(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021522
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20250206BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20250206BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20250206BHJP
H05K 3/16 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
H05K3/46 T
H05K1/11 N
H05K3/40 K
H05K3/46 B
H05K3/46 N
H05K3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125272
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】桑原 雅
(72)【発明者】
【氏名】籠橋 進
(72)【発明者】
【氏名】酒井 純
(72)【発明者】
【氏名】吉川 恭平
(72)【発明者】
【氏名】伊西 拓弥
【テーマコード(参考)】
5E316
5E317
5E343
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA04
5E316AA12
5E316AA32
5E316AA43
5E316BB02
5E316CC09
5E316CC18
5E316CC32
5E316CC34
5E316CC37
5E316DD17
5E316DD24
5E316DD47
5E316EE31
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5E316GG15
5E316GG17
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5E316HH40
5E317AA24
5E317BB02
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5E343AA17
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5E343BB24
5E343BB28
5E343BB44
5E343DD25
5E343DD43
5E343GG20
(57)【要約】
【課題】高い品質を有する配線基板の提供。
【解決手段】実施形態の配線基板は、ガラス製の基板と基板を貫通する貫通孔と貫通孔内に形成されているスルーホール導体とを有するコア基板と、コア基板上に形成されていて、第1面と第2面とビア導体用の開口を有する樹脂絶縁層と、樹脂絶縁層の第1面上に形成されている第1導体層と、開口内に形成されていて、スルーホール導体と電気的に繋がっているビア導体、とを有する。第1導体層とビア導体は、シード層と電解めっき層によって形成されており、シード層はスパッタリングによって形成されている。樹脂絶縁層は樹脂と無機粒子によって形成されており、無機粒子は樹脂に部分的に埋まっている第1無機粒子と樹脂に埋まっている第2無機粒子を含み、第1無機粒子は樹脂から突出する第1部分と樹脂に埋まっている第2部分で形成され、第1面は樹脂の上面と上面から露出する第1部分の露出面で形成されている。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製の基板と前記基板を貫通する貫通孔と前記貫通孔内に形成されているスルーホール導体とを有するコア基板と、
前記コア基板上に形成されていて、第1面と前記第1面と反対側の第2面と前記第1面から前記第2面に至るビア導体用の開口を有する樹脂絶縁層と、
前記樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第1導体層と、
前記開口内に形成されていて、前記スルーホール導体と電気的に繋がっているビア導体、とを有する配線基板であって、
前記第1導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上に形成される電解めっき層によって形成されており、前記シード層はスパッタリングによって形成されており、
前記樹脂絶縁層は樹脂と無機粒子によって形成されており、前記無機粒子は前記樹脂に部分的に埋まっている第1無機粒子と前記樹脂に埋まっている第2無機粒子を含み、前記第1無機粒子は前記樹脂から突出する第1部分と前記樹脂に埋まっている第2部分で形成され、前記第1面は前記樹脂の上面と前記上面から露出する前記第1部分の露出面で形成されている。
【請求項2】
請求項1の配線基板であって、前記第1部分の体積と前記第1無機粒子の体積との比は0より大きく0.4以下である。
【請求項3】
請求項1の配線基板であって、前記無機粒子はガラス粒子である。
【請求項4】
請求項1の配線基板であって、前記無機粒子は前記開口の内壁面を形成する第3無機粒子をさらに含み、前記内壁面は前記第3無機粒子と前記樹脂によって形成されており、前記第3無機粒子は平坦部を有し、前記平坦部が前記内壁面を形成する。
【請求項5】
請求項4の配線基板であって、前記平坦部と前記内壁面を形成する前記樹脂の面は、ほぼ共通な面を形成する。
【請求項6】
請求項4の配線基板であって、前記第2無機粒子の形は球であり、前記第3無機粒子の形状は前記第2無機粒子を平面で切断することで得られる。
【請求項7】
請求項4の配線基板であって、前記開口を形成することは、前記開口の前記内壁面を形成する前記樹脂から突出する突出部分を有する前記無機粒子を形成することを含み、前記第3無機粒子は前記無機粒子の前記突出部分を除去することで形成される。
【請求項8】
請求項4の配線基板であって、前記開口を形成することは、前記第2無機粒子から突出部分を有する前記無機粒子を形成することを含み、前記開口の前記内壁面は前記突出部分を除去することで形成される前記第3無機粒子の露出面を含む。
【請求項9】
請求項1の配線基板であって、前記無機粒子は酸素元素を含む。
【請求項10】
請求項1の配線基板であって、前記シード層は第1層と前記第1層上に形成される第2層を有しており、前記第1層は銅とアルミニウムを含有する合金からなる。
【請求項11】
請求項10の配線基板であって、前記合金はさらにケイ素を含む。
【請求項12】
請求項1の配線基板であって、前記開口の内壁面を覆う前記シード層は、ほぼ平滑な第1膜とほぼ平滑な第2膜を有しており、前記第1膜と前記第2膜は電気的に繋がっており、前記第1膜の一部が前記第2膜上に形成されている。
【請求項13】
請求項12の配線基板であって、前記第1膜の先端が前記第2膜の後端上に形成されている。
【請求項14】
請求項12の配線基板であって、前記第1膜と前記第2膜は同時に形成されている。
【請求項15】
請求項12の配線基板であって、前記内壁面を覆う前記シード層の断面は略階段状の形状を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1はガラス材質のコアを有する多層基板を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1はガラス材質からなる第1絶縁層の光透過率を制御している。光透過率の制御方法の例として、特許文献1は第1絶縁層内に着色剤が含有されると述べている。ガラス材質からなる第1絶縁層が着色剤を均一に含有することは難しいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、ガラス製の基板と前記基板を貫通する貫通孔と前記貫通孔内に形成されているスルーホール導体とを有するコア基板と、前記コア基板上に形成されていて、第1面と前記第1面と反対側の第2面と前記第1面から前記第2面に至るビア導体用の開口を有する樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第1導体層と、前記開口内に形成されていて、前記スルーホール導体と電気的に繋がっているビア導体、とを有する。前記第1導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上に形成される電解めっき層によって形成されており、前記シード層はスパッタリングによって形成されている。前記樹脂絶縁層は樹脂と無機粒子によって形成されており、前記無機粒子は前記樹脂に部分的に埋まっている第1無機粒子と前記樹脂に埋まっている第2無機粒子を含み、前記第1無機粒子は前記樹脂から突出する第1部分と前記樹脂に埋まっている第2部分で形成され、前記第1面は前記樹脂の上面と前記上面から露出する前記第1部分の露出面で形成されている。
【0006】
本発明の実施形態の配線基板では、コア基板はガラス製の基板を含む。ガラス製の基板は平坦性に優れる。そのため樹脂絶縁層の第1面は平坦性に優れる。第1面は平滑性に優れる。実施形態は樹脂絶縁層の第1面上に微細な配線を形成することができる。実施形態では樹脂絶縁層の第1面に凹部がほぼ形成されない。そのため、樹脂絶縁層上にスパッタリングによってシード層が形成される場合、スパッタリング製膜の厚みが薄くても実施形態は連続するシード層を形成することができる。その結果、シード層が除去される時、実施形態はエッチング量を少なくすることができる。実施形態は樹脂絶縁層上に微細な配線を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施形態の配線基板の一部を模式的に示す拡大断面図。
