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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021521
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】プリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/09 20060101AFI20250206BHJP
   H05K 1/11 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
H05K1/09 C
H05K1/11 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125271
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】籠橋 進
(72)【発明者】
【氏名】酒井 純
(72)【発明者】
【氏名】吉川 恭平
(72)【発明者】
【氏名】伊西 拓弥
【テーマコード(参考)】
4E351
5E317
【Fターム(参考)】
4E351AA02
4E351BB01
4E351BB33
4E351CC03
4E351CC06
4E351DD04
4E351DD08
4E351DD10
4E351DD19
4E351DD21
4E351DD29
4E351GG02
5E317AA11
5E317BB01
5E317BB12
5E317BB15
5E317BB18
5E317CC33
5E317CC42
5E317GG03
5E317GG09
(57)【要約】
【課題】高い品質を有するプリント配線板の提供。
【解決手段】プリント配線板は、第1導体層と、第1面と第2面と開口を有し、第1導体層上に積層されている樹脂絶縁層と、樹脂絶縁層上に形成されている第2導体層と、開口内に形成されていて、第1導体層と第2導体層とを接続するビア導体、とを有する。第2導体層とビア導体は、シード層と電解めっき層とによって形成されている。シード層は第1層と第2層を有する。第1層は銅とアルミニウムを含有する合金からなる。第2層は銅からなる。樹脂絶縁層は樹脂と無機粒子を含み、無機粒子は樹脂に部分的に埋まっている第1無機粒子と樹脂に埋まっている第2無機粒子を含み、第1無機粒子は樹脂から突出する第1部分と樹脂に埋まっている第2部分で形成され、第1面は樹脂の上面と上面から露出する第1部分の露出面で形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導体層と、
第1面と前記第1面と反対側の第2面と前記第1面から前記第2面に至る開口とを有し、前記第2面が前記第1導体層と対向するように前記第1導体層上に積層されている樹脂絶縁層と、
前記樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第2導体層と、
前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するビア導体、とを有するプリント配線板であって、
前記第2導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上に形成される電解めっき層とによって形成されており、
前記シード層は第1層と前記第1層上に形成される第2層を有しており、
前記第1層は銅とアルミニウムを含有する合金からなり、前記第2層は銅からなり、
前記樹脂絶縁層は樹脂と無機粒子を含み、前記無機粒子は前記樹脂に部分的に埋まっている第1無機粒子と前記樹脂に埋まっている第2無機粒子を含み、前記第1無機粒子は前記樹脂から突出する第1部分と前記樹脂に埋まっている第2部分で形成され、前記第1面は前記樹脂の上面と前記上面から露出する前記第1部分の露出面で形成されている。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板であって、前記第1部分の体積と前記第1無機粒子の体積との比は0より大きく0.4以下である。
【請求項3】
請求項1のプリント配線板であって、前記無機粒子はガラス粒子である。
【請求項4】
請求項1のプリント配線板であって、前記無機粒子は前記開口の内壁面を形成する第3無機粒子をさらに含み、前記内壁面は前記第3無機粒子と前記樹脂によって形成されており、前記第3無機粒子は平坦部を有し、前記平坦部が前記内壁面を形成する。
【請求項5】
請求項4のプリント配線板であって、前記平坦部と前記内壁面を形成する前記樹脂の面は、ほぼ共通な面を形成する。
【請求項6】
請求項4のプリント配線板であって、前記第2無機粒子の形は球であり、前記第3無機粒子の形状は前記第2無機粒子を平面で切断することで得られる。
【請求項7】
請求項4のプリント配線板であって、前記開口を形成することは、前記開口の前記内壁面を形成する前記樹脂から突出する突出部分を有する前記無機粒子を形成することを含み、前記第3無機粒子は前記無機粒子の前記突出部分を除去することで形成される。
【請求項8】
請求項4のプリント配線板であって、前記開口を形成することは、前記第2無機粒子から突出部分を有する前記無機粒子を形成することを含み、前記開口の前記内壁面は前記突出部分を除去することで形成される前記第3無機粒子の露出面を含む。
【請求項9】
請求項1のプリント配線板であって、前記無機粒子は酸素元素を含む。
【請求項10】
請求項1のプリント配線板であって、前記合金はさらにケイ素を含む。
【請求項11】
請求項1のプリント配線板であって、前記合金中のアルミニウムの含有量は1.0at%以上15.0at%以下である。
【請求項12】
請求項1のプリント配線板であって、前記合金はさらに炭素を含有しており、前記合金中の炭素の含有量は50ppm以下である。
【請求項13】
請求項1のプリント配線板であって、前記合金はさらに酸素を含有しており、前記合金中の酸素の含有量は100ppm以下である。
【請求項14】
請求項10のプリント配線板であって、前記合金中のアルミニウムの含有量は1.0at%以上15.0at%以下であり、前記合金中のケイ素の含有量は0.5at%以上10.0at%以下である。
【請求項15】
請求項1のプリント配線板であって、前記合金はさらに特定金属を含み、前記特定金属はニッケル、亜鉛、ガリウム、ケイ素、マグネシウムのうちの少なくとも1つである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術はプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、樹脂基板と樹脂基板上に形成されている樹脂絶縁層と導体回路を有するプリント配線板を開示する。導体回路は、特定の金属を含む合金層を介して樹脂絶縁層上に形成されている。例えば、特許文献1の8段落に特定の金属は示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-124602号公報
