(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021058
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/46 20060101AFI20250205BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20250205BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20250205BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/32
H02J7/35 K
H02J3/38 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124757
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】722010585
【氏名又は名称】セトラスホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100120499
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 淳
(72)【発明者】
【氏名】篠原 亘
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066AA02
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA04
5G066JA05
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】直流電力で作動する第1の設備群と交流電力で作動する第2の設備群の電力需要量を事前に予測し、第1の設備群と第2の設備群へ最適に電力を割り振る。
【解決手段】制御システムにおいて、プロセッサ210は、第1の電力需要予測部210bと、第2の電力需要予測部210cと、発電量予測部210dと、給電制御部210eと、を備え、第1の電力需要予測部210bは、直流電力で作動する第1の設備群の電力需要量である第1の電力需要量を予測する。第2の電力需要予測部210cは、交流電力で作動する第2の設備群の電力需要量である第2の電力需要量を予測する。発電量予測部210dは、第1の設備群及び第2の設備群に給電する太陽光パネル102の発電量を予測する。給電制御部210eは、第1の電力需要量、第2の電力需要量および太陽光パネル102の発電量に基づいて、第1の設備群及び第2の設備群に対する給電を制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力で作動する第1の設備群の電力需要量である第1の電力需要量を予測する第1の電力需要予測部と、
交流電力で作動する第2の設備群の電力需要量である第2の電力需要量を予測する第2の電力需要予測部と、
前記第1の設備群及び前記第2の設備群に給電する太陽光パネルの発電量を予測する発電量予測部と、
前記第1の電力需要量、前記第2の電力需要量、および前記太陽光パネルの前記発電量に基づいて、前記第1の設備群及び前記第2の設備群に対する給電を制御する給電制御部と、
を備える、制御システム。
【請求項2】
前記太陽光パネルが発電した電力を前記第2の設備群よりも前記第1の設備群へ優先的に給電し、前記太陽光パネルが発電した電力の余剰分を前記第2の設備群に給電する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記給電制御部は、前記発電量が前記第1の電力需要量以下の場合、前記太陽光パネルが発電した電力を前記第1の設備群のみに給電する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記給電制御部は、前記発電量が、前記第1の電力需要量より大きく、前記第1の電力需要量と前記第2の電力需要量の合計以下の場合、前記太陽光パネルが発電した電力を優先的に前記第1の設備群に給電し、前記太陽光パネルが発電した電力の余剰分を前記第2の設備群に給電する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項5】
前記給電制御部は、前記発電量が前記第1の電力需要量と前記第2の電力需要量の合計より大きい場合、前記太陽光パネルが発電した電力を前記第1の設備群及び前記第2の設備群に給電し、前記太陽光パネルが発電した電力の余剰分を蓄電池に給電して蓄電させる、請求項1に記載の制御システム。
【請求項6】
前記給電制御部は、前記発電量が、前記第1の電力需要量より大きく、前記第1の電力需要量と前記第2の電力需要量の合計以下の場合、蓄電池に蓄電された電力を前記第2の設備群に給電する、請求項4に記載の制御システム。
【請求項7】
太陽光を受けて発電する前記太陽光パネルと、
前記太陽光パネルが発電した電力が給電される前記第1の設備群と、
前記太陽光パネルが発電した電力が給電される前記第2の設備群と、
を更に備える、請求項1に記載の制御システム。
【請求項8】
前記太陽光パネルが発電した電力を蓄電する前記蓄電池を更に備える、請求項5又は6に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光パネル、燃料電池による実際の発電量に応じて、直流負荷に優先的に直流電力を供給し、その次にパワーコンディショナによって交流負荷に優先的に交流電力を供給し、最後に交流電力系統に交流電力を供給することを想定した技術が公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽光による発電量は、天候、日照などの影響を受けて変動する。また、太陽光により発電した電力を、直流電力で作動する設備と交流電力で作動する設備の双方に割り振る場合、双方の設備における電力需要量も時々刻々と変動する。
