(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021044
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】詰替えキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20250205BHJP
B65D 41/34 20060101ALI20250205BHJP
B65D 47/36 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
B65D47/08
B65D41/34
B65D47/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124740
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【弁理士】
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】古原 裕嗣
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB01
3E084CB02
3E084DA01
3E084DB17
3E084FA09
3E084FB01
3E084GB08
3E084KB01
3E084LB02
(57)【要約】
【課題】替え作業中における内容液の漏れ、液だれ又は泡立ちといった問題の発生を抑制し、内容液の詰替え作業を容易にできるようにした詰替えキャップを創出することを課題とする。
【解決手段】詰替え容器50の口部51に装着されるキャップ本体10と、前記詰替え容器50の上部を覆う蓋体20と、内容液の注出及びその停止を制御する開閉弁30と、該開閉弁30に対して上下動可能に設けられて前記内容液を注出する注出筒部40と、を有する詰替えキャップであって、開閉弁30は、弾性変形可能に設けられた複数の弁板部34を有して構成され、前記注出筒部40に、前記詰替え容器50を被詰替え容器60に連結したときには前記複数の弁板部34を変形させて前記内容液の注出を可能とし、前記連結を解除したときには前記複数の弁板部34を復帰させて前記内容液の注出を停止させる注出制御機構を設けた構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
詰替え容器(50)の口部(51)に装着されるキャップ本体(10)と、前記詰替え容器(50)の上部を覆う蓋体(20)と、内容液の注出及びその停止を制御する開閉弁(30)と、該開閉弁(30)に対して上下動可能に設けられて前記内容液を注出する注出筒部(40)と、を有する詰替えキャップであって、
開閉弁(30)は、弾性変形可能に設けられた複数の弁板部(34)を有して構成され、
前記注出筒部(40)に、前記詰替え容器(50)を被詰替え容器(60)に連結したときには前記複数の弁板部(34)を変形させて前記内容液の注出を可能とし、前記連結を解除したときには前記複数の弁板部(34)を復帰させて前記内容液の注出を停止させる注出制御機構が設けられていることを特徴とする詰替えキャップ。
【請求項2】
注出制御機構が、複数の弁板部(34)を形成するスリット(35)と、注出筒部(40)の下端面(47)とを有して構成されている請求項1記載の詰替えキャップ。
【請求項3】
注出制御機構が、注出筒部(40)の下端面(47)に突設されると共に隣接する弁板部(34)間に跨る状態で対向配置された段部(46)を有する請求項2記載の詰替えキャップ。
【請求項4】
注出筒部(40)を構成する筒部本体(41)の外周面に、縦溝(43)と前記筒部本体(41)を径方向に抜ける連通孔(44)が形成されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の詰替えキャップ。
【請求項5】
開閉弁(30)がキャップ本体(10)と一体に形成されている請求項1又は2記載の詰替えキャップ。
【請求項6】
