(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021322
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】CMの企画を過去のCMと比較するための装置、方法及びそのためのプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0201 20230101AFI20250205BHJP
H04N 21/85 20110101ALI20250205BHJP
【FI】
G06Q30/0201
H04N21/85
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125154
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】522166220
【氏名又は名称】ノバセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003605
【氏名又は名称】弁理士法人六本木通り特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 優哉
(72)【発明者】
【氏名】小谷 雄大
【テーマコード(参考)】
5C164
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5C164FA29
5C164MA02S
5C164MC00P
5L030BB02
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】CMの企画を過去のCMと比較するための方法を提供する。
【解決手段】まず、ユーザー端末100から、CMの企画の指定を受信する(S201)。次に、装置100は、当該企画に基づく第1の一連のイラストを生成することを生成AIモデルに要求し(S202)、生成された第1の一連のイラストを受信する(S203)。第1の一連のイラストを受信した装置100は、必要に応じて、第1の一連のイラストを含む第1のビデオコンテを生成する(S204)。次いで、装置100は、過去のCMの指定を受信する(S205)。装置100は、当該CMに対応する第2の一連のイラストを生成することを生成AIモデルに要求し(S206)、第2の一連のイラストを受信する(S207)。装置100はその後、必要に応じて、第2の一連のイラストを含む第2のビデオコンテを生成する(ステップS208)。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CMの企画を過去のCMと比較するための方法であって、
前記企画を指定する第1の入力を受信するステップと、
前記企画に基づく第1の一連のイラストの生成を第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を送信して、前記第1の一連のイラストを受信するステップと、
前記過去のCMを指定する第2の入力を受信するステップと、
前記過去のCMに対応する第2の一連のイラストを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を送信して、前記第2の一連のイラストを受信するステップと
を含む。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記企画は、
一連の絵と、
前記一連の絵のうちの少なくともいずれかの説明文と
を含む。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記一連の絵は、それぞれ写真又は写真の少なくとも一部を含む画像である。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の方法であって、
前記第1の一連のイラストの数は、前記一連の絵の数と同一である。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載の方法であって、
前記第1の入力は、前記一連の絵の選択を含む。
【請求項6】
請求項2から5のいずれかに記載の方法であって、
前記企画は、前記一連の絵のうちの少なくともいずれかの絵に対応するセリフ、ナレーション又はテロップを含む。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記ナレーションは、キャッチコピーを含む。
【請求項8】
請求項2から7のいずれかに記載の方法であって、
前記企画は、音楽を含む。
【請求項9】
請求項2から8のいずれかに記載の方法であって、
前記企画は、前記一連の絵の各絵の秒数を含む。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の方法であって、
前記第2の一連のイラストは、前記過去のCMに含まれる一連の画像に対応する。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
機械学習により生成したAIモデルにより前記過去のCMから前記一連の画像を選択するステップをさらに含む。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、
