(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021496
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】営農支援方法、営農支援システム、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20250206BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125217
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】石井 雅也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】圃場での散布物の散布量を決定するにあたり、圃場間と、圃場内の複数領域間と、における作物の生育条件の違いを反映する。
【解決手段】
営農支援方法は、複数の圃場それぞれにおける作物の生育条件に関する圃場生育情報に基づいて、第1領域と、第1領域とは作物の生育条件が異なる第2領域と、を含む複数の領域を含む第1圃場の各領域に対する散布物の散布量を示す第1散布情報を更新することと、更新した第1散布情報に関する出力情報を出力することと、を含む。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物が栽培されるべき複数の圃場における前記作物の生育条件に関する圃場生育情報と、前記複数の圃場それぞれが有する複数の領域に対する散布物の散布量に関する第1散布情報と、に基づいて、前記複数の圃場それぞれが有する前記複数の領域に対する前記散布物の散布量を示す第2散布情報を生成することと、
生成した前記第2散布情報に関する出力情報を出力することと、
を含む、
営農支援方法。
【請求項2】
前記圃場生育情報が、前記複数の圃場における前記作物の前記生育条件を示す圃場指標値を含む、
請求項1に記載の営農支援方法。
【請求項3】
前記圃場生育情報が示す前記複数の圃場の圃場指標値に基づいて、前記複数の圃場それぞれにおける前記生育条件をランク付けした圃場ランクを決定することを更に含み、
前記第2散布情報を生成することが、前記第1散布情報と、決定した前記圃場ランクと、に基づいて前記複数の領域に対する前記散布物の前記散布量を決定することを含む、
請求項2に記載の営農支援方法。
【請求項4】
前記第1散布情報が、前記複数の圃場が有する前記複数の領域のそれぞれに対して前記散布物が散布されるべき散布量の多寡をランク付けした領域ランクを示す情報を含み、
前記第2散布情報を生成することが、前記圃場生育情報と、前記領域ランクと、に基づいて前記複数の圃場の前記複数の領域に対する前記散布物の散布量を決定することを含む、
請求項1に記載の営農支援方法。
【請求項5】
前記領域ランクが、第1の領域ランクと、前記第1の領域ランクに対応する領域よりも生育条件が悪い領域に対応する第2の領域ランクと、を含む複数の領域ランクを含み、
前記散布物の散布量を決定することが、前記第2の領域ランクの領域に対しては、前記第1の領域ランクの領域よりも多い散布量を決定することを含む、
請求項4に記載の営農支援方法。
【請求項6】
前記第1散布情報が、前記複数の圃場が有する前記複数の領域のそれぞれに対して前記散布物が散布されるべき散布量の多寡をランク付けした領域ランクを示す情報を含み、
前記領域ランクが、第1の領域ランクと、前記第1の領域ランクに対応する領域よりも生育条件が悪い領域に対応する第2の領域ランクと、を含む複数の領域ランクを含み、
前記圃場ランクが、第1の圃場ランクと、前記第1の圃場ランクに対応する圃場よりも生育条件が悪い領域に対応する第2の圃場ランクと、を含む複数の圃場ランクを含み、
前記散布物の前記散布量を決定することが、前記第2の圃場ランクの圃場が有する前記第1の領域ランク又は前記第2の領域ランクの領域に対しては、前記第1の圃場ランクに対応する圃場が有する同ランクの領域よりも多い散布量を決定することを含む、
請求項3に記載の営農支援方法。
【請求項7】
前記散布物の前記散布量を決定することが、
前記第1の圃場ランクの圃場について、前記複数の領域ランクに対応する領域に対して散布されるべき補正前散布量をそれぞれ決定することと、
前記複数の領域ランクに対してそれぞれ決定された前記補正前散布量と、前記第1の圃場ランクに対応する生育条件と前記第2の圃場ランクに対応する生育条件の違いに応じた補正係数と、に基づいて、前記第1の圃場ランクの圃場と、前記第2の圃場ランクの圃場と、がそれぞれ有する複数の領域に対して散布されるべき散布量を決定することと、
を含む、
請求項6に記載の営農支援方法。
【請求項8】
前記圃場指標値が、前記複数の圃場それぞれにおける前記作物の単収、所定の物質が土壌中に含まれる量、又は、植生の何れかを示す、
請求項2に記載の営農支援方法。
【請求項9】
前記圃場ランクを決定することが、前記複数の圃場についての前記圃場指標値の統計量と、前記複数の圃場の前記圃場指標値に基づき、前記圃場ランクを決定することを含む、
請求項2に記載の営農支援方法。
【請求項10】
前記出力情報を、前記出力情報に含まれる更新された前記第2散布情報に基づき前記複数の圃場のうち少なくとも一つに前記散布物を散布する作業装置に出力することを更に含む、
請求項1に記載の営農支援方法。
【請求項11】
作物が栽培されるべき複数の圃場における前記作物の生育条件に関する圃場生育情報と、前記複数の圃場それぞれが有する複数の領域に対する散布物の散布量に関する第1散布情報と、に基づいて、前記複数の圃場それぞれが有する前記複数の領域に対する前記散布物の散布量を示す第2散布情報を生成する生成部と、
生成した前記第2散布情報に関する出力情報を出力する情報出力部と、
を備える、
営農支援システム。
【請求項12】
コンピュータに、
作物が栽培されるべき複数の圃場における前記作物の生育条件に関する圃場生育情報と、前記複数の圃場それぞれが有する複数の領域に対する散布物の散布量に関する第1散布情報と、に基づいて、前記複数の圃場それぞれが有する前記複数の領域に対する前記散布物の散布量を示す第2散布情報を生成することと、
生成した前記第2散布情報に関する出力情報を出力することと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、営農支援方法、営農支援システム、及び、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
農業の情報化が進む近年、営農上の判断を支援するシステムが開発されている。
【0003】
例えば特許文献1は、作物の生育状況を示すマップ(例えば、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index)マップ)に基づき、複数の領域を有する圃場における散布物(例えば、肥料)の散布量を領域ごとに設定する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、作物の生育条件の差異には、圃場内の複数領域における差異と、圃場間の差異と、が存在する。どちらの差異も作物の品質や収穫量にムラが生じる場合があった。肥料や農薬、除草剤といった散布物の散布量を圃場及び領域両方の生育条件に応じて補正することで、このムラを低減することができる場合がある。しかし、特許文献1の技術を用いて圃場内の複数の領域の散布量を決定すると、圃場間の生育条件の違いについては考慮されていないため、圃場間で作物の生育にムラが生じてしまうおそれがあった。