開閉弁(30)が弾性変形可能な軟質材で形成されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の詰替えキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詰替えキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ洗浄剤や消臭剤等の内容液は、時間の経過と共に容量が減少していくことから、内容液の残量が少なくなった場合には、別途市販されている詰替え容器から新たな内容物を移し替えて被詰替え容器(詰替えるべき容器)を再利用することが行われるが、この際には詰替え容器に取り付けた詰替えキャップを利用することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の詰替えキャップでは、詰替え容器を倒立姿勢にして被詰替え容器と連結する際に内容液が漏れ出したり、液だれによって床等を汚してしまったり、あるいは詰替え中に内容液が泡立ってしまったり、といった問題が起こっていた。
【0005】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、詰替え作業中における内容液の漏れ、液だれ又は泡立ちといった問題の発生を抑制し、内容液の詰替え作業を容易にできるようにした詰替えキャップを創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の第1の手段は、
詰替え容器の口部に装着されるキャップ本体と、前記詰替え容器の上部を覆う蓋体と、内容液の注出及びその停止を制御する開閉弁と、該開閉弁に対して上下動可能に設けられて前記内容液を注出する注出筒部と、を有する詰替えキャップであって、
開閉弁は、弾性変形可能に設けられた複数の弁板部を有して構成され、
前記注出筒部に、前記詰替え容器を被詰替え容器に連結したときには前記複数の弁板部を変形させて前記内容液の注出を可能とし、前記連結を解除したときには前記複数の弁板部を復帰させて前記内容液の注出を停止させる注出制御機構が設けられていることを特徴とする、と云うものである。
本発明の主たる手段では、詰替え容器を被詰替え容器に連結した場合にのみ開閉弁が開く構成としたことから内容液の漏れを防止できる、また連結を解除すると開閉弁が閉塞する構成としたことから内容液の液だれを抑制することができる。
【0007】
また本発明の第2の手段は、上記第1の手段に、注出制御機構が、複数の弁板部を形成するスリットと、注出筒部の下端面とを有して構成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、開閉弁を構成する弁板部の開閉動作を、詰替え容器と被詰替え容器の連結及その解除に連動させることができる。
【0008】
また本発明の第3の手段は、上記第2の手段に、注出制御機構が、注出筒部の下端面に突設されると共に隣接する弁板部間に跨る状態で対向配置された段部を有する、との手段を加えたものである。
上記手段では、段部が弁板部を押し込むため、弁板部を確実に開閉させることができる。
【0009】
また本発明の第4の手段は、上記第いずれかの手段に、注出筒部を構成する筒部本体の外周面に、縦溝と前記筒部本体を径方向に抜ける連通孔が形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、容器の内外の間における空気置換を縦溝及び連通孔を介して行うことができるため、詰替え作業時における内容液の泡立ちを抑制することができる。
【0010】
また本発明の第5の手段は、上記第1又は第2の手段に、開閉弁がキャップ本体と一体に形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、部品点数の少なくすることで、製造コストを低減することができる。
【0011】
また本発明の第6の手段は、上記第1又は第2の手段に、開閉弁が弾性変形可能な軟質材で形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、キャップ本体を形成する成形金型の構成が複雑化することを避けることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、詰替え容器を被詰替え容器に連結すると開閉弁が開き、また連結を解除すると開閉弁が閉じる構成としたことから、詰替え作業中における内容液の漏れ、液だれ又は泡立ちといった問題の発生を抑制し、内容液の詰替え作業を容易とすることができる
