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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021043
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】分析装置、および分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 31/00 20060101AFI20250205BHJP
   G01N 33/18 20060101ALN20250205BHJP
【FI】
G01N31/00 F
G01N33/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124739
(22)【出願日】2023-07-31
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】504049626
【氏名又は名称】ビーエルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】高橋 のどか
(72)【発明者】
【氏名】神野 良誠
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 頼博
(72)【発明者】
【氏名】前田 広人
(72)【発明者】
【氏名】奥西 将之
【テーマコード(参考)】
2G042
【Fターム(参考)】
2G042AA01
2G042BA05
2G042BB06
2G042BB07
2G042BB08
2G042BD12
2G042CA02
2G042DA03
2G042DA08
2G042EA01
2G042EA08
2G042FA02
2G042FA04
2G042FA05
2G042FA06
2G042FA12
2G042GA01
2G042GA05
(57)【要約】
【課題】環境汚染の原因となるカドミウムを用いることのない、試料中の全窒素の連続的な分析装置および分析方法を提供する。
【解決手段】試料を管路に導入する試料導入工程と、前記試料中の全窒素を硝酸イオンとする前処理工程と、前記管路内を移送される、前記前処理工程で前処理された試料中の硝酸イオンを、内壁面が亜鉛からなる中空の管の中を試料を移送することによって還元してアンモニウムイオンとする還元工程と、前記還元工程で生成したアンモニウムイオンをガス化して分離するガス透過工程と、前記ガス透過工程で得られたガス状のアンモニアを受流試薬により吸収してアンモニウムイオンとするアンモニアガス吸収工程と、管路内を移送される、アンモニウムイオンを含む受流試薬中のアンモニウムイオンを分析する分析工程と、を含む、分析方法および分析装置により解決する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を管路に導入する試料導入部と、
前記試料中の全窒素を硝酸イオンとする前処理部と、
前記管路内を移送される、前記前処理部で前処理された試料中の硝酸イオンを還元してアンモニウムイオンとする還元部と、
前記還元部で生成したアンモニウムイオンをガス化して分離するためのガス透過部と、
前記ガス透過部を透過したガス状のアンモニアを受流試薬により吸収してアンモニウムイオンとするアンモニアガス吸収部と、
管路内を移送される、アンモニウムイオンを含む受流試薬中のアンモニウムイオンを分析する分析部と、を含む、分析装置であって、
前記還元部は、少なくとも内壁面が亜鉛からなる、中空の管であり、前記管の中を試料が移送されるようになっている還元部材を含む、分析装置。
【請求項2】
前記中空の管は、螺旋形または8の字螺旋形である、請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記中空の管の少なくとも内壁面が銅で被覆されている、請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
流れ分析装置である、請求項1に記載の分析装置。
【請求項5】
前記管路に導入される試料に対して気泡分節を行い、気泡によって区画された複数のセグメントを前記管路内に作製する気泡分節部が備えられている、請求項1~4の何れか一項に記載の分析装置。
【請求項6】
前記気泡は、窒素、アルゴン、またはヘリウムである、請求項5に記載の分析装置。
【請求項7】
前記アンモニアガス吸収部で生成したアンモニウムイオンを、サリチル酸を用いたインドフェノール青吸光光度法により定量するための試薬を導入する試薬導入部が備えられている、請求項1~4の何れか一項に記載の分析装置。
【請求項8】
試料にキレート剤を加えて金属イオンを捕捉するためのキレート剤導入部が備えられている、請求項1~4の何れか一項に記載の分析装置。
【請求項9】
前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)である、請求項8に記載の分析装置。
【請求項10】
前記ガス透過部に備えられているガス透過膜は、PTFE多孔質フィルターである、請求項1~4の何れか一項に記載の分析装置。
【請求項11】
試料を管路に導入する試料導入工程と、
前記試料中の全窒素を硝酸イオンとする前処理工程と、
前記管路内を移送される、前記前処理工程で前処理された試料中の硝酸イオンを還元してアンモニウムイオンとする還元工程と、
前記還元工程で生成したアンモニウムイオンをガス化して分離するガス透過工程と、
前記ガス透過工程で分離されたガス状のアンモニアを受流試薬により吸収してアンモニウムイオンとするアンモニアガス吸収工程と、
管路内を移送される、アンモニウムイオンを含む受流試薬中のアンモニウムイオンを分析する分析工程と、を含む、分析方法であって、
前記還元工程は、少なくとも内壁面が亜鉛からなる、中空の管の中を試料が移送されることによって、試料中の硝酸イオンを還元する、分析方法。
【請求項12】
前記還元工程で生成したアンモニウムイオンのガス化は、水酸化ナトリウムおよびホウ酸を加えることにより、試料のpHをアルカリ性にすることを含む、請求項11に記載の分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置、および分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
排水および環境水中の全窒素を測定する方法として、JIS K 0102 45.1の総和法、JIS K 0102 45.2の紫外線吸光光度法、JIS K 0102 45.4の銅・カドミウムカラム還元法、およびJIS K 0102 45.6の流れ分析法(紫外線吸光光度法および銅・カドミウムカラム還元法)が規定されている(非特許文献1)。しかし、総和法は、ケルダール分解および蒸留を行う必要があり、非常に煩雑で手間がかかる方法である。紫外線吸光光度法は、海水、汽水、排水等で分析の阻害となる夾雑物質を多く含む試料については、正確に測定を行うことが出来ない。そのため、全窒素を測定する多くの場合において、銅・カドミウムカラム還元法が用いられている。
【0003】
