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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021417
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】油中水型乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20250205BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20250205BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20250205BHJP
   A61K 8/72 20060101ALI20250205BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20250205BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20250205BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20250205BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20250205BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20250205BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20250205BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20250205BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20250205BHJP
   A61Q 17/00 20060101ALI20250205BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20250205BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20250205BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/86
A61K8/06
A61K8/72
A61K8/31
A61K8/92
A61K8/37
A61K8/34
A61K8/36
A61Q1/00
A61Q5/00
A61Q15/00
A61Q17/00
A61K8/39
A61Q19/00
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024084523
(22)【出願日】2024-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2023124733
(32)【優先日】2023-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520176980
【氏名又は名称】株式会社みらい中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194973
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】石渡 正昭
(72)【発明者】
【氏名】李 娟娟
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB282
4C083AB362
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC691
4C083AC692
4C083AD022
4C083BB11
4C083BB60
4C083CC03
4C083CC11
4C083CC12
4C083CC17
4C083CC19
4C083CC31
4C083DD31
4C083DD32
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】有機変性粘土鉱物と界面活性剤とを含み、増粘性を有する油中水型乳化組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】(a)有機変性粘土鉱物と、(b)エチレンオキシド付加のノニオン系界面活性剤と、(c)油性成分と、(d)水と、を含む、クリーム状又はゲル状の油中水型乳化組成物であって、(b)ノニオン系界面活性剤が、1つの一価アルコールにエチレンオキシドがエーテル結合した構造を有しており、平均エチレンオキシド付加モル数が6~40であり、一価アルコールの主鎖の炭素数が12~30である、前記油中水型乳化組成物により、前記課題を解決することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)有機変性粘土鉱物と、
(b)エチレンオキシド付加のノニオン系界面活性剤と、
(c)油性成分と、
(d)水と、
を含む、クリーム状又はゲル状の油中水型乳化組成物であって、
(b)ノニオン系界面活性剤が、1つの一価アルコールにエチレンオキシドがエーテル結合した構造を有しており、平均エチレンオキシド付加モル数が6~40であり、一価アルコールの主鎖の炭素数が12~30である、前記油中水型乳化組成物。
【請求項2】
(b)ノニオン系界面活性剤のHLB値が、10以上である、請求項1に記載の油中水型乳化組成物。
【請求項3】
