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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021124
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】センサモジュール
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/02 20060101AFI20250205BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20250205BHJP
   A01G 7/00 20060101ALN20250205BHJP
【FI】
G01N1/02 W
G01N1/00 101R
A01G7/00 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124856
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】水谷 学世
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA34
2G052AA37
2G052AB11
2G052AB16
2G052AB25
2G052AB27
2G052AD02
2G052AD22
2G052AD42
2G052BA05
2G052BA14
2G052CA04
2G052CA12
2G052EA03
2G052EA11
2G052GA23
2G052JA08
2G052JA11
2G052JA18
(57)【要約】
【課題】植物の対象部位の一部の領域から放出されるガスを検出できる技術を提供する。
【解決手段】センサモジュールは、植物から放出されるガスが通過可能な第1管と、植物の対象部位の一部の領域に対して第1管の端部を固定する固定部材と、第1管に接続され、第1管内を負圧にする吸引器と、第1管に設けられ、ガスに含まれる植物由来の対象物質を検出し、検出された対象物質の情報を出力する第1センサと、を備える。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物から放出されるガスが通過可能な第1管と、
前記植物の対象部位の一部の領域に対して第1管の端部を固定する固定部材と、
前記第1管に接続され、前記第1管内を負圧にする吸引器と、
前記第1管に設けられ、前記ガスに含まれる植物由来の対象物質を検出し、検出された対象物質の情報を出力する第1センサと、
を備える、センサモジュール。
【請求項2】
前記固定部材には、植物から放出されるガスが通過可能な第1流路が形成され、
前記固定部材は、前記植物の対象部位の一部の領域に接着可能な接着面を有し、
前記第1管は、前記固定部材に接続し、前記第1流路を通過した前記ガスが通過可能であって、
前記吸引器は、前記第1流路及び前記第1管内を負圧にする、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項3】
前記固定部材には、植物から放出されるガスが通過可能であって、前記第1流路とは別の第2流路が形成され、
前記第2流路に対応し、前記第1管とは別の第2管をさらに備え、
前記吸引器は、前記第2管に接続され、前記第2流路及び前記第2管内を負圧にする、請求項2に記載のセンサモジュール。
【請求項4】
前記第2管に設けられ、前記ガスに含まれる植物由来の対象物質を検出し、検出された対象物質の情報を出力する第2センサをさらに備え、
前記第1センサ及び前記第2センサは、同一の対象物質を検出する、請求項3に記載のセンサモジュール。
【請求項5】
前記第2管に設けられ、前記ガスに含まれる植物由来の対象物質を検出し、検出された対象物質の情報を出力する第2センサをさらに備え、
前記第1センサ及び前記第2センサは、互いに異なる対象物質を検出する、請求項3に記載のセンサモジュール。
【請求項6】
前記第1管に設けられ、前記ガスに含まれる対象物質を通過させ、前記対象物質と異なる対象外物質を前記ガスから除去するフィルタを更に備える、請求項1~5の何れか一項に記載のセンサモジュール。
【請求項7】
前記固定部材の前記接着面は、粘着により前記植物の対象部位の前記一部の領域に接着する、請求項2~5の何れか一項に記載のセンサモジュール。
【請求項8】
前記固定部材及び前記第1管の少なくとも一部は、透光性を有する材料又は透明な材料で構成されている、請求項1~5の何れか一項に記載のセンサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、光合成蒸散測定装置を開示する。この光合成蒸散測定装置は、箱体と、チャンバーと、分析計とを備える。箱体は、被測定葉を気密的に収容可能で透光性を有する。チャンバーは、一部の空気を排気口から大気放出する。分析計として、チャンバーの後段に湿度センサ及び赤外センサが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1-77342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、植物は、その状態に応じて種々のガスを放出することが知られている。