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特開2025-21403システム、プログラムおよびエッジデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021403
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】システム、プログラムおよびエッジデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/50 20060101AFI20250205BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20250205BHJP
   G16Y 30/00 20200101ALI20250205BHJP
【FI】
G06F9/50 150A
G06N20/00
G16Y30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024024921
(22)【出願日】2024-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2023124744
(32)【優先日】2023-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 陽夫
(72)【発明者】
【氏名】榎本 光洋
(72)【発明者】
【氏名】小林 謙吾
(72)【発明者】
【氏名】後藤 広樹
(57)【要約】
【課題】情報を収集し、当該情報を処理することが可能であり、処理された情報に基づく動作を行うエッジデバイスの負担を低減するとともに、エッジデバイスの消費電力を低減する。
【解決手段】システム(100)は、エッジデバイス(4)から当該エッジデバイスが収集した複数種類の情報を取得する第一取得部(131)と、エッジデバイスから特定情報の処理を依頼する旨の依頼情報を取得することが可能な第二取得部(132)と、第二取得部が依頼情報を取得した場合に、複数種類の情報のうち特定情報を処理する処理部(133)と、処理部が特定情報を処理した場合に処理結果をエッジデバイスへ送信する送信制御部(134)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を収集し、当該情報を処理することが可能であり、処理された情報に基づく動作を行うエッジデバイスと通信する通信部を備えるシステムであって、
前記エッジデバイスから、当該エッジデバイスが収集した複数種類の情報の少なくともいずれかを、前記通信部を介して取得する第一取得部と、
前記エッジデバイスから、前記複数種類の情報に含まれる特定情報の処理を依頼する旨の依頼情報を、前記通信部を介して取得することが可能な第二取得部と、
前記第二取得部が前記依頼情報を取得した場合に前記特定情報を処理する処理部と、
前記処理部が前記特定情報を処理した場合に、処理結果を前記エッジデバイスへ送信するよう前記通信部を制御する送信制御部と、
を備える、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記複数種類の情報のそれぞれについて、所定要件を満たすか否かを判断し、当該判断の結果に基づいて、前記エッジデバイスが前記複数種類の情報を送信する際の宛先を示す宛先情報、および前記複数種類の情報のうち前記エッジデバイスが処理する部分を示す指示情報を生成する判断部と、
前記宛先情報および前記指示情報を前記エッジデバイスへ送信するよう前記通信部を制御する第二送信制御部と、
を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記通信を行なっている基地局を特定するための位置情報、前記基地局が収集した無線品質情報、通信制御装置と前記システムとの間の有線区間における伝送遅延時間、前記エッジデバイスの位置情報、前記エッジデバイスが収集した無線品質情報、および前記複数種類の情報の容量を示す容量情報に基づいて、前記エッジデバイスが送信制御を開始してから当該エッジデバイスが対応する処理結果を取得するまでに要する応答可能時間を、前記複数種類の情報のそれぞれについて生成する生成部を備え、
前記判断部は、異常事態が発生していない場合であって、前記応答可能時間が所定の応答要求時間よりも短い、または処理対象の情報に前記応答要求時間が設定されていない場合に、前記所定要件を満たすと判断する、
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記判断部は、
異常事態が発生していない場合、前記応答可能時間が所定の応答要求時間よりも短いまたは処理対象の情報に前記応答要求時間が設定されていない場合、かつシステムのコンピューティングリソースが足りている場合に、前記所定要件を満たすと判断し、
異常事態が発生していない場合、かつ前記応答可能時間が前記応答要求時間よりも短い場合であって、前記コンピューティングリソースが足りていない場合には、前記システムおよび前記エッジデバイスを宛先に含む前記宛先情報、および前記コンピューティングリソースの不足分を処理することを前記エッジデバイスへ指示する指示情報を生成する、
ことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
過去の通信における前記基地局の位置情報、エッジデバイスの位置情報、前記エッジデバイスと前記基地局との間の無線区間の距離、基地局が収集した無線品質情報、エッジデバイスが収集した無線品質情報、通信制御装置と処理サーバとの間の有線区間における伝送遅延時間、処理した情報のデータ容量、およびそのときの当該処理サーバとエッジデバイスとの通信に要した応答時間の関係を機械学習することにより構築された学習済みモデルを備え、
前記生成部は、前記学習済みモデルを用いて前記応答可能時間を生成する、
ことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
直近の測定で得られた応答時間の実測値に基づいて、前記学習済みモデルを更新する更新部を更に備える、
ことを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第一取得部は、前記複数種類の情報のうちの1つとして、前記エッジデバイスによってデータ容量を小さくされた情報を取得することが可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第一取得部による情報の取得時間が相対的に短く、かつ前記処理部による情報の処理時間が相対的に長い第一サーバと、
前記第一取得部による情報の取得時間が前記第一サーバより長く、かつ前記処理部による情報の処理時間が前記第一サーバより短い第二サーバと、
を備え、
前記生成部は、前記第一サーバが処理を行う場合の前記応答可能時間、および前記第二サーバが処理を行う場合の前記応答可能時間を、前記複数種類の情報のそれぞれについて生成する、
ことを特徴とする請求項3~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第一サーバおよび前記第二サーバの少なくとも一方を複数備え、
一または複数の前記第一サーバ、および一または複数の第二サーバのうち一部のサーバは、再生可能エネルギーを用いて発電する発電機から供給された電力を用いて動作する再エネ式サーバであり、
前記判断部は、前記応答可能時間が前記応答要求時間よりも短くなるサーバが複数ある場合であって、前記再エネ式サーバを含む場合、前記再エネ式サーバを宛先とする前記宛先情報を生成する、
ことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第一サーバおよび前記第二サーバの少なくとも一方は、ステートレスとなっている、
ことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
複数種類の情報の処理を前記第一サーバおよび前記第二サーバの少なくとも一方が行う場合であって、当該処理に前回行った同様の処理の結果を必要とする場合、前記第一取得部は、前記エッジデバイスから、前記前回行った同様の処理の結果を、前記通信部を介して取得する、
ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記通信部、前記第一取得部、前記第二取得部、前記処理部、および前記送信制御部が、前記複数種類の情報を、少なくとも前記エッジデバイスと同一の手法で処理することが可能な他のエッジデバイスによって構成されている、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記エッジデバイスの移動経路を策定する策定部を備え、
前記策定部は、前記他のエッジデバイスと通信するための条件が相対的に整った道路を選択して移動経路を策定する、
ことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
上記第一取得部、上記第二取得部、上記処理部、および上記送信制御部としてコンピュータを機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項15】
情報を収集し、当該情報を処理することが可能であり、処理された情報に基づく動作を行う車両と通信する通信部を備えるシステムであって、
前記車両から、当該車両が収集した複数種類の情報の少なくともいずれかを、前記通信部を介して取得する第一取得部と、
前記車両から、前記複数種類の情報に含まれる特定情報の処理を依頼する旨の依頼情報を、前記通信部を介して取得することが可能な第二取得部と、
前記第二取得部が前記依頼情報を取得した場合に前記特定情報を処理する処理部と、
前記処理部が前記特定情報を処理した場合に、処理結果を前記車両へ送信するよう前記通信部を制御する送信制御部と、
を備える、
ことを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムと通信する通信部を備えるエッジデバイスであって、
複数種類の情報を収集する収集部と、
前記エッジデバイスの位置情報、前記エッジデバイスが収集した無線品質情報、および前記複数種類の情報の容量を示す容量情報を前記システムへ送信するよう前記通信部を制御する第一送信制御部と、
前記システムから、前記エッジデバイスが前記複数種類の情報を送信する際の宛先を示す宛先情報、および前記複数種類の情報のうち前記エッジデバイスが処理する部分を示す指示情報を、前記通信部を介して取得する第一取得部と、