前記過去のCMから前記過去のCMのカット数の枚数の画像を前記一連の画像として選択するステップをさらに含む。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、
前記第2の入力は、前記一連の画像の選択を含む。
【請求項14】
請求項10から13のいずれかに記載の方法であって、
前記第2の生成AIモデルは、前記第1の生成AIモデルと異なる。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記第1の生成AIモデル及び前記第2の生成AIモデルは、それぞれ、同一の一組のイラスト及びその画風名を用いて学習したモデルである。
【請求項16】
請求項10から13のいずれかに記載の方法であって、
前記第2の生成AIモデルは、前記第1の生成AIモデルと同一である。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記第1及び第2の生成AIモデルは、一組のイラスト及びその画風名を用いて学習したモデルである。
【請求項18】
請求項15又は17に記載の方法であって、
前記第1の要求及び前記第2の要求は、前記画風名の指示を含む。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載の方法であって、
前記第2の要求は、前記過去のCMに登場するタレントの特徴を抑制する指示を含む。
【請求項20】
請求項1から19のいずれかに記載の方法であって、
前記第1の一連のイラストを修正することを前記第1のAIモデルに要求するステップをさらに含む。
【請求項21】
請求項1から20のいずれかに記載の方法であって、
前記第1の一連のイラストを含む第1のビデオコンテを生成するステップと、
前記第2の一連のイラストを含む第2のビデオコンテを生成するステップと
をさらに含む。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
前記第1のビデオコンテと前記第2のビデオコンテの比較結果を表示するステップをさらに含む。
【請求項23】
コンピュータに、CMの企画を過去のCMと比較するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
前記企画を指定する第1の入力を受信するステップと、
前記企画に基づく第1の一連のイラストの生成を第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を送信して、前記第1の一連のイラストを受信するステップと、
前記過去のCMを指定する第2の入力を受信するステップと、
前記過去のCMに対応する第2の一連のイラストを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を送信して、前記第2の一連のイラストを受信するステップと
を含む。
【請求項24】
CMの企画を過去のCMと比較するための装置であって、
指定された前記企画に基づく第1の一連のイラストの生成を第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を送信して、前記第1の一連のイラストを受信し、
指定された前記過去のCMに対応する第2の一連のイラストを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を送信して、前記第2の一連のイラストを受信する。
【請求項25】
第1のCMの企画を第2のCMの企画と比較するための方法であって、
前記第1のCMの企画を指定する第1の入力を受信するステップと、
前記第1のCMの企画に基づく第1の一連のイラストの生成を第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を送信して、前記第1の一連のイラストを受信するステップと、
前記第2のCMの企画を指定する第2の入力を受信するステップと、
前記第2のCMの企画に基づく第2の一連のイラストを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を送信して、前記第2の一連のイラストを受信するステップと
を含む。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、
前記第1及び第2の生成AIモデルは、同一の生成AIモデルであって、一組のイラスト及びその画風名を用いて学習したモデルである。
【請求項27】
コンピュータに、第1のCMの企画を第2のCMの企画と比較するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
前記第1のCMの企画を指定する第1の入力を受信するステップと、
前記第1のCMの企画に基づく第1の一連のイラストの生成を第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を送信して、前記第1の一連のイラストを受信するステップと、
前記第2のCMの企画を指定する第2の入力を受信するステップと、
前記第2のCMの企画に基づく第2の一連のイラストを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を送信して、前記第2の一連のイラストを受信するステップと
を含む。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、
