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  • 特開-充電システムおよび固定部材 図1
  • 特開-充電システムおよび固定部材 図2a
  • 特開-充電システムおよび固定部材 図2b
  • 特開-充電システムおよび固定部材 図2c
  • 特開-充電システムおよび固定部材 図3a
  • 特開-充電システムおよび固定部材 図3b
  • 特開-充電システムおよび固定部材 図4
  • 特開-充電システムおよび固定部材 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021040
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】充電システムおよび固定部材
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250205BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J7/00 301B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124735
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】306029774
【氏名又は名称】ビッグローブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 優太
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 康平
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA06
5G503DA13
5G503FA01
5G503FA03
(57)【要約】
【課題】車載用バッテリーを容易に充電する。
【解決手段】車両に搭載されたバッテリー100と、バッテリー100に微弱な電流を供給する充電器200と、充電器に200固定された固定部材210とを有し、固定部材210は、バッテリー100の上面視における長辺の長さと短辺の長さとの少なくとも一方に合わせてサイズを可変して充電器200をバッテリー100に設置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたバッテリーと、
前記バッテリーに微弱な電流を供給する充電器と、
前記充電器に固定された固定部材とを有し、
前記固定部材は、前記バッテリーの上面視における長辺の長さと短辺の長さとの少なくとも一方に合わせてサイズを可変して前記充電器を前記バッテリーに設置している充電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の充電システムにおいて、
前記固定部材は、前記バッテリーの端子を用いて位置を合わせる位置決め部を有する充電システム。
【請求項3】
請求項2に記載の充電システムにおいて、
前記位置決め部は、前記バッテリーの短辺の長さに応じて前記固定部材に交換可能に取り付けられる、または、前記バッテリーの短辺の長さに応じて伸縮可能である充電システム。
【請求項4】
請求項1に記載の充電システムにおいて、
前記固定部材は、前記バッテリーと前記充電器との間に所定の距離を空けて前記バッテリーに設置されている充電システム。
【請求項5】
請求項1に記載の充電システムにおいて、
前記充電器に電気的に接続している第1のケーブルに取り付けられた第1のコネクタと、
前記車両の電気系統に電力を供給する第2のケーブルに接続された第2のコネクタとを有し、
前記第1のコネクタが、前記バッテリーの電極端子の側面に合わせて巻いて接触し、前記第2のコネクタが、第1のコネクタの上から前記電極端子に取り付けられている充電システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の充電システムにおいて、
前記固定部材は、前記バッテリーを前記車両に固定する固定金具に固定されている充電システム。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の充電システムにおいて、
前記固定部材は、前記バッテリーの互いに対向する2つの側面から該バッテリーを挟み込むようにして前記バッテリーに固定されている充電システム。
【請求項8】
車両に搭載されたバッテリーに、当該バッテリーへ微弱な電流を供給する充電器を設置する固定部材であって、
