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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021458
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】薬剤揮散容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/00 20060101AFI20250205BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20250205BHJP
   A61L 9/12 20060101ALI20250205BHJP
   A01M 1/20 20060101ALI20250205BHJP
   A01M 29/12 20110101ALI20250205BHJP
【FI】
B65D85/00 A
B65D83/00 F
A61L9/12
A01M1/20 D
A01M29/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024123184
(22)【出願日】2024-07-30
(31)【優先権主張番号】P 2023124407
(32)【優先日】2023-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000100539
【氏名又は名称】アース製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇坂 暁介
(72)【発明者】
【氏名】菅野 夏基
【テーマコード(参考)】
2B121
3E068
4C180
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121CA02
2B121CA15
2B121CA44
2B121CA51
2B121CA67
2B121CC02
2B121CC22
2B121CC31
2B121EA01
2B121FA01
2B121FA13
2B121FA20
3E068AA40
3E068AB10
3E068AC05
3E068BB01
3E068CC02
3E068CD01
3E068CE02
3E068DD08
3E068DD30
3E068DE13
3E068EE40
4C180AA02
4C180AA13
4C180AA18
4C180CA07
4C180CA08
4C180CC15
4C180CC17
4C180FF07
4C180MM06
(57)【要約】
【課題】内部に収容された薬剤の成分を効果的に揮散できるとともに、玄関ドア等の屋外側に吊り下げて使用した場合であってもドアに対する衝突頻度が抑制され、且つ、衝突音を低減できる薬剤揮散容器を提供する。
【解決手段】容器本体2が、薬剤Mを支持可能な底板部と、少なくとも前板21及び後板22を有する側板部20とを備えた筒状とされ、前板21及び後板22の表面は、容器本体2の長手方向に対して直行する幅方向で湾曲した曲面状とされており、前板21には、容器本体2の内部に収容された薬剤Mの成分を外部に向けて揮散可能な複数の揮散口21a~21fが設けられており、複数の揮散口21a~21fのうちの少なくとも一部が、前板21における曲面の頂部を中心として幅方向で離間するように一対で対称配置されることで、一対の揮散口の各々の間が通気可能に構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温揮散性の薬剤を内部に収容する容器本体を備えた薬剤揮散容器であって、
前記容器本体は、前記薬剤を支持可能な底板部と、少なくとも前板及び後板を有する側板部と、を備えた筒状とされ、
前記前板の表面は、前記容器本体の長手方向に対して直行する幅方向で湾曲した曲面状とされており、
前記前板には、前記容器本体の内部に収容された前記薬剤の成分を外部に向けて揮散可能な複数の揮散口が設けられており、
前記複数の揮散口のうちの少なくとも一部が、前記前板における曲面の頂部を中心として前記幅方向で離間するように一対で対称配置されることで、前記一対の揮散口の各々の間が通気可能に構成されていることを特徴とする薬剤揮散容器。
【請求項2】
常温揮散性の薬剤を内部に収容する容器本体を備えた薬剤揮散容器であって、
前記容器本体は、前記薬剤を支持可能な底板部と、少なくとも前板及び後板を有する側板部と、を備えた筒状とされ、
前記前板及び前記後板の表面は、前記容器本体の長手方向に対して直行する幅方向で湾曲した曲面状とされており、
前記前板には、前記容器本体の内部に収容された前記薬剤の成分を外部に向けて揮散可能な複数の揮散口が設けられており、
前記側板部には、さらに、前記前板から前記底板部とは反対側に延出するように設けられ、前記薬剤揮散容器を懸吊支持するための懸吊部材を取り付け可能な懸吊板が備えられていることを特徴とする薬剤揮散容器。
【請求項3】
前記容器本体における前記側板部の前記後板を、前記薬剤揮散容器の設置面と対向させて配置し、前記懸吊板に取り付けられた前記懸吊部材によって前記薬剤揮散容器を懸吊支持させたとき、前記後板の表面の前記設置面に対する傾斜角度が5~15°の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の薬剤揮散容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤揮散容器に関し、特に、防虫や忌避等の機能成分を含む薬剤を収容して外部に揮散させることが可能な薬剤揮散容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、薬剤揮散容器に収容した、殺虫成分や忌避成分、香料成分等を含む揮散性の薬剤を空気中に揮散させることで、防虫や忌避等を行う防虫器具が知られている。このような防虫器具は、使用される場面も様々であり、例えば、特許文献1,2には、ベランダに設置された物干し竿や、玄関ドア等のノブに吊り下げて用いる懸吊タイプのものが開示されている。また、防虫器具は、上記のような吊り下げ使用のみならず、例えば、玄関や物置等、屋外に連通する場所に設けられる棚やシューズボックス等の他、屋外に設けられた棚等の上に設置して使用することも可能とされる。
【0003】
上述した防虫器具を構成する薬剤揮散容器は、一般に、例えば、概略で箱型とされた容器状に構成される。このような薬剤揮散容器においては、箱型とされた容器の少なくとも一つの面に、薬剤の成分を外部に揮散させるための複数の揮散口が設けられる。そして、この薬剤揮散容器を使用場所に設置する場合には、例えば、玄関等のような屋外に通じる場所に、揮散口が設けられた面が露出する向きで据え置くか、あるいは、玄関ドア等における屋外側の面に、揮散口が設けられた面が露出するように、ノブに吊り下げる等の方法で設置する。
【0004】
上記のような箱型の薬剤揮散容器を据え置きで設置する場合には、例えば、玄関等に設けられた棚上の限られたスペースにおいて、壁際等に設置される場合もある。また、薬剤揮散容器を玄関ドアのノブに吊り下げて設置した場合には、容器裏面側がドア側に配置される。このため、薬剤揮散容器による薬剤成分の揮散作用は、主として、壁やドアと対向する面とは反対側の露出面側で発現される。
