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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021527
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/03 20060101AFI20250206BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20250206BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
F16K15/03 D
F16K27/00 Z
F16K15/03 Z
E03C1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125282
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 敦
【テーマコード(参考)】
2D061
3H051
3H058
【Fターム(参考)】
2D061AB10
2D061AC05
2D061AC10
2D061AD01
2D061AD06
3H051AA01
3H051BB03
3H051CC03
3H051CC12
3H051CC16
3H051FF02
3H058AA07
3H058BB28
3H058BB37
3H058CA17
3H058CC08
3H058CC11
3H058CD09
3H058EE02
(57)【要約】
【課題】メンテナンスの際、外部に排水が排出されることを軽減する弁装置を提供する。
【解決手段】弁装置は、筒状の周壁からなり、上流側開口端と下流側開口端との間に形成された流体の流路、および、流路を外部に露出させるように周壁に形成された開口部を備える装置本体と、開口部を閉塞する閉塞蓋部と、閉塞蓋部によって開口部を閉塞した状態で装置本体に着脱自在に取着される取着部と、を備える蓋体と、周壁内部の流路上に配置され、開口部を通過可能な形状寸法を有し、流路の途中に設けられた弁座に着座して流路を閉鎖する閉鎖位置と、弁座から離隔して流路を開放する開放位置とに変位する弁体と、弁体を弁座に着座する方向に常時的に付勢する付勢手段と、を備える。弁体は、開口部側に設けられた回動軸を介して回動可能に軸支され、回動軸を中心として閉鎖位置と開放位置との間を回動して変位する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる排水経路の途中に設けられ、前記排水形路を選択的に閉鎖する弁装置であって、
筒状の周壁からなり、前記周壁の一端に形成された上流側開口端、前記周壁の他端に形成された下流側開口端、前記上流側開口端と前記下流側開口端との間に形成された流体の流路、および、前記流路を外部に露出させるように前記周壁に形成された開口部を備える装置本体と、
前記開口部を閉塞する閉塞蓋部と、前記閉塞蓋部によって前記開口部を閉塞した状態で前記装置本体に着脱自在に取着される取着部と、を備える蓋体と、
前記周壁内部の前記流路上に配置され、前記開口部を通過可能な形状寸法を有し、前記流路の途中に設けられた弁座に着座して前記流路を閉鎖する閉鎖位置と、前記弁座から離隔して前記流路を開放する開放位置とに変位する弁体と、
前記弁体を前記弁座に着座する方向に常時的に付勢する付勢手段と、を備え、
前記弁体は、前記開口部側に設けられた回動軸を介して回動可能に軸支され、前記回動軸を中心として前記閉鎖位置と前記開放位置との間を回動して変位することを特徴とする弁装置。
【請求項2】
前記弁体の前記弁座に着座する面は、前記弁体が前記弁座に着座した状態において、前記開口部から離隔するにつれて下流側へと傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記弁体が前記弁座に着座した状態において、前記弁体の上側の滞留水の量が、前記開口部から離隔するにつれて大きいことを特徴する請求項1に記載の弁装置。
【請求項4】
前記付勢手段は、前記弁体に設けられた弁体側磁石と、前記弁体の下流側に配置され、前記弁体を前記弁座に向けて付勢するように前記弁体側磁石に磁気的斥力を作用する付勢磁石とから構成され、
前記蓋体は、前記閉塞蓋部の内面から延在し、前記閉塞蓋部によって前記開口部を閉塞した状態で前記周壁の内部の前記弁座の下流側の空間に内挿されるとともに、前記周壁の内外に前記開口部を介して移動可能である内挿部をさらに備え、
前記付勢磁石が前記内挿部に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項5】
前記弁座の前記弁体が着座する着座面は、前記開口部から離隔するにつれて下流側へと傾斜する傾斜面を成し、
前記弁体が閉鎖位置にあるときに、前記弁体側磁石および前記付勢磁石の配列方向が、前記弁座の傾斜面と直交していることを特徴とする請求項4に記載の弁装置。
【請求項6】
前記弁体が前記閉鎖位置から前記開放位置へと回動するに従って前記弁体側磁石および前記付勢磁石が近接したときに、前記開口部から相対的に離隔した遠位側の前記弁体側磁石と前記付勢磁石との距離が、前記開口部から相対的に近接した近位側の前記弁体側磁石と前記付勢磁石との距離よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の弁装置。
【請求項7】
上下方向に延びる排水経路の途中に設けられ、前記排水形路を選択的に閉鎖する弁装置であって、
筒状の周壁からなり、前記周壁の一端に形成された上流側開口端、前記周壁の他端に形成された下流側開口端、前記上流側開口端と前記下流側開口端との間に形成された流体の流路、および、前記流路を外部に露出させるように前記周壁に形成された開口部を備える装置本体と、
前記開口部を閉塞する閉塞蓋部と、前記閉塞蓋部によって前記開口部を閉塞した状態で前記装置本体に着脱自在に取着される取着部と、を有する蓋体と、
前記周壁内部の前記流路上に配置され、前記開口部を通過可能な形状寸法を有し、前記流路の途中に設けられた弁座に着座して前記流路を閉鎖する閉鎖位置と、前記弁座から離隔して前記流路を開放する開放位置とに変位する弁体と、
前記弁体を前記弁座に着座する方向に常時的に付勢する付勢手段と、を備え、
前記弁体は、前記閉鎖位置から前記開放位置へと変位する際、前記弁体の前記開口部に相対的に近接した部位よりも、前記弁体の前記開口部から相対的に離隔した部位から先に前記弁座から離隔することを特徴とする弁装置。
【請求項8】