前記バッテリーの上面視における長辺の長さと短辺の長さとの少なくとも一方に合わせてサイズを可変して前記バッテリーに前記充電器を設置する固定部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電システムおよび固定部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載され、車両の電気系統に電流を供給する車載用バッテリーは、当該車両を長時間使用しないと自然放電により電流を十分に供給できないいわゆるバッテリー上がりが生じてしまう。そこで、太陽光発電パネルが発電した電力を用いて車載用バッテリーをトリクル充電する装置が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3224203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような技術においては、車載用バッテリーをトリクル充電するために、太陽光発電パネルが発電した電力を供給するプラグを、車両に設けられたジャックに接続したり、車両を使用する時にはジャックから抜いたりする必要がある。そのため、車載用バッテリーを充電したり、車両を運転したりするために手間がかかってしまうという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、車載用バッテリーを容易に充電することができる充電システムおよび充電方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の充電システムは、
車両に搭載されたバッテリーと、
前記バッテリーに微弱な電流を供給する充電器と、
前記充電器に固定された固定部材とを有し、
前記固定部材は、前記バッテリーの上面視における長辺の長さと短辺の長さとの少なくとも一方に合わせてサイズを可変して前記充電器を前記バッテリーに設置している。
【0007】
また、本発明の固定部材は、
車両に搭載されたバッテリーに、当該バッテリーへ微弱な電流を供給する充電器を設置する固定部材であって、
前記バッテリーの上面視における長辺の長さと短辺の長さとの少なくとも一方に合わせてサイズを可変して前記バッテリーに前記充電器を設置する。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、車載用バッテリーを容易に充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の充電システムの第1の実施の形態を示す図である。
図2a図1に示したバッテリーへの充電器の固定態様の一例を示す図である。
図2b図1に示したバッテリーへの充電器の固定態様の一例を示す図である。
図2c図1に示したバッテリーへの充電器の固定態様の一例を示す図である。
図3a】バッテリーの端子に充電器からのケーブルを接続するためのコネクタの構造の一例を示す図である。
図3b図3aに示した接続部を端子に取り付ける様子の一例を示す図である。
図4】バッテリーの端子に充電器からの第1のケーブルを接続するためのコネクタの構造の他の例を示す図である。
図5図1に示したバッテリーへの充電器の固定態様の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0011】
図1は、本発明の充電システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態における充電システムは図1に示すように、車両1に搭載され、バッテリー100と充電器200と固定部材210とを有する。図2a~2cは、図1に示したバッテリー100への充電器200の固定態様の一例を示す図である。図2a~2cには、本形態における充電システム10を示す。なお、車両1として、乗用車だけでなく、バスやトラック等の自動車、ブルドーザーやフォークリフト等の特殊自動車、トラクター等の農耕作業用自動車、オートバイ、バイク、電動車いす、ゴーカート等が挙げられる。車両1の種類は、これらに限らない。
【0012】
バッテリー100は、車両1に具備された電気系統に電流(電力)を供給する一般的な車載用バッテリーである。バッテリー100は、車両1に固定されている。バッテリー100は、車両1のエンジンが稼働している間、エンジン回転を利用して作動する発電機が発電する電気を蓄えることで、充電が行われる。また、バッテリー100は、外部から充電可能である。バッテリー100のサイズは、種々である。例えば、バッテリー100の短側面(図2aのAの方向から見た面)のサイズは、JIS規格により7種類のバッテリー100の短辺の長さと高さとの組み合わせがあり、バッテリー100の長辺の長さ(図2aのAの方向と平行の辺の長さ)はバッテリーにより異なる。バッテリー100には、通常、バッテリー100の長辺の一方に寄った位置で、長辺と平行な直線上の2カ所に、電極端子(以下、「端子」と称する)110-1,110-2が配置されている。バッテリー100の端子110-1,110-2は、バッテリー100から突起した形状である。バッテリー100は、固定金具120により、車両1に固定されている。
【0013】
