(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021446
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】音響スクランブルを介した空間インパルス応答の決定
(51)【国際特許分類】
G10K 15/00 20060101AFI20250205BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
G10K15/00 L
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024119326
(22)【出願日】2024-07-25
(31)【優先権主張番号】18/362,384
(32)【優先日】2023-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】592051453
【氏名又は名称】ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アンシュマン ガングリー
(72)【発明者】
【氏名】カダガター ゴピナータ スリニディ
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AA31
5D220AB01
(57)【要約】
【課題】音響スクランブルを介した空間インパルス応答の決定の提供。
【解決手段】開示される実施形態は、音響スクランブルを介して空間インパルス応答を決定するための技術を含む。これらの技術は、周波数掃引信号を生成するためのコンピュータ実施方法を含み、方法は、単調増加する周波数を有する周波数掃引信号を生成することと、周波数掃引信号をN個の入力セグメントに分割することであって、N個の入力セグメントのそれぞれが、異なる周波数範囲を表す、分割することと、N個の不連続数のシーケンスを有する符号化キーを生成することであって、シーケンス内の各数が1回出現する、生成することと、符号化キーのN個の不連続数のシーケンスに基づいて、N個の入力セグメントのそれぞれを順番に選択することによって出力信号を生成することと、出力信号に基づいて、スピーカーにオーディオ空間でオーディオトーンを生成させることと、を含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間インパルス応答を測定するための信号を生成するコンピュータ実施方法であって、
単調増加する周波数を有する周波数掃引信号を生成することと、
前記周波数掃引信号をN個の入力セグメントに分割することであって、前記N個の入力セグメントのそれぞれが、異なる周波数範囲を表す、前記分割することと、
N個の不連続数のシーケンスを有する符号化キーを生成することであって、前記シーケンス内の各数が1回出現する、前記生成することと、
前記符号化キーの前記N個の不連続数のシーケンスに基づいて、前記N個の入力セグメントのそれぞれを順番に選択することによって出力信号を生成することと、
前記出力信号に基づいて、スピーカーにオーディオ空間でオーディオトーンを生成させることと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記N個の入力セグメントの各入力セグメントが、前記N個の入力セグメントのうちの前記入力セグメントのそれぞれの第1の位置に関連付けられ、前記出力信号を生成することが、
前記N個の入力セグメントの再配置されたシーケンスを生成することであって、各入力セグメントが、前記再配置されたシーケンス内のそれぞれの第2の位置を有し、前記それぞれの第2の位置が、前記N個の不連続数のシーケンス内の前記それぞれの第1の位置に対応する数のそれぞれの位置に基づく、前記生成することを含み、
前記出力信号が、前記再配置されたシーケンスに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出力信号が、前記N個の入力セグメントのうちの第1の入力セグメントに対応する第1の出力信号セグメントと、前記第1の出力信号セグメントに隣接する前記N個の入力セグメントのうちの第2の入力セグメントに対応する第2の出力信号セグメントとの間の境界において周波数に不連続性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記出力信号が、前記出力信号の前のセグメントの周波数範囲よりも低い周波数範囲を有する少なくとも1つのセグメントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
Nが、前記周波数掃引信号の長さ及び各入力セグメントの所定の長さに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記出力信号を生成することが、前記出力信号において、隣接する入力セグメントの各ペア間に所与の長さのサイレンス期間を含むことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記出力信号を生成することが、
前記N個の入力セグメントの各セグメントにおいて、前記セグメントの開始フェードイン部分を、期間にわたって増加する振幅を有するフェードイン部分に変換すること、または
前記N個の入力セグメントの各セグメントにおいて、前記セグメントの終端で終了する前記セグメントの部分を、期間にわたって減少する振幅を有するフェードアウト部分に変換すること、
の1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
マイクロフォンを使用して、前記オーディオ空間で発生する音波に基づいて音響データをキャプチャすることと、
前記音響データに基づいて入力信号を生成することと、
前記入力信号をN個の受信セグメントに分割することであって、前記N個の受信セグメントのそれぞれが、異なる周波数範囲を表す、前記分割することと、
前記符号化キーの前記N個の不連続数のシーケンスに基づいて、前記N個の受信セグメントの各受信セグメントを順番に選択することによって復号信号を生成することであって、前記復号信号が、単調増加する周波数を有する、前記生成することと、
前記復号信号に基づいて空間インパルス応答を決定することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記受信セグメントの前記周波数範囲に基づく周波数範囲を有するバンドパスフィルタを用いて、各受信セグメントをフィルタリングすることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記N個の受信セグメントの各受信セグメントのフェードイン部分及びフェードアウト部分を除去することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
プログラム命令を記憶する1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記プログラム命令が、1つまたは複数のプロセッサにより実行されると、前記1つまたは複数のプロセッサに、
単調増加する周波数を有する周波数掃引信号を生成するステップと、
前記周波数掃引信号をN個の入力セグメントに分割するステップであって、前記N個の入力セグメントのそれぞれが、異なる周波数範囲を表す、前記分割するステップと、
N個の不連続数のシーケンスを有する符号化キーを生成するステップであって、前記シーケンス内の各数が1回出現する、前記生成するステップと、
前記符号化キーの前記N個の不連続数のシーケンスに基づいて、前記N個の入力セグメントのそれぞれを順番に選択することによって出力信号を生成するステップと、
前記出力信号に基づいて、スピーカーにオーディオ空間でオーディオトーンを生成させるステップと、
を実行させる、前記1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記N個の入力セグメントの各入力セグメントが、前記N個の入力セグメントのうちの前記入力セグメントのそれぞれの第1の位置に関連付けられ、前記出力信号を生成するステップが、
前記N個の入力セグメントの再配置されたシーケンスを生成することであって、各入力セグメントが、前記再配置されたシーケンス内のそれぞれの第2の位置を有し、前記それぞれの第2の位置が、前記N個の不連続数のシーケンス内の前記それぞれの第1の位置に対応する数のそれぞれの位置に基づく、前記生成することを含み、
前記出力信号が、前記再配置されたシーケンスに基づく、請求項11に記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記出力信号が、前記N個の入力セグメントのうちの第1の入力セグメントに対応する第1の出力信号セグメントと、前記第1の出力信号セグメントに隣接する前記N個の入力セグメントのうちの第2の入力セグメントに対応する第2の出力信号セグメントとの間の境界において周波数に不連続性を有する、請求項11に記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記符号化キーが、少なくとも1つのランダム値にさらに基づく、請求項11に記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記符号化キー及び1つまたは複数の入力セグメント長を1つまたは複数の受信機デバイスに送信するステップをさらに含み、各入力セグメント長が、前記N個の入力セグメントのうちの入力セグメントの長さを示す、請求項11に記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
システムであって、
命令を記憶する1つまたは複数のメモリと、
前記1つまたは複数のメモリに結合された1つまたは複数のプロセッサであって、前記命令を実行すると、
単調増加する周波数を有する周波数掃引信号を生成し、
前記周波数掃引信号をN個の入力セグメントに分割し、前記N個の入力セグメントのそれぞれが、異なる周波数範囲を表し、
N個の不連続数のシーケンスを有する符号化キーを生成し、前記シーケンス内の各数が1回出現し、
前記符号化キーの前記N個の不連続数のシーケンスに基づいて、前記N個の入力セグメントのそれぞれを順番に選択することによって出力信号を生成し、
前記出力信号に基づいて、スピーカーにオーディオ空間でオーディオトーンを生成させる、前記1つまたは複数のプロセッサと、
を備える、前記システム。
【請求項17】
前記N個の入力セグメントの各入力セグメントが、前記N個の入力セグメントのうちの前記入力セグメントのそれぞれの第1の位置に関連付けられ、前記出力信号を生成することが、
前記N個の入力セグメントの再配置されたシーケンスを生成することであって、各入力セグメントが、前記再配置されたシーケンス内のそれぞれの第2の位置を有し、前記それぞれの第2の位置が、前記N個の不連続数のシーケンス内の前記それぞれの第1の位置に対応する数のそれぞれの位置に基づく、前記生成することを含み、
前記出力信号が、前記再配置されたシーケンスに基づく、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記出力信号が、前記N個の入力セグメントのうちの第1の入力セグメントに対応する第1の出力信号セグメントと、前記第1の出力信号セグメントに隣接する前記N個の入力セグメントのうちの第2の入力セグメントに対応する第2の出力信号セグメントとの間の境界において周波数に不連続性を有する、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記出力信号が、前記出力信号の前のセグメントの周波数範囲よりも低い周波数範囲を有する少なくとも1つのセグメントを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
Nが、前記周波数掃引信号の長さ及び各入力セグメントの所定の長さに基づく、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態の分野
本開示の実施形態は、一般に、オーディオ処理システムに関し、より詳細には、音響スクランブルを使用して空間インパルス応答を決定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
オーディオシステムは、それらのオーディオシステムのリスナーが体験するオーディオ品質及び臨場感を向上させるために様々な技術を用いることが多い。このような技術の1つは、部屋、コンサートホール、車室などの特定の音響空間によって音波がどのように影響を受けるかを測定することを含む。このような技術は、音響空間内の表面からの音波の反射の結果として、ソース位置からの音波がどのように歪んでいるかを特徴付ける室内インパルス応答(RIR)を計算することを含む。RIRは、所与の音響空間内の音源と受信機との間の時間領域の音響関係であり、マイクロフォンが経時的に受信する音波の強度を示す。オーディオシステムは、RIRを使用して、スピーカーの適切な位置を決定することや、エコーまたはオーディオ品質を低下させる他の音をキャンセルすることなどによって、オーディオ品質を向上させる。
【0003】