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1の合金層を備えるプリント配線板では、導体回路と樹脂絶縁層の密着力が十分ではないと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリント配線板は、第1導体層と、第1面と前記第1面と反対側の第2面と前記第1面から前記第2面に至る開口とを有し、前記第2面が前記第1導体層と対向するように前記第1導体層上に積層されている樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第2導体層と、前記開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続するビア導体、とを有する。前記第2導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上に形成される電解めっき層とによって形成されている。前記シード層は第1層と前記第1層上に形成される第2層を有している。前記第1層は銅とアルミニウムを含有する合金からなる。前記第2層は銅からなる。前記樹脂絶縁層は樹脂と無機粒子を含み、前記無機粒子は前記樹脂に部分的に埋まっている第1無機粒子と前記樹脂に埋まっている第2無機粒子を含み、前記第1無機粒子は前記樹脂から突出する第1部分と前記樹脂に埋まっている第2部分で形成され、前記第1面は前記樹脂の上面と前記上面から露出する前記第1部分の露出面で形成されている。
【0006】
本発明の実施形態のプリント配線板では、樹脂絶縁層の第1面に凹部がほぼ形成されない。そのため、樹脂絶縁層上にスパッタリングによってシード層が形成される場合、スパッタリング製膜の厚みが薄くても実施形態は連続するシード層を形成することができる。その結果、シード層が除去される時、実施形態はエッチング量を少なくすることができる。実施形態は樹脂絶縁層上に微細な配線を形成することができる。シード層の第1層は銅とアルミニウムを含有する合金によって形成されている。アルミニウムは高い延性と高い展性を有する。そのため、樹脂絶縁層とシード層間の密着力が高い。安定した性能を有するプリント配線板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態のプリント配線板を模式的に示す断面図。
図2】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
図3】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
図4A】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
図4B】内壁面の一部を模式的に示す拡大断面図。
図4C】シード層の一部を模式的に示す拡大断面図。
図5】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す断面写真。
図6A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図6B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図6C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図6D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図6E】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
図6F】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図6G】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
図6H】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図6I】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
図1は実施形態のプリント配線板2を示す断面図である。図1に示されるように、プリント配線板2は、絶縁層4と第1導体層10と樹脂絶縁層20と第2導体層30とビア導体40とを有する。ビア導体40は樹脂絶縁層20に形成されている開口26内に形成されている。プリント配線板2は第1導体層10上に接着層100を有する。接着層100は第1導体層10と樹脂絶縁層20で挟まれている。第1導体層10と第2導体層30は隣接している。第1導体層10と第2導体層30の間に導体層は存在しない。
【0009】
絶縁層4は熱硬化性樹脂を用いて形成される。絶縁層4は光硬化性樹脂でも良い。絶縁層4はシリカ等の無機粒子を含んでもよい。絶縁層4は、ガラスクロス等の補強材を含んでもよい。絶縁層4は、第3面6と第3面6と反対側の第4面8を有する。
【0010】
第1導体層10は絶縁層4の第3面6上に形成されている。第1導体層10は信号配線12とパッド14を含む。図に示されていないが、第1導体層10は信号配線12とパッド14以外の導体回路も含んでいる。第1導体層10は主に銅によって形成される。第1導体層10は、絶縁層4上のシード層10aとシード層10a上の電解めっき層10bで形成されている。シード層10aはスパッタリングによって形成されている。シード層10aの厚みは0.5μm未満である。シード層10aは第3面6上の第1層11aと第1層11a上の第2層11bで形成されている。第1層11aの厚みと第2層11bの厚みとの比(第1層の厚み/第2層の厚み)は0.25以上、0.7以下である。第2層11bの厚みは第1層11aの厚みより厚い。第1層11aは絶縁層4の第3面6に接している。例えば、シード層10aと第1層11aは銅合金で形成され、第2層11bは銅で形成される。第2層11bは必須ではない。第1層11aと第2層11bはスパッタリングで形成される。両者はスパッタリング製膜である。
【0011】
第1層11aは銅とアルミニウムを含有する合金からなる。合金は、さらに、特定金属を有しても良い。特定金属の例は、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ケイ素、マグネシウムである。合金は1種類の特定金属、または、2種類の特定金属、または、3種類の特定金属を含むことが好ましい。合金中のアルミニウムの含有量は1.0at%以上15.0at%以下である。特定金属の例はケイ素である。合金中の特定金属の含有量は0.5at%以上10.0at%以下である。第1層11aは不純物を含んでも良い。不純物の例は酸素と炭素である。第1層11aは酸素、または、炭素を含むことができる。第1層11aは酸素と炭素を含むことができる。実施形態では、合金はさらに炭素を含有している。合金中の炭素の含有量は50ppm以下である。合金はさらに酸素を含有している。合金中の酸素の含有量は100ppm以下である。上記各元素の含有量の値は一例である。第1層11aを形成する元素の中で銅の量が最も大きい。次いで、アルミニウムの量が大きい。特定金属の量はアルミニウムの量より小さい。従って、銅は主の金属であり、アルミニウムは第1の副の金属であり、特定金属は第2の副の金属である。不純物の量は特定金属の量より小さい。
