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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021139
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】配車管理装置及び配車管理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20250205BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20250205BHJP
【ＦＩ】
G08G1/123 A
G01C21/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2023124879
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】近藤 崇之
【テーマコード（参考）】
2F129
5H181
【Ｆターム（参考）】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC16
2F129CC25
2F129CC26
2F129CC28
2F129DD14
2F129DD15
2F129DD17
2F129DD20
2F129DD39
2F129DD62
2F129DD63
2F129DD64
2F129EE94
2F129FF51
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB08
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF27
5H181MA10
5H181MA12
5H181MA17
5H181MA28
5H181MA42
(57)【要約】
【課題】 乗降ユーザ間の移動コストの総計の差を是正してモビリティサービスを多用するユーザへの公平性を確保し、モビリティサービスの利用意欲を向上させる。
【解決手段】 配車管理装置１０は、ユーザの利用実績を記憶する利用実績データベース１２ｂと、該利用実績に基づき車両Ｖに乗降可能な一の乗降地を共用する複数の乗降ユーザそれぞれの利用頻度を導出し、該利用頻度に基づき該一の乗降地の位置を調整する乗降地調整部１４２とを備え、乗降ユーザは、一の車両Ｖに乗車中であり該一の乗降地で降車予定の降車ユーザ、及び降車ユーザの降車に伴い該一の乗降地から該一の車両Ｖに乗車予定の乗車ユーザであり、該一の乗降地と出発地又は目的地との間の移動時のコストを移動コストとし、乗降地調整部１４２は、該利用頻度が高いほど乗降ユーザが被る移動コストが低減するように、一の乗降地を調整する。
【選択図】 図３
【解決手段】 配車管理装置１０は、ユーザの利用実績を記憶する利用実績データベース１２ｂと、該利用実績に基づき車両Ｖに乗降可能な一の乗降地を共用する複数の乗降ユーザそれぞれの利用頻度を導出し、該利用頻度に基づき該一の乗降地の位置を調整する乗降地調整部１４２とを備え、乗降ユーザは、一の車両Ｖに乗車中であり該一の乗降地で降車予定の降車ユーザ、及び降車ユーザの降車に伴い該一の乗降地から該一の車両Ｖに乗車予定の乗車ユーザであり、該一の乗降地と出発地又は目的地との間の移動時のコストを移動コストとし、乗降地調整部１４２は、該利用頻度が高いほど乗降ユーザが被る移動コストが低減するように、一の乗降地を調整する。
【選択図】 図３
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの配車要求に応じて車両の配車及び運行を行う配車サービスを管理する配車管理装置であって、
前記配車サービスにおけるユーザの利用実績を記憶する実績記憶部と、
前記利用実績に基づいて、車両に乗降可能な一の乗降地を共用する複数のユーザである乗降ユーザそれぞれの利用頻度を導出し、該利用頻度に基づいて前記一の乗降地の位置を調整する乗降地調整部と、を備え、
前記乗降ユーザは、
一の車両に乗車中であって前記一の乗降地で降車予定の降車ユーザ、及び該降車ユーザの降車に伴い該一の乗降地から該一の車両に乗車予定の乗車ユーザであり、
前記一の乗降地と前記配車要求に含まれる出発地又は目的地との間の移動時に前記乗降ユーザが被るコストを移動コストとし、
前記乗降地調整部は、
前記利用頻度が高いほど前記乗降ユーザが被る前記移動コストが低減するように、前記一の乗降地を調整する
ことを特徴とする配車管理装置。
前記配車サービスにおけるユーザの利用実績を記憶する実績記憶部と、
前記利用実績に基づいて、車両に乗降可能な一の乗降地を共用する複数のユーザである乗降ユーザそれぞれの利用頻度を導出し、該利用頻度に基づいて前記一の乗降地の位置を調整する乗降地調整部と、を備え、
前記乗降ユーザは、
一の車両に乗車中であって前記一の乗降地で降車予定の降車ユーザ、及び該降車ユーザの降車に伴い該一の乗降地から該一の車両に乗車予定の乗車ユーザであり、
前記一の乗降地と前記配車要求に含まれる出発地又は目的地との間の移動時に前記乗降ユーザが被るコストを移動コストとし、
前記乗降地調整部は、
前記利用頻度が高いほど前記乗降ユーザが被る前記移動コストが低減するように、前記一の乗降地を調整する
ことを特徴とする配車管理装置。
【請求項2】
前記乗降地調整部は、前記乗降ユーザのうち前記利用頻度が最も高いユーザが被る前記移動コストが低減するように、前記乗降ユーザに共用される前記一の乗降地の位置情報を更新する、ことを特徴とする請求項１に記載の配車管理装置。
【請求項3】
前記乗降地調整部は、
前記降車ユーザの前記利用頻度を係数として前記目的地の位置情報の重み付けを行い、且つ前記乗車ユーザの前記利用頻度を係数として前記出発地の位置情報の重み付けを行い、重み付けされた該目的地及び該出発地の位置情報と、現在の前記一の乗降地の位置情報とを用いて前記乗降ユーザに共用される前記一の乗降地の位置情報を更新する
ことを特徴とする請求項２に記載の配車管理装置。
前記降車ユーザの前記利用頻度を係数として前記目的地の位置情報の重み付けを行い、且つ前記乗車ユーザの前記利用頻度を係数として前記出発地の位置情報の重み付けを行い、重み付けされた該目的地及び該出発地の位置情報と、現在の前記一の乗降地の位置情報とを用いて前記乗降ユーザに共用される前記一の乗降地の位置情報を更新する
ことを特徴とする請求項２に記載の配車管理装置。
【請求項4】
前記乗降地調整部は、前記乗降ユーザのうち前記利用頻度が最も高いユーザが被る前記移動コストが低減するように、所定範囲内の複数の乗降地から前記乗降ユーザに共用される前記一の乗降地を選択する、ことを特徴とする請求項１に記載の配車管理装置。
【請求項5】
前記乗降地調整部は、前記利用頻度として、所定期間における前記一の乗降地の利用回数を導出する、ことを特徴とする請求項１から４のいずれか１項に記載の配車管理装置。
【請求項6】
前記乗降地調整部は、前記利用頻度として、所定期間における前記出発地又は前記目的地の利用回数を導出する、ことを特徴とする請求項１から４のいずれか１項に記載の配車管理装置。
【請求項7】
前記移動コストは、前記一の乗降地と前記出発地又は前記目的地との間の移動に要する時間である、ことを特徴とする請求項１から４のいずれか１項に記載の配車管理装置。
【請求項8】
前記乗降地調整部が調整した前記一の乗降地の位置を前記乗降ユーザそれぞれの端末装置に送信する通知部をさらに備える、ことを特徴とする請求項１から４のいずれか１項に記載の配車管理装置。
【請求項9】
前記乗降地調整部は、
前記乗降ユーザごとの属性に対応する係数を取得し、該係数により前記乗降ユーザそれぞれの前記利用頻度を重み付けする
ことを特徴とする請求項１に記載の配車管理装置。
前記乗降ユーザごとの属性に対応する係数を取得し、該係数により前記乗降ユーザそれぞれの前記利用頻度を重み付けする
ことを特徴とする請求項１に記載の配車管理装置。
【請求項10】
前記移動コストは、前記一の乗降地と前記出発地又は前記目的地との間を移動する際に前記乗降ユーザそれぞれが消費する体力であり、
前記乗降ユーザごとの属性は、前記乗降ユーザそれぞれの消費体力に関する身体の状態を示す情報であり
前記乗降地調整部は、
前記乗降ユーザのうち前記利用頻度が最も高いユーザが前記一の乗降地と前記出発地又は前記目的地との間を移動する際の消費体力が低減するように、前記一の乗降地を調整する
ことを特徴とする請求項９に記載の配車管理装置。
前記乗降ユーザごとの属性は、前記乗降ユーザそれぞれの消費体力に関する身体の状態を示す情報であり
前記乗降地調整部は、
前記乗降ユーザのうち前記利用頻度が最も高いユーザが前記一の乗降地と前記出発地又は前記目的地との間を移動する際の消費体力が低減するように、前記一の乗降地を調整する
ことを特徴とする請求項９に記載の配車管理装置。
【請求項11】
前記乗降地調整部は、
前記乗降ユーザのうち前記利用頻度が最も高いユーザの属性が特定の条件を満たす場合に、前記一の乗降地と該利用頻度が最も高いユーザの前記配車要求における前記出発地又は前記目的地との距離が予め定められた範囲内となるように該一の乗降地を調整する、ことを特徴とする請求項１０に記載の配車管理装置。
前記乗降ユーザのうち前記利用頻度が最も高いユーザの属性が特定の条件を満たす場合に、前記一の乗降地と該利用頻度が最も高いユーザの前記配車要求における前記出発地又は前記目的地との距離が予め定められた範囲内となるように該一の乗降地を調整する、ことを特徴とする請求項１０に記載の配車管理装置。
【請求項12】
前記乗降地調整部は、
前記乗降ユーザのうち前記利用頻度が最も高いユーザの属性が特定の条件を満たす場合に、前記一の乗降地と、該利用頻度が最も高いユーザの前記配車要求における前記出発地又は前記目的地との間の移動経路において前記消費体力が増大する地理的要因の有無を判定し、
前記移動経路において前記地理的要因が低減するように前記一の乗降地を調整する、ことを特徴する請求項１０に記載の配車管理装置。
前記乗降ユーザのうち前記利用頻度が最も高いユーザの属性が特定の条件を満たす場合に、前記一の乗降地と、該利用頻度が最も高いユーザの前記配車要求における前記出発地又は前記目的地との間の移動経路において前記消費体力が増大する地理的要因の有無を判定し、
前記移動経路において前記地理的要因が低減するように前記一の乗降地を調整する、ことを特徴する請求項１０に記載の配車管理装置。
【請求項13】
前記乗降地調整部は、
前記乗降ユーザのうち、前記利用頻度が最も高いユーザ以外の他のユーザの属性が前記特定の条件を満たす場合に、該他のユーザにおいて前記移動コストが低減するように前記一の乗降地を調整する、ことを特徴とする請求項１１又は１２に記載の配車管理装置。
前記乗降ユーザのうち、前記利用頻度が最も高いユーザ以外の他のユーザの属性が前記特定の条件を満たす場合に、該他のユーザにおいて前記移動コストが低減するように前記一の乗降地を調整する、ことを特徴とする請求項１１又は１２に記載の配車管理装置。
【請求項14】
ユーザの配車要求に応じて車両の配車及び運行を行う配車サービスを管理する配車管理装置による配車管理方法であって、
前記配車サービスにおけるユーザの利用実績を記憶する実績ことと、
前記利用実績に基づいて、車両に乗降可能な一の乗降地を共用する複数のユーザである乗降ユーザそれぞれの利用頻度を導出し、該利用頻度に基づいて前記一の乗降地の位置を調整することと、を含み、
前記乗降ユーザは、
一の車両に乗車中であって前記一の乗降地で降車予定の降車ユーザ、及び該降車ユーザの降車に伴い該一の乗降地から該一の車両に乗車予定の乗車ユーザであり、
前記一の乗降地と前記配車要求に含まれる出発地又は目的地との間の移動時に前記乗降ユーザが被るコストを移動コストとし、
前記一の乗降地の位置を調整することは、
前記利用頻度が高いほど前記乗降ユーザが被る前記移動コストが低減するように、前記一の乗降地を調整することを含む、
ことを特徴とする配車管理方法。
前記配車サービスにおけるユーザの利用実績を記憶する実績ことと、
前記利用実績に基づいて、車両に乗降可能な一の乗降地を共用する複数のユーザである乗降ユーザそれぞれの利用頻度を導出し、該利用頻度に基づいて前記一の乗降地の位置を調整することと、を含み、
前記乗降ユーザは、
一の車両に乗車中であって前記一の乗降地で降車予定の降車ユーザ、及び該降車ユーザの降車に伴い該一の乗降地から該一の車両に乗車予定の乗車ユーザであり、
前記一の乗降地と前記配車要求に含まれる出発地又は目的地との間の移動時に前記乗降ユーザが被るコストを移動コストとし、
前記一の乗降地の位置を調整することは、
前記利用頻度が高いほど前記乗降ユーザが被る前記移動コストが低減するように、前記一の乗降地を調整することを含む、
ことを特徴とする配車管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配車管理技術に関し、特に、車両のオンデマンド方式による配車を管理する配車管理装置及び配車管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モビリティサービスは、車両によるユーザの移動や荷物の運搬をスムーズに提供するサービスである。モビリティサービスでは、車両の稼働率を高めつつ、ユーザ（乗客）の利便性を向上させるために、複数のユーザが車両に乗車する乗車地を共用することが提案されている。
【0003】
例えば下記特許文献１は、モビリティサービスのうち複数の乗客が一の移動体（バス）に相乗りするライドシェアサービスにおいて、複数のユーザが共用する乗車地（仮想バス停）を、複数のユーザそれぞれの現在地からの移動に要するコスト（移動コスト）の総和が最小となる地点に設定する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第６５１０００７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モビリティサービス（ライドシェアサービス）では、サービスを多用するユーザほど移動コストの総計が増大し、結果として、ユーザ間において該移動コストの総計の差が広がることとなる。つまり、サービスを多用するユーザにとっては、移動コストの負担が不公平となる。したがって、モビリティサービスの利用意欲の向上を図るには、サービスを多用するユーザに対し移動コストの公平性を確保することが重要となる。
また、ライドシェアサービスでは、複数のユーザが一の停留所を乗車地及び降車地（乗降地）として利用（共用）することがあり、この場合、乗降地と各ユーザの出発地又は目的地との間の移動に要するコストが移動コストに相当する。
また、ライドシェアサービスでは、複数のユーザが一の停留所を乗車地及び降車地（乗降地）として利用（共用）することがあり、この場合、乗降地と各ユーザの出発地又は目的地との間の移動に要するコストが移動コストに相当する。
【0006】
しかしながら従来の技術では、乗車時においてユーザ間で移動コストが公平となるものの、乗車時及び降車時における移動コストについては考慮されておらず、さらに降車するユーザ及び乗車するユーザ（乗降ユーザ）の間における移動コストの総計の差を是正できていない。
【0007】
そこで、本開示は、乗降ユーザ間の移動コストの総計の差を是正してモビリティサービスを多用するユーザへの公平性を確保し、モビリティサービスの利用意欲を向上させる配車管理装置及び配車管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様の配車管理装置は、ユーザの配車要求に応じて車両の配車及び運行を行う配車サービスを管理する配車管理装置であって、前記配車サービスにおけるユーザの利用実績を記憶する実績記憶部と、前記利用実績に基づいて、車両に乗降可能な一の乗降地を共用する複数のユーザである乗降ユーザそれぞれの利用頻度を導出し、該利用頻度に基づいて前記一の乗降地の位置を調整する乗降地調整部と、を備え、前記乗降ユーザは、一の車両に乗車中であって前記一の乗降地で降車予定の降車ユーザ、及び該降車ユーザの降車に伴い該一の乗降地から該一の車両に乗車予定の乗車ユーザであり、前記一の乗降地と前記配車要求に含まれる出発地又は目的地との間の移動時に前記乗降ユーザが被るコストを移動コストとし、前記乗降地調整部は、前記利用頻度が高いほど前記乗降ユーザが被る前記移動コストが低減するように、前記一の乗降地を調整する。
【0009】
また本開示の一態様の配車管理方法は、ユーザの配車要求に応じて車両の配車及び運行を行う配車サービスを管理する配車管理装置による配車管理方法であって、前記配車サービスにおけるユーザの利用実績を記憶する実績ことと、前記利用実績に基づいて、車両に乗降可能な一の乗降地を共用する複数のユーザである乗降ユーザそれぞれの利用頻度を導出し、該利用頻度に基づいて前記一の乗降地の位置を調整することと、を含み、前記乗降ユーザは、一の車両に乗車中であって前記一の乗降地で降車予定の降車ユーザ、及び該降車ユーザの降車に伴い該一の乗降地から該一の車両に乗車予定の乗車ユーザであり、前記一の乗降地と前記配車要求に含まれる出発地又は目的地との間の移動時に前記乗降ユーザが被るコストを移動コストとし、前記一の乗降地の位置を調整することは、前記利用頻度が高いほど前記乗降ユーザが被る前記移動コストが低減するように、前記一の乗降地を調整することを含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、乗降ユーザ間の移動コストの総計の差を是正してモビリティサービスを多用するユーザへの公平性を確保し、モビリティサービスの利用意欲を向上させることができるようになる。
【0011】
本開示の他の技術的特徴、目的、及び作用効果乃至は利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態により明らかにされる。本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果があっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の第１実施形態の配車管理システムの一例を説明する図である。