【0006】
上記の状況に鑑み、本開示は、圃場での散布物の散布量を決定するにあたり、圃場間と、圃場内の複数領域間と、における作物の生育条件の違いを反映することを目的の一つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0008】
実施形態に係る営農支援方法は、作物が栽培されるべき複数の圃場(F)における作物の生育条件に関する圃場生育情報(D2a)と、複数の圃場(F)それぞれが有する複数の領域(A)に対する散布物の散布量に関する第1散布情報(D1a)と、に基づいて、複数の圃場(F)それぞれが有する複数の領域(A)に対する散布物の散布量を示す第2散布情報(D4)を生成することと、生成した第2散布情報(D4)に関する出力情報を出力することと、を含む。
【0009】
実施形態に係る営農支援システム(1)は、作物が栽培されるべき複数の圃場(F)における作物の生育条件に関する圃場生育情報(D2a)と、複数の圃場(F)それぞれが有する複数の領域(A)に対する散布物の散布量に関する第1散布情報(D1a)と、に基づいて、複数の圃場(F)それぞれが有する複数の領域(A)に対する散布物の散布量を示す第2散布情報(D4)を生成する生成部(130)と、生成した第2散布情報(D4)に関する出力情報を出力する情報出力部(140)と、を備える。
【0010】
実施形態に係るプログラム(P1)は、コンピュータ(14、24)に、作物が栽培されるべき複数の圃場(F)における作物の生育条件に関する圃場生育情報(D2a)と、複数の圃場(F)それぞれが有する複数の領域(A)に対する散布物の散布量に関する第1散布情報(D1a)と、に基づいて、複数の圃場(F)それぞれが有する複数の領域(A)に対する散布物の散布量を示す第2散布情報(D4)を生成することと、生成した第2散布情報(D4)に関する出力情報を出力することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
上記の実施形態によれば、圃場での散布物の散布量を決定するにあたり、圃場間と、圃場内の複数領域間と、における作物の生育条件の違いを反映することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る、営農支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る、圃場内の領域を説明するための概念図である。
【
図3A】実施形態に係る、第1領域散布情報の一例を示す図である。
【
図3B】実施形態に係る、領域設定情報の一例を示す図である。
【
図3C】実施形態に係る、第2領域散布情報の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る、営農支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】実施形態に係る、端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】実施形態に係る、営農支援システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図7】実施形態に係る、圃場情報の一例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る、圃場設定情報の一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る、営農支援システムが実行する処理を示すフローチャートである。
【
図10】変形例に係る、営農支援システムが実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態による営農支援システム1を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、営農支援システム1は、営農支援装置10と、端末装置20と、を備える。営農支援システム1は、それぞれ対象の作物が栽培されるべき複数の圃場Fについて、圃場F内の複数の領域に対する散布物の散布量に関する情報(例えば、
図3Aの第1領域散布情報D1a及び
図3Cの第2領域散布情報D4)を管理する。営農支援装置10と端末装置20とはネットワークNTを介して互いに通信可能である。ネットワークNTは、例えばインターネットである。
【0014】
営農支援装置10は、営農支援システム1の外部のサーバ装置SとネットワークNTを介して相互に通信可能である。サーバ装置Sは、例えば、営農用のサービスを提供する企業又は団体が管理するサーバ機能を有するコンピュータである。サーバ装置Sは、複数の圃場Fそれぞれについて、圃場F内の複数の領域Aにおける散布物の散布量に関する情報を営農支援装置10へ提供する場合がある。サーバ装置Sは、ネットワークNT上に仮想的に実現されたクラウドサーバであってもよい。
【0015】
複数の圃場Fはそれぞれ、
図2に示すように、栽培されるべき対象の作物にとっての生育条件が異なる複数の領域を含む。
図2の例では、圃場Fは4行4列の格子状に区分けされた計16個の領域A_1~領域A_16を含む。なお、圃場Fに含まれる複数の領域を区別しない場合、単に領域Aと呼ぶ場合がある。圃場Fの各領域Aには、例えば肥料や農薬、除草剤といった散布物が散布され得る。本実施形態では、散布物が肥料である場合について説明する。なお、本明細書において、散布物の「散布量」との表記は、単位面積当たりの散布量と、特定の圃場F全体への散布物の散布総量と、ある圃場Fのうち特定の領域Aに対する散布物の散布総量と、のいずれかを示す場合がある。
【0016】
図2においては圃場F内の各領域Aが正方形で示されているが、そのうち最も生育条件が悪い領域A_1は黒塗りに、次に生育条件が悪い領域A_2には斜線が引かれている。また、最も生育条件が良い領域A_16には縦線が、次に生育条件が良い領域A_15には横線が引かれている。圃場Fのうち標準的な生育条件である他の領域Aは白塗りの正方形で示されている。
【0017】
各圃場F及び各領域Aにおける作物の生育条件は、例えば土壌の成分、日照量の測定結果、実際の作物の生育状況、及び、過去の収穫実績等を示す指標値によって示され得る。本実施形態では、サーバ装置Sは、複数スペクトルの衛星写真に基づき算出された、地表の各位置における植物の植生の有無、及び、植生の活性度を示すNDVIを生育条件の指標値として用いる。例えば、サーバ装置Sは、人工衛星により撮影された、複数の圃場Fを含む地表のマルチスペクトル画像を取得する。サーバ装置Sは、このマルチスペクトル画像に基づき複数の圃場Fの生育マップ(例えば、NDVIマップ)を生成する。NDVIマップは、圃場F内の各地点について決定されたNDVIの値を地図上に当てはめることで生成された、各地点での植物の生育度を示す生育マップである。サーバ装置Sは、複数の圃場Fそれぞれについて、NDVIマップに基づき圃場F内に作物の育成条件が異なる複数の領域Aを定義し、各領域Aに対する散布物の推奨される散布量に関する情報(例えば、
