(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021049
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】液体を検知するセンサー並びに前記センサーを含む液体供給装置及び液面計
(51)【国際特許分類】
G01F 23/292 20060101AFI20250205BHJP
G01F 23/68 20060101ALI20250205BHJP
G01F 23/263 20220101ALI20250205BHJP
【FI】
G01F23/292
G01F23/68
G01F23/263
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124748
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】509089409
【氏名又は名称】アクアシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145953
【弁理士】
【氏名又は名称】真柴 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 匡伸
(72)【発明者】
【氏名】座波 嘉春
(72)【発明者】
【氏名】林 正之
(72)【発明者】
【氏名】阪上 正昭
(72)【発明者】
【氏名】グエン タイン ティン
【テーマコード(参考)】
2F013
2F014
【Fターム(参考)】
2F013AA01
2F013BC01
2F013CA09
2F014AA10
2F014AA17
2F014AB02
2F014EA00
(57)【要約】
【課題】液体を検知するセンサーについて、誤検知を起こす可能性を低下させること。
【解決手段】液体を検知するセンサーであって、検知部に付着した液体を検知部から移動させるための部材を含むセンサー1により前記課題が解決できる。前記のような部材の例として例えば、検知部付近の領域においてその周囲を囲んだ壁を含む部材2が挙げられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を検知するセンサーであって、検知部に付着した液体を検知部から移動させるための部材を含むセンサー。
【請求項2】
前記センサーが、光センサー、静電センサー又はフロートスイッチである、請求項1に記載のセンサー。
【請求項3】
前記部材が、検知部付近の領域においてその周囲を囲んだ壁を含む、請求項1に記載のセンサー。
【請求項4】
前記部材の素材が、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂を含む、請求項1に記載のセンサー。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のセンサーを含む、液体供給装置。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載のセンサーを含む、液面計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を検知するセンサー並びに前記センサーを含む液体供給装置及び液面計の発明に関する。
【背景技術】
【0002】
液体の量を計測する場合に、光学センサーをはじめとしたセンサーが使用される場合がある。例えば、特許文献1は、電動灯油ポンプの発明を開示しており、灯油の供給量を制御するセンサーとして、フロートスイッチやフォトセンサーが使用されることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
灯油に限らず、センサーにより液体の量を計測する場合には、測定対象となる液体がセンサーに付着することによる誤作動が生じる場合があった。例えば、光センサーを用いて液体の量を計測する場合、液面が光センサーに到達する事でセンサーが液面の到達を検知し、これにより測定対象の液体が一定量供給されたことがわかる。一方で、当該液体の量が減少した場合には、液面の位置が低下して光センサーから離れるため、測定対象の液体の量が一定量よりも少なくなった事が解る。しかしながら、前記の場合において、液滴が光センサーの表面に残存すると、光センサーが誤検知を起こし、実際には光センサーの位置まで液面が到達していない場合にも一定量の液体が存在するような測定結果を出してしまう。したがって、前記のようなセンサーを用いた場合には、正確な液体の量を測定することが困難となる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、特定構造のセンサーにより上記課題が解決できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち本発明は、