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施例を示し、(a)は詰替えキャップを示す縦断面図、(b)は開閉弁の拡大平面図である。
【
図2】連結前の状態を示す詰替えキャップの縦断面である。
【
図3】詰替時の状態を示す詰替えキャップの縦断面である。
【
図4】詰替え終了時の状態を示す詰替えキャップの縦断面である。
【
図5】本発明の第2実施例を示し、(a)は詰替えキャップを示す縦断面図、(b)は開閉弁の拡大平面図である。
【
図6】第2実施例における詰替時の状態を示す詰替えキャップの縦断面である。
【
図7】本発明の第3実施例を示し、(a)は詰替えキャップを示す縦断面図、(b)は開閉弁の拡大平面図である。
【
図8】第3実施例における詰替時の状態を示す詰替えキャップの縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
最初に、本発明の詰替えキャップの構成について説明する。
図1は本発明の第1実施例を示し、(a)は詰替えキャップを示す縦断面図、(b)は開閉弁の拡大平面図、
図2は連結前の状態を示す詰替えキャップの縦断面、
図3は詰替え時の状態を示す詰替えキャップの縦断面、
図4は詰替え終了時の状態を示す詰替えキャップの縦断面である。尚、
図1(a)に示される開閉弁の断面図は、
図1(b)のIa-Ia線におけるに相当している。
尚、以下においては、キャップ本体10の中心を通るキャップ軸Oに沿う方向を軸方向、上下方向又は高さ方向と称し、キャップ軸Oに直交する方向を径方向、キャップ軸Oの周りを周回する方向を周方向と称して説明する。
【0015】
詰替えキャップAは、後述する開閉弁30を有して詰替え用の内容液を収容する詰替え容器50の口部51に装着されるキャップ本体10と、ヒンジ部19を介して回動可能に連結されてキャップ本体10の上部を覆う蓋体20と、キャップ本体10に取り付けられて内容液を注出する注出筒部40とを有して構成され、これらは合成樹脂からなる成形品として形成されている。
尚、本実施例においては、合成樹脂製から成る有底筒状の詰替え容器50を示して説明するが、その他例えばガラス製、金属製、陶器製などその他の材質から成る容器であっても良い。
【0016】
キャップ本体10は、内周面に詰替え容器50の口部外周面に形成された雄ネジ52に螺合する雌ネジ12が形成された円筒状の外壁部11と、外壁部11の上端に径方向内側に延設された内フランジ部13と、内フランジ部13の内側に設けられた注出孔14と、内フランジ部13の内周面に延設されて注出孔14内に配置された開閉弁30と、内周面に液回収溝15aを有して内フランジ部13の上面に周立設された筒部15と、内フランジ部13の縁部下端に垂下設されたシール筒部16と、内フランジ部13の径方向外側の上面に周設されて閉蓋時に蓋体20を係止する係止部17と、を有して一体に形成されている。
【0017】
図1(b)に示すように、第1実施例に示す開閉弁30は、キャップ本体10と共に一体に形成された合成樹脂成形品であり、内容液の注出及びその停止を行う。開閉弁30は、シール筒部16の上部内周面に一端31が連設された円弧状の複数(本実施例では4本)の支持部33と、支持部33の他端(径方向内側の端部)32に接続された薄板状の複数(本実施例では4枚)の弁板部34と、を有して一体に形成されている。隣接配置された各弁板部34の間には、2本のスリット35が十字状に配置されており、各弁板部34は円弧状の各支持部33の他端32に片持ち状態で水平に支持されている。支持部33の他端32の下面には肉薄部36が形成されており、弁板部34は肉薄部36を支点に弾性変形することで詰替え容器50の内部方向に向かって屈曲変形可能に構成されている。
【0018】
蓋体20は、天面21と、天面21の縁部に垂下設された円筒状の上側壁部22と、上側壁部22の下端部に径方向外側に向かって延設された外フランジ23と、外フランジ23の外周部の垂下設された下側壁部24と、下側壁部24の外周下端で且つヒンジ部19と軸対称となる位置に形成された摘み片25とを有し、キャップ本体10と一体に成形されている。上側壁部22の下端部には、蓋体20を閉蓋状態としたときに、キャップ本体10の筒部15の内面に対して密嵌合する嵌合部26が延設されている。また下側壁部24の下端部内面には、閉蓋時に係止部17に係止される被係止部27が形成されている。