【0005】
一方、薬剤揮散容器における露出面側で薬剤成分を効果的に揮散させるためには、この面に設けられた揮散口の通気性が重要となる。しかしながら、単に、薬剤揮散容器の一面に揮散口を複数で設けただけでは、薬剤揮散容器の内部に収容された薬剤の成分を効果的に揮散できるほどの通気性は得られにくいという問題がある。
【0006】
また、防虫器具に用いられる薬剤揮散容器には、一般に、樹脂製あるいは樹脂を用いた複合シートからなるものが採用される。このような薬剤揮散容器を、例えば、玄関ドアにおける屋外側のノブ等に吊り下げて使用した場合、ドアの開閉や風の影響に伴う揺動等により、薬剤揮散容器がドアの表面に衝突することがある。このような場合、居住者や近隣の住民等が、衝突音を不快な騒音として感じ取るおそれがあることのみならず、薬剤揮散容器がドアの表面に対して強く衝突した際にドアを傷つけてしまう懸念もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-132216号公報
【特許文献2】特開2003-250416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】

ここで、例えば、薬剤揮散容器の材料に紙を採用することで、紙材料による衝撃吸収作用により、薬剤揮散容器を玄関ドアのノブに吊り下げて使用した場合の、ドアの屋外側の面に容器が衝突したときの衝突音を低減させることも考えられる。しかしながら、単に、薬剤揮散容器の材料に紙を用いたとしても、風やドアの開閉等に伴う容器自体の揺動を抑制できるものではないため、やはり、容器全体が風等で大きく揺動してドアに衝突する懸念がある他、風で容器自体が飛ばされてしまうおそれもある。
【0009】
また、上述した特許文献1,2に記載された薬剤揮散容器は、何れも、複数で設けられる揮散口の構成が、内部に収容された薬剤の成分を効果的に揮散させるための通気性の確保を考慮したものではなかった。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、内部に収容された薬剤の成分を効果的に揮散できるとともに、玄関ドア等の屋外側に吊り下げて使用した場合であっても、ドアに対する衝突頻度が抑制され、且つ、衝突音を低減することが可能な薬剤揮散容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明者等は鋭意検討を重ねた。
この結果、まず、容器本体を構成する前板の表面を幅方向で湾曲した曲面状とし、且つ、前板に設けられる複数の揮散口の少なくとも一部が幅方向で離間するように一対で対称配置され、一対の揮散口の各々の間が通気可能とされていることで、内部に収容された薬剤の成分を効果的に揮散できることを見出した。
また、容器本体を構成する前板及び後板の両方の表面を幅方向で湾曲した曲面状とし、さらに、薬剤揮散容器を懸吊支持するための懸吊部材を取り付け可能な懸吊板が前板から延出するように設けられていることで、設置面に対する衝突頻度が抑制され、且つ、衝突音を低減することが可能になることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
即ち、本発明は、常温揮散性の薬剤を内部に収容する容器本体を備えた薬剤揮散容器であって、前記容器本体は、前記薬剤を支持可能な底板部と、少なくとも前板及び後板を有する側板部と、を備えた筒状とされ、前記前板の表面は、前記容器本体の長手方向に対して直行する幅方向で湾曲した曲面状とされており、前記前板には、前記容器本体の内部に収容された前記薬剤の成分を外部に向けて揮散可能な複数の揮散口が設けられており、前記複数の揮散口のうちの少なくとも一部が、前記前板における曲面の頂部を中心として前記幅方向で離間するように一対で対称配置されることで、前記一対の揮散口の各々の間が通気可能に構成されていることを特徴とする薬剤揮散容器を提供する。
【0013】
また、本発明は、常温揮散性の薬剤を内部に収容する容器本体を備えた薬剤揮散容器であって、前記容器本体は、前記薬剤を支持可能な底板部と、少なくとも前板及び後板を有する側板部と、を備えた筒状とされ、前記前板及び前記後板の表面は、前記容器本体の長手方向に対して直行する幅方向で湾曲した曲面状とされており、前記前板には、前記容器本体の内部に収容された前記薬剤の成分を外部に向けて揮散可能な複数の揮散口が設けられており、前記側板部には、さらに、前記前板から前記底板部とは反対側に延出するように設けられ、前記薬剤揮散容器を懸吊支持するための懸吊部材を取り付け可能な懸吊板が備えられていることを特徴とする薬剤揮散容器を提供する。
【0014】
本発明の薬剤揮散容器は、上記の態様において、前記容器本体における前記側板部の前記後板を、前記薬剤揮散容器の設置面と対向させて配置し、前記懸吊板に取り付けられた前記懸吊部材によって前記薬剤揮散容器を懸吊支持させたとき、前記後板の表面の前記設置面に対する傾斜角度が5~15°の範囲である構成を採用できる。
【0015】
本明細書における、容器本体の「長手方向に対して直行する幅方向」とは、筒状の容器本体の軸方向(即ち、長手方向)に直行する方向のことをいう(例えば、図2Aに示す薬剤揮散容器1の正面図等を参照)。
また、「幅方向で湾曲した曲面状」とは、上記の幅方向で、容器本体の外側に向かって膨らむように滑らかに湾曲することをいう(例えば、図4A及び図4Bに示す薬剤揮散容器1の底面図及び平面図等を参照)。
また、複数の揮散口(の少なくとも一部)が、「前記前板における曲面の頂部を中心として前記幅方向で離間するように一対で対称配置される」とは、前板の曲面をなす円弧の頂部を「中心」とみなしたとき、この「中心」を基準位置として、上記の幅方向で対称配置されることをいう(例えば、図2Aの正面図、及び、図5のA-A端面図等を参照)。
【発明の効果】
【0016】
本発明の薬剤揮散容器によれば、まず、容器本体を構成する前板の表面を幅方向で湾曲した曲面状とし、且つ、前板に設けられる複数の揮散口の少なくとも一部が幅方向で離間するように一対で対称配置され、一対の揮散口の各々の間が通気可能とされた態様を採用することで、内部に収容された薬剤の成分を効果的に揮散できる。
また、本発明の薬剤揮散容器によれば、容器本体を構成する前板及び後板の両方の表面を幅方向で湾曲した曲面状とし、さらに、薬剤揮散容器を懸吊支持するための懸吊部材を取り付け可能な懸吊板が前板から延出するように設けられた態様を採用することで、設置面に対する衝突頻度が抑制され、且つ、衝突音を低減することが可能になる。
本発明の他の目的、特徴及び利点については、添付図面を参照した以下の本発明の実施の形態の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明に係る薬剤揮散容器の一実施形態について説明する図であり、薬剤揮散容器の全体の構成を示す斜視図である。
図2A図2Aは、本発明に係る薬剤揮散容器の一実施形態について説明する図であり、容器本体を前板側から見た正面図である。
