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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021226
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】保持具
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/10 20060101AFI20250205BHJP
【FI】
A47G29/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125010
(22)【出願日】2023-07-31
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】513225224
【氏名又は名称】株式会社ホットブレイン
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 英基
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100BA02
3K100BA06
3K100BC10
3K100BE01
(57)【要約】
【課題】
簡単な構造で取り付けた板材が脱落することを防止するとともに、必要な場合には板材の交換を簡便にできる保持具ことを目的とする。
【解決手段】
上記課題を解決する本発明は、板材1と、板材1を保持する保持部材2と、を備える保持具Xであって、保持部材2は、第一部分211と、第二部分212との間に板材1を挟んで保持する保持部21と、第一部分211と第二部分212とのそれぞれから、同一方向に向けて延在する延在部22とを有し、第一部分211は、第二部分212と接合部213において接合され、保持部材2は、延在部22の端部と接合部213との間に、板材1の出し入れを可能とする開口23を形成し、延在部22には開口23の拡幅を制限する制限手段24が設けられている保持具である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材と、前記板材を保持する保持部材と、を備える保持具であって、
前記保持部材は、第一部分と、第二部分との間に前記板材を挟んで保持する保持部と、前記第一部分と前記第二部分とのそれぞれから、同一方向に向けて延びる延在部とを有し、
前記第一部分は、前記第二部分と接合部において接合され、
前記保持部材は、前記延在部の端部と前記接合部との間に、前記板材の出し入れを可能とする開口を形成し、
前記延在部には前記開口の拡幅を制限する制限手段が設けられている保持具。
【請求項2】
前記延在部は、前記第一部分と前記第二部分とを接続する請求項1に記載の保持具。
【請求項3】
前記制限手段は、前記延在部上に設けられる移動経路に沿って、摺動可能に設けられている請求項1に記載の保持具。
【請求項4】
前記制限手段は、前記延在部の外周を取り囲む輪状体である請求項3に記載の保持具。
【請求項5】
前記接合部から前記移動経路上を移動する前記制限手段までの距離は、前記板材の径よりも短い請求項3に記載の保持具。
【請求項6】
取付対象に取り付け可能な取付部をさらに備え、
前記取付部は、前記移動経路上に配置されて前記制限手段の摺動を制限する請求項3から5のいずれか一項に記載の保持具。
【請求項7】
前記板材は、電子タグである請求項1から3のいずれか一項に記載の保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板材を保持するための保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のように、2枚の平板の間にコインなどの板材を挟んで保持するキーホルダーがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実全昭58-098883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなキーホルダーでは、取り外しが簡単にできるように板材が挟持されているが、その分板材が意図せず脱落することも多い。
一方、保持する板材が例えば電子タグであるとき、一度は取り付けの必要があるものの、その後電子タグを交換する機会はほとんどないため、頻繁な取り外しを可能とする構造である必要はなく、むしろ取り付けた状態における保持性能を向上させる構造とすることが好ましい。
特に、電子タグをベルトループやペットの首輪に取り付けて利用することを想定する場合、保持性能を確保しつつも簡易な構造で、小型化・軽量化ができることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、簡単な構造で取り付けた板材が脱落することを防止するとともに、必要な場合には板材の交換を簡便にできる保持具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明は、板材と、前記板材を保持する保持部材と、を備える保持具であって、前記保持部材は、第一部分と、第二部分との間に前記板材を挟んで保持する保持部と、前記第一部分と前記第二部分とのそれぞれから、同一方向に向けて延びる延在部とを有し、前記第一部分は、前記第二部分と接合部において接合され、前記保持部材は、前記延在部の端部と前記接合部との間に、前記板材の出し入れを可能とする開口を形成し、前記延在部には前記開口の拡幅を制限する制限手段が設けられている。