また、海洋の測定では、海洋観測ガイドラインおよびGO-SHIPに、硝酸分析において流れ分析法(銅・カドミウムカラム還元法)の記載があり、ほとんどの分析で気泡分節型流れ分析法(銅・カドミウムカラム還元法)が用いられている(例えば、非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】JIS K 0102
【非特許文献2】GO-SHIP Repeat Hydrography Nutrient Manual, The precise and accurate determination of dissolved inorganic nutrients in seawater, using Continuous Flow Analysis methods, August 2019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
海水、汽水等を測定する銅・カドミウムカラム還元法は、夾雑物質の影響が少なく測定ができる反面、分析後の排水にカドミウムが含まれるという問題、および銅・カドミウム還元カラムを特別管理廃棄物として廃棄する必要があるという問題等、地球環境汚染の観点から問題があった。
【0006】
本発明は、環境汚染の原因となるカドミウムを用いることなく、且つ、測定精度が良い、試料中の全窒素の連続的な分析装置、および分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、これまでにない新規な分析装置、および分析方法を用いることにより、前記課題を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち本発明の一態様は、以下の構成を含むものである。
【0009】
〔1〕試料を管路に導入する試料導入部と、
前記試料中の全窒素を硝酸イオンとする前処理部と、
前記管路内を移送される、前記前処理部で前処理された試料中の硝酸イオンを還元してアンモニウムイオンとする還元部と、
前記還元部で生成したアンモニウムイオンをガス化して分離するためのガス透過部と、
前記ガス透過部を透過したガス状のアンモニアを受流試薬により吸収してアンモニウムイオンとするアンモニアガス吸収部と、
管路内を移送される、アンモニウムイオンを含む受流試薬中のアンモニウムイオンを分析する分析部と、を含む、分析装置であって、
前記還元部は、少なくとも内壁面が亜鉛からなる、中空の管であり、前記管の中を試料が移送されるようになっている還元部材を含む、分析装置。
【0010】
〔2〕試料を管路に導入する試料導入工程と、
前記試料中の全窒素を硝酸イオンとする前処理工程と、
前記管路内を移送される、前記前処理工程で前処理された試料中の硝酸イオンを還元してアンモニウムイオンとする還元工程と、
前記還元工程で生成したアンモニウムイオンをガス化して分離するガス透過工程と、
前記ガス透過工程で分離されたガス状のアンモニアを受流試薬により吸収してアンモニウムイオンとするアンモニアガス吸収工程と、
管路内を移送される、アンモニウムイオンを含む受流試薬中のアンモニウムイオンを分析する分析工程と、を含む、分析方法であって、
前記還元工程は、少なくとも内壁面が亜鉛からなる、中空の管の中を試料が移送されることによって、試料中の硝酸イオンを還元する、分析方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、環境汚染の原因となるカドミウムを用いることなく、且つ、測定精度が良い、試料中の全窒素の連続的な分析装置、および分析方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る分析装置の概略構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る分析装置の概略構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る分析装置の概略構成を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る分析装置のガス透過部およびアンモニアガス吸収部を模式的に示す図である。
図5】実施例において、1.00mg/L、0.50mg/L、0.25mg/L、0.10mg/L、および0.01mg/Lの硝酸態窒素の測定を行った結果を示す図である。
図6】実施例において、1.00mg/L、0.50mg/L、0.25mg/L、0.10mg/L、および0.01mg/Lの硝酸態窒素の測定による検量線を示す図である。
図7】実施例において、1mg/Lのアンモニア態窒素および1mg/Lの硝酸態窒素の測定を行った結果を示す図である。
図8】還元部材の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
【0014】
[1]分析装置
【0015】
本発明の一実施形態に係る分析装置は、試料を管路に導入する試料導入部と、前記試料中の全窒素を硝酸イオンとする前処理部と、前記管路内を移送される、前記前処理部で前処理された試料中の硝酸イオンを還元してアンモニウムイオンとする還元部と、前記還元部で生成したアンモニウムイオンをガス化して分離するためのガス透過部と、前記ガス透過部を透過したガス状のアンモニアを受流試薬により吸収してアンモニウムイオンとするアンモニアガス吸収部と、管路内を移送される、アンモニウムイオンを含む受流試薬中のアンモニウムイオンを分析する分析部と、を含む、分析装置であって、前記還元部は、少なくとも内壁面が亜鉛からなる、中空の管の中であり、前記管の中を試料が移送されるようになっている還元部材を含む。
【0016】
前記分析装置によれば、環境汚染の原因となるカドミウムを用いることなく、且つ、測定精度良く、試料中の全窒素の連続的な分析が可能となる。なお、試料中の全窒素とは、試料中のアンモニウムイオン、亜硝酸イオン、硝酸イオンに相当する無機態窒素と有機態窒素の合計量をいう。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記分析装置は流れ分析装置であり得る。流れ分析装置によれば、管路内に、連続的に試料を導入し、管路内で還元を行い、管路内に試薬を導入して反応をさせ、分析部で連続的に分析データを計測することができる。
【0018】
[1.1]実施形態1
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る流れ分析装置の概略構成を示す。
【0019】
本発明の実施形態1に係る流れ分析装置は、試料を管路7に導入する試料導入部1と、前記試料を前処理して、試料中の全窒素を硝酸イオンとする前処理部13と、前記前処理を経て前記管路7を移送される試料に対して気泡分節を行い、気泡によって区画された複数のセグメントを前記管路7内に作製する気泡分節部4と、前記管路7内を移送される試料の流れの中に試薬を添加する試薬導入部5と、前記管路7内を移送される試料中の硝酸イオンを還元してアンモニウムイオンとする還元部2と、前記還元部2を経て前記管路7内を移送されるアンモニウムイオンを含む試料の流れの中に試薬を添加する試薬導入部5と、前記管路7内を移送される試料中のアンモニウムイオンをガス化して分離するためのガス透過部6と、試料中のアンモニアガスを受流試薬により吸収してアンモニウムイオンとするアンモニアガス吸収部14と、前記アンモニアガス吸収部14を経て前記管路7内を移送されるアンモニウムイオンを含む試料の流れの中に試薬を添加する試薬導入部5と、試料中のアンモニウムイオンを分析する分析部3と、を含む。
