(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021425
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】移動用車
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20250205BHJP
A61H 3/04 20060101ALI20250205BHJP
B62B 3/02 20060101ALI20250205BHJP
B62B 5/06 20060101ALI20250205BHJP
B62B 5/04 20060101ALI20250205BHJP
A47G 23/06 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
B62B5/00 B
A61H3/04
B62B3/02 Z
B62B5/06 C
B62B5/04 Z
A47G23/06 D
B62B3/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024107311
(22)【出願日】2024-07-03
(31)【優先権主張番号】P 2023124663
(32)【優先日】2023-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(72)【発明者】
【氏名】久保田 澄花
(72)【発明者】
【氏名】村田 和正
(72)【発明者】
【氏名】滝藤 良樹
【テーマコード(参考)】
3B115
3D050
4C046
【Fターム(参考)】
3B115AA17
3B115BB03
3B115BC10
3D050AA03
3D050BB03
3D050BB22
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG04
3D050GG06
3D050HH02
3D050JJ07
4C046AA24
4C046BB01
4C046BB07
4C046CC01
4C046DD07
4C046DD12
4C046DD26
4C046DD27
4C046DD29
4C046DD33
4C046DD46
4C046DD47
(57)【要約】
【課題】トレイの使い勝手をよくすることができる移動用車を提供する。
【解決手段】歩行車は、上下方向に延びる左右一対のフレーム部11と、各フレーム部11の上端部に設けられ、ハンドル23とブレーキレバー24とを有してなる左右一対の操作部21と、取り外し可能に設けられたトレイ42と、を備える。各フレーム部11は上下方向に伸縮可能とされ、その伸縮により各操作部21の高さ位置を調整可能となっている。また、トレイ42は、各操作部21の高さ位置を調整する手段とは別の手段によって、高さ位置の調整が可能とされている。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる左右一対のフレーム部と、
前記各フレーム部の上端部に設けられ、ハンドル及びブレーキレバーを有してなる左右一対の操作部と、
取り外し可能に設けられたトレイと、を備える移動用車であって、
前記操作部の高さ位置を調整可能な第1調整手段と、
前記第1調整手段とは別に設けられ、前記トレイの高さ位置を調整可能な第2調整手段と、を備える、移動用車。
【請求項2】
前記トレイの下方に設けられ、物を収容可能な収容部を備え、
前記第2調整手段は、前記収容部に対する前記トレイの高さ位置を調整可能となっている、請求項1に記載の移動用車。
【請求項3】
前記第1調整手段は、前記フレーム部を上下方向に伸縮させることにより前記操作部の高さ位置を調整するものであり、
前記第2調整手段は、
前記各フレーム部に設けられ、前記フレーム部に沿って上下方向にスライド可能な一対の支持部と、
前記各支持部に架け渡されて設けられ、前記トレイを支持するトレイフレームと、
を有する、請求項1に記載の移動用車。
【請求項4】
前記トレイの下方に設けられ、物を収容可能な収容部と、
前記収容部を支持する支持フレームと、を備え、
前記支持フレームは、前記各支持部に架け渡されて設けられているか、又は前記トレイフレームと一体化されている、請求項3に記載の移動用車。
【請求項5】
前記支持フレームは、前記各支持部に架け渡されて設けられており、
前記第2調整手段は、前記各支持部に対する前記トレイフレームの高さ位置を調整可能となっている、請求項4に記載の移動用車。
【請求項6】
前記移動用車は、歩行車であり、
前記トレイは、前記各操作部の間、又は前記各フレーム部の間に配置されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の移動用車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動用車に関する。
【背景技術】
【0002】
人や荷物の移動を補助する移動用車として、従来より、高齢者等が歩行する際の補助を行う歩行車が知られている。歩行車は、上下方向に延びる左右一対のフレーム部と、各フレーム部の上端側に設けられた左右一対のハンドルとを備える。
【0003】
歩行車には、例えば特許文献1に開示されているように、物を載置可能なトレイが設けられているものがある。特許文献1の歩行車には、各フレーム部よりも前方に収容部が設けられ、その収容部の上方にトレイが載置されている。この場合、トレイは、収容部上から取り外し可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のトレイ付きの歩行車によれば、歩行車を用いて歩行するユーザがトレイに物を載せたりトレイから物を取ったりすることが可能となる。また、トレイ付きの歩行車では、ユーザが椅子に座った状態でトレイ上で食事等をすることも想定される。
【0006】
ここで、ユーザが椅子に座ってトレイ上で食事等する際には、トレイが低い位置にあることが望ましい。しかしながら、トレイが低い位置にあると、歩行するユーザがトレイに物を載せたりトレイから物を取ったりする際に屈む必要が生じて、トレイの使い勝手が悪くなると考えられる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、トレイの使い勝手をよくすることができる移動用車を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の移動用車は、上下方向に延びる左右一対のフレーム部と、前記各フレーム部の上端部に設けられ、ハンドル及びブレーキレバーを有してなる左右一対の操作部と、取り外し可能に設けられたトレイと、を備える移動用車であって、前記操作部の高さ位置を調整可能な第1調整手段と、前記第1調整手段とは別に設けられ、前記トレイの高さ位置を調整可能な第2調整手段と、を備える。
