は、車両C0に搭載される蓄電装置1の情報として車両データベース140に登録されている。制御部121は、通信部123を通じて、車両データベース140にアクセスすることにより、蓄電装置1の寸法、製造元、及び通信仕様の情報を取得する。代替的に、上記の情報は蓄電装置1の製造メーカによって提供されてもよい。この場合、制御部121は、蓄電装置1の製造メーカが用意するデータベース(不図示)にアクセスし、上記の情報を取得すればよい。更に、上記の情報は、蓄電装置1の筐体に二次元コードを添付する態様で提供されてもよい。この場合、制御部121は、図に示していない撮像装置で二次元コードを撮像し、得られた画像をデコードすることにより、上記の情報を取得すればよい。
【0082】
制御部121は、搭載先で搭載可能な二次電池の寸法、搭載先に標準搭載される二次電池の製造元、及び搭載先における通信仕様の情報を取得する(ステップS202)。これらの情報は、車両C1に関する情報として車両データベース140に登録されている。制御部121は、通信部123を通じて、車両データベース140にアクセスすることにより、搭載可能な寸法、標準搭載の二次電池の製造元、及び搭載先の通信仕様の情報を取得する。
【0083】
制御部121は、ステップS201及びステップS202で取得した製造元の情報に基づき、リユースに用いられる蓄電装置1の製造元と、搭載先に標準搭載される二次電池の製造元とが一致するか否かを判断する(ステップS203)。
【0084】
製造元が一致しないと判断した場合(S203:NO)、制御部121は、ステップS201及びステップS202で取得した通信仕様の情報に基づき、リユースに用いられる蓄電装置1の通信仕様と、搭載先(車両C1)での通信仕様とが一致する否かを判断する(ステップS204)。ステップS204では、制御部121は、蓄電装置1を搭載先の車両C1に搭載した場合、蓄電装置1は車両C1に搭載されているBMS2と通信可能であるか否かを判断する。このため、両者の通信仕様は、完全に一致している必要はなく、互換性を有していればよい。例えば、車両C1の通信仕様が蓄電装置1の通信仕様に対して上位互換性を有している場合、両者の通信仕様は一致していると判断してもよい。
【0085】
通信仕様が一致しないと判断した場合(S204:NO)、制御部121は、蓄電装置1の通信仕様がアップデートできるか否かを判断する(ステップS205)。制御部121は、例えば、蓄電装置1の製造メーカが提供する情報にアクセスし、通信仕様のアップデートが可能であるか否かを判断する。
【0086】
製造元が一致すると判断した場合(S203:YES)、通信仕様が一致すると判断した場合(S204:YES)、又は通信仕様のアップデートが可能であると判断した場合(S205:YES)、制御部121は、ステップS201及びステップS202で取得した寸法の情報に基づき、車両C1の搭載スペースに蓄電装置1を配置できるか否かを判断する(ステップS206)。
【0087】
車両C1の搭載スペースに蓄電装置1を配置できると判断した場合(S206:YES)、制御部121は、実施の形態1と同様の手順にて、車両C1での蓄電装置1の適合性を判定する。すなわち、制御部121は、予測装置110から予測結果を取得し(ステップS207)、搭載先の車両C1が必要とする蓄電装置1の性能の情報を取得し(ステップS208)、両者を比較することで車両C1での蓄電装置1の適合性を判定する(ステップS209)。
【0088】
適合するとの判定結果が得られた場合(S210:YES)、制御部121は、車両C1への搭載が可能である旨の情報を出力する(ステップS211)。
【0089】
ステップS205で通信仕様のアップデートが可能でないと判断した場合(S205:NO)、ステップS206で車両C1の搭載スペースに蓄電装置1を配置できないと判断した場合(S206:NO)、又はステップS210で蓄電装置1が車両C1に適合しないと判断した場合(S210:NO)、制御部121は、蓄電装置1の車両C1への搭載が適切でない旨の情報を出力する(ステップS212)。
【0090】
以上のように、実施の形態2では、蓄電装置1の寸法、製造元、及び通信仕様の情報を基に、搭載先の車両C1への適合性を判定できる。
【0091】
開示された実施形態は、全ての点において例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0092】
例えば、実施の形態では、蓄電装置1をリチウムイオン電池として説明した。代替的に、蓄電装置1は、全固体電池、鉛電池、レドックスフロー電池、亜鉛空気電池、アルカリマンガン電池、リチウム硫黄電池、ナトリウム硫黄電池、酸化銀亜鉛電池、ニッケル水素電池、溶融塩熱電池などの電池セルであってもよい。
【0093】
本実施の形態では、主として、車両に搭載される蓄電装置1のリユースについて説明した。代替的に、蓄電装置1は、その他の移動体に搭載される蓄電装置であってもよいし、産業向け、公共向け、エネルギマネジメントシステム(EMS)向け、再生可能エネルギー向けの蓄電システム(ESS)向けの蓄電装置であってもよい。
【0094】
本実施の形態では、蓄電装置1の搭載先メーカや製造元メーカが各種情報を提供する構成とした。代替的に、ユーザ自身が、搭載先情報や蓄電装置1の情報を指定してもよい。
【0095】
例えば、蓄電装置1の売却を希望するユーザは、活用できそうな搭載先を想定して搭載先情報をユーザ端末より入力してもよい。ユーザは、更に、搭載先での蓄電装置1の運用パターンや運用条件をユーザ端末より入力してもよい。運用パターンや運用条件は、AIが推奨する運用パターンや運用条件であってもよい。予測装置110及び判定装置120は、ユーザ端末より送信される情報に基づき、蓄電装置1の将来的な性能を予測し、ユーザが指定した搭載先での適合性を判定して、判定結果を返信する。搭載先での適合性の判定結果によって、中古市場での蓄電装置1の価値が定まる。ユーザは、判定装置120から返信される判定結果を基に蓄電装置1の相場の売値を把握できる。
【0096】
リユース品の蓄電装置1の購入を希望するユーザは、搭載先に搭載するための条件や搭載先での運用パターン等をユーザ端末より入力してもよい。予測装置110及び判定装置120は、ユーザ端末より送信される情報に基づき、蓄電装置1の将来的な性能を予測し、ユーザが指定した搭載先での適合性を判定して、判定結果を返信する。判定装置120は、リユース品の蓄積データを検索したり、AIを活用したりして、購入希望のユーザが求める条件に適合した蓄電装置の情報を提供してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 蓄電装置
2 BMS
110 予測装置
111 制御部
112 記憶部
113 通信部
114 操作部
115 表示部
PG1 予測プログラム
RM1 記録媒体
120 判定装置
121 制御部
122 記憶部
123 通信部
124 操作部
125 表示部
130 気象データベース
140 車両データベース
PG2 判定プログラム
RM2 記録媒体
C0,C1 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9