図3Aの第1領域散布情報D1a)を生成する。
【0018】
一例としてサーバ装置Sは、圃場Fの地理的な範囲を複数の領域Aに分割する。そしてサーバ装置Sは、ある時刻(例えば、圃場Fに対して散布物を散布する日の所定日前)における圃場FのNDVIマップに基づいて、各領域Aに対して作物の生育条件をランク付けする。サーバ装置Sが設定する各領域Aの生育条件のランクを領域ランクとも言う。圃場Fのうち作物の生育度が高い領域Aは、そうでない領域Aよりも作物の生育条件が良いと推定できる。そのため、生育度が高い領域ランクの領域Aは散布物(本実施形態では、肥料)の推奨される散布量が少ない一方、生育度が低い領域ランクの領域Aに対しては散布物の散布量が多くなる。サーバ装置Sは、第1領域散布情報D1aを営農支援装置10へ送信する場合がある。
【0019】
サーバ装置Sが営農支援装置10へ送信する第1領域散布情報D1aは、例えば
図3Aに示すように、圃場Fに含まれる各領域Aの識別子を示す「領域ID」と、各領域Aの地理的な範囲を示す「地理情報」と、その領域Aのランクを示す「領域ランク」と、を対応付けて格納している。領域Aの形状が多角形である場合に、「地理情報」はその領域Aの境界線の頂点の地理的な座標(例えば、緯度及び経度)を示す情報を含む。また、「領域ランク」は、その領域Aの生育条件のランクとして、最も生育条件が悪いランク1から最も生育条件が良いランク5までの5段階のいずれかを示す。
【0020】
図3Aの第1領域散布情報D1aにおいては、
図2の圃場Fの領域A_1~領域A_16のうち、生育条件が標準基準(例えば、領域A内のNDVIの平均値と、圃場F全体のNDVIの平均値と、の差が第1閾値以下)を満たす領域A_3~領域A_14に対して、標準的な生育条件であることを示すランク3が設定されている。
【0021】
一方、第1領域散布情報D1aにおいて、生育条件がランク1の基準に該当する(例えば、領域A内のNDVIの平均値が圃場F全体の平均よりも第2閾値を超えて低い)領域A_1に対して、最も低いランク1が設定されている。更に、第1領域散布情報D1aにおいて生育条件がランク2の基準に該当する領域A_2に対してランク2が設定されている。ランク2の基準は、例えば、領域A内のNDVIの平均値が圃場F全体の平均よりも低く、かつ、その差が上述の第1閾値よりも大きいが第2閾値以下であることである。
【0022】
図3Aの第1領域散布情報D1aにおいては、生育条件がランク5の基準に該当する(例えば、領域A内のNDVIの平均値が圃場F全体の平均よりも第3閾値を超えて高い)領域A_16に対して、最も高いランク5が設定されている。更に、第1領域散布情報D1aにおいて生育条件がランク4の基準に該当する領域A_15に対してランク4が設定されている。ランク4の基準は、例えば、領域A内のNDVIの平均値が圃場F全体の平均よりも高く、その差が上述の第1閾値より大きいが第3閾値以下であることである。
【0023】
サーバ装置Sは、複数の領域ランクそれぞれについて、その領域ランクが設定された領域Aに対して推奨される散布物の散布量に関する情報(例えば、
図3Bに示す領域設定情報D1b)を営農支援装置10に提供する場合がある。
図3Bの領域設定情報D1bは、領域Aに設定され得る複数の領域ランクを示す「領域ランク」と、その領域ランクに対応する領域Aに対する散布量の多寡を示す「散布係数」と、を格納している。
【0024】
図3Bの「散布係数」は、例えば、その領域ランクの領域Aに対して推奨される散布物の単位面積当たりの散布量と、その圃場Fに対する単位面積当たりの基準散布量と、の比を示す。基準散布量は、例えば、散布物のメーカーが推奨する1アール毎に散布されるべき基準の質量である。あるいは、基準散布量は、ユーザ入力により設定された、各圃場Fについてユーザが所望する単位面積当たりの散布量であってもよい。例えば、標準的な生育条件であることを示すランク3について、領域設定情報D1bの「散布係数」が1に設定されている。このため、第1領域散布情報D1aと領域設定情報D1bをそのまま用いて散布物の散布処理を行った場合、領域ランクがランク3の領域Aに対しては、基準散布量の散布物が散布される。なお散布係数は、基準となる領域ランク(上記の例ではランク3)を1とした場合に、各領域ランクに対して散布されるべき散布量の相対的な多寡を示す係数と定義することもできる。
【0025】
領域設定情報D1bにおいては、より悪い生育条件に対応する領域ランクほど数値が大きくなるように「散布係数」が設定されている。このため、第1領域散布情報D1aと領域設定情報D1bをそのまま用いて散布作業を行った場合、生育条件が標準よりも悪くなるにつれその領域Aに対してはより多い量の肥料が散布され、生育条件が標準より良いほどその領域Aに対しては少ない量の肥料が散布され得る。これにより、圃場F内の領域Aの生育条件の差によって生じる作物の収量及び品質のブレが低減され得る。一方、サーバ装置Sは、複数の圃場Fについて第1領域散布情報D1aを生成するにあたり、圃場F間の生育条件の差を考慮せずに各領域Aの領域ランクを決定する。各領域ランクの領域Aへの散布量は、複数の圃場Fに共通の領域設定情報D1bを用いて決定されるため、サーバ装置Sが送信する第1領域散布情報D1aと、領域設定情報D1bと、をそのまま用いて散布物を散布すると、各圃場F全体の生育条件の差によって、作物の品質及び単収には圃場F間でムラが発生する場合がある。サーバ装置Sは、各領域Aにおける領域ランクを決定する根拠となった生育マップの情報については、営農支援装置10には提供しない場合がある。そのため、サーバ装置Sが送信する情報のみに基づいて、各圃場Fの生育条件の差の影響を低減するように補正した領域散布情報を生成することは難しい場合がある。
【0026】
これに対して営農支援システム1は、複数の圃場Fそれぞれについて、第1領域散布情報D1a及び領域設定情報D1bのみならず、各圃場Fの作物の生育条件を示す情報(例えば、
図7の圃場生育情報D2a)に更に基づいて、各圃場Fに含まれる各領域Aに対する散布物の散布量を示す領域散布情報(例えば、
図3Cの第2領域散布情報D4)を生成する。第2領域散布情報D4が示す各領域Aに対する散布量は、圃場F間の生育条件の違いと、圃場F内の各領域Aの生育条件の違いと、に応じて補正されている場合がある。
【0027】
図3Cの第2領域散布情報D4は、
図3Aの第1領域散布情報D1aと同様に、圃場Fに含まれる各領域Aの識別子を示す「領域ID」と、各領域Aの地理的な範囲を示す「地理情報」と、その領域Aのランクを示す「領域ランク」と、を対応付けて格納している。これに加えて、第2領域散布情報D4は、各領域Aに対して推奨される散布物の散布量を示す「散布量」を更に格納している。例えば「散布量」は、その行に対応する領域Aに対して推奨される散布物の単位面積当たりの散布量(1平方メートル当たりの質量)を示す。「散布量」が示す推奨される散布量の具体的な数値は、後述する処理により、その圃場Fの生育条件と、その領域Aの生育条件と、に応じて決定される。
【0028】