【図3】本開示の第１実施形態に係る配車管理装置の機能構成モデルの一例を示すブロックダイアグラム図である。
【図4A】本開示の第１実施形態に係る配車管理装置が設置する乗降地の既存位置を説明する図である。
【図4B】本開示の第１実施形態に係る配車管理装置による乗降地の調整を説明する図である。
【図6】本開示の第１実施形態に係る配車管理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図7】本開示の第１実施形態の第１変形例に係る乗降地を説明する図である。
【図8】本開示の第１実施形態の第１変形例に係る配車管理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図9】本開示の第２実施形態に係る配車管理装置の機能構成モデルの一例を示すブロックダイアグラム図である。
【図11】本開示の第２実施形態に係る配車管理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図12】本開示の第２実施形態の第１変形例に係る配車管理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図13】本開示の第２実施形態の第２変形例に係る配車管理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【図14】本開示の第２実施形態の第３変形例に係る配車管理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本開示は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形（例えば各実施形態を組み合わせる等）して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0014】
（第１実施形態）
図１は、本開示の第１実施形態に係る配車管理システムの一例を説明する図である。同図に示すように、配車管理システム１は、配車管理装置１０と、ユーザが使用する端末装置２０と、車両Ｖを含み、これらは通信ネットワークＮを介して相互に通信可能に接続される。本開示の配車管理システム１は、例えば、ある地域を対象にした、複数の車両Ｖを用いたオンデマンド方式によるモビリティサービス（配車サービス）を提供する。
図１は、本開示の第１実施形態に係る配車管理システムの一例を説明する図である。同図に示すように、配車管理システム１は、配車管理装置１０と、ユーザが使用する端末装置２０と、車両Ｖを含み、これらは通信ネットワークＮを介して相互に通信可能に接続される。本開示の配車管理システム１は、例えば、ある地域を対象にした、複数の車両Ｖを用いたオンデマンド方式によるモビリティサービス（配車サービス）を提供する。
【0015】
本開示において、「オンデマンド方式による配車サービス」は、ユーザからの配車要求に即時に応答して、該ユーザに所定の車両を割り当てる（配車する）サービスである。つまり、オンデマンド方式による配車サービスでは、ユーザが指定する配車予約時刻は存在しない。また、「即時に応答」とは、ユーザからの配車要求に対して間髪入れずに配車するだけでなく、ユーザが通常許容し得るようなある程度の幅をもった時間を含む概念である。本開示の配車管理システム１は、このような「オンデマンド方式による配車サービス」を前提としているが、これに限られず、例えば予約方式による配車サービスにも適用し得る。本開示における配車サービスでは、複数のユーザからの配車要求に対して一の車両が配車され得る。つまり、本開示における配車サービスは、複数の乗客の相乗りといったライドシェアサービスを含む。
【0016】
配車管理装置１０は、配車管理システム１によって配車サービスが提供される対象地域における、複数の車両Ｖによる配車サービスを統括的に管理するコンピューティングデバイスである。配車管理装置１０は、例えば配車管理サーバプログラムを実装し、プロセッサの制御の下、メモリに格納された配車管理サーバプログラムを実行することにより、本開示の配車サービスを実現する。また配車管理装置１０は、インターフェースを介して配車サービスに係る所定の情報の入力および出力が可能である。
【0017】
配車管理装置１０は、かかる配車サービスを実現するために必要なデータを管理する各種のデータベース１２を含む。データベース１２は、後述するように、例えばユーザ情報データベース１２ａと、利用実績データベース１２ｂと、地図データベース１２ｃと、車両情報データベース１２ｄと、配車計画データベース１２ｅと、を含み構成される（図３参照）。本例では、データベース１２は、配車管理装置１０の一部として構成されているがこれに限られず、その全部又は一部が配車管理装置１０とは別体に構成されても良い。
【0018】
概略的には、配車管理装置１０は、配車を希望するユーザの端末装置２０から車両Ｖの配車要求を受け付け又は取得して、該配車要求に対して選択的に割り当てられた一の車両Ｖに対する配車計画を作成して確定し、確定した配車計画に従った配車指示を一の車両Ｖに行う。配車計画の確定は、例えば、ユーザの承諾に応答して行われる。
【0019】
本開示では、乗客である一般ユーザからの乗車のための配車要求を例に説明される。配車要求の詳細は、後述する。なお、配車要求は、荷主（荷物配送事業者又は一般ユーザ）であるユーザからの荷物配送のための配車要求であっても良い。したがって、荷物配送事業者でない一般ユーザもまた、自身の荷物を配送してもらうために荷物配送の配車要求（荷物の発着地、運送内容等を含む）を行い得る。
【0020】
配車計画は、車両Ｖが待機する場所（起点となる待機場所）から、ユーザが乗降を行う途中のいくつかの地点（乗降地）を経由して、終点となる待機場所（最初の待機場所と同じとは限らない。）までを定めた運行ルートを含む。配車計画は、車両Ｖが待機中であれば、新規の配車要求に基づいて新規に作成され、また、車両Ｖの運行中であれば、新規の配車要求に基づいて更新され得る。配車計画は、例えば新規の配車要求に基づく車両Ｖの乗降地の調整に伴い、運行中の車両Ｖに乗車中のユーザの降車地が更新され得る。
【0021】
車両Ｖは、ユーザの利用に供される、車両情報データベース１２ｄに登録された車両である。車両Ｖの車種（例えば、セダン、ミニバン、ＳＵＶ等）は問わない。車両Ｖは、車載バッテリーを動力源とする電気自動車（ＥＶ）であっても良い。また、車両Ｖは、いわゆるドライバが運転する有人運転型車両及び自律走行可能な無人運転型車両を含む。車両Ｖは、完全な自律走行可能な自動運転車であっても良く、いわゆる自動運転化レベルを問わない。車両Ｖは、配車管理装置１０による指示に従って車両Ｖ自体又はその搭載機器（例えばナビゲーション装置）を制御する制御装置３００を備える（図２参照）。制御装置３００は、例えば、ＧＰＳシステムを介して車両Ｖの位置情報を取得し、これを配車管理装置１０に送信するとともに、配車管理装置１０から配車指示を受け付けて、車両Ｖの各種の機器又は装置の動作を制御する。制御装置３００は、例えば、配車計画に従った運行ルートを提示するナビゲーション機能や、完全自動運転車であれば車両Ｖの運行ルートに沿った自律走行制御機能を含む。
【0022】
端末装置２０は、例えば、乗車を希望するユーザがユーザインターフェースを操作して配車要求を行うためのコンピューティングデバイスである。端末装置２０は、例えばスマートフォンやパッドコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、デスクトップ型コンピュータ等であるが、これらに限られない。
【0023】
図２は、端末装置２０の概略構成の一例を示す図である。図２に示すように、端末装置２０は、例えば、配車管理クライアントプログラム（いわゆる配車アプリ）を実装する。端末装置２０は、プロセッサの制御の下、メモリに格納された配車アプリを実行することにより、ユーザによる配車管理装置１０の配車サービスの利用を可能にする。また、端末装置２０は、外部装置との間における通信機能を提供する通信装置により、配車管理装置１０との間でデータの送受信を行う。通信装置による通信方式は、例えば、公衆移動体通信網による有線通信や無線通信、衛星通信、車両Ｖとの間の路車間通信等であってよい。また、端末装置２０は測位装置により端末装置２０の現在位置（すなわちユーザの現在位置）の位置情報を取得し、該位置情報を配車アプリにおいて利用し得る。端末装置２０が備える測位装置は、ＧＮＳＳ（Global Navigation Satellite System）受信器であってもよいし、ＧＰＳ（Global Positioning System）受信器であってもよい。
【0024】
例えば、ユーザは、端末装置２０のユーザインターフェース（ＵＩ）上の配車要求画面（図示せず）から配車要求に係る情報（配車要求情報）の入力を行い、通信装置を介して配車管理装置１０に配車要求（配車要求情報の送信）を行う。これに応答して配車管理装置１０が作成した配車計画を、端末装置２０を用いてユーザが承諾することで、車両Ｖの乗車予約を行い得る。
【0025】
配車サービスの対象地域には、車両Ｖが停車可能で、かつ、ユーザが停車中の車両Ｖに乗車及び降車が可能な複数の乗降地（例えば停留所）が設定されている。本開示において、乗降地は、地図データベース１２ｃに格納された道路地図上に示される地点であって、配車管理装置１０によって設置される仮想の停留所である。ユーザは、配車要求において、乗車地、降車地としていずれかの乗降地を指定して、配車サービスを利用する。
【0026】
図２は、配車要求において端末装置２０から送信される情報（配車要求情報）の一例を示す表である。図２に示すように、乗客（一般ユーザ）からの乗車のための配車要求における配車要求情報は、例えば、「ユーザ識別情報」、「出発地」、「希望乗車地」、「希望出発時刻」、「目的地」、「希望降車地」、及び「希望到着時刻」等が含まれる。
【0027】
ユーザ識別情報は、配車管理装置１０において、ユーザの識別に利用される情報であって、ユーザＩＤでもよいし、ユーザの氏名（ユーザ名）と他の識別情報（連絡先等）との組み合わせでもよい。出発地は、例えば端末装置２０から配車要求情報を送信した際のユーザの現在地である。なおこれに限られず、ユーザ登録時にユーザ情報として出発地（例えばユーザの自宅や職場等）が登録されていてもよい。この場合、配車要求は出発地の情報を含まなくてもよい。希望乗車地及び希望降車地は、上記のとおり、設定された複数の乗降地の中から適宜、選択される。なお、希望乗車地及び希望降車地の入力は省略されてもよい。
また目的地は、ユーザが到達目標とする施設や住所である。希望出発時刻は、希望乗車地から車両Ｖが出発する希望時刻である。また、希望到着時刻は、希望降車地に車両Ｖが到着する希望時刻である。なお、配車要求には上記の情報の他に、乗車人数（希望乗車地から車両Ｖに乗車する人数）や、経由地等を含めてもよい。
また目的地は、ユーザが到達目標とする施設や住所である。希望出発時刻は、希望乗車地から車両Ｖが出発する希望時刻である。また、希望到着時刻は、希望降車地に車両Ｖが到着する希望時刻である。なお、配車要求には上記の情報の他に、乗車人数（希望乗車地から車両Ｖに乗車する人数）や、経由地等を含めてもよい。
【0028】
本開示における配車サービスでは、車両Ｖを安全かつ効率的に稼働させるため、隣接する乗降地間に所定の距離を設けており、一の乗降地が、乗車地又は降車地として複数のユーザに共用される。例えば、複数のユーザには、一の車両Ｖに乗車中であって一の乗降地で降車予定の降車ユーザ、及び一の乗降地から該一の車両Ｖに乗車する（乗車予定）の乗車ユーザが含まれる。降車ユーザ及び降車ユーザで構成される複数のユーザを「乗降ユーザ」という。一の乗降地における一の車両Ｖからの降車ユーザの降車に伴い、次のユーザとして、乗車ユーザが該一の車両Ｖに乗車する。降車ユーザが降車した乗降地以外の他の乗降地で乗車するユーザは、本実施形態における乗降ユーザには含まれない。乗降ユーザのうち、降車ユーザが複数名であってもよいし、乗車ユーザが複数名であってもよいし、降車ユーザ及び乗車ユーザがそれぞれ複数名であってもよい。
【0029】
乗降ユーザのうち、乗車ユーザは、例えば配車要求で指定した出発地から乗車地となる一の乗降地まで移動して、車両Ｖに乗車することとなる。また乗降ユーザのうち降車ユーザは、例えば降車地となる一の乗降地において車両Ｖから降車してから、配車要求で指定した目的地まで移動することとなる。
つまり、本開示における配車サービスにおいて、車両Ｖの利用時（乗降時）には、各乗降ユーザが、乗降地と各自の出発地又は目的地との間の移動に要するコスト（移動コスト）を被る。本実施形態において、例えば出発地から乗車地となる一の乗降地までの移動に要する時間及び降車地となる一の乗降地から目的地までの移動に要する時間、すなわち移動時間が移動コストに相当する。
つまり、本開示における配車サービスにおいて、車両Ｖの利用時（乗降時）には、各乗降ユーザが、乗降地と各自の出発地又は目的地との間の移動に要するコスト（移動コスト）を被る。本実施形態において、例えば出発地から乗車地となる一の乗降地までの移動に要する時間及び降車地となる一の乗降地から目的地までの移動に要する時間、すなわち移動時間が移動コストに相当する。
【0030】
上述のように、乗降地は配車サービスの対象地位置において、所定の距離ごとに設けられている。このため、乗降ユーザ間において、配車サービスの利用時（車両Ｖへの乗降時）における上記移動コスト（移動時間）には大きな差は生じない。
しかしながら、配車サービスの利用頻度が高くなるにつれて移動コストの総計は増大していくため、利用頻度が異なる降車ユーザの間では、移動コストの総計の差が大きくなってしまうことがある。この場合、配車サービスを多用するほど移動コストの総計が増大する懸念から、配車サービスの利用意欲が低減してしまう虞がある。
しかしながら、配車サービスの利用頻度が高くなるにつれて移動コストの総計は増大していくため、利用頻度が異なる降車ユーザの間では、移動コストの総計の差が大きくなってしまうことがある。この場合、配車サービスを多用するほど移動コストの総計が増大する懸念から、配車サービスの利用意欲が低減してしまう虞がある。
【0031】
そこで本開示において配車管理装置１０は、、乗降ユーザのうち配車サービスの利用頻度が高いユーザの移動コストが低減するように、一の乗降地を共用する乗降ユーザそれぞれ利用頻度に基づいて既存の乗降地の位置を調整（再設置）する。
【0032】
これにより、本開示の配車管理システム１では、乗降ユーザのうち利用頻度が高いユーザの移動コストの総計が過度に増大することを抑制して、配車サービスの利用時（乗降時）における移動コスト（乗降地を共用する乗降ユーザ間における移動コスト）の総計の差を是正することができる。したがって、配車サービスを多用するユーザへの公平性を確保し、配車サービスの利用意欲を向上させることができるようになる。
【0033】
図３は、本開示の第１実施形態に係る配車管理装置の機能構成モデルの一例を示すブロックダイアグラム図である。同図に示すように、配車管理装置１０は、例えば、フロントエンド処理部１１０と、配車要求取得部１３０と、乗降地決定部１４０と、配車計画作成部１５０と、走行ルート計画部１６０と、車両通信インターフェース（ＩＦ）部１７０といった機能構成要素を含む機能構成モデルとして構成される。また、配車管理装置１０は、上述したように、各種のデータベース１２を含む。かかる機能モデルは、配車管理装置１０が、プロセッサの制御の下、配車管理サーバプログラムを実行し、これにより、各種のハードウェア資源と協働することにより、実現される。ここに示す機能構成モデルは一例であって、ある機能構成要素における全部又は一部の機能が、他の機能構成要素によって実現されても良い。なお、同図では、説明の便宜上、ユーザの端末装置２０、及び車両Ｖにおける制御装置３００の一部の構成もまた示されている。
【0034】
ユーザ情報データベース１２ａは、配車サービスを利用するユーザに関するユーザ情報を格納する。ユーザ情報は、例えば、ユーザＩＤ及びパスワード、属性情報、並びにサービス利用状況に関する情報を含む。ユーザ情報は、例えば配車アプリの最初の起動時にユーザが所定の情報を入力することにより、配車管理装置１０の制御の下、ユーザ情報データベース１２ａに登録される。また、ユーザ情報は、配車要求時に端末装置２０から送信される情報（配車要求情報又は他の追加情報）に基づいて、更新されてもよい。
【0035】
利用実績データベース１２ｂは、例えばユーザごとの過去の配車サービスの利用実績に関する情報（利用実績情報）を格納する。利用実績情報は、例えばユーザの利用日時（乗車日時）、乗車地（ユーザが実際に車両Ｖに乗車した乗降地）、降車地（ユーザが車両Ｖから降車した乗降地）、出発地（緯度／経度）及び目的地（緯度／経度）の情報を少なくとも含む。利用実績情報は、ユーザの利用日時に基づいて、ある期間におけるユーザの配車サービスの利用回数、すなわち配車サービスの利用頻度を示し得る。
【0036】
地図データベース１２ｃは、少なくとも配車サービスの対象地域における地図データを格納する。地図データは、例えば、住所、地名、道路、乗降地、及び施設名等に関する情報を含む。また、道路に関する情報として、少なくとも停車の可否を示す情報を含み得る。乗降地は、対象地域においてユーザが実際に乗降可能な地理的位置を示す。上記地図データにおいては、例えば乗降地を識別する情報（乗降地ＩＤ）と、上記物理的位置である乗降地の位置情報（緯度／経度）とが対応付けられて乗降地に関する情報を構成しており、この対応付けにより、仮想の停留所としての乗降地が対象地域に設置される。なお、乗降地に関する情報には、該位置情報の更新日時が含まれていてもよい。
【0037】