前記第1及び第2の生成AIモデルは、同一の生成AIモデルであって、一組のイラスト及びその画風名を用いて学習したモデルである。
【請求項29】
第1のCMの企画を第2のCMの企画と比較するための装置であって、
指定された前記第1のCMの企画に基づく第1の一連のイラストの生成を第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を送信して、前記第1の一連のイラストを受信し、
指定された前記第2のCMの企画に基づく第2の一連のイラストを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を送信して、前記第2の一連のイラストを受信する。
【請求項30】
請求項29に記載の装置であって、
前記第1及び第2の生成AIモデルは、同一の生成AIモデルであって、一組のイラスト及びその画風名を用いて学習したモデルである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CMの企画を過去のCMと比較するための装置、方法及びそのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
CM制作は、企画、撮影及び編集の工程を含み、一般に広告代理店が複数の企画を広告主に提案し、広告主が採用した企画に基づいて撮影した映像素材を編集して動画が完成する。
【0003】
企画は、多くの場合、「絵コンテ」と呼ばれる形式として表現される。絵コンテは、一連の静的な絵と、各絵に対応するセリフ、ナレーション又はテロップの文言とを含む。絵コンテは、各絵が表す状況の説明文、各絵の秒数等をさらに含んでもよい。
【0004】
広告代理店は、広告主がCM放映で達成したい目的に応じて、効果的な企画案を提示する必要があり、そのために、複数の企画を比較することが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数の企画を比較する上で、過去のCMと比較することができれば、過去のCMは、たとえば特許文献1に示す出願人の技術を用いて、その効果を分析することが可能であるから、提案する企画にどの程度の効果を期待できるかを定量的に説明可能となる。
【0007】
しかしながら、企画を過去のCMと比較するために撮影及び編集を行うことは、撮影及び編集の工程に要するコストの観点から、現実的ではない。
【0008】
複数の企画を比較する際に、新たな企画同士を直接比較したいこともある。このような場合においても、撮影及び編集を経たCMの形式で比較することは現実的ではなく、また、企画の段階で絵コンテの形式で比較しようとしても、企画によってその具体的な表現内容は異なることから、容易ではない。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その第1の課題は、CMの企画を過去のCMと比較するための装置、方法又はそのためのプログラムを提供することにある。
【0010】
また、本発明の第2の課題は、第1のCMの企画を第2のCMの企画と比較するための装置、方法又はそのためのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を達成するために、本発明の第1の態様は、CMの企画を過去のCMと比較するための方法であって、前記企画を指定する第1の入力を受信するステップと、前記企画に基づく第1の一連のイラストの生成を第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を送信して、前記第1の一連のイラストを受信するステップと、前記過去のCMを指定する第2の入力を受信するステップと、前記過去のCMに対応する第2の一連のイラストを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を送信して、前記第2の一連のイラストを受信するステップとを含む。
【0012】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様の方法であって、前記企画は、一連の絵と、前記一連の絵のうちの少なくともいずれかの説明文とを含む。
【0013】
また、本発明の第3の態様は、第2の態様の方法であって、前記一連の絵は、それぞれ写真又は写真の少なくとも一部を含む画像である。
【0014】
また、本発明の第4の態様は、第2又は第3の態様の方法であって、前記第1の一連のイラストの数は、前記一連の絵の数と同一である。
【0015】
また、本発明の第5の態様は、第2から第4のいずれかの態様の方法であって、前記第1の入力は、前記一連の絵の選択を含む。
【0016】
また、本発明の第6の態様は、第2から第5のいずれかの態様の方法であって、前記企画は、前記一連の絵のうちの少なくともいずれかの絵に対応するセリフ、ナレーション又はテロップを含む。
【0017】
また、本発明の第7の態様は、第6の態様の方法であって、前記ナレーションは、キャッチコピーを含む。
【0018】
また、本発明の第8の態様は、第2から第7のいずれかの態様の方法であって、前記企画は、音楽を含む。
【0019】
また、本発明の第9の態様は、第2から第8のいずれかの態様の方法であって、前記企画は、前記一連の絵の各絵の秒数を含む。
【0020】