前記取着部は、前記開口部の中心軸を中心とした回動操作によって、前記蓋体が前記装置本体に取着された係合状態と、前記蓋体を前記装置本体から取り外し可能とする非係合状態とに切り替え可能に構成され、
前記蓋体は、前記周壁に内挿されるとともに、前記閉塞蓋部に対して相対的に回転可能に設けられた基部をさらに備え、前記基部には、前記弁体を支持するための弁体支持部と、前記周壁の段部に上流側から当接して前記基部の前記周壁の内部側への傾動を規制する規制部とが設けられていることを特徴とする請求項1、2、3または7に記載の弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管構造の一部に設置され、排水経路または流水経路を選択的に閉鎖する弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、機器から発生した排水は、所定の排水経路を形成するように配設された配管構造を介して排水設備に流される。そして、排水経路を伝って、排水設備から臭気や汚水が逆流して機器側に漏出することがある。このような臭気や汚水の逆流を防止すべく、弁体が排水経路に設置される。つまり、排水が排水設備に流れるときを除いて、排水経路を弁体で常時閉鎖することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1は、配管構造の一部に設置され、排水経路または流水経路を選択的に閉鎖する弁装置を開示する。以下、当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。弁装置(100)は、筒状の周壁(111)からなり、周壁(111)の一端に形成された上流側開口端(112)、周壁(111)の他端に形成された下流側開口端(113)、上流側開口端(112)と下流側開口端(113)との間に形成された流体の流路、周壁(111)内部の流路の途中に配置された弁座(114)、および、流路を外部に露出させるように周壁(111)に形成された開口部(117)を備える装置本体(110)と、開口部(117)を着脱自在に閉塞する蓋体(150)と、周壁(111)内部の流路上に配置され、閉鎖位置と開放位置とに変位する弁体(130)と、弁体(130)を弁座(114)に付勢する付勢手段と、開口部(117)から弁体(130)を外部に露出させることなく、装置本体(110)の外部から弁体(130)または付勢手段に作用し、弁体(130)を弁座(114)から強制的に離間させる強制離間機構と、を備える。付勢手段は、本体側作用部としての第1磁性体(121)および弁体側作用部としての第2磁性体(133)から構成される。強制離間機構は、装置本体(110)の外部から弁体(130)または付勢手段(121,133)に作用する操作部材(123)および強制離間磁石(122)を備える。蓋体(150)は、開口部(117)を閉塞する閉塞蓋部(151)、および、閉塞蓋部(151)の内面から延設する内挿部(152)を備える。内挿部(152)は、閉塞蓋部(117)で開口部(117)を閉塞した状態で周壁(111)内部に配置され、弁体(130)を下方から受ける弁体受け部(153)を備え、周壁(111)内部に配置された状態で装置本体(110)と協働して流路の一部を形成するように構成されている。メンテナンスのために弁装置(100)を分解する際、強制離間機構(122,123)を用いることにより、開口部(117)から弁体(130)を外部に露出させることなく、弁体(130)と弁座(114)との間に隙間を形成し、弁体(130)上の滞留水(W)を弁体(130)の下流に流出させることができる。そして、蓋体(150)の内挿部(152)を移動経路に沿って直線的に開口部(117)から引き抜くと、弁体(130)が蓋体(150)に一体的に保持されて、蓋体(150)とともに弁体(130)を同時に開口部(117)から外部に引き出すことが可能である。そして、弁体(130)を蓋体(150)から引き離すことによって、弁装置(100)が個々の部品に分解され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-197268
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の弁装置は、メンテナンスのために分解する際、弁体の上部に溜まった滞留水を強制離間機構を操作して排水させることによって、蓋体を取り出しても開口部から滞留水が直接漏れ出ることを防止するものである。しかしながら、弁装置が滞留水を排水するとき、弁体が水平姿勢を維持しながら弁軸に沿って移動し、弁体の周方向全体から排水される。そのため、蓋体の周壁内部または流路に臨む部位が満遍なく濡れることになって排水が蓋体に残り易い。少なくとも、この濡れた状態の蓋体を外部に引き出すと、排水を外部に引き出すことになり、外部に排水をまき散らしてしまうことが問題であった。あるいは、外部に排水をまき散らさないように、作業者に対して蓋体の取り外し作業を慎重に行うことが要求されるため、作業性が低下することもまた問題であった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、メンテナンスの際、外部に排水が排出されることを軽減する弁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の弁装置は、上下方向に延びる排水経路の途中に設けられ、前記排水形路を選択的に閉鎖する弁装置であって、
筒状の周壁からなり、前記周壁の一端に形成された上流側開口端、前記周壁の他端に形成された下流側開口端、前記上流側開口端と前記下流側開口端との間に形成された流体の流路、および、前記流路を外部に露出させるように前記周壁に形成された開口部を備える装置本体と、
前記開口部を閉塞する閉塞蓋部と、前記閉塞蓋部によって前記開口部を閉塞した状態で前記装置本体に着脱自在に取着される取着部と、を備える蓋体と、
前記周壁内部の前記流路上に配置され、前記開口部を通過可能な形状寸法を有し、前記流路の途中に設けられた弁座に着座して前記流路を閉鎖する閉鎖位置と、前記弁座から離隔して前記流路を開放する開放位置とに変位する弁体と、
前記弁体を前記弁座に着座する方向に常時的に付勢する付勢手段と、を備え、
