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特開2025-21245RFIDタグ用コーティングゴム組成物、及びタイヤ
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  • 特開-RFIDタグ用コーティングゴム組成物、及びタイヤ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021245
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】RFIDタグ用コーティングゴム組成物、及びタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C09D 107/00 20060101AFI20250205BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20250205BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20250205BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20250205BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20250205BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20250205BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20250205BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20250205BHJP
   G06K 19/02 20060101ALI20250205BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20250205BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
C09D107/00
C08L21/00
C08K3/013
C08K3/36
C08K3/04
C09D7/61
C09D7/63
G06K19/077 232
G06K19/02
B60C1/00 Z
B60C19/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125045
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 智江
(72)【発明者】
【氏名】小林 千伽子
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
4J038
【Fターム(参考)】
3D131AA13
3D131BC07
3D131LA01
4J002AC011
4J002AC041
4J002AC051
4J002AC061
4J002AC071
4J002AC081
4J002AC091
4J002AC111
4J002AC141
4J002BB181
4J002BN021
4J002CD181
4J002DA038
4J002DJ016
4J002EX087
4J002FD016
4J002FD018
4J002FD207
4J002GH00
4J002GN01
4J002GQ00
4J002GS00
4J002GT00
4J038CA011
4J038CA021
4J038HA026
4J038HA446
4J038JC32
4J038KA02
4J038KA08
4J038NA27
4J038PB07
4J038PB09
4J038PC02
4J038PC08
(57)【要約】
【課題】タイヤのサステナブル材料の比率を向上させることが可能なRFIDタグ用コーティングゴム組成物、並びに、サステナブル材料の比率を向上させたタイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分(A)と、シリカ(B)と、を含み、前記シリカ(B)が、植物由来のシリカ(B1)を含み、前記シリカ(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して45質量部以上であることを特徴とする、RFIDタグ用コーティングゴム組成物、並びに、該RFIDタグ用コーティングゴム組成物で被覆したRFIDタグ12を具えることを特徴とする、タイヤ1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分(A)と、シリカ(B)と、を含み、
前記シリカ(B)が、植物由来のシリカ(B1)を含み、
前記シリカ(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して45質量部以上であることを特徴とする、RFIDタグ用コーティングゴム組成物。
【請求項2】
更に、シランカップリング剤(C)を含む、請求項1に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物。
【請求項3】
前記シランカップリング剤(C)の含有量が、前記シリカ(B)の含有量の5~20質量%である、請求項2に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物。
【請求項4】
前記シリカ(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して45~90質量部である、請求項1に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物。
【請求項5】
前記植物由来のシリカ(B1)が、イネ科植物由来のシリカである、請求項1に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物。
【請求項6】
前記植物由来のシリカ(B1)が、籾殻由来のシリカである、請求項5に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物。
【請求項7】
前記ゴム成分(A)100質量部に対して、カーボンブラックの含有量が15質量部以下である、請求項1に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物。
【請求項8】
前記シリカ(B)とカーボンブラックの合計含有量におけるシリカ(B)の含有割合が、80~100質量%である、請求項1に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物。
【請求項9】
請求項1に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物で被覆したRFIDタグを具えることを特徴とする、タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグ用コーティングゴム組成物、及びタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤにRFID(Radio Frequency Identification)タグを配設し、該RFIDに、タイヤの製造履歴、流通履歴、使用履歴等の様々な情報を書き込み又は読み出して、タイヤを個別に管理することが提案されている(特許文献1)。
前記RFIDタグは、通常、主としてゴム部材からなるタイヤ中に配設するために、コーティングゴムで被覆される。そして、該RFIDタグ用のコーティングゴムには、通信性能の他、耐亀裂性、隣接ゴム部材との接着性、適切な弾性率等の様々な要求特性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第1580041号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、昨今、社会の持続可能性(サステナビリティ)の観点から、タイヤに使用される各種部材についても、生物資源(バイオマス資源)由来の材料や、再生資源(リサイクル資源)由来の材料といった、所謂、サステナブル材料の比率の向上が求められている。
しかしながら、前記RFIDタグ用のコーティングゴムについては、これまで、サステナブル材料の使用が検討されてこなかった。
【0005】
そこで、本発明は、タイヤのサステナブル材料の比率を向上させることが可能なRFIDタグ用コーティングゴム組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、サステナブル材料の比率を向上させたタイヤを提供することを更なる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明のRFIDタグ用コーティングゴム組成物、及びタイヤの要旨構成は、以下の通りである。
【0007】
[1] ゴム成分(A)と、シリカ(B)と、を含み、
前記シリカ(B)が、植物由来のシリカ(B1)を含み、
前記シリカ(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して45質量部以上であることを特徴とする、RFIDタグ用コーティングゴム組成物。
上記[1]に記載の本発明のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、タイヤのサステナブル材料の比率を向上させることが可能である。
【0008】
[2] 更に、シランカップリング剤(C)を含む、[1]に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物。
上記[2]に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、耐亀裂性や弾性率が更に向上している。
【0009】
[3] 前記シランカップリング剤(C)の含有量が、前記シリカ(B)の含有量の5~20質量%である、[2]に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物。
上記[3]に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、耐亀裂性や弾性率がより一層向上している。
【0010】
[4] 前記シリカ(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して45~90質量部である、[1]~[3]のいずれか一つに記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物。
上記[4]に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、耐亀裂性や弾性率がより一層向上している。
【0011】
[5] 前記植物由来のシリカ(B1)が、イネ科植物由来のシリカである、[1]~[4]のいずれか一つに記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物。
上記[5]に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物において、イネ科植物由来のシリカは、タイヤ製造工場の近隣で原料を現地調達できるため、輸送や保管のエネルギー及びコストを低減でき、種々の観点から、環境面で好ましい
【0012】
[6] 前記植物由来のシリカ(B1)が、籾殻由来のシリカである、[5]に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物。
上記[6]に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物において、籾殻由来のシリカは、産業廃棄物として多量に発生することから量を確保し易く、また、タイヤ製造工場の近隣で原料を現地調達できるため、輸送や保管のエネルギー及びコストを低減でき、種々の観点から、環境面で好ましい。
【0013】
[7] 前記ゴム成分(A)100質量部に対して、カーボンブラックの含有量が15質量部以下である、[1]~[6]のいずれか一つに記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物。