植物が放出する種々のガスの種類及び濃度によって、植物の状態が推定される。特許文献1に記載の方法では、植物の一枚の葉全体が箱体内に気密的に収容されるため、例えば、葉の一部の領域等、植物の対象部位の一部の領域における状態を推定できない。本開示は、植物の対象部位の一部の領域から放出されるガスを検出できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係るセンサモジュールは、植物から放出されるガスが通過可能な第1管と、植物の対象部位の一部の領域に対して第1管の端部を固定する固定部材と、第1管に接続され、第1管内を負圧にする吸引器と、第1管に設けられ、ガスに含まれる植物由来の対象物質を検出し、検出された対象物質の情報を出力する第1センサと、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、植物の対象部位の一部の領域から放出されるガスを適切に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るセンサモジュールの外観を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るセンサモジュールの詳細な外観を示す図である。
図3図3は、図2に示す第1検出装置及び第2検出装置の断面の構成を概略的に示す図である。
図4図4は、変形例に係るセンサモジュールの詳細な外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の例示]
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0009】
図1は、実施形態に係るセンサモジュールの外観を示す図である。図1に示すセンサモジュール1は、植物由来のガスに含まれる対象物質を検出して植物の対象部位の一部の領域の状態を検出する。この状態には、植物の対象部位の一部の領域の健康状態又は成育状態が含まれる。センサモジュール1は、栽培されている植物Pの対象部位の一部の領域に対して配置される。栽培されているとは、植えられて育てられていることをいう。植物Pは、植物工場、圃場若しくはビニールハウス等の農場で栽培される野菜、果樹又は花卉等の植物である。一例として、植物Pは、箱状の培地(地面)で栽培される。植物Pは、検出対象となる植物である。植物Pは、野生の草木、花等であってもよい。植物Pの対象部位とは、葉、実、花、蕾、茎、及び根を含む。センサモジュール1は、栽培又は野生の植物Pから摘まれた葉、実、花、蕾、茎、及び根等を植物Pの対象部位として配置されてもよい。
【0010】
図2は、実施形態に係るセンサモジュールの詳細な外観を示す図である。以下では、植物Pの対象部位の一例である栽培中の植物Pの葉Lに対して配置されたセンサモジュール1について説明する。図1及び図2に示すように、センサモジュール1は、固定部材10と、第1管21と、第2管22と、吸引器30と、第1検出装置40と、第2検出装置50とを備える。センサモジュール1は、植物状態検出装置60を備えてもよい。センサモジュール1における第1管21、第2管22、第1検出装置40、及び第2検出装置50は、支柱(不図示)によって支持され、固定されてもよい。吸引器30及び植物状態検出装置60は、支柱(不図示)によって支持されてもよく、地面等に載置されていてもよい。
【0011】
固定部材10は、植物Pの葉Lの裏面Laの一部の領域Rに対して第1管21及び第2管22の端部を固定する。第1管21及び第2管22は、固定部材10によって直接葉Lの裏面Laの一部の領域Rに接触して固定されていてもよく、固定部材10を介して間接的に葉Lの裏面Laの一部の領域Rに固定されていてもよい。例えば、図2に示すように、固定部材10は、葉Lの裏面Laの一部の領域Rに接着する。固定部材10は、1又は複数の部材から構成されていてもよい。固定部材10は、葉Lの形状に沿うように構成される。固定部材10は、例えば、板状を呈する。固定部材10の厚みは、1mm以下である。
【0012】
固定部材10は、ガラス、シリコーン、金属、樹脂又はこれらを組み合わせた材料で構成されていてもよい。本実施形態の固定部材10の少なくとも一部は、透光性を有する材料又は透明な材料で構成されている。例えば、固定部材10は、透光性のあるゲル状接着シート又はガラスチップである。固定部材10は、例えば、可視光を透過する材料で構成されている。本実施形態においては、固定部材10は、ガラス等の透明な非金属材料で構成される。固定部材10が非金属で構成されるので、金属から構成される容器と比べて、この固定部材10は、軽量かつ高断熱に構成される。さらに、固定部材10は、セルロースナノファイバ、及び、ガスバリア性を有するセルロースナノファイバを含む樹脂で構成されていてもよい。この場合、センサモジュール1は、植物Pへの負担を小さくし、かつ、固定部材10からのガス漏れを抑制できる。
【0013】
固定部材10は、主面として接着面10aを有し、背面として設置面10bを有する。接着面10aは、葉Lの裏面Laに対面している。設置面10bは、葉Lの裏面Laに接触しておらず、葉Lの裏面La側の空間に露出している。