【0020】
試料導入部1は、試料をサンプリングして管路7に導入するための装置である。本発明の一実施形態において、試料導入部1は、試料を管路7に導く採取管と、前記採取管に吸引力を付与するサンプリング用ポンプとを備えている。前記サンプリング用ポンプにより、試料が管路7内に所定の流量で導入される。前記試料は分析対象となる物質または元素を含む液体である。
【0021】
前処理部13は、試料中の全窒素を硝酸イオンとする前処理を行うための装置である。本発明の一実施形態において、前処理部13は、前処理用の試薬を導入するための試薬導入部と分解加熱槽とを備えている。前処理用の試薬は、試料中の窒素化合物を硝酸イオンに酸化する試薬であり、例えば、アルカリ性ペルオキソ二硫酸カリウム等の試薬を挙げることができる。前処理用の試薬を導入するための試薬導入部は、試薬を管路7に導く採取管と、前記採取管に吸引力を付与するサンプリング用ポンプとを備えている。前記サンプリング用ポンプにより、試薬が管路7内に所定の流量で導入される。前処理用の試薬が導入された試料は、前記分解加熱槽で、加熱分解されて、試料中の全窒素が硝酸イオンとなる。加熱分解槽は、例えば、コイルまたは螺旋を形成する管路7が、ヒーターを備えた恒温槽内に配置された構成であり得る。また、前記加熱分解槽には、当該加熱分解槽の下流側から、試料の流れに抗する圧力を付与する加圧装置が備えられている。前記加圧装置は、例えば、コンプレッサーとバルブとを備えている。かかる加圧装置を備えることにより、加熱分解槽における加熱分解を、高温加圧下で行うことができる。前記加圧装置により付与される圧力は、特に限定されるものではないが、例えば、0.12MPa~0.16MPaである。加熱分解の温度は、例えば、100℃~140℃であり、加熱分解時間は、例えば、10分~60分である。加熱分解時間を前記範囲とするために、例えば、加熱分解槽中のコイル状の管路7の長さ、加熱分解槽中のコイル状の管路7内を流れる試料の速度、流量等を調節する。前記加熱分解槽の構成は、前述の例に限定されるものではなく、前記ヒーターを備えた恒温槽の代わりに、超音波分解装置、マイクロウェーブ、オートクレーブ分解装置等を使用してもよい。図1の例では、試料導入部1の下流で、且つ、気泡分節部4の上流に、前処理部13が備えられているが、当該前処理部13は、試料導入部1の上流に備えられてもよく、試料導入部1の下流に備えられてもよく、または、試料導入部1に組み込まれてもよい。
【0022】
気泡分節部4は、前記管路7に導入された試料に対して気泡分節を行い、気泡によって区画された複数のセグメントを前記管路7内に作製するための装置である。本発明の一実施形態において、気泡分節部4は、気体を管路7に導く気体導入管と、前記気体導入管に吸引力を付与する気体導入用ポンプとを備えている。気泡分節を行うことにより、気泡で分断された分節液内での渦流により試薬等の混合を好適に行うことができるとともに、還元部2において、管内を移送される試料が還元部2の管壁に接触する頻度が増え、それゆえ試料中の硝酸イオンを十分にアンモニウムイオンに還元することができる。また、分節液は、気泡で分断され独立して管路7内を流れるため、試料間相互の拡散を防ぐことができる。このように、試料が気泡によって分節された、管路内の連続的な流れの中に、試薬を導入し、反応操作を行った後、下流に設けた検出器で分析を行う方法は、連続流れ分析法(CFA)と呼ばれる。気泡分節の気体としては、アルゴンおよびヘリウム等の不活性ガス;窒素等の様々な気体を用いることができる。これらの気体は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いることもできる。中でも、前記気体は、窒素、および/またはアルゴンおよびヘリウム等の不活性ガスであることがより好ましい。前記気体が、窒素、および/またはアルゴンおよびヘリウム等の不活性ガスであれば、気体中に酸素が含まれないため、酸素による還元部2の管壁の酸化を防ぐことができる。それゆえ、硝酸イオンのアンモニウムイオンへの還元率を高く維持することができるため好ましい。
【0023】
試薬導入部5は、前記管路7内を移送される試料の流れの中に試薬を添加するための装置である。試薬導入部5は、試薬を管路7に導く試薬導入管と、前記試薬導入管に吸引力を付与する試薬導入用ポンプとを備えている。気泡分節部4の下流で、且つ、還元部2の上流に備えられている試薬導入部5にて添加される試薬としては、キレート剤を挙げることができる。本発明の一実施形態において、前記分析装置は、試料にキレート剤を加えて金属イオンを捕捉するためのキレート剤導入部を備えている。キレート剤導入部は、キレート剤を管路7に導くキレート剤導入管と、前記キレート剤導入管に吸引力を付与するキレート剤導入用ポンプとを備えている。前記キレート剤は、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、トランス-1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸-水和物(CyDTA)等を挙げることができ、十分なキレート能を有すること、および価格の観点から、EDTAが好ましい。還元部2の上流において、前記キレート剤を添加することにより、後段の還元部2にて、還元部材から亜鉛イオンまたは銅イオンが試料中に溶出する場合に、当該キレート剤が溶出したこれらのイオンと安定的な錯体を形成して、遊離の亜鉛イオンまたは銅イオンの濃度を低下させることができる。それゆえ、亜鉛イオン-亜鉛間、または銅イオン-銅間の電位を低下させて、硝酸イオンのアンモニウムイオンへの還元を効率的に行うことができる。図1の例では、気泡分節部4の下流で、且つ、還元部2の上流に、試薬導入部5が備えられているが、当該試薬導入部5は、前処理部13の下流で、且つ、気泡分節部4の上流に備えられていてもよい。
【0024】
還元部2は、前記管路7内を移送される試料中の硝酸イオンを還元してアンモニウムイオンとするための装置である。還元部2は、少なくとも内壁面が亜鉛からなる、中空の管である還元部材を含み、その管の中を試料が移送されるようになっている。
【0025】
前記還元部材は、少なくとも内壁面が亜鉛からなる、中空の管であり、当該管の中を試料が移送されるようになっていることにより、当該管内で試料を移送すると同時に、当該移送される試料に含まれ得る硝酸イオンを還元してアンモニウムイオンとすることができる。
【0026】
ここで、本明細書において、「試料に含まれうる硝酸イオンを還元してアンモニウムイオンとする」、および「試料中の硝酸イオンを還元してアンモニウムイオンとする」とは、試料中に、硝酸イオンが含まれる場合に、その含まれる、硝酸イオンを還元してアンモニウムイオンとすることを意味する。
【0027】
