(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021038
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】キャニスタ
(51)【国際特許分類】
F02M 25/08 20060101AFI20250205BHJP
B01D 53/04 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
F02M25/08 311D
F02M25/08 311H
F02M25/08 301T
B01D53/04 111
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124732
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岩本 光司
【テーマコード(参考)】
3G144
4D012
【Fターム(参考)】
3G144BA20
3G144GA12
3G144GA13
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA08
4D012CB03
4D012CB07
4D012CB08
4D012CB10
4D012CG01
4D012CG04
(57)【要約】
【課題】層構造を有する吸着部材の通気抵抗を低減できるキャニスタを提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、車両の燃料タンクで発生した蒸発燃料を吸着及び脱離するキャニスタである。キャニスタは、蒸発燃料を取り込むチャージポートと、蒸発燃料を排出するパージポートと、大気に開放された大気ポートと、チャージポート及びパージポートと直接又は他の部屋を介して接続された第1吸着室及び第2吸着室と、第1吸着室に収納された第1吸着部材と、第2吸着室に収納された第2吸着部材と、を備える。第1吸着部材は、蒸発燃料の吸着性を有する複数の吸着層と、通気性を有すると共に、複数の吸着層に挟まれた調整層と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の燃料タンクで発生した蒸発燃料を吸着及び脱離するキャニスタであって、
前記蒸発燃料を取り込むチャージポートと、
前記蒸発燃料を排出するパージポートと、
大気に開放された大気ポートと、
前記チャージポート及び前記パージポートと直接又は他の部屋を介して接続された第1吸着室及び第2吸着室と、
前記第1吸着室に収納された第1吸着部材と、
前記第2吸着室に収納された第2吸着部材と、
を備え、
前記第1吸着部材は、
前記蒸発燃料の吸着性を有する複数の吸着層と、
通気性を有すると共に、前記複数の吸着層に挟まれた調整層と、
を有する、キャニスタ。
【請求項2】
請求項1に記載のキャニスタであって、
前記調整層の通気抵抗は、前記複数の吸着層の通気抵抗よりも小さい、キャニスタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のキャニスタであって、
前記第1吸着部材は、前記複数の吸着層の間に前記調整層が配置されていない領域を有する、キャニスタ。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のキャニスタであって、
前記複数の吸着層及び前記調整層は、吸着シート及び前記吸着シートに重ね合わされた調整シートの巻回体の一部である、キャニスタ。
【請求項5】
請求項4に記載のキャニスタであって、
前記第1吸着部材は、芯材をさらに有し、
前記吸着シート及び前記調整シートは、前記芯材に巻回される、キャニスタ。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載のキャニスタであって、
前記第1吸着室は、前記大気ポートに直接接続される、キャニスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、キャニスタに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の燃料タンクには、蒸発した燃料の大気放出を防ぐキャニスタが装着される。キャニスタは、蒸発燃料を吸着部材に吸着させると共に、吸引した空気により吸着材から燃料を脱離してパージを行い、エンジンに供給する。