(a)有機変性粘土鉱物が、クオタニウム-18ヘクトライト及びクオタニウム-90ベントナイトからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の油中水型乳化組成物。
【請求項4】
(b)エチレンオキシド付加のノニオン系界面活性剤が、POE(7)オレイルエーテル、POE(10)イソステアリルエーテル、POE(20)ベヘニルエーテル、及びPOE(10)ベヘニルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の油中水型乳化組成物。
【請求項5】
(a)有機変性粘土鉱物0.2~10重量%と、
(b)エチレンオキシド付加のエステル系ノニオン系界面活性剤0.01~5重量%と、
(c)油性成分15~70重量%と、
(d)水20~80重量%と、
を含む、請求項1又は2に記載の油中水型乳化組成物。
【請求項6】
スキンケア化粧料、メイクアップ化粧料、頭髪化粧料、制汗剤化粧料、又は紫外線防止化粧料である、請求項1又は2に記載の油中水型乳化組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料は、体を清潔にしたり、外見を際立たせる目的で、皮膚等に塗布等するものである。化粧品には、油中水型乳化組成物に増粘性を付与することを期待して、有機変性粘土鉱物が添加されることがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平04-103508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乳化化粧料を作製するためには界面活性剤が必要である。また、乳化化粧料には、ゲルやクリームなど、増粘性が必要とされることもある。しかし、有機変性粘土鉱物と界面活性剤を組み合わせた場合に、所望の増粘性が得られない場合があった。したがって、本発明の目的は、有機変性粘土鉱物と界面活性剤とを含み、増粘性を有する油中水型乳化化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、有機変性粘土鉱物と界面活性剤を含み、所望の増粘性を有する油中水型乳化組成物について、鋭意研究した。その結果、驚くべきことに、有機変性粘土鉱物と特定のノニオン系界面活性剤とを併用することにより、増粘性を有する油中水型乳化化粧料が得られることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1] (a)有機変性粘土鉱物と、
(b)エチレンオキシド付加のノニオン系界面活性剤と、
(c)油性成分と、
(d)水と、
を含む、クリーム状又はゲル状の油中水型乳化組成物であって、
(b)ノニオン系界面活性剤が、1つの一価アルコールにエチレンオキシドがエーテル結合した構造を有しており、平均エチレンオキシド付加モル数が6~40であり、一価アルコールの主鎖の炭素数が12~30である、前記油中水型乳化組成物、
[2] (b)ノニオン系界面活性剤のHLB値が、10以上である、[1]に記載の油中水型乳化組成物、
[3] (a)有機変性粘土鉱物が、クオタニウム-18ヘクトライト及びクオタニウム-90ベントナイトからなる群から選択される少なくとも1つである、[1]又は[2]に記載の油中水型乳化組成物、
[4] (b)エチレンオキシド付加のノニオン系界面活性剤が、POE(7)オレイルエーテル、POE(10)イソステアリルエーテル、POE(20)ベヘニルエーテル、及びPOE(10)ベヘニルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つである、[1]~[3]のいずれかに記載の油中水型乳化組成物、
[5] (a)有機変性粘土鉱物0.2~10重量%と、
(b)エチレンオキシド付加のエステル系ノニオン系界面活性剤0.01~5重量%と、
(c)油性成分15~70重量%と、
(d)水20~80重量%と、
を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の油中水型乳化組成物、並びに
[6] スキンケア化粧料、メイクアップ化粧料、頭髪化粧料、制汗剤化粧料、又は紫外線防止化粧料である、[1]~[5]のいずれかに記載の油中水型乳化組成物、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、有機変性粘土鉱物と界面活性剤とを含み、増粘性を有する油中水型乳化組成物を提供することができる。
以下、本発明について詳述する。なお、本明細書においては、特に断らない限り、数値A及び数値Bについて「A~B」という表記は「A以上B以下」と等価であるものとする。すなわち、「A~B」という表記には、両端の数値A及び数値Bが含まれる。かかる表記において数値Bのみに単位を付した場合には、当該単位が数値Aにも適用されるものとする。
【発明を実施するための形態】
【0007】
《有機変性粘土鉱物;成分a》
本発明に用いることができる有機変性粘土鉱物は、ヘクトライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ベントナイト、スメクタイトなどの公知の粘土鉱物を、有機カチオンで処理したものが挙げられる。処理方法としては、有機カチオンを適切な溶剤に溶解又は分散させ、ここに粘土鉱物を浸漬後にろ過した後、残渣を乾燥して有機変性された粘土鉱物を作製する方法が好ましい。乾燥方法としては、ニーダーを用いて乾燥する方法、スプレードライを用いて乾燥する方法、凍結乾燥する方法などが挙げられる。スプレードライを用いて乾燥する方法を採用する場合は、残渣を精製水などに再度分散させて、それを噴霧して乾燥させることもできる。乾燥方法としてはコスト面からニーダーを用いて乾燥する方法が好ましい。