図2B図2Bは、本発明に係る薬剤揮散容器の一実施形態について説明する図であり、容器本体を後板側から見た背面図である。
図3A図3Aは、本発明に係る薬剤揮散容器の一実施形態について説明する図であり、容器本体を側方から見た側面図である。
図3B図3Bは、本発明に係る薬剤揮散容器の一実施形態について説明する図であり、容器本体を側方から見た側面図である。
図4A図4Aは、本発明に係る薬剤揮散容器の一実施形態について説明する図であり、容器本体を底板部側から見た底面図である。
図4B図4Bは、本発明に係る薬剤揮散容器の一実施形態について説明する図であり、容器本体を上板部側から見た平面図である。
図5図5は、本発明に係る薬剤揮散容器の一実施形態について説明する図であり、図2A中に示したA-A端面図である。
図6図6は、本発明に係る薬剤揮散容器の一実施形態について説明する図であり、薬剤揮散容器をドアのノブに吊り下げた状態を示す概略図である。
図7A図7Aは、本発明に係る薬剤揮散容器の実施例の試験条件について説明する図であり、本発明例(実施例)のサンプルを後板側から見た背面図である。
図7B図7Bは、本発明に係る薬剤揮散容器の実施例の試験条件について説明する図であり、比較例のサンプルを後板側から見た背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る薬剤揮散容器の第1及び第2の実施の形態を挙げ、図面を適宜参照しながら詳しく説明する。
なお、以下の説明で用いる各図面は、本発明の薬剤揮散容器の特徴をわかりやすくするため、便宜上、特徴となる部分を若干拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更を施して実施することが可能である。
【0019】
また、本明細書においては、以下の第1の実施形態及び第2の実施形態の両方において、共通の図面(図1~5)を参照して説明する。即ち、以下の各実施形態で説明する薬剤揮散容器は、基本的に同一の構成を有するものであるが(図1等に示す薬剤揮散容器1を参照)、それらの設置形態等の説明の都合上、本明細書においては、第1の実施形態と第2の実施形態とに分けて説明する。即ち、第1の実施形態においては、図1等に示す薬剤揮散容器1を、図示略の棚やテーブルの上に据え置いて使用する形態を中心に説明する一方、第2の実施形態では、薬剤揮散容器1をドア10のノブ11に吊り下げて使用する形態(図6を参照)を中心に説明する。
【0020】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態の薬剤揮散容器について、図1図5を参照しながら詳述する。
図1は、本実施形態の薬剤揮散容器1の全体の構成を示す斜視図である。
図2Aは、容器本体2を側板部20の前板21側から見た正面図、図2Bは後板22側から見た背面図である。
図3A及び図3Bは、容器本体2を側方から見た側面図である。
図4Aは、容器本体2を底板部3側から見た底面図であり、図4Bは、上板部4側から見た平面図である。
図5は、図2A中に示した容器本体2のA-A切断線からみた端面図である。
【0021】
[薬剤揮散容器の全体構成]
図1図2A及び図2B図3A及び図3B、並びに、図4A及び図4Bに示すように、本実施形態の薬剤揮散容器1は、常温揮散性の薬剤Mを内部に収容する容器本体2を備えて概略構成される。また、図1に示す例の薬剤揮散容器1は、さらに、薬剤Mを容器本体2の内部で保持するための薬剤保持体7を有する。
【0022】
本実施形態の薬剤揮散容器1(容器本体2)に収容され、外部に薬剤成分を揮散させるための薬剤Mとしては、例えば、殺虫成分、及び、害虫が忌避する成分を所定量で含むとともに、必要に応じて芳香成分等を選択的に含有する薬剤が挙げられる。また、薬剤Mとしては、例えば、上記の殺虫成分、忌避成分、及び芳香成分のうちの少なくとも何れかを単独で含む薬剤も挙げられる。即ち、本実施形態において説明する薬剤Mには、殺虫成分等を含んでなる薬剤のみならず、例えば、忌避や芳香用途で用いられる薬剤等も含まれる。
【0023】
容器本体2は、薬剤Mを支持可能な底板部3と、少なくとも前板21及び後板22を有する側板部20とを備えた概略筒状に構成されている。
容器本体2を構成する側板部20は、少なくとも前板21の表面が、容器本体2の長手方向に対して直行する幅方向で湾曲した曲面状とされている。また、図示例においては、後板22の表面も、前板21と同様、容器本体2の幅方向で湾曲した曲面状とされている。
【0024】
容器本体2は、側板部20によって確保された筒状空間の両端が、底板部3及び上板部4の各板によって覆われている。これにより、容器本体2(薬剤揮散容器1)は、概略で所謂ピローボックス型の外形状を有して構成される。
【0025】
また、図1図2A及び図2B等に示す例の薬剤揮散容器1は、後述の第2の実施形態でより詳細に説明するが、前板21から底板部3とは反対側に延出するように設けられ、薬剤揮散容器1を懸吊支持するための懸吊部材6(図6を参照)を取り付けることが可能な懸吊板5が備えられている。
【0026】
前板21には、容器本体2の内部に収容された薬剤Mの成分を外部に向けて揮散可能な複数の揮散口が設けられており、図示例においては、計6か所の揮散口21a~21fが設けられている。また、図示例における複数の揮散口21a~21fは、平面視形状が、角部がR形状とされた概略正方形状とされている。
【0027】
そして、容器本体2においては、複数の揮散口21a~21fのうちの少なくとも一部が、前板21における曲面の頂部21T(図2A中において一点鎖線で示した箇所を参照)を中心として幅方向で離間するように一対で対称配置される。図示例においては、複数の揮散口21a~21fのうち、揮散口21a,21b、揮散口21c,21d、及び、揮散口21e,21fが、それぞれ一対で対称配置されており、これら計三対の各揮散口が、容器本体2の長さ方向で等間隔に配置されている。
【0028】
複数の揮散口21a~21fの寸法は、特に限定されないが、図示例のような概略正方形状とした場合、通気性を考慮し、例えば、5×5mm~12×12mm程度とすることができる。
あるいは、複数の揮散口21a~21fは、例えば、直径が5~20mm程度とされた円形状とすることも可能である。
【0029】
また、容器本体2の前板21及び後板22における底板部3側には、例えば、テーブルや棚等の上面に接地させることで、薬剤揮散容器1を据え置きで設置するための一対の接地片23a,23bが設けられており、図示例では、容器本体2の幅方向で両端側に配置されている。
【0030】
底板部3は、筒状の容器本体2における一端側、即ち、容器本体2の下部側に配置され、この位置で容器本体2の一端側を概略で覆うように設けられる。図4Aに示す例では、底板部3は、幅方向(容器本体2)における両端側が開口するように、容器本体2の幅方向の寸法よりも若干小さな幅とされている。
底板部3は、容器本体2の下部(一端)側を覆うように配置されることで、容器本体2の内部に収容される、薬剤Mが含侵・保持された薬剤保持体7を支持する。