【0009】
第1の発明によれば、第1調整手段により、移動用車を使用するユーザの身長等に応じて操作部の高さ位置を調整することができる。また、第1調整手段とは別に設けられた第2調整手段によりトレイの高さ位置を調整することができる。この場合、ユーザが移動用車を用いて歩行する際にはトレイの高さ位置を高く設定したり、ユーザが椅子に座ってトレイ上で食事等をする際にはトレイの高さ位置を低く設定したりすることができる。これにより、トレイの使い勝手をよりよいものとすることができる。
【0010】
第2の発明の移動用車は、第1の発明において、前記トレイの下方に設けられ、物を収容可能な収容部を備え、前記第2調整手段は、前記収容部に対する前記トレイの高さ位置を調整可能となっている。
【0011】
第2の発明によれば、収容部に対するトレイの高さ位置を調整することができる。この場合、収容部に対するトレイの高さ位置を高くすることにより、収容部とトレイとの間隔を大きくすることができる。これにより、収容部とトレイとの間を通じて収容部に物を出し入れすることが可能となるため、収容部に物を出し入れする際に、トレイを取り外したり、収容部を引き出したりする必要がなく、収容部の使い勝手をよくすることができる。
【0012】
第3の発明の移動用車は、第1の発明において、前記第1調整手段は、前記フレーム部を上下方向に伸縮させることにより前記操作部の高さ位置を調整するものであり、前記第2調整手段は、前記各フレーム部に設けられ、前記フレーム部に沿って上下方向にスライド可能な一対の支持部と、前記各支持部に架け渡されて設けられ、前記トレイを支持するトレイフレームと、を有する。
【0013】
第3の発明によれば、フレーム部を上下方向に伸縮させることにより操作部の高さ位置を調整可能となっている。また、各フレーム部には、フレーム部に沿って上下方向にスライド可能な支持部が設けられ、それら各支持部には、トレイを支持するトレイフレームが架け渡されて設けられている。かかる構成では、各支持部をフレーム部に沿って上下にスライドさせることにより各支持部の高さ位置を調整することで、トレイフレームの高さ位置ひいてはトレイの高さ位置を調整することができる。これにより、トレイの高さ位置を比較的簡単に調整することができる。
【0014】
第4の発明の移動用車は、第3の発明において、前記トレイの下方に設けられ、物を収容可能な収容部と、前記収容部を支持する支持フレームと、を備え、前記支持フレームは、前記各支持部に架け渡されて設けられているか、又は前記トレイフレームと一体化されている。
【0015】
第4の発明によれば、収容部を支持する支持フレームが、各支持部に架け渡されて設けられているか、又はトレイフレームと一体化されている。この場合、各支持部の高さ位置を調整することにより、トレイの高さ位置と収容部の高さ位置とをまとめて調整することができる。これにより、トレイと収容部とを利用するユーザにとって都合のよい構成とすることができる。
【0016】
第5の発明の移動用車は、第4の発明において、前記支持フレームは、前記各支持部に架け渡されて設けられており、前記第2調整手段は、前記各支持部に対する前記トレイフレームの高さ位置を調整可能となっている。
【0017】
第5の発明によれば、トレイフレームに加え、支持フレームも各支持部に架け渡されて設けられている。また、これら各フレームのうち、トレイフレームについては各支持部に対する高さ位置を調整可能となっている。この場合、各支持部に対するトレイの高さ位置を調整可能であり、さらには収容部に対するトレイの高さ位置を調整可能である。このため、上記第2の発明の効果を具体的に得ることが可能となる。
【0018】
第6の発明の移動用車は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記移動用車は、歩行車であり、前記トレイは、前記各操作部の間、又は前記各フレーム部の間に配置されている。
【0019】
第6の発明によれば、トレイが各操作部の間、又は各フレーム部の間に配置されているため、歩行車の側方に障害物がある場合、トレイが障害物に干渉するよりも先に操作部やフレーム部が障害物に干渉することになる。そのため、トレイが障害物に干渉するのを抑制することができる。
【0020】
また、上記の構成では、トレイが各フレーム部よりも後方に延出した状態で配置されるため、歩行車を使用するユーザ、つまり歩行車の後方に立つユーザがトレイに物を載せたりトレイから物を取ったりするのをし易くできる。そのため、トレイの使い勝手をよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1の実施形態における歩行車を斜め後方から見た斜視図。
【
図4】歩行車を後方から見た図であり、(a)が歩行車の展開状態を示しており、(b)が歩行車の折り畳み状態を示している。
【
図5】操作部の高さ位置及びトレイの高さ位置を高く設定した状態において、歩行車を斜め後方から見た斜視図。
【
図6】フレーム体に支持された収容部及びトレイを斜め上方から見た斜視図。
【
図8】
図6において収容部を引き出した状態でかつトレイを持ち上げた状態で示す斜視図。
【
図9】フレーム体に支持された収容部及びトレイを斜め下方から見た斜視図。
【
図10】
図6のA枠内を拡大した状態で後方から見た図。
【
図11】収容部、トレイ及びフレーム体を歩行車から取り外した状態を示す斜視図。
【
図12】操作部の高さ位置を高く設定し、かつトレイの高さ位置を低く設定した状態において、歩行車を斜め後方から見た斜視図。
【
図13】第2の実施形態における歩行車の上部を斜め前方から見た斜視図。
【
図14】
図13において収容部、トレイ及びこれらを支持する各フレームを歩行車から取り外した状態を示す斜視図。
【
図15】(a)が支持フレームを示す斜視図であり、(b)がトレイフレームを示す斜視図である。
【
図16】
図13においてトレイ及びトレイフレームを歩行車から取り外した状態を示す斜視図。
【
図17】
図13においてトレイを歩行車から取り外した状態を示す斜視図。
【
図18】歩行車の上部を示す正面図であり、(a)が収容部に対するトレイの高さ位置が低くされた状態を示し、(b)が収容部に対するトレイの高さ位置が高くされた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施形態]
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の移動用車を、高齢者等の歩行を補助する歩行車として具体化しており、詳しくは屋内で用いられる屋内用の歩行車として具体化している。
図1は、歩行車10を斜め後方から見た斜視図である。
図2は、歩行車10を示す側面図であり、
図3は、歩行車10を示す平面図である。