前記還元部材の管の内径は、これに限定されるものではないが、好ましくは0.5mm~1.5mmであり、より好ましくは0.6mm~1.4mmであり、さらに好ましくは0.7mm~1.3mmであり、特に好ましくは0.8mm~1.2mmであり、最も好ましくは1.0mm~1.2mmである。前記内径が0.5mm以上であれば、当該管内に試料を適度な速度で移送することができる。また、前記内径が1.5mm以下であれば、当該管内を移送される試料が、当該管の管壁に接触する頻度が増え、それゆえ試料中の硝酸イオンを十分に還元することができるため好ましい。
【0028】
前記還元部材の管の管壁の厚みは、これに限定されるものではないが、好ましくは0.1mm~1.5mmであり、より好ましくは0.2mm~1.0mmであり、さらに好ましくは0.3mm~0.7mmであり、最も好ましくは0.4mm~0.6mmである。前記厚みが、0.1mm以上であれば、還元部材としての強度が十分であるため好ましい。また、前記厚みが1.5mm以下であれば、所望の形状に加工できるため好ましい。
【0029】
前記還元部材の管の長さは、これに限定されるものではないが、好ましくは100mm~1000mmであり、より好ましくは200mm~900mmであり、さらに好ましくは300mm~800mmであり、最も好ましくは500mm~800mmである。前記長さが、100mm以上であれば、当該管内を移送される試料が、当該管の管壁に接触する頻度が増え、それゆえ試料中の硝酸イオンを十分に還元することができるため好ましい。また、前記長さが1000mm以下であれば、試料の移送に時間がかかりすぎないため、分析に要する時間を短縮することができる。
【0030】
前記還元部材の管の断面形状は通常は円形であるが、楕円形または多角形であってもよい。
【0031】
前記還元部材の管の形状は特に限定されるものではなく、直線状であってもよいし、曲線状であってもよい。中でも前記形状は、より好ましくは曲線状であり、さらに好ましくは、円等の図形を描きながら、その図形面に垂直な方向に移動する形状であることがより好ましい。前記図形は特に限定されるものではないが、例えば、円、楕円、8の字形等であり、管の形状としては、例えば、螺旋形、8の字螺旋形等を挙げることができる。図8に還元部材の例を模式的に示す。図8の(a)は螺旋形の還元部材であり、(b)は8の字螺旋形の還元部材である。前記形状によれば、管内を移送される試料が、管内を旋回しながら移送されるため、試料が均一に混合されるとともに、当該管の管壁に接触する頻度が増える。それゆえ試料中の硝酸イオンを十分に還元することができるため好ましい。螺旋形、8の字螺旋形等の螺旋のターン数も特に限定されるものではないが、例えば、1ターン~20ターンであり、より好ましくは2ターン~10ターンであり、さらに好ましくは4ターン~7ターンである。前記ターン数が1ターン以上であれば、試料がより均一に混合されるとともに、当該管の管壁に接触する頻度が増えるため好ましい。また、前記ターン数が20ターン以下であれば装置のコンパクト化を図れるため好ましい。
【0032】
前記管の形状が、例えば螺旋形である場合、その螺旋形の外直径(「コイル径」という)は、特に限定されるものではないが、例えば、10mm~70mmであり、より好ましくは15mm~60mmであり、さらに好ましくは20mm~50mmであり、最も好ましくは25mm~40mmである。前記コイル径が、10mm以上であれば、安定的に液を送流できるため好ましい。また、前記コイル径が70mm以下であれば、液をより適正に混合できるため好ましい。
【0033】
前記管の形状が、例えば螺旋形である場合、そのコイルピッチは、特に限定されるものではないが、例えば、0.7mm~40mmであり、より好ましくは0.8mm~30mmであり、さらに好ましくは0.9mm~25mmである。前記コイルピッチが、0.7mm以上であれば、好ましい管径の管を巻いた還元部材を形成できるため好ましい。また、前記コイル径が40mm以下であれば、還元部材のサイズが場所を取らないサイズであるため好ましい。また、前記管の形状が、例えば螺旋形である場合、管の間隔を開けずに管を詰めて巻くことも好ましい。かかる場合も、そのコイルピッチは、特に限定されるものではないが、例えば、0.7mm~5.0mmであり、より好ましくは1.0mm~4.5mmであり、さらに好ましくは1.2mm~4.0mmである。
【0034】
前記管の形状が、例えば8の字螺旋形である場合、その8の字の最大長さは、螺旋形の場合のコイル径と同様であり、そのピッチは、螺旋形の場合のコイルピッチと同様である。
【0035】
前記還元部材の管は、少なくとも内壁面が亜鉛からなる管であればよい。当該構成によれば、亜鉛が還元剤として機能し、硝酸イオンをアンモニウムイオンまで還元することができる。また、亜鉛を使用することにより、カドミウムを使用しないことが可能となり、環境負荷の問題が解決される。前記還元部材の管は、使用する金属の安全性、製造の容易さ、および還元剤として長期間使用できる点から、当該管全体が亜鉛からなるものであることがより好ましい。
【0036】
前記還元部材の前記管又は管の内壁面を形成する亜鉛は、少なくとも当該管の内側が銅で被覆されていることがより好ましい。前記管の内側が銅で被覆されていることにより、硝酸イオンのアンモニウムイオンへの還元率を高めることができる。銅による被覆の厚みは特に限定されないが、例えば、0.5μm~300μmであり、より好ましくは10μm~200μmである。銅による被覆の厚みが0.5μm以上であれば、長期間硝酸イオンのアンモニウムイオンへの還元率を高めることができるため好ましい。また、銅による被覆の厚みが300μm以下であれば、当該管の内径が小さくなりすぎないため好ましい。前記管を形成する亜鉛を銅で被覆する方法は特に限定されるものではないが、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート剤を含む硫酸銅水溶液に、少なくとも内壁面が亜鉛からなる、前記中空の管を浸漬する方法を挙げることができる。当該方法における前記硫酸銅水溶液の全重量に対する前記キレート剤の含有量は、1重量%~10重量%であることが好ましい。また、前記硫酸銅水溶液の全重量に対する硫酸銅の含有量は0.5重量%~5重量%であることが好ましい。前記管を浸漬する前記硫酸銅水溶液のpHは6~8であることが好ましく、浸漬時間は12時間~24時間であることが好ましい。或いは、前記少なくとも内壁面が亜鉛からなる、中空の管の管内に前記硫酸銅水溶液を流す方法または管内に前記硫酸銅水溶液を滞留させる方法によって、前記管又は管の内壁面を形成する亜鉛を銅で被覆してもよい。
【0037】
前記管路7は、還元部2の還元部材の前記管の両端と接続されており、前記管路7内を移送される試料がそのまま連続的に還元部材の前記管内を移送され、前記管を通過した試料は、引き続き連続的に管路7を移送される。言い換えれば、還元部2の還元部材の管が、管路7となる。前記管路7と還元部2の還元部材の前記管の両端との接続部分は、管内を移送される試料および気体が管路内に密閉されるように接続されている。前記管路7の内径と、還元部2の還元部材の前記管の内径とは、試料を連続的に移送できれば、同じであっても異なっていてもよい。
【0038】