配車サービスの対象地域内には、複数の乗降地が所定間隔で設置されている。所定間隔とは、車両Ｖの円滑な運行を妨げない程度であればよく、例えば１５０ｍから２００ｍ程度とし得る。例えば、配車サービスの対象地域は、地図データ上において所定範囲（例えば１５０～２００ｍ四方）で区分されており、区分された領域（区分領域）ごとに１つの乗降地が設定され得る。また、交通法規を遵守し且つ車両Ｖに乗降するユーザの安全性を確保する観点から、乗降地は車両Ｖを停車可能な道路上であればよい。詳しくは後述するが、地図データベース１２ｃは、乗降地決定部１４０が生成する乗降地の位置情報等に基づいて、乗降地に関する情報が随時に更新され得る。
更に、地図データは、ルート探索に必要な情報や道路渋滞状況等の環境情報を含み得る。地図データは、既知のものを利用することができ、例えば、ＡＰＩを介して接続可能な外部の地図データベースであってもよい。
更に、地図データは、ルート探索に必要な情報や道路渋滞状況等の環境情報を含み得る。地図データは、既知のものを利用することができ、例えば、ＡＰＩを介して接続可能な外部の地図データベースであってもよい。
【0038】
車両情報データベース１２ｄは、ユーザの利用に供される車両Ｖに関する情報（車両情報）を格納する。車両情報は、例えば、車両ＩＤ、車両属性（車両登録番号、車種、及び最大乗車人員／最大積載量等）、現在の配車計画、現在位置、及び現在状態（サービス状態、バッテリー残容量、乗車人員、及び荷物積載量等）等に関する情報を含む。車両Ｖの現在位置は、後述するように、車両Ｖから送信される位置情報に基づいて随時に更新される。また、現在状態は、車両Ｖから送信される乗車情報（ユーザが乗車したことを示す情報）に基づいて随時に更新される。
【0039】
配車計画データベース１２ｅは、配車要求に基づく車両Ｖごとの配車計画を格納する。配車計画は、起点となる待機場所からいくつかの地点（乗降地）を経由して終点となる待機場所までの運行ルート及び経由地ごとの到着予想時刻等を含む。なお、配車計画の運行ルート起点及び終点は待機場所に限られない。
【0040】
フロントエンド処理部１１０は、ユーザの端末装置２０との間での各種の処理を行う。一例として、フロントエンド処理部１１０は、ユーザの端末装置２０上の配車アプリからのログイン要求に従って、ユーザ情報データベース１２ａを参照し、ログイン認証処理を行う。他の例として、フロントエンド処理部１１０は、ユーザの端末装置２０上の配車アプリからの配車要求を受け付けて、これを配車要求取得部１３０に引き渡し、これに応答して配車計画作成部１５０により作成された配車計画に対するユーザの諾否を受けるために、端末装置２０とやり取りする。
【0041】
配車要求取得部１３０は、フロントエンド処理部１１０を介して、ユーザからの配車要求を受け付けて、取得する。配車要求取得部１３０が配車要求を受け付けた時刻は、後述するような各種の限界時間の計時開始時刻となる。配車要求取得部１３０は、取得した配車要求を乗降地決定部１４０及び配車計画作成部１５０の各々に引き渡す。
【0042】
乗降地決定部１４０は、引き渡された配車要求に基づいて、地図データベース１２ｃを参照し、乗降地（例えば停留所）を決定する。すなわち、乗降地決定部１４０は、配車要求によって指定される希望乗車地及び希望降車地に対して、地図データベース１２ｃを参照し、実際の乗車地及び降車地を決定する。なお、配車要求において希望乗車地及び希望降車地の指定が無い場合には、配車要求における出発地及び目的地に基づいて、乗車地及び降車地を決定し得る。乗降地決定部１４０は、例えば、地図データベース１２ｃを参照し、配車要求における出発地／目的地周辺の乗降地の情報、環境情報等に基づいて乗降地を決定する。また乗降地決定部１４０は、配車要求の出発地又は目的地が含まれる区分領域に乗降地が存在しない場合に、該区分領域内に新たな乗降地を設置し得る。
乗降地決定部１４０は、決定した乗降地を配車計画作成部１５０に引き渡す。詳しくは後述するが、乗降地決定部１４０は、複数のユーザが同乗する一の車両Ｖの配車計画に含まれる走行経路が経由する地点であって、複数のユーザのそれぞれが一の車両Ｖに乗降する地点である乗降地を、複数のユーザそれぞれの配車要求に基づいて決定する。
乗降地決定部１４０は、決定した乗降地を配車計画作成部１５０に引き渡す。詳しくは後述するが、乗降地決定部１４０は、複数のユーザが同乗する一の車両Ｖの配車計画に含まれる走行経路が経由する地点であって、複数のユーザのそれぞれが一の車両Ｖに乗降する地点である乗降地を、複数のユーザそれぞれの配車要求に基づいて決定する。
【0043】
配車計画作成部１５０は、新規の配車要求及び乗降地情報に基づいて、複数の候補車両ｖの中から選択された一の車両Ｖに対する配車計画を作成して確定し、確定した配車計画に従った配車指示を一の車両Ｖに行う。
より具体的には、配車計画作成部１５０は、取得された配車要求に従って、まず、走行ルート計画部１６０にルートパターンの導出を依頼する。ルートパターンは、決定済みの乗降地（経由地）を通る経路に対して新たな乗降地を追加した場合に全ての乗降地を通るルートを示す。走行ルート計画部１６０は、ルートパターンの導出依頼に応答して、地図データベース１２ｃ及び車両情報データベース１２ｄを参照して、配車要求に適合し得る１又はそれ以上の車両Ｖを候補車両ｖとして抽出し、抽出された候補車両ｖの各々について、乗降地情報に従ったルートパターンを導出し、導出したルートパターンを配車計画作成部１５０に引き渡す。
より具体的には、配車計画作成部１５０は、取得された配車要求に従って、まず、走行ルート計画部１６０にルートパターンの導出を依頼する。ルートパターンは、決定済みの乗降地（経由地）を通る経路に対して新たな乗降地を追加した場合に全ての乗降地を通るルートを示す。走行ルート計画部１６０は、ルートパターンの導出依頼に応答して、地図データベース１２ｃ及び車両情報データベース１２ｄを参照して、配車要求に適合し得る１又はそれ以上の車両Ｖを候補車両ｖとして抽出し、抽出された候補車両ｖの各々について、乗降地情報に従ったルートパターンを導出し、導出したルートパターンを配車計画作成部１５０に引き渡す。
【0044】
配車計画作成部１５０は、走行ルート計画部１６０により導出された候補車両ｖの各ルートパターンに基づいて、ルートパターンに対して起点となる待機場所及び終点となる待機場所を加えた運行ルートを含む配車計画の作成を試みる。配車計画作成部１５０は、候補車両ｖについてさらに絞り込みを行う。
【0045】
候補車両ｖには、先行ユーザ（車両Ｖへの予約が確定しているユーザ）が乗車予定、又は乗車済みの車両（同乗車両）が含まれ得る。これにより、本開示における配車サービスにおいて、ライドシェア（相乗り）サービスが提供される。
配車計画作成部１５は、例えば配車計画データベース１２ｅを参照し、以下の(i)～(iv)に例示されるような所定の除外条件に該当する配車計画を除外することにより、同乗車両を含む候補車両ｖを絞り込んでもよい。
配車計画作成部１５は、例えば配車計画データベース１２ｅを参照し、以下の(i)～(iv)に例示されるような所定の除外条件に該当する配車計画を除外することにより、同乗車両を含む候補車両ｖを絞り込んでもよい。
【0046】
（i）乗車人員に関する条件
乗車人員が、新規の配車要求によって規定の人員を超過する車両Ｖは候補車両ｖから除外される。
（ii）先行ユーザの乗車時の遅延に関する条件
先行ユーザ（車両Ｖへの乗車予約が確定済みのユーザ）の乗車時間が新規の配車要求によって乗車遅延限界時間を超える場合、該当の車両Ｖは候補車両ｖから除外される。乗車遅延限界時間は、乗車予定時刻からユーザが許容し得る乗車限界時刻までの時間である。
（iii）降車時の遅延に関する条件
先行ユーザの降車時間が新規の配車要求によって降車遅延限界時間を超える場合、該配車計画は除外される。降車遅延限界時間は、例えば出発予定時刻から降車限界時刻までの時間であり、乗車地から降車地まで車両Ｖが直行した場合の時間の例えば１．２倍の時間に設定される。
（iv）後行ユーザの配車遅延限界時間に関する条件
後行ユーザ（新規の配車要求を行ったユーザ）への配車までの時間が配車遅延限界時間を超える場合、該当の車両Ｖは候補車両ｖから除外される。配車遅延限界時間は、例えば配車要求受付時刻から乗車予定時刻までの時間である。
乗車人員が、新規の配車要求によって規定の人員を超過する車両Ｖは候補車両ｖから除外される。
（ii）先行ユーザの乗車時の遅延に関する条件
先行ユーザ（車両Ｖへの乗車予約が確定済みのユーザ）の乗車時間が新規の配車要求によって乗車遅延限界時間を超える場合、該当の車両Ｖは候補車両ｖから除外される。乗車遅延限界時間は、乗車予定時刻からユーザが許容し得る乗車限界時刻までの時間である。
（iii）降車時の遅延に関する条件
先行ユーザの降車時間が新規の配車要求によって降車遅延限界時間を超える場合、該配車計画は除外される。降車遅延限界時間は、例えば出発予定時刻から降車限界時刻までの時間であり、乗車地から降車地まで車両Ｖが直行した場合の時間の例えば１．２倍の時間に設定される。
（iv）後行ユーザの配車遅延限界時間に関する条件
後行ユーザ（新規の配車要求を行ったユーザ）への配車までの時間が配車遅延限界時間を超える場合、該当の車両Ｖは候補車両ｖから除外される。配車遅延限界時間は、例えば配車要求受付時刻から乗車予定時刻までの時間である。
【0047】
このように、本開示における配車計画作成部１５０は、複数のユーザ（先行ユーザ及び後行ユーザ）の配車要求に応じて、該複数のユーザが同乗する一の車両Ｖの配車計画を作成する。また、配車計画に含まれる走行経路が経由する地点であって複数のユーザのそれぞれが一の車両Ｖに乗降する地点である乗降地は、該複数のユーザの配車要求に基づいて乗降地決定部１４０により決定される。
【0048】
また、上記除外条件により候補車両ｖを絞り込むことで、運行中（ユーザが乗車中）の車両であって、配車計画において乗車中のユーザの降車地が、新規の配車要求に基づいて決定された乗車地（新規の配車要求を行ったユーザの乗車地）と同一の乗降地（一の乗降地）である車両が含まれ得る。当該車両は、一の乗降地において乗降ユーザ（乗車ユーザ及び降車ユーザ）に引き継がれる車両（引継ぎ車両）である。配車計画作成部１５０は、候補車両ｖのうち引継ぎ車両について、新規の配車要求に応じて配車計画を更新し得る。詳しくは後述するが、配車計画作成部１５０は、引継ぎ車両の配車計画の更新時において、乗降ユーザに共用される乗降地（乗車ユーザの乗車地且つ降車ユーザの降車地）の調整を乗降地決定部１４０に依頼する。乗降地決定部４０は、配車計画作成部１５０からの調整依頼に基づいて共用される乗降地（共用乗降地）の調整を行い、調整後の乗降地の位置情報を配車計画作成部に引き渡す。これにより、調整後の共用乗降地の位置情報に基づいて、引継ぎ車両の配車計画が更新される。
【0049】
なおエネルギー消費効率等の観点から、例えば配車計画作成部１５０は、乗車日時までに乗車場所へ到着できる候補車両ｖのうち、決定済みの乗車地に最も近い場所に位置する候補車両ｖを選択し得る。配車計画作成部１５０は、作成された配車計画を、フロントエンド処理部１１０を介して端末装置２０に送信することで該配車計画をユーザに提案し、ユーザの承諾を受けて一の車両Ｖの配車計画を確定する。既存の配車計画が更新された場合には、更新後の配車計画が乗降ユーザそれぞれの端末装置２０に送信される。このため、共用乗降地が調整されている場合には、調整後の共用乗降地（乗車ユーザの乗車地）を乗降ユーザに通知することができる。配車計画作成部１５０は、確定した配車計画を配車計画データベース１２ｅに格納するとともに、車両Ｖに配車指示するために配車指示部１７２に通知する。
【0050】
車両通信インターフェース部１７０は、通信ネットワークＮを介して、車両Ｖとの間で各種の情報をやり取りする。例えば、車両通信インターフェース部１７０は、車両Ｖの位置情報を含む車両情報を取得する車両情報取得部１７１と、配車計画に従って車両Ｖに移動を指示する配車指示部１７２とを備える。
【0051】
車両情報取得部１７１は、制御装置３００の通信部３１０との間で通信を行い、位置情報取得部３２０によって取得された位置情報等を取得する。また、配車指示部１７２は、配車計画作成部１５０の指示に従い、配車計画データベース１２ｅを参照し、対応する配車計画を特定し、特定された配車計画に従って車両Ｖに運行指示を送信する。運行指示を受信した車両Ｖの制御装置３００は、ナビゲーション機能により、例えばユーザインターフェース（図中「ＵＩ」と表示）３３０上に、配車計画に従った走行ルートを表示する。
またＵＩ３３０は入力部を含んでもよく、制御装置３００は、ＵＩ３３０への入力に基づいて乗車情報（乗車したユーザＩＤ、車両ＩＤ、乗車地）を、通信部３１０を介して配車管理装置１０に送信してもよい。車両情報取得部１７１は、乗車情報を取得すると、車両情報データベース１２ｄにおいて乗車情報を送信した車両Ｖの車両の情報（現在状態）を更新する。また、車両情報取得部１７１は、乗車情報を取得すると、該乗車情報及び乗車したユーザの配車要求等に基づいて、利用実績データベースに新たな利用実績を登録する。例えば、乗車情報を取得した日時が、利用実績における「利用日時」となる。
またＵＩ３３０は入力部を含んでもよく、制御装置３００は、ＵＩ３３０への入力に基づいて乗車情報（乗車したユーザＩＤ、車両ＩＤ、乗車地）を、通信部３１０を介して配車管理装置１０に送信してもよい。車両情報取得部１７１は、乗車情報を取得すると、車両情報データベース１２ｄにおいて乗車情報を送信した車両Ｖの車両の情報（現在状態）を更新する。また、車両情報取得部１７１は、乗車情報を取得すると、該乗車情報及び乗車したユーザの配車要求等に基づいて、利用実績データベースに新たな利用実績を登録する。例えば、乗車情報を取得した日時が、利用実績における「利用日時」となる。
【0052】
次に、乗降地決定部１４０の各機能構成要素の詳細について説明する。乗降地決定部１４０は、例えば、乗降地設置部１４１及び乗降地調整部１４２を含み構成される。
乗降地設置部１４１は、配車サービスの対象地域において、乗降地が設置されていない区分領域（未設置領域）に新たな乗降地を設置する。また、乗降地調整部１４２は、所定条件に基づいて、乗降地設置部１４１が設置した乗降地の位置を調整（再配置）する。
乗降地設置部１４１は、配車サービスの対象地域において、乗降地が設置されていない区分領域（未設置領域）に新たな乗降地を設置する。また、乗降地調整部１４２は、所定条件に基づいて、乗降地設置部１４１が設置した乗降地の位置を調整（再配置）する。
【0053】
乗降地設置部１４１は、典型的には、乗降地決定部１４０が乗降地を決定するタイミングで、未設置領域に新たな乗降地を設置する。乗降地設置部１４１は、例えば引き渡された配車要求の出発地または目的地が未設置領域内である場合に、該未設置領域に新たな乗降地を設置する。これにより、乗降地決定部１４０は、新たに設置された乗降地を乗車地または降車地として決定し得る。なお、乗降地決定部１４０が配車要求に基づいて決定する出発地は、出発地を含む区分領域内に限られず、出発地の近傍（出発地の半径１５０～２００ｍ程度の範囲）であれば、隣接する他の区分領域内の乗降地であってもよい。また同様に、乗降地決定部１４０が決定する降車地は、目的地の近傍（出発地の半径１５０～２００ｍ程度の範囲）であれば、隣接する他の区分領域内の乗降地であってもよい。
例えば乗降地設置部１４１は、配車要求の出発地又は目的地の近傍に乗降地が存在せず、且つ出発地又は目的地が未設置領域内の地点である場合に、該未設置領域内に乗降地を設置してもよい。
例えば乗降地設置部１４１は、配車要求の出発地又は目的地の近傍に乗降地が存在せず、且つ出発地又は目的地が未設置領域内の地点である場合に、該未設置領域内に乗降地を設置してもよい。
【0054】
図４Ａは、本実施形態の配車サービスにおける乗降地の既存位置と一の車両Ｖに同乗するユーザの目的地との位置関係について説明する図である。図４Ａに示すように、配車管理システム１による配車サービスの対象地域内の区分領域Ｅｒの地点Ｐ１には、乗降地設置部１４１により、一の乗降地ＶＳ１が設置されている。
車両Ｖ１は引継ぎ車両であって、乗降地ＶＳ１で降車予定の降車ユーザであるユーザＵ１が乗車（相乗り）しており、配車計画に従い乗降地ＶＳ１に向かう運行ルートを走行している。ユーザＵ１は、乗降地ＶＳ１で降車予定の降車ユーザであり、乗降地ＶＳ１での降車後に目的地Ｐｇまで移動する。また乗降地ＶＳ１では、ユーザＵ１の降車に伴い、車両Ｖ１に乗車ユーザであるユーザＵ２，Ｕ３が乗車予定である。したがって、ユーザＵ１，Ｕ２，Ｕ３は、乗降ユーザである。ユーザＵ２は、出発地Ｐｄ＿１から乗降地ＶＳ１まで移動して車両Ｖ１に乗車する。またユーザＵ３は、出発地Ｐｄ＿２から乗降地ＶＳ１まで移動して車両Ｖ１に乗車する。このため、ユーザＵ２，Ｕ３は車両Ｖ１に同乗する同乗ユーザとなる。つまり車両Ｖ１は、乗降地ＶＳ１でのユーザＵ１の降車後に、同じ乗降地ＶＳ１からユーザＵ２，Ｕ３が乗車することで、同乗車両となる。
車両Ｖ１は引継ぎ車両であって、乗降地ＶＳ１で降車予定の降車ユーザであるユーザＵ１が乗車（相乗り）しており、配車計画に従い乗降地ＶＳ１に向かう運行ルートを走行している。ユーザＵ１は、乗降地ＶＳ１で降車予定の降車ユーザであり、乗降地ＶＳ１での降車後に目的地Ｐｇまで移動する。また乗降地ＶＳ１では、ユーザＵ１の降車に伴い、車両Ｖ１に乗車ユーザであるユーザＵ２，Ｕ３が乗車予定である。したがって、ユーザＵ１，Ｕ２，Ｕ３は、乗降ユーザである。ユーザＵ２は、出発地Ｐｄ＿１から乗降地ＶＳ１まで移動して車両Ｖ１に乗車する。またユーザＵ３は、出発地Ｐｄ＿２から乗降地ＶＳ１まで移動して車両Ｖ１に乗車する。このため、ユーザＵ２，Ｕ３は車両Ｖ１に同乗する同乗ユーザとなる。つまり車両Ｖ１は、乗降地ＶＳ１でのユーザＵ１の降車後に、同じ乗降地ＶＳ１からユーザＵ２，Ｕ３が乗車することで、同乗車両となる。
【0055】
乗降地ＶＳ１での降車時において、ユーザＵ１は、乗降地ＶＳ１から目的地Ｐｇへの移動に要するコスト（移動コスト）を被る。また、乗降地ＶＳ１での乗車時においてユーザＵ２，Ｕ３は、各自の出発地（出発地Ｐｄ＿１，Ｐｄ＿２）から乗降地ＶＳ１への移動コストを被る。目的地Ｐｇ及び出発地Ｐｄ＿１，Ｐｄ＿２は、同一の区分領域内（区分領域Ｅｒ内）に位置しており、乗降地ＶＳ１の既存位置である地点Ｐ１と各出発地又は目的地との間の移動距離には大差が生じない。このため、例えば、各乗降ユーザ（ユーザＵ１，Ｕ２，Ｕ３）の属性（年齢、性別、健康状態、体力など）が同等である場合、乗降地ＶＳ１での乗降時における移動時間（移動コスト）に大差は生じない。
