(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021179
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B22D 19/04 20060101AFI20250205BHJP
B22D 17/00 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
B22D19/04
B22D17/00 316
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124945
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中尾 拡
(72)【発明者】
【氏名】山田 勇介
(57)【要約】
【課題】第2部材を用いて第1部材を他の部材に取り付ける際に、第1部材及び第2部材を一体化する手間を軽減する技術を提供する。
【解決手段】流動性を有する第1部材及び第2部材を用いて一体に成形された成形品の製造方法である。第1金型は、基部と、基部から延び出す側壁部と、基部と隣接する内部空間であって側壁部に囲われた内部空間を形成する設置面と、設置面に設けられる挿入部と、を有する。成形品の製造方法は、第2部材の本体部から延び出す延出部を挿入部に挿入することと、内部空間に第1部材を配置することを備える。また、成形品の製造方法は、第1金型と第2金型とを接近させて、第1部材により本体部が覆われるように、第1部材をプレス成形して、成形品を成形することを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材及び第2部材を用いて一体に成形された成形品の製造方法であって、
前記第1部材は、流動性を有する部材であり、
前記第2部材は、本体部と、前記本体部から延び出す延出部と、を有し、
基部と、前記基部から延び出す側壁部と、前記基部と隣接する内部空間であって、前記側壁部に囲われた内部空間を形成する設置面と、前記設置面に設けられる挿入部と、を有する第1金型の前記挿入部に、前記延出部を挿入し、前記内部空間に、前記本体部を配置することと、
前記内部空間に前記第1部材を配置することと、
前記第1金型と、前記第1金型と対向するように配置される第2金型と、を接近させて、前記第1部材により前記本体部が覆われるように、前記第1部材をプレス成形して、前記成形品を成形することと、
を備える、成形品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の成形品の製造方法であって、
前記第2金型は、押圧部を有し、
前記第1部材のプレス成形の際に、前記押圧部によって、前記本体部を前記挿入部に向かって押圧すること、を更に備える成形品の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の成形品の製造方法であって、
前記第2部材は、前記本体部によって前記挿入部が覆われるように前記内部空間に配置される、成形品の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の成形品の製造方法であって、
前記第2部材は、ボルトである、成形品の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の成形品の製造方法であって、
前記ボルトにおける前記本体部の前記設置面と対向する対向面と、前記設置面と、の間には、前記挿入部を囲むように配置される介在物が設けられ、
前記介在物は、前記対向面の外縁よりも内側に位置する、成形品の製造方法。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の成形品の製造方法であって、
前記第1部材は、半凝固金属材料、樹脂材料、又は、樹脂複合材である、成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複合耐摩耗部材を取付材に取り付ける際、複合耐摩耗部材に設けられた取付孔にボルトが嵌め込まれて、複耐摩耗部材及びボルトが一体となって取付材に固定されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような固定では、複合耐摩耗部材に取付孔を設け、当該取付孔にボルトを嵌め込むことが必要である。このため、個々の部材である複合耐摩耗部材及びボルトを一体化する手間がかかるという問題があった。