上記[7]に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、比誘電率が低く、RFIDタグの通信距離を長くすることができる。
【0014】
[8] 前記シリカ(B)とカーボンブラックの合計含有量におけるシリカ(B)の含有割合が、80~100質量%である、[1]~[7]のいずれか一つに記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物。
上記[8]に記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、耐亀裂性や弾性率が向上している上、比誘電率が低く、RFIDタグの通信距離を長くすることができる。
【0015】
[9] [1]~[8]のいずれか一つに記載のRFIDタグ用コーティングゴム組成物で被覆したRFIDタグを具えることを特徴とする、タイヤ。
上記[9]に記載の本発明のタイヤは、サステナブル材料の比率が向上している。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、タイヤのサステナブル材料の比率を向上させることが可能なRFIDタグ用コーティングゴム組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、サステナブル材料の比率を向上させたタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のタイヤの一実施態様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明のRFIDタグ用コーティングゴム組成物、及びタイヤを、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
【0019】
<定義>
本明細書に記載されている化合物は、部分的に、又は全てが化石資源由来であってもよく、植物資源等の生物資源由来であってもよく、使用済タイヤ等の再生資源由来であってもよい。また、化石資源、生物資源、再生資源のいずれか2つ以上の混合物由来であってもよい。
【0020】
本明細書において、「サステナブル材料の比率」とは、対象とするRFIDタグ用コーティングゴム組成物、及びタイヤ中の、生物資源(バイオマス資源)由来の材料と、再生資源(リサイクル資源)由来の材料と、の総質量割合である。
【0021】
本明細書において、前記生物資源(バイオマス資源)とは、生物由来のカーボンニュートラルな有機資源を指し、例えば、デンプンやセルロース等の形で蓄えられたもの、植物を食べて成育する動物の体や、植物や動物を加工して得た製品等が包含され、化石資源(石油、石炭、天然ガス等)を除く資源である。該生物資源は、可食であってもよいし、非可食であってもよいが、食料と競合せず、また、資源の有効利用の観点からは、非可食であることが好ましい。
【0022】
前記生物資源の具体例としては、例えば、セルロース系作物(パルプ、ケナフ、麦藁、稲藁、古紙、製紙残渣等)、木材、木炭、堆肥、生ゴミ、植物油カス、水産物残渣、家畜排泄物、食品廃棄物、排水汚泥、天然ゴム、綿花、油脂(パーム油、ヒマシ油、綿実油、大豆油、アマニ油、菜種油、ヤシ油、落花生油、トール油、コーン油、コメ油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、向日葵油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油、ココナッツ油等)、炭水化物系作物(トウモロコシ、小麦、米、籾殻、米ぬか、古米、イモ類、そば、キャッサバ、サゴヤシ、サトウキビ等)、バガス(即ち、サトウキビの搾汁後の残渣)、大豆、おから、精油(松根油、オレンジ油、ユーカリ油等)、パルプ黒液、藻類等が挙げられる。前記生物資源としては、これらを処理したもの(即ち、生物資源由来物質)を利用することもできる。処理方法としては、例えば、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体等の働きを利用した生物学的処理方法;酸、アルカリ、触媒、熱エネルギー、光エネルギー等を利用した化学的処理方法;微細化、圧縮、マイクロ波処理、電磁波処理等の物理的処理方法;等が挙げられる。また、前記生物資源としては、前記生物資源や前記処理を行った生物資源から、抽出、精製したもの(即ち、生物資源由来物質)を利用することもできる。例えば、前記生物資源から精製した糖類、タンパク質、アミノ酸、脂肪酸、脂肪酸エステル等を利用することもできる。前記糖類としては、生物資源由来の、スクロース、グルコース、トレハロース、フルクトース、ラクトース、ガラクトース、キシロース、アロース、タロース、グロース、アルトロース、マンノース、イドース、アラビノース、アピオース、マルトース、セルロース、デンプン、キチン等が挙げられる。前記タンパク質としては、生物資源由来で、アミノ酸(好ましくはL-アミノ酸)が連結してできた化合物が挙げられ、ジペプチド等のオリゴペプチドも包含される。前記アミノ酸としては、生物資源由来の、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、リジン、アスパラギン、グルタミン、フェニルアラニン等が挙げられ、これらの中でも、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、フェニルアラニンが好ましい。該アミノ酸は、L-アミノ酸でも、D-アミノ酸でもよいが、天然における存在量が多く、入手容易性の観点から、L-アミノ酸が好ましい。前記脂肪酸としては、生物資源由来の、酪酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。前記脂肪酸エステルとしては、植物油、動物油、生物資源由来の油脂の改質物等が挙げられる。これら生物資源には、種々の材料、不純物が混入していてもよい。
【0023】
本明細書において、前記再生資源(リサイクル資源)とは、一度使用され、又は使用されずに収集され、若しくは廃棄された製品を再生(リサイクル)して得た資源を指す。例えば、再生資源としては、使用済タイヤ等の使用済ゴム製品を再生(リサイクル)して得た資源等が挙げられる。
【0024】
<RFIDタグ用コーティングゴム組成物>
本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、ゴム成分(A)と、シリカ(B)と、を含む。そして、本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物においては、前記シリカ(B)が植物由来のシリカ(B1)を含み、前記シリカ(B)の含有量が前記ゴム成分(A)100質量部に対して45質量部以上であることを特徴とする。
【0025】
一般のゴム組成物は、カーボンブラックを含むが、カーボンブラックは、ゴム組成物の比誘電率を上昇させ、RFIDタグの通信距離(通信可能距離)を短くし、通信性能を低下させてしまう。ここで、カーボンブラックを使用しないと、ゴム組成物の耐亀裂性や弾性率が低下してしまう。これに対して、本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、シリカ(B)を含み、該シリカ(B)は、カーボンブラックと異なり、ゴム組成物の比誘電率を上昇させないため、RFIDタグの通信距離を長くして、通信性能を向上させることができる。また、シリカ(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して45質量部以上であることで、ゴム組成物の耐亀裂性や弾性率を十分に確保することができる。また、ゴム組成物が十分な弾性率を有することで、ゴム組成物で被覆したRFIDタグへの応力集中を抑制して、ゴム組成物(コーティング)と隣接ゴム部材との間の接着性を確保できる。従って、本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、通信性能、耐亀裂性、隣接ゴム部材との接着性、弾性率を十分にバランスすることが可能である。
【0026】
ここで、前記通信性能に関して、比誘電率測定器を用いて、860MHzでのゴム組成物の比誘電率を測定することができる。また、過去の比誘電率の測定結果から比誘電率はゴム配合中のカーボンブラックの量で推定できることが分かっているため、比誘電率については計算にて算出することもできる。
【0027】
また、本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物において、植物由来のシリカ(B1)は、生物資源(バイオマス資源)由来の材料であるため、本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、サステナブル材料の比率が向上している。そのため、本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物で被覆したRFIDタグをタイヤに適用することで、タイヤのサステナブル材料の比率を向上させることが可能になる。
なお、ゴム成分(A)と、シリカ(B)とを含み、シリカ(B)の含有量がゴム成分(A)100質量部に対して45質量部以上であるゴム組成物においては、シリカ(B)が植物由来のシリカ(B1)を含んでも、通信性能等の性能を損なうことがない。
【0028】
(ゴム成分(A))
本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、ゴム成分(A)を含み、該ゴム成分(A)が、組成物にゴム弾性をもたらす。該ゴム成分(A)は、サステナブル率が30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることがより一層好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
ここで、ゴム成分(A)の「サステナブル率」とは、ゴム成分(A)中の、生物資源(バイオマス資源)由来の成分と、再生資源(リサイクル資源)由来の成分と、の総質量割合である。
【0029】
前記ゴム成分(A)としては、前記生物資源由来のゴム、及び前記再生資源由来のゴムが好ましい。
ここで、前記生物資源由来のゴムを構成するモノマー成分100mol%中の生物資源由来のモノマー成分の割合は、50mol%以上が好ましく、70mol%以上がより好ましく、80mol%以上が更に好ましく、90mol%以上がより一層好ましく、95mol%以上が特に好ましく、100mol%であってもよい。
また、前記再生資源由来のゴムを構成するモノマー成分100mol%中の再生資源由来のモノマー成分の割合は、50mol%以上が好ましく、70mol%以上がより好ましく、80mol%以上が更に好ましく、90mol%以上がより一層好ましく、95mol%以上が特に好ましく、100mol%であってもよい。
【0030】
前記ゴム成分(A)は、架橋に寄与する成分であり、通常、重量平均分子量(Mw)が1万以上であり、好ましくは5万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、また、好ましくは500万以下、より好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは130万以下である。
なお、本明細書において、ゴム成分(A)の重量平均分子量(Mw)は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
【0031】
前記ゴム成分(A)としては、ジエン系ゴムが好ましく、また、該ジエン系ゴムとしては、イソプレン系ゴム、及びブタジエン系ゴムが好ましい。ここで、イソプレン系ゴムとは、モノマー単位としてイソプレン由来の単位を含むゴムを指し、また、ブタジエン系ゴムとは、モノマー単位としてブタジエン由来の単位を含むゴムを指す。
【0032】