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載された技術は、実際の発電量に応じて、直流負荷、交流負荷の順で電力を供給し、最終的に交流負荷の電力供給量の不足分を交流電力系統で補填するものであり、直流負荷と交流負荷の将来的な電力需要量の変動を考慮していない。このため、将来的な電力需要量の変動に応じて直流負荷と交流負荷のそれぞれに最適に給電することは困難である。
【0006】
上記課題に鑑みて、本開示の目的は、直流電力で作動する第1の設備群と交流電力で作動する第2の設備群の電力需要量を事前に予測し、第1の設備群と第2の設備群へ最適に電力を割り振ることが可能な制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0008】
(1)制御システムは、第1の電力需要予測部と、第2の電力需要予測部と、発電量予測部と、給電制御部と、を備える。上記第1の電力需要予測部は、第1の電力需要量を予測する。上記第1の電力需要量は、第1の設備群の電力需要量である。上記第1の設備群は、直流電力で作動する。上記第2の電力需要予測部は、第2の電力需要量を予測する。上記第2の電力需要量は、第2の設備群の電力需要量である。上記第2の設備群は、交流電力で作動する。上記発電量予測部は、上記第1の設備群及び上記第2の設備群に給電する太陽光パネルの発電量を予測する。上記給電制御部は、上記第1の電力需要量、上記第2の電力需要量、および上記太陽光パネルの上記発電量に基づいて、上記第1の設備群及び上記第2の設備群に対する給電を制御する。
【0009】
(2)上記(1)に記載の制御システムは、上記太陽光パネルが発電した電力を上記第2の設備群よりも上記第1の設備群へ優先的に給電する。上記制御システムは、上記太陽光パネルが発電した電力の余剰分を上記第2の設備群に給電する。
【0010】
(3)、上記(1)又は(2)に記載の制御システムにおいて、上記給電制御部は、上記発電量が上記第1の電力需要量以下の場合、上記太陽光パネルが発電した電力を上記第1の設備群のみに給電する。
【0011】
(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載の制御システムにおいて、上記給電制御部は、上記発電量が、上記第1の電力需要量より大きく、上記第1の電力需要量と上記第2の電力需要量の合計以下の場合、上記太陽光パネルが発電した電力を優先的に上記第1の設備群に給電する。この場合に、上記給電制御部は、上記太陽光パネルが発電した電力の余剰分を上記第2の設備群に給電する。
【0012】
(5)上記(1)~(4)のいずれかに記載の制御システムにおいて、上記給電制御部は、上記発電量が上記第1の電力需要量と上記第2の電力需要量の合計より大きい場合、上記太陽光パネルが発電した電力を上記第1の設備群及び上記第2の設備群に給電する。この場合に、上記給電制御部は、上記太陽光パネルが発電した電力の余剰分を蓄電池に給電して蓄電させる。
【0013】
(6)上記(4)に記載の制御システムにおいて、上記給電制御部は、上記発電量が、上記第1の電力需要量より大きく、上記第1の電力需要量と上記第2の電力需要量の合計以下の場合、蓄電池に蓄電された電力を上記第2の設備群に給電する。
【0014】
(7)上記(1)~(6)のいずれかに記載の制御システムは、上記太陽光パネルと、上記第1の設備群と、上記第2の設備群と、を更に備える。上記太陽光パネルは、太陽光を受けて発電する。上記第1の設備群は、上記太陽光パネルが発電した電力が給電される。上記第2の設備群は、上記太陽光パネルが発電した電力が給電される。
【0015】
(8)上記(5)又は(6)に記載の制御システムは、上記蓄電池を備える。上記蓄電池は、上記太陽光パネルが発電した電力を蓄電する。
【0016】
(9)太陽光発電システムの制御装置は、第1の電力需要予測部と、第2の電力需要予測部と、発電量予測部と、給電制御部と、を備える。上記第1の電力需要予測部は、第1の電力需要量を予測する。上記第1の電力需要量は、第1の設備群の電力需要量である。上記第1の設備群は、直流電力で作動する。上記第2の電力需要予測部は、第2の電力需要量を予測する。上記第2の電力需要量は、第2の設備群の電力需要量である。上記第2の設備群は、交流電力で作動する。上記発電量予測部は、上記第1の設備群及び上記第2の設備群に給電する太陽光パネルの発電量を予測する。上記給電制御部は、上記第1の電力需要量、上記第2の電力需要量、および上記太陽光パネルの上記発電量に基づいて、上記第1の設備群及び上記第2の設備群に対する給電を制御する。
【0017】
(10)太陽光発電システムの制御方法は、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと第4ステップと、を備える。上記第1ステップは、第1の電力需要量を予測する。上記第1の電力需要量は、第1の設備群の電力需要量である。上記第1の設備群は、直流電力で作動する。上記第2ステップは、第2の電力需要量を予測する。上記第2の電力需要量は、第2の設備群の電力需要量である。上記第2の設備群は、交流電力で作動する。上記第3ステップは、上記第1の設備群及び上記第2の設備群に給電する太陽光パネルの発電量を予測する。上記第4ステップは、上記第1の電力需要量、上記第2の電力需要量、および上記太陽光パネルの上記発電量に基づいて、上記第1の設備群及び上記第2の設備群に対する給電を制御する。
【0018】