また、本発明の第10の態様は、第1から第9のいずれかの態様の方法であって、前記第2の一連のイラストは、前記過去のCMに含まれる一連の画像に対応する。
【0021】
また、本発明の第11の態様は、第10の態様の方法であって、機械学習により生成したAIにより前記過去のCMから前記一連の画像を選択するステップをさらに含む。
【0022】
また、本発明の第12の態様は、第10の態様の方法であって、前記過去のCMから前記過去のCMのカット数の枚数の画像を前記一連の画像として選択するステップをさらに含む。
【0023】
また、本発明の第13の態様は、第10の態様の方法であって、前記第2の入力は、前記一連の画像の選択を含む。
【0024】
また、本発明の第14の態様は、第10から第13のいずれかの態様の方法であって、前記第2の生成AIモデルは、前記第1の生成AIモデルと異なる。
【0025】
また、本発明の第15の態様は、第14の態様の方法であって、前記第1の生成AIモデル及び前記第2の生成AIモデルは、それぞれ、同一の一組のイラスト及びその画風名を用いて学習したモデルである。
【0026】
また、本発明の第16の態様は、第10から第13のいずれかの態様の方法であって、
前記第2の生成AIモデルは、前記第1の生成AIモデルと同一である。
【0027】
また、本発明の第17の態様は、第16の態様の方法であって、前記第1及び第2の生成AIモデルは、一組のイラスト及びその画風名を用いて学習したモデルである。
【0028】
また、本発明の第18の態様は、第15又は第17の態様の方法であって、前記第1の要求及び前記第2の要求は、前記画風名の指示を含む。
【0029】
また、本発明の第19の態様は、第1から第18のいずれかの態様の方法であって、前記第2の要求は、前記過去のCMに登場するタレントの特徴を抑制する指示を含む。
【0030】
また、本発明の第20の態様は、第1から第19のいずれかの態様の方法であって、前記第1の一連のイラストを修正することを前記第1のAIモデルに要求するステップをさらに含む。
【0031】
また、本発明の第21の態様は、第1から第20のいずれかの態様の方法であって、前記第1の一連のイラストを含む第1のビデオコンテを生成するステップと、前記第2の一連のイラストを含む第2のビデオコンテを生成するステップとをさらに含む。
【0032】
また、本発明の第22の態様は、第21の態様の方法であって、前記第1のビデオコンテと前記第2のビデオコンテの比較結果を表示するステップをさらに含む。
【0033】
また、本発明の第23の態様は、コンピュータに、CMの企画を過去のCMと比較するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、前記企画を指定する第1の入力を受信するステップと、前記企画に基づく第1の一連のイラストの生成を第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を送信して、前記第1の一連のイラストを受信するステップと、前記過去のCMを指定する第2の入力を受信するステップと、前記過去のCMに対応する第2の一連のイラストを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を送信して、前記第2の一連のイラストを受信するステップとを含む。
【0034】
また、本発明の第24の態様は、CMの企画を過去のCMと比較するための装置であって、指定された前記企画に基づく第1の一連のイラストの生成を第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を送信して、前記第1の一連のイラストを受信し、指定された前記過去のCMに対応する第2の一連のイラストを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を送信して、前記第2の一連のイラストを受信する。
【0035】
また、本発明の第25の態様は、第1のCMの企画を第2のCMの企画と比較するための方法であって、前記第1のCMの企画を指定する第1の入力を受信するステップと、前記第1のCMの企画に基づく第1の一連のイラストの生成を第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を送信して、前記第1の一連のイラストを受信するステップと、前記第2のCMの企画を指定する第2の入力を受信するステップと、前記第2のCMの企画に基づく第2の一連のイラストを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を送信して、前記第2の一連のイラストを受信するステップとを含む。
【0036】
また、本発明の第26の態様は、第25の態様の方法であって、前記第1及び第2の生成AIモデルは、同一の生成AIモデルであって、一組のイラスト及びその画風名を用いて学習したモデルである。
【0037】
また、本発明の第27の態様は、コンピュータに、第1のCMの企画を第2のCMの企画と比較するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、前記第1のCMの企画を指定する第1の入力を受信するステップと、前記第1のCMの企画に基づく第1の一連のイラストの生成を第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を送信して、前記第1の一連のイラストを受信するステップと、前記第2のCMの企画を指定する第2の入力を受信するステップと、前記第2のCMの企画に基づく第2の一連のイラストを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を送信して、前記第2の一連のイラストを受信するステップとを含む。