図3Cに示すように、営農支援システム1は、圃場F間と、圃場F内の複数の領域A間と、における作物の生育条件の違いを反映した第2領域散布情報D4を生成することができる。これにより営農支援システム1は、複数の圃場F内の各領域Aに対して、圃場F間の生育条件の違いと、圃場F内の領域A間の生育条件の違いと、による作物の生育のバラつきが低減するように調整された量の散布物の散布に利用し得る情報を提供することができる。
【0029】
営農支援システム1の構成を説明する。営農支援システム1に含まれる営農支援装置10は、
図4に示すように、入出力装置12と、演算装置14と、通信装置16と、記憶装置18と、を備える。営農支援装置10は、例えば、クラウドを含めたコンピュータやサーバ装置である。
【0030】
入出力装置12には、演算装置14が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置12は、演算装置14が処理を実行した結果を出力する。入出力装置12は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置12は省略されてもよい。
【0031】
通信装置16は、ネットワークNTと通信可能に接続され、ネットワークNTを介して営農支援装置10の外部の装置(例えば、端末装置20、及び、サーバ装置S)との通信を行う。通信装置16は、1以上の端末装置20と、サーバ装置Sと、から取得した情報を演算装置14に転送する場合がある。また、演算装置14が生成した情報を端末装置20と、サーバ装置Sと、に転送する場合がある。通信装置16は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0032】
記憶装置18は、本実施形態の営農支援装置10が後述する処理を実行するための様々なデータ及び命令を含むプログラムP1等を記憶する。例えば、記憶装置18は、各圃場Fにおいて散布物を散布する予定日を示す情報を記憶してもよい。記憶装置18は、これらのデータ及び命令を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。プログラムP1は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体M1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよい。または、記憶媒体M1は、プログラムP1を記憶した外部のサーバの記憶装置であってもよい。この場合、プログラムP1はサーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供され得る。
【0033】
演算装置14は、後述する処理の少なくとも一部を実行するための命令及びデータを含むプログラムP1を記憶装置18から読み出して実行する。例えば、演算装置14は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0034】
演算装置14は、プログラムP1を読み出し実行することで、営農支援装置10の後述する機能単位を実現する。
【0035】
営農支援システム1に含まれる端末装置20は、
図5に示すように、入出力装置22と、演算装置24と、通信装置26と、記憶装置28と、を備える。端末装置20は、例えば、タブレットやスマートフォンといったモバイル機器である。なお、端末装置20は据え置き型のパーソナルコンピュータや、ノート型のコンピュータであってもよい。あるいは、端末装置20は、圃場Fで散布物を散布する作業装置に設置されたコンピュータ装置(例えば、カーナビゲーションシステム)であってもよい。
【0036】
入出力装置22には、演算装置24が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置22は、演算装置24が処理を実行した結果を出力する。入出力装置22は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、スピーカー、タッチパネルなどを含む。また、端末装置20がパーソナルコンピュータである場合などには、入出力装置22はキーボード、マウス、マイク、ディスプレイ等を含み得る。
【0037】
通信装置26は、ネットワークNTと通信可能に接続され、ネットワークNTを介して端末装置20の外部の装置(例えば、営農支援装置10)との通信を行う。通信装置26は、営農支援装置10から取得した情報を演算装置24に転送する。また、演算装置24が生成した情報を営農支援装置10に転送する場合がある。通信装置26は、例えば、無線LAN(Local Area Network)やセルラーネットワークなどの無線通信に用いられる送受信機、NIC、USBなどの種々のインタフェースを含む。
【0038】
記憶装置28は、本実施形態の営農支援システム1が後述する処理を実行するための様々なデータ及び命令を含むプログラムP2等を記憶する。記憶装置28は、これらのデータ及び命令を記憶する非一時的記憶媒体として用いられる。プログラムP2は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体M2に記録されたコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。または、記憶媒体M2は、プログラムP2を記憶した外部のサーバの記憶装置であってもよい。この場合、プログラムP2はサーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供され得る。
【0039】
演算装置24は、後述する処理の少なくとも一部を実行するための命令及びデータを含むプログラムP2を記憶装置28から読み出して実行する。例えば、演算装置24は、中央演算処理装置(CPU)などを含む。
【0040】
演算装置24は、プログラムP2を読み出し実行することで、端末装置20の後述する機能単位を実現する。
【0041】
図4及び
図5に示したような物理構成により、営農支援装置10及び端末装置20は、
図6に示す機能単位を実現する。一例として、営農支援装置10の演算装置14は、プログラムP1を実行することで、情報取得部110、決定部120、生成部130、情報出力部140、及び、情報記憶部150の各機能を実現する。
【0042】
情報記憶部150は、例えば、ユーザが入出力装置12を用いて入力した情報や、サーバ装置S又は外部の装置(例えば、外部のサーバ)から取得した情報を記憶する。更に情報記憶部150は、決定部120、及び、生成部130が生成又は更新した情報を一時的に記憶する。情報記憶部150は記憶した情報を、情報取得部110、決定部120、生成部130、及び、情報出力部140に提供する場合がある。情報記憶部150は、例えば、後述する処理の開始前に、圃場情報D2と、圃場設定情報D3と、を予め記憶している。
【0043】
圃場情報D2は、例えば営農支援システム1のユーザが所有する圃場Fといった、処理対象となる複数の圃場Fそれぞれを示す情報を格納している。一例として