これにより、取り付けた状態にある板材が外れにくく、且つ板材の取付や取り外しを簡便にできる保持具を提供することができる。
【0007】
好ましくは、前記延在部は、前記第一部分と前記第二部分とを接続する。
これにより、部品点数を少なくして保持具の強度を高め、板材をより外れにくくする。
【0008】
好ましくは、前記制限手段は、前記延在部上に設けられる移動経路に沿って、摺動可能に設けられている。
これにより、開口の拡幅を制御することで保持性能を高めながら、必要な場合には板材の取り外しを簡便にできる保持具を提供できる。
【0009】
好ましくは、前記制限手段は、前記延在部の外周を取り囲む輪状体である。
これにより、制限手段を簡単な構成として保持具の強度を高めることができます。
【0010】
好ましくは、前記接合部から前記移動経路上にある前記制限手段までの距離は、常に前記板材の径よりも短い。
これにより、接合部及び制限手段による干渉によって、保持部材から板材が脱落することを阻止できる。
【0011】
好ましくは、前記保持具は、取付対象に取り付け可能な取付部をさらに備え、前記取付部は、前記移動経路上に配置されて前記制限手段の摺動を制限する。
これにより、取付部を取り付けた状態において制限手段の脱落を防ぎ、取付部を外した状態において摺動の制限から解放することで板材の取り外しを容易にする。
【0012】
好ましくは、前記板材は、電子タグである。
これにより、電子タグを確実に保持して、シビアな環境においても物品等と情報の紐づけを容易にできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上記の解決手段によって、簡単な構造で取り付けた板材が脱落することを防止するとともに、必要な場合には板材の交換を簡便にできる保持具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一の実施形態に係る、保持具の斜視図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係る、保持具の正面図である。
図3】本発明の第一の実施形態に係る、保持具の左側側面図である。
図4】本発明の第一の実施形態に係る、保持具の平面図及び底面図である。
図5】本発明の第一の実施形態に係る、保持具の使用方法の説明図である。
図6】本発明の第一の実施形態に係る、保持具の使用方法の説明図である。
図7】本発明の第二の実施形態に係る、保持具の正面図である。
図8】本発明の第三の実施形態に係る、保持具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本発明の各実施形態に係る保持具について説明する。説明は、実施形態の構成、実施の方法、他の実施例の順に詳述する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではない。また、出願書類中の「略」は、その後に続く形状に面取りや丸め加工がなされていること、また形状を構成する要素がその構成の目的を阻害しない範囲内で変形や長さ変更されているものを含むことを意味する概念である。
【0016】
また、以下においては、保持具Xに格納された板材の中心から見て、延在部がある方向を上方向とし、板面が向く方向を前後方向とし、上方向と垂直で周面が向く方向を左右方向とする。
【0017】
≪第一の実施形態≫
本発明の第一の実施形態に係る保持具Xは、図1図4に示すように、板状の板材1と、板材1を保持する保持部材2と、保持部材2に設けられ、保持部材2を取付対象に取り付けるための取付部3と、を備えている。
なお、図2は保持具の正面図であり、図3は左側側面図であり、図4(a)は保持具の底面図であり、図4(b)は保持具の平面図である。なお、背面図は正面図と、右側側面図は左側側面図と略同一であるため省略している。また、板材1が格納されている保持部21は、板材の周縁に沿って膨らんでいる。
【0018】
板材1は、板状の部材であって、実施形態においては円盤型で、人間が指で力を加えても変形しない程度の剛性を付けて設けられている。
好ましくは、板材1はICタグ、RFタグ、RFID等の識別情報が書き込まれている電子タグであり、木製やプラスチックの板状の部材に薄型の電子タグが貼り付けされていても、内蔵されていてもよい。なお、板材1は、保持部材2に挟めればどのような形状であってもよく、フィルムやシール等の薄板であっても、表面に多少の凹凸が形成されていてもよい。
【0019】
また、保持具Xは犬や猫の首輪に取り付けることが想定される。この場合、板材1には個体識別の情報が書き込まれていることが好ましい。個体識別の情報は、板材1に直接記載されていても彫り込まれていてもよく、読み取り可能なバーコードを付すことによってもよい。また、ICタグを用いる場合は電子的に書きこまれていてもよい。
