IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ワッカー ノイソン プロドゥクツィオン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフトの特許一覧

特開2025-21460異なる駆動タイプを備えたランマ用のキット
<>
  • 特開-異なる駆動タイプを備えたランマ用のキット 図1
  • 特開-異なる駆動タイプを備えたランマ用のキット 図2
  • 特開-異なる駆動タイプを備えたランマ用のキット 図3
  • 特開-異なる駆動タイプを備えたランマ用のキット 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021460
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】異なる駆動タイプを備えたランマ用のキット
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/34 20060101AFI20250205BHJP
   F02B 65/00 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
E01C19/34 B
F02B65/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024123480
(22)【出願日】2024-07-30
(31)【優先権主張番号】10 2023 120 312.6
(32)【優先日】2023-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】511237955
【氏名又は名称】ワッカー ノイソン プロドゥクツィオン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Neuson Produktion GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Wackerstrasse 6, D-85084 Reichertshofen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク アイプ
(72)【発明者】
【氏名】フェルディナント ルップ
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル マイアーターラー
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052BC02
2D052BC11
2D052DA33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】振動ランマの組立て時の様々な構成要素の数が増加していることに対処して、構成要素の個数を減らすこと。
【解決手段】異なる駆動タイプを備えた土壌締固めランマ用のランマキットであって、駆動装置(5)により発生した回転駆動運動を振動並進運動に変換するクランク機構(7,9)を収容するためのクランクハウジング(10)を備えており、このクランクハウジング(10)は、駆動装置カバー(20)を接続することができる接続開口を有している、ランマキットが挙げられる。駆動装置(5)は駆動装置カバー(20)に固定されており、異なる駆動タイプの駆動装置(5)用のキットの部分として、異なる駆動装置カバー(20)が設けられているのに対して、クランクハウジング(10)は、異なる駆動タイプの駆動装置(5)に対して同一である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる駆動タイプを備えた土壌締固めランマ用のランマキットであって、
駆動装置(5)により発生した回転駆動運動を振動並進運動に変換するクランク機構(7,9)を収容するためのクランクハウジング(10)を備えており、
前記クランクハウジング(10)は、駆動装置カバー(20)を接続することができる接続開口を有しており、
前記駆動装置(5)は前記駆動装置カバー(20)に固定されており、
異なる駆動タイプの駆動装置(5)用のキットの部分として、異なる駆動装置カバー(20)が設けられているのに対して、前記クランクハウジング(10)は、異なる駆動タイプの駆動装置(5)に対して同一である、
ランマキット。
【請求項2】
前記ランマは、上側マス(1)と、該上側マス(1)に対して可動の下側マス(2)とを有しており、
前記下側マス(2)は、土壌締固めのための土壌接触プレート(13)を備えたランマフート(12)を有しており、
前記クランクハウジング(10)は前記上側マス(1)の一部であり、
前記クランク機構(7,9)は、前記ランマフート(12)を往復運動させるように構成されている、
請求項1記載のランマキット。
【請求項3】
前記駆動装置カバー(20)が前記クランクハウジング(10)に取り付けられる前に、該駆動装置カバー(20)に前記駆動装置(5)が完全に組み付けられているように、前記駆動装置カバー(20)は完全に事前に組み立てることができる、請求項1または2記載のランマキット。
