(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021487
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20250206BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H01L21/60 311Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125203
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 恵太
(72)【発明者】
【氏名】仮屋崎 修一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 和夫
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044KK02
5F044KK12
5F044KK17
5F044LL01
5F044QQ02
(57)【要約】
【課題】半導体装置の性能を向上させる。
【解決手段】半導体チップが有する複数の突起電極は、第1領域と重なる位置に配置された第1突起電極と、前記第2絶縁層の第2領域と重なる位置に配置された第2突起電極と、前記第2絶縁層の第3領域と重なる位置に配置された第3突起電極と、を含んでいる。前記第1方向に直交する第2方向において、前記複数の第1突起電極は、第1ピッチで配列され、前記複数の第2突起電極は、第2ピッチで配列され、前記複数の第3突起電極は、前記第1ピッチおよび前記第2ピッチのそれぞれとは異なるピッチで配列されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板の上に複数の突起電極を介して搭載された半導体チップと、
前記半導体チップと前記配線基板との間に配置され、かつ、前記複数の突起電極を封止する第1絶縁部材と、
を有し、
前記半導体チップは、
第1面を有する半導体基板と、
前記第1面の上に形成された第1配線層と、
前記半導体基板の前記第1面と対向する第2面、および前記第2面の反対側の第3面を備え、前記第1配線層を覆うように配置された第2絶縁層と、
前記第1配線層と電気的に接続された前記複数の突起電極と、
を有し、
前記第2絶縁層の前記第3面は、平面視において、
第1方向に延びている第1辺と、
前記第1辺の反対側に位置する第2辺と、
前記第1辺と前記第2辺との間に位置する第1領域と、
前記第1辺と前記第1領域の間に位置し、かつ、前記第1領域の隣りに位置する第2領域と、
前記第1辺と前記第2領域の間に位置し、かつ、前記第2領域の隣りに位置する第3領域と、
を含み、
前記複数の突起電極は、
平面視において、前記第1領域と重なる位置に配置された複数の第1突起電極と、
平面視において、前記第2領域と重なる位置に配置された複数の第2突起電極と、
平面視において、前記第3領域と重なる位置に配置された複数の第3突起電極と、
を含み、
前記複数の第3突起電極のそれぞれは、前記半導体チップの第1回路に電気的に接続され、
前記複数の第1突起電極および前記複数の第2突起電極のそれぞれは、前記第1回路とは異なる回路に電気的に接続され、
前記複数の第1突起電極は、第1ピッチで配列され、
前記複数の第2突起電極は、第2ピッチで配列され、
前記複数の第3突起電極は、前記第1ピッチおよび前記第2ピッチのそれぞれとは異なるピッチで配列され、
前記第1方向に直交する第2方向において、前記第2ピッチの前記第2方向に沿った成分は、前記第1ピッチの前記第2方向に沿った成分よりも大きい、半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数の突起電極のうち、前記複数の第3突起電極は、前記第1辺に最も近い位置に配置されている突起電極を含んでいる、半導体装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1回路は、電気信号の入出力回路である、半導体装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記複数の第2突起電極は、前記第2方向において3列以上で配列されている、半導体装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記複数の第1突起電極および前記複数の第2突起電極のそれぞれは、千鳥配列されている、半導体装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記複数の第1突起電極のうちの一つと、前記複数の第2突起電極のうちの一つとの最短ピッチは、前記第1ピッチ以上であり、
前記複数の第3突起電極のうちの一つと、前記複数の第2突起電極のうちの一つとの最短ピッチは、前記第1ピッチ以上である、半導体装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記複数の第1突起電極のうちの一つと、前記複数の第2突起電極のうち、前記一つの第1突起電極の隣に位置する第2突起電極とのピッチの最大値は、前記第2ピッチ以下である、半導体装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記複数の第3突起電極のうちの一つと、前記複数の第2突起電極のうち、前記一つの第3突起電極の隣に位置する第2突起電極とのピッチの最大値は、前記第2ピッチ以下である、半導体装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記第2絶縁層の前記第3面は、
前記第2方向に延びている第3辺と、
前記第3辺と前記第1領域との間に位置する第4領域と、
を更に含み、
前記複数の突起電極は、平面視において、前記第4領域と重なる位置に配置されている複数の第4突起電極を含み、
前記複数の第4突起電極のそれぞれは、前記半導体チップの第2回路に電気的に接続され、
前記複数の第1突起電極および前記複数の第2突起電極のそれぞれは、前記第2回路とは異なる回路に電気的に接続され、
前記複数の第4突起電極は、前記複数の第1突起電極と同じ第1ピッチで配列されている、半導体装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記第1ピッチの前記第2方向に沿った成分は、前記第1ピッチの前記第1方向に沿った成分よりも長い、半導体装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記複数の第1突起電極のそれぞれは、前記半導体チップの第3回路に電源電位を供給する電源電位供給経路、および前記第3回路に基準電位を供給する基準電位供給経路のいずれかに接続され、
前記配線基板は、前記複数の第1突起電極、前記複数の第2突起電極、および前記複数の第3突起電極のいずれかに接続される複数の端子が配置されている第2配線層を含み、
前記第2配線層は、
前記複数の端子のうち、前記電源電位供給経路に電気的に接続されている複数の電源電位端子と、
前記複数の端子のうち、前記基準電位供給経路に電気的に接続されている複数の基準電位端子と、
前記第1方向に沿って配列されている前記複数の電源電位端子のそれぞれに接続され、かつ前記第1方向に延びている電源電位配線と、
前記第1方向に沿って配列されている前記複数の基準電位端子のそれぞれに接続され、かつ前記第1方向に延びている基準電位配線と、
を含んでいる、半導体装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記複数の電源電位端子のそれぞれの外縁は円弧形状を成し、前記第2方向における前記電源電位配線の幅は、電源電位端子が成す円弧の半径以上である、半導体装置。
【請求項13】
請求項11において、
前記複数の基準電位端子のそれぞれの外縁は円弧形状を成し、前記第2方向における前記基準電位配線の幅は、基準電位端子が成す円弧の半径以上である、半導体装置。
【請求項14】
配線基板と、
前記配線基板の上に複数の突起電極を介して搭載された半導体チップと、
前記半導体チップと前記配線基板との間に配置され、かつ、前記複数の突起電極を封止する第1絶縁部材と、
を有し、
前記半導体チップは、
第1面を有する半導体基板と、
前記第1面の上に形成された第1配線層と、
前記半導体基板の前記第1面と対向する第2面、および前記第2面の反対側の第3面を備え、前記第1配線層を覆うように配置された第2絶縁層と、
前記第1配線層と電気的に接続された前記複数の突起電極と、
を有し、
前記第2絶縁層の前記第3面は、平面視において、
第1方向に延びている第1辺と、
前記第1辺の反対側に位置する第2辺と、
前記第1辺と前記第2辺との間に位置する第1領域と、
前記第1辺と前記第1領域の間に位置する第2領域と、
前記第1辺と前記第2領域の間に位置する第3領域と、
を含み、
前記複数の突起電極は、
平面視において、前記第1領域と重なる位置に配置された複数の第1突起電極と、
平面視において、前記第2領域と重なる位置に配置された複数の第2突起電極と、
平面視において、前記第3領域と重なる位置に配置された複数の第3突起電極と、
を含み、
前記複数の第3突起電極のそれぞれは、前記半導体チップの第1回路に電気的に接続され、
前記複数の第1突起電極および前記複数の第2突起電極のそれぞれは、前記第1回路とは異なる回路に電気的に接続され、
前記複数の第1突起電極は、第1ピッチで配列され、
前記複数の第2突起電極は、第2ピッチで配列され、
前記複数の第3突起電極は、前記第1ピッチおよび前記第2ピッチのそれぞれとは異なるピッチで配列され、
前記第1方向に直交する第2方向において、前記第2ピッチの前記第2方向に沿った成分は、前記第1ピッチの前記第2方向に沿った成分よりも小さい、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の配線層を備えた配線基板上に、半導体チップがフリップチップ接続方式で搭載された半導体装置がある。例えば、特許文献1(特開2019-75442号公報)には、半導体チップの表面に配列されている複数の突起電極を介して半導体チップと配線基板とが電気的に接続されている構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置の高機能化に伴って、1個の半導体チップが有する突起電極の数が増大する傾向がある。一方、半導体チップの小型化の要求により、複数の突起電極の配置密度は高くなっているため、互いに隣り合う突起電極同士が電気的に短絡しないよう、複数の突起電極を配列する必要がある。本願発明者は、半導体装置の信頼性向上、あるいは、電気的特性の改善などの観点から、複数の突起電極の配列を工夫することで、単に複数の突起電極が最小のピッチで配列されている場合と比較して改善できる場合があることを見出した。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態による半導体装置が有する半導体チップは、半導体基板の上に形成された第1配線層と、上記第1配線層を覆うように配置された第2絶縁層と、上記第1配線層と電気的に接続された複数の突起電極と、を有している。上記複数の突起電極は、上記第2絶縁層の第1領域と重なる位置に配置された複数の第1突起電極と、上記第2絶縁層の第2領域と重なる位置に配置された複数の第2突起電極と、上記第2絶縁層の第3領域と重なる位置に配置された複数の第3突起電極と、を含んでいる。上記複数の第1突起電極は、第1ピッチで配列され、上記複数の第2突起電極は、第2ピッチで配列され、上記複数の第3突起電極は、上記第1ピッチおよび上記第2ピッチのそれぞれとは異なるピッチで配列されている。上記第2ピッチの第2方向に沿った成分は、上記第1ピッチの上記第2方向に沿った成分よりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