なお、保持部2の表面(使用時に外側を向く面)に、内部の板材1に識別情報が記録されていることを知らせる焼き印を付けてもよい。これによって、仮に犬や猫が迷子になっても、板材1の情報によって飼い主にたどり着きやすくなる。
【0020】
保持部材2は、第一部分211と、第二部分212との間に板材1を挟んで保持する保持部21と、第一部分211と、第二部分212のそれぞれから延びて突出するように延在する延在部22と、第一部分211と第二部分212の間への板材の出し入れを行う開口23と、開口23の開口度合いの制限を行う制限手段24と、を有する。
【0021】
保持部21は、二枚の平板状の部材(第一部分211及び第二部分212)が重なるように相対して設けられており、板材1を挟持した状態で保持する。
【0022】
実施形態において第一部分211及び第二部分212は、外径(以下、板材径L1)が2cm~10cmであり、厚みが0.5mm~3.0mmである円盤状の板材である。第一部分211及び第二部分212の径は、少なくとも板材1よりも大きくなり、板材1の全体を覆うように形成され、板材1の全体が保持部21によって挟まれるようにしている。
【0023】
第一部分211及び第二部分212は、裏面の一部が互いに接合しており、以下では接合されている領域を接合部213とする。
実施形態において接合部213は、第一部分211の縁辺の一部と第二部分212の縁辺の一部とを縫合して設けられている。一方、接合の方法はこれに限られず、接着剤によって接合されていても、圧着されて接合していてもよい。
【0024】
接合部213の一端から他端までの距離は少なくとも板材1の幅よりも広くなるように設けられ、板材1の一部が接合部213の間に貫入した状態で保持できるようにしている。また、接合部213は、境界の形状が板材1の外周縁の形状の一部と略一致するように設けられており、板材1の保持性能を高めている。
実施形態において、接合部213は、第一部分211と第二部分212の縁辺に沿って円弧状となるように第一部分211と第二部分212とを縫合する部分であり、接合部213の一端から他端までの距離は、板材径L1と略同一か少し大きくなるように設けられ、さらに接合部213の境界は板材1と同一曲率の円弧状となるように縫合されていることで、板材1の一部が接合部213の間に篏合するようにして保持性能を高めている。
【0025】
接合部213の下端から、一端から他端を結ぶ直線までの距離は、板材1の最大径や板材径L1よりも短く設けられることによって、取り付けられた状態において開口23から板材1が視認できるようにしていることで、板材1の取り出しを容易にしている。
【0026】
第一部分211と第二部分212は、略同一の形状で略同一の大きさであり、互いに全体が重なるように配置されている。ここで、延在部22は、重なった状態にある第一部分211及び第二部分212において、外周の同一方向に向けて延びる部分であり、第一部分211から延びる第一延在部221と、第二部分212から延びる第二延在部222と、を有する。
【0027】
第一延在部221の端部は、第二延在部222の端部と接続されている。実施形態においては、保持部材2が一の革材から切り取られていることで、第一延在部221と第二延在部222とが一体に設けられている。そして、第一延在部221と第二延在部222との境界で折り畳まれることによって、接続部分の強度を高めるとともに製造を簡単にしている。一方、接続の方法はこれに限られず、第一延在部221の端部と、第二延在部222の端部とが縫合や接着などの手段で接続されていてもよい。
【0028】
延在部22には、延在部22が延在する方向に向けて制限手段24が摺動できるように平坦に形成された移動経路223が設けられている(図面上では一点破線で示す)。実施形態において、延在部22は正面視で略長方形状となるように設けられており、保持部21から延びる二辺と平行な移動経路223に沿って制限手段24を摺動可能としている。
【0029】
開口23は、延在部22の端部から接合部213の端部にかけて設けられる、第一部分211及び第一延在部221と第二部分212及び第二延在部222との間に形成される隙間である。開口23の幅は、少なくとも板材1の厚みよりも大きくなるように拡幅可能であり、開口23の一端から他端までの距離である開口距離L2は、板材1の最大幅よりも大きくしていることで、制限手段24が設けられていない状態において、開口23からの板材1の出し入れを容易にしている。
【0030】
また、円盤状の保持部21において、接合部213の中心位置は、延在部22の中心位置に対して相対するように設けられており、これにより開口距離L2を広く取り、開口23を左右対称としてどちらからでも板材1を入れやすくしている。
【0031】
制限手段24は、開口23の拡幅を制限する部材であり、実施形態においては開口23を囲うように設けられる、可撓性を有する輪状体241である。輪状体241の内周の長さは、少なくとも延在部22の左右方向の長さと厚みの和の2倍よりも長く設けられることで、延在部22の全体を取り囲み、移動経路223上を摺動できるようにしている。
