(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021369
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】土嚢運搬器具
(51)【国際特許分類】
B65G 7/12 20060101AFI20250205BHJP
E02B 3/04 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
B65G7/12 G
E02B3/04 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023133690
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】521364155
【氏名又は名称】永田 明郎
(72)【発明者】
【氏名】永田 明郎
【テーマコード(参考)】
2D118
【Fターム(参考)】
2D118AA30
2D118CA02
2D118CA07
2D118FA06
2D118GA45
(57)【要約】 (修正有)
【課題】滑りやすい素材で作られた土嚢や密封された水嚢や肥料袋等の袋状荷物を手作業で保持運搬出来る運搬器具を実現する。
【解決手段】金属の棒をコの字型に曲げて作られたハンドル(1)と金属の棒を概四角形に曲げて作られた枠(2)と金属の棒をコの字型に曲げて作られたレバー(3)と金属製の蝶番(4)で構成された器具で、蝶番とレバーの中央部が袋状荷物の上部を掴んで固定する。またハンドルのグリップ部を持ち上げると枠の上部とハンドルの左右平行棒が接触して力学的支点を形成することで梃子を構成し、ハンドルのグリップ部と形成支点と連結部(6a,6b)との距離を比率とした梃子の作用でグリップ部に生じる荷重の比率倍した力が連結部(5a,5b)を軸にレバーの中央部と取り付け枠の蝶番に発生するので滑りやすい素材で出来た袋状の重量物を強く保持するので安定して運搬することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本発明は、袋状容器に土砂等を詰めた袋状荷物を手作業で運搬するための運搬器具であり、金属の棒をその中央部を基準に左右の辺を直角で平行に曲げ、更に左右の先端部を内側へ直角に曲げ概四角形に成形し、その左右の端部を蝶番(4)の一方の片羽に蝶番の回転軸と平行に溶接又はネジ止め等で接続固定して枠(2)を作り、枠(2)の内側の蝶番(4)寄りに金属の棒をその中央部と左右2本の平行棒とで成るコの字型に曲げたレバー(3)の左右平行棒の中央部を枠(2)の内側で回転できる様に螺子等でX字状に連結(5a,5b)し、蝶番(4)とレバー(3)中央部が重なって干渉するように構成されている。さらにレバー(3)の左右平行棒先端部の内側に金属の棒を概コの字型に曲げ中央部と2本の平行棒とで成るハンドル(1)の中央部をグリップ部として其の左右平行棒の先端部外側を可動できる様に螺子等で接続した連結部(6a,6b)がある。ハンドル(1)のグリップ部は枠(2)の内側を通して連結部(6a,6b)の反対側に位置している。土嚢(7)等の袋状荷物の上部を枠(2)の蝶番(4)とレバー(3)の中央部の間に通してからハンドル(1)のグリップ部を持ち上げればハンドル(1)の左右平行棒が枠(2)上部に接触し、その反作用で連結部(6a,6b)が移動すると連結部(6a,6b)に接続されたレバー(3)が連結部(5a,5b)を軸に回転し、蝶番(4)とレバー(3)の中央部が袋状荷物の上部を掴んで固定する事で土嚢(7)等の袋状荷物を持上げて運搬する事が可能になる運搬器具。
【請求項2】
請求項1においてハンドル(1)のグリップ部を持ち上げればハンドル(1)の左右平行棒が枠(2)の上部と接触し、力学的支点を形成することで梃子を構成し、ハンドル(1)のグリップ部と形成支点と連結部(6a,6b)との距離を比率とした倍力機能を持つので袋状荷物の重量がハンドル(1)に伝わると梃子の作用で連結部(6a,6b)に発生した倍力を連結部(5a,5b)を軸にレバー(3)の中央部と取り付け枠(2)の保持部である蝶番(4)に伝達し、間に挟まれた袋状荷物を比率倍強力に固定保持できる事を特徴とする運搬器具。
【請求項3】