【0003】
このようなキャニスタの吸着部材として、吸着シートを積層したものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように吸着シートを積層した吸着部材では、積層された吸着シート間の密度が高くなり、通気抵抗が高くなるおそれがある。
【0006】
本開示の一局面は、層構造を有する吸着部材の通気抵抗を低減できるキャニスタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、車両の燃料タンクで発生した蒸発燃料を吸着及び脱離するキャニスタである。キャニスタは、蒸発燃料を取り込むチャージポートと、蒸発燃料を排出するパージポートと、大気に開放された大気ポートと、チャージポート及びパージポートと直接又は他の部屋を介して接続された第1吸着室及び第2吸着室と、第1吸着室に収納された第1吸着部材と、第2吸着室に収納された第2吸着部材と、を備える。第1吸着部材は、蒸発燃料の吸着性を有する複数の吸着層と、通気性を有すると共に、複数の吸着層に挟まれた調整層と、を有する。
【0008】
このような構成によれば、吸着層の間に調整層が配置されることで、吸着層間の通気抵抗を低減できる。そのため、比較的簡便な構成で、層構造を有する第1吸着部材の通気抵抗を低減できる。
【0009】
本開示の一態様では、調整層の通気抵抗は、複数の吸着層の通気抵抗よりも小さくてもよい。このような構成によれば、吸着層間の通気抵抗の低減効果が促進される。
【0010】
本開示の一態様では、第1吸着部材は、複数の吸着層の間に調整層が配置されていない領域を有してもよい。このような構成によれば、第1吸着部材の通気抵抗の調整が容易となる。
【0011】
本開示の一態様では、複数の吸着層及び調整層は、吸着シート及び吸着シートに重ね合わされた調整シートの巻回体の一部であってもよい。このような構成によれば、複数の吸着層及び調整層を有する第1吸着部材の形成が容易となる。
【0012】
本開示の一態様では、第1吸着部材は、芯材をさらに有してもよい。吸着シート及び調整シートは、芯材に巻回されてもよい。このような構成によれば、芯材によって隣接する層間の密着性を高めることができる。これにより、第1吸着部材の隙間が低減されるため、第1吸着部材の通気抵抗を低減しつつ、蒸発燃料の通過を抑制できる。
【0013】
本開示の一態様では、第1吸着室は、大気ポートに直接接続されてもよい。このような構成によれば、大気ポートからの蒸発燃料の漏出量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態におけるキャニスタの模式図である。
【
図2】
図2Aは、
図1のキャニスタにおける第1吸着部材の模式的な斜視図であり、
図2Bは、
図2Aの第1吸着部材の模式的な平面図である。
【
図3】
図3Aは、
図2Aとは異なる実施形態における第1吸着部材の模式的な平面図であり、
図3Bは、
図3Aの第1吸着部材の模式的な斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2Aの第1吸着部材における吸着シート及び調整シートの模式的な展開図である。
【
図5】
図5Aは、
図4とは異なる実施形態における吸着シート及び調整シートの模式的な展開図であり、
図5Bは、
図5Aの吸着シート及び調整シートを有する第1吸着部材の模式的な斜視図である。
【
図6】
図6Aは、
図4とは異なる実施形態における吸着シート及び調整シートの模式的な展開図であり、
図6Bは、
図6Aの吸着シート及び調整シートを有する第1吸着部材の模式的な斜視図である。
【
図7】
図7は、
図2Aとは異なる実施形態における第1吸着部材の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示すキャニスタ1は、車両の燃料タンクで発生した蒸発燃料を吸着及び脱離する蒸発燃料処理装置である。
【0016】