取付部3が設けられていない場合、輪状体241の内周の長さは、延在部22の左右方向の長さと厚みの和の2倍と略同一とすることで、延在部22の基部と比較して厚みが大きくなる22の端部から輪状体241が脱落することを防げる。
また、輪状体241の内周の長さは、少なくとも保持部21の左右方向の最大長さ(外径)の2倍よりも小さくなるように設けられているため、保持部21から輪状体241が脱落することも防いでいる。
【0032】
実施形態において、輪状体241は、革材(保持部21と同部材)で設けられているが、成形されたプラスチックの材や金属製のリングであってもよく、延在部22を取り囲み、移動経路223上を摺動させることができればどのようなものでもよい。
【0033】
使用者は図5(a)に示すように、保持部21の内面側に板材1と同一形状の凹部25を設けていてもよい。これにより、保持部21において板材1を篏合させ、板材1の移動を防いで保持性能を向上できる。
凹部25を形成する方法としては、保持部21をくり抜いてもよく、内周の形状を板材の外形に対応させたリング型の板金等を貼り付けることによってもよい。
【0034】
取付部3は、取付対象Yに取り付けるための金属製のリング部分であり、取付対象Yや保持部材2に取付部3を取り付けるために一時的にリングを開裂できる開裂部31を有する。なお、取付対象Yとして想定されるのは、例えば犬や猫の首輪や、カバンやベルト通し等の取付部3の内径よりも細い部材である。一方、取付部3に鍵等をまとめてキーホルダーとしてもよい。
【0035】
取付部3の内径は、少なくとも延在部22の左右方向の長さよりも大きく設けられており、第一延在部221と第二延在部222との接続部分を囲むように取り付けられるようにしている。また、取付部3の外径は少なくとも輪状体241の内径よりも大きくなるように、好ましくは輪状体241の内周長の半分よりも大きくなるように設けられており、取付部3を保持部材2に取り付けた際に、制限手段24が取付部3を越えて脱落することを防いでいる。
【0036】
図6(b)及び図6(c)に示すように、制限手段24は、移動経路223の上を摺動できるように設けられているところ、延在部22の端部方向に向けての移動は、取付部3と干渉することによって制限される。また、制限手段24の保持部21に向けての移動は、輪状体241の左右方向長さよりも左右方向の最大長さが長い保持部21の周面と干渉することによって制限され、移動経路223は延在部22の上にのみ設けられることとなる。
【0037】
図6(b)に示すように、輪状体241が移動経路223に沿って、保持部21側の端部に移動したとき、接合部213から輪状体241までの距離である最小制限距離L3が少なくとも板材径L1よりも短くなる。これによって、板材1が保持部材2と干渉し脱落することを防いでいる。
【0038】
図6(c)に示すように、輪状体241が移動経路223に沿って、取付部3と干渉する位置まで移動したとき、接合部213から輪状体241までの距離である最大制限距離L4が少なくとも板材径L1よりも短くなる。これによって、板材1が保持部材2と干渉し脱落することを防いでいる。
【0039】
実施形態において、移動経路223は直線状であるため、移動経路223上を輪状体241が移動するとき、接合部213から輪状体241までの距離が最小制限距離L3と最大制限距離L4との間に収まるため、輪状体241が移動経路223上のどの位置にあっても板材1が接合部213及び輪状体241と干渉するようになる。これにより、取付部3が取り付けられている状態において、保持部材2から板材1が脱落しないようにする。
【0040】
以下、図5及び図6を用いて、本発明の製造方法ないし実施の方法について詳述する。本発明は、保持具Xを製造する製造者及び板材1を保持する使用者によって実施される。また、以下に示す実施の方法は一例であり、実施の方法はこれに限られず、順番は前後してもよい。
【0041】
まず、製造者は革材から保持部材2を切り出す。切り出しの形状は、図5(a)に示すように、両端を第一部分211及び第二部分212に相当する略円形状を形成し、さらに第一部分211と第二部分212とを延在部22によって接続することで、略ダンベル型を形成するようにする。
【0042】
製造者は、第一部分211の中心及び/又は第二部分212の中心に凹部25を形成してもよい。凹部25は切削等の方法でくり抜いて形成してもよく、板材1に対応する形状にくり抜いた板を貼り付けて形成してもよい。
【0043】
次に製造者は、延在部22の中心線(図5(a)の破線部分)で、保持部材2を谷折りに曲げ、図5(b)に示す状態とする。その後、第一部分211と第二部分212とを重ね合わせ、縁辺より1~10mm程度内側に沿って第一部分211と第二部分212とを部分的に縫合して接合する。接合する位置は少なくとも移動経路223から離れた位置であり、保持部21において延在部22が設けられている位置と相対する位置を接合部213に含むようにする。これにより、板材1を保持部材の中に貫入しやすくする。