【
図3A】実施形態の配線基板の一部を模式的に示す拡大断面図。
【
図3C】シード層の一部を模式的に示す拡大断面図。
【
図4】実施形態の配線基板の一部を模式的に示す断面写真。
【
図5A】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図5B】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図5C】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図5D】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図5E】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図5F】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図5G】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図5H】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
【
図5I】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図5J】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
【
図5K】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図5L】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
【
図5M】実施形態の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図6】改変例の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図7】改変例の配線基板の製造方法を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
図1は実施形態の配線基板2を示す断面図である。
図2と
図3Aは実施形態の配線基板2の一部を示す拡大断面図である。
図1に示されるように、配線基板2は、コア基板3と表側ビルドアップ層300Fと裏側ビルドアップ層300Bとを有する。
【0009】
コア基板3は基板4と貫通孔6とスルーホール導体8を有する。基板4は表面5Fと表面5Fと反対側の裏面5Bを有する。基板4はガラス製である。貫通孔6は基板4を貫通する。貫通孔6の形状は略円柱である。貫通孔6の径はほぼ一定である。貫通孔6の形状は略円錐台であってもよい。貫通孔6の形状は2つの略円錐を繋げることで得られる形状でもよい。2つの円錐は表面側の円錐と裏面側の円錐である。表面側の円錐の底面は表面5Fに位置し、裏面側の円錐の底面は裏面5Bに位置する。この場合、貫通孔6の側面は表面5Fから裏面5Bに向かってテーパーしている面と裏面5Bから表面5Fに向かってテーパーしている面で形成される。
【0010】
スルーホール導体8は貫通孔6内に形成されている。スルーホール導体8は主に銅によって形成されている。スルーホール導体8は、貫通孔6の内壁面上に形成されるシード層10aとシード層10a上に形成される電解めっき層10bを含む。電解めっき層10bは貫通孔6を充填する。シード層10aは無電解めっきによって形成される。スルーホール導体8は上端8Fと下端8Bを有する。上端8Fの面と表面5Fは実質的に同一な平面を形成する。下端8Bの面と裏面5Bは実質的に同一な平面を形成する。上端8Fは表面5Fから露出する。下端8Bは裏面5Bから露出する。
【0011】
表側ビルドアップ層300Fは基板4の表面5F上に形成されている。表側ビルドアップ層300Fは、表側の樹脂絶縁層と表側の導体層と表側の樹脂絶縁層を貫通する表側のビア導体を有する。表側の導体層と表側のビア導体はスルーホール導体8に電気的に繋がっている。表側の樹脂絶縁層と表側の導体層は交互に積層されている。
図1中の表側の樹脂絶縁層は、第1樹脂絶縁層20Fと第2樹脂絶縁層120Fである。表側の導体層は第1導体層30Fと第2導体層130Fである。表側のビア導体は第1ビア導体40Fと第2ビア導体140Fである。
【0012】
第1樹脂絶縁層20Fは第1面22Fと第1面22Fと反対側の第2面24Fを有する。第2面24Fと表面5Fが対向するように、第1樹脂絶縁層20Fは基板4の表面5F上に形成されている。
図1の例では、第2面24Fは表面5Fに接している。第2面24Fは上端8Fの一部と接している。表面5Fと第2面24Fとの間に導体回路は存在しない。表面5F上に導体回路は形成されていない。第1樹脂絶縁層20Fはスルーホール導体8の上端8Fに至る第1開口26Fを有する。第1開口26Fは第1面22F上の開口(トップ開口)と第2面24F上の開口(ボトム開口)を有する。トップ開口とボトム開口の形状はほぼ円である。ボトム開口は上端8Fと表面5Fを同時に露出することができる。この場合、上端8Fの周りの表面5Fが露出される。ボトム開口は上端8Fの一部とその一部の周りの表面5Fを露出しても良い(第1例)。ボトム開口は上端8Fの全てと上端8Fの周りの表面5Fを露出しても良い(第2例)。
図1に示されるように、ボトム開口は上端8Fのみを露出することができる(第3例)。第1例と第2例と第3例の内、2つの例が混在しても良い。第1例と第2例と第3例の全てが混在しても良い。第1例と第3例が混在することが好ましい。この場合、いくつかのスルーホール導体8の上端8Fは第1例の開口で露出され、残りのスルーホール導体8の上端8Fは第3例の開口で露出される。第1樹脂絶縁層20Fは樹脂80と樹脂80内に分散されている多数の無機粒子90で形成されている。樹脂80はエポキシ系樹脂である。樹脂の例は熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂である。無機粒子90はガラス粒子である。無機粒子90はアルミナであってもよい。第1樹脂絶縁層20F中の無機粒子90の含有量は75wt%以上である。
【0013】
図1と
図2に示されるように、無機粒子90は樹脂80に部分的に埋まっている第1無機粒子91と樹脂80内に埋まっている第2無機粒子92を含む。第2無機粒子は樹脂80内に完全に埋まっている。第1無機粒子91と第2無機粒子92の形は球である。
図2に示されるように、第1無機粒子91は樹脂80から突出する第1部分91aと樹脂80に埋まっている第2部分91bで形成されている。第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fは樹脂80の上面80Rと樹脂80の上面80Rから露出する第1部分91aの露出面91aRで形成されている。
【0014】
第1部分91aの体積と第1無機粒子91の体積との比R(第1部分91aの体積/第1無機粒子91の体積)は0より大きく0.4以下である。比Rは0.2以下であることが好ましい。比Rは0.1以下であることがより好ましい。比Rは0.05以下であることが最も好ましい。樹脂80から第1部分91aが突出すると第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fが僅かな凹凸を有する。しかし樹脂80の上面80Rは荒らされていない。第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fを形成する樹脂80の上面80Rはほぼ平坦である。樹脂80の上面80Rは凹部をほぼ有していない。そのため第1面22Fは凹部をほぼ有していない。第1面22Fの算術平均粗さ(Ra)は0.08μm未満である。第1面22Fの粗さRaは0.05μm以下であることが好ましい。第1面22Fの粗さRaは0.03μm以下であることがより好ましい。第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fを形成する樹脂80の上面80Rの算術平均粗さ(Ra)は0.08μm未満である。樹脂80の上面80Rの粗さRaは0.05μm以下であることが好ましい。樹脂80の上面80Rの粗さRaは0.03μm以下であることがより好ましい。
【0015】
図3Aに示されるように、無機粒子90は、開口(ビア導体用の開口)の内壁面を形成する第3無機粒子93をさらに含む。第3無機粒子93の形状は球を平面で切断することで得られる。第3無機粒子93の形状は第2無機粒子92を平面で切断することで得られる。第3無機粒子93の形状はほぼ球欠である。第3無機粒子93の形状と第2無機粒子92の形状は異なる。第3無機粒子93の形状と第1無機粒子91の形状は異なる。第1無機粒子91の形状と第2無機粒子92の形状は同様である。
【0016】
図4は、第1開口26Fの内壁面27Fの一例を示す断面写真である。
図3Aと