図7に示すように、圃場情報D2は、各圃場Fを一意に示す識別子である「圃場ID」と、その圃場Fの地理的な範囲を示す「地理情報」と、その圃場F全体の作物についての生育条件を示す指標値(圃場指標値とも言う)を示す「単収」と、を対応付けて記憶している。圃場Fの形状が多角形である場合に、「地理情報」はその圃場Fの境界線の頂点の地理的な座標(例えば、緯度及び経度)を示す情報を含む。本実施形態では、「単収」は、その圃場Fで対象の作物の生育実績として、その圃場Fにおいて前年度に対象の作物を栽培した際の単位面積(アール)当たりの収穫量(キログラム)を示す。なお、単位面積あたりの作物の収穫量を単収とも言う。また圃場情報D2は、各圃場Fの地理的な範囲を含む地図を示す画像を含んでいてもよい。なお、圃場情報D2のうち「単収」の列の情報を複数の圃場Fにおける作物の生育条件に関する圃場生育情報D2aとも言う。上述したように、圃場生育情報D2aは各圃場Fの圃場指標値を示す。
【0044】
圃場設定情報D3は、対象の作物にとっての生育条件に応じて各圃場Fのランク付けをするための基準の設定と、圃場Fの圃場ランクに応じて対応する第2領域散布情報D4を生成するための設定と、を示す情報を格納している。一例として圃場設定情報D3は、
図8に示すように、圃場Fに設定され得る複数の圃場ランクを示す「圃場ランク」と、その圃場ランクに対応する圃場Fの圃場指標値の数値の範囲を示す「範囲情報」と、その圃場ランクの圃場Fに対応する第2領域散布情報D4の散布量を決定する際に用いる補正量の多寡を示す「補正係数」と、を格納している。
【0045】
図8の「圃場ランク」は、圃場Fに割り当てられ得る圃場ランクとして、最も生育条件が悪いランク1から最も生育条件が良いランク5までの5段階のいずれかを示す。この例では「範囲情報」は、その圃場ランクに属するべき圃場Fの圃場指標値(例えば、その圃場Fにおける作物の単収の実績値)の上限の閾値及び下限の閾値を示す。なお、圃場指標値が特定の圃場ランクの下限閾値、及び、その一つ下の圃場ランクの上限閾値に一致する圃場Fについては上下どちらの圃場ランクが選択されてもよいが、ここでは下の圃場ランクが選択されるとする。
【0046】
「補正係数」は、第2領域散布情報D4を生成するにあたって、各ランクの圃場Fが有する各領域Aに対する散布量をその圃場Fの圃場ランクに決定する際に用いる補正係数を示す。補正係数を具体的にどのように用いて第2領域散布情報D4を生成するかについては後述する。
【0047】
図6に示す情報取得部110は、後述するように、営農支援装置10が後述の処理を実行するために必要な情報を、情報記憶部150又はサーバ装置Sから取得する。情報取得部110は、取得した情報を、決定部120、生成部130、情報出力部140、又は、情報記憶部150に提供する。
【0048】
決定部120は、後述するように、複数の圃場Fのそれぞれについて、その圃場F全体の作物の生育条件に対応する圃場ランクを決定する。
【0049】
生成部130は、後述するように、決定部120が決定した圃場ランクに基づき第2領域散布情報D4を生成する。
【0050】
情報出力部140は、生成部130が生成した第2領域散布情報D4に関する出力情報を出力する。
【0051】
図6に示すように、端末装置20の演算装置24は、プログラムP2を実行することで、表示部210の機能を実現する。
【0052】
表示部210は、後述するように、入出力装置22を用いて、情報出力部140が出力する出力情報に基づいて、第2領域散布情報D4が示す各圃場Fの領域Aに対する散布量を示す情報をユーザが視認可能な態様で表示する。
【0053】
(営農支援システムの動作)
営農支援システム1は、上述した機能構成により、
図9に示す処理を実行して、複数の圃場F内の領域Aに対する散布物の散布量を示す第2領域散布情報D4を生成し、生成した第2領域散布情報D4を表示する。例えば、営農支援システム1の営農支援装置10は、複数の圃場Fに対する散布物の散布予定日の所定日前(例えば、1週間前)に、
図9に示す処理を開始する。
【0054】
図9の処理では、まずステップS1002において、情報取得部110が圃場情報D2を取得する。例えば情報取得部110は、情報記憶部150から圃場情報D2を取得する。あるいは情報取得部110は、外部のサーバ(例えば、圃場Fで作業する作業装置のメーカーが提供するサーバ)から、圃場情報D2を取得してもよい。情報取得部110が取得する圃場情報D2には、各圃場Fを含む地理的な範囲の地図の画像が含まれていてもよい。
【0055】
次に、ステップS1004において、情報取得部110が、圃場情報D2が示す複数の圃場Fそれぞれに含まれる領域Aに対する散布物の散布量を示す第1領域散布情報D1aを取得する。例えば情報取得部110は、通信装置16を用いて、サーバ装置Sに対して複数の圃場Fについての第1領域散布情報D1aをリクエストする旨の情報を送信することで、各圃場Fについての第1領域散布情報D1aを取得する。また、情報取得部110は、ステップS1004において、サーバ装置Sから領域設定情報D1bを更に取得する。
【0056】
次に、ステップS1006において、決定部120が各圃場Fの生育条件を示す指標値を取得する。例えば決定部120は各圃場Fの生育条件を示す圃場指標値として、ステップS1002で取得された圃場情報D2(
図7参照)のうち「単収」の列(圃場生育情報D2a)に格納されている、各圃場Fにおける作物の単位面積当たりの収穫量の実績値を示す情報を取得する。
【0057】
次に、
図9のステップS1008において、決定部120が各圃場Fの圃場ランクを決定する。例えば決定部120は、情報記憶部150から
図8に示すような圃場設定情報D3を取得する。更に決定部120は、ステップS1006で取得した各圃場Fの圃場指標値と、圃場設定情報D3の「範囲情報」が示す各圃場ランクに対応する圃場指標値の範囲と、を比較する。そして決定部120は、各圃場Fについて、その圃場Fの圃場指標値が「範囲情報」に含まれる圃場ランクをその圃場Fの圃場ランクとして決定する。
【0058】
次に、
図9のステップS1009において、生成部130が、複数の圃場Fについて、圃場Fが有する各領域Aに対する散布物の補正前散布量を決定する。補正前散布量は、第1領域散布情報D1aと、領域設定情報D1bと、に基づいて決定される、複数の圃場Fの生育条件の差を考慮した補正を行う前の各圃場Fの各領域Aに対する単位面積当たりの散布量を示す。例えば生成部130は、複数の領域レベルのそれぞれについて、圃場Fについて設定された基準散布量に、
図3Bの領域設定情報D1bの「散布係数」が示す係数を乗算した値を、その領域レベルの領域Aについての単位面積当たりの補正前散布量として算出する。そして、第1領域散布情報D1aの「領域ID」が示す各領域Aについて、「領域ランク」で定義された領域ランクについて算出した補正前散布量を、その領域Aについての補正前散布量として決定する。
【0059】
次に、
図9のステップS1010において、生成部130が各圃場Fについての第2領域散布情報D4を生成する。例えば生成部130は、ステップS1009で決定した各圃場Fの各領域Aに対する補正前散布量を、ステップS1008で決定したその圃場Fの圃場ランクに基づいて補正した散布量を算出する。例えば生成部130は、各圃場Fについて、その圃場Fについて決定された補正前散布量と、ステップS1008でその圃場Fについて決定された圃場ランクについて圃場設定情報D3の「補正係数」において設定された補正係数と、を乗算した値を補正後の散布量として決定する。そして、生成部130は、