【請求項4】
前記駆動タイプは、
内燃機関と、
伝動機構(6)を介して駆動トルクを前記クランク機構(7,9)に伝達する電動モータと、
ダイレクトドライブとして形成されていて、ロータとステータとを備えており、前記ロータはモータシャフトに形成されており、該モータシャフトは、他の伝動機構を介在させることなく、駆動トルクを前記クランク機構(7,9)に直接伝達する、電動モータと、
セグメントモータとして形成されていて、ロータ(22)と、該ロータ(22)を360°未満の角度を有する円セグメントにわたって取り囲むステータ(21,29)とを備える、電動モータと、
の群から選択される、請求項1から3までのいずれか1項記載のランマキット。
【請求項5】
前記クランクハウジング(10)の前記接続開口に接続フランジが設けられており、
前記異なる駆動装置カバー(20)は、前記クランクハウジング(10)の前記接続フランジに適合したそれぞれ1つの接続フランジ(26)を有しており、
前記異なる駆動装置カバー(20)の前記接続フランジ(26)は互いに同一である、
請求項1から4までのいずれか1項記載のランマキット。
【請求項6】
それぞれ1つの前記駆動装置カバー(20)に割り当てられた前記駆動装置(5)は、前記駆動装置カバー(20)の一方の面に直接固定されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のランマキット。
【請求項7】
前記クランク機構(7,9)は、前記駆動装置(5)により回転駆動されるクランクピン(9)を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載のランマキット。
【請求項8】
前記駆動装置(5)は電動式のセグメントモータを有しており、
前記セグメントモータは、ロータと、該ロータを全周にわたって取り囲むのではなく、所定の円セグメントにわたってしか取り囲まないセグメントステータ(29)とを有している、
請求項1から7までのいずれか1項記載のランマキット。
【請求項9】
前記駆動装置カバー(20)の内面に、前記ロータを回転可能に支持するための支承ピン(28)が設けられており、
前記駆動装置カバー(20)の前記内面に前記セグメントステータ(29)が保持されている、
請求項8記載のランマキット。
【請求項10】
前記駆動装置カバー(20)の内面に少なくとも2つの溝状の切欠き(32)が形成されており、
前記セグメントステータ(29)は、該セグメントステータ(29)の周方向で見て、2つの端面側の端部(30)を有しており、
前記セグメントステータ(29)の両方の前記端面側の端部(30)に、それぞれ割り当てられた前記溝状の切欠き(32)内に押込み可能であるそれぞれ1つの突起(31)が形成されており、
前記セグメントステータ(29)の前記両方の端面側の端部(30)における、突起(31)と溝状の切欠き(32)とから成る各々のペア部が、前記セグメントステータ(29)の周方向に配置されたステータ保持部を形成している、
請求項8または9記載のランマキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる駆動タイプを備えた土壌締固めランマ用のランマキットに関する。
【背景技術】
【0002】
土壌締固めランマは、振動ランマまたはバイブレーションランマとも呼ばれることが多く、回転型の駆動装置、例えば内燃機関または電動モータを有している。この駆動装置は、クランク機構とばね系とを備えたばね式タンピングシステムを駆動する。通常、ランマは、主として機関および例えばクランク機構もしくは別の構成要素により形成された上側マスと、この上側マスにばね式タンピングシステムを介して連結され、上側マスに対して往復運動可能である、土壌接触プレートまたはランマフートを備える下側マスと、を有している。上側マスと下側マスとは、例えば付加的にさらにベローズによって結合されていてよい。このベローズは、構成要素相互の可動性を許容し、内部、特にクランク機構およびばね系を埃および汚物の侵入に対して防護する。
【0003】
上側マスには、使用者によってランマを操作するための操作装置、例えば操作ブラケットが取り付けられていてよい。この場合、上側マスに生じた強い振動が使用者の手や腕に直接入力されないように、上側マスと操作ハンドグリップとの間に、例えばゴム要素の形態の振動絶縁装置を設けることが可能である。
【0004】
このようなランマは、典型的には、回転型の駆動装置によってクランク機構、連接棒および複動式のばね式タンピングシステムを介して作動させられる。このために、ばね式タンピングシステムには、連接棒によって往復運動可能なピストンが設けられている。このピストンの両方の側、つまり、特に上側および下側には、それぞれ1つのばねセットが接触している。
【0005】
クランク機構は、上側マスにおいて、駆動装置も固定されたクランクハウジングによって取り囲まれる。
【0006】
このようなランマは、独国特許出願公開第102021116244号明細書に基づき公知である。
