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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021097
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20250205BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20250205BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20250205BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20250205BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20250205BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20250205BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20250205BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/73
A61K8/86
A61K8/34
A61K8/44
A61K8/49
A61Q19/00
A61Q1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124820
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】金子 美桜
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC621
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC841
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD051
4C083AD052
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD351
4C083AD352
4C083CC03
4C083CC07
4C083CC11
4C083DD23
4C083DD41
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】塩型薬剤を使用していても、塗布中の厚みを感じることができる使用感に優れる化粧料組成物の提供。
【解決手段】(A)カルボマーと、(B)増粘多糖類と、(C)アルキル変性カルボキシビニルポリマーと、(D)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(C18~C28)エーテルと、(E)塩型薬剤と、を含有する化粧料組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カルボマーと、
(B)増粘多糖類と、
(C)アルキル変性カルボキシビニルポリマーと、
(D)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(C18~C28)エーテルと、
(E)塩型薬剤と、を含有する化粧料組成物。
【請求項2】
前記(A)成分の含有量が0.05質量%以上0.3質量%以下であり、
前記(B)成分の含有量が0.03質量%以上0.2質量%以下であり、
前記(C)成分の含有量が0.02質量%以上0.1質量%以下である請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記(B)成分の含有量に対する前記(A)成分の含有量の比(A/B)が、0.8/1以上5/1以下である請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記(B)成分が、キサンタンガム、サクシノグリカン、ジェランガム、デキストラン、ヒアルロン酸、グアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、及びカラギーナンからなる群から選択される1以上の増粘多糖類である請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
前記(D)成分において、エチレンオキサイドのモル比がプロピレンオキサイドのモル比よりも大きい請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
前記(D)成分が、ポリオキシプロピレン(13)ポリオキシエチレン(24)デシルテトラデシルエーテルである請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
前記(E)成分が、アルコキシサリチル酸及びその誘導体、サリチル酸及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、ピリミジニルピラゾール及びその誘導体、環状カルボキサミド及びその誘導体、並びにL-アスコルビン酸及びその誘導体からなる群から選択される1以上の塩型薬剤である請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
(F)油分を更に含有し、
前記(F)成分の含有量が0.5質量%以下である請求項1に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料には、美白成分などの有効成分を配合した高機能の化粧料が存在し、有効成分を安定に配合する工夫がなされている。一方、スキンケア化粧料においては、その触感や肌に適用したときの使用感も重要である。
【0003】