【0012】
第2層11bは銅で形成されている。第2層11bを形成している銅の含有量は99.9at%以上である。第2層11b中の銅の含有量は99.95at%以上であることが好ましい。電解めっき層10bは銅で形成されている。電解めっき層10bを形成している銅の含有量は99.9at%以上である。電解めっき層10b中の銅の含有量は99.95at%以上であることが好ましい。
【0013】
第1導体層10の表面は第1表面14aと第2表面14bで形成される。パッド14の表面は第1表面14aと第2表面14bで形成される。第1表面14aは樹脂絶縁層20に形成されている開口26から露出している。第2表面14bは第1表面14a以外の表面である。第1表面14aは接着層100で覆われていない。第2表面14bは接着層100で覆われている。信号配線12の表面(上面と側面)は接着層100で覆われている。第1導体層10の側面は接着層100で覆われている。
【0014】
接着層100は樹脂で形成されている。接着層100は有機製の材料(有機製樹脂)で形成されている。有機製の材料は窒素系有機化合物である。窒素系有機化合物は例えばテトラゾール化合物である。窒素系有機化合物の例は特開2015-54987号公報に開示されている。接着層100は第1導体層10から露出する第3面6を覆っていない。接着層100は第1導体層10と樹脂絶縁層20で挟まれている。接着層100は第1導体層10と樹脂絶縁層20を接着している。
【0015】
図2は、パッド14の第2表面14b上に形成されている接着層100の一部を示す拡大断面図である。図2に示されるように、接着層100は、ほぼ平滑な平滑膜110と平滑膜110から突出している複数の突出部120で形成されている。パッド14の側面に形成されている接着層100は、図2に示されている接着層100と同様な平滑膜110と複数の突出部120で形成されている。形状も同様である。信号配線12の上面と側面に形成されている接着層100は、図2と同様な平滑膜110と複数の突出部120で形成されている。形状も同様である。
【0016】
平滑膜110はほぼ均一な厚みTを有する。平滑膜110の厚みTは、10nm以上、120nm以下である。突出部120から露出する平滑膜110の面積(S1)と接着層100の面積(S2)との比(S1/S2)は0.1以上、0.5以下である。パッド14の第2表面14b上の平滑膜110はパッド14の第2表面14bの形状にほぼ沿って形成されている。パッド14の第2表面14bにうねりが形成されている場合、平滑膜110はそのうねりに追随している。同様に信号配線12の上面と側面上の平滑膜110は信号配線12の上面と側面の形状にほぼ沿って形成されている。信号配線12の上面と側面にうねりが形成されている場合、平滑膜110はそのうねりに追随している。
【0017】
突出部120は複数の突起122で形成されている。複数の突起122により、突出部120の上面に凹凸が形成される。1mm当たりの突起122の数は5以上、15以下である。突出部120は、平滑膜110の上面と突出部120の頂部間に高さH1、H2を有する。高さH1、H2の最大値は、平滑膜110の厚みTの10倍以上30倍以下である。高さH1、H2は、200nm以上、450nm以下である。
【0018】
図1に示されるように、樹脂絶縁層20は接着層100を介して第1導体層10上に形成されている。樹脂絶縁層20は接着層100によって第1導体層10と接着している。樹脂絶縁層20は第1面22と第1面22と反対側の第2面24を有する。樹脂絶縁層20の第2面24は第1導体層10と対向する。樹脂絶縁層20は開口26を有している。開口26はパッド14の第1表面14aを露出する。樹脂絶縁層20は樹脂80と樹脂80内に分散されている多数の無機粒子90で形成されている。樹脂80はエポキシ系樹脂である。樹脂の例は熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂である。無機粒子90は例えばシリカやアルミナである。無機粒子90の平均粒径は0.5μm以下である。樹脂絶縁層20中の無機粒子90の量は75wt%以上である。
【0019】
図1図3に示されるように、無機粒子90は、樹脂80に部分的に埋まっている第1無機粒子91と、樹脂80内に埋まっている第2無機粒子92を含む。第2無機粒子は樹脂80内に完全に埋まっている。第1無機粒子91と第2無機粒子92の形は球である。図3に示されるように、第1無機粒子91は、樹脂80から突出する第1部分91aと樹脂80に埋まっている第2部分91bで形成されている。樹脂絶縁層20の第1面22は樹脂80の上面80Rと樹脂80の上面80Rから露出する第1部分91aの露出面91aRで形成されている。
【0020】
第1部分91aの体積と第1無機粒子91の体積との比R(第1部分91aの体積/第1無機粒子91の体積)は0より大きく0.4以下である。比Rは0.2以下であることが好ましい。比Rは0.1以下であることがより好ましい。比Rは0.05以下であることが最も好ましい。樹脂80から第1部分91aが突出すると樹脂絶縁層20の第1面22が僅かな凹凸を有する。しかし樹脂80の上面80Rは荒らされていない。樹脂絶縁層20の第1面22を形成する樹脂80の上面80Rはほぼ平坦である。樹脂80の上面80Rは凹部をほぼ有していない。そのため第1面22は凹部をほぼ有していない。第1面22の算術平均粗さ(Ra)は0.08μm未満である。第1面22の粗さRaは0.05μm以下であることが好ましい。第1面22の粗さRaは0.03μm以下であることがより好ましい。樹脂絶縁層20の第1面22を形成する樹脂80の上面80Rの算術平均粗さ(Ra)は0.08μm未満である。樹脂80の上面80Rの粗さRaは0.05μm以下であることが好ましい。樹脂80の上面80Rの粗さRaは0.03μm以下であることがより好ましい。
【0021】
図1図4Aに示されるように、無機粒子90は、開口26の内壁面27を形成する第3無機粒子93をさらに含む。第3無機粒子93の形状は球を平面で切断することで得られる。第3無機粒子93の形状は第2無機粒子92を平面で切断することで得られる。第3無機粒子93の形状は実質的に球欠である。第3無機粒子93の形状と第2無機粒子92の形状は異なる。第3無機粒子93の形状と第1無機粒子91の形状は異なる。第1無機粒子91の形状と第2無機粒子92の形状は同様である。
【0022】