【0014】
接着面10aは、植物Pの葉Lの一部の領域Rに接着可能である。ここでの接着とは、葉Lの裏面Laと固定部材10の接着面10aとが密接してくっつくことを指す。固定部材10は、葉Lの裏面Laから離間する方向に所定の力がかかる場合には、裏面Laから剥離できる。
【0015】
例えば、固定部材10の接着面10aは、粘着により植物Pの葉Lの裏面Laの一部の領域Rに接着する。粘着とは、接着の一例であり、葉Lの裏面Laと固定部材10の接着面10aとが一時的に密接してくっつくことを指す。接着面10aには、後述の第1流路11及び第2流路12の開口以外の面に粘着剤が塗布されている。例えば、この粘着剤は、弱い粘着力を有し、裏面Laに対する固定部材10の剥離が容易な性質を有する。ここでの粘着力とは、裏面Laと接着面10aとの接触によって生じる力である。また、例えば、この粘着剤は、強い保持力を有し、接着面10aに糊残りしにくい性質を有する。ここでの保持力とは、固定部材10を裏面Laに粘着させ(貼り付け)、接着面10aに対して接着面10aの延在方向のうち一方向に静荷重を掛けたときに粘着剤がずれに耐える力である。さらに、例えば、この粘着剤は、強いタックを有し、裏面Laに対する固定部材10の一時的な粘着が容易な性質を有する。ここでのタックとは、裏面Laに接触した際の濡れ性を表す力であり、軽い力で短時間に裏面Laに固定部材10が粘着する力であり、いわゆるべたつきを表す要素である。本実施形態の粘着剤は、例えば、アクリル酸系ポリマーを主剤とした、物体に対して着脱可能な粘着剤である。これらの特性により、固定部材10は、ガスを検出するときに葉Lの裏面Laに粘着し、ガスの検出が完了したときに葉Lの裏面Laから容易に剥離することができる。また、固定部材10は、植物Pの対象部位に対して再度粘着することができる。
【0016】
固定部材10には、植物Pから放出されるガスが通過可能な第1流路11及び第2流路12が形成されている。第1流路11及び第2流路12は、それぞれ固定部材10の接着面10aに向かって開口している。第1流路11及び第2流路12のそれぞれの径は、数μm以上数mm以下である。第1流路11及び第2流路12のそれぞれは、例えば、接着面10aから設置面10bまでを貫通している。第1流路11及び第2流路12のそれぞれは、固定部材10の厚さ方向に沿って延在している。
【0017】
第1流路11及び第2流路12のそれぞれの開口の位置が領域R内の対象の気孔又は細胞の位置に対応するように、固定部材10は、作業者によって葉Lに接着される。作業者は、ルーペ等を用いて葉Lの気孔又は細胞等の位置を確認しながら固定部材10を領域Rに接着させる。作業者は、可視光を透過する材料で構成されている固定部材10を介して葉Lの気孔又は細胞等の位置を確認できる。
【0018】
第1管21は、固定部材10に接続し、第1流路11を通過したガスが通過可能である。第2管22は、固定部材10に接続し、第2流路12を通過したガスが通過可能である。第1管21の少なくとも一部及び第2管22の少なくとも一部は、透光性を有する材料又は透明な材料で構成される。例えば、第1管21及び第2管22は、透明な材料で構成されているストロー状の管である。第1管21及び第2管22は、例えば、樹脂で構成されている。第1管21及び第2管22は、湾曲可能な性質を有する。第1管21及び第2管22は、伸縮可能な性質を有していてもよい。第1管21及び第2管22は、中空の筒状を呈する。
【0019】
第1管21の一端部は、第1管21の内部の空間が第1流路11の内部の空間と連通するように固定部材10の設置面10bに接続されている。第2管22の一端部は、第2管22の内部の空間が第2流路12の内部の空間と連通するように固定部材10の設置面10bに接続されている。第1管21及び第2管22は、透明な材料で構成されているため、作業者は、固定部材10の第1流路11及び第2流路12等の位置を確認しながら固定部材10に第1管21及び第2管22を固定できる。第1管21の他端部及び第2管22の他端部は、第1管21及び第2管22の内部の各空間が後述のサンプリングバッグ31の内部の空間と連通するようにサンプリングバッグ31に接続されている。
【0020】
吸引器30は、第1管21及び第2管22に接続され、第1流路11、第2流路12、第1管21内、及び第2管22内を負圧にする。吸引器30は、サンプリングバッグ31、吸引管32及びポンプ33を備える。サンプリングバッグ31は、第1管21内の圧力及び第2管22内の圧力を略同一にするために設けられる。サンプリングバッグ31は、気体試料を捕集する袋である。本実施形態では、サンプリングバッグ31は、第1管21、第2管22及び吸引管32と接続している。サンプリングバッグ31は、その内部に第1管21及び第2管22から採取されたガスを一時的に収容する空間を有する。サンプリングバッグ31の空間内に収容されたガスは、サンプリングバッグ31に接続された吸引管32からポンプ33へ向けて排出される。
【0021】