キャニスタ1は、チャージポート2Aと、パージポート2Bと、大気ポート2Cと、第1吸着室3と、第2吸着室4と、第3吸着室5と、第1吸着部材7と、第2吸着部材8と、第3吸着部材9とを備える。
【0017】
<チャージポート>
チャージポート2Aは、配管によって車両の燃料タンクに接続される。チャージポート2Aは、燃料タンクで発生した蒸発燃料をキャニスタ1内に取り込むように構成されている。
【0018】
<パージポート>
パージポート2Bは、パージ弁を介して車両のエンジンの吸気管に接続される。パージポート2Bは、キャニスタ1内の蒸発燃料をキャニスタ1から排出し、エンジンに供給するように構成されている。
【0019】
<大気ポート>
大気ポート2Cは、大気に開放されている。大気ポート2Cは、蒸発燃料を取り除いた気体を大気中に放出する。また、大気ポート2Cは、外部空気(つまりパージ空気)を取り込むことで、キャニスタ1が吸着した蒸発燃料を脱離(つまりパージ)させる。
【0020】
<第1吸着室>
第1吸着室3は、第1吸着部材7を収納している。第1吸着室3には、大気ポート2Cが他の吸着室を介さずに直接接続されている。第1吸着室3は、大気ポート2Cと第3吸着室5とに連通している。第1吸着室3は、蒸発燃料が吸着された気体を大気ポート2Cから排出する。
【0021】
<第2吸着室>
第2吸着室4は、第2吸着部材8を収納している。第2吸着室4には、チャージポート2A及びパージポート2Bが他の吸着室を介さずに直接接続されている。第2吸着室4は、チャージポート2Aとパージポート2Bと第3吸着室5とに連通している。第2吸着室4は、チャージポート2Aから取り込んだ蒸発燃料を吸着する。また、第2吸着室4は、吸着した蒸発燃料をパージポート2Bから排出する。
【0022】
<第3吸着室>
第3吸着室5は、第3吸着部材9を収納している。第3吸着室5は、蒸発燃料の流路における第1吸着室3と第2吸着室4との間に配置されている。
【0023】
チャージポート2Aから取り込まれた蒸発燃料は、第2吸着室4において第2吸着部材8に吸着される。第2吸着室4で吸着しきれなかった蒸発燃料は、第3吸着室5に移動し、第3吸着室5において第3吸着部材9に吸着される。
【0024】
さらに、第3吸着室5で吸着しきれなかった蒸発燃料は、第1吸着室3に移動し、第1吸着室3において第1吸着部材7に吸着される。蒸発燃料が吸着された気体は、大気ポート2Cから放出される。
【0025】
また、大気ポート2Cから吸気することで、第1吸着室3、第2吸着室4、及び第3吸着室5それぞれにおいて吸着部材に吸着されていた蒸発燃料は、パージポート2Bからエンジンに排出される。その結果、蒸発燃料を含んだ空気がエンジンに供給される。
【0026】
<第1吸着部材>
第1吸着部材7は、第1吸着室3に収納されている。
図2Aに示すように、第1吸着部材7は、芯材71と、吸着シート72と、調整シート73とを有する。
【0027】
<芯材>
芯材71は、非通気性の棒状の部材である。芯材71は、実質的に通気性を有しない材質で構成されると共に、気体を実質的に通過させない(つまり、連通孔又は連通空間を有しない)構造を有する。
【0028】
第1吸着部材7は、芯材71の軸方向が、第1吸着室3における蒸発燃料の流れ方向Gと平行となるように配置される。すなわち、第1吸着室3において、蒸発燃料は芯材71の軸方向に沿って流れる。
【0029】
図2Bに示すように、芯材71の外周面の、芯材71の軸方向と垂直な断面の形状(以下、「第1形状」)S1は、第1吸着室3の内周面の、芯材71の軸方向と垂直な断面の形状(以下、「第2形状」)S2と相似形である。例えば、第1吸着室3の第2形状S2が円形の場合(つまり、第1吸着室3の内部空間が円柱である場合)、芯材71の第1形状S1も円形である(つまり、芯材71は円柱である)。
【0030】
また、例えば、
図3Aに示すように、第1吸着室3の第2形状S2が四角形の場合(つまり、第1吸着室3の内部空間が四角柱である場合)、芯材71の第1形状S1も四角形である(つまり、
図3Bに示すように芯材71は四角柱である)。
【0031】
<吸着シート>