【0056】
しかしながら、上述のように、配車サービスの利用頻度が高くなるにつれて、移動コストの総計は増大していく。このため、利用頻度が異なる乗降ユーザの間では、移動コストの総計の差が大きくなる。例えば、乗降ユーザのうちユーザＵ３の利用頻度（例えば、乗降地ＶＳ１での乗車頻度）が、他の乗降ユーザ（ユーザＵ１，Ｕ２）よりも高いとする。このとき、ユーザＵ３の移動コストの総計はユーザＵ１，Ｕ２に比べて増大し、乗降ユーザ間において移動コストの総計の差が大きくなり得る。この場合、配車サービスを多用するほど移動コストの総計が増大する懸念から、配車サービスの利用意欲が低減してしまう虞がある。
【0057】
そこで、本実施形態において乗降地調整部１４２は、車両Ｖ（本例では車両Ｖ１）に乗降可能な一の乗降地（本例では乗降地ＶＳ１）を共用する複数のユーザである乗降ユーザ（乗車ユーザ及び降車ユーザ）の利用実績に基づいて、乗降ユーザそれぞれの利用頻度を導出し、該利用頻度に基づいて該一の乗車地（乗降ユーザが共用する共用乗降地）の位置を調整する。具体的には、乗降地調整部１４２は、導出した該利用頻度が高いほど乗降ユーザが被る移動コストが低減する（例えば、利用頻度が最も高い乗降ユーザが被る移動コストが低減する）ように、乗降地の位置を調整（再設置）する。
【0058】
図４Ｂは、乗降地の調整について説明する図である。図４Ｂに示すように、乗降地調整部１４２は、区分領域Ｅｒ内において、乗降ユーザであるユーザＵ１，Ｕ２，Ｕ３に共用される乗降地ＶＳ１の位置を、既存の地点Ｐ１から地点Ｐ２に調整（移動）する。地点Ｐ２は、地点Ｐ１よりも、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザ（ユーザＵ３）の出発地Ｐｄ＿２に近い地点である。これにより、利用頻度が最も高い乗降ユーザ（例えば、ユーザＵ３）が被る移動コストが低減されて、移動コストの総計が過度に増大することを抑制することができる。したがって、配車サービスを多用するユーザへの公平性が確保され、モビリティサービスの利用意欲を向上させることができる。
【0059】
以下、乗降地の調整についてより詳細に説明する。
乗降地調整部１４２は、例えばユーザ（例えばユーザＵ１）が乗車中の車両Ｖ（本例の車両Ｖ１）の配車計画において、乗車中のユーザ（降車ユーザ）の降車地と、該ユーザの降車後に乗車する予定の乗車ユーザ（例えばユーザＵ２，Ｕ３）の乗車地が同一の乗降地（例えば乗降地ＶＳ１）であることを契機として、乗降地の調整を実施する。すなわち、一の乗降地が、降車ユーザと乗車ユーザに共用されることが決定した場合に、共用される一の乗降地（共用乗降地）の調整が実施される。共用乗降地の調整は、乗車ユーザの乗車及び降車ユーザの降車のいずれよりも前の時点で実施される。典型的には、乗降地調整部１４２は、乗車ユーザの配車要求に基づく配車計画の作成時（引継ぎ車両の配車計画の更新時）において、配車計画作成部１５０の調整依頼に基づいて、共用乗降地の調整を行う。これにより、調整後の共用乗降地において、乗降ユーザが円滑に引継ぎ車両（車両Ｖ１）に乗降することができる。
乗降地調整部１４２は、例えばユーザ（例えばユーザＵ１）が乗車中の車両Ｖ（本例の車両Ｖ１）の配車計画において、乗車中のユーザ（降車ユーザ）の降車地と、該ユーザの降車後に乗車する予定の乗車ユーザ（例えばユーザＵ２，Ｕ３）の乗車地が同一の乗降地（例えば乗降地ＶＳ１）であることを契機として、乗降地の調整を実施する。すなわち、一の乗降地が、降車ユーザと乗車ユーザに共用されることが決定した場合に、共用される一の乗降地（共用乗降地）の調整が実施される。共用乗降地の調整は、乗車ユーザの乗車及び降車ユーザの降車のいずれよりも前の時点で実施される。典型的には、乗降地調整部１４２は、乗車ユーザの配車要求に基づく配車計画の作成時（引継ぎ車両の配車計画の更新時）において、配車計画作成部１５０の調整依頼に基づいて、共用乗降地の調整を行う。これにより、調整後の共用乗降地において、乗降ユーザが円滑に引継ぎ車両（車両Ｖ１）に乗降することができる。
【0060】
乗降地調整部１４２は、一の乗降地（共用乗降地）を乗車地又は降車地として利用する乗降ユーザそれぞれの利用頻度に基づいて、該共用乗降地の位置を調整する。乗降地調整部１４２は、利用実績データベース１２ｂを参照し、利用実績情報に基づいて各乗降ユーザにおける共用乗降地の利用頻度を導出し、導出した利用頻度が高いほど乗降ユーザが被る移動コスト（移動時間）が低減するように、乗降ユーザが共用する乗降地の位置情報（地図データベース１２ｃの乗降地に関する情報）を更新する。これにより、利用頻度の高いユーザの移動コストの総計が過度に増大することを確実に抑制し、配車サービスの利用時における移動コストの総計の差をさらに是正することができる。
【0061】
図５は、利用実績データベース１２ｂの利用実績情報の一例を示す図である。本例では利用実績として、乗降地ＩＤ、出発地の位置情報（緯度／経度）、乗車地（各ユーザが乗車した乗降地）、降車地（各ユーザが降車した乗降地）、利用日時及び目的地の位置情報（緯度／経度）の位置情報が含まれ得る。利用実績情報における出発地、目的地は配車要求で指定された情報であり、利用実績情報の出発地から乗車地までの移動に要するコスト及び降車地から目的地までの移動に要するコスト（本例では、移動時間）が、各乗降ユーザの移動コストの実績値となる。
【0062】
乗降地調整部１４２は、利用実績データベース１２ｂを参照し、所定の集計期間における乗降ユーザの配車サービスの利用回数（利用頻度）を導出する。集計期間は、例えば、乗降地調整部１４２が乗降地の調整を実施する時点から遡った期間であり、週単位でもよいし、月単位、又は年単位でもよい。乗降地調整部１４２は、乗降地の調整を実施するタイミング（引継ぎ車両において降車ユーザの降車前、且つ乗車ユーザの乗車前の任意の時点）において、該集計期間（例えば、過去１週間）における共用乗降地の利用実績情報を利用実績データベース１２ｂから抽出し、抽出した利用実績情報の件数を乗降ユーザごとに集計する。乗降地調整部１４２は、乗降ユーザごとに集計された利用実績情報の件数（レコード数）を、上記集計期間における乗降ユーザごとの配車サービスの利用回数（利用頻度）として導出する。
【0063】
なお、上記集計期間は特に限定されず、調整対象の乗降地（共用乗降地）の利用状況等に応じて適宜決定すればよい。また、所定期間における配車サービスの利用回数は、例えば、配車サービス自体の利用回数（共用乗降地以外を利用（乗降）した場合も含む）であってもよい。この場合、各乗降ユーザついて、集計期間における全利用実績情報の件数を利用頻度とすればよい。また、乗降地調整部１４２は、利用頻度として所定期間における乗車ユーザの出発地又は降車ユーザの目的地の利用回数を導出してもよい。つまり、配車サービスの利用回数は、出発地又は目的地の利用回数であってもよい。この場合、該集計期間における利用実績情報のうち、各乗車ユーザが最も利用した出発地、又は各降車ユーザが最も利用した目的地（配車要求で指定した目的地）のレコード数を利用頻度とすればよい。また、該集計期間における共用乗降地の利用実績情報のうち、乗降ユーザそれぞれが最も利用した出発地又は目的地ごとの利用回数を利用頻度としてもよい。
【0064】
図５は、乗降地調整部１４２が利用実績データベース１２ｂから抽出した、乗降ユーザごとの乗降地ＶＳ１の利用実績情報（乗車地又は降車地としての利用実績）であり、２０２３年６月１日から６月８日までの１週間を集計期間として集計されている。本例では、乗降ユーザのうちユーザＵ１（ＩＤ＝００１）の１週間あたりの利用実績情報のレコード数が５件（利用頻度＝５回／週）である。また乗降ユーザのうちユーザＵ２（ＩＤ＝００２）の１週間あたりの利用実績情報のレコード数が２件（利用頻度＝２回／週）であり、ユーザＵ３（ＩＤ＝００３）の１週間あたりの利用実績情報のレコード数が１０件（利用頻度＝１０回／週）である。したがって、ユーザＵ３が、乗降地ＶＳ１を共用する乗降ユーザのうち最も利用頻度が高いユーザに相当する。つまり、本例において乗降地調整部１４２は、一の乗降地（共用乗降地）である乗降地ＶＳ１を共用する乗降ユーザのうち、利用頻度が最も高いユーザＵ３が被る移動コスト（乗降地ＶＳ１と出発地との間の移動時間）が低減する、すなわち利用頻度が高いほど乗降ユーザが被る移動コストが低減するように、各乗降ユーザの利用頻度を用いて乗降地ＶＳ１の位置を調整する。
【0065】
まず、乗降地調整部１４２は、乗降ユーザ（ユーザＵ１，Ｕ２，Ｕ３）ごとに、導出した利用頻度の値（「５」，「２」，「１０」）を頻度係数として、配車要求における、乗車ユーザの出発地又は降車ユーザの目的地の位置情報（緯度／経度）の重み付けを行う。つまり、乗降地調整部１４２は、降車ユーザの利用頻度を降車頻度係数として該降車ユーザの配車要求における目的地の位置情報の重み付けを行い、乗車ユーザの利用頻度を乗車頻度係数として該乗車ユーザの配車要求における出発地の位置情報の重み付けを行う。乗降地調整部１４２は、利用頻度で重み付けされた出発地又は目的地の位置情報と、現在の共用乗降地（一の乗降地）の位置情報とを用いて共用乗降地の位置情報を更新（乗降地を調整）する。なお、降車ユーザが複数名であり、配車要求における目的地（現在の目的地）が同じユーザが複数いる場合、乗降地調整部１４２は、これらのユーザの利用頻度を合算してもよい。例えば、降車ユーザに目的地が同一地点（例えば、同じ施設）であるユーザが２名いる場合、２人分の利用実績情報のレコード数を合算した値を、頻度係数とすればよい。
【0066】
また利用実績情報は、例えば各ユーザが車両Ｖに乗車したことに基づいて更新される。このため、利用日時が最新（本例では2023/06/08）の利用実績情報には、車両Ｖ（本例では車両Ｖ１）に乗車中の降車ユーザの最新の配車要求の情報が反映されている。乗降地調整部１４２は、降車ユーザの最新の利用実績情報の目的地の位置情報を取得して、利用頻度による重み付けを行う。また、乗降地調整部１４２は、乗車ユーザの新規の配車要求における出発地の位置情報を取得して、利用頻度による重み付けを行う。
なお、利用実績情報は、各ユーザが車両Ｖから降車したことに基づいて更新されてもよい。この場合、乗降地調整部１４２は、降車ユーザの配車要求に基づいて目的地の位置情報を取得すればよい。また、出発地及び目的地の位置情報は、車両Ｖの配車計画に含まれており、配車計画に基づいて出発地及び目的地の位置情報を取得してもよい。
なお、利用実績情報は、各ユーザが車両Ｖから降車したことに基づいて更新されてもよい。この場合、乗降地調整部１４２は、降車ユーザの配車要求に基づいて目的地の位置情報を取得すればよい。また、出発地及び目的地の位置情報は、車両Ｖの配車計画に含まれており、配車計画に基づいて出発地及び目的地の位置情報を取得してもよい。
【0067】
本例では、降車ユーザであるユーザＵ１の利用実績情報における目的地（図５に示す目的地）は、現在の配車計画（降車ユーザの配車要求）における目的地（図４Ａ、図４Ｂに示す目的地Ｐｇ）と同一である。また同様に、乗車ユーザであるユーザＵ２，Ｕ３の利用実績情報における出発地は、現在の配車計画（乗車ユーザの配車要求）における出発地（出発地Ｐｄ＿１，Ｐｄ＿２）と同一である。
図５では、理解を容易にするため、ユーザＵ１の利用実績情報における目的地Ｐｇの緯度／経度をそれぞれ「ｌａｔ＿１」、「ｌоｎ＿１」と表記している。また同様に、ユーザＵ２の出発地Ｐｄ＿１の緯度／経度をそれぞれ「ｌａｔ＿２」、「ｌоｎ＿２」と表記し、ユーザＵ３の出発地Ｐｄ＿２）の緯度／経度を「ｌａｔ＿３／ｌоｎ＿３」と表記している。利用実績情報における出発地及び目的地の緯度、経度の値は、実際は十進法で示す数値（例：緯度／経度＝37.4960985／141.0002726）となっている。
図５では、理解を容易にするため、ユーザＵ１の利用実績情報における目的地Ｐｇの緯度／経度をそれぞれ「ｌａｔ＿１」、「ｌоｎ＿１」と表記している。また同様に、ユーザＵ２の出発地Ｐｄ＿１の緯度／経度をそれぞれ「ｌａｔ＿２」、「ｌоｎ＿２」と表記し、ユーザＵ３の出発地Ｐｄ＿２）の緯度／経度を「ｌａｔ＿３／ｌоｎ＿３」と表記している。利用実績情報における出発地及び目的地の緯度、経度の値は、実際は十進法で示す数値（例：緯度／経度＝37.4960985／141.0002726）となっている。
【0068】
乗降地調整部１４２は、ユーザＵ１の最新の利用実績情報における目的地（現在の配車計画の目的地）の緯度／経度を利用頻度の値である降車頻度係数「５」で重み付け（乗算）し、重み付け緯度（＝５×ｌａｔ＿１）及び重み付け経度（＝５×ｌоｎ＿１）を算出する。同様に、乗車頻度係数「２」で重み付け（乗算）したユーザＵ２の出発地（現在の配車計画（配車要求）の出発地）の重み付け緯度（＝２×ｌａｔ＿２）及び重み付け経度（＝２×ｌоｎ＿２）を算出する。さらに、乗車頻度係数「１０」で重み付け（乗算）したユーザＵ３の出発地（現在の配車計画（配車要求）の出発地）の重み付け緯度（＝１０×ｌａｔ＿３）及び重み付け経度（＝１０×ｌоｎ＿３）を算出する。また上述のように、降車ユーザの中に目的地が同じユーザがいる（一の目的地が複数のユーザで共通である）場合、該一の目的地の緯度／経度を利用頻度の合算に基づく頻度係数で重み付けし、該一の目的地の重み付け緯度、重み付け経度を算出すればよい。
【0069】
乗降地調整部１４２は、乗車頻度係数で重み付けした乗車ユーザの出発地の位置情報（重み付け緯度／重み付け経度）と、降車頻度係数で重み付けした降車ユーザの目的地の位置情報（重み付け緯度／重み付け経度）と、調整対象の乗降地（共用乗降地）の現在の位置情報とに基づいて、共用乗降地の調整後の位置の目安となる調整位置を算出する。
このとき乗降地調整部１４２は、共用乗降地の現在の緯度＝ＶＳ＿ｌａｔ、経度＝ＶＳ＿ｌоｎのそれぞれに基準係数（例えば、１０）で重み付けを行うことが好ましい。これにより、共用乗降地の調整による急激な位置変化を抑制し、段階的に共用乗降地の位置を調整することができる。基準係数は、特に限定されず、乗降ユーザによる共用乗降地の利用実績に基づいて、適宜、決定すればよい。例えば乗降地調整部１４２は、地図データベース１２ｃを参照して、現在の共用乗降地（乗降地ＶＳ１）の位置情報（地点Ｐ１の位置情報）を取得し、重み付け緯度＝（１０×ＶＳ＿ｌａｔ）及び重み付け経度（＝１０×ＶＳ＿ｌоｎ）を算出する。
このとき乗降地調整部１４２は、共用乗降地の現在の緯度＝ＶＳ＿ｌａｔ、経度＝ＶＳ＿ｌоｎのそれぞれに基準係数（例えば、１０）で重み付けを行うことが好ましい。これにより、共用乗降地の調整による急激な位置変化を抑制し、段階的に共用乗降地の位置を調整することができる。基準係数は、特に限定されず、乗降ユーザによる共用乗降地の利用実績に基づいて、適宜、決定すればよい。例えば乗降地調整部１４２は、地図データベース１２ｃを参照して、現在の共用乗降地（乗降地ＶＳ１）の位置情報（地点Ｐ１の位置情報）を取得し、重み付け緯度＝（１０×ＶＳ＿ｌａｔ）及び重み付け経度（＝１０×ＶＳ＿ｌоｎ）を算出する。
【0070】
乗降地調整部１４２は、現在の共用乗降地（例えば乗降地ＶＳ１）の緯度／経度と、乗車ユーザ（例えばユーザＵ２，Ｕ３）の出発地の緯度／経度と、降車ユーザ（例えばユーザＵ１）の目的地の緯度／経度との重み付け和を、重み付けに用いた係数（基準係数、乗車頻度係数、降車頻度係数）の和で除算して、調整位置の緯度／経度（調整位置地点）を示す調整緯度（ＮＶＳ＿ｌａｔ）、調整経度（ＮＶＳ＿ｌоｎ）を算出する。これにより、現在の共用乗降地の位置（ＶＳ＿ｌａｔ／ＶＳ＿ｌоｎ）よりも、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザの移動コスト（移動時間）が低減する位置（本例では、乗車ユーザであるユーザ３の出発地に近い位置）となる調整位置（ＮＶＳ＿ｌａｔ／ＮＶＳ＿ｌоｎ）、すなわち調整後の共用乗降地の位置の目安となる調整地点が算出される。
【0071】
本例において、乗降地調整部１４２は、下記式（１）によって共用乗降地である乗降地ＶＳ１の調整緯度（ＮＶＳ＿ｌａｔ）を算出する。乗降地調整部１４２は、下記式（１）により、現在の共用乗降地の緯度（ＶＳ＿ｌａｔ）よりも、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザ（本例では、ユーザＵ３）の出発地Ｐｄ＿２の緯度に近い値を調整緯度（ＮＶＳ＿ｌａｔ）として算出する。
ＮＶＳ＿ｌａｔ＝｛（１０×ＶＳ１＿ｌａｔ）＋（５×ｌａｔ＿１）＋（２×ｌａｔ＿２）＋（１０×ｌａｔ＿３）｝／（１０＋５＋２＋１０）・・・式（１）
なお、これに限られず、乗降ユーザのうち降車ユーザ（例えばユーザＵ１）の利用頻度が最も高い場合には、降車ユーザの目的地（例えば目的地Ｐｇ）の緯度に近い値が調整緯度（ＮＶＳ＿ｌａｔ）として算出される。
ＮＶＳ＿ｌａｔ＝｛（１０×ＶＳ１＿ｌａｔ）＋（５×ｌａｔ＿１）＋（２×ｌａｔ＿２）＋（１０×ｌａｔ＿３）｝／（１０＋５＋２＋１０）・・・式（１）
なお、これに限られず、乗降ユーザのうち降車ユーザ（例えばユーザＵ１）の利用頻度が最も高い場合には、降車ユーザの目的地（例えば目的地Ｐｇ）の緯度に近い値が調整緯度（ＮＶＳ＿ｌａｔ）として算出される。
【0072】
本例において乗降地調整部１４２は、下記式（２）によって共用乗降地である乗降地ＶＳ１の調整経度（ＮＶＳ＿ｌоｎ）を算出する。乗降地調整部１４２は、上記式（２）により、現在の共用乗降地の経度（ＶＳ＿ｌоｎ）よりも、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザ（本例では、ユーザＵ３）の出発地Ｐｄ＿２の経度に近い値を調整経度（ＮＶＳ＿ｌоｎ）をとして算出する。
ＮＶＳ＿ｌоｎ＝｛（１０×ＶＳ＿ｌоｎ）＋（５×ｌоｎ＿１）＋（２×ｌоｎ＿２）＋（１０×ｌоｎ＿３）｝／（１０＋５＋２＋１０）・・・式（２）
なお、これに限られず、乗降ユーザのうち降車ユーザ（例えばユーザＵ１）の利用頻度が最も高い場合には、降車ユーザの目的地（例えば目的地Ｐｇ）の経度に近い値が調整経度（ＮＶＳ＿ｌоｎ）として算出される。