請求項1において蝶番(4)の内側には滑り止めの加工がして有り、取っ手部分の無い密封された袋状荷物の耳部を蝶番(4)の可動片の内側で挟んでから袋状荷物の上部をレバー(3)で押さえた後、ハンドル(1)を持ち上げれば請求項2の梃子の作用で袋状荷物の耳部を蝶番(4)とレバー(3)が強く押さえて保持することで、取っ手部分の無い密封された袋状荷物を持上げて運搬する事が可能になる運搬器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木工事現場や建築現場や災害等においてガレキや土砂やへどろ等(以下まとめて「土砂」という)を土嚢袋に詰めて手作業で運搬する運搬作業や農業等で肥料や培養土等の袋状重量物を手作業で運搬する作業に関する。
【背景技術】
【0002】
河川改修や護岸工事等の各種土木工事、災害の発生時や災害が予想される場所において、掘削した土砂を土嚢袋に詰めて運搬する作業が随所で行われている。掘削した土砂やへどろ等を土嚢袋に詰める作業については簡易治具等いくつかの方法が提案されている。運搬方法についても一輪車や専用運搬車等が提案されているが整地されて平らな地面での使用を前提としており、荒れ地や斜面、階段、非整地面では満足に使えない状況であり人力によって一袋づつ手で運ぶしか無いのが現状である。そこで2021年と2022年に土嚢運搬器具として特許申請されているが袋の上部を紐等で巻付固定した土嚢袋等しか運搬できなかった。そこで肥料袋や水嚢等の密閉した袋状重量物も運搬できる運搬器具を実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際特許分類 B65G 7/12:荷物運搬のため修正された荷物運搬具の項に2021年6月29日に土嚢運搬器具として特許申請されている。
【特許文献2】国際特許分類 B65G 7/12:荷物運搬のため修正された荷物運搬具の項に2022年8月23日に土嚢運搬器具として特許申請されている。
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】アウトドア用背もたれ付き折り畳みパイプ椅子
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
土嚢は約20Kgの重量があるため袋の上部を片手で掴んで運搬するには大きな握力が必要になり握力の弱い人では持ち上げることすら困難である。また持ち手の指に土嚢の荷重が集中するために痛みが生じて長時間の作業が出来ない不具合がある。この作業を握力の弱い人でも行えて土砂の運搬作業を効率化することを目的として土嚢運搬器具が発明されたが、従来の土嚢運搬器具は土嚢袋上部の袋縫い部を紐で縛った時にできる段差の摩擦を利用して保持している為に袋の端部が溶着で密閉された袋は従来の運搬器具では持ち上げ運搬できない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
金属棒で四角形に枠(2)を作りその一辺に蝶番(4)を取り付け、枠(2)の内側で回転し、かつ蝶番(4)に干渉するように枠(2)にネジ等で取り付けられたコの字型のレバー(3)とレバー(3)の端部に螺子等で接続され、枠(2)の内側を通して設置されたコの字型のハンドル(1)で構成される器具を用意する。蝶番(4)の可動片の内側は滑り止めの加工がされていて袋状の荷物の耳部を蝶番(4)で挟んでからレバー(3)で袋上部を押さえれば荷物の耳部を保持することができる。レバー(3)に繋がったハンドル(1)のグリップ部を持ち上げればハンドル(1)と枠(2)が干渉してハンドル(1)に繋がったレバー(3)を動かす事で蝶番(4)を更に押さえ、袋状の荷物の耳部を強く保持する。さらにハンドル(1)が枠(2)と干渉する部分を支点として、支点とレバー(3)接続部までの距離と支点とハンドル(1)のグリップ部までの距離を比率にした梃子の作用を発現するのでハンドル(1)に掛かる荷重の比率倍の力が蝶番(4)とレバー(3)に作用し蝶番(4)で掴んだ荷物の耳部が外れることを防ぐ。
【発明の効果】
【0008】
本発明の土嚢運搬器具は通常の土嚢袋はもちろん、滑りやすい材質で作られ持ち手部分が設けられていない水嚢袋や肥料袋や米袋等でも保持運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】土嚢袋を土嚢運搬器具に組付ける説明図である。