【0038】
また、本発明の第28の態様は、第27の態様の方法であって、前記第1及び第2の生成AIモデルは、同一の生成AIモデルであって、一組のイラスト及びその画風名を用いて学習したモデルである。
【0039】
また、本発明の第29の態様は、第1のCMの企画を第2のCMの企画と比較するための装置であって、指定された前記第1のCMの企画に基づく第1の一連のイラストの生成を第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を送信して、前記第1の一連のイラストを受信し、指定された前記第2のCMの企画に基づく第2の一連のイラストを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を送信して、前記第2の一連のイラストを受信する。
【0040】
また、本発明の第30の態様は、第29の態様の方法であって、前記第1及び第2の生成AIモデルは、同一の生成AIモデルであって、一組のイラスト及びその画風名を用いて学習したモデルである。
【発明の効果】
【0041】
本発明の一態様によれば、指定されたCMの企画に基づく第1の一連のイラストの生成を第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を送信して、当該第1の一連のイラストを受信し、指定された過去のCMに対応する第2の一連のイラストを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を送信して、当該第2の一連のイラストを受信することによって、CMの企画を過去のCMと比較することが可能となる。
【0042】
また、本発明の別の態様によれば、指定された第1のCMの企画に基づく第1の一連のイラストの生成を第1の生成AIモデルに要求する第1の要求を送信して、当該第1の一連のイラストを受信し、指定された第2のCMの企画に基づく第2の一連のイラストを第2の生成AIモデルに要求する第2の要求を送信して、当該第2の一連のイラストを受信することによって、CMの企画を過去のCMと比較することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の第1の実施形態にかかる装置を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態にかかる方法の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0045】
(第1の実施形態)
図1に本発明の第1の実施形態にかかるシステムを示す。装置100は、ユーザーが用いるユーザー端末110及び生成AIモデルを提供するプラットフォーム等のサーバ120とインターネット等のIPネットワークを介して通信する。
【0046】
装置100は、通信インターフェース等の通信部101と、プロセッサ、CPU等の処理部102と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置又は記憶媒体を含む記憶部103とを備え、各処理又は各動作を行うためのプログラムを処理部102において実行することによって構成することができる。装置100は、1又は複数の装置、コンピュータないしサーバを含むことがある。また、当該プログラムは、1又は複数のプログラムを含むことがあり、また、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して非一過性のプログラムプロダクトとすることができる。当該プログラムは、記憶部103又は装置100からIPネットワークを介してアクセス可能な記憶装置又は記憶媒体104に記憶しておき、処理部102の少なくとも1つのプロセッサにおいて当該プログラムに含まれる命令を実行することができる。以下で記憶部103に記憶されるものとして記述されるデータは記憶装置又は記憶媒体104に記憶してもよく、またその逆も同様である。
【0047】
まず、ユーザー端末100から、CMの企画を指定する第1の入力を受信する(S201)。当該企画は、一連の絵と、当該一連の絵のうちの少なくともいずれかの説明文とを含み、当該一連の絵のうちの少なくともいずれかの絵に対応するセリフ、ナレーション又はテロップ、音楽、当該一連の絵の各絵の秒数等を含んでもよい。一例として、9枚の一連の画像と、各画像に対応するセリフ又はナレーションと、各画像の状況を説明する説明文とを含む企画が挙げられる。当該ナレーションは、一例として、当該企画で訴求したいコンセプトを表したキャッチコピーである。また、当該一連の絵は、それぞれ写真又は写真の少なくとも一部を含む画像とすることができる。容易に使用可能な画像を必要に応じて加工し、それらの画像を並べ、説明文、セリフ、ナレーション及びテロップのいずれかを適宜加えてラフコンテとすることがある。上述の説明文とは、たとえば、動作、行動、ポーズ、心情、表情、背景、カメラアングル等の撮影の計画とすることができる。