図4は、歩行車10を後方から見た図であり、(a)が歩行車10の展開状態を示しており、(b)が歩行車10の折り畳み状態を示している。なお、以下の説明では、歩行車10を移動させる際の移動方向を前後方向とし、その前後方向に対して直交する方向を左右方向として説明を行う。
【0023】
図1~
図3に示すように、歩行車10は、上下方向に延びる左右一対のフレーム部11と、各フレーム部11の下端側に設けられた前輪12及び後輪13と、各フレーム部11を連結する連結部14とを備える。各フレーム部11は、アルミニウム等の軽金属により形成されている。各フレーム部11は、その下部に設けられ前後方向に延びる下側フレーム部15と、下側フレーム部15の中間部から上方に延びる縦フレーム部16とを有する。各下側フレーム部15の前端部に前輪12が取り付けられ、後端部に後輪13が取り付けられている。
【0024】
図4(a)及び(b)に示すように、各フレーム部11は、左右に離間する離間状態(
図1や
図4(a)の状態)と、左右に接近する接近状態(
図4(b)の状態)とに移行可能となっている。なお、
図4(a)及び(b)では、各フレーム部11を連結する連結部14周辺の部材を一部省略した状態で示している。
【0025】
連結部14は、各フレーム部11の縦フレーム部16の間に配置され、後方から見てX字状をなしている。連結部14は、上記X字状をなして交差する一対のリンク部14aと、各リンク部14aの交差部に設けられた軸部14bとを有している。軸部14bは、前後方向に延びている。各リンク部14aは、その軸部14bを介して回動可能に連結されている。連結部14は、各リンク部14aの回動により、左右に展開及び折り畳み変形可能となっており、換言すると左右方向の長さを変更可能となっている。
【0026】
各フレーム部11が離間状態とされると、連結部14が左右に展開される。このとき、歩行車10は展開状態(
図4(a)の状態)とされる。また、各フレーム部11が接近状態とされると、連結部14が左右に折り畳まれる。このとき、歩行車10は折り畳み状態(
図4(b)の状態)とされる。
【0027】
なお、本歩行車10では、各フレーム部11を連結する部材が連結部14のみとなっている。したがって、本歩行車10では、連結部14よりも前方に各フレーム部11を連結する部材が一切設けられておらず、また連結部14よりも後方にも各フレーム部11を連結する部材が一切設けられていない。
【0028】
図1~
図3に示すように、各フレーム部11の縦フレーム部16の上端部には操作部21が設けられている。操作部21は、縦フレーム部16の上端部に取り付けられた取付部22と、取付部22により支持されたハンドル23及びブレーキレバー24とを有している。ハンドル23は、ユーザが歩行車10を移動させる際に把持する部分である。ブレーキレバー24は、ブレーキ操作を行うためのものであり、ハンドル23の下方に配置されている。ハンドル23及びブレーキレバー24は、取付部22に対して後方に延びる向きで取り付けられている。なお、取付部22には、段差等で歩行車10を持ち上げる際に把持する持ち手25が形成されている。
【0029】
本歩行車10では、ユーザの身長等に応じて操作部21の高さ位置を調整することが可能となっている。そこで、以下では、操作部21の高さ位置調整に関する構成について
図5に基づき説明する。
図5は、操作部21の高さ位置を高く設定した状態において、歩行車10を斜め後方から見た斜視図である。
【0030】
図5に示すように、各フレーム部11の縦フレーム部16はそれぞれ、第1フレーム28と第2フレーム29とを有している。第1フレーム28及び第2フレーム29はいずれも上下方向に延びる筒状に形成されている。詳しくは、これら各フレーム28,29は四角筒状に形成され、左右方向の長さが前後方向の長さよりも短くなっている。
【0031】
第1フレーム28は、その下端部が下側フレーム部15の中間部に連結されている。第2フレーム29は、第1フレーム28の内側に上方から挿入されている。第2フレーム29の上端部には操作部21が取り付けられている。第2フレーム29は、第1フレーム28に挿入された状態で上下方向に変位可能となっている。そして、その第2フレーム29の変位により、操作部21の高さ位置を調整可能となっている。なお、この場合、第1フレーム28及び第2フレーム29を含んで、操作部21の高さ位置を調整する「第1調整手段」が構成されている。
【0032】
また、第2フレーム29が第1フレーム28に対して上下方向に変位することにより、縦フレーム部16(ひいてはフレーム部11)は上下方向に伸縮可能となっている。そのため、上記の「第1調整手段」は、縦フレーム部16を上下方向に伸縮させることにより、操作部21の高さ位置を調整するものとなっている。
【0033】
第2フレーム29は、操作部21の高さ位置が調整された状態で、第1フレーム28にハンドル付きの固定ねじ31を用いて固定される。第1フレーム28の上端部には、固定ねじ31を挿通可能な孔部(図示略)が設けられている。また、第2フレーム29には、固定ねじ31を挿通可能な孔部32が上下方向に所定の間隔で複数設けられている。固定ねじ31は、第1フレーム28の孔部と第2フレーム29の各孔部32のうちのいずれかとにそれぞれ挿通され、その挿通状態で固定ねじ31が締め込まれることにより第2フレーム29が第1フレーム28に固定されるようになっている。なお、固定ねじ31は、第1フレーム28の上端部に設けられたブラケット35に締め込み可能な状態で保持されている。
【0034】
図1~
図3に示すように、歩行車10には、物を収容可能な収容部41と、物を載置可能なトレイ42と、収容部41及びトレイ42を支持するフレーム体43とが設けられている。以下、これら収容部41、トレイ42及びフレーム体43の構成について
図6~
図10を用いながら説明する。
図6は、フレーム体43に支持された収容部41及びトレイ42を斜め上方から見た斜視図である。
図7は、フレーム体43を示す斜視図である。
図8は、
図6において収容部41を引き出した状態でかつトレイ42を持ち上げた状態で示す斜視図である。
図9は、フレーム体43に支持された収容部41及びトレイ42を斜め下方から見た斜視図である。
図10は、
図6のA枠内を拡大した状態で後方から見た図である。
【0035】
図6及び
図8に示すように、収容部41は、上方に開口された扁平の四角箱状に形成されている。収容部41は、例えば合成樹脂により形成されている。合成樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、特にポリエチレンやポリプロピレン等の汎用プラスチックが好ましい。収容部41は、矩形平板状の底板部41aと、底板部41aの周縁部から上方に立ち上がる周壁部41bとを有する。周壁部41bの後側の壁部には、その一部が下方に凹ませられることにより持ち手44が形成されている。また、収容部41は、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなっている。