前記弁体は、前記開口部側に設けられた回動軸を介して回動可能に軸支され、前記回動軸を中心として前記閉鎖位置と前記開放位置との間を回動して変位することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の弁装置は、請求項1に記載の弁装置において、前記弁体の前記弁座に着座する面は、前記弁体が前記弁座に着座した状態において、前記開口部から離隔するにつれて下流側へと傾斜していることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の弁装置は、請求項1に記載の弁装置において、前記弁体が前記弁座に着座した状態において、前記弁体の上側の滞留水の量が、前記開口部から離隔するにつれて大きいことを特徴する。
【0010】
請求項4に記載の弁装置は、請求項1から3のいずれかに記載の弁装置において、前記付勢手段は、前記弁体に設けられた弁体側磁石と、前記弁体の下流側に配置され、前記弁体を前記弁座に向けて付勢するように前記弁体側磁石に磁気的斥力を作用する付勢磁石とから構成され、
前記蓋体は、前記閉塞蓋部の内面から延在し、前記閉塞蓋部によって前記開口部を閉塞した状態で前記周壁の内部の前記弁座の下流側の空間に内挿されるとともに、前記周壁の内外に前記開口部を介して移動可能である内挿部をさらに備え、
前記付勢磁石が前記内挿部に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の弁装置は、請求項4に記載の弁装置において、前記弁座の前記弁体が着座する着座面は、前記開口部から離隔するにつれて下流側へと傾斜する傾斜面を成し、
前記弁体が閉鎖位置にあるときに、前記弁体側磁石および前記付勢磁石の配列方向が、前記弁座の傾斜面と直交していることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の弁装置は、請求項4に記載の弁装置において、前記弁体が前記閉鎖位置から前記開放位置へと回動するに従って前記弁体側磁石および前記付勢磁石が近接したときに、前記開口部から相対的に離隔した遠位側の前記弁体側磁石と前記付勢磁石との距離が、前記開口部から相対的に近接した近位側の前記弁体側磁石と前記付勢磁石との距離よりも小さいことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の弁装置は、上下方向に延びる排水経路の途中に設けられ、前記排水形路を選択的に閉鎖する弁装置であって、
筒状の周壁からなり、前記周壁の一端に形成された上流側開口端、前記周壁の他端に形成された下流側開口端、前記上流側開口端と前記下流側開口端との間に形成された流体の流路、および、前記流路を外部に露出させるように前記周壁に形成された開口部を備える装置本体と、
前記開口部を閉塞する閉塞蓋部と、前記閉塞蓋部によって前記開口部を閉塞した状態で前記装置本体に着脱自在に取着される取着部と、を有する蓋体と、
前記周壁内部の前記流路上に配置され、前記開口部を通過可能な形状寸法を有し、前記流路の途中に設けられた弁座に着座して前記流路を閉鎖する閉鎖位置と、前記弁座から離隔して前記流路を開放する開放位置とに変位する弁体と、
前記弁体を前記弁座に着座する方向に常時的に付勢する付勢手段と、を備え、
前記弁体は、前記閉鎖位置から前記開放位置へと変位する際、前記弁体の前記開口部に相対的に近接した部位よりも、前記弁体の前記開口部から相対的に離隔した部位から先に前記弁座から離隔することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の弁装置は、請求項1、2、3または8に記載の弁装置において、前記取着部は、前記開口部の中心軸を中心とした回動操作によって、前記蓋体が前記装置本体に取着された係合状態と、前記蓋体を前記装置本体から取り外し可能とする非係合状態とに切り替え可能に構成され、
前記蓋体は、前記周壁に内挿されるとともに、前記閉塞蓋部に対して相対的に回転可能に設けられた基部をさらに備え、前記基部には、前記弁体を支持するための弁体支持部と、前記周壁の段部に上流側から当接して前記基部の前記周壁の内部側への傾動を規制する規制部とが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の弁装置によれば、弁体が、開口部側に設けられた回動軸を介して回動可能に軸支され、回動軸を中心として閉鎖位置と開放位置との間を回動して変位するように構成されている。すなわち、弁体が回動軸を中心として回動して流路を開放する際、弁体の開口部から離隔した側から大きく弁座から離れるとともに、弁体の上面が、開口部から離隔した側が下流側に向かうように傾斜することから、滞留水が(開口部に相対的に近接した回動軸側ではなく)弁体の開口部から離隔した側から優先的に流れ落ちる。これにより、滞留水が排水されるときに、開口部を介して装着された蓋体の周壁内部または流路に臨む部位が濡れる量が軽減される。したがって、本発明の弁装置は、メンテナンスのために蓋体を装置本体から取り外すときに、外部に引き出される排水の量を効果的に軽減し、外部に排水をまき散らしてしまうことを防止することができる。
【0016】
請求項2に記載の弁装置によれば、請求項1の発明の効果に加えて、弁体の弁座に着座する面が、弁体が閉鎖位置にあるときに、開口部から離隔するにつれて下流側へと傾斜していることにより、弁体の上側の滞留水の量が開口部から離隔する先端側が基端側よりも相対的に大きくなって、弁体上面には、滞留水による不均一な荷重分布が形成される。すなわち、弁体の回動軸から離隔した部位により大きい荷重がかかることから、弁体が動作時に閉鎖位置から開放位置へとより確実に回動変位することができる。
【0017】
請求項3に記載の弁装置によれば、請求項1の発明の効果に加えて、弁体が弁座に着座した状態において、弁体の上側の滞留水の量が開口部から離隔するにつれて大きいことにより、弁体上面には、滞留水による不均一な荷重分布が形成される。すなわち、弁体の回動軸から離隔した部位により大きい荷重がかかることから、弁体が開放位置へとより回動変位し易くなる。
【0018】
請求項4に記載の弁装置によれば、請求項1から3のいずれかの発明の効果に加えて、弁体が作動して滞留水を排水するときに、閉塞蓋部の内面から(片持ち状態で)延在する内挿部とともに、当該内挿部によって保持されている付勢磁石が濡れることが抑えられる。
【0019】
請求項5に記載の弁装置によれば、請求項4の発明の効果に加えて、弁座の弁体が着座する面が、開口部から離隔するにつれて下流側へと傾斜する傾斜面を成すことによって、弁体の開口部から離隔する側を下流側に配置して、弁座が開放時に弁座から離隔し易くなる。そして、弁体側磁石および付勢磁石の配列方向が、弁座の傾斜面と直交していることから、弁体を弁座に対して垂直に付勢し、弁体を弁座へと付勢する付勢力を着座面内で均等とし、より安定した封止状態を形成することができる。
【0020】