還元部2を経て前記管路7内を移送されるアンモニウムイオンを含む試料の流れの中に試薬を添加する試薬導入部5は、還元部2の下流で、且つ、ガス透過部6の上流に備えられている。試薬導入部5は、試薬を管路7に導く試薬導入管と、前記試薬導入管に吸引力を付与する試薬導入用ポンプとを備えている。還元部2の下流で、且つ、ガス透過部6の上流に備えられている試薬導入部5にて添加される試薬としては、例えば、pHをアルカリ側にする試薬として水酸化ナトリウム等のアルカリを挙げることができる。還元部2の下流で、且つ、ガス透過部6の上流にて、アルカリを添加することにより、試料中のアンモニウムイオンを、ガス化してアンモニアガスとすることができる。また、前記水酸化ナトリウム等のアルカリにホウ酸等を加えた緩衝液を添加してもよい。本発明の一実施形態において、アンモニウムイオンのガス化は、水酸化ナトリウムおよびホウ酸を加えることにより行う。しかし、前記アルカリとしては、水酸化ナトリウムに限定されるものではなく、pHをアルカリ側にする試薬を適宜選択することができる。緩衝液を調製するための試薬についても、ホウ酸に限定されるものではなく、他の緩衝液を適宜選択して添加してもよい。
【0039】
ガス透過部6は、ガス状となったアンモニアを透過させて分離する装置である。図4は、ガス透過部6およびアンモニアガス吸収部14を模式的に示す図である。図4に示すように、ガス状のアンモニアを含む試料(図4中、「試料+試薬」と記載)が、ガス透過部6に移送されると、試料中のアンモニアガスのみが、ガス透過部6のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質フィルター12を透過し、試料の残りの部分は廃液として排出される。PTFE多孔質フィルター12を透過した、アンモニアガスは、アンモニアガス吸収部14で、受流試薬に吸収されて再びアンモニウムイオンとなる。当該アンモニウムイオンを吸収した受流試薬は、アンモニアガス吸収部14の下流に接続された管路7内を移送され、分析に供される。なお、図4中では、アンモニアガスがPTFE多孔質フィルター12を透過することを示すために、PTFE多孔質フィルター12を透過した後もNHと記載しているが、その後受流試薬に吸収されてNH4となる。ガス透過部に備えられているガス透過膜は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質フィルターであることが好ましいが、ガス状のアンモニアを選択的に透過するフィルターであればこれに限定されるものではない。
【0040】
ガス透過部6により、ガス状となったアンモニアを選択的に透過させて分離することにより、還元部2で還元された試料中のアンモニウムイオンの量、言い換えれば、アンモニアイオンに還元された硝酸イオンの窒素の量、すなわち、分析対象である試料中の全窒素を正確に分析することができる。
【0041】
加えて、ガス透過部6を備えることにより、サリチル酸を用いたインドフェノール青吸光光度法によるアンモニウムイオンの定量において、測定チャートのベースラインを安定化させることができるサリチル酸を用いたインドフェノール青吸光光度法は、フェノールを用いたインドフェノール青吸光光度法と比べて、人体に有害な化学物質であるフェノールを使用しない点、フェノールの環境中への排出がない点で好ましい。
【0042】
アンモニアガス吸収部14は、前記ガス透過部を透過したガス状のアンモニアを受流試薬により吸収してアンモニウムイオンとする装置である。前記受流試薬は、ガス状のアンモニアを吸収してアンモニウムイオンに変換することができる試薬であれば特に限定されないが、例えば、硫酸等の酸を使用することができる。前記酸としては、硫酸に限定されるものではなく、ガス状のアンモニアを吸収する試薬を適宜選択することができる。また、硫酸等の酸とともに、アンモニウムイオンの検出に用いる試薬を含めてもよい。かかる試薬としては、例えば、インドフェノール青吸光光度法に使用されるニトロプルシッドNa等の試薬を挙げることができる。前記受流試薬は、気泡で分節されて供給されてもよい。当該気泡分節に使用される気体としては、アルゴンおよびヘリウム等の不活性ガス;窒素;酸素;および空気等の様々な気体を用いることができる。
【0043】
アンモニアガス吸収部14を経て前記管路7内を移送されるアンモニウムイオンを含む試料の流れの中に試薬を添加する試薬導入部5は、アンモニアガス吸収部14の下流で、且つ、分析部3の上流に備えられている。試薬導入部5は、試薬を管路7に導く試薬導入管と、前記試薬導入管に吸引力を付与する試薬導入用ポンプとを備えている。アンモニアガス吸収部14の下流で、且つ、分析部3の上流に備えられている試薬導入部5にて添加される試薬としては、例えば、サリチル酸、フェノール等、硝酸イオンの還元により生成したアンモニウムイオンをインドフェノール青吸光光度法により定量するために使用される試薬が挙げられる。この中でも、サリチル酸を用いたインドフェノール青吸光光度法は、フェノールを用いたインドフェノール青吸光光度法と比べて、人体に有害な化学物質であるフェノールを使用しない点、フェノールの環境中への排出がない点で好ましい。サリチル酸を用いるインドフェノール青吸光光度法では、試薬として、例えば、サリチル酸と次亜塩素酸、例えば次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)とを添加する。この場合、サリチル酸と、NaClOとは、別途異なる2つの試料導入部から添加されることが好ましい。サリチル酸と、NaClO等を添加する順序は、どちらが先に添加されてもよいが、サリチル酸を添加した後、NaClOを添加することがより好ましい。フェノールを用いるインドフェノール青吸光光度法では、サリチル酸がフェノールと置き換わる以外はサリチル酸を用いるインドフェノール青吸光光度法と同様である。試薬として、例えば、フェノールとNaClOとを添加する。この場合、フェノールと、NaClOとは、別途異なる2つの試料導入部から添加されることが好ましい。フェノールと、NaClOを添加する順序は、どちらが先に添加されてもよいが、フェノールを添加した後、NaClOを添加することがより好ましい。
【0044】
分析部3は、試料中のアンモニウムイオンについて分析を行う装置である。本発明の一実施形態において、分析方法としてインドフェノール青吸光光度法を採用する場合、分析部3は、例えば吸光光度計である。前記吸光光度計としては、フローセル式の吸光光度計がより好ましい。しかし、分析部3は、これに限定されるものではなく、用いる分析方法に応じて適宜選択することができる。例えば、還元部2で還元された留液を分取して、分取した若しくは連続流れ分析装置の流れの中での試料をイオンクロマトグラフで測定することもできる。あるいは、イオン電極法、滴定法、ボルタンメトリー法、およびイオンクロマトグラフにより測定することもできる。分析は、定量分析であるが、定性分析であってもよい。
【0045】
図1の例では、流れ分析装置は、3か所に試薬導入部5を備えているが、前述した試薬導入部5に加えて、必要に応じてさらなる試薬導入部5が備えられていてもよい。また、試薬を混合して導入できるのであれば、試薬導入部を減らしてもよい。かかる試薬導入部5にて導入される試薬としては、これに限定されるものではないが、例えば、硝酸、塩酸、硫酸、過塩素酸、リン酸、過酸化水素、およびふっ酸等の酸;過酸化ナトリウム、炭酸カルシウム、および炭酸ナトリウム等のアルカリ等を挙げることができる。これらの試薬を添加することにより、試料のpHを調節することができる。また、分析に使用される試薬としても、前述の試薬に限定されるものではなく、分析方法に応じて適宜選択すればよい。