上記一実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】
図1から
図3に示す半導体装置が備えている回路の構成例を示す説明図である。
【
図5】
図3に示す半導体チップの電極配置面側の平面図である。
【
図7】
図5に示す複数の突起電極のレイアウトに対する検討例を示す平面図である。
【
図8】
図5に示す複数の突起電極のレイアウトに対する他の検討例を示す平面図である。
【
図11】
図5に対する変形例である半導体チップの電極配置面側の平面図である。
【
図13】
図11および
図12に示す半導体チップが搭載されている配線基板の最上層の配線層のレイアウトの一例を示す拡大平面図である。
【
図14】
図5に対する他の変形例である半導体チップの電極配置面側の平面図である。
【
図16】
図3に示す半導体装置の製造方法のフローの一例を示す説明図である。
【
図17】
図16に示す乾燥工程において、風を送る方向を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しの説明を省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0010】
同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を含むものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe(シリコン・ゲルマニウム)合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。また、金めっき、Cu層、ニッケル・めっき等といっても、そうでない旨、特に明示した場合を除き、純粋なものだけでなく、それぞれ金、Cu、ニッケル等を主要な成分とする部材を含むものとする。
【0011】
さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0012】
また、実施の形態の各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0013】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するため、あるいは領域の境界を明示するために、ハッチングやドットパターンを付すことがある。
【0014】
以下の説明において、半導体チップの電極とは、半導体チップの外部端子として機能する部材のことを意味する。電極のうち、面積の小さい板状の部材であるパッドのことを「電極パッド」と呼ぶ。また、電極のうち、下地から局所的に突出するように成形されている部材のことを「バンプ電極」または「突起電極」と呼ぶ。また、「電極パッド」および「バンプ電極(または突起電極)」のいずれかのことを単に「電極」と呼ぶ場合がある。また、電極パッド上にバンプ電極(または突起電極)が形成されている構造体の事を「電極」と呼ぶ場合がある。
【0015】
以下の説明では、X方向、Y方向、およびZ方向という方向を用いる場合がある。例えば後述する
図1には、X方向およびY方向が示されている。X方向およびY方向は、互いに交差している。以下で説明する例においては、X方向はY方向に直交する。以下では、X方向およびY方向を含むX-Y平面を半導体装置の主面および実装基板の主面に対して平行な面として説明する。
【0016】
X-Y平面に対して交差する面(例えば、X方向およびZ方向を含むX-Z平面に平行な面、およびY方向およびZ方向を含むY-Z平面に平行な面)を側面と呼ぶ。以下の説明において、特に異なる意味で解釈すべきことを明示した場合を除き、「平面視」とは、X-Y平面に平行な面を視た場合を意味する。また、X-Y平面に対する法線方向のことを「Z方向」または厚さ方向として説明する。「厚さ」および「高さ」とは、特に別の意味で解釈すべきことを明示した場合を除き、「Z方向」の長さを意味する。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差する方向であり、より特定的には互いに直交する方向である。
【0017】
<半導体装置>
図1は、本実施の形態の半導体装置の上面図である。
図2は、
図1に示す半導体装置の下面図である。また、
図3は、
図1のA-A線に沿った断面図である。なお、
図3では、見易さのため、複数の電極1PD、および複数の突起電極1BPの数を、後述する半導体チップの平面図と比較して少なく示している。
【0018】
本実施の形態の半導体装置PKG1は、配線基板20と、配線基板20に搭載された半導体チップ10(
図1および
図3参照)と、を有する。また、半導体装置PKG1は、半導体チップ10と配線基板20との間に配置され、かつ、複数の突起電極1BP(
図3参照)を封止するアンダーフィル層(絶縁層、絶縁部材)UF(
図1および
図3参照)を有している。
【0019】
図3に示すように、配線基板20は、半導体チップ10が搭載された上面(面、主面、チップ搭載面)20t、上面20tとは反対側の下面(面、主面、実装面)20bを有する。また、配線基板20は、平面視において、上面20tおよび下面20bの外縁を構成する複数の辺20s(
図1および
図2参照)を有する。本実施の形態の場合、配線基板20の上面20t(
図1参照)および下面20b(
図2参照)はそれぞれ四角形であり、配線基板20は、平面視において4つの辺20sを有している。
【0020】
また、配線基板20は、上面20tと下面20bとの間に設けられた複数の配線層(
図3に示す例では8層)WL1、WL2、WL3、WL4、WL5、WL6、WL7、およびWL8を有する。複数の配線層は、この複数の配線層のうち、配線基板20の上面20tに最も近い層であり、かつ、端子(端子2PD)が設けられた配線層WL1を有する。また、複数の配線層は、この複数の配線層のうち、配線基板20の下面20bに最も近い層であり、かつ、端子(ランド2LD)が設けられた配線層WL8を有する。
【0021】
各配線層は、電気信号や電力を供給する経路である配線2Dなどの導体パターンを有する。各配線層の間には、絶縁層2Eが配置されている。各配線層は、絶縁層2Eを貫通する層間導電路であるビア2V、あるいはスルーホール配線2THWを介して互いに電気的に接続されている。なお、本実施の形態では、配線基板20の一例として8層の配線層を備える配線基板を例示しているが、配線基板20が備える配線層の数は8層には限定されない。例えば7層以下、あるいは9層以上の配線層を備える配線基板を変形例として用いることができる。
【0022】
複数の配線層のうち、最も上面20tに近い層(最上層)である配線層WL1は、絶縁膜SR1で覆われている。絶縁膜SR1には、開口部が設けられ、配線層WL1に設けられた複数の複数の端子2PDは、開口部において、絶縁膜SR1から露出している。
【0023】
複数の配線層のうち、配線基板20の下面20bに最も近い層(最下層)である配線層WL8には、複数のランド2LDが設けられている。配線層WL8は、絶縁膜SR2で覆われている。絶縁膜SR2には、開口部が設けられ、配線層WL8に設けられた複数の複数のランド2LDは、開口部において、絶縁膜SR2から露出している。
【0024】
絶縁膜SR1および絶縁膜SR2のそれぞれは、ソルダレジスト膜である。配線層WL1に設けられる複数の端子2PDは、配線層WL8に設けられる複数のランド(ランドパターン)2LDと、配線基板20が備える各配線層に形成された導体パターン(配線2Dや大面積の導体パターン)、ビア2V、およびスルーホール配線2THWを介して、それぞれ電気的に接続されている。
【0025】
配線基板20は、例えば、ガラス繊維に樹脂を含浸させたプリプレグからなる絶縁層(コア材、コア絶縁層)2CRの上面2Ctおよび下面2Cbに、それぞれ複数の配線層を、ビルドアップ工法を用いて積層することにより形成されている。また、絶縁層2CRの上面2Ct側にある配線層WL4と下面2Cb側にある配線層WL5とは、上面2Ctと下面2Cbのうちの一方から他方までを貫通するように設けられた複数の貫通孔(スルーホール)に埋め込まれた、複数のスルーホール配線2THWを介して電気的に接続されている。
【0026】
図3に示す例では、配線基板20はコア材である絶縁層2CRの上面2Ct側、および下面2Cb側にそれぞれ複数の配線層を積層した配線基板を示している。ただし、
図3に対する変形例として、プリプレグ材などの硬い材料からなる絶縁層2CRを有さず、絶縁層2Eと配線2Dなどの導体パターンを順に積層して形成する、所謂、コアレス基板を用いる場合がある。コアレス基板を用いた場合、スルーホール配線2THWは形成せず、各配線層は、ビア2Vを介して電気的に接続されている。
【0027】
また、
図3に示す例では、複数のランド2LDのそれぞれには、半田ボール(半田材、外部端子、電極、外部電極)SBが接続されている。半田ボールSBは、半導体装置PKG1を図示しないマザーボードに実装する際に、マザーボード側の複数の端子(図示は省略)と複数のランド2LDを電気的に接続する、導電性部材である。
【0028】
半田ボールSBは、例えば、鉛(Pb)入りのSn-Pb半田材、あるいは、Pbを実質的に含まない、所謂、鉛フリー半田からなる半田材である。鉛フリー半田の例としては、例えば錫(Sn)のみ、錫-ビスマス(Sn-Bi)、または錫-銅-銀(Sn-Cu-Ag)、錫-銅(Sn-Cu)などが挙げられる。ここで、鉛フリー半田とは、鉛(Pb)の含有量が0.1wt%以下のものを意味し、この含有量は、RoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令の基準として定められている。
【0029】
図2に示すように複数の半田ボールSBは、行列状(アレイ状、マトリクス状)に配置されている。また、
図2では図示を省略するが、複数の半田ボールSBが接合された複数のランド2LD(
図3参照)も行列状(マトリクス状)に配置されている。このように、配線基板20の実装面側に、複数の外部端子(半田ボールSB、ランド2LD)を行列状に配置する半導体装置を、エリアアレイ型の半導体装置と呼ぶ。