充電器200は、後述する固定部材を用いてバッテリー100に固定されている。充電器200は、バッテリー100に微弱な電流を供給することで、バッテリー100を充電する。バッテリー100を微弱な電流で充電する方法としては、例えば、トリクル充電等が挙げられる。なお、充電器200は、微弱な電流を継続的ではなく、断続的にバッテリー100に供給しても良い。充電器200は、電流(電力)を出力するものであれば良い。充電器200として、一次電池(例えば、マンガン乾電池やアルカリ乾電池等)、二次電池(例えば、リチウムイオン電池等)、燃料電池、電位差や温度差を用いた発電装置等が挙げられる。電池の種類は、これらに限らない。
【0014】
図2aに示すように、本形態における充電システム10において、充電器200が固定部材210を用いて、バッテリー100に固定されている。
【0015】
固定部材210は、複数存在するバッテリー100の様々なサイズに対応し、充電器200のバッテリー100に対する位置が最適になるようにバッテリー100に設置し、固定する部材である。固定部材210は、孔211をそれぞれ有する位置決め部212-1、212-2と、充電器200とバッテリー100との間に所定の空間を設ける足部213-1、213-2と、充電器200を固定部材210に固定する取付部214と、スライド可能な構成を持つ伸縮部215とを備える。また、バッテリー100を車両1に固定するための固定金具120が固定部材210に含まれていても良い。
【0016】
位置決め部212-1、212-2の形状は、横方向に歪まない(歪みを極力抑えられる程度でも構わない)長方形の薄い(車両1の電気系統のケーブル(第2のケーブル310)のコネクタ300の端子110-1,110-2への取り付けを妨害しない程度)板状である。位置決め部212-1、212-2それぞれには、先端付近に端子110-1,110-2の外径よりも大きな外径である孔211が設けられている。位置決め部212-1,212-2は、それぞれ足部213-1,213-2に交換可能に取り付けられる。位置決め部212-1,212-2と足部213-1,213-2との取り付け方法として、例えば、ネジやフック、クリップ等の金具、磁石、バンド、面ファスナー等を用いる方法が挙げられるが、これらに限らない。位置決め部212-1,212-2を、バッテリー100の短側面のサイズ(上面視における短辺の長さ)に合わせて、複数用意しても良い。また、1つの位置決め部212-1,212-2に、短側面のサイズ(上面視における短辺の長さ)に対応した足部213-1,213-2を取り付ける位置が記されており、その位置に合わせて足部213-1,213-2を位置決め部212-1,212-2に取り付けても良い。なお、固定部材210(の足部213-1,213-2)と位置決め部212-1,212-2とが固定されており、位置決め部212-1,212-2が、短側面のサイズ(上面視における短辺の長さ)に対応した長さに伸縮するように構成されていても良い。
【0017】
足部213-1は、位置決め部212-1と取付部214との間に設けられている。足部213-2は、位置決め部212-2と伸縮部215との間に設けられている。足部213-1,213-2により、バッテリー100の上面から充電器200(固定部材210含む)の間に所定の距離(図2bに示した高さh)の空間(例えば、バッテリー100の上面に設けられる突起物等に固定部材210が接触しない高さの空間、バッテリー100から発生する水素ガス等を逃がす経路を塞がない空間等)が設けられる。なお、足部213の数は、2つを例に挙げて説明するが、その数は限定しない。足部213の数が奇数である場合は、そのうち1つの足部213を固定金具120上に設置するのが好ましい。
【0018】
取付部214は、例えば、充電器200側または固定部材210の取付部214に設けられたネジやフック、クリップ等の金具、バンド、面ファスナー、接着剤、両面テープ等を用いて充電器200と互いに固定されている。充電器200と固定部材210との固定方法は、これらに限らない。
【0019】
伸縮部215は、例えば、レール等を用いて、スライド可能に取付部214に取り付けられている。伸縮部215は、バッテリー100の幅(紙面横方向)に応じて、図2aに示した矢印方向にスライドする。なお、伸縮の長さが決定された場合、取付部214に対して伸縮部215がスライドしないように、ネジやバネ先に付いたくさび状のものが凹部に嵌合することなどで固定可能としても良い。
【0020】
以下に、本形態における充電システム12の固定部材210が充電器200をバッテリー100に設置する方法の一例を下記に説明する。
【0021】
固定部材210の足部213-1,213-2に、バッテリー100の短辺の長さ(短側面のサイズ)に対応して用意された位置決め部212-1,212-2を取り付ける。例えば、JIS規格で、「D」(幅173mm、箱の高さ204mm)であれば、幅173mmに合わせた位置決め部212-1,212-2を取り付ける。その際に、利用者の選択を容易にするために、位置決め部212-1,212-2には、「D」と記載されている。また、位置決め部212-1,212-2が伸縮する場合は、位置決め部212-1,212-2上の「D」と記載されている位置まで位置決め部212-1,212-2を伸縮させる。