【0046】
図1の例では備えられていないが、本発明の一実施形態に係る流れ分析装置は、さらに、試薬導入部5にて添加された試薬と管路7内を流れる試料とを混合するための混合コイルが備えられていてもよい。混合コイルはコイル状に形成された管路7であり、試料が混合コイルを通過するときに、試薬と管路7内を流れる試料とが混合される。混合コイルの形状は特に限定されるものではないが、図8に示される還元部材の形状と同様の形状でありうる。前記混合コイルが備えられる位置は、各試薬導入部5の後、或いは、複数の試薬導入部5の後でありうる。
【0047】
図1の例では備えられていないが、本発明の一実施形態に係る流れ分析装置は、前記管路7を移送される試料に、加熱処理を行う加熱槽を備えていてもよい。前記加熱槽は、ヒーターを備えた恒温槽でありうる。しかし、前記加熱槽の構成はこれに限定されるものではなく、超音波分解装置、マイクロウェーブ、およびオートクレーブ分解装置等であってもよい。また、前記加熱槽内で、前記管路7はコイル又は螺旋を形成している。本発明の一実施形態では、前記加熱槽は、試薬導入部5の下流または前記混合コイルの下流に備えられる。試薬が添加された試料、または試薬と混合された試料を、加熱することにより、試料の試薬との反応を促進させることができる。
【0048】
図1の例では備えられていないが、本発明の一実施形態に係る流れ分析装置は、さらに、管路7の途中に、さらにプール槽(液溜め)が備えられていてもよい。流れ分析装置は密閉空間の中に試料を流し分析を行う方法であるため、圧が高くなる場合がある。かかる場合にも、プール槽を備えることにより、圧を逃がし、各工程に必要な容量を好適に分注して採取することができる。流れ分析装置内の圧を逃がす手段としては、プール槽以外にも、例えば、空気(気体)と液とを適量廃液するデバブラー、減圧弁等を備えることができる。また、流れ分析装置がプール槽、デバブラー、減圧弁等を備える場合、その下流側に新たに気体を管路7に導く気泡分節部4が備えられていてもよい。流れ分析装置には複数のプール槽、デバブラー、減圧弁等が備えられていてもよい。また、流れ分析装置には複数の気泡分節部4が備えられていてもよい。
【0049】
また、本発明の一実施形態に係る流れ分析装置は、加熱槽の下流側から、試料の流れに抗する圧力を付与する加圧装置を備えていてもよい。前記加圧装置は、例えば、コンプレッサーとバルブとを備えている。かかる加圧装置を備えることにより、加熱槽における気泡の膨張の抑制、および、加熱と加圧との相乗効果により、加熱槽における反応を促進することができる。前記加熱槽により付与される圧力は、特に限定されるものではないが、例えば、0.14MPa以下である。
【0050】
また、本発明の一実施形態に係る流れ分析装置では、試料導入部1として、オートサンプラーを使用することができる。また、サンプリングの前に、超音波ホモジナイザー又は攪拌器を備えて、試料の粉砕、および/又は攪拌を行ってもよい。
【0051】
或いは、本発明の一実施形態に係る流れ分析装置は、管路7の途中に、さらに希釈装置を備えていてもよい。これにより、試料の濃度に応じて希釈を行う必要がある場合に、流れ分析装置中で、自動的に所望の希釈を行うことができる。かかる希釈装置としては、市販の自動希釈装置を好適に用いることができる。
【0052】
本発明の一実施形態に係る流れ分析装置によれば、試料中に含まれる全窒素を定量することができる。本発明の一実施形態に係る流れ分析装置は、試料を前処理して、試料中の全窒素を硝酸イオンとする前処理部を、試料導入部1に組み込んだ装置、もしくは、試料導入部1の下流に組み込んだ装置である。試料中の全窒素は、例えば、ペルオキソ二硫酸カリウムによる酸化分解により、硝酸イオンとすることができる。かかる前処理部を備えることにより、前処理部で試料中の全窒素を硝酸イオンに分解し、その後硝酸イオンをアンモニウムイオンに還元して、定量を行うことができるため、試料の全窒素を連続的に測定することが可能となる。特に、海水および汽水等の試料では、共存する臭化物イオンおよび塩の影響で、これまで、銅・カドミウム還元法等が用いられてきたが、本発明の一実施形態に係る流れ分析装置によれば、環境汚染の原因となるカドミウムを用いることなく、且つ、測定精度良く、試料(例えば海水・汽水域の試料)中の全窒素の連続的な分析を行うことができる。そして、かかる前処理部を本発明の一実施形態に係る流れ分析装置に組み込むことにより、前処理から分析に至るまでを一貫して行うことができる。
【0053】
さらに、本発明の一実施形態に係る流れ分析装置は、固体等の液体以外の試料を処理して液体試料を調製する装置を、試料導入部1に組み込んだ装置、又は、試料導入部1の上流に組み込んだ装置であってもよい。流れ分析装置は、液体の試料を流れ分析法を用いて分析する装置であり、固体等の液体以外の試料はそのまま測定することはできない。そのため、固体等の液体以外の試料を前処理して液体試料を調製する装置を組み込むことにより、固体等の液体以外の試料の前処理から分析に至るまでを一貫して行うことができる。
【0054】
[1.2]実施形態2
図2は、本発明の実施形態2に係る流れ分析装置の概略構成を示す。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0055】
本発明の実施形態2に係る流れ分析装置は、気泡で分節されていない試料の管路内の流れの中に、試薬を導入し、反応操作を行った後、下流に設けた検出器で分析を行う、フローインジェクション分析法(FIA)を使用する方法である。
【0056】
本発明の実施形態2に係る流れ分析装置は、キャリヤーを管路7に導入するキャリヤー導入部8と、試料を管路7に導入する試料導入部1と、前記試料を前処理して、試料中の全窒素を硝酸イオンとする前処理部13と、前記前処理を経て前記管路7内を移送される試料の流れの中に試薬を添加する試薬導入部5と、前記管路7内を移送される試料中の硝酸イオンを還元してアンモニウムイオンとする還元部2と、前記還元部2を経て前記管路7内を移送されるアンモニウムイオンを含む試料の流れの中に試薬を添加する試薬導入部5と、前記管路7内を移送される試料中のアンモニウムイオンをガス化して分離するためのガス透過部6と、試料中のアンモニアガスを受流試薬により吸収してアンモニウムイオンとするアンモニアガス吸収部14と、前記アンモニアガス吸収部14を経て前記管路7内を移送されるアンモニウムイオンを含む試料の流れの中に試薬を添加する試薬導入部5と、試料中のアンモニウムイオンを分析する分析部3と、を含む。
【0057】
実施形態2に係る流れ分析装置は、試料を管路7に導入するための試料導入部1の上流にキャリヤー導入部8が備えられており、気泡分節部が設けられていない以外は図1に示す流れ分析装置と同じ構成である。
【0058】
実施形態2に係る流れ分析装置は、フローインジェクション分析法(FIA)による分析装置であり、キャリヤー導入部8により、キャリヤーを管路7に導入し、キャリヤーが流れる管路7内の流れの中に、試料導入部1により、試料を導入する。