なお、粘土鉱物の変性に用いられる有機カチオンとしては、アルキルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム化合物から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0008】
なお、本発明における(a)有機変性粘土鉱物は、油中水型乳化組成物中において、有機変性粘土鉱物の状態で存在すればよい。したがって、既述の予め有機変性された粘土鉱物を乳化化粧料に添加する以外に、例えば、未変性粘土鉱物とこの粘土鉱物を有機変性させうる有機カチオンであるカチオン界面活性剤とを別々に配合し、油中水型乳化組成物製造工程において、系中で粘土鉱物を有機変性させてもよい。この場合においても、得られた油中水型乳化化粧料中に、有機変性粘土鉱物が存在することになる。
【0009】
本発明に用いることができる有機変性粘土鉱物の具体例としては、例えば、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト(例えば、クオタニウム-18ヘクトライト)、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト(例えば、クオタニウム-18ベントナイト、クオタニウム-90ベントナイト)、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、ジオクタデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、ジヘキサデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、及びジメチルジステアリルアンモニウムスメクタイト等が挙げられる。
本発明に用いられる有機変性粘土鉱物は、例えば、「スメクトンSAN-P」(化学名:クオタニウム-18ヘクトライト)、「エスベンWV」(化学名:クオタニウム-90ベントナイト)、「ベントン38V」(化学名:クオタニウム-18ヘクトライト)、「ベントン38VCG」(化学名:クオタニウム-18ヘクトライト)、「ベントン34」(化学名:クオタニウム-18ベントナイト)、「ベントン27」(化学名:ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト)等として市販されており、商業的に入手可能である。
【0010】
本発明の乳化化粧料に用いられる有機変性粘土鉱物としては、クオタニウム-18ヘクトライト又はクオタニウム-90ベントナイトが好ましい。
【0011】
(a)有機変性粘土鉱物は、本発明の油中水型乳化組成物に対して1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記成分(a)の油中水型乳化組成物における含有量は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、下限は、例えば、0.001重量%以上であり、より好ましくは0.01重量%以上であり、さらに好ましくは0.05重量%以上であり、さらに好ましくは0.1重量%以上であり、さらに好ましくは0.2重量%以上であり、さらに好ましくは0.2重量%以上であり、さらに好ましくは0.8重量%以上であり、さらに好ましくは1重量%以上である。上限は、例えば20重量%以下であり、好ましくは15重量%以下であり、より好ましくは12重量%以下であり、さらに好ましくは10重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下である。前記含有量であることによって、良好な増粘性が得ることができる。また、前記含有量の下限と上限とは、組み合わせて成分(a)の含有量の範囲とすることができる。
【0012】
《エチレンオキシド付加のノニオン系界面活性剤;成分b》
本発明で用いられるエチレンオキシド付加のノニオン系界面活性剤は、1つの一価アルコールにエチレンオキシドがエーテル結合した構造を有しており、平均エチレンオキシド付加モル数が6~40モルであり、一価アルコールの主鎖の炭素数が12~30である。
なお、本明細書において、「エチレンオキシド付加のノニオン系界面活性剤」には、アルコールに、エチレンオキシドに加えて酸化プロピレンを付加したものは含まれない。
【0013】
(一価アルコール)
一価アルコールは、直鎖アルコールでもよく、分岐鎖アルコールでもよい。また、一価アルコールは、飽和アルコールでもよく、不飽和アルコールでもよい。
一価アルコールの主鎖の炭素数は、12~30、好ましくは14~26、より好ましくは14~24、さらに好ましくは16~22、さらに好ましくは18~22、最も好ましくは18である。
【0014】
(平均エチレンオキシド付加モル数)
平均エチレンオキシド付加モル数とは、エチレンオキシド付加のノニオン系界面活性剤において、1つの一価アルコールにエーテル結合しているエチレンオキシドの物質量の平均を意味する。平均エチレンオキシド付加モル数は、6~40、好ましくは6~30、より好ましくは7~26、さらに好ましくは7~20、さらに好ましくは7~16、最も好ましくは7~10である。なお、以下の化合物において「POE(20)」と記載した場合、当該界面活性剤のPOE(ポリエチレンオキシド)の平均付加モル数が20であることを意味する。
【0015】
(HLB値)
本発明で用いられるエチレンオキシド付加のノニオン系界面活性剤のHLB値は、例えば、8~20、好ましくは10~20、より好ましくは10.5~17、さらに好ましくは10.5~15、最も好ましくは10.5~12である。ノニオン界面活性剤のHLB値は、ノニオン界面活性剤が市販品である場合には、メーカーカタログ記載のHLB値を採用する。
【0016】