ＮＶＳ＿ｌоｎ＝｛（１０×ＶＳ＿ｌоｎ）＋（５×ｌоｎ＿１）＋（２×ｌоｎ＿２）＋（１０×ｌоｎ＿３）｝／（１０＋５＋２＋１０）・・・式（２）
なお、これに限られず、乗降ユーザのうち降車ユーザ（例えばユーザＵ１）の利用頻度が最も高い場合には、降車ユーザの目的地（例えば目的地Ｐｇ）の経度に近い値が調整経度（ＮＶＳ＿ｌоｎ）として算出される。
【0073】
なお、利用実績情報において、一の乗降地を共用する乗降ユーザそれぞれの出発地又は目的地は、常に同一とは限らず、例えば出発地又は目的地が同一の区分領域内の異なる箇所となることもあり得る。乗降地調整部１４２は、調整位置を算出する際の出発地又は目的地の位置情報として、利用実績情報における各乗降ユーザの出発地又は目的地（一の乗降地（共用乗降地）を利用した場合）の位置情報（緯度／経度）の平均値を用いてもよいし、最頻値を用いてもよい。
【0074】
このように、乗降地調整部１４２は、利用頻度を示す頻度係数（乗車頻度係数、降車頻度係数）で重み付けされた各乗降ユーザの出発地又は目的地の位置情報と、基準係数で重み付けされた現在の共用乗降地の位置情報とに基づいて、新たな位置情報として上記調整地点を示す調整位置情報を算出する。
乗降地調整部１４２は、新たな位置情報である上記調整位置情報に基づいて、乗降ユーザが共用する一の乗降地（本例では、乗降地ＶＳ１）の位置情報を更新する。より詳細には、乗降地調整部１４２は、地図データベース１２ｃを参照して、調整位置情報の最寄りの道路上の地点（車両Ｖが停車可能な地点）を導出し、地図データベース１２ｃにおいて導出した当該道路上の地点に、調整対象の一の乗降地（乗降地ＶＳ１）の位置を調整（再配置）する。これにより、乗降ユーザが共用する該一の乗降地（共用乗降地）（乗降地ＶＳ１）に関する情報が更新される。
乗降地調整部１４２は、新たな位置情報である上記調整位置情報に基づいて、乗降ユーザが共用する一の乗降地（本例では、乗降地ＶＳ１）の位置情報を更新する。より詳細には、乗降地調整部１４２は、地図データベース１２ｃを参照して、調整位置情報の最寄りの道路上の地点（車両Ｖが停車可能な地点）を導出し、地図データベース１２ｃにおいて導出した当該道路上の地点に、調整対象の一の乗降地（乗降地ＶＳ１）の位置を調整（再配置）する。これにより、乗降ユーザが共用する該一の乗降地（共用乗降地）（乗降地ＶＳ１）に関する情報が更新される。
【0075】
なお、上述のように算出された調整位置（調整位置情報が示す地点）が道路上である場合、調整対象の共用乗降地の位置を該調整位置に更新すればよい。また、乗降地調整部１４２は、共用乗降地の位置情報の更新に伴い、更新日時を更新し得る。
乗降地調整部１４２は、調整後の共用乗降地の位置情報を、配車計画作成部１５０に引き渡す。これにより、フロントエンド処理部（通知部の一例）１１０を介して調整後の共用乗降地の位置情報が端末装置２０に送信され、各乗降ユーザに通知される。
乗降地調整部１４２は、調整後の共用乗降地の位置情報を、配車計画作成部１５０に引き渡す。これにより、フロントエンド処理部（通知部の一例）１１０を介して調整後の共用乗降地の位置情報が端末装置２０に送信され、各乗降ユーザに通知される。
【0076】
またさらに、配車計画作成部１５０は、上述のように、調整後の共用乗降地に基づいて、引継ぎ車両（例えば車両Ｖ１）の配車計画を更新すると、フロントエンド処理部１１０（通知部の一例）を介して、更新後の配車計画を端末装置２０に送信して、調整後の共用乗降地を乗降ユーザに通知する。上述のように、共用乗降地の調整は乗車ユーザが車両Ｖに乗車前、且つ降車ユーザが車両Ｖに乗車中（降車前）に実施される。このため、各乗降ユーザは、乗車時又は降車時に、円滑に目的地に移動することができる。また、例えば乗降ユーザのうち最も利用頻度が高いユーザは、調整後の共用乗降地が、配車要求で指定した出発地又は目的地に近づくことで、配車サービスの利用意欲がさらに向上され得る。
【0077】
図６は、本実施形態に係る配車管理装置による配車管理方法（乗降地の調整方法）の一例を説明するためのフローチャートである。かかる処理は、配車管理装置１０が、プロセッサの制御の下、配車管理サーバプログラムを実行することにより、各種のハードウェア資源との協働がなされ、実現される。
【0078】
同図に示すように、配車管理装置１０は、ユーザから新規の配車要求があるまで待機する（Ｓ６０１）。一方、例えば乗車を希望するユーザは、端末装置２０のユーザＩＦ上で配車アプリを操作して、配車要求を入力する。配車管理装置１０は、ユーザからの配車要求があると（Ｓ６０１のＹｅｓ）、新規の配車要求を行ったユーザ（乗車ユーザ）が乗車地として利用する乗降地を決定し、該乗降地を降車地として共用する降車ユーザがいるか否かを判定する（Ｓ６０２）。例えば、配車管理装置１０は、乗車ユーザに配車予定の車両Ｖの配車計画における降車地（乗車中の降車ユーザの降車地）が、新規の乗車ユーザの乗降地と一致するか否か（車両Ｖが引継ぎ車両であるか否か）を判定する。配車管理装置１０は、降車ユーザの降車地及び乗車ユーザの乗車地が一致しており（同一の乗降地であり）、乗降地を共用する降車ユーザがいると判定すると（Ｓ６０２のＹｅｓ）、地図データベース１２ｃから共用乗降地に関する情報（位置情報）を取得する（Ｓ６０３）。配車管理装置１０は、配車計画データベース１２ｅを参照して、共用乗降地（車両Ｖの配車計画における降車ユーザの降車地且つ乗車ユーザの乗車地）の位置情報を取得する。
【0079】
一方、配車管理装置１０は、降車ユーザの降車地及び乗車ユーザの乗車地が一致していない（又は配車予定の車両Ｖに乗車中のユーザがいないと判定すると（Ｓ６０２Ｎｏ）、以降の処理を実行せずに、乗降地の調整処理を終了する。
次に、配車管理装置１０は、利用実績データベース１２ｂを参照し、集計期間（例えば、現在から遡って過去１週間）における乗降ユーザの利用実績情報を抽出し、利用頻度を導出する（Ｓ６０４）。該利用頻度は、例えば上記集計期間における乗降ユーザごとの共用乗降地の利用回数である。なお、降車ユーザの中に目的地が同じユーザがいる場合、該利用回数を合算し得る。次に、配車管理装置１０は、配車要求に基づいて乗車ユーザの出発地の位置情報（緯度／経度）を取得する（Ｓ６０５）。次に、配車管理装置１０は、降車ユーザの最新の利用実績情報に基づいて目的地の位置情報（緯度／経度）を取得する（Ｓ６０６）。次に、配車管理装置１０は、乗降ユーザの利用頻度に基づき出発地・目的地の位置情報に重み付けを行う（Ｓ６０７）。すなわち配車管理装置１０は、乗車ユーザの利用頻度の値（乗車頻度係数）を出発地の緯度／経度に乗算し、さらに降車ユーザの利用頻度の値（降車頻度係数）を目的地の緯度／経度に乗算して、出発地及び目的地の重み付け緯度／重み付け経度を算出する。
次に、配車管理装置１０は、利用実績データベース１２ｂを参照し、集計期間（例えば、現在から遡って過去１週間）における乗降ユーザの利用実績情報を抽出し、利用頻度を導出する（Ｓ６０４）。該利用頻度は、例えば上記集計期間における乗降ユーザごとの共用乗降地の利用回数である。なお、降車ユーザの中に目的地が同じユーザがいる場合、該利用回数を合算し得る。次に、配車管理装置１０は、配車要求に基づいて乗車ユーザの出発地の位置情報（緯度／経度）を取得する（Ｓ６０５）。次に、配車管理装置１０は、降車ユーザの最新の利用実績情報に基づいて目的地の位置情報（緯度／経度）を取得する（Ｓ６０６）。次に、配車管理装置１０は、乗降ユーザの利用頻度に基づき出発地・目的地の位置情報に重み付けを行う（Ｓ６０７）。すなわち配車管理装置１０は、乗車ユーザの利用頻度の値（乗車頻度係数）を出発地の緯度／経度に乗算し、さらに降車ユーザの利用頻度の値（降車頻度係数）を目的地の緯度／経度に乗算して、出発地及び目的地の重み付け緯度／重み付け経度を算出する。
【0080】
次に、配車管理装置１０は、重み付けした出発地及び目的地の位置情報を用いて、調整後の共用乗降地の位置の目安となる調整地点（上記調整位置情報が示す地点）を算出する（Ｓ６０８）。配車管理装置１０は、上述のように、例えば基準係数で重み付けした調整対象の共用乗降地の緯度／経度、及び各降車乗降ユーザの出発地・目的地の重み付け緯度／経度を用いて、調整地点を示す調整位置（調整緯度（ＮＶＳ＿ｌａｔ）及び調整経度（ＮＶＳ＿ｌоｎ））を算出する。このようにして算出された調整地点は、対象の共用乗降地の現在の設置地点（例えば地点Ｐ１）よりも、乗降ユーザのうち最も利用頻度が高いユーザ（例えばユーザＵ３）の移動コストが低減する位置（出発地に近い地点）となる。
【0081】
次に、配車管理装置１０は、算出した調整地点の最寄りの道路上の地点（例えば、地点Ｐ２）に、対象の共用乗降地の位置を設定（更新）する（Ｓ６０９）。このとき、配車管理装置１０は、地図データベース１２ｃにおいて調整対象の共用乗降地の更新日時を更新すればよい。なお、これに限られず、配車管理装置１０は、配車計画における共用乗降地（降車ユーザの降車地及び乗車ユーザ乗車地）の位置情報のみを更新し、地図データベース１２ｃは更新しなくてもよい。これにより、共用乗降地の調整の影響を、引継ぎ車両を利用する乗降ユーザのみにとどめることができる。
【0082】
次に、配車管理装置１０は、調整後の共用乗降地に基づいて、引継ぎ車両である車両Ｖの配車計画を更新する（Ｓ６１０）。これにより、車両Ｖの配車計画の運行ルートに調整後の共用乗降地が反映され、車両Ｖは運行ルートに従って調整後の共用乗降地へ到達することができる。
続いて、配車管理装置１０は、更新（調整）後の共用乗降地を各乗降ユーザに通知する（Ｓ６１１）。すなわち、配車管理装置１０は、更新した共用乗降地の位置情報を含む車両Ｖの配車計画を、各乗降ユーザの端末装置２０に送信し、これに応答して、端末装置２０は、ユーザインターフェース上に示す地図上に、その位置情報を表示する。
続いて、配車管理装置１０は、更新（調整）後の共用乗降地を各乗降ユーザに通知する（Ｓ６１１）。すなわち、配車管理装置１０は、更新した共用乗降地の位置情報を含む車両Ｖの配車計画を、各乗降ユーザの端末装置２０に送信し、これに応答して、端末装置２０は、ユーザインターフェース上に示す地図上に、その位置情報を表示する。
【0083】
このようにして、図４Ｂに例示するように、例えば、既存位置である地点Ｐ１に設置されていた共用乗降地である乗降地ＶＳ１が、乗降ユーザ（ユーザＵ１，Ｕ２，Ｕ３）のうち最も利用頻度の高いユーザＵ３の出発地Ｐｄ＿２に近い地点Ｐ２に調整（再配置）される。つまり、乗降ユーザのうち最も利用頻度の高いユーザＵ３において、車両Ｖへの乗車時の移動コスト、すなわち出発地から乗車地（共用乗降地）への移動時間が低減する（移動距離が短縮する）ように、乗車地となる共用乗降地の位置が既存位置である地点Ｐ１から調整位置である地点Ｐ２に調整される。
【0084】
つまり、本実施形態に係る配車サービスでは、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザに対して、インセンティブとして、移動コストが軽減される。また、ユーザＵ３の利用頻度が高い状況が継続すると、共用乗降地となる乗降地ＶＳ１を乗車地として引継ぎ車両を利用する度に、目的地への移動コストが低減されることとなる。このため、本開示における配車管理装置１０は、利用頻度の高いユーザＵ３の移動コストの総計が過度に増大することを抑制し、且つ多用するほど（利用頻度が高いほど）移動コスト低減の恩恵を受けることができる。また、配車サービスの利用時の移動コストの総計の差を確実に是正することができる。したがって、配車サービスを多用するユーザへの公平性が確保され、さらに配車サービスの利用意欲を向上させることができる。なお、本例では乗車ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザが乗車ユーザである例を説明したが、これに限られず、降車ユーザも利用頻度が最も高いユーザになり得る。この場合、乗降ユーザのうち最も利用頻度の高い降車ユーザにおいて、車両Ｖからの降車時の移動コスト、すなわち降車地（共用乗降地）から目的地への移動時間が低減する（移動距離が短縮する）ように、降車地となる共用乗降地の位置が調整される。
【0085】
なお、乗降地の調整により乗車ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザの移動コストが低減すると、一方で、乗降ユーザのうち利用頻度が相対的に低いユーザの移動コストが増加し得る。ここで上述のように、乗降地調整部１４２は、乗降ユーザの利用頻度として所定期間における共用乗降地（又は乗車ユーザの出発地・降車ユーザの目的地）の利用回数を導出する。これにより、各乗降ユーザの利用状況に応じて、柔軟に共用乗降地を調整することができる。このため、ある時点において利用頻度が低く配車サービスの利用時における移動コストが増加したユーザも、利用頻度が高くなれば移動コストが低減されるため、配車サービスの利用意欲を向上させることができる。
【0086】
〔第１変形例〕
上記実施形態の配車サービスでは、一の区分領域に一の乗降地が設置されるとしたが、本開示はこれに限られず、一の区分領域に複数の乗降地が設置されてもよい。すなわち、本変形例において、地図データベース１２ｃには、一の区分領域内において複数の乗降地が登録されていてもよい。例えば、都心部ではユーザの出発地又は目的地となり得る施設が多く存在し、且つ車両Ｖが安全に停車してユーザが乗降可能な地点が限られる。このため、共用乗降地を調整する際に、一の乗降地の位置自体を調整するよりも、予め複数の乗降地を設置し、その中から、一の乗降地を選択することが好ましい。
上記実施形態の配車サービスでは、一の区分領域に一の乗降地が設置されるとしたが、本開示はこれに限られず、一の区分領域に複数の乗降地が設置されてもよい。すなわち、本変形例において、地図データベース１２ｃには、一の区分領域内において複数の乗降地が登録されていてもよい。例えば、都心部ではユーザの出発地又は目的地となり得る施設が多く存在し、且つ車両Ｖが安全に停車してユーザが乗降可能な地点が限られる。このため、共用乗降地を調整する際に、一の乗降地の位置自体を調整するよりも、予め複数の乗降地を設置し、その中から、一の乗降地を選択することが好ましい。
【0087】
本変形例において、降車ユーザが乗車中（且つ乗車ユーザが乗車予定）の引継ぎ車両である車両Ｖ（例えば車両Ｖ１）の配車計画には、複数の乗降地から選択された一の乗降地が、共用乗降地として運行ルートに含まれ得る。複数の乗降地は、例えば降車ユーザの目的地及び乗車ユーザの出発地を含む区分領域内に設けられている。共用乗降地としては、例えば引継ぎ車両である車両Ｖの乗車ユーザの出発地及び降車ユーザの目的地それぞれとの距離が同程度、すなわち移動コスト（移動時間）が同程度となる乗降地が選択されていればよい。
また本変形例において、共用乗降地が調整される際には、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザが被る移動コスト（移動時間）が低減するように、所定範囲内（例えば１５０～２００ｍの範囲内）の複数の乗降地から共用乗降地となる一の乗降地が選択され得る。
また本変形例において、共用乗降地が調整される際には、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザが被る移動コスト（移動時間）が低減するように、所定範囲内（例えば１５０～２００ｍの範囲内）の複数の乗降地から共用乗降地となる一の乗降地が選択され得る。
【0088】
図７は、本変形例において一の区分領域内に設置された乗降地の一例を示す図である。図７において、図４Ａ、図４Ｂに示す構成と同等の構成には、同一の符号を付している。
本例において区分領域Ｅｒ内の地点Ｐ５，Ｐ６，Ｐ７には、それぞれ乗降地ＶＳ５，ＶＳ６，ＶＳ７が設置されている。また車両Ｖ１の補正前の配車計画では、乗降ユーザのうち、降車ユーザ（ユーザＵ１）の目的地Ｐｇ及び乗車ユーザ（ユーザＵ２，Ｕ３）の出発地Ｐｄ＿１，Ｐｄ＿２それぞれとの距離が均等である乗降地ＶＳ５が共用乗降地として選択されている。
本例において区分領域Ｅｒ内の地点Ｐ５，Ｐ６，Ｐ７には、それぞれ乗降地ＶＳ５，ＶＳ６，ＶＳ７が設置されている。また車両Ｖ１の補正前の配車計画では、乗降ユーザのうち、降車ユーザ（ユーザＵ１）の目的地Ｐｇ及び乗車ユーザ（ユーザＵ２，Ｕ３）の出発地Ｐｄ＿１，Ｐｄ＿２それぞれとの距離が均等である乗降地ＶＳ５が共用乗降地として選択されている。
【0089】
また本例において、乗降地調整部１４２は、乗降ユーザのうち、利用頻度が最も高いユーザＵ３が被る移動コスト（移動時間）が低減するように、所定範囲内の複数の乗降地である乗降地ＶＳ５，ＶＳ６，ＶＳ７から共用乗降地となる一の乗降地ＶＳ６を選択する。乗降地ＶＳ６は、他の乗降地に比べてユーザ３の出発地Ｐｄ＿２への距離が近い乗降地である。これにより、利用頻度の高いユーザＵ３の移動コストの総計が過度に増大することを確実に抑制し、降車時における移動コストの総計の差をさらに是正することができる。
【0090】
図８は、第１実施形態に係る配車管理方法の第１変形例を示すフローチャートである。
図８において、上記第１実施形態に係る配車管理方法（図６参照）と同等の処理については、同一の符号を付し、説明は適宜、省略する。
具体的には、配車管理装置１０は、調整後の共用乗降地の位置の目安となる調整地点を算出する（Ｓ６０８）。調整地点の算出に用いる現在の共用乗降地の位置情報は、現在の配車計画において降車ユーザの降車地且つ乗車ユーザの乗車地として選択されている共用乗降地（本例では乗降地ＶＳ５）の位置情報である。次いで、配車管理装置１０は、算出された調整地点に基づいて複数の乗降地から一の乗降地を共用乗降地として選択する（Ｓ８０１）。本例では、配車管理装置１０は、利用頻度が高いユーザ３の出発地Ｐｄ＿２に近い地点が調整地点として算出され、該調整地点の最寄りの乗降地ＶＳ６を共用乗降地として選択する。なお本変形例では、複数の乗降地の中から乗降ユーザが共用する共用乗降地を選択するため、上記第１実施形態のように共用乗降地の位置情報を更新する必要はない。すなわち上記ステップＳ６０９の処理は実施しない。