また、底板部3は、上述したように、幅方向の両端側が開口していることで、この位置からも、薬剤Mの成分を外部に揮散させることが可能な構成とされている。
【0031】
上板部4は、筒状の容器本体2における他端側、即ち、容器本体2の上部側に配置され、この位置で容器本体2の他端側を概略で覆うように設けられる。図4Bに示す例では、上板部4も、上述した底板部3と同様、幅方向(容器本体2)における両端側が開口するように、容器本体2の幅方向の寸法よりも若干小さな幅とされている。
上板部4は、容器本体2の上部(他端)側を覆うように配置されることで、例えば、容器本体2の内部に収容される、薬剤Mが含侵・保持された薬剤保持体7が、容器本体2の上部から飛び出したりするのを防止する。
また、上板部4は、上述した底板部3と同様、幅方向の両端側が開口していることで、この位置からも、薬剤Mの成分を外部に揮散させることが可能な構成とされている。
【0032】
容器本体2の材質としては、特に限定されないが、詳細を後述する薬剤揮散容器1と外部との衝突音の低減や、材料コスト、生産性及び薬剤成分の揮散性等を考慮し、紙を用いることが好ましい。容器本体2を紙材料から構成することで、仮に、薬剤揮散容器1が外部と衝突した場合でも、紙の反発係数は低いことから、衝突によって弾んだ後の衝突回数が低減されるので、衝突頻度が抑制される。また、容器本体2を紙材料から構成することで、衝突音を可能な限り低減することが可能になるとともに、天然性を有する素材感を発現することも可能になる。
一方、容器本体2に、例えば、金属や樹脂単体の材料を用いた場合、特に、後述の第2の実施形態で詳述するような外部との衝突音を低減し難くなるという問題が生じ、また、コストや薬剤成分の揮散性の面でもメリットは小さい。
【0033】
また、容器本体2を紙製とすることで、薬剤揮散容器1の使用後、即ち、薬剤Mによる効果発現期限が過ぎた場合には、そのまま可燃ごみとするか、あるいは、紙リサイクルに供することも可能となる。従って、近年高まっているSDGs(持続可能な開発目標)の要求にも応えられるものとなる。
【0034】
また、容器本体2の材質は、一定の柔軟性や強度特性、薬剤成分の揮散性等を有するものであれば、紙単体の材料には限定されず、例えば、合成樹脂シートと紙との積層体からなるシート材料を採用してもよい。このようなシート材料としては、例えば、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートの合成樹脂シートと紙との積層体等が挙げられる。
【0035】
また、容器本体2の材質に紙を用いる場合には、薬剤揮散容器1を屋外に設置する場合等も考慮し、少なくとも容器本体2の外面側が一定の耐水性及び対候性を有するよう、適宜、コーティング等を施した紙材料を用いることがより好ましい。
【0036】
薬剤保持体7は、上述したように、薬剤Mを容器本体2の内部に保持するためのものであり、例えば、上述した調合液からなる薬剤Mを含侵させることが可能な粒状物、粒子等から構成される。このような、薬剤Mが含侵された薬剤保持体7は、例えば、不織布等からなる袋体に収容した状態で、容器本体2の内部に収容される。なお、図1中においては(図1中の破線を参照)、図示の都合上、薬剤Mを含侵する薬剤保持体7が袋体に収容された状態を、矩形の箱状に描いている。
【0037】
薬剤保持体7の材質としても、薬剤Mを含侵可能なものであれば、特に限定されないが、例えば、樹脂やパルプ材料等からなるシート、マット、ネット、粒状物、又は粒子等を用いることができる。
また、袋体の材質としても、特に限定されないが、内部に収容される薬剤保持体7から薬剤Mの成分を外部に効率よく揮散させるための透過性を有していること等も考慮し、例えば、ポリエステルやパルプ材料等からなる不織布等を採用することが可能である。
【0038】
なお、本実施形態においては、例えば、本体容器2に対して目止め処理等を施すことで、本体容器2の内部に、薬剤M、又は、調合液からなる薬剤Mが含侵された薬剤保持体7を直接収容することも可能であり、この場合には、袋体を省略することが可能となる。
【0039】
本実施形態の薬剤揮散容器1は、上記のように、前板21の表面が曲面とされ、この前板21に、複数の揮散口21a~21fの各々が適正配置されている。このような構成により、図5のA-A端面図に示すように(図1等も参照)、それぞれ一対で配置された揮散口21aと揮散口21bとの間、揮散口21cと揮散口21dとの間、及び、揮散口21eと揮散口21fとの間が、各々通気可能となる(図5中の矢印Bを参照)。これにより、例えば、容器本体2の内部に収容された薬剤Mに対し、複数の揮散口21a~21fのうちの何れかから流入した空気が接し、この薬剤Mの成分を含んだ空気が、流入側の揮散口と一対で配置された他方の揮散口から外部に流出する。本実施形態の薬剤揮散容器1によれば、上記のような作用により、薬剤Mの成分を効率よく揮散させることができるので、優れた防虫作用を発揮できるものとなる。
【0040】
上記のような、一対で対称配置される各揮散口間の通気性、並びに、後述の第2の実施形態で詳述する衝突頻度の抑制効果を最大限に得る観点からは、前板21の表面の曲率も重要となることから、この曲率を最適化した構成とすることが好ましい。具体的には、例えば、前板21の表面を、R40~90の範囲で湾曲した形状とすることが好ましい。前板21の表面を、上記範囲のR(半径)を有した形状とすることにより、上記の通気性が顕著に得られるとともに、後述する衝突頻度の抑制効果も顕著に得られる。前板21の表面がR40以下で湾曲した形状だと、曲率が大きくなりすぎ、後述の衝突頻度の抑制効果が得られにくくなる可能性がある。一方、前板21の表面がR90を超えて湾曲した形状だと、曲率が小さくなりすぎて、一対で対称配置される各揮散口間の通気性が低下する可能性がある。
【0041】
また、上記の各効果がさらに顕著に得られる観点からは、前板21の表面がR50~80の範囲で湾曲した形状であることがより好ましく、概ねR65程度で湾曲した形状であることが最も好ましい。
【0042】
なお、本実施形態の薬剤揮散容器1に備えられる容器本体2は、側板部20を構成する前板21及び後板22の両方の表面が曲面状とされているが、これには限定されない。例えば、本実施形態の薬剤揮散容器1を、壁際等に配置した据え置きで使用する場合には、薬剤Mの成分の揮散性のみを考慮して前板21のみが曲面状であればよく、壁際等に配置される後板22の形状は、角筒状等、他の形状であってもよい。
【0043】
また、本実施形態では、容器本体2の側板部20が、各々の表面が曲面状とされた前板21及び後板22の2面から構成された例を説明しているが、これには限定されず、例えば、前板21と後板22との間に図示略の側板が介在された構成を採用してもよい。
【0044】
また、図1図2A及び図2B等に示す例では、容器本体2の前板21に設けられる複数の揮散口21a~21fの全てが、他の何れかの揮散口と、前板21の曲面の頂部21Tを中心に幅方向で一対となるように配置され、合計三対で配置されているが、これには限定されない。例えば、容器本体2の前板21において、複数の揮散口のうちの一部のみが一対で配置されている構成を採用してもよく、また、揮散口の合計の形成数についても限定されない。