【0019】
注出筒部40は、円筒状の筒部本体41と、この筒部本体41の外周面に周突設されたフランジ部42とを有すると共に、筒部本体41の外周面の複数(本実施例では4箇所)の位置には縦溝43が形成されている。更に縦溝43の上端(筒部本体41の上端)には、筒部本体41を径方向に抜け、筒部本体41の外部と内部との間を連通させる連通孔44が形成されている。
【0020】
また筒部本体41の下端面47で、キャップ軸Oに対して軸対称となる2箇所の位置には連結ピン45が夫々突設されている。連結ピン45の下端部の外周面には、アンダーカット状から成る抜け止め突起(図示せず)が形成されている。
【0021】
注出筒部40は一対の連結ピン45の下端を、十字状のスリット35のうち、一方のスリット35の径方向外側の両端部の位置において開閉弁30の上側から下側に向かって夫々突出させることにより、開閉弁30に対して上下動可能に組み付けられている。組み付け後の状態では、連結ピン45に下端に設けられた図示しない抜け止め突起によって、注出筒部40は開閉弁30に対して分離不能の状態にある。
また組み付け後の初期状態では、フランジ部42は開閉弁30の上面から離れて液回収溝15aに対向する位置にあり、キャップ軸Oに沿って対向する注出筒部40のフランジ部42と開閉弁30との間には隙間Sが形成されている。
【0022】
次に、上記構成から成る詰替えキャップを利用した詰替え操作について、詰替えキャップを装着した詰替え容器と被詰替え容器とを用いて説明する。
内容液を詰替え容器50から被詰替え容器60に移し替えるには、最初に
図2に示すように、蓋体20を開蓋状態にして注出筒部40を露出させると共に倒立状態とする(連結前の状態)。続いて、
図3に示すように、被詰替え容器60の口筒部61に注出筒部40の先端を挿入し、詰替え容器50と被詰替え容器60とを連結させる(詰替え時)。
【0023】
ここで、被詰替え容器60の口筒部61には、下方の内部に向かって徐々に細くなるように構成された縮径部63を備える構成が好ましい。
図2に示すように、縮径部63は口筒部61に装着される中栓64を有する構成としても良いし、口筒部61の内周面に縮径部63が形成される構成でも良い。
【0024】
尚、開閉弁30は、内容液の重量が作用した程度では変形せず、ある程度以上の大きな力が作用した場合に変形するように設計されている。このため、詰替え容器50を倒立姿勢にしても内容液の漏出が抑制されている。
【0025】
図3に示すように、注出筒部40を被詰替え容器60の口筒部61に挿入すると、最初に注出筒部40の先端を縮径部63に当接させることができる。この状態から、更に大きな力を加えて詰替え容器50を下方に押し込むと、縮径部63に当接している注出筒部40はその場に留まってこれ以上移動しないが、隙間Sが解消され、相対的に図示上方(詰替え容器50の内部方向)に移動した注出筒部40のフランジ部42が開閉弁30に当接しようとする。なお、詰替え時の空気置換の通路を確保(隙間を形成)するため、筒部15の先端は中栓64の上面部65に近接した位置で停止する。
【0026】
この際、連結ピン45もスリット35内を相対的に図示上方(詰替え容器50の内部方向)に移動し、注出筒部40の下端面47がスリット35を押し上げる。これにより、弁板部34は肉薄部36を支点に弾性変形させられ、詰替え容器50の内部方向に向かって屈曲変形するため、注出孔14を開放させることができる(開閉弁30の開状態)。よって、注出孔14を通じて内容液を詰替え容器50から被詰替え容器60に詰替えることが可能となる。
【0027】
この際、詰替え容器50の内部と外部との間における空気置換を、注出筒部40に形成されている連通孔44及び縦溝43、筒部15の先端と中栓64の上面部65との隙間を介して行うことができるため、泡の発生を抑制することができ、内容液の詰替え作業を容易且つ効率的に行うことが可能となる。
【0028】
図4に示すように、内容液の詰替えが終了した後は、詰替え容器50を上方に移動させて、注出筒部40を被詰替え容器60の口筒部61から抜脱させ、詰替え容器50と被詰替え容器60との連結を解除する。すると、弾性変形させられていた弁板部34が元の水平な形状に復帰しようとするため、注出孔14を閉塞して内容液の注出を停止させることができ(開閉弁30の閉状態)、更には内容液の液だれをも抑制することが可能となる(詰替え終了時)。