図4に示されるように、第1開口26Fの内壁面27Fは樹脂80と第3無機粒子93で形成されている。第3無機粒子93は平坦部93aを有する。平坦部93aは内壁面27Fを形成する。内壁面27Fは樹脂80と平坦部93aで形成されている。平坦部93aと内壁面27Fを形成する樹脂80の面は、ほぼ共通な面を形成する。内壁面27Fを形成する樹脂80上に凹凸が形成されない。内壁面27Fを形成する樹脂80の面は平滑である。平坦部93aの露出面(内壁面27Fを形成する面)93b上に凹凸が形成されない。平坦部93aの露出面93bは平滑である。内壁面27Fは平滑に形成される。内壁面27Fの算術平均粗さ(Ra)は1.0μm以下である。
図4に示されるように、樹脂80の面80aと第3無機粒子93の平坦部93aの境界部に段差28が形成されている。段差28の量は3.0μm以下であることが好ましい。段差28の量は1.5μm以下であることがより好ましい。段差28の量は0.5μm以下であることがさらに好ましい。例えば、露出面93bと樹脂80の面(内壁面27Fを形成する面)80aとの間の距離が段差28の量を示す。露出面93bは樹脂80の面80aに対し出っ張っている。あるいは、露出面93bは樹脂80の面80aに対し凹んでいる。出っ張っていることが好ましい。
【0017】
第3無機粒子93の平坦部93aは第3無機粒子93の周りに形成されている樹脂80の面(内壁面27Fを形成する面)80aを延長することで得られる面とほぼ一致する。
図1と
図3A中に実質的な直線で描かれている平坦部93aは平面を意味している。
図1と
図3Aに示される断面において平坦部93aは平面である。平坦部93aは完全な平面でなくてもよい。平坦部93aは実質的な平面であってほぼ平滑な面である。
【0018】
図3Bは
図3A中の内壁面27Fの一部を示す拡大断面図である。
図3Bに示されるように、内壁面27Fを形成する2つの第3無機粒子93の平坦部93aを結ぶ基準面200に対し、その間に位置する樹脂80の面80aは凹んでいても出っ張っていてもよい(破線部参照)。基準面200を形成するための2つの第3無機粒子93間に他の第3無機粒子93がないことが好ましい。基準面200と樹脂80の面80aとの間の距離が段差28の量の代表値として用いられても良い。
【0019】
図3Aに示されるように、第1開口26Fの内壁面27Fは傾斜している。基板4の表面5Fと内壁面27Fとの間の角度(傾斜角度)θ1は70°以上85°以下である。第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fと内壁面27Fとの間の角度(傾斜角度)θ2は95°以上110°以下である。
【0020】
図1と
図3Aに示される断面では、第1開口26Fの形状は略逆台形に示されている。しかしながら、実際の第1開口26Fの形状は略逆円錐台形状である。そのため実際の第1開口26Fの内壁面(側壁)27Fは略曲面である。すなわち、平坦部93aと樹脂80で形成される共通な面は略曲面で形成される内壁面(側壁)27Fを含む。
【0021】
図1に示されるように、第1導体層30Fは第1樹脂絶縁層20Fの第1面22F上に形成されている。第1導体層30Fは第1信号配線32Fと第2信号配線34Fとランド36Fとを含む。図に示されていないが、第1導体層30Fは第1信号配線32Fと第2信号配線34Fとランド36F以外の導体回路も含んでいる。第1信号配線32Fと第2信号配線34Fはペア配線を形成している。第1導体層30Fは主に銅によって形成される。第1導体層30Fは、シード層30Faとシード層30Fa上の電解めっき層30Fbで形成されている。シード層30Faはスパッタリングによって形成されている。シード層30Faは第1面22F上の第1層31Faと第1層31Fa上の第2層31Fbで形成されている。第1層31Faは第1面22Fに接している。第2層31Fbは必須ではない。第1層31Faと第2層31Fbはスパッタリングで形成される。両者はスパッタリング製膜である。
【0022】
第1層31Faは銅とアルミニウムを含有する合金からなる。第1層31Faは、さらに、特定金属を有しても良い。特定金属の例は、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ケイ素、マグネシウムである。合金は1種類の特定金属、または、2種類の特定金属、または、3種類の特定金属を含むことが好ましい。合金中のアルミニウムの含有量は1.0at%以上15.0at%以下である。特定金属の例はケイ素である。合金中の特定金属の含有量は0.5at%以上10.0at%以下である。第1層31Faは不純物を含んでも良い。不純物の例は酸素と炭素である。第1層31Faは酸素、または、炭素を含むことができる。第1層31Faは酸素と炭素を含むことができる。実施形態では、合金はさらに炭素を含有している。合金中の炭素の含有量は50ppm以下である。合金はさらに酸素を含有している。合金中の酸素の含有量は100ppm以下である。上記各元素の含有量の値は一例である。第1層31Faを形成する元素の中で銅の量が最も大きい。次いで、アルミニウムの量が大きい。特定金属の量はアルミニウムの量より小さい。従って、銅は主の金属であり、アルミニウムは第1の副の金属であり、特定金属は第2の副の金属である。不純物の量は特定金属の量より小さい。第1層31Faは銅合金である。
【0023】
第2層31Fbは銅で形成されている。第2層31Fbを形成している銅の含有量は99.9at%以上である。第2層31Fb中の銅の含有量は99.95at%以上であることが好ましい。シード層30Faは銅合金である。電解めっき層30Fbは銅で形成されている。電解めっき層30Fbを形成している銅の含有量は99.9at%以上である。電解めっき層30Fb中の銅の含有量は99.95at%以上であることが好ましい。
【0024】
第1樹脂絶縁層20Fはガラス製の基板4上に形成される。ガラスは平坦性に優れるので、第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fも平坦性に優れる。表面5Fと第1樹脂絶縁層20F間に導体回路が形成されないと、第1面22Fが表面5Fに追従することができる。第1面22Fは表面5Fと同等な平坦性を有することができる。実施形態は第1面22F上に微細な配線を形成することができる。例えば、第1導体層30Fは1.5μm以上、3.5μm以下の幅を有する配線を有することができる。隣接する配線間のスペースの幅は1.5μm以上、3.5μm以下である。
【0025】
第1ビア導体40Fは第1開口26F内に形成されている。第1ビア導体40Fはスルーホール導体8と第1導体層30Fを電気的に接続する。第1ビア導体40Fはスルーホール導体8と第1ビア導体40Fのランド36Fを電気的に接続する。第1ビア導体40Fはシード層30Faとシード層30Fa上の電解めっき層30Fbで形成されている。第1ビア導体40Fを形成するシード層30Faと第1導体層30Fを形成するシード層30Faは共通である。第1ビア導体40Fを形成する電解めっき層30Fbと第1導体層30Fを形成する電解めっき層30Fbは共通である。第1ビア導体40Fを形成するシード層30Faは、第1開口26Fの内壁面27F上と第1開口26Fから露出するスルーホール導体8の上端8F上に形成されている第1層31Faと第1層31Fa上の第2層31Fbで形成されている。第1ビア導体40Fを形成する第1層31Faと第1導体層30Fを形成する第1層31Faは共通である。第1ビア導体40Fを形成する第2層31Fbと第1導体層30Fを形成する第2層31Fbは共通である。
図1では第1ビア導体40Fは上端8Fに繋がっている。第1層31Faはスルーホール導体8の上端8Fと内壁面27Fに接している。第1ビア導体40Fは上端8Fの直上に形成されている。
【0026】
図3Cは
図3Aの内壁面27F上のシード層30Faの一部を模式的に示す拡大断面図である。
図4はシード層30Faの一例を示す。内壁面27F上のシード層30Faは内壁面27Fに接している。
図3Aと
図3Cと
図4に示されるように、第1ビア導体40Fを形成するシード層30Faは、ほぼ平滑な第1膜60とほぼ平滑な第2膜70を有している。第1膜60と第2膜70は電気的に繋がっている。第1膜60と第2膜70は連続している。
図4に示されるように、第1膜60の一部が第2膜70上に形成されている。第1膜60の先端62が第2膜70の後端72上に形成されている。第1膜60と第2膜70は同時に形成されている。内壁面27Fを覆うシード層30Faの断面は略階段状の形状を有する。
【0027】
図3Cに示されるように、シード層30Faの第1層31Faは第1膜60aと第2膜70aを有している。第1膜60aと第2膜70aは電気的に繋がっている。第1膜60aと第2膜70aは連続している。第1膜60aの先端62aが第2膜70aの後端72a上に形成されている。内壁面27Fを覆う第1層31Faの断面は略階段状の形状を有する。内壁面27F上の第1層31Faは内壁面27Fに接している。
【0028】
シード層30Faの第2層31Fbは第1膜60bと第2膜70bを有している。第1膜60bと第2膜70bは電気的に繋がっている。第1膜60bと第2膜70bは連続している。第1膜60bの先端62bが第2膜70bの後端72b上に形成されている。内壁面27F上に形成されている第2層31Fbの断面は略階段状の形状を有する。
【0029】
実施形態では、第1膜60の一部が第2膜70上に積層される。第1膜60の一部が第2膜70上に重なっている。第1膜60の先端62が第2膜70の後端72上に積層される。第1膜60の先端62が第2膜70の後端72上に重なっている。
【0030】