例えば、肌に塗布する際には適度なコク感がありながら、その後に崩れて水が溢れだすようなみずみずしい感触を与えることのできる化粧料が求められており、(A)会合性増粘剤、(B)吸水性ポリマー、及び(C)極性油を含有する水中油型乳化化粧料が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-116229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、塩型薬剤を使用していても、塗布中の厚みを感じることができる使用感に優れる化粧料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段としての本発明の化粧料組成物は、(A)カルボマーと、(B)増粘多糖類と、(C)アルキル変性カルボキシビニルポリマーと、(D)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(C18~C28)エーテルと、(E)塩型薬剤と、を含有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、塩型薬剤を使用していても、塗布中の厚みを感じることができる使用感に優れる化粧料組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(化粧料組成物)
本発明の化粧料組成物は、(A)カルボマーと、(B)増粘多糖類と、(C)アルキル変性カルボキシビニルポリマーと、(D)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(C18~C28)エーテルと、(E)塩型薬剤と、を含み、更に必要に応じて、その他の成分を含む。
【0009】
なじみが良く滑らかな化粧水的使用感は、多くの化粧料に望まれる特性であるが、これらの特性を損なうことなく、塗布中の厚みを発現することは容易ではない。
一方、塗布中の厚みは、増粘剤の配合に大きく依存することが知られている。
本発明者は、従来技術の化粧料組成物に塩型薬剤を配合すると、増粘剤の作用が阻害され、塗布中の厚みを十分に感じることができないことを知見した。前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、増粘剤として(A)カルボマーと、(B)増粘多糖類と、(C)アルキル変性カルボキシビニルポリマーと、を用い、更に(D)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(C18~C28)エーテルと、(E)塩型薬剤と、を併用することにより、塩型薬剤を使用していても、なじみが良く滑らかな化粧水的使用感がありながら、塗布中の厚みを感じることができる使用感に優れる化粧料組成物を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
<(A)カルボマー>
前記(A)カルボマーは、アクリル酸重合体を主鎖とし、ペンタエリスチルアリエーテル、スクロースアリエーテル及びプロピレンアリエーテルの少なくともいずれかで架橋したアクリル酸の重合体(カルボキシビニルポリマー)であり、増粘剤として使用される。
【0011】
前記(A)カルボマーの市販品としては、例えば、カーボポール(登録商標)940、941、980、981、934、2984、5984(ルーブリゾール社製)、ハイビスワコー(登録商標)104、105(富士フイルム和光純薬株式会社製)などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0012】
前記(A)カルボマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、塩型薬剤を使用していても、塗布中の厚みを感じることができる使用感に優れることに加えて、なじみが良く滑らかな化粧水的使用感も維持できる点で、前記化粧料組成物の総量に対し、0.05質量%以上0.3質量%以下が好ましく、0.1質量%以上0.3質量%以下がより好ましく、0.15質量%以上0.3質量%以下が更に好ましい。前記含有量が0.05質量%未満であると、十分な塗布中の厚みを感じることができないことがあり、前記含有量が0.3質量%を超えると、粘度が高すぎて使用感が悪くなることがある。
【0013】
<(B)増粘多糖類>
前記(B)増粘多糖類は、化粧料組成物の粘度を増加させるために用いられる多糖類であり、増粘剤として使用される。
【0014】
前記(B)増粘多糖類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、キサンタンガム、サクシノグリカン、ジェランガム、デキストラン、ヒアルロン酸、グアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
前記(B)増粘多糖類の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、塩型薬剤を使用していても、塗布中の厚みを感じることができる使用感に優れることに加えて、なじみが良く滑らかな化粧水的使用感も維持できる点で、前記化粧料組成物の総量に対し、0.03質量%以上0.2質量%以下が好ましく、0.05質量%以上0.2質量%以下がより好ましく、0.08質量%以上0.2質量%以下が更に好ましい。前記含有量が0.03質量%未満であると、十分な塗布中の厚みを感じることができないことがあり、前記含有量が0.2質量%を超えると、粘度が高すぎて使用感が悪くなることがある。
【0016】
<(C)アルキル変性カルボキシビニルポリマー>
前記(C)アルキル変性カルボキシビニルポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの単純エステルからなるモノマー1種以上と、アクリル酸アルキル(C10-30)との共重合体を、ショ糖のアリルエーテル又はペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したものであり、増粘剤、乳化剤として使用される。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記(C)アルキル変性カルボキシビニルポリマーとしては、例えば、アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマーなどが挙げられ、その市販品である、PEMULEN(登録商標) TR-2(ルーブリゾール社製)を好適に使用することができる。
【0018】
