(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021249
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】検知方法、提示装置、検知装置、検知システム、検知プログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/68 20180101AFI20250205BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20250205BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20250205BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20250205BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
C12Q1/68
G01N33/53 M
G01N33/48 Z
C12M1/00 A
C12M1/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125051
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000141897
【氏名又は名称】アークレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 誠
(72)【発明者】
【氏名】原子 空
【テーマコード(参考)】
2G045
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G045DA13
2G045DA14
2G045JA06
4B029AA07
4B029AA23
4B029BB11
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ28
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QS24
4B063QS25
4B063QX01
4B063QX04
(57)【要約】
【課題】評価値を求めるまでの過程で生じる許容不可能な異常を容易に検知できるようにする。
【解決手段】検知方法は、複数の検体の各々に含まれる複数の核酸分子の発現量を測定する測定工程と、核酸分子の発現量に基づき前記検体の性質を評価する評価アルゴリズムを用いて、前記複数の検体の各々の性質を、前記測定工程で測定された前記核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求める評価工程と、前記複数の検体の評価値の高低に対して順位を付し、前記複数の検体の前記順位と前記評価値との相関関係に基づき、前記評価値を求めるまでの過程で生じた異常を検知する検知工程と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検体の各々に含まれる複数の核酸分子の発現量を測定する測定工程と、
核酸分子の発現量に基づき前記検体の性質を評価する評価アルゴリズムを用いて、前記複数の検体の各々の性質を、前記測定工程で測定された前記核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求める評価工程と、
前記複数の検体の評価値の高低に対して順位を付し、前記複数の検体の前記順位と前記評価値との相関関係に基づき、前記評価値を求めるまでの過程で生じた異常を検知する検知工程と、
を有する検知方法。
【請求項2】
前記検知工程では、
前記複数の検体に対して評価値が高い方から順番に順位を付し、
前記順位が第一閾値よりも低い検体のいずれかの評価値が、第二閾値以上の値である場合を、前記異常として検知する
請求項1に記載の検知方法。
【請求項3】
前記測定工程では、
前記複数の検体について、同じプロセスにて、前記発現量を測定する
請求項1に記載の検知方法。
【請求項4】
前記検知工程において前記異常が検知されない場合に、前記評価工程によって求められた評価値に基づき、検体に関する判定を前記複数の検体に対して行う判定工程を、さらに有する、
請求項1に記載の検知方法。
【請求項5】
前記第一閾値及び前記第二閾値の組み合わせは、複数のパターンがあり、
前記検知工程では、前記複数のパターンから一つのパターンを用いて、前記異常を検知する
請求項2に記載の検知方法。
【請求項6】
前記検知工程では、前記複数の検体が採取された由来元情報に基づいて前記第一閾値が決定され、前記異常を検知する
請求項2に記載の検知方法。
【請求項7】
複数の検体の各々に含まれる核酸分子の発現量に基づき、当該検体の性質を評価した評価値の高低に対して順位を付し、前記複数の検体の順位と前記評価値との相関関係を提示する提示装置。
【請求項8】
前記順位に対して設定された第一閾値及び、前記評価値に対して設定された第二閾値に対する前記複数の検体の順位及び前記評価値の分布を提示する
請求項7に記載の提示装置。
【請求項9】
前記評価値に基づいて行われた前記検体に関する判定の判定結果に付随する付随情報を提示する
請求項7に記載の提示装置。
【請求項10】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
核酸分子の発現量に基づき検体の性質を評価する評価アルゴリズムを用いて、複数の検体の各々の性質を、予め測定された前記核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求め、
