(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021081
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】剥離シートのリサイクル方法、リサイクル用剥離シート及びこれを用いた樹脂シート積層体
(51)【国際特許分類】
C08J 11/06 20060101AFI20250205BHJP
B29B 17/00 20060101ALI20250205BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
C08J11/06
B29B17/00 ZAB
G01B11/24 K
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124800
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000226091
【氏名又は名称】日榮新化株式会社
(72)【発明者】
【氏名】清水 衛
(72)【発明者】
【氏名】清水 寛三
(72)【発明者】
【氏名】川端 大暉
【テーマコード(参考)】
2F065
4F401
【Fターム(参考)】
2F065AA51
2F065AA54
2F065AA56
2F065BB02
2F065CC02
2F065DD03
2F065FF04
2F065JJ03
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ31
2F065QQ39
2F065UU05
4F401AA22
4F401AD01
4F401AD07
4F401CA43
4F401DB01
(57)【要約】
【課題】効率的で、精度良く異物を除去可能な剥離シートのリサイクル方法と、この方法に適した剥離シートとを提供する。
【解決手段】剥離シートのリサイクル方法は、粘着シートと、三次元形状が形成された樹脂材料からなる基材を有する剥離シートとを備えた樹脂シート積層体を使用事業者に供給するステップS1と、使用済み剥離シートを回収容器を用いて回収するステップS3と、回収容器の内容物を分別検査するステップS5とを備える。ステップS5においては、三次元形状を識別標識として内容物の分別検査を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層を有する粘着シートと、前記粘着シートと貼り合わされ、離型剤層が形成された第一面と、前記第一面に対向する第二面とを有し、前記第一面及び第二面の少なくとも一方に三次元形状が形成された樹脂材料からなる基材を有する剥離シートとを備えた樹脂シート積層体を使用事業者に供給するステップと、
前記樹脂シート積層体から剥離された使用済み剥離シートを回収容器を用いてロールシート及び枚葉シートから選ばれるいずれかの形状で前記使用事業者から回収するステップと、
記憶部、撮影部及び判断部を有する検査システムの前記記憶部が前記剥離シートの前記三次元形状を記憶するステップと、
前記使用事業者から回収した前記回収容器の内容物を分別検査するステップと、
分別検査によって前記使用済み剥離シートではないと判断された異物を前記回収容器の内容物から除去するステップと、
前記使用済み剥離シートを樹脂原料に再生するステップとを備えており、
前記回収容器の内容物を分別検査するステップは、
前記撮影部が前記内容物の検査面を撮影するステップと、
前記判断部が、撮影された前記検査面の画像と前記記憶部に記憶された前記三次元形状とを照合するステップと、
前記内容物のうち、前記検査面の形状が前記記憶部に記憶された前記三次元形状を含まないロールシート又は枚葉シートを、前記使用済み剥離シートではないと判断するステップと
を含む、剥離シートのリサイクル方法。
【請求項2】
粘着剤層を有する粘着シートと、前記粘着シートと貼り合わされ、離型剤層が形成された第一面と、前記第一面に対向する第二面とを有し、前記第一面及び第二面の少なくとも一方に三次元形状を含む凹凸パターンが形成された樹脂材料からなる基材を有する剥離シートとを備えた樹脂シート積層体を使用事業者に供給するステップと、
前記樹脂シート積層体から剥離された使用済み剥離シートを回収容器を用いてロールシート及び枚葉シートから選ばれるいずれかの形状で前記使用事業者から回収するステップと、
記憶部、撮影部及び判断部を有する検査システムの前記記憶部が前記剥離シートの前記三次元パターン及び前記凹凸パターンを記憶するステップと、
前記使用事業者から回収した前記回収容器の内容物を分別検査するステップと、
分別検査によって前記使用済み剥離シートではないと判断された異物を前記回収容器の内容物から除去するステップと、
前記使用済み剥離シートを樹脂原料に再生するステップとを備えており、
前記凹凸パターンは、前記三次元形状が二次元方向に繰り返して配置されてなるパターンであり、
前記回収容器の内容物を分別検査するステップは、
前記撮影部が前記内容物の検査面を撮影するステップと、
前記判断部が、撮影された前記検査面の画像と前記記憶部に記憶された前記凹凸パターンとを照合するステップと、