【0007】
過去、振動ランマは内燃機関、例えばディーゼルエンジン、または2サイクルもしくは4サイクルガソリンエンジンによって駆動されることが多かった。しかしながら、駆動装置はますます電動化される。特に、近年のバッテリ技術によって、振動ランマを高性能な電気駆動装置によっても駆動することが可能である。
【0008】
製造元サイドでは、各々のランマタイプまたは駆動タイプに対して、適合する機関フランジを備えた固有のクランクハウジングが設けられなければならない。このクランクハウジングの機関フランジには、それぞれ設けられた機関(駆動装置)が固定されてよい。駆動装置の選択肢と、これに基づき生じるクランクハウジングとの多様さによって、製造元サイドには、ますます大きな物流の手間が発生してしまう。つまり、多数の様々な構成要素を準備して、組付けラインに供給しなければならなくなってしまう。既知のクランクハウジングへの構成要素の組付けは時折手間を要し、非効率である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の根底にある課題は、振動ランマの組立て時の様々な構成要素の数が増加していることに対処して、構成要素の個数を減らすことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1の特徴を有するランマキットによって解決される。有利な構成は従属請求項に記載してある。
【0011】
異なる駆動タイプを備えた土壌締固めランマ用のランマキットであって、駆動装置により発生した回転駆動運動を振動並進運動に変換するクランク機構を収容するためのクランクハウジングを備えており、このクランクハウジングは、駆動装置カバーを接続することができる接続開口を有しており、駆動装置は駆動装置カバーに固定されており、異なる駆動タイプの駆動装置用のキットの部分として、異なる駆動装置カバーが設けられているのに対して、クランクハウジングは、異なる駆動タイプの駆動装置に対して同一である、ランマキットが挙げられる。
【0012】
したがって、先行技術では、異なる駆動タイプに対して、クランク機構を収容するための異なるクランクハウジングも必要であるのに対して、本発明によれば、一様なまたは同一のクランクハウジングを使用することができる。クランクハウジングに設けられた接続開口を駆動装置の接続のために覆う駆動装置カバーだけを変えればよい。
【0013】
クランクハウジングの内部に配置されたクランク機構は、特にクランクピンまたはクランクカムを有していてよく、このクランクピンまたはクランクカムを介して連接棒が駆動可能となり、この連接棒を介して、これにより発生可能な振動並進運動を作業運動として発生させることができる。
【0014】
異なる駆動タイプには、それぞれランマを駆動することができる異なる機関タイプが含まれている。引き続き別の構成要素が接続されてよい機関シャフトが、駆動装置または機関に対するシステム境界と見なされる。
【0015】
したがって、本発明によれば、キットまたはキットシステムの基本思想に相応して、常に同じクランクハウジングを備えた異なるランマ構成を造り上げると共に組み立てることができる。したがって、キットは、ただ1つの構造形態のクランクハウジングと、このクランクハウジングに組付け可能である、駆動装置を固定することができる複数種の駆動装置カバーとを有している。
【0016】
クランクハウジングに固定可能な駆動装置カバーは標準化されていてよく、この駆動装置カバーには、異なる駆動装置を装着することができる。これに関連して、標準化とは、駆動装置カバーの、クランクハウジングに固定すべき接続フランジを標準化する、つまり統一することができることを意味しているのに対して、駆動装置カバーの別の領域は、駆動装置カバーに組み付けるべき駆動装置に応じて構成され、個別化されていてもよいし、駆動装置に適合されていてもよい。
【0017】
これによって、モジュール式の駆動装置の収容が可能となる。特に、駆動装置を駆動装置カバーと共にモジュールとして予め組み立てて、その後、駆動装置と駆動装置カバーとを一緒にランマのクランクハウジングに固定することができる。こうして、駆動装置を前もって完全に駆動装置カバーに組み付けることができる。その後、駆動装置カバーが、完全に組み付けられた駆動装置と一緒にクランクハウジングに取り付けられて、固定される。
【0018】
駆動装置カバーはクランクハウジングを完成させると共に閉鎖するため、クランクハウジングの内部は、埃および汚物の侵入に対して防護されている。
【0019】
駆動装置が完全に駆動装置カバーに固定されている場合、駆動装置カバーは駆動装置を支持している。
【0020】
ランマの別の構造は先行技術に基づき知られている。ランマは、上側マスと、この上側マスに対して可動の下側マスとを有していてよく、この下側マスは、土壌締固めのための土壌接触プレートを備えたランマフートを有していてよく、クランクハウジングは上側マスの一部であってよく、クランク機構は、ランマフートを往復運動させるように構成されていてよい。
【0021】