実施形態の内壁面27Fはほぼ平滑な面で形成されている。もし、第1層31Faが内壁面27Fの形状に追従すると、内壁面27F上の第1層31Faはほぼ平滑な面を有する。第1層31Faの断面は線状の形状を有する。内壁面27F上のシード層30Faはほぼ平滑な面を有する。シード層30Faの断面は線状の形状を有する。この場合、第1ビア導体40Fを形成する電解めっき層30Fbが平滑な面上に形成される。例えば、配線基板2が大きな衝撃を受けると、内壁面27F上の第1層31Faと第1層31Fa上の第2層31Fb間で剥がれが発生する。あるいは、内壁面27F上のシード層30Faと第1ビア導体40Fを形成する電解めっき層30Fb間で剥がれが発生する。それに対し、実施形態のシード層30Faと第1層31Faの断面は階段状の形状を有する。そのため、剥がれが発生しがたい。
【0031】
ビア導体用の開口が表面5Fを露出する場合、第1層31Faはガラス製の基板4に接する。第1例の開口と第2例の開口は表面5Fを露出する。さらに、第1例の開口と第2例の開口は上端8Fを露出する。第1層31Faがアルミニウムを含み、ガラスが酸素を含むので、第1層31Faと基板4間の接合強度が増すと考えられる。さらに、第1層31Faがケイ素を含むと、第1層31Faと基板4は同じ元素(ケイ素)を含む。さらに、第1層31Faと基板4間の接合強度が増すと考えられる。ビア導体を形成するシード層の一部がガラス製の基板4に接すると、配線基板2が熱衝撃を受けてもビア導体がスルーホール導体8から剥がれ難い。上端8Fに接しているビア導体は表面5Fに接することが好ましい。その場合、そのようなビア導体を形成するシード層(例えば、第1層31Fa)は上端8Fと表面5Fの両方に接する。同様に、下端8Bに接しているビア導体は裏面5Bに接することが好ましい。その場合、そのようなビア導体を形成するシード層(例えば、第1層)は下端8Bと裏面5Bの両方に接する。表面5Fと第2面24Fの間に第1樹脂絶縁層20Fなどの樹脂絶縁層と基板4を接着するための接着層が配置される場合、接着層は樹脂絶縁層の一部であってもよい。接着層は樹脂絶縁層に含まれる。接着層は有機製接着層と無機製接着層を含む。接着層は絶縁材料で形成される。
【0032】
第2樹脂絶縁層120Fは第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fと第1導体層30F上に形成されている。第2樹脂絶縁層120Fと第1樹脂絶縁層20Fとの間に第1導体層30Fが形成されている。第2樹脂絶縁層120Fは第1面122Fと第1面122Fと反対側の第2面124Fを有する。第2樹脂絶縁層120Fの第2面124Fは第1導体層30Fと対向する。第2樹脂絶縁層120Fは第1樹脂絶縁層20Fと同様に樹脂80と無機粒子(第1無機粒子91、第2無機粒子92、第3無機粒子93)90で形成されている。従って、第2樹脂絶縁層120Fの材質と第1樹脂絶縁層20Fの材質は同様である。第2樹脂絶縁層120Fの第1面122Fと第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fは同様である。第2樹脂絶縁層120Fを形成する第1無機粒子91は第1部分91aと第2部分91bを有し、第1部分91aの露出面91aRは第2樹脂絶縁層120Fの第1面122Fを形成する。第1樹脂絶縁層20F中の第1無機粒子91と第2樹脂絶縁層120F中の第1無機粒子91は同様な比Rを有する。
【0033】
第2樹脂絶縁層120Fは第1導体層30Fを露出する第2開口126Fを有している。第2開口126Fはランド36Fを露出している。第2開口126Fは内壁面127Fを有する。第1開口26Fと第2開口126Fは同様である。従って、第1開口26Fの内壁面27Fと第2開口126Fの内壁面127Fは同様である。
【0034】
第2導体層130Fは第2樹脂絶縁層120Fの第1面122F上に形成されている。第2導体層130Fは第1信号配線132Fと第2信号配線134Fとランド136Fとを含む。図に示されていないが、第2導体層130Fは第1信号配線132Fと第2信号配線134Fとランド136F以外の導体回路も含んでいる。第1信号配線132Fと第2信号配線134Fはペア配線を形成している。第2導体層130Fと第1導体層30Fは同様である。従って、第2導体層130Fは、シード層130Faとシード層130Fa上の電解めっき層130Fbで形成されている。シード層130Faは第1層131Faと第1層131Fa上の第2層131Fbで形成されている。第2導体層130Fを形成する第1層131Faと第1導体層30Fを形成する第1層31Faは同様である。第2導体層130Fを形成する第2層131Fbと第1導体層30Fを形成する第2層31Fbは同様である。第2導体層130Fを形成する電解めっき層130Fbと第1導体層30Fを形成する電解めっき層30Fbは同様である。
【0035】
第2ビア導体140Fは第2開口126F内に形成されている。第2ビア導体140Fは第1導体層30Fと第2導体層130Fを電気的に接続する。
図1では第2ビア導体140Fはランド36Fとランド136Fを電気的に接続する。第2ビア導体140Fと第1ビア導体40Fは同様である。従って、第2ビア導体140Fはシード層130Faとシード層130Fa上の電解めっき層130Fbで形成されている。シード層130Faは第1層131Faと第1層131Fa上の第2層131Fbで形成されている。第2ビア導体140Fを形成する第1層131Faと第1導体層30Fを形成する第1層31Faは同様である。第2ビア導体140Fを形成する第2層131Fbと第1導体層30Fを形成する第2層31Fbは同様である。第2ビア導体140Fを形成する電解めっき層130Fbと第1導体層30Fを形成する電解めっき層30Fbは同様である。第2ビア導体140Fを形成する第1層131Faと第2導体層130Fを形成する第1層131Faは共通である。第2ビア導体140Fを形成する第2層131Fbと第2導体層130Fを形成する第2層131Fbは共通である。第2ビア導体140Fを形成する電解めっき層130Fbと第2導体層130Fを形成する電解めっき層130Fbは共通である。
【0036】
裏側ビルドアップ層300Bは、裏側の樹脂絶縁層と裏側の導体層と裏側の樹脂絶縁層を貫通する裏側のビア導体を有する。裏側の樹脂絶縁層と裏側の導体層は交互に積層されている。裏側の導体層と裏側のビア導体はスルーホール導体8に電気的に繋がっている。
図1中の裏側の樹脂絶縁層は、第1面22Bと第2面24Bを有する第1樹脂絶縁層20Bと第1面122Bと第2面124Bを有する第2樹脂絶縁層120Bである。裏側の導体層は第1導体層30Bと第2導体層130Bである。第1導体層30Bと第2導体層130Bは第1信号配線32B、132Bと第2信号配線34B、134Bを含む。裏側のビア導体は第1ビア導体40Bと第2ビア導体140Bである。
【0037】
表側ビルドアップ層300Fと裏側ビルドアップ層300Bは同様である。従って、表側ビルドアップ層300Fを形成する表側の樹脂絶縁層と裏側ビルドアップ層300Bを形成する裏側の樹脂絶縁層は同様である。各裏側の樹脂絶縁層は樹脂80と無機粒子90で形成される。各裏側の樹脂絶縁層は第1無機粒子91と第2無機粒子92と第3無機粒子93を含む。各樹脂絶縁層の第1面は樹脂80の上面80Rと樹脂80の上面80Rから露出する第1部分91aの露出面91aRで形成されている。表側の導体層と裏側の導体層は同様である。表側のビア導体用の開口と裏側のビア導体用の開口は同様である。各ビア導体用の開口の内壁面は樹脂80の面(露出面)80aと無機粒子の露出面93bで形成されている。樹脂80の面80aと無機粒子の露出面93bはほぼ共通な面を形成する。表側のビア導体と裏側のビア導体は同様である。
【0038】
配線基板2の各辺の長さは50mm以上である。各辺の長さは100mm以上であることが好ましい。各辺の長さは250mm以下である。実施形態によって形成される信号配線の長さは5mm以上である。信号配線の長さは10mm以上、20mm以下であってもよい。
【0039】
[実施形態の配線基板2の製造方法]
図5A~
図5Mは実施形態の配線基板2の製造方法を示す。
図5A~
図5G、
図5I、
図5K、
図5Mは断面図である。
図5H、
図5J、
図5Lは拡大断面図である。
図5Aはガラス製の基板4を示す。基板4は表面5Fと裏面5Bを有する。
図5Bに示されるように、表面5Fから裏面5Bに至る貫通孔6が形成される。貫通孔6は基板4を貫通する。基板4の表面5F側からレーザ光が照射される。その後、基板4はフッ酸に浸漬される。貫通孔6が形成される。
【0040】
図5Cに示されるようにシード層10aが形成される。シード層10aは無電解めっきによって形成される。シード層10aは貫通孔6の内壁面上と表面5F上と裏面5B上に形成される。
【0041】
図5Dに示されるように電解めっき層10bが形成される。電解めっき層10bはシード層10a上に形成される。電解めっき層10bは貫通孔6内を充填する。
【0042】
図5Eに示されるように、表面5F上の電解めっき層10bとシード層10aが研磨で除去される。裏面5B上の電解めっき層10bとシード層10aが研磨で除去される。基板4の表面5Fと裏面5Bが露出する。貫通孔6の内壁面上のシード層10aとシード層10a上の電解めっき層10bによってスルーホール導体8が形成される。スルーホール導体8の上端8Fは表面5Fから露出する。スルーホール導体8の下端8Bは裏面5Bから露出する。上端8Fを形成する面と表面5Fは同一平面を形成する。下端8Bを形成する面と裏面5Bは同一平面を形成する。コア基板3が形成される。コア基板3は表面5F上に導体回路を有していない。コア基板3は裏面5B上に導体回路を有していない。