前記複数の検体の評価値の高低に対して順位を付し、前記複数の検体の前記順位と前記評価値との相関関係に基づき、前記評価値を求めるまでの過程で生じた異常を検知する
検知装置。
【請求項11】
複数の検体の各々に含まれる複数の核酸分子の発現量を測定する測定部と、
核酸分子の発現量に基づき前記検体の性質を評価する評価アルゴリズムを用いて、前記複数の検体の各々の性質を、前記測定部で測定された前記核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求める評価部と、
前記複数の検体の評価値の高低に対して順位を付し、前記複数の検体の前記順位と前記評価値との相関関係に基づき、前記評価値を求めるまでの過程で生じた異常を検知する検知部と、
を備える検知システム。
【請求項12】
コンピュータに、
核酸分子の発現量に基づき検体の性質を評価する評価アルゴリズムを用いて、複数の検体の各々の性質を、予め測定された前記核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求め、
前記複数の検体の評価値の高低に対して順位を付し、前記複数の検体の前記順位と前記評価値との相関関係に基づき、前記評価値を求めるまでの過程で生じた異常を検知する検知処理
を実行させるための検知プログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
核酸分子の発現量に基づき検体の性質を評価する評価アルゴリズムを用いて、複数の検体の各々の性質を、予め測定された前記核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求め、
前記複数の検体の評価値の高低に対して順位を付し、前記複数の検体の前記順位と前記評価値との相関関係に基づき、前記評価値を求めるまでの過程で生じた異常を検知する検知処理
を実行させるための検知プログラムが記録された非一時的な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知方法、提示装置、検知装置、検知システム、検知プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、生体由来の試料における複数種類のmiRNAの発現量を含むサンプルデータを取得するサンプルデータ取得部と、複数の体の部位における複数の疾患についての罹患の有無を識別するための項目を有する複数のサンプルデータを含む訓練データを用いて機械学習を行って予め得た複数の悪性疾患または複数の良性疾患を含む前記複数の疾患についてのそれぞれの罹患を、複数の疾患に罹患している場合を含めて判定可能な学習済モデルを用いて、前記取得したサンプルデータについて、前記複数の体の部位における前記複数の疾患の罹患判定結果を出力する罹患判定部と、を具備する疾患の罹患判定装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、疾患マーカーを用いて疾患の検査を行う検査方法であって、被検体から採取した体液検体中の疾患マーカーを測定した結果を示すマーカーデータ、および該体液検体の調製条件を示す調製データを取得する検体データ取得工程と、体液検体中の疾患マーカーを測定した結果を示すマーカーデータおよび該体液検体の調製条件を示す調製データの組と、該体液検体が採取された被検体における疾患の罹患の有無との相関関係を機械学習させた学習済モデルに、上記検体データ取得工程で取得した上記マーカーデータおよび上記調製データを入力することによって、上記被検体における疾患の罹患の有無を判別する判別工程とを含む、検査方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7021097号
【特許文献2】国際公開第2021/132547号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、複数の検体の各々の性質を複数の核酸分子の発現量に基づき評価する評価アルゴリズムを用いる場合では、評価アルゴリズム自体、又は評価アルゴリズムを使用するまでの過程において異常が発生する場合がある。したがって、複数の検体の各々の性質の評価が完了するまでの過程で生じる許容不可能な異常を、容易に検知できることが望ましい。当該異常としては、例えば、以下(1)~(3)の場合に生じる異常が挙げられる。
【0006】
(1)何らかの原因により、評価基準である評価アルゴリズムに劣化が生じた場合
(2)評価対象である複数の検体が、評価基準である評価アルゴリズムによる評価において想定する評価対象とは異なる場合
(3)測定前の前処理等に不適切な処理があったことで、核酸分子の発現量の測定結果に異常が発生した場合
【0007】