【0022】
次に、位置決め部212-1,212-2に設けられた孔211がバッテリー100の端子110-1,110-2の位置に合うように調整する。固定部材210の伸縮部215は、取付部214に伸縮可能に取り付けられており、取付部214と伸縮部215とは、それぞれ足部213-1,213-2を介して位置決め部212-1,212-2に接続されている。そのため、位置決め部212-1,212-2を端子110-1、110-2に合わせて動かすことにより、連動して取付部214から伸縮部215が伸びたり縮んだりする。
【0023】
そして、位置決め部212-1,212-2の孔にバッテリー100の端子110-1,110-2を通す。ここで、伸縮部215に設けられたネジを用いて、伸縮部215の長さを固定する。これにより、位置決め部212-1,212-2に連動して、長さが調整された伸縮部215の長さが定まり、バッテリー100の上面視における短辺と長辺との長さに適した位置に、固定部材210に取り付けた充電器200を設置できる。さらに、固定部材210の足部213-1,213-2の高さにより、バッテリー100と充電器200との間の空間が設けられる。
【0024】
ここで、位置決め部212-1,212-2に設けられる孔211は、端子110-1,110-2とは電気的に接続されても良いし、絶縁されていても良い。孔211が電気的に接続される場合、孔211は、金属等の通電可能な材質で構成されており、端子110-1,110-2と接触し、位置決め部212-1,212-2に設けられた孔211と接続されたケーブル(第1のケーブル)を経由して、充電器200の正極、負極と電気的に導通可能となる。これにより、充電器200からバッテリー100への充電(電源供給)が可能となる。一方、孔211が電気的に絶縁している場合は、例えば、固定部材210自体が絶縁部材で構成されていても良いし、孔211の内周面が絶縁部材で被覆されていても良い。その際、孔211に端子110-1,110-2を通したときに、端子110-1,110-2に対して固定部材210が大きく動くことがない内径を持つ孔が好ましい。なお、孔211が電気的に絶縁している場合、充電器200とバッテリー100との電気的接続は、孔211に端子110-1,110-2を通し、後述する固定部材210をバッテリー100に固定させた後、充電器200の正極、負極に電気的に接続された第1のケーブルを、コネクタを介して端子110-1,110-2に接続して実現する。この第1のケーブルは、バッテリー100から車両1の電気系統へ電流を供給するための第2のケーブル310とは異なるケーブルである。車両1の電気系統への電流の供給は、バッテリー100の端子110-1,110-2に取り付けられたコネクタ300を介して、バッテリー100から第2のケーブル310経由で行われる。なお、第1のケーブルと第2のケーブル310毎にコネクタ(第1のコネクタ、第2のコネクタ)を用いても、複数のケーブルを1つのコネクタに接続しても良い。コネクタの詳細は後述する。
【0025】
充電器200と端子110-1,110-2とを接続する第1のケーブルについては、位置決め部212-1,212-2等の固定部材210内に内蔵させて配置しても良いし、位置決め部212-1,212-2等の固定部材210の外面に沿って配置しても良い。
【0026】
位置決めされた固定部材210をバッテリー100に固定する方法として、例えば、固定部材210と、バッテリー100を車両1に固定する固定金具120とを固定する方法を用いる。固定部材210と固定金具120とを固定する具体的な一例を以下に説明する。固定金具120にボルト状の棒が備わっている。固定金具121には、固定金具120の棒を通す穴が開いている。充電器200および固定部材210の鉛直方向上側から、当該穴に固定金具120の棒が通される。そして、固定金具121の上からナット(図に示した例では、羽根つきナット)が、棒のボルトに嵌合して締め付けられる。すると、ナットにより充電器200および固定部材210が固定金具120と固定金具121との間に挟み込まれて固定される。そのため、間接的に充電器200および固定部材210がバッテリー100に固定される(図2bに示した構成)。
【0027】
また、充電器200が固定部材210に後から固定できる構造の場合、ナットにより固定部材210が固定金具120と固定金具121との間に挟み込まれて固定した後に、充電器200を固定部材210に固定するようにしても良い(図2cに示した構成)。
【0028】
なお、固定金具120に備わるボルト状の棒は、固定金具120に固定された一体化したものでも、固定金具120から取り外し可能なものでも構わない。例えば、固定金具120は、バッテリー100を車両1に固定する一般的に流通するものを用いて、固定金具120に取り付け可能なボルトと固定金具121とを用いて、充電器200および固定部材210を固定金具120に固定しても良い。また、固定部材210と固定金具120との固定方法は、上記以外に、バンド、面ファスナー、フック、クリップ等を用いて互いに固定する方法などで良く、これらに限らない。