駆動装置カバーがクランクハウジングに取り付けられる前に、駆動装置カバーに駆動装置が完全に組み付けられているように、駆動装置カバーは完全に事前に組み立てることができる。
【0022】
駆動装置タイプは、
内燃機関と、
伝動機構を介して駆動トルクをクランク機構に伝達する電動モータと、
ダイレクトドライブとして形成されていて、ロータとステータとを備えており、ロータはモータシャフトに形成されており、このモータシャフトは、他の伝動機構を介在させることなく、駆動トルクをクランク機構に直接伝達する、電動モータと、
セグメントモータとして形成されていて、ロータと、このロータを360°未満の角度を有する円セグメントにわたって取り囲む(セグメント)ステータとを備える、電動モータと、
の群から選択されてよい。
【0023】
内燃機関として、ガソリンエンジン、つまり、2サイクル機関または4サイクル機関と、ディーゼルエンジンとが適している。
【0024】
機関とクランク機構との間には、上述した伝動機構のほかに、クラッチ、特にクラッチベルが配置されていてもよい。このクラッチベルは、回転数に応じてクラッチを接断し、ひいては、トルクフローを可能にするかまたは可能にしない遠心クラッチを有している。この場合には、限界回転数を設定することができ、この限界回転数よりも上側では、クラッチが接続し、これによって、駆動トルクがクランク機構を駆動することができる。
【0025】
電動モータタイプは様々な形態で形成されていてよい。一変形例では、電動モータが、駆動領域における更なる構造的な変更なしに、直接的に内燃機関の代わりを成している。この場合、電動モータの駆動トルクは、伝動機構を介してクランク機構に伝達される。
【0026】
別の変形例では、電動モータがダイレクトドライブとして形成されている。この場合、他の伝動機構、例えば歯車伝動機構を介在させることなしに、駆動トルクは、電動モータのモータシャフトからクランク機構に直接伝達される。この場合、このクランク機構は、例えば、電動モータのロータに直接連結されていてよい。
【0027】
電動モータの特殊な実施形態は、(セグメント)ステータがロータを360°未満の角度を有する円セグメントにわたって取り囲むセグメントモータであってよい。この構成でも、ロータがモータシャフトを直接形成し、クランク機構に直接連結されていてよい。特に、ロータは、連接棒を駆動する働きをするクランクピンも直接支持していてよい。
【0028】
クランクハウジングの接続開口に接続フランジが設けられていてよく、異なる駆動装置カバーは、クランクハウジングの接続フランジに適合したそれぞれ1つの接続フランジを有しており、異なる駆動装置カバーの接続フランジは互いに同一である。この場合、接続フランジの同一性にとって重要なのは、ねじと、場合により延在するシールとが同一に配置される同一のフランジパターンである。
【0029】
それぞれ1つの駆動装置カバーに割り当てられた駆動装置は、駆動装置カバーの一方の面に直接固定されていてよい。したがって、機関は駆動装置カバーに内側または外側で直接固定され、この駆動装置カバーによって支持されてよい。内燃機関は、通常、常に外側で固定されていることになるのに対して、電動モータの場合には、タイプに応じて、固定を外側で行いたいかまたは内側(ひいてはクランクハウジングの内部)で行いたいかが選択されてよい。駆動装置または機関は、駆動装置カバーに直接ねじ締結されてもよいし、適切な保持体によって固定されてもよい。
【0030】
クランク機構は、駆動装置により回転駆動されるクランクピンを有していてよい。機関シャフトまたは駆動装置のロータとクランクピンとの間でのトルク伝達のために、様々な構造形態が実現されてよい。例えば、ダイレクトドライブまたはセグメントモータに該当するように、クランクピンが電動モータのロータに直接配置されていてよい。
【0031】
一変形例では、機関シャフトとクランクピンとの間に伝動機構段が設けられてよく、クランクピン自体は歯車に固定されている。別の変形例では、機関シャフトと伝動機構段との間に、さらに、機関回転数が低い場合にトルクフローの遮断を可能にするクラッチベルが設けられていてよい。機関がより高い回転数に上昇した場合に初めて、クラッチが接続され、これによって、伝動機構ひいてはクランクピンが回転駆動される。
【0032】
すでに説明したように、駆動装置は電動式のセグメントモータを有していてよく、セグメントモータは、ロータと、このロータを全周にわたって取り囲むのではなく、所定の円セグメントにわたってしか取り囲まないセグメントステータとを有している。この場合、円セグメントの角度は、360°未満、例えば180°以下、120°以下または90°以下である。
【0033】
セグメントモータは、特に有利には、駆動装置カバーに組み付けられてよい。このために、駆動装置カバーの内面に、ロータを回転可能に支持または支承するための支承ピンが設けられているかまたは形成されていてよく、この場合、駆動装置カバーの内面にセグメントステータも保持されていてよい。
【0034】