図８において、上記第１実施形態に係る配車管理方法（図６参照）と同等の処理については、同一の符号を付し、説明は適宜、省略する。
具体的には、配車管理装置１０は、調整後の共用乗降地の位置の目安となる調整地点を算出する（Ｓ６０８）。調整地点の算出に用いる現在の共用乗降地の位置情報は、現在の配車計画において降車ユーザの降車地且つ乗車ユーザの乗車地として選択されている共用乗降地（本例では乗降地ＶＳ５）の位置情報である。次いで、配車管理装置１０は、算出された調整地点に基づいて複数の乗降地から一の乗降地を共用乗降地として選択する（Ｓ８０１）。本例では、配車管理装置１０は、利用頻度が高いユーザ３の出発地Ｐｄ＿２に近い地点が調整地点として算出され、該調整地点の最寄りの乗降地ＶＳ６を共用乗降地として選択する。なお本変形例では、複数の乗降地の中から乗降ユーザが共用する共用乗降地を選択するため、上記第１実施形態のように共用乗降地の位置情報を更新する必要はない。すなわち上記ステップＳ６０９の処理は実施しない。
【0091】
次いで、配車管理装置１０は、調整後の共用乗降地に基づいて引継ぎ車両（車両Ｖ１）の配車計画を更新し（Ｓ６１０）、調整後の共用乗降地を各乗降ユーザに通知する（Ｓ８０２）。すなわち、配車管理装置１０は、ステップＳ８０１で選択した乗降地を含む更新後の配車計画を各乗降ユーザの端末装置２０に送信する。
【0092】
〔他の変形例〕
上記第１実施形態の他の変形例として、配車管理装置１０は、データベース１２として、乗降地の位置情報を格納する乗降地データベースを有していてもよい。配車管理装置１０は、乗降地データベースに乗降地ＩＤと、乗降地の位置情報を示す位置情報（緯度／経度）と、更新日時とを対応付けて格納することで、乗降地を仮想的に設置してもよい。配車管理装置１０は、共用乗降地の調整の際には、調整の対象となる共用乗降地を示す乗降地ＩＤと対応づいた位置情報及び更新日時を更新すればよい。
上記第１実施形態の他の変形例として、配車管理装置１０は、データベース１２として、乗降地の位置情報を格納する乗降地データベースを有していてもよい。配車管理装置１０は、乗降地データベースに乗降地ＩＤと、乗降地の位置情報を示す位置情報（緯度／経度）と、更新日時とを対応付けて格納することで、乗降地を仮想的に設置してもよい。配車管理装置１０は、共用乗降地の調整の際には、調整の対象となる共用乗降地を示す乗降地ＩＤと対応づいた位置情報及び更新日時を更新すればよい。
【0093】
またさらに他の変形例として、配車管理装置１０は、利用頻度の集計対象としない除外期間を定めてもよい。乗降地調整部１４２は、現在が予め定められた除外期間内か否かを判定し、該除外期間内である場合は乗降地の位置の調整を実施しない構成でもよい。
例えば、配車管理装置１０は、観光客の増加や帰省客等により、一時的なユーザが増加すると想定される期間（例えば、夏季（７、８月）や年末年始、イベントの実施期間等）を除外期間とし、共用乗降地の調整を実施しない構成としてもよい。除外期間は、配車サービスの対象地域において、区分領域ごとに設定しもよいし、対象地域全体で設定してもよい。これにより、各区分領域における一時的なユーザの増加が、配車サービスを常用しているユーザ（乗降ユーザ）の利用頻度に及ぼす影響を低減し、該常用しているユーザの利用頻度を共用乗降地の調整に正しく反映させることができる。
例えば、配車管理装置１０は、観光客の増加や帰省客等により、一時的なユーザが増加すると想定される期間（例えば、夏季（７、８月）や年末年始、イベントの実施期間等）を除外期間とし、共用乗降地の調整を実施しない構成としてもよい。除外期間は、配車サービスの対象地域において、区分領域ごとに設定しもよいし、対象地域全体で設定してもよい。これにより、各区分領域における一時的なユーザの増加が、配車サービスを常用しているユーザ（乗降ユーザ）の利用頻度に及ぼす影響を低減し、該常用しているユーザの利用頻度を共用乗降地の調整に正しく反映させることができる。
【0094】
（第２実施形態）
図９は、第２実施形態に係る配車管理装置１０の機能構成モデルの一例を示すブロックダイアグラム図である。第２実施形態に係る配車管理装置１０は、第１実施形態に係る配車管理装置１０に類似する構成を有しており同一又は類似の構成要素には同じ参照符号を付与して、重複する説明を省略する。
図９は、第２実施形態に係る配車管理装置１０の機能構成モデルの一例を示すブロックダイアグラム図である。第２実施形態に係る配車管理装置１０は、第１実施形態に係る配車管理装置１０に類似する構成を有しており同一又は類似の構成要素には同じ参照符号を付与して、重複する説明を省略する。
【0095】
第２実施形態に係る配車管理装置１０は、乗降地決定部１４０が乗降地調整部２４２を含んで構成される点で、第１実施形態に係る配車管理装置１０と異なる。
乗降地調整部２４２は、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザの移動コストが低減するように、共用乗降地の位置を調整する点において、上記第１実施形態における乗降地調整部１４２と同様である。これに加えて、乗降地調整部２４２は、共用乗降地の位置を調整する際に、ユーザ情報データベース１２ａを参照して乗降ユーザの属性を示す属性情報を抽出し、抽出した属性情報と利用実績情報とに基づいて乗降ユーザの利用頻度を導出する。この点で、乗降地調整部２４２は、上記第１実施形態における乗降地調整部１４２と相違する。
乗降地調整部２４２は、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザの移動コストが低減するように、共用乗降地の位置を調整する点において、上記第１実施形態における乗降地調整部１４２と同様である。これに加えて、乗降地調整部２４２は、共用乗降地の位置を調整する際に、ユーザ情報データベース１２ａを参照して乗降ユーザの属性を示す属性情報を抽出し、抽出した属性情報と利用実績情報とに基づいて乗降ユーザの利用頻度を導出する。この点で、乗降地調整部２４２は、上記第１実施形態における乗降地調整部１４２と相違する。
【0096】
図１０Ａは、乗降ユーザの属性を示す属性情報の一例を示す図である。本例において属性とは、乗降ユーザが共用乗降地と出発地又は目的地との間を移動する際の消費体力に関わる、乗降ユーザの身体の状態を示す。配車サービスにおいて、乗降ユーザが共用乗降地と出発地又は目的地との間を移動する際には、共用乗降地と出発地又は目的地との間の移動距離・時間に応じて、体力も消費することとなる。つまり、乗降に伴う移動に係る消費体力も移動コストに含まれ得る。
【0097】
乗降に伴う移動に係る消費体力は、各乗降ユーザの健康状態（けが／病気／障がい等の有無や重度など）及び、各乗降ユーザの体力の強度に応じて増減する。よって、属性情報が示す属性は、「健康状態」と「体力」とに大別され、「健康状態」のレベルは移動時の消費体力が少ない順に「良好」「やや不良」「不良」の３つの段階に区分される。ここで、消費体力は、体力の消費量（体力の消耗度合い）を示す。
また「体力」のレベルは移動時の消費体力が少ない順に「強」「中」「弱」の３つの段階に区分される。なお、図１０Ａに示す属性情報（健康状態／体力）のレベルは一例であって、３段階に限られず、４段階以上でも２段階でもよい。また、属性情報の各レベルは数値やローマ字で表現されてもよい。また、属性情報における属性は、「健康状態」と「体力」に限られず、いずれか一方でもよいし、さらに他の属性が含まれてもよい。
また「体力」のレベルは移動時の消費体力が少ない順に「強」「中」「弱」の３つの段階に区分される。なお、図１０Ａに示す属性情報（健康状態／体力）のレベルは一例であって、３段階に限られず、４段階以上でも２段階でもよい。また、属性情報の各レベルは数値やローマ字で表現されてもよい。また、属性情報における属性は、「健康状態」と「体力」に限られず、いずれか一方でもよいし、さらに他の属性が含まれてもよい。
【0098】
属性情報（健康状態／体力）は、配車要求時において上記レベルのいずれかが端末装置２０において入力（選択）されて、各乗降ユーザの端末装置２０から追加情報として送信され得る。属性情報は、ユーザ識別情報（ユーザＩＤ）と対応付けて、ユーザ情報データベース１２ａに格納される。また、配車要求時に送信される以外に、例えば、配車管理システム１への最初のユーザ登録時に、ユーザ登録情報の一部として入力（端末装置２０から送信）されてもよい。また、ユーザ情報データベース１２ａに格納されている属性情報を、配車要求時に更新できるようにしてもよい。又は、属性情報のみ格納する属性情報データベースがあってもよい。
【0099】
図１０Ａでは一例として、乗降ユーザのうち降車ユーザであるユーザＵ１１（ユーザＩＤ＝００１１）、乗車であるユーザＵ１２（ユーザＩＤ＝００１２）、ユーザＵ１３（ユーザＩＤ＝００１３）、ユーザＵ１４（ユーザＩＤ＝００１４）の４名のユーザの属性情報を図示している。これらの乗降ユーザは、同一の区分領域内を出発地又は目的地とし、一の乗降地を共用乗降地としている。例えば、降車ユーザであるユーザＵ１１の健康状態は「良好」であり、体力は「強」であって、いずれも移動時の消費体力が最も少ないレベルを示す。つまり、ユーザのＵ１１は、移動時の消費体力が少ない属性を有する。一方、乗車ユーザであるユーザＵ１２は、健康状態のレベルが「不良」であり、体力が「弱」であって、いずれも移動時の消費体力が多いレベルを示す。つまり、ユーザのＵ１２は、移動時の消費体力が多い属性を有する。
【0100】
降車ユーザであるユーザＵ１１と、乗車ユーザであるユーザＵ１２とでは、属性の違いから、乗降に伴う移動時における移動距離が同等であっても、消費体力（移動コスト）に差が生じ得る。さらに、消費体力が多い属性のユーザＵ１２においては、配車サービスを多用するほど移動コストの総計（累計）が増大し易い。つまり、属性が異なる乗降ユーザの間では、移動コストの総計の差が大きくなってしまうことがある。
【0101】
そこで、属性の違いによって生じる移動コストの総計の差を是正するため、乗降地調整部２４２は、共用乗降地の位置を調整する際に、各乗降ユーザの属性情報に応じて利用頻度の重み付けを行う。そして乗降地調整部２４２は、乗降ユーザのうち重み付けした利用頻度が最も高いユーザの乗降に伴う移動時における消費体力が低減するように、共用乗降地を調整する。これにより、利用頻度に乗降ユーザの属性（健康状態、体力）が反映され、乗降ユーザ間に生じる移動コスト（消費体力）の総計の差を是正することができる。したがって、消費体力が多い属性を有する乗降ユーザへの公平性を確保し、配車サービスの利用意欲を向上させることができる。
【0102】
乗降地調整部２４２は、利用頻度の重み付けにあたり、乗降ユーザの属性に対応する属性係数を取得し、該属性係数と利用実績情報とに基づいて乗降ユーザの利用頻度を導出する。
乗降地調整部２４２は、実績情報に基づいて乗降ユーザの利用頻度を導出する際に、ユーザ情報データベース１２ａを参照し、利用頻度の導出対象となる乗降ユーザに対応する属性情報を抽出する。乗降地調整部２４２は、各属性情報（健康状態、体力）が示す消費体力のレベルを、利用頻度の重み付けに用いる属性係数（健康属性係数、体力属性係数）に変換する。これにより、属性係数を介して乗降ユーザの属性（消費体力のレベル）が利用頻度に転化される。
乗降地調整部２４２は、実績情報に基づいて乗降ユーザの利用頻度を導出する際に、ユーザ情報データベース１２ａを参照し、利用頻度の導出対象となる乗降ユーザに対応する属性情報を抽出する。乗降地調整部２４２は、各属性情報（健康状態、体力）が示す消費体力のレベルを、利用頻度の重み付けに用いる属性係数（健康属性係数、体力属性係数）に変換する。これにより、属性係数を介して乗降ユーザの属性（消費体力のレベル）が利用頻度に転化される。
【0103】
図１０Ｂは、健康属性係数及び体力属性係数による乗降ユーザの利用頻度の重み付けの一例を示す図である。図１０Ａ及び図１０Ｂに示すように、本例では、消費体力が最も少ない健康状態のレベル「良好」は健康属性係数「１」、消費体力が中程度の健康状態レベル「やや不良」は健康属性係数「２」、消費体力が多い健康状態レベル「不良」は健康属性係数「３」に変換される。また同様に、消費体力が最も少ない体力レベル「強」は属性係数「１」、消費体力が中程度である体力レベル「中」は体力属性係数「２」、消費体力が多い体力レベル「弱」は体力属性係数「３」に変換される。
このように、属性情報の各属性のレベルは、消費体力が多いほど値の大きい属性係数に変換される。つまり、消費体力が多い属性の乗降ユーザほど、重み付けによる利用頻度の上昇度合いが大きくなる。
このように、属性情報の各属性のレベルは、消費体力が多いほど値の大きい属性係数に変換される。つまり、消費体力が多い属性の乗降ユーザほど、重み付けによる利用頻度の上昇度合いが大きくなる。
【0104】
乗降地調整部２４２は、属性情報を属性係数に変換すると、利用実績データベース１２ｂの実績情報に基づく乗降ユーザの利用頻度（実績頻度）に属性係数を乗算し、利用頻度の重み付けを行う。具体的には、下記式（３）に示すように、実績頻度（Ａ）、健康属性係数（Ｈｃ）及び体力属性係数（Ｐｃ）を乗算する。これにより、図１０Ｂに示すように、重み付け頻度（Ｗ＿Ｆｒｅｑ）が算出される。
Ｗ＿Ｆｒｅｑ＝Ａ×Ｈｃ×Ｐｃ・・・式（３）
Ｗ＿Ｆｒｅｑ＝Ａ×Ｈｃ×Ｐｃ・・・式（３）
【0105】
例えば上式（３）により、降車ユーザであるユーザＵ１１の重み付け頻度は、「１０（回／週）（＝１０（回／週）×１×１」と算出される。同様に、乗車ユーザであるユーザＵ１２の重み付け頻度は「１８（回／週）（＝２（回／週）×３×３」と算出され、乗車ユーザであるユーザＵ１３の重み付け頻度は「１６（回／週）（＝４（回／週）×２×２」と算出され、乗車ユーザであるユーザＵ１４の重み付け頻度は「６（回／週）（＝３（回／週）×１×２」と算出される。
【0106】
本例では、消費体力が多い属性のユーザＵ１２（乗車ユーザ）は、実績頻度の値が最小（２（回／週））であるものの、重み付け頻度の値は最大（１８（回／週））となる。つまり、上述のように、消費体力が多いほど属性係数が大きくなり、該属性係数を用いて重み付け頻度を算出することで、消費体力が多い属性の乗降ユーザの重み付け頻度が、高確率で、乗降ユーザ間において最大となり得る。
【0107】
乗降地調整部２４２は、調整後の共用乗降地の位置の目安となる調整地点を算出する際の、出発地又は目的地の重み付けにおいて、実績頻度ではなく重み付け頻度を用いること以外は、第１実施形態における乗降地調整部１４２と同様にして、該調整地点を算出する。これにより、調整地点が、乗降ユーザのうち最も利用頻度が高いユーザであって、消費体力が多い属性のユーザの移動コスト（消費体力）が低減される地点となる。本例では、消費体力が多い属性を有するユーザＵ１２の出発地に近い地点が調整地点となる。
【0108】
なお、各乗降ユーザの実績頻度によっては、消費体力が多い属性の乗降ユーザの重み付け頻度が最大にならない場合があり得る。この場合、例えば、乗降ユーザの利用実績に応じて属性情報の各レベルに対応する属性係数の値を適宜調整して、消費体力が多い属性の乗降ユーザの重み付け頻度が最大となる確率を向上してもよい。
【0109】
図１１は、第２実施形態に係る配車管理方法の一例を示すフローチャートである。第２実施形態に係る配車管理方法（乗降地の調整方法）は、ユーザの属性を示す属性情報を取得し（Ｓ１１０５）、取得した属性情報に基づいて利用頻度の重み付けを行う（Ｓ１１０６）点において、第１実施形態に係る配車管理方法（図６参照）と相違する。
【0110】
具体的には、配車管理装置１０は、ステップＳ６０１と同様に、ユーザから新規の配車要求があった際に（Ｓ１１０１のＹｅｓ）、ステップＳ６０２と同様に引継ぎ車両である車両Ｖにおいて降車ユーザがいると判定し（Ｓ１１０２のＹｅｓ）、ステップＳ６０３と同様に、地図データベース１２ｃを参照して乗降ユーザが共用する乗降地（調整対象の共用乗降地）に関する情報（位置情報）を取得し（Ｓ１１０３）、ステップＳ６０４と同様に、集計期間における乗降ユーザの利用頻度（実績頻度）を導出する（Ｓ１１０４）。
【0111】
次に、配車管理装置１０は、ユーザの属性を示す属性情報を取得する（Ｓ１１０５）。例えば、配車管理装置１０は、ユーザ情報データベース１２ａを参照し、乗降ユーザのユーザＩＤに対応する属性情報を取得する。
次に、配車管理装置１０は、取得した属性情報に基づいて各乗降ユーザの利用頻度（実績頻度）の重み付けを行う（Ｓ１１０６）。配車管理装置１０は、属性情報（健康状態、体力）を属性係数（健康属性係数、体力属性係数）に変換し、実績頻度に各属性係数を乗算して重み付け頻度を算出する（上式（３）参照）。
次に、配車管理装置１０は、取得した属性情報に基づいて各乗降ユーザの利用頻度（実績頻度）の重み付けを行う（Ｓ１１０６）。配車管理装置１０は、属性情報（健康状態、体力）を属性係数（健康属性係数、体力属性係数）に変換し、実績頻度に各属性係数を乗算して重み付け頻度を算出する（上式（３）参照）。
【0112】
次に、配車管理装置１０は、ステップＳ６０５と同様に、配車要求に基づいて乗車ユーザの出発地の位置情報（緯度／経度）を取得し（Ｓ１１０７）、ステップＳ６０６と同様に、降車ユーザの最新の利用実績情報に基づいて目的地の位置情報（緯度／経度）を取得する（Ｓ１１０８）。さらに配車管理装置１０は、各乗降ユーザの利用頻度（重み付け頻度）に基づき、ステップＳ６０７と同様に、出発地・目的地の位置情報に重み付けを行う（Ｓ１１０９）。
次に、配車管理装置１０は、ステップＳ６０８と同様に、重み付けした出発地及び目的地の位置情報を用いて、調整後の共用乗降地の位置の目安となる調整地点を算出し（Ｓ１１１０）、ステップＳ６０９と同様に、算出した調整地点の最寄りの道路上の地点に共用乗降地の位置を設定（更新）する（Ｓ１１１１）。
次に、配車管理装置１０は、ステップＳ６１０と同様に、調整後の共用乗降地に基づいて引継ぎ車両である車両Ｖの配車計画を更新し（Ｓ１１１２）、ステップＳ６１１と同様に、更新（調整）後の共用乗降地を乗降ユーザに通知する（Ｓ１１１３）。