前記(C)アルキル変性カルボキシビニルポリマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、塩型薬剤を使用していても、塗布中の厚みを感じることができる使用感に優れることに加えて、なじみが良く滑らかな化粧水的使用感も維持できる点で、前記化粧料組成物の総量に対し、0.02質量%以上0.1質量%以下が好ましく、0.03質量%以上0.1質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい。前記含有量が0.02質量%未満であると、十分な塗布中の厚みを感じることができないことがあり、前記含有量が0.1質量%を超えると、粘度が高すぎて使用感が悪くなることがある。
【0019】
[(A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有量]
前記(A)成分、前記(B)成分、及び前記(C)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、塩型薬剤を使用していても、塗布中の厚みを感じることができる使用感に優れることに加えて、なじみが良く滑らかな化粧水的使用感も維持できる点で、前記(A)成分の含有量が0.05質量%以上0.3質量%以下であり、前記(B)成分の含有量が0.03質量%以上0.2質量%以下であり、前記(C)成分の含有量が0.02質量%以上0.1質量%以下であることが好ましく、前記(A)成分の含有量が0.1質量%以上0.3質量%以下であり、前記(B)成分の含有量が0.05質量%以上0.2質量%以下であり、前記(C)成分の含有量が0.03質量%以上0.1質量%以下であることがより好ましく、前記(A)成分の含有量が0.15質量%以上0.3質量%以下であり、前記(B)成分の含有量が0.08質量%以上0.2質量%以下であり、前記(C)成分の含有量が0.05質量%以上0.1質量%以下であることが更に好ましい。
【0020】
前記(B)成分の含有量に対する前記(A)成分の含有量の比(A/B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.8/1以上5/1以下が好ましい。
【0021】
<(D)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(C18~C28)エーテル>
前記(D)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(C18~C28)エーテルは、界面活性剤として使用され、下記式(I)で表される構造を有するものが好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
RO(CO)(CO)H (I)
前記式(I)中、Rは炭素数18~28の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を表し、mは2~24の数を表し、nは10~38の数を表す。
【0023】
前記(D)成分において、ポリオキシエチレン(POE)を構成するエチレンオキサイドのモル比nが、ポリオキシプロピレン(POP)を構成するプロピレンオキサイドのモル比mよりも大きいことが好ましい。前記式(I)において、n>mであることが好ましい。
【0024】
そのような前記(D)成分としては、POP(13)POE(24)デシルテトラデシルエーテル(INCI名:PPG-13デシルテトラデセス-24)が好ましく、その市販品である、エスセーフ1324(D)(日油株式会社製)を好適に使用できる。
【0025】
前記(D)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(C18~C28)エーテルの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記化粧料組成物の総量に対し、0.05質量%以上1.0質量%以下が好ましく、0.1質量%以上0.8質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上0.5質量%以下が更に好ましい。
【0026】
<(E)塩型薬剤>
前記(E)塩型薬剤は、塩を形成可能な水溶性の薬剤であり、通常、化粧料に使用されるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、配合時に、塩の形態であってもよく、塩の形態でなくてもよい。前記(E)塩型薬剤は、有効成分として配合される。
【0027】
前記(E)塩型薬剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルコキシサリチル酸及びその誘導体、サリチル酸及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、ピリミジニルピラゾール及びその誘導体、環状カルボキサミド及びその誘導体、並びにL-アスコルビン酸及びその誘導体からなる群から選択されることが好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記塩としては、特に制限はなく、薬剤に許容される塩を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩等のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩;リン酸塩、塩酸塩、臭化水素塩、硫酸塩等の無機塩アンモニウム塩;アミノ酸塩;などが挙げられる。
【0029】
前記アルコキシサリチル酸は、サリチル酸の3位、4位又は5位のいずれかの水素原子がアルコキシ基にて置換されたものであり、置換基であるアルコキシ基は、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、及びイソブトキシ基のいずれかであり、より好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。具体的に化合物名を例示すれば、3-メトキシサリチル酸、3-エトキシサリチル酸、4-メトキシサリチル酸、4-エトキシサリチル酸、4-プロポキシサリチル酸、4-イソプロポキシサリチル酸、4-ブトキシサリチル酸、5-メトキシサリチル酸、5-エトキシサリチル酸、5-プロポキシサリチル酸などが挙げられる。これらの中でも、4-メトキシサリチル酸が好ましい。