[1]液体を検知するセンサーであって、検知部に付着した液体を検知部から移動させるための部材を含むセンサー、
[2]前記センサーが、光センサー、静電センサー又はフロートスイッチである、[1]に記載のセンサー、
[3]前記部材が、検知部付近の領域においてその周囲を囲んだ壁を含む、[1]に記載のセンサー、
[4]前記部材の素材が、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂を含む、[1]に記載のセンサー、
[5][1]~[4]のいずれかに記載のセンサーを含む、液体供給装置、並びに
[6][1]~[4]のいずれかに記載のセンサーを含む、液面計、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のセンサーにより、液体を検知するセンサーの表面に残存する液体の量を極力減らす事により、液体が誤検知される可能性を極力下げることができる。また、このようなセンサーを含む液体供給装置により、液体の供給量をより正確に制御できる。さらに、このようなセンサーを含む液面計により、タンク等の容器に収容された液体の量をより正確に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(A-1)光センサーの一形態を表す平面図、(A-2)(A-1)におけるA-B断面図、(B)静電センサーの一形態を表す正面図、(C-1)フロートスイッチの一形態を表す正面図及び(C-2)(C-1)におけるC-D断面図である。
【
図2】(A)本発明の部材の一形態の平面図、(B)(A)の部材の正面図、(C)(A)の部材を備えた光センサーである本発明のセンサーの一形態を表す平面図、(D)正面図及び(E)(A)におけるE-F断面図である。
【
図3】
図2のセンサーを用いて液体量を測定する状況を説明する模式図である。
【
図4】(A)静電センサーを用いた本発明のセンサーの一形態を表す正面図、(B)裏面図及び(C)(A)におけるG-H断面図である。
【
図5】(A)フロートスイッチを用いた本発明のセンサーの一形態を表す正面図及び(B)(A)におけるI-J断面図である。
【
図6】本発明のセンサーを備えた液体供給装置の模式図である。
【
図7】(A)本発明のセンサーを備えた液面計の正面図、(B)裏面図及び(C)(A)におけるK-L断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態及び態様に限定されず、本発明の技術的範囲内で種々の変更が可能であることは言うまでもない。また、文中における「上下」、「前後」及び「左右」は、各図面に記載の方向を意味する。
【0009】
本発明のセンサー1は、液体を検知するセンサーであって、検知部に付着した液体を検知部から移動させるための部材2を含むセンサーである。以下に、構成毎に詳細に説明する。
【0010】
1.センサーの検知方式
前記の通り本発明のセンサー1は、部材2を含んだ液体を検知するセンサーである。本発明のセンサーは、液体を検知できるセンサーであればその検知方式は特に制限されない。検知方式の具体例として、例えば、光センサー、静電センサー又はフロートスイッチが挙げられる。
【0011】
本発明のセンサーは、検知部に付着した液体を検知部から移動させるための部材を含んでいる。ここで、本発明における「検知部」とは、液体が接触することにより、液面の到達を検知するための箇所を意味する。
図1(A)には、光センサー3の一形態例が示されている。
図1(A)に示される光センサー3は、土台部31の上面に発光素子33及び受光素子34が備えられている。前記発光素子33及び受光素子34を覆うようにプリズム32が備えられている。前記プリズム32は、発光素子33と受光素子34との中間点から上方向に伸びた位置に頂点を有する傾斜面を有している。光センサーについて、本発明における「検知部」とは、前記プリズム32における傾斜面を含む領域(
図1(A-2)におけるRの領域)を指す。
【0012】
また、例えば、
図1(B)に静電センサー4の一形態例が示されている。
図1(B)に示される静電センサー4は、制御回路を含むハウジング41と、前記制御回路に接続され、前記ハウジング41から下方向に伸びた電極棒42からなっている。前記電極棒42の内部に、少なくとも2つの検出電極が上下方向に所定の間隔を空けて備えられている(図示せず)。静電センサー4について、本発明における「検知部」とは、前記電極棒42の部分を指す。なお、