前記宛先情報が示す宛先に前記エッジデバイスが含まれている場合に、当該宛先情報に対応する情報を処理する処理部と、
前記宛先情報および前記指示情報に基づく依頼情報を前記システムへ送信するよう前記通信部を制御する第二送信制御部と、
前記システムが前記特定情報を処理した場合に、前記システムから、当該システムによる処理結果を、前記通信部を介して取得する第二取得部と、
前記処理部および前記システムの少なくとも一方による処理結果に基づく動作を行う動作制御部と、
を備える、
ことを特徴とするエッジデバイス。
【請求項17】
前記処理部は、
Vision Transformerを用いた物体検知における、画像データを複数のパッチに分け、各パッチをベクトルにそれぞれ埋め込む処理を実行し、
前記物体検知における、前記ベクトルをトランスフォーマーエンコーダに入力する処理の実行を依頼する旨の依頼情報を前記システムへ送信する、
ことを特徴とする請求項16に記載のエッジデバイス。
【請求項18】
情報の処理について前回行った処理の結果を保持する処理記憶部を有しており、
前記第二送信制御部は、情報の処理を前記システムが行う場合であって、当該処理に前回行った処理の結果が必要な場合は、前記前回行った処理の結果も送信するよう前記通信部を制御する、
ことを特徴とする請求項16または17に記載のエッジデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、プログラムおよびエッジデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信ネットワークにおける情報処理機能の分散に関する各種技術が提案されている。例えば特許文献1には、サーバおよびエッジコンピュータを含むIoTシステムを促進するネットワークおよび複数の通信デバイスを備える分散制御システムに、分散機能を配置するように構成されたプランニングノードであって、分散機能が、1つ以上のAI機能、またはIoTシステムを促進する制御機能を含むプランニングノードにおいて、分散制御システムを構成する分散機能の要件と、ネットワークの情報と複数の通信デバイスの情報とを収集し、収集された要件およびネットワークの情報に基づいて、複数の通信デバイスのうち対応するものへの分散機能の配置、および複数の通信デバイスのうち対応するものへのネットワークリソースのアロケーションのプランを生成するプロセッサ部を備えるプランニングノードについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-032955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような従来の機能分散技術は、サーバと被制御デバイス(エッジコンピュータの一部)との間に介在する複数の通信デバイス間で、機能やネットワークリソースを配分するためのものであった。このため、配分により、一の通信デバイスの負担が軽減されたとしても、他の通信デバイスの負担が増えることになる。すなわち、先行技術においては、通信デバイスに含まれるI/O制御デバイス(エッジデバイスの一部)の処理負担は依然として大きかった。I/O制御デバイスがバッテリーを備え、外部からの電力供給を受けることなく動作するもの(例えば車両、スマートフォン、ロボット、ドローン)である場合、大きすぎる処理負担は、消費電力の問題にも直
結する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るシステムは、情報を収集し、当該情報を処理することが可能であり、処理された情報に基づく動作を行うエッジデバイスと通信する通信部を備えるサーバであって、前記エッジデバイスから、当該エッジデバイスが収集した複数種類の情報を、
前記通信部を介して取得する第一取得部と、前記エッジデバイスから、前記複数種類の情報に含まれる特定情報の処理を依頼する旨の依頼情報を、前記通信部を介して取得することが可能な第二取得部と、前記第二取得部が前記依頼情報を取得した場合に、前記複数種類の情報のうち前記特定情報を処理する処理部と、前記処理部が前記特定情報を処理した場合に、処理結果を前記エッジデバイスへ送信するよう前記通信部を制御する送信制御部と、を備える。
【0006】
また、本発明の他の態様に係るエッジデバイスは、上記システムと通信する通信部を備えるエッジデバイスであって、複数種類の情報を収集する収集部と、前記エッジデバイスの位置情報、前記エッジデバイスが収集した無線品質情報、および前記複数種類の情報の容量を示す容量情報を前記システムへ送信するよう前記通信部を制御する第一送信制御部と、前記システムから、前記エッジデバイスが前記複数種類の情報を送信する際の宛先を示す宛先情報、および前記複数種類の情報のうち前記エッジデバイスが処理する部分を示す指示情報を、前記通信部を介して取得する第一取得部と、前記宛先情報および前記指示情報に基づく依頼情報を前記システムへ送信するよう前記通信部を制御する第二送信制御部と、前記宛先情報が示す宛先に前記エッジデバイスが含まれている場合に、当該宛先情報に対応する情報を処理する処理部と、前記システムが前記特定情報を処理した場合に、前記システムから、当該システムによる処理結果を、前記通信部を介して取得する第二取得部と、前記処理部および前記システムの少なくとも一方による処理結果に基づく動作を行う動作制御部と、を備える。
【0007】
本発明の各態様は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記サーバまたはエッジデバイスが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記サーバまたはエッジデバイスをコンピュータにて実現させるプログラム、ならびにそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一態様の実施形態に係るシステム、および本発明の他の態様の実施形態に係るエッジデバイスの概略構成を示すブロック図である。
図2】同システムが備える処理サーバを構成する第一サーバ(第二サーバ)の機能的構成を示すブロック図である。
図3】同処理サーバを構成する第一サーバと第二サーバの相違点を示す図である。
図4】同システムが備える指示サーバの機能的構成を示すブロック図である。
図5】同指示サーバによる応答可能時間の管理形態の一例を示す表である。
図6】指示サーバが依頼情報の宛先を決定するのに用いる表である。
図7】指示サーバによる指示用学習済モデルの更新について説明する図である。
図8図1のエッジデバイスの機能的構成を示すブロック図である。
図9】本発明の他の態様の実施形態に係るデバイス制御方法の流れを示すフローチャートである。
図10】本発明の変形例に係る指示サーバが依頼情報の宛先を決定するのに用いる表である。
図11】同指示サーバによる応答可能時間の管理形態の一例を示す表である。
図12】本発明の変形例に係るシステムと通信するエッジデバイスの動作について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<システム>
まず、本発明の一態様に係るシステムの実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1に示したように、システム100は、エッジデバイス4と通信する。また、システム100は、処理サーバ1と、指示サーバ2と、通信ネットワーク3と、を備える。なお、図1には、一つの処理サーバ1を備えるシステム100について例示したが、システム100は、処理サーバ1を複数備えていてもよい。また、図1には、指示サーバ2がシステム100の構成要素である場合を例示したが、指示サーバ2は、エッジデバイス4に実装されていてもよい。その場合、指示サーバ2とエッジデバイス4は、通信ネットワーク3を介さず直接通信してもよい。また、エッジデバイス4は、情報を収集し、当該情報を処理することが可能であり、処理された情報に基づく動作を行うものであれば、その形態は特に限定されない。すなわち、エッジデバイス4には、例えば、車両、スマートフォン、ロボット、ドローン等が含まれる。以下、システム100の詳細について、車両をエッジデバイス4とした場合を例に説明する。
【0011】
[通信ネットワーク]
通信ネットワーク3は、システム100の各部1、2とエッジデバイス4との通信を担う。また、通信ネットワーク3は、システム100を構成する処理サーバ1と指示サーバ2との通信も担う。通信ネットワーク3は、通信制御装置31と、基地局32と、を備える。すなわち、本実施形態に係る処理サーバ1および指示サーバ2と、エッジデバイス4とは、セルラー方式で互いに通信する。本実施形態に係る通信ネットワーク3は、基地局32を複数備える。また、本実施形態に係る通信ネットワーク3は、通信事業者が管理するものである。すなわち、通信ネットワーク3は、エッジデバイス4の通信専用のものではなく、他の通信機器(例えば、携帯電話、タブレット端末等)同士の通信も担う。このため、通信ネットワーク3は、輻輳により、処理サーバ1とエッジデバイス4との通信、および指示サーバ2とエッジデバイス4との通信の少なくともいずれかの通信における通信速度を低下させてしまう可能性がある。
【0012】
通信制御装置31は、基地局32の位置情報、基地局32が収集した無線品質情報、および伝送遅延時間を定期的に収集する。基地局32の位置情報は、通信を行なっている基地局32を特定するための情報(例えば、PCI、ECGI)である。なお、基地局32および通信制御装置31が、エッジデバイス4の位置を測位する機能(NR Positioning等)を有している場合、基地局32の位置情報は、測位したエッジデバイス4の位置情報を更に含んでいてもよい。ただし、基地局32および通信制御装置31がエッジデバイス4の位置を測位する機能を有していない場合は、無線区間の伝送遅延時間により代替しても良い。基地局32が収集した無線品質情報は、上りエラーレート、同時接続数、無線リソースブロックの利用率等を含む。なお、基地局32および通信制御装置31が、エッジデバイス4が収集した無線品質情報を収集、通知する機能を有している場合、基地局32が収集した無線品質情報は、エッジデバイス4が収集した無線品質情報を更に含んでいてもよい。エッジデバイス4が収集した無線品質情報は、電波の強度、電波の品質、下りエラーレート等を含む。伝送遅延時間は、通信制御装置31と処理サーバ1との間の有線区間における伝送遅延時間である。また、本実施形態に係る通信制御装置31は、電波の変調方式等を収集するよう構成されていてもよい。
【0013】
[処理サーバ]