【0048】
当該第1の入力は、ユーザー端末110に企画入力画面表示情報を、たとえばHTML形式のファイルとして送信して、ユーザー端末110の表示画面にウェブブラウザ上で表示される入力画面上で、企画に含まれる一連の絵を選択させたり、ユーザー端末110にインストールされたアプリケーション(「アプリ」とも呼ぶ。)を動作させ、当該アプリ上で表示される入力画面から選択させたりすることができる。当該選択が、第1の入力として、ユーザー端末110から装置100に送信されることで、装置100は、その後の処理で用いる一連の絵を取得することができる。なお、「入力画面」とは、ウェブブラウザ上で表示される場合にはウェブページ、モーダルウィンドウ、ポップアップウィンドウ等のさまざまな形式を採用することができ、アプリ上で表示される場合にはアプリの一画面とすることができる。いずれにおいても、一連の絵の選択を入力するための入力欄を有する領域を含む画面であれば、入力画面に該当する。本明細書で言及する他の画面についても、同様の技術を適用することができる。
【0049】
次に、装置100は、指定された企画に基づく第1の一連のイラストを生成することを生成AIモデル(「第1の生成AIモデル」と呼ぶ。)に要求(以下「第1の要求」と呼ぶ。)する(S202)。
【0050】
第1の要求は、後述するさまざまな条件の指示を含むことができるが、その他には、たとえば、当該第1の一連のイラストの縦横比の指示を含んでもよい。また、第1の要求は、装置100を運営する事業者が自ら開発した生成AIモデル又はその他の事業者が開発した生成AIモデルに対して、たとえばAPIの呼び出しによって行われてもよい。第1の要求を行うためのコードは、記憶部103に記憶しておき、装置100がこれを取得して、当該コードに含まれる変数に適宜値を設定して得られるコードを実行すればよい。
【0051】
そして、装置100は、第1の要求に応じて生成された第1の一連のイラストを受信する(S203)。第1の一連のイラストの数は、たとえば、企画に含まれる一連の絵の数と同一であってもよい。
【0052】
第1の一連のイラストを受信した装置100は、必要に応じて、第1の一連のイラストを含む第1のビデオコンテを生成する(S204)。一例として、企画に含まれるセリフ又はナレーションを読み上げる音声を生成し、当該音声データに合わせて第1の一連のイラストに含まれる複数のイラストが遷移する動画を生成することによって、第1のビデオコンテを生成することができる。第1の一連のイラストの枚数は、第1のビデオコンテのカット数に対応し、それぞれのカットの表現を充実させるために、各イラストに対して拡大、縮小、移動等の処理がなされてもよい。
【0053】
次いで、装置100は、過去のCMを指定する第2の入力を受信する(S205)。第2の入力は、一例として、当該CMの動画を再生するためのURLを含んでもよい。装置100は、当該CMから、当該CMのカット数の枚数の画像を一連の画像として選択してもよい。選択された一連の画像の利用については、後述する。第2の入力が当該CMのカット数を含む場合、当該選択が効率化させる。当該選択は、たとえば、当該CMに含まれる複数の画像の類似度を深層学習等の機械学習により生成したモデルを用いて判定し、類似度が所定の基準に満たす複数の画像を抽出したり、類似度が所定の基準を満たさない画像を除外して残った複数の画像を抽出したりすることによって行うことができる。また、第2の入力は、ユーザー端末110に入力画面を表示して、当該入力画面に対して行われた当該CMに含まれる一連の画像のユーザーによる選択を含んでもよい。
【0054】
装置100は、当該CMに対応する第2の一連のイラストを生成することを生成AIモデル(「第2の生成AIモデル」と呼ぶ。)に要求(「第2の要求」と呼ぶ。)する(S206)。上述のように当該CMから一連の画像が選択されていれば、第2の要求は、より具体的に、当該CMに含まれる一連の画像に対応する第2の一連のイラストを生成する要求とすることができる。また、第2の要求は、当該CMに登場するタレントの特徴を抑制する指示を含んでもよい。
【0055】
そして、装置100は、第2の一連のイラストを受信する(S207)。第2の一連のイラストは、当該CMに含まれる一連の画像に対応してもよい。当該一連の画像の枚数は、当該CMのカット数と同一とすることができる。
【0056】
装置100はその後、必要に応じて、第2の一連のイラストを含む第2のビデオコンテを生成する(ステップS208)。一例として、当該CMに含まれるセリフ又はナレーションを含む音声に合わせて第2の一連のイラストに含まれる複数のイラストが遷移する動画を生成することによって、第2のビデオコンテを生成することができる。第2の一連のイラストの枚数は、第2のビデオコンテのカット数に対応し、それぞれのカットの表現を充実させるために、各イラストに対して拡大、縮小、移動等の処理がなされてもよい。
【0057】
図2においては、第1の生成AIモデルと第2の生成AIモデルを区別しているところ、これらは同一の生成AIモデルとしてもよい。本明細書において「AIモデル」とは、入力に対して出力を予測可能に訓練済みの機械学習モデル」をいい、「生成AIモデル(generative AI model)」とは、トランスフォーマーアーキテクチャを適用したAIモデルをいう。技術の進展によってアーキテクチャの呼称が変わることは想定されることから、本明細書において「トランスフォーマーアーキテクチャ」とは、トランスフォーマーアーキテクチャの1若しくは複数の特徴又はその改良を用いたアーキテクチャを包含する。本明細書において「生成AIモデル」が同一であるか否かは、ユーザーが指定した生成AIモデルの種類が同一であるか否かによって判断する。第1の生成AIモデルと第2の生成AIモデルが同一でない場合、同一のプラットフォーム120上で提供されるものでもよい。