前記内容物のうち、前記検査面の形状が前記記憶部に記憶された前記凹凸パターンを含まないロールシート又は枚葉シートを、前記使用済み剥離シートではないと判断するステップと
を含む、剥離シートのリサイクル方法。
【請求項3】
前記粘着シートは、前記粘着剤層の前記剥離シートとは反対側の面上に設けられた基材シートをさらに有しており、
前記三次元形状は、少なくとも前記剥離シートの前記第一面に形成されている、請求項1又は2に記載のリサイクル方法。
【請求項4】
前記撮影部が前記内容物の検査面を撮影するステップでは、前記検査面の撮影を連続的に行う、請求項1又は2に記載のリサイクル方法。
【請求項5】
前記回収容器の内容物を分別検査するステップの前に、分析システムの第2の記憶部が前記剥離シートの構成を記憶するステップをさらに備え、
前記回収容器の内容物を分別検査するステップは、
可視光、赤外光又は超音波を用いて前記分析システムが前記内容物の構成をロールシートごと又は枚葉シートごとに分析するステップと、
分析された前記内容物の構成を、前記第2の記憶部に記憶された前記剥離シートの構成と照合するステップと、
前記内容物のうち、分析された構成が記憶された前記剥離シートの構成と相違するロールシート又は枚葉シートを、前記使用済み剥離シートではないと判断するステップと
をさらに含む、請求項1又は2に記載のリサイクル方法。
【請求項6】
前記剥離シートの基材は、ポリエステル樹脂により構成されている、請求項1又は2に記載のリサイクル方法。
【請求項7】
前記剥離シートの基材は、リサイクルされた樹脂原料を10質量%以上含んでいる、請求項1又は2に記載のリサイクル方法。
【請求項8】
前記樹脂シート積層体の前記使用事業者への供給量を供給量記憶部に記憶するステップと、
前記使用事業者から回収した前記回収容器の質量を計測して、前記回収容器内の前記使用済み剥離シートの量を回収量として算出するステップと、
前記供給量記憶部に記憶された前記供給量に基づいて、前記使用事業者からの前記使用済み剥離シートの回収量予測値を演算部において算出するステップと、
前記回収量と、前記回収量予測値とを評価部において比較し、前記回収量と前記回収量予測値との間のずれが所定の範囲を超える場合には、前記回収容器の内容物を分別検査の対象と判断するステップとをさらに備え、
前記回収容器の内容物を分別検査をするステップでは、前記回収量と前記回収量予測値とを用いて、前記分別検査の対象と判断された回収容器の内容物に対して検査を実施する、請求項1又は2に記載のリサイクル方法。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のリサイクル方法により再生され、第一面と前記第一面に対向する第二面とを有する剥離シートであって、
前記第一面及び前記第二面の少なくとも一方の側に三次元形状が形成され、樹脂材料からなる基材と、
前記基材の前記三次元形状が形成された面に設けられた離型剤層と
を備えているリサイクル用剥離シート。
【請求項10】
前記第一面又は前記第二面の少なくとも一方に、前記三次元形状が二次元方向に繰り返して配置されてなる凹凸パターンが形成されている、請求項9に記載のリサイクル用剥離シート。
【請求項11】
前記基材は、10質量%以上リサイクルされた樹脂材料を含んでいる、請求項9に記載のリサイクル用剥離シート。
【請求項12】
前記基材は、水平リサイクルにより再生された樹脂材料を含んでいる、請求項11に記載のリサイクル用剥離シート。
【請求項13】
前記基材は、ポリエステル樹脂により構成された多孔質材料により形成されている、請求項9に記載のリサイクル用剥離シート。
【請求項14】
第一面と前記第一面に対向する第二面とを有する請求項9に記載されたリサイクル用剥離シートと、
前記剥離シートの前記第一面に貼り合わされた粘着剤層を有する粘着シートと
を備えている樹脂シート積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された技術は、剥離シートのリサイクル方法及びリサイクルに適した剥離シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護意識の高まりから、工業製品から日用品に至る様々な製品について、再使用やリサイクルすることが提言されている。樹脂製品の回収とリサイクルについては、プラスチック資源循環促進法が制定されており、特に注目が高い。例えば、偏光板を含む積層体の製造工程で使用された樹脂基材を再利用することが検討されている(例えば、特許文献1を参照)。
リサイクルにおいては、効率よく資材を回収し、分別することが重要である。印刷用資材について、リサイクルのシステムを構築することも検討されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-118388
【特許文献2】特開2017-139008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、単に樹脂材料をリサイクルするだけでなく、使用済みの製品から回収した樹脂材料を再生し、同じ製品の材料として使用する水平リサイクルへの取り組みも始まっている。水平リサイクルの場合、再生された樹脂材料が未使用材料に近い品質を維持している必要があるため、使用済み材料を回収する際の異物の混入はより大きな問題となる。
