(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021209
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20250205BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20250205BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20250205BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20250205BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20250205BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20250205BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20250205BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/34
A61K8/39
A61Q19/00
A61Q19/10
A61Q1/14
A61Q17/04
A61K8/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124980
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】前川 瑛美
(72)【発明者】
【氏名】武知 美和
(72)【発明者】
【氏名】土居 亮介
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB152
4C083AB172
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC012
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC532
4C083AC661
4C083AC662
4C083AD022
4C083AD092
4C083AD152
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB11
4C083BB23
4C083BB51
4C083CC01
4C083CC02
4C083CC19
4C083CC23
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】安定性、吐出性および使用性に優れた粉末含有化粧料を提供する。
【解決手段】直径1~9mmの注ぎ口を備える容器に、水中油型乳化組成物が充填されてなる化粧料であって、前記水中油型乳化組成物が、(A)特定の粉末、(B)高級アルコール、(C)界面活性剤、(D)油分、(E)水を含んでなる、化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径1~9mmの注ぎ口を備える容器に、水中油型乳化組成物が充填されてなる化粧料であって、
前記水中油型乳化組成物が、
(A)前記水中油型乳化組成物の総量に対して、0.05~2.3質量%の、比重が1.5~4の粉末、
(B)高級アルコール、
(C)界面活性剤、
(D)油分、および
(E)水
を含んでなる、化粧料。
【請求項2】
(A)成分の屈折率が、1.6~2.1である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
(A)成分が、無機粉末である、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項4】
(B)成分が、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、およびセチルアルコールからなる群から選択される、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項5】
(B)成分の配合量が、前記水中油型乳化組成物の総量に対して、0.5~2質量%である、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項6】
(C)成分が、ノニオン界面活性剤またはアニオン界面活性剤である、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項7】
(C)成分が、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、N-アシルグルタミン酸塩からなる群から選択されるからなる群から選択される2種以上の組み合わせである、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項8】
(C)成分の配合量が、前記水中油型乳化組成物の総量に対して、0.1~3質量%である、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項9】
(E)成分の配合量が、前記水中油型乳化組成物の総量に対して、45~80質量%である、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項10】
(F)保湿剤をさらに含んでなる、請求項1または2に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注ぎ口を備える容器に、水中油型乳化組成物が充填されてなる化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メーキャップ化粧料に光沢を付与するために、パール顔料等の粉末が配合されている。スキンケア化粧料においても、肌の状態を明るくしたり、肌の凹凸を効果的に補正するために、パール顔料等の粉末が配合されることがある。