図3Cに示す第2領域散布情報D4のうち、その領域Aに対応する行における「散布量」の列に、その領域Aについて決定した補正後の散布量の値を格納することで、第2領域散布情報D4を生成する。なお、生成部130は、
図3Cに示す第2領域散布情報D4のうち「領域ID」、「地理情報」、及び、「領域ランク」に対応する部分に第1領域散布情報D1aのうち対応する情報を格納してもよい。
【0060】
次に、ステップS1012において、情報出力部140が出力情報を出力する。例えば情報出力部140は、通信装置16を用いて、ステップS1010で生成した第2領域散布情報D4と、ステップS1002で取得した圃場情報D2に含まれる圃場Fを含む地理的な範囲の地図の画像と、を含む出力情報を、端末装置20へ出力する。
【0061】
次に、ステップS1014において、端末装置20の表示部210が、ステップS1012で出力された出力情報を表示する。例えば表示部210は、各領域Aを示す情報と、その領域Aに対して第2領域散布情報D4において設定された散布量を示す情報と、を各圃場Fの地図上に重ねて、端末装置20の入出力装置22の表示装置の画面に表示してもよい。
【0062】
本実施形態の営農支援システム1は、圃場間と、圃場内の複数領域間と、における作物の生育条件の違いを反映した散布量を示す第2領域散布情報D4に関する情報を出力及び表示することができる。そのため、営農支援システム1はユーザの営農上の判断を効率よく支援することができる。
【0063】
(変形例)
実施形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。例えば、営農支援システム1は、領域Aに対する単位面積当たりの散布量として、圃場F間の生育条件の差に基づいて補正した値を示す領域散布情報(例えば、
図3Cの第2領域散布情報D4)を既知の情報として取得できる場合がある。この場合営農支援システム1は、第2領域散布情報D4に基づき、圃場F間の生育条件の差によらず、その圃場F内の生育条件の差に基づいて各領域Aについて決定された散布量を示す領域散布情報(例えば、後述する第3領域散布情報)を生成する処理(例えば、
図10の処理)を実行してもよい。第3領域散布情報は、各領域Aに対する散布量として、第2領域散布情報D4の各領域Aに対する単位面積当たりの散布量を、その圃場Fに対する散布物の総量が特定の値(例えば、ユーザの所望する総量の値)になるように更に補正した値を示す。
【0064】
例えば、この変形例に係る営農支援システム1の営農支援装置10は、複数の圃場Fに対する散布物の散布予定日の所定日前(例えば、1週間前)に、
図10に示す処理を開始する。この変形例の営農支援装置10の情報記憶部150は、上述した情報に加え、対象の作物の栽培時における対象の散布物の標準的な散布量(例えば、散布物のメーカーが推奨する1アール毎に散布されるべき基準の質量)についての情報を予め記憶していてもよい。
【0065】
図10の処理では、まずステップS2002において、情報取得部110が
図9のステップS1002と同様に圃場情報D2を取得する。
【0066】
次に、ステップS2004において、情報取得部110が、圃場F間の生育条件の差を補正した第2領域散布情報D4を取得する。例えば情報取得部110は、サーバ装置Sが第2領域散布情報D4を提供する場合、サーバ装置Sから第2領域散布情報D4を取得してもよい。
【0067】
次に、ステップS2006において、決定部120が更新対象の圃場Fにおける散布量を示す情報を取得する。例えば決定部120は、入出力装置12を用いて、更新対象の圃場Fに対してユーザが所望する単位面積当たりの散布量(又は、対象の圃場Fに対する散布総量)を示すユーザ入力を受け付けてもよい。あるいは決定部120は、情報記憶部150が記憶する対象の散布物の標準的な単位面積当たりの散布量(例えば、散布物のメーカーが推奨する単位面積当たりの散布量)を示す情報を、更新対象の圃場Fに対する目標の単位面積当たりの散布量を示す情報として取得してもよい。
【0068】
次に、ステップS2008において、生成部130が第3領域散布情報を生成する。生成部130が生成する第3領域散布情報は、例えば、対象の圃場F内の各領域Aの単位面積当たりの散布量の相対的な比率については第2領域散布情報D4と同一である。一方、第3領域散布情報においては、対象の圃場F全体に対する単位面積当たりの散布量(又は圃場Fへの散布総量)が、ステップS2006で取得したその圃場Fに対する目標の単位面積当たりの散布量(又は圃場Fへの散布総量)と合致する。
【0069】
例えば、生成部130は、第2領域散布情報D4における対象の圃場Fに対する単位面積当たりの散布量(又は圃場Fへの散布総量)と、ステップS2006において入力された単位面積当たりの散布量(又は圃場Fへの散布総量)と、の比率Rを算出する。一例として生成部130は、第2領域散布情報D4が示す各領域Aが示す単位面積当たりの散布量と、各領域Aの面積と、を乗算して、各領域Aに対して散布されるべき散布物の総量を決定する。次に生成部130は、圃場Fに含まれる領域Aの全てについて決定された総量を加算して、圃場F全体に散布されるべき散布物の配布総量を算出する。
【0070】
そして生成部130は、算出した更新対象の圃場Fに散布されるべき散布物の総量と、ステップS2006で取得した更新対象の圃場Fに散布されるべき散布物の単位面積当たりの散布量に圃場Fの総面積を乗算した散布総量と、の比率Rを計算する。生成部130は、この比率Rを補正係数として、第2領域散布情報D4が示す各領域Aに対する単位面積当たりの散布量に乗算する。生成部130は、ステップS2004で取得した第2領域散布情報D4が示す各領域Aに対する単位面積当たりの散布量の情報を、この乗算した数値で更新した第3領域散布情報を生成する。この結果、第3領域散布情報が示す各領域Aの散布量は、対象の圃場F内の領域A間の相対的な比率は第2領域散布情報D4のままだが、絶対的な散布量については、対象の圃場F全体に対する散布量がステップS2006で取得した値となるように設定される。
【0071】
次に、ステップS2010において、情報出力部140が、第3領域散布情報のうち、対象の圃場Fに含まれる領域Aに対する散布量を示す情報を少なくとも含む出力情報を出力する。
【0072】
次に、
図10のステップS2012において、
図9のステップS1014と同様に、端末装置20の表示部210が、ステップS2010で出力された出力情報を表示する。
【0073】
第2領域散布情報D4においては、対象の圃場Fが有する各領域Aへの散布量が、複数の圃場F間の生育条件の差に応じて補正される。そのため、対象の圃場Fに対する散布総量がユーザの所望する量とは異なる場合がある。上記の変形例に係る営農支援システム1によれば、圃場F内の領域Aの生育条件の差を低減し得るように、かつ、ユーザが所望する量の散布物が対象の圃場Fに散布されるように決定された第3領域散布情報を提供することができる。
【0074】