特別な実施形態では、駆動装置カバーの内面に少なくとも2つの溝状の切欠きが形成されていてよく、セグメントステータは、このセグメントステータの周方向で見て、2つの端面側の端部を有していてよく、セグメントステータの両方の端面側の端部に、それぞれ割り当てられた溝状の切欠き内に押込み可能であるそれぞれ1つの突起が形成されていてよく、セグメントステータの両方の端面側の端部における、突起と溝状の切欠きとから成る各々のペア部が、セグメントステータの周方向に配置されたステータ保持部を形成していてよい。
【0035】
この場合、セグメントステータの端部は、セグメントステータの周方向または主延在方向で見て、端面側に配置されている。ステータ保持部またはペア部は、特に駆動装置カバーに対するステータのセンタリングのために役立つ。これによって、ロータとステータとを駆動装置カバーに快適に予め組み付け、その後、駆動装置カバーとセグメントモータとから成る完全なユニットを、ランマの残りの部分またはランマのクランクハウジングに固定することができる。
【0036】
ステータ保持部は、セグメントステータの周方向に配置されており、こうして、駆動トルクを良好に支持することができる。
【0037】
以下に、本発明の上記のかつ更なる利点および特徴を複数の例に基づき添付の図面を用いて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明による土壌締固めランマに対する一例の概略的な斜視図である。
図2】異なる駆動タイプを備えたランマの様々な変形例の概略図である。
図3図2の変形例のうちの幾つかの詳細図である。
図4】セグメントステータが予め組み付けられたセグメントモータ用の駆動装置カバーに対する一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1には、本発明によるランマに対する一例が示してある。
【0040】
ランマは、上側マス1と、この上側マス1に対して可動の下側マス2とを有している。上側マス1には、使用者用の操作ハンドグリップ3としての操作ブラケットが取り付けられている。上側マス1と操作ハンドグリップ3との間の結合および振動絶縁のために、ゴム防振器4の形態の振動絶縁要素が周知の形式で配置されている。
【0041】
上側マス1の構成部材は、後でさらに詳細に説明するように、内燃機関または電動モータとして形成されてよい原動機5でもある。
【0042】
原動機5は、図1に示した例では、例えばピニオンを有していてよい伝動機構6を介してクランクディスク7を回転駆動する。これに相応して、このクランクディスク7は外側歯列を有している。クランクディスク7には、クランクピン9を介して連接棒8が連結されている。これによって、クランク回転ジョイントが形成される。
【0043】
クランクディスク7とクランクピン9とにより形成されたクランク機構は、クランクハウジング10内に格納されている。このクランクハウジング10の下面には、外側のガイド管11が延在している。
【0044】
下側マスは、土壌接触プレート13と、この土壌接触プレート13から上方に延在する内側のガイド管14とを備えたランマフート12を有している。下側マス2の内側のガイド管14は、上側マス1の外側のガイド管11内で軸線方向に往復運動することができる。
【0045】
クランクハウジング10は、ベローズ15を介してランマフート12に結合されており、これによって、そこに設けられた構成要素が、汚物、埃および湿分に対して防護される。
【0046】
内側のガイド管14の内部には、回転ジョイント17を介して連接棒8に可動に結合されたピストン16が配置されている。
【0047】
ピストン16の上下には、それぞれ1つのばねセット、つまり、上側のばねセット18と下側のばねセット19とが配置されている。したがって、両方のばねセット18,19は、各々のばねの一方の側でピストン16に接触している。各々のばねセット18,19は、反対側に位置する他方の側で内側のガイド管14の端面側の端部に接触している。こうして、連接棒8の運動により強制されるピストン16の運動を、両方のばねセット18,19を介して振動するように、周知の形式でランマフート12に伝達することができる。
【0048】
この限りにおいて、このようなランマの構造は周知である。
【0049】
この構造は、異なる駆動タイプを備えたランマに一様に使用することができる。原動機5には、後でさらに図2図4に基づき説明するように、異なる構造形態の機関を使用することが可能である。
【0050】
原動機5は、駆動装置カバー20によって支持される。この駆動装置カバー20には、図示の例では、伝動機構6ならびにクランクピン9を備えたクランクディスク7も取り付けられているかまたは回転可能に支承されている。駆動装置カバー20は、組み付けられた形態でクランクハウジング10の一部を成しており、このクランクハウジング10の裏側の接続開口を閉鎖している。
【0051】
図2には、異なる駆動タイプのランマに対する例が概略図で示してある。
【0052】
変形例Aは、いわゆるダイレクトドライブに関する。このダイレクトドライブでは、原動機5が駆動装置カバー20の内面に固定されているため、原動機5の全ての構成要素がクランクハウジング10の内部に配置されている。ダイレクトドライブは、有利にはセグメントモータによって形成されてよい。このセグメントモータについては、後でさらに図3および図4に基づき説明する。