オーディオシステムは、システム較正段階の間に音響空間のRIRを測定することができる。音響空間のRIRは、例えば、スピーカーを使用して正弦波掃引または他の周波数掃引などの刺激音を生成すること、ならびにマイクロフォンを使用して、音響空間を通って伝送及び反射された結果として生じる音波をキャプチャすることによって測定される。正弦波掃引は、指数正弦波掃引(ESS)であってもよく、ESSでは、生成された音波の振幅が、正弦波に従って変化して、ある期間にわたって周波数が次第に増加する。正弦波掃引で生成される周波数は、20Hzなどの低周波数から20kHzなどの高周波数まで変化し得る。この例示の範囲は、人間が聴くことができる周波数の範囲に対応する。音波は多くの方向に進み、各音波は、音響空間内の壁、家具、人、及び他の物体などの1つまたは複数の表面に衝突する。より典型的には、特定の方向に進む音波が物体に衝突すると、音波のある部分が吸収され、一方で音波のある部分が反射される。音波の反射部分は、音響空間を元の音波の方向とは異なる方向へ進む。反射部分は、別の物体に衝突することがあり、再び、音波のある部分が吸収され、音波のある部分が反射される。このプロセスは、音波の音響エネルギーが物体に衝突して完全に吸収され、音波のほとんどの部分が反射されないかまたは反射される部分がなくなるまで続く。RIRは、スピーカーから発する全ての音波の吸収及び反射の総合的な効果を表す。マイクロフォンは、音響空間内の特定の位置で反射された音波をキャプチャすることができ、キャプチャされた音波は、特定の位置のRIRを決定するために使用され得る。
【0004】
RIRを生成するための上記アプローチの1つの欠点は、周波数掃引を実行するときにスピーカーによって伝送される音が、人間に聴覚的に知覚可能であり、周波数掃引が聞こえる人間のリスナーを混乱させ、または苛立たせることがあることである。可聴周波数掃引は、救急車または他の緊急車両のサイレンと同様の甲高い音として知覚されることが多く、人間の聴覚系に不快感を与える。可聴周波数掃引は、また、周波数掃引音を発生させるスピーカーの近くにいるどの人間のリスナーも混乱させ、または注意散漫にさせることがある。一般に、マイクロフォンが周波数掃引音を検出可能にするのに十分な大きさの可聴ボリュームレベルが、伝送スピーカーで使用されるため、ボリュームレベルを下げることは、可聴周波数掃引を除去するのに実行可能な方法ではない。
【0005】
上記で示すように、可聴周波数掃引を使用して室内インパルス応答を決定するための改善された技術が有用であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の様々な実施形態は、周波数掃引信号を生成するためのコンピュータ実施方法を示す。本方法は、単調増加する周波数を有する周波数掃引信号を生成することを含む。本方法は、周波数掃引信号をN個の入力セグメントに分割することをさらに含み、N個の入力セグメントのそれぞれは、異なる周波数範囲を表す。本方法は、N個の不連続数のシーケンスを有する符号化キーを生成することをさらに含み、シーケンス内の各数は1回出現する。方法は、符号化キーのN個の不連続数のシーケンスに基づいて、N個の入力セグメントのそれぞれを順番に選択することによって出力信号を生成することをさらに含む。方法は、出力信号に基づいて、スピーカーにオーディオ空間でオーディオトーンを生成させることをさらに含む。
【0007】
他の実施形態は、開示技術の1つまたは複数の態様を実施するシステム、及び開示技術の1つまたは複数の態様を実行するための命令を含む1つまたは複数のコンピュータ可読媒体を含むが、これらに限定されない。
【0008】
先行技術と比較した開示技術の少なくとも1つの技術的利点は、開示技術を用いると、先行技術のテストオーディオ信号よりも人間のリスナーに混乱を与えないテストオーディオ信号を使用して室内インパルス応答が決定され得ることである。開示技術のテストオーディオ信号は、先行技術のテストオーディオ信号よりも人間のリスナーにとって快適でもある。開示技術のテストオーディオ信号は、また、音楽などの他の音とミキシングされて、テストオーディオ信号の混乱をさらに低減することができる。さらに、開示技術は、残響テールを維持することなく壁距離推定値を計算することと比較して正確な壁距離推定値が得られる距離範囲を改善する。これらの技術的利点は、先行技術のアプローチに対する1つまたは複数の技術的改善を表す。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
空間インパルス応答を測定するための信号を生成するコンピュータ実施方法であって、
単調増加する周波数を有する周波数掃引信号を生成することと、
前記周波数掃引信号をN個の入力セグメントに分割することであって、前記N個の入力セグメントのそれぞれが、異なる周波数範囲を表す、前記分割することと、
N個の不連続数のシーケンスを有する符号化キーを生成することであって、前記シーケンス内の各数が1回出現する、前記生成することと、
前記符号化キーの前記N個の不連続数のシーケンスに基づいて、前記N個の入力セグメントのそれぞれを順番に選択することによって出力信号を生成することと、
前記出力信号に基づいて、スピーカーにオーディオ空間でオーディオトーンを生成させることと、
を含む、前記方法。
(項目2)
前記N個の入力セグメントの各入力セグメントが、前記N個の入力セグメントのうちの前記入力セグメントのそれぞれの第1の位置に関連付けられ、前記出力信号を生成することが、
前記N個の入力セグメントの再配置されたシーケンスを生成することであって、各入力セグメントが、前記再配置されたシーケンス内のそれぞれの第2の位置を有し、前記それぞれの第2の位置が、前記N個の不連続数のシーケンス内の前記それぞれの第1の位置に対応する数のそれぞれの位置に基づく、前記生成することを含み、
前記出力信号が、前記再配置されたシーケンスに基づく、上記項目に記載の方法。
(項目3)
前記出力信号が、前記N個の入力セグメントのうちの第1の入力セグメントに対応する第1の出力信号セグメントと、前記第1の出力信号セグメントに隣接する前記N個の入力セグメントのうちの第2の入力セグメントに対応する第2の出力信号セグメントとの間の境界において周波数に不連続性を有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目4)
前記出力信号が、前記出力信号の前のセグメントの周波数範囲よりも低い周波数範囲を有する少なくとも1つのセグメントを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目5)
Nが、前記周波数掃引信号の長さ及び各入力セグメントの所定の長さに基づく、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目6)
前記出力信号を生成することが、前記出力信号において、隣接する入力セグメントの各ペア間に所与の長さのサイレンス期間を含むことを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目7)
前記出力信号を生成することが、
前記N個の入力セグメントの各セグメントにおいて、前記セグメントの開始フェードイン部分を、期間にわたって増加する振幅を有するフェードイン部分に変換すること、または
前記N個の入力セグメントの各セグメントにおいて、前記セグメントの終端で終了する前記セグメントの部分を、期間にわたって減少する振幅を有するフェードアウト部分に変換すること、
の1つまたは複数を含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目8)
マイクロフォンを使用して、前記オーディオ空間で発生する音波に基づいて音響データをキャプチャすることと、
前記音響データに基づいて入力信号を生成することと、
前記入力信号をN個の受信セグメントに分割することであって、前記N個の受信セグメントのそれぞれが、異なる周波数範囲を表す、前記分割することと、
前記符号化キーの前記N個の不連続数のシーケンスに基づいて、前記N個の受信セグメントの各受信セグメントを順番に選択することによって復号信号を生成することであって、前記復号信号が、単調増加する周波数を有する、前記生成することと、
前記復号信号に基づいて空間インパルス応答を決定することと、
をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目9)
前記受信セグメントの前記周波数範囲に基づく周波数範囲を有するバンドパスフィルタを用いて、各受信セグメントをフィルタリングすることをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目10)
前記N個の受信セグメントの各受信セグメントのフェードイン部分及びフェードアウト部分を除去することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目11)
プログラム命令を記憶する1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記プログラム命令が、1つまたは複数のプロセッサにより実行されると、前記1つまたは複数のプロセッサに、
単調増加する周波数を有する周波数掃引信号を生成するステップと、
前記周波数掃引信号をN個の入力セグメントに分割するステップであって、前記N個の入力セグメントのそれぞれが、異なる周波数範囲を表す、前記分割するステップと、
N個の不連続数のシーケンスを有する符号化キーを生成するステップであって、前記シーケンス内の各数が1回出現する、前記生成するステップと、
前記符号化キーの前記N個の不連続数のシーケンスに基づいて、前記N個の入力セグメントのそれぞれを順番に選択することによって出力信号を生成するステップと、
前記出力信号に基づいて、スピーカーにオーディオ空間でオーディオトーンを生成させるステップと、
を実行させる、前記1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
(項目12)
前記N個の入力セグメントの各入力セグメントが、前記N個の入力セグメントのうちの前記入力セグメントのそれぞれの第1の位置に関連付けられ、前記出力信号を生成するステップが、
前記N個の入力セグメントの再配置されたシーケンスを生成することであって、各入力セグメントが、前記再配置されたシーケンス内のそれぞれの第2の位置を有し、前記それぞれの第2の位置が、前記N個の不連続数のシーケンス内の前記それぞれの第1の位置に対応する数のそれぞれの位置に基づく、前記生成することを含み、
前記出力信号が、前記再配置されたシーケンスに基づく、上記項目のいずれかに記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
(項目13)
前記出力信号が、前記N個の入力セグメントのうちの第1の入力セグメントに対応する第1の出力信号セグメントと、前記第1の出力信号セグメントに隣接する前記N個の入力セグメントのうちの第2の入力セグメントに対応する第2の出力信号セグメントとの間の境界において周波数に不連続性を有する、上記項目のいずれかに記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
(項目14)
前記符号化キーが、少なくとも1つのランダム値にさらに基づく、上記項目のいずれかに記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
(項目15)
前記符号化キー及び1つまたは複数の入力セグメント長を1つまたは複数の受信機デバイスに送信するステップをさらに含み、各入力セグメント長が、前記N個の入力セグメントのうちの入力セグメントの長さを示す、上記項目のいずれかに記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
(項目16)
システムであって、
命令を記憶する1つまたは複数のメモリと、
前記1つまたは複数のメモリに結合された1つまたは複数のプロセッサであって、前記命令を実行すると、
単調増加する周波数を有する周波数掃引信号を生成し、
前記周波数掃引信号をN個の入力セグメントに分割し、前記N個の入力セグメントのそれぞれが、異なる周波数範囲を表し、
N個の不連続数のシーケンスを有する符号化キーを生成し、前記シーケンス内の各数が1回出現し、
前記符号化キーの前記N個の不連続数のシーケンスに基づいて、前記N個の入力セグメントのそれぞれを順番に選択することによって出力信号を生成し、
前記出力信号に基づいて、スピーカーにオーディオ空間でオーディオトーンを生成させる、前記1つまたは複数のプロセッサと、
を備える、前記システム。
(項目17)
前記N個の入力セグメントの各入力セグメントが、前記N個の入力セグメントのうちの前記入力セグメントのそれぞれの第1の位置に関連付けられ、前記出力信号を生成することが、
前記N個の入力セグメントの再配置されたシーケンスを生成することであって、各入力セグメントが、前記再配置されたシーケンス内のそれぞれの第2の位置を有し、前記それぞれの第2の位置が、前記N個の不連続数のシーケンス内の前記それぞれの第1の位置に対応する数のそれぞれの位置に基づく、前記生成することを含み、
前記出力信号が、前記再配置されたシーケンスに基づく、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目18)
前記出力信号が、前記N個の入力セグメントのうちの第1の入力セグメントに対応する第1の出力信号セグメントと、前記第1の出力信号セグメントに隣接する前記N個の入力セグメントのうちの第2の入力セグメントに対応する第2の出力信号セグメントとの間の境界において周波数に不連続性を有する、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目19)
前記出力信号が、前記出力信号の前のセグメントの周波数範囲よりも低い周波数範囲を有する少なくとも1つのセグメントを含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目20)