(11)プログラムは、第1手段、第2手段、第3手段、第4手段としてコンピュータを機能させる。上記第1手段は、第1の電力需要量を予測する。上記第1の電力需要量は、第1の設備群の電力需要量である。上記第1の設備群は、直流電力で作動する。上記第2手段は、第2の電力需要量を予測する。上記第2の電力需要量は、第2の設備群の電力需要量である。上記第2の設備群は、交流電力で作動する。上記第3手段は、上記第1の設備群及び上記第2の設備群に給電する太陽光パネルの発電量を予測する。上記第4手段は、上記第1の電力需要量、上記第2の電力需要量、および上記太陽光パネルの上記発電量に基づいて、上記第1の設備群及び上記第2の設備群に対する給電を制御する。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、直流電力で作動する第1の設備群と交流電力で作動する第2の設備群の電力需要量を事前に予測し、第1の設備群と第2の設備群へ最適に電力を割り振ることが可能な制御システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】完全自家消費型のオンサイトPPAの構成例を示す模式図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る太陽光発電システムが備えられた工場の外観を示す模式図である。
【
図3】第1の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す模式図である。
【
図4】制御装置とその周辺の構成を示す模式図である。
【
図6】電力需要量を予測する日の前年同日の使用電力量(実績値)の時間的な推移を示す特性図である。
【
図7】
図6の使用電力量の実績値について、6:00~18:00の時間帯の使用電力量を詳細に示す図である。
【
図8】電力需要量を予測する日において、
図7に対し、直流給電グループに属する設備、交流給電グループに属する設備が前年から変化している場合を示す図である。
【
図9】制御装置のプロセッサが行う処理を示すフローチャートである。
【
図10】第2の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示に係る幾つかの実施形態について図を参照しながら説明する。しかしながら、これらの説明は、本開示の好ましい実施形態の単なる例示を意図するものであって、本開示をこのような特定の実施形態に限定することを意図するものではない。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0022】
(第1の実施形態)
一例として、本実施形態に係る太陽光発電の制御システム100は、完全自家消費型のオンサイトPPAの態様で利用される。オンサイトPPAでは、
図1に示すように、発電事業者300が需要家350の敷地内に制御システム100を設置して、制御システム100で発電した電力を現地(オンサイト)で需要家350に供給する。発電事業者300と需要家350は電力販売契約、すなわちPPA:Power Purchase Agreementを締結する。発電事業者300は、PPAに基づき、制御システム100を設置することに加えて、制御システム100を保有し、これを管理する。需要家350は、PPAに基づき、電力料金を発電事業者300に支払う。
【0023】
また、完全自家消費型の場合、制御システム100で発電された電力は全て需要家350の敷地内で自家消費される。したがって、制御システム100で発電された電力は、需要家350の敷地内の施設のみに供給され、電力が他の電力系統の送電網、配電網等に供給されることはない。
【0024】
完全自家消費型では、需要家350が必要とする電力量に対し、制御システム100で発電された電力量が余剰である場合、余剰分は蓄電池に蓄電される。そして、需要家350が必要とする電力量に対し、制御システム100で発電された電力量が不足する場合、不足分は蓄電池に蓄電された電力で補われる。また、不足分は需要家350が既存の電力会社400から電力を購入することで補われてもよい。
【0025】
本実施形態では、需要家350が工場主である場合を例示する。発電事業者300は、
図1に示す制御システム100を、
図2に示す工場500に設置する。なお、需要家350は工場主以外であってよく、制御システム100は、工場500以外の施設、建物などに設置されていてもよい。制御システム100は、太陽光パネル102を備え、太陽光パネル102は工場500の屋根などに設置される。制御システム100は、太陽光発電による電力を工場500に備えられた各種設備に供給する。
【0026】
工場500内には、直流給電グループ510に属する設備と交流給電グループ520に属する設備が備えられている。直流給電グループ510に属する設備は、直流電力により作動する。直流給電グループ510に属する設備には、太陽光パネル102が発電した直流電力が給電される。
【0027】
一方、交流給電グループ520に属する設備は、交流電力により作動する。交流給電グループ520に属する設備には、太陽光パネル102が発電した直流電力が交流電力に変換されて給電される。
【0028】
制御システム100は、
図3に示すように、太陽光パネル102と、接続箱104と、DC/AC高周波インバータ106と、高周波変圧器108と、AC/DCコンバータ110と、漏電ブレーカ112と、直流機器スイッチ114と、交流給電スイッチ116と、蓄電池給電スイッチ118と、DC/ACコンバータ120と、配合部121と、漏電ブレーカ122と、交流機器スイッチ124と、DC/DCコンバータ126と、蓄電池128と、制御装置200と、を有して構成される。また、制御システム100は、直流給電グループ510に属する設備と交流給電グループ520に属する設備を有する。なお、
図3において、制御装置200から直流機器スイッチ114、交流給電スイッチ116、交流機器スイッチ124および蓄電池給電スイッチ118へ延びる破線の矢印は、これらスイッチを駆動するための制御信号が伝送される信号線を示している。制御装置200から配合部121へ延びる破線の矢印は、配合部121を制御するための制御信号が伝送される信号線を示している。
【0029】