【0030】
前記サリチル酸、及び前記サリチル酸誘導体としては、例えば、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、ジプロピレングリコールサリチレート、TEAサリチレートなどが挙げられる。
これらの市販品としては、例えば、ホモサレートとしてEusolex(登録商標)HMS(Rona/EM Industries社製)、サリチル酸エチルヘキシルとして、Neo Heliopan(登録商標)OS(Symrise社製)、ジプロピレングリコールサリチレートとしてDipsalTM(Scher社製)、TEAサリチレートとしてNeo Heliopan(登録商標)TS(Symrise社製)などが挙げられる。
【0031】
前記トラネキサム酸誘導体としては、例えば、塩酸トランス-4-(トランス-アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等のトラネキサム酸の二量体;4-(トランス-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸4'-ヒドロキシフェニルエステル等のトラネキサム酸とハイドロキノンのエステル体;2-(トランス-4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)-5-ヒドロキシ安息香酸等のトラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体;メチルアミノメチルシクロヘキサンカルボキシアミド、トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミド、トランス-4-(p-メトキシベンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、トランス-4-グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸等のトラネキサム酸のアミド体;などが挙げられる。これらの中でも、メチルアミノメチルシクロヘキサンカルボキシアミドが好ましい。
【0032】
前記ピリミジニルピラゾール、及びピリミジニルピラゾール誘導体としては、例えば、ジメチルピラゾリルジメチルピリミジン、5-エチル-2-(4-エチル-3,5-ジメチルピラゾール-1-イル)-4,6-ジメチルピリミジン、4-イソブチル-2-(3-イソブチル-5-メチルピラゾール-1-イル)-6-メチルピリミジンなどが挙げられる。
【0033】
前記環状カルボキサミドの塩、及び環状カルボキサミド誘導体の塩としては、例えば、2-イミダゾリジノン、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリジノン、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドンなどが挙げられる。これらの中でも、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリジノンが好ましい。
【0034】
前記L-アスコルビン酸の誘導体としては、例えば、L-アスコルビン酸モノステアレート、L-アスコルビン酸モノパルミテート、L-アスコルビン酸モノオレート等のL-アスコルビン酸モノアルキルエステル類;L-アスコルビン酸モノリン酸エステル、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステル等のL-アスコルビン酸モノエステル類;L-アスコルビン酸ジステアレート、L-アスコルビン酸ジパルミテート、L-アスコルビン酸ジオレート等のL-アスコルビン酸ジアルキルエステル類;L-アスコルビン酸トリステアレート、L-アスコルビン酸トリパルミテート、L-アスコルビン酸トリオレート等のL-アスコルビン酸トリアルキルエステル類;L-アスコルビン酸トリリン酸エステル等のL-アスコルビン酸トリエステル類;L-アスコルビン酸2-グルコシド等のL-アスコルビン酸グルコシド類などが挙げられる。これらの中でも、L-アスコルビン酸2-グルコシドが好ましい。
【0035】
前記(E)塩型薬剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記化粧料組成物の総量に対し、0.1質量%以上3.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以上2.0質量%以下がより好ましく、1.0質量%以上2.0質量%以下が更に好ましい。
【0036】
<水>
前記化粧料組成物に含有される水の量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記化粧料組成物の総量に対し、60質量%以上95質量%以下が好ましく、70質量%以上90質量%以下がより好ましい。
【0037】
<(F)油分>
前記化粧料組成物は、前記(A)成分~前記(E)成分を含むことにより、特に、塗布中の厚みを感じることができる使用感を提供できるため、前記(F)油分を含まなくてもよく、前記(F)油分を含む場合でもその含有量を低減させることができる。
【0038】
前記(F)油分を含む場合、前記(F)油分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下が更に好ましい。
【0039】
前記(F)油分としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の化粧料の成分を適宜選択することができ、例えば、植物油、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油、液体油脂、固体油脂、ロウ類、油溶性薬剤などが挙げられる。
【0040】
<その他の成分>