【0036】
トレイ42は、矩形形状(長方形状)に形成され、収容部41の上方に配置されている。トレイ42は、矩形平板状の平板部42aと、平板部42aの周縁部から上方に立ち上がる縁部42bとを有している。トレイ42は、例えば合成樹脂により形成されている。合成樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、特にポリエチレンやポリプロピレン等の汎用プラスチックが好ましい。トレイ42の縁部42bは、上端側が外方に延出してフランジ部42cとなっている。また、トレイ42は、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなっている。トレイ42と収容部41とは平面視の大きさが略同じとなっており、詳しくは、トレイ42の大きさが収容部41の大きさよりも若干大きくなっている。
【0037】
フレーム体43は、
図6~
図10に示すように、収容部41を支持する支持フレーム45と、トレイ42を支持するトレイフレーム46とを有する。支持フレーム45は、フレーム本体47と、左右一対のレール部48とを有する。
【0038】
フレーム本体47は、金属製の棒材又はパイプ材により形成され、平面視にて四角環状をなしている。フレーム本体47は、左右方向に延びる前フレーム部47a及び後フレーム部47bと、それら各フレーム部47a,47bの端部同士を繋ぐ左右一対の側フレーム部47cとを有する。前フレーム部47a及び後フレーム部47bは同じ高さ位置に配置されている。
【0039】
各側フレーム部47cは、前後方向に延びている。各側フレーム部47cは、前フレーム部47a及び後フレーム部47bよりも上方に延びており、側面視にて上方に凸となる山形形状をなしている。詳しくは、各側フレーム部47cは、その頂部となる部分が前後方向に水平に延びる水平部49となっている。また、各水平部49には、下方に延びる向きで板状の垂下部53が固定されている。
【0040】
各レール部48は、前後方向に延びており、フレーム本体47の前フレーム部47a及び後フレーム部47bに架け渡されて設けられている。各レール部48はそれぞれ、前後方向に延びる2つのレール構成部51,52を有する。各レール構成部51,52はいずれも長尺の板金部材からなり、フレーム本体47の前フレーム部47a及び後フレーム部47bに溶接により固定されている。各レール構成部51,52のうち、レール構成部51は平板状に形成されている。一方、レール構成部52は段曲げされて横断面がZ形状とされている。これにより、レール構成部52の一部は、レール構成部51の上方に配置されて当該レール構成部51との間に側方に開放されたレール溝55(
図10参照)を形成している。
【0041】
各レール部48の上には、収容部41が載置された状態で設けられている。この場合、収容部41は、支持フレーム45の各側フレーム部47cの間に配置されている。また、収容部41は、トレイ42の下方から後方に引き出し可能に設けられている。以下、その引き出しに関する構成について説明する。
【0042】
収容部41の底面には、各レール部48に案内される左右一対のガイド部56が設けられている。
図9では、右側のレール構成部51を取り外した状態で示しており、それにより、右側のガイド部56を見易くしている。ガイド部56は、前後方向に延びる長尺状に形成されている。ガイド部56は、収容部41の底面に取り付けられた取付部56aと、取付部56aの下部から側方に延出する延出部56bとを有する。ガイド部56は、レール部48のレール構成部51上に載置され、その載置状態で延出部56bがレール部48のレール溝55に挿入されている。これにより、各ガイド部56はレール溝55に沿って前後方向に案内可能(スライド可能)とされ、ひいては収容部41が前後方向にスライド可能とされている。そして、そのスライドにより、収容部41が後方に引き出し可能となっている。また、収容部41を引き出す際には、持ち手44を持って引き出すことが可能となっている。
【0043】
レール構成部51には、下方から手締めのねじ部58がねじ込まれている。ねじ部58は、レール構成部51の後端側に配置されている。レール構成部51の上方に配置されたガイド部56には、ねじ部58が挿通される長孔59(
図9参照)が形成されている。長孔59は前後方向に延びており、その長孔59の後端部にねじ部58が入り込んでいる。かかる構成では、収容部41が後方に引き出されてガイド部56が後方に変位すると、ねじ部58が長孔59内において前方に変位する。この場合、ねじ部58が長孔59の前端部に当接するまで収容部41を後方に引き出すことが可能となる。つまり、ねじ部58は、収容部41を後方に引き出し過ぎないようにするためのストッパとして機能している。なお、ねじ部58を取り外せば、収容部41を後方に引き出しフレーム体43から取り外すことが可能となる。
【0044】
続いて、トレイ42を支持するトレイフレーム46について説明する。トレイフレーム46は、金属製の棒材又はパイプ材により形成され、平面視にて四角環状をなしている。トレイフレーム46は、支持フレーム45の各水平部49に溶接により固定されている。これにより、トレイフレーム46は、支持フレーム45と一体化されている。
【0045】
トレイフレーム46の上には、トレイ42が載置された状態で設けられている。トレイ42は、トレイフレーム46の内側を通じて配置され、そのフランジ部42cがトレイフレーム46の上に載置されている。これにより、トレイ42は、トレイフレーム46に取り外し可能な状態で設けられている。また、トレイ42は、収容部41の上方において収容部41の開口を覆うように配置されている。
【0046】
トレイフレーム46の前辺部及び後辺部にはそれぞれ下方に凹む凹み部61が形成されている。各凹み部61は、さらに前後方向の内側にも凹んでいる。凹み部61が形成されている箇所では、トレイ42のフランジ部42cが載置されていない。そのため、フランジ部42cひいてはトレイ42を持ち易くなっている。
【0047】
以上が、収容部41、トレイ42及びフレーム体43に関する説明である。続いて、歩行車10における収容部41、トレイ42及びフレーム体43の配置構成について、
図1及び
図2に基づき説明する。
【0048】
図1及び
図2に示すように、フレーム体43(詳しくは支持フレーム45)は、各フレーム部11の縦フレーム部16に架け渡されて設けられている。フレーム体43は、各縦フレーム部16の上端側に架け渡されている。この場合、フレーム体43により支持された収容部41は、各縦フレーム部16の上端側の間に配置されている。そのため、ユーザは収容部41を使用し易くなっている。また、詳しくは、収容部41は、その上端部が各縦フレーム部16の上端部と略同じ高さに位置している。