本開示は、核酸分子の発現量に基づき検体の性質を評価する評価アルゴリズムを用いて、複数の検体の各々の性質を、予め測定した核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求める場合において、評価値を求めるまでの過程で生じる許容不可能な異常を、容易に検知できる検知方法、検知装置、検知システム、検知プログラム、及び記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る検知方法は、複数の検体の各々に含まれる複数の核酸分子の発現量を測定する測定工程と、核酸分子の発現量に基づき前記検体の性質を評価する評価アルゴリズムを用いて、前記複数の検体の各々の性質を、前記測定工程で測定された前記核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求める評価工程と、前記複数の検体の評価値の高低に対して順位を付し、前記複数の検体の前記順位と前記評価値との相関関係に基づき、前記評価値を求めるまでの過程で生じた異常を検知する検知工程と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、核酸分子の発現量に基づき検体の性質を評価する評価アルゴリズムを用いて、複数の検体の各々の性質を、予め測定した核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求める場合において、評価値を求めるまでの過程で生じる許容不可能な異常を、容易に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る検知方法の各工程を示すフロー図である。
【
図2】複数の検体の順位と評価値との相関関係を示すグラフである。
【
図3】複数の検体の順位と評価値との相関関係に加えて、判定結果、及び判定結果に付随する付随情報が示されたグラフである。
【
図4】本実施形態の検知装置として機能するコンピュータの一例の概略ブロック図である。
【
図5】本実施形態の検知装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の技術に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。なお、動作、作用、機能が同じ働きを担う構成要素及び処理には、全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明を適宜省略する場合がある。各図面は、本開示の技術を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本開示の技術は、図示例のみに限定されるものではない。また、本実施形態では、本開示と直接的に関連しない構成や周知な構成については、説明を省略する場合がある。
【0012】
<検知方法10>
まず、本実施形態に係る検知方法10を説明する。
図1は、本実施形態に係る検知方法10の各工程を示す概略図である。
【0013】
検知方法10は、複数の検体の各々に含まれる複数の核酸分子の発現量を測定し、当該発現量に基づき複数の検体の各々の性質を評価して評価値を求め、評価値を求めるまでの過程で生じた異常を検知する方法である。複数の核酸分子の発現量が測定される測定対象である検体としては、体液(例えば、血液、血清、尿、涙、唾液、汗、精液、リンパ液、組織液、体腔液(例えば、胸水、腹水など)、脳髄液、羊水、膣液、鼻水)、組織、及び細胞などが挙げられる。
【0014】
核酸分子としては、例えば、マイクロRNAが挙げられる。なお、核酸分子としては、マイクロRNA以外のスモールRNA、その他のRNA、DNAなどであってもよい。さらに、核酸分子としては、ATGCUの塩基のみから構成される核酸分子でなくてもよい。具体的には、例えば、DNA/RNAメチル化等の修飾、A-to-I RNA編集といった編集を受けた核酸等が挙げられる。このように、種々の核酸分子が、本検知方法の適用対象となり得る。
【0015】
検知方法10は、具体的には、
図1に示されるように、測定工程12と、評価工程13と、検知工程14と、判定工程16と、提示工程17と、を有している。本実施形態では、測定工程12、評価工程13、検知工程14、判定工程16、及び提示工程17は、一例として、この順で実行される。
【0016】
なお、検知方法10は、測定工程12、評価工程13、判定工程16、及び提示工程17を有する方法であるから、測定方法、評価方法、判定方法、又は提示方法ともいえる。また、判定工程16において、判定により、検査又は分析などを行う場合には、検知方法は、検査方法又は分析方法ともいえる。以下、検知方法10の各工程について説明する。
【0017】
<測定工程12>
測定工程12は、複数の検体の各々に含まれる複数の核酸分子の発現量を測定する工程である。具体的には、測定工程12では、測定装置である次世代シーケンサー(NGS)を用いて、複数の検体の各々に含まれる複数の核酸分子を測定し、それぞれの核酸分子の塩基配列を特定する。次に、特定したそれぞれの核酸分子の数を、塩基配列ごとに数えることで、NGSにおける核酸分子のリード数を求める。この核酸分子のリード数が、検体に含まれていた核酸分子の個数であり、核酸分子の発現量(具体的には絶対発現量)に対応する。なお、絶対発現量を測定するために、NGSで出力した核酸分子のリード数を正規化し、相対的な発現量(つまり、相対発現量)としてもよい。正規化の手段としては、例えば、RPM(Read Per Million) 正規化や、内部標準のスモールRNAを用いた正規化などの手段を利用できる。核酸分子の発現量としては、このように正規化した値であってもよい。
【0018】
なお、測定装置として次世代シーケンサー以外にも定量PCRやフローサイトメータなども利用でき、複数の核酸分子の発現量を測定できればよい。
【0019】
NGSでは、複数の検体を一括して、複数の核酸分子の発現量を測定することが可能である。すなわち、測定工程12においては、複数の検体について、同じプロセスにて、複数の核酸分子の発現量を測定する。
【0020】
なお、測定工程12の実行前に、検体に対して前処理(例えば、遠心分離)を実行する場合がある。本実施形態では、当該前処理を実行する場合は、複数の検体に対して、同じ処理が実行される。すなわち、本実施形態では、複数の検体について、同じプロセスにて、前処理が実行される。