【0030】
エリアアレイ型の半導体装置は、配線基板20の実装面(下面20b)側を、外部端子の配置スペースとして有効活用することができるので、外部端子数が増大しても半導体装置の実装面積の増大を抑制することが出来る点で好ましい。つまり、高機能化、高集積化に伴って、外部端子数が増大する半導体装置を省スペースで実装することができる。
【0031】
また、半導体装置PKG1は、配線基板20上に搭載された半導体チップ10を備えている。
図3に示すように、半導体チップ10のそれぞれは、前面(面、主面、表面、上面)1t、前面1tとは反対側の背面(面、主面、裏面、下面)1bを備える。半導体チップ10は、平面視において前面1tおよび背面1bの外縁を構成する複数の辺1s(
図1参照)を備える。半導体チップ10は、
図1に示すように平面視において配線基板20よりも平面積が小さい四角形の外形形状を成す。したがって、半導体チップ10は、平面視において4つの辺1sを有している。
図1に示す例では、半導体チップ10が配線基板20の上面20tの中央部に搭載され、かつ、半導体チップ10の4個の辺1sのそれぞれが、配線基板20の4個の辺20sのそれぞれに沿って延びている。
【0032】
半導体チップ10の前面1t側には、複数の電極(パッド、電極パッド、ボンディングパッド)1PDが形成されている。
図3に示す例では、半導体チップ10は、前面1tが配線基板20の上面20tと対向した状態で、配線基板20上に搭載されている。このような搭載方式は、フェイスダウン実装方式、あるいはフリップチップ接続方式と呼ばれる。
【0033】
半導体チップ10の主面(詳しくは、半導体チップ10の基材である半導体基板の素子形成面に設けられた半導体素子形成領域)には、複数の半導体素子(回路素子)が形成されている。複数の電極1PDは、半導体チップ10の内部(詳しくは、前面1tと図示しない半導体素子形成領域の間)に配置された配線層に形成された配線(図示は省略)を介して、この複数の半導体素子と、それぞれ電気的に接続されている。
【0034】
半導体チップ10が備える半導体基板は、例えばシリコン(Si)から成る。半導体チップ10の前面1tには、半導体基板および配線を覆う絶縁膜が形成されており、複数の電極1PD(
図3参照)のそれぞれの一部は、この絶縁膜に形成された開口部において、絶縁膜から露出している。また、複数の電極1PDは、それぞれ金属膜から成る。半導体チップ10の詳細な構造は、後述する。
【0035】
図3に示すように、複数の電極1PDにはそれぞれ突起電極1BPが接続され、半導体チップ10の複数の電極1PDと、配線基板20の複数の端子2PDとは、複数の突起電極1BPを介して、それぞれ電気的に接続されている。突起電極(バンプ電極)1BPは、半導体チップ10の前面1t上に突出するように形成された金属部材(導電性部材)である。
【0036】
本実施の形態の場合、突起電極1BPは、半田材から成る。半田材から成る突起電極1BPは、半田バンプと呼ばれる。電極1PDは、半田バンプである突起電極1BPの下地金属膜(アンダーバンプメタル)UBM(後述する
図9参照)を介して突起電極1BPと電気的に接続されている。突起電極1BPを構成する半田材としては、上記した半田ボールSBと同様に、鉛入りの半田材や鉛フリー半田を用いることができる。
【0037】
半導体チップ10を配線基板20に搭載する際には、複数の電極1PDおよび複数の端子2PDの双方に、予め半田バンプを形成しておき、半田バンプ同士を接触させた状態で加熱処理(リフロー処理)を施すことで、半田バンプ同士が一体化して、突起電極1BPが形成されている。
【0038】
図3に示すように半導体チップ10と配線基板20の間には、アンダーフィル(絶縁層、絶縁性樹脂、絶縁部材)UFが配置されている。アンダーフィル層UFは、半導体チップ10の前面1tと配線基板20の上面20tの間の空間を塞ぐように配置されている。複数の突起電極1BPのそれぞれはアンダーフィル層UFにより封止されている。アンダーフィル層UFは、絶縁性(非導電性)の材料(例えば樹脂材料)から成り、半導体チップ10と配線基板20の電気的接続部分(複数の突起電極1BPの接合部)を封止するように配置されている。
【0039】
このように、複数の突起電極1BPと複数の端子2PDとの接合部をアンダーフィル層UFで封止することで、半導体チップ10と配線基板20の電気的接続部分に生じる応力を緩和させることができる。アンダーフィル層UFは、半導体チップ10の複数の電極1PDと複数の突起電極1BPとの接合部に生じる応力を緩和させることができる。アンダーフィル層UFは、半導体チップ10の半導体素子(回路素子)が形成された主面を保護することができる。
【0040】
なお、
図1から
図3に示す半導体装置には種々の変形例がある。例えば、
図3に示す例では、配線基板20に1個の半導体チップ10が搭載されている。配線基板20に搭載された半導体チップ10の数は1個には限定されず、2個以上の場合がある。また、
図1および
図3に示す例では、半導体チップ10の背面1bが露出している。
図1および
図3に対する変形例として、半導体チップ10の背面1bに放熱部材として機能するカバー部材が貼り付けられている場合がある。この場合、半導体装置PKG1の放熱特性を向上させることができる。半導体チップ10がカバー部材に覆われている場合、半導体チップ10を保護することができる。
【0041】
<回路構成例>
次に、
図1から
図3に示す半導体装置PKG1が備えている回路の構成例について説明する。
図4は、
図1から
図3に示す半導体装置が備えている回路の構成例を示す説明図である。なお、
図4では、半導体装置PKG1が備えている複数の回路、複数の信号伝送経路、および複数の電力供給経路のそれぞれ一部を例示的に図示している。
【0042】
図4に示すように、本実施の形態の半導体装置PKG1が有する半導体チップ10は、入出力回路IO1を有している。
図4に示す例では、半導体チップ10は、入出力回路IO1と、入出力回路IO1に電気的に接続されたコア回路CC1と、を有している。
【0043】
入出力回路IO1は、例えば、パラレル信号とシリアル信号とを相互に変換する機能を備えたSerDes回路(Serializer Deserializer)を含んでいる。言い換えれば、入出力回路IO1に含まれているSerDes回路は、シリアル信号からパラレル信号への変換、およびパラレル信号からシリアル信号への変換が可能な回路である。
【0044】
図4に示す例では、外部から配線基板20を介して入出力回路IO1に入力される信号SG1は、例えばシリアル信号である。また、入出力回路IO1から配線基板20を介して外部に出力される信号SG2は、例えばシリアル信号である。一方、入出力回路IO1とコア回路CC1との間で伝送される信号SG3および信号SG4は、例えばパラレル信号である。半導体チップ10は、SerDes回路を含む入出力回路IO1を備えているので、半導体チップ10の内部の信号伝送と、半導体チップ10と外部機器との間の信号伝送と、において、互いに異なる伝送方式を採用することができる。
【0045】
また、
図4に示す例では、半導体チップ10は、入出力回路IO2を有している。入出力回路IO2とコア回路CC1とは、電気的に接続されている。入出力回路IO2は、例えば、DDR(Double Data Rate)メモリ用のインタフェース回路である。入出力回路IO2には、配線基板20を介して外部から信号SG5が入力される。また、入出力回路IO2は、信号SG6を出力し、信号SG5は、配線基板20を介して外部メモリ(図示は省略)に伝送される。
【0046】
コア回路CC1は、入出力回路IO1から伝送された信号SG3にデータ処理(例えば演算処理)を施し、信号SG4を出力する。信号SG4は、入出力回路IO1において信号SG2に変換され、外部機器に伝送される。同様に、コア回路CC1は、入出力回路IO2から伝送された信号SG7にデータ処理(例えば演算処理)を施し、信号SG8を出力する。信号SG8は、入出力回路IO2に伝送される。なお、
図4では入出力回路IO2が出力する信号SG6とコア回路CC1が出力する信号SG8とを区別している。ただし、信号SG6と信号SG8は同じ信号である場合がある。
【0047】
図4に示す例では、入出力回路IO1および入出力回路IO2のそれぞれは、同一のコア回路CC1に接続されている。ただし、半導体チップ10が備えているコア回路CC1の数は1個には限定されず、複数個のコア回路CC1を有している場合がある。また、入出力回路IO1および入出力回路IO2がそれぞれ別のコア回路CC1に接続されている場合がある。
【0048】
半導体装置PKG1は、半導体チップ10が備えている複数の回路(入出力回路IO1、入出力回路IO2、およびコア回路CC1)を駆動するための電圧を供給する経路を有している。
【0049】
詳しくは、半導体装置PKG1は、入出力回路IO1に電源電位VD1を供給するための電源電位供給経路PVD1と、入出力回路IO1に基準電位VS1を供給するための基準電位供給経路PVS1と、を有している。
【0050】
半導体装置PKG1は、入出力回路IO2に電源電位VD2を供給するための電源電位供給経路PVD2と、入出力回路IO2に基準電位VS2を供給するための基準電位供給経路PVS2と、を有している。
【0051】
半導体装置PKG1は、コア回路CC1に電源電位VD3を供給するための電源電位供給経路PVD3と、コア回路CC1に基準電位VS3を供給するための基準電位供給経路PVS3と、を有している。
【0052】
図4の場合、入出力回路IO1、入出力回路IO2、およびコア回路CC1に互いに異なる電位が供給されている例を示している。ただし、複数の回路に供給される電位がそれぞれ異なっている場合には限定されない。例えば、電源電位VD1、電源電位VD2、および電源電位VD3のうち、一部または全部が同電位である場合がある。同様に、基準電位VS1、基準電位VS2、および基準電位VS3のうち、一部または全部が同電位である場合がある。
【0053】
なお、基準電位VS1、基準電位VS2、および基準電位VS3のそれぞれは、電源電位VD1、電源電位VD2、および電源電位VD3とは異なる電位であるが、接地電位以外の電位である場合もある。
【0054】
<半導体チップの電極レイアウト>
次に、半導体チップの電極レイアウトについて説明する。
図5は、
図3に示す半導体チップの電極配置面側の平面図である。
図6は、
図5のA部の拡大平面図である。
図7および
図8は、
図5に示す複数の突起電極のレイアウトに対する検討例を示す平面図である。
図9は
図6のB-B線に沿った拡大断面図である。
【0055】
一般に半導体チップの電極は、平面視において、半導体チップの中央領域(中心を含む領域)には配列されず、中央領域の周囲の周辺領域に配置されている。半導体チップの小型化(平面サイズの縮小化)の要求に伴って、周辺領域のみに電極を配置する場合、電極の配置スペースが不足する傾向がある。
【0056】
そこで、