Nが、前記周波数掃引信号の長さ及び各入力セグメントの所定の長さに基づく、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(摘要)
開示される実施形態は、音響スクランブルを介して空間インパルス応答を決定するための技術を含む。これらの技術は、周波数掃引信号を生成するためのコンピュータ実施方法を含み、方法は、単調増加する周波数を有する周波数掃引信号を生成することと、周波数掃引信号をN個の入力セグメントに分割することであって、N個の入力セグメントのそれぞれが、異なる周波数範囲を表す、分割することと、N個の不連続数のシーケンスを有する符号化キーを生成することであって、シーケンス内の各数が1回出現する、生成することと、符号化キーのN個の不連続数のシーケンスに基づいて、N個の入力セグメントのそれぞれを順番に選択することによって出力信号を生成することと、出力信号に基づいて、スピーカーにオーディオ空間でオーディオトーンを生成させることと、を含む。
【0009】
1つまたは複数の実施形態の列挙された特徴が上記に記載された方法が詳細に理解され得るように、上記で簡潔に要約された1つまたは複数の実施形態のより詳細な説明は、ある特定の実施形態を参照することによって行われてもよく、そのいくつかが添付図面に示されている。しかしながら、添付図面が典型的な実施形態のみを示しており、したがって、いかなる方法でもその範囲を限定するものと考えられるべきではなく、これは、開示の範囲が他の実施形態も包含するためである、ということに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】様々な実施形態の1つまたは複数の態様を実施するように構成されるコンピューティングシステムを示す。
【
図2】様々な実施形態による、修正された周波数掃引信号を使用して室内インパルス応答を生成するコンピューティングシステムを示す。
【
図3】様々な実施形態による、
図1の掃引信号符号化器モジュールのブロック図である。
【
図4】様々な実施形態による、
図1の掃引信号復号器モジュールのブロック図である。
【
図5A】様々な実施形態による、入力セグメントに分割された周波数掃引信号を示す。
【
図5B】様々な実施形態による、再配置された入力セグメントのシーケンスを含む出力信号を示す。
【
図5C】様々な実施形態による、再配置された入力セグメントのシーケンスの波形図を示す。
【
図5D】様々な実施形態による、効果を有する再配置された入力セグメントのシーケンスの波形図を示す。
【
図5E】様々な実施形態による、入力セグメントに分割された周波数掃引信号のスペクトログラム表示を示す。
【
図5F】様々な実施形態による、再配置された入力セグメントを含む出力信号のスペクトログラム表示を示す。
【
図5G】様々な実施形態による、符号化キーに基づいて決定された復号順序で受信したセグメントを含む復号信号のスペクトログラム表示を示す。
【
図5H】様々な実施形態による、バンドパスフィルタを使用して、キャプチャされた音響データから生成されたフィルタリング済みセグメントのスペクトログラム表示を示す。
【
図5I】様々な実施形態による、符号化キーに基づいて決定された復号順序でフィルタリング済みセグメントを含む復号信号のスペクトログラム表示を示す。
【
図6】様々な実施形態による、符号化キーに基づいて決定された順序でセグメントを有する修正された周波数掃引信号を生成するための方法ステップの流れ図である。
【
図7】様々な実施形態による、修正された周波数掃引信号を復号し、復号信号に基づいて空間インパルス応答を決定するための方法ステップの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明では、ある特定の実施形態のより完全な理解を提供するために、多くの具体的詳細が述べられている。しかしながら、当業者には、他の実施形態がこれらの具体的詳細の1つもしくは複数を伴わずに、または追加の具体的詳細とともに、実践され得るということが明らかであろう。
【0012】
図1は、様々な実施形態の1つまたは複数の態様を実施するように構成されるコンピューティングシステム100を示す。図示されるように、コンピューティングデバイス100は、プロセッサ102、ストレージ104、入出力(I/O)デバイスインタフェース106、ネットワークインタフェース108、相互接続110、及びシステムメモリ112を含むが、これらに限定されない。
【0013】
プロセッサ102は、システムメモリ112に記憶されたプログラミング命令を読み出して実行する。同様に、プロセッサ102は、システムメモリ112に存在するアプリケーションデータを記憶し読み出す。相互接続110は、プロセッサ102、I/Oデバイスインタフェース106、ストレージ104、ネットワークインタフェース108、及びシステムメモリ112の間でのプログラミング命令及びアプリケーションデータなどの送信を容易にする。I/Oデバイスインタフェース106は、ユーザI/Oデバイス122から入力データを受信するように構成される。ユーザI/Oデバイス122の実施例は、1つもしくは複数のボタン、キーボード、マウス、または他のポインティングデバイスなどを含み得る。I/Oデバイスインタフェース106は、電気オーディオ出力信号を生成するように構成されたオーディオ出力ユニットも含んでもよく、ユーザI/Oデバイス122は、電気オーディオ出力信号に応答して音響出力を生成するように構成されたスピーカーをさらに含み得る。ユーザI/Oデバイス122の別の実施例は、表示用の画像を生成するための任意の技術的に実行可能な手段を概して表すディスプレイデバイスである。例えば、ディスプレイデバイスは、液晶表示(LCD)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、またはデジタル光処理(DLP)ディスプレイであってもよい。ディスプレイデバイスは、デジタルまたはアナログテレビ信号を受信するための放送またはケーブルチューナを含むテレビであってもよい。ディスプレイデバイスは、VR/ARヘッドセットなどのヘッドマウントディスプレイ(HMD)アセンブリまたはヘッドアップディスプレイ(HUD)アセンブリに含まれ得る。さらに、ディスプレイデバイスは、壁、投影スクリーン、または車両のフロントガラスなどの1つまたは複数の表面に画像を投影し得る。追加的または代替的に、ディスプレイデバイスは、画像をユーザの目に(例えば、網膜投影によって)直接投影し得る。
【0014】
プロセッサ102は、単一の中央処理装置(CPU)、複数のCPU、複数の処理コアを有する単一のCPU、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、テンソル処理ユニットなどを表すために含まれている。また、システムメモリ112は、概して、ランダムアクセスメモリを表すために含まれている。ストレージ104は、ディスクドライブストレージデバイスであり得る。ストレージ104は、単一ユニットとして示されているが、固定ディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、テープドライブ、リムーバブルメモリカード、もしくは光学ストレージなどの固定ストレージデバイス及び/またはリムーバブルストレージデバイス、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、またはストレージエリアネットワーク(SAN)の組み合わせであってもよい。プロセッサ102は、ネットワークインタフェース108を介して他のコンピューティングデバイス及びシステムと通信し、ネットワークインタフェース108は、通信ネットワークを介してデータを送信及び受信するように構成される。
【0015】
システムメモリ112は、掃引信号符号化器モジュール132及び掃引信号復号器モジュール134を含むが、これらに限定されない。掃引信号符号化器モジュール132及び掃引信号復号器モジュール134は、プロセッサ102によって実行されると、本明細書で説明される技術に関連付けられた1つまたは複数の動作を実行する。掃引信号符号化器モジュール132は、周波数掃引信号をセグメントに分割すること、及び隣接する再配置入力セグメント150の各ペア間に周波数の不連続性があるように、再配置入力セグメント150のシーケンスにセグメントを再配置することによって、ESS信号などの単調増加する周波数掃引信号を出力信号152に変換する。再配置入力セグメント150において、各セグメントは、周波数掃引信号212の持続時間の一部である周波数掃引を表し、セグメント間の境界にある周波数の不連続性のために、セグメントの各ペア間の境界の周波数に急激な変化がある。入力セグメント142のシーケンス、及び本明細書における他のセグメントのシーケンスを参照する際に、「シーケンス」という語は、簡潔にするために省略されている。
【0016】
掃引信号符号化器モジュール132は、再配置入力セグメント150に基づいて、またはフェードイン、フェードアウト、及び/またはセグメント間サイレンスなどのオプションの効果が出力信号152に含まれる場合、効果付き入力セグメント160に基づいて、出力信号152を生成する。一例として、出力信号152は、再配置入力セグメント150と同じ順序で、再配置入力セグメント150と同じ周波数を有してもよい。あるいは、出力信号152は、効果付き入力セグメント160と同じ順序で、効果付き入力セグメント160と同じ周波数を有してもよい。掃引信号符号化器モジュール132は、出力信号152を音響空間内のスピーカーに提供し、出力信号152に基づいてスピーカーにオーディオを生成させる。
【0017】
出力信号152に基づいてスピーカーによって生成されるオーディオは、音響空間中で伝播し、反射される。マイクロフォンは、オーディオの結果としてオーディオ空間に発生する音波に基づいて音響データをキャプチャする。掃引信号復号器モジュール134は、キャプチャされた音響データに基づいて入力信号を生成し、出力信号152の一部に対応する入力信号の部分を識別し、入力信号を受信セグメント148のシーケンスに分割する。掃引信号復号器モジュール134は、符号化キー144を使用して逆マッピングを実行することにより、入力セグメント142のシーケンスに対応する順序の復号セグメントのシーケンスに基づいて、復号信号156を生成し得る。逆マッピングは、受信セグメント148の各受信セグメントを、符号化キー144に基づく順序で選択することを含み得る。
【0018】
掃引信号復号器モジュール134は、受信セグメント148を並べ替えて復号信号156を形成する前に、1つまたは複数のバンドパスフィルタを使用して、元の信号と同じ順序ではないセグメントの残響テールのコピーを除去し得る。いくつかの実施形態では、セグメントの残響テールは、セグメントの予想周波数範囲外の周波数を除去した後にセグメントが並べ替えられるため、並べ替えられたセグメントは、残響テールを含む。バンドパスフィルタは、受信セグメント148をフィルタリング済みセグメント154に変換し、掃引信号復号器モジュール134は、符号化キー144を使用して逆マッピングを実行することによって、入力セグメント142のシーケンスに対応する順序のフィルタリング済みセグメント154に基づいて、復号信号156を生成し得る。
【0019】
掃引信号符号化器モジュール132に関連付けられた動作を実行すると、プロセッサ102は、入力セグメント142、符号化キー(複数可)144、符号化パラメータ146、再配置入力セグメント150、及び出力信号152などのデータを、データストア140の一部に記憶し、データストア140の一部から取り出す。掃引信号復号器モジュール134に関連付けられた動作を実行すると、プロセッサ102は、符号化キー(複数可)144、受信セグメント148、フィルタリング済みセグメント154、復号信号156、及び空間インパルス応答158などのデータを、データストア140の一部に記憶し、データストア140の一部から取り出す。
【0020】
図2は、様々な実施形態による、修正された周波数掃引信号を使用して室内インパルス応答を生成するコンピューティングシステムを示す。コンピューティングデバイス100は、周波数掃引信号生成器モジュール210を含み、周波数掃引信号生成器モジュール210は、ESS信号または経時的に周波数が変化する他の信号などの周波数掃引信号212を生成する。掃引信号符号化器モジュール132は、周波数掃引信号212を受信し、周波数掃引信号212をN個の入力セグメント142のシーケンスに分割し、隣接する再配置入力セグメント150の各ペアの間に周波数の不連続性が存在するように、N個の入力セグメント142をN個の再配置入力セグメント150のシーケンスに再配置する。数Nは、符号化パラメータ146によって指定され得るか、または符号化パラメータ146から導出され得る。再配置入力セグメント150において、各セグメントは、周波数掃引信号212の持続時間の一部(1/N)である周波数掃引を表し、セグメント間の境界にある周波数の不連続性のために、セグメントの各ペア間に周波数の急激な変化がある。再配置入力セグメント150のシーケンスによって指定された、より短い持続時間の不連続な周波数掃引セグメントのシーケンスを使用する修正された周波数掃引信号は、掃引の持続時間がより短く、掃引間の周波数の変化が比較的大きいため、より長い持続時間の連続周波数掃引信号よりも、人間のリスナーに与える混乱が少なく、及び/またはより快適に聞こえる。N個の入力セグメント142は、本明細書で説明される実施例では等しい長さ(例えば、持続時間)(例えば、それぞれ1/N時間単位)であるが、他の実施例では、N個の入力セグメント142は、異なる長さの2つ以上のセグメントを含んでもよい。入力セグメントが異なる長さを有する場合、異なる長さのそれぞれの長さは、例えば、所定の長さのリスト内のそれぞれの所定の長さであってもよい。