ポンプ33は、第1流路11、第1管21内及びサンプリングバッグ31内において、葉Lの裏面Laから吸引管32に向けて気流を発生させる。ポンプ33は、第2流路12、第2管22内及びサンプリングバッグ31内において、葉Lの裏面Laから吸引管32に向けて気流を発生させる。これにより、ポンプ33は、第1流路11、第2流路12、第1管21内、及び第2管22内を負圧にする。サンプリングバッグ31の空間内に収容されたガスは、ポンプにより、吸引管32を介して外部に排出される。ポンプ33は、例えば、MEMSポンプである。ポンプ33は、例えば、マイクロポンプであってもよい。
【0022】
図3は、図2に示す第1検出装置及び第2検出装置の断面の構成を概略的に示す図である。図3に示すように、第1検出装置40は、第1管21に設けられ、第1容器41、第1センサ42及び第1フィルタ43(フィルタの一例)を有する。第2検出装置50は、第2管22に設けられ、第2容器51、第2センサ52及び第2フィルタ53(フィルタの一例)を有する。図3に示す例では、第1検出装置40と第2検出装置50とは、同一の構成及び機能を有する。本実施形態では、第2検出装置50の説明を省略する。
【0023】
第1容器41には、その内部にガスGが流通可能な空間が形成されている。第1容器41には、その内部に形成された空間に連通する吸気部23及び排気部24が接続されている。吸気部23は、第1管21のうち、固定部材10側(上流側)の部位である。排気部24は、第1管21のうち、吸引器30側(下流側)の部位である。第1容器41は、例えば、第1管21より径が太くなっている。
【0024】
第1センサ42は、第1管21に設けられ、ガスGに含まれる植物由来の対象物質を検出し、検出された対象物質の情報を出力する。吸引器30のポンプ33が作動して第1容器41の内部空間が減圧されると、第1流路11及び第1管21を介して吸気部23からガスGが第1容器41内に引き込まれる。ガスGは、葉Lの裏面Laから捕集された気体である。ガスGには、例えば、種々の揮発性化合物が含まれる。
【0025】
第1検出装置40の第1センサ42と、第2検出装置50の第2センサ52とは、同一の対象物質を検出する。第1検出装置40につき1つの第1センサ42が設けられる。第1センサ42は、第1容器41内に収容された葉Lから放出されるガスGを検出する。第1センサ42は、半導体方式、電気化学式、水晶振動子式などのガスセンサであってもよい。第1センサ42は、例えば、ポリアニリンなどの有機膜と酸化スズ(SnO)などの酸化物半導体とを含むVOCセンサである。第1センサ42は、検出されたガスGの情報を植物状態検出装置60に出力する。このガスGの情報は、例えば、ガスGの種類及びガスGの濃度を含む。
【0026】
第1フィルタ43は、第1管21に設けられ、ガスGに含まれる対象物質を通過させ、対象物質と異なる対象外物質をガスGから除去する。第1フィルタ43は、ガスGの流れ方向において第1センサ42の上流側に配置されている。対象外物質とは、例えば、HO(水分)である。第1フィルタ43は、一辺が0.4nm以上50μm以下の正方形の開口部を含む網目状の格子、又は、短辺が0.4nm以上50μm以下であって長辺が0.4nm以上50μm以下の長方形の開口部を含む網目状の格子を有する。第1フィルタ43の格子を構成する各部材の太さは、0.4nm以上50μm以下である。第1フィルタ43の材料は、例えば、ケイ素、又は、アルミニウム等の錆びにくい硬質素材である。なお、各数値範囲における下限値の「0.4nm」は、水分子1個分の大きさに相当する。
【0027】
ここで、葉Lから放出されるガスGは、緑の香り、エチレン及びテルペン類を含んでもよい。エチレンは、成熟又は腐敗した植物Pから多く放出される。テルペンは、病害などによるストレスがある植物Pから多く放出される。エチレン及びテルペン類を計測対象とすることにより、植物Pの葉Lの裏面Laの領域Rの健康状態が高精度に検出される。
【0028】
緑の香りは、炭素数六つの骨格を持つアルデヒド、アルコール、及びそれらのエステルなどの揮発性物質である。具体的には、緑の香り物質は、ヘキセノール(青葉アルコール)、及びセキセナール(青葉アルデヒド)などである。テルペン類は、(Cの不飽和炭化水素を基本骨格とする有機化合物、及びテルペンアルコールなどの物質である。具体的には、テルペン類物質は、α-ピネン、及びβ-カリオフィレンなどである。
【0029】
植物状態検出装置60は、一例として、バッテリー61、制御部62、及び通信部63を更に備える。第1センサ42及び第2センサ52は、制御部62を介して通信部63と接続される。吸引器30、第1センサ42、第2センサ52、制御部62、及び通信部63のそれぞれは、バッテリー61から電力を供給される。バッテリー61、制御部62及び通信部63は、例えば、回路基板に配置される。バッテリー61は、外部の電源に接続していてもよい。
【0030】
制御部62は、第1センサ42及び第2センサ52から出力された情報を解析して植物Pの葉Lの裏面Laにおける一部の領域Rの状態を推定する。具体的な一例として、制御部62は、ガスGの種類及びガスGの濃度と、葉Lの裏面Laにおける一部の領域Rの状態とが対応するテーブルを参照して、葉Lの裏面Laにおける一部の領域Rの状態を推定する。また、制御部62は、第1センサ42において検出されたガスGの濃度と、第2センサ52において検出されたガスGの濃度とを比較することで、領域R内の気孔ごとの状態又は細胞ごとの状態を比較できる。制御部62は、葉Lの一部の領域Rの状態に基づいて、葉Lの裏面Laの状態、葉L全体の状態及び植物Pの状態のうち少なくとも1つの状態を推定してもよい。