処理サーバ1は、情報を収集し、当該情報を処理することが可能なコンピュータである。本実施形態に係る処理サーバ1は、第一サーバ1aと、第二サーバ1bと、を備える。第一サーバ1aは、例えば通信会社が管理するMEC(Multi access Edge Computer)で構成することができる。第二サーバ1bは、例えばクラウドサービスを提供する企業が管理するクラウドサーバで構成することができる。なお、処理サーバ1は、第一サーバ1aと第二サーバ1bとに分かれていなくてもよいし、3つ以上に分かれていてもよい。また、第一サーバ1aおよび第二サーバ1bは、共にMECであってもよいし、共にクラウドサーバであってもよい。
【0014】
本実施形態に係る第一サーバ1aおよび第二サーバ1bの少なくとも一方は、再生可能エネルギーを用いて発電する発電機から供給された電力を用いて動作する再エネ式サーバとなっている。再生可能エネルギーを用いて発電する発電機には、ソーラーパネル、風力発電機、水力発電機、地熱発電機、波力発電機等が含まれる。これにより、化石燃料を用いて発電する発電機から供給された電力を用いて動作する場合に比べ、二酸化炭素の排出量を削減することができる。本実施形態に係る第一サーバ1aおよび第二サーバ1bは、共に、再エネ式サーバとなっている。本実施形態に係る第一サーバ1aおよび第二サーバ1bは、電力の供給状況に応じて、電力の供給元を、再生可能エネルギーを用いて発電する発電機、または化石燃料を用いて発電する発電機に切り替える。電力の供給状況には、発電機の稼働状況、および発電機に接続された蓄電池の蓄電状況の少なくとも一方が含まれる。なお、第一サーバ1aおよび第二サーバ1bの少なくとも一方は、再エネ式サーバと、化石燃料を用いて発電する発電機から供給された電力を用いて動作するものをそれぞれ備えていてもよい。また、第一サーバ1aおよび第二サーバ1bは、共に化石燃料を用いて発電する発電機から供給された電力を用いて動作するものであってもよい。以下、第一サーバ1aの具体的構成について説明し、次に、第二サーバ1bの第一サーバ1aとの相違点について説明する。
【0015】
{第一サーバ}
図2に示したように、第一サーバ1aは、処理側通信部11(通信部)と、処理側記憶部12と、処理側制御部13と、を備える。
【0016】
〔処理側通信部〕
処理側通信部11は、エッジデバイス4と通信する。本実施形態に係る処理側通信部11は、通信ネットワーク3を介してエッジデバイス4と無線通信する。また、本実施形態に係る処理側通信部11は、指示サーバ2とも通信する。本実施形態に係る処理側通信部11は、通信モジュールで構成されている。
【0017】
〔処理側記憶部〕
処理側記憶部12は、処理用プログラム121を記憶している。本実施形態に係る処理側記憶部12は、処理用学習済みモデル122も記憶している。また、本実施形態に係る処理側記憶部12は、半導体メモリ、ハードディスク等で構成されている。
【0018】
処理用プログラム121は、第一サーバ1aの処理側制御部13の動作を記述したものである。また、処理用プログラム121は、特定情報(詳細後述)にどのような種類、形態のものがあるか、各特定情報をどのように処理するか、情報の種類ごとのコンピューティングリソース当たりの処理時間、各特定情報がどのような形態で出力されるか等を規定している。コンピューティングリソースには、GPU(Graphics Processing Unit)使用率、CPU(Central Processing Unit)使用率、メモリ使用率等が含まれる。
【0019】
処理用学習済みモデル122は、情報の処理に用いられる。処理用学習済みモデル122を用いた情報の処理には、例えば画像データに基づく物体検出、画像データに基づく車種特定等が含まれる。すなわち、処理用学習済みモデル122には、例えば過去にエッジデバイス4の外側および内側の少なくとも一方を撮影して生成した画像データと、当該画像データに基づく画像に写った物体との関係を機械学習することにより構築されたものが含まれる。
【0020】
〔処理側制御部〕
処理側制御部13は、処理側第一取得部131(第一取得部)と、処理側第二取得部132(第二取得部)と、サーバ側処理部133(処理部)と、処理側送信制御部134(送信制御部)と、リソース監視部135と、を備える。本実施形態に係る処理側制御部1
3は、プロセッサで構成されている。このプロセッサが上記処理側記憶部12に記憶されている処理用プログラム121を実行することにより、処理用プログラム121は処理側制御部13を上記各制御ブロック131~135として機能させることができる。
【0021】
(処理側第一取得部)
処理側第一取得部131は、エッジデバイス4から、当該エッジデバイス4が収集した複数種類の情報の少なくともいずれか(複数種類の情報(1))を、処理側通信部11を介して取得する。複数種類の情報(1)には、エッジデバイス4が備える情報取得部44(詳細後述)が生成した情報(画像データ、運転ログ、入力を受け付けた各種情報等)が含まれる。本実施形態に係る処理側第一取得部131は、複数種類の情報のうちの1つとして、エッジデバイス4によってデータ容量が小さくされた情報を取得することが可能である。データ容量が小さくされた情報には、圧縮された情報、処理の一部がなされた情報等が含まれる。これにより、例えば、エッジデバイス4が情報のデータ容量を小さくした場合であっても、その情報を取得することができる。このため、情報が大きすぎてそのままでは送受信が困難な情報を取得することができる。
【0022】
また、本実施形態に係る処理側第一取得部131は、複数種類の情報の処理を処理サーバ1(第一サーバ1aおよび第二サーバ1bの少なくとも一方)が行う場合であって、当該処理に前回行った同様の処理の結果(以下、前回処理結果)を必要とする場合は、エッジデバイス4から、前回処理結果を、処理側通信部11を介して取得することができる。これにより、処理サーバ1(第一サーバ1aおよび第二サーバ1bの少なくとも一方)は状態を保持する必要がなくなる(ステートレスとなる)。その結果、スケールアウトすることにより容易に処理能力を強化したり、エッジデバイス4が移動した場合であっても、近傍に位置する処理サーバ1を利用して処理を継続したりすることができる。
【0023】
なお、本実施形態に係る処理側第一取得部131は、他の装置から、エッジデバイス4の動作に有用な他の情報を、処理側通信部11を介して取得してもよい。他の情報には、例えば、他のエッジデバイス4が収集した情報、道路の近傍に設置された監視カメラが生成した画像データ等が含まれる。
【0024】
(処理側第二取得部)
処理側第二取得部132は、エッジデバイス4から、依頼情報を、処理側通信部11を介して取得することが可能である。依頼情報は、複数種類の情報に含まれる特定情報の処理を依頼する旨の情報である。特定情報の詳細については後述する。
【0025】
(サーバ側処理部)
サーバ側処理部133は、処理側第二取得部132が依頼情報を取得した場合に、複数種類の情報のうち特定情報を処理する。処理には、リアルタイム系の処理と、非リアルタイム系の処理と、が含まれる。リアルタイム系の処理は、応答要求時間が設定されている処理である。応答要求時間は、エッジデバイス4が情報の送信制御を開始してからエッジデバイス4が対応する処理結果を取得するまでにかけることが許される時間の上限値である。リアルタイム系の処理には、認識系の処理と、制御系の処理と、が含まれる。認識系の処理には、画像データに基づく物体検出、画像データに基づく車種特定、LiDARに基づく物体検出、LiDARに基づくエッジデバイス4の位置推定等が含まれる。制御系の処理には、グローバル経路計画の決定、ローカル経路計画の決定、操舵・速度制御等が含まれる。非リアルタイム系の処理は、応答要求時間が設定されていない処理である。サーバ側処理部133は、これらの処理の中から、依頼情報の内容に応じた処理を選択して実行する。なお、上記処理側第二取得部132が依頼情報を取得していない場合、サーバ側処理部133は動作しない。
【0026】
上記処理側第一取得部131が、エッジデバイス4の動作に有用な他の情報を取得する場合、本実施形態に係るサーバ側処理部133は、他の情報を利用して特定情報を処理する。具体的には、例えば、画像データに基づく物体検知を行う際に、物体が存在することになっている領域を撮影する監視カメラからの画像データを参照して、物体が本当に存在しているか否かを検証するといったことが挙げられる。これにより、サーバ側処理部133は、他の情報を利用しない場合よりも高度な処理を行うことができる。
【0027】
(処理側送信制御部)
処理側送信制御部134は、サーバ側処理部133が特定情報を処理した場合に、処理結果をエッジデバイス4へ送信するよう処理側通信部11を制御する。なお、上記サーバ側処理部133が特定情報を処理していない場合、処理側送信制御部134は動作しない。
【0028】
(リソース監視部)
リソース監視部135は、第一サーバ1aのコンピューティングリソースの使用状況(以下、リソース使用状況)を収集する。そして、リソース監視部135は、収集したリソース使用状況を、処理側通信部11を介して指示サーバ2へ送信する。これにより、指示サーバ2は、第一サーバ1aに情報の処理を依頼した場合の応答可能時間(詳細後述)を推定することが可能となる。
【0029】
{第二サーバ}
図3に示したように、第二サーバ1bは、処理側第一取得部131による情報の取得時間が第一サーバ1aより長く、かつサーバ側処理部133による情報の処理時間が第一サーバ1aより短い。換言すると、上記第一サーバ1aは、処理側第一取得部131による情報の取得時間が相対的に短く、かつサーバ側処理部133による情報の処理時間が相対的に長い。
【0030】
[指示サーバ]
指示サーバ2は、情報のアップロード先や、情報の処理内容をエッジデバイス4に指示するコンピュータである。図4に示したように、指示サーバ2は、指示側通信部21と、指示側記憶部22と、指示側制御部23と、を備える。
【0031】
〔指示側通信部〕
指示側通信部21は、エッジデバイス4と通信する。本実施形態に係る指示側通信部21は、通信ネットワーク3を介してエッジデバイス4と無線通信する。本実施形態に係る指示側通信部21は、処理サーバ1とも通信する。また、本実施形態に係る指示側通信部21は、通信ネットワーク3の通信制御装置31とも通信する。本実施形態に係る指示側通信部21は、通信モジュールで構成されている。
【0032】
〔指示側記憶部〕
指示側記憶部22は、指示用プログラム221を記憶している。本実施形態に係る指示側記憶部22は、基地局データベース222、遅延テーブル223および指示用学習済みモデル224(学習済みモデル)も記憶している。また、本実施形態に係る指示側記憶部22は、半導体メモリ、ハードディスク等で構成されている。