図5から
図8に示すように、中央領域および周辺領域を含め、半導体チップの一方の主面の全体に規則的に電極を配列するエリアアレイ方式が検討されている。半導体チップの中央領域は、コア回路などの主要な回路が配置されるエリアでアクティブエリアと呼ばれる。このため、エリアアレイ方式による電極の配列方法は、PAA(Pad on Active Area)と呼ばれる場合がある。
【0057】
電極の配置密度を最大化する観点からは、
図7に示す半導体チップ10C1のように、全ての突起電極1BPが許容される最小のピッチで配列されていることが好ましい。しかし、様々な事情により、全ての突起電極1BPを同じピッチで配列することが難しい場合がある。
【0058】
例えば、半導体チップ10の一部分に、例えばコイルやコンデンサなどの素子を配置する場合、上記素子の周辺において、突起電極1BPを配置することが困難な領域が生じ、一部の突起電極1BPのピッチが他の突起電極1BPのピッチとは異なる値になる場合がある。
【0059】
あるいは、半導体チップ10が有する複数の回路(
図4に示す入出力回路IO1、入出力回路IO2、およびコア回路CC1)のうちの一部が規格化された回路である場合、突起電極1BPのレイアウトが規格により規定されている場合がある。規格化された回路とは、ある機能を備えている回路の汎用性を高めるため、回路の仕様および回路を構成する回路部品の仕様が標準化された回路ブロックの事を言う。このような回路ブロックの事を、IP(Intellectual Property)回路と呼ぶ場合がある。例えば、
図4に示す入出力回路IO1は、回路ブロックの仕様が突起電極の配列方法を含めて規格化されている。
【0060】
集積回路の回路規模は大きいので、全ての回路ブロックを最初から全て設計するには、膨大な時間を要する。集積回路の一部に、IP回路のような規格化された回路ブロックを含めることにより、設計の効率化を図ることができる。
【0061】
規格化された回路は、入出力回路IO1、あるいは入出力回路IO2のように、他の回路との間で信号を伝送するインタフェース回路であることが多い。インタフェース回路は、半導体チップの周辺領域に配置されている場合が多い。インタフェース回路を周辺領域に配置することで、信号伝送経路を短くすることができる。
【0062】
一方、中央領域には、主にコア回路CC1(
図4参照)に電源電位VD3(
図4参照)または基準電位VS3(
図4参照)を供給するための突起電極1BPが配列される場合が多い。中央領域に形成されているコア回路CC1は、入出力回路IO1または入出力回路IO2を介して外部機器で信号伝送を行うからである。
【0063】
半導体チップ10のように、規格化された回路を含んでいる場合、全ての突起電極1BPを同じピッチで配列することが困難である。例えば、
図8に示す半導体チップ10C2の場合、複数の突起電極1BPのうち、周辺領域に配列されている一部の突起電極BP3のピッチは、中央領域に配列されている突起電極BP1のピッチよりも広い。
【0064】
<電極の配列に関する用語の定義>
以下、複数の突起電極1BPが配列されているピッチについて説明する。本願明細書において、「千鳥配列」、「ピッチ」、「ピッチのX方向に沿った成分」、「ピッチのY方向に沿った成分」という用語を用いる場合がある。各用語は、以下のように定義される。
【0065】
まず「千鳥配列」とは、
図5に拡大して示すような配列である。
図5において、X方向を行方向、Y方向を列方向として定義すると、複数の突起電極1BPは以下のように配列されている。
【0066】
すなわち、複数の突起電極1BPは、Y方向に複数列に亘って配列されている。例えば、
図5では、列RW1に配列されている複数の突起電極51と、列RW1の隣の列RW2に配列されている複数の突起電極52と、列RW2の隣の列RW3に配列されている複数の突起電極53と、列RW3の隣の列RW4に配列されている複数の突起電極54と、が図示されている。
【0067】
図5に示す複数の突起電極1BPは千鳥配列されている。このため、行方向であるX方向において、複数の突起電極52のそれぞれの中心は、互いに隣り合う突起電極51の間(
図5では中間)に配置されている。同様に、X方向において、複数の突起電極53のそれぞれの中心は、互いに隣り合う突起電極52の間(
図5では中間)に配置されている。X方向において、複数の突起電極54のそれぞれの中心は、互いに隣り合う突起電極53の間(
図5では中間)に配置されている。
【0068】
一方、X方向において、複数の突起電極53のそれぞれの中心は、複数の突起電極51のそれぞれの中心と同じ位置に配置されている。同様に、X方向において、複数の突起電極54のそれぞれの中心は、複数の突起電極52のそれぞれの中心と同じ位置に配置されている。
【0069】
このような配列方法を「千鳥配列」と呼ぶ。なお、
図2に示す複数の半田ボールSBの配列のように、X方向およびY方向のそれぞれに沿って複数の半田ボールSBが行列上に配列されている配列方法を「行列配列」と呼ぶ。
【0070】
千鳥配列の場合、ある行に配置された突起電極と、この行の隣の行に配置された突起電極との間隔を行列配列と比較して広げることができるため、配列対象物の配置密度を向上させることができる。このため、本実施の形態の場合、複数の突起電極1BPの配置密度を向上させる観点から複数の突起電極1BPのそれぞれは、千鳥配列されている。
【0071】
ただし、複数の突起電極1BPの配列方法は、千鳥配列には限定されず、変形例としては、複数の突起電極1BPのうちの一部または全部が行列配列により配置されている場合がある。
【0072】
突起電極1BPの「ピッチ」とは、複数の突起電極1BPのうちの一つと、上記一つの突起電極1BPの最も近くに配置されている突起電極1BPとの中心間距離である。
図5に示す例では、突起電極51と突起電極51の最も近くに配置されている突起電極52との中心間距離を、ピッチPXYとして図示している。
【0073】
突起電極1BPの「ピッチのX方向に沿った成分」とは、ピッチPXYのうち、X方向に沿った成分である。
図5に示す例では、突起電極51と突起電極52とのピッチのX方向に沿った成分を距離PXとして図示している。
【0074】
突起電極1BPの「ピッチY方向に沿った成分」とは、ピッチPXYのうち、Y方向に沿った成分である。
図5に示す例では、突起電極51と突起電極52とのピッチY方向に沿った成分を距離PYとして図示している。
【0075】
<検討例と本実施の形態との相違点について>
次に、
図5および
図6に示す本実施の形態に係る半導体チップ10と、
図8に示す半導体チップ10C2との一致点および相違点について説明する。
【0076】
図9に示すように、半導体チップ10は、半導体基板11、配線部DP、配線層RDL、絶縁層12、および突起電極1BPを有している。半導体基板11は、面(主面)11tを有している。面11tには、トランジスタ、あるいはダイオードなどの半導体素子(図示は省略)が形成されている。
【0077】
半導体チップ10の配線部DPは、積層された複数の配線層を有している。半導体素子に接続するプラグおよび複数の配線層のうちの最上層(面11tから最も離れた位置の配線層)の配線層を除き、複数の配線層は、例えば銅または銅合金から成る。複数の配線層の間には、例えば酸化珪素などの無機絶縁層が介在する。配線部DPの最上層に配置される配線層は、例えばアルミニウムから成るパッド(図示は省略)が形成されている。
【0078】
配線層RDLは、半導体基板11の面11tの上(詳しくは、面11t上に配置されている配線部DPの上)に形成されている。配線層RDLは、配線部DPを介して半導体基板11の面11tに形成されている半導体素子と電気的に接続されている。
図9では、配線層RDLに形成されている導体パターンの例として電極1PDを図示している。配線層RDLには、電極1PDの他、電極1PDに接続されている配線パターンなどが形成されている。
【0079】
配線部DPと配線層RDLとを区別する場合、配線層RDLの事を再配線層と呼ぶ場合がある。配線層RDLは、例えば銅または銅合金から成る。配線部DPの最上層に形成されたパッドと、電極1PDとは、配線層RDLに形成された配線を介して電気的に接続されている。
【0080】
絶縁層12は、半導体基板11の面11tと対向する面12b、および面12bの反対側の面12tを備え、配線層RDLを覆うように配置されている。絶縁層12は、複数の突起電極1BPの電気的な絶縁性を確保する機能と、配線層RDLを保護する保護膜としての機能と、を備えている。絶縁層12の面12tの平坦性を向上させる観点から、絶縁層12は、例えばポリイミド樹脂などから成る有機絶縁層である。ただし、変形例としては、絶縁層12が無機絶縁層である場合がある。
【0081】
絶縁層12には複数の開口部が形成されている。配線層RDLに設けられている複数の電極1PDのそれぞれは、絶縁層12に形成された複数の開口部のいずれかと重なる位置に配置されている。複数の電極1PDのそれぞれは、上記開口部と重なる位置において、絶縁層12から露出している。上記開口部には、半田バンプである突起電極1BPの下地金属膜(アンダーバンプメタル)UBMが形成されている。複数の突起電極1BPと複数の電極1PDとは、下地金属膜UBMを介して電気的に接続されている。
【0082】
図9を用いて説明した半導体チップ10の構造は、
図8に示す半導体チップ10C2の場合も同様である。
【0083】
図5および
図8のそれぞれに示すように、絶縁層12の面12tは、X方向に延びている辺1s1と、辺1s1の反対側に位置する辺1s2と、X方向に交差するY方向に延びている辺1s3と、辺1s3の反対側に位置する辺1s4と、を有している。
【0084】
図5に示す半導体チップ10の場合、絶縁層12の面12tは、辺1s1と辺1s2との間に位置する領域R1と、辺1s1と領域R1との間に、領域R1に隣り合って配置されている領域R2と、辺1s1と領域R2との間に、領域R2に隣り合って配置されている領域R3と、を含んでいる。
【0085】
図6に示すように、複数の突起電極1BPは、平面視において、領域R1と重なる位置に配置されている複数の突起電極BP1と、平面視において、領域R2と重なる位置に配置されている複数の突起電極BP2と、平面視において、領域R3と重なる位置に配置されている複数の突起電極BP3と、を含んでいる。
【0086】
複数の突起電極BP3のそれぞれは、
図4に示す半導体チップ10の入出力回路IO1に電気的に接続されている。
図6に示す複数の突起電極BP1および複数の突起電極BP2のそれぞれは、
図4に示す入出力回路IO1とは異なる回路(例えばコア回路CC1)に電気的に接続されている。
【0087】
図6に示すように、複数の突起電極BP1は、ピッチP11で配列されている。複数の突起電極BP2は、ピッチP11よりも広いピッチP22で配列されている。複数の突起電極BP3は、ピッチP11およびピッチP22のそれぞれとは異なるピッチで配列されている。X方向に直交するY方向において、ピッチP22のY方向に沿った成分(距離P2Y)は、ピッチP11のY方向に沿った成分(距離P1Y)よりも大きい。