図1(B)に示す静電センサーは、検知部としての電極が棒状で表現されているが、電極自体の形状として面の形状によるものを使用しても良い。なお、静電センサーの種類によっては、前記2つ以上の検出電極がそれぞれ別々の電極棒(すなわち2本以上の電極棒)に備えられているものもある。本発明のセンサーにおいては、前記のような電極棒が2本以上備えられている検出方式のものも使用可能である。なお、この場合においても検出電極が棒状で表現されているが、電極自体の形状として面の形状によるものを使用しても良い。
【0013】
さらに、図(C)には、フロートスイッチ5の一形態例が示されている。図(C)のフロートスイッチ5は、その内部にリードスイッチ51を含むロッド52と、前記ロッド52に沿って上下動可能に保持され、その内部に磁石(図示せず)を含んだフロート53を含んでいる。前記ロッド52は、前記フロート53の上下の動きに制限をかけるための上側ストッパー54と下側ストッパー55を含んでいる。フロートスイッチ5について、本発明における「検知部」とは、前記リードスイッチ51周囲のロッド52を含む領域を指す。
【0014】
2.部材2
本発明におけるセンサーは、検知部に付着した液体を検知部から移動させるための部材2を含んでいる。前記部材2の形態は、例えば、液面が上昇して液体が一旦検知部に接触し次いで液面が低下した際に、検知部の表面から液体を移動させ、言い換えれば検知部表面に残存する液滴の数を極力減少させ、好ましくは液滴を残さずに検知部表面から液体を除去できる部材であれば特にその形態は制限されない。
【0015】
前記のような部材2の具体的な形態例として、例えば、検知部付近の領域においてその周囲を囲んだ壁を含むものが挙げられる。なお、本発明において「検知部付近の領域」とは、「検知部」そのものが含まれることはもちろんのこと、「検知部」そのものではないが、「検知部」近傍の領域であって、後述するような壁を設けることにより「検知部」から液体を移動させることができる領域も含まれる。具体的な部材2の形態としては、例えば、
図2(A)及び(B)に示すような、中空の筒状が挙げられる。筒の内径及び筒の高さについては、検知部に付着した液体を検知部から移動させる事ができる事を条件として、センサー1が使用される環境、使用目的及びセンサーの検出方式等に応じて適宜調整可能である。
【0016】
3.本発明のセンサー
図2(C)~(E)には、
図1(A)の光センサー3に前記のような部材2が備えられたセンサー1の例が示されている。
図2のセンサー1は、光センサー3のプリズム32の一部を取り囲む壁としての部材2を含んでいる。
図1においては、部材2の壁の高さがプリズム32の途中まで、具体的にはプリズム32上側の傾斜が開始する点(検知部付近の領域)まで伸びている。しかしながら、このような壁の高さは、検知部に付着した液体を検知部から移動させる事ができる事を条件として、センサー1が使用される環境及び使用目的等に応じて適宜調整可能である。例えば、部材2の壁の高さを、プリズム32の全体を覆う高さにしても良い(図示せず)。なお、センサー1の取り付け位置、取り付ける際の方向によっては、プリズム32の全体を覆うことによってプリズム32表面に液体が到達しない場合もあり得る。このような場合には、部材2の壁面に圧力抜きの孔(図示せず)を空けても良い。また、部材2を光センサー3に取り付ける際には、部材2と光センサー3の土台部31とにねじ切りを行い、部材2と土台部31とをネジ締結することで固定しても良い。また、部材2とプリズム32との間の隙間(
図2(E)におけるL1)については、検知部に付着した液体を検知部から移動させる事ができる事を条件として、測定対象となる液体の種類及び使用環境等に応じて適宜調整可能である。例えば、部材2の内壁とプリズム32とが接触していても良い。
【0017】
前記部材2の素材は、検知部に付着した液体を検知部から移動させる事ができる素材である事を条件として特に制限されない。このような素材の具体例として、例えば、アルミ、ステンレス及び鉄等の金属素材、塩化ビニル、ポリプロピレン、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂等の樹脂素材、ガラス素材等が挙げられる。これら素材は、測定対象となる液体の種類、センサー1が使用される環境及び使用目的等に応じて適宜選択可能である。例えば、測定対象が親油性の液体、具体的には、ガソリンや灯油等の燃料である場合には、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂等の撥油性の素材を選択することがより好ましい。