【0033】
指示用プログラム221は、指示サーバ2の指示側制御部23の動作を記述したものである。また、指示用プログラム221は、特定情報にどの様な種類、形態のものがあるか、特定情報の種類に応じたコンピューティングリソース当たりの処理時間を規定している。
【0034】
基地局データベース222には、複数の基地局32それぞれの静的なデータである基地局データが蓄積されている。各基地局データには、基地局32の位置情報(基地局32のPCI、ECGI等)が含まれる。
【0035】
遅延テーブル223は、例えば図5に示したような、情報をエッジデバイス4で処理する場合の応答可能時間、および処理サーバ1で処理する場合の応答可能時間の一覧である。応答可能時間は、エッジデバイス4(デバイス側第二送信制御部435)が送信制御を開始してから当該エッジデバイス4(デバイス側第二取得部436)が対応する処理結果を取得するまでに要する時間である。上述したように、本実施形態に係る処理サーバ1は、第一サーバ1aと第二サーバ1bとに分かれているため、本実施形態に係る遅延テーブル223は、エッジデバイス4で処理する場合の応答可能時間、第一サーバ1aで処理する場合の応答可能時間、および第二サーバ1bで処理する場合の応答可能時間の一覧となっている。また、本実施形態に係る遅延テーブル223は、応答可能時間の内訳を有している。内訳は、伝送時間、および処理時間である。処理時間は、処理サーバ1、エッジデバイス4が情報を処理するのに要する時間である。なお、遅延テーブル223は、少なくとも応答可能時間を有していれば足りる。このため、遅延テーブル223は、応答可能時間を、伝送時間と処理時間とに分けて持っていなくてもよい。
【0036】
指示用学習済みモデル224は、過去の通信における基地局32の位置情報、エッジデバイス4の位置情報、無線区間(エッジデバイス4と基地局32との間)の距離、または、無線区間の伝送遅延時間、基地局32が収集した無線品質情報、エッジデバイス4が収集した無線品質情報、通信制御装置31と処理サーバ1との間の有線区間における伝送遅延時間、処理した情報のデータ容量、およびそのときの当該処理サーバ1とエッジデバイス4との通信に要した応答時間(詳細後述)の関係を機械学習することにより構築されたものである。上述したように、本実施形態に係る処理サーバ1は、第一サーバ1aと第二サーバ1bとに分かれているため、本実施形態に係る指示用学習済みモデル224は、上記関係に処理サーバ1のリソース使用状況をさらに加えた関係を機械学習することにより構築されている。本実施形態に係る指示側記憶部22は、複数種類の情報それぞれに対応する複数の指示用学習済みモデル224を記憶している。
【0037】
〔指示側制御部〕
図4に示したように、指示側制御部23は、指示側第一取得部231と、指示側第二取得部232と、生成部233と、ロードバランス部234と、判断部235と、指示側送信制御部236(第二送信制御部)と、指示側第三取得部237と、更新部238と、を備える。本実施形態に係る指示側制御部23は、プロセッサで構成されている。このプロセッサが上記指示側記憶部22に記憶されている指示用プログラム221を実行することにより、指示用プログラム221は指示側制御部23を上記各制御ブロック231~23
8として機能させることができる。
【0038】
(指示側第一取得部)
指示側第一取得部231は、通信制御装置31から、基地局32の位置情報、および基地局32が収集した無線品質情報を、指示側通信部21を介して取得する。また、指示側第一取得部231は、通信制御装置31から、有線区間における伝送遅延時間を、指示側通信部21を介して取得する。
【0039】
(指示側第二取得部)
指示側第二取得部232は、エッジデバイス4から、複数種類の情報(2)を、指示側通信部21を介して取得する。複数種類の情報(2)には、エッジデバイス4の位置情報、エッジデバイス4の経路情報、通信している基地局32のPCI、および通信している基地局32のECGIが含まれる。また、指示側第二取得部232は、エッジデバイス4から、エッジデバイス4が収集した無線品質情報を、指示側通信部21を介して更に取得する。また、指示側第二取得部232は、エッジデバイス4から、情報のデータ容量を示す容量情報を、指示側通信部21を介して更に取得する。なお、上記指示側第一取得部231が取得する基地局32が収集した基地局32の位置情報、基地局32が収集した無線品質情報に、エッジデバイス4の位置情報、エッジデバイス4が収集した無線品質情報、および通信している基地局32のPCI、ECGIが含まれている場合、指示側第二取得部232は、これらを取得しなくてもよい。
【0040】
(ロードバランス部)
ロードバランス部234は、第一サーバ1aおよび第二サーバ1bから、第一サーバ1aのリソース使用状況、および第二サーバ1bのリソース使用状況をそれぞれ取得する。
【0041】
(生成部)
生成部233は、応答可能時間の生成に必要なデータ、すなわち、基地局32の位置情報、基地局32が収集した無線品質情報、有線区間における伝送遅延時間、複数種類の情報(2)、エッジデバイス4が収集した無線品質情報、および容量情報に基づいて、応答可能時間を、複数種類の情報のそれぞれについて生成する。上述したように、本実施形態に係る処理サーバ1は、第一サーバ1aと第二サーバ1bとに分かれているため、本実施形態に係る生成部233は、リソース使用状況にさらに基づいて、第一サーバ1aが処理を行う場合の応答可能時間、および第二サーバ1bが処理を行う場合の応答可能時間を、複数種類の情報のそれぞれについて生成する。また、本実施形態に係る生成部233は、指示用学習済みモデル224を用いて応答可能時間を生成する。このため、本実施形態に係る生成部233は、前処理部233aと、推論部233bと、を備える。
【0042】
前処理部233aは、基地局32の位置情報(PCI、ECGI)、基地局32が収集した無線品質情報、有線区間における伝送遅延時間、エッジデバイス4が収集した複数種類の情報(2)、エッジデバイス4が収集した無線品質情報、容量情報、およびリソース使用状況を前処理して、指示用学習済みモデル224に入力できる形式にする。通信している基地局32のPCI、ECGIについては、前処理部233aは、まず、これらに基づいて、エッジデバイス4と基地局32のペアを生成する。そして、ペアをなすエッジデバイス4と基地局32の各位置情報に基づいて、無線区間の距離の推定値を、推論部233bへ入力する情報の一つとして算出する。また、無線区間の伝送遅延時間から無線区間の距離の推定を行なってもよい。
【0043】
推論部233bは、前処理された各情報を指示用学習済みモデル224に入力し、応答可能時間の推論値を出力させる。これにより、過去の情報に基づいて、推論値を容易に得ることができる。生成部233は、応答可能時間を生成すると、対応する遅延テーブル223の応答可能時間を更新する。
【0044】
(判断部)
判断部235は、複数種類の情報のそれぞれについて、所定要件を満たすか否かを判断する。本実施形態に係る判断部235は、下記条件(1)、(2)が共に成立している場合に、所定要件を満たすと判断する。
(1)処理サーバ1に異常事態が発生していない。
(2)処理サーバ1の応答可能時間が所定の応答要求時間よりも短い、または処理対象の情報に応答要求時間が設定されていない。
異常事態には、例えば、処理サーバ1とエッジデバイス4との通信が切断されること、処理サーバ1の動作が停止すること等が含まれる。
【0045】
上述したように、本実施形態に係る処理サーバ1は、第一サーバ1aと第二サーバ1bとに分かれているため、判断部235は、第一サーバ1aで処理する場合と、第二サーバ1bで処理する場合のそれぞれについて、所定要件を満たすか否かを判断する。例えば、情報が画像データ(処理が画像データに基づく物体検知)である場合であって、応答要求時間が100msecに設定されている場合、取得した遅延テーブル223が図5上段に示したようになっていれば、判断部235は、第一サーバ1aで処理する場合、第二サーバ1bで処理する場合共に所定要件を満たすと判断する。一方、取得した遅延テーブル223が図5下段に示したようになっていれば、判断部235は、第一サーバ1aで処理する場合は所定要件を満たす判断し、第二サーバ1bで処理する場合は所定要件を満たさないと判断する。
【0046】
また、判断部235は、所定要件を満たすか否かの判断の結果に基づいて、宛先情報および指示情報を生成する。宛先情報は、エッジデバイス4が複数種類の情報を送信する際の宛先を示す情報である。この宛先情報の内容(宛先)は、処理内容に応じて変更される。指示情報は、複数種類の情報のうちエッジデバイス4が処理する部分を示す情報である。すなわち、指示情報は、全てのデータを送信するのか、中間データを送信するのかを規定する情報である。
【0047】
本実施形態に係る判断部235は、例えば図6に示したような所定の優先順位に従って、宛先情報の内容(宛先)を決定する。本実施形態に係る判断部235は、処理時間および電力の供給源に基づく優先順位に従って宛先情報を生成する。例えば、応答要求時間が100msecに設定されている場合であって、図5上段に示したような遅延テーブル223を取得した場合(第一サーバ1aで処理する場合も第二サーバ1bで処理する場合も所定要件を満たす場合)、判断部235は、再エネ式サーバであり、かつ処理時間が短い第二サーバ1bを宛先とする宛先情報を生成する。一方、応答要求時間が100msecに設定されている場合であって、図5下段に示したような遅延テーブル223を取得した場合、第二サーバ1bは所定要件を満たしておらず、当該第二サーバ1bを宛先とすることはできないため、再エネ式サーバである第一サーバ1aを宛先とする宛先情報を生成する。また、本実施形態に係る判断部235は、処理サーバ1が(第一サーバ1a、第二サーバ1b共に)所定要件を満たしていない場合、エッジデバイス4を宛先に含む宛先情報を生成する。
【0048】
なお、ここでは、応答可能時間が応答要求時間よりも短くなる宛先が複数ある場合、再エネ式サーバを優先することとしたが、再生可能エネルギー利用の有無以外の他のポリシー(例えば、処理コストの高低等)で優先するサーバを決定してもよい。判断部235がこのような処理を実行することにより、エッジデバイス4は、応答可能時間が応答要求時間を超える情報のみを自分で処理すればよくなる。このため、処理サーバ1とエッジデバイス4で処理を分担しても、処理が間に合わずにエッジデバイス4の動作に支障をきたす心配がない。
【0049】