【0021】
<評価工程13>
評価工程13は、核酸分子の発現量に基づき検体の性質を評価するアルゴリズム(以下、評価アルゴリズムという)を用いて、複数の検体の各々の性質を、測定工程で測定された核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求める工程である。
【0022】
評価工程13では、まず、測定工程で測定された核酸分子の発現量を解析する。具体的には、核酸分子の種類ごとの分子数を集計する。なお、人間の血液(具体的には、血清)を検体とした場合では、測定される核酸分子としてのマイクロRNAの種類は、例えば、500種類がある。
【0023】
評価工程13では、次に、集計された分子数に基づいて、検体の性質を評価する。検体の性質の評価としては、例えば、検体を提供した提供者の疾患予測が挙げられる。疾患予測は、例えば、核酸分子の種類ごとに集計された分子数の分布について、評価アルゴリズムとしての疾患予測アルゴリズムを用いて行うことが可能である。
【0024】
具体的には、予め対象となるマイクロRNAの各々の分子数と、疾患の有無の情報を訓練データとして機械学習し、疾患予測アルゴリズムとしての学習モデルを構築しておく。そして、集計した分子数を入力因子として、当該学習モデルによって、出力因子として疾患予測の評価値(評価スコア)を求めることが可能である。
【0025】
なお、検体の性質の評価としては、疾患予測に限られず、基礎生物学的な解析、回帰予測、及び各種の異常検知などを行ってもよい。
【0026】
<検知工程14>
検知工程14は、複数の検体(以下、検体群という場合がある)の評価値の高低に対して順位を付し、複数の検体の順位と評価値との相関関係に基づき、評価値を求めるまでの過程で生じた異常を検知する。以下、検知工程14において検知対象となる異常を、「対象異常」という場合がある。なお、検体群は、NGSなどの測定装置において、一括して、複数の核酸分子の発現量の測定がなされた複数の検体に限られない。検体群としては、例えば、同じ測定装置によって、同じプロセスにて、連続して当該測定がなされた複数の検体であってもよい。したがって、検体群には、複数回にわたって当該測定がなされた複数の検体も含まれる。
【0027】
以下では、複数の検体に対して評価値が高い方から順番に順位を付した例について説明するが、複数の検体に対して評価値が低い方から順番に順位を付してもよい。すなわち、順位としては、評価値が高い方から順番に並べた順位であってよいし、評価値が低い方から順番に並べた順位であってもよい。
【0028】
また、順位は、例えば、複数の検体を順番に並べた場合の絶対的な数値として付すことができる。このように順位を付した場合では、例えば、50の検体を評価値が高い方から順番に並べた場合に、評価値が高い方から20番目の順位は、「20」位となる。また、順位は、例えば、複数の検体における相対的な位置を表す相対的な数値である比率として付してもよい。このように順位を付した場合では、例えば、50の検体を評価値が高い方から順番に並べた場合に、評価値が高い方から20番目の順位は、「40」%となる。
【0029】
検知工程14において検知される対象異常は、評価値を求めるまでの過程で生じた異常である。したがって、対象異常には、評価対象である検体に由来する異常や、測定工程、測定工程の実行前の前処理、及び評価工程で生じた異常が含まれる。具体的には、対象異常としては、例えば、以下の(1)~(3)の場合に生じた異常が挙げられる。
【0030】
(1)何らかの原因により、評価基準である評価アルゴリズムに劣化が生じた場合
(2)評価対象である検体群が、評価基準である評価アルゴリズムによる評価において想定する評価対象とは異なる場合
(3)測定工程の実行前の前処理、及び測定工程などにおいて、不適切な処理があったことで、核酸分子の発現量の測定結果に異常が発生した場合
【0031】
上記(1)の一例として、学習モデル作成時の訓練データである入力データの統計的分布と、評価時での入力データの統計的分布が、何らかの変化によってズレてきていることによるデータドリフト(特徴量ドリフトや共変量シフトとも呼ばれる)がある。上記(2)の一例として、評価対象である検体群が疾患患者の頻度が少ないことを想定した評価アルゴリズムに、ほとんどが疾患患者である検体群が使用されるケースがある。上記(3)の一例として、作業者による測定工程に必要な検体の処理に不適切な処理があったことや、検体の処理に使用する試薬が異常であったケースがある。
【0032】
検知工程14では、例えば、順位が第一閾値よりも低い検体のいずれかの評価値が、第二閾値以上の値である場合を、対象異常として検知する。ここで、
図2に示されるグラフでは、例えば、縦軸が評価値とされ、横軸が評価値の高低に対して付された順位とされている。また、
図2に示される例では、例えば、第一閾値が順位10%の値とされている。
【0033】
ここで、第二閾値には、例えば、判定工程16において判定指標となる閾値が用いられる。すなわち、後述のように、例えば、疾患の有無予測を行う判定工程16において、評価値が、予め定められた閾値以上である場合に疾患ありと判定する場合では、当該閾値が、第二閾値として設定される。
【0034】
一方、第一閾値には、例えば、疾患の有無予測を行う判定工程16において、疾患ありとの判定が想定される最低未満の順位が用いられる。例えば、判定工程16における疾患ありとの判定が、10%よりも上の順位で想定される場合では、例えば、第一閾値として、10%の値が設定される。