前記イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、合成イソプレンゴム(IR)、改質天然ゴム(改質NR)、変性天然ゴム(変性NR)、変性合成イソプレンゴム(変性IR)等が挙げられる。天然ゴム(NR)としては、例えば、RSS#3、TSR20(例えば、SIR20やSTR20)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。天然ゴム(NR)の起源は、特に限定されず、例えば、パラゴムノキ由来、グアユール由来、ロシアタンポポ由来のもの等が挙げられる。合成イソプレンゴム(IR)としては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等が挙げられる。変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等が挙げられる。変性IRとしては、エポキシ化合成イソプレンゴム、水素添加合成イソプレンゴム、グラフト化合成イソプレンゴム等が挙げられる。これらイソプレン系ゴムは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、イソプレン系ゴムとしては、NRが好ましい。
【0033】
前記イソプレン系ゴムは、サステナブル率が30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることがより一層好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
前記イソプレン系ゴムのサステナブル率を前記範囲内とするためには、天然ゴム(NR)を使用したり、生物資源由来のイソプレンや再生資源由来のイソプレンをモノマー成分として合成されたポリマーを使用することが好ましい。この際、合成されたポリマーは、生物資源由来のモノマーの単独重合体であってもよいし、再生資源由来のモノマーの単独重合体であってもよいし、生物資源由来のモノマーと再生資源由来のモノマーとの共重合体であってもよいし、生物資源由来のモノマー及び/又は再生資源由来のモノマーと化石資源(石油等)由来のモノマーとの共重合体であってもよい。
【0034】
前記ブタジエン系ゴムとしては、ブタジエンゴム(BR)、芳香族ビニル化合物-ブタジエン共重合体ゴム(例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR))等が挙げられる。ここで、ブタジエン系ゴムの原料となるブタジエンは、生物資源由来又は再生資源由来であることが好ましい。
【0035】
前記ブタジエンゴム(BR)としては、例えば、高シス含量のブタジエンゴム、低シス含量のブタジエンゴム、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するブタジエンゴム等が挙げられる。前記ブタジエンゴム(BR)としては、市販品を利用することができ、該ブタジエンゴムの市販品としては、UBEエラストマー(株)、株式会社ENEOSマテリアルズ、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品が挙げられる。これらブタジエンゴムは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
前記芳香族ビニル化合物-ブタジエン共重合体ゴム(例えば、SBR)としては、例えば、乳化重合芳香族ビニル化合物-ブタジエン共重合体ゴム(例えば、乳化重合スチレン-ブタジエンゴム(E-SBR))、溶液重合芳香族ビニル化合物-ブタジエン共重合体ゴム(例えば、溶液重合スチレン-ブタジエンゴム(S-SBR))等が挙げられる。前記芳香族ビニル化合物-ブタジエン共重合体ゴムにおいて、芳香族ビニル化合物(芳香族ビニルモノマー)としては、例えば、スチレン、ビニルナフタレン、ジビニルナフタレン等が挙げられる。これら芳香族ビニル化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、スチレンが好ましく、生物資源由来のスチレン、及び再生資源由来のスチレンが特に好ましい。即ち、芳香族ビニル化合物-ブタジエン共重合体ゴムとしては、SBRが好ましい。なお、前記スチレンは、置換基を有していてもよい。前記芳香族ビニル化合物-ブタジエン共重合体ゴムとしては、市販品を利用することができ、該市販品としては、旭化成(株)、株式会社ENEOSマテリアルズ、日本ゼオン(株)、住友化学(株)等の製品が挙げられる。これら芳香族ビニル化合物-ブタジエン共重合体ゴムは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
前記ブタジエン系ゴムは、サステナブル率が30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることがより一層好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
前記ブタジエン系ゴムのサステナブル率を前記範囲内とするためには、例えば、生物資源由来のブタジエン、再生資源由来のブタジエン、生物資源由来の芳香族ビニル化合物(例えば、生物資源由来のスチレン)、再生資源由来の芳香族ビニル化合物(例えば、再生資源由来のスチレン)をモノマー成分として合成されたポリマーを使用すればよい。この際、合成されたポリマーは、生物資源由来のモノマーの単独重合体であってもよいし、再生資源由来のモノマーの単独重合体であってもよいし、生物資源由来のモノマーと再生資源由来のモノマーとの共重合体であってもよいし、生物資源由来のモノマー及び/又は再生資源由来のモノマーと化石資源(石油等)由来のモノマーとの共重合体であってもよい。なお、生物資源(バイオマス資源)由来のブタジエンゴム(B-BR)、生物資源由来の芳香族ビニル化合物-ブタジエン共重合体ゴム(例えば、生物資源(バイオマス資源)由来のスチレン-ブタジエンゴム(B-SBR))には、ブタジエン等を従来法に従って重合して得たゴムだけではなく、微生物、植物、動物、及びこれらの組織培養体(以下、「微生物等」とも呼ぶ。)による反応や酵素反応により得られたゴムも包含される。
【0038】
また、前記ゴム成分(A)全体のサステナブル率を前記範囲内とするためには、ゴム成分(A)として、天然ゴム(NR)を使用したり、生物資源由来のモノマー成分や再生資源由来のモノマー成分をモノマー成分として合成されたポリマーを使用することが好ましい。
【0039】
一般に、タイヤ用ゴム組成物の素材(ゴム及びそのモノマー、充填剤、樹脂等)は、その製造に大規模な製造装置を要するため、通常、特定地域の大工場で生産され、原料及び製品の保管、輸送に多くのエネルギーを要する。これに対して、生物資源(バイオマス資源)由来の素材は、各地域の農産物、森林等に由来し、また、微生物の発酵、触媒反応により小規模でも製造できるため、各地域の生産物や廃棄物を活用することで、原料の輸送及び保管に要するエネルギーを削減でき、更には製造した素材のタイヤ工場への輸送及び保管に要するエネルギーも削減でき、環境に優しい。また、再生資源(リサイクル資源)由来の素材は、例えば、使用済タイヤを解体、熱分解して、ゴム、充填剤、スチールコード等、タイヤを構成する材料を取り出すことで入手できる。その他にも、生物資源又は生物資源の処理物を脱硫して、当該生物資源又は生物資源の処理物から硫黄含有物質を取り除く脱硫工程と、該脱硫工程で発生した脱硫処理残渣から硫黄を回収する回収工程と、回収した硫黄を加硫用硫黄に加工する加工工程と、を含む方法(例えば、特願2022-140390に記載の方法)等により、生物資源又は生物資源の処理物から硫黄を得ることができ、各種廃棄物や使用済み物品からタイヤ用ゴム組成物の素材を入手することができる。このように、サステナブル材料(生物資源由来の素材や、再生資源由来の素材)を用いることで、ライフサイクル全体における二酸化炭素排出量(LCCO2)の削減、ライフサイクル全体におけるエネルギー消費量(LCE)の削減、ライフサイクル全体で発生するコスト(LCC)の削減、化石資源の使用量削減等、タイヤ製造において総合的に環境負荷を低減できる。
【0040】
また、前記ゴム組成物を製造する際の、生物資源、再生資源、化石資源(例えば、化石資源由来のモノマー成分)の供給状況及び/又は市場の要求(例えば、生物資源の食料としての需要)に応じて、生物資源由来のモノマー成分、再生資源由来のモノマー成分、及び化石資源由来のモノマー成分の比率を適宜選択して、生物資源由来のモノマー成分、再生資源由来のモノマー成分、及び化石資源由来のモノマー成分を重合することにより、従来の合成ゴムを用いた場合と同等の性能を有するサステナブル材料(生物資源由来の素材や、再生資源由来の素材)由来のゴムを得ることができる。なお、再生資源由来のモノマー成分を用いる場合は、該モノマーの製造工程上の理由から、化石資源由来のモノマー成分と分けることが困難な場合もある。その場合は、マスバランスの考え方を採用することで、環境に対する影響を評価することができる。
【0041】
前記ゴム成分(A)全体中の各モノマー単位(例えば、イソプレンに由来する単位、ブタジエンに由来する単位、芳香族ビニル化合物に由来する単位)の比率は、適用先の部材等に応じて、適宜調整することができる。該ゴム成分全体中の各モノマー単位の比率は、例えば、上述のイソプレン系ゴム、ブタジエン系ゴムを適宜組み合わせることで調整できる。また、ブタジエンに由来する単位中のシス結合単位の比率についても、適用先の部材等に応じて適宜調整することができる。
なお、本明細書において、「モノマー単位」とは、ポリマーの構成単位を意味し、「イソプレンに由来する単位」とは、モノマーであるイソプレンに基づいて構成されるポリマー中の構成単位(天然ゴム中のイソプレン単位も含む)を意味し、「ブタジエンに由来する単位」とは、モノマーであるブタジエンに基づいて構成されるポリマー中の構成単位を意味し、芳香族ビニル化合物に由来する単位とは、モノマーである芳香族ビニル化合物に基づいて構成されるポリマー中の構成単位を意味する。
また、本明細書において、各モノマー単位の比率は、NMRにより測定される。
【0042】
前記ゴム成分(A)は、上述のイソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、芳香族ビニル化合物-ブタジエン共重合体ゴム(例えば、SBR)の他にも、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合体ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムを含んでもよい。これらゴム成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
前記ゴム成分(A)には、変性により、カーボンブラック、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基が導入されていてもよい。該官能基としては、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、シリル基、アルコキシシリル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基等が挙げられ、また、これら官能基は、置換基を有していてもよい。これら官能基は、1種単独でゴム成分に導入してもよいし、2種以上を組み合わせてゴム成分に導入してもよい。これらの中でも、アミノ基、アルコキシ基、及びアルコキシシリル基が好ましく、アミノ基の水素原子が炭素数1~6のアルキル基で置換された置換アミノ基、炭素数1~6のアルコキシ基、及び炭素数1~6のアルコキシシリル基が更に好ましい。
【0044】
前記官能基は、例えば、該官能基を有する化合物(変性剤)を前記ゴム成分(A)と反応させることで導入できる。該官能基は、シリカやカーボンブラックといった充填剤に対して相互作用性を有する変性官能基であり、例えば、含窒素官能基、含ケイ素官能基、含酸素官能基等が挙げられる。含窒素官能基を有する化合物(変性剤)としては、アミノ基含有化合物等が挙げられ、含ケイ素官能基を有する化合物(変性剤)としては、ハロゲン化ケイ素、ヒドロカルビルオキシシラン化合物等が挙げられ、含酸素官能基を有する化合物(変性剤)としては、アルコキシ基含有化合物、アルキレンオキシド基含有化合物、トリアルキルシリロキシ基含有化合物等が挙げられる。より具体的には、国際公開第2016/194316号、国際公開第2019/117256号に記載の化合物等が挙げられる。これら変性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
前記サステナブル材料(生物資源由来の素材や、再生資源由来の素材)由来のゴムは、例えば、生物資源由来のモノマー成分や、再生資源由来のモノマー成分を用い、必要に応じて、化石資源由来のモノマー成分を用いて、従来の化石資源由来の合成ゴムの製造方法と同様にして製造することができる。また、前記サステナブル材料由来のゴム(特には、生物資源由来のゴム)は、微生物等による反応や酵素反応により得ることもできる。