太陽光パネル102は、太陽光を受けて発電する。太陽光パネル102は、複数の太陽電池モジュールからなり、各太陽電池モジュールは、複数の太陽電池セルから構成される。太陽電池セルは、太陽光の照射を受けて、太陽光エネルギーを電力に変換する。接続箱104は、例えば、各太陽電池モジュールが生成した直流出力を取り出す出力ケーブルを1のケーブルに統合する。
【0030】
DC/AC高周波インバータ106は、太陽光パネル102により生成された電力を直流から交流に変換する。高周波変圧器108は、DC/AC高周波インバータ106により変換された交流を所望の電圧に変圧する。配合部121は、高周波変圧器108からの出力線を電力会社400の交流電力系統ACと並列接続し、制御装置200の制御により高周波変圧器108の出力と交流電力系統ACの出力の配合比を変更する。このため、配合部121は高周波変圧器108の出力を検出するセンサと、交流電力系統ACの出力を検出するセンサを備えている。なお、完全自家消費型のため、太陽光パネル102が発電した電力が電力会社400に供給されることはない。このため、逆電力継電器(RPR)により交流電力系統ACへの逆潮流が抑止されている。AC/DCコンバータ110は、高周波変圧器108により変圧された交流を直流に変換する。漏電ブレーカ112は、直流の電流が過大になると電流を遮断する。直流機器スイッチ114は、電磁スイッチから構成され、直流給電グループ510の各設備への直流の流れをオン/オフするスイッチである。通常時、直流機器スイッチ114は全てオンに設定される。
【0031】
交流給電スイッチ116は、電磁スイッチから構成され、太陽光パネル102が発電した電力を直流給電グループ510へ給電した際に、電力の余剰分を必要に応じて交流給電グループ520へ給電するためのスイッチである。後で詳細に説明するが、交流給電スイッチ116は、制御装置200によりオン/オフが制御される。
【0032】
DC/ACコンバータ120は、交流給電スイッチ116がオンの状態で、AC/DCコンバータ110から出力されて直流給電グループ510へ給電した後の余剰電力を交流に電力に変換する。漏電ブレーカ122は、交流の電流が過大になると電流を遮断する。交流機器スイッチ124は、電磁スイッチから構成され、交流給電グループ520の各設備への交流の流れをオン/オフするスイッチである。通常時、交流機器スイッチ124は全てオンに設定される。
【0033】
蓄電池給電スイッチ118は、電磁スイッチから構成され、太陽光パネル102が発電した電力を直流給電グループ510および交流給電グループ520へ給電した際に、電力の余剰分を必要に応じて蓄電池128に給電するためのスイッチである。後で詳細に説明するが、交流給電スイッチ116は、制御装置200によりオン/オフが制御される。DC/DCコンバータ126は、AC/DCコンバータ110により変換された直流の電圧を蓄電池128に蓄電するために電圧変換する。蓄電池128は、太陽光パネル102が発電した電力の余剰分を蓄電する。本実施形態に係る制御システム100は、完全自家消費型であり、太陽光パネル102が発電した電力の余剰分を全て蓄電池128に蓄電させ、電力会社400への売電は行わない。
【0034】
以上のように、交流給電グループ520に給電する際には、直流を交流に変換することによって、直流給電グループ510に給電する場合よりも変換の段数が多くなり、変換損失が大きくなる。このため、制御装置200は、直流給電グループ510と交流給電グループ520のそれぞれの電力需要の予測に基づいて、太陽光発電による電力を優先して直流給電グループ510に割振り、その結果生じた余剰電力を交流に変換して交流給電グループ520に割り振る。これにより、変換損失を抑制することができる。
【0035】
制御装置200は、
図4に示すように、プロセッサ210と、メモリ212と、通信インターフェース214と、を有する。プロセッサ210は、1個または複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサ210は、論理演算ユニット、数値演算ユニットあるいはグラフィック処理ユニットといった他の演算回路をさらに有していてもよい。
【0036】
メモリ212は、例えば、読み書き可能な半導体メモリ、すなわちRAM:Random Access Memoryと、読み出し専用の半導体メモリ、すなわちROM:Read only memoryと、不揮発性メモリ等を有する。さらに、メモリ212は、半導体メモリカード、ハードディスク、あるいは光記憶媒体といった記憶媒体であってもよい。
【0037】
通信インターフェース214は、制御装置200を交流給電スイッチ116、蓄電池給電スイッチ118、または外部のインターネットなどの通信ネットワーク220に接続するためのインターフェース回路を有する。
【0038】
制御装置200は、通信ネットワーク220を介して外部のサーバ230と接続されている。サーバ230は、通信ネットワーク220を介して、気象情報などの各種情報を制御装置200に送信する。
【0039】
プロセッサ210は、
図5に示すように、情報取得部210aと、第1の電力需要予測部210bと、第2の電力需要予測部210cと、発電量予測部210dと、給電制御部210eと、学習部210fと、を有する。プロセッサ210が有するこれらの各部は、例えば、プロセッサ210上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。つまり、プロセッサ210が有するこれらの各部は、プロセッサ210とこれを機能させるためのプログラム、すなわちソフトウェアから構成される。また、そのプログラムは、制御装置200が備えるメモリ212または外部から接続される記録媒体に記録されていてもよい。あるいは、プロセッサ210が有するこれらの各部は、プロセッサ210に設けられる専用の演算回路であってもよい。
【0040】
情報取得部210aは、通信ネットワーク220を介してサーバ230から送信された各種情報を取得する。また、情報取得部210aは、蓄電池128の充電状態、すなわちSOC:State of Chargeなど、制御システム100に関わる各種情報を取得する。