【0049】
収容部41は、各縦フレーム部16よりも後方に延出する延出長さL1が、各縦フレーム部16よりも前方に延出する延出長さL2よりも短くされている。例えば、後方の延出長さL1は、前方の延出長さL2の略半分とされている。
【0050】
トレイ42は、各操作部21の間に配置されている。この場合、ユーザはトレイ42を使用し易くなっている。また、詳しくは、トレイ42は、その上端部が各操作部21の上端部よりも下方に位置するように配置されている。トレイ42は、各縦フレーム部16よりも後方に延出する延出長さL3が、各縦フレーム部16よりも前方に延出する延出長さL4よりも短くされている。例えば、後方の延出長さL3は、前方の延出長さL4の略半分とされている。
【0051】
トレイ42は、各縦フレーム部16を連結する連結部14よりも上方に配置されている。この場合、連結部14は、トレイ42を支持するフレーム体43よりも下方に配置されている。トレイ42は、その後端部が連結部14よりも後方に位置している。また、トレイ42の後端部は、操作部21のハンドル23及びブレーキレバー24の各後端部よりも前方に位置している。
【0052】
フレーム体43は、各縦フレーム部16に着脱可能に取り付けられている。以下、その着脱に関する構成について
図11に基づき説明する。
図11は、収容部41、トレイ42及びフレーム体43を歩行車10から取り外した状態を示す斜視図である。
【0053】
図11に示すように、各縦フレーム部16には、フレーム体43を支持する支持部63が設けられている。各支持部63は、縦フレーム部16が挿通される挿通孔64を有している。各支持部63は、その挿通孔64に縦フレーム部16を挿通した状態で縦フレーム部16に取り付けられている。
【0054】
各支持部63は、縦フレーム部16よりも左右方向の内側に張り出した張出部63aを有している。各支持部63の張出部63aには、フレーム体43の垂下部53が挿し込まれる挿込孔65が形成されている。挿込孔65は、上方に開口された孔部となっている。各支持部63の挿込孔65にはそれぞれ上方からフレーム体43の垂下部53が挿し込まれている(
図12参照)。これにより、フレーム体43が各支持部63に架け渡されており、ひいては各支持部63を介して各縦フレーム部16に架け渡されている。
【0055】
各支持部63には、挿込孔65に挿し込まれた垂下部53を固定する固定ねじ67が設けられている。固定ねじ67は、つまみねじからなる。この固定ねじ67により各垂下部53が固定されることで、フレーム体43が各支持部63に固定される。また、固定ねじ67を緩めることにより各垂下部53の固定が解除されると、各垂下部53を挿込孔65から抜いてフレーム体43を各支持部63から取り外すことが可能となる。これにより、フレーム体43は、各支持部63に対して着脱可能に取り付けられており、ひいては各支持部63を介して各縦フレーム部16に着脱可能に取り付けられている。
【0056】
上記の構成によれば、フレーム体43を各縦フレーム部16から取り外すことにより、フレーム体43に支持された収容部41及びトレイ42についても取り外すことが可能となる。本歩行車10では、各フレーム部11を左右に接近させて歩行車10を折り畳む際に(
図4(b)参照)、フレーム体43を各縦フレーム部16から取り外してから歩行車10を折り畳むようになっている。
【0057】
本歩行車10では、各縦フレーム部16に架け渡されるフレーム体43の高さ位置を調整可能となっている。そして、フレーム体43の高さ位置を調整することにより、収容部41及びトレイ42の高さ位置を調整することが可能となっている。そこで、以下では、その高さ位置調整に関する構成について、
図5に基づき説明する。
【0058】
各支持部63は、上述したように、挿通孔64に縦フレーム部16を挿通した状態で縦フレーム部16に取り付けられている。この場合、各支持部63は、
図5に示すように、挿通孔64に縦フレーム部16の第2フレーム29を挿通した状態で当該第2フレーム29に取り付けられている(
図12も参照)。各支持部63は、かかる挿通状態で第2フレーム29に沿って上下方向にスライド移動が可能となっている。そして、各支持部63は、かかるスライド移動により高さ位置を調整することが可能となっている。
【0059】
各支持部63には、支持部63を第2フレーム29に固定する固定ねじ68が設けられている。固定ねじ68は、つまみねじからなる。各支持部63には、固定ねじ68を挿通可能な孔部(図示略)が設けられている。固定ねじ68は、支持部63の孔部と、第2フレーム29の各孔部32のうちいずれかとにそれぞれ挿通され、その挿通状態で締め込まれる。これにより、支持部63が、高さ位置調整された状態で第2フレーム29に固定されるようになっている。
【0060】
上記のように、各支持部63の高さ位置を調整することにより、各支持部63に架け渡されるフレーム体43の高さ位置を調整することが可能となっている。そして、フレーム体43の高さ位置調整により、収容部41及びトレイ42の高さ位置を調整することが可能となっている。なお、この場合、各支持部63やフレーム体43を含んで、トレイ42の高さ位置を調整する「第2調整手段」が構成されている。
【0061】
図5の例では、上述したように、操作部21の高さ位置が
図1の例と比べて高く設定されている。また、
図5の例では、収容部41及びトレイ42の高さ位置が
図1の例よりも高く設定されており、それにより、
図1の例と同様、収容部41が各縦フレーム部16の上端側の間に位置し、トレイ42が各操作部21の間に位置している。これにより、
図5の例においても、ユーザは収容部41及びトレイ42を使用し易くなっている。
【0062】
ここで、本歩行車10では、
図3に示すように、ユーザUが椅子Iに座ってトレイ42の上で食事や作業等をすることが可能となっている。本歩行車10では、ユーザUがトレイ42の後方(換言すると歩行車10の後方)に座って食事等をすることが可能となっている。ユーザUが、このようにトレイ42の後方に座ってトレイ42を使用する際には、
図1や
図12に示すように、トレイ42の高さ位置を低い位置に設定する。また、本歩行車10では、上述したように、トレイ42の後端部が連結部14よりも後方に位置しているため(
図1や
図2参照)、トレイ42の後方に座るユーザUの足が連結部14に干渉しにくくなっている。そのため、トレイ42の後方に座り易くなっている。
【0063】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0064】
トレイ42が各操作部21の間に配置されているため、歩行車10の側方に障害物がある場合、トレイ42が障害物に干渉するよりも先に操作部21やフレーム部11が障害物に干渉することになる。そのため、トレイ42が障害物に干渉するのを抑制することができる。