【0018】
前記のような部材2を使用したセンサー1によって、検知部に液体を残存させない理由は明確ではないが、以下のような理由によるものと理解される。
図3(A)において、
図2のセンサー1が下向きに設置されており、上下方向に液面が変動する液体Lの量がセンサー1により測定される。液体Lの液面が上昇し
図3(B)のようにプリズム32と接触することにより、一定量の液体Lが供給された事が検知される。次いで、
図3(C)のように液体Lの液面が低下する際に、例えば、液体が親油性の液体でありかつ部材2が撥油性の素材からなっている場合、部材2によってプリズム32の表面に残存する液滴の量を極力減らし、好ましくは完全に除去することができる。
【0019】
図4は、
図1(B)の静電センサー4の検知部(電極棒42)の周囲を取り囲む壁を含む部材2が備えられたセンサー1を図示している。部材2は、例えば部材2の上側端部と電極棒42の上側とをそれぞれねじ切りして、ネジ締結することにより電極棒42に固定して良い。
図4において、前記壁の高さは電極棒42の全体を覆う高さとなっているが、測定対象となる液体の種類、使用される環境及び使用目的等に応じて適宜調整可能である。部材2と電極棒42との間の隙間についても、光センサー3の場合と同様に適宜調整可能である。部材2で電極棒42の全体を覆う場合、部材2の壁部に孔を開けても良い事は前記光センサー3の場合と同様である。また、静電センサーとして前記のような2本以上の電極棒が備えられているものを使用する場合には、それぞれの電極棒を覆う部材2を備えることができる。
【0020】
図5は、
図1(C)のフロートスイッチ5の検知部(リードスイッチ51周囲のロッド52を含む領域)周囲を囲む壁を含む部材2を備えたセンサー1を図示している。この場合、部材2は上側ストッパー54に固定しても良い。前記壁の高さが調整可能であることは、光センサー3や静電センサー4の場合と同様である。なお、部材2とフロート53の隙間については、フロート53の上下運動を過度に妨げない事を条件として、測定対象である液体の種類、使用環境及び使用目的等に応じて適宜調整可能である。また、必要に応じて部材2の壁に孔を開けても良い事は、光センサー3や静電センサー4の場合と同様である。さらに、フロートスイッチ5を使用する場合には、例えば、前記上側ストッパー54及び下側ストッパー55における少なくとも前記フロート53と接触する面を、部材2を構成する素材、例えば、対象となる液体が親油性の液体である場合においては、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂等の撥油性の素材とすることによって、フロート53と上側ストッパー54及び下側ストッパー55との間に残存する液体の量を減少させ、フロート53と上側ストッパー54及び下側ストッパー55とが互いに付着する恐れをより低くすることができる。
【0021】
本発明のセンサー1の測定対象となる液体の種類は、通常、このようなセンサーにより測定される液体のいずれも特に制限無く測定可能である。このような測定対象として、水及びアルコール等の親水性の液体や、ガソリン、灯油及びそのほかの有機溶媒のような親油性の液体が例示される。
【0022】
本発明のセンサー1が使用される対象としては、例えば、液体を供給する際に使用される液体供給装置や、燃料タンクやドラム缶等に代表される容器の液面を測定するための液面計が挙げられる。以下に、本発明のセンサー1を含む液体供給装置及び容器等に使用される液面計について説明する。
【0023】
4.液体供給装置
前記
図2(C)~(F)で表されるセンサー1を備えた液体供給装置の一形態例が、液体供給装置6として
図6に示されている。液体供給装置6は、握り部601と吐出パイプ602とを備えた本体に、液体供給レバー603により開閉される主弁604と、前記本体の一部が液に浸漬されたとき前記主弁604を閉弁させる自動閉弁機構605を備えている。自動閉弁機構605の作動ロッド606は、連結孔607を介して、前記液体供給レバー603に枢支されている。自動閉弁機構605のピストン608の下部には、圧縮コイルバネA609が備えられ、これによりピストン608が上方向に付勢されている。上方向に付勢されたピストン608の上面が、シリンダー610の内部上端面に設けられた押しボタンスイッチ611を押している。電池612が押しボタンスイッチ611を介して電磁弁613及びセンサー1に接続されている。本形態においては押しボタンスイッチ611が押されることにより電磁弁613及びセンサー1への電気が遮断され、一方で押しボタンスイッチ611が解放されることにより電磁弁613及びセンサー1に通電される。したがって、通常の状態では、ピストン608が圧縮コイルバネA609により上方向に付勢されて押しボタンスイッチ611が押されることにより電磁弁613が開放された状態となり、電磁弁613で閉じられていた開口部614が開口し、開口部614を介してシリンダー610とピストン608との間の空間(