【0046】
上述の生物資源から生物資源由来ゴムを調製する方法については、例えば、特開2022-179158号公報に記載の方法を用いることができる。例えば、モノマー成分として生物資源から得られたブタジエンを用いることで、生物資源(バイオマス資源)由来のブタジエンゴム(B-BR)を得ることができ、また、モノマー成分として生物資源から得られたスチレンと、生物資源から得られたブタジエンを用いることで、生物資源(バイオマス資源)由来のスチレン-ブタジエンゴム(B-SBR))を得ることができる。ここで、生物資源からB-BR、B-SBRを得る方法としては、人工的に重合する方法の他、生体内で重合する方法、生物由来酵素で重合する方法等が挙げられる。得られるB-BR、B-SBRの分子量、分岐、ミクロ構造等は、目的のタイヤ性能に応じて、公知の方法に従って重合条件を変更することにより適宜調整することができる。
【0047】
前記生物資源から得られたブタジエンとしては、アルキルアルコール類(好ましくはエタノール、及びブタノール、より好ましくはブタノール)由来のブタジエン、アルケン類(好ましくはエチレン)由来のブタジエン、不飽和カルボン酸類(好ましくはチグリン酸)由来のブタジエンを好適に使用できる。また、これらのブタジエンを2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、前記生物資源から得られたスチレンとしては、植物(好ましくはマンサク科、エゴノキ科、キョウチクトウ科に属する植物、より好ましくはフウ属、エゴノキ属、ニチニチソウ属に属する植物、更に好ましくはモミジバフウ、エゴノキ、ニチニチソウ)により得られたスチレン、微生物(好ましくはペニシリウム属、エシェリキア属に属する微生物、より好ましくはP.citrinum、形質転換されたE.coli)により得られたスチレンを好適に使用できる。また、これらのスチレンを2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0048】
昨今、バイオエタノール、バイオエチレン等を中心としたバイオマスコンビナートが計画されているが、バイオエタノール及びバイオエチレンは、生物資源として、主に糖類及び/又はセルロース類を用いて製造され、タンパク質、脂質、アミノ酸等の他の生物資源を有効に活用できない。更に、糖類は、食料と競合し、セルロース類の過度の利用は、森林伐採に繋がる。そのため、種々の生物資源の供給状況の他、再生資源の供給状況、化石資源の供給状況、及び市場の要求(例えば、バイオマス資源の食料としての需要)に応じて、前記生物資源由来のモノマー成分として、生物資源由来のモノマー成分を複数種使用したり、生物資源由来のモノマー成分と再生資源由来のモノマー成分と化石資源由来のモノマー成分とを併用し、更にこれらのモノマー成分の比率を適宜調整して使用することが好ましい。これにより、1種類の生物資源に頼ることなく、糖、タンパク質、脂質等、幅広い生物資源や、再生資源を有効に活用でき、また、サステナブル材料由来のゴムを安定的に供給でき、更には、製造時の状況に応じて環境に配慮することもできる。
なお、生物資源由来のモノマー成分を複数種類使用する場合には、異なる生物資源に由来するモノマー成分、即ち、異なる生物資源から得られたモノマー成分を使用することが好ましい。具体的には、生物資源由来のブタジエンとして、由来が異なる複数種類の生物資源由来のブタジエンの混合物を使用すること、及び/又は、生物資源由来のスチレンとして、由来が異なる複数種類の生物資源由来のスチレンの混合物を使用することが好ましい。これにより、複数種類の生物資源を有効活用できる。
【0049】
(シリカ(B))
本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、シリカ(B)を含み、該シリカ(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して45質量部以上である。ゴム組成物にシリカ(B)を配合することで、ゴム組成物の比誘電率を上昇させずに、ゴム組成物の耐亀裂性や弾性率を向上させることができるが、シリカ(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して45質量部未満であると、ゴム組成物の耐亀裂性や弾性率が不十分である。なお、ゴム組成物の比誘電率は、RFIDタグの通信距離(通信可能距離)の観点から、4.0以下が好ましく、2.5以下が更に好ましい。
【0050】
前記シリカ(B)の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して45~100質量部であることが好ましく、45~90質量部であることが更に好ましく、60~80質量部であることが特に好ましい。シリカ(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して60質量部以上であると、ゴム組成物の耐亀裂性や弾性率を更に向上させることができる。また、シリカ(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して45質量部未満であると、耐亀裂性の低下および弾性率の低下が発生する。なお、シリカ(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して45~100質量部の場合、ゴム組成物の耐亀裂性や弾性率を更に向上させることができる。また、シリカ(B)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して45~90質量部の場合、ゴム組成物の耐亀裂性や弾性率をより一層向上させることができる。
【0051】
前記シリカ(B)は、植物由来のシリカ(B1)を含む。該植物由来のシリカ(B1)は、生物資源(バイオマス資源)由来の材料であるため、植物由来のシリカ(B1)を含むことで、RFIDタグ用コーティングゴム組成物中のサステナブル材料の比率が向上し、該ゴム組成物をタイヤに適用することで、タイヤのサステナブル材料の比率を向上させ、環境負荷を低減できる。
【0052】
前記植物由来のシリカ(B1)としては、環境負荷低減の観点から、ケイ酸植物由来のシリカが好ましい。該ケイ酸植物は、例えば、コケ類、シダ類、トクサ類、ウリ科、イラクサ科、イネ科の植物等に存在する。これら植物の中でも、イネ科植物が好ましく、即ち、前記植物由来のシリカ(B1)としては、イネ科植物由来のシリカが好ましい。イネ科植物由来のシリカは、タイヤ製造工場の近隣で原料を現地調達できるため、輸送や保管のエネルギー及びコストを低減でき、種々の観点から、環境面で好ましい。
また、該イネ科植物としては、イネ、笹、サトウキビ等が挙げられ、これらの中でも、イネが好ましい。該イネは、食用に広く栽培されているため、広い地域で現地調達可能であり、また、イネの籾殻は、産業廃棄物として多量に発生することから量を確保し易い。従って、入手容易性の観点から、植物由来のシリカ(B1)としては、籾殻由来のシリカ(以下、「籾殻シリカ」とも呼ぶ。)が特に好ましい。該籾殻シリカを用いることで、産業廃棄物となる籾殻を有効活用でき、また、タイヤ製造工場の近隣で原料を現地調達できるため、輸送や保管のエネルギー及びコストを低減でき、種々の観点から、環境面で好ましい。前記籾殻シリカは、籾殻を加熱により炭化して得られる籾殻炭の粉末でもよいし、籾殻を燃料としてバイオマスボイラーで燃焼させた際に発生する籾殻灰をアルカリで抽出してケイ酸アルカリ水溶液を調製し、該ケイ酸アルカリ水溶液を用いて湿式法で製造した沈降シリカでもよい。前記籾殻炭の製法は、特に限定されず、公知の種々の方法を用いることができ、例えば、窯を用いて籾殻を蒸し焼きにすることで熱分解させて籾殻炭を得ることができる。このようにして得られる籾殻炭を公知の粉砕機(例えば、ボールミル)を用いて粉砕し、所定の粒径範囲に選別し分級することで、籾殻炭の粉末を得ることができる。また、前記籾殻由来の沈降シリカは、特開2019-38728号公報に記載の方法等で製造できる。
【0053】
前記シリカ(B)中の前記植物由来のシリカ(B1)の比率は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、25質量%以上がより好ましく、45質量%以上が更に好ましく、100質量%が最も好ましい。シリカ(B)中の植物由来のシリカ(B1)の比率を5質量%以上とすることで、RFIDタグ用コーティングゴム組成物中のサステナブル材料の比率が向上し、該ゴム組成物をタイヤに適用することで、タイヤのサステナブル材料の比率を更に向上させることができる。
【0054】
前記シリカ(B)は、上述の植物由来のシリカ(B1)以外のシリカを含有してもよい。該シリカとしては、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でも、シラノール基が多い点で、湿式シリカが好ましい。これら植物由来のシリカ(B1)以外のシリカは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記植物由来のシリカ(B1)以外のシリカとしては、市販品を利用することができ、該シリカの市販品としては、東ソー・シリカ(株)、Evonik社、Solvay社、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
【0055】
また、前記シリカ(B)としては、環境負荷低減の観点から、半導体の原材料となるシリコンウエハーの端材や、ガラス瓶等からケイ酸成分を抽出し、リサイクルして製造に使用したシリカを用いることも好ましい。
【0056】
前記植物由来のシリカ(B1)は、窒素吸着比表面積(NSA)が50m/g以上であることが好ましく、100m/g以上であることがより好ましく、150m/g以上であることが更に好ましく、また、350m/g以下であることが好ましく、250m/g以下であることがより好ましく、230m/g以下であることが更に好ましく、200m/g以下であることがより一層好ましい。
なお、本明細書において、シリカ(B)の窒素吸着比表面積(NSA)は、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
【0057】
(シランカップリング剤(C))
本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、更に、シランカップリング剤(C)を含むことが好ましい。ゴム組成物がシランカップリング剤(C)を含む場合、ゴム成分(A)とシリカ(B)との相互作用が大きくなり、シリカ(B)のゴム成分(A)への分散性が向上する。また、シリカ(B)のゴム成分(A)への分散性が向上することで、シリカ(B)の作用が十分に発揮されて、ゴム組成物の耐亀裂性や弾性率を更に向上させることができる。
【0058】
前記シランカップリング剤(C)としては、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド等が挙げられる。前記シランカップリング剤(C)としては、市販品を利用することができ、該シランカップリング剤(C)の市販品としては、例えば、Evonik社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東レ・ダウコーニング(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)等の製品を使用できる。これらシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
なお、前記シランカップリング剤(C)の原材料として、バイオエタノールを用いることもできる。バイオエタノールは、生物資源として、主に糖類及び/又はセルロース類を用いて製造され、タンパク質、脂質、アミノ酸等の他の生物資源を有効に活用できない。更に、糖類は、食料と競合し、セルロース類の過度の利用は、森林伐採に繋がる。そのため、種々の生物資源の供給状況の他、再生資源の供給状況、化石資源の供給状況、及び市場の要求(例えば、バイオマス資源の食料としての需要)に応じて、前記シランカップリング剤の原材料として、生物資源由来のエタノール(バイオエタノール)を複数種使用したり、生物資源由来のエタノール(バイオエタノール)と再生資源由来のエタノールと化石資源由来のエタノールとを併用して使用することが好ましい。これにより、1種類の生物資源に頼ることなく、糖、タンパク質、脂質等、幅広い生物資源や、再生資源を有効に活用でき、また、製造時の状況に応じて環境に配慮することもできる。