【0045】
また、詳細な図示は省略するが、本実施形態の薬剤揮散容器1は、例えば、容器本体2を、上記のような紙又は積層シートからなる展開用紙を折り込んで組み立てることが可能な構成とすることで、組立式製品として構成することも可能である。即ち、例えば、薬剤揮散容器1の店頭販売時は、平紙状の展開用紙と、薬剤Mを含侵・保持した薬剤保持体7が収容された袋体とをセットで梱包した荷姿とすることができる。そして、上記セットを商品として購入した使用者が展開用紙を折り込んで容器本体2を組み立てた後、薬剤Mを含侵・保持した薬剤保持体7が収容された袋体を容器本体2の底板部3に据え置くことで、薬剤揮散容器1を使用することが可能となる。
【0046】
[薬剤揮散容器の設置・使用方法]
以下に、本実施形態で説明する薬剤揮散容器1を据え置きで設置して使用する場合の一形態について、上記と同じ図面を参照しながら説明する。
上述したように、薬剤揮散容器1を構成する容器本体2の前板21及び後板22における底板部3側には、テーブルや棚等に接地させることで、薬剤揮散容器1を据え置きで設置することが可能となる、一対の接地片23a,23bが設けられている。一対の接地片23a,23bは、先端がテーブルや棚等の表面に接地されることで、薬剤揮散容器1全体を支持できるように構成されている。
【0047】
薬剤揮散容器1は、上記構成を備えることにより、例えば、図示略の玄関や物置等、屋外に連通する場所に設けられる棚やシューズボックス等の他、屋外に設けられた棚等の上に設置して使用することができる。この際、例えば、複数の揮散口21a~21fが設けられた前板21側が、大気側に露出する向きで設置する。
【0048】
本実施形態で説明する薬剤揮散容器1によれば、上記のような据え置き形態で設置して使用することで、薬剤揮散容器1が発現する薬剤Mの成分の優れた揮散作用により、高い防虫効果が得られる。
【0049】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態の薬剤揮散容器について、第1の実施形態で参照した図1~5に加え、さらに図6を参照しながら詳述する。
なお、本実施形態で説明する薬剤揮散容器は、上述したように、第1の実施形態で説明した薬剤揮散容器(図1等に示す薬剤揮散容器1を参照)と同一の構成を有するものなので、同じ符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0050】
また、上記の第1の実施形態では、棚やテーブル等の上に据え置いて使用する形態について説明したが、本実施形態においては、図6中に示すように、懸吊部材6を用いて、薬剤揮散容器1をドア10のノブ11に吊り下げて使用する形態について説明する。
【0051】
上述した第1の実施形態においては、容器本体2の側板部20について、前板21の表面が曲面状とされていれば、後板22の形状は特に限定されないことを説明したが、本実施形態では、側板部20における前板21及び後板22の両方の表面が曲面状とされる。即ち、本実施形態においては、図4A及び図4Bに詳細に示すように、前板21及び後板22の両方の表面が、容器本体2の長手方向に対して直行する幅方向で湾曲した曲面状とされる。
【0052】
また、第1の実施形態で説明したように、容器本体2の側板部20における前板21には、複数の揮散口21a~21fが設けられており、さらに、筒状とされた容器本体2の両端を覆うように底板部3及び上板部4が設けられている。
さらに、薬剤揮散容器1には、上述したように、側板部20の前板21から底板部3とは反対側に延出するように設けられ、薬剤揮散容器1を懸吊支持するための懸吊部材6を取り付けることが可能な懸吊板5が備えられている。
【0053】
懸吊板5は、薬剤揮散容器1全体を懸吊支持するための懸吊部材6が取り付けられる板状の部位であり、図1等に示す例では、前板21の上端21Aから、前板21と同一面で延出するように設けられている。懸吊板5には、懸吊部材6を取り付けるための貫通孔51が2箇所に設けられており、図示例においては、薬剤揮散容器1が懸吊されたときのバランス等を考慮し、2箇所の貫通孔51が容器本体2の幅方向で並べられるように配置されている。また、図示例における懸吊板5は、先端(上端)側を頂点とする平面視で概略三角形状に構成されている。
【0054】
懸吊部材6は、上記の懸吊板5に取り付けられることで、薬剤揮散容器1を設置個所に吊り下げて支持するものである。図6に示す例においては、懸吊部材6が紐状部材からなり、懸吊板5における2箇所の貫通孔51(図6中では1カ所のみ表示)に挿通された状態で、両端部が結びつけられることで輪状に構成されている。図示例においては、紐状の懸吊部材6がドア10のノブ11に吊り下げられることで、薬剤揮散容器1が、ドア10の設置面10aに対して後板22が所定の角度で傾斜するように懸吊支持されている。
【0055】
上述したように、本実施形態で説明する薬剤揮散容器1は、容器本体2における前板21の表面が曲面状であることに加え、さらに、後板22の表面も曲面状に構成されている。さらに、本実施形態においては、図6に示すように、懸吊板5が、ドア10の設置面10aと対向する後板22とは反対側の前板21から延出して設けられ、この懸吊板5に懸吊部材6が取り付けられている。
このように、まず、前板21及び後板22の両方の表面が曲面状とされていることで、屋外の風が吹きつける環境下で、薬剤揮散容器1を懸吊支持にて設置した場合であっても、曲面状とされた前板21及び後板22の表面を風が回り込むように逃げこむ作用が得られる。これにより、懸吊支持された薬剤揮散容器1が風に曝された場合であっても、薬剤揮散容器1の揺動が抑制されるので、設置面に対する衝突頻度も抑制され、且つ、衝突音も低減することが可能となる。特に、容器本体2において、設置面10aと対向する後板22の表面も曲面状に構成されていることで、仮に、風の影響やドア10の開閉等に伴う揺動により、容器本体の後板22がドア10の設置面10aと衝突した場合であっても、その衝突音を可能な限り小さく低減することが可能となる。
【0056】
また、懸吊板5が、ドア10の設置面10aと対向する後板22と反対側、即ち、前板21から延出していることで、風の影響やドア10の開閉等に伴い、懸吊支持された薬剤揮散容器1が揺動した場合であっても、ドア10の設置面10aに対して薬剤揮散容器1が高頻度且つ大きな衝突音で衝突するのを抑制できる。このような作用が得られるメカニズムは決して明確ではないが、薬剤揮散容器1の懸吊位置がドア10の設置面10aから離間した位置となることで、風に曝された場合であっても、薬剤揮散容器1の懸吊姿勢が安定するためと考えられる。
【0057】