また、上記生成部233が、リソース使用状況に基づかずに応答可能時間を生成する場合、判断部235は、上記条件(1)、(2)と共に、条件(3)コンピューティングリソースが足りている、が成立している場合に所定要件を満たすと判断してもよい。この場合、判断部235は、上記条件(1)、(2)が成立している場合であって、条件(3)が成立していない場合には、処理サーバ1(システム100)およびエッジデバイス4を宛先に含む宛先情報、およびコンピューティングリソースの不足分を処理することをエッジデバイスへ指示する指示情報を生成してもよい。このようにすれば、上記条件(3)のみ成立していない場合に、処理サーバ1のコンピューティングリソースの不足分だけエッジデバイス4で処理を行い、残りの処理を処理サーバ1で行うことができる。すなわち、所定要件を満たしていない場合には原則として使用されない処理サーバ1のコンピューティングリソースを有効活用することができる。
【0050】
(指示側送信制御部)
指示側送信制御部236は、図4に示したように、判断部235が生成した宛先情報および指示情報をエッジデバイス4へ送信するよう指示側通信部21を制御する。
【0051】
(指示側第三取得部)
指示側第三取得部237は、エッジデバイス4から、複数種類の情報のそれぞれについて、所定時間前の応答時間の実測値を、指示側通信部21を介して取得する。応答時間は、エッジデバイス4が複数種類の情報および依頼情報を処理サーバ1へ送信してから、処理結果を受信するまでの時間である。
【0052】
(更新部)
更新部238は、直近の測定で得られた応答時間の実測値に基づいて、指示用学習済みモデル224を更新する。具体的には、更新部238は、例えば図7に示したように、応答時間の実測値と応答可能時間との差を誤差逆伝搬することにより、指示用学習済みモデル224を学習させる(更新する)。つまり、応答時間の実測値は、指示用学習済みモデル224を更新する際の正解データである。これにより、指示用学習済みモデル224による予測精度を向上させたり、予測精度が高い状態を維持したりすることができる。
【0053】
{システムの作用効果}
以上説明してきたシステム100によれば、エッジデバイス4が動作するのに必要な複数種類の情報のうち特定情報の処理を、エッジデバイス4からの依頼に基づいて処理サーバ1が担うため、エッジデバイス4の負担を低減するとともに、エッジデバイス4の消費電力を低減することができる。
また、エッジデバイス4との通信が可能である限り、任意の場所で処理を行うことが可能となる。このため、システム100によれば、例えば、大規模であるために郊外に設けられることが多い再生可能エネルギーの発電設備の近傍に設置し、動作のための電力を再生可能エネルギーで賄う、といった運用が可能となる。
【0054】
また、システム100は、処理サーバ1が状態を持たない実装(ステートレス)となっている。このため、処理サーバ1を複数備えたシステム100によれば、スケールアウトすることにより容易に処理能力を強化したり、エッジデバイス4が移動した場合であっても、近傍に位置する処理サーバ1を利用して処理を継続したりすることができる。その結果、処理サーバ1とエッジデバイス4との間の通信が途絶した場合の影響を軽減することができ、システム100の信頼性が向上する。
【0055】
[エッジデバイス]
本実施形態に係るエッジデバイス4は、いわゆるコネクテッドカーである。すなわち、エッジデバイス4は、道路を走行する際に、通信ネットワーク3の基地局32を介してシステム100と無線通信する。
【0056】
{エッジデバイスの構成}
図8に示したように、エッジデバイス4は、デバイス側通信部41(通信部)と、デバイス側記憶部42と、デバイス側制御部43と、情報取得部44と、を備える。
【0057】
〔デバイス側通信部〕
デバイス側通信部41は、システム100と通信する。具体的には、デバイス側通信部41は、処理サーバ1および指示サーバ2と、通信ネットワーク3を介して無線通信する。本実施形態に係るデバイス側通信部41は、無線通信モジュールで構成されている。
【0058】
〔デバイス側記憶部〕
デバイス側記憶部42は、デバイス用プログラム421を記憶している。また、デバイス側記憶部42は、処理記憶部422を有している。処理記憶部422は、前回処理結果を保持する領域である。また、デバイス側記憶部42は、依頼記憶部423を有している。依頼記憶部423は、「複数種類の情報」と対応した「依頼情報」を保持する領域である。本実施形態に係るデバイス側記憶部42は、半導体メモリ、ハードディスク等で構成されている。
【0059】
デバイス用プログラム421は、デバイス側制御部43(特にデバイス側処理部434)の動作を記述したものである。また、デバイス用プログラム421は、処理部分の内容が、処理サーバ1の処理用プログラム121と同一になっている。これにより、一の特定情報に対し、処理サーバ1で行った場合と同じ計算結果を導くことができる。
【0060】
〔情報取得部〕
情報取得部44は、カメラ、少なくとも1種類のセンサ、およびインターフェースの少なくともいずれかを含む。カメラは、エッジデバイス4の外側および内側の少なくとも一方を撮影し画像データを生成する。少なくとも1種類のセンサは、ハンドル、アクセルペダル、およびブレーキペダルの少なくともいずれかの動作を検出し運転ログを生成する。インターフェースは、エッジデバイス4に乗車する人による各種情報(例えば、運転経路等)の入力を受け付ける。
【0061】
〔デバイス側制御部〕
デバイス側制御部43は、収集部431と、デバイス側第一送信制御部432(第一送信制御部)と、デバイス側第一取得部433(第一取得部)と、デバイス側処理部434(処理部)と、デバイス側第二送信制御部435(第二送信制御部)と、デバイス側第二取得部436(第二取得部)と、動作制御部437と、を備える。本実施形態に係るデバイス側制御部43は、プロセッサで構成されている。そして、デバイス側記憶部42に記憶されているデバイス用プログラム421がデバイス側制御部43によって実行されることにより、デバイス用プログラム421はデバイス側制御部43を上記各制御ブロック431~437として機能させることができる。
【0062】
(収集部)
収集部431は、複数種類の情報を収集する。本実施形態に係る収集部431が収集する複数種類の情報には、複数種類の情報(1)の少なくともいずれか(カメラが生成した画像データ、運転ログ、および入力を受け付けた各種情報の少なくともいずれか)と、複数種類の情報(2)の少なくともいずれか(エッジデバイス4の経路情報、通信している基地局32のPCI、および通信している基地局32のECGIの少なくともいずれか)とが含まれる。また、本実施形態に係る収集部431は、エッジデバイス4が収集した無線品質情報を収集する。本実施形態に係る収集部は、複数種類の情報および無線品質情報を定期的に収集する。なお、収集部431は、各情報の収集を、一斉に行うよう構成されていてもよいし、情報ごとに異なるタイミングで行うよう構成されていてもよい。また、収集部431は、複数種類の情報のそれぞれについて、容量情報を生成する。
【0063】
(デバイス側第一送信制御部)
デバイス側第一送信制御部432は、複数種類の情報(2)(エッジデバイス4の位置情報・経路情報、通信している基地局32のPCI・ECGI)、エッジデバイス4が収集した無線品質情報、応答時間の実測値、および容量情報を、システム100の指示サーバ2へ送信するようデバイス側通信部41を制御する。
【0064】
(デバイス側第一取得部)
デバイス側第一取得部433は、指示サーバ2から、宛先情報および指示情報を、デバイス側通信部41を介して取得する。
【0065】
(デバイス側処理部)
デバイス側処理部434は、宛先情報が示す宛先にエッジデバイス4が含まれている(処理サーバ1が所定要件を満たしていない)場合に、当該宛先情報に対応する情報を処理する。デバイス側処理部434は、上記処理サーバ1のサーバ側処理部133と同様の各種処理を行うことが可能に構成されている。また、本実施形態に係るデバイス側処理部434は、指示情報に基づいて、処理の少なくとも一部を行うことがある。例えば、行う処理がVision Transformerを用いた物体検知である場合、当該処理は、画像をパッチに分け、各パッチをベクトルに埋め込む埋込処理と、埋め込んだ後に各ベクトルをトランスフォーマーエンコーダに入力するエンコード処理とに分けられる。この場合、デバイス側処理部434は、当該物体検知における埋込処理を実行する。そして、デバイス側第二送信制御部435は、物体検知におけるエンコード処理の実行を依頼する旨の依頼情報を処理サーバ1(システム)へ送信する。依頼処理を受信した処理サーバ1は、エンコード処理を行う。Vision Transformerは、従来の畳み込みニューラルネットワークを用いた物体検知と異なり、入力層に近い層の出力データサイズが入力画像に対して小さい。このため、このようにすれば、物体検知を行う際のデバイス側処理部434による計算量と処理サーバ1への送信データサイズを大幅に低減しつつ、従来と同じ精度で物体を検知することができる。
【0066】
また、デバイス側通信部41が依頼情報および複数種類の情報を処理サーバ1へ送信した場合であって、所定期間が経過するまでの間にデバイス側第二取得部436が処理サーバ1から処理結果を取得しなかった場合、デバイス側処理部434は、依頼記憶部423に記憶されている依頼情報に基づいて、処理サーバ1へ送信した複数種類の情報と同じ情報を、自ら処理することができる。
【0067】
(デバイス側第二送信制御部)
デバイス側第二送信制御部435は、宛先情報および指示情報に基づく依頼情報を処理サーバ1へ送信するようデバイス側通信部41を制御する。また、デバイス側第二送信制御部435は、複数種類の情報(1)を処理サーバ1へ送信するようデバイス側通信部41を制御する。上述したように、本実施形態に係る処理サーバ1は、第一サーバ1aと第二サーバ1bとに分かれている。このため、本実施形態に係るデバイス側第二送信制御部435は、指示サーバ2から取得した宛先情報に基づいて、複数種類の情報(1)を、第一サーバ1aおよび第二サーバ1bのうち宛先情報が指定するサーバへ送信するようデバイス側通信部41を制御する。また、本実施形態に係るデバイス側第二送信制御部435は、依頼情報を送信する際に、複数種類の情報のうち当該依頼情報に対応する情報に絞って送信させる。これにより、複数種類の情報を送信する際に、通信帯域がひっ迫してしまうのを防ぐことができる。
【0068】
また、本実施形態に係るデバイス側第二送信制御部435は、情報の処理を処理サーバ