【0005】
本開示の一局面は、第2部材を用いて第1部材を他の部材に取り付ける際に、第1部材及び第2部材を一体化する手間を軽減する技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、第1部材及び第2部材を用いて一体に成形された成形品の製造方法である。第1部材は、流動性を有する部材である。第2部材は、本体部と、延出部と、を有する。延出部は、本体部から延び出す。第1金型は、基部と、側壁部と、設置面と、挿入部と、を有する。側壁部は、基部から延び出す部分である。設置面は、基部と隣接する内部空間であって、側壁部に囲われた内部空間を形成する。挿入部は、設置面に設けられる。第2金型は、第1金型と対向するように配置される。成形品の製造方法は、挿入部に延出部を挿入し、内部空間に本体部を配置することを備える。また、成形品の製造方法は、内部空間に第1部材を配置することを備える。また、成形品の製造方法は、第1金型と第2金型とを接近させて、第1部材により本体部が覆われるように、第1部材をプレス成形して、成形品を成形することを備える。
【0007】
このような構成によれば、プレス成形によって、第1部材及び第2部材を用いて一体に成形された成形品が得られるため、成形後の第1部材を第2部材を用いて他の部材に取り付ける際に、第1部材及び第2部材を一体化する手間を軽減することができる。
【0008】
本開示の一態様では、第2金型は、押圧部を有してもよい。また、成形品の製造方法は、第1部材のプレス成形の際に、押圧部によって、本体部を挿入部に向かって押圧することを更に備えてもよい。このような構成によれば、押圧部の押圧により第2部材が動きにくくなるため、第1部材のプレス成形により生じる圧力によって、第2部材の位置が変化することを抑制することができる。
【0009】
本開示の一態様では、第2部材は、本体部によって挿入部が覆われるように内部空間に配置されてもよい。このような構成によれば、挿入部が本体部により覆われるため、挿入部に第1部材が入り込むことを抑制することができる。
【0010】
本開示の一態様では、第2部材は、ボルトであってもよい。このような構成によれば、第1部材及びボルトを用いて一体に成形された成形品を得ることができる。
【0011】
本開示の一態様では、ボルトにおける本体部の設置面と対向する対向面と、設置面と、の間には、挿入部を囲むように配置される介在物が設けられてもよい。介在物は、対向面の外縁よりも内側に位置してもよい。このような構成では、ボルトにおける本体部の対向面と第1金型の設置面との間に、第1部材が入り込むことができる隙間が形成される。そして、第1部材がこの隙間に入り込んだ状態で第1部材が凝固する場合、隙間に入り込んだ第1部材によって本体部が対向面側から保持される。このため、第1部材に対するボルトの抜け落ちを抑制することができる。
【0012】
本開示の一態様では、第1部材は、半凝固金属材料、樹脂材料、又は、樹脂複合材であってもよい。このような構成によれば、半凝固金属材料、樹脂材料、又は、樹脂複合材と、第2部材と、を用いて一体に成形された成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】プレス成形装置の構造を模式的に示す図である。
【
図2】プレス成形装置により成形された成形品を模式的に示す図である。
【
図3】
図3Aは、第1配置工程を模式的に示す図である。
図3Bは、第2配置工程を模式的に示す図である。
図3Cは、シール工程を模式的に示す図である。
図3Dは、プレス工程を模式的に示す図である。
図3Eは、離脱工程を模式的に示す図である。
【
図4】第1金型に設けられる挿入孔に対する第1部材の位置を模式的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.プレス成形装置の構成]
図1に示すプレス成形装置100は、後述する第1金型1及び第2金型2によるプレス成形によって、
図2に示す成形品200を製造するための装置である。本実施形態では、成形品200は、第1部材5、第2部材6及び介在物7が一体に成形されたものである。
【0015】