【0065】
また、上記の構成では、トレイ42が各フレーム部11よりも後方に延出した状態で配置されるため、歩行車10を使用するユーザ、つまり歩行車10の後方に立つユーザがトレイ42に物を載せたりトレイ42から物を取ったりするのをし易くできる。そのため、トレイ42の使い勝手をよくすることができる。
【0066】
また、トレイ42が各操作部21の間に配置されている構成では、ユーザがトレイ42に物を載せたり取ったりする際に屈まなくて済む。そのため、トレイ42の使い勝手をよりよいものとすることができる。
【0067】
トレイ42は、各フレーム部11よりも後方に延出する延出長さL3が、各フレーム部11よりも前方に延出する延出長さL4より短くなるように配置されている。これにより、トレイ42が歩行車10を使用するユーザの邪魔になるのを抑制することができる。また、トレイ42は、前方への延出長さL4が後方への延出長さL3よりも長くなっているため、トレイ42の広さ(大きさ)を確保しながら、上記の効果を得ることができる。
【0068】
トレイ42の前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなっているため、ユーザが歩行車10の後方(換言するとトレイ42の後方)に座ってトレイ42上で食事等をする際、し易くすることができる。
【0069】
操作部21の高さ位置を調整する手段(第1調整手段)とは別にトレイ42の高さ位置を調整する手段(第2調整手段)を設けた。この場合、ユーザが歩行車10を用いて歩行する際にはトレイ42の高さ位置を高く設定したり(
図5参照)、ユーザが椅子に座ってトレイ42上で食事等をする際にはトレイ42の高さ位置を低く設定したりすることができる(
図12参照)。これにより、トレイ42の使い勝手をよりよいものとすることができる。
【0070】
フレーム部11(具体的には、縦フレーム部16)を上下方向に伸縮させることにより操作部21の高さ位置を調整可能となっている。また、各フレーム部11(具体的には、縦フレーム部16)には、フレーム部11に沿って上下方向にスライド可能な支持部63が設けられ、それら各支持部63には、トレイ42を支持するフレーム体43(具体的にはトレイフレーム46)が架け渡されて設けられている。かかる構成では、各支持部63をフレーム部11に沿って上下にスライドさせることにより各支持部63の高さ位置を調整することで、トレイフレーム46の高さ位置ひいてはトレイ42の高さ位置を調整することができる。これにより、トレイ42の高さ位置を比較的簡単に調整することができる。
【0071】
収容部41を支持する支持フレーム45がトレイフレーム46と一体化されている。この場合、各支持部63の高さ位置を調整することにより、トレイ42の高さ位置と収容部41の高さ位置とをまとめて調整することができる。これにより、トレイ42と収容部41とを利用するユーザにとって都合のよい構成とすることができる。
【0072】
トレイ42を歩行車10に取り外し可能(着脱可能)に設けたため、トレイ42に物を置いた状態でトレイ42を歩行車10から取り外して机の上等に移動させることが可能となる。また、物を置いた状態のトレイ42を机の上等から歩行車10(具体的にはトレイフレーム46)に移動させ載せることができる。また、トレイ42を歩行車10から取り外すことにより、歩行車10を安定した状態で折り畳むことが可能となる。また、トレイ42を清掃する際にトレイ42を取り外して清掃できるため便利である。
【0073】
[第2の実施形態]
本実施形態では、歩行車が、収容部41に対するトレイ42の高さ位置を調整可能な機能を有している。以下、かかる本実施形態の歩行車について
図13~
図15に基づき説明する。
図13は、本実施形態における歩行車70の上部を斜め前方から見た斜視図である。
図14は、
図13において収容部41、トレイ42及びこれらを支持する各フレーム71,72を歩行車70から取り外した状態を示す斜視図である。
図15は、(a)が支持フレーム71を示す斜視図であり、(b)がトレイフレーム72を示す斜視図である。なお、以下の説明では、上記第1の実施形態と共通する構成については、第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を割愛する。
【0074】
図13及び
図14に示すように、本実施形態の歩行車70は、上記第1の実施形態と同様、収容部41とトレイ42とを備える。また、歩行車70は、収容部41を支持する支持フレーム71と、トレイ42を支持するトレイフレーム72とを備える。第1の実施形態では、支持フレーム45とトレイフレーム46とが一体化されていたが、本実施形態では、支持フレーム71とトレイフレーム72とが別体として(独立して)設けられている。
【0075】
図15(a)に示すように、支持フレーム71は、第1の実施形態の支持フレーム45と同様の構成を有している。すなわち、支持フレーム71は、フレーム本体73と、フレーム本体73に設けられた左右一対のレール部74とを有する。フレーム本体73は、第1の実施形態のフレーム本体47と同じ構成からなり、レール部74は第1の実施形態のレール部48と同じ構成からなる。また、フレーム本体73には、第1の実施形態と同様、下方に延びる左右一対の板状の垂下部75が固定されている。
【0076】
図15(b)に示すように、トレイフレーム72は、第1の実施形態のトレイフレーム46と同じ構成を有している。トレイフレーム72は、前後方向に延びる左右一対の側フレーム部72aを有している。それら各側フレーム部72aには、側フレーム部72aから下方に延びる板状の垂下部76が固定されている。垂下部76は、上下方向に延びる長方形板状(換言すると帯板状)に形成され、上下方向の長さが支持フレーム71の垂下部75よりも十分に長くなっている。また、トレイフレーム72は、支持フレーム71の内側に配置されている。
【0077】
図13に示すように、支持フレーム71とトレイフレーム72とはいずれも各フレーム部11の縦フレーム部16に架け渡されて設けられている(
図18(a)も参照)。以下、この点に関する構成について、
図14に加え、
図16及び
図17に基づき説明する。
図16は、
図13においてトレイ42及びトレイフレーム72を歩行車70から取り外した状態を示す斜視図である。
図17は、
図13においてトレイ42を歩行車70から取り外した状態を示す斜視図である。
【0078】
図14に示すように、各縦フレーム部16には、支持フレーム71とトレイフレーム72とを支持する支持部78が設けられている。各支持部78は、縦フレーム部16が挿通される挿通孔79を有している。各支持部78は、その挿通孔79に縦フレーム部16を挿通した状態で縦フレーム部16に取り付けられている。
【0079】