上述したように、薬剤揮散容器1(容器本体2)の設置面10aに対する衝突頻度や衝突音を低減する効果を最大限に得る観点からは、前板21及び後板22の両方の表面の曲率が重要となる。このような観点からは、例えば、前板21及び後板22の両方の表面を、第1の実施形態でも説明したように、R40~90の範囲で湾曲した形状とすることが好ましい。前板21及び後板22の両方の表面を、上記範囲のR(半径)を有した形状とすることにより、薬剤揮散容器1が風に曝させた際の設置面10aに対する衝突頻度を最小限に抑制することが可能となる。特に、後板22の表面を上記Rの範囲を有した形状とすることで、風の影響やドア10の開閉等に伴う揺動により、仮に、後板22側が設置面10aに衝突した場合であっても、衝突音を最小限に抑制できる。前板21及び後板22の表面がR40以下で湾曲した形状だと、曲率が大きくなりすぎ、揺動状態によっては、衝突頻度の抑制効果が得られにくくなる可能性もある。また、特に後板22の表面がR40以下で湾曲した形状だと、後板22が設置面10aに衝突した場合の衝突音の低減効果が得られにくくなる可能性もある。一方、前板21及び後板22の表面がR90を超えて湾曲した形状だと、曲率が小さくなりすぎて、上記同様、揺動状態によっては、衝突頻度の抑制効果が得られにくくなる可能性もある。
【0058】
また、第1の実施形態においても一部説明したが、上記の衝突頻度や衝突音の低減効果がさらに顕著に得られる観点からは、前板21及び後板22の両方の表面がR50~80の範囲で湾曲した形状であることがより好ましく、概ねR65程度で湾曲した形状であることが最も好ましい。
【0059】
図6に示すように、容器本体2における側板部20の後板22を、ドア10の設置面10aと対向させて配置し、懸吊板5に取り付けられた懸吊部材6によって薬剤揮散容器1を懸吊支持させたときの、後板22の表面の設置面10aに対する傾斜角度θは、特に限定されない。一方、この傾斜角度θが5~15°の範囲であることが、例えば、風の影響やドア10の開閉等に伴って薬剤揮散容器1が揺動した場合であっても、薬剤揮散容器1がドア10の設置面10aに対して高頻度且つ大きな衝突音で衝突するのをより効果的に抑制できる観点から好ましい(詳細については後述の実施例を参照)。このため、例えば、懸吊部材6の長さ等を、傾斜角度θが上記範囲となるように適宜調整することが好ましい。
【0060】
上記の傾斜角度θが5°未満だと、側板部20の後板22と設置面10aとの間隔が全体的に小さくなるため、衝突音の大きさは抑制できるものの、衝突頻度が高くなるという懸念がある。一方、上記の傾斜角度θが15°超だと、側板部20の後板22と設置面10aとの間隔が全体的に大きくなることから、衝突頻度は抑制されるものの、衝突した場合の衝突音が大きくなるという懸念がある。
【0061】
また、上記の衝突頻度や衝突音を低減する効果が顕著に得られるという観点からは、上記の傾斜角度θが5~15°の範囲となるように、懸吊部材6の長さ等を調整することがより好ましい。
【0062】
なお、本実施形態においては、懸吊部材6を紐状部材とし、懸吊板5の貫通孔51に挿通して取り付ける例を挙げて説明しているが、これには限定されない。例えば、懸吊板及び懸吊部材の構造を適宜変更することにより、引っ掛け構造や嵌合構造等によって懸吊板に懸吊部材を取り付ける構成を採用してもよい。
【0063】
なお、図6に示す例の懸吊部材6は、ドア10に対する衝突音を低減すること等を考慮し、紐状部材から構成されているが、これに限定されるものではない。懸吊部材6は、例えば、紙材料等からなるアーム状部材等であってもよく、上記の衝突音を軽減しながら、薬剤揮散容器1を確実に懸吊支持できるものであれば、如何なる部材であっても構わない。
【0064】
また、図3A及び図3B等においては、懸吊板5が、前板21の上端21Aから直線的に立ち上がるように延出する例を示しているが、これのような構成には限定されない。例えば、懸吊板5が、前板21の上端21Aから後板22側に向かって若干傾斜しながら立ち上がるように構成した場合であっても、本実施形態の薬剤揮散容器1の構成による、設置面への衝突頻度及び衝突音を低減する効果が十分に得られる。
また、上記の観点からは、懸吊板5の立ち上がり位置は、後板22よりも前板21側に近い位置であれば、前板21の上端21Aから後板22側に若干セットバックした位置とすることも可能である。
【0065】
また、第1の実施形態でも説明したように、薬剤揮散容器1に備えられる容器本体2は、側板部20が前板21及び後板22の2面のみで構成されたものには限定されず、例えば、前板21と後板22との間に図示略の横板が介在された構成を採用してもよい。但し、このような構成とする場合、横板の大きさは、それぞれ表面が曲面状とされた前板21及び後板22による、風やドア開閉に伴う揺動の抑制効果や衝突音の低減効果を考慮し、可能な限り小さなサイズとすることが好ましい。
【0066】
また、本実施形態では、薬剤揮散容器1をドア10のノブ11に吊り下げて使用する形態を例に挙げて説明しているが、これには限定されない。本実施形態で説明する薬剤揮散容器1は、例えば、図示略の物干し竿やハンガー、あるいは懸吊金具等に吊り下げて使用することも可能なものである。
【0067】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の薬剤揮散容器1は、まず、容器本体2を構成する前板21の表面を幅方向で湾曲した曲面状とし、且つ、前板21に設けられる複数の揮散口21a~21fの少なくとも一部が幅方向で離間するように一対で対称配置され、一対の揮散口の各々の間が通気可能とされた構成を採用している。これにより、容器本体2の内部に収容された薬剤Mの成分を、複数の揮散口21a~21fのうちの何れかから効果的に揮散させることが可能となる。
【0068】
また、薬剤揮散容器1によれば、容器本体2を構成する前板21及び後板22の両方の表面を幅方向で湾曲した曲面状とし、さらに、薬剤揮散容器1を懸吊支持するための懸吊部材6を取り付け可能な懸吊板5が前板21から延出するように設けられた構成とすることで、設置面10aに対する薬剤揮散容器1の衝突頻度を抑制できる。さらに、仮に薬剤揮散容器1が設置面10aに対して衝突した場合でも、衝突音を低減できる。
【0069】
従って、薬剤成分の揮散効果に優れるとともに、玄関のドア10等の屋外側に吊り下げて使用した場合であっても、設置面10aに対する衝突頻度が抑制され、且つ、衝突音を低減することが可能な薬剤揮散容器1を提供することが可能となる。
【0070】
<本発明の変形例>
上記においては、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の薬剤揮散容器は上記の実施形態によって限定されるものではなく、本発明の原理及び添付の特許請求の範囲の範囲を逸脱しない限り、種々の変更及び修正を施して実施することが可能である。
【0071】
例えば、上記の実施形態においては、容器本体の前板側にのみ、複数の揮散口が設けられた構成について説明しているが、薬剤成分の揮散性をより高める観点から、さらに、複数の揮散口を後板側にも設けた構成を採用することも可能である。
【実施例0072】
以下、本発明の薬剤揮散容器の実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明の薬剤揮散容器は、以下の実施例で説明する仕様や条件によってその構成が限定されるものではない。
【0073】
<実施例1>