請求項6に記載の弁装置によれば、請求項4の発明の効果に加えて、弁体が閉鎖位置から開放位置へと回動するときに、弁体側磁石および付勢磁石の遠位側の距離が相対的に小さくなることによって、磁気斥力を局所的に増大させ、弁体を開放後に迅速に閉鎖位置へと復帰させることができる。
【0021】
請求項7に記載の弁装置によれば、弁体が、閉鎖位置から開放位置へと変位する際、弁体の開口部に相対的に近接した部位よりも、弁体の開口部から相対的に離隔した部位から先に弁座から離隔するように構成されている。すなわち、弁体が変位して流路を開放する際、弁体の開口部から離隔した側から先に弁座から離れて、滞留水が弁体の開口部から離隔した側から優先的に流れ落ちる。これにより、滞留水が排水されるときに、開口部を介して装着された蓋体の周壁内部または流路に臨む部位が濡れる量が軽減される。したがって、本発明の弁装置は、メンテナンスのために蓋体を装置本体から取り外すときに、外部に引き出される排水の量を効果的に軽減し、外部に排水をまき散らしてしまうことを防止することができる。
【0022】
請求項8に記載の弁装置によれば、請求項1、2、3または7の発明の効果に加えて、取着部は、蓋体の回転操作によって装置本体に対する係合状態と非係合状態とに切り替え可能であり、且つ、規制部が周壁の段部に当接することで基部が周壁の内部側へ傾動することが防止される。すなわち、規制部が周壁の内部側への基部の傾動を規制することによって、装置本体の水圧の上昇や弁体の動作が、蓋体の各部位へ負荷を与えることを防止することが可能である。これにより、蓋体の閉塞蓋部で開口部をより確実に閉塞することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る一実施形態の弁装置の分解斜視図。
図2図2の弁装置の装置本体の(a)上方からの斜視図、および(b)下方からの斜視図。
図3図1の装置本体の(a)正面図、(b)側面図、(c)平面図、および(d)底面図。
図4図3の装置本体のA-A断面図。
図5図1の弁装置の蓋体および弁体のアセンブリの(a)上方からの斜視図、(b)下方からの斜視図。
図6図5の蓋体および弁体のアセンブリの(a)平面図、および(b)底面図。
図7図5の蓋体および弁体のアセンブリの(a)正面図、(b)側面図、および(c)平面図。
図8図6のB-B断面図。
図9図8の蓋体および弁体のアセンブリにおいて弁体が回動動作した状態を示す模式図。
図10図5の蓋体および弁体のアセンブリの分解斜視図。
図11図1の弁装置の(a)上方からの斜視図、および(b)下方からの斜視図。
図12図11の弁装置の(a)正面図、(b)平面図、および(c)底面図。
図13図12の弁装置のC-C断面図。
図14】本実施形態の弁装置において、装置本体に弁体および蓋体のアセンブリを組み込む工程を示す模式図。
図15】本発明の一実施形態の弁装置による配管構造を示す模式図。
図16図15の配管構造における弁装置の部分拡大断面図。
図17図16の配管構造において、弁体の開放動作を示す模式図。
図18図17の配管構造のD-D断面において、弁体および内挿部を下流側から見た模式図。
図19図16の配管構造において、弁体および蓋体のアセンブリを装置本体から取り出す第1の工程を示す模式図。
図20図16の配管構造において、弁体および蓋体のアセンブリを装置本体から取り出す第2の工程を示す模式図。
図21図16の配管構造において、弁体および蓋体のアセンブリを装置本体から取り出す第3の工程を示す模式図。
図22】本発明の弁装置の変形例を示す図。
図23】本発明の弁装置の変形例を示す図。
図24図23の弁装置による配管構造において、弁体および蓋体のアセンブリを装置本体から取り出す工程を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図または概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、本発明における上下左右の方向は、相対的な位置を示す概念にすぎず、これらを入れ替えて適用可能であることは言うまでもない。
【0025】
本実施形態の一実施形態の弁装置100は、配管構造(排水系)の配管部の排水経路の一部に設置され、排水経路内を一時的に封水状態で閉鎖し、または、排水経路内の負圧を解消するように機能する。以下、図面に沿って、本実施形態の弁装置100の構成を説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態の弁装置100の分解斜視図である。弁装置100は、図1に示すように、排水経路に接続される装置本体110と、該装置本体110の内部に保持される弁体130と、装置本体110に組み付けられて、弁体130を装置本体110の内部に閉じ込める蓋体150と、弁体130を閉方向に常時的に付勢する付勢手段171、172と、を備える。以下、各構成要素について詳細に説明し、その後、弁装置100の全体的な構成について説明する。
【0027】
まず、図2乃至図4を参照して、装置本体110について説明する。図2は、装置本体110の上方および下方から見た斜視図である。図3(a)~(d)は、該装置本体110の正面図、側面図、平面図および底面図である。図4は、該装置本体110のA-A縦断面図である。本実施形態では、装置本体110は、硬質の合成樹脂から形成されたが、その材質はこれに限定されない。また、本実施形態では、装置本体110は、内部を視認できるように透明な素材で形成されたが、本発明はこれに限定されない。
【0028】
装置本体110は、その両端が開放されたとともに、(上流から下流に垂直に延伸する)筒軸方向に沿って延びる中空筒形状の周壁111を有する。この筒軸は、弁体130が接続される配管の管軸方向と合致するように配置される。周壁111の一端(または上端)には、上流側開口端112が形成され、他端(または下端)には、下流側開口端113が形成されている。そして、周壁111内部の上流側開口端112と下流側開口端113との間に流体の流路が定められる。また、周壁111内部には、内部に配置した弁体130の動作を許容する空間が形成されている。さらに、周壁111には、上下に延びる筒軸方向と直交する第2の筒軸方向に延びる筒壁116が設けられている。筒壁116には、流路を外部に露出させるように円形の開口部117が形成されている。
【0029】