【0053】
変形例Bでは、原動機5は、伝動機構6を駆動する内側に位置する電動モータとして形成されている。
【0054】
変形例Cでは、原動機5は、外側に位置する電動モータとして実現されており、伝動機構6を駆動する。
【0055】
変形例Dには、内側に位置する伝動機構6を駆動する原動機5としての、外側に位置する内燃機関による2サイクルガソリンエンジンが示してある。
【0056】
変形例Eでは、原動機5として4サイクルエンジンが設けられており、変形例Fでは、ディーゼルエンジンが設けられている。
【0057】
図3には、図2の変形例が詳細に示してある。
【0058】
図2の変形例Aは、図3の変形例Aに相当している。駆動装置カバー20は概略的に示してある。この駆動装置カバー20はその内面に、セグメントステータ21と、駆動装置カバー20に回転可能に支承されたロータ22とを有している。セグメントステータ21は、ロータを、例えば100°または90°の規定の円セグメントにわたってしか取り囲んでいない。ロータ22を回転駆動するためには、これで十分である。ロータ22の端面にはクランクピン9が形成されており、これによって、ロータ22とクランクピン9とが一緒にクランクディスク7を形成している。
【0059】
セグメントモータに対する一例については、後でさらに図4に基づき説明する。
【0060】
図3の変形例Bは、図2の変形例Bに相当している。これに相応して、駆動装置カバー20の内面には、原動機5が、(単に黒い線として概略的に図示した)ピニオン23を介して歯車24を回転駆動する電動モータとして設けられている。ピニオン23と歯車24とは伝動機構6を形成している。歯車24には、クランクピン9が固定されている。
【0061】
図2および図3の変形例Cも同じく同一である。この変形例Cでは、原動機5が、外側に位置する電動モータとして設けられている。原動機5のモータシャフト(図示せず)は、回転数に応じてピニオン23へのトルクフローを許容するかまたは遮断するクラッチベル25に通じている。特にモータ回転数がより高い場合には、クラッチベル25が繋がり、これによって、ピニオン23が回転駆動される。
【0062】
変形例Dでは、原動機5が、外側に位置する内燃機関として駆動装置カバー20に取り付けられている。
【0063】
図示の例では、それぞれ駆動装置全体、つまり、原動機5だけでなく、伝動機構6および場合によってはクラッチベル25も駆動装置カバー20に保持されており、この駆動装置カバー20によって支持される。こうして、それぞれ示したユニットを簡単に予め組み立てることができ、全体的に十分にクランクハウジング10内に挿入して、このクランクハウジング10に固定することができる。
【0064】
図4には、セグメントモータ用の駆動装置カバー20の一実施形態に対する一例が示してある。
【0065】
駆動装置カバー20は、この駆動装置カバー20をクランクハウジング10に固定するためのねじを挿入することができる相応の孔27を有する接続フランジ26を有している。さらに、この接続フランジ26はシール(図示せず)を支持していてよい。
【0066】
駆動装置カバー20の内面には、ロータ(図示せず)と、場合によっては適切な支承要素とが被嵌されてよい支承ピン28が固定されている。ロータは、図3に変形例Aで示したロータ22に対する一例に相当している。支承ピン28は、駆動装置カバー20と一体形に形成されていてよい。例えば、駆動装置カバー20は支承ピン28と一緒に鋳造部材または流込み成形部材として製造されてよい。ロータは支承ピン28に回転可能に支承されている。
【0067】
同じく駆動装置カバーの内面には、図3に変形例Aで示したステータ21に対する一例に相当するセグメントステータ29が固定されている。このセグメントステータ29は、規定の円セグメント、図4に示した例では約90°の角度にわたってしか延在していない。セグメントステータ29は、駆動装置カバー20にねじ締結されている。セグメントステータ29の端面側の端部30には、両側でそれぞれ1つの突起31が設けられている。この突起31は、対応する溝32内に押し込まれてよい。両方の溝32は、駆動装置カバー20の一部である。
【0068】
これによって、セグメントステータ29を駆動装置カバー20に安定させて形状接続的に保持することができる。両方の突起31と、割り当てられた両方の溝32とは、一緒にそれぞれ1つのステータ保持部を形成している。このステータ保持部は、セグメントステータ29を駆動トルクの方向で良好に支持している。
【0069】
接続フランジ26の孔27およびその位置によって予め設定されるねじパターンは、それぞれ構成される駆動タイプに左右されずに、駆動装置カバー20の全ての変形例に対して同一であってよい。この場合、駆動装置カバー20の別の構成は可変であり、駆動装置カバー20により支持されるべき駆動タイプに左右される。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】