【0035】
以上のように、第一閾値及び第二閾値が設定されているため、順位が第一閾値よりも低い検体のいずれかの評価値が、第二閾値以上の値である場合には、判定工程16において疾患ありとの判定が想定されていない順位(すなわち、第一閾値よりも低い順位)に、判定工程16において疾患ありとの判定がなされる検体(すなわち、第二閾値以上の検体)が存在することになるので、検知工程14において、評価値を求めるまでの過程で異常が生じたことを検知可能となる。
【0036】
図2に示されるように、黒ベタのドットで示される検体群では、順位が第一閾値よりも低い検体の評価値(符号51参照)は、第二閾値以上の値である。これに対して、白抜きのドットで示される検体群では、順位が第一閾値よりも低い検体の評価値(符号52参照)は、第二閾値未満の値である。したがって、
図2に示される例では、黒ベタのドットで示される検体群は、順位が第一閾値よりも低い検体のいずれかの評価値が、第二閾値以上の値である場合に該当する。すなわち、判定工程16において疾患ありとの判定が想定されていない順位(すなわち、第一閾値よりも低い順位)に、判定工程16において疾患ありとの判定がなされる検体(すなわち、第二閾値以上の検体)が存在する場合に該当する。このため、検知工程14では、黒ベタのドットで示される検体群について、対象異常として検知する。
【0037】
一方、白抜きのドットで示される検体群は、順位が第一閾値よりも低い検体のいずれの評価値も、第二閾値未満の値である。すなわち、判定工程16において疾患ありとの判定が想定されていない順位(すなわち、第一閾値よりも低い順位)に、判定工程16において疾患なしとの判定がなされる検体(すなわち、第二閾値未満の検体)が存在することになる。このため、検知工程14では、白抜きのドットで示される検体群に対して、評価値の正常として検知する。すなわち、検知工程14では、白抜きのドットで示される検体群に対しては、対象異常を検知しない。
【0038】
なお、
図2に示されるグラフの場合では、いずれかのドットが、
図2において斜線部分で示される領域(以下、第2象限という場合がある。)に含まれる場合に、対象異常として検知すると言い換えることもできる。
【0039】
なお、
図2を用いて説明した検知方法では、評価値が高い値を示す検体がほとんど存在しない検体群において、有効となる。
【0040】
また、前述では、いずれかのドットが第2象限に含まれる場合に、対象異常として検知したが、複数のドットが第2象限に含まれる場合に、対象異常として検知してもよい。
【0041】
さらに、順位がn位、又はn%のドット(評価値)が、第二閾値以上の値である場合を、対象異常として検知してもよい。
【0042】
検知工程14にて用いられる第二閾値は、例えば、測定工程12の実行前に実行される前処理の内容、測定工程12で用いられる測定装置、判定工程16における判定内容、評価工程13における評価内容などに応じて、定められることが望ましい。
【0043】
一方、検知工程14にて用いられる第一閾値は、順位であって、各工程で実行される内容に依存しない相対的な指標であるため、定まった値が望ましいが、評価対象である検体群が、評価基準である評価アルゴリズムによる評価において想定する評価対象とは異なる場合が想定される場合には、その評価対象である検体群の属性に応じて、変更することが望ましい。
【0044】
また、検知工程14にて用いられる第一閾値及び第二閾値の組み合わせを、予め複数のパターンで準備しておいてもよい。この場合では、検知工程14は、ユーザが、当該複数のパターンから一つのパターンを選択し、当該パターンを用いて、対象異常を検知する。また、検知工程14では、検体群が採取された由来元情報に基づいて少なくとも第一閾値を決定し、対象異常を検知することが可能である。なお、少なくとも第一閾値は、検体群が採取された由来元情報に基づくため、ユーザが任意の値に設定できるようにしてもよい。
【0045】
例えば、検体が、人間の血液(具体的には血清)である場合では、検体群が採取された由来元情報としては、当該由来元がどこか(例えば、人間ドック、及びがんセンターなど)示す情報である。
【0046】
検体群が採取された由来元が、評価値が高い値となる傾向がある由来元である場合には、第一閾値が相対的に低く設定された組み合わせが選択される。
【0047】
<判定工程16>
判定工程16は、評価工程13によって求められた評価値に基づき、検体に関する判定を、検体群に対して行う工程である。この判定工程16は、検知工程14において対象異常が検知されない場合に実行される。したがって、検知工程14において対象異常が検知された場合には、判定工程16は実行されない。なお、この場合では、例えば、対象異常が検知されたことをユーザ(すなわち検知方法を実行する実行者)に提示してもよい。
【0048】
検体に関する判定としては、検体を提供した提供者の疾患の有無予測が挙げられる。判定工程16では、例えば、評価工程13で求められた評価値が、第二閾値(
図2参照)以上である場合に、疾患ありと判定することが可能である。
図2に示されるグラフの場合では、第2象限の右隣にある領域(
図2における第1象限)に存在するドットに対応する検体を提供した提供者に対して疾患ありと判定することとなる。
【0049】
前述のように、検知工程14において対象異常が検知された場合には、判定工程16は実行されなかったが、これに限らない。例えば、検知工程14において対象異常が検知された場合であっても、例えば、参考データとして判定結果を得る場合には、判定工程16を実行してもよい。この場合では、例えば、対象異常を検知した上で、判定を行ったことをユーザに提示してもよい。