図2Aに示すように、吸着シート72は、調整シート73と共に芯材71に巻回されている。吸着シート72は、蒸発燃料の吸着性を有する。つまり、吸着シート72は、空気等と共にキャニスタ1に供給された蒸発燃料やブタンを吸着する。また、吸着シート72は、外部空気の導入により蒸発燃料やブタンを脱離する。
【0032】
具体的には、吸着シート72は、蒸発燃料の吸着性を有する繊維で形成されている。吸着シート72としては、例えば、炭素繊維の織物、編み物、又は不織布が好適に使用できる。
【0033】
また、
図4に示すように、吸着シート72の表面又は内部には、粒体74が分散して配置されている。粒体74は、蒸発燃料の吸着性を有する。すなわち、第1吸着部材7は、吸着シート72の表面又は内部に分散して配置された蒸発燃料の吸着性を有する粒体74を有する。
【0034】
粒体74としては、例えば、活性炭、ゼオライト等が挙げられる。粒体74は、吸着シート72を構成する繊維の隙間に入り込む(つまり繊維に絡まる)ことで、吸着シート72に保持されている。吸着シート72は、粒体74が配置された状態で、芯材71に巻き付けられる。粒体74は、例えば、散布、塗布等によって吸着シート72に配置される。
【0035】
吸着シート72の吸着性能と、粒体74の吸着性能とは互いに異なる。また、吸着シート72には、複数の種類の(つまり、吸着能力及び/又は脱離能力が互いに異なる)粒体74が配置されてもよい。さらに、吸着シート72には、粒体74が配置された第1領域と、粒体74が配置されていない第2領域とが設けられてもよい。
【0036】
<調整シート>
図2Aに示すように、調整シート73は、吸着シート72と共に芯材71に巻回されている。調整シート73は、通気性を有する。
【0037】
調整シート73の通気抵抗及び密度は、それぞれ吸着シート72の通気抵抗及び密度よりも小さい。また、調整シート73は、蒸発燃料の吸着性を有してもよいし、有しなくてもよい。調整シート73の材質としては、例えば発泡ウレタンが挙げられる。
【0038】
図4に示すように、調整シート73は、吸着シート72の一方の表面に重ね合わされた状態で、芯材71に巻回される。
図2Bに示すように、吸着シート72及び調整シート73は、複数の円筒状の吸着層72Aと複数の円筒状の調整層73Aとを構成するように、芯材71に巻回されている。
【0039】
つまり、第1吸着部材7は、蒸発燃料の吸着性を有する複数の吸着層72Aと、通気性を有すると共に、芯材71の径方向において複数の吸着層72Aに挟まれた複数の調整層73Aとを有する。吸着層72A及び調整層73Aは、吸着シート72及び吸着シート72に重ね合わされた調整シート73の巻回体の一部である。調整層73Aの通気抵抗及び密度は、吸着層72Aの通気抵抗及び密度よりも小さい。
【0040】
調整層73Aの外周面は、吸着層72Aの内周面に接触し、調整層73Aの内周面は、吸着層72Aの外周面に接触している。つまり、調整層73Aは、厚み方向において2つの吸着層72Aに挟まれている。また、第1吸着部材7の最外層は、吸着層72Aである。つまり、吸着シート72及び調整シート73は、吸着シート72が外側にくるように巻回されている。
【0041】
図5Aに示すように、吸着シート72は、調整シート73が重ね合わされない非重複領域721を有してもよい。非重複領域721は、吸着シート72のうち、吸着シート72の巻回開始時に芯材71が重ねられる領域とは反対側の領域(つまり巻き終わりの端部に近い領域)に設けられる。
【0042】
図5Aの吸着シート72及び調整シート73の巻回によって、
図5Bに示すように、第1吸着部材7には、複数の吸着層72Aの間に調整層73Aが配置されていない非調整領域7Aが設けられる。これにより、第1吸着部材7の通気抵抗の調整が容易となる。
【0043】
図5Bの例では、非調整領域7Aは、第1吸着部材7の外周面近傍(つまり芯材71から離れた領域)に設けられている。非調整領域7Aでは、隣接する2つの吸着層72A同士が直接積層される。つまり、内側の吸着層72Aの外周面に、外側の吸着層72Aの内周面が接触する。
【0044】
また、
図6Aに示すように、非重複領域721は、吸着シート72のうち、吸着シート72の巻回開始時に芯材71が重ねられる領域(つまり巻き始めの端部に近い領域)に設けられてもよい。
【0045】
図6Aの吸着シート72及び調整シート73の巻回によって、