【0088】
一方、
図8に示す半導体チップ10C2の場合、領域R1と、領域R3との間に、突起電極1BPが配置されないブランク領域RBLが設けられている。この点で、
図5に示す半導体チップ10と
図8に示す半導体チップ10C2とが相違する。
【0089】
本願発明者の検討によれば、
図8に示す半導体チップ10C2を用いた半導体装置の場合、
図9に示す絶縁層12とアンダーフィル層UFとの間にボイドが形成される場合があることが判った。上記ボイドは、
図8に示すブランク領域RBLの近傍において発生し易いことが判った。
【0090】
本願発明者の検討によれば、上記ボイドの発生原因は以下のように推定されている。半導体装置の製造工程には、半導体チップ10を配線基板20上に搭載した後、複数の突起電極1BPの周囲に残った残渣を洗浄液により洗浄する洗浄工程と、洗浄液を取り除く乾燥工程と、を含んでいる。乾燥工程において、全ての水分が除去されることが好ましいが、
図8に示すブランク領域RBLの周辺においては、一部の水分が除去され難く、洗浄残渣が発生し易いことが判った。洗浄残渣は、
図9に示す突起電極1BPと絶縁層12との隙間に発生し易い。
【0091】
上記ボイドはこの洗浄残渣によるもので、突起電極1BPと絶縁層12との隙間に発生した洗浄残渣(すなわち、ボイド)が、アンダーフィル層UF(
図3参照)と絶縁層12tの密着性を低下させているものと考えられる。
図8に示す半導体チップ10C2のブランク領域RBLでは、複数の突起電極BP1が配置されている領域R1と複数の突起電極BP3が配置されている領域R3との離間距離が、複数の突起電極BP1のピッチおよび複数の突起電極BP3のそれぞれのピッチと比較して広くなっているからである。
【0092】
上記ボイドの体積が小さい場合には特に問題はないが、ボイドの体積が大きい場合には、隣り合う突起電極1BPが短絡する可能性もある。このため、上記ボイドが発生する原因となる水分の残留を抑制できれば、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0093】
図6に示す本実施の形態に係る半導体チップ10の場合、複数の突起電極BP1が配置されている領域R1と、複数の突起電極BP3が配置されている領域R3との間に、複数の突起電極BP2が配置されている領域R2が設けられている。半導体チップ10の場合、領域R2に配置されている複数の突起電極BP2のピッチP22を調整することにより、突起電極1BPが配置されていない隙間の面積を低減させることができる。このため、半導体チップ10を用いた半導体装置PKG1(
図3参照)の場合、ボイドの発生を抑制できるので、信頼性を向上させることができる。
【0094】
以下の説明において、突起電極BP2のように、領域R3に配列されている突起電極BP3と領域R1に配列されている突起電極BP1との間に生じた広い隙間を低減させるために配置されている突起電極1BPのことを、配列調整用の突起電極1BPと呼ぶ場合がある。
【0095】
図5および
図6に示すように、領域R3に配置されている複数の突起電極BP3は、半導体チップ10の周辺領域に配置されている。言い換えれば、複数の突起電極1BPのうち、複数の突起電極BP3は、辺1s1に最も近い位置に配置されている突起電極1BPを含んでいる。複数の突起電極BP3は、半導体チップ10の周辺領域に配置されているので、突起電極BP3と絶縁層12との間に水分が溜まったとしても、乾燥工程により水分が除去され易い。
【0096】
図6に示すピッチP33は、ピッチP11およびピッチP22とは異なっている。例えば、
図6に示す例では、ピッチP33は、ピッチP22よりもさらに広い。ただし、変形例としては、ピッチP33がピッチP22よりも狭い場合がある。
【0097】
上記したように、複数の突起電極BP3のそれぞれが電気的に接続されている回路は、電気信号の入出力回路IO1(
図4参照)である。このため、複数の突起電極BP3が半導体チップ10の周辺領域に配置されていることで、信号伝送経路の経路長を短縮することができる。
【0098】
図6に示す例では、複数の突起電極BP2は、Y方向において3列で配列されている。複数の突起電極BP2のY方向における列数は、3列には限定されない。例えば変形例として後述する
図11に示す半導体チップ10Aの場合、領域R2に配置されている複数の突起電極BP2は、Y方向において2列で配列されている。また、領域R5に配置されている複数の突起電極BP5は、Y方向において4列で配列されている。なお、図示は省略するが、更なる変形例としては、複数の突起電極BP2または複数の突起電極BP5が、Y方向において、5列以上で配列される場合もある。
【0099】
ただし、本実施の形態の場合、ピッチP22のY方向の成分を調整することで隙間の面積を低減している。したがって、複数の突起電極BP2のY方向における列数は、2列以上であることが好ましい。また、複数の突起電極BP2のY方向における列数が極端に多くなると、複数の突起電極BP1が配置されている領域R1の面積が縮小する。突起電極1BPの配置密度を向上させる観点からは、領域R1の面積が大きい方が好ましい。したがって、複数の突起電極BP2のY方向における列数は、例えば5列以下であることが好ましい。
【0100】
また、本実施の形態の場合、厳密には、ピッチP22のY方向の成分を調整することで隙間の面積を低減している。このため、少なくとも、ピッチP22のY方向の成分(距離P2Y)がピッチP11のY方向の成分(距離P1Y)よりも長ければ、ピッチP22のX方向の成分(距離P2X)の値は任意に設定することができる。
図6に示す例では、ピッチP22は、ピッチP11よりも広い。ただし、変形例として、ピッチP22のX方向の成分(距離P2X)の値によっては、ピッチP22がピッチP11と同じである場合、あるいは、ピッチP22がピッチP11よりも狭い場合がある。なお、隙間の面積を埋めるための調整のし易さという観点からは、ピッチP22のX方向の成分(距離P2X)が広い方が好ましい。したがって、
図6に示すように、ピッチP22がピッチP11よりも広い方が隙間を埋める調整は容易である。
【0101】
図6に示すように、複数の突起電極BP1および複数の突起電極BP2のそれぞれは、千鳥配列されている。突起電極1BPの配置密度を向上させる観点からは、本実施の形態のように千鳥配置されていることが好ましい。
【0102】
図6に示す例では、ピッチP11のX方向に沿った成分(距離P1X)とピッチP11のY方向に沿った成分(距離P1Y)とは等しい。ピッチP22のX方向に沿った成分(距離P2X)とピッチP22のY方向に沿った成分(距離P2Y)とは等しい。ピッチP33のX方向に沿った成分(距離P3X)とピッチP33のY方向に沿った成分(距離P3Y)とは等しい。
【0103】
図6に示す例では、複数の突起電極BP1のうちの一つと、複数の突起電極BP2のうちの一つとの最短ピッチ(ピッチP12min)は、ピッチP11以上である。また、複数の突起電極BP3のうちの一つと、複数の突起電極BP2のうちの一つとの最短ピッチ(ピッチP23min)は、ピッチP11以上である。
図6に示すピッチP12minは、複数の突起電極BP1のうちの一つと、上記一つの突起電極BP1の隣に位置する突起電極BP2とのピッチの最小値である。同様に、
図6に示すピッチP23minは、複数の突起電極BP3のうちの一つと、上記一つの突起電極BP3の隣に位置する突起電極BP2とのピッチの最小値である。
【0104】
本実施の形態の場合、複数の突起電極BP1のピッチP11は、隣り合う突起電極BP1の短絡を防止する観点から許容される値に設定されている。このため、ピッチP12およびピッチP23のそれぞれがピッチP11以上であることにより、突起電極BP1と突起電極BP2との短絡、あるいは、突起電極BP3と突起電極BP2との短絡を防止することができる。
【0105】
図6に示す例では、複数の突起電極1BPのそれぞれのボール径(平面視における直径の最大値)は、100μm程度である。
【0106】
図6に示す距離P1Xおよび距離P1Yのそれぞれは、92μmである。このため、ピッチP11は130μmである。
図6に示す距離P2Xおよび距離P2Yのそれぞれは、104μmである。このため、ピッチP22は147μmである。また、
図6に示すピッチP12minは、ピッチP11と等しい。ピッチP23minは、ピッチP11より広く、134μmである。
【0107】
一方、複数の突起電極BP1のうちの一つと、上記一つの突起電極BP1の隣に位置する突起電極BP2とのピッチの最大値(
図6のピッチP12max)は、ピッチP22以下であることが好ましい。また、複数の突起電極BP3のうちの一つと、上記一つの突起電極BP3の隣に位置する突起電極BP2とのピッチの最大値(
図6のピッチP23max)は、ピッチP22以下であることが好ましい。
【0108】
図6に示すピッチP12maxは、135μmであり、ピッチP23maxは、144μmである。なお、
図6に対する変形例としては、ピッチP12maxおよびピッチP23maxの一方または両方が、ピッチP22よりも狭い場合がある。この場合でも、突起電極BP1と突起電極BP2との中心間距離の平均値がピッチP22以下であれば、水分の残留を抑制できる。
【0109】
ピッチP12min、ピッチP12max、ピッチP23min、およびピッチP23maxの値を調整し易くする観点からは、ピッチP22の値は、水分の残留が生じない範囲内において大きい方が好ましい。このため、ピッチP12およびピッチP23のそれぞれがピッチP22以下であることにより、領域R1と領域R2の間、および領域R2と領域R3の間に水分が残留することを防止できる。
【0110】
ところで、
図6を用いて
図5に示す半導体チップ10の辺1s1の周辺の突起電極1BPのレイアウトについて説明した。半導体チップ10の場合、
図5に示すように、半導体チップ10の辺1s2の周辺においても、辺1s1の周辺と同様のレイアウトになっている。
図10は、
図5のB部の拡大平面図である。
【0111】
図10に示すように、複数の突起電極1BPは、平面視において、領域R1と重なる位置に配置されている複数の突起電極BP1と、平面視において、領域R5と重なる位置に配置されている複数の突起電極BP5と、平面視において、領域R6と重なる位置に配置されている複数の突起電極BP6と、を含んでいる。
【0112】
複数の突起電極BP6のそれぞれは、
図4に示す半導体チップ10の入出力回路IO1に電気的に接続されている。
図10に示す複数の突起電極BP1および複数の突起電極BP5のそれぞれは、
図4に示す入出力回路IO1とは異なる回路(例えばコア回路CC1)に電気的に接続されている。
【0113】