【0050】
<提示工程17>
提示工程17は、複数の検体の順位と評価値との相関関係を提示する工程である。提示工程17では、例えば、検知工程14において検体群における検体の各々に付された順位と評価値との相関関係を提示する。
【0051】
具体的には、提示工程17では、順位に対して設定された第一閾値及び、評価値に対して設定された第二閾値に対する複数の検体の順位及び評価値の分布(例えば、
図2に示されるグラフ)を提示する。
【0052】
また、提示工程17では、検知工程14において検体群における検体の各々に付された順位と評価値との相関関係に加えて、判定工程16における判定結果56(例えば、
図3に示されるグラフ)を提示してもよい。
図3に示される例では、疾患の有無を予測した判定結果として、がんの有無予測(具体的には陽性であるか陰性であるかの予測)、及び判定結果に付随する付随情報(例えば、受診者(検体の提供者に相当)である検体群内での順位、及び判定結果に対するコメントなど)が提示される。
【0053】
提示方法としては、表示部に表示することで提示する方法、及び用紙等の記録媒体に印刷する方法などがある。表示部としては、例えば、液晶ディスプレイ及び有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどが挙げられる。
【0054】
当該相関関係が提示される提示対象者としては、例えば、検体の提供者、疾患予測を行う場合では、疾患を治療する医師などが挙げられる。
【0055】
<検知システム20>
次に、前述の検知方法を実行するシステムとしての検知システム20について説明する。検知システム20は、
図4に示されるように、測定装置21と、検知装置30と、を有している。
【0056】
<測定装置21>
測定装置21は、測定部の一例であり、前述の測定工程12を実行する装置である。すなわち、測定装置21は、複数の検体の各々に含まれる複数の核酸分子の発現量を測定する。測定装置21としては、例えば、NGSが用いられる。
【0057】
<検知装置30>
検知装置30は、評価部の一例であると共に、検知部の一例である。検知装置30は、前述の評価工程13及び前述の検知工程14を実行する装置である。すなわち、検知装置30は、核酸分子の発現量に基づき検体の性質を評価する評価アルゴリズムを用いて、複数の検体の各々の性質を、予め測定された核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求める。さらに、検知装置30は、複数の検体の評価値の高低に対して順位を付し、複数の検体の順位と前記評価値との相関関係に基づき、評価値を求めるまでの過程で生じた異常を検知する。
【0058】
また、検知装置30は、前述の判定工程16、及び提示工程17を実行する。すなわち、検知装置30は、自らが求めた評価値に基づき、検体群について検体に関する判定を行う。さらに、検知装置30は、予め測定された核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求め、複数の検体の評価値の高低に対して順位を付し、複数の検体の順位と評価値との相関関係を提示する提示装置として機能する。具体的には、検知装置30は、順位に対して設定された第一閾値及び、評価値に対して設定された第二閾値に対する複数の検体の順位及び評価値の分布(例えば、
図2に示されるグラフ)を提示する。
【0059】
検知装置30は、コンピュータとしての機能を有し、
図4に示されるように、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、ストレージ34、入力部35、表示部36及び通信インタフェース(I/F)37を有している。各構成部は、バス39を介して相互に通信可能に接続されている。
【0060】
CPU31(プロセッサの一例)は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU31は、ROM32又はストレージ34からプログラムを読み出し、RAM33を作業領域としてプログラムを実行する。CPU31は、ROM32又はストレージ34に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。なお、CPU31は、プロセッサの一例である。
【0061】
ROM32は、各種プログラム及び各種データを記録する。RAM33は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ34は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを記録する。
【0062】
本実施形態では、例えば、前述の検知方法を行う検知処理を実行させるための検知プログラムがストレージ34に記録されている。検知プログラムは、1つのプログラムであってもよいし、複数のプログラム又はモジュールで構成されるプログラム群であってもよい。なお、検知プログラムは、ROM32に記録されていてもよい。ROM32及びストレージ34は、非一時的な記録媒体の一例として機能する。
【0063】
プロセッサの一例としては、例えば、汎用的なプロセッサである前述のCPUに限られず、例えば、特定の処理を実行させるために専用に設計された回路で構成された専用のプロセッサであってもよい。また、プロセッサの一例としては、1つで構成される場合に限られず、物理的に離れた位置に設けられた複数が協働して成すものであってもよい。
【0064】