【0060】
前記シランカップリング剤(C)の含有量は、前記シリカ(B)の含有量の5~20質量%(即ち、シリカ(B)100質量部に対して5~20質量部)であることが好ましい。シランカップリング剤(C)の含有量が、前記シリカ(B)の含有量の5質量%以上であると、シランカップリング剤(C)の配合効果が大きくなり、シリカ(B)のゴム成分(A)への分散性が更に向上して、ゴム組成物の耐亀裂性や弾性率をより一層向上させることができる。また、シランカップリング剤(C)の含有量が、前記シリカ(B)の含有量の20質量%以下であると、前記ゴム成分(A)のゲル化を抑制することができる。なお、シランカップリング剤(C)の含有量が、前記シリカ(B)の含有量の5~20質量%の場合、ゴム組成物の耐亀裂性や弾性率をより一層向上させることができる。
【0061】
(加硫剤)
本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、加硫剤を含むことが好ましい。前記ゴム組成物が加硫剤を含むことで、加硫可能となり、ゴム組成物の耐亀裂性、弾性率が向上する。加硫剤としては、硫黄が挙げられる。
【0062】
前記硫黄としては、化石資源由来のもの、再生資源由来のもの、生物資源由来材料の処理によるもの等を用いることができ、環境負荷低減の観点から、生物資源に由来する廃棄物から得られる硫黄を用いることが特に好ましい。生物資源に由来する廃棄物から硫黄を得る方法としては、例えば、上述の特願2022-140390に記載の方法等が挙げられる。また、前記硫黄としては、ゴム工業において一般的に架橋剤として用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄等を用いてもよい。ここで、該硫黄は、不溶性硫黄を含むことが好ましい。不溶性硫黄は、二硫化炭素に対して不溶な硫黄(無定形の高分子硫黄)であり、ゴム成分(A)への溶解性が可溶性硫黄に比べて低く、ブルームを起こし難い。硫黄中の不溶性硫黄の割合は、タイヤの成形時の作業性を更に向上させる観点から、50質量%以上が好ましく、また、90質量%以下が好ましい。前記硫黄としては、市販品を利用でき、該硫黄の市販品としては、鶴見化学工業(株)、細井化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。これら硫黄は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
前記加硫剤の含有量は、ゴム組成物の耐亀裂性や弾性率を更に向上させる観点から、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5質量部以上が好ましく、また、9質量部以下が好ましい。
【0064】
(加硫促進剤)
本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。前記ゴム組成物が加硫促進剤を含むことで、加硫速度が上昇して、ゴム組成物の弾性率を向上させることができる。該加硫促進剤は、化石資源由来、再生資源由来、生物資源由来を問わず使用可能であるが、環境負荷低減の観点から、生物資源由来であることが好ましい。生物資源由来の加硫促進剤については、例えば、特開2005-139239号公報等に開示される方法にて得ることができる。
【0065】
前記加硫促進剤としては、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、o-トリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤;2-メルカプトベンゾチアゾール(M)、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS、DM)等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラステアリルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤等が挙げられる。これらの中でも、スルフェンアミド系もしくはグアニジン系加硫促進剤が好ましい。また、スルフェンアミド系加硫促進剤の中でも、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)が特に好ましい。また、グアニジン系加硫促進剤の中でも、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)が特に好ましい。前記加硫促進剤としては、市販品を利用でき、該加硫促進剤の市販品としては、大内新興化学工業(株)、住友化学(株)等の製品を使用できる。これら加硫促進剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
前記加硫促進剤の含有量は、ゴム組成物の加硫速度を向上させて、ゴム組成物の弾性率を更に向上させる観点から、前記ゴム成分(A)100質量部に対して0.0~3.0質量部であることが好ましく、0.9~2.5質量部であることがより好ましい。
【0067】
(オイル)
本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、オイルを含むことが好ましい。前記ゴム組成物がオイルを含む場合、ゴム組成物の混錬における纏まりが良くなり、ゴム組成物の混錬時の作業性が向上する。
【0068】
前記オイルとは、ゴム成分に含まれる伸展油、及び、ゴム組成物の配合剤として添加する液状の油分の総称であり、例えば、アロマ系オイル、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル等の石油系軟化剤、植物油、プロセスオイル、植物油やプロセスオイルのリサイクルにより得られたオイル、又はその混合物等が挙げられる。これらの中でも、耐亀裂性及び弾性率の観点からは、アロマ系オイル、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル等の石油系軟化剤が好ましい。また、環境負荷低減の観点からは、オイルとしては、植物油、リサイクルにより得られたオイルが好ましい。前記植物油としては、パーム油、ヒマシ油、綿実油、大豆油、アマニ油、菜種油、ヤシ油、落花生油、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、コメ油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、向日葵油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油、ココナッツ油等が挙げられる。また、前記プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等が挙げられる。前記オイルとしては、市販品を利用することができ、該オイルの市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、ENEOS(株)、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。これらオイルは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
前記オイルとしては、アスファルトを含有するナフテン系オイルが好ましい。ゴム組成物がアスファルトを含有するナフテン系オイルを含む場合、ゴム組成物の混錬における纏まりが更に良くなり、ゴム組成物の混錬時の作業性が更に向上する。
前記アスファルトを含有するナフテン系オイルとしては、ナフテン系ベースオイルとアスファルトとを質量比(95/5)~(30/70)の範囲で混合してなるものが好ましい。質量比がこの範囲であれば、ゴム成分(A)とオイルとの相溶性が更に向上する。
前記ナフテン系ベースオイルとしては、水添ナフテン系ベースオイルが好ましく、高圧・高温水素化精製製造装置により芳香族系オイルやナフテン系オイルを高度に水素化精製することにより得られる水添ナフテン系ベースオイルが特に好ましい。かかる水添ナフテン系ベースオイルは、具体的には、三共油化工業(株)製のSNH8、SNH46、SNH220、SNH440(いずれも商標)等の市販品として入手可能である。
また、前記ナフテン系ベースオイルに混合されるアスファルトとしては、使用するゴム成分との相溶性や、ゴム組成物の混錬における纏まりを良くする効果を考慮すれば、アスファルテン成分が5質量%以下であることが好ましい。なお、アスファルテン成分は、JPI法[日本石油学会規格JPI-5S-22-83(1983制定)規格名称「アスファルトのカラムクロマトグラフィーによる組成分析法」]に準拠して測定した組成分析より定量される。このようなアスファルトは、ストレートアスファルトであることが好ましく、特にナフテン系ストレートアスファルトであることが好ましい。また、前記アスファルトは、120℃における動粘度が300mm/秒以下であることが好ましい。
前記アスファルトの混合方法は、特に制限されるものではないが、調製の容易さや経済性の観点からは、アスファルトをナフテン系ベースオイル(伸展油、配合油を含む)に溶解させて調製する方法が好ましい。
前記アスファルトを含有するナフテン系オイルとしては、高圧・高温水素化精製装置により製造された水添ナフテン系ベースオイルと、アスファルテン5質量%以下のナフテン系ストレートアスファルトとを質量比(63/37)で混合して得られた、三共油化工業社製の商品名「A/Oミックス」が好ましい。
【0070】
前記オイルの含有量は、ゴム組成物の混錬における纏まりを更に良くして、混錬時の作業性を更に向上させる観点から、前記ゴム成分(A)100質量部に対して0質量部超15質量部以下であることが好ましい。
【0071】
(オイル以外の液状軟化剤)
本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、前記オイル以外の液状軟化剤を含有してもよい。ここで、「液状軟化剤」とは、25℃(室温)で液状であり、ゴム組成物を軟化させる作用を有する配合剤である。該液状軟化剤としては、特に限定されず、液状ポリマー等が挙げられる。
【0072】
前記液状ポリマーとしては、液状ジエン系ポリマーが好ましい。該液状ジエン系ポリマーとしては、液状スチレン-ブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ポリブタジエン(液状BR)、液状ポリイソプレン(液状IR)、液状スチレン-イソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)、液状ポリファルネセン、液状ファルネセン-ブタジエン共重合体等が挙げられる。これら液状ポリマーは、水素添加されていてもよいし、末端や主鎖が官能基(極性基)で変性されていてもよい。これら液状ポリマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
前記オイル以外の液状軟化剤の含有量は、特に限定されるものではなく、例えば、適用先のタイヤカテゴリー、目標性能等により、適宜調整することができる。例えば、液状軟化剤の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、10質量部以上が更に好ましく、また、100質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましく、50質量部以下が更に好ましく、30質量部以下がより一層好ましい。
【0074】
(粘着付与剤)
本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、粘着付与剤(タッキファイヤー)を含むことが好ましい。前記ゴム組成物が粘着付与剤を含む場合、ゴム組成物の粘着性が向上し、ゴム組成物のタイヤ成形時の作業性が向上する。前記粘着付与剤としては、種々の天然樹脂及び合成樹脂を使用することができ、具体的には、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、石炭系樹脂、キシレン系樹脂を使用することが好ましい。これら粘着付与剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ゴム組成物が、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、石炭系樹脂、キシレン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む場合、ゴム組成物の粘着性が更に向上し、ゴム組成物のタイヤ成形時の作業性が更に向上する。また、前記樹脂の中でも、テルペン系樹脂及びロジン系樹脂が特に好ましい。テルペン系樹脂及びロジン系樹脂は、天然由来のサステナブルな樹脂であるため、環境負荷をより低減できる。