次に、配車管理装置１０は、ステップＳ６０８と同様に、重み付けした出発地及び目的地の位置情報を用いて、調整後の共用乗降地の位置の目安となる調整地点を算出し（Ｓ１１１０）、ステップＳ６０９と同様に、算出した調整地点の最寄りの道路上の地点に共用乗降地の位置を設定（更新）する（Ｓ１１１１）。
次に、配車管理装置１０は、ステップＳ６１０と同様に、調整後の共用乗降地に基づいて引継ぎ車両である車両Ｖの配車計画を更新し（Ｓ１１１２）、ステップＳ６１１と同様に、更新（調整）後の共用乗降地を乗降ユーザに通知する（Ｓ１１１３）。
【0113】
このように、乗降地調整部２４２は、乗降ユーザごとの属性（健康状態、体力）に対応する属性係数を取得し、該属性係数により乗降ユーザそれぞれの利用頻度（実績頻度）を重み付けする。これにより、乗車ユーザのうち移動時の消費体力が多い属性を有するユーザの利用頻度（重み付け頻度）の値が大きく上昇し、高確率で、乗降ユーザ間において最大となり得る。このため、車両Ｖの乗降時においてユーザ間に生じる移動コスト（消費体力）の総計の差を是正することができる。つまり、移動時の消費体力の多さを利用頻度に転化することで、乗降ユーザのうち利用頻度（重みづけ頻度）の高いユーザへの公平性を確保し、配車サービスの利用意欲を向上させることができる。
【0114】
なお本実施形態は、上記第１実施形態の第１変形例の構成を適用してもよい。つまり、配車管理装置１０は、上記ステップＳ１１１０に代えて、上記ステップＳ８０１のように、算出された調整地点に基づいて複数の乗降地から一の乗降地を共用乗降地として選択してもよい。またこれに伴い、ステップＳ１１１３に代えて、上記ステップＳ８０２のように、選択した共用乗降地を乗降ユーザに通知してもよい。これは、以下の各変形例においても同様である。
【0115】
〔第１変形例〕
第２実施形態に係る配車管理方法においては、ユーザ属性情報に基づいて、著しく健康状態が損なわれている、又は体力が極端に少ないといった、特に配慮が必要な乗降ユーザ（特定乗降ユーザ）について、より移動コスト（消費体力）が低減するように、共用乗降地の位置を調整してもよい。例えば、共用乗降地と特定乗降ユーザの出発地又は目的地との距離が、予め定められた限界値以下となるように共用乗降地の位置を調整してもよい。つまり、特定乗降ユーザが乗車ユーザの場合は、共用乗降地と該乗車ユーザの出発地との距離が限界値以下であればよく、特定乗降ユーザが降車ユーザの場合は、共用乗降地と該降車ユーザの目的地との距離が限界値以下であればよい。
第２実施形態に係る配車管理方法においては、ユーザ属性情報に基づいて、著しく健康状態が損なわれている、又は体力が極端に少ないといった、特に配慮が必要な乗降ユーザ（特定乗降ユーザ）について、より移動コスト（消費体力）が低減するように、共用乗降地の位置を調整してもよい。例えば、共用乗降地と特定乗降ユーザの出発地又は目的地との距離が、予め定められた限界値以下となるように共用乗降地の位置を調整してもよい。つまり、特定乗降ユーザが乗車ユーザの場合は、共用乗降地と該乗車ユーザの出発地との距離が限界値以下であればよく、特定乗降ユーザが降車ユーザの場合は、共用乗降地と該降車ユーザの目的地との距離が限界値以下であればよい。
【0116】
本変形例において乗降地調整部２４２は、乗降ユーザのうち重み付け頻度が最も高いユーザの属性が特定条件を満たす（特定乗降ユーザである）場合に、該ユーザにおいて移動コスト（消費体力）が低減するように、すなわち、共用乗降地と該ユーザの出発地又は目的地までの距離が予め定められた範囲内となるように共用乗降地を調整する。つまり、共用乗降地と特定乗降ユーザの出発地又は目的地との距離が、予め定められた範囲内となるように調整後の共用乗降地の位置を制限する。これにより、特に配慮が必要な乗降ユーザの移動コスト（消費体力）をより低減することができ、ユーザそれぞれの状態に応じた柔軟な配車サービスを提供することができる。
【0117】
例えば乗降地調整部２４２は、乗降ユーザのうち重み付け頻度が最も高い（重み付け頻度の値が最大の）ユーザの属性情報を参照し、該属性情報において健康状態又は体力のうち少なくとも一方が示す消費体力のレベルが最低（健康状態＝「不良」及び／又は体力＝「弱」）である場合に、該ユーザを特定乗降ユーザと判定する。
乗降地調整部２４２は、共用乗降地と、重み付け頻度の値が最大である特定乗降ユーザの目的地との距離が、予め定められた限界値（例えば１００ｍ）以下となるように、共用乗降地の位置を調整する。共用乗降地と、特定乗降ユーザの出発地又は目的地との距離に限界値を設けることで、一度の位置調整によって共用乗降地の位置を特定乗降ユーザの移動コスト（消費体力）を十分に低減させる（特定乗降ユーザの出発地又は目的地に十分近づける）ことができ、特定乗降ユーザの移動コスト（消費体力）を速やかに低減させることができる。
乗降地調整部２４２は、共用乗降地と、重み付け頻度の値が最大である特定乗降ユーザの目的地との距離が、予め定められた限界値（例えば１００ｍ）以下となるように、共用乗降地の位置を調整する。共用乗降地と、特定乗降ユーザの出発地又は目的地との距離に限界値を設けることで、一度の位置調整によって共用乗降地の位置を特定乗降ユーザの移動コスト（消費体力）を十分に低減させる（特定乗降ユーザの出発地又は目的地に十分近づける）ことができ、特定乗降ユーザの移動コスト（消費体力）を速やかに低減させることができる。
【0118】
図１２は、第２実施形態に係る配車管理方法の第１変形例を示すフローチャートである。
図１２において、上記第２実施形態に係る配車管理方法（図１１参照）と同等の処理については、同一の符号を付し、説明は適宜、省略する。
具体的には、配車管理装置１０（乗降地調整部２４２）は、調整後の共用乗降地の位置の目安となる調整地点を算出すると（Ｓ１１１０）、調整後の共用乗降地の位置と特定乗降ユーザの出発地又は目的地との距離に限界値を適用するか否かを判定する（Ｓ１２０１）。
図１２において、上記第２実施形態に係る配車管理方法（図１１参照）と同等の処理については、同一の符号を付し、説明は適宜、省略する。
具体的には、配車管理装置１０（乗降地調整部２４２）は、調整後の共用乗降地の位置の目安となる調整地点を算出すると（Ｓ１１１０）、調整後の共用乗降地の位置と特定乗降ユーザの出発地又は目的地との距離に限界値を適用するか否かを判定する（Ｓ１２０１）。
【0119】
具体的には、配車管理装置１０は、乗降ユーザのうち、ステップＳ１１０６で算出した重み付け頻度の値が最大であるユーザの属性情報を参照し、該属性情報が特定の条件を満たすか否かを判定する。本例において、配車管理装置１０は、重み付け頻度が最大の該ユーザの属性情報において健康状態が「不良」、及び／又は体力が「弱」である場合に、該ユーザが特定乗降ユーザであって限界値の適用対象であると判定し（Ｓ１２０１のＹｅｓ）、算出した調整地点及び限界値に基づいて、対象の共用乗降地の位置を道路上の地点に設定（更新）する（Ｓ１２０２）。具体的には、乗降地調整部２４２は、調整地点の最寄りの地点であって、特定乗降ユーザの出発地又は目的地までの距離が限界値以下となる道路上の地点に共用乗降地の位置を更新する。なお本変形例に、上記第１実施形態の第１変形例を適用する場合、該道路上の地点の最寄りの乗降地を、複数の乗降地から選択すればよい。
一方、配車管理装置１０は、乗降ユーザのうち重み付け頻度の値が最大であるユーザが特定乗降ユーザでなく限界値の適用対象でないと判定すると（Ｓ１２０１のＮｏ）、上記第２実施形態と同様に、算出した調整地点の最寄りの道路上の地点に対象の共用乗降地の位置を設定（更新）する（Ｓ１１１１）。
一方、配車管理装置１０は、乗降ユーザのうち重み付け頻度の値が最大であるユーザが特定乗降ユーザでなく限界値の適用対象でないと判定すると（Ｓ１２０１のＮｏ）、上記第２実施形態と同様に、算出した調整地点の最寄りの道路上の地点に対象の共用乗降地の位置を設定（更新）する（Ｓ１１１１）。
【0120】
〔第２変形例〕
また、第２実施形態に係る配車管理方法においては、特定乗降ユーザについて、より移動コスト（消費体力）が低減するように、共用乗降地から特定乗降ユーザの出発地又は目的地までの移動経路を考慮してもよい。例えば、乗降地調整部２４２は、共用乗降地と、特定乗降ユーザの出発地又は目的地との間の移動経路において移動コスト（消費体力）が増大する地理的要因すなわち、回避すべき地理的要因（回避要因）の有無を判定し、該移動経路において回避要因が低減するように共用乗降地を調整してもよい。つまり、共用乗降地と特定乗降ユーザの出発地又は目的地との間に該回避要因が低減するように、調整後の共用乗降地の調整位置を制限してもよい。
回避要因は、特定乗降ユーザの中でも、特に歩行が困難なユーザにおいて、回避が推奨される。したがって、本変形例においてユーザ属性情報には、「歩行状態」が含まれ、「良好」、「やや困難」、「困難」の３レベルで区分されてもよい。この場合、例えば乗降地調整部２４２は、「歩行状態」に基づいて、特定乗降ユーザを判定してもよい。
また、第２実施形態に係る配車管理方法においては、特定乗降ユーザについて、より移動コスト（消費体力）が低減するように、共用乗降地から特定乗降ユーザの出発地又は目的地までの移動経路を考慮してもよい。例えば、乗降地調整部２４２は、共用乗降地と、特定乗降ユーザの出発地又は目的地との間の移動経路において移動コスト（消費体力）が増大する地理的要因すなわち、回避すべき地理的要因（回避要因）の有無を判定し、該移動経路において回避要因が低減するように共用乗降地を調整してもよい。つまり、共用乗降地と特定乗降ユーザの出発地又は目的地との間に該回避要因が低減するように、調整後の共用乗降地の調整位置を制限してもよい。
回避要因は、特定乗降ユーザの中でも、特に歩行が困難なユーザにおいて、回避が推奨される。したがって、本変形例においてユーザ属性情報には、「歩行状態」が含まれ、「良好」、「やや困難」、「困難」の３レベルで区分されてもよい。この場合、例えば乗降地調整部２４２は、「歩行状態」に基づいて、特定乗降ユーザを判定してもよい。
【0121】
回避要因は、例えば、勾配（階段含む）、未舗装道路、幅が広い道路（例えば幹線道路）、橋、河川等であって、地図データベース１２ｃに含まれている。
共用乗降地の調整時において上記のルート制限を適用する場合、例えば乗降地調整部２４２は、地図データベース１２ｃを参照して、調整地点から所定範囲内にあり、特定乗降ユーザの出発地又は目的地まで回避要因を含まない移動経路で到達可能な、道路上の地点を導出する。乗降地調整部２４２は、導出した該地点に、共用乗降地を設定（位置を更新）する。
共用乗降地の調整時において上記のルート制限を適用する場合、例えば乗降地調整部２４２は、地図データベース１２ｃを参照して、調整地点から所定範囲内にあり、特定乗降ユーザの出発地又は目的地まで回避要因を含まない移動経路で到達可能な、道路上の地点を導出する。乗降地調整部２４２は、導出した該地点に、共用乗降地を設定（位置を更新）する。
【0122】
つまり、乗降地調整部２４２は、ルート条件（特定乗降ユーザの目的地までの移動経路に回避要因が含まれないこと）を満たす地点に、調整位置を制限すればよい。これにより、例えば平坦で歩行し易い移動経路で到達可能な地点に共用乗降地が調整され、特定乗降ユーザの移動コスト（消費体力）をさらに低減させることができる。ここで、上記ルート条件に基づく共用乗降地の調整位置の制限を、「ルート制限」と称する。
ルート制限においては、歩行状態が良好でない特定乗降ユーザを考慮し、移動距離の短さよりも、移動経路に回避要因を含まないことが優先される。したがって、調整地点から所定範囲内に、上記ルート条件を満たす地点が無い場合、乗降地調整部２４２は、上記ルート条件を満たし、且つ調整地点よりも目的地までの距離が遠い地点を調整位置（調整後の共用乗降地の位置）としてもよい。また、上記ルート条件を満たす地点が調整地点から所定範囲内に存在しない場合、最も回避要因が少ない移動経路で到達可能な地点を調整位置としてもよい。
ルート制限においては、歩行状態が良好でない特定乗降ユーザを考慮し、移動距離の短さよりも、移動経路に回避要因を含まないことが優先される。したがって、調整地点から所定範囲内に、上記ルート条件を満たす地点が無い場合、乗降地調整部２４２は、上記ルート条件を満たし、且つ調整地点よりも目的地までの距離が遠い地点を調整位置（調整後の共用乗降地の位置）としてもよい。また、上記ルート条件を満たす地点が調整地点から所定範囲内に存在しない場合、最も回避要因が少ない移動経路で到達可能な地点を調整位置としてもよい。
【0123】
図１３は、第２実施形態に係る配車管理方法の第２変形例を示すフローチャートである。
図１３において、上記第２実施形態に係る配車管理方法（図１１参照）と同等の処理については、同一の符号を付し、説明は適宜、省略する。
具体的には、配車管理装置１０（乗降地調整部２４２）は、調整後の共用乗降地の位置の目安となる調整地点を算出すると（Ｓ１１１０）、ルート制限を適用するか否かを判定する（Ｓ１３０１）。
図１３において、上記第２実施形態に係る配車管理方法（図１１参照）と同等の処理については、同一の符号を付し、説明は適宜、省略する。
具体的には、配車管理装置１０（乗降地調整部２４２）は、調整後の共用乗降地の位置の目安となる調整地点を算出すると（Ｓ１１１０）、ルート制限を適用するか否かを判定する（Ｓ１３０１）。
【0124】
ステップＳ１３０１において、配車管理装置１０は、Ｓ１２０１と同様に乗降ユーザのうち重み付け頻度の値が最大であるユーザの属性情報を参照し、該ユーザが特定乗降ユーザであってルート制限の適用対象であると判定し（Ｓ１３０１のＹｅｓ）、算出した調整地点及び上記ルート条件に基づいて、対象の共用乗降地の位置を道路上の地点に設定（更新）する（Ｓ１３０２）。具体的には、乗降地調整部２４２は、地図データベース１２ｃを参照し、調整地点から所定範囲内にあり上記ルート条件を満たす道路上の地点に共用乗降地の位置を更新する。なお本変形例に、上記第１実施形態の第１変形例を適用する場合、該道路上の地点の最寄りの乗降地を、複数の乗降地から選択すればよい。
【0125】
一方、配車管理装置１０は、乗降ユーザのうち重み付け頻度の値が最大のユーザが特定乗降ユーザでなくルート制限の適用対象でないと判定すると（Ｓ１３０１のＮｏ）、上記第２実施形態と同様に、算出した調整地点の最寄りの道路上の地点に対象の共用乗降地の位置を設定（更新）する（Ｓ１１１１）。
次いで、配車管理装置１０は、調整後の共用乗降地に基づいて配車計画を更新し（Ｓ１１１２）、更新（調整）後の共用乗降地を各乗降ユーザに通知する（Ｓ１１１３）。このとき、配車管理装置１０は、特定乗降ユーザの端末装置２０に対し、更新した共用乗降地の位置情報に加え、更新した共用乗降地と特定乗降ユーザの出発地又は目的地との間の移動経路の情報を送信してもよい。これに応答して、端末装置２０は、ユーザインターフェース上に示す地図上に、その位置情報及び移動経路を表示する。これにより、特定乗降ユーザは、乗降時において、回避要因を含まない（又は最も少ない）移動経路で移動することができる。
次いで、配車管理装置１０は、調整後の共用乗降地に基づいて配車計画を更新し（Ｓ１１１２）、更新（調整）後の共用乗降地を各乗降ユーザに通知する（Ｓ１１１３）。このとき、配車管理装置１０は、特定乗降ユーザの端末装置２０に対し、更新した共用乗降地の位置情報に加え、更新した共用乗降地と特定乗降ユーザの出発地又は目的地との間の移動経路の情報を送信してもよい。これに応答して、端末装置２０は、ユーザインターフェース上に示す地図上に、その位置情報及び移動経路を表示する。これにより、特定乗降ユーザは、乗降時において、回避要因を含まない（又は最も少ない）移動経路で移動することができる。
【0126】
〔第３変形例〕
また、第２実施形態に係る配車管理方法においては、乗降ユーザのうち重み付け頻度の値が最大の（重み付け頻度が最も高い）ユーザ、すなわち移動コスト（消費体力）の低減の恩恵を受けるユーザではなく、その他のユーザが特定乗降ユーザ（特定条件を満たすユーザ）である場合がある。このとき、重み付け頻度の値が最大のユーザに対する上記恩恵（移動コスト低減）の付与が停止されてもよい。
例えば、乗降ユーザ間における車両Ｖの乗降時の実質的な移動コスト（消費体力）の総計の差を是正し、配車サービスの公平性を実現する観点から、重み付け頻度が最も高いユーザでない場合においても、特定乗降ユーザが移動コストの低減の恩恵を受けるように、共用乗降地を調整してもよい。
また、第２実施形態に係る配車管理方法においては、乗降ユーザのうち重み付け頻度の値が最大の（重み付け頻度が最も高い）ユーザ、すなわち移動コスト（消費体力）の低減の恩恵を受けるユーザではなく、その他のユーザが特定乗降ユーザ（特定条件を満たすユーザ）である場合がある。このとき、重み付け頻度の値が最大のユーザに対する上記恩恵（移動コスト低減）の付与が停止されてもよい。
例えば、乗降ユーザ間における車両Ｖの乗降時の実質的な移動コスト（消費体力）の総計の差を是正し、配車サービスの公平性を実現する観点から、重み付け頻度が最も高いユーザでない場合においても、特定乗降ユーザが移動コストの低減の恩恵を受けるように、共用乗降地を調整してもよい。
【0127】
そこで、本変形例において乗降地調整部２４２は、乗降ユーザのうち重み付け頻度が最も高いユーザでなく、その他のユーザの属性が特定の条件を満たす（特定乗降ユーザである）場合に、該特定乗降ユーザの移動コスト（消費体力）が低減するように共用乗降地を調整してもよい。つまり、特定乗降ユーザが移動コストの低減の恩恵を受けるように、調整位置の目安となる調整地点を補正して、共用乗降地の調整位置を制限してもよい。ここで、調整地点の補正により移動コスト低減の恩恵を受ける特定乗降ユーザを、補正対象ユーザという。
【0128】
乗降地調整部２４２は、乗車ユーザのうち重み付け頻度が最も高いユーザ以外に補正対象ユーザがいる場合に、補正条件に基づいて調整地点の位置を補正する。補正条件は、上記第１変形例における限界値の適用であってもよい。つまり、乗降地調整部２４２は、調整地点の最寄りの地点であって、補正対象ユーザの出発地又は目的地との距離が限界値（例えば、１００ｍ）以下となる道路上の地点を調整位置としてもよい。