パール顔料等の粉末は、比重が高く、化粧料組成物中で沈降しやすい。粉末の組成物中で安定させることが課題となる。例えば、油性化粧料において、特定のデキストリン脂肪酸エステルを用いることで、パール剤の沈降を抑制することが提案されている(特許文献1)。
【0003】
液状の化粧料組成物が充填される容器としては様々な構造のものが提案されている。ポンプ構造を用いて内容物を定量で取り出す容器は、構造が複雑であり、コストが高くなる傾向にある。これに対してポンプ構造等を有さず、容器を傾けることにより注ぎ口から内容物を吐出するシンプルな構造の容器はコストを低減できる傾向にある。しかしこのような容器を用いた場合、特に、低温における吐出性と高温における組成物の安定性との両立が難しく、これらの特性を両立することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、驚くべきことに、特定の粉末と高級アルコールと界面活性剤とを含んでなる水中油型乳化組成物が、シンプルな構造の容器に充填される場合においても吐出性に優れ、また、安定性や使用性にも優れていることを見いだした。
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]直径1~9mmの注ぎ口を備える容器に、水中油型乳化組成物が充填されてなる化粧料であって、
前記水中油型乳化組成物が、
(A)前記水中油型乳化組成物の総量に対して、0.05~2.3質量%の、比重が1.5~4の粉末、
(B)高級アルコール、
(C)界面活性剤、
(D)油分、および
(E)水
を含んでなる、化粧料。
[2](A)成分の屈折率が、1.6~2.1である、[1]に記載の化粧料。
[3](A)成分が、無機粉末である、[1]または[2]に記載の化粧料。
[4](B)成分が、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、およびセチルアルコールからなる群から選択される、[1]~[3]のいずれかに記載の化粧料。
[5](B)成分の配合量が、前記水中油型乳化組成物の総量に対して、0.5~2質量%である、[1]~[4]のいずれかに記載の化粧料。
[6](C)成分が、ノニオン界面活性剤またはアニオン界面活性剤である、[1]~[5]のいずれかに記載の化粧料。
[7](C)成分が、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、N-アシルグルタミン酸塩からなる群から選択される2種以上の組み合わせである、[1]~[6]のいずれかに記載の化粧料。
[8](C)成分の配合量が、前記水中油型乳化組成物の総量に対して、0.1~3質量%である、[1]~[7]のいずれかに記載の化粧料。
[9](E)成分の配合量が、前記水中油型乳化組成物の総量に対して、45~80質量%である、[1]~[8]のいずれかに記載の化粧料。
[10](F)保湿剤をさらに含んでなる、[1]~[9]のいずれかに記載の化粧料。
【0007】
本発明は、安定性、吐出性および使用性に優れたパール顔料含有化粧料を提供する。特に、肌に明るさを付与し、使用時によれやポロカスが発生しないものである。また、本発明は、自然な素肌感を与えることから、特に、スキンケア化粧料として好適に用いることができる。
【発明の具体的説明】
【0008】
本発明は、直径1~9mmの注ぎ口を備える容器に、水中油型乳化組成物が充填されてなる化粧料であって、水中油型乳化組成物(以下、組成物と称することがある)が、(A)特定の粉末、(B)高級アルコール、(C)界面活性剤、(D)油分、および(E)水を含んでなる。
【0009】
本発明に用いられる容器は、注ぎ口を備える容器であり、一般的には片手で取り上げて、もう一方の手に組成物を吐出させて使用するものである。一般的には容量が50~300mL程度のものが用いられる。注ぎ口の直径は、1~9mmであり、好ましくは4~6mmである。容器は、典型的には、ボトル容器であり、好ましくは注ぎ口を具備した中栓が、外側容器にねじ込みまたは篏合によって固定され、中栓の外側を覆うようにギャップが付された中栓ボトル容器である。また、中栓を具備しておらず、外側容器が一体成型され、その端部に注ぎ口を具備し、注ぎ口の外側を覆うようにキャップが付された容器であってもよい。キャップはワンタッチ型、平型など、特に限定されない。これらの容器は、ポンプ構造等の押し出し機構を有さないものであり、容器自体を傾けることにより、内容物を吐出できるものである。
容器の胴部の形状は、特に限定されず、断面形状が丸形、オーバル型、角型など任意に選択することができるが、好ましくは断面形状が丸形の円筒状容器である。
容器の材質としては、ガラス、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレン/ポリエチレン/エチレンビニルアルコール樹脂(PE、PP/EVOH)積層)、ポリプロピレン/エチレンビニルアルコール樹脂(PP、PP/EVOH)積層)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂(ABS)等が挙げられ、好ましくは、PPである。
【0010】
(A)粉末
本発明に用いられる組成物は、(A)組成物の総量に対して、0.05~2.3質量%の、比重が1.5~4の粉末(以下、(A)成分と称することがある。他の成分についても同様である。)を含んでなる。
(A)成分の比重は、1.5~4であり、好ましくは2.5~3.5である。
(A)成分の屈折率は、好ましくは1.6~2.1であり、より好ましくは1.8~2.1である。
【0011】
(A)成分は、好ましくは、無機粉末であり、例えば、セリサイト、マイカ、カオリン、タルク、シリカ、硫酸バリウム、窒化ホウ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、パール顔料等が挙げられる。なかでも、パール顔料が好ましく、パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆合成マイカ、酸化チタン被覆シリカ、酸化チタン被覆合成マイカ、酸化チタン被覆タルク、酸化亜鉛被覆シリカ、酸化チタン被覆着色雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、ベンガラ・黒酸化鉄被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、コンジョウ被覆雲母チタン等が挙げられ、好ましくは、酸化チタン被覆マイカである。