図6Bに示すように、巻回体の中心近傍(つまり芯材71に近い領域)に非調整領域7Aが設けられた第1吸着部材7が得られる。
【0046】
<第2吸着部材及び第3吸着部材>
第2吸着部材8及び第3吸着部材9は、それぞれ、空気等と共にキャニスタ1に供給された蒸発燃料やブタンを吸着する。また、第2吸着部材8及び第3吸着部材9は、外部空気の導入により蒸発燃料やブタンを脱離する。
【0047】
第2吸着部材8及び第3吸着部材9の素材としては、例えば活性炭、ゼオライト等が使用できる。活性炭としては、例えば、粒状の吸着材の集合体、ハニカム形状等に成形された成形活性炭、繊維状活性炭をシート状、直方体上、円柱状、又は角柱状に成形したもの等が用いられる。第2吸着部材8及び第3吸着部材9は、同じ種類の吸着材であってもよいし、異なる種類の吸着材であってもよい。さらに、第2吸着部材8及び第3吸着部材9は、第1吸着部材7と同様に、芯材と芯材に巻回された吸着シートとを有してもよい。
【0048】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)吸着層72Aの間に調整層73Aが配置されることで、吸着層72A間の通気抵抗を低減できる。そのため、比較的簡便な構成で、層構造を有する第1吸着部材7の通気抵抗を低減できる。
【0049】
(1b)調整層73Aの通気抵抗が吸着層72Aの通気抵抗よりも小さいことで、吸着層72A間の通気抵抗の低減効果が促進される。
【0050】
(1c)吸着層72A及び調整層73Aが吸着シート72及び調整シート73の巻回体の一部であることで、複数の吸着層72A及び調整層73Aを有する第1吸着部材7の形成が容易となる。
【0051】
(1d)芯材71に吸着シート72が巻回されることで、芯材71によって隣接する層間の密着性を高めることができる。これにより、第1吸着部材7の隙間が低減されるため、第1吸着部材7の通気抵抗を低減しつつ、蒸発燃料の通過を抑制できる。
【0052】
(1e)大気ポート2Cに接続された第1吸着室3に第1吸着部材7が収納されることで、大気ポート2Cからの蒸発燃料の漏出量を低減できる。
【0053】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0054】
(2a)上記実施形態のキャニスタにおいて、蒸発燃料は第1吸着室で必ずしも芯材の軸方向に沿って流れなくてもよい。例えば、
図7に示すように、第1吸着部材7は、芯材71の軸方向が第1吸着室での蒸発燃料の流れ方向Gと交差するように配置されてもよい。この場合、芯材71は、中空形状(つまり円筒状)であってもよい。
【0055】
(2b)上記実施形態のキャニスタにおいて、第1吸着部材は、必ずしも芯材を有しなくてもよい。また、吸着シート及び調整シートは、必ずしも巻回されなくてもよい。例えば、
図8Aに示すように、吸着シート72は、折り畳まれることで複数の吸着層72Aを構成してもよい。
図8Aの例では、折り畳まれた吸着シート72の間に複数の調整シート73が配置されている。さらに、
図8Bに示すように、複数の吸着シート72及び調整シート73の積層によって、複数の吸着層72A及び調整層73Aが構成されてもよい。
【0056】
(2c)上記実施形態のキャニスタにおいて、第1吸着部材は、必ずしも粒体を有しなくてもよい。また、吸着シート(つまり吸着層)の材質は、通気性及び吸着性を有するものであれば、繊維に限定されない。
【0057】
(2d)上記実施形態のキャニスタにおいて、第1吸着部材は、必ずしも大気ポートに接続された吸着室に収納されなくてもよい。例えば、第1吸着部材は、チャージポート及びパージポートに接続された吸着室に収納されてもよい。
【0058】
(2e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0059】
1…キャニスタ、2A…チャージポート、2B…パージポート、2C…大気ポート、
3…第1吸着室、4…第2吸着室、5…第3吸着室、7…第1吸着部材、
7A…非調整領域、8…第2吸着部材、9…第3吸着部材、71…芯材、
72…吸着シート、72A…吸着層、73…調整シート、73A…調整層、
74…粒体、721…非重複領域。