また、補正条件はこれに限られず、上記第２変形例におけるルート条件の適用であってもよい。つまり、乗降地調整部２４２は、調整地点から所定範囲内であって、ルート条件（共用乗降地と補正対象ユーザの出発地又は目的地との移動経路に回避要因が含まれないこと）を満たす地点に、調整位置を制限してもよい。
また、補正条件はこれに限られず、上記第２変形例におけるルート条件の適用であってもよい。つまり、乗降地調整部２４２は、調整地点から所定範囲内であって、ルート条件（共用乗降地と補正対象ユーザの出発地又は目的地との移動経路に回避要因が含まれないこと）を満たす地点に、調整位置を制限してもよい。
【0129】
図１４は、第２実施形態に係る配車管理方法の第３変形例を示すフローチャートである。
図１４において、上記第２実施形態に係る配車管理方法（図１１参照）と同等の処理については、同一の符号を付し、説明は適宜、省略する。
具体的には、配車管理装置１０（乗降地調整部２４２）は、調整後の共用乗降地の位置の目安となる調整地点を算出すると（Ｓ１１１０）、補正対象のユーザがいるか否かを判定する（Ｓ１４０１）。
図１４において、上記第２実施形態に係る配車管理方法（図１１参照）と同等の処理については、同一の符号を付し、説明は適宜、省略する。
具体的には、配車管理装置１０（乗降地調整部２４２）は、調整後の共用乗降地の位置の目安となる調整地点を算出すると（Ｓ１１１０）、補正対象のユーザがいるか否かを判定する（Ｓ１４０１）。
【0130】
ステップＳ１４０１において配車管理装置１０は、ステップＳ１１０５で取得した各乗降ユーザの属性情報を参照し、特定乗降ユーザが乗降ユーザのうち重み付け頻度の値が最大であるユーザ以外の他のユーザである場合に、該特定乗降ユーザを補正対象ユーザと判定し（Ｓ１４０１のＹｅｓ）、算出した調整地点及び補正条件に基づいて、対象の共用乗降地の位置を道路上の地点に設定（更新）する（Ｓ１４０２）。具体的には、乗降地調整部２４２は、地図データベース１２ｃを参照し、調整地点に対し補正条件として上記限界値又はルート条件を適用して、該補正条件を満たす道路上の地点に共用乗降地の位置を更新する。なお本変形例に、上記第１実施形態の第１変形例を適用する場合、該道路上の地点の最寄りの乗降地を、複数の乗降地から選択すればよい。
一方、配車管理装置１０は、補正対象ユーザがいないと判定すると（Ｓ１４０１のＮｏ）、上記第２実施形態と同様に、算出した調整地点の最寄りの道路上の地点に対象の共用乗降地の位置を設定（更新）する（Ｓ１１１１）。
一方、配車管理装置１０は、補正対象ユーザがいないと判定すると（Ｓ１４０１のＮｏ）、上記第２実施形態と同様に、算出した調整地点の最寄りの道路上の地点に対象の共用乗降地の位置を設定（更新）する（Ｓ１１１１）。
【0131】
このように、乗降地調整部２４２は、乗降ユーザのうち利用頻度（重みづけ頻度）が最も高いユーザ以外の他のユーザの属性が特定の条件を満たす（補正対象ユーザがいる）場合に、補正対象ユーザの移動コスト（消費体力）が低減するように共用乗降地を設定する位置を制限する。
これにより、利用頻度が高い乗降ユーザに対する移動コスト低減の恩恵を停止し、補正対象ユーザに対して移動コスト低減の恩恵を付与することができる。したがって、より確実に、乗降ユーザの実際の移動コスト（消費体力）の総計の差を是正することができ、配車サービスの公平性を実現することができる。したがって、配車サービスの利用意欲をより向上させることができる。
これにより、利用頻度が高い乗降ユーザに対する移動コスト低減の恩恵を停止し、補正対象ユーザに対して移動コスト低減の恩恵を付与することができる。したがって、より確実に、乗降ユーザの実際の移動コスト（消費体力）の総計の差を是正することができ、配車サービスの公平性を実現することができる。したがって、配車サービスの利用意欲をより向上させることができる。
【0132】
上記各実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本開示は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちのいくつかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしてもよく、また、他のステップ、動作又は機能を追加してもよい。
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちのいくつかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしてもよく、また、他のステップ、動作又は機能を追加してもよい。
【0133】
また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ（技術的事項）を、適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本開示の要旨に含まれる。
【0134】
（実施形態の効果）
（１）ユーザの配車要求に応じて車両Ｖの配車及び運行を行う配車サービスを管理する配車管理装置１０及び配車管理装置１０による配車管理方法は、配車サービスにおけるユーザの利用実績を記憶し、該利用実績に基づいて、車両に乗降可能な一の乗降地を共用する複数のユーザである乗降ユーザそれぞれの利用頻度を導出し、該利用頻度に基づいて該一の乗降地の位置を調整する。また該乗降ユーザは、一の車両に乗車中であって該一の乗降地で降車予定の降車ユーザ、及び該降車ユーザの降車に伴い該一の乗降地から該一の車両に乗車予定の乗車ユーザである。さらに、該一の乗降地と乗降ユーザの配車要求に含まれる出発地又は目的地との間の移動時に乗降ユーザが被るコストを移動コストとし、該利用頻度が高いほど乗降ユーザが被る移動コストが低減するように、該一の乗降地を調整する。
これにより、配車サービスを多用するユーザの移動コストが過度に増大することを抑制でき、乗降ユーザ間の移動コストの総計の差を是正して配車サービスを多用するユーザへの公平性を確保し、配車サービスの利用意欲を向上させることができる。
（２）配車管理装置１０（乗降地調整部１４２）は、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザが被る移動コストが低減するように、乗降ユーザに共用される該一の乗降地の位置情報を更新する。
これにより、利用頻度の高いユーザの移動コストの総計が過度に増大することを確実に抑制し、乗降ユーザ間の移動コストの総計の差をさらに是正することができる。
（１）ユーザの配車要求に応じて車両Ｖの配車及び運行を行う配車サービスを管理する配車管理装置１０及び配車管理装置１０による配車管理方法は、配車サービスにおけるユーザの利用実績を記憶し、該利用実績に基づいて、車両に乗降可能な一の乗降地を共用する複数のユーザである乗降ユーザそれぞれの利用頻度を導出し、該利用頻度に基づいて該一の乗降地の位置を調整する。また該乗降ユーザは、一の車両に乗車中であって該一の乗降地で降車予定の降車ユーザ、及び該降車ユーザの降車に伴い該一の乗降地から該一の車両に乗車予定の乗車ユーザである。さらに、該一の乗降地と乗降ユーザの配車要求に含まれる出発地又は目的地との間の移動時に乗降ユーザが被るコストを移動コストとし、該利用頻度が高いほど乗降ユーザが被る移動コストが低減するように、該一の乗降地を調整する。
これにより、配車サービスを多用するユーザの移動コストが過度に増大することを抑制でき、乗降ユーザ間の移動コストの総計の差を是正して配車サービスを多用するユーザへの公平性を確保し、配車サービスの利用意欲を向上させることができる。
（２）配車管理装置１０（乗降地調整部１４２）は、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザが被る移動コストが低減するように、乗降ユーザに共用される該一の乗降地の位置情報を更新する。
これにより、利用頻度の高いユーザの移動コストの総計が過度に増大することを確実に抑制し、乗降ユーザ間の移動コストの総計の差をさらに是正することができる。
【0135】
（３）配車管理装置１０（乗降地調整部１４２）は、降車ユーザの利用頻度を係数として配車要求の目的地の位置情報の重み付けを行い、且つ乗車ユーザの利用頻度を係数として配車要求の出発地の位置情報の重み付けを行い、重み付けされた該目的地及び該出発地の位置情報と、現在の該一の乗降地の位置情報とを用いて乗降ユーザに共用される該一の乗降地の位置情報を更新する。
これにより、乗降ユーザのうち利用頻度の高いユーザの出発地又は目的地に近い地点を共用乗降地として地図データベース１２ｃに登録し、確実に共用乗降地の調整を行うことができる。
（４）配車管理装置１０（乗降地調整部１４２）は、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザが被る移動コストが低減するように、所定範囲内の複数の乗降地から乗降ユーザに共用される該一の乗降地を選択する。
これにより、一の区分領域内に複数の乗降地が設置される場合において、利用頻度の高い乗降ユーザの移動コストを確実に低減させることができる。
（５）配車管理装置１０（乗降地調整部１４２）は、乗降ユーザの利用頻度として、所定期間における該一の乗降地の利用回数を導出する。
これにより、各乗降ユーザの共用乗降地の利用回数を利用頻度に転化して、共用乗降地の調整に反映することができる。
（６）配車管理装置１０（乗降地調整部１４２）は、乗降ユーザの利用頻度として、所定期間における乗車ユーザの出発地又は降車ユーザの目的地の利用回数を導出する。
これにより、各乗降ユーザの出発地又は目的地の利用回数を利用頻度に転化して、共用乗降地の調整に反映することができる。
（７）移動コストは、該一の乗降地（共用乗降地）と乗車ユーザの出発地又は降車ユーザの目的地との間の移動に要する時間である。
これにより、配車サービスを多用するユーザの移動時間が低減するように共用乗降地の位置を調整し、該ユーザの移動時間が過度に増大することを抑制できる。
（８）配車管理装置１０は、調整した共用乗降地の位置を乗降ユーザそれぞれの端末装置２０に送信する。
これにより、調整（再配置）後の共用乗降地の位置を乗降ユーザが認識可能であり、乗降時において円滑に、共用乗降地と出発地又は目的地との間を移動することができる。
これにより、乗降ユーザのうち利用頻度の高いユーザの出発地又は目的地に近い地点を共用乗降地として地図データベース１２ｃに登録し、確実に共用乗降地の調整を行うことができる。
（４）配車管理装置１０（乗降地調整部１４２）は、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザが被る移動コストが低減するように、所定範囲内の複数の乗降地から乗降ユーザに共用される該一の乗降地を選択する。
これにより、一の区分領域内に複数の乗降地が設置される場合において、利用頻度の高い乗降ユーザの移動コストを確実に低減させることができる。
（５）配車管理装置１０（乗降地調整部１４２）は、乗降ユーザの利用頻度として、所定期間における該一の乗降地の利用回数を導出する。
これにより、各乗降ユーザの共用乗降地の利用回数を利用頻度に転化して、共用乗降地の調整に反映することができる。
（６）配車管理装置１０（乗降地調整部１４２）は、乗降ユーザの利用頻度として、所定期間における乗車ユーザの出発地又は降車ユーザの目的地の利用回数を導出する。
これにより、各乗降ユーザの出発地又は目的地の利用回数を利用頻度に転化して、共用乗降地の調整に反映することができる。
（７）移動コストは、該一の乗降地（共用乗降地）と乗車ユーザの出発地又は降車ユーザの目的地との間の移動に要する時間である。
これにより、配車サービスを多用するユーザの移動時間が低減するように共用乗降地の位置を調整し、該ユーザの移動時間が過度に増大することを抑制できる。
（８）配車管理装置１０は、調整した共用乗降地の位置を乗降ユーザそれぞれの端末装置２０に送信する。
これにより、調整（再配置）後の共用乗降地の位置を乗降ユーザが認識可能であり、乗降時において円滑に、共用乗降地と出発地又は目的地との間を移動することができる。
【0136】
（９）配車管理装置１０（乗降地調整部２４２）は、乗降ユーザごとの属性に対応する係数を取得し、該係数により乗降ユーザそれぞれの利用頻度を重み付けする。
これにより、属性の異なる乗降ユーザ間に生じる移動コスト（消費体力）の総計の差を是正することができる。
（１０）移動コストは、一の乗降地（共用乗降地）と乗車ユーザの出発地又は降車ユーザの目的地との間を移動する際の乗降ユーザの消費体力であり、配車管理装置１０（乗降地調整部２４２）は、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザが共用乗降地と該出発地又は該目的地との間を移動する際の消費体力が低減するように、共用乗降地を調整する。
これにより、消費体力が多い属性を有する乗降ユーザへの公平性を確保し、配車サービスの利用意欲を向上させることができる。
これにより、属性の異なる乗降ユーザ間に生じる移動コスト（消費体力）の総計の差を是正することができる。
（１０）移動コストは、一の乗降地（共用乗降地）と乗車ユーザの出発地又は降車ユーザの目的地との間を移動する際の乗降ユーザの消費体力であり、配車管理装置１０（乗降地調整部２４２）は、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザが共用乗降地と該出発地又は該目的地との間を移動する際の消費体力が低減するように、共用乗降地を調整する。
これにより、消費体力が多い属性を有する乗降ユーザへの公平性を確保し、配車サービスの利用意欲を向上させることができる。
【0137】
（１１）配車管理装置１０（乗降地調整部２４２）は、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザの属性が特定の条件を満たす場合に、一の乗降地（共用乗降地）と該利用頻度が最も高いユーザの配車要求における出発地又は目的地との距離が予め定められた範囲内となるように該一の乗降地を調整する。
これにより、属性上、特に配慮が必要な特定乗降ユーザの移動コスト（消費体力）をより低減することができ、ユーザそれぞれの状態に応じた柔軟な配車サービスを提供することができる。
（１２）配車管理装置１０（乗降地調整部２４２）は、降車地から目的地への移動経路において消費体力が増大する地理的要因が低減するように降車地の調整位置を制限する。
これにより、歩行し易い移動経路で到達可能な地点に降車地が調整され、特定降車ユーザの消費体力をより低減することができる。
（１３）配車管理装置１０（乗降地調整部２４２）は、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザの属性が特定の条件を満たす場合に、一の乗降地（共用乗降地）と、該利用頻度が最も高いユーザの配車要求における出発地又は目的地との間の移動経路において消費体力が増大する地理的要因の有無を判定し、該移動経路において該地理的要因が低減するように前記一の乗降地を調整する。
これにより、より確実に、乗降ユーザの実際の移動コスト（消費体力）の総計の差を是正することができ、配車サービスの公平性を実現することができ、配車サービスの利用意欲をより向上させることができる。
これにより、属性上、特に配慮が必要な特定乗降ユーザの移動コスト（消費体力）をより低減することができ、ユーザそれぞれの状態に応じた柔軟な配車サービスを提供することができる。
（１２）配車管理装置１０（乗降地調整部２４２）は、降車地から目的地への移動経路において消費体力が増大する地理的要因が低減するように降車地の調整位置を制限する。
これにより、歩行し易い移動経路で到達可能な地点に降車地が調整され、特定降車ユーザの消費体力をより低減することができる。
（１３）配車管理装置１０（乗降地調整部２４２）は、乗降ユーザのうち利用頻度が最も高いユーザの属性が特定の条件を満たす場合に、一の乗降地（共用乗降地）と、該利用頻度が最も高いユーザの配車要求における出発地又は目的地との間の移動経路において消費体力が増大する地理的要因の有無を判定し、該移動経路において該地理的要因が低減するように前記一の乗降地を調整する。
これにより、より確実に、乗降ユーザの実際の移動コスト（消費体力）の総計の差を是正することができ、配車サービスの公平性を実現することができ、配車サービスの利用意欲をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0138】
１…配車管理システム
１０…配車管理装置
１１０…フロントエンド処理部
１３０…配車要求取得部
１４０、２４０…乗降地決定部
１４１…乗降地設置部
１４２、２４２…乗降地調整部
１５０…配車計画作成部
１６０…走行ルート計画部
１７０…車両通信インターフェース部
１７１…車両情報取得部
１７２…配車指示部
１２…データベース
１２ａ…ユーザ情報データベース
１２ｂ…利用実績データベース
１２ｃ…地図データベース
１２ｄ…車両情報データベース
１２ｅ…配車計画データベース
２０…端末装置
Ｎ…通信ネットワーク
Ｖ…車両
３００…制御装置
３１０…通信部
３２０…位置情報取得部
３３０…ユーザインターフェース部
１０…配車管理装置
１１０…フロントエンド処理部
１３０…配車要求取得部
１４０、２４０…乗降地決定部
１４１…乗降地設置部
１４２、２４２…乗降地調整部
１５０…配車計画作成部
１６０…走行ルート計画部
１７０…車両通信インターフェース部
１７１…車両情報取得部
１７２…配車指示部
１２…データベース
１２ａ…ユーザ情報データベース
１２ｂ…利用実績データベース
１２ｃ…地図データベース
１２ｄ…車両情報データベース
１２ｅ…配車計画データベース
２０…端末装置
Ｎ…通信ネットワーク
Ｖ…車両
３００…制御装置
３１０…通信部
３２０…位置情報取得部
３３０…ユーザインターフェース部
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】