開口部117は、周壁111の径方向の一方側を向いて開口している。つまり、開口部117は、周壁111の一箇所に形成されている。開口部117は、蓋体150を装着することで、蓋体150の閉塞蓋部151によって閉塞されるように構成されている。開口部117は、弁体130および蓋体150の一部分の通過を許容する形状寸法を有し、メンテナンスのために、蓋体150を開口部117から取り外して各部品を掃除や交換等することを可能とする。特には、開口部117の内側には、周壁111の内部に連通する矩形状の貫通孔117aが形成されており、当該貫通孔117aに蓋体150の基部153が内挿される。そして、周壁111の一部として、貫通孔117aの下縁から水平方向に延在する段部118が設けられている。そして、筒壁116内側面には、蓋体150の取着部152を取着するための被取着部116aが形成されている。ここで被取着部116aは、筒壁116内側面に凹設された複数(本実施形態では4つ)のL字溝から形成された。すなわち、開口部117は、筒壁116の開口端にロック式に装着された蓋体150によって閉塞されるように構成されている。
【0030】
図4に示すように、周壁111内部の流路の途中には、弁座114が設けられている。この装置本体110は、弁座114(すなわち、弁体130)を境に上流部位、および、下流部位に区分けされる。弁座114は、中央に通孔115を有し、下流側を向く面が弁体130を着座するための着座面となる。換言すると、弁座114は、流路の周囲に配置された環状の着座面からなる。この着座面には、ゴム製の環状パッキンが設けられてもよい。弁座114の弁体130が着座する着座面は、開口部117から離隔するにつれて下流側へと傾斜する傾斜面を成している。この弁座114の傾斜は、弁体130上面を開口部117から離隔するにつれて下流側へと傾斜させるように、弁体130の着座姿勢を決定するものである。本実施形態では、弁座114の傾斜角(着座面と、筒軸に直交する水平面との角度)は、約5度であり、本発明を限定するものではないが、弁体130の開閉動作を考慮すると、当該傾斜角は約3~8度が好ましい。この弁座114の着座面に対して弁体130の着座部132上面が平行に着座することにより、通孔115(流路)が封水状態に閉鎖される。
【0031】
次に、図5乃至図10を参照して、弁体130および蓋体150のアセンブリ(組立体)について説明する。図5(a)、(b)は、弁体130および蓋体150のアセンブリの上方および下方から見た概略斜視図である。図6(a)、(b)は、該アセンブリの平面図、および底面図である。図7(a)~(c)は、該アセンブリの正面図、側面図、平面図および背面図である。図8は、該アセンブリのB-B縦断面図である。図9は、図8のアセンブリにおける弁体130の回動動作を示している。図10は、該アセンブリの分解斜視図である。なお、本実施形態では、弁体130および蓋体150は、主に硬質の合成樹脂から形成されたが、その材質はこれに限定されない。
【0032】
図5に示すように、弁体130および蓋体150が互いに組み付けられることで、1体のアセンブリを成している。また、当該アセンブリには、付勢手段としての弁体側磁石171および付勢磁石172が組み付けられている。そして、弁体側磁石171および付勢磁石172との間の斥力(反発力)が発生した状態で、弁体130が蓋体150に回動可能に軸支されている。
【0033】
弁体130は、周壁111内部の流路上に配置され、開口部117を通過可能な形状寸法を有し、弁座114に着座して流路を閉鎖する閉鎖位置と、弁座114から離隔して流路を開放する開放位置とに変位するように構成されている。弁体130は、円盤形状を有する。弁体130は、弁座114中央の通口を閉鎖する閉鎖部131と、通口の外周側で弁座114の着座面にその上面で当接する着座部132とを備える。閉鎖部131は、弁体130の中央領域に定められた。着座部132は、弁座114に着座する面を成し、閉鎖部131の外周領域に連設され、弁座114に密接可能な平面形状を有する。本実施形態では、(弁座114にパッキンを設ける代わりに)弁体130の上面を成す着座部132が、ゴム製の環状パッキンで構成された。
【0034】
弁体130の閉鎖部131の略中央には、着座部132の内側で上流側へと膨出形成された膨出部133が設けられている。本実施形態では、膨出部133は椀状の隆起である。そして、膨出部133の蓋体150(回動軸135)に近接する側の外面には、蓋体150(または開口部117)から離隔するにつれて上流側へと傾斜した傾斜面が形成されている。当該傾斜面に離間案内部133aが形成された。換言すると、離間案内部133aは、蓋体150の引き出し方向において傾斜する傾斜面からなる。この離間案内部133aは、弁体130を周壁111の外部に移動させる行程において、装置本体110の被当接部110aに当接して、弁体130を弁座114から強制的に離間移動させるように案内または強制駆動する。ここで、被当接部110aは、流路を構成する周壁111の内面と弁座114が形成される面との交差部分である。
【0035】
また、弁体130の中心部分(膨出部133の内側)には、弁体側磁石171を保持する弁体側磁石保持部134が設けられている。さらに、図8および図10に示すように、弁体130の蓋体150側の端部には、弁体130上面と略平行に延びる回動軸135が一体的に形成されている。この回動軸135は、蓋体150の基部153に設けられた弁体支持部154によって軸支される。
【0036】
蓋体150は、装置本体110の筒壁116に装着され、開口部117を着脱自在に閉塞するように構成されている。蓋体150は、開口部117を閉塞する閉塞蓋部151と、閉塞蓋部151の外側面に設けられた取着部152と、閉塞蓋部151の内面側に配置され、閉塞蓋部151に対して相対的に回転可能に構成された基部153とを備える。ここで、蓋体150が装置本体110に装着されたときに、蓋体150の周壁111内部(または流路)に臨む部位は、閉塞蓋部151内面と、閉塞蓋部151の内面側に設けられた部位(基部153、弁体支持部154、内挿部155、付勢磁石保持部156、規制部157)とを含んでいる。
【0037】
閉塞蓋部151は、装置本体110に対して外側を向く外面および内側を向く内面を有する円形の短筒状であり、筒壁116に内挿されて開口部117を閉塞するように構成されている。閉塞蓋部151は、筒壁116の内側面に対向するように延在する外側面を有する。また、閉塞蓋部151の内面の中心には、基部153を回動可能に連結するための連結凹部151aが形成されている。さらに、閉塞蓋部151の外側面には、閉塞蓋部151を回転操作するための把持片151bが設けられている。そして、閉塞蓋部151の短筒状の外側面には、蓋体150を筒壁116に水密に装着するためのゴム環状のパッキン158が設けられている。つまり、蓋体150が装置本体110に装着されたときに、筒壁116の内側面と閉塞蓋部151の外側面との間には、蓋体150と開口部117とを水密に閉鎖するパッキン158が介在する。後述するとおり、パッキン158は、蓋体150を装置本体110から取り外す行程において、弁体130が弁座114から離間を開始したときにおいても水密を保つことが可能であるように、閉塞蓋部151の外側面に配置されている。特には、パッキン158は、取り外す行程において水密を十分に保つように、閉塞蓋部151の外側面の内面に近い位置に配置されることが好ましい。