本発明者らは、有機変性粘土鉱物と特定の構造を有するエチレンオキシド付加のノニオン系界面活性剤、特にHLB値が比較的高い値のエチレンオキシド付加のノニオン系界面活性剤とを組み合わせると、油中水型乳化組成物が良好な増粘性を発揮することを見出した。これは驚くべきことである。
【0017】
本発明に用いることができるエチレンオキシド付加のノニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、POE(30)ベヘニルエーテル(商品名;NIKKOL BB-30)、POE(20)ベヘニルエーテル(商品名;NIKKOL BB-20)、POE(10)ベヘニルエーテル(商品名;NIKKOL BB-10)、POE(7)オレイルエーテル(商品名;NIKKOL BO-7V)、POE(10)イソステアリルエーテル(商品名;EMALEX 1810)、POE(10)セチルエーテル(商品名;NIKKOL BC-10)、POE(15)セチルエーテル(商品名;NIKKOL BC-15)、POE(20)セチルエーテル(商品名;NIKKOL BC-20)、POE(30)セチルエーテル(商品名;NIKKOL BC-30)、POE(40)セチルエーテル(商品名;NIKKOL BC-40)、POE(7)セチルエーテル(商品名;EMALEX 107)、POE(12)セチルエーテル(商品名;EMALEX 112)、POE(15)セチルエーテル(商品名;EMALEX 115)、POE(17)セチルエーテル(商品名;EMALEX 117)、POE(20)セチルエーテル(商品名;EMALEX 120)、及びPOE(10)2-ヘキシルデシルエーテル(商品名;EMALEX 1610)が挙げられる。POE(20)ベヘニルエーテル(商品名;NIKKOL BB-20)、POE(10)ベヘニルエーテル(商品名;NIKKOL BB-10)、POE(7)オレイルエーテル(商品名;NIKKOL BO-7V)、及びPOE(10)イソステアリルエーテル(商品名;EMALEX 1810)が好ましく、POE(7)オレイルエーテル(商品名;NIKKOL BO-7V)及びPOE(10)イソステアリルエーテル(商品名;EMALEX 1810)が、安定性を確保できることからより好ましい。
【0018】
(b)エチレンオキシド付加のノニオン系界面活性剤は、本発明の油中水型乳化組成物に対して1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記成分(b)の油中水型乳化組成物における含有量は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、下限は、例えば、0.001重量%以上であり、より好ましくは0.01重量%以上であり、さらに好ましくは0.05重量%以上であり、さらに好ましくは0.1重量%以上であり、さらに好ましくは0.2重量%以上である。上限は、例えば10重量%以下であり、好ましくは3重量%以下であり、より好ましくは2.5重量%以下であり、さらに好ましくは2重量%以下であり、さらに好ましくは1.5重量%以下である。前記含有量であることによって、増粘性を得ることができる。また、前記含有量の下限と上限とは、組み合わせて成分(b)の含有量の範囲とすることができる。
本発明の乳化化粧料は、本発明の効果を有する限り、成分(b)以外の界面活性剤をさらに含有してもよい。
【0019】
成分(a)の含有量に対する成分(b)の含有量の重量比(成分(b)/成分(a))は、例えば0.01~5.0、0.05~2.5、0.08~2.0、又は0.1~1.0である。
【0020】
《油性成分;成分c》
本発明の油中水型乳化組成物は、油相成分の主成分として油性成分を含有する。油性成分は、特に限定されるものではなく、エステル油、炭化水素油、動植物油、脂肪族アルコール、高級脂肪酸、シリコーン又はシリコーン誘導体を挙げることができる。本発明の油中水型乳化組成物は、これらの油性成分に含まれるものを1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0021】
前記エステル油としては、例えばミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、リシノール酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸2-オクチルドデシル、リシノール酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジ2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトラミリスチン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(1)、ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、2-エチルヘキサン酸イソステアリル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ジメチルオクタン酸2-ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸2-オクチルドデシル、イソパルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2-オクチルドデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸2-オクチルドデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリ2-エチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリ2-オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジブチルオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、又は12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル等を挙げることができる。