【0005】
水平リサイクルの1つとして、粘着剤層を有し、剥離シートが設けられたラベルの使用後に、剥離シートを回収して樹脂材料に再生し、再び剥離シートの製造に使用しようとする試みが始まりつつある。ラベルの種類や素材は様々であるが、剥離シートは1種類で多くのラベルに対応できるため、剥離シートを回収することで、効果的にリサイクルすることができる。しかし、剥離シートの水平リサイクルは新しい取り組みであるため、これを実現するための方法は完全には確立されていない。
【0006】
本発明の目的は、剥離シートを効率的にリサイクルしつつ、精度良く異物を除去可能な剥離シートのリサイクル方法と、この方法に適した剥離シートとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示された剥離シートのリサイクル方法は、粘着剤層を有する粘着シートと、前記粘着シートと貼り合わされ、離型剤層が形成された第一面と、前記第一面に対向する第二面とを有し、前記第一面及び第二面の少なくとも一方に三次元形状が形成された樹脂材料からなる基材を有する剥離シートとを備えた樹脂シート積層体を使用事業者に供給するステップと、前記樹脂シート積層体から剥離された使用済み剥離シートを回収容器を用いてロールシート及び枚葉シートから選ばれるいずれかの形状で前記使用事業者から回収するステップと、記憶部、撮影部及び判断部を有する検査システムの前記記憶部が前記剥離シートの前記三次元形状を記憶するステップと、前記使用事業者から回収した前記回収容器の内容物を分別検査するステップと、分別検査によって前記使用済み剥離シートではないと判断された異物を前記回収容器の内容物から除去するステップと、前記使用済み剥離シートを樹脂原料に再生するステップとを備えている。
前記回収容器の内容物を分別検査するステップは、前記撮影部が前記内容物の検査面を撮影するステップと、前記判断部が、撮影された前記検査面の画像と前記記憶部に記憶された前記三次元形状とを照合するステップと、前記内容物のうち、前記検査面の形状が前記記憶部に記憶された前記三次元形状を含まないロールシート又は枚葉シートを、前記使用済み剥離シートではないと判断するステップとを含んでいる。
このリサイクル方法において、前記三次元形状が二次元方向に繰り返して配置されてなる凹凸パターンを前記記憶部にあらかじめ記憶させておけば、撮影された検査面の画像と前記記憶部に記憶された前記凹凸パターンとを照合することもできる。
本明細書に開示されたリサイクル用剥離シートは、上述のリサイクル方法を用いて再生されうる。このリサイクル用剥離シートは、第一面及び前記第二面の少なくとも一方の側に三次元形状が形成され、樹脂材料からなる基材と、前記基材の前記三次元形状が形成された面に設けられた離型剤層とを備えている。
本明細書に開示された樹脂シート積層体は、上述のリサイクル方法によって再生され、第一面と前記第一面に対向する第二面とを有する剥離シートと、前記剥離シートの前記第一面に貼り合わされた粘着剤層を有する粘着シートとを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本明細書に開示されたリサイクル方法及びこの方法に使用される剥離シートによれば、剥離シートに形成された三次元形状を分別検査に利用できるので、使用済み剥離シートの効率的なリサイクルを実現しうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施形態に係る剥離シートのリサイクル方法に適用される剥離シートを備えた樹脂シート積層体を示す断面図である。
【
図2】
図2は、剥離シートを粘着剤層と接する面側から見た平面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る剥離シートのリサイクル方法を示すフロー図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係るリサイクル方法で用いられる検査システムを示すブロック図である。
【
図5】
図5(a)、(b)は、三次元形状4A、4Bがそれぞれ形成された剥離シート10A、10Bを示す平面図である。
【
図6】
図6は、内容物の分別検査を行うステップの詳細を示すフローチャート図である。
【
図7】
図7は、本開示の第2の実施形態に係る剥離シートのリサイクル方法を示すフローチャート図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態の方法で用いられるリサイクル原料判定装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、剥離シートを備えた樹脂シート積層体を示す断面図であり、
図2は、剥離シートを粘着剤層と接する面側から見た平面図である。この剥離シート10は、第1の実施形態に係るリサイクル方法に適用される。
【0011】
図3は、第1の実施形態に係る剥離シートのリサイクル方法を示すフローチャート図であり、