【0021】
再配置入力セグメント150内のセグメントの順序は、符号化キー144に基づいて決定され得る。符号化キー144は、セグメントを識別するN個の数のシーケンスであり、Nは、入力セグメント142内のセグメントの数である。符号化キー144は、入力セグメント142の修正された順序を、セグメントインデックスが単調増加する順序(入力セグメント142内のセグメントの順序に対応する)などの初期の順序の順列である再配置セグメントインデックスのシーケンスとして指定する。掃引信号符号化器モジュール132は、入力セグメント142を符号化キー144によって指定された修正順序に再配置して、再配置入力セグメント150を形成する。符号化キー144は、どの数も繰り返されないN個の不連続な乱数のシーケンスを含み得る。あるいは、符号化キー144は、数1で始まり、数Nで終わってもよく、その場合、インデックス2~N-1を有するシーケンス要素は、どの数も繰り返されないN-2個の不連続な乱数のシーケンスを形成する。1で始まりNで終わるシーケンスは、他の数のセグメントで始まり、他の数のセグメントで終わるシーケンスよりも、人間のリスナーに与える混乱が少なく、及び/またはより快適であり得る。
【0022】
コンピューティングデバイス100上の掃引信号符号化器モジュール132は、再配置入力セグメント150に基づいて出力信号152を生成し、出力信号152に基づいて、スピーカーにオーディオ空間でオーディオトーンを生成させる。出力信号152を生成し、スピーカーにオーディオトーンを生成させる同じコンピューティングデバイス100は、マイクロフォン206を使用して、スピーカーがオーディオトーンを生成した結果としてオーディオ空間に発生する音波に基づいて、音響データ216をキャプチャし得る。コンピューティングデバイス100上の掃引信号復号器モジュール134は、次いで符号化キー144を使用して音響データ216を復号信号156に変換し得る。空間インパルス応答生成器218は、復号信号156を空間インパルス応答158に変換し得る。
【0023】
掃引信号符号化器モジュール132は、符号化キー144を符号化キー送信機モジュール220に提供し得る。符号化キー送信機モジュール220は、例えば通信ネットワークを介して、1つまたは複数の他のコンピューティングデバイス(複数可)100に符号化キー144を送信し得る。他のコンピューティングデバイス100では、符号化キー受信機モジュール222は、通信ネットワークを介して符号化キー144を受信し、符号化キー144を掃引信号復号器モジュール134に提供し得る。それによって、他のコンピューティングデバイス100は、他のコンピューティングデバイス100上のマイクロフォン206でキャプチャされた音響データを復号し得る。他のコンピューティングデバイス上のマイクロフォン206によってキャプチャされた音響データは、出力信号152に基づいてスピーカー204によって生成されたオーディオトーンの結果としてオーディオ空間に発生する音波に基づき得る。
【0024】
図3は、様々な実施形態による、
図1の掃引信号符号化器モジュール132のブロック図である。掃引信号符号化器モジュール132は、入力セグメント生成器310、乱数生成器302、符号化キー生成器306、再配置セグメント生成器312、及び出力信号生成器314を含む。入力セグメント生成器310は、周波数掃引信号生成器モジュール210から周波数掃引信号212を受信する。周波数掃引信号212は、例えば、ESS信号、または経時的に周波数が変化する他の信号など、単調増加する周波数掃引信号であってもよい。
【0025】
掃引信号符号化器モジュール132は、周波数掃引信号212を、N個のセグメントのシーケンスを有する出力信号152に変換し、セグメントを再配置して、隣接するセグメントの各ペアの間に周波数の不連続性を有する再配置入力セグメント150のシーケンスを形成する。結果として生じる出力信号152は、掃引の持続時間がより短く、出力信号152内の掃引間の周波数の変化が比較的大きいため、周波数掃引信号212よりも人間のリスナーに与える混乱が少なく、及び/またはより快適に聞こえる。
【0026】
入力セグメント生成器310は、周波数掃引信号212をN個の入力セグメント142に分割する。数Nは、符号化パラメータ146によって指定され得るか、または符号化パラメータ146から導出され得る。一例では、数Nは、符号化パラメータ146によって直接指定され得る。別の例では、数Nは、周波数掃引信号212の長さを、ミリ秒(ms)などの時間単位で各セグメントの長さを指定するセグメント長308で割ることによって決定され得る。セグメント長308は、例えば40msであってもよく、周波数掃引信号212の長さは、例えば200msであってもよい。
【0027】
再配置セグメント生成器312は、N個の入力セグメント142を、隣接する再配置入力セグメント150の各ペア間に周波数の不連続性を有するN個の再配置入力セグメント150のシーケンスに並べ替える。いくつかの実施形態では、隣接する再配置入力セグメント150の少なくとも1つのペアは、周波数が連続し(例えば、不連続性によって分離されていない)、隣接する再配置入力セグメント150の少なくとも1つの他のペアの間に周波数の不連続性がある。いくつかの実施形態では、符号化キー144は、どの数も繰り返されない1~Nの範囲から選択される値を有するN個の不連続数のシーケンスである。いくつかの実施形態では、符号化キー144は、どの数も繰り返されない1~Nの範囲から選択される値を有するN個のランダムな不連続数のシーケンスである。いくつかの実施形態では、符号化キー144は、最初及び最後の数がそれぞれ1及びNである数のシーケンスであり、インデックス2~N-1の数は、どの数も繰り返されない2~N-1の範囲から選択される値を有する不連続数のシーケンスを形成する。いくつかの実施形態では、インデックス2~Nの数は、どの数も繰り返されない2~N-1の範囲から選択される値を有するランダムな不連続数である。1で始まりNで終わるシーケンスは、他の数で始まり他の数で終わるシーケンスよりも、人間のリスナーに与える混乱が少なく、及び/またはより快適であり得る。
【0028】
符号化キー144の実施例は、シーケンス[1 4 3 2 5]を含み、シーケンス[1 4 3 2 5]において、最初の要素と最後の要素との間のシーケンスの部分は[4 3 2]であり、これは不連続数のシーケンスである。数4と3とは不連続であり、数3と2とは不連続であるため、シーケンス[4 3 2]は、不連続数のシーケンスである。[1、2]または[2、3]などの2つの連続する数を含むシーケンスは、有効な符号化キー144ではない。1で始まり5で終わる長さ5の他の有効な符号化キー144は、[1 2 4 3 5]及び[1 3 2 4 5]を含む。符号化キー144は、不連続的な乱数のシーケンスであってもよいため、1で始まり5で終わる長さ5の特定の符号化キー144は、[1 4 3 2 5]、[1 2 4 3 5]、または[1 3 2 4 5]のいずれかであってもよく、特定のシーケンスは、ランダムに選択される(例えば、3つの可能な有効シーケンスのそれぞれが、特定の符号化キー144を生成するときに選択される確率が等しい)。有効な符号化キーではない、1で始まり5で終わる長さ5のシーケンスは、[1 2 3 4 5]、[1 3 2 4 5]、及び[1 3 4 2 5]を含む。別の実施例として、[1 5 7 3 8 4 9 6 2 10]は、有効な符号化キー144であるが、[1 5 7 3 4 8 9 6 2 10]は、連続数3及び4、ならびに8及び9を含むため、有効な符号化キーではない。
【0029】
再配置セグメント生成器312は、入力セグメント142の再配置順序を決定するマッピング動作を使用して、入力セグメント142のシーケンスを再配置入力セグメント150のシーケンスに変換し得る。マッピング動作は、マッピングアルゴリズムに基づいた順序で、及び/または本明細書では符号化キー144と称されるマッピングデータ構造に基づいた順序で、入力セグメント142のそれぞれを選択することによって、入力セグメント142を再配置入力セグメント150にマッピングし得る。符号化キー144は、適当なアルゴリズムを使用して、1つまたは複数の乱数(複数可)304に基づいて、符号化キー生成器306によって生成され得る。乱数(複数可)304は、乱数生成器302によって生成され得る。
【0030】
符号化キー144は、入力セグメント142が選択される順序を指定する。選択順序は、入力セグメント142内のセグメントを識別するセグメント番号のシーケンスとして指定される。選択順序は、入力セグメント142の(例えば、インデックス1及びNの)最初のセグメント及び最後のセグメントが、再配置入力セグメント150の最初のセグメント及び最後のセグメントでもある、不連続セグメント番号のシーケンスであるといった順序付け基準に適合するランダムな順序であってもよい。例えば、符号化キー144は、第1の要素に1を有し、N番目の要素にNを有するシーケンスであってもよい。
【0031】
一例として、符号化キー144を生成するために、符号化キー生成器306は、符号化キー144を空のシーケンスに初期化し、最初は2~N-1の数を含む利用可能な数のシーケンスを生成する。符号化キー生成器306は、利用可能な数のシーケンスから利用可能な数をランダムに選択し、ランダムに選択された利用可能な数を符号化キー144に追加し(例えば、アペンドし)、ランダムに選択された利用可能な数を利用可能な数のシーケンスから除去する。符号化キー生成器306は、次いで、利用可能な数のシーケンス内にあり、符号化キーの終端の数と不連続の利用可能な数がもしあれば、その数を識別する。利用可能な数がない場合、符号化キー生成器306は、利用可能な数のシーケンスから異なる利用可能な数をランダムに選択する。それ以外の場合、符号化キー生成器306は、利用可能な数を符号化キー144に追加し、利用可能な数を利用可能な数のシーケンスから除去する。符号化キー生成器306は、符号化キー144が2~N-1の範囲内の各数を含むまで、上記の動作を繰り返し実行する。
【0032】
再配置セグメント生成器312は、連続する選択された各入力セグメント142を、入力セグメント142が選択された順序で、再配置入力セグメント150に追加(例えば、アペンド)し得る。符号化キー144は、例えば、不連続数のシーケンスであってもよい。符号化キー144は、ランダムキーであってもよく、例えば、インデックスが不連続であるような入力セグメント142のインデックスのランダムシーケンスであってもよい。符号化キー144は、上述した順序付け基準に適合してもよく、例えば、シーケンスの要素1及びNは、値1及びNを有してもよく、要素2~N-1は、2~N-1の範囲から選択された値を有する不連続数のランダムシーケンス内にあってもよい。
【0033】
符号化キー144内の不連続数は、シーケンスの「要素」と呼ばれる。不連続的数のシーケンス内の各要素は、1~Nの範囲の関連付けられたインデックスを有し、Nは、シーケンス内の要素の数である。符号化キー144内のそれぞれの数は、符号化キー144内のその数の位置を表すソースインデックスに関連付けられる。さらに、符号化キー144のそれぞれの数が、入力セグメント142内のソースインデックスによって識別されたセグメントがマッピングされる、再配置入力セグメント150のシーケンス内の宛先インデックス(例えば、位置)を識別する。
【0034】
再配置セグメント生成器312は、再配置入力セグメント150を出力信号生成器314に提供してもよく、出力信号生成器314は、再配置入力セグメント150に基づいて出力信号152を生成し、出力信号152に基づいてスピーカー204にオーディオ空間内でオーディオトーンを生成させる。あるいは、再配置セグメント生成器312は、再配置入力セグメント150を、フェード及びサイレンス効果生成器316に提供してもよく、フェード及びサイレンス効果生成器316は、再配置入力セグメント150に、フェードイン、フェードアウト、及び/またはサイレンス期間効果を適用する。フェード及びサイレンス効果生成器316は、フェードイン、フェードアウト、及び/またはサイレンス期間効果を含む効果付き再配置入力セグメント160のシーケンスを生成する。フェードイン及び/またはフェードアウト効果を適用する前は、再配置入力セグメント150の各入力セグメントは、所定の振幅Aを有する。さらに、上述の通り、各入力セグメントは、ミリ秒(ms)などの時間単位で指定されたセグメント長308を有する。
【0035】
フェード及びサイレンス効果生成器316によって適用されるフェードイン効果は、各入力セグメントの初期部分の振幅を、本明細書で「フェードイン長」と称される期間にわたって、0dBなどの初期値から振幅Aまで徐々に増加させるように修正する。フェード及びサイレンス効果生成器316は、ゲインスケーリングを使用して、フェードイン長で指定され、かつ各入力セグメントの開始時に始まる期間にわたってフェードイン効果を適用し得る。フェードイン長は、例えば、セグメント長308の25%であってもよい。セグメント長308が40msである場合、例えば、フェードイン長は10msである。フェードアウト効果は、各入力セグメントの後端部分の振幅を、本明細書で「フェードアウト長」と称される期間にわたって、振幅Aから初期値(例えば、0dB)まで徐々に減少させるように修正する。したがって、フェードアウト長は、後端部分の長さである。後端部分は、入力セグメントの終端で終了する。フェードアウト長は、例えばセグメント長308の25%であってもよく、その場合、フェードアウト長は、例えば10msである。
【0036】