前記化粧料組成物には、必須成分である前記(A)成分~前記(E)成分に加えて、公知の化粧料組成物に配合される任意成分を、その他の成分として配合してもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の化粧料の成分を適宜選択することができ、例えば、前記(A)成分~前記(C)成分以外の増粘剤、炭素数6以下のアルコール、保湿剤、中和剤、安定化剤、防腐剤、エモリエント剤、紫外線吸収剤、キレート剤、香料、無機顔料などが挙げられる。
【0041】
前記炭素数6以下のアルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコールなどが挙げられる。
【0042】
前記保湿剤は、肌の保湿、うるおい効果を高めることができる。
前記保湿剤としては、グリセリン(ダイナマイトグリセリン)、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エリスリトール、マルチトール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(ただし、前記(D)成分に該当するものは除く)、アセチル化ヒアルロン酸及びその塩などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
[粘度]
前記化粧料組成物の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の化粧料の成分を適宜選択することができ、25℃における粘度として、10mPa・s以上が好ましく、50mPa・s以上がより好ましく、100mPa・s以上が更に好ましい。
【0044】
前記化粧料組成物の粘度は、例えば、粘度測定装置(VISCOMETER TVB-15、東機産業株式会社)no.2プローブを用い、30℃、回転速度12回転/分間で測定することができる。
【0045】
前記化粧料組成物の形態としては、水性組成物であることが好ましい。液体状、ゲル状など任意に選択することができる。
【0046】
[用途]
本形態による化粧料組成物の用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スキンケア化粧料、肌、唇及び爪用のパック化粧料、メーキャップ化粧料などが挙げられる。
【0047】
[化粧料組成物の製造方法]
前記化粧料組成物は、必要に応じて加熱しながら、各成分を混合して、適宜攪拌混合することにより調製することができる。
【実施例0048】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、本実施例の説明において、割合(%及び部)の値は、特に記載がない限り、化粧料組成物全量に対する質量%で示す。
【0049】
(実施例1)
以下の表1に示す処方で化粧料組成物を調製した。
調製した化粧料組成物の「粘度」、「塗布中の厚み」、「滑らかさ」、及び「なじみの良さ」について、以下のように評価した。結果を表1に示す。
【0050】
<粘度>
調製した化粧料組成物の粘度を、粘度測定装置(VISCOMETER TVB-15、東機産業株式会社)no.2プローブを用い、30℃、回転速度12回転/分間で測定した。
【0051】
<塗布中の厚み>
調製した化粧料組成物を肌に塗布した際に、厚みがある使用感を感じるかどうかの官能評価を以下の手順で行い、以下の評価基準に基づき評価した。
-官能評価-
専門パネル5名に対し、調製した化粧料組成物を、室温で手の甲に塗布してもらい、その使用感を評価した。評価は、人数の最も多かった評価基準を採用した。評価基準が同数となった場合は、パネリストの話し合いにより評価を決定した。
-評価基準-
〇:塗布中の厚みを感じた
△:塗布中の厚みをやや感じた
×:塗布中の厚みを感じられなかった
【0052】
<滑らかさ>
調製した化粧料組成物を肌に塗布した際に、滑らかな使用感を感じるかどうかの官能評価を前記手順で行い、以下の評価基準に基づき評価した。
-評価基準-
〇:滑らかな使用感を感じた
△:滑らかな使用感をやや感じた
×:滑らかな使用感を感じられなかった
【0053】
<なじみの良さ>
調製した化粧料組成物を肌に塗布した際に、なじみが良い使用感を感じるかどうかの官能評価を前記手順で行い、以下の評価基準に基づき評価した。
-評価基準-
〇:なじみが良い使用感を感じた
△:なじみが良い使用感をやや感じた
×:なじみが良い使用感を感じられなかった
【0054】
(比較例1~7)
実施例1において、表1に示す処方の通り、必須成分である(A)成分~(E)成分の少なくともいずれかを除いたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ比較例1~7の化粧料組成物を調製し、「塗布中の厚み」、「滑らかさ」、及び「なじみの良さ」について評価を行った。また、比較例2の粘度を測定した。結果を表1に示す。
【0055】
(実施例2~10)
実施例1において、表2~3に示す処方としたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれ実施例2~10の化粧料組成物を調製し、「塗布中の厚み」、「滑らかさ」、及び「なじみの良さ」について評価を行った。また、実施例3及び6の粘度を測定した。結果を表2~3に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
表1~表3に示すように、実施例1~6の化粧料組成物は、前記(A)成分~前記(E)成分を全て含むことにより、塩型薬剤を使用していても、塗布中の厚みを感じることができる使用感に優れることが分かった。加えて、なじみが良く滑らかな化粧水的使用感も維持できることが分かった。また、各種の(E)成分を用いた場合(実施例1及び7~10)でも、実施例1と同様の使用感を担保できることが分かった。
【0060】
一方で、前記(A)成分~前記(E)成分のいずれかを含まない場合(比較例1~7)では、塗布中の厚み、滑らかさ、なじみの良さの全てを担保することができなかった。
【0061】
表1~表3において用いた成分は、以下の通りである。
【0062】
【表4】
【0063】
以上、本発明を具体的な実施形態及び実施例に基づいて説明したが、これらの実施形態及び実施例は例として提示したものにすぎず、本発明は上記実施形態及び実施例によって限定されるものではない。本発明の開示の範囲内において、様々な変更、修正、置換、削除、付加、及び組合せ等が可能である。