【0041】
第1の電力需要予測部210bは、直流電力で作動する第1の設備群の電力需要量を予測する。すなわち、第1の電力需要予測部210bは、直流給電グループ510に属する設備の電力需要量を示す第1の電力需要量を予測する。第2の電力需要予測部210cは、交流電力で作動する第2の設備群の電力需要量を予測する。すなわち、第2の電力需要予測部210cは、交流給電グループ520に属する設備の電力需要量を示す第2の電力需要量を予測する。
【0042】
例えば、第1の電力需要予測部210bおよび第2の電力需要予測部210cは、電力需要量を予測する日の前年同日の工場500の使用電力量の実績値に基づいて電力需要量を予測する。
図6の縦軸は電力需要量を予測する日の前年同日の使用電力量(kWh)を、横軸は前年同日の時刻を示している。また、
図6中に実線で示す特性C1は直流給電グループ510に属する設備の使用電力量の合計を、破線で示す特性C2は交流給電グループ520に属する設備の使用電力量の合計を、それぞれ示している。
図6に示すように、工場500が稼働している日中の時間帯(6:00~18:00)では、直流給電グループ510に属する設備の使用電力量および交流給電グループ520に属する設備の使用電力量は、工場500が稼働していない時間帯に比べて多くなっている。
【0043】
図7では、
図6の使用電力量の実績値について、直流給電グループ510に属する設備と交流給電グループ520に属する設備のそれぞれの稼働状況と、直流、交流のそれぞれの使用電力量の合計とを、30分毎に詳細に示している。稼働状況としては、
図7に示したように、使用中または停止中が挙げられる。直流給電グループ510に属する設備は、通信機器A、空調機器B、温調機器C、その他である。交流給電グループ520に属する設備は、動力機器D、制御機器E、分析機器F、その他である。制御装置200のメモリ212には、
図6および
図7に示すような過去の任意の日の使用電力量が記憶されている。
【0044】
第1の電力需要予測部210bは、直流給電グループ510に属する設備の前年同日の使用電力量の実績値に基づいて、第1の電力需要量を予測する。直流給電グループ510に属する設備が前年と同じである場合、第1の電力需要予測部210bは、前年の同日の使用電力量の実績値を第1の電力需要量とすることができる。この場合、例えば電力需要量を予測する日の11:00~11:30の時間帯の第1の電力需要量の予測値は、
図7から815.00(kWh)となる。
【0045】
同様に、第2の電力需要予測部210cは、交流給電グループ520に属する設備の前年同日の使用電力量の実績値に基づいて、第2の電力需要量を予測する。交流給電グループ520に属する設備が前年と同じである場合、第2の電力需要予測部210cは、前年の同日の使用電力量の実績値を第2の電力需要量とすることができる。この場合、例えば電力需要量を予測する日の17:00~17:30の時間帯の第2の電力需要量の予測値は、
図7から685.00(kWh)となる。なお、第1の電力需要予測部210bおよび第2の電力需要予測部210cは、前年同日の使用電力量の実績値の代わりに、電力需要量を予測する日と同じ曜日であって、前年同日に最も近い日の使用電力量の実績値を用いて予測を行ってもよい。
【0046】
直流給電グループ510に属する設備、交流給電グループ520に属する設備が前年から変化している場合、第1の電力需要予測部210bおよび第2の電力需要予測部210cは、電力需要量を予測する日の前年同日の工場500の使用電力量の実績値と、設備の変化分に応じて第1の電力需要量と第2の電力需要量を予測する。
【0047】
図8では、電力需要量を予測する日において、
図7に示す前年同日の直流給電グループ510に属する設備に対し、空調機器ΔBが追加されている。このため、直流給電グループ510の全体の使用電力量が空調機器ΔBの分だけ増加することが見込まれる。また、
図8では、電力需要量を予測する日において、
図7に示す前年同日の交流給電グループ520に属する設備に対し、分析機器ΔFが追加されている。このため、交流給電グループ520の全体の使用電力量が分析機器ΔFの分だけ増加することが見込まれる。空調機器ΔBは11:00~15:00の時間帯で「使用中」となる予定である。このため、第1の電力需要予測部210bは、11:00~15:00の時間帯の電力需要量を予測する際には、
図7に示す前年同日の使用電力量の実績値に対し、追加された空調機器ΔBの使用電力量の予測値を加算して、第1の電力需要量を予測する。
図8に示すように、空調機器ΔBの定格消費電力は0.8(kW)であり、寄与率は55%である。第1の電力需要予測部210bは、空調機器ΔBの使用電力量の予測値を、定格消費電力に1日の使用時間と寄与率を乗算して算出する。
【0048】
同様に、分析機器ΔFは8:00~12:00の時間帯で「使用中」となる予定である。このため、第2の電力需要予測部210cは、8:00~12:00の時間帯の電力需要量を予測する際には、
図7に示す前年同日の使用電力量の実績値に対し、追加された分析機器ΔFの使用電力量の予測値を加算して、第2の電力需要量を予測する。
図8に示すように、分析機器ΔFの定格消費電力は0.3(kW)であり、寄与率は65%である。第2の電力需要予測部210cは、分析機器ΔFの使用電力量の予測値を、定格消費電力に1日の使用時間と寄与率を乗算して算出する。
【0049】
図8では、前年同日の直流給電グループ510に属する設備の機器が追加された例を示した。一方、一部の機器が廃止または撤去された場合、第1の電力需要予測部210bおよび第2の電力需要予測部210cは、前年同日の使用電力量の実績値から、廃止等された機器の使用電力量の実績値を除いて第1の電力需要量、第2の電力需要量を予測する。
【0050】