【0075】
前記ロジン系樹脂としては、天然樹脂ロジンとして、生松ヤニやトール油に含まれるガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等があり、また、変性ロジン、ロジン誘導体、変性ロジン誘導体として、例えば、重合ロジン、その部分水添ロジン;グリセリンエステルロジン、その部分水添ロジンや完全水添ロジン;ペンタエリスリトールエステルロジン、その部分水添ロジンや重合ロジン;等が挙げられる。
【0076】
前記テルペン系樹脂は、松属の木からロジンを得る際に同時に得られるテレビン油、或いはこれから分離した重合成分を配合し、フリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる固体状の樹脂であり、β-ピネン樹脂、α-ピネン樹脂等がある。また、テルペン系樹脂には、テルペン-芳香族化合物系樹脂も包含され、該テルペン-芳香族化合物系樹脂としては、代表例としてテルペン-フェノール樹脂、スチレン-テルペン樹脂等が挙げられる。該テルペン-フェノール樹脂は、テルペン類と種々のフェノール類とを、フリーデルクラフツ型触媒を用いて反応させたり、或いは更にホルマリンで縮合する方法で得ることができる。また、前記スチレン-テルペン樹脂は、スチレンとテルペン類とを、フリーデルクラフツ型触媒を用いて反応させることで得ることができる。原料のテルペン類としては、特に制限はなく、α-ピネンやリモネン等のモノテルペン炭化水素が好ましく、α-ピネンを含むものがより好ましく、α-ピネンが特に好ましい。
【0077】
前記合成樹脂において、石油系樹脂は、例えば石油化学工業のナフサの熱分解により、エチレン、プロピレン等の石油化学基礎原料とともに副生するオレフィンやジオレフィン等の不飽和炭化水素を含む分解油留分を混合物のままフリーデルクラフツ型触媒により重合して得られる。前記石油系樹脂としては、ナフサの熱分解によって得られるC留分を(共)重合して得られる脂肪族系石油樹脂(以下、「C系樹脂」と呼ぶことがある。)、ナフサの熱分解によって得られるC留分を(共)重合して得られる芳香族系石油樹脂(以下、「C系樹脂」と呼ぶことがある。)、前記C留分とC留分を共重合して得られる共重合系石油樹脂(以下、「C-C系樹脂」と呼ぶことがある。)、水素添加系やジシクロペンタジエン系等の脂環式化合物系石油樹脂、スチレン、置換スチレン又はスチレンと他のモノマーとの共重合体等のスチレン系樹脂等が挙げられる。
【0078】
ナフサの熱分解によって得られるC留分には、通常1-ペンテン、2-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、3-メチル-1-ブテン等のオレフィン系炭化水素、2-メチル-1,3-ブタジエン、1,2-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,2-ブタジエン等のジオレフィン系炭化水素等が含まれる。また、C留分を(共)重合して得られる芳香族系石油樹脂は、ビニルトルエン、インデンを主要なモノマーとする炭素数9の芳香族を重合した樹脂であり、ナフサの熱分解によって得られるC留分の具体例としては、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、γ-メチルスチレン等のスチレン同族体やインデン、クマロン等のインデン同族体等が挙げられる。商品名としては、三井石油化学製ペトロジン、ミクニ化学製ペトライト、日本石油化学製ネオポリマー、東洋曹達製ペトコール等がある。
【0079】
更に、作業性の観点から、前記C留分からなる石油樹脂を変性した変性石油樹脂を好適に使用することができる。前記変性石油樹脂としては、不飽和脂環式化合物で変性したC系石油樹脂、水酸基を有する化合物で変性したC系石油樹脂、不飽和カルボン酸化合物で変性したC系石油樹脂等が挙げられる。
【0080】
好ましい不飽和脂環式化合物としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン等が挙げられる。また、不飽和脂環式化合物としては、アルキルシクロペンタジエンのディールスアルダー反応生成物も好ましく、該アルキルシクロペンタジエンのディールスアルダー反応生成物としては、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン/メチルシクロペンタジエン共二量化物、トリシクロペンタジエン等が挙げられる。前記不飽和脂環式化合物としては、ジシクロペンタジエンが特に好ましい。ジシクロペンタジエン変性C系石油樹脂は、ジシクロペンタジエン及びC留分両者の存在下、熱重合等で得ることができる。前記ジシクロペンタジエン変性C系石油樹脂としては、例えば、ネオポリマー130S(新日本石油化学製)が挙げられる。
【0081】
また、水酸基を有する化合物としては、アルコール化合物やフェノール化合物等が挙げられる。アルコール化合物の具体例としては、例えば、アリルアルコール、2-ブテン-1,4ジオール等の二重結合を有するアルコール化合物が挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、p-tert-ブチルフェノール、p-オクチルフェノール、p-ノニルフェノール等のアルキルフェノール類を使用できる。これらの水酸基を有する化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。また、水酸基を有するC系石油樹脂は、石油留分とともに(メタ)アクリル酸アルキルエステル等を熱重合して石油樹脂中にエステル基を導入した後、該エステル基を還元する方法、石油樹脂中に二重結合を残存または導入した後、当該二重結合を水和する方法、等によって製造することができる。水酸基を有するC系石油樹脂としては、前記のように各種の方法により得られるものを使用できるが、性能面、製造面から見て、フェノール変性石油樹脂等を使用するのが好ましい。該フェノール変性石油樹脂は、C留分をフェノールの存在下でカチオン重合して得られ、変性が容易であり、低価格である。前記フェノール変性C系石油樹脂としては、例えば、ネオポリマーE-130(新日本石油化学製)が挙げられる。
【0082】
さらに、前記不飽和カルボン酸化合物で変性したC系石油樹脂は、C系石油樹脂をエチレン性不飽和カルボン酸で変性することができる。かかるエチレン性不飽和カルボン酸の代表的なものとして、(無水)マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、テトラヒドロ(無水)フタール酸、(メタ)アクリル酸又はシトラコン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸変性C系石油樹脂は、C系石油樹脂及びエチレン系不飽和カルボン酸を熱重合することで得ることができる。本発明においては、マレイン酸変性C系石油樹脂が好ましい。不飽和カルボン酸変性C系石油樹脂としては、例えば、ネオポリマー160(新日本石油化学製)が挙げられる。
【0083】
また、ナフサの熱分解によって得られるC留分とC留分の共重合樹脂を好適に使用することができる。ここで、C留分としては、特に制限はないが、ナフサの熱分解によって得られたC留分であることが好ましい。具体的には、SCHILL&SEILACHER社製Struktolシリーズの、TS30、TS30-DL、TS35、TS35-DL等が挙げられる。
【0084】
前記合成樹脂において、フェノール系樹脂としては、アルキルフェノールホルムアルデヒド系樹脂及びそのロジン変性体、アルキルフェノールアセチレン系樹脂、変性アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、具体的にはノボラック型アルキルフェノール樹脂のヒタノール1502(日立化成工業社製)、p-tert-ブチルフェノールアセチレン樹脂のコレシン(BASF社製)等が挙げられる。
【0085】
前記合成樹脂において、石炭系樹脂としては、クマロンインデン樹脂等が挙げられ、前記合成樹脂において、キシレン系樹脂としては、キシレンホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。また、その他ポリブテンも粘着付与性を有する樹脂として使用することができる。
【0086】
前記樹脂は、水素添加されていてもよく、即ち、水素添加樹脂(水添樹脂)であってもよい。また、前記樹脂には、変性により、カーボンブラック、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基が導入されていてもよい。該官能基としては、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、シリル基、アルコキシシリル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基等が挙げられる。
【0087】
前記樹脂は、軟化点が30℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることがより好ましく、110℃より高いことがより好ましく、116℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがより好ましく、123℃以上であることがより好ましく、127℃以上であることが更に好ましい。また、前記樹脂は、加工性の観点から、軟化点が160℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、145℃以下であることがより好ましく、141℃以下であることがより好ましく、136℃以下であることが更に好ましい。
なお、本明細書において、粘着付与剤(樹脂)の軟化点は、JIS K 6220-1:2015(ISO 28641:2010)に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
【0088】
前記粘着付与剤としては、市販品を利用することができ、該粘着付与剤の市販品としては、例えば、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、エクソンモービル社、クレイトン社、ヤスハラケミカル(株)、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、クレイトンポリマー社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0089】
前記粘着付与剤の含有量は、ゴム組成物の粘着性を更に向上させて、タイヤの成形時における作業性を更に向上させる観点から、前記ゴム成分(A)100質量部に対して0質量部超15質量部以下であることが好ましい。
【0090】
(カーボンブラック)
本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、シリカ以外の充填剤として、カーボンブラックを含んでもよいし、含まなくてもよい。該カーボンブラックとしては、植物由来のカーボンブラック、リサイクルによって得られたカーボンブラック(即ち、再生カーボンブラック)が特に好ましい。植物由来のカーボンブラックとしては、例えば、ヒマシ油、松脂油に由来するものが挙げられる。また、再生カーボンブラックとしては、例えば、使用済タイヤ等の架橋ゴム製品の分解(特には、熱分解)によって得られるカーボンブラック、廃油から得られるカーボンブラック等が挙げられる。
【0091】
前記分解に用いる架橋ゴム製品については、予め配合されているゴム成分の種類でグループ分けしてから、それぞれのグループごとで分解工程を行っても良い。また、予め配合されている充填剤の種類(例えば、カーボンブラックの種類、シリカの種類、カーボンブラックとシリカの混合比率、等)でグループ分けをし、それぞれのグループごとで分解工程を行っても良い。更に、ゴム成分の種類によるグループ分け及び充填剤の種類によるグループ分けを共に行った上で、それぞれのグループごとで分解工程を行っても良い。そのようにグループごとで分解工程を行う場合、より均一な物性を有する再生カーボンブラックが得られるため、再度ゴム成分に配合する場合、より性能のいいゴム組成物が得られる。