フェード及びサイレンス効果生成器316によって適用されるサイレンス期間効果は、再配置入力セグメント150のシーケンス内の隣接する入力セグメントの各ペアの間に、予め定義されたサイレンス長のサイレンス期間を挿入して、入力セグメントがサイレンス長によって離隔される効果付き再配置入力セグメント160のシーケンスを形成する。予め定義されたサイレンス長は、セグメント長308、例えば40msと同じであってもよい。実施例として、
図5C及び
図5Dを参照すると、フェード及びサイレンス効果生成器316は、
図5Cに示される再配置入力セグメント502のシーケンスにフェードイン、フェードアウト、及びサイレンス期間効果を適用して、
図5Dに示す効果506を有する入力セグメント波形のシーケンスを生成し得る。符号化キー送信機モジュール220はまた、
図2に関して本明細書で説明するように、符号化キー144を別のコンピューティングデバイス100に送信し得る。
【0037】
掃引信号符号化器モジュール132は、出力信号152をスピーカーに提供する前に、再配置入力セグメント150及び/または出力信号152を修正するための追加の処理を実行し得る。追加の処理は、再配置入力セグメント150内のセグメントの各ペアの間にサイレンス期間を追加すること、及び/または再配置入力セグメント150のそれぞれの先頭及び/または末尾にフェードイン及び/またはフェードアウト効果を追加することを含み得る。サイレンス期間の持続時間及び/またはフェードイン及びフェードアウト効果の持続時間は、符号化パラメータ146によって指定される。
【0038】
一例として、掃引信号符号化器モジュール132は、インデックス「1、2、3、4、5」を有する5つの入力セグメント142を、符号化キー144[1、4、3、2、5]を使用して5つの再配置入力セグメント150にマッピングし得る。符号化キー144[1、4、3、2、5]は、インデックス1を有する入力セグメント(「入力セグメント1」)が、インデックス1を有する再配置入力セグメント(「再配置セグメント1」)にマッピングされ、入力セグメント2が再配置セグメント4にマッピングされ、入力セグメント3が再配置セグメント3にマッピングされ、入力セグメント4が再配置セグメント2にマッピングされ、入力セグメント5が再配置セグメント5にマッピングされることを指定している。したがって、結果として得られる再配置入力セグメント150は、「1、4、3、2、5」である。
【0039】
掃引信号符号化器モジュール132は、再配置入力セグメント150に基づいて、出力信号152を生成する。例えば、出力信号152は、再配置入力セグメント150と同じ順序で、再配置入力セグメント150と同じ周波数を有し得る。掃引信号符号化器モジュール132は、出力信号152を音響空間内のスピーカー204に提供し、出力信号152に基づいてスピーカー204にオーディオトーンを生成させる。実施例は、本明細書では増加する周波数を有する信号及び連続するより高い周波数範囲の信号セグメントに関して説明されているが、本明細書で述べられている技術は、減少する周波数を有する信号及び連続するより低い周波数範囲を有する信号セグメントにも、適切な変更により適用可能である。
【0040】
図4は、様々な実施形態による、
図1の掃引信号復号器モジュール134のブロック図である。掃引信号復号器モジュール134は、受信セグメント生成器402、オプションのフィルタリング済みセグメント生成器404、及び復号信号生成器406を含む。マイクロフォン206は、音響データ216をキャプチャし、音響データ216は、スピーカー204がオーディオトーンを生成した結果としてオーディオ空間に発生する音波に基づいている。
【0041】
受信セグメント生成器402は、キャプチャされた音響データ216に基づいて、入力信号(図示せず)を生成する。入力信号を生成するために、受信セグメント生成器402は、スピーカー204に提供された出力信号152の部分に対応する、音響データ216内のキャプチャされた信号の部分を識別して、スピーカー204にオーディオトーンを生成させる。一例として、
図5Dを参照すると、受信セグメント生成器402は、パターンマッチングを使用して、所与のアライメントブロックパターンに一致するキャプチャされた信号の部分を識別し得る。パターンマッチング技術は、キャプチャされた信号の一部と所与のアライメントブロックパターンとの間の類似度を識別し得る。キャプチャされた信号内のアライメントブロックパターンの位置(例えば、開始時間及び/または終了時間)が、出力信号152の一部に対応するキャプチャされた信号部分の位置を識別する。
【0042】
セグメント間のフェードイン、フェードアウト、及び/またはサイレンス期間などの効果が、キャプチャされた信号内に存在する場合、受信セグメント生成器402は、キャプチャされた信号から効果を除去する。フェードイン及びフェードアウト効果は、フェードイン及び/またはフェードアウト効果を含むように再配置入力セグメント150を修正した、効果生成器316によって実行されたフェード効果変換の逆を行うことによって除去される。例えば、フェードイン及びフェードアウト効果は、フェード及びサイレンス効果生成器316によって適用されたゲインスケーリングを元に戻すことによって除去され得る。逆フェード効果変換は、入力信号のフェードイン部分及び/またはフェードアウト部分の振幅を、効果生成器316による効果が適用される前の再配置入力セグメント150が有した元の値まで増加させ得る。サイレンス期間であり得るサイレンス効果は、入力信号のセグメント142の間のサイレンス期間を識別すること、及びセグメント142が互いに隣接するようにセグメント142を移動することによって、除去される。サイレンス期間は、例えば、人間には聴き取れない周波数、例えば、0Hzまたは他の聴き取れない周波数を有する信号の部分であってもよい。一例として、
図5Dを参照すると、各セグメント142の先頭からフェードイン効果520を除去することと、各セグメント142の末尾からフェードアウト効果522を除去することと、効果付き入力セグメント波形506からセグメント142の各ペア間のサイレンス期間524を除去することと、によって、
図5Cに示す再配置入力セグメント150のシーケンスのような効果付き再配置入力セグメント160のシーケンスが生成される。受信セグメント生成器402は、次いで入力信号をN個の受信セグメント148のシーケンスに分割する。N個の受信セグメント148のそれぞれが、異なる周波数範囲を表す。Nは、符号化パラメータ146によって指定されてもよく、及び/または符号化パラメータ146によって指定されるセグメント長308に基づいて決定されてもよい。
【0043】
掃引信号復号器モジュール134は、受信セグメント148のシーケンスを、入力セグメント142のシーケンスと同じ順序の復号セグメントのシーケンス(図示せず)に変換し、復号セグメントのシーケンスに基づいて復号信号156を生成する。掃引信号復号器モジュール134は、例えば、逆マッピング動作を使用して、受信セグメント148のシーケンスを、復号セグメントのシーケンスに変換し得る。逆マッピング動作は、符号化キー144に基づいた順序で受信セグメント148のそれぞれを選択することにより、受信セグメント148を復号セグメントのシーケンスにマッピングし得る。掃引信号復号器モジュール134は、選択された各受信セグメント148を、受信セグメント148が選択された順序で復号セグメントのシーケンスに追加(例えば、アペンド)し得る。符号化キー144内のそれぞれの数は、入力セグメント142内のソースインデックスによって識別されたセグメントがマッピングされる、受信セグメント148のシーケンス内の宛先インデックス(例えば、位置)を識別する。受信セグメント148の順序から入力セグメント142の順序への逆マッピングを実行するために、掃引信号復号器モジュール134は、符号化キー144内のセグメント番号を通して繰り返して、キー内のセグメント番号ごとに、セグメント番号によって識別された受信セグメント148を選択し、選択された受信セグメント148を復号セグメントのシーケンスに追加(例えば、アペンド)し得る。
【0044】
一例として、受信セグメント148は、「1、4、3、2、5」であってもよく、符号化キー144は、[1 4 3 2 5]であってもよい。上述の通り、符号化キー144[1 4 3 2 5]は、インデックス1を有する入力セグメント(「入力セグメント1」)が、インデックス1を有する再配置入力セグメント(「再配置セグメント1」)にマッピングされ、入力セグメント2は、再配置セグメント4にマッピングされ、入力セグメント3は、再配置セグメント3にマッピングされ、入力セグメント4は、再配置セグメント2にマッピングされ、入力セグメント5は、再配置セグメント5にマッピングされることを指定している。掃引信号復号器モジュール134は、符号化キー144内のセグメント番号を通して繰り返すことによって逆マッピングを実行する。符号化キー144の最初のセグメント番号(インデックス=1)は1であるため、掃引信号復号器モジュール134は、インデックス=1を有する受信セグメント148を選択し、それは、受信セグメント148のシーケンス内の最初の受信セグメント148(セグメント番号=1を有する)である。セグメント番号「1」が、復号セグメントのシーケンスに追加される。
【0045】
符号化キー144において次のセグメント番号に移動すると、符号化キー144の第2のセグメント番号(インデックス=2)は4であるため、掃引信号復号器モジュール134は、インデックス=4を有する受信セグメント148を選択し、それは、受信セグメント148のシーケンス内の第4の受信セグメント148(セグメント番号=2を有する)である。セグメント番号「2」が、復号セグメントのシーケンスに追加される。掃引信号復号器モジュール134は、符号化キー144の第3、第4、及び第5のセグメント番号を通して繰り返し、セグメント番号3、4、及び5をそれぞれ有する、インデックス3、2、及び5を有するそれぞれの受信セグメント148を選択することによって続行する。結果として得られる復号セグメントのシーケンスは「1、2、3、2、5」であり、これは、再配置される前の入力セグメント142と同じ順序である。掃引信号復号器モジュール134は、復号セグメントのシーケンスに基づいて復号信号156を生成し、復号信号156を使用して空間インパルス応答158を決定する。
【0046】
掃引信号復号器モジュール134は、掃引信号符号化器モジュール132と同じコンピューティングデバイス100上に配置されてもよく、この場合、掃引信号復号器モジュール134は、共有メモリを介して符号化キー144及びNの値にアクセスし、または掃引信号符号化器モジュール132から符号化キー144及び/またはNの値を受信し得る。代替的または追加的に、掃引信号復号器モジュール134は、掃引信号符号化器モジュール132とは異なるコンピューティングデバイス上に配置されてもよく、この場合、掃引信号符号化器モジュール132は、符号化キー144及び/またはNの値を、ネットワーク通信を介して異なるコンピューティングデバイス上の掃引信号復号器モジュール134に送信し得る。別の代替手段として、符号化キー144及び/またはNの値は、例えばオーディオシステムが構成されるときに、符号化パラメータ146において異なるコンピューティングデバイスに提供されてもよい。
【0047】
スピーカーによって生成されたオーディオの結果としてオーディオ空間に発生する音波は、オーディオトーンの残響を含み、残響は、オーディオトーンのセグメントが生成された後もしばらく持続する。受信セグメント148のシーケンスが復号されて、復号信号156の復号セグメントのシーケンスが形成されると、受信セグメント148に含まれる他のセグメントからの残響テールの部分が、受信セグメント148を並べ替える間に移動されるセグメントの部分として移動されて、復号信号156を形成する。したがって、生成された並べ替えられた信号は、順序通りでない前のセグメントからのテールの部分を含むセグメントを有する。
【0048】
オプションのフィルタリング済みセグメント生成器404は、受信セグメント148のシーケンスを受信し、バンドパスフィルタを使用して、受信セグメント148を並べ替えて復号信号156を形成する前の元の信号と同じ順序ではない、セグメントの残響テールのコピーを除去し得る。フィルタリング済みセグメント生成器404は、フィルタリング済みセグメント154のシーケンスを生成する。いくつかの実施形態では、セグメントの残響テールは、セグメントの予想周波数範囲外の周波数を除去した後にセグメントが並べ替えられるため、並べ替えられたセグメントは、残響テールを含む。
図5F及び5Gを参照すると、フィルタリング済みセグメント生成器404(バンドパスフィルタを含む)が使用されず、かつ受信セグメント148が復号信号生成器406に渡される場合、復号信号生成器406は、他のセグメント502の残響テール504の部分を含み得る信号の垂直スライスを移動する。例えば、フィルタリング済みセグメント生成器404が使用されない場合、受信セグメント502Dは、信号の垂直スライスを移動することによって、T2とT3との間の時間範囲からT4とT5との間の時間範囲に移動される。その結果、残響テール504Dの一部は移動されず、残響テールを引き起こしたセグメント504Dよりも早い時間に結果として生じた信号内にある。それぞれのセグメント502に対応するそれぞれの残響テール504は、フィルタリング済みセグメント生成器404を使用することによって、並べ替えの間維持されてもよく、フィルタリング済みセグメント生成器404は、各セグメント(例えば、T3とT4との間のセグメント)から他のセグメントの残響テール(例えば504D)を除去するバンドパスフィルタを含む。さらに、フィルタリング済みセグメント生成器404は、垂直スライスを(例えば、T4とT5との間のスライスをT2とT3との間の時間セグメントに)移動するときに、セグメント(例えば、502B)と同じスライス内の他のセグメントの残響テール部分(例えば、504C)を除去し得る。フィルタリング済みセグメント生成器404を使用すると、