図8において、例えば、空調機器B、空調機器ΔBは、一定温度に設定して連続運転した場合、機器の機能によるオン/オフ制御、出力調整等を行う。温調機器Cも、空調機器と同様のオン/オフ制御を行う。また、室内への外気導入による室温変化も発生する。分析機器F,ΔFにおいても、試料観察時と解析時とでは動作ユニットが異なる場合がある。このように、機器の消費電力には予測が比較的難しい要素も存在し得る。
【0051】
そのため、使用電力量の実績値と予測値との間に乖離が生じた場合は、乖離が生じた各機器について、下記式を満たすように各機器の寄与率が調整される。調整された寄与率は、逐次メモリ212に記憶される。一例として、実績値と予測値との差分の絶対値が所定の閾値、例えば実績値の5%を超えると、各機器の寄与率が調整される。
一日の実消費電力=機器の定格消費電力(kW)×1日の使用時間(h)×寄与率(%)
これにより、以降の電力使用量の予測において、より精度よく第1の電力需要量および第2の電力需要量が予測される。
【0052】
第1の電力需要予測部210bは、第1の電力需要量を予測するために機械学習された学習済モデルから構成されていてもよい。同様に、第2の電力需要予測部210cは、第2の電力需要量を予測するために機械学習された学習済モデルから構成されていてもよい。この場合、学習部210fは、例えば入力値x1,x2,x3,x4,x5と、入力値x1,x2,x3,x4,x5に対する教師データytからなる複数のデータセットから学習済モデルを作成する。或る入力値に対して教師データytが求められており、この入力値に対する出力層からの出力値がyであった場合、誤差関数として平方誤差が用いられている場合には、平方誤差Eは、E=(1/2)・(y-yt)2で求められる。
【0053】
学習部210fは、データセットに含まれる入力値をニューラルネットワークに入力し、得られた出力値yとデータセットに含まれる教師データytから二乗誤差Eを計算する。そして、学習部210fは、複数の学習用のデータセットから得られる平方誤差Eの和を最小化するため、例えば誤差逆伝播法、確率的勾配降下法などの演算を行うことによって、各ノードの重みwおよびバイアスbを算出することで、学習済みモデルを作成する。なお、教師データを検出できない場合、学習部210fは、教師無し学習または強化学習により学習済みモデルを作成してもよい。
【0054】
学習部210fが第1の電力需要予測部210bに相当する学習済モデルを作成する場合、入力値x1,x2,x3,x4,x5は、一例として、工場500で製造される各種製品の出荷量、生産計画、直流給電グループ510に属する各種設備の稼働状況および稼働時刻、室温、外気温、空調機器または温調機器の設定温度のパラーメータである。ここで、生産計画は、予定出荷量、プロセス計画を含むものであってもよい。空調機器または温調機器は、上述したように直流給電グループ510に属する設備である。また、教師データytは直流給電グループ510に属する各種設備の使用電力量の実績値である。これにより、作成した学習済モデルに各種製品の予定出荷量、各種設備の稼働予定、時刻、気温のデータを入力すると、学習済モデルから第1の電力需要量の予測値が出力される。なお、学習部210fが第2の電力需要予測部210cに相当する学習済モデルを作成する場合、入力値x1,x2,x3,x4,x5は、一例として、上記と同様の出荷量、生産計画、稼働状況、稼働時刻、室温、外気温に加えて、動力機器の劣化度を表す積算使用時間、制御機器の要求精度、分析機器に必要な分析時のサンプル温度のデータを含むものであってもよい。ここで、稼働状況および稼働時刻は、高流給電グループ520に属する各種設備の稼働状況および稼働時刻であり、動力機器、制御機器、および分析機器は、上述したように交流給電グループ520に属する設備である。また、教師データytは高流給電グループ520に属する各種設備の使用電力量の実績値である。
【0055】
発電量予測部210dは、太陽光パネル102の発電量を予測する。例えば、発電量予測部210dは、情報取得部210aが外部のサーバ230から取得した気象情報に基づいて、太陽光パネル102の発電量を予測する。
【0056】
発電量予測部210dは、太陽光パネル102の発電量を予測するために機械学習された学習済モデルから構成されていてもよい。この場合、学習部210fは、上記と同様に、例えば入力値x1,x2,x3,x4,x5と、入力値x1,x2,x3,x4,x5に対する教師データytからなる複数のデータセットから学習済モデルを作成する。学習部210fが発電量予測部210dに相当する学習済モデルを作成する場合、入力値x1,x2,x3,x4,x5は、一例として、日射量、天候、気温、風力などの気象情報である。また、教師データytは太陽光パネル102の発電量の実績値である。これにより、作成した学習済モデルに日射量、天候、気温、風力などのパラーメータを入力すると、学習済モデルから太陽光パネル102の発電量の予測値が出力される。
【0057】
給電制御部210eは、第1の電力需要量、第2の電力需要量、および太陽光パネル102の発電量、すなわち予測発電量に基づいて、直流給電グループ510に属する設備および交流給電グループ520に属する設備に対する給電を制御する。
【0058】
給電制御部210eは、予測発電量が第1の電力需要量以下の場合、太陽光パネル102が発電した電力を直流給電グループ510に属する設備のみに給電する。具体的には、この場合、給電制御部210eは、交流給電スイッチ116をオフとする。これにより、太陽光パネル102が発電した電力は全て直流給電グループ510に給電される。
【0059】
例えば直流給電グループ510に属する空調機器の電力需要量の予測値が極端に大きくなり、予測発電量が第1の電力需要量以下となる場合、給電制御部210eは、太陽光パネル102が発電した電力を直流給電グループ510に属する設備のみに給電する。この際、予測発電量と、第1の電力需要量および第2の電力需要量とが予測されているため、第1の電力需要量および第2の電力需要量のうち予測発電量では満たされない分についても予め予測することができる。したがって、給電制御部210eが、予測に基づいて直流機器スイッチ114および交流機器スイッチ124の少なくとも一部をオフにすることで、電力会社400から買電する電力を抑制することができる。また、この場合、工場500内に予め外気を取り入れるなどの手段を講じておくことで、直流給電グループ510に属する空調機器の電力使用量を減らすことができる。