図5は、開口26の内壁面27の一例を示す断面写真である。図4A図5に示されるように、開口26の内壁面27は樹脂80と第3無機粒子93で形成されている。第3無機粒子93は平坦部93aを有する。平坦部93aは内壁面27を形成する。内壁面27は樹脂80と平坦部93aで形成されている。平坦部93aと内壁面27を形成する樹脂80の面は、ほぼ共通な面を形成する。内壁面27を形成する樹脂80上に凹凸が形成されない。内壁面27を形成する樹脂80の面は平滑である。平坦部93aの露出面(内壁面27を形成する面)93b上に凹凸が形成されない。平坦部93aの露出面93bは平滑である。内壁面27は平滑に形成される。内壁面27の算術平均粗さ(Ra)は1.0μm以下である。内壁面27を形成する樹脂80の面80aの算術平均粗さ(Ra)は1.0μm以下である。図5に示されるように、樹脂80の面80aと第3無機粒子93の平坦部93aの境界部に段差28が形成されている。段差28の量は3.0μm以下であることが好ましい。段差28の量は1.5μm以下であることがより好ましい。段差28の量は0.5μm以下であることがさらに好ましい。例えば、露出面93bと樹脂80の面80aとの間の距離が段差28の量を示す。内壁面27が段差28を有したとしても、段差28の量が小さいので、露出面93bと樹脂80の面(内壁面27を形成する面)80aは実質的に共通な面を形成する。
【0023】
第3無機粒子93の平坦部93aは第3無機粒子93の周りに形成されている樹脂80の面(内壁面27を形成する面)80aを延長することで得られる面とほぼ一致する。図1図4A中に実質的な直線で描かれている平坦部93aは平面を意味している。図1図4Aに示される断面において平坦部93aは平面である。平坦部93aは完全な平面でなくてもよい。平坦部93aは実質的な平面であってほぼ平滑な面である。
【0024】
図4B図4A中の内壁面27の一部を示す拡大断面図である。図4Bに示されるように、内壁面27を形成する2つの第3無機粒子93の平坦部93aを結ぶ基準面200に対し、その間に位置する樹脂80の面80aは凹んでいても出っ張っていてもよい(破線部参照)。基準面200を形成するための2つの第3無機粒子93間に他の第3無機粒子93がないことが好ましい。基準面200と樹脂80の面80aとの間の距離が段差28の量の代表値として用いられても良い。
【0025】
図4Aに示されるように、開口26の内壁面27は、樹脂絶縁層20の第1面22からパッド14の上面に向けてテーパーしている。内壁面27とパッド14との間の角度(傾斜角度)θは70°以上90°以下である。
【0026】
図1図4Aに示される断面では、開口26の形状は略逆台形に示されている。しかしながら、実際の開口26の形状は略逆円錐台形状である。そのため実際の開口26の内壁面(側壁)27は略曲面である。すなわち、平坦部93aと樹脂80で形成される共通な面は略曲面で形成される内壁面(側壁)27を含む。
【0027】
図1に示されるように、第2導体層30は樹脂絶縁層20の第1面22上に形成されている。第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36を含む。図に示されていないが、第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36以外の導体回路も含んでいる。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成している。第1信号配線32と第2信号配線34は隣り合っている。図3に示されるように、第1信号配線32と第2信号配線34との間の間隔D1は1.5μm以上10μm以下である。間隔D1は1.5μm以上8μm以下であることが好ましい。
【0028】
第2導体層30は主に銅によって形成される。第2導体層30は、第1面22上のシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。シード層30aは第1面22上の第1層31aと第1層31a上の第2層31bで形成されている。シード層30aの厚みは0.5μm未満である。第1層31aの厚みと第2層31bの厚みとの関係と第1層11aの厚みと第2層11bの厚みとの関係は同様である。第1層31aと第2層31bは第2導体層30を形成し、第1層11aと第2層11bは第1導体層10を形成する。第2導体層30を形成する第1層31aと第1導体層10を形成する第1層11aは同様である。第2導体層30を形成する第2層31bと第1導体層10を形成する第2層11bは同様である。第2導体層30を形成する電解めっき層30bと第1導体層10を形成する電解めっき層10bは同様である。第1層31aは第1面22に接している。
【0029】
ビア導体40は開口26内に形成されている。ビア導体40は第1導体層10と第2導体層30を接続する。図1ではビア導体40はパッド14とランド36を接続する。ビア導体40はシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。ビア導体40を形成するシード層30aは、開口26の内壁面27上と開口26から露出するパッド14上に形成されている第1層31aと第1層31a上の第2層31bで形成されている。第1層31aはパッド14の上面と内壁面27に接している。ビア導体40を形成するシード層30aと第2導体層30を形成するシード層30aは共通である。ビア導体40を形成する第1層31aと第2導体層30を形成する第1層31aは共通である。ビア導体40を形成する第2層31bと第2導体層30を形成する第2層31bは共通である。ビア導体40を形成する電解めっき層30bと第2導体層30を形成する電解めっき層30bは共通である。
【0030】
図4C図4Aの内壁面27上のシード層30aの一部を模式的に示す拡大断面図である。図5はシード層30aの一例を示す。内壁面27上のシード層30aは内壁面27に接している。図4A図4C図5に示されるように、ビア導体40を形成するシード層30aは、ほぼ平滑な第1膜60とほぼ平滑な第2膜70を有している。第1膜60と第2膜70は電気的に繋がっている。第1膜60と第2膜70は連続している。図5に示されるように、第1膜60の一部が第2膜70上に形成されている。第1膜60の先端62が第2膜70の後端72上に形成されている。第1膜60と第2膜70は同時に形成されている。内壁面27を覆うシード層30aの断面は略階段状の形状を有する。
【0031】
図4Cに示されるように、シード層30aの第1層31aは第1膜60aと第2膜70aを有している。第1膜60aと第2膜70aは電気的に繋がっている。第1膜60aと第2膜70aは連続している。第1膜60aの先端62aが第2膜70aの後端72a上に形成されている。内壁面27を覆う第1層31aの断面は略階段状の形状を有する。内壁面27上の第1層31aは内壁面27に接している。
【0032】
シード層30aの第2層31bは第1膜60bと第2膜70bを有している。第1膜60bと第2膜70bは電気的に繋がっている。第1膜60bと第2膜70bは連続している。第1膜60bの先端62bが第2膜70bの後端72b上に形成されている。内壁面27上に形成されている第2層31bの断面は略階段状の形状を有する。
【0033】
実施形態では、第1膜60の一部が第2膜70上に積層される。第1膜60の一部が第2膜70上に重なっている。第1膜60の先端62が第2膜70の後端72上に積層される。第1膜60の先端62が第2膜70の後端72上に重なっている。
【0034】