1側で行う場合であって、当該処理に前回処理結果が必要な場合は、前回処理結果も送信するようデバイス側通信部41を制御する。また、上述したように、デバイス側処理部434は、指示情報に基づいて、処理の少なくとも一部を行う場合がある。このような場合、本実施形態に係るデバイス側第二送信制御部435は、一部の処理がなされた特定情報を処理サーバ1へ送信するようデバイス側通信部41を制御する。特定情報が例えば画像データである場合、一部の処理がなされた特定情報は、第m層目の出力する中間データおよび層番号(m)となる。なお、層によっては入力画像よりも中間データのデータサイズが小さくなる場合がある。また、依頼情報の宛先に処理サーバ1が含まれていない(全ての情報をエッジデバイス4が処理する)場合、デバイス側第二送信制御部435は動作しない。
【0069】
(デバイス側第二取得部)
デバイス側第二取得部436は、処理サーバ1が特定情報を処理した場合に、処理サーバ1から、当該処理サーバ1による処理結果を、デバイス側通信部41を介して取得する。処理サーバ1が画像データに基づく物体検知を行う場合、画像データが特定情報となる。そして、デバイス側第二取得部436は、検知した物体に関する情報を処理結果として取得する。この他、処理サーバ1が、物体認識、インスタンス/セマンティックセグメンテーション、画像キャプショニング等を行う場合も画像データが特定情報となる。
【0070】
(動作制御部)
動作制御部437は、デバイス側処理部434および処理サーバ1の少なくとも一方による処理結果に基づく動作を行う。例えば、取得した処理結果が、検知した物体に関する情報であった場合、動作制御部437は、当該情報をエッジデバイス4内の表示部に表示する等の動作を行う。また、取得した処理結果が、運転経路の設定・変更であった場合、動作制御部437は、当該設定・変更後の経路をエッジデバイス4内の表示部に表示する等の動作を行う。また、本実施形態に係る動作制御部437は、処理結果を処理記憶部422へ格納し、その後、格納された処理結果に基づいて動作を行う。このように、処理結果を処理記憶部422で保持しておく(エッジデバイス4で処理の状況を管理する)ことにより、複数回の処理を経て完了となる処理を行う際、途中で通信が途絶したり、途中で処理を依頼する処理サーバが変更になったりしても、処理を継続することが可能となる。
【0071】
{エッジデバイス変形例}
なお、エッジデバイス4は、情報に基づいて物体を認識し、認識結果に基づいて判断することが可能であり、判断結果に基づいて走行する自動運転車両であってもよい。この場合であって、取得した処理結果が、検知した物体に関する情報であった場合、動作制御部437は、自動運転車両が当該物体との衝突を回避するための運転(停車、車線変更等)を行う。また、取得した処理結果が、運転経路の設定・変更であった場合、動作制御部437は、自動運転車両が設定・変更後の経路を走行するための運転(これまでの走行を継続、方向転換等)を行う。このような運転車両のための処理に要する電力(走行に要する分を除く)は、自動運転機能を有していないコネクテッドカーが行う単なる情報のやり取りに要する電力に比べ、圧倒的に大きい。このため、上記のようにすれば、消費電力の大きい処理の少なくとも一部を処理サーバ1が担うことになるため、エッジデバイス4の消費電力を低減することができる。
【0072】
また、エッジデバイス4が自動運転車両である場合、自動運転車両は、レベル4以上の自動運転を行うものであってもよい。レベル4以上の自動運転のための処理に要する電力(走行に要する分を除く)は、レベル3以下の自動運転に比べて、圧倒的に大きい。このため、上記のようにすれば、消費電力の大きい処理の少なくとも一部を処理サーバ1が担うことになるため、自動運転車両の消費電力を低減することができる。
【0073】
また、エッジデバイス4が自動運転車両である場合、自動運転車両は、バッテリーに蓄電された電力を動力源とする電気自動車であってもよい。このようにすれば、消費電力の大きい処理の少なくとも一部を処理サーバ1が担うことになるため、全ての認識・判断を自動運転車両で行う場合に比べてバッテリーが長持ちする(航続距離が長くなる)。
【0074】
{エッジデバイスの作用効果}
以上説明してきたエッジデバイス4によれば、エッジデバイス4が動作するのに必要な、情報の処理の一部を、必要に応じて処理サーバ1に担わせるため、エッジデバイス4の負担を低減するとともに、エッジデバイス4の消費電力を低減することができる。
【0075】
<デバイス制御方法>
次に、本発明の他の態様に係るデバイス制御方法の実施形態について説明する。
【0076】
{デバイス制御方法の流れ}
図9に示したように、情報処理方法は、収集ステップA1と、受信ステップA2と、生成ステップB1と、第一判断ステップB2と、第一送信ステップB3と、第二判断ステップA3と、第二送信ステップA4と、第三判断ステップA5と、第一処理ステップA6と、第二処理ステップA7と、第三送信ステップA8と、第三処理ステップC1と、第四送信ステップC2と、保持ステップA9と、動作ステップA10と、を有する。
【0077】
(収集ステップ)
初めの収集ステップA1では、複数種類の情報(複数種類の情報(1)の少なくともいずれか(カメラが生成した画像データ、運転ログ、および入力を受け付けた各種情報の少なくともいずれか)、ならびに複数種類の情報(2)の少なくともいずれか(エッジデバイス4の経路情報、通信している基地局32のPCI、および通信している基地局32のECGIの少なくともいずれか))を収集する。また、収集ステップA1では、エッジデバイス4が収集した無線品質情報を収集する。また、収集ステップA1では、収集した情報の容量情報を生成する。情報の収集はエッジデバイス4が行う。
【0078】
(受信ステップ)
情報を収集した後は、受信ステップA2を行う。受信ステップA2では、指示サーバ2が、例えばエッジデバイス4から、エッジデバイス4の位置情報・経路情報、通信している基地局32のPCI・ECGI、エッジデバイス4が収集した無線品質情報、応答時間の実測値、および容量情報を受信する。また、本実施形態に係る受信ステップA2では、指示サーバ2が、例えば処理サーバ1から、リソース使用状況も受信する。また、本実施形態に係る受信ステップA2では、指示サーバ2が、例えば通信制御装置31から、基地局32の位置情報、基地局が収集した無線品質情報、および有線区間における伝送遅延時間を受信する。
【0079】
(生成ステップ)
各種情報が指示サーバ2へ送信された後は、生成ステップB1に移る。生成ステップB1では、基地局32の位置情報、基地局32が収集した無線品質情報、伝送遅延時間、エッジデバイス4の位置情報、通信している基地局32のPCI、ECGI、エッジデバイス4が収集した無線品質情報、および情報の容量を示す容量情報に基づいて、エッジデバイスが送信制御を開始してから当該エッジデバイスが対応する処理結果を取得するまでに要する応答可能時間を生成する。本実施形態に係る生成ステップB1では、リソース使用状況にさらに基づいて、第一サーバ1aが処理を行う場合の応答可能時間、および第二サーバ1bが処理を行う場合の応答可能時間を、複数種類の情報のそれぞれについて生成する。応答可能時間の生成は、例えば上記指示サーバ2が行う。
【0080】
(第一判断ステップ)
応答可能時間が生成された後は、第一判断ステップB2に移る。第一判断ステップB2では、情報が所定要件を満たすか否かを判断し、当該判断の結果に基づいて宛先情報、および指示情報を生成する。所定要件を満たすか否かの判断、並びに宛先情報および指示情報の生成は、例えば上記指示サーバ2が行う。
【0081】
(第一送信ステップ)
宛先情報および指示情報が生成された後は、第一送信ステップB3に移る。第一送信ステップB3では、宛先情報および指示情報をエッジデバイス4へ送信する。宛先情報および指示情報の送信は、例えば上記指示サーバ2が行う。
【0082】
(第二判断ステップ)
宛先情報および指示情報が送信された後は、第二判断ステップA3に移る。第二判断ステップA3では、宛先情報が示す宛先にエッジデバイス4が含まれているか否かを判断する。判断は、例えばエッジデバイス4が行う。
【0083】
(第二送信ステップ)
宛先情報が示す宛先にエッジデバイス4が含まれていないと判断した場合(A3:NO)は、第二送信ステップA4に移る。第二送信ステップA4では、宛先情報および指示情報に基づく依頼情報を処理サーバ1へ送信する。また、第二送信ステップA4では、処理が必要な全ての情報を処理サーバ1へ送信する。処理サーバ1が第一サーバ1a、第二サーバ1b・・によって構成されている場合は、宛先情報に基づいて、依頼情報に対応する情報を、第一サーバ1a、第二サーバ1b・・のうち宛先情報が指定するサーバへ送信する。依頼情報、指示情報、および依頼情報に対応する情報の送信は例えばエッジデバイス4が行う。また、情報の処理に前回処理結果が必要な場合は、第二送信ステップA4で、前回処理結果も送信する。
【0084】
(第三判断ステップ)
上記第二判断ステップA3において宛先情報が示す宛先にエッジデバイス4が含まれていると判断した場合(A3:YES)は、第三判断ステップA5に移る。第三判断ステップA5では、処理が必要な全ての情報をエッジデバイスで処理するのか否かを判断する。判断は、例えばエッジデバイス4が行う。
【0085】
(第一処理ステップ)
上記第三判断ステップA5において処理が必要な全ての情報をエッジデバイス4が処理すると判断した場合(A5:YES)は、第一処理ステップA6に移る。第一処理ステップA6では、処理が必要な全ての情報をエッジデバイス4が処理する。
【0086】
(第二処理ステップ)
上記第三判断ステップA5において処理が必要な全ての情報をエッジデバイス4が処理するわけではないと判断した場合(A5:NO)は、第二処理ステップA7に移る。第二処理ステップA7では、処理が必要な全ての情報のうち宛先情報に対応する(宛先がエッジデバイス4となっている)一部の情報をエッジデバイス4が処理する。
【0087】
(第三送信ステップ)
エッジデバイス4が宛先情報に対応する一部の情報を処理した後は、第三送信ステップA8に移る。第三送信ステップA8では、宛先情報および指示情報に基づく依頼情報を処理サーバ1へ送信する。また、第三送信ステップA8では、エッジデバイス4が処理しなかった残りの情報を処理サーバ1へ送信する。処理サーバ1が第一サーバ1a、第二サーバ1b・・によって構成されている場合は、宛先情報に基づいて、依頼情報に対応する情報を、第一サーバ1a、第二サーバ1b・・のうち宛先情報が指定するサーバへ送信する。依頼情報、指示情報、および依頼情報に対応する情報の送信はエッジデバイス4が行う。また、情報の処理に前回処理結果が必要な場合は、第三送信ステップA8で、前回処理結果も送信する。
【0088】
(第三処理ステップ)