実施例1においては、請求項1に記載した発明、即ち、容器本体2を構成する前板21の表面を幅方向で湾曲した曲面状とし、且つ、前板21に設けられる複数の揮散口21a~21fの少なくとも一部が幅方向で離間するように一対で対称配置された構成を採用した場合の、一対の揮散口の各々の間の通気性について実験・検討した。
【0074】
即ち、本実施例においては、本発明例1として、図1等に示したような、本発明に係る薬剤揮散容器1を構成する容器本体2を準備した。これとともに、比較例1として、詳細な図示は省略するが、側板部(前板及び後板を含む)が平面状とされるとともに、概略で直方体形状とされ、且つ、平面状とされた前板に複数の揮散口が一対となるように対称配置されたサンプルを準備した(外形状については図7Bに示すサンプル200も参照)。次いで、薬剤としてハッカ油を含侵させたパルプ材料からなる薬剤保持体を、不織布からなる袋体に収容した状態で容器本体の内部に収容した。
【0075】
[1]実施例1で準備したサンプル
本実施例で準備して用いた、本発明例1及び比較例1の各々における、容器本体を含む薬剤揮散容器のサンプル仕様を以下に示す。
(1)本発明例1(図1~5を参照)
・材質:紙
・外形状:ピローボックス型(概略形状)
・外形寸法:幅90mm×高さ180mm×奥行35mm
・揮散口:12mm×12mmの平面視矩形状(曲面状の前板に、計6個の各揮散口が三対ずつ、容器本体の長さ方向で等間隔に対称配置)
・薬剤:ハッカ油(パルプ材料からなる薬剤保持体に含侵)
(2)比較例1(図7Bに示したサンプル200の外形状も参照)
・材質:紙
・外形状:直方体形状(概略形状)
・外形寸法:幅90mm×高さ180mm×奥行35mm
・揮散口:12mm×12mmの平面視矩形状(平面状の前板に、計6個の各揮散口が三対ずつ、容器本体の長さ方向で等間隔に対称配置)
・薬剤:ハッカ油(パルプ材料からなる薬剤保持体に含侵)
【0076】
[2]試験方法及び条件
本実施例においては、上記の本発明例1及び比較例1の薬剤揮散容器のサンプルを用い、以下の(1)及び(2)に示す手順で、一対の揮散口の各々の間の通気性の違いの有無を確認した。なお、本実施例では、被験者をn=10(人)とし、各々が感じる香りの強度を確認することで通気性の指標とした。
(1)まず、広さ8畳の居室内に、本発明例1又は比較例1の薬剤揮散容器のサンプルを設置し、それぞれの容器本体の一側方に向けて、0.5m/秒で外部から送風した。
(2)次いで、上記の送風を行っている状態で、容器本体の他側方から3m離れた位置において、被験者が香りの強度を確認する官能試験を実施し、以下の1~5に示す基準で評価のうえ、結果を下記表1に示した。
1:香りが弱い
2:香りがやや弱い
3:どちらでもない(強くも弱くもない)
4:香りがやや強い
5:香りが強い
【0077】
【表1】
【0078】
[試験結果]
表1中に示すように、本発明例1のサンプルを用いた官能試験においては、比較例1のサンプルを用いた試験に比べて、被験者が感じる香りの強度が全体的に高めとなる傾向が見られた。
より具体的に説明すると、本発明例1のサンプルを用い、容器本体2の一側方に向けて外部から送風したところ、香りの強度の平均が3.5となり、容器本体2の他側方から3m離れた位置においても、ハッカ油の香りが十分に拡がっていることが確認できた。即ち、容器本体2の一側方に向けて送風した風が、一対で対称配置された揮散口を通過することで、ハッカ油の揮散成分を効率的に拡散させる効果が得られることが確認できた(図5の端面図も参照)。
【0079】
これに対し、比較例1のサンプルを用いて同様の官能試験を行ったところ、香りの強度の平均が2.8となり、本発明例1のサンプルを用いた場合に比べて、容器本体の他側方から3m離れた位置におけるハッカ油の香りが十分に拡がっていないことが確認された。これは、比較例1の場合、本発明例1のような前板が曲面状である場合と異なり、前板が平面状であることから、容器本体の一側方に向けて送風した風が、一対で対称配置された揮散口を効率的に通過することができなかったために、ハッカ油の揮散成分を拡散させる効果が十分に得られない結果になったものと考えられる。
【0080】
本実施例の結果より、曲面状とされた前板に複数の揮散口が一対となるように対称配置された、本発明に係る構成を採用することで、複数の揮散口における良好な通気性が確保できるので、容器本体に収容された薬剤の成分を効果的に揮散できることが明らかとなった。
【0081】
<実施例2>
実施例2においては、請求項2に記載した発明、即ち、容器本体2を構成する前板21及び後板22の両方の表面を幅方向で湾曲した曲面状とし、さらに、薬剤揮散容器1を懸吊支持するための懸吊部材6を取り付け可能な懸吊板5が前板21から延出するように設けられた構成の薬剤揮散容器1の、設置面への衝突頻度や衝突音について実験・検討した。
【0082】
即ち、本実施例においては、本発明例2として、図7Aに示すような、本発明に係る薬剤揮散容器を構成する容器本体を模したサンプル100を準備するとともに、比較例2として、図7Bに示すような、側板部(前板及び後板を含む)が平面状とされ、概略で直方体形状とされた容器本体のサンプル200を準備した。図7A及び図7Bは、何れも、各容器本体のサンプル100,200を後板側から見た背面図である。
【0083】
[1]実施例2で準備したサンプル
本実施例で準備して用いた、本発明例2及び比較例2の各々の容器本体のサンプルの仕様を以下に示す。なお、以下の本発明例2及び比較例2のサンプル(100,200)においては、一般に住宅の玄関ドア用等で用いられる薬剤揮散容器と同様の重さとするため、何れも50gのパルプ材料からなる薬剤保持体を内部に収容した。この際、薬剤保持体を不織布からなる袋体に収容した状態で、容器本体のサンプル100,200の内部に収容した。また、本実施例においては、薬剤保持体に薬剤は含侵させずに試験を行った。
(1)本発明例2(図7Aのサンプル100を参照)
・材質:紙
・外形状:ピローボックス型(概略形状)
・外形寸法:幅90mm×高さ180mm×奥行35mm
・揮散口:無し(衝突試験用のため)
・懸吊部材:紐(φ2mm)
(2)比較例2(図7Bのサンプル200を参照)
・材質:紙
・外形状:直方体形状(概略形状)
・外形寸法:幅90mm×高さ180mm×奥行35mm
・揮散口:無し(衝突試験用のため)
・懸吊部材:紐(φ2mm)
【0084】
[2]試験方法及び条件
(1)試験1
本実施例の試験1においては、上記の本発明例2及び比較例2の容器本体のサンプル100,200を用い、以下の手順(条件)で、容器本体の形状、及び、懸吊部材の取り付け位置による衝突音の違いの有無を確認した。
(a)ステップ1
ステップ1においては、まず、一般住宅に使用されるドアのノブに、各サンプル100,200を懸吊部材(紐)で吊り下げた(図6中におけるドア10のノブ11に吊り下げられた薬剤揮散容器1を参照)。この際、図6中に示した本発明に係る薬剤揮散容器1の場合と同様、懸吊部材(紐)が取り付けられた前板側が、ドアの設置面とは対向しない反対側に配置されるように吊り下げた。