成形前の第1部材5は、流動性を有する部材である。第1部材5には、例えば、半凝固金属材料である半凝固アルミニウム材料が用いられる。なお、半凝固金属材料の金属種は、アルミニウムに限定されるものではなく、他の様々な金属(一例として、マグネシウム)を用いることができる。なお、成形後の第1部材5、つまり成形品200における第1部材5は、冷却により固まった状態、換言すると、流動性を有しない状態にある。
【0016】
第2部材6は、成形品200における第1部材5を他の部材に取り付けるための部材である。
図2に示すように、第2部材6は、本体部61と、延出部62と、を有する。本体部61は、略水平に広がる面であって、後述する第1金型1の上面111と対向する底面611を有する。延出部62は、棒状であり、本体部61から底面611に対し略垂直に延び出す。第2部材6には、例えば、フランジを有するボルトが用いられる。
【0017】
介在物7は、環状であり、延出部62の外周面を周回するように第2部材6に配置される。介在物7は、本体部61の底面611と、後述する第1金型1の上面111と、の間に挟持される。介在物7は、本体部61における底面611の外縁よりも内側に位置する。介在物7には、例えば、ワッシャが用いられる。
【0018】
図1に示すように、プレス成形装置100は、第1金型1と、第2金型2と、スライド3と、ボルスタ4と、を備える。以下の説明における上下、左右、前後の方向は、説明の便宜上用いるものであり、プレス成形装置100の使用態様を限定するものではない。
【0019】
第1金型1及び第2金型2は、上下方向に互いに対向するように配置される。本実施形態では、第1金型1が下方に位置し、第2金型2が上方に位置する。具体的には、モータ等により上下方向に動くスライド3の下面に第2金型2が固定され、スライド3の下方に配置されるボルスタ4の上面に第1金型1が固定される。本実施形態では、第2金型2を上下方向に移動させることによって、第1金型1と第2金型2とによるプレス加工が行われる。
【0020】
第1金型1は、上方が開口する箱状であり、基部11と、側壁部12と、挿入孔13と、を有する。
基部11は、第2金型2と対向する。側壁部12は、基部11の縁から上方に延び、基部11を周回するように設けられる。側壁部12の上方端部は、第1金型1の開口を囲う。
【0021】
第1金型1には、基部11と隣接し、側壁部12に囲われた直方体状の内部空間14が形成される。具体的には、内部空間14は、基部11の上面111と、側壁部12の内周面121と、により形成される。上面111は、略水平に広がり、内周面121は、上面111に対し略垂直に広がる。なお、内部空間の形状は、成形品の形状に応じて適宜定められる。内部空間14には、第2金型2が挿入可能である。
【0022】
挿入孔13は、円柱状の挿入空間を形成する。本実施形態では、挿入孔13は、基部11の上面111に設けられ、上面111から下方に略直線状に延びる。挿入孔13は、基部11を貫通してもよいし、基部11を貫通しなくてもよい。挿入孔13は、上述した第2部材6の延出部62を挿入可能であり、第2部材6の本体部61によって覆われる。なお、挿入孔の形状は、延出部の形状に応じて適宜定められる。
【0023】
第2金型2は、型本体部21と、押圧部22と、弾性部23と、を有する。
型本体部21は、直方体状であり、下面211と、側面212と、収容孔213と、を有する。下面211は、第1金型1の上面111と対向する面であり、略水平に広がる。側面212は、下面211の縁から上方に、下面211に対し略垂直に広がり、下面211を周回するように設けられる。収容孔213は、直方体状の収容空間を形成する。本実施形態では、収容孔213は、型本体部21の下面211における第1金型1の挿入孔13と対向する位置に設けられ、下面211から上方に延びる。型本体部21は、側面212が第1金型1の内周面121とほぼ隙間が形成されない状態で対向するように、第1金型1の内部空間14に挿入される。
【0024】
押圧部22は、収容孔213と略同一形状の直方体状であり、収容孔213にほぼ隙間が形成されない状態で収容可能である。押圧部22は、弾性部23を介して型本体部21と接続される。押圧部22の下面221には、下方に突出する突出部222が形成されている。押圧部22が収容孔213に収容された状態では、押圧部22の下面221が型本体部21の下面211と同一平面状に広がり、突出部222が当該平面から突出する。なお、押圧部の形状は、収容孔の形状に応じて適宜定められる。