【0043】
コア基板3上に表側ビルドアップ層300Fと裏側ビルドアップ層300Bは同様な方法で形成される。表側ビルドアップ層300Fの形成方法が以下に示される。図には裏側ビルドアップ層300Bも描かれている。
【0044】
図5Fに示されるように、基板4の表面5Fと上端8F上に第1樹脂絶縁層20Fと保護膜50Fが形成される。第1樹脂絶縁層20Fの第2面24Fが基板4の表面5Fと対向している。第1樹脂絶縁層20Fの第1面22F上に保護膜50Fが形成されている。第1樹脂絶縁層20Fは樹脂80と無機粒子(第2無機粒子92)90を有する。無機粒子90は樹脂80内に埋まっている。第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fは樹脂80のみで形成されている。第1面22Fから無機粒子90は露出しない。第1面22Fは無機粒子90の表面を含まない。第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fには凹凸が形成されていない。第1樹脂絶縁層20Fは表面5Fと上端8Fで形成される平面上に形成される。そのため、第1面22Fは実質的な平面で形成される。表面5Fと第1面22Fはほぼ平行である。
【0045】
図5Gに示されるように、保護膜50Fの上からレーザ光Lが照射される。レーザ光Lは保護膜50Fと第1樹脂絶縁層20Fを同時に貫通する。スルーホール導体8の上端8Fに至るビア導体用の第1開口26Fが形成される。レーザ光Lは例えばUVレーザ光、CO2レーザ光である。第1開口26Fによりスルーホール導体8の上端8Fが露出する。第1開口26Fが形成される時、第1面22Fは保護膜50Fで覆われている。第1開口26Fが形成される時、樹脂が飛散しても、第1面22Fに樹脂が付着することが抑制される。
【0046】
第1面22Fが平坦性に優れる。レーザ光Lが第1面22Fに照射されるとき、レーザ光Lが乱反射しがたい。各第1開口26Fが形成される時、レーザ光Lの焦点の位置が一致しやすい。実施形態は小さな径を有するビア導体用の開口を形成することができる。各ビア導体用の開口の径がほぼ等しい。例えば、実施形態は、15μm以上、35μm以下の径を有するビア導体用の開口を形成することができる。径の大きさは第1面22F上で測定される。
【0047】
図5Hは、レーザ光照射後の第1開口26Fの内壁面27Fbを示す。内壁面27Fbは樹脂80と樹脂80から突出している無機粒子90で形成されている。内壁面の形状を制御するため、レーザ光照射後の内壁面27Fbは処理される。樹脂80から突出している無機粒子90を選択的に除去することが好ましい。これにより、無機粒子90から第3無機粒子93が形成される。例えば、レーザ光照射後の内壁面27Fbを薬品で処理することで、樹脂80から突出している無機粒子90が選択的に除去される。あるいは、レーザ光照射後の内壁面27Fbをプラズマで処理することで、樹脂80から突出している無機粒子90が選択的に除去される。選択的に除去することは、無機粒子90のエッチング速度が樹脂80のエッチング速度より大きいことを含む。例えば、両者のエッチング速度差は10倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は50倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は100倍以上である。レーザ光照射後の内壁面27Fbを処理することで、平坦部93aを有する第3無機粒子93が得られる。レーザ光照射後の内壁面27Fbを処理するための条件を制御することで、実施形態は内壁面27Fの形状を制御することができる。条件の例は、温度、濃度、時間、ガスの種類や圧力である。無機粒子90のエッチング速度と樹脂のエッチング速度が制御される。
【0048】
第1樹脂絶縁層20Fにレーザ光Lを照射することで、樹脂80に埋まっている第2無機粒子92の一部がレーザ光照射後の内壁面27Fbを形成する。レーザ光照射後の内壁面27Fbを形成する第2無機粒子92は、樹脂80から突出している突出部分Pと樹脂80に埋まっている部分Eで形成される。突出部分Pを有する無機粒子は突出粒子と称される。例えば、突出粒子に関しては突出部分Pが全く除去されていない。レーザ光照射後の内壁面27Fbが処理される。例えば、四フッ化メタンを含むガスのプラズマで内壁面27Fbが処理される。突出部分Pが選択的に除去され、実施形態の内壁面27Fが形成される。第2無機粒子92から第3無機粒子93が形成される。突出部分Pを選択的に除去することで、平坦部93aを有する第3無機粒子93が形成される。平坦部93aは平面である。球の形を持つ第2無機粒子92が平面で切断されると、第3無機粒子93の形状が得られる。第3無機粒子93の形状は実質的に球欠である。内壁面27Fは平坦部93aと樹脂80の面80aで形成され、平坦部93aの露出面93bと樹脂80の面80aはほぼ同一平面上に位置する。
図4に示されるように、内壁面27Fを形成する樹脂80の面80aと第3無機粒子93の平坦部93aの境界部に段差28が形成される。例えば、スパッタリングで内壁面27Fb上にシード層30Faが形成されると、突出部分Pはスパッタ膜(スパッタリング製膜)の成長を阻害する。例えば、内壁面27Fb上に連続しているシード層30Faが形成されない。あるいは、シード層30Faの厚みを厚くすることが必要である。プリント配線板が突出粒子を含むと、微細な導体回路を形成することは難しいと考えられる。実施形態では、突出部分Pが除去される。実施形態はスパッタリングで形成されるシード層30Faの厚みを薄くすることができる。スパッタリングで形成されるシード層30Faの厚みが薄くても、連続しているシード層30Faが得られる。段差28が存在するとき、樹脂の面80aは平坦部93aの露出面93bから凹んでいることが好ましい。樹脂の面80aは平坦部93aの露出面93bから出っ張っていても良い。レーザ光照射後の内壁面27Fbを処理するための条件を制御することで、凹凸の大きさや段差28の大きさが制御される。
【0049】
第1開口26Fを形成することは、突出部分Pを有する無機粒子(第2無機粒子92)90を形成することを含む。突出部分Pは第1開口26Fの内壁面27Fbを形成する樹脂80から突出している。第3無機粒子93は無機粒子(第2無機粒子92)90の突出部分Pを除去することで形成される。第1開口26Fの内壁面27Fは第3無機粒子93の露出面93bを含む。第3無機粒子93の露出面93bは突出部分Pを除去することで形成される。
【0050】
球の形を持つ第2無機粒子92を平面で切断することで第3無機粒子93の形状を得ることは、無機粒子90の突出部分Pを除去することを含む。実際の第1開口26Fの内壁面27Fは略曲面である。突出部分Pを除去することで平坦部93aが形成されるので、平坦部93aの露出面93bは曲面を含む。すなわち、平坦部93aと樹脂80で共通な面を形成することは実質的な曲面で形成される内壁面27Fを形成することを含む。
【0051】
第1開口26F内が洗浄される。第1開口26F内を洗浄することにより、第1開口26F形成時に発生する樹脂残渣が除去される。第1開口26F内の洗浄はプラズマによって行われる。即ち洗浄はドライプロセスで行われる。洗浄はデスミア処理を含む。
【0052】
第1開口26F内が洗浄される時、第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fは保護膜50Fで覆われている。第1面22Fはプラズマの影響を受けない。第1面22Fは樹脂80のみで形成されている。第1面22Fから無機粒子90は露出しない。第1面22Fは無機粒子90の表面を含まない。第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fは凹凸を有さない。第1面22Fは平滑に形成されている。
【0053】
レーザ光照射後の内壁面27Fbを処理することが第1開口26F内を洗浄することを含む場合、実施形態は第1開口26F内を洗浄することを削除することができる。
【0054】
図5Iに示されるように、第1開口26F内を洗浄することの後に、第1樹脂絶縁層20Fから保護膜50Fが除去される。レーザ光照射後の内壁面27Fbを処理することが第1開口26F内を洗浄することを含む場合、レーザ光照射後の内壁面27Fbを処理することの後に、第1樹脂絶縁層20Fから保護膜50Fが除去される。レーザ光照射後の内壁面27Fbが処理される時、保護膜50Fは第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fを覆っている。保護膜50F除去後、第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fを荒らすことは行われない。
【0055】
保護膜50Fの除去後、第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fが洗浄される。第1面22Fを形成する樹脂80がドライプロセスで除去される。例えば、逆スパッタリングで第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fが洗浄される。例えば、第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fを洗浄することはアルゴンガスを用いるスパッタリング(アルゴンスパッタリング)によって行われる。