【0022】
前記炭化水素油としては、オゾケライト、α-オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、セレシン、パラフィン、ポリエチレン末、ポリブテン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワレン、プリスタン、ワセリン、又はマイクロクリスタリンワックスを挙げることができる。
【0023】
前記動植物油としては、例えばアボガド油、トウモロコシ油、月見草油、パーシック油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、シナモン油、アーモンド油、大豆油、大豆胚芽油、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、ミッドオレイックひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、卵黄油、ミンク油、牛脂、豚脂、ラード、鶏脂、乳脂、魚油、アザラシ油、及び藻類油、並びにそれらの分別油、硬化油、及びエステル交換油を挙げることができる。
【0024】
前記脂肪族アルコールとしては、直鎖状の飽和アルコール(例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、又はベヘニルアルコール)、分岐状の飽和アルコール(例えば、イソステアリルアルコール、又はオクチルドデカノール)、又は不飽和アルコール(例えば、オレイルアルコール)などの炭素数が12~22のアルコール(いわゆる高級アルコール)を挙げることができる。
【0025】
前記高級脂肪酸としては、直鎖状の飽和脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、12-ヒドロキシステアリン酸)、分岐状の飽和脂肪酸(例えば、イソステアリン酸)、不飽和脂肪酸(例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ウンデシレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸)、トール酸、ラノリン酸などを挙げることができる。
【0026】
前記シリコーン又はシリコーン誘導体としては、メチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルアミノプロピルシロキサン、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン、シリコーンゴム、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルポリシロキサン、又はメチル(アミノプロピル)シロキサンを挙げることができる。
【0027】
前記成分cの油中水型乳化組成物における含有量は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、下限は、例えば、15重量%以上であり、より好ましくは20重量%以上であり、さらに好ましくは22重量%以上であり、さらに好ましくは25重量%以上であり、さらに好ましくは30重量%以上である。上限は、例えば70重量%以下であり、好ましくは60重量%以下であり、より好ましくは55重量%以下であり、さらに好ましくは50重量%以下であり、さらに好ましくは45重量%以下である。また、前記含有量の下限と上限とは、組み合わせて成分cの含有量の範囲とすることができる。
【0028】
《水;成分d》
本発明の油中水型乳化組成物は、水相成分の主成分として水を含有する。
前記成分dの油中水型乳化組成物における含有量は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、下限は、例えば、20重量%以上であり、より好ましくは25重量%以上であり、さらに好ましくは30重量%以上であり、さらに好ましくは35重量%以上であり、さらに好ましくは40重量%以上である。上限は、例えば80重量%以下であり、好ましくは70重量%以下であり、より好ましくは65重量%以下であり、さらに好ましくは60重量%以下であり、さらに好ましくは55重量%以下であり、さらに好ましくは50重量%以下である。また、前記含有量の下限と上限とは、組み合わせて成分dの含有量の範囲とすることができる。
【0029】
《化粧料》
本発明の油中水型乳化組成物は、乳液、クリーム、クレンジング、パック、マッサージ料、洗浄剤、脱臭剤、及びハンドクリーム等のスキンケア化粧料;メイクアップ下地、ファンデーション、頬紅、アイカラー、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、及び口紅等のメイクアップ化粧料;リンス、トリートメント、及びセット剤等の頭髪化粧料;制汗剤化粧料;並びに、サンスクリーン、日焼け止め乳液及び日焼け止めクリーム等の紫外線防止化粧料であることができるが、これらに限定されない。
本発明の油中水型乳化組成物は、クリーム状又はゲル状の油中水型乳化組成物である。「ゲル状」とは、20℃環境下において、容器から取り出して卓上に直接置いても、数秒(例えば2秒)程度であれば広がらずにその形状を保つことを意味する。「クリーム状」とは、液状とは異なり、例えば20℃環境下においてある程度の粘度(例えば、20℃で100mPa・s以上、好ましくは300mPa・s以上、より好ましくは500mPa・s以上)を有することを意味する。ゲル状及びクリーム状の両方の特性を有する油中水型乳化組成物は、ゲル状油中水型乳化組成物に該当し、そしてクリーム状油中水型乳化組成物にも該当する。