実施形態の内壁面27はほぼ平滑な面で形成されている。もし、第1層31aが内壁面27の形状に追従すると、内壁面27上の第1層31aはほぼ平滑な面を有する。第1層31aの断面は線状の形状を有する。内壁面27上のシード層30aはほぼ平滑な面を有する。シード層30aの断面は線状の形状を有する。この場合、ビア導体40を形成する電解めっき層30bが平滑な面上に形成される。例えば、プリント配線板2が大きな衝撃を受けると、内壁面27上の第1層31aと第1層31a上の第2層31b間で剥がれが発生する。あるいは、内壁面27上のシード層30aとビア導体40を形成する電解めっき層30b間で剥がれが発生する。それに対し、実施形態のシード層30aと第1層31aの断面は階段状の形状を有する。そのため、剥がれが発生しがたい。
【0035】
プリント配線板2の各辺の長さは50mm以上である。各辺の長さは100mm以上であることが好ましい。各辺の長さは250mm以下である。実施形態によって形成される信号配線の長さは5mm以上である。信号配線の長さは10mm以上、20mm以下であってもよい。
【0036】
[実施形態のプリント配線板2の製造方法]
図6A図6Iは実施形態のプリント配線板2の製造方法を示す。図6A図6D図6F図6H図6Iは断面図である。図6E図6G図6Iは拡大断面図である。図6Aは絶縁層4と絶縁層4の第3面6上に形成されている第1導体層10を示す。第1導体層10はセミアディティブ法によって形成される。第1層11aと第2層11bはスパッタリングで形成される。第1層11aと第2層11bは真空中で形成される。電解めっき層10bは電解めっきで形成される。
【0037】
図6Bに示されるように、第1導体層10の上面と側面上に、接着層100が形成される。接着層100は、図6Aに示される途中基板を窒素系有機化合物を含む薬液に浸漬することによって形成される。薬液のphは7以下である。途中基板を薬液に浸漬することで第1導体層10の上面と側面上に平滑膜110と突出部120を有する接着層100が形成される。途中基板が薬液に浸漬される前に第1導体層10の上面と側面の酸化膜が除去される。改変例では接着層100は、第1導体層10上に薬液を塗布することによって形成される。接着層100が形成されると、途中基板が薬液から取り出される。接着層100が乾燥される。乾燥前の接着層100の上面は平滑でもよい。その場合、乾燥により、接着層の一部が凝集する。凝集することで、平滑膜110と突出部120を含む接着層100が形成される。
【0038】
図6Cに示されるように、接着層100で覆われている第1導体層10上に樹脂絶縁層20と保護膜50が形成される。樹脂絶縁層20の第2面24が絶縁層4の第3面6と対向している。樹脂絶縁層20の第1面22上に保護膜50が形成されている。樹脂絶縁層20は樹脂80と無機粒子(第2無機粒子92)90を有する。無機粒子90は樹脂80内に埋まっている。
【0039】
保護膜50は樹脂絶縁層20の第1面22を完全に覆っている。保護膜50の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムである。保護膜50と樹脂絶縁層20との間に離型剤が形成されている。
【0040】
図6Dに示されるように、保護膜50の上からレーザ光Lが照射される。レーザ光Lは保護膜50と樹脂絶縁層20を同時に貫通する。レーザ光Lはパッド14を覆う接着層100を貫通しパッド14に至る。あるいは、レーザ光Lによって接着層100が完全に除去されない。開口26の底は接着層100で形成される。パッド14に至るビア導体用の開口26が形成される。あるいは、接着層100に至るビア導体用の開口26が形成される。開口26によりパッド14を覆う接着層100が露出される。レーザ光Lは例えばUVレーザ光、CO2レーザ光である。開口26によりパッド14が露出される。開口26が形成される時、第1面22は保護膜50で覆われている。そのため、開口26が形成される時、樹脂が飛散しても、第1面22に樹脂が付着することが抑制される。
【0041】
図6Eは、レーザ光照射後の開口26の内壁面27bを示す。内壁面27bは樹脂80と樹脂80から突出している無機粒子90で形成されている。内壁面の形状を制御するため、レーザ光照射後の内壁面27bは処理される。樹脂80から突出している無機粒子90を選択的に除去することが好ましい。これにより、無機粒子90から第3無機粒子93が形成される。例えば、レーザ光照射後の内壁面27bを薬品で処理することで、樹脂80から突出している無機粒子90が選択的に除去される。あるいは、レーザ光照射後の内壁面27bをプラズマで処理することで、樹脂80から突出している無機粒子90が選択的に除去される。選択的に除去することは、無機粒子90のエッチング速度が樹脂80のエッチング速度より大きいことを含む。例えば、両者のエッチング速度差は10倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は50倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は100倍以上である。レーザ光照射後の内壁面27bを処理することで、平坦部93aを有する第3無機粒子93が得られる。レーザ光照射後の内壁面27bを処理するための条件を制御することで、実施形態は内壁面27の形状を制御することができる。条件の例は、温度、濃度、時間、ガスの種類や圧力である。無機粒子90のエッチング速度と樹脂のエッチング速度が制御される。
【0042】
樹脂絶縁層20にレーザ光Lを照射することで、樹脂80に埋まっている第2無機粒子92の一部がレーザ光照射後の内壁面27bを形成する。レーザ光照射後の内壁面27bを形成する第2無機粒子92は、樹脂80から突出している突出部分Pと樹脂80に埋まっている部分Eで形成される。突出部分Pを有する粒子は突出粒子と称される。レーザ光照射後の内壁面27bが処理される。例えば、四フッ化メタンを含むガスのプラズマで内壁面27bが処理される。突出部分Pが選択的に除去され、実施形態の内壁面27が形成される。第2無機粒子92から第3無機粒子93が形成される。突出部分Pを選択的に除去することで、平坦部93aを有する第3無機粒子93が形成される。平坦部93aは平面である。球の形を持つ第2無機粒子92が平面で切断されると、第3無機粒子93の形状が得られる。第3無機粒子93の形状は実質的に球欠である。内壁面27は平坦部93aと樹脂80の面80aで形成される。平坦部93aの露出面93bと樹脂80の面80aはほぼ同一平面上に位置する。図5に示されるように、内壁面27を形成する樹脂80の面80aと第3無機粒子93の平坦部93aの境界部に段差28が形成される。例えば、スパッタリングで内壁面27b上にシード層30aが形成されると、突出部分Pはスパッタリングで形成される膜の成長を阻害する。例えば、内壁面27b上に連続しているシード層30aが形成されない。あるいは、シード層30aの厚みを大きくすることが必要である。突出粒子を含むプリント配線板は微細な導体回路を形成することが難しいと考えられる。実施形態では、突出部分Pが除去される。実施形態はスパッタリングで形成されるシード層30aの厚みを薄くできる。スパッタリングで形成されるシード層30aの厚みが薄くても、連続しているシード層30aが得られる。段差28が存在するとき、樹脂の面80aは平坦部93aの露出面93bから凹んでいることが好ましい。
【0043】