入力部35は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。また、入力部35は、測定装置21により測定された複数の核酸分子の発現量の情報を、入力として受け付ける。また、前述の由来元情報や、評価内容、評価対象などの評価工程13及び検知工程14で用いられる情報を、入力として受け付ける。
【0065】
表示部36は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。検知装置30では、対象異常が検知されたことを、表示部36を通じてユーザに提示することができる。
【0066】
また、検知装置30では、複数の検体の順位と評価値との相関関係を、表示部36を通じてユーザに提示することができる。したがって、本実施形態では、表示部36を提示装置の一例として把握できる。なお、表示部36は、タッチパネル方式を採用して、入力部35として機能してもよい。
【0067】
通信インタフェース37は、他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0068】
図5に示されるように、検知装置30では、CPU31が、検知プログラムを実行することで、評価機能部150、検知機能部160、判定部170、及び提示部180として機能する。
【0069】
評価機能部150は、前述の評価工程13を実行する。すなわち、評価機能部150は、核酸分子の発現量(発現量)に基づき検体の性質を評価する評価アルゴリズムを用いて、複数の検体の各々の性質を、測定装置21で測定された核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求める(前述の評価工程13参照)。
【0070】
検知機能部160は、前述の検知工程14を実行する。すなわち、検知機能部160は、検体群における検体の各々の評価値の高低に対して順位を付し、複数の検体の順位と評価値との相関関係に基づき、対象異常を検知する(前述の検知工程14参照)。
【0071】
判定部170は、判定工程16を実行する。すなわち、判定部170は、評価機能部150によって求められた評価値に基づき、検体に関する判定を検体群に対して行う(前述の判定工程16参照)。
【0072】
提示部180は、前述の提示工程17を実行する。すなわち、提示部180は、複数の検体の順位と評価値との相関関係を提示する(前述の提示工程17参照)。
【0073】
なお、本実施形態では、検知システム20は、測定装置21と、検知装置30と、を有していたが、検知システム20としては、1つの装置で構成されていてもよい。この場合では、当該1つの装置が、測定部、評価部、及び検知部の一例として機能する。
【0074】
また、検知装置30は、複数の装置で構成されていてもよい。例えば、検知装置30は、前述の評価工程13、検知工程14、判定工程16、及び提示工程17を分担して実行する複数(例えば4つ)の装置で構成されていてもよい。
【0075】
<本実施形態の作用効果>
本実施形態では、前述のように、検知工程14において、複数の検体の評価値の高低に対して順位を付し、複数の検体の順位と評価値との相関関係(
図2参照)に基づき、対象異常(すなわち、評価値を求めるまでの過程で生じた異常)を検知する。
【0076】
これにより、複数の検体(すなわち検体群)における評価値の分布が明瞭となり、許容不可能な対象異常を、容易に検知できる。
【0077】
さらに、本実施形態では、検知工程14において、例えば、順位が第一閾値よりも低い検体のいずれかの評価値が、第二閾値以上の値である場合を、対象異常として検知する。
【0078】
これにより、例えば、
図2に示されるグラフにおいて、いずれかのドットが第2象限に含まれる場合に、対象異常として検知することが可能となり、許容不可能な対象異常を、容易に検知できる。
【0079】
測定工程12においては、複数の検体について、同じプロセスにて、複数の核酸分子の発現量を測定する。
【0080】
同一の測定条件下で測定された複数の核酸分子の発現量に基づき、検体の性質の評価が実行されるため、評価値の信頼性が高まり、検知工程14において対象異常を高精度に検知できる。
【0081】
また、本実施形態では、判定工程16において、検知工程14において対象異常が検知されない場合に、評価工程13によって求められた評価値に基づき、検体に関する判定を検体群に対して行う。
【0082】
判定工程16において、検知工程14の検知結果に関わらず、常に検体群について検体に関する判定を行う場合に比べ、結果の信頼性が低い判定の実行を抑制できる。
【0083】
また、本実施形態では、検知工程14において、第一閾値及び第二閾値における複数のパターンの組み合わせから一つのパターンを用いて、対象異常を検知する。
【0084】
このため、検知対象となる検体に応じて、対象異常の検知に用いるパターンを選択でき、検知工程14において対象異常を高精度に検知できる。
【0085】
さらに、本実施形態では、検知工程14において、検体群が採取された由来元情報に基づいて第一閾値が決定され、対象異常を検知する。
【0086】
由来元情報に応じて、対象異常の検知に用いる第一閾値が決定されるため、検知工程14において対象異常を高精度に検知できる。
【0087】
また、本実施形態では、検知装置30は、予め測定された核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求め、複数の検体の評価値の高低に対して順位を付し、複数の検体の順位と評価値との相関関係を提示する。これにより、当該相関関係が提示された被提示者が、当該相関関係に基づき、対象異常を検知することができる。