図10に示すように、複数の突起電極BP1は、ピッチP11で配列されている。複数の突起電極BP5は、ピッチP11よりも広いピッチP55で配列されている。複数の突起電極BP6は、ピッチP11およびピッチP55のそれぞれとは異なるピッチで配列されている。X方向に直交するY方向において、ピッチP55のY方向に沿った成分(距離P5Y)は、ピッチP11のY方向に沿った成分(距離P1Y)よりも大きい。
【0114】
なお、
図6で説明したピッチP11とピッチP22との関係と同様に、
図10に示すピッチP55のY方向の成分(距離P5Y)がピッチP11のY方向の成分(距離P1Y)よりも長ければ、ピッチP55のX方向の成分(距離P5X)の値は任意に設定することができる。
図10に示す例では、ピッチP55は、ピッチP11よりも広い。ただし、変形例として、ピッチP55のX方向の成分(距離P5X)の値によっては、ピッチP55がピッチP11と同じである場合、あるいは、ピッチP55がピッチP11よりも狭い場合がある。なお、
図10に示すように、ピッチP55がピッチP11よりも広い方が隙間を埋める調整は容易である。
【0115】
本願発明者の検討によれば、上記した乾燥工程における水分残留の程度は、乾燥方法によっても変化することが判った。すなわち、乾燥工程において、一つの方向にそって送風することにより乾燥させる場合がある。この場合、乾燥させるための風を送る方向によって、水分の除去の程度が変わる。
【0116】
例えば、
図8に示す半導体チップ10C2の場合において、辺1s2から辺1s1に向かってY方向に沿って送風する場合、2か所のブランク領域RBLのうち、相対的に辺1s1に近い位置にあるブランク領域RBL1の周辺には水分が残留し易い。一方、相対的に辺1s2に近い位置にあるブランク領域RBL2の周辺には水分が残留し難い。この結果、ブランク領域RBL2の周辺ではボイドが発生し難い。
【0117】
この知見から考えれば、例えば
図5に示す半導体チップ10に対する変形例として、辺1s2の周辺の構造が
図8に示す半導体チップ10C2と同様になっている場合が考えられる。この場合、乾燥工程において、辺1s2から辺1s1に向かってY方向に沿って送風することにより、
図8に示すブランク領域RBL2に相当する領域がある場合でも、水分の残留に伴うボイドは発生し難い。
【0118】
一方、
図5に示す半導体チップ10の場合、上記したように、辺1s2の周辺と辺1s1の周辺とが互いに同様な構造になっている。このため、半導体チップ10の場合、乾燥方法によらず、ボイドの発生を抑制することができる。
【0119】
なお、
図10に示す突起電極BP5および突起電極BP6のレイアウトは、
図6を用いて説明した突起電極BP2および突起電極BP3のレイアウトと同様であることが好ましい。
【0120】
図5および
図10に示すように、領域R6に配置されている複数の突起電極BP6は、半導体チップ10の周辺領域に配置されている。言い換えれば、複数の突起電極1BPのうち、複数の突起電極BP6は、辺1s2に最も近い位置に配置されている突起電極1BPを含んでいる。
【0121】
図10に示すピッチP66は、ピッチP11およびピッチP55とは異なっている。例えば、
図10に示す例では、ピッチP66は、ピッチP55よりもさらに広い。ただし、変形例としては、ピッチP66がピッチP55よりも狭い場合がある。
【0122】
複数の突起電極BP6のそれぞれが電気的に接続されている回路は、電気信号の入出力回路IO1(
図4参照)である。このため、複数の突起電極BP6が半導体チップ10の周辺領域に配置されていることで、信号伝送経路の経路長を短縮することができる。
【0123】
図10に示す例では、複数の突起電極BP5は、Y方向において3列で配列されている。複数の突起電極BP5のY方向における列数は、3列には限定されず、例えば2列の場合、あるいは4列以上の場合がある。
【0124】
図10に示すように、複数の突起電極BP1および複数の突起電極BP5のそれぞれは、千鳥配列されている。
図10に示す例では、ピッチP55のX方向に沿った成分(距離P5X)とピッチP55のY方向に沿った成分(距離P5Y)とは等しい。ピッチP66のX方向に沿った成分(距離P6X)とピッチP66のY方向に沿った成分(距離P6Y)とは等しい。
【0125】
図10に示す例では、複数の突起電極BP1のうちの一つと、複数の突起電極BP5のうちの一つとの最短ピッチ(ピッチP15min)は、ピッチP11以上である。また、複数の突起電極BP6のうちの一つと、複数の突起電極BP5のうちの一つとの最短ピッチ(ピッチP56min)は、ピッチP11以上である。
図10に示すピッチP15minは、複数の突起電極BP1のうちの一つと、上記一つの突起電極BP1の隣に位置する突起電極BP5とのピッチの最小値である。同様に、
図10に示すピッチP56minは、複数の突起電極BP6のうちの一つと、上記一つの突起電極BP6の隣に位置する突起電極BP5とのピッチの最小値である。
【0126】
一方、複数の突起電極BP1のうちの一つと、上記一つの突起電極BP1の隣に位置する突起電極BP5とのピッチの最大値(
図10のピッチP15max)は、ピッチP55以下である。また、複数の突起電極BP6のうちの一つと、上記一つの突起電極BP6の隣に位置する突起電極BP5とのピッチの最大値(
図10のピッチP56max)は、ピッチP55以下である。
【0127】
<変形例1>
次に、
図5に示す半導体チップ10に対する変形例について説明する。
図11は、
図5に対する変形例である半導体チップの電極配置面側の平面図である。
図12は、
図11のC部の拡大平面図である。
【0128】
図11および
図12では、
図5および
図6に示す半導体チップ10を備えている半導体装置PKG1に対する変形例として、半導体チップ10Aを備えている半導体装置PKG2について示している。
図11および
図12に示す半導体チップ10Aが有する絶縁層12の面12tは、Y方向に延びている辺1s3と、辺1s3と領域R1との間に位置する領域R4と、を含んでいる。この点は、
図5に示す半導体チップ10と同様である。
【0129】
複数の突起電極1BPは、平面視において、領域R4と重なる位置に配置されている突起電極BP4を含んでいる。複数の突起電極BP4のそれぞれは、半導体チップ10Aの回路(例えば
図4に示す入出力回路IO2)に電気的に接続されている。複数の突起電極BP1および複数の突起電極BP2(
図11参照)のそれぞれは、入出力回路IO2とは異なる回路(例えば
図4に示すコア回路CC1)に電気的に接続されている。
【0130】
複数の突起電極BP4は、ピッチP44で配列されている。ピッチP44の値と、ピッチP11の値とは互いに同じである。すなわち、複数の突起電極BP1と同じピッチP11で配列されている。また、X方向およびY方向のそれぞれにおいて、複数の突起電極BP4は、複数の突起電極BP1と同じピッチで配列されている。
【0131】
詳しくは、
図12に示すように、複数の突起電極BP4のそれぞれは、ピッチP44で配列されている。また、複数の突起電極BP1のそれぞれは、ピッチP11で配列されている。半導体チップ10Aの場合、ピッチP44のX方向に沿った成分である距離P4Xは、ピッチP11のX方向に沿った成分である距離P1Xと等しく、かつ、ピッチP44のY方向に沿った成分である距離P4Yは、ピッチP11のY方向に沿った成分である距離P1Yと等しい。また、互いに隣り合う突起電極BP1と突起電極BP4とのピッチP14は、ピッチP11およびピッチP44と等しい。
【0132】
図8を用いて説明したように、半導体装置の信頼性低下の原因になるボイドは、
図8に示すブランク領域RBLの周囲に形成され易いことが判っている。本変形例の場合、X方向およびY方向のそれぞれにおいて、複数の突起電極BP4は、複数の突起電極BP1と同じピッチで配列されているので、
図8に示すブランク領域RBLのように、突起電極が配置されない隙間が生じることを防止できる。
【0133】
ところで、
図5に示す半導体チップ10の場合、複数の突起電極BP4が接続されている回路は、例えばIP回路ではなく、半導体チップ10の仕様に合わせて、少なくとも突起電極1BPのレイアウトを新たに設計した回路である。このため、
図5に示す半導体チップ10の場合でもX方向およびY方向のそれぞれにおいて、複数の突起電極BP4は、複数の突起電極BP1と同じピッチP1(
図6参照)で配列されている。
【0134】
一方、
図11および
図12に示す半導体チップ10Aの場合、複数の突起電極BP4が接続されている入出力回路IO2(
図4参照)は、例えば上記したようにDDRメモリ用のインタフェース回路である。メモリインタフェース回路は種々の集積回路に組み込まれる場合が多いので、IP回路である場合が多い。本変形例の場合、入出力回路IO2は、規格化されたIP回路である。
【0135】
このため、本変形例において、複数の突起電極BP4は、複数の突起電極BP1と同じピッチで配列されるようにするためには、複数の突起電極BP1のレイアウトを複数の突起電極BP4のレイアウトに揃える必要がある。
【0136】
本変形例の半導体チップ10Aは、複数の突起電極BP1のレイアウトが複数の突起電極BP4のレイアウトと同じになるように設計されている。このため、
図6に示す場合とは異なり、本変形例の場合には、距離P1Xの値と、距離P1Yの値とが異なる。
【0137】
図12に示す例の場合、ピッチP11のY方向に沿った成分(距離P1Y)は、ピッチP11のX方向に沿った成分(距離P1X)よりも長い。また、ピッチP44のY方向に沿った成分(距離P4Y)は、ピッチP44のX方向に沿った成分(距離P4X)よりも長い。
【0138】
図12に示す例では、距離P1Xおよび距離P4Xのそれぞれは、例えば75μmである。これに対し、距離P1Yおよび距離P4Yのそれぞれは、例えば110μmである。
【0139】
メモリインタフェース回路の場合、信号伝送用の配線(以下、信号配線と記載する)の数が多い。このため、半導体チップの配線部DP(
図9参照)および配線基板20(
図9参照)の配線層おいて、多数の信号配線を配置するスペースを確保するため、
図12に示すように、距離P1Xの値および距離P1Yのうち、一方が他方よりも長い場合がある。
【0140】
一方、複数の突起電極BP1は、
図4に示すコア回路CC1に電源電位VD3を供給するための電源電位供給経路PVD3、またはコア回路CC1に基準電位VS3を供給するための基準電位供給経路PVS3に接続されている。
【0141】
突起電極BP1のように、電力供給用の端子の場合、信号伝送用の突起電極BP4とは異なり、
図6に示すように距離P1Xの値と、距離P1Yの値とが等しい場合が多い。本変形例のように、距離P1Xの値と、距離P1Yの値とが異なっている場合、以下のようなメリットがある。
【0142】
図13は、
図11および
図12に示す半導体チップが搭載されている配線基板の最上層の配線層のレイアウトの一例を示す拡大平面図である。
【0143】
図11および
図12に示す複数の突起電極BP1のそれぞれは、
図4に示すコア回路CC1に電源電位を供給する電源電位供給経路PVD3、およびコア回路CC1に基準電位を供給する基準電位供給経路PVS3のいずれかに接続されている。