(A)成分の平均粒子径は、好ましくは1~70μmであり、好ましくは3~30μmである。平均粒子径は、例えば、レーザー回折散乱法により測定することができる。
【0012】
(A)成分は、1種または2種以上の組み合わせであってよい。(A)成分の配合量は、水中油型乳化組成物の総量に対して、好ましくは0.1~1.2質量%であり、より好ましくは0.3~1質量%であり、さらに好ましくは0.3~0.7質量%である。
【0013】
(B)高級アルコール
本発明に用いられる組成物は、(B)高級アルコールを含んでなる。本願明細書において、高級アルコールは炭素数が例えば6以上の一価の脂肪族アルコールを意味する。
(B)成分としては、化粧料分野において使用できるものであれば、特に限定されないが、好ましくは、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、およびセチルアルコールからなる群から選択される。
【0014】
(B)成分は、1種または2種以上の組み合わせであってよい。(B)成分の配合量は、水中油型乳化組成物の総量に対して、好ましくは0.5~2質量%であり、より好ましくは0.5~1.7質量%である。
【0015】
(C)界面活性剤
本発明に用いられる組成物は、(C)界面活性剤を含んでなる。
(C)成分は、好ましくはノニオン界面活性剤またはアニオン界面活性剤であり、より好ましくはノニオン界面活性剤である。
【0016】
(C)成分は、好ましくはポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、およびN-アシルグルタミン酸塩からなる群から選択され、より好ましくはポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルおよびグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選択され、より好ましくはこのうち2種以上の組み合わせである。
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸ポリエチレングリコール、パルミチン酸ポリエチレングリコール、ステアリン酸ポリエチレングリコール、イソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノミリスチン酸ポリオキシエチレングリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル等が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が挙げられる。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレン (20)モノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(20)モノパルミチン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン (20)モノイソステアリン酸ソルビタン等が挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、ベヘン酸エイコサン二酸等が挙げあれる。
N-アシルグルタミン酸塩としては、例えばステアロイルグルタミン酸ナトリウムN-ココイルグルタミン酸塩、N-ラウロイルグルタミン酸塩、N-ミリストイルグルタミン酸塩、N-パルミトイルグルタミン酸塩、N-ステアロイルグルタミン酸塩、N-オレオイルグルタミン酸塩等が挙げられ、好ましい対イオンとしては、ナトリウム、カリウム、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0017】
(C)成分の配合量は、水中油型乳化組成物の総量に対して、好ましくは0.1~3質量%であり、より好ましくは0.2~2.5質量%である。
【0018】
(D)油分
本発明に用いられる組成物は、(D)油分を含んでなる。本発明では、(D)油分に、上記した(B)高級アルコールに相当する化合物は含めないものとする。
(D)成分としては、例えば、シリコーン油、炭化水素油、エステル油、液体油脂、(B)成分以外のアルコール等が挙げられる。
【0019】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等)、環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等が挙げられ、好ましくは鎖状ポリシロキサンである。
【0020】
炭化水素油としては、例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソパラフィン、ミネラルオイル、水添ポリイソブテン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0021】
エステル油としては、例えば、オクタン酸オクチル、ノナン酸ノニル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ピバリン酸トリプロピレングリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、ジイソステアリン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート-2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、エチルヘキサン酸セチル等が挙げられる。
【0022】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0023】