【0059】
前記キャリヤーは、前処理および試料の分析に好ましくない影響を及ぼさない液体であれば特に限定されるものではなく、例えば、水、界面活性剤、酸性溶液、およびアルカリ性溶液等を挙げることができる。
【0060】
実施形態2に係る流れ分析装置のその他の構成については、実施形態1において説明したとおりであるので、説明を省略する。
【0061】
[2]分析方法
以下に、本発明の一実施形態に係る分析方法について説明する。なお、説明の便宜上、[1]の分析装置にすでに記載した事項については、その説明を繰り返さない。
【0062】
本発明の一実施形態に係る分析方法は、試料を管路に導入する試料導入工程と、導入された試料中の全窒素を硝酸イオンとする前処理工程と、前記管路内を移送される、前記前処理工程で前処理された試料中の硝酸イオンを還元してアンモニウムイオンとする還元工程と、前記還元工程で生成したアンモニウムイオンをガス化して分離するガス透過工程と、前記ガス透過工程で分離されたガス状のアンモニアを受流試薬により吸収してアンモニウムイオンとするアンモニアガス吸収工程と、管路内を移送される、アンモニウムイオンを含む受流試薬中のアンモニウムイオンを分析する分析工程と、を含み、前記還元工程は、少なくとも内壁面が亜鉛からなる、中空の管の中を試料が移送されることによって、試料中の硝酸イオンを還元する。
【0063】
前記試料導入工程は、試料を管路に導入する工程であり、例えばサンプリング装置により、複数の試料を、それぞれサンプリングして、所定の流量で、順次連続的に管路7に導入する。
【0064】
前記前処理工程は、試料中の全窒素を硝酸イオンとする工程であり、例えば、ペルオキソ試薬を添加した試料を加熱分解槽中の管に流し、高温高圧下で分解を行うことによって、試料中の全窒素を硝酸イオンとする。
【0065】
前記還元工程は、前記管路内を移送される試料中の硝酸イオンを還元してアンモニウムイオンとする工程である。当該工程では、少なくとも内壁面が亜鉛からなる、中空の管、すなわち前述の還元部材の中を試料が移送されることによって、試料中の硝酸イオンを還元する。
【0066】
前記ガス透過工程は、前記還元工程で生成したアンモニウムイオンをガス化して分離する工程である。
【0067】
前記アンモニアガス吸収工程は、ガス透過部を透過したガス状のアンモニアを受流試薬により吸収してアンモニウムイオンとする工程である。
【0068】
前記分析工程は、前記アンモニアガス吸収工程で受流試薬により吸収されたアンモニウムイオン、すなわち、前記還元工程で生成した試料中のアンモニウムイオンを分析する工程である。ここで、前記分析には、分析対象の有無の検出又は濃度の測定が含まれる。また、分析は、定量分析であるか、定性分析であるかを問わない。分析方法も特に限定されるものではなく、どのような分析であってもよいが、例えば、サリチル酸を用いたインドフェノール青吸光光度法、フェノールを用いたインドフェノール青吸光光度法、イオンクロマトグラフ、イオン電極法、滴定法、ボルタンメトリー等を挙げることができる。
【0069】
〔まとめ〕
本発明の一実施形態は以下の構成を包含する。
【0070】
〔1〕試料を管路に導入する試料導入部と、
前記試料中の全窒素を硝酸イオンとする前処理部と、
前記管路内を移送される、前記前処理部で前処理された試料中の硝酸イオンを還元してアンモニウムイオンとする還元部と、
前記還元部で生成したアンモニウムイオンをガス化して分離するためのガス透過部と、
前記ガス透過部を透過したガス状のアンモニアを受流試薬により吸収してアンモニウムイオンとするアンモニアガス吸収部と、
管路内を移送される、アンモニウムイオンを含む受流試薬中のアンモニウムイオンを分析する分析部と、を含む、分析装置であって、
前記還元部は、少なくとも内壁面が亜鉛からなる、中空の管であり、前記管の中を試料が移送されるようになっている還元部材を含む、分析装置。
【0071】
〔2〕前記中空の管は、螺旋形または8の字螺旋形である、〔1〕に記載の分析装置。
【0072】
〔3〕前記中空の管の少なくとも内壁面が銅で被覆されている、〔1〕または〔2〕に記載の分析装置。
【0073】
〔4〕流れ分析装置である、〔1〕~〔3〕のいずれか一つに記載の分析装置。
【0074】
〔5〕前記管路に導入される試料に対して気泡分節を行い、気泡によって区画された複数のセグメントを前記管路内に作製する気泡分節部が備えられている、〔1〕~〔4〕のいずれか一つに記載の分析装置。
【0075】
〔6〕前記気泡は、窒素、アルゴン、またはヘリウムである、〔5〕に記載の分析装置。
【0076】
〔7〕前記アンモニアガス吸収部で生成したアンモニウムイオンを、サリチル酸を用いたインドフェノール青吸光光度法により定量するための試薬を導入する試薬導入部が備えられている、〔1〕~〔6〕のいずれか一つに記載の分析装置。
【0077】
〔8]試料にキレート剤を加えて金属イオンを捕捉するためのキレート剤導入部が備えられている、〔1〕~〔7〕のいずれか一つに記載の分析装置。
【0078】
〔9〕前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)である、〔8〕に記載の分析装置。
【0079】
〔10〕前記ガス透過部に備えられているガス透過膜は、PTFE多孔質フィルターである、〔1〕~〔9〕のいずれか一つに記載の分析装置。
【0080】
〔11〕試料を管路に導入する試料導入工程と、
前記試料中の全窒素を硝酸イオンとする前処理工程と、
前記管路内を移送される、前記前処理工程で前処理された試料中の硝酸イオンを還元してアンモニウムイオンとする還元工程と、
前記還元工程で生成したアンモニウムイオンをガス化して分離するガス透過工程と、
前記ガス透過工程で分離されたガス状のアンモニアを受流試薬により吸収してアンモニウムイオンとするアンモニアガス吸収工程と、
管路内を移送される、アンモニウムイオンを含む受流試薬中のアンモニウムイオンを分析する分析工程と、を含む、分析方法であって、
前記還元工程は、少なくとも内壁面が亜鉛からなる、中空の管の中を試料が移送されることによって、試料中の硝酸イオンを還元する、分析方法
[12〕前記還元工程で生成したアンモニウムイオンのガス化は、水酸化ナトリウムおよびホウ酸を加えることにより、試料のpHをアルカリ性にすることを含む、[11〕に記載の分析方法。
【実施例0081】
以下に示す実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定解釈されるものではなく、各実施例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例も、本発明の範囲に含まれることとする。
【0082】
[試薬]
実施例において使用した試薬を以下に示す。
【0083】
(1)ペルオキソ試薬
約400mLの純水に、ペルオキソ二硫酸カリウム5.0g、ホウ酸4.0g、および塩化ナトリウム0.5gを加えて溶解させた後、5N-NaOH 5.0mLを加え、次いで純水で500mLにメスアップした。
【0084】
(2)キレート剤試薬