図5J(a)(b)は洗浄前後の第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fを模式的に示す。
図5J(a)(b)に示されるように、スパッタリング等による洗浄によって第1樹脂絶縁層20Fを形成する樹脂80が20nm程度除去される。例えば、保護膜50Fを第1樹脂絶縁層20Fに接着するための接着材が除去される。洗浄によって樹脂80が選択的に除去される。樹脂80の厚みが薄くなる。無機粒子(第2無機粒子92)90の一部は、洗浄によって部分的に樹脂80の上面から露出する。樹脂80に埋まっている第2無機粒子92を樹脂80の上面から露出することで、第1無機粒子91が得られる。第1無機粒子91は第2無機粒子92から形成される。第1無機粒子91の形と第2無機粒子92の形は同じである。両者の形は球である。
図5J(b)に示されるように、第1無機粒子91は樹脂80から突出する第1部分91aと樹脂80に埋まっている第2部分91bで形成されている。第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fは樹脂80の上面80Rと樹脂80の上面80Rから突出している第1部分91aの露出面91aRで形成されている。洗浄によって第1部分91aの露出面91aRが露出する。第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fは荒らされていない。そのため第1面22Fには凹部がほぼ形成されない。第1面22Fは凹部をほぼ有していない。樹脂80の上面80Rはほぼ平坦である。樹脂80の上面80Rは凹部を有していない。
【0056】
比Rは、例えば、
図5J(b)に示される第1無機粒子91の断面図を用いて算出される。
図5J(b)は上面80Rに垂直な面で第1樹脂絶縁層20Fを切断することで得られる。
図5J(b)には、第1導体層30Fが省略されている。
図5J(b)中の第1無機粒子91上に第1導体層30Fが形成されている。
図5J(b)中の露出面91aRは第1導体層30Fで覆われている。
図5J(b)を用いて、第1部分91aの断面積91aSが求められる。同様に、第1無機粒子91の断面積91Sが求められる。例えば、比Rは断面積91aSと断面積91Sの比(第1部分91aの断面積91aS/第1無機粒子91の断面積91S)で代表される。例えば、比Rが評価される時、50個の第1無機粒子91が観察される。50個の第1無機粒子91が比Rを満足する。
【0057】
図5Kに示されるように、第1樹脂絶縁層20Fの第1面22F上にシード層30Faが形成される。シード層30Faはスパッタリングによって形成される。シード層30Faの形成はドライプロセスで行われる。シード層30Faは第1開口26Fから露出するスルーホール導体8の上端8Fと第1開口26Fの内壁面27Fにも形成される。シード層30Faは主に銅で形成される。第1層31Faが第1面22F上にスパッタリングで形成される。第1開口26Fから露出する内壁面27Fとスルーホール導体8の上端8F上に第1層31Faがスパッタリングで形成される。第2層31Fbが第1層31Fa上にスパッタリングで形成される。第1層31Faは銅とアルミニウムと特定金属(例えば、ケイ素)を含有する合金で形成される。第2層31Fbは銅で形成される。
【0058】
図5Lに示されるように、内壁面27F上に形成される第1層31Faは、第1膜60aと第2膜70aを有する。第1膜60aと第2膜70aは同時に形成されている。第1膜60aと第2膜70aは電気的に繋がっている。第1膜60aの先端62aが第2膜70aの後端72a上に形成されている。内壁面27F上に形成されている第1層31Faの断面は略階段状の形状を有する。スパッタリングの条件の例が次に示される。ターゲットと第1樹脂絶縁層20Fの第1面22F間の距離が50mm以上250mm以下である。電圧が15eV以上50eV以下である。ガス濃度が0.1Pa以上1.0Pa以下である。
【0059】
内壁面27Fを覆う第1層31Fa上に形成される第2層31Fbは、第1膜60bと第2膜70bを有する。第1膜60bと第2膜70bは同時に形成されている。第1膜60bと第2膜70bは電気的に繋がっている。第1膜60bの先端62bが第2膜70bの後端72b上に形成されている。内壁面27F上に形成されている第2層31Fbの断面は略階段状の形状を有する。スパッタリングの各条件は上記とほぼ同様である。
【0060】
実施形態の内壁面27Fは樹脂80の面80aと第3無機粒子93の露出面93bで形成されている。両者はほぼ共通な面を形成する。樹脂の面80aと露出面93bは異なる材料で形成される。そして、第1層31Faはスパッタリングで形成される。樹脂80の面80a上に形成される第1層31Faの成長と露出面93b上に形成される第1層31Faの成長が異なると考えられる。樹脂80の面80a上に形成されるシード層30Faの成長と露出面93b上に形成されるシード層30Faの成長が異なると考えられる。そのため、実施形態では、第1膜60aと第2膜70aが形成されると考えられる。第1膜60aの先端62aが第2膜70aの後端72a上に形成されると考えられる。第1層31Faの断面は略階段状の形状を有すると考えられる。第2層31Fbは第1層31Faに追従すると考えられる。従って、第2層31Fbは第1膜60bと第2膜70bを有すると考えられる。第2層31Fbの第1膜60bの先端62bが第2層31Fbの第2膜70bの後端72b上に形成されると考えられる。第2層31Fbの断面は略階段状の形状を有すると考えられる。同様に、シード層30Faは第1膜60と第2膜70を有すると考えられる。シード層30Faの第1膜60の先端62がシード層30Faの第2膜70の後端72上に形成されると考えられる。シード層30Faの断面は略階段状の形状を有すると考えられる。
【0061】
内壁面27Fが
図4に示される段差28を有すると、スパッタリングを用いて第1膜60aと第2膜70aを有する第1層31Faが容易に形成される。実施形態は第1膜60と第2膜70を有するシード層30Faを容易に形成することができる。実施形態は第1膜60aの先端62aを第2膜70aの後端72a上に形成することができる。実施形態は第1膜60の先端62を第2膜70の後端72上に形成することができる。実施形態は実質的に階段状の形状を有する第1層31Faを容易に形成することができる。実施形態は実質的に階段状の形状を有するシード層30Faを容易に形成することができる。
【0062】
内壁面27F上の第1層31Faはほぼ平滑な内壁面27F上に形成される。そのため、実施形態は第1層31Faの第1膜60aの表面と第1層31Faの第2膜70aの表面をほぼ平滑に形成することができる。同様に、第2層31Fbの第1膜60bの表面と第2層31Fbの第2膜70bの表面をほぼ平滑に形成することができる。シード層30Faの第1膜60の表面とシード層30Faの第2膜70の表面をほぼ平滑に形成することができる。表面が平滑なので、実施形態は伝送損失を小さくすることができる。
【0063】
シード層30Faの第1層31Faは銅とアルミニウムを含有する合金によって形成されている。アルミニウムは高い延性と高い展性を有する。そのため、第1樹脂絶縁層20Fと第1層31Fa間の密着力が高い。ヒートサイクルにより第1樹脂絶縁層20Fが伸縮したとしても、アルミニウムを含むシード層30Faがその伸縮に追従することができると考えられる。第1面22Fが平滑であっても、シード層30Faは第1樹脂絶縁層20Fから剥がれ難い。アルミニウムは酸化しやすいと考えられる。第3無機粒子93が酸素(酸素元素)を含む無機粒子90であると、第1開口26Fの内壁面27F上に形成される第1層31Faは内壁面27Fを形成する無機粒子90内の酸素を介して第3無機粒子93に密着すると考えられる。第1層31Faと内壁面27Fが強く接合される。実施形態は第1開口26Fの内壁面27Fと第1層31Fa間の密着力を高くすることができる。シード層30Faは内壁面27Fから剥がれ難い。内壁面27Fを形成する無機粒子90は酸素元素を含むことが好ましい。第3無機粒子93がガラス粒子であって、第1層31Faが、さらに、ケイ素を含むと、両者が共にケイ素を含む。この場合、第1層31Faが銅とアルミニウムとケイ素を含む合金で形成される。両者はケイ素を介して強く接着されると考えられる。そのため、第1層31Faと第3無機粒子93間の接着力が、さらに、向上すると考えられる。
【0064】
第1面22Fは平坦性に優れる。スパッタリングを用いて第1面22F上にシード層30Faが形成されるとき、ターゲットと第1面22F間の距離がほぼ一定である。実施形態はほぼ均一な厚みを有するシード層30Faを形成することができる。
【0065】