【0088】
具体的には、検知装置30は、順位に対して設定された第一閾値及び、評価値に対して設定された第二閾値に対する複数の検体の順位及び評価値の分布(例えば、
図2に示されるグラフ)を提示する。これにより、被提示者が、許容不可能な対象異常を、容易に検知できる。
【0089】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。前述の変形例は、適宜、複数組み合わせて構成ししてもよい。
【0090】
<付記>
(態様1)
複数の検体の各々に含まれる複数の核酸分子の発現量を測定する測定工程と、
核酸分子の発現量に基づき前記検体の性質を評価する評価アルゴリズムを用いて、前記複数の検体の各々の性質を、前記測定工程で測定された前記核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求める評価工程と、
前記複数の検体の評価値の高低に対して順位を付し、前記複数の検体の前記順位と前記評価値との相関関係に基づき、前記評価値を求めるまでの過程で生じた異常を検知する検知工程と、
を有する検知方法。
(態様2)
前記検知工程では、
前記複数の検体に対して評価値が高い方から順番に順位を付し、
前記順位が第一閾値よりも低い検体のいずれかの評価値が、第二閾値以上の値である場合を、前記異常として検知する
態様1に記載の検知方法。
(態様3)
前記測定工程では、
前記複数の検体について、同じプロセスにて、前記発現量を測定する
態様1又は態様2に記載の検知方法。
(態様4)
前記検知工程において前記異常が検知されない場合に、前記評価工程によって求められた評価値に基づき、検体に関する判定を前記複数の検体に対して行う判定工程を、さらに有する、
態様1~3のいずれか1つに記載の検知方法。
(態様5)
前記第一閾値及び前記第二閾値の組み合わせは、複数のパターンがあり、
前記検知工程では、前記複数のパターンから一つのパターンを用いて、前記異常を検知する
態様2~4のいずれか1つに記載の検知方法。
(態様6)
前記検知工程では、前記複数の検体が採取された由来元情報に基づいて前記第一閾値が決定され、前記異常を検知する
態様5に記載の検知方法。
(態様7)
複数の検体の各々に含まれる核酸分子の発現量に基づき、当該検体の性質を評価した評価値の高低に対して順位を付し、前記複数の検体の順位と前記評価値との相関関係を提示する提示装置。
(態様8)
前記順位に対して設定された第一閾値及び、前記評価値に対して設定された第二閾値に対する前記複数の検体の順位及び前記評価値の分布を提示する
態様7に記載の提示装置。
(態様9)
前記評価値に基づいて行われた前記検体に関する判定の判定結果に付随する付随情報を提示する
態様7又は8に記載の提示装置。
(態様10)
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
核酸分子の発現量に基づき検体の性質を評価する評価アルゴリズムを用いて、複数の検体の各々の性質を、予め測定された前記核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求め、
前記複数の検体の評価値の高低に対して順位を付し、前記複数の検体の前記順位と前記評価値との相関関係に基づき、前記評価値を求めるまでの過程で生じた異常を検知する
検知装置。
(態様11)
複数の検体の各々に含まれる複数の核酸分子の発現量を測定する測定部と、
核酸分子の発現量に基づき前記検体の性質を評価する評価アルゴリズムを用いて、前記複数の検体の各々の性質を、前記測定部で測定された前記核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求める評価部と、
前記複数の検体の評価値の高低に対して順位を付し、前記複数の検体の前記順位と前記評価値との相関関係に基づき、前記評価値を求めるまでの過程で生じた異常を検知する検知部と、
を備える検知システム。
(態様12)
コンピュータに、
核酸分子の発現量に基づき検体の性質を評価する評価アルゴリズムを用いて、複数の検体の各々の性質を、予め測定された前記核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求め、
前記複数の検体の評価値の高低に対して順位を付し、前記複数の検体の前記順位と前記評価値との相関関係に基づき、前記評価値を求めるまでの過程で生じた異常を検知する検知処理
を実行させるための検知プログラム。
(態様13)
コンピュータに、
核酸分子の発現量に基づき検体の性質を評価する評価アルゴリズムを用いて、複数の検体の各々の性質を、予め測定された前記核酸分子の発現量に基づき評価し、評価値を求め、
前記複数の検体の評価値の高低に対して順位を付し、前記複数の検体の前記順位と前記評価値との相関関係に基づき、前記評価値を求めるまでの過程で生じた異常を検知する検知処理
を実行させるための検知プログラムが記録された非一時的な記録媒体。
【符号の説明】
【0091】
10 検知方法
12 測定工程
13 評価工程
14 検知工程
16 判定工程
17 提示工程
20 検知システム
21 測定装置(測定部の一例)
30 検知装置(評価部の一例、検知部の一例)
31 CPU(プロセッサの一例)
32 ROM
33 RAM
34 ストレージ(記録媒体の一例)
35 入力部
36 表示部
37 通信インタフェース
39 バス
150 評価機能部
160 検知機能部
170 判定部
180 提示部