図5Iに示される結果として得られた復号信号156は、残響テール504を維持している。フィルタリング済みセグメント生成器404が使用されるときに生成される復号信号156は、改善された室内インパルス応答結果をもたらす。例えば、フィルタリング済みセグメント生成器404の結果に基づいて生成された復号信号156を使用して、より長い残響テールが維持されるとき、復号信号156を使用して決定された壁距離推定値は、フィルタリング済みセグメント生成器404によって実行されるバンドパスフィルタリングを使用せずに生成された復号信号156と比較して、コンピューティングデバイス100から壁までの距離の最大約2倍正確である。
【0049】
フィルタリング済みセグメント生成器404によって使用されるバンドパスフィルタ(複数可)は、受信セグメント148をフィルタリング済みセグメント154に変換し、掃引信号復号器モジュール134は、符号化キー144を使用して逆マッピングを実行することによって、入力セグメント142のシーケンスに対応する順序のフィルタリング済みセグメント154に基づいて、復号信号156を生成し得る。復号信号生成器406は、フィルタリング済みセグメント154を受信し、フィルタリング済みセグメント154に基づいて、復号信号156を生成し得る。復号信号生成器406は、符号化キー内の不連続数のシーケンスに基づく順序でN個のフィルタリング済みセグメントのそれぞれを選択することにより、符号化キー受信機モジュール222から受信した符号化キー144を使用し得る。復号信号156は、空間インパルス応答生成器218への入力として提供され、空間インパルス応答生成器218は、復号信号156に基づいて空間インパルス応答158を生成する。
【0050】
図5Aは、様々な実施形態による、入力セグメント142に分割された周波数掃引信号を示す。周波数掃引信号は、入力セグメント142A、142B、142C、142D、142Eを含む、入力セグメント142のシーケンスを含む。図示するように、入力セグメント142のシーケンスの周波数は、経時的に対数周波数スケールで直線的に増加する。各入力セグメント142A~Eの長さは、セグメント長308によって指定される。例えば、入力セグメント142Aは、時間T1に開始し、時間T2に終了する。時間T2とT1との差が、セグメント長308である。入力セグメント142Bは、時間T2から時間T3にわたっている。入力セグメント142Cは、時間T3から時間T4にわたっている。入力セグメント142Dは、時間T4から時間T5にわたっている。入力セグメント142Eは、時間T5から時間T6にわたっている。
【0051】
図5Bは、様々な実施形態による、再配置入力セグメント150のシーケンスを含む出力信号を示す。再配置セグメント150のシーケンスは、[1 4 3 2 5]の符号化キー144を使用して、
図5Aの入力セグメント142のシーケンスを並べ替えることによって生成される。再配置入力セグメント150は、
図3の再配置セグメント生成器312によって生成される。
図5Bに見られるように、入力セグメント142Aは、T1とT2との間の第1の時間範囲にある。入力セグメント142Aは、符号化キー144の第1の要素の数「1」によって指定されるように、
図5Aにおいても第1の時間範囲にある。
【0052】
セグメント142D(第4のセグメント)は、符号化キー144内の数「4」によって指定されるように、第4の時間範囲(T3とT4の間)からT2とT3との間の第2の時間範囲に移動している。入力セグメント142C(第3のセグメント)は移動しておらず、符号化キー144内の数「3」によって指定されるように、第3の時間範囲(
図5AではT4とT4の間、
図5BではT3とT4の間)にある。入力セグメント142B(第2のセグメント)は、第2の時間範囲(T2とT3との間)から第4の時間範囲(T4とT5との間)に移動している。入力セグメント142E(第5のセグメント)は、移動しておらず、符号化キー144内の数「5」によって指定されるように、依然として第5の時間範囲(T5とT6との間)にある。
【0053】
図5Cは、様々な実施形態による、再配置入力セグメント150のシーケンスの波形図を示す。波形図では、x軸は時間を表し、y軸は周波数掃引信号の振幅を表す。周波数掃引信号は、入力セグメント142に分割されている。入力セグメント142は再配置されており、
図5Bに示された順序になっている。信号は、周波数が経時的に増加する指数正弦波掃引信号であってもよい。指数正弦波掃引信号は、
図5Cで使用されているスケールのために矩形として現れる正弦波であり、個々の波を視覚的に識別できない。入力セグメント142Aは、時間T1とT2との間の矩形として示されている。同様に、セグメント142DはT2とT3との間にあり、セグメント142CはT3とT4との間にあり、セグメント142BはT4とT5との間にあり、セグメント142EはセグメントT5とT6との間にある。
【0054】
図5Dは、様々な実施形態による、効果付き再配置入力セグメント506のシーケンスの波形図を示す。効果付き入力セグメント波形506は、修正された入力セグメント542A、542B、542C、542D、及び542Eの波形表現を含む。フェード及びサイレンス効果生成器316は、再配置入力セグメント502にフェードイン、フェードアウト、及びサイレンス期間効果を適用することにより、効果付き入力セグメント波形506を生成する。フェードイン効果は、各入力セグメント142の初期部分の振幅を、フェードイン長で指定された期間にわたって、0dBなどの初期値から振幅Aまで徐々に増加するように修正する。修正された入力セグメントは、時間T1に開始し、時間T2に終了する。フェードイン効果520は、修正された入力セグメント542Aの初期部分である。フェードイン効果520は、時間T1に開始し、時間T1+fに終了し、ここで、fは、フェードイン長である。
【0055】
フェードアウト効果は、各入力セグメントの後端部分の振幅を、フェードアウト長で指定される期間にわたって、振幅Aから初期値(例えば、0dB)まで徐々に減少させるように修正する。フェードアウト効果522は、修正された入力セグメント542Aの後端部分である。フェードアウト効果522は、時間T2-fに開始し、時間T2に終了し、それはフェードアウト長であり、この例では、フェードイン長に等しい。フェードアウト長は、例えば、セグメント長308の25%であってもよい。フェード及びサイレンス効果生成器316によって適用されるサイレンス期間効果は、再配置入力セグメント150のシーケンス内の隣接する入力セグメント542の各ペア間に、予め定義されたサイレンス長のサイレンス期間を挿入して、入力セグメントがサイレンス期間524によって離隔され、各セグメントがフェードイン効果520及びフェードアウト効果522を有する、効果付き再配置入力セグメント160のシーケンスを形成する。
【0056】
図5Eは、様々な実施形態による、入力セグメントに分割された周波数掃引信号のスペクトログラム表示を示す。周波数掃引信号は、入力セグメント142のシーケンスを含む。入力セグメント142のシーケンスは、入力セグメント502A~502Eを含み、そのそれぞれが、開始時間及び終了時間を有する。入力セグメント142のシーケンスは、
図3の入力セグメント生成器310によって生成される。第1の入力セグメント502Aは、時間T1から時間T2にわたっている。第2の入力セグメント502Bは、時間T2から時間T3にわたっている。第3の入力セグメント502Cは、時間T3から時間T4にわたっている。第4の入力セグメント502Dは、時間T4から時間T5にわたっている。第5の入力セグメント502Eは、時間T5から時間T6にわたっている。周波数掃引信号は、経時的に周波数が増加し、残響テール504を含む。
【0057】
図5Fは、様々な実施形態による、再配置入力セグメント150のシーケンスを含む出力信号のスペクトログラム表示を示す。
図5Fに示される個々の再配置セグメント502A~502Eは、
図5Eに示されるセグメントと同じであるが、順序が異なっている。再配置セグメント150のシーケンスは、[1 4 3 2 5]の符号化キー144を使用して、
図5Eのセグメント142のシーケンスを並べ替えることによって生成される。再配置入力セグメント150のシーケンスは、
図3の再配置セグメント生成器312によって生成される。
【0058】
図5Fに見られるように、セグメント502Aは、T1とT2との間の第1の時間範囲にある。セグメント502Aは、符号化キー144の第1の要素の数「1」によって指定されるように、
図5Eにおいても第1の時間範囲にある。セグメント502Aは、残響テール504Aを有する。セグメント502D(第4のセグメント)は、符号化キー144内の数「4」によって指定されるように、第4の時間範囲(T4とT5との間)からT2とT3との間の第2の時間範囲に移動している。セグメント502Dは、残響テール504Dを有する。セグメント502C(第3のセグメント)は移動しておらず、符号化キー144内の数「3」によって指定されるように、第3の時間範囲(
図5EではT4とT4との間、
図5FではT3とT4との間)にある。セグメント502Cは、残響テール504Cを有する。セグメント502B(第2のセグメント)は、第2の時間範囲(T2とT3との間)から第4の時間範囲(T4とT5との間)に移動している。セグメント502Bは、残響テール504Bを有する。セグメント502E(第5のセグメント)は、移動しておらず、依然として第5の時間範囲(T5とT6との間)にある。セグメント502Eは、残響テール504Eを有する。
【0059】
図5Gは、様々な実施形態による、符号化キーに基づいて決定された復号順序の受信セグメント502を含む復号信号のスペクトログラム表示を示す。セグメント502は、セグメント502Aからセグメント502Eまで、横(時間)軸に沿って元の順序に移動されている。セグメント502を時間軸に沿って異なる位置に移動した結果、残響テール504のいくらかの部分が、対応する受信掃引信号のセグメント502よりも時間的に早い位置に位置している。例えば、テール部分504Cは、セグメント502Cよりも早い時間に移動されている。これらの反因果的な結果は、残響テール504Cの周波数など特定のセグメント502を上回る周波数の信号部分が、再配置入力セグメント150がそれらの元の順序に再配置されて復号信号156を形成するときに、グラフの垂直スライスの一部として移動されることから、発生する。例えば、T4とT5との間のスライス(
図5Fに示す)は、残響テール504Cを含む。スライスは、T2とT3との間の時間範囲に移動されて、
図5Gに示すグラフを形成し、それにより、テール504Cの一部が、セグメント502Cよりも時間的に早いT2とT3との間の時間範囲に移動された。しかしながら、セグメント502Cが、テール504Cによって表される残響を引き起こしたため、セグメント502Cは、テール504Cより先に来る。別の例として、反因果的な残響テール504Dは、セグメント502Dよりも時間的に早く発生する。これらの反因果的な残響テール504C、504Dは、本明細書で説明するように、各セグメント502及び対応する残響テール504の上下の周波数を減衰させるバンドパスフィルタを使用して除去され得る。
【0060】
図5Hは、様々な実施形態による、バンドパスフィルタを使用して、キャプチャされた音響データから生成されたフィルタリング済みセグメント502のスペクトログラム表示を示す。各セグメント502は、明確にするために別個のグラフに示されている。第1のセグメント502Aは、時間T1に始まり、時間軸に沿って残響テールの末尾まで延びる。バンドパスフィルタは、第1のセグメント502Aを上回る周波数を減衰させる矩形領域510A、及び第1のセグメント502Aを下回る周波数を減衰させる矩形領域510Bとして示されている。バンドパスフィルタは、他のセグメント502B~502E及びそれらの対応するテール504B~504Eを除去する。同様に、時間T2に始まるセグメント502Dの上下の周波数が、バンドパスフィルタによって除去されて、矩形領域512A及び512Bとして示されている。
【0061】
さらに、時間T3に始まるセグメント502Cの上下の周波数は、バンドパスフィルタによって除去されて、矩形領域514A及び514Bとして示されている。時間T4に始まるセグメント502Bの上下の周波数はバンドパスフィルタによって除去されて、矩形領域516A及び516Bとして示されている。時間T5に始まるセグメント502Eを下回る周波数は、バンドパスフィルタによって除去されて、矩形領域518として示されている。
【0062】
図5Iは、様々な実施形態による、符号化キーに基づいて決定された復号順序でフィルタリング済みセグメント502A~502Eを含む復号信号156のスペクトログラム表示を示す。この例では、符号化キーは、[1 4 3 2 5]である。復号キーは、セグメント502を並べ替えるために使用されており、それによって、セグメント502は復号順序である。セグメント502Aは、時間T1にあり、セグメント502Bは、時間T2に移動されており、セグメント502Cは、時間T3にあり、セグメント502Dは、時間T4に移動されており、セグメント502Eは、時間T5にある。セグメント502に対応する残響テール504は、
図5Iに示すバンドパスフィルタがそれらの対応するセグメント502と共に残響テール504を維持するため、並べ替えの間は保持される。
【0063】