【0092】
また、前記分解に用いる架橋ゴム製品がタイヤ由来の場合、予めタイヤの種類別(例えば、乗用車用、トラックやバス用、オフロード等の大型車用、航空機用、農業車両用等)でグループ分けしてから、それぞれのグループごとで分解工程を行っても良い。また、予めタイヤの部材別(例えば、トレッドゴム、サイドウォールゴム、ビード部ゴム、スチールコード被覆ゴム、有機繊維被覆ゴム、パッドゴム、クッションゴム等)でグループ分けしてから、それぞれのグループごとで分解工程を行っても良い。更に、タイヤの種類別によるグループ分け及びタイヤの部材別によるグループ分けを共に行った上で、それぞれのグループごとで分解工程を行っても良い。そのようにグループごとで分解工程を行う場合、より均一な物性を有する再生カーボンブラックが得られるため、再度ゴム成分に配合する場合、より性能のいいゴム組成物が得られる。
【0093】
前記カーボンブラックのグレードとしては、特に限定されず、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。前記カーボンブラックとしては、市販品を利用することができ、該カーボンブラックの市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、日鉄カーボン(株)、Birla Carbon社等の製品を使用できる。これらカーボンブラックは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0094】
前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、特に限定されるものではなく、例えば、適用先のタイヤカテゴリー、タイヤ部材、目標性能等により、適宜調整することができる。例えば、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、20m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましく、70m/g以上がより好ましく、90m/g以上が更に好ましく、また、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましい。
なお、本明細書において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、JIS K 6217-2:2017(ISO 4652:2012)によって求められる。
【0095】
前記カーボンブラックの含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して20質量部以下が好ましく、15質量部以下が更に好ましく、また、0質量部であること(即ち、カーボンブラックを含まないこと)が特に好ましい。カーボンブラックの含有量が、ゴム成分(A)100質量部に対して15質量部以下であると、ゴム組成物の比誘電率が低下して、RFIDタグの通信距離が長くなり、また、0質量部であると(即ち、カーボンブラックを含まないと)、ゴム組成物の比誘電率が更に低下して、RFIDタグの通信距離が更に長くなる。
【0096】
前記シリカ(B)とカーボンブラックの合計含有量におけるシリカ(B)の含有割合は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上がより一層好ましく、95質量%以上が特に好ましく、また、100質量%であることが最も好ましい。シリカ(B)とカーボンブラックの合計含有量におけるシリカ(B)の含有割合が80~100質量%であると、ゴム組成物の耐亀裂性や弾性率を向上させつつ、ゴム組成物の比誘電率を低下させて、RFIDタグの通信距離を更に長くすることができる。
【0097】
(ゴム粉)
本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、ゴム粉を含有してもよい。該ゴム粉は、使用済タイヤ等の使用済ゴム製品を粉砕し、所望により、鋼材類、繊維類等の補強材、ダスト類、ガラス類、砂、石等を取り除き、又はゴム粉を製造するために新たに加硫済ゴム組成物を準備し、粉砕することで得てもよい。例えば、「Rubber Chemistry And Technology」に記載の方法により、加硫ゴムからゴム粉を得ることができる。加硫ゴムを粉砕してゴム粉を得る工程においては、機械的処理や低温処理を利用してもよい。例えば、機械的処理では、加硫ゴムを微粒子に機械的に粉砕するために、クラッカーミル、グラニュレータ等の種々の破砕機器を使用できる。また、低温処理では、細かく刻まれた加硫ゴムを極低温で凍結させ、続いて、微粒子に粉砕する。また、鋼材類の除去には、磁選機等を用いることができ、繊維類の除去には、空気選別機等を用いることができる。前記ゴム粉としては、市販品を利用することもでき、該ゴム粉の市販品としては、Global Corporation又はNantong Huili Rubber Corporation等の製品が挙げられる。環境負荷低減の観点から、使用済タイヤ等の使用済ゴム製品を粉砕することで得られるゴム粉を用いることが好ましい。前記ゴム粉は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0098】
前記ゴム粉の組成は、特に限定されず、原料となる使用済ゴム製品(使用済タイヤ)等の加硫ゴムの組成による。一実施形態において、ゴム粉は、ゴム成分、カーボンブラック、シリカ等を含む。ゴム粉に含まれるゴム成分、カーボンブラック、シリカ等は、上述した本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物に含まれ得るゴム成分(A)、カーボンブラック、シリカ(B)等と同様であってもよいし、異なってもよい。
【0099】
前記ゴム粉は、体積平均粒子径が1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることが更に好ましく、100μm以下であることがより一層好ましい。また、ゴム粉の体積平均粒子径は、小さい程好ましく、下限は特に限定されない。
なお、本明細書において、体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定され、例えば、堀場製作所(株)製「CAPA500」を用いて測定できる。
【0100】
前記ゴム粉は、60メッシュ篩残分が1質量%未満であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましく、下限は特に限定されない。また、前記ゴム粉は、80メッシュ篩残分が10質量%未満であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましく、下限は特に限定されない。
なお、本明細書において、篩残分は、ASTM D5644-01に従って測定される。
【0101】
前記ゴム粉は、アセトン抽出分が12質量%以下であることが好ましく、11質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、また、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが更に好ましい。
なお、本明細書において、ゴム粉中のアセトン抽出分とは、JIS K6350に準拠するアセトン抽出法により求められるアセトン抽出分(%)をいう。
【0102】
前記ゴム粉の含有量は、特に限定されるものではなく、例えば、適用先のタイヤカテゴリー、目標性能等により、適宜調整することができる。例えば、ゴム粉の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がより一層好ましく、また、200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましく、100質量部以下がより好ましく、50質量部以下がより好ましく、30質量部以下がより好ましく、15質量部以下が更に好ましく、10質量部以下がより一層好ましく、5質量部以下が特に好ましい。
【0103】
(老化防止剤)
本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、老化防止剤を含有してもよい。該老化防止剤としては、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン(6PPD)、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン(77PD)、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(DPPD)、N,N’-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体(TMDQ)、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン(AW)、6-アニリノ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等が挙げられる。前記老化防止剤としては、市販品を利用することができ、該老化防止剤の市販品としては、大内新興化学工業(株)、住友化学(株)、精工化学(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。これら老化防止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0104】
前記老化防止剤の含有量は、特に限定されるものではなく、例えば、適用先のタイヤカテゴリー、目標性能等により、適宜調整することができる。例えば、老化防止剤の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましく、2質量部以上が更に好ましく、また、12質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、8質量部以下が更に好ましい。
【0105】
(ワックス)
本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、ワックスを含有してもよい。該ワックスとしては、例えば、植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;エチレンの重合物、プロピレンの重合物等の合成ワックス;等が挙げられる。前記ワックスとしては、市販品を利用でき、該ワックスの市販品としては、精工化学(株)、日本精蝋(株)、大内新興化学工業(株)等の製品を使用できる。これらワックスは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0106】
前記ワックスの含有量は、特に限定されるものではなく、例えば、適用先のタイヤカテゴリー、目標性能等により、適宜調整することができる。例えば、ワックスの含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、また、10質量部以下が好ましく、6質量部以下がより好ましい。
【0107】
(ステアリン酸)
本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、ステアリン酸を含有してもよい。該ステアリン酸としては、市販品を利用でき、該ステアリン酸の市販品としては、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。これらステアリン酸の市販品は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0108】
前記ステアリン酸の含有量は、特に限定されるものではなく、例えば、適用先のタイヤカテゴリー、目標性能等により、適宜調整することができる。例えば、ステアリン酸の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、また、10質量部以下が好ましく、6質量部以下がより好ましい。
【0109】