図4は、本実施形態のリサイクル方法で用いられる検査システムを示すブロック図である。
【0012】
本実施形態のリサイクル方法では、
図1に示す樹脂シート積層体20から剥がされた剥離シート10を回収する。樹脂シート積層体20は、基材シート7と、基材シート7の一方の面に設けられた粘着剤層5とを有する粘着シート15と、粘着剤層5に貼り合わされた剥離シート10とを備えている。
【0013】
剥離シート10は、離型剤層3が形成された第一面6と、第一面6に対向する第二面8とを有し、第一面6及び第二面8の少なくとも一方に三次元形状4が形成された、樹脂材料からなる基材1を有している。ここで、「三次元形状」とは、凹部や凸部、凹凸部など、平面に対して立体的な形状を意味しており、立体的であれば特に形状は限定されない。基材1はシート状で、
図1及び
図2では、三次元形状4は錐台型に凹んだ凹部である例を示している。第一面6には、凹部が一定間隔で二次元方向に繰り返して配置された凹凸パターンが形成されており、粘着剤層5にはこの凹凸パターンに対応した、複数の凸部13が格子状の溝11によって区画された逆凹凸パターンが形成されている。第一面6に形成された凹凸パターンは、格子状の突条部9により形成されているとも言える。
【0014】
この構成により、粘着シート15が被着体に貼り付けられる際には溝11から空気が抜けるので、空気を噛み込むことなく被着体に貼り付けることが可能となる。
【0015】
基材シート7は、樹脂シート、紙及び合成紙から選ばれた1つ以上の材料により形成されていてもよく、これら材料の積層体であってもよい。粘着シート15がラベル等である場合、基材シート7の粘着剤層5と接する面、及びこの面と反対側の面の少なくとも一方に、インクとの密着性を向上させる易接着層が形成されていてもよい。
【0016】
三次元形状4のサイズはカメラ等によって識別が可能であれば特に限定されないが、例えば高さが1μm以上、縦横の長さが2μm以上であれば撮像に必要な機器を比較的低額に抑えることができるので、好ましい。凹凸パターンのサイズも特に限定されないが、三次元形状4の高さが例えば5μm以上100μm以下、縦横の長さが20μm以上1000μm以下、隣接する三次元形状4同士の間隔が20μm以上1000μm以下程度であり、粘着剤層5に空気の通路となる溝11が形成できるパターンであれば、粘着シート15の貼付け時に効果的に空気の噛み込みを低減できるので、好ましい。
【0017】
粘着剤層5は、ウレタン系、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系及びゴム系から選ばれた1種以上の粘着剤を用いて形成されていてもよい。粘着剤としては植物由来の粘着剤を使用してもよいし、植物由来の粘着付与剤等が添加されていてもよい。
【0018】
剥離シート10の基材1は再生可能な樹脂材料により構成されていればよい。樹脂材料は特に限定されないが、ポリエステル樹脂、その中でもポリエチレンテレフタレート(PET)は、汎用性が高く、リサイクル技術が確立されている点で好ましく使用できる。基材1は透明であってもよいし、白色であってもよいが、インク等による着色は、再利用の観点から、されていなくてよい。基材1が多孔質の樹脂材料により形成されている場合、白色となる。基材1が多孔質であることにより、透明の一般的な樹脂フィルムを用いる場合に比べて使用する樹脂材料の量を少なくすることができる。基材1としては、例えば東洋紡(株)のカミシャイン(登録商標)を使用することができる。環境配慮の観点から、基材1が植物由来材料を含むバイオマスポリエステルを含んでいてもよい。
【0019】
離型剤層3は、シリコーン樹脂やフッ素樹脂等を含む離型剤を含んでおり、
図1に示す例では、三次元形状4の形状に追従するように形成されている。離型剤層3の厚さは一般的に5μm以下程度となっている。基材1の第二面8及び/又は第一面6には帯電防止層が設けられていてもよい。
【0020】
図4に示す検査システム30は、例えば、剥離シート10の三次元形状4のデータを記憶できる記憶部21と、ロールシート又は枚葉シートの状態の検査対象物の検査面を撮像する撮像部25と、判断部27とを備えている。検査システム30は、必要に応じて三次元形状4のデータ以外の剥離シート10に関するデータを記憶できる第2の記憶部23をさらに備えていてもよい。第2の記憶部23に保持されるデータとしては、例えば基材1及び離型剤層3の構成材料や厚み等、剥離シート10の構成に関するデータが挙げられる。
【0021】
撮像部25は、検査対象物に可視光や赤外光等を照射する光源24と、検査対象物からの反射光又は検査対象物の透過光を受けて検査対象物の形状を撮影し、画像データを生成するカメラ22とを有している。カメラ22は超音波を検出できる超音波カメラであってもよく、その場合は光源24に加えて、又は光源24に代えて超音波発振器が設けられる。撮像部25の撮像方式は特に限定されないが、得られる画像の解像度が高い方が好ましい。例えば、
図1及び
図2に示す三次元形状4の高さが20μm以上100μm以下、縦横の長さが50μm以上500μm以下程度の場合でも形状を識別可能な解像度の画像が得られることが好ましい。