【0030】
本発明の油中水型乳化組成物は、上記必須成分の他にも、本発明の効果を損なわない範囲で、通常化粧料に配合されるその他の成分を適宜配合することができる。その他の成分としては、保湿剤(例えば、トリメチルグリシン、濃グリセリン、ソルビット、キシリトール、ヒアルロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、セラミド類、加水分解ケラチン)、着色剤(例えば、顔料、又は色素)、パール光沢付与剤(例えば、ジステアリン酸グリコール、又はジステアリン酸エチレングリコール)、塩類(例えば、塩化ナトリウム)、植物エキス類、防腐剤、ビタミン剤、香料、紫外線吸収剤、抗酸化剤、湿潤剤、キレート剤、及びpH調整剤(例えば、クエン酸、又は酒石酸)が挙げられる。
【実施例0031】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。特に説明がない限り、%は重量%を示す。
【0032】
《参考例1~17》
参考例1~17では、予備実験として、表2及び3に示した成分組成で油性成分、有機変性粘土鉱物、及び種々のノニオン系界面活性剤を混合して、油性成分に増粘性が付与されるかどうかを目視で確認した。実施例において使用した有機変性粘土鉱物とノニオン系界面活性剤の詳細は以下の通りである。
【0033】
《有機変性粘土鉱物》
・エスベンWV-60;クオタニウム-90ベントナイト
・スメクトンSAN-P;クオタニウム-18ヘクトライト
・ベントン38VCG;クオタニウム-18ヘクトライト
【0034】
《ノニオン系界面活性剤》
【表1】
なお、エスベン、スメクトン、NIKKOL、EMALEX、コスモールはいずれも登録商標である。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
成分bとしてNIKKOL BB-20、NIKKOL BB-10、NIKKOL BO-7V、又はEMALEX 1810を用いた参考例1~7では増粘性の付与が確認された。他のノニオン系界面活性剤を用いた他の参考例では、増粘性の付与は確認できなかった。
成分aとしてエスベンWV-60及びスメクトンSAN-Pを用いた。いずれを使用しても増粘性の付与が確認された。
【0038】
《実施例1~4》
実施例1~4では、表4に示した成分組成で水、油性成分、有機変性粘土鉱物、及びノニオン系界面活性剤を混合して、W/O(Water in oil)クリームを調製した。W/Oクリームの増粘性、均一なW/Oクリームの形成、W/Oクリームの安定性(1週間後)を目視で確認した。
【0039】
【表4】
【0040】
実施例1~4はいずれも、増粘性を示した。また、実施例1~4はいずれも、油相と水相が分離せずにW/Oクリームのエマルジョンを形成した。
しかし、NIKKOL BB-20又はNIKKOL BB-10を用いた実施例1又は2は、混合1週間後には水相と油相が分離した。NIKKOL BO-7V又はEMALEX 1810を用いた実施例3又は4では、混合1週間後においても水相と油相は分離しておらず、安定性を有していた。
【0041】
《実施例5~12》
実施例5~12では、表5に示した成分組成で水、油性成分、有機変性粘土鉱物、及びノニオン系界面活性剤を混合して、W/O(Water in oil)クリームを調製した。W/Oクリームの増粘性、均一なW/Oクリームの形成、W/Oクリームの安定性(1週間後)を目視で確認した。
【0042】
【表5】
【0043】
実施例5~12はいずれも、増粘性を示した。また、実施例5~12はいずれも、油相と水相が分離せずにW/Oクリームのエマルジョンを形成した。しかしNIKKOL BO-7Vを3重量%添加した実施例12は、混合1週間後には水相と油相が分離した。NIKKOL BO-7Vを0.05~2重量%添加した実施例5~9及び11では、混合1週間後においても水相と油相が分離しておらず、安定性を有していた。
【0044】
《実施例13~19》
実施例13~19では、表6に示した成分組成で水、油性成分、有機変性粘土鉱物、及びノニオン系界面活性剤を混合して、W/O(Water in oil)クリームを調製した。W/Oクリームの増粘性、均一なW/Oクリームの形成、W/Oクリームの安定性(1週間後)を目視で確認した。
【0045】
【表6】
【0046】
実施例13~19はいずれも、増粘性を示した。また、実施例13~19はいずれも、油相と水相が分離せずにW/Oクリームのエマルジョンを形成した。また、実施例13~19では、混合1週間後においても水相と油相が分離しておらず、安定性を有していた。
【0047】
《実施例20~22》
実施例20~22では、表7に示した成分組成で水、油性成分、有機変性粘土鉱物、及びノニオン系界面活性剤を混合して、W/O(Water in oil)のゲル状ファンデーションを調製した。W/Oゲルの増粘性、均一なW/Oゲルの形成、W/Oゲルの安定性(1週間後)を目視で確認した。
【0048】
【表7】
【0049】
実施例20~22は、いずれもゲル状となった。また、実施例20~22はいずれも、油相と水相が分離せずにゲル状のW/Oエマルジョンを形成した。また、実施例20~22では、混合1週間後においても水相と油相が分離しておらず、安定性を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、有機変性粘土鉱物と界面活性剤を含み、増粘性を有する油中水型乳化組成物を提供することができる。