【0038】
取着部152は、閉塞蓋部151の外側面に突出形成された複数(本実施形態では4箇所)の突出片からなる。取着部152は、閉塞蓋部151および筒壁116の相対的な回転操作に従って、筒壁116の溝状の被取着部116aに係合して、蓋体150を筒壁116に着脱式にロックするように機能する。すなわち、取着部152は、被取着部116aと協働して、開口部117の中心軸を中心とした蓋体150の回動操作によって、蓋体150が装置本体110に取着された係合状態と、蓋体150を装置本体110から取り外し可能とする非係合状態とに切り替え可能に構成されている。
【0039】
基部153は、開口部117の矩形状の貫通孔117aに対応する矩形板状に形成されてなる。基部153は、装置本体110に対して外側を向く外面および内側を向く内面を有する。ここで、蓋体150が装置本体110に組み付けられたときに、管軸に沿って配置される基部153の方向を縦幅方向とし、それに直交する方向を横幅方向とする。
【0040】
基部153の外面の略中心位置には、閉塞蓋部151の連結凹部151aに回動式に連結するための円筒状の連結軸部153aが突出形成されている。この連結軸部153aが連結凹部151aに嵌め込まれることで、基部153が、連結軸部153aを回転軸として閉塞蓋部151に対して自在に相対回転可能に組み付けられている。
【0041】
基部153の内面の横幅方向の略中央位置には、弁体130の回動軸135を介して、弁体130を閉鎖位置と開放位置との間で回動可能に支持する弁体支持部154が設けられている。すなわち、弁体130は、開口部117(閉塞蓋部151)側に設けられた回動軸135に回動可能に軸支され、回動軸135を中心として閉鎖位置と開放位置との間を回動して変位する(図9参照)。
【0042】
また、基部153の内面の横幅方向の略中央位置には、弁体130の下流に向けて延在する内挿部155が設けられている。内挿部155は、弁体支持部154の縦幅方向の下方(下流側)に位置し、閉鎖位置にある弁体130の中心位置まで延在している。内挿部155は、閉塞蓋部151の内面(基部153内面)から片持ち状態で延在し、その先端が、平面視において(少なくとも開放位置にある)弁体130の径方向内側に配置されている。そして、内挿部155の先端には、付勢手段としての付勢磁石172を保持する付勢磁石保持部156が形成されている。内挿部155先端に保持される付勢磁石172は、弁体130に保持される弁体側磁石171との間の斥力(反発力)によって、弁体130を離隔方向(すなわち、弁体130が弁座114に着座する方向)に回動させるように常時的に付勢する。ここで、弁体側磁石171および付勢磁石172は、比較的強力な磁力を有するネオジム磁石等の永久磁石からなり、中心に貫通孔を有する円柱体である。付勢手段は、弁体側磁石171下面および付勢磁石172上面に対して垂直方向に最も効率的に磁場を発生させることから、弁体側磁石171下面および付勢磁石172上面が互いに平行に対向する姿勢が、磁気斥力を最も効率的に発生させる。本実施形態では、弁体130が弁座114に着座した状態で、弁体側磁石171下面および付勢磁石172上面が互いに平行になるように配置されている。すなわち、弁体130が閉鎖位置にあるときに、弁体側磁石171および付勢磁石172の配列方向が、弁座114の傾斜面と直交するように構成されている。なお、本実施形態では、付勢手段171,172は、弁座114および弁体130全体を少なくとも水没させる量の滞留水W(例えば図16参照)を弁体130上に閉鎖位置で維持できる付勢力を有するように定められた。
【0043】
さらに、基部153の内面の横幅方向の両端近傍には、周壁111の段部118に上流側から当接して基部153の周壁111内部側(径方向内方)への傾動を規制する一対の規制部157が設けられている。規制部157が周壁111の内部側への基部153の傾動を規制することによって、装置本体110内での水圧の上昇や弁体130の動作が、蓋体150の各部位へ負荷を与えることを防止することができる。特には、規制部157が段部118によって下支えされることで、閉塞蓋部151と基部153との連結箇所(連結軸部153a)に荷重が集中することが抑えられる。具体的には、各規制部157は、基部153の内面から略垂直に延在する平板状の突出片からなる。そして、一対の規制部157は、内挿部155の横幅方向両側に配置され、その平面が横幅方向に互いに対向するように形成されている。また、これら一対の規制部157が段部118に当接することによって、装置本体110に対して蓋体150を回転させたときに、閉塞蓋部151のみを基部153に対して相対回転させることが可能である。
【0044】
図8に示すように、弁体130および蓋体150のアセンブリは、装置本体110の外部にある場合、弁体側磁石171および付勢磁石172の磁気斥力によって、弁体130が内挿部155から離間するように回動した初期姿勢をとる。一方で、図9に示すように、初期姿勢(図9の上側の仮想線)から磁気斥力に抗するように弁体130に下流側への回動方向の力を付与することで、弁体130は内挿部155に近接するように回動変位可能である。すなわち、弁体130は、弁体側磁石171および付勢磁石172によって常時的に上流側に付勢された状態で、弁体130上面が弁座114の着座面に平行となる閉鎖位置(図9の下側の仮想線)と、該閉鎖位置からさらに下流側に回動した開放位置(図9の実線)に変位することができる。
【0045】
図9に示すように、弁体130が上流側(閉鎖位置)から下流側(開放位置)へと回動するに従って弁体側磁石171および付勢磁石172が近接したときに、回動軸135(開口部117)から相対的に離隔した遠位側の弁体側磁石171と付勢磁石172との距離が、回動軸135(開口部117)から相対的に近接した近位側の弁体側磁石171と付勢磁石172との距離よりも小さい。つまり、弁体130の下流側への回動に従って弁体側磁石171および付勢磁石172の対向する面の角度が変化し、回動軸135から離れた先端縁において、最も両者の距離が小さくなっている。このとき、弁体側磁石171と付勢磁石172との間の磁気斥力が局所的に増大することで、弁体130が開放位置側から閉鎖位置側へと迅速に復帰することができる。