【0031】
通信部63は、例えば、無線通信器である。通信部63は、制御部62によって推定された植物Pの対象部位(葉L)の一部の領域Rの状態を示す情報を外部に送信する。通信部63は、第1センサ42及び第2センサ52が出力した情報を外部の情報端末に送信してもよい。情報端末は、据置型又は携帯型のパーソナルコンピュータ又はワークステーションであってもよいし、ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォンなどの携帯端末であってもよい。なお、第1センサ42及び第2センサ52が出力した情報を通信部63が情報端末に送信する場合には、植物Pの状態は、情報端末によって推定され得る。
【0032】
葉Lから放出されたガスGの捕集方法及び検出方法を以下に説明する。まず、固定部材10において、接着面10aから設置面10bに向けて貫通した第1流路11及び第2流路12が形成される。次に、固定部材10の設置面10bにおいて、第1流路11及び第2流路12に対応する位置に第1管21及び第2管22が接続される。なお、第1管21及び第2管22には、第1検出装置40及び第2検出装置50がそれぞれ取り付けられている。次に、第1管21及び第2管22が、吸引器30に接続される。吸引器30、第1検出装置40及び第2検出装置50に対して、バッテリー61から電力が供給される。次に、固定部材10の接着面10aに、粘着剤が塗布される。なお、固定部材10の接着面10aには、予め粘着力のある層が形成されていてもよい。次に、固定部材10が、植物Pの葉Lの裏面Laの一部の領域Rに接着される。
【0033】
次に、吸引器30が作動されることで、第1管21及び第2管22を負圧にすることで、葉Lから放出されたガスGは、第1流路11及び第2流路12を介して、第1管21及び第2管22を流通する。第1管21を流通するガスGにおいて、第1検出装置40の第1フィルタ43により対象外物質が除去される。そして、対象外物質が除去されたガスGにおいて、第1センサ42によりガスG内の対象物質が検出され、対象物質の情報が植物状態検出装置60に出力される。同様に、第2管22を流通するガスGにおいて、第2検出装置50の第2フィルタ53により対象外物質が除去される。
【0034】
そして、対象外物質が除去されたガスGにおいて、第2センサ52によりガスG内の対象物質が検出され、対象物質の情報が植物状態検出装置60に出力される。植物状態検出装置60の制御部62は、第1センサ42及び第2センサ52から出力された情報を解析して植物Pの葉Lの裏面Laにおける一部の領域Rの状態を推定する。対象物質の情報が出力された後、作業者により固定部材10が葉Lの裏面Laから離間する方向に所定の力で引っ張られることで、固定部材10は、葉Lの裏面Laから脱離される。
【0035】
[実施形態のまとめ]
センサモジュール1においては、固定部材10は、植物Pの対象部位である葉Lの裏面Laの一部の領域Rに対して第1管21及び第2管22を固定する。これにより、第1管21及び第2管22は、一部の領域R内の気孔又は細胞等から放出されるガスGを適切に捕集できる。
【0036】
植物Pの対象部位の一部の領域Rから放出されるガスGは、固定部材10に形成された第1流路11内を通過できる。吸引器30によって第1流路11及び第1管21が負圧にされることで、このガスGは、葉Lの裏面Laから第1流路11を介して第1管21内を通過する。これにより、第1管21に設けられた第1センサ42は、通過するガスG内に含まれる植物由来の対象物質を検出し、検出された対象物質の情報を出力できる。よって、このセンサモジュール1は、固定部材10が設けられた植物Pの対象部位の一部の領域Rから放出されるガスGを適切に検出できる。センサモジュール1に接続している制御部62は、センサモジュール1により検出されたガスの情報に基づいて、植物Pの対象部位の一部の領域の状態を化学的に測ることができる。センサモジュール1は、1つの対象部位における領域ごとの健康状態を詳細に計測できる。
【0037】
ガスGを捕集する対象となる植物Pの対象部位の一部の領域Rは、例えば、葉Lの外縁部(葉先)等である。葉Lの外縁部は、栄養及び水分が行き渡りにくい部位のため、葉Lの他の部位と比べて、枯れる、又は、病気にかかる等の事象が発生しやすいことが知られている。このような葉L(対象部位の一例)の一部の生体情報を取得するために、葉Lから放出されるガスGを利用することが考えられる。しかしながら、特許文献1に記載の方法のように、葉全体を包み込む方法を採用する場合、葉L全体から放出されるガスを網羅的に捕集してセンシングしてしまうため、対象とする部位以外のガスに基づく不要なデータまで取得されてしまう。このため、対象とする部位の生体情報を正確に取得できない可能性がある。
【0038】