また、営農支援システム1は、上記の例とは装置構成が異なっていてもよい。例えば上記実施形態では、営農支援装置10と端末装置20が分担して
図9又は
図10の処理を行った。しかしこれに限らず、
図9又は
図10の処理を一つの装置(例えば、営農支援装置10)が行ってもよい。この場合、営農支援装置10が、表示部210に対応する機能単位を有していてもよい。この場合には、営農支援システム1は、表示部210により出力情報をユーザに表示することで、外部に出力情報を出力する。
【0075】
あるいは、営農支援システム1の営農支援装置10が、サーバ装置Sの機能を有していてもよい。例えば、外部のサーバからNDVIマップを示す情報が得られる場合、
図9のステップS1004又は
図10のステップS2006において、
図2及び
図3Aを参照して説明した方法で、営農支援装置10が生育マップに基づいて第1領域散布情報D1aを生成してもよい。
【0076】
また、第1領域散布情報D1aにおいては、各領域Aに対して、5段階の領域ランクのいずれかが設定されていた。しかし、領域ランクの数は5より多くてもよいし、少なくてもよい。あるいは、第1領域散布情報D1aは、領域ランクに代えて、その領域Aの生育条件を示す領域指標値を格納していてもよい。この場合、生成部130は、
図9のステップS1009において、領域指標値をxとして、実験的に決定された定数(a、b)を用いた関数f(x)=ax+bにより各領域Aの補正前散布量を算出してもよい。関数f(x)は1次関数に限らず、2次関数であってもよいし、f(x)=a/x+bといった他の形の関数であってもよい。この場合、各領域Aに対する散布量は連続的な値を取り得る。
【0077】
また上記実施形態では、
図9のステップS1008において決定部120が各圃場Fに対して5段階の圃場ランクを決定し、ステップS1010において生成部130が圃場ランクに応じた5段階の補正係数のいずれかを用いて第2領域散布情報D4を生成した。しかし、圃場ランクの数は5より多くてもよいし、少なくてもよい。あるいは、補正係数は、圃場ランクによらず、その圃場Fの生育条件を示す圃場指標値を変数とする関数を用いて決定されてもよい。例えば、決定部120はステップS1010において、ステップS1002で取得した圃場情報D2に含まれるその圃場Fの補正指標値をxとして、実験により求められた定数(a、b)を用いた関数f(x)=ax+bにより補正係数を算出してもよい。関数f(x)は1次関数に限らず、2次関数であってもよいし、f(x)=a/x+bといった他の形の関数であってもよい。この場合、各圃場Fについての補正係数は連続的な値を取り得る。
【0078】
また決定部120は、複数の圃場Fについての圃場指標値の統計量に基づいて、各圃場Fの圃場ランクを決定してもよい。例えば
図9のステップS1008において決定部120は、
図7の圃場情報D2のうち、圃場生育情報D2aが示す複数の圃場Fの圃場指標値の平均値及び標準偏差δを算出し、算出した平均値及び標準偏差δと、各圃場Fの圃場指標値と、に基づき各圃場Fの圃場ランクを決定してもよい。一例として決定部120は、その圃場Fの圃場指標値と、算出した圃場指標値の平均値と、の差が標準偏差δ以下である場合に、その圃場Fの圃場ランクを標準的なランク3であると決定してもよい。更に決定部120は、その圃場Fの圃場指標値が平均値よりも高く、その差が標準偏差δの2倍(2δ)を超えている場合に圃場ランクをランク5に、その差が標準偏差δの2倍以下かつ標準偏差δ以上である場合に圃場ランクをランク4に、当該圃場Fの圃場ランクを決定してもよい。決定部120は、その圃場Fの圃場指標値が平均値よりも低く、その差が標準偏差δの2倍(2δ)を超えている場合に圃場ランクをランク1に、その差が標準偏差δの2倍以下かつ標準偏差δ以上である場合に圃場ランクをランク2に、当該圃場Fの圃場ランクを決定してもよい。
【0079】
更に、
図9のステップS1008において生成部130は、第1領域散布情報D1aが示す各領域Aの散布量に補正係数を乗算した数値を用いて、第2領域散布情報D4を生成した。しかし、生成部130は、ステップS1008において、標準より生育条件が良い圃場Fについては散布量が少なくなるような第2領域散布情報D4を生成する処理、及び、標準より生育条件が悪い圃場Fについては散布量が多くなるような第2領域散布情報D4を生成する処理、のうち何れか少なくとも一方を実行すればよい。
【0080】
例えば、生成部130は、
図9のステップS1008において、標準より生育条件が良い圃場Fについて、領域ランクがランク1~ランク5の領域Aのうち、ある領域ランク(例えば、ランク1及びランク2)の領域Aについて、所定数(例えば、1ランク)だけ領域ランクを上げてもよい。この場合生成部130は、ランクを上げる対象の領域Aの散布量を、現在より1ランク上の領域ランクに対応する散布量に更新する。また、生成部130は、標準より生育条件が悪い圃場Fについて、領域ランクがランク1~ランク5の領域Aのうち、ある領域ランク(例えば、ランク5~ランク2)の領域Aの領域ランクを所定数(例えば、1ランク)下げてもよい。この場合生成部130は、ランクを下げる対象の領域Aの散布量を、現在より1ランク下の領域ランクに対応する散布量に更新する。
【0081】
また、上記実施形態では、サーバ装置Sは、領域指標値として領域A内のNDVIの平均値を用いて、各領域Aの領域ランクを決定した。しかしこれに限らず、領域ランクは領域A内の生育条件に関わる他の指標値を用いて決定されてもよい。一例として、領域Aごとの過去の単収の実績値についての情報が得られる場合、領域ランクは単収に基づいて決定されてもよい。この場合、サーバ装置Sは、対象の作物の標準的な単収と比較して、過去の実績値が大きい領域Aについては標準より領域ランクが高く、実績値が小さい領域Aについては標準より領域ランクが低くなるように領域ランクを決定してもよい。
【0082】
上記実施形態において、
図9のステップS1008において決定部120は、圃場指標値として圃場Fにおける単収の実績値を用いて、各圃場Fの圃場ランクを決定した。しかしこれに限らず、圃場ランクは圃場F内の生育条件に関わる他の指標値を用いて決定されてもよい。一例として、散布物が所定の成分(例えば、リン又は腐植)を含む肥料である場合、決定部120は、圃場Fの土壌解析の結果得られた所定の成分の含有量を圃場指標値として用いてもよい。この場合、情報取得部110は、ステップS1002において、土壌解析のサービスを提供する企業又は団体が運営する外部のサーバから、複数の圃場Fの土壌解析の結果を示す情報を取得してもよい。そして、ステップS1008において、決定部120が、標準的な含有量と比較して、土壌内の所定の成分の量が多い圃場Fについては標準より圃場ランクが高く、所定の成分の量が少ない圃場Fについては標準より圃場ランクが低くなるように圃場ランクを決定してもよい。そのほか、圃場F単位のNDVIの値が得られる場合には、決定部120は圃場指標値として圃場F内のNDVIの平均値を用いてもよい。更に、圃場Fの日照量の推定値や圃場Fの排水性などのデータが得られる場合、決定部120は、圃場F全体に対する日照量の推定値や、排水性を示す値を圃場指標値として用いてもよい。
【0083】
また、情報出力部140は、