【0046】
以上を踏まえて、図11乃至図13を参照して、各部品を組み付けた弁装置100について説明する。図11(a),(b)は、本発明の一実施形態の弁装置100の上方および下方から見た斜視図である。図12(a)~(c)は、該弁装置100の正面図、平面図および底面図である。図13は、該弁装置100のC-C縦断面図である。
【0047】
本実施形態の弁装置100において、図11から図13に示すように、装置本体110の開口部117を蓋体150の閉塞蓋部151が密閉するように、装置本体110に蓋体150が組み付けられている。このとき、蓋体150の凸片状の取着部152が、装置本体110のL字溝状の被取着部116aの奥に入り込んで係合することによって、装置本体110の筒壁116に蓋体150がロック状態で組み付けられる。このロック状態では、パッキン158が、蓋体150の閉塞蓋部151の短筒状の外側面と、筒壁116の内側面との間で押し潰されて、開口部117において水密性が保たれている。閉塞蓋部151の外面に表示される開閉方向の矢印(図12(a)参照)に従って、閉塞蓋部151の把持片151bを掴んで、閉塞蓋部151を筒壁116および内挿部155に対して回転操作することにより、閉塞蓋部151と筒壁116とのロックを解除操作することが可能である。なお、ロック状態またはロック解除状態を問わず、蓋体150が筒壁116に外挿されている間、水密が保たれている。換言すると、水密が保たれている間、ロック解除されたとしても、蓋体150が開口部117を閉塞しているといえる。
【0048】
図13に示すように、閉塞蓋部151の内面側に設けられた基部153が、開口部117の貫通孔117aを介して、装置本体110の内部に配置されている。そして、基部153の弁体支持部154によって片持ち状態で支持された弁体130が弁座114に着座して、流路を閉鎖する閉鎖位置に配置されている。また、内挿部155が、同様に、閉塞蓋部151内面から片持ち状態で通孔115の下流位置にまで延在している。弁体側磁石171および付勢磁石172は、通孔115の略径方向中心の下流側に配置されている。そして、一対の規制部157が段部118に上流側から当接することで、基部153が段部118によって下支えされるとともに、その姿勢が安定的に維持されている。
【0049】
図13に示す閉鎖状態では、弁体130の着座部132が環状の弁座114に着座して流路を閉鎖している。このように、弁体130が環状を成す弁座114に着座した状態で、弁体130の膨出部133(離間案内部133a)が、弁座114の内側から弁座114を越えて通孔115の上流側に入り込むとともに、離間案内部133aが開口部117から離隔するにつれて上流側へと傾斜した傾斜面を成している。弁体130の姿勢は、付勢手段171、172によって常時的に付勢されることによって閉鎖位置に維持されている。弁体130に付勢手段171、172を越える力が上流側から付与されることによって、弁体130が弁座114から離隔して流路を開放する開放位置とに変位し得る。すなわち、弁体130は、開口部117側に設けられた回動軸135に回動可能に軸支され、回動軸135を中心として閉鎖位置と開放位置との間を回動して変位するように構成されている。そして、弁体130は、開口部117側の回動軸135を中心に回動することから、閉鎖位置から開放位置へと変位する際、弁体の開口部117に相対的に近接した部位よりも、弁体130の開口部117から相対的に離隔した部位から先に弁座114から大きく離隔するように構成されている。
【0050】
より詳細には、弁体130上面の着座部132が、傾斜する着座面を成す弁座114に平行に当接することで、通孔115を隙間無く封水状態で閉鎖している。このとき、着座部132の径方向内側で上流側に膨出する膨出部133が、通孔115の内部に入り込んでいる。また、弁体130上面(着座部132上面)および弁座114の着座面が共に、管軸方向に直交する平面に対して、開口部117から離隔するにつれて下流側へと傾斜する傾斜面を成している。そして、当該弁体130が閉鎖位置にあるときに、付勢手段の弁体側磁石171の下面および付勢磁石172の上面とが互いに平行に対向し、弁体側磁石171および付勢磁石172の配列方向が、弁体130上面および弁座114着座面による傾斜面と直交している。すなわち、付勢手段171、172が、弁体130を弁座114に対して垂直に付勢することで、弁体130を弁座114へと付勢する付勢力が着座面内で均等となり、より安定した封止状態を形成することが可能である。
【0051】
本実施形態の弁装置100を組み立てるには、図14に示すように、作業者が弁体130を内挿部155に近接させるように変形させた上で、開口部117の貫通孔117aを介して、弁体130、内挿部155および規制部157を周壁111内部に挿入する。このとき、弁体130の膨出部133の回動軸135から遠位側の傾斜面を貫通孔117aの周縁に当接させることによって、貫通孔117aを通過可能な位置に弁体130を案内することができる。閉塞蓋部151が開口部117を完全に閉塞するまで、弁体130等を周壁111内部に差し込むと、弁体130が付勢手段171、172によって上流側に付勢されて回動し、最終的に弁座114の着座面へと着座する。この状態で、把持片151bを操作して閉塞蓋部151を閉方向に回転させることによって、蓋体150を装置本体110にロック状態で装着することができる。こうして、作業者は弁装置100を簡単に組み立てることができる。
【0052】
続いて、図15および図16を参照して、本実施形態の弁装置100を組み込んだ配管構造10について説明する。
【0053】
図15は、本実施形態の配管構造10を模式的に示した全体図である。配管構造10は、例えば、空調調和設備等の機器から排出されるドレン排水を排水部に処理するために機器の下流に配設されてなる。図15に示すように、配管構造10は、機器からのドレン水を溜めるドレンパン11と、ドレンパン11から排水部18までのドレン排水経路を形成し、ドレンパン11よりも上方に向けて配管された後、水平部位または湾曲部位を経て下方に向かって配管された配管部12と、ドレンパン11に溜まったドレン排水を排水部18まで圧送するためのポンプ13と、排水経路の途中に設置された弁装置100とを備える。配管部12の下流には、縦配管された排水管14が配置されている。弁装置100は、配管部12の鉛直方向下方に向かって延びる排水管14の一部に設置されている。なお、本発明の弁装置100は、配管部の途中であれば、いずれの場所に配設されてもよいことはいうまでもない。