【0029】
固定部材210をバッテリー100に固定させた後、バッテリー100から車両1の電気系統へ電流(電力)を供給するための第2のケーブル310の端に取り付けられた第2のコネクタであるコネクタ300を端子110-1,110-2に取り付ける。
【0030】
車両1の電気系統側からの第2のケーブル310に設けられたコネクタ300を交換できない場合がある。そのような場合のために、充電器側のコネクタの構造を、電気系統側のコネクタ300を交換しなくてもバッテリー100の端子110-1,110-2に共に接続できるような構造とするのが好適である。図3aは、バッテリー100の端子110-1,110-2に充電器200からの第1のケーブルを接続するためのコネクタの構造の一例を示す図である。図3aに示す第1のコネクタである充電器側コネクタは、薄く曲げられる通電可能な金属等の素材で、長方形または台形、扇形のような形状であり、端子110-1,110-2の側面に合わせて巻いて接触させ、電気的に接続する接続部410を有している。接続部410の形状が台形や扇型である理由は、端子110-1,110-2が先に従って径が短くなる形状のものに対応するためである。また、充電器側コネクタは、充電器200側からのケーブル(第1のケーブル430)と接続部410とを電気的に接続し、第1のケーブル430を接続部410に固定する固定部420を有している。固定部420の構成は、例えば、第1のケーブル430の被覆を外した電線を2つの金具で挟み込んでねじ止めする構成である。
【0031】
図3bは、図3aに示した接続部410を端子110-1に取り付ける様子の一例を示す図である。図3bに示すように、接続部410をバッテリー100の端子110-1の側面に合わせて巻いて接触させる。端子110-1に巻いた接続部410の上から、車両1の電気系統側からの第2のケーブル310に設けられたコネクタ300で締め付けたり、挟み込んだり、ねじ止めしたりして接続部410を端子110-1に取り付ける。これにより、バッテリー100と車両1との電気系統、およびバッテリー100と充電器200とが電気的に接続される。固定部420は、車両1の電気系統側のコネクタ(図2に示したコネクタ300)が接続部410に取り付けられる部分を十分に大きく設けるために、接続部410が巻かれた際に、接続部410のできるだけ下部に小さく接続されていることが望ましい。なお、充電器側コネクタは、位置決め部212-1,212-2に設けられた孔211が、端子110-1,110-2に電気的に接続している場合は、固定部420の代わりが孔211であり、孔211に接続部410が設けられているようにしても良い。
【0032】
図4は、バッテリー100の端子110-1,110-2に充電器200からの第1のケーブルを接続するためのコネクタの構造の他の例を示す図である。車両1の電気系統側からの第2のケーブル310にあらかじめ設けられたコネクタ300を別のコネクタに交換できる場合、あらかじめ設けられたコネクタ300を電気系統側の第2のケーブル310から取り外し、充電器200側の第1のケーブル430と車両1の電気系統側の第2のケーブル310との複数のケーブルそれぞれの被覆を外した電線を1つのコネクタ(あらかじめ設けられたコネクタとは別のコネクタ)に設けられたそれぞれの電線に対応する金具で留められるコネクタを用いても構わない。図4に示すように、第2のケーブル310と第1のケーブル430とを、1つのコネクタに設けられた接続部510を介してバッテリー100の端子110-1,110-2に取り付けて電気的に接続することも可能である。
(第2の実施の形態)
【0033】
図5は、図1に示したバッテリー100への充電器200の固定態様の他の例を示す図である。図5に示すように、本形態における充電システム12において、充電器200が固定部材220を用いて、バッテリー100に固定されている。なお、バッテリー100および充電器200それぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。第1の実施の形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施の形態と同様の点は、説明を省略する場合がある。
【0034】
固定部材220は、複数存在するバッテリー100の様々なサイズに対応し、充電器200のバッテリー100に対する位置が最適になるようにバッテリー100に設置し、固定する部材である。
固定部材210は、孔211をそれぞれ有する位置決め部212-1、212-2と、充電器200とバッテリー100との間に所定の空間を設ける足部213-1、213-2と、充電器200を固定部材210に固定する取付部224と、スライド可能な構成を持つ伸縮部225とを備える。つまり、固定部材220は、第1の実施の形態における固定部材210が具備する取付部214に代えて取付部224を具備し、伸縮部215に代えて伸縮部225を具備する。