図6は、様々な実施形態による、符号化キーに基づいて決定された順序でセグメントを有する修正された周波数掃引信号を生成するための方法ステップの流れ図である。本方法のステップは、
図1~
図5Iのシステムと併せて説明されているが、本方法のステップを任意の順序で実行するように構成されたいかなるシステムも本開示の範囲内にあることを、当業者は理解するであろう。
【0064】
図示されるように、方法600は、ステップ602で開始し、ステップ602において、コンピューティングデバイス100が、単調増加する周波数を有する周波数掃引信号を生成する。周波数掃引信号は、例えば、信号の周波数が経時的に単調増加する指数正弦波掃引信号であってもよい。
【0065】
ステップ604で、コンピューティングデバイス100は、周波数掃引信号をN個の入力セグメントに分割し、N個の入力セグメントのそれぞれが異なる周波数範囲を表す。各入力セグメントは、セグメント長308を有する。例えば、周波数掃引信号の周波数が、経時的に1kHz~6kHzまで増加し、5つのパルスがある場合、第1のパルスは1~2kHzであり、第2は2~3kHzであり、第3は3~4kHzであり、第4は4~5kHzであり、第5は5~6kHzである。入力セグメント142A~142Eに分割された例示的な周波数掃引信号を、
図5Aに示す。
【0066】
ステップ606で、コンピューティングデバイス100は、任意で、N個の入力セグメントにおいて、各入力セグメントの後に所与のサイレンス期間長を有するサイレンス期間を含める。ステップ606は、
図3を参照して本明細書で説明されるように、入力セグメント142のシーケンスにサイレンス効果を適用し得る。隣接するセグメントの各ペア間の周波数掃引信号に挿入されるサイレンス期間は、例えば
図7のフローチャートのステップ706によって、マイクロフォンによって受信された信号内の個々のセグメントの識別を容易にし得る。
【0067】
ステップ608で、コンピューティングデバイス100は、それぞれのフェードイン及びフェードアウト期間長を有するフェードイン及びフェードアウト効果を各入力セグメントに追加する。ステップ616により、スピーカーが入力セグメント142に基づく出力信号152に基づいてオーディオを生成するときに、スピーカー204での破裂音を防止するためにフェードイン効果及びフェードアウト効果が入力セグメントに適用される。コンピューティングデバイス100は、ゲインスケーリングを使用して、フェードイン長によって指定され、かつ各入力セグメントの開始時に始まる期間にわたって、周波数掃引信号の各入力セグメントにフェードイン効果を適用し得る。フェードイン長は、パラメータ、例えばセグメント長308の25%などの所定の値であってもよい。フェードイン効果を適用することにより、各入力セグメントの初期部分の振幅は、0dBなどの初期値から、ステップ602で生成される周波数掃引信号の振幅まで徐々に増加するように修正される。コンピューティングデバイス100はまた、ゲインスケーリングを使用して、フェードアウト長によって指定され、かつ各入力セグメントの終了時に終了する期間にわたって、周波数掃引信号の各入力セグメントの後端部分にフェードアウト効果を適用し得る。フェードアウト効果を適用することにより、フェードアウト長パラメータで指定された期間にわたって、振幅Aが初期値(例えば0dB)まで減少される。
【0068】
ステップ610で、コンピューティングデバイス100は、N個の不連続な数のシーケンスを有する符号化キーを生成し、シーケンス内の各数字は1回出現する。符号化キーは、乱数に基づいて生成されてもよく、それによって、異なる時に異なる符号化キーが使用される。一例として、符号化キー144を生成するために、ステップ610においてコンピューティングデバイス100は、符号化キー144を空のシーケンスに初期化し、最初は2~N-1の数を含む利用可能な数のシーケンスを生成する。コンピューティングデバイス100は、利用可能な数のシーケンスから利用可能な数をランダムに選択し、ランダムに選択された利用可能な数を符号化キー144に追加し(例えば、アペンドし)、ランダムに選択された利用可能な数を利用可能な数のシーケンスから除去する。コンピューティングデバイス100は、次いで、利用可能な数のシーケンス内にあり、符号化キーの終端の数と不連続の利用可能な数がもしあれば、その数を識別する。利用可能な数がない場合、コンピューティングデバイス100は、利用可能な数のシーケンスから異なる利用可能な数をランダムに選択する。それ以外の場合、コンピューティングデバイス100は、利用可能な数を符号化キー144に追加し、利用可能な数を利用可能な数のシーケンスから除去する。コンピューティングデバイス100は、符号化器キー144が2~N-1の範囲内の各数を含むまで、上記の動作を繰り返し実行する。
【0069】
ステップ612で、コンピューティングデバイス100は、1つまたは複数の受信機デバイスにキーを送信する。キーは、例えば、通信ネットワークを介して受信機デバイスに送信され得る。ステップ614で、コンピューティングデバイス100は、符号化キー内の不連続数のシーケンスに基づいた順序でN個の入力セグメントのそれぞれを選択することにより、出力信号152を生成する。出力信号152を生成するために、コンピューティングデバイス100は、N個の入力セグメントの再配置されたシーケンスを生成してもよく、各入力セグメントは、再配置されたシーケンスのそれぞれの第2の位置を有し、それぞれの第2の位置は、N個の不連続数のシーケンス内のそれぞれの数に基づく。さらに、それぞれの数は、N個の入力セグメントのうちの入力セグメントの第1の位置に対応するN個の不連続数のシーケンスの位置を有し、出力信号152は、再配置されたシーケンスに基づく。N個の不連続数のシーケンス内の各数の位置は、N個の入力セグメントのうちの入力セグメントの第1の位置に基づいて決定される。ステップ616で、コンピューティングデバイス100は、出力信号152に基づいて、スピーカーにオーディオ空間内でオーディオトーンを生成させる。
【0070】
図7は、様々な実施形態による、修正された周波数掃引信号を復号し、復号信号に基づいて空間インパルス応答を決定するための方法ステップの流れ図である。本方法のステップは、
図1~
図5Iのシステムと併せて説明されているが、本方法のステップを任意の順序で実行するように構成されたいかなるシステムも本開示の範囲内にあることを、当業者は理解するであろう。
【0071】
図示されるように、方法700は、ステップ702で開始し、ステップ702において、コンピューティングデバイス100は、マイクロフォンを使用して、オーディオ空間で発生する音波に基づいて音響データをキャプチャする。音波は、
図6のステップ616で生成されたものなどの出力信号152に基づいて、オーディオ空間内でスピーカーにより生成されるオーディオトーンの結果として発生する。
【0072】
ステップ704で、コンピューティングデバイス100は、音響データに基づいて入力信号を生成する。例えば、
図5Dを参照すると、受信セグメント生成器402は、パターンマッチングを使用して、所与のアライメントブロックパターンに一致するキャプチャされた信号の部分を識別し得る。パターンマッチング技術は、キャプチャされた信号の一部と所与のアライメントブロックパターンとの間の類似度を識別し得る。キャプチャされた信号内のアライメントブロックパターンの位置(例えば、開始時間及び/または終了時間)が、出力信号152の一部に対応するキャプチャされた信号部分の位置を識別する。
【0073】
ステップ706で、コンピューティングデバイス100は、入力信号をN個の受信セグメントに分割し、N個の受信セグメントのそれぞれが、異なる周波数範囲を表す。Nは、符号化パラメータ146によって指定されてもよく、及び/または符号化パラメータ146によって指定されるセグメント長308に基づいて決定されてもよい。
【0074】
ステップ708で、コンピューティングデバイス100は、N個の受信セグメントから、サイレンス期間、フェースイン効果、及びフェードアウト効果を除去する。セグメント間のフェードイン、フェードアウト、及び/またはサイレンス期間などの効果がキャプチャされた信号に存在する場合、受信セグメント生成器402は、
図4に関して本明細書で説明したように、キャプチャされた信号から効果を除去する。
【0075】
ステップ710で、コンピューティングデバイス100は、残響テールフィルタリングが実行されるべきかどうかを決定する。残響テールフィルタリングは任意であり、例えば、残響テールフィルタリングの対応する構成オプションが有効にされた場合に実行される。
【0076】
ステップ710で、残響テールフィルタリングが実行されないと決定した場合、ステップ712で、コンピューティングデバイス100は、N個の受信セグメントの各受信セグメントを符号化キーに基づいた順序で選択することにより、復号信号を生成する。符号化キーは、例えば、送信機デバイスから受信され得る。
【0077】
ステップ710で、残響テールフィルタリングが実行されると決定した場合、ステップ714で、コンピューティングデバイス100は、バンドパスフィルタを使用して、受信セグメントのそれぞれの受信セグメントをフィルタリングすることによって、N個のフィルタリング済みセグメントを生成し、N個のフィルタリング済みセグメントのシーケンスは、符号化キーに基づく順序であり、ステップ716で、コンピューティングデバイス100は、N個の受信セグメントの各フィルタリング済みセグメントを符号化キーに基づく順序で選択することにより、復号信号を生成する。符号化キー144は、入力セグメント142が選択される順序を指定する。選択順序は、入力セグメント142内のセグメントを識別するセグメント番号のシーケンスとして指定される。
【0078】
各受信セグメントを選択することによって復号信号を生成するために、コンピューティングデバイスは、N個のフィルタリング済みセグメントを生成してもよく、各フィルタリング済みセグメントは、バンドパスフィルタを使用して、受信セグメントのそれぞれの受信セグメントをフィルタリングすることによって生成される。復号信号は、N個のフィルタリング済みセグメントのそれぞれを、符号化キーの不連続数のシーケンスに基づく順序で選択することによって生成される。ステップ712で、コンピューティングデバイス100は、適当な技術を使用して、復号信号に基づいて空間インパルス応答を決定する。
【0079】
要約すると、コンピュータベースのオーディオシステムは、所与の信号(例えば、周波数掃引信号または指数正弦波掃引)を、所与の信号からのセグメントが所与の信号とは異なる順序である修正信号に変換することによって、室内インパルス応答を生成する。修正信号は、次いで所与の信号の代わりに使用されて、RIRが決定される。RIRを生成するために、オーディオシステムは、音響空間内のスピーカーに、修正信号に基づいてオーディオトーンを生成させる。音響空間内のマイクロフォンは、スピーカーが生成したオーディオトーンに応答して室内で発生する音波に基づいて、音響データをキャプチャする。オーディオシステムは次いで、キャプチャされた音響データ内のセグメントを識別し、セグメントが元の所与の信号と同じ順序である並べ替えられた信号を生成する。RIRは、次いで所与の信号及び並べ替えられた信号から決定される。音波は、オーディオトーンの残響を含み、残響は、残響を引き起こす修正信号のセグメントの後しばらく続く。元の信号と同じ順序ではない受信セグメントの残響テールのコピーを除去するために、各セグメントは、並べ替えられた信号に並べ替えられる前に、バンドパスフィルタリングされる。いくつかの実施形態では、受信セグメントの予想周波数範囲外の周波数は、バンドパスフィルタによって除去され、残響テールは、受信セグメントを並べ替える間維持され、それによって、復号信号は残響テールを含む。
【0080】
先行技術と比較した開示技術の少なくとも1つの技術的利点は、開示技術を用いると、先行技術のテストオーディオ信号よりも人間のリスナーに混乱を与えないテストオーディオ信号を使用して室内インパルス応答が決定され得ることである。開示技術のテストオーディオ信号は、先行技術のテストオーディオ信号よりも人間のリスナーにとって快適でもある。開示技術のテストオーディオ信号はまた、音楽などの他の音とミキシングされて、テストオーディオ信号の混乱をさらに低減することができる。さらに、受信セグメントの予想周波数範囲外の周波数は、バンドパスフィルタによって除去され、残響テールは、受信セグメントを並べ替える間維持され、それによって、復号信号は、残響テールを含み、残響テールを維持することなく壁距離推定値を計算することと比較して正確な壁距離推定値が得られる距離範囲を、大幅に改善する。これらの技術的利点は、先行技術のアプローチに対する1つまたは複数の技術的改善を表す。
【0081】
1.いくつかの実施形態では、空間インパルス応答を測定するための信号を生成するためのコンピュータ実施方法は、単調増加する周波数を有する周波数掃引信号を生成することと、前記周波数掃引信号をN個の入力セグメントに分割することであって、前記N個の入力セグメントのそれぞれが、異なる周波数範囲を表す、前記分割することと、N個の不連続数のシーケンスを有する符号化キーを生成することであって、前記シーケンス内の各数が1回出現する、前記生成することと、前記符号化キーの前記N個の不連続数のシーケンスに基づいて、前記N個の入力セグメントのそれぞれを順番に選択することによって出力信号を生成することと、前記出力信号に基づいて、スピーカーにオーディオ空間でオーディオトーンを生成させること、を含む。
【0082】