【0144】
図3および
図13に示す配線基板20の配線層WL1には、
図11に示す複数の突起電極BP1、複数の突起電極BP2、および複数の突起電極BP3のいずれかに接続される複数の端子2PDが配置されている。
【0145】
図13に示す例では、配線層WL1は、複数の端子2PDのうち、電源電位供給経路PVD3に電気的に接続されている複数の電源電位端子PDDと、複数の端子2PDのうち、基準電位供給経路PVS3に電気的に接続されている複数の基準電位端子PDSと、を含んでいる。配線層WL1は、X方向に沿って配列されている複数の電源電位端子PDDのそれぞれに接続され、かつX方向に延びている電源電位配線2DDを含んでいる。配線層WL1は、X方向に沿って配列されている複数の基準電位端子PDSのそれぞれに接続され、かつX方向に延びている基準電位配線2DSを含んでいる。
【0146】
Y方向において、複数の電源電位配線2DDと、複数の基準電位配線2DSとは交互に配列されている。複数の電源電位端子PDDが、電源電位配線2DDを介して電気的に接続されていることで、電源電位供給経路PVD3の電位を安定化させることができる。同様に、複数の基準電位端子PDSが、基準電位配線2DSを介して電気的に接続されていることで、基準電位供給経路PVS3の電位を安定化させることができる。
【0147】
上記の構成は、
図6に用いて説明した半導体チップ10のように、距離P1Xの値と距離P1Xの値とが等しい場合にも実現可能である。
【0148】
ただし、本変形例の場合、
図12に示すように、距離P1Xの値よりも距離P1Yの値の方が大きいので、
図13に示す配線層WL1における複数の端子2PDのレイアウトが以下のようになっている。すなわち、Y方向(列方向)において、互いに隣り合う端子2PDのピッチPPDのY方向に沿った成分(距離PPDY)は、ピッチPPDのX方向に沿った成分(距離PPDX)よりも長い。
図13に示す例では、距離PPDXは、例えば75μmである。これに対し、距離PPDYは、例えば110μmである。
【0149】
図13に示す距離PPDXの値と距離PPDYの値とが同じである場合、電源電位供給経路VDD3と、基準電位供給経路VDS3との短絡を防止する観点から電源電位配線2DDおよび基準電位配線2DSのそれぞれの幅を細く設計する必要がある。一方、本変形例のように、距離PPDYが長い場合、電源電位供給経路VDD3と、基準電位供給経路VDS3とが短絡する懸念が小さくなるので、
図13に示す電源電位配線2DDの幅W2DD、および基準電位配線2DSの幅W2DSの幅を広くすることができる。
【0150】
例えば、
図13に示す例では、複数の電源電位端子PDDのそれぞれの外縁は円弧形状を成す。電源電位配線2DDのY方向における電源電位配線2DDの幅W2DDは、電源電位端子PDDが成す円弧の半径RPDD以上である。電源電位配線2DDの幅W2DDを広くすることにより、電源電位供給経路PVD3の電位をさらに安定化させることができる。
【0151】
図13に示す例では、複数の基準電位端子PDSのそれぞれの外縁は円弧形状を成す。Y方向における基準電位配線2DSの幅W2DSは、基準電位端子PDSが成す円弧の半径RPDS以上である。基準電位配線2DSの幅W2DSを広くすることにより、基準電位供給経路PVS3の電位をさらに安定化させることができる。
【0152】
図11に示す半導体チップ10Aは、上記した相違点の他、以下の点で
図5に示す半導体チップ10と相違する。すなわち、領域R2に配置されている複数の突起電極BP2は、Y方向において2列で配列されている。また、領域R5に配置されている複数の突起電極BP5は、Y方向において4列で配列されている。
【0153】
ただし、複数の突起電極BP2と複数の突起電極BP1との位置関係、および複数の突起電極BP2と複数の突起電極BP3との位置関係は、
図5および
図6を用いて説明した半導体チップ10と同様なので重複する説明は省略する。同様に、複数の突起電極BP5と複数の突起電極BP1との位置関係、および複数の突起電極BP5と複数の突起電極BP6との位置関係は、
図5および
図10を用いて説明した半導体チップ10と同様なので重複する説明は省略する。
【0154】
また、
図11および
図12を用いて説明した半導体装置PKG2は、上記した相違点を除き、
図5および
図6に示す半導体装置PKG1と同様である。したがって、重複する説明は省略する。
【0155】
<変形例2>
次に、
図5に示す半導体チップ10に対する他の変形例について説明する。
図14は、
図5に対する他の変形例である半導体チップの電極配置面側の平面図である。
図15は、
図14のD部の拡大平面図である。
【0156】
図5に示す半導体装置PKG1および
図11に示す半導体装置PKG2の場合、周辺領域である領域R3に配置されている複数の突起電極BP3と、中央領域である領域R1に配置されている複数の突起電極BP1とのピッチが異なっている場合に、隙間が生じないようにする方法として以下の方法を用いた。すなわち、半導体装置PKG1および半導体装置PKG2の場合、
図6に示す領域R3と領域R1との間に領域R2が設けられ、領域R2に配列されている複数の突起電極BP2のピッチP22のY方向の成分(距離P2Y)は、領域R1に配列されている複数の突起電極BP1のピッチP11のY方向の成分(距離P1Y)よりも長い。
【0157】
一方、
図14に示す半導体装置PKG3の場合、
図5に示す領域R1に対応する領域R8と、領域R3とが隣り合っている点で半導体装置PKG1および半導体装置PKG2と相違する。また、半導体装置PKG3の場合、以下の点で、半導体装置PKG1および半導体装置PKG2と相違する。すなわち、
図5に示す領域R1に対応する領域R8と領域R9との間に領域R7が設けられている。
図15に示すように、領域R7に配列されている複数の突起電極BP7のピッチP77のY方向の成分(距離P7Y)が、領域R8に配列されている複数の突起電極BP8のピッチP88のY方向の成分(距離P8Y)よりも長い。領域R7に配列されている複数の突起電極BP7は、領域R8と領域R3との間に、ボイド発生の原因となる隙間が生じないようにするための配列調整用の突起電極1BPである。
【0158】
以下、半導体装置PKG3の構成について詳細に説明する。半導体装置PKG3は、
図3に示すように、配線基板20と、配線基板20の上に複数の突起電極1BPを介して搭載されている半導体チップ10Bと、半導体チップ10Bと配線基板20との間に配置され、かつ、複数の突起電極1BPを封止するアンダーフィル層UFと、を有している。
【0159】
図9に示すように、半導体チップ10Bは、面11tを有する半導体基板11と、面11tの上に形成されている配線層RDLと、を備えている。また、半導体チップ10Bは、半導体基板11の面11tと対向する面12b、および面12bの反対側の面12tを備え、配線層RDLを覆うように配置されている絶縁層12と、配線層RDLと電気的に接続されている複数の突起電極1BPと、を有している。
【0160】
図14に示すように、絶縁層12の面12tは、X方向に延びている辺1s1と、辺1s1の反対側に位置する辺1s2と、辺1s1と辺1s2との間に位置する領域R7と、辺1s1と領域R7との間に位置する領域R8と、辺1s1と領域R8との間に位置する領域R3と、を含んでいる。
【0161】
複数の突起電極1BPは、平面視において、領域R7と重なる位置に配置されている突起電極BP7と、平面視において、領域R8と重なる位置に配置されている突起電極BP8と、平面視において、領域R3と重なる位置に配置されている突起電極BP3と、を含んでいる。
【0162】
複数の突起電極BP3のそれぞれは、半導体チップ10Bの入出力回路IO1(
図4参照)に電気的に接続されている。複数の突起電極BP7および複数の突起電極BP8のそれぞれは、入出力回路IO1とは異なる回路(例えば
図4に示すコア回路CC1)に電気的に接続されている。
【0163】
図15に示すように、複数の突起電極BP7は、ピッチP77で配列されている。複数の突起電極BP8は、ピッチP77よりも狭いピッチP88で配列されている。複数の突起電極BP3(
図14参照)は、ピッチP77およびピッチP88のそれぞれとは異なるピッチP33(
図6参照)で配列されている。X方向に直交するY方向において、ピッチP88のY方向に沿った成分(距離P8Y)は、ピッチP77のY方向に沿った成分(距離P7Y)よりも小さい。
【0164】
また、
図15に示す例では、複数の突起電極BP7のうちの一つと、複数の突起電極BP8のうちの一つとの最短ピッチ(ピッチP78min)は、ピッチP88以上である。また、
図14に示す複数の突起電極BP3のうちの一つと、複数の突起電極BP8のうちの一つとの最短ピッチ(ピッチP38min)は、
図15に示すピッチP88以上である。
図15に示すピッチP78minは、複数の突起電極BP7のうちの一つと、上記一つの突起電極BP7の隣に位置する突起電極BP8とのピッチの最小値である。また、
図14に示すピッチP38minは、複数の突起電極BP3のうちの一つと、上記一つの突起電極BP3の隣に位置する突起電極BP8とのピッチの最小値である。
【0165】
図15に示す距離P8Xおよび距離P8Yのそれぞれは、92μmである。このため、ピッチP88は130μmである。
図15に示す距離P7Xは92μmであり、距離P7Yは108μmである。このため、ピッチP77は142μmである。また、
図14に示すピッチP38minは、ピッチP88と等しい。
図15に示すピッチP78minは、ピッチP11より広く、124μmである。
【0166】
このように半導体装置PKG3の場合、複数の突起電極BP8と複数の突起電極BP3との離間距離を調整し易いように、領域R7に配列されている複数の突起電極BP7が設けられている。この結果、
図14に示す複数の突起電極BP3と、複数の突起電極BP8との離間距離は、適切な距離に制御されているので、上記したボイドの発生を抑制することができる。
【0167】
なお、
図6で説明したピッチP11とピッチP22との関係と同様に、
図15に示すピッチP88のY方向の成分(距離P8Y)がピッチP77のY方向の成分(距離P7Y)よりも短ければ、ピッチP77のX方向の成分(距離P7X)の値は任意に設定することができる。
図15に示す例では、ピッチP88は、ピッチP77よりも狭い。ただし、変形例として、ピッチP77のX方向の成分(距離P7X)の値によっては、ピッチP77がピッチP88と同じである場合、あるいは、ピッチP88がピッチP77よりも広い場合がある。
図15に示すように、ピッチP77がピッチP88よりも広い方が隙間を埋める調整は容易である。
【0168】
本変形例の場合、
図14に示すように、絶縁層12の面12tは、辺1s2と領域R7との間に位置する領域R9と、辺1s1と領域R9との間に位置する領域R6と、を更に含んでいる。
【0169】