【0029】
尚、詰替え容器50と被詰替え容器60との連結を解除すると、
図4に示すように、弁板部34が注出筒部4の下端面47を押し下げるため、注出筒部40を隙間Sが設けられた初期状態に戻すことができる。
詰替え終了後、詰替え容器50は
図1に示す正立姿勢に戻される。この際、内容液が詰替え中に筒部15と筒部本体41との間に入り込んでいた場合には、液回収溝15a及びスリット35を介して詰替え容器50内に戻される。
以上のように注出筒部40の下端面47は、弁板部34を弾性変形させて開閉弁30の開閉を制御する注出制御機構としての機能を有している。
【0030】
次に、本発明の第2実施例について説明する。
図5は本発明の第2実施例を示し、(a)は詰替え容器を示す縦断面図、(b)は開閉弁の拡大平面図、
図6は第2実施例における詰替時の状態を示す詰替え容器の縦断面である。
【0031】
第2実施例に示す詰替えキャップAが、上記第1実施例の詰替えキャップAと大きく異なる点は開閉弁の構成にある。よって、以下においては主として開閉弁を中心に、上記第1実施例と同一部材については同一の符号を付して説明する。
【0032】
第2実施例に示す開閉弁30は、例えばシリコーンゴム等の弾性変形可能な軟質材で形成された肉薄円板状の部材であり、円板に十字状に形成した2本のスリット35と、これらのスリット35により分離された4枚の弁板部34と、弁板部34の径方向外側に配置されるリング状の基端部37とを有し、弁板部34と基端部37とは下面に周設された肉薄部36を介して連設されている。また基端部37の下面には円筒状のシール部38が形成されている。
【0033】
図5(a)に示すように、開閉弁30は、キャップ本体10の内フランジ部13の下面と詰替え容器50の口部51の上端との間に基端部37を挟み込むと共に、シール部38の外周面を口部51の内周面に密嵌合させた状態で装着されている。そして、第1実施例同様に、注出筒部40の一対の連結ピン45を、一方のスリット35の径方向外側の両端部の位置において開閉弁30の上側から下側に向かって夫々突出させることにより、注出筒部40は開閉弁30に対して上下動可能に組み付けられている。
【0034】
よって、第1実施例同様の詰替え操作(
図2乃至
図4参照)を行うことにより、内容液の詰替えを行うことが可能である。特に
図6に示すように、第2実施例においても、上記第1実施例同様に、詰替え時には、注出筒部40の下端面47が、弁板部34を押し上げて詰替え容器50の内部方向に向かって屈曲変形させるため、注出孔14を開放させることが可能である(開閉弁30の開状態)。よって、上記第1実施例同様に、注出孔14を通じて内容液を詰替え容器50から被詰替え容器60に容易に詰替えることができる。
このように第2実施例においても、注出筒部40の下端面47は弁板部34を弾性変形させて開閉弁30の開閉を制御する注出制御機構としての機能を有する。
【0035】
続いて、本発明の第3実施例について説明する。
図7は本発明の第3実施例を示し、(a)は詰替えキャップを示す縦断面図、(b)は開閉弁の拡大平面図、
図8は第3実施例における詰替時の状態を示す詰替え容器の縦断面である。
【0036】
第3実施例に示す詰替えキャップAが、上記第1、第2実施例の詰替えキャップAと大きく異なる点は開閉弁30と注出筒部40の構成にある。よって、以下においては主として開閉弁30及び注出筒部40を中心に、上記第1、第2実施例と同一部材については同一の符号を付して説明する。
【0037】
図7(a)に示すように、第3実施例に示す詰替えキャップAでは、第2実施例同様に、開閉弁30が弾性変形可能な軟質性のゴム材で形成された薄板円形状の部材に2本のスリット35を十字状に形成し、4つに分離された4枚の弁板部34を有して構成されている。ただし、弁板部34の径方向外側の外周端部が内フランジ部13の縁部下端に垂下設されたシール筒部16の内周面に対して一体的に連設されている点が、上記第2実施例の構成と異なっている。尚、シール筒部16と開閉弁30との間の連設は、例えば二色成形法などにより行うことが可能である。