一方で、本実施形態のセンサモジュール1は、上述の通り、植物Pの対象部位の一部の領域Rから放出されるガスGを適切に検出できる。このため、例えば、センサモジュール1は、葉Lの一部が枯れている、又は病気にかかっている領域に対して設けられ得る。これにより、枯れている領域又は病気にかかっている領域の状態を正確に把握することができる。また、例えば、センサモジュール1は、例えば、まだ枯れていない、又は、病気にかかっていない健康な葉Lの外縁部に設けられ得る。これにより、センサモジュール1は、枯れる又は病気にかかる前後にガスGを捕集し、枯れる又は病気にかかる前後に検出されたガスGの種類及び濃度に基づいて、枯れる原因又は病気の種類(病気の原因)を把握できる。作業者は、把握された枯れる原因又は病気の種類に基づいて、植物Pの葉Lに対して、適切な処理を選択できる。
【0039】
また、本実施形態のセンサモジュール1においては、固定部材10は、植物Pの対象部位である葉Lの裏面Laの一部の領域Rに接着される。第1管の端部を植物Pの対象部位に直接接着させる場合に比べて、固定部材10は対象部位に対する接着面10aを広く確保することができるため、対象部位に容易に接着することができる。
【0040】
また、センサモジュール1において、固定部材10には、植物Pから放出されるガスGが通過可能なであって、第1流路11とは別の第2流路12が形成され、第2流路12に対応し、第1管21とは別の第2管22をさらに備え、吸引器30は、第2管22に接続され、第2流路12及び第2管22内を負圧にする。このセンサモジュール1は、固定部材10が接着される領域R内における気孔又は細胞等から放出されるガスGを、第1流路11及び第2流路12のそれぞれを介して捕集することができる。よって、このセンサモジュール1は、植物Pの対象部位の一部の領域Rから放出されるガスGを効率的に検出できる。
【0041】
また、センサモジュール1は、第2管22に設けられ、ガスGに含まれる植物由来の対象物質を検出し、検出された対象物質の情報を出力する第2センサ52をさらに備え、第1センサ42及び第2センサ52は、同一の対象物質を検出する。第1センサ42及び第2センサ52は、第1流路11及び第2流路12のそれぞれの位置に対応する植物Pの構成物(例えば、気孔、細胞等)ごとに、同じタイミングで捕集された対象物質の濃度に関する情報を比較できる。
【0042】
センサモジュール1は、第1管21に設けられ、ガスGに含まれる対象物質を通過させ、対象物質と異なる対象外物質をガスGから除去する第1フィルタ43を更に備える。この場合、対象外物質が除去されることで、第1センサ42は、固定部材10が接着された植物Pの領域Rから放出されるガスG中の対象物質を高精度に検出できる。なお、センサモジュール1は、第2管22に設けられ、ガスGに含まれる対象物質を通過させ、対象物質と異なる対象外物質をガスGから除去する第2フィルタ53を更に備える。この場合、対象外物質が除去されることで、第2センサ52は、固定部材10が接着された植物Pの領域Rから放出されるガスG中の対象物質を高精度に検出できる。
【0043】
固定部材10の接着面10aは、粘着により植物Pの対象部位(葉L)の一部の領域Rに接着する。固定部材10が簡易な構成によって植物Pの対象部位の一部の領域Rに接着されるため、この領域Rから放出されるガスGを容易に検出できる。
【0044】
また、固定部材10、第1管21及び第2管22の少なくとも一部が透光性を有する材料又は透明な材料で構成されている。これにより、植物Pの対象部位が葉Lである場合に葉Lにおける光合成の作用の阻害を抑制できる。また、植物Pの対象部位が実である場合に実における色つきが悪くなることを抑制できる。さらに、作業者は、対象部位を確認しながら固定部材10を対象部位に接着でき、固定部材10の位置を確認しながら第1管21及び第2管22を固定部材10に固定できる。
【0045】
また、固定部材10は、ガラス等の透明な非金属材料で構成された硬質な部材であるため、第1流路及び第2流路が変形することが抑制され、第1流路11及び第2流路12のそれぞれの開口の位置が領域R内の対象の気孔又は細胞の位置からずれることが抑制される。
【0046】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、本開示は上記実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。
【0047】
固定部材10の接着面10aは、粘着により領域Rに接着しなくてもよい。固定部材10は、例えば、別のクリップ部材等によって植物Pの対象部位に対して固定されることで、一部の領域Rに接着されてもよい。固定部材10は、例えば、吸引器30によって第1管21及び第2管22等を介して第1流路11及び第2流路12が負圧になることで対象部位の一部の領域Rに吸着してもよい。固定部材10と第1管21及び第2管22とは、一体的に構成されていてもよい。第1管21と第1検出装置40の第1容器41とは、一体的に構成されていてもよい。第2管22と第2検出装置50の第2容器51とは、一体的に構成されていてもよい。
【0048】
第1流路11及び第2流路12の各開口は、対象物を構成する1又は複数の組織が入るように設けられてもよい。固定部材10には、第2流路12が設けられなくてもよい。この場合、センサモジュール1は、第2管22及び第2センサ52を備えなくてもよい。固定部材10には、第1流路11及び第2流路12とは異なる1又は複数の流路が設けられてもよい。この場合、センサモジュール1は、1又は複数の管及び1又は複数のセンサを備えてもよい。