そして、詳細な図示は省略するが、各サンプル100,200におけるドアの設置面(図6中の設置面10aを参照)と対向する面が、上記の設置面に対して45°又は90°の角度となるように、実験者が手で支持した。
(b)ステップ2
次いで、ステップ2においては、上記角度で傾斜させた各サンプルを開放し、ドアの設置面に衝突したときの衝突音を、市販の騒音計(株式会社カスタム製;機種名:CUSTOM SOUND LEVEL METER SL-1350)を用いて測定した。
(c)ステップ3
ステップ3においては、ステップ2における手順と同時に、各サンプル100,200がドアの設置面に衝突した際に、各サンプルが繰り返し弾んだ場合のバウンド数(弾み数)をカウントした。
(d)ステップ4
次いで、ステップ4においては、前板側と後板側とを反転させた向きで各サンプル100,200を吊り下げることで、後板がドアの設置面と対向するように配置したうえで、上記ステップ1~3と同様の手順を繰り返し、懸吊部材の取り付け位置による衝突音の違いの有無を確認した。
【0085】
(2)試験2
本実施例の試験2においては、試験1と同様、上記の本発明例2及び比較例2の容器本体のサンプル100,200を用い、以下の手順(条件)で、容器本体の形状、及び、懸吊部材の取り付け位置による衝突頻度の違いの有無を確認した。
(a)ステップ1
ステップ1においては、まず、一般住宅に使用されるドアのノブに、各サンプル100,200を懸吊部材(紐)で吊り下げた(図6中に示した薬剤揮散容器1を参照)。そして、ドア開口部に対する開き角度が45°となるように、実験者の手で支持しながらドアを開いた状態とした。
(b)ステップ2
次いで、ステップ2においては、ステップ1で開いたドアを支持状態から解放することにより、ドアの自己復帰作用によってドアを閉めた。この際、各サンプル100,200の、ドアの設置面に対する衝突の有無を確認した。この際の「衝突」の基準としては、各サンプル100,200におけるドアの設置面との対向面が、設置面に対して平行に接触する場合をもって「衝突」とみなした。
(c)ステップ3
次いで、ステップ3においては、前板側と後板側とを反転させた向きで各サンプル100,200を吊り下げることで、後板がドアの設置面と対向するように配置したうえで、上記ステップ1,2と同様の手順を繰り返し、懸吊部材の取り付け位置による衝突頻度の違いの有無を確認した。
【0086】
[3]試験結果
上記試験1,2における試験結果について以下に説明する。
【0087】
(1)試験1の結果
本発明例2及び比較例2による試験1の結果を下記表2~4に示す。
下記表2には、各サンプル100,200を45°の角度から解放してドアの設置面に衝突させたときの衝突音(音圧(dB))の一覧を示している(各サンプルともn=3で実施)。
また、下記表3には、本発明例2のサンプル100を90°の角度から解放してドアの設置面に衝突させたときの衝突音(音圧(dB))を示している(n=3で実施)。
また、下記表4には、各サンプル100,200を90°の角度から解放してドアの設置面に衝突させたときの衝突回数(バウンド回数)の一覧を示している(各サンプル100,200ともn=2で実施)。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
表2に示す結果のように、各サンプル100,200を45°の角度からドアの設置面に衝突させる条件においては、直方体型とされた比較例2では、懸吊部材をドアの設置面とは反対側に配置して取り付けることで、衝突音の音圧が低減される傾向が見られた。
一方、ピローボックス型とされた本発明例2のサンプル100では、直方体型とされた比較例2のサンプル200に比べて、ドアの設置面に対する衝突音が全体的に小さく、さらに、若干の効果ではあるものの、懸吊部材を設置面とは反対側に取り付けた場合には、衝突音の音圧をより低減できる傾向が見られた。
また、表3に示す結果のように、本発明例2のサンプル100を、より過酷な条件である90°の角度から設置面に衝突させた条件においては、45°の角度から衝突させた場合と比較しても衝突音がそれほど大きくはならず、本発明による衝突音の音圧の低減効果が確認された。
また、表4に示す結果のように、各サンプル100,200のドアの設置面に対する衝突回数(バウンド回数)の試験においても、ピローボックス型とされた本発明例2のサンプル100を用い、且つ、懸吊部材を設置面とは反対側に取り付ける条件において、最も少なくなる傾向が見られる。即ち、本発明例2のサンプル100は、衝突音の音圧低減効果のみならず、ドアの設置面に対する接触機会自体を低減できているものと考えられる。
【0092】
(2)試験2の結果
本発明例2及び比較例2による試験2の結果を下記表5に示す。
下記表5は、各サンプル100,200を45°の角度から解放してドアの設置面に衝突させたときの、上述した基準における「衝突」の有無の一覧を示している(各サンプル100,200ともn=5で実施)。
【0093】
【表5】
【0094】
表5に示す結果のように、直方体型とされた比較例2のサンプル200においては、懸吊部材をドアの設置面とは反対側に配置して取り付けることで、衝突が一定程度、抑制される傾向が見られた。
一方、ピローボックス型とされた本発明例2のサンプル100では、懸吊部材をドアの設置面側に配置して取り付けた場合には、衝突の抑制は難しかったものの、懸吊部材を設置面とは反対側に取り付けた場合には、衝突の発生が抑制される傾向が見られた。これは、懸吊部材を設置面とは反対側に取り付けると、後板と設置面と間に傾きが生じ(図6を参照)、底板部側が設置面から離間するため、上記の衝突が起こりにくくなったものと考えられる。
【0095】
<結論>
以上説明したような実施例の結果より、本発明の薬剤揮散容器の構成を採用することで、薬剤成分の揮散効果に優れるとともに、玄関ドア等の屋外側に吊り下げて使用した場合であっても、設置面に対する衝突頻度が抑制され、且つ、衝突音を低減することが可能となることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の薬剤揮散容器は、薬剤成分の揮散効果に優れるとともに、玄関ドア等の屋外側に吊り下げて使用した場合であっても、設置面に対する衝突頻度が抑制され、且つ、衝突音を低減することが可能なものである。従って、本発明の薬剤揮散容器は、例えば、玄関や物置等、屋外に連通する場所に設けられる棚やシューズボックス等の他、屋外に設けられた棚等の上に据え置いて使用する用途に加え、ベランダに設置された物干し竿や、玄関ドア等のノブに吊り下げて使用する用途において非常に好適である。
【符号の説明】
【0097】
1…薬剤揮散容器
2…容器本体
20…側板部
21…前板
21A…上端
21T…頂部(曲面の中心)
21a,21b,21c,21d,21e,21f…揮散口(複数の揮散口)
22…後板
23a,23b…接地片(一対の接地片)
3…底板部
4…上板部
5…懸吊板
51…貫通孔
6…懸吊部材
7…薬剤保持体
10…ドア
10a…設置面
11…ノブ
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B