開口26を形成することは、突出部分Pを有する無機粒子(第2無機粒子92)90を形成することを含む。突出部分Pは開口26の内壁面27bを形成する樹脂80から突出している。第3無機粒子93は無機粒子(第2無機粒子92)90の突出部分Pを除去することで形成される。開口26の内壁面27は第3無機粒子93の露出面93bを含む。第3無機粒子93の露出面93bは突出部分Pを除去することで形成される。
【0044】
球の形を持つ第2無機粒子92を平面で切断することで第3無機粒子93の形状を得ることは、無機粒子90の突出部分Pを除去することを含む。実際の開口26の内壁面27は略曲面である。突出部分Pを除去することで平坦部93aが形成されるので、平坦部93aの露出面93bは曲面を含む。すなわち、平坦部93aと樹脂80で共通な面を形成することは実質的な曲面で形成される内壁面27を形成することを含む。
【0045】
レーザ光照射後の内壁面27bを処理するための条件を制御することで、凹凸の大きさや段差の大きさが制御される。
【0046】
開口26内が洗浄される。接着層100がレーザ光Lで完全に除去されない場合、開口26内を洗浄することにより開口26から露出する接着層100が除去される。開口26からパッド14の第1表面14aが露出する。開口26形成時に発生する樹脂残渣が除去される。開口26内の洗浄はプラズマによって行われる。即ち洗浄はドライプロセスで行われる。洗浄はデスミア処理を含む。樹脂絶縁層20の第1面22は保護膜50で覆われているため第1面22はプラズマの影響を受けない。この時点で樹脂絶縁層20の第1面22には凹凸が形成されない。第1面22に無機粒子90が露出しない。第1面22は荒らされていない。
【0047】
レーザ光照射後の内壁面27bを処理することが開口26内を洗浄することを含む場合、実施形態は開口26内を洗浄することを削除することができる。
【0048】
図6Fに示されるように、開口26内を洗浄することの後に、樹脂絶縁層20から保護膜50が除去される。レーザ光照射後の内壁面27bを処理することが開口26内を洗浄することを含む場合、レーザ光照射後の内壁面27bを処理することの後に、樹脂絶縁層20から保護膜50が除去される。レーザ光照射後の内壁面27bが処理される時、保護膜50は樹脂絶縁層20の第1面22を覆っている。
【0049】
保護膜50の除去後、樹脂絶縁層20の第1面22が洗浄される。第1面22を形成する樹脂80がドライプロセスで除去される。例えば、逆スパッタリングで樹脂絶縁層20の第1面22が洗浄される。例えば、樹脂絶縁層20の第1面22を洗浄することはアルゴンガスを用いるスパッタリング(アルゴンスパッタリング)によって行われる。図6G(a)(b)は洗浄前後の樹脂絶縁層20の第1面22を模式的に示す。図6G(a)(b)に示されるように、スパッタリング等による洗浄によって樹脂絶縁層20を形成する樹脂80が20nm程度除去される。例えば、保護膜50を樹脂絶縁層20に接着するための接着材が除去される。洗浄によって樹脂80が選択的に除去される。樹脂80の厚みが薄くなる。無機粒子(第2無機粒子92)90の一部は、洗浄によって部分的に樹脂80の上面80Rから露出する。樹脂80に埋まっている第2無機粒子92を樹脂80の上面80Rから露出することで、第1無機粒子91が得られる。第1無機粒子91は第2無機粒子92から形成される。第1無機粒子91の形と第2無機粒子92の形は同じである。両者の形は球である。図6G(b)に示されるように、第1無機粒子91は、樹脂80から突出する第1部分91aと樹脂80に埋まっている第2部分91bで形成されている。樹脂絶縁層20の第1面22は樹脂80の上面80Rと樹脂80の上面80Rから突出している第1部分91aの露出面91aRで形成されている。洗浄によって第1部分91aの露出面91aRが露出する。樹脂絶縁層20の第1面22は荒らされていない。そのため第1面22には凹部がほぼ形成されない。第1面22は凹部をほぼ有していない。樹脂80の上面80Rはほぼ平坦である。樹脂80の上面80Rは凹部を有していない。
【0050】
比Rは、例えば、図6G(b)に示される第1無機粒子91の断面図を用いて算出される。図6G(b)は上面80Rに垂直な面で樹脂絶縁層20を切断することで得られる。図6G(b)には、第2導体層30が省略されている。図6G(b)中の第1無機粒子91上に第2導体層30が形成されている。図6G(b)中の露出面91aRは第2導体層30で覆われている。図6G(b)を用いて、第1部分91aの断面積91aSが求められる。同様に、第1無機粒子91の断面積91Sが求められる。例えば、比Rは断面積91aSと断面積91Sの比(第1部分91aの断面積91aS/第1無機粒子91の断面積91S)で代表される。例えば、比Rが評価される時、50個の第1無機粒子91が観察される。50個の第1無機粒子91が比Rを満足する。
【0051】
図6Hに示されるように、樹脂絶縁層20の第1面22上にシード層30aが形成される。シード層30aはスパッタリングによって形成される。シード層30aの形成はドライプロセスで行われる。第1層31aが第1面22上にスパッタリングで形成される。同時に、開口26から露出する内壁面27とパッド14上に第1層31aがスパッタリングで形成される。第2層31bが第1層31a上にスパッタリングで形成される。開口26の内壁面27が第3無機粒子93の露出面93bと樹脂80の面80aで形成される。露出面93bと樹脂80の面80aは実質的に同一面上に位置する。開口26の内壁面27は実質的に平坦である。そのため、実施形態は内壁面27上の第1層31aの厚みと第2層31bの厚みを薄くすることができる。厚みが薄いので、実施形態はシード層30aの厚みのバラツキを小さくすることができる。内壁面27上の第1層31aと樹脂絶縁層20の第1面22上の第1層31aは同時に形成される。内壁面27上の第2層31bと樹脂絶縁層20の第1面22上の第2層31bは同時に形成される。従って、実施形態は樹脂絶縁層20の第1面22上の第1層31aの厚みと第2層31bの厚みを小さくすることができる。第1面22上には凹部がほとんど形成されていない。そのため、第1面22上の第1層31aはほぼ平坦に形成される。実施形態は樹脂絶縁層20の第1面22上の第1層31aの厚みのバラツキと第2層31bの厚みのバラツキを小さくすることができる。樹脂絶縁層20の第1面22上の信号配線32、34の幅が目標値を満足する。隣接する信号配線32、34間のスペースの幅が目標値を満足する。実施形態は信号配線32、34の幅のバラツキを小さくすることができる。実施形態は信号配線間のスペースの幅のバラツキを小さくすることができる。樹脂絶縁層20の第1面22上に複数の信号配線32、34が形成されても、それぞれの信号配線32、34を介して伝送されるデータがほぼ遅延なく電子部品に至る。
【0052】
図6Iに示されるように、内壁面27上に形成される第1層31aは、第1膜60aと第2膜70aを有する。第1膜60aと第2膜70aは同時に形成されている。第1膜60aと第2膜70aは電気的に繋がっている。第1膜60aの先端62aが第2膜70aの後端72a上に形成されている。内壁面27上に形成されている第1層31aの断面は略階段状の形状を有する。スパッタリングの条件の例が次に示される。ターゲットと樹脂絶縁層20の第1面22間の距離が50mm以上250mm以下である。電圧が15eV以上50eV以下である。ガス濃度が0.1Pa以上1.0Pa以下である。