【0025】
弾性部23は、収容孔213内に配置され、上方端が型本体部21に固定され、下方端が押圧部22に固定される。弾性部23には、例えば、バネが用いられる。なお、弾性部には、例えば、ガスクッションが用いられてもよい。押圧部22は、弾性部23の伸縮によって、上下方向に変位可能であり、収容孔213から飛び出したり、収容孔213に収容されたりする。本実施形態では、第2金型2が第1金型1と離間している場合、押圧部22は、弾性部23の弾性力によって、一部又は全部が収容孔213から飛び出した状態が維持される。そして、押圧部22を収容孔213内に押し込む方向への力が押圧部22に加わる場合、弾性部23が縮んで、押圧部22が収容孔213に収容される。
【0026】
[2.プレス成形装置による成形品の製造方法]
次に、
図3A~
図3Eを用いて、上述したプレス成形装置100による成形品200の製造方法を説明する。本実施形態では、第1部材5、第2部材6及び介在物7をプレス成形により一体に成形することで、成形品200が製造される。本実施形態の成形品200の製造方法には、第1配置工程と、第2配置工程と、シール工程と、プレス工程と、離脱工程と、が含まれる。
【0027】
<第1配置工程>
まず、
図3Aに示すように、第1金型1の内部空間14に、第2部材6及び介在物7を配置する。具体的には、介在物7が第1金型1の挿入孔13を囲み、かつ、介在物7が第2部材6の底面611と第1金型1の上面111との間に配置された状態で、第1金型1の挿入孔13に第2部材6の延出部62が挿入される。このとき、第2部材6の本体部61は、挿入孔13を覆うように内部空間14に配置される。
図4に示すように、例えば、第1金型1の上面111における右側の領域に、前後に並ぶ2つの挿入孔13が設けられる場合、各挿入孔13を囲むように1つずつ介在物7が配置され、各挿入孔13に1つずつ第2部材6の延出部62が挿入される。
【0028】
<第2配置工程>
続いて、
図3Bに示すように、内部空間14に、第1部材5を配置する。具体的には、
図4に示すように、第1部材5は、第1金型1の上面111における左側の領域、すなわち、第1金型1の上面111において2つの挿入孔13と重ならない位置に配置される。すなわち、第1部材5は、挿入孔13に挿入された2つの第2部材6と重ならないように、内部空間14に配置される。
【0029】
<シール工程>
続いて、
図3Cに示すように、第1金型1と第2金型2とを接近させて、第2金型2の押圧部22によって、第2部材6の本体部61を挿入孔13に向かって押圧する。具体的には、第2金型2を下降させて、押圧部22の突出部222を第2部材6の本体部61と当接させ、本体部61を下方へ押す。この際、本体部61によって、本体部61の底面611と第1金型1の上面111との間に配置された介在物7も下方に押される。これにより、第2部材6の本体部61及び介在物7によって、挿入孔13がシールされる。このとき、押圧部22は収容孔213から下方に飛び出した状態にあり、第2金型2における型本体部21の下面211が押圧部22の下面221よりも上方に位置する。このため、押圧部22の突出部222が本体部61と当接するとき、型本体部21の下面211及び第1部材5は当接しない。すなわち、本実施形態では、第2部材6の本体部61は、第2金型2により第1部材5がプレス成形される前から、押圧部22によって押圧され、本体部61及び介在物7により挿入孔13がシールされている。
【0030】
<プレス工程>
続いて、
図3Dに示すように、第1金型1と第2金型2とを更に接近させて、第1部材5により第2部材6の本体部61が覆われるように、第1部材5をプレス成形する。具体的には、第1部材5を型本体部21の下面211により押圧し、第2金型2における型本体部21の下面211と押圧部22の下面221とが同一平面となるまで第2金型2を下降させる。このとき、押圧部22は、弾性部23が縮むことで収容孔213に収容される。これにより、型本体部21の下面211と押圧部22の下面221とが同一平面に位置するようになる。型本体部21による第1部材5のプレス成形の際にも、押圧部22により第2部材6の本体部61が継続して押圧され、本体部61及び介在物7による挿入孔13のシールが継続する。すなわち、シール工程は、プレス工程中も継続する。
【0031】