判断部27は、検査対象物の画像データと記憶部21に記憶された三次元形状4のデータとを照合し、検査対象物の画像データに三次元形状4が含まれている場合、検査対象物は異物ではないと判断し、検査対象物の画像データに三次元形状4が含まれていない場合、検査対象物は異物であると判断する。異物であるか否かの判断は、ロールシートごと、枚葉シートごとに行う。記憶部21、第2の記憶部23及び判断部27のうちの少なくとも1つは、例えば撮像部25を有する検査装置の外部に、別の装置として設けられていてもよい。検査装置はハンディタイプであってもよいし、位置が固定された設置型であってもよい。設置型の検査装置を使用する場合は、例えばベルトコンベヤ等の搬送装置によって運搬される検査対象物を連続的に検査するのが好ましい。
また、図示しないが、検査システム30には、可視光又は赤外光の反射光や透過光、超音波等を使用する公知の分析装置が含まれていてもよい。例えば、剥離シート10の構成を分析できる赤外線分析装置を後述の分別検査に使用することができる。
【0022】
図3に示す手順により、剥離シート10のリサイクルが行われる。まず、ステップS1において、使用事業者に樹脂シート積層体20が供給・販売されるか、加工事業者に販売され、加工事業者が加工した後、使用事業者に供給される。加工事業者は、粘着シート15の表面に印刷したり、抜き加工やハーフカット等の加工を行う。また、使用事業者が自ら印刷等の加工を行う場合もある。
【0023】
次に、ステップS2において、樹脂シート積層体20又はその加工品を供給された使用事業者は、粘着シート15を剥離シート10から剥がして使用する。使用事業者は、剥離した後の使用済み剥離シート10を廃棄せずに保管、集積する。
【0024】
ステップS3において、所定量に達した使用済み剥離シート10は、回収容器を用いてロールシート及び枚葉シートから選ばれるいずれかの形状で使用事業者から回収される。ロールシートの長さや枚葉シートの大きさ、裁断箇所の有無は、特に限定されない。
【0025】
ステップS4において、記憶部21が剥離シート10の三次元形状4を記憶する。本実施形態では、記憶部21が三次元形状4が繰り返された凹凸パターンも記憶する。ここで、「三次元形状4及び凹凸パターンを記憶する」とは、三次元形状4及び凹凸パターンを特定できる画像等のデータを記憶することを意味する。三次元形状4及び凹凸パターンを特定できる画像データとしては、特定の方向から撮影した二次元画像のデータを含んでいてもよく、複数の二次元画像データから再構成された三次元画像データを含んでいてもよい。本ステップは、後の分別検査の前であればどのタイミングで行ってもよい。
【0026】
図5(a)、(b)は、
図1に示す剥離シート10とは異なる三次元形状4A、4Bがそれぞれ形成された剥離シート10A、10Bを示す平面図である。剥離シート10Aのように、半球状又は円柱状の三次元形状4Aが二次元状に配置された凹凸パターンが形成されていてもよいし、剥離シート10Bのように、三次元形状4Bが凹状に刻印された文字であってもよい。このように、種々の形状の三次元形状が形成された剥離シートが本実施形態のリサイクル方法に適用可能である。
【0027】
ステップS5において、回収容器の内容物の分別検査を行う。本ステップの詳細を
図6に示す。
【0028】
まず、ステップS5Aにおいて、回収容器の内容物の検査面をロールシートごと又は枚葉シートごとに撮像部25が順次撮影する。撮像部25により生成された検査面の画像データは、判断部27へと送られる。この画像データは、三次元形状4を含むか否かを判断できるデータであれば二次元画像であってもよいし、三次元画像であってもよい。例えば、検査面を垂直上方から撮影した二次元画像を撮影してもよい。
【0029】
次に、ステップS5B、S5Cにおいて、判断部27が、検査面の画像と記憶部21から読み出された剥離シート10の三次元形状4とを照合する。本ステップでは、検査面の画像に三次元形状4と一致する形状が含まれているか否かを照合する。記憶部21に凹凸パターンが記憶されている場合は、検査面の画像と記憶部21から読み出された凹凸パターンとを比較する。
【0030】
本ステップにおいて、検査面の画像に三次元形状4が含まれていない場合、あるいは検査面の画像に凹凸パターンと一致するパターンが含まれていない場合、ステップS5Dにおいて、検査対象となったロールシート又は枚葉シートは使用済み剥離シートではないと判断される。この判断や形状の照合は判断部27が行うが、検査面の画像が鮮明な場合は目視により照合又は判断することもできる。
【0031】
検査システム30が第2の記憶部23と、可視光、赤外光又は超音波等を使用する分析装置とを有しており、第2の記憶部23に剥離シート10の構成データが保持されている場合は、本ステップにおいて、内容物の構成の分析と、分析された内容物の構成と第2の記憶部23から読み出された剥離シート10の構成との比較をさらに行ってもよい。判断部27は、分析された構成が記憶された剥離シート10の構成と一致すれば検査対象のロールシート又は枚葉シートを使用済み剥離シート10とみなしてよいと判断し、両構成が互いに相違する場合は、検査対象のロールシート又は枚葉シートは使用済み剥離シート10ではないと判断する。この分析装置では、各層の厚みや材質などが分析される。樹脂シート積層体20には、複数の剥離シート10が接続テープにより連結された構成を有している場合がある。剥離シート10の構成に基づいて異物か否かを判断する方法によれば、剥離シート10とは材質の異なる接続テープを効率良く識別することができる。