シード層30Faの第1層31Faは第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fを形成する第1無機粒子91の第1部分91aの露出面91aRに接する。第1層31Faがアルミニウムを有し、第1無機粒子91が酸素を有すると、第1層31Faと第1無機粒子91間の接着力が向上すると考えられる。酸素を含む無機粒子(第1無機粒子等)90の例はガラス粒子とアルミナ製粒子である。そのため、第1層31Faが銅とアルミニウムを含む合金で形成されると、第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fが凹部をほぼ有していなくても、第1層31Faが第1樹脂絶縁層20Fから剥がれ難い。第1層31Fa中のアルミニウムの量は1.0at%以上15.0at%以下である。第1無機粒子91を含む無機粒子(第1無機粒子91、第2無機粒子92、第3無機粒子93)がガラス粒子であって、第1層31Faが、さらに、ケイ素を含むと、両者が共にケイ素を含む。この場合、第1層31Faが銅とアルミニウムとケイ素を含む合金で形成される。ケイ素の量は0.5at%以上10.0at%以下である。両者はケイ素を介して強く接着されると考えられる。そのため、第1層31Faと第1無機粒子91を含む無機粒子間の接着力が、さらに、向上すると考えられる。実施形態は微細な第1信号配線32Fと第2信号配線34Fを形成することができる。微細な第1信号配線32Fと第2信号配線34Fの幅は1μm以上3μm以下である。微細な第1信号配線32Fと第2信号配線34Fを有する配線基板2が熱衝撃を受けても、第1信号配線32Fと第2信号配線34Fが第1樹脂絶縁層20Fから剥がれ難い。
【0066】
シード層30Fa上にめっきレジストが形成される。めっきレジストは、第1信号配線32Fと第2信号配線34Fとランド36Fを形成するための開口を有する。第1面22Fが凹部を有すると、その凹部に起因する空気がめっきレジストとシード層30Fa間に閉じ込められやすい。しかしながら、実施形態では、第1面22Fは凹部をほとんど有していない。そのため、第1面22F上のシード層30Faはほぼ平坦に形成される。シード層30Faがほぼ凹部を有さない。めっきレジストとシード層30Faの間に空気が残りがたい。めっきレジストとシード層30Fa間の接触面積が大きい。信号配線間の空間を形成するためのめっきレジストの幅が10μm以下であっても、めっきレジストがシード層30Faの上面から剥がれがたい。めっきレジストの幅が3μm以上、8μm以下であっても、実施形態はめっきレジストをシード層30Fa上に形成することができる。めっきレジストの幅が6μm以下であっても、めっきレジストがシード層30Faから剥がれ難い。
【0067】
めっきレジストから露出するシード層30Fa上に電解めっき層30Fbが形成される。電解めっき層30Fbは第1開口26Fを充填する。第1面22F上のシード層30Faと電解めっき層30Fbによって、第1信号配線32Fと第2信号配線34Fとランド36Fが形成される。第1導体層30Fが形成される。第1開口26F内のシード層30Faと電解めっき層30Fbによって、第1ビア導体40Fが形成される。第1ビア導体40Fは、スルーホール導体8とランド36Fを接続する。第1信号配線32Fと第2信号配線34Fはペア配線を形成する。
【0068】
めっきレジストが除去される。電解めっき層30Fbから露出するシード層30Faが除去される。
図5Mに示されるように、第1導体層30Fと第1ビア導体40Fが同時に形成される。
【0069】
第2樹脂絶縁層120Fが第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fと第1導体層30F上に形成される。第2導体層130Fが第2樹脂絶縁層120Fの第1面122F上に形成される。第2ビア導体140Fが第2樹脂絶縁層120Fの第2開口126F内に形成される。第2樹脂絶縁層120Fは第1樹脂絶縁層20Fと同様の手法で形成される。第2導体層130Fは第1導体層30Fと同様の手法で形成される。第2ビア導体140Fは第1ビア導体40Fと同様の手法で形成される。実施形態の配線基板2が得られる。
【0070】
実施形態の配線基板2のコア基板3はガラス製の基板4を含む。ガラス製の基板4は平坦性に優れる。第1樹脂絶縁層20F、20Bの第1面22F、22Bは平坦性と平滑性に優れる。実施形態は第1樹脂絶縁層20F、20Bの第1面22F、22B上に微細な信号配線32F、32B、34F、34Bを形成することができる。第2樹脂絶縁層120F、120Bの第1面122F、122Bも第1樹脂絶縁層20F、20Bの第1面22F、22Bと同様である。そのため、実施形態は第2樹脂絶縁層120F、120Bの第1面122F、122B上に微細な信号配線132F、132B、134F、134Bを形成することができる。実施形態によって形成される信号配線のL/Sは例えば5μm/5μm未満である。信号配線のL/Sは1.5μm/1.5μm以上3.5μm/3.5μm以下であることが好ましい。Lは信号配線の幅を意味し、Sは隣接する信号配線間のスペースの幅を意味する。
【0071】
実施形態ではビア導体用の開口の内壁面上に形成される第1層はスパッタリングによって形成されている。ガラス製の基板4上の樹脂絶縁層は反りがたい。ビア導体用の開口の内壁面を形成する樹脂80と第3無機粒子93間にスパッタリング製膜の成長を阻害する隙間が発生しがたい。開口の内壁面が大きなうねりや大きな凹凸を有しがたい。内壁面上のスパッタリング製膜の厚みが薄くても、実施形態は連続するスパッタリング製膜を形成することができる。
【0072】
ビア導体用の開口(第1開口、第2開口)の内壁面は樹脂80と第3無機粒子93の平坦部93aの露出面93bで形成されている。第1層が形成されるとき、スパッタリング製膜を形成する粒子が第3無機粒子93に付着すると考えられる。スパッタリング製膜を形成する粒子は第3無機粒子93の中に埋まらないと考えられる。実施形態は内壁面上に薄くて連続するシード層を形成することができる。実施形態は第1面と内壁面上に薄くて連続するシード層を形成することができる。シード層が除去される時、エッチング量が少ない。そのため電解めっき層のエッチング量が少ない。信号配線が設計値通りの幅を有する。実施形態は微細な信号配線を形成することができる。高い品質を有する配線基板2が提供される。
【0073】
実施形態の配線基板2では、第1樹脂絶縁層20Fの第1面22Fは樹脂80の上面80Rと樹脂80の上面80Rから露出する第1部分91aの露出面91aRで形成されている。第1面22Fと上面80Rが凹部をほとんど有していない。そのため、第1樹脂絶縁層20F上にスパッタリングによってシード層30Faが形成される場合、スパッタリング製膜の厚みが薄くても実施形態は連続するシード層30Faを形成することができる。シード層30Faは薄く形成される。シード層30Faが除去される時、エッチング量が少ない。そのため、電解めっき層30Fbのエッチング量が少ない。信号配線が設計値通りの幅を有する。微細な配線が形成される。高い品質を有する配線基板2が提供される。
【0074】
実施形態は銅とアルミニウムを含む合金からなる第1層31Faの厚みを薄くすることができる。信号配線中のアルミニウムの含有率は小さく、銅の含有率は大きい。実施形態は低抵抗な信号配線を提供することができる。実施形態は樹脂絶縁層に対し高い密着力を有する信号配線を提供することができる。
【0075】
実施形態の配線基板2では第1樹脂絶縁層20F、20Bの第1面22F、22Bは凹部をほとんど有していない。第1樹脂絶縁層20F、20Bの第1面22F、22B近傍部分の比誘電率の標準偏差が大きくなることが抑制される。第1面22F、22Bの比誘電率は場所によって大きく変わらない。第1信号配線32F、32Bと第2信号配線34F、34Bが第1面22F、22Bに接していても、実施形態は第1信号配線32F、32Bと第2信号配線34F、34B間の電気信号の伝搬速度の差を小さくすることができる。そのため、実施形態の配線基板2ではノイズが抑制される。実施形態の配線基板2にロジックICが実装されても、第1信号配線32F、32Bで伝達されるデータと第2信号配線34F、34Bで伝達されるデータがロジックICにほぼ遅延なく到達する。実施形態はロジックICの誤動作を抑制することができる。第1信号配線32F、32Bの長さと第2信号配線34F、34Bの長さが5mm以上であっても、実施形態は両者の伝搬速度の差を小さくすることができる。第1信号配線32F、32Bの長さと第2信号配線34F、34Bの長さが10mm以上、20mm以下であっても、実施形態はロジックICの誤動作を抑制することができる。第2樹脂絶縁層120F、120Bの第1面122F、122Bも第1樹脂絶縁層20F、20Bの第1面22F、22Bと同様である。そのため第1信号配線132F、132Bと第2信号配線134F、134Bも第1信号配線32F、32Bと第2信号配線34F、34Bと同様の効果を有する。高い品質を有する配線基板2が提供される。
【0076】
実施形態では、ビア導体用の開口(第1開口、第2開口)の内壁面を覆うシード層の第1膜の一部が第2膜上に形成されている。第1膜と第2膜が部分的に重なっている。そのためシード層の強度が高い。ガラス製のコア基板3の熱膨張率と樹脂絶縁層の熱膨張率は大きく異なるため、配線基板2がヒートサイクルを受けると樹脂絶縁層とシード層間にストレスが働く。ヒートサイクルにより樹脂絶縁層が伸縮したとしても、第1膜と第2膜を部分的に重ねることによって応力が緩和されると考えられる。あるいは、シード層が伸縮に追従できると考えられる。そのためシード層が断線しがたい。シード層は、ほぼ平滑な第1膜とほぼ平滑な第2膜で形成される。そのため、高周波信号が伝送される時、伝送損失が小さい。高品質の配線基板2が提供される。