図2の例では、第1の要求の後に第2の要求をしているところ、第1の生成AIモデルと第2の生成AIモデルが同一の生成AIモデルであるか同一のプラットフォーム上で提供される生成AIモデルである場合には、APIの単一の呼び出しによって、これらの要求を行ってもよい。
【0058】
複数の企画の比較を客観的にするために、第1の生成AIモデル及び第2の生成AIモデルは、それぞれ、同一の一組のイラスト及びその画風名を用いて学習したモデルとすることができる。このように学習が行われた第1の生成AIモデル及び第2の生成AIモデルを用いることで、第1の要求及び第2の要求に当該画風名の指示を含めることで、企画段階で比較したい点以外の詳細を均一化することができる。第2の生成AIモデルが第1の生成AIモデルと同一である場合は、当該モデルを一組のイラスト及びその画風名を用いて学習したモデルとし、当該画風名の指示を第1の要求及び第2の要求に含めればよい。第1の生成AIモデルは、事前に画風名を与えて学習しておくことの他に、第1の要求の中で、一組のイラストに対する画風名を与えることもでき、第2の生成AIモデルについても同様である。
【0059】
第1の要求に含まれる画風名の指示の一例として、以下のような例が挙げられる。
{styleName} like illustrations of {cutExplanation}, {background}
ここで、styleName、cutExplanation、及びbackgroundはそれぞれ画風名、企画に含まれる一連の絵のそれぞれの説明文及び背景色を表す変数であり、第1の要求内で別途値を設定すればよい。また、第1の要求と同時に又はその前後に、当該企画に含まれる一連の絵を装置100に取得させ、第1の一連のイラストの生成に使用させてもよい。
【0060】
また、第1の要求には、以下の例のように、生成結果に反映させない要素の指示を含めてもよい。
bad anatomy, cropped, robot eyes, ugly
【0061】
必要に応じて、装置100は、受信した第1の一連のイラストを修正することを第1のAIモデルに要求してもよい。また、装置100は、必要に応じて、第1のビデオコンテと第2のビデオコンテの比較を行ったり、比較結果を表示したりしてもよい。
【0062】
なお、上述の説明では、装置100において第1及び第2のビデオコンテを生成しているところ、第1の生成AIモデルに第1の一連のイラストの生成に加えて第1のビデオコンテの生成を行わせたり、第2の生成AIモデルに第2の一連のイラストの生成に加えて第2のビデオコンテの生成を行わせたり、第1及び第2のビデオコンテの生成は装置100では行わずに別途行ったり、第1及び第2のビデオコンテの生成は行わずに第1の一連のイラスト及び第2の一連のイラストを比較対象としてもよい。
【0063】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、CMの企画を過去のCMと比較しているところ、複数のCMの企画を直接比較したこともある。その場合、第1の実施形態で説明したCMの企画を「第1のCMの企画」と捉え、第2の入力を第1の入力と同様に「第2のCMの企画」を指定する入力と変え、第2のCMの企画の指定に続く処理又は動作として、第1のCMの企画の指定に続く処理又は動作として第1の実施形態で説明した処理又は動作を必要に応じて行うようにすればよい。
【0064】
特に、第2の生成AIモデルが第1の生成AIモデルと同一である場合は、当該モデルを一組のイラスト及びその画風名を用いて学習したモデルとし、当該画風名の指示を第1の要求及び第2の要求に含めることで、第1のCMの企画と第2のCMの企画の表現内容を近づけて、企画段階で比較したい点以外の詳細を均一化することができる。
【0065】
なお、上述の実施形態において、「のみに基づいて」、「のみに応じて」、「のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。また、一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」こと、「aの直後にbする」ことを必ずしも意味しないことに留意されたい。また、「Aを構成する各a」という記載は、必ずしもAが複数の構成要素によって構成されることを意味するものではなく、構成要素が単数であることを含む。
【0066】
また、念のため、なんらかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、本発明の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本発明の各態様の範囲外とするものではないことを付言する。
【符号の説明】
【0067】
100 装置
101 通信部
102 処理部
103 記憶部
104 データベース
110 ユーザー端末
120 生成AIプラットフォーム