【0060】
また、給電制御部210eは、予測発電量が、第1の電力需要量より大きく、第1の電力需要量と第2の電力需要量の合計以下の場合、太陽光パネル102が発電した電力を優先的に直流給電グループ510に属する設備に給電し、太陽光パネル102が発電した電力の余剰分を交流給電グループ520に属する設備に給電する。具体的には、この場合、給電制御部210eは、交流給電スイッチ116をオンとする。これにより、太陽光パネル102が発電した電力が直流給電グループ510に送られて第1の電力需要量が満たされる。また、電力の余剰分が交流給電グループ520に送られて、第2の電力需要量の一部が、太陽光パネル102が発電した電力によって満たされる。交流給電グループ520に属する設備に給電する際には、直流給電グループ510に給電するために例えば210V以下の低電圧に一旦変換された直流電力を、交流電力に再変換する必要がある。そのためには、DC/ACコンバータ120の入力段階において、多段の昇圧を行い、例えば400V以上の高圧の直流電力に変換した後、交流変換する必要がある。このため、DC/ACコンバータ120の入力段階においては、一定の入力インピーダンスが発生する。したがって、交流給電スイッチ116をオンとした状態では、太陽光パネル102が発電した電力が優先的に直流給電グループ510に送られる。そして、太陽光パネル102が発電した電力が直流給電グループ510に送られた後の余剰分が交流給電グループ520に送られる。
【0061】
第2の電力需要量の一部が、太陽光パネル102が発電した電力によって満たされた場合に、第2の電力需要量の残りは電力会社400から買電することによって満たされる。例えば、予測発電量が、第1の電力需要量より大きく、第1の電力需要量と第2の電力需要量の合計以下になると予想される場合、電力会社400から買電する電力量を予め算出し、交流給電グループ520の第2の電力需要量が満たされるように計画的に給電することができる。交流使用量のピーク時に直流の余剰電力を交流給電に割り振ることで、交流の不足分を買電する場合のピークカットも可能となる。また、第2の電力需要量のうち、太陽光パネル102が発電した電力によって満たされない分を予測できるため、給電制御部210eが交流機器スイッチ124の少なくとも一部をオフにすることで、電力会社400から買電する電力を抑制することができる。
【0062】
また、給電制御部210eは、予測発電量が第1の電力需要量と第2の電力需要量の合計より大きい場合、太陽光パネル102が発電した電力を直流給電グループ510に属する設備及び交流給電グループ520に属する設備に給電し、太陽光パネル102が発電した電力の余剰分を蓄電池128に給電して蓄電させる。具体的には、この場合、給電制御部210eは、交流給電スイッチ116をオンとし、且つ蓄電池給電スイッチ118をオンとする。これにより、太陽光パネル102が発電した電力が直流給電グループ510と交流給電グループ520の双方に送られて、第1の電力需要量と第2の電力需要量の双方が、太陽光パネル102が発電した電力によって満たされる。また、太陽光パネル102が発電した電力の余剰分は蓄電池128に蓄電される。
【0063】
また、給電制御部210eは、予測発電量が、第1の電力需要量より大きく、第1の電力需要量と第2の電力需要量の合計以下の場合であって、蓄電池128のSOCが所定値以上の場合、蓄電池128に蓄電された電力を交流給電グループ520に属する設備に給電してもよい。この場合、給電制御部210eは、具体的には交流給電スイッチ116および蓄電池給電スイッチ118をオンとし、蓄電池128からの出力電圧をDC/DCコンバータ126で適宜調整して、蓄電池128に蓄電された電力を交流給電スイッチ116へ給電してもよい。
【0064】
例えば、予測発電量が、第1の電力需要量より大きく、第1の電力需要量と第2の電力需要量の合計以下になると予想される場合、給電制御部210eは、電力会社400からの買電と蓄電池128からの給電を併用し、交流給電グループ520に属する設備に給電する。この際、給電制御部210eは、電力会社400からの買電と蓄電池128からの給電との最適な混合比を算出し、混合比に基づいて配合部121の配合比と蓄電池給電スイッチ118のオン/オフを制御する。配合部121の配合比の制御は、配合部121が備えるセンサの検出値に基づいて行われる。これにより、買電による給電と蓄電池128からの給電の双方により第2の電力需要量が満たされるように計画的に給電することができる。なお、最適な混合比とは、買電による電気料金が最安値となる混合比である。例えば翌日に晴天が予想される場合には、予測発電量および蓄電量が増加するため、意図的に蓄電池128に蓄電された電力を交流給電グループ520に属する設備への給電に用いることで、電力系統からの補填を減らすことができる。これにより買電による電力のピーク値を低下させることができる。蓄電池128からの給電のみで第2の電力需要量が満たされる場合、電力会社400からの買電は不要である。
【0065】
学習部210fは、上述した手法により、第1の電力需要予測部210b、第2の電力需要予測部210c、または発電量予測部210dに相当する学習済モデルを作成する。
【0066】
以上のプロセッサ210の処理の時系列的な流れを
図9に基づいて説明する。先ず、時刻tが現在時刻tに設定される(ステップS10)。次に、第1の電力需要予測部210bが、時刻tにおける第1の電力需要量(t)を予測する(ステップS12)。次に、第2の電力需要予測部210cが、時刻tにおける第2の電力需要量(t)を予測する(ステップS14)。