【0032】
互いに同じ材料により作製された、平坦な剥離シートと三次元形状4が形成された剥離シート10とが回収容器内に混在している場合、平坦な剥離シートはステップS5Dでは異物と判断される。この場合、構成の分析を行って、平坦な剥離シートと剥離シート10が同一材料により作製されたものであると判明すれば、この剥離シートは剥離シート10と共に後の再生ステップに回してよいと判断できる。このため、検査システム30による分析結果を剥離シート10の構成と照合するステップは、ステップS5Dの後に行うことが好ましい。
【0033】
一方で、検査面の画像に三次元形状4が含まれている場合、あるいは検査面の画像に凹凸パターンと一致するパターンが含まれている場合、判断部27はステップS5Cにおいて、検査対象のロールシート又は枚葉シートを使用済み剥離シート10であると判断する。検査対象物がロールシートである場合は、一部分を検査すればよく、シート全体の検査面を撮影する必要はない。
【0034】
次に、
図3に示すステップS6では、分別検査において使用済み剥離シート10ではないと判断された異物を回収容器の内容物から除去する。
【0035】
ステップS7においては、必要に応じて内容物の前処理を行ってもよい。例えば、使用済み剥離シート10を水及びアルカリ水で洗浄することで離型剤層3や帯電防止層の除去を行った後、適切なサイズに裁断して加熱及び溶融することにより、ペレット形状にしてもよい。特に問題が無ければ、離型剤層3を除去せずにペレット形状にしてもよい。
【0036】
ステップS8において、使用済み剥離シート10は、樹脂原料に再生される。樹脂原料への再生方法は特に限定されず、剥離シート10の樹脂組成に応じた種々の方法を用いることができる。再生された樹脂原料は、再び剥離シートの生産に用いることができる。剥離シートを生産する際には再生原料のみ用いることもできるが、未使用の原料と混合して使用することもできる。環境への負荷を考慮すれば、新たに生産される剥離シートの基材に、リサイクルされた樹脂原料が少なくとも10質量%以上含まれていることが好ましい。使用済みの剥離シートから再生された、いわゆる水平リサイクルされた樹脂原料が剥離シート10に含まれていてもよい。水平リサイクルされた材料の使用は、石油資源の直接的な節約につながるので、好ましい。
【0037】
本実施形態の剥離シートのリサイクル方法によれば、剥離シート10に形成された三次元形状4を異物であるか否かの識別標識として利用している。剥離シートの表面に印刷された文字やマークを識別標識とする場合、樹脂原料を再生する際にインクの除去が必要になる場合がある。本実施形態の方法によれば、インクの除去等の工程を追加することなく樹脂原料の再生を行うことができる。また、三次元形状4の識別は構成材料の分析等に比べて短時間で実施できるので、連続的に分別検査を行うことが可能となる。
【0038】
三次元形状4が繰り返された凹凸パターンは、平坦な剥離シートに公知のエンボス加工を施すこと等により形成できる。このような凹凸パターンは一般的に第三者が精度良く模倣するのが困難であるので、これを識別標識とすることにより、異物の除去を精度良く行うことが可能となる。
【0039】
本実施形態の方法によれば、三次元形状4が剥離シート10の離型面側ではなく、剥離シート10の裏面(第二面8)に形成されていても、識別標識として使用することができる。ただし、検査対象物の検査面は三次元形状4が形成された方の面とし、撮像部25により撮影可能な状態で搬送される必要がある。
【0040】
本実施形態の方法においては、樹脂シート積層体20に含まれる粘着シート15は必ずしも基材シート7を有している必要はなく、基材を有さず、2枚の剥離シート10に挟まれた構成を有していてもよい。また、離型剤層3が基材1の両面に設けられ、いわゆる基材レスタイプの粘着シート15の一方の面にのみ剥離シート10が設けられた樹脂シート積層体20をステップS1で販売してもよい。この場合、樹脂シート積層体20は、剥離シート10の背面(第二面)が粘着剤層5の剥離シート10とは反対側の面に接するように巻回されたロールの状態で提供されてもよい。
【0041】
なお、
図4に示す記憶工程(ステップS4)、検査工程(ステップS5)及び異物の除去工程(ステップS6)は、ステップS3で使用事業者から回収した剥離シートを受け入れた後、連続的に実施されてもよい。あるいは、ステップS4及びステップS5は使用事業者から回収した剥離シートの受け入れ検査として行われてもよい。その場合、許容範囲以上の異物が剥離シートに含まれることが分かった段階で受け入れ拒否をすることもできる。
【0042】
(第2の実施形態)
本開示の第2の実施形態に係る剥離シートのリサイクル方法を説明する。