(D)成分は、1種または2種以上の組み合わせであってよい。(D)成分の配合量は、水中油型乳化組成物の総量に対して、好ましくは7~15質量%であり、より好ましくは8~12質量%である。
【0024】
(E)水
本発明に用いられる組成物は、(E)水を含んでなる。(E)成分としては、化粧品、医薬部外品等に使用される水を使用することができ、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等を使用することができる。
(E)成分の配合量は、水中油型乳化組成物の総量に対して、好ましくは45~80質量%であり、より好ましくは50~75質量%である。
【0025】
(F)保湿剤
本発明に用いられる組成物は、(F)保湿剤をさらに含むことができる。
(F)成分としては、例えば、ジプロピレングリコール(DPG)、ブチレングリコール(BG)、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、イソペンチルジオール、グリセリン、ジグリセリン、デカグリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、加水分解コーンスターチ、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、ビスPEG-18メチルエーテルジメチルシラン、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
(F)成分は、1種または2種以上の組み合わせであってよい。(F)成分の配合量は、水中油型乳化組成物の総量に対して、好ましくは15~35質量%であり、より好ましくは20~30質量%である。
【0026】
上記以外の任意成分として、化粧料に通常用いられる成分、例えば、増粘剤、殺菌剤、防腐剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、香料、顔料、染料、美白剤、ビタミン類、各種アミノ酸等が挙げられる。
【0027】
本発明に用いられる組成物のB型回転粘度計を用いて30℃で測定した粘度は、好ましくは2000~8000mPa・sであり、より好ましくは3000~7000mPa・sである。
本発明による組成物は、常法に従って製造することができる。
【0028】
本発明による化粧料としては、例えば、スキンケア化粧料(例えば、化粧水、乳液、クリーム、美容液、パック、マスク等)、皮膚洗浄料(例えば、洗顔料、メイク落とし等)、日焼け止め化粧料、軟膏等が挙げられ、好ましくはスキンケア化粧料である。なお、これらの形態は例示に過ぎず、本発明にかかる化粧料はこれらの形態に限定されるものではない。
【実施例0029】
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。含有量は特記しない限り、総量に対する質量%で示す。
【0030】
[実施例1~12および比較例1~8]
表1および表2に示される配合で、実施例1~12および比較例1~8の水中油型乳化組成物を調製した。
【表1】
【表2】
表中、
・パール顔料1:酸化チタン、マイカ、「テミロン-MP1005」(メルク)、比重2.71、平均粒子径3~10μm、
・パール顔料2:酸化チタン、マイカ、「フラメンコ ベルベツト」(BASF)、比重3、平均粒子径12μm、
・シリカ:「サンスフェアH-52」(AGCエスアイテック株式会社)、比重1.8、平均粒子径4~6μm
・合成金雲母:「マイカPDM-9L-20」(トピー工業株式会社)、比重2.8、平均粒子径5~7μm、
・窒化ホウ素:「ルーブシャイン」(川崎製鉄株式会社)、比重3.48、平均粒子径5.8μm、
・オキシ塩化ビスマス:「ロナフレア-LF-2000」(メルク)、比重7.7、平均粒子径10μm
である。
なお、実施例1と比較例8の組成物をB型回転粘度計を用いて、30℃で測定したところ、それぞれ、4700mPa・s、1700mPa・sであった。
【0031】
[高温安定性評価]
上記で調製された組成物を50℃で28日間保管し、粉末の状態を観察し、以下の基準により評価した。
A:粉末の沈降が確認されない。
B:わずかにムラが確認されるが、容器を傾けると、もとの状態にもどる。
C:粉末の沈降が確認される。
【0032】
[低温吐出性評価]
直径4mmの注ぎ口を備える中栓容器に、上記で調製された組成物を充填する。この容器を10℃に冷却し、以下の基準により、吐出性を評価した。
A:容器を傾けるだけで連続的に吐出する。
B:容器残量が多ければ連続的に吐出するが、傾けるだけでは吐出しにくく、さかさまに向けることで吐出する。残量が充填重量の10%以上となる。
C:容器を振らないと吐出しない。
【0033】
[使用性評価]
専門パネルが上記で調製した組成物を肌に塗布し、「よれやポロカス」「肌補正効果」「ぎらつきのなさ」について、以下の基準により評価した。
・「よれやポロカス」
A:塗布中や塗布後に、よれやポロカスが発生しない。
B:塗布中に、よれやポロカスが発生しない。
C:塗布中に、よれやポロカスが発生する。
・「肌補正効果」
A:塗布後に、肌が明るくなる。
B:塗布後に、肌がやや明るくなる。
C:塗布前後で、肌の明るさの変化を感じない。
・「ぎらつきのなさ」
A:隠ぺい感やぎらつきを感じず、自然な素肌に見える。
B:隠ぺい感やぎらつきをわずかに感じる。
C:隠ぺい感やぎらつきが強く、不自然に感じる。
【0034】
[実施例13および比較例9]
表3に示される配合で、実施例13および比較例9の水中油型乳化組成物を調製した。
【表3】
表中、
・パール顔料1:酸化チタン、マイカ、「テミロン-MP1005」(メルク)、比重2.71、平均粒子径3~10μm。
実施例13と比較例9の組成物をB型回転粘度計を用いて、30℃で測定したところ、それぞれ、2930mPa・s、3500mPa・sであった。
【0035】
[長期安定性評価]
実施例13および比較例9の組成物を室温で3年間放置し、粉末の状態を観察すると、実施例13では沈降が確認されなかったが、比較例9では沈降が確認された。