【0067】
次に、発電量予測部210dが、時刻tにおける太陽光パネル102の発電量(t)を予測する(ステップS16)。次に、発電量(t)≦第1の電力需要量(t)であるか否かが判定され(ステップS18)、発電量(t)≦第1の電力需要量(t)の場合、給電制御部210eが、交流給電スイッチ116をオフとする(ステップS20)。
【0068】
ステップS18で発電量(t)>第1の電力需要量(t)の場合、発電量(t)≦(第1の電力需要量(t)+第2の電力需要量(t))であるか否かが判定される(ステップS22)。発電量(t)≦(第1の電力需要量(t)+第2の電力需要量(t))の場合、給電制御部210eが、交流給電スイッチ116をオンとする(ステップS24)。
【0069】
ステップS22で発電量(t)>(第1の電力需要量(t)+第2の電力需要量(t))の場合、給電制御部210eが、交流給電スイッチ116をオンとし、且つ蓄電池給電スイッチ118をオンとする(ステップS26)。ステップS20,S24,S26の後、時刻tがt+Δtとされ(ステップS28)、ステップS12以降の処理が再度行われる。
【0070】
以上説明したように第1の実施形態によれば、第1の電力需要量、第2の電力需要量、および予測発電量に基づいて、直流給電グループ510と交流給電グループ520に属する設備に対する給電が制御される。予測値に基づいて直流給電グループ510に属する設備と交流給電グループ520に属する設備に対する給電が制御されることで、将来的な電力需要量の変動に応じて直流給電グループ510と交流給電グループ520のそれぞれに対し最適に給電を行うことが可能となる。
【0071】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る制御システム100は、
図10に示すように、太陽光パネル102と、接続箱104と、DC/DCコンバータ130と、漏電ブレーカ112と、直流機器スイッチ114と、交流給電スイッチ116と、蓄電池給電スイッチ118と、DC/ACコンバータ120と、配合部121と、漏電ブレーカ122と、交流機器スイッチ124と、DC/DCコンバータ126と、蓄電池128と、を有して構成される。
【0072】
第2の実施形態に係る制御システム100では、太陽光パネル102により発電された直流電力が交流に変換されることなく、直流給電グループ510に属する設備に給電される。このため、制御システム100は、
図3に示したDC/AC高周波インバータ106、高周波変圧器108、およびAC/DCコンバータ110を有しておらず、太陽光パネル102により発電された直流を電圧変化するDC/DCコンバータ130を有している。配合部121は、DC/ACコンバータ120からの出力線を電力会社400の交流電力系統ACと並列接続し、制御装置200の制御によりDC/ACコンバータ120の出力と交流電力系統ACの出力の配合比を変更する。このような構成により、第2の実施形態に係る制御システム100は第1の実施形態よりも簡素化され、システム導入に係るコストが低減されている。また、交流給電グループ520に対しては、DC/DCコンバータ130で直流を低電圧化した後での交流給電となるため、交流化のためのDC/ACコンバータ120などの構成が低電圧仕様で済むとともに、配線を低コストの低電圧仕様にすることが可能となる。したがって、このような観点からもコストが大幅に低減される。
【0073】
太陽光パネル102により発電され、DC/DCコンバータ130で電圧変換された直流電力は、直流給電グループ510に属する設備に給電される。また、太陽光パネル102により発電された直流電力の余剰分は、交流給電スイッチ116がオンのときに、DC/ACコンバータ120に供給される。
【0074】
第2の実施形態におけるプロセッサ210の機能、プロセッサ210の処理の時系列的な流れは第1の実施形態と同様である。第2の実施形態においも、プロセッサ210の給電制御部210eは、第1の電力需要量、第2の電力需要量、および太陽光パネル102の予測発電量に基づいて、直流給電グループ510に属する設備および交流給電グループ520に属する設備に対する給電を制御する。具体的には、給電制御部210eは、第1の電力需要量、第2の電力需要量、および太陽光パネル102の予測発電量に基づいて、交流給電スイッチ116のオン/オフを制御し、蓄電池給電スイッチ118のオン/オフを制御する。
【0075】
したがって、第2の実施形態においても、第1の電力需要量、第2の電力需要量、および太陽光パネル102の予測発電量に基づいて、直流給電グループ510に属する設備と交流給電グループ520に属する設備に対する給電が最適に制御される。
【0076】
以上説明したように第2の実施形態によれば、太陽光パネル102により発電された直流電力が交流に変換されることなく、直流給電グループ510に属する設備に給電される。したがって、制御システム100がより簡素に構成され、システムの導入コストが低減される。
【符号の説明】
【0077】
100 制御システム
102 太陽光パネル
104 接続箱
106 DC/AC高周波インバータ
108 高周波変圧器
110 AC/DCコンバータ
112 漏電ブレーカ
114 直流機器スイッチ
116 交流給電スイッチ
118 蓄電池給電スイッチ
120 DC/ACコンバータ
121 配合部
122 漏電ブレーカ
124 交流機器スイッチ
126 DC/DCコンバータ
128 蓄電池
130 DC/DCコンバータ
200 制御装置
210 プロセッサ
210a 情報取得部
210b 第1の電力需要予測部
210c 第2の電力需要予測部
210d 発電量予測部
210e 給電制御部
210f 学習部
212 メモリ
214 通信インターフェース
220 通信ネットワーク
230 サーバ
300 発電事業者
350 需要家
400 電力会社
500 工場
510 直流給電グループ
520 交流給電グループ