図7は、第2の実施形態に係る剥離シートのリサイクル方法を示すフローチャート図であり、
図8は、本実施形態の方法で用いられるリサイクル原料判定装置を示すブロック図である。
【0043】
図8に示すように、リサイクル原料判定装置40は、粘着シートの使用事業者への供給量のデータを記憶する供給量記憶部51と、検査対象物の質量を計測する計測部57と、演算部53と、計測部57からの計測データと演算部53により算出されたデータとに基づいて所定の判断を行う評価部55とを備えている。
【0044】
図1に示す樹脂シート積層体20は、
図7に示すステップS11において、使用事業者に供給される。樹脂シート積層体20は、加工事業者により基材シート7表面への印刷や、抜き加工等の加工が施された状態で使用事業者に供給されてもよい。ここで、最終的な使用事業者への樹脂シート積層体20又はその加工品の供給量等のデータが、供給量記憶部51に使用事業者ごとに記憶される。
【0045】
ステップS12において、使用事業者は、粘着シート15を剥離シート10から剥がして使用する。使用事業者は、剥離した後の使用済み剥離シート10を廃棄せずに保管、集積する。
【0046】
ステップS13において、所定量に達した使用済み剥離シート10は、回収容器を用いてロールシート及び枚葉シートから選ばれるいずれかの形状で使用事業者から回収される。ここで使用される回収容器は、後工程での計測を容易にするために、サイズや質量、容量等の規格が統一された専用容器であることが好ましい。専用容器には容器番号が付され、容器質量と紐づけされていてもよい。専用容器の具体例として、例えば、フレキシブルコンテナバッグ(フレコンバッグ)と金属枠とを組み合わせたフレコンボックスが挙げられる。フレコンボックスを用いることにより、単位容器ごとの物品集配輸送サービス(JITBOXチャーター便(登録商標)等)を利用して効率良く使用済み剥離シート10が回収できるようになる。
【0047】
ステップS14において、使用事業者から配送システムにより回収された回収容器は、所定の拠点に集積される。集積された回収容器は計量され、使用事業者ごとに回収容器内の回収量が記憶、集計される。回収容器自体の質量が分かっている場合や、専用容器を回収容器としている場合、回収量は内容物込みの回収容器の質量と空の回収容器の質量との差により求めることができる。
【0048】
ステップS15において、検査システム30の記憶部21が剥離シート10の三次元形状4を記憶する。本実施形態では、記憶部21が三次元形状4が繰り返された凹凸パターンも記憶する。本ステップは、後に行う分別検査の前であればどのタイミングで行ってもよい。
【0049】
ステップS16において、使用事業者からの使用済み剥離シート10の回収量予測値を、記憶させた樹脂シート積層体20の供給量に基づいて算出する。回収予測値の算出は、例えば樹脂シート積層体20の単位質量あたりの剥離シート10の質量割合を、供給した樹脂シート積層体20の質量にかけることにより求めることができる。樹脂シート積層体20の販売時に販売面積(m2)を記憶しておき、販売面積に剥離シート10の単位面積当たりの質量を乗じて回収予測値を算出してもよい。精度を高めるために、過去の回収量実績等を種々のパラメータとして加味して演算部53が回収量予測値を算出することもできる。回収量予測値の算出は、樹脂シート積層体20の供給量が決定してから、回収量と比較するまでの任意の間に行うことができる。
【0050】
ステップS17において、使用事業者ごとの回収量を、回収量予測値と比較し、該当する回収容器が検査対象になるかどうかを判定する。使用事業者から使用済み剥離シート10が正しく回収できた場合には、回収量と回収量予測値とがほぼ一致するはずである。回収量が回収量予測値から大きく下回る場合は、使用事業者が使用済み剥離シート10を十分に回収していなかったり、使用済み剥離シート10以外のものが回収容器に入れられていたりすることが疑われる。また、回収量が回収量予測値を大きく上回る場合は、使用済み剥離シート10以外のものも回収容器に入れられたことが疑われる。回収量と回収量予測値とが大きくずれている場合には、いずれにしても使用済み剥離シート10が正しく回収できていない可能性が高いため、該当する回収容器に対して内容物の検査を行う。一方、回収量と回収量予測値とが一致する場合には、該当する回収容器の内容物の検査を行わないか、簡単な検査のみを行うようにできる。
【0051】
評価部55における、回収量と回収量予測値とが一致しているかどうかの判定は、両者の差が所定の範囲内にあるかどうかにより行うことができる。所定の範囲は、10%~30%程度の値を一律に設定したり、統計的解析を行ってその結果に基づいて設定したりすることができる。
【0052】
先のステップで検査を行うと判断された場合、ステップS18において、回収容器の内容物の分別検査を行う。本ステップでは、第1の実施形態で説明した、
図6に示すステップS5A~ステップS5Dの手順で検査を行い、内容物に異物が混入しているか否かを判断する。本ステップでは、三次元形状4を用いた検査に加え、検査対象物の厚みや物性等の物理的特性を検査してもよいし、全光線透過率やヘイズ等の光学的特性を検査してもよいし、目視による検査をしてもよい。