図6における617)が外部と連通した状態になっている。
【0024】
前記液体供給レバー603を握り込む(上方向に押し上げられる)ことにより前記握り部601内部に備えられた主弁604を開閉するための主弁ロッド615が設けられている。主弁604には圧縮コイルバネB616が設けられており、主弁604が主弁ロッド615と共に下方向に付勢されることにより弁の閉じた状態が維持されている。
【0025】
液体供給装置6の使用者が、液体供給装置6の握り部601を握り、液体供給レバー603を握り込む。通常の状態では電磁弁613が開放された状態(言い換えれば、開口部614が開放された状態)であるため、ピストン608が上下方向に動くことができるため、主弁ロッド615と液体供給レバー603とが接触している点を支点として、てこの原理により作動ロッド606が下方向に押し下げられる。作動ロッド606が押し下げられた事により、ピストン608の上面により押し込まれていた押しボタンスイッチ611のボタンが解放され、電磁弁613及びセンサー1に通電される。電磁弁613に通電されることにより電磁弁613が閉じる(言い換えれば、開口部614が閉じられた状態)となる事により、空間617が密封され、作動ロッド606が一定の場所から下に下がらなくなる。
【0026】
前記空間617が密封されて作動ロッド606が固定された状態で、さらに液体供給レバー603を握り込むことにより、液体供給レバー603と作動ロッド606との接続点を支点として液体供給レバー603が上方向に持ち上がる。上方向に持ち上げられた液体供給レバー603により、圧縮コイルバネB616の付勢力に抗って主弁ロッド615が上方向に持ち上げられ、これにより主弁604が開放され液体の供給が開始する。
【0027】
供給された液体がタンク等の供給対象に差し込まれた吐出パイプ602に備えられたセンサー1の位置まで来ると、センサー1が液体を検出して電磁弁613を開放する信号を電磁弁613に送る。前記信号を受信した電磁弁613が開放されることにより空間617の密封状態が解かれ、ピストン608が上下方向に動くことができるため、主弁ロッド615と液体供給レバー603とが接触している点を支点として、てこの原理により作動ロッド606が下方向に押し下げられる。作動ロッド606が下方向に押し下げられると同時に、圧縮コイルバネB616により付勢されることで主弁604及び主弁ロッド615が下方向に押し下げられ、主弁604が閉じ、液体の供給が自動的にストップする。なお、このような動作機構を実現するために、当業者であれば圧縮コイルバネA609及び圧縮コイルバネB616のバネ力をそれぞれ適宜調整可能である。
【0028】
センサー1が液体を検知している間は、電磁弁613が開放された状態を保つため、液体供給レバー603を一旦解放して再度握り込んだとしても液体が供給されることはない。液体の供給が終了した後、液体供給装置6はホルダー等に戻される。液体供給装置6がホルダーに戻されると、電磁弁613が開放した状態が維持される。電磁弁613が開放された状態を維持することにより、ピストン608が圧縮コイルバネA609の付勢力により上方向に持ち上げられ、押しボタンスイッチ611のボタンを押す事により、自動閉弁機構605の電源をオフにする。
【0029】
前記のように液体供給装置6がホルダーに戻された際に、液滴がセンサー1のプリズム32に付着した状態では、センサー1が誤検知を起こし電磁弁613を解放し続けるため、再度液体の供給を開始できなくなる誤作動を起こす可能性がある。しかしながら、本発明の液体供給装置6のセンサー1はプリズム32表面から液体を移動させる部材2を含んでいるため、プリズム32表面において残存する液体の液滴の量を減少させ、好ましくは全く残存させないため、前記のような誤作動が起こる可能性が極力減少する。
【0030】
5.液面計
図7には、
図2(C)~(E)で表される本発明のセンサー1を備えた液面計7の一形態が示されている。
図7の液面計7は、後述する制御回路75及びLED73を収容する本体部71と、前記本体部71の内部と連通した中空のパイプからなる測定部72を含む。測定部72の内部には、本発明のセンサー1が複数(