約600mLの純水に、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム7.5gを加えて溶解させ、80g/L水酸化ナトリウムでpH10に調整し、純水で1000mLにメスアップした。
【0085】
(3)アルカリ試薬
約800mLの純水に、ホウ酸30g、および水酸化ナトリウム30gを溶解させ、純水で1000mLにメスアップした。得られた溶液に、20% Triton-100を2mL添加し、穏やかに攪拌した。
【0086】
(4)硫酸試薬
約800mLの純水に、濃硫酸1mL、およびペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム0.1gを溶解させ、純水で1000mLにメスアップした。得られた溶液に、20% Triton-100を4mL添加し、穏やかに攪拌した。
【0087】
(5)サリチル酸試薬
約400mLの純水に、酒石酸ナトリウム10g、水酸化ナトリウム30g、ホウ酸30g、およびサリチル酸ナトリウム50gを溶解させ、純水で500mLにメスアップした。
【0088】
(6)次亜塩素酸試薬
約400mLの純水に、次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素約10%の市販品)25mL、および水酸化ナトリウム5gを溶解させ、純水で500mLにメスアップした。
【0089】
[装置]
図3に示す流れ分析装置(CFA)を使用した。当該流れ分析装置は、試料を管路7に導入する試料導入部と、前記試料を分解加熱槽内に30分間流すことにより、試料中の全窒素を硝酸イオンとする前処理部13と、前記前処理を経て前記管路7を移送される試料に対して窒素による気泡分節を行う気泡分節部と、前記管路7内を移送される試料の流れの中にキレート剤試薬を添加するキレート剤導入部と、窒素の気泡により分節された各セグメント内で、試料と添加されたキレート剤試薬とを混合する混合コイル11と、前記管路7内を移送される試料中の硝酸イオンを還元してアンモニウムイオンとする還元部2と、前記還元部を経て前記管路7内を移送される試料を混合する混合コイル11と、前記管路7内を移送されるアンモニウムイオンを含む試料の流れの中にアルカリ試薬を添加する試薬導入部と、窒素の気泡により分節された各セグメント内で、試料と前記アルカリ試薬とを混合する混合コイル11と、混合コイル11を経て前記管路7内を移送されるアンモニアを含む試料にデバブルを行い、デバブルにより気体を除いた試料に対して空気による気泡分節を行う気泡分節部と、空気の気泡により分節された各セグメント内で、試料を混合する混合コイル11と、前記アルカリ試薬の添加により発生したガス状のアンモニアを透過させ分離するガス透過部6と、透過したガス状のアンモニアを空気で分節された硫酸試薬に吸収させるアンモニアガス吸収部14と、アンモニアガスを吸収した前記硫酸試薬の流れの中にサリチル酸試薬を添加する試薬導入部と、空気で分節された各セグメント内で、試料とサリチル酸試薬を混合する混合コイル11と、さらに管路7内を移送される試薬に次亜塩素酸試薬を添加する試薬導入部と、空気で分節された各セグメント内で、試料と前記次亜塩素酸試薬とを混合する混合コイル11と、試料中のアンモニウムイオンとサリチル酸と次亜塩素酸とを反応させる加熱槽9と、試料中のアンモニウムイオンを分析する分析部(呈色反応部および検出部)と、を含む装置であった。分析部には、フローセル式の吸光光度計(ビーエルテック株式会社製、SCIC3000)を使用した。フローセル10のセル長は50mmであり、波長660nmにて測定を行った。当該流れ分析装置は、試料を管路に導入する試料導入工程から、アンモニウムイオンを含む受流試料中のアンモニウムイオンを分析する分析工程に至る、全ての工程を自動で行った。
【0090】
前処理部における分解加熱槽の温度は120℃、圧力は0.14MPaとした。
【0091】
前記加熱槽9は、混合コイルが加熱槽内に配置されており、加熱槽9内の温度を45℃とした。
【0092】
また、還元部2の還元部材としては、内側を銅で被覆した中空の亜鉛管を使用した。当該中空の亜鉛管としては、長さ380mm、内径1.2mm、外径2.0mmの管を螺旋状に巻いたコイルを使用した。銅被覆の厚さは10μm~20μmであった。また、コイル径(外直径)は30mmであった。
【0093】
[実施例1:標準液の測定]
硝酸態窒素(硝酸イオン)の濃度が、それぞれ、1.00mg/L、0.50mg/L、0.25mg/L、0.10mg/L、0.01mg/Lとなるように標準液を調製し、流れ分析装置に導入して、流れ分析を行った。各濃度の硝酸態窒素の測定チャートを、図5示す。測定結果として検量線を、図6示す。
【0094】
図6に示すように、相関係数0.9998の検量線を得ることができた。この結果より、0.01~1.00mg/Lの範囲のいずれの濃度においても、硝酸態窒素(硝酸イオン)における全窒素が正確に測定されることが分かった。
【0095】
[実施例2:標準液の測定]
アンモニア態窒素(アンモニウムイオン)および硝酸態窒素(硝酸イオン)を、それぞれ1mg/Lとなるよう標準液を調製し、流れ分析装置に導入して、流れ分析を行った。測定チャートを、図7に示す。
【0096】
図7より、アンモニア態窒素および硝酸態窒素は、同じピークとして測定されることが分かった。この結果より、アンモニア態窒素および硝酸態窒素は、共に、ペルオキソ二硫酸カリウムによって全て硝酸に酸化され、還元部を経ることによってアンモニアまで還元されて、正確に測定されることが分かった。本流れ分析装置および本法の適用において、窒素の状態の違いによる窒素分の測定結果の差異は生じないことが確認できた。
【0097】
[実施例3:従来法との比較]
全窒素測定における、銅・カドミウムコイルを用いたナフチルエチレンジアミン吸光光度法(以降、従来法)との互換性を担保するため、同一の試料を測定し、結果の比較を行った。測定試料には、河川水、沢水、池水、工業用水、余水、排ガス洗浄装置:工場排水、流入水、排水処理槽:工場排水、地下水、活性イオン水、浸出水、曝気槽1号槽:工場排水、工場内:放流水、海水、処理水を用いた。結果を表1に示す。
【0098】
【表1】
【0099】
表1に示す通り、本法および従来法の測定結果は、同等の結果を示した。この結果より、本法は、従来法と同様に、排水や環境水中の全窒素の測定が可能であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明によれば、環境汚染の原因となるカドミウムを用いることなく、且つ、測定精度が良い、試料中の全窒素の連続的な分析装置および分析方法を提供することができる。
【0101】
このような構成によれば、環境への負荷を低減することができる。これにより、持続可能な開発目標(SDGs)の目標14・15の達成に貢献できる。
【符号の説明】
【0102】
1 試料導入部
2 還元部
3 分析部
4 気泡分節部
5 試薬導入部
6 ガス透過部
7 管路
8 キャリヤー導入部
9 加熱槽
10 フローセル
11 混合コイル
12 PTFE多孔質フィルター
13 前処理部
14 アンモニアガス吸収部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8