【0053】
次に、ステップS19では、分別検査において使用済み剥離シート10ではないと判断された異物を回収容器の内容物から除去する。
【0054】
ステップS20では、必要に応じて内容物の前処理を行ってもよい。次いで、ステップS21において、使用済み剥離シート10は、樹脂原料に再生される。
【0055】
本実施形態の方法において、回収量と回収量予測値とが一致しているかどうかの判定は、
図8に示すリサイクル原料判定装置40により自動的に行うことができる。回収容器内の内容物の量は計測部57により算出され、回収量予測値は、演算部53により算出される。評価部55は、回収量と回収量予測値とを比較して、差異が所定の範囲を超える場合には、分別検査の対象となる回収容器であると決定する。
【0056】
供給量記憶部51は、樹脂シート積層体20の供給量が直接入力される構成とすることができるが、サーバー上の営業情報を読み出す構成とすることもできる。計測部57は、回収容器の質量を計測する計測ユニットと一体となって自動的に回収容器の質量を取得して回収量を算出する構成とすることができるが、回収容器の質量測定は独立した装置で行う構成とすることもできる。評価部55は、評価結果に基づいて、該当する回収容器に貼付するラベル等を出力する機能を有していてもよい。回収量予測値を算出する演算部53は、評価部55と兼用する構成とすることができる。また、回収容器の質量から回収量を算出する機能を評価部55が担う構成とすることもできる。
【0057】
本実施形態の方法において、回収量のデータは、他の目的に用いることもできる。例えば、使用事業者から回収した回収容器を第1の拠点に集積した後、より大きな回収容器に移し替えて、再生を行う第2の拠点に移動させる場合、回収量のデータを用いて第1の拠点に集積している使用済み剥離シート10の在庫管理を行うことができる。この場合、使用事業者への樹脂シート積層体20の供給量のデータに基づいて、第1の拠点における使用済み剥離シート10の集積量が所定の値を超える時期の予測を行い、回収容器ごとの第2の拠点への移送スケジュールを立案することができる。また、このスケジュールに基づいて配送業者へ移送の手配を行うことができる。このようにすれば、拠点間の移送をスムーズに行うことができ、集積場所の確保も最小限にすることができるので、効率的にリサイクルを行うことができる。第1の拠点が複数ある場合には、それぞれの第1の拠点のデータを集中して管理することにより、さらに効率的に移送やリサイクル設備の稼働の計画を立案することができる。
【0058】
第1の拠点では、第2の拠点での再生を円滑に行えるように、使用済み剥離シート10にステップS20の前処理を行ってもよい。第2の拠点には、前処理された加工物を移送してもよい。この場合、使用済み剥離シート10の加工物の在庫量も管理しておいてもよく、使用済み剥離シート10の集積量の予測値に基づいて立案された使用済み剥離シート10の加工物の移送スケジュールを、加工物の在庫量に応じて修正してもよい。
【0059】
回収量のデータは、使用事業者に支払う対価を算出する際にも使用することができる。使用事業者に対価を支払うことにより、よりスムーズに回収を行うことができる。また、再生が容易な状態で使用済み剥離シート10を回収できた使用事業者により高い対価を支払うことにより、使用事業者の意識を高め、より状態がよい使用済み剥離シート10を回収できる。例えば、使用事業者に支払う対価を、異物の混入が少ない場合と、異物が規定値以上に多い場合とに生じるリサイクル費用の差を反映させたものとすることができる。この場合、剥離シート10の運送費用やリサイクルに使用する薬剤の価格等、リサイクルに要する費用に影響を与える種々のパラメータを記憶させたシステムを用いて、リサイクルに要する費用を包括的に算出することが好ましい。このようにすれば、使用事業者の納得性がより高まり、意識の向上に繋がる。なお、リサイクルされた樹脂原料の取引価格の情報を事前に供給量記憶部51等に記憶させておき、樹脂原料の取引価格から上述のリサイクル費用を差し引くことで使用事業者に支払う対価を算出してもよい。
【0060】
本実施形態のリサイクル方法によれば、回収量と回収量予測値との比較に基づいて回収容器が検査対象になるか否かを簡易に判別しているので、第1の実施形態に係る方法に比べて分別検査の効率を上げることができる。その一方で、検査対象と判断された回収容器の内容物については、剥離シート10の三次元形状4を識別標識として用いた方法で精度良く、且つ効率的に異物の検出及び除去を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本開示の剥離シートのリサイクル方法は、ラベル等、環境に配慮した粘着シートの分野において、有用である。
【符号の説明】
【0062】
1 基材
3 離型剤層
4、4A、4B 三次元形状
5 粘着剤層
7 基材シート
9 突条部
10、10A、10B 剥離シート
11 溝
13 凹部
15 粘着シート
20 樹脂シート積層体
21 記憶部
22 カメラ
23 第2の記憶部
24 光源
25 撮像部
27 判断部
30 検査システム