縦フレーム部16に対する支持部78の取付構成は、第1の実施形態における縦フレーム部16に対する支持部63の取付構成と同様である。すなわち、各支持部78は、挿通孔79に縦フレーム部16の第2フレーム29を挿通した状態で当該第2フレーム29に固定ねじ81(つまみねじ)を用いて取り付けられている。各支持部78は、第2フレーム29に沿って上下方向にスライド可能とされ、そのスライド移動により高さ位置を調整可能となっている。そして、支持部78が高さ位置調整された状態で、固定ねじ81が支持部78の孔部(図示略)と第2フレーム29の(いずれかの)孔部32とにそれぞれ挿通されて締め込まれることにより支持部78が第2フレーム29に固定されるようになっている。
【0080】
各支持部78は、縦フレーム部16よりも左右方向の内側に張り出した張出部78aを有している。各支持部78の張出部78aには、支持フレーム71の垂下部75を挿し込み可能な第1挿込孔83と、トレイフレーム72の垂下部76を挿し込み可能な第2挿込孔84とが形成されている。第1挿込孔83と第2挿込孔84とは左右方向に並んで配置されている。第1挿込孔83が左右方向の外側、第2挿込孔84が左右方向の内側に位置している。また、第1挿込孔83は上方にのみ開口された有底の孔部となっており、第2挿込孔84は上方及び下方に開口された貫通孔となっている。
【0081】
図16に示すように、各支持部78の第1挿込孔83にはそれぞれ上方から支持フレーム71の垂下部75が挿し込まれている。各垂下部75は、かかる挿し込み状態で支持部78に固定されている。これにより、支持フレーム71が各支持部78に架け渡されており、ひいては各支持部78を介して各縦フレーム部16に架け渡されている。
【0082】
なお、各垂下部75は、必ずしも支持部78に対して固定する必要はなく、支持部78に対して非固定としてもよい。その場合、各垂下部75を第1挿込孔83から抜いて支持フレーム71を各支持部78から取り外すことが可能となる。
【0083】
図17に示すように、各支持部78の第2挿込孔84にはそれぞれ上方からトレイフレーム72の垂下部76が挿し込まれている。これにより、トレイフレーム72が各支持部78に架け渡されており、ひいては各支持部78を介して各縦フレーム部16に架け渡されている。
【0084】
各垂下部76は、固定ねじ86を用いて支持部78に固定されている。固定ねじ86は、つまみねじからなる。この固定ねじ86により各垂下部76が固定されることで、トレイフレーム72が各支持部78に固定される。また、固定ねじ86を緩めることにより各垂下部76の固定が解除されると、各垂下部76を第2挿込孔84から抜いて各支持部78から取り外すことが可能となる。これにより、トレイフレーム72は、各支持部78に対して着脱可能に取り付けられており、ひいては各支持部78を介して各縦フレーム部16に着脱可能に取り付けられている。
【0085】
上記の構成によれば、各支持部78の高さ位置を調整することにより、各支持部78に架け渡される支持フレーム71及びトレイフレーム72の高さ位置を調整することが可能となっている。このため、これら各フレーム71,72の高さ位置調整により、第1の実施形態と同様、収容部41及びトレイ42の高さ位置を調整することが可能となっている。なお、この場合、各支持部78及びトレイフレーム72を含んで、トレイ42の高さ位置を調整可能な「第2調整手段」が構成されている。
【0086】
ここで、本実施形態の歩行車70は、さらに、収容部41に対するトレイ42の高さ位置を調整することが可能となっている。換言すると、本歩行車70では、上記の「第2調整手段」が、さらに収容部41に対するトレイ42の高さ位置を調整可能となっている。そこで、以下においては、その点について
図18に基づき説明する。
図18は、歩行車70の上部を示す正面図であり、(a)が収容部41に対するトレイ42の高さ位置が低くされた状態を示し、(b)が収容部41に対するトレイ42の高さ位置が高くされた状態を示している。
【0087】
図18(a)及び(b)に示すように、各垂下部76は、支持部78の第2挿込孔84に挿通された状態で支持部78に対して上下方向にスライド可能(変位可能)となっている。そして、かかる各垂下部76のスライドにより、各支持部78に対するトレイフレーム72の高さ位置を調整可能となっており、ひいては各支持部78に対するトレイ42の高さ位置を調整可能となっている。また、各支持部78には、収容部41を支持する支持フレーム71が架け渡されているため、この場合、支持フレーム71に対するトレイ42の高さ位置を調整可能となっており、ひいては収容部41に対するトレイ42の高さ位置を調整可能となっている。
【0088】
収容部41に対するトレイ42の高さ位置の調整は、固定ねじ86を緩めた状態で行う。そして、収容部41に対するトレイ42の高さ位置が調整された後、固定ねじ86を締め付けトレイフレーム72を各支持部78に固定する。
図18(a)に示すように、収容部41に対するトレイ42の高さ位置が低くされた場合には、収容部41とトレイ42とが上下に近接した状態で配置される。一方、
図18(b)に示すように、収容部41に対するトレイ42の高さ位置が高くされた場合には、収容部41とトレイ42との間の間隔が大きくなる。
図18(b)の例では、収容部41とトレイ42との間隔が収容部41の上下方向の寸法と同じか又はそれよりも大きくなっている。この場合、収容部41とトレイ42との間を通じて収容部41に物を出し入れすることが可能となる。
【0089】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0090】
上記第1の実施形態と同様、操作部21の高さ位置を調整する手段(第1調整手段)とは別にトレイ42の高さ位置を調整する手段(第2調整手段)を設けたため、ユーザが歩行車10を用いて歩行する際にはトレイ42の高さ位置を高く設定したり、ユーザが椅子に座ってトレイ42上で食事等をする際にはトレイ42の高さ位置を低く設定したりする等、トレイ42の使い勝手をよりよいものとすることができる。
【0091】
フレーム部11(具体的には、縦フレーム部16)を上下方向に伸縮させることにより操作部21の高さ位置を調整可能となっている。また、各フレーム部11(具体的には、縦フレーム部16)には、フレーム部11に沿って上下方向にスライド可能な支持部78が設けられ、それら各支持部78には、トレイ42を支持するトレイフレーム72が架け渡されて設けられている。かかる構成では、各支持部78をフレーム部11に沿って上下にスライドさせることにより各支持部78の高さ位置を調整することで、トレイフレーム72の高さ位置ひいてはトレイ42の高さ位置を調整することができる。これにより、トレイ42の高さ位置を比較的簡単に調整することができる。
【0092】