2.前記N個の入力セグメントの各入力セグメントが、前記N個の入力セグメントのうちの前記入力セグメントのそれぞれの第1の位置に関連付けられ、前記出力信号を生成することが、前記N個の入力セグメントの再配置されたシーケンスを生成することであって、各入力セグメントが、前記再配置されたシーケンス内のそれぞれの第2の位置を有し、前記それぞれの第2の位置が、前記N個の不連続数のシーケンス内の前記それぞれの第1の位置に対応する数のそれぞれの位置に基づく、前記生成することを含み、前記出力信号が、前記再配置されたシーケンスに基づく、条項1に記載の方法。
【0083】
3.前記出力信号が、前記N個の入力セグメントのうちの第1の入力セグメントに対応する第1の出力信号セグメントと、前記第1の出力信号セグメントに隣接する前記N個の入力セグメントのうちの第2の入力セグメントに対応する第2の出力信号セグメントとの間の境界において周波数に不連続性を有する、条項1または条項2に記載の方法。
【0084】
4.前記出力信号が、前記出力信号の前のセグメントの周波数範囲よりも低い周波数範囲を有する少なくとも1つのセグメントを含む、条項1~3のいずれかに記載の方法。
【0085】
5.Nが、前記周波数掃引信号の長さ及び各入力セグメントの所定の長さに基づく、条項1~4のいずれかに記載の方法。
【0086】
6.前記出力信号を生成することが、前記出力信号において、隣接する入力セグメントの各ペア間に所与の長さのサイレンス期間を含むことを含む、条項1~5のいずれかに記載の方法。
【0087】
7.前記出力信号を生成することが、前記N個の入力セグメントの各セグメントにおいて、前記セグメントの開始フェードイン部分を、期間にわたって増加する振幅を有するフェードイン部分に変換すること、または前記N個の入力セグメントの各セグメントにおいて、前記セグメントの終端で終了する前記セグメントの部分を、期間にわたって減少する振幅を有するフェードアウト部分に変換すること、の1つまたは複数を含む、条項1~6のいずれかに記載の方法。
【0088】
8.マイクロフォンを使用して、前記オーディオ空間で発生する音波に基づいて音響データをキャプチャすることと、前記音響データに基づいて入力信号を生成することと、前記入力信号をN個の受信セグメントに分割することであって、前記N個の受信セグメントのそれぞれが、異なる周波数範囲を表す、前記分割することと、前記符号化キーの前記N個の不連続数のシーケンスに基づいて、前記N個の受信セグメントの各受信セグメントを順番に選択することによって復号信号を生成することであって、前記復号信号が、単調増加する周波数を有する、前記生成することと、前記復号信号に基づいて空間インパルス応答を決定することと、をさらに含む、条項1~7のいずれかに記載の方法。
【0089】
9.前記受信セグメントの前記周波数範囲に基づく周波数範囲を有するバンドパスフィルタを用いて、各受信セグメントをフィルタリングすることをさらに含む、条項1~8のいずれかに記載の方法。
【0090】
10.前記N個の受信セグメントの各受信セグメントのフェードイン部分及びフェードアウト部分を除去することをさらに含む、条項1~9のいずれかに記載の方法。
【0091】
11.プログラム命令を記憶する1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記プログラム命令が、1つまたは複数のプロセッサにより実行されると、前記1つまたは複数のプロセッサに、単調増加する周波数を有する周波数掃引信号を生成するステップと、前記周波数掃引信号をN個の入力セグメントに分割するステップであって、前記N個の入力セグメントのそれぞれが、異なる周波数範囲を表す、前記分割するステップと、N個の不連続数のシーケンスを有する符号化キーを生成するステップであって、前記シーケンス内の各数が1回出現する、前記生成するステップと、符号化キーのN個の不連続数のシーケンスに基づいて、N個の入力セグメントのそれぞれを順番に選択することによって出力信号を生成するステップと、前記出力信号に基づいて、スピーカーにオーディオ空間でオーディオトーンを生成させるステップと、を実行させる、前記1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0092】
12.前記N個の入力セグメントの各入力セグメントが、前記N個の入力セグメントのうちの前記入力セグメントのそれぞれの第1の位置に関連付けられ、前記出力信号を生成するステップが、前記N個の入力セグメントの再配置されたシーケンスを生成することであって、各入力セグメントが、前記再配置されたシーケンス内のそれぞれの第2の位置を有し、前記それぞれの第2の位置が、前記N個の不連続数のシーケンス内の前記それぞれの第1の位置に対応する数のそれぞれの位置に基づく、前記生成することを含み、前記出力信号が、前記再配置されたシーケンスに基づく、条項11に記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0093】
13.前記出力信号が、前記N個の入力セグメントのうちの第1の入力セグメントに対応する第1の出力信号セグメントと、前記第1の出力信号セグメントに隣接する前記N個の入力セグメントのうちの第2の入力セグメントに対応する第2の出力信号セグメントとの間の境界において周波数に不連続性を有する、条項11または条項12に記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0094】
14.前記符号化キーが、少なくとも1つのランダム値にさらに基づく、条項11~13のいずれかに記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0095】
15.前記ステップが、前記符号化キー及び1つまたは複数の入力セグメント長を1つまたは複数の受信機デバイスに送信するステップをさらに含み、各入力セグメント長が、前記N個の入力セグメントのうちの入力セグメントの長さを示す、条項11~14のいずれかに記載の1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0096】
16.システムであって、命令を記憶する1つまたは複数のメモリと、前記1つまたは複数のメモリに結合された1つまたは複数のプロセッサであって、前記命令を実行すると、単調増加する周波数を有する周波数掃引信号を生成し、前記周波数掃引信号をN個の入力セグメントに分割し、前記N個の入力セグメントのそれぞれが、異なる周波数範囲を表し、N個の不連続数のシーケンスを有する符号化キーを生成し、前記シーケンス内の各数が1回出現し、前記符号化キーの前記N個の不連続数のシーケンスに基づいて、前記N個の入力セグメントのそれぞれを順番に選択することによって出力信号を生成し、前記出力信号に基づいて、スピーカーにオーディオ空間でオーディオトーンを生成させる、前記1つまたは複数のプロセッサと、を備える、前記システム。
【0097】
17.前記N個の入力セグメントの各入力セグメントが、前記N個の入力セグメントのうちの前記入力セグメントのそれぞれの第1の位置に関連付けられ、前記出力信号を生成することが、前記N個の入力セグメントの再配置されたシーケンスを生成することであって、各入力セグメントが、前記再配置されたシーケンス内のそれぞれの第2の位置を有し、前記それぞれの第2の位置が、前記N個の不連続数のシーケンス内の前記それぞれの第1の位置に対応する数のそれぞれの位置に基づく、前記生成することを含み、前記出力信号が、前記再配置されたシーケンスに基づく、条項16に記載のシステム。
【0098】
18.前記出力信号が、前記N個の入力セグメントのうちの第1の入力セグメントに対応する第1の出力信号セグメントと、前記第1の出力信号セグメントに隣接する前記N個の入力セグメントのうちの第2の入力セグメントに対応する第2の出力信号セグメントとの間の境界において周波数に不連続性を有する、条項16または条項17に記載のシステム。
【0099】
19.前記出力信号が、前記出力信号の前のセグメントの周波数範囲よりも低い周波数範囲を有する少なくとも1つのセグメントを含む、条項16~18のいずれかに記載のシステム。
【0100】
20.Nが、前記周波数掃引信号の長さ及び各入力セグメントの所定の長さに基づく、条項16~19のいずれかに記載のシステム。
【0101】
任意の請求項に列挙した任意の請求項要素、及び/または本出願に記載した任意の要素の、任意の方法での任意の組み合わせ及び全ての組み合わせは、本開示及び保護の企図した範囲内に入る。
【0102】
様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であることも、または開示した実施形態に限定されることも意図していない。説明した実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく、多くの変更形態及び変形形態が、当業者には明らかであろう。
【0103】
本実施形態の態様は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として具現化され得る。したがって、本開示の態様は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)または本明細書において全て全般に「モジュール」もしくは「システム」と称され得るソフトウェア及びハードウェア態様を組み合わせた実施形態の形態をとり得る。さらに、本開示の態様は、具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有する1つまたは複数のコンピュータ可読媒体(複数可)に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取り得る。
【0104】
1つまたは複数のコンピュータ可読媒体(複数可)の任意の組み合わせが利用され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、もしくは半導体のシステム、機器、もしくはデバイス、または前述の任意の好適な組み合わせであり得るが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)は、1つもしくは複数の配線を有する電気接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROMもしくはフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD‐ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または前述の任意の好適な組み合わせを含むものとする。本文書の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスにより使用する、またはそれらと接続する、プログラムを包含または記憶し得る任意の有形媒体であり得る。
【0105】
本開示の態様は、本開示の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/またはブロック図を参照して上記に説明される。フローチャート図及び/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図及び/またはブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令により実施され得ることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行する命令が、フローチャート及び/またはブロック図のブロックまたは複数のブロックに指定される機能/動作の実施を可能にするように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または機械を製造するための他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供され得る。このようなプロセッサは、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、特定用途向けプロセッサ、またはフィールドプログラマブルゲートアレイであり得るが、これらに限定されない。
【0106】
図中のフローチャート及びブロック図は、本開示の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実施態様のアーキテクチャ、機能、及び動作を示す。これに関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能(複数可)を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、またはコードの部分を表し得る。いくつかの代替的な実施態様では、ブロックに記される機能は、図に記される順番以外でも起こり得ることにも留意されたい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、ほぼ同時に実行されてもよく、または関与する機能に応じて、ブロックは時には逆の順序で実行されてもよい。ブロック図及び/またはフローチャート図の各ブロック、ならびにブロック図及び/またはフローチャート図のブロックの組み合わせは、指定された機能もしくは動作を実行する専用ハードウェアベースシステム、または専用ハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせにより、実施され得ることにも留意されたい。
【0107】
上記は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態が、その基本的な範囲から逸脱することなく考案されてもよく、その範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定される。