依頼情報の送信が行われた後は、第三処理ステップC1に移る。第三処理ステップC1では、複数種類の情報のうち特定情報を処理する。情報の処理は、例えば上記処理サーバ1が行う。
【0089】
(第四送信ステップ)
上記第三処理ステップC1において特定情報を処理した場合は、第四送信ステップC2に移る。第四送信ステップC2では、処理結果をエッジデバイス4へ送信する。処理結果の送信は、例えば上記処理サーバ1が行う。
【0090】
(保持ステップ)
上記第一処理ステップA6における全ての情報の処理の後、上記第四送信ステップC2における全ての処理結果の送信の後、または上記第二処理ステップA7における一部の情報の処理および上記第四送信ステップC2における一部の処理結果の送信の後は、保持ステップA9に移る。保持ステップA9では、第一処理ステップA6において行われた処理の処理結果、第四送信ステップC2において送信された処理結果、または第二処理ステップA7において行われた処理の処理結果と第四送信ステップC2において送信された処理結果を保持する。処理結果の保持は、エッジデバイス4が行う。
【0091】
(動作ステップ)
処理結果を保持した後は、動作ステップA10に移る。動作ステップA10では、上記保持ステップA9で保持した処理結果に基づく動作を行う。動作はエッジデバイス4が行う。
【0092】
{デバイス制御方法の作用効果}
以上説明してきたデバイス制御方法によれば、エッジデバイス4が動作するのに必要な複数種類の情報のうち特定情報の処理を、エッジデバイス4からの依頼に基づいて処理サーバ1担うため、エッジデバイス4の負担を低減するとともに、エッジデバイス4の消費電力を低減することができる。
また、エッジデバイス4との通信が可能である限り、処理サーバ1が任意の場所で処理を行うことが可能となる。このため、例えば、大規模であるために郊外に設けられることが多い再生可能エネルギーの発電設備の近傍に処理サーバ1を設置し、動作のための電力を再生可能エネルギーで賄う、といった運用が可能となる。
【0093】
<本発明変形例>
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0094】
例えば、上記実施形態に係るシステム100は、通信部、第一取得部、第二取得部、処理部、および送信制御部が、処理サーバ1によって構成されていた(処理側第一取得部131、処理側第二取得部132、サーバ側処理部133、および処理側送信制御部134となっていた)。しかし、システム100は、通信部、第一取得部、第二取得部、処理部、および送信制御部が、他のエッジデバイス4Aによって構成されているものであってもよい。すなわち、他のエッジデバイス4Aの処理部は、複数種類の情報を、少なくともエッジデバイス4と同一の手法で処理することが可能である。少なくともエッジデバイス4と同一の手法には、内容が完全に同一の場合の他、エッジデバイス4の手法よりも高度な(ただし、エッジデバイスの手法を兼ねることができる)内容である場合を含む。「他のエッジデバイス4Aによって構成されている」には、システム100におけるエッジデバイス4のオフロード先の少なくともいずれかが他のエッジデバイスであることを意味する。
【0095】
この場合、指示サーバ2は、他のエッジデバイス4Aとも通信する。そして、指示サーバ2は、他のエッジデバイス4Aから、複数種類の情報(2)、リソース使用状況を取得し、当該リソース使用状況等に基づいて応答可能時間を生成し、遅延テーブル223を更新する。そして、指示サーバ2は、所定の優先順位に従って、宛先情報の内容(宛先)を決定する。他のエッジデバイス4Aがオフロード先の候補に含まれる場合、所定の優先順位は、例えば図10に示したように、他のエッジデバイス4Aが含まれるように設定される。なお、図10には、他のエッジデバイス4Aが1種類だけ設定された優先順位の一覧を例示したが、オフロード先の候補となる他のエッジデバイス4Aは複数設定されていてもよい。その場合、他のエッジデバイス4Aの少なくとも一つとして、処理サーバ1と同様、再生可能エネルギーを用いて発電する発電機から供給された電力を用いて動作する再エネ式デバイスが設定されていてもよい。
【0096】
例えば、応答要求時間が100msecに設定されている場合であって、図11に示したような遅延テーブル223を取得した場合(第一サーバ1aで処理する場合、第二サーバ1bで処理する場合、および他のエッジデバイス4Aで処理する場合のいずれの場合も所定要件を満たす場合)、かつ、所定の優先順位が図10に示したように設定されている場合(他のエッジデバイス4Aの優先順位が処理サーバ1よりも高い場合)、指示サーバ2は、優先順位が最も高い他のエッジデバイスを宛先とする宛先情報を生成する。なお、応答要求時間が100msec未満に設定されている場合であって、図11に示したような遅延テーブル223を取得した場合は、他のエッジデバイス4Aは所定要件を満たしておらず、当該他のエッジデバイス4Aを宛先とすることはできないため、再エネ式サーバである第一サーバ1aを宛先とする宛先情報を生成する。また、指示サーバ2は、処理サーバ1、および他のエッジデバイス4Aが共に所定要件を満たしていない場合、エッジデバイス4を宛先に含む宛先情報を生成する。
【0097】
また、本実施形態に係るシステム100において、エッジデバイス4から処理サーバ1へ処理をオフロードする場合、エッジデバイス4は、特定情報を第一サーバ1a(MEC)または第二サーバ1b(クラウドサーバ)へ送信する。特定情報を受信した第一サーバ1aまたは第二サーバ1bは、処理を開始する。そして、第一サーバ1aまたは第二サーバ1bは処理結果をエッジデバイス4へ返送する。一方、エッジデバイス4から他のエッジデバイス4Aへ処理をオフロードする場合、エッジデバイス4は、特定情報を第一サーバ1aへ送信する。特定情報を受信した第一サーバ1aは特定情報を他のエッジデバイス4Aへ転送する。そして、他のエッジデバイス4Aは、処理を開始する。そして、他のエッジデバイス4Aは処理結果を第1サーバ1aへ返送する。処理結果を受信した第1サーバ1aは、処理結果をエッジデバイス4へ転送する。なお、エッジデバイス4と他のエッジデバイス4Aとのやり取りは、第二サーバ1b経由で行ってもよい。
【0098】
従来、処理をオフロードする上で最も大きな影響を受ける(メリットを受ける)処理の一つに学習済みモデルを用いたAI処理(例えば画像を用いた物体検出等)がある。AI処理は、消費電力が大きく、かつコンピューティングリソースを多く利用するためである。しかし、同じAI処理でも、提供する情報処理サービス毎に使用する学習済みモデルの構造やパラメータが大きく異なる。このため、学習済みモデルを流用することは基本的にできない。このため、学習済みモデルおよびパラメータを持たない処理サーバでAI処理を実行する際には、AI処理の前に学習済みモデルおよびパラメータをダウンロードする必要があり、オフロードが遅延する原因となっていた。一方、すべてのAI処理に対応する一または複数のサーバを用意しておくことは、コストの面で問題があった。しかし、上記のようにすれば、エッジデバイス4と同等以上の処理機能を有する他のエッジデバイス4Aを活用することにより、AIの構造データや重みデータをダウンロードする手間をかけることなく、処理のオフロードが可能となる。
【0099】
なお、システム100は、エッジデバイス4の移動経路を策定する策定部を備えていてもよい。この場合、エッジデバイス4は、ナビゲーション機能または自動運転機能を有する車両4であってもよい。また、エッジデバイス4は、地図案内機能を有する携帯端末(スマートフォン等)、車両以外の自動で移動する機能を有する移動手段(ドローン等)であってもよい。策定部は、サーバ側処理部133、およびデバイス側処理部434の少なくとも一方に備えられるのが好ましいが、特に限定されない。策定部は、他のエッジデバイス4Aと通信するための条件が相対的に整った道路を選択して移動経路を策定する。これにより、AIの構造データや重みデータをダウンロードする手間のかからない同種のエッジデバイスをより活用することができる。具体的には、図10に示したように他のエッジデバイス4Aの優先順位が処理サーバ1よりも高く設定されている場合、条件が相対的に整った道路には、例えば図12に示したように、第一サーバ1aを有するLADN(Local Area Data Network:第一サーバ1aが接続された基地局が形成するセルの範囲内)であって、他のエッジデバイス4Aと通信可能となっているLADN(ただし、エッジデバイス4および他のエッジデバイス4Aが共にセルラー通信する必要あり)の圏内を通る道路等が含まれる。また、処理サーバ1の優先順位が他のエッジデバイス4Aよりも高く設定されている場合、条件が相対的に整った道路には、コンピューティングリソースに余裕のある第一サーバ1a、またはコンピューティングリソースに余裕のある第二サーバ1bと接続された第一サーバ1aを有するLADNの圏内を通る道路等が含まれる。また、再エネサーバの優先順位が高く設定されている場合、条件が相対的に整った道路には、再エネサーバを有するLADNの圏内を通る道路等が含まれる。また、この場合、動作制御部437は、策定部が策定した移動経路を通るように車両を操舵する。
【0100】
また、上記実施形態に係るシステム100は、特定情報の処理を行う機能を有するサーバ(処理サーバ1)と、応答可能時間を生成する機能を有するサーバ(指示サーバ2)と、を備えていた。しかし、システム100は、これらの機能を併せ持つ一台のサーバを備えていてもよい。
【0101】
また、処理サーバ1は、通信ネットワーク3の通信制御装置31と一体に構成されていてもよい。また、処理サーバ1の制御ブロックの少なくとも一部は、通信制御装置31が備えていてもよい。反対に、通信制御装置31の制御ブロックの少なくとも一部は、処理サーバ1が備えていてもよい。
【0102】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0103】
また、以上説明してきた本発明の各態様が奏する作用効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」や、目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」、目標13「気候変動に具体的な対策を」等の達成にも貢献するものである。
【0104】
<まとめ>