【0038】
また第3実施例では、一対の段部(注出制御機構)46が、注出筒部40の下端面47に所定の高さ寸法を有して軸対称に突設されている点が、上記第1及び第2実施例と異なる。第3実施例では、
図7(b)にハッチングで示すように、一対の段部46は夫々約1/4周分の周長を有すると共に、注出筒部40の下方の位置に周方向に隣接配置された一対の弁板部34の間に跨る状態で夫々対向配置されている。
【0039】
第3実施例においても、第1及び第2実施例同様に、注出筒部40の一対の連結ピン45を、一方のスリット35の径方向外側の両端部の位置において開閉弁30の上側から下側に向かって夫々突出させることにより、注出筒部40は開閉弁30に対して上下動可能に組み付けられているが、組み付けた初期状態において、一対の段部46の下端は一対の弁板部34の上面に跨る状態で夫々当接している。
【0040】
第3実施例においても、上記第1及び第2実施例同様の詰替え操作(
図2乃至
図4、
図6参照)を行うことにより、内容液の詰替えを行うことが可能である。
特に第3実施例では、
図8に示すように、注出筒部40を被詰替え容器60の口筒部61に挿入し、注出筒部40の先端を縮径部63に当接した後、更に大きな力を加えて詰替え容器50を下方に押し込むと、筒部15の先端が中栓64の上面部65に当接すると共に隙間Sが解消され、相対的に図示上方(内部方向)に移動した注出筒部40の下端面47に設けられている一対の段部46が開閉弁30を構成する一対の弁板部34に当接する。
【0041】
これにより、一対の弁板部34が詰替え容器50の内部方向に向かって押し上げられて屈曲変形(斜めに押し上げられながら変形)させられるため、注出孔14を開放させることができる(開閉弁30の開状態)。よって、上記第1及び第2実施例同様に、注出孔14を通じて内容液を詰替え容器50から被詰替え容器60に容易に詰替えることが可能である。
【0042】
以上のように、第3実施例では、段部46が、弁板部34を弾性変形させて開閉弁30の開閉を制御する注出制御機構としての機能を有している。
【0043】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
例えば、上記各実施例では、開閉弁30が十字状に配置された2本のスリット35によって4枚の弁板部34を有する構成を示して説明したが、例えば3本、5本など3本以上のスリット35を放射状に配置することによって3枚以上の弁板部34を有する構成としても良い。
【0044】
また上記各実施例では、ヒンジ部19を支点に蓋体20が回動するヒンジキャップの場合を示して説明したが、蓋体20がキャップ本体10に螺着するネジキャップであっても良い。
【0045】
また上記各実施例では、詰替えキャップが装着される容器として有底筒状の詰替え容器50を示して説明したが、その他例えば口部付きのパウチ容器であっても良い。
【0046】
更に上記第1実施例では、開閉弁30がキャップ本体10と一体に形成される構成を示して説明したが、第2、第3実施例同様に軟質材により構成されていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、詰替えキャップの分野における用途展開を更に広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0048】
10 :キャップ本体
11 :外壁部
12 :雌ネジ
13 :内フランジ部
14 :注出孔
15 :筒部
15a:液回収溝
16 :シール筒部
17 :係止部
19 :ヒンジ部
20 :蓋体
21 :天面
22 :上側壁部
23 :外フランジ
24 :下側壁部
25 :摘み片
26 :嵌合部
27 :被係止部
30 :開閉弁
31 :一端
32 :他端
33 :支持部
34 :弁板部
35 :スリット
36 :肉薄部
37 :基端部
38 :シール部
40 :注出筒部
41 :筒部本体
42 :フランジ部
43 :縦溝
44 :連通孔
45 :連結ピン
46 :段部(注出制御機構)
47 :下端面(注出制御機構)
50 :詰替え容器
51 :口部
52 :雄ネジ
60 :被詰替え容器
61 :口筒部
63 :縮径部
64 :中栓
65 :上面部
A :詰替えキャップ
O :キャップ軸
S :隙間