【0044】
併せて、製造者は革材を長方形に切り出して端部同士を接続することによって、輪状体241を製造する。製造者は上記の操作によって、保持部材2を製造することができる。
【0045】
使用者は、識別情報を書き込んだ板材1を保持部21の中に保持させる。使用者は図5(b)に示すように、開口23から板材1を保持部21の中に入れ、板材1の一部が接合部213に沿って配置するように差込むことで、保持部21の内部に板材1を挟み込む。
【0046】
次に使用者は、図5(c)に示すように、延在部22の端部から、延在部22の周囲を覆うように輪状体241を差し込む。これにより、開口23の拡幅を制限し、板材1の脱落を防ぐ。続いて使用者は、輪状体241を、移動経路223に沿って保持部21の方向へ移動させ、図6(a)の状態とする。
【0047】
次に使用者は、開裂部31を一時的に開くことによって、図6(a)及び図6(b)に示すように、取付部3を延在部22の内周側に取り付ける。ここで、延在部22は第一延在部221と第二延在部222が端部で接続されることでループとなっており、また取付部3は輪状体241によって移動経路223上で干渉するため、取付部3が脱落することはない。
【0048】
最後に使用者は、取付部3を取付対象Yに取り付ける。
この際、輪状体241は移動経路223上を移動するが、移動経路223のどの位置にあっても輪状体241から接合部213までの距離が板材径L1よりも短くなるため、板材1が保持部材2から脱落することはなくなる。また、使用者が上記と逆の操作を行うことによれば簡単に板材1を取り外すことができる。従って取り付けた板材が脱落することを防止するとともに、必要な場合には板材の交換を簡便にできる保持具を使用できる。
【0049】
《第二の実施形態》
以下に、図7を用いて第二の実施形態に係る保持具Xについて説明する。第一の実施形態と同様の構成については説明を省略する。実施形態の構成は他の実施形態の構成を抜き出して適宜組み合わせてもよい。保持具Xは、板材1と、保持部材2と、取付部3とを備える。
【0050】
板材1は、略直方体形状の板状部材であって、正面視で短辺と、短辺よりも長い長辺を有する。
【0051】
保持部材2は、少なくとも板材1を覆う大きさを持つ保持部21と、延在部22と、開口23と、制限手段24と、を有する。
実施形態において保持部21は、板材1を覆う大きさの長方形部分と、下辺が長方形部分の一辺と共有される台形部分からなり、台形部分の上辺から延在部22が延びている。
【0052】
接合部213は、保持部21の長方形部分の外周縁の3辺に沿って略U字状に設けられており、間に板材1を保持できるようにしている。また、接合部213の一端から他端までの距離は少なくとも板材1の短辺の幅よりも長くなるようにしており、少なくとも短辺側から接合部213の間に板材1を挿入できるようにしている。
【0053】
開口23の長さは、少なくとも板材1の短辺の長さよりも長く、好ましくは長辺の幅よりも長くなることで、容易に板材1を挿入できるようにしている。特に、実施形態のように、接合部213から延在部22端辺の延長線との距離が、板材1の長辺の幅よりも長ければ、保持部材2の内側で板材1を摺動させて接合部213の間に板材1を挿入することが容易にできる。
【0054】
制限手段24は紐材242であって、端部を結ぶことで輪状体241と略同一の作用を奏するようにしている。紐材242は、延在部22の中途で結ばれることで、開口23の拡幅を抑制している。
実施形態において、延在部22の中途に紐材242の径よりも幅広な切り込みが設けられており、切り込みに当接するように紐材242が結ばれることで、紐材242の移動経路方向の移動を規制している。
【0055】
《第三の実施形態》
以下に、図8(a)、図8(b)を用いて第三の実施形態に係る保持具Xについて説明する。第一の実施形態と同様の構成については説明を省略する。保持具Xは、板材1と、保持部材2と、取付部3とを備える。
【0056】
板材1は円盤状であり、保持部材2は、保持部21と、延在部22と、開口23と、制限手段24と、を備えている。保持部21は、正面視で板材1の全体を覆うことができる大きさの略六角形状に設けられており、頂点もしくは一辺から外周に向けて延在部22が延びている。
【0057】
接合部213は、境界が板材1の外周形状に沿うように第一部分211と第二部分212とを接続している。すなわち、曲率が板材1と略同一の円弧状となるように第一部分211と第二部分212とを縫合している。
【符号の説明】
【0058】
X 保持具
1 板材
2 保持部材
21 保持部
211 第一部分
212 第二部分
213 接合部
22 延在部
221 第一延在部
222 第二延在部
223 移動経路
23 開口
24 制限手段
241 輪状体
242 紐材
25 凹部
3 取付部
31 開裂部
L1 板材径
L2 開口距離
L3 最小制限距離
L4 最大制限距離
Y 取付対象
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8