(酸化亜鉛)
本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、酸化亜鉛(亜鉛華)を含有してもよい。該酸化亜鉛としては、亜鉛地金だけでなく、再生亜鉛や亜鉛ドロスから得られた(即ち、リサイクルにより得られた)酸化亜鉛が好ましい。該酸化亜鉛としては、市販品を利用でき、該酸化亜鉛の市販品としては、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)等の製品を使用できる。これら酸化亜鉛の市販品は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0110】
前記酸化亜鉛の含有量は、特に限定されるものではなく、例えば、適用先のタイヤカテゴリー、目標性能等により、適宜調整することができる。例えば、酸化亜鉛の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、また、10質量部以下が好ましく、6質量部以下がより好ましい。
【0111】
(その他)
本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物には、上述の成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている各種添加剤、例えば、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカ等の充填剤;有機過酸化物;等を更に配合してもよい。これらの添加剤の含有量は、特に限定されるものではなく、例えば、適用先のタイヤカテゴリー、目標性能等により、適宜調整することができ、例えば、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、0.1~200質量部の範囲が好ましい。
【0112】
(ゴム組成物の製造方法)
本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、前記ゴム成分(A)に、植物由来のシリカ(B1)と、必要に応じて適宜選択した各種成分を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。また、得られたゴム組成物を加硫することで、加硫ゴムとすることができる。
【0113】
前記混練りの条件としては、特に制限はなく、混練り装置の投入体積やローターの回転速度、ラム圧等、及び混練り温度や混練り時間、混練り装置の種類等の諸条件について目的に応じて適宜に選択することができる。混練り装置としては、通常、ゴム組成物の混練りに用いるバンバリーミキサーやインターミックス、ニーダー、ロール等が挙げられる。
【0114】
前記熱入れの条件についても、特に制限はなく、熱入れ温度や熱入れ時間、熱入れ装置等の諸条件について目的に応じて適宜に選択することができる。該熱入れ装置としては、通常、ゴム組成物の熱入れに用いる熱入れロール機等が挙げられる。
【0115】
前記押出の条件についても、特に制限はなく、押出時間や押出速度、押出装置、押出温度等の諸条件について目的に応じて適宜に選択することができる。押出装置としては、通常、ゴム組成物の押出に用いる押出機等が挙げられる。押出温度は、適宜に決定することができる。
【0116】
前記加硫を行う装置や方式、条件等についても、特に制限はなく、目的に応じて適宜に選択することができる。加硫を行う装置としては、通常、ゴム組成物の加硫に用いる金型による成形加硫機等が挙げられる。加硫の条件として、その温度は、例えば100~190℃程度である。
【0117】
<タイヤ>
本実施形態のタイヤは、上述のRFIDタグ用コーティングゴム組成物で被覆したRFIDタグを具えることを特徴とする。
本実施形態のタイヤは、上述のRFIDタグ用コーティングゴム組成物で被覆したRFIDタグを具えるため、サステナブル材料の比率が向上しており、また、通信性能等を損なうこともない。
【0118】
前記RFIDタグは、一般に、金属、樹脂等の材料で形成されていることが多い。例えば、一実施形態において、RFIDタグは、電子機器部分と、該電子機器部分に接続されたアンテナ部分と、を具え、電子機器部分の筐体(乃至パッケージ)が樹脂からなり、アンテナ部分が金属からなる。ここで、RFIDタグを、上述の本実施形態のRFIDタグ用コーティングゴム組成物で被覆する際、予め、RFIDタグに、ロード社製の商品名「ケムロック」(登録商標)等の接着剤を塗布しておくことで、RFIDタグとコーティングゴムとの間の接着性を十分に確保することができる。
【0119】
また、前記RFIDタグは、タイヤ中のゴム部材に比べて硬いため、RFIDタグに応力が集中するのを抑制するために、RFIDタグのコーティングゴムには、隣接するゴム部材(例えば、後述するサイドゴム、スティフナー等)に比べて、弾性率が高い(即ち、硬い)ことが好ましい。上述のRFIDタグ用コーティングゴム組成物は、弾性率が高く、硬いため、RFIDタグへの応力集中を抑制する作用も有する。
【0120】
前記RFIDタグは、タイヤの中でも、走行中の歪が比較的少ない部位に配設することが好ましい。一実施形態においては、タイヤのビード部に埋設したビードコアのタイヤ半径方向外側に配置したスティフナーと、タイヤのサイド部のカーカスのタイヤ幅方向外側に位置するサイドゴムとの間に、上述のRFIDタグ用コーティングゴム組成物で被覆したRFIDタグを配設することが好ましい。また、当該実施形態において、RFIDタグ用コーティングゴム組成物で被覆したRFIDタグを、タイヤの最大幅部よりもタイヤ半径方向内側の部位に配設することが更に好ましい。
【0121】
図1は、本発明のタイヤの一実施態様の断面図である。
図1に示すタイヤ1は、一対のビード部2及び一対のサイド部3と、両サイド部3に連なるトレッド部4とを有し、前記一対のビード部2間にトロイド状に延在して、これら各部2,3,4を補強するカーカス5と、該カーカス5のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置されたベルト6と、前記ビード部2内に夫々埋設したリング状のビードコア7のタイヤ半径方向外側に配置したスティフナー8とを具える。
なお、スティフナー8は、ビードコア7のタイヤ半径方向外側に隣接する剛性の比較的高い硬スティフナー8aと、該硬スティフナー8aのタイヤ半径方向外側に隣接する剛性の比較的低い軟スティフナー8bとからなる。
また、サイド部3のカーカス5のタイヤ幅方向外側には、サイドゴム9が配置されている。
【0122】
図示例のタイヤ1において、カーカス5は、一対のビードコア7間にトロイダルに延びる本体部5aと、各ビードコア7の周りで、タイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部5bと、を有する。なお、カーカス5の構造及びプライ数は、これに限られるものではない。そして、スティフナー8は、カーカス5の本体部5aとその折り返し部5bとの間に配置されている。また、カーカス5の折り返し部5bの外面側には、ワイヤーチェーファー10が配設されており、該ワイヤーチェーファー10は、更にスティフナー8のタイヤ幅方向外側に沿って延在している。
【0123】
また、タイヤの最大幅部よりもタイヤ半径方向内側であって、サイドゴム9と軟スティフナー8bとの間で且つワイヤーチェーファー10のタイヤ半径方向外側の部位には、コーティングゴム11で被覆したRFIDタグ12が配置されている。ここで、コーティングゴム11には、上述のRFIDタグ用コーティングゴム組成物が使用されている。
コーティングゴム11で被覆したRFIDタグ12(RFIDタグ-ゴム複合体)は、例えば、上述のRFIDタグ用コーティングゴム組成物からなるゴムシートを2枚準備しておき、該ゴムシート間にRFIDタグ12を挟み込むことで作製できる。該RFIDタグ-ゴム複合体を、他のゴム部材と共に積層して、生タイヤを成形し、該生タイヤを加硫することで、本実施形態のタイヤを作製することができる。
【0124】
コーティングゴム11に適用するゴム組成物は、上述のように、サステナブル材料の比率が向上しているため、図1に示すタイヤ1は、サステナブル材料の比率が向上している。
また、コーティングゴム11に適用するゴム組成物は、上述のように、通信性能が良好であるため、図1に示すタイヤ1は、通信可能距離が長く、通信性能に優れる。
更に、コーティングゴム11に適用するゴム組成物は、上述のように、耐亀裂性、隣接ゴム部材との接着性、弾性率が十分にバランスされているため、図1に示すタイヤ1は、耐久性に優れる。
【0125】
本実施形態のタイヤは、上述のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造することができる。例えば、本実施形態のタイヤは、適用するタイヤの種類に応じ、未加硫のゴム組成物を用いて成形後に加硫して得てもよく、又は予備加硫工程等を経た半加硫ゴムを用いて成形後、さらに本加硫して得てもよい。なお、本実施形態のタイヤは、好ましくは空気入りタイヤであり、空気入りタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【実施例0126】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0127】
<比較例1のゴム組成物の調製>
表1に示す配合処方に従い、神戸製鋼所(株)製1.7Lバンバリーミキサーを用いて、加硫促進剤、加硫剤、その他Pro薬品を除く配合成分を充填率が55%~65%になるように充填し、回転数80rpmで160℃に到達するか4分間経過するまで混練りした。次いで、混練り物に加硫促進剤、加硫剤、その他Pro薬品を表1に示す配合量で加え、オープンロールを用いて、80℃で2分間混練りし、未加硫のゴム組成物を得た。該ゴム組成物に対して、生物資源(バイオマス資源)由来の材料と、再生資源(リサイクル資源)由来の材料と、の総質量割合を算出して、サステナブル材料比率を算出した。
【0128】
<実施例1のゴム組成物の調製>
表1に示す配合処方に従い、神戸製鋼所(株)製1.7Lバンバリーミキサーを用いて、加硫促進剤、加硫剤、その他Pro薬品を除く配合成分を充填率が55%~65%になるように充填し、回転数80rpmで160℃に到達するか4分間経過するまで混練りする。次いで、混練り物に加硫促進剤、加硫剤、その他Pro薬品を表1に示す配合量で加え、オープンロールを用いて、80℃で2分間混練りし、未加硫のゴム組成物を得る。該ゴム組成物に対して、生物資源(バイオマス資源)由来の材料と、再生資源(リサイクル資源)由来の材料と、の総質量割合を算出して、サステナブル材料比率を算出する。
【0129】
【表1】
【0130】
*1 天然ゴム: RSS#3
*2 鉱物由来シリカ: 東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールAQ」
*3 植物由来シリカ: 籾殻シリカ
*4 シランカップリング剤: ビス(3-トリエトシキシリルプロピル)ジスルフィド(平均硫黄鎖長:2.35)、Evonik社製シランカップリング剤、商品名「Si75」
*5 粘着付与剤: SI Group RIBECOURT S.A.S.社製、商品名「R7510PJ」
*6 加硫促進剤CZ: N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーCZ-G」
*7 不溶性硫黄: 不溶性硫黄を含む硫黄、三新化学工業株式会社製、商品名「サンフェルEx」、硫黄中の不溶性硫黄の割合=90質量%
【0131】
表1から、本発明に従う実施例のゴム組成物は、サステナブル材料の比率が向上しており、タイヤに適用することで、タイヤのサステナブル材料の比率を向上させられることが分かる
【0132】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
持続可能な社会の実現に向けて、SDGsが提唱されている。本発明の一実施形態は、「No.13_気候変動に具体的な対策を」などに貢献する技術となり得ると考えられる。
【符号の説明】
【0133】
1:タイヤ
2:ビード部
3:サイド部
4:トレッド部
5:カーカス
5a:カーカスの本体部
5b:カーカスの折り返し部
6:ベルト
7:ビードコア
8:スティフナー
8a:硬スティフナー
8b:軟スティフナー
9:サイドゴム
10:ワイヤーチェーファー
11:コーティングゴム
12:RFIDタグ
図1