【0054】
図16は、定常状態の配管構造10の弁装置100付近の部分拡大断面図である。図16に示すように、弁装置100の上流側開口端112が、排水管14の上流側配管15に水密に接続され、下流側開口端113が排水管14の下流側配管16に水密に接続されている。図16に示す定常状態では、ドレン水が流れておらず、また、配管内が過度の正圧または負圧にもなっていない。この定常状態の配管構造10において、弁体130が弁座114に着座して流路を閉塞している。そして、弁体130および弁座114が、弁装置100内部に滞留した排水によって完全に水没している。このとき、弁座114と弁体130との境界が完全に水没することによって、弁座114および弁体130の隙間が水封される。つまり、滞留水Wによって弁体130および弁座114が水封されていることにより、悪臭や害虫が弁体130を越えて上流側に移動することが効果的に防止されている。
【0055】
また、所定量の滞留水Wがその自重により弁体130に鉛直下方の力(重力)を作用する。しかし、付勢手段171、172による付勢力が、所定量の滞留水Wの自重によって作用される力を上回る場合、弁体130は上方に所定量の排水を滞留させることができる。本実施形態の弁装置100では、弁体130の着座部132の上面が、回動軸135から離隔するにつれて下流側に位置するように傾斜している。これにより、全体として、弁体130の上側の滞留水Wの量について、開口部117から離隔する先端側が基端側よりも相対的に大きくなって、弁体130上面には、滞留水Wによる不均一な荷重分布が形成される。すなわち、弁体130の回動軸135から離隔した部位により大きい荷重がかかることから、弁体130が動作時に閉鎖位置から開放位置へとより確実に回動変位することができる。
【0056】
次いで、図17および図18を参照して、配管構造10において、弁装置100が開放動作して滞留水Wを排水する形態について説明する。図17は、弁体130が流路を開放した状態の配管構造10の部分拡大縦断面図である。図18は、図17において、下流側から内挿部155および弁体130を見た部分拡大横断面図である。
【0057】
ドレンパン11からポンプ13によってドレン排水が圧送されると、上流から弁装置100にドレン排水が流入する。弁体130上の滞留水Wが所定量を超えたり、ポンプ13の圧力がかかると、滞留水Wの重力やポンプ13の圧力等による作用力が付勢手段171、172による磁気斥力を超えて、弁体130が下流側に回動する。そして、弁体130が弁座114から離間した開放位置に移動する。図17に示すように、弁体130は、弁体130の開口部117に相対的に近接した部位よりも、弁体130の開口部117から相対的に離隔した部位から先に弁座114から離隔する。そして、弁体130の上面が、開口部117から離隔した側が下流側に向かうように傾斜することから、滞留水Wが弁体130の開口部117から離隔した側から優先的に流れ落ちる。滞留水Wは、開口部117から離隔した側の周壁111の内面および下流側配管16の内面をつたって下流側へと排水される。
【0058】
特には、弁体130が傾動動作することにより、滞留水Wが傾斜面に沿って流れ落ちて、弁体130の上面に残ることが抑えられる。また、図18に示すように、開放位置にある弁体130の下方に内挿部155が、弁体130の内側に配置されていることから、弁体130の開口部117から離間した側から流れ落ちる滞留水Wによって、内挿部155および付勢磁石172が排水で濡れることが抑えられる。換言すると、管軸に直交する平面において、蓋体150の周壁111内部に臨む部位が、開口部117と離隔した側から排水される滞留水Wの流路と重合することがないことから、蓋体150の各部位が排水で濡れることが極力抑えられる。これにより、滞留水Wが排水されるときに、開口部117を介して装着された蓋体150(つまり、閉塞蓋部151側の部位)が濡れる量が軽減されるとともに、弁体130の上面に滞留水Wが残ることもまた抑えられる。
【0059】
そして、滞留水Wが排水され、および/または、上流側配管15と下流側配管16との圧力差が解消されると、付勢手段171、172の付勢力によって、弁体130が開放位置から閉鎖位置へと上流側に回動することで弁座114に着座するように復帰して、再び流路を封水状態で閉鎖する。
【0060】
次に、図19乃至図21を参照して、配管構造10に設置された弁装置100のメンテナンスのために、弁体130および蓋体150のアセンブリを装置本体110から取り外す工程について説明する。
【0061】
まず、図19に示すとおり、把持片151bを把持して蓋体150を回転させ、取着部152および被取着部116aの係合を解除し、そして、蓋体150を開口部117から引き出す方向に移動させる。このとき、弁体130は弁座114の着座面を開口部117側にスライドするが、封水状態がまだ維持されている。
【0062】
さらに、蓋体150を開口部117から引き出すと、図20に示すように、弁体130の膨出部133が開口部117側へとさらに引き出し方向に沿って相対移動し、弁座114の下流を向く着座面が膨出部133の傾斜面を成す離間案内部133aに乗り上がり、弁体130が下流側に強制的に回動する。つまり、弁体130に設けられた離間案内部133aが、弁体130を周壁111の外部に移動させる行程において、装置本体110の被当接部110aに当接して、弁体130を弁座114から強制的に離間移動させるように案内する。この蓋体150の引き出し操作に連動して、弁体130が弁座114から強制的に離間する。その結果、図20に示すように、弁体130の開口部117から離隔した側が先に弁座114から離間し、その開放箇所から滞留水Wが強制排水される。このとき、開口部117側に位置する蓋体150の各部位が濡れる量が軽減されるとともに、弁体130の上面に滞留水Wが残ることが抑えられる。
【0063】
また、図20に示す弁体130を周壁111の外部に移動させる行程において、パッキン158によって、蓋体150と装置本体110との間の水密が保たれている間に、離間案内部133aが弁体130を弁座114から離間させている。これにより、パッキン158による水密が保たれた状態で滞留水Wの水抜き操作が行われ、排水が外部に漏れ出ることが効果的に防止される。
【0064】
図21に示すとおり、滞留水Wが完全に強制排水された後、開口部117を介して弁