本発明の態様1に係るシステムは、情報を収集し、当該情報を処理することが可能であり、処理された情報に基づく動作を行うエッジデバイスと通信する通信部を備えるシステムであって、前記エッジデバイスから、当該エッジデバイスが収集した複数種類の情報の少なくともいずれかを、前記通信部を介して取得する第一取得部と、前記エッジデバイスから、前記複数種類の情報に含まれる特定情報の処理を依頼する旨の依頼情報を、前記通信部を介して取得することが可能な第二取得部と、前記第二取得部が前記依頼情報を取得した場合に前記特定情報を処理する処理部と、前記処理部が前記特定情報を処理した場合に、処理結果を前記エッジデバイスへ送信するよう前記通信部を制御する送信制御部と、を備える、構成である。
【0105】
本発明の態様2に係るシステムは、上記の態様1において、前記複数種類の情報のそれぞれについて、所定要件を満たすか否かを判断し、当該判断の結果に基づいて、前記エッジデバイスが前記複数種類の情報を送信する際の宛先を示す宛先情報、および前記複数種類の情報のうち前記エッジデバイスが処理する部分を示す指示情報を生成する判断部と、前記宛先情報および前記指示情報を前記エッジデバイスへ送信するよう前記通信部を制御する第二送信制御部と、を備える、構成としてもよい。
【0106】
本発明の態様3に係るシステムは、上記の態様2において、前記通信を行なっている基地局を特定するための位置情報、前記基地局が収集した無線品質情報、通信制御装置と前記システムとの間の有線区間における伝送遅延時間、前記エッジデバイスの位置情報、前記エッジデバイスが収集した無線品質情報、および前記複数種類の情報の容量を示す容量情報に基づいて、前記エッジデバイスが送信制御を開始してから当該エッジデバイスが対応する処理結果を取得するまでに要する応答可能時間を、前記複数種類の情報のそれぞれについて生成する生成部を備え、前記判断部は、異常事態が発生していない場合であって、前記応答可能時間が所定の応答要求時間よりも短い、または処理対象の情報に前記応答要求時間が設定されていない場合に、前記所定要件を満たすと判断する、構成としてもよい。
【0107】
本発明の態様4に係るシステムは、上記の態様3において、前記判断部は、異常事態が発生していない場合、前記応答可能時間が所定の応答要求時間よりも短いまたは処理対象の情報に前記応答要求時間が設定されていない場合、かつシステムのコンピューティングリソースが足りている場合に、前記所定要件を満たすと判断し、異常事態が発生していない場合、かつ前記応答可能時間が前記応答要求時間よりも短い場合であって、前記コンピューティングリソースが足りていない場合には、前記システムおよび前記エッジデバイスを宛先に含む前記宛先情報、および前記コンピューティングリソースの不足分を処理することを前記エッジデバイスへ指示する指示情報を生成する、構成としてもよい。
【0108】
本発明の態様5に係るシステムは、上記の態様3において、過去の通信における前記基地局の位置情報、エッジデバイスの位置情報、前記エッジデバイスと前記基地局との間の無線区間の距離、基地局が収集した無線品質情報、エッジデバイスが収集した無線品質情報、通信制御装置と処理サーバとの間の有線区間における伝送遅延時間、処理した情報のデータ容量、およびそのときの当該処理サーバとエッジデバイスとの通信に要した応答時間の関係を機械学習することにより構築された学習済みモデルを備え、前記生成部は、前記学習済みモデルを用いて前記応答可能時間を生成する、構成としてもよい。
【0109】
本発明の態様6に係るシステムは、上記の態様5において、直近の測定で得られた応答時間の実測値に基づいて、前記学習済みモデルを更新する更新部を更に備える、構成としてもよい。
【0110】
本発明の態様7に係るシステムは、上記の態様1~6のいずれかにおいて、前記第一取得部は、前記複数種類の情報のうちの1つとして、前記エッジデバイスによってデータ容量を小さくされた情報を取得することが可能である、構成としてもよい。
【0111】
本発明の態様8に係るシステムは、上記の態様3~6のいずれかにおいて、前記第一取得部による情報の取得時間が相対的に短く、かつ前記処理部による情報の処理時間が相対的に長い第一サーバと、前記第一取得部による情報の取得時間が前記第一サーバより長く、かつ前記処理部による情報の処理時間が前記第一サーバより短い第二サーバと、を備え、前記生成部は、前記第一サーバが処理を行う場合の前記応答可能時間、および前記第二サーバが処理を行う場合の前記応答可能時間を、前記複数種類の情報のそれぞれについて生成する、構成としてもよい。
【0112】
本発明の態様9に係るシステムは、上記の態様8において、前記第一サーバおよび前記第二サーバの少なくとも一方を複数備え、一または複数の前記第一サーバ、および一または複数の第二サーバのうち一部のサーバは、再生可能エネルギーを用いて発電する発電機から供給された電力を用いて動作する再エネ式サーバであり、前記判断部は、前記応答可能時間が前記応答要求時間よりも短くなるサーバが複数ある場合であって、前記再エネ式サーバを含む場合、前記再エネ式サーバを宛先とする前記宛先情報を生成する、構成としてもよい。
【0113】
本発明の態様10に係るシステムは、上記の態様8において、前記第一サーバおよび前記第二サーバの少なくとも一方は、ステートレスとなっている、構成としてもよい。
【0114】
本発明の態様11に係るシステムは、上記の態様10において、複数種類の情報の処理を前記第一サーバおよび前記第二サーバの少なくとも一方が行う場合であって、当該処理に前回行った同様の処理の結果を必要とする場合、前記第一取得部は、前記エッジデバイスから、前記前回行った同様の処理の結果を、前記通信部を介して取得する、構成としてもよい。
【0115】
本発明の態様12に係るシステムは、上記の態様1~11のいずれかにおいて、前記通信部、前記第一取得部、前記第二取得部、前記処理部、および前記送信制御部が、前記複数種類の情報を、少なくとも前記エッジデバイスと同一の手法で処理することが可能な他のエッジデバイスによって構成されている、構成としてもよい。
【0116】
本発明の態様13に係るシステムは、上記の態様12において、前記エッジデバイスは、自身の移動経路を策定する策定部を備え、道路上を走行する車両であり、前記策定部は、前記他のエッジデバイスと通信するための条件が相対的に整った道路を選択して移動経路を策定する、構成としてもよい。
【0117】
本発明の態様14に係るプログラムは、上記の態様1~13のいずれかにおいて、前記システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、上記第一取得部、上記第二取得部、上記処理部、および上記送信制御部としてコンピュータを機能させる、構成としてもよい。
【0118】
本発明の態様15に係るシステムは、情報を収集し、当該情報を処理することが可能であり、処理された情報に基づく動作を行う車両と通信する通信部を備えるシステムであって、前記車両から、当該車両が収集した複数種類の情報の少なくともいずれかを、前記通信部を介して取得する第一取得部と、前記車両から、前記複数種類の情報に含まれる特定情報の処理を依頼する旨の依頼情報を、前記通信部を介して取得することが可能な第二取得部と、前記第二取得部が前記依頼情報を取得した場合に前記特定情報を処理する処理部と、前記処理部が前記特定情報を処理した場合に、処理結果を前記車両へ送信するよう前記通信部を制御する送信制御部と、を備える、構成である。
【0119】
本発明の態様16に係るエッジデバイスは、上記の態様1~15のいずれかにおいて、前記システムと通信する通信部を備えるエッジデバイスであって、複数種類の情報を収集する収集部と、前記エッジデバイスの位置情報、前記エッジデバイスが収集した無線品質情報、および前記複数種類の情報の容量を示す容量情報を前記システムへ送信するよう前記通信部を制御する第一送信制御部と、前記システムから、前記エッジデバイスが前記複数種類の情報を送信する際の宛先を示す宛先情報、および前記複数種類の情報のうち前記エッジデバイスが処理する部分を示す指示情報を、前記通信部を介して取得する第一取得部と、前記宛先情報が示す宛先に前記エッジデバイスが含まれている場合に、当該宛先情報に対応する情報を処理する処理部と、前記宛先情報および前記指示情報に基づく依頼情報を前記システムへ送信するよう前記通信部を制御する第二送信制御部と、前記システムが前記特定情報を処理した場合に、前記システムから、当該システムによる処理結果を、前記通信部を介して取得する第二取得部と、前記処理部および前記システムの少なくとも一方による処理結果に基づく動作を行う動作制御部と、を備える、構成としてもよい。
【0120】
本発明の態様17に係るエッジデバイスは、上記の態様16において、前記処理部は、Vision Transformerを用いた物体検知における、画像データを複数のパッチに分け、各パッチをベクトルにそれぞれ埋め込む処理を実行し、前記物体検知における、前記ベクトルをトランスフォーマーエンコーダに入力する処理の実行を依頼する旨の依頼情報を前記システムへ送信する、構成としてもよい。
本発明の態様18に係るエッジデバイスは、上記の態様16または17において、情報の処理について前回行った処理の結果を保持する処理記憶部を有しており、前記第二送信制御部は、情報の処理を前記システムが行う場合であって、当該処理に前回行った処理の結果が必要な場合は、前記前回行った処理の結果も送信するよう前記通信部を制御する、構成としてもよい。
【符号の説明】
【0121】
100 システム
1 処理サーバ
1a 第一サーバ
11 処理側通信部
12 処理側記憶部
121 処理用プログラム
122 処理用学習済みモデル
13 処理側制御部
131 処理側第一取得部(第一取得部)
132 処理側第二取得部(第二取得部)
133 サーバ側処理部(処理部)
134 処理側送信制御部(送信制御部)
135 リソース監視部
1b 第二サーバ
2 指示サーバ
21 指示側通信部
22 指示側記憶部
221 指示用プログラム
222 基地局データベース
223 遅延テーブル
224 指示用学習済みモデル
23 指示側制御部
231 指示側第一取得部
232 指示側第二取得部
233 生成部
233a 前処理部
233b 推論部
234 ロードバランス部
235 判断部
236 指示側送信制御部
237 指示側第三取得部
238 更新部
3 通信ネットワーク
31 通信制御装置
32 基地局
4 エッジデバイス
41 デバイス側通信部
42 デバイス側記憶部
421 デバイス用プログラム
422 処理記憶部
423 依頼記憶部
43 デバイス側制御部
431 収集部
432 デバイス側第一送信制御部
433 デバイス側第一取得部
434 デバイス側処理部
435 デバイス側第二送信制御部
436 デバイス側第二取得部
437 動作制御部
44 情報取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12