【0035】
位置決め部212-1、212-2は、第1の実施の形態と同様のため説明を省略する。
【0036】
足部213-1は、位置決め部212-1と取付部224との間に設けられている。足部213-2は、位置決め部212-2と伸縮部225との間に設けられている。足部213-1,213-2により、バッテリー100の上面から充電器200(固定部材220含む)の間に所定の距離(図5に示した高さh)の空間(例えば、バッテリー100の上面に設けられる突起物等に固定部材220が接触しない高さの空間、バッテリー100から発生する水素ガス等を逃がす経路を塞がない空間等)が設けられる。なお、足部213の数は、第1の実施の形態と同様に、その数は限定しない。
【0037】
取付部224は、例えば、充電器200側または固定部材220の取付部224に設けられたネジやフック、クリップ等の金具、バンド、面ファスナー、接着剤、両面テープ等を用いて、充電器200と固定されている。充電器200と固定部材220との固定方法は、これらに限らない。取付部224は、バッテリー100の側面に当接し、紙面横方向(図5に示したB方向と、対向する側面からのB方向と対向する方向との少なくとも一方向)に力を加える部材を有している。例えば、取付部224にボルトが貫通するネジ穴が貫通しており、そのネジ穴にネジ(図5に示した例は羽根つきボルト)を嵌合させて締めることにより、ネジがバッテリー100の側面に当接し、力を加える。バッテリー100の側面に傷が付かないようにネジの先端には緩衝材や滑り止めとなる部材(例えば、シリコン、ゴム、コルク、バネ等)を備えるのが好ましい。なお、ネジ穴とネジとの組み合わせではなく、取付部224のバッテリー100の側面側にシリコンやゴム、コルク、バネ等を設けてバッテリー100の側面に当接させ、力を加えるようにしても良い。
【0038】
伸縮部225は、例えば、レール等を用いて、スライド可能に取付部224に取り付けられている。伸縮部225は、バッテリー100の幅(紙面横方向)に応じて、図5に示した矢印方向にスライドする。なお、伸縮の長さが決定された場合、取付部224に対して伸縮部225がスライドしないように、ネジやバネ先に付いたくさび状のものが凹部に嵌合することなどで固定可能としても良い。また、伸縮部225は、バッテリー100の側面(取付部224が当接する反対側の側面)に当接し、紙面横方向(図5に示したC方向と、対向する側面からのC方向と対向する方向との少なくとも一方向)(取付部224が力を加える方向にとは逆方向)に力を加える部材を有している。当該力を加える部材は、取付部224と同様のものを用いる。なお、力を加える部材は、取付部224と伸縮部225との少なくとも一方に設けられれば良い。
【0039】
以下に、本形態における充電システム12の固定部材220が充電器200をバッテリー100に設置する方法の一例を下記に説明する。
【0040】
図5に示すように、本形態では、固定部材220が、バッテリー100の互いに対向する2つの側面からバッテリー100を挟み込むようにしてバッテリー100に固定されている。
【0041】
固定部材220の足部213-1,213-2に、バッテリー100の短辺の長さ(短側面のサイズ)に対応して用意された位置決め部212-1,212-2を取り付ける。また、位置決め部212-1,212-2が伸縮する部材である場合は、位置決め部212-1,212-2上のバッテリー100の短辺の長さ(短側面のサイズ)に対応して記載されている位置まで位置決め部212-1,212-2を伸縮させる。
【0042】
次に、位置決め部212-1,212-2に設けられた孔211がバッテリー100の端子110-1,110-2の位置に合うように調整する。固定部材220の伸縮部225は、バッテリーの幅(紙面横方向)に応じて、図5に示した矢印方向にスライド可能な構成を持つ。取付部224は、足部213-1を介して位置決め部212-1に接続されている。伸縮部225は、足部213-2を介して位置決め部212-2に接続されている。そのため、位置決め部212-1,212-2それぞれを端子110-1、110-2それぞれに合わせて動かすことにより、その動きと連動して取付部224から伸縮部225が伸びたり縮んだりする。そして、位置決め部212-1,212-2に設けられた孔211にバッテリー100の端子110-1,110-2を通す。ここで、伸縮部225に設けられたネジにより、伸縮部225の長さを固定する。
【0043】