【
図3】水嚢袋を土嚢運搬器具に組付ける説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
金属の棒のその中央部を基準に左右の辺を直角で平行に曲げ、更に左右の先端部を内側へ直角に曲げ概四角形に成形し、その左右の端部を蝶番(4)の一方の片羽に蝶番の回転軸と平行に溶接又はネジ止め等で接続固定して枠(2)を作り、枠(2)の内側の蝶番(4)寄りに金属の棒をその中央部と左右2本の平行棒とで成るコの字型に曲げたレバー(3)の左右平行棒の中央部を枠(2)の内側で回転できる様に螺子等でX字状に連結(5a,5b)し、蝶番(4)とレバー(3)中央部が重なって干渉するように構成されている。さらにレバー(3)の左右平行棒先端部の内側に金属の棒を概コの字型に曲げ中央部と2本の平行棒とで成るハンドル(1)の中央部をグリップ部として其の左右平行棒の先端部外側を可動できる様に螺子等で接続した連結部(6a,6b)がある。ハンドル(1)のグリップ部は枠(2)の内側を通して連結部(6a,6b)の反対側に位置している。
【実施例0011】
本発明の実施例を図面により説明する。
図1は本発明の土嚢運搬器具全体の正面図、
図2は土嚢(7)を土嚢運搬器具と組付ける時の説明図、
図3は水嚢袋(8)を土嚢運搬器具に組付ける説明図である。
図1に於いて、外径5から15ミリの金属の棒のその中央部が80から150ミリ幅を基準に左右の辺を80から150ミリに直角で平行に曲げ、更にその左右の先端部を20から50ミリで内側へ直角に曲げて概四角形に成形し、その左右の端部を板厚1から4ミリの金属製の蝶番(4)の一方の片羽に枠(2)の構成平面に対して15から45度の角度をつけてなおかつ蝶番の回転軸と平行に螺子止め又はカシメ又は溶接で取り付けられて枠(2)を補強構成している。枠(2)の内側の蝶番(4)寄りに外径5から15ミリの金属の棒をその中央部と左右2本の平行棒とで成るコの字型に曲げたレバー(3)の左右平行棒の中央部を枠(2)の内側で回転できる様に螺子等でX字状に連結(5a,5b)し、蝶番(4)とレバー(3)中央部が重なって干渉するように構成されている。さらにレバー(3)の左右平行棒先端部の内側に外径5から15ミリの金属の棒を概コの字型に曲げ、中央部と2本の平行棒とで成るハンドル(1)の中央部をグリップ部として其の左右平行棒の先端部外側を可動できる様に螺子等で接続した連結部(6a,6b)がある。ハンドル(1)のグリップ部は枠(2)の内側を通して連結部(6a,6b)の反対側に位置している。
【0012】
図2の説明をすると、先ず土嚢袋を準備し土砂約20kgを投入した後、袋の入り口を紐で縛る。次に土嚢(7)の袋上部を連結部(6a,6b)側から枠(2)の中を通した上で袋を折り返し、蝶番(4)とレバー(3)の中央部の間に通してから蝶番(4)とレバー(3)中央部で土嚢(7)の袋上部を挟む。この時蝶番(4)の可動片は閉じたままである。ハンドル(1)を持ち上げると蝶番(4)とレバー(3)の中央部で袋上部が押さえられ、ハンドル(1)のグリップ部を力点、枠(2)とハンドル(1)の平行棒との接触部を支点、連結部(6a,6b)を作用点とする梃子の作用が発現し土嚢(7)の重量の比率倍の力が連結部(6a,6b)に発生し、連結部(5a,5b)を介して蝶番(4)とレバー(3)の中央部に作用するので土嚢(7)の袋上部を強く保持できる。さらにハンドル(1)を持ち上げれば土嚢(7)を安定して運搬することができる。
【0013】
図3の説明をすると、水で膨らんだ水嚢(8)や密封された袋状の荷物の耳部を蝶番(4)の可動片を開いて蝶番(4)で挟み込む。蝶番(4)の可動片の内側は滑り止めの加工がされていて、袋耳部を挟んでから袋上部を折り返し、さらに袋上部をレバー(3)で押さえる。ハンドル(1)を持ち上げると蝶番(4)とレバー(3)の中央部で袋耳部が押さえられる。ハンドル(1)のグリップ部を力点、枠(2)とハンドル(1)の平行棒との接触部を支点、連結部(6a,6b)を作用点とする梃子の作用が発現し水嚢(8)の重量の比率倍の力が連結部(6a,6b)に発生し、連結部(5a,5b)を介して蝶番(4)とレバー(3)の中央部に作用するので水嚢(8)の耳部を強く保持できる。さらにハンドル(1)を持ち上げれば水嚢(8)等の密封された袋状の荷物を安定して運搬することができる。