第1部材5は、押圧されることによって変形し、第1金型1及び第2金型2によって閉じられた成形空間内に充填される。具体的には、第2部材6の本体部61の上面と押圧部22の下面221との間の隙間、及び、本体部61の底面611と第1金型1の上面111との間の隙間に、第1部材5が流れ込む。これにより、第1部材5によって、第2部材6の本体部61及び介在物7が覆われる。そして、第1金型1及び第2金型2の相対的な距離が保持された状態で、変形した第1部材5の冷却が行われ、成形品200が成形される。
【0032】
<離脱工程>
続いて、
図3Eに示すように、第1金型1及び第2金型2を引き離し、第2金型2を成形品200から離脱させる。その後、第1金型1から成形品200を取り外す。これにより、第2部材6の本体部61及び介在物7が第1部材5内に埋め込まれ、かつ、第2部材6の延出部62が第1部材5から突出した状態で、第1部材5、第2部材6及び介在物7が一体に成形された成形品200の製造が完了する。
【0033】
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(3a)本実施形態では、プレス成形装置100によるプレス成形によって、第1部材5の成形の際に、第1部材5及び第2部材6を用いて一体に成形された成形品200が得られる。このため、成形後の第1部材5を第2部材6を用いて他の部材に取り付ける際に、第1部材5及び第2部材6を一体化する手間を軽減することができる。
【0034】
(3b)第1部材5がプレス成形により変形されると、第1金型1及び第2金型2によって閉じられた成形空間内に第1部材5が充填される。このとき、第2部材6の周辺まで流れ込んだ第1部材5により、第2部材6が上方へ浮き上がるような向きへの圧力が生じ得る。
【0035】
しかし、本実施形態では、第1部材5のプレス成形の際に、第2金型2の押圧部22によって、第2部材6の本体部61は挿入孔13に向かって押圧されている。また更に、第1金型1の挿入孔13は、第2部材6の延出部62が挿入された状態で、第2部材6の本体部61及び介在物7によって覆われている。
【0036】
このため、上述した圧力が生じた場合でも、挿入孔13が第2部材6の本体部61によって、閉じられた状態を維持することが可能である。その結果、挿入孔13に第1部材5が入り込むことを抑制することができる。
【0037】
加えて、押圧部22の押圧により第2部材6が動きにくくなるため、上述した圧力が生じた場合でも、第2部材6の位置が変化することを抑制できる。その結果、成形品200における第2部材6が設けられる位置の精度を向上することができる。
【0038】
(3c)本実施形態では、第2部材6における本体部61の底面611と、第1金型1の上面111との間に、底面611の外縁よりも内側に位置する介在物7が配置される。これにより、底面611と上面111との間に第1部材5が入り込むことができる隙間が形成される。そして、第1部材5が変形して当該隙間に第1部材5が入り込み、その状態で当該第1部材5が凝固すると、当該隙間に入り込んだ第1部材5によって第2部材6の本体部61が底面611側から保持される。このため、第1部材5に対する第2部材6の抜け落ちを抑制することができる。
【0039】
なお、本実施形態では、本体部61の底面611が対向面の一例に相当し、基部11の上面111が設置面の一例に相当し、挿入孔13が挿入部の一例に相当する。
【0040】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0041】
(4a)上記実施形態では、第1部材5として半凝固金属材料が用いられることを例示したが、第1部材の材料はこれに限定されるものではない。例えば、第1部材は、樹脂材料、又は、樹脂と繊維との複合材料である樹脂複合材であってもよい。
【0042】
(4b)上記実施形態では、第2部材6としてフランジを有するボルトが用いられることを例示したが、第2部材はフランジを有するボルトに限定されるものではない。例えば、第2部材は、フランジを有しないボルト、又は、他の様々な部材であってもよい。
【0043】
(4c)上記実施形態では、第1金型1の上面111における右側の領域に、前後に並ぶ2つの挿入孔13が設けられる構成を例示したが、挿入孔の数及び位置は、これに限定されるものではなく、適宜定められる。
【0044】