【0053】
内壁面27を覆う第1層31a上に形成される第2層31bは、第1膜60bと第2膜70bを有する。第1膜60bと第2膜70bは同時に形成されている。第1膜60bと第2膜70bは電気的に繋がっている。第1膜60bの先端62bが第2膜70bの後端72b上に形成されている。内壁面27上に形成されている第2層31bの断面は略階段状の形状を有する。スパッタリングの各条件は上記とほぼ同様である。
【0054】
実施形態の内壁面27は樹脂80の面80aと第3無機粒子93の露出面93bで形成されている。両者はほぼ共通な面を形成する。樹脂の面80aと露出面93bは異なる材料で形成される。そして、第1層31aはスパッタリングで形成される。樹脂80の面80a上に形成される第1層31aの成長と露出面93b上に形成される第1層31aの成長が異なると考えられる。樹脂80の面80a上に形成されるシード層30aの成長と露出面93b上に形成されるシード層30aの成長が異なると考えられる。そのため、実施形態では、第1膜60aと第2膜70aが形成されると考えられる。第1膜60aの先端62aが第2膜70aの後端72a上に形成されると考えられる。第1層31aの断面は略階段状の形状を有すると考えられる。第2層31bは第1層31aに追従すると考えられる。従って、第2層31bは第1膜60bと第2膜70bを有すると考えられる。第2層31bの第1膜60bの先端62bが第2層31bの第2膜70bの後端72b上に形成されると考えられる。第2層31bの断面は略階段状の形状を有すると考えられる。同様に、シード層30aは第1膜60と第2膜70を有すると考えられる。シード層30aの第1膜60の先端62がシード層30aの第2膜70の後端72上に形成されると考えられる。シード層30aの断面は略階段状の形状を有すると考えられる。
【0055】
内壁面27が図5に示される段差28を有すると、スパッタリングを用いて第1膜60aと第2膜70aを有する第1層31aが容易に形成される。実施形態は第1膜60と第2膜70を有するシード層30aを容易に形成することができる。実施形態は第1膜60aの先端62aを第2膜70aの後端72a上に形成することができる。実施形態は第1膜60の先端62を第2膜70の後端72上に形成することができる。実施形態は実質的に階段状の形状を有する第1層31aを容易に形成することができる。実施形態は実質的に階段状の形状を有するシード層30aを容易に形成することができる。
【0056】
内壁面27上の第1層31aはほぼ平滑な内壁面27上に形成される。そのため、実施形態は第1層31aの第1膜60aの表面と第1層31aの第2膜70aの表面をほぼ平滑に形成することができる。同様に、実施形態は第2層31bの第1膜60bの表面と第2層31bの第2膜70bの表面をほぼ平滑に形成することができる。実施形態はシード層30aの第1膜60の表面とシード層30aの第2膜70の表面をほぼ平滑に形成することができる。表面が平滑であると伝送損失を小さくすることができる。
【0057】
例えば、第1層31aは銅合金で形成される。シード層30aの第1層31aは銅とアルミニウムを含有する合金によって形成されている。アルミニウムは高い延性と高い展性を有する。そのため、樹脂絶縁層20と第1層31a間の密着力が高い。ヒートサイクルにより樹脂絶縁層20が伸縮したとしても、アルミニウムを含むシード層30aがその伸縮に追従することができると考えられる。樹脂絶縁層20の第1面22が平滑であっても、シード層30aは樹脂絶縁層20から剥がれ難い。アルミニウムは酸化しやすいと考えられる。第3無機粒子93が酸素(酸素元素)を含む無機粒子90であると、内壁面27上に形成される第1層31aは内壁面27を形成する無機粒子90内の酸素を介して第3無機粒子93に密着すると考えられる。第1層31aと内壁面27が強く接合される。実施形態は内壁面27と第1層31a間の密着力を高くすることができる。シード層30aは内壁面27から剥がれ難い。内壁面27を形成する無機粒子90は酸素元素を含むことが好ましい。第3無機粒子93がガラス粒子であって、第1層31aが、さらに、ケイ素を含むと、両者が共にケイ素を含む。この場合、第1層31aが銅とアルミニウムとケイ素を含む合金で形成される。そのため、第1層31aと第3無機粒子93を含む無機粒子間の接着力が、さらに、向上すると考えられる。
【0058】
シード層30aの第1層31aは樹脂絶縁層20の第1面22を形成する第1無機粒子91の第1部分91aの露出面91aRに接する。第1層31aがアルミニウムを有し、第1無機粒子91が酸素を有すると、第1層31aと第1無機粒子91間の接着力が向上すると考えられる。酸素を含む無機粒子(第1無機粒子等)90の例はガラス粒子とアルミナ製粒子である。そのため、第1層31aが銅とアルミニウムを含む合金で形成されると、樹脂絶縁層20の第1面22が凹部を有していなくても、第1層31aが樹脂絶縁層20から剥がれ難い。第1層31a中のアルミニウムの量は1.0at%以上15.0at%以下である。第1無機粒子91を含む無機粒子(第1無機粒子91、第2無機粒子92、第3無機粒子93)90がガラス粒子であって、第1層31aが、さらに、ケイ素を含むと、両者が共にケイ素を含む。この場合、第1層31aが銅とアルミニウムとケイ素を含む合金で形成される。ケイ素の量は0.5at%以上10.0at%以下である。両者はケイ素を介して強く接着されると考えられる。そのため、第1層31aと第1無機粒子91を含む無機粒子間の接着力が、さらに、向上すると考えられる。実施形態は微細な信号配線32、34を形成することができる。微細な信号配線32、34の幅は1μm以上3μm以下である。微細な信号配線32、34を有するプリント配線板2が熱衝撃を受けても、信号配線32、34が樹脂絶縁層20から剥がれ難い。
【0059】
シード層30a上にめっきレジストが形成される。めっきレジストは、第1信号配線32と第2信号配線34とランド36を形成するための開口を有する。第1面22が凹部を有すると、その凹部に起因する空気がめっきレジストとシード層30a間に閉じ込められやすい。しかしながら、実施形態では、第1面22は凹部をほとんど有していない。そのため、第1面22上のシード層30aはほぼ平坦に形成される。シード層30aがほぼ凹部を有さない。めっきレジストとシード層30aの間に空気が残りがたい。めっきレジストとシード層30a間の接触面積が大きい。第1信号配線32と第2信号配線34間の空間(スペース)を形成するためのめっきレジストの幅が10μm以下であっても、めっきレジストがシード層30aの上面から剥がれがたい。めっきレジストの幅が3μm以上、8μm以下であっても、実施形態はめっきレジストをシード層30a上に形成することができる。めっきレジストの幅が6μm以下であっても、めっきレジストがシード層30aから剥がれ難い。
【0060】