図9のステップS1012において、端末装置20へ出力情報を出力した。しかし、情報出力部140は圃場Fで作業する作業装置や、農作業の内容を管理する外部のサーバといった、他の装置に対して第2領域散布情報D4を含む出力情報を出力してもよい。例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)による測位機能と、散布量を自動的に制御しつつ散布物を散布する機能を有する作業装置を利用可能である場合について説明する。この場合、情報出力部140は特定の圃場Fで作業する作業装置に対して、その圃場Fに対応する第2領域散布情報D4を含む出力情報を出力してもよい。この第2領域散布情報D4を受信した作業装置は、GNSS測位により第2領域散布情報D4が示す各領域A内に位置すると決定した場合に、第2領域散布情報D4が指定する散布量の散布物を領域Aの地表に散布してもよい。なお、作業装置はGNSSによる測位に代えて、量子コンパスを用いた自己位置推定によって自らの位置を測定してもよい。
【0084】
(付記)
各実施の形態で記載した営農支援方法と、営農支援システムと、プログラムとは以下のように言うことができる。
【0085】
第1の態様に係る営農支援方法は、
作物が栽培されるべき複数の圃場における前記作物の生育条件に関する圃場生育情報と、前記複数の圃場それぞれが有する複数の領域に対する散布物の散布量に関する第1散布情報と、に基づいて、前記複数の圃場それぞれが有する前記複数の領域に対する前記散布物の散布量を示す第2散布情報を生成することと、
生成した前記第2散布情報に関する出力情報を出力することと、
を含む。
【0086】
第2の態様に係る営農支援方法は、第1の態様に係る営農支援方法であって、
前記圃場生育情報が、前記複数の圃場における前記作物の前記生育条件を示す圃場指標値を含む。
【0087】
第3の態様に係る営農支援方法は、第2の態様に係る営農支援方法であって、
前記圃場生育情報が示す前記複数の圃場の圃場指標値に基づいて、前記複数の圃場それぞれにおける前記生育条件をランク付けした圃場ランクを決定することを更に含み、
前記第2散布情報を生成することが、前記第1散布情報と、決定した前記圃場ランクと、に基づいて前記複数の領域に対する前記散布物の前記散布量を決定することを含む。
【0088】
第4の態様に係る営農支援方法は、第1~第3の態様のいずれかに係る営農支援方法であって、
前記第1散布情報が、前記複数の圃場が有する前記複数の領域のそれぞれに対して前記散布物が散布されるべき散布量の多寡をランク付けした領域ランクを示す情報を含み、
前記第2散布情報を生成することが、前記圃場生育情報と、前記領域ランクと、に基づいて前記複数の圃場の前記複数の領域に対する前記散布物の散布量を決定することを含む。
【0089】
第5の態様に係る営農支援方法は、第4の態様に係る営農支援方法であって、
前記領域ランクが、第1の領域ランクと、前記第1の領域ランクに対応する領域よりも生育条件が悪い領域に対応する第2の領域ランクと、を含む複数の領域ランクを含み、
前記散布物の散布量を決定することが、前記第2の領域ランクの領域に対しては、前記第1の領域ランクの領域よりも多い散布量を決定することを含む。
【0090】
第6の態様に係る営農支援方法は、第3~第5の態様のいずれかに係る営農支援方法であって、
前記第1散布情報が、前記複数の圃場が有する前記複数の領域のそれぞれに対して前記散布物が散布されるべき散布量の多寡をランク付けした領域ランクを示す情報を含み、
前記領域ランクが、第1の領域ランクと、前記第1の領域ランクに対応する領域よりも生育条件が悪い領域に対応する第2の領域ランクと、を含む複数の領域ランクを含み、
前記圃場ランクが、第1の圃場ランクと、前記第1の圃場ランクに対応する圃場よりも生育条件が悪い領域に対応する第2の圃場ランクと、を含む複数の圃場ランクを含み、
前記散布物の前記散布量を決定することが、前記第2の圃場ランクの圃場が有する前記第1の領域ランク又は前記第2の領域ランクの領域に対しては、前記第1の圃場ランクに対応する圃場が有する同ランクの領域よりも多い散布量を決定することを含む。
【0091】
第7の態様に係る営農支援方法は、第6の態様に係る営農支援方法であって、
前記散布物の前記散布量を決定することが、
前記第1の圃場ランクの圃場について、前記複数の領域ランクに対応する領域に対して散布されるべき補正前散布量をそれぞれ決定することと、
前記複数の領域ランクに対してそれぞれ決定された前記補正前散布量と、前記第1の圃場ランクに対応する生育条件と前記第2の圃場ランクに対応する生育条件の違いに応じた補正係数と、に基づいて、前記第1の圃場ランクの圃場と、前記第2の圃場ランクの圃場と、がそれぞれ有する複数の領域に対して散布されるべき散布量を決定することと、
を含む。
【0092】
第8の態様に係る営農支援方法は、第2~第7の態様のいずれかに係る営農支援方法であって、
前記圃場指標値が、前記複数の圃場それぞれにおける前記作物の単収、所定の物質が土壌中に含まれる量、又は、植生の何れかを示す。
【0093】
第9の態様に係る営農支援方法は、第2~第8の態様のいずれかに係る営農支援方法であって、
前記圃場ランクを決定することが、前記複数の圃場についての前記圃場指標値の統計量と、前記複数の圃場の前記圃場指標値に基づき、前記圃場ランクを決定することを含む。
【0094】
第10の態様に係る営農支援方法は、第1~第9の態様のいずれかに係る営農支援方法であって、
前記出力情報を、前記出力情報に含まれる更新された前記第2散布情報に基づき前記複数の圃場のうち少なくとも一つに前記散布物を散布する作業装置に出力することを更に含む。
【0095】
第11の態様に係る営農支援システムは、
作物が栽培されるべき複数の圃場における前記作物の生育条件に関する圃場生育情報と、前記複数の圃場それぞれが有する複数の領域に対する散布物の散布量に関する第1散布情報と、に基づいて、前記複数の圃場それぞれが有する前記複数の領域に対する前記散布物の散布量を示す第2散布情報を生成する生成部と、
生成した前記第2散布情報に関する出力情報を出力する情報出力部と、
を備える。
【0096】
第12の態様に係るプログラムは、
コンピュータに、
作物が栽培されるべき複数の圃場における前記作物の生育条件に関する圃場生育情報と、前記複数の圃場それぞれが有する複数の領域に対する散布物の散布量に関する第1散布情報と、に基づいて、前記複数の圃場それぞれが有する前記複数の領域に対する前記散布物の散布量を示す第2散布情報を生成することと、
生成した前記第2散布情報に関する出力情報を出力することと、
を実行させる。
【符号の説明】
【0097】
1 営農支援システム
10 営農支援装置
12 入出力装置
14 演算装置
16 通信装置
18 記憶装置
110 情報取得部
120 決定部
130 生成部
140 情報出力部
150 情報記憶部
20 端末装置
22 入出力装置
24 演算装置
26 通信装置
28 記憶装置
210 表示部
NT ネットワーク
S サーバ装置
F 圃場
A_1~A_16 領域
P1、P2 プログラム
M1、M2 記憶媒体
D1a 第1領域散布情報
D1b 領域設定情報
D2 圃場情報
D2a 圃場生育情報
D3 圃場設定情報
D4 第2領域散布情報