収容部41を支持する支持フレーム71が、各支持部78に架け渡されて設けられている。この場合、各支持部78の高さ位置を調整することにより、トレイ42の高さ位置と収容部41の高さ位置とをまとめて調整することができる。これにより、トレイ42と収容部41とを利用するユーザにとって都合のよい構成とすることができる。
【0093】
各支持部78に対するトレイフレーム72の高さ位置を調整可能となっている。この場合、各支持部78に対するトレイ42の高さ位置を調整可能であり、さらには収容部41に対するトレイ42の高さ位置を調整可能である。このため、収容部41に対するトレイ42の高さ位置を高くすることにより、収容部41とトレイ42との間隔を大きくすることができる。これにより、収容部41とトレイ42との間を通じて収容部41に物を出し入れすることが可能となるため、収容部41に物を出し入れする際に、トレイ42を取り外したり、収容部41を引き出したりする必要がなく、収容部41の使い勝手をよくすることができる。
【0094】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0095】
・上記実施形態では、トレイ42を各操作部21の間に配置したが、これを変更して、トレイ42を各フレーム部11の上端側の間に配置してもよい。この場合にも、ユーザがトレイ42に物を載せたり取ったりする際に屈まなくて済むため、トレイ42の使い勝手をよりよいものとすることができる。また、トレイ42を各フレーム部11の間においてフレーム上端側より下方に配置してもよい。
【0096】
なお、トレイ42は必ずしも各操作部21の間や各フレーム部11の間に配置する必要はない。例えば、トレイ42を、その後端部が各フレーム部11の縦フレーム部16よりも前方に位置するように配置してもよい。
【0097】
・上記実施形態では、トレイ42の高さ位置を調整する第2調整手段を設けたが、第2調整手段を設けないようにしてもよい。この場合、例えばトレイ42の高さ位置を低い位置(
図1や
図12に示す位置)に設定することで、ユーザが座った状態でもトレイ42を使用可能とすることが考えられる。
【0098】
・上記実施形態では、トレイ42が各フレーム部11よりも後方に延出する延出長さL3を、トレイ42が各フレーム部11よりも前方に延出する延出長さL4より短くしたが、これを変更して、後方への延出長さL3を前方への延出長さL4と同じ長さとしたり、後方への延出長さL3を前方への延出長さL4より長くしたりしてもよい。
【0099】
・上記実施形態では、ユーザがトレイ42の後方に座ってトレイ42を使用できるようにしたが、これを変更して、ユーザがトレイ42の前方に座ってトレイ42を使用できるようにしてもよい。
【0100】
・歩行車としては、左右一対のフレーム部の上端部にハンドルフレームが架け渡されて設けられているものがある。かかる歩行車においても、各フレーム部の間にトレイを配置することで、トレイに障害物が干渉するのを抑制しながら、トレイの使い勝手をよくすることができる。
【0101】
・上記各実施形態では、本発明の移動用車を歩行車10,70として具体化したが、本発明を歩行車10,70以外の移動用車に適用してもよい。例えば、シルバーカーや、テーブルが設けられた運搬用台車、宿泊用台車、商業用台車、福祉用台車、医療用台車等に本発明を適用してもよい。また、買い物時に利用する買い物カートや、箱形形状とされたキャスタ付きのキャビネット状家具に本発明を適用してもよい。
【0102】
(本明細書の開示範囲から抽出される他の発明について)
以下に、本明細書の開示範囲内において課題を解決するための手段欄に記載した発明以外に抽出可能な発明について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
【0103】
(A-1)上下方向に延びる左右一対のフレーム部と、
取り外し可能に設けられたトレイと、を備える歩行車であって、
前記トレイは、前記各フレーム部の上端部に設けられハンドル及びブレーキレバーを有してなる左右一対の操作部の間、又は前記各フレーム部の間に配置されている、歩行車。
【0104】
上記の構成によれば、トレイが各操作部の間、又は各フレーム部の間に配置されているため、歩行車の側方に障害物がある場合、トレイが障害物に干渉するよりも先に操作部やフレーム部が障害物に干渉することになる。そのため、トレイが障害物に干渉するのを抑制することができる。
【0105】
また、上記の構成では、トレイが各フレーム部よりも後方に延出した状態で配置されるため、歩行車を使用するユーザ、つまり歩行車の後方に立つユーザがトレイに物を載せたりトレイから物を取ったりするのをし易くできる。そのため、トレイの使い勝手をよくすることができる。
【0106】
(A-2)前記トレイは、前記各操作部の間、又は前記各フレーム部の上端側の間に配置されている、(A-1)に記載の歩行車。
【0107】
上記の構成によれば、トレイが各操作部の間、又は各フレーム部の上端側の間に配置されているため、ユーザがトレイに物を載せたり取ったりする際に屈まなくて済む。そのため、トレイの使い勝手をよりよいものとすることができる。
【0108】
(A-3)前記トレイは、前記各フレーム部よりも後方に延出する延出長さが、前記各フレーム部よりも前方に延出する延出長さより短くなるように配置されている、(A-1)又は(A-2)に記載の歩行車。
【0109】
上記の構成によれば、トレイは、各フレーム部よりも後方に延出する延出長さが短くなるように配置されている。これにより、トレイが歩行車を使用するユーザの邪魔になるのを抑制することができる。また、トレイは、各フレーム部よりも後方に延出する延出長さが長くなっているため、トレイの広さ(大きさ)を確保しつつ上記の効果を得ることができる。
【0110】
(A-4)前記トレイは、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなっている、(A-1)乃至(A-3)のいずれか一に記載の歩行車。
【0111】
トレイ付きの歩行車では、ユーザが椅子に座ってトレイの上で食事や作業等(以下、食事等という)をする場合が想定される。この場合、トレイが各操作部の間、又は各フレーム部の間に配置されている上記(A-1)の構成では、ユーザが歩行車の前方又は後方に座って食事等をすることが考えられる。その点、(A-4)の構成では、トレイの前後方向の長さが左右方向の長さよりも長くなっているため、トレイ上で食事等をし易くすることができる。
【符号の説明】
【0112】
10…移動用車としての歩行車、11…フレーム部、21…操作部、23…ハンドル、24…ブレーキレバー、41…収容部、42…トレイ、43…フレーム体、45…支持フレーム、46…トレイフレーム、63…支持部、70…移動用車としての歩行車、71…支持フレーム、72…トレイフレーム、78…支持部。