めっきレジストから露出するシード層30a上に電解めっき層30bが形成される。電解めっき層30bは銅で形成される。電解めっき層30bは開口26を充填する。第1面22上のシード層30aと電解めっき層30bによって、第1信号配線32と第2信号配線34とランド36が形成される。第2導体層30が形成される。開口26内のシード層30aと電解めっき層30bによって、ビア導体40が形成される。ビア導体40は、パッド14とランド36を接続する。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成する。
【0061】
めっきレジストが除去される。電解めっき層30bから露出するシード層30aが除去される。シード層30aはウェットエッチングによって除去される。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は過酸化水素水と硫酸を含む水溶液である。ウェットエッチングにより第1層31aと第2層31bは同時に除去される。第2導体層30とビア導体40は同時に形成される。実施形態のプリント配線板2が得られる。
【0062】
実施形態のプリント配線板2では、樹脂絶縁層20の第1面22は樹脂80の上面80Rと樹脂80の上面80Rから露出する第1部分91aの露出面91aRで形成されている。第1面22が凹部を有していない。そのため、樹脂絶縁層20上にスパッタリングによってシード層30aが形成される場合、スパッタリング製膜の厚みが薄くても実施形態は連続するシード層30aを形成することができる。シード層30aは薄く形成される。シード層30aが除去される時、エッチング量が少ない。そのため、電解めっき層30bのエッチング量が少ない。第1信号配線32と第2信号配線34を有する第2導体層30が設計値通りの幅を有する。微細な配線が形成される。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0063】
実施形態のプリント配線板2では、開口26の内壁面27は第3無機粒子93の平坦部93aと樹脂80によって形成される。平坦部93aと内壁面27を形成する樹脂80の面80aは共通な面を形成する。内壁面27は平滑に形成される。そのため、開口26の内壁面27上に均一な厚みのシード層30aが形成される。シード層30aは薄く形成される。シード層30aが除去される時、エッチング量が少ない。そのため、電解めっき層30bのエッチング量が少ない。第1信号配線32と第2信号配線34を有する第2導体層30が設計値通りの幅を有する。微細な配線が形成される。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0064】
実施形態のプリント配線板2では、シード層30aの第1層31aと第2層31bはスパッタリングで形成される。第1層31aと第2層31bが十分に密着する。第2層31bが第1層31aから剥がれがたい。開口26の径が小さくてもビア導体40とパッド14間の接続信頼性が高い。ビア導体40を介する接続抵抗が上昇しがたい。図6Fに示されるように、ビア導体40の径(開口26の直径)Dはパッド14上で測定される。径Dは20μm以上、50μm以下である。プリント配線板2の各辺の長さが50mmを超えてもビア導体40を介する接続抵抗が上昇しがたい。プリント配線板2の各辺の長さが100mm以上であっても長期間接続抵抗が上昇しがたい。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0065】
実施形態のプリント配線板2では、開口26の内壁面27を覆うシード層30aの第1膜60の一部が第2膜70上に形成されている。第1膜60と第2膜70が部分的に重なっている。そのため、実施形態はシード層30aの強度を高くすることができる。シード層30aが断線しがたい。シード層30aは、ほぼ平滑な第1膜60とほぼ平滑な第2膜70で形成される。そのため、高周波信号が伝送される時、伝送損失が小さい。高品質のプリント配線板2が提供される。
【0066】
実施形態のプリント配線板2では樹脂絶縁層20の第1面22は凹部をほとんど有していない。樹脂絶縁層20の第1面22近傍部分の比誘電率の標準偏差が大きくなることが抑制される。第1面22の比誘電率は場所によって大きく変わらない。第1信号配線32と第2信号配線34が第1面22に接していても、実施形態は第1信号配線32と第2信号配線34間の電気信号の伝搬速度の差を小さくすることができる。そのため、実施形態のプリント配線板2ではノイズが抑制される。実施形態のプリント配線板2にロジックICが実装されても、第1信号配線32で伝達されるデータと第2信号配線で伝達されるデータがロジックICにほぼ遅延なく到達する。実施形態はロジックICの誤動作を抑制することができる。第1信号配線32の長さと第2信号配線34の長さが5mm以上であっても、実施形態は両者の伝搬速度の差を小さくすることができる。第1信号配線32の長さと第2信号配線34の長さが10mm以上、20mm以下であっても、実施形態はロジックICの誤動作を抑制することができる。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。プリント配線板2の各辺の長さは50mm以上である。各辺の長さは100mm以上であることが好ましい。各辺の長さは250mm以下である。
【0067】
[実施形態の別例1]
実施形態の別例1では、シード層10a、30aの第1層11a、31aを形成する合金に含まれる特定金属は、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ケイ素、マグネシウムのうちの少なくとも1つである。
【0068】
[実施形態の別例2]
実施形態の別例2では、シード層10a、30aの第1層11a、31aを形成する合金は炭素を含有していない。
【0069】
[実施形態の別例3]
実施形態の別例3では、シード層10a、30aの第1層11a、31aを形成する合金は酸素を含有していない。
【0070】
本明細書内では、平面は内壁面27の形状と平坦部93aの形状、第3無機粒子の形状に対し用いられている。これらに対し用いられている平面の意味は図1図4Aに示されている。すなわち、図1図4Aでは、内壁面27はほぼまっすぐに描かれている。図1図4A中の内壁面27の形状はほぼ直線である。本明細中の平面は、断面中に実質的な直線を含む。図1図4Aの第3無機粒子93の断面に示されるように、断面では、平面で切断することは直線で切断することを含む。本明細書内の平面は完全な平面を意味せず実質的な平面を含む。実質的な平面は小さな凹凸を含んでもよい。
【符号の説明】
【0071】
2 :プリント配線板
4 :絶縁層
10 :第1導体層
20 :樹脂絶縁層
22 :第1面
24 :第2面
26 :開口
27 :内壁面
30 :第2導体層
30a :シード層
31a :第1層
31b :第2層
40 :ビア導体
80 :樹脂
90 :無機粒子
91 :第1無機粒子
91a :第1部分
91b :第2部分
92 :第2無機粒子
93 :第3無機粒子
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I