複数の突起電極1BPは、平面視において、領域R7と重なる位置に配置されている突起電極BP7と、平面視において、領域R9と重なる位置に配置されている突起電極BP9と、平面視において、領域R6と重なる位置に配置されている突起電極BP6と、をさらに含んでいる。
【0170】
複数の突起電極BP6のそれぞれは、半導体チップ10Bの入出力回路IO1(
図4参照)に電気的に接続されている。複数の突起電極BP7および複数の突起電極BP9のそれぞれは、入出力回路IO1とは異なる回路(例えば
図4に示すコア回路CC1)に電気的に接続されている。
【0171】
図15に示すように、複数の突起電極BP9は、ピッチP77よりも狭いピッチP99で配列されている。複数の突起電極BP6は、ピッチP77およびピッチP99のそれぞれとは異なるピッチP66(
図10参照)で配列されている。X方向に直交するY方向において、ピッチP99のY方向に沿った成分(距離P9Y)は、ピッチP77のY方向に沿った成分(距離P7Y)よりも小さい。
【0172】
なお、
図6で説明したピッチP11とピッチP22との関係と同様に、
図15に示すピッチP99のY方向の成分(距離P9Y)がピッチP77のY方向の成分(距離P7Y)よりも短ければ、ピッチP77のX方向の成分(距離P7X)の値は任意に設定することができる。
図15に示す例では、ピッチP99は、ピッチP77よりも狭い。ただし、変形例として、ピッチP77のX方向の成分(距離P7X)の値によっては、ピッチP99がピッチP77と同じである場合、あるいは、ピッチP99がピッチP77よりも広い場合がある。
図15に示すように、ピッチP77がピッチP99よりも広い方が隙間を埋める調整は容易である。
【0173】
また、
図15に示す例では、複数の突起電極BP7のうちの一つと、複数の突起電極BP9のうちの一つとの最短ピッチ(ピッチP79min)は、ピッチP99以上である。また、
図14に示す複数の突起電極BP6のうちの一つと、複数の突起電極BP9のうちの一つとの最短ピッチ(ピッチP69min)は、
図15に示すピッチP99以上である。
図15に示すピッチP79minは、複数の突起電極BP7のうちの一つと、上記一つの突起電極BP7の隣に位置する突起電極BP9とのピッチの最小値である。また、
図14に示すピッチP69minは、複数の突起電極BP6のうちの一つと、上記一つの突起電極BP6の隣に位置する突起電極BP9とのピッチの最小値である。
【0174】
図15に示す距離P9Xおよび距離P9Yのそれぞれは、92μmである。このため、ピッチP99は130μmである。
図15に示す距離P7Xは92μmであり、距離P7Yは108μmである。このため、ピッチP77は142μmである。また、
図14に示すピッチP69minは、ピッチP99と等しい。
図15に示すピッチP79minは、ピッチP11より広く、124μmである。
【0175】
本変形例の半導体装置PKG3は、領域R8と領域R9との間に配列調整用の領域R7が配置されている。また、半導体装置PKG3の場合、領域R8と領域R3とが互いに隣り合い、かつ、領域R9と領域R6とが互いに隣り合っている。このため、
図5に示す半導体装置PKG1、あるいは
図11に示す半導体装置PKG2と比較して、配列調整用の突起電極BP7の配置スペースを低減できる点で有利である。
【0176】
一方、突起電極間の間隔の調整し易さという点では、
図5に示す半導体装置PKG1、あるいは
図11に示す半導体装置PKG2の方が有利である。
【0177】
<半導体装置の製造方法>
次に、上記した半導体装置の製造方法について簡単に説明する。以下では、代表例として、
図5に示す半導体装置PKG1の製造方法について取り上げて説明する。また、以下では、上記したボイドの発生原因に関係する乾燥工程を中心に説明し、他の工程の説明は簡単に行う。
図16は、
図3に示す半導体装置の製造方法のフローの一例を示す説明図である。
【0178】
本実施の形態の半導体装置の製造方法は、
図16に示すように、配線基板準備工程、半導体チップ準備工程、半導体チップ実装工程、アンダーフィル充填工程、ボールマウント工程、および個片化工程を有している。
【0179】
図16に示す配線基板準備工程では、
図3に示す配線基板20を準備する。なお、本工程で準備する配線基板は、複数の配線基板20が一体に形成された、所謂、多数個取り基板を準備する。
【0180】
図16に示す半導体チップ準備工程では、
図1、
図3、
図4、
図5、
図6、
図9、および
図10に示す半導体チップ10を準備する。なお、変形例としては、本工程で、
図11および
図12に示す半導体チップ10Aを準備する場合がある。また、別の変形例として、本工程で
図14および
図15に示す半導体チップ10Bを準備する場合がある。
【0181】
図16に示す半導体チップ実装工程は、チップ配置工程、リフロー工程、洗浄工程、および乾燥工程を含んでいる。
【0182】
チップ配置工程では、
図3に示すように、配線基板20の上面20t上に半導体チップ10を配置する。本工程では、配線基板20に形成されている複数の端子2PDと、複数の突起電極1BPとが互いに対向するような位置関係になるように位置合わせが実施される。また、複数の端子2PDの露出面のそれぞれには、例えばフラックス、あるいは半田材にフラックスが混合されたペースト材などが予め塗布される場合がある。フラックスとは半田材と端子2PDとを接合し易くするための活性剤を含む材料である。
【0183】
チップ配置工程の後に実施されるリフロー工程では、突起電極1BPに含まれる半田材が溶融する温度まで突起電極1BPの温度を加熱し、半田材と端子2PDとが濡れた後、温度を低下させる。本工程により、複数の突起電極1BPと複数の端子2PDとは、それぞれ接合される。この時、突起電極1BPの周囲には、例えばフラックスの残渣などが付着する場合がある。
【0184】
フラックスの残渣などが製品に残留することを防ぐため、リフロー工程の後に洗浄工程が実施される。洗浄工程では、水、あるいは水に薬剤を加えた洗浄液を
図3に示す半導体チップ10と配線基板20との間の隙間に連続的に供給する。本工程において供給された水分が製品に残留すると、上記したボイドが発生する原因になる。
【0185】
次に、乾燥工程では、
図3に示す半導体チップ10と配線基板20との隙間に風(例えば温風)を連続的に供給することで、水分を除去する。
図17は、
図16に示す乾燥工程において、風を送る方向を模式的に示す平面図である。
【0186】
本実施の形態の場合、
図17に矢印を付して模式的に示すように、半導体チップ10の辺1s2から辺1s1に向かう方向に風VTを連続的に送る。この場合、辺1s2に近い位置から順に乾燥が進み、辺1s1まで乾燥が完了した時点で乾燥工程が終了する。
【0187】
突起電極1BPの周囲に残留する水分は、蒸発により除去されるものもあるが、送風方向に押し出されることにより除去されるものもある。本願発明者の検討によれば、
図17に示す乾燥方法の場合、辺1s1よりも辺1s2に近い領域(
図8に示されるブランク領域RBL2に相当)だけでなく、辺1s2よりも辺1s1に近い領域(
図8に示されるブランク領域RBL1に相当)においても、ボイドの発生を抑制できる。より詳しくは、
図17に示す半導体チップ10の場合、領域R6と領域R5との境界、および領域R5と領域R1との境界だけでなく、領域R1と領域R2との境界、および領域R2と領域R3との境界のそれぞれにおいても、ボイドの発生を抑制できる。
【0188】
なお、
図11に示す半導体チップ10Aの場合も同様である。また、
図15に示す半導体チップ10Bの場合、領域R6と領域R9との境界、領域R9と領域R7との境界、領域R7と領域R8との境界、および領域R8と領域R3との境界のそれぞれにおいて、ボイドの発生を抑制できる。
【0189】
これらの結果から、
図5、
図11、あるいは
図15に示す構造は、
図17に示すように辺1s2側から辺1s1側に向かって風VTを連続的に送る乾燥方法を適用した場合に、特にボイドの発生を抑制できる。
【0190】
次に、アンダーフィル充填工程では、
図3に示す半導体チップ10と配線基板20との隙間に、ペースト状または液状の樹脂を供給し、複数の突起電極1BPを封止する。本実施の形態の場合、アンダーフィル充填工程の前に乾燥工程が完了し、残留する水分が除去されているので、アンダーフィル充填工程の後にボイドが発生することを防止できる。
【0191】
次に個片化工程では、複数の配線基板20を分割し、複数個の半導体装置PKG1を取得する。
【0192】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0193】
1b 背面(面、主面、裏面、下面)
1BP,51,52,53,54,BP1,BP2,BP3,BP4,BP5,BP6,BP7,BP8,BP9 突起電極(バンプ電極)
1PD 電極(パッド、電極パッド、ボンディングパッド)
1s,1s1,1s2,1s3,1s4,20s 辺
1t 前面(面、主面、表面、上面)
2Cb 下面
2CR 絶縁層(コア材、コア絶縁層)
2Ct 上面
2D 配線
2DD 電源電位配線
2DS 基準電位配線
2E 絶縁層
2LD ランド(ランドパターン)
2PD 端子
10,10A,10B,10C1,10C2 半導体チップ
11 半導体基板
11t 面(主面)
12 絶縁層
12b 面
12t 面
20 配線基板
20b 下面(面、主面、実装面)
20t 上面(面、主面、チップ搭載面)
2THW スルーホール配線
2V ビア
CC1 コア回路
DP 配線部
IO1,IO2 入出力回路
P1X,P1Y,P2X,P2Y,P3X,P3Y,P4X,P4Y,P5X,P5Y,P6X,P6Y,P7X,P7Y,P8X,P8Y,P9X,P9Y,PPDX,PPDY,PX,PY 距離
P11,P12,P12max,P12min,P14,P15max,P15min,P22,P23,P23max,P23min,P33,P38min,P44,P55,P56max,P56min,P66,P69min,P77,P78min,P79min,P88,P99,PPD,PXY ピッチ
PDD 電源電位端子
PDS 基準電位端子
PKG1,PKG2,PKG3 半導体装置
PVD1,PVD2,PVD3 電源電位供給経路
PVS1,PVS2,PVS3 基準電位供給経路
R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9 領域
RBL,RBL1,RBL2 ブランク領域
RDL 配線層
RPDD,RPDS 半径
RW1,RW2,RW3,RW4 列
SB 半田ボール(半田材、外部端子、電極、外部電極)
SG1,SG2,SG3,SG4,SG5,SG6,SG7,SG8 信号
SR1,SR2 絶縁膜
UBM 下地金属膜(アンダーバンプメタル)
UF アンダーフィル層(絶縁層、絶縁部材)
VD1,VD2,VD3 電源電位
VDD3 電源電位供給経路
VDS3 基準電位供給経路
VS1,VS2,VS3 基準電位
VT 風
W2DD,W2DS 幅
WL1-WL8 配線層