【0049】
また、吸引管32が、第1管の一例であってもよい。第1管21及び第2管22等の管には、複数のセンサが設けられてもよい。第1検出装置40及び第2検出装置50のそれぞれは、センサとして、温度センサ、湿度センサ、COセンサ、照度センサを有していてもよい。
【0050】
センサモジュール1において、第1センサ42及び第2センサ52は、互いに異なる対象物質を検出してもよい。この場合、第1管21及び第2管22において、第1センサ42及び第2センサ52によって互いに異なる対象物質が検出される。例えば、第1センサ42及び第2センサ52は、互いに異なるセンサである。よって、第1管21及び第2管22は、固定部材10が接着された植物Pの領域Rから放出されるガスGの種類及び、複数種類のガスの濃度に関する情報をまとめて取得できる。なお、第1管21及び第2管22には、互いに異なる1又は複数のセンサが設けられていると共に、1又は複数の同一のセンサが設けられてもよい。上述の互いに異なる対象物質を検出するセンサとは、例えば、一方のセンサが青葉アルコール、青葉アルデヒド等の親水基及び疎水基を共に有する化合物を検出するセンサであって、他方のセンサがαピネン、βピネン、リモネン等の環状構造を有するテルペン類を検出するセンサであってもよい。
【0051】
センサモジュール1は、複数の吸引器30を備えていてもよい。センサモジュール1において、第1管21及び第2管22に対して、それぞれ吸引器が設けられてもよい。この場合、吸引器は、サンプリングバッグ31を備えなくてもよい。第1検出装置40には、第1フィルタ43が設けられなくてもよく、第2検出装置50には、第2フィルタ53が設けられなくてもよい。
【0052】
固定部材10は、接着面10aを有さなくてもよい。固定部材10には、第1流路11及び第2流路12が形成されていなくてもよい。固定部材10は、例えば、クリップ部材又は両面テープであってもよい。固定部材10は、植物Pの対象部位と第1管21及び第2管22の端部とを挟み込むことで、対象部位の一部の領域Rに対して第1管21及び第2管22の端部を固定してもよい。第1管21の端部及び第2管22の端部は、対象部位の一部の領域Rに沿っては位置されていてもよく、交差するように配置されていてもよい。
【0053】
図4は、変形例に係るセンサモジュールの詳細な外観を示す図である。図4に示すように、変形例に係るセンサモジュール1Aは、固定部材15に第1流路11及び第2流路12が設けられていない点で、上述の実施形態に係るセンサモジュール1とは相違する。また、変形例に係るセンサモジュール1Aは、第1管25の端部26が対象部位の葉Lの裏面Laに沿って固定されている点で上述の実施形態に係るセンサモジュール1とは相違する。以降の説明では、上述の実施形態と重複する説明を適宜省略する。上記の実施形態と同一の構成及び機能を有する構成については同一の符号が付与される。
【0054】
固定部材15は、植物Pの葉Lの裏面Laの一部の領域Rに対して第1管25の端部26を固定する。固定部材15は、第1管25は、固定部材15によって直接葉Lの裏面Laの一部の領域Rに接触して固定されている。固定部材15は、主面として接着面15aを有する。接着面15aは、葉Lの裏面Laに対面している。接着面15aは、植物Pの葉Lの一部の領域Rに接着可能である。例えば、第1管25の端部26は、接着面15aの中央部と葉Lの裏面Laとの間に挟まれるように設けられている。接着面15aの外縁部は、葉Lの裏面Laと接着している。接着面15aの外縁部の一部は、第1管25の端部26と接着している。
【0055】
第1管25は、湾曲可能な性質を有する。第1管25の端部26は、葉Lの裏面Laに沿って配置され、固定部材10によって葉Lの裏面Laに固定されている。第1管25の端部26の開口部26aは、葉Lの裏面Laの一部の領域Rに向かって開口している。なお、第1管25の端部26の開口部26aは、葉Lの裏面Laの一部の領域Rに直交(交差)する向きに開口していてもよい。第1管25の他端部は、第1管25の内部の各空間が吸引器30に連通するように接続されている。このように、センサモジュール1Aは、簡易な構成で、植物Pの対象部位の一部の領域Rから放出されるガスを適切に検出できる。なお、図4では、第1管25のみの形態を説明したが、センサモジュール1Aは、第1管25と同様の構成を有する1又は複数の管(第2管)を備えていてもよい。
【0056】
[本開示に含まれる形態]
本開示は、以下条項に記載の形態を含む。
【0057】
(条項1)
本開示の一側面に係るセンサモジュールは、植物から放出されるガスが通過可能な第1管と、前記植物の対象部位の一部の領域に対して第1管の端部を固定する固定部材と、前記第1管に接続され、前記第1管内を負圧にする吸引器と、前記第1管に設けられ、前記ガスに含まれる植物由来の対象物質を検出し、検出された対象物質の情報を出力する第1センサと、を備える、センサモジュール。
【0058】