(4d)上記実施形態では、介在物7としてワッシャが用いられることを例示したが、第2部材6の底面611と第1金型1の上面111との間に配置される介在物はこれに限定されるものではない。例えば、介在物は、第2部材の底面に下方に突出するように設けられる凸部であって、延出部62を囲み、かつ、第2部材の本体部の外縁よりも内側に位置する凸部であってもよい。また、例えば、介在物は、第1金型の上面に上方に突出するように設けられる凸部であって、挿入孔を囲み、かつ、第2部材の本体部の外縁よりも内側に位置する凸部であってもよい。
【0045】
(4e)上記実施形態では、第2金型2が押圧部22を有し、第2金型2により第1部材5がプレス成形される前から、第2部材6の本体部61が押圧部22によって押圧される構成を例示した。すなわち、シール工程がプレス工程の前に開始される製造方法を例示した。しかし、例えば、第2金型2の第1部材5の押圧と同じタイミングで第2部材6の本体部61が押圧部22によって押圧されてもよい。すなわち、プレス工程とシール工程とが同じタイミングで開始されてもよい。また、例えば、第2金型2の第1部材5の押圧よりも少し遅れて第2部材6の本体部61が押圧部22によって押圧されてもよい。すなわち、プレス工程の開始タイミングよりも少し遅れてシール工程が開始されてもよい。
【0046】
また、例えば、第2金型は、押圧部を有しなくてもよい。すなわち、成形品の製造方法には、シール工程が含まれていなくてもよい。この場合、上記実施形態では、挿入孔13が第1金型1の上面111に設けられていたが、例えば、挿入孔は、第1金型における側壁部の内周面に設けられていてもよい。
【0047】
(4f)上記実施形態では、第2部材6の本体部61によって挿入孔13が覆われることを例示したが、例えば、第2部材は、本体部によって挿入孔13を覆わなくてもよい。
【0048】
(4g)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
[5.本明細書が開示する技術思想]
【0049】
[項目1]
第1部材及び第2部材を用いて一体に成形された成形品の製造方法であって、
前記第1部材は、流動性を有する部材であり、
前記第2部材は、本体部と、前記本体部から延び出す延出部と、を有し、
基部と、前記基部から延び出す側壁部と、前記基部と隣接する内部空間であって、前記側壁部に囲われた内部空間を形成する設置面と、前記設置面に設けられる挿入部と、を有する第1金型の前記挿入部に、前記延出部を挿入し、前記内部空間に、前記本体部を配置することと、
前記内部空間に前記第1部材を配置することと、
前記第1金型と、前記第1金型と対向するように配置される第2金型と、を接近させて、前記第1部材により前記本体部が覆われるように、前記第1部材をプレス成形して、前記成形品を成形することと、
を備える、成形品の製造方法。
【0050】
[項目2]
項目1に記載の成形品の製造方法であって、
前記第2金型は、押圧部を有し、
前記第1部材のプレス成形の際に、前記押圧部によって、前記本体部を前記挿入部に向かって押圧すること、を更に備える成形品の製造方法。
【0051】
[項目3]
項目1又は項目2に記載の成形品の製造方法であって、
前記第2部材は、前記本体部によって前記挿入部が覆われるように前記内部空間に配置される、成形品の製造方法。
【0052】
[項目4]
項目1から項目3までのいずれか1項に記載の成形品の製造方法であって、
前記第2部材は、ボルトである、成形品の製造方法。
【0053】
[項目5]
項目4に記載の成形品の製造方法であって、
前記ボルトにおける前記本体部の前記設置面と対向する対向面と、前記設置面と、の間には、前記挿入部を囲むように配置される介在物が設けられ、
前記介在物は、前記対向面の外縁よりも内側に位置する、成形品の製造方法。
【0054】
[項目6]
項目1から項目5までのいずれか1項に記載の成形品の製造方法であって、
前記第1部材は、半凝固金属材料、樹脂材料、又は、樹脂複合材である、成形品の製造方法。
【符号の説明】
【0055】
1…第1金型、2…第2金型、3…スライド、4…ボルスタ、5…第1部材、6…第2部材、7…介在物、11…基部、12…側壁部、13…挿入孔、14…内部空間、21…型本体部、22…押圧部、23…弾性部、61…本体部、62…延出部、100…プレス成形装置、111…上面、121…内周面、200…成形品、211,221…下面、212…側面、213…収容孔、222…突出部、611…底面。