図7においてはセンサー1、1’及び1’’の3つ)備えられている。前記各センサーは、リード線74を介して本体部71内部に備えられた制御回路75に接続されている。制御回路75には電池ボックス等の電源が備えられている(図示せず)。本体部71には、外部から視認可能となるように複数のLED73が備えられており、各LED73は制御回路75に接続されている。液面が到達したセンサー1の数に応じた数のLED73が点灯するように制御されている。
【0031】
前記液面計7を、例えばドラム缶等に差し込んで使用する場合、液面がいずれかのセンサー1に到達した場合、液体に浸漬したセンサー1の数だけLED73が点灯する。一方で、液体の量が減少し液面が低下することにより液体に浸漬するセンサー1の数が減少し、点灯するLED73の数も減少する。ここで、液面が低下した際に、液滴がセンサー1のプリズム32表面に残存すると液体量の誤検知が生じる。しかしながら、本発明の液面計7のセンサー1は光センサー3のプリズム32表面から液体を移動させる部材2を含んでいるため、プリズム32表面において残存する液体の液滴の量を減少させ、好ましくは残存させないため、前記のような誤検知が起こる可能性が極力減少する。
【0032】
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。なお、実施例が本発明の範囲に影響を与えないことは言うまでも無い。
【実施例0033】
1.実施例で使用する機器
(1)
図6に示す液体供給装置
(2)
図6の液体供給装置のセンサー1の代わりに普通の光センサー(言い換えれば、部材2を含まないセンサー)を使用した液体供給装置
(3)オシロスコープ
【0034】
2.試験方法
液体供給装置のセンサー1を前記オシロスコープに接続して、センサー1からの信号を測定できるようにした。センサーをオシロスコープに接続した後、液体供給装置の吐出パイプを、パイプ先端部のセンサーが浸漬するまで容器に貯蔵した灯油の液面に浸漬して、センサーからの信号が液体を検出した信号を出力するまで保持した。浸漬保持後、吐出パイプを灯油から取り出した。取り出し前から取り出し後におけるセンサーからの出力信号の変化をオシロスコープで測定した。上記試験を1サイクルとして、上記(1)及び(2)のそれぞれの液体供給装置について3サイクル行った(試験数n=3)。上記(1)に対する1~3回目の試験結果をそれぞれ実施例1~3とし、上記(2)に対する1~3回目の試験結果をそれぞれ比較例1~3とした。
【0035】
3.試験結果
各試験結果が
図8及び9のグラフに示されている。
図8における実施例1のグラフを例にとって、グラフの読み方を説明する。グラフのx軸は時間(秒)であり、y軸は電圧の値(V)である。グラフにおける点線は、上記各液体供給装置のセンサーに印加された電圧の値を示している。したがって、実施例1において、センサーに対して約5Vの電圧(以下、便宜上「ベース電圧」とする)が印加されている。一方実線で記載されたグラフは、灯油に浸漬された状況から、灯油から取り出されるまでのセンサーから出力された電圧の値が時系列で示されている。グラフにおいて、試験開始時は灯油に浸漬された状態であり、センサーから出力される電圧の値が0V近くの値である一方で、灯油から取り出された後はセンサーから出力される電圧の値がベース電圧近くに変化する。したがって、約0Vからベース電圧近くまでの電圧変化が急激であり、ベース電圧近くの値が持続しされるほど、センサーの表面に残存する液滴の量が少なく、言い換えればセンサーが誤検知を起こしていないことを意味する。
【0036】
実施例1~3のグラフにおいては、いずれも、0Vからベース電圧である5V近くの値への変化が急激であり、ベース電圧近くの値が維持されている。したがって、実施例1~3のいずれにおいても、浸漬後におけるセンサー1に灯油の液滴が残存せず、誤検知を起こしていないことが解る。
【0037】
一方で、比較例1~3においては、0Vからベース電圧(約4.5V)へと変化するもののその値が時間と共に激しく変動し安定しない場合(比較例1及び2)や、そもそも電圧の値がベース電圧近くまで上昇しない場合(比較例3)があった。したがって、部材2を用いていない従来の光センサーを用いた場合には、液滴がセンサー表面に残存することによる誤検知を起こしていることがわかった。
本発明のセンサーにより、センサーの誤検知を起こす可能性が著しく低くなった。したがって、このようなセンサーを用いた機器の開発に大いに役立ち、液体供給装置や液面計等新たな用途に適用できるようになった。