条項1に記載のセンサモジュールにおいては、固定部材は、植物の対象部位の一部の領域に対して第1管の端部を固定する。この領域から放出されるガスは、固定部材に固定された第1管内を通過できる。吸引器によって第1管が負圧にされることで、このガスは、葉Lの裏面Laから第1管内を通過する。これにより、第1管に設けられた第1センサは、通過するガス内に含まれる植物由来の対象物質を検出し、検出された対象物質の情報を出力できる。よって、このセンサモジュールは、固定部材が設けられた植物の対象部位の一部の領域から放出されるガスを適切に検出できる。例えば、センサモジュールは、検出されたガスの情報に基づいて、植物の健康状態を化学的に測ることができる。
【0059】
(条項2)
条項1に記載のセンサモジュールにおいて、前記固定部材には、植物から放出されるガスが通過可能な第1流路が形成され、前記固定部材は、前記植物の対象部位の一部の領域に接着可能な接着面を有し、前記第1管は、前記固定部材に接続し、前記第1流路を通過した前記ガスが通過可能であって、前記吸引器は、前記第1流路及び前記第1管内を負圧にする。
【0060】
条項2に記載のセンサモジュールにおいては、固定部材は、植物の対象部位の一部の領域に接着される。この領域から放出されるガスは、固定部材に形成された第1流路内を通過できる。吸引器によって第1流路及び第1管が負圧にされることで、このガスは、葉Lの裏面Laから第1流路を介して第1管内を通過する。これにより、第1管に設けられた第1センサは、通過するガス内に含まれる植物由来の対象物質を検出し、検出された対象物質の情報を出力できる。よって、このセンサモジュールは、固定部材が設けられた植物の対象部位の一部の領域から放出されるガスを適切に検出できる。例えば、センサモジュールは、検出されたガスの情報に基づいて、植物の健康状態を化学的に測ることができる。
【0061】
(条項3)
条項2に記載のセンサモジュールにおいて、前記固定部材には、植物から放出されるガスが通過可能であって、前記第1流路とは別の第2流路が形成され、前記第2流路に対応し、前記第1管とは別の第2管をさらに備え、前記吸引器は、前記第2管に接続され、前記第2流路及び前記第2管内を負圧にしていてもよい。このセンサモジュールは、固定部材が接着される領域内における気孔又は細胞等から放出されるガスを、第1流路及び第2流路のそれぞれを介して捕集することができる。よって、このセンサモジュールは、植物の対象部位の一部の領域から放出されるガスを効率的に検出できる。
【0062】
(条項4)
条項3に記載のセンサモジュールは、前記第2管に設けられ、前記ガスに含まれる植物由来の対象物質を検出し、検出された対象物質の情報を出力する第2センサをさらに備え、前記第1センサ及び前記第2センサは、同一の対象物質を検出してもよい。この場合、第1管及び第2管において第1センサ及び第2センサによって同一の対象物質が検出される。よって、第1センサ及び第2センサは、第1流路及び第2流路のそれぞれの位置に対応する植物の構成物(例えば、気孔、細胞等)ごとに、同じタイミングで捕集された対象物質の濃度に関する情報を比較できる。
【0063】
(条項5)
条項3に記載のセンサモジュールは、前記第2管に設けられ、前記ガスに含まれる植物由来の対象物質を検出し、検出された対象物質の情報を出力する第2センサをさらに備え、 前記第1センサ及び前記第2センサは、互いに異なる対象物質を検出してもよい。この場合、第1管及び第2管において、第1センサ及び第2センサによって互いに異なる対象物質が検出される。よって、第1管及び第2管は、固定部材が接着された植物の領域から放出されるガスの種類、及び、複数種類のガスの濃度に関する情報をまとめて取得できる。
【0064】
(条項6)
条項1~5の何れか一項に記載のセンサモジュールは、前記第1管に設けられ、前記ガスに含まれる対象物質を通過させ、前記対象物質と異なる対象外物質を前記ガスから除去するフィルタを更に備えてもよい。この場合、対象外物質が除去されることで、第1センサは、固定部材が接着された植物の領域から放出されるガス中の対象物質を高精度に検出できる。
【0065】
(条項7)
条項2~6の何れか一項に記載のセンサモジュールにおいて、前記固定部材の接着面は、粘着により前記植物の対象部位の前記一部の領域に接着してもよい。固定部材が簡易な構成によって植物の対象部位の一部の領域に接着されるため、この領域から放出されるガスを容易に検出できる。
【0066】
(条項8)
条項1~7の何れか一項に記載のセンサモジュールにおいて、前記固定部材及び前記第1管の少なくとも一部は、透光性を有する材料又は透明な材料で構成されていてもよい。この場合、例えば、植物の対象部位が葉である場合に葉における光合成の作用の阻害を抑制できる。また、例えば、植物の対象部位が実である場合に実における色つきが悪くなることを抑制できる。さらに、作業者は、対象部位を確認しながら固定部材を対象部位に固定でき、対象部位又は固定部材の位置を確認しながら第1管を固定できる。
【符号の説明】
【0067】
1,1A…センサモジュール、10,15…固定部材、10a…接着面、11…第1流路、12…第2流路、21,25…第1管、22…第2管、30…吸引器、42…第1センサ、43…第1フィルタ、52…第2センサ、53…第2フィルタ、G…ガス、L…葉、P…植物、R…領域。
図1
図2
図3
図4