【0077】
第1層が特定金属としてケイ素を含み、無機粒子がガラス粒子であると、内壁面上の第1層と第3無機粒子93はケイ素を含む。第1面上の第1層と第1無機粒子91はケイ素を含む。両者はケイ素を介して強く接着されると考えられる。シード層が内壁面から剥がれ難い。シード層が第1面から剥がれ難い。そのため、第1層は銅とアルミニウムとケイ素を含む合金であることが好ましい。
【0078】
第1層がアルミニウムを含み、無機粒子(第1無機粒子91、第2無機粒子92、第3無機粒子93)90が酸素を含むと、第1層と無機粒子(ガラス粒子等の酸素を含む無機粒子)90が強く接着されると考えられる。第1層がアルミニウムを含み、無機粒子90が酸素を含む場合、第1層は特定金属を含まなくても良い。この場合、第1層は銅とアルミニウムと不純物で形成される。
【0079】
[実施形態の別例1]
実施形態の別例1では、第1層を形成する合金に含まれる特定金属は、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ケイ素、マグネシウムのうちの少なくとも1つである。
【0080】
[実施形態の別例2]
実施形態の別例2では、第1層を形成する合金は炭素を含有していない。
【0081】
[実施形態の別例3]
実施形態の別例3では、第1層を形成する合金は酸素を含有していない。
【0082】
[実施形態の改変例]
改変例の配線基板は実施形態と同様にコア基板3と表側ビルドアップ層300Fと裏側ビルドアップ層300Bを有する。実施形態のコア基板3と改変例のコア基板3は異なる。実施形態の表側ビルドアップ層300Fと改変例の表側ビルドアップ層300Fは同様である。実施形態の裏側ビルドアップ層300Bと改変例の裏側ビルドアップ層300Bは同様である。改変例のコア基板3の断面が
図6と
図7に示される。
図6と
図7に示されるように、改変例のコア基板3はガラス製の基板4の表面5F上に導体層10F、11Fを有する。導体層10F、11Fはスルーホール導体8の上端8Fを覆うランド14Fを含む。さらに、改変例のコア基板3は基板4の裏面5B上に導体層10B、11Bを有する。導体層10B、11Bはスルーホール導体8の下端8Bを覆うランド14Bを含む。ランド14Fとランド14Bはスルーホール導体8によって電気的に接続されている。実施形態のコア基板3は表面5F上の導体層と裏面5B上の導体層を有していない。
【0083】
改変例では、表側ビルドアップ層300Fを形成する表側の樹脂絶縁層(コア基板直上の樹脂絶縁層)は導体層10F、11Fと表面5F上に形成される。コア基板直上の樹脂絶縁層(第1樹脂絶縁層20F)はランド14Fに至るビア導体用の開口(第1開口26F)を有する。ビア導体用の開口内に実施形態と同様なビア導体(第1ビア導体40F)が形成されている。コア基板直上の樹脂絶縁層を貫通するビア導体はランド14Fに至るので、そのビア導体を形成するシード層(第1層31Fa)はランド14Fの上面と開口の内壁面に接している。コア基板直上の樹脂絶縁層を貫通するビア導体はランド14Fを介しスルーホール導体8に電気的に繋がっている。
【0084】
改変例では、裏側ビルドアップ層300Bを形成する裏側の樹脂絶縁層(コア基板直下の樹脂絶縁層)は導体層10B、11Bと裏面5B上に形成される。コア基板直下の樹脂絶縁層(第1樹脂絶縁層20B)はランド14Bに至るビア導体用の開口(第1開口)を有する。ビア導体用の開口内に実施形態と同様なビア導体(第1ビア導体40B)が形成されている。コア基板直下の樹脂絶縁層を貫通するビア導体はランド14Bに至るので、そのビア導体を形成するシード層はランド14Bの上面と開口の内壁面に接している。コア基板直下の樹脂絶縁層を貫通するビア導体はランド14Bを介しスルーホール導体8に電気的に繋がっている。
【0085】
[改変例の配線基板の製造方法]
図6に示されるコア基板3は第1例のコア基板3である。第1例のコア基板3の製造方法が次に示される。
図5Dに示される途中基板が準備される。サブトラクティブ法によって、表面5F上に導体層10Fが形成される。裏面5B上に導体層10Bが形成される。改変例の第1例にかかるコア基板3が得られる。
【0086】
導体層10Fはシード層10aとシード層10a上の電解めっき層10bで形成されている。導体層10Bはシード層10aとシード層10a上の電解めっき層10bで形成されている。シード層10aは無電解めっきによって形成される。導体層10Fを形成するシード層10aと導体層10Bを形成するシード層10aとスルーホール導体8を形成するシード層10aは共通である。導体層10Fを形成する電解めっき層10bと導体層10Bを形成する電解めっき層10bとスルーホール導体8を形成する電解めっき層10bは共通である。導体層10F、10Bとスルーホール導体8は同時に形成されている。スルーホール導体8とランド14F、14Bは同時に形成される。スルーホール導体8とランド14F、14Bは一体的に形成される。上端8Fとランド14F間にシード層が存在しない。下端8Bとランド14B間にシード層が存在しない。
【0087】
図7に示されるコア基板3は第2例のコア基板3である。第2例のコア基板3の製造方法が次に示される。
図5Eに示される途中基板が準備される。表面5F上と裏面5B上にシード層11Fa、11Baが形成される。シード層11Fa、11Baは無電解めっきによって形成される。シード層11Fa、11Baはスパッタリングで形成されてもよい。シード層11Faは基板4の表面5Fとスルーホール導体8の上端8Fを覆う。シード層11Baは基板4の裏面5Bとスルーホール導体8の下端8Bを覆う。シード層11Fa、11Ba上に電解めっき層11Fb、11Bbが形成される。その後、サブトラクティブ法によって導体層11F、11Bが形成される。改変例の第2例にかかるコア基板3が得られる。
【0088】
導体層11Fはシード層11Faとシード層11Fa上の電解めっき層11Fbで形成されている。導体層11Bはシード層11Baとシード層11Ba上の電解めっき層11Bbで形成されている。シード層11Faは基板4の表面5F上に形成されている。シード層11Faはスルーホール導体8の上端8Fを覆っている。シード層11Baは基板4の裏面5B上に形成されている。シード層11Baはスルーホール導体8の下端8Bを覆っている。シード層11Fa、11Baは無電解めっきによって形成される。シード層11Fa、11Baはスパッタリングによって形成されてもよい。導体層11F、11Bを形成するシード層11Fa、11Baとスルーホール導体8を形成するシード層10aは異なる。導体層11F、11Bを形成する電解めっき層11Fb、11Bbとスルーホール導体8を形成する電解めっき層10bは異なる。導体層11F、11Bとスルーホール導体8は別々に形成されている。第2例では、上端8Fを形成する電解めっき層10bとランド14Fを形成する電解めっき層11Fb間にランド14Fを形成するシード層11Faが存在する。下端8Bを形成する電解めっき層10bとランド14Bを形成する電解めっき層11Bb間にランド14Bを形成するシード層11Baが存在する。それに対し、第1例(
図6)では、上端8Fを形成する電解めっき層10bとランド14Fを形成する電解めっき層10bが連続している。下端8Bを形成する電解めっき層10bとランド14Bを形成する電解めっき層10bが連続している。
【0089】
改変例のコア基板3上に実施形態と同様な方法で表側ビルドアップ層300Fと裏側ビルドアップ層300Bが形成される。
【0090】
本明細書内では、平面は内壁面の形状と平坦部93aの形状、第3無機粒子93の形状に対し用いられている。これらに対し用いられている平面の意味は
図1と
図3Aに示されている。すなわち、
図1と
図3Aでは、内壁面はほぼまっすぐに描かれている。
図1と
図3A中の内壁面の形状はほぼ直線である。本明細書内の平面は、断面中に示されている実質的な直線を含む。
図1と
図3Aの第3無機粒子93の断面に示されるように、断面では、平面で切断することは直線で切断することを含む。本明細書内の平面は完全な平面を意味せず実質的な平面を含む。実質的な平面は小さな凹凸を含んでもよい。
【符号の説明】
【0091】
2:配線基板
3:コア基板
4:基板
5F:表面
5B:裏面
6:貫通孔
8:スルーホール導体
10F、10B:導体層
11F、11B:導体層
14F、14B:ランド
20F、20B:第1樹脂絶縁層
22F、22B:第1面
24F、24B:第2面
26F:第1開口
27F:内壁面
30F、30B:第1導体層
30Fa:シード層
30Fb:電解めっき層
32F、32B:第1信号配線
34F、34B:第2信号配線
36F:ランド
40F、40B:第1ビア導体
60、60a、60b:第1膜
62、62a、62b:先端
70、70a、70b:第2膜
72、72a、72b:後端
80:樹脂
90:無機粒子
91:第1無機粒子
92:第2無機粒子
93:第3無機粒子
93a:平坦部
93b:露出面
120F、120B:第2樹脂絶縁層
122F、122B:第1面
124F、124B:第2面
126F:第2開口
127F:内壁面
130F、130B:第2導体層
130Fa:シード層
130Fb:電解めっき層
132F、132B:第1信号配線
134F、134B:第2信号配線
136F:ランド
140F、140B:第2ビア導体
300F:表側ビルドアップ層
300B:裏側ビルドアップ層