さらに、固定部材220の取付部224と伸縮部225との少なくとも一方に設けられた、紙面横方向(図5に示したB方向と、対向する側面からのC方向と対向する方向との少なくとも一方向)に力を加える部材(例えば、締め付け部材230)を用いて、バッテリー100を挟み込む。その結果、位置決め部212-1,212-2に連動して、長さが調整された伸縮部225の長さが定まり、バッテリー100の上面視における短辺の長さと長辺の長さとに適した位置に、固定部材220に取り付けた充電器200を設置できる。さらに、固定部材220の足部213-1,213-2の高さにより、バッテリー100と充電器200との間の空間が設けられる。また、本形態においては、第1の実施の形態のような、固定金具120と固定金具121とを用いて、固定部材220に取り付けた充電器200をバッテリー100に固定するのではなく、固定部材220の取付部224と伸縮部225とでバッテリー100を挟み込むことにより、固定部材220に取り付けた充電器200をバッテリー100に固定する。これにより、バッテリー100を車両1に固定する固定金具120として一般のものを使用できる。
【0044】
なお、車両の電気系統側の第2のケーブル310に設けられたコネクタ300や、充電器200側から端子110-1,110-2に電流(電力)を供給するための第1のケーブルとコネクタ(充電器側コネクタ)は、孔211が端子110-1,110-2に電気的に接続する場合も、絶縁している場合も含めて、第1の実施の形態で説明したものと同様である。
【0045】
このように本発明においては、車載用のバッテリー100に充電器200を接続し、充電器200がバッテリー100に微弱な電流を供給する。これにより、バッテリー100の自然放電により車両の電気系統に電流を十分に供給できないいわゆるバッテリー上がりを避けることができる。また、充電器200を固定した固定部材210または固定部材220をバッテリー100の端子110-1,110-2を用いて、バッテリー100の適切な位置に設置する。バッテリー100の端子110-1,110-2は、バッテリー100から突起した形状である。固定部材210または固定部材220に設けた孔211に端子110-1,110-2を通す。バッテリー100のサイズに連動して固定部材210または固定部材220が伸縮する。これにより、充電器200および固定部材210または固定部材220が、バッテリー100の端子110-1,110-2にぶつからず、端子110-1,110-2の上方を覆わず、バッテリー100から発生する水素ガス等を逃がす経路を塞がない空間が設けられる。そのため、様々なサイズのバッテリーでも容易に適切な位置に、充電器200をバッテリー100に設置することができる。また、一般的に自動車の電気電子部品には、ISO-16750-3等の基準に基づき振動への対策が必要とされる。固定部材210または固定部材220を用いて充電器200をバッテリー100に対して適切な位置に固定することで、車両1が走行中もケーブル等を用いて充電器200とバッテリー100とを常に電気的に接続され、固定された状態でエンジンルーム内に維持することが容易にできる。充電のたびに充電器を着脱する必要がなくなり、その結果、バッテリー100を容易に充電することができる。
【0046】
さらに、充電器200を固定した固定部材210を、バッテリー100を車両1に固定する固定金具120に固定する。または、充電器200を固定した固定部材220を、バッテリー100を挟み込むようにしてバッテリー100に固定する。これにより、車両1に対しても充電器200を確実に固定することができる。一般的に車両のエンジンルーム内に搭載される部品は、車両に確実に固定しておく必要がある。上述したように本形態においては、すでに固定されているバッテリー100に充電器200を固定することができ、充電器200を搭載する上で、この要件を満たすことができる。
【0047】
上述した例では、バッテリー100に固定される固定部材210または固定部材220が充電器200の底面に取り付けられて固定されている例を示したが、固定部材が充電器200の上面に取り付けられて、固定部材とバッテリー100とで充電器200を挟み込むように固定しても良い。また、固定部材210または固定部材220が充電器200の側面に取り付けられて、充電器200に固定されても良い。また、固定部材の形状は、充電器200の形状に応じて、充電器200をバッテリー100に取り付け可能な形状で良い。例えば、固定部材は、充電器200の3つ以上の側面を沿うようにして、充電器200に取り付けられ、充電器200がバッテリー100に固定されても良い。
【0048】
なお、本発明は、各実施の形態を互いに組み合わせたものであっても良い。
【符号の説明】
【0049】
1 車両
10,11 充電システム
100 バッテリー
110-1,110-2 端子
120,121 固定金具
200 充電器
210,220 固定部材
211 孔
212-1,212-2 位置決め部
213-1,213-2 足部
214,224 取付部
215,225 伸縮部
230 締め付け部材
300 コネクタ
310 第2のケーブル
400 制御装置
410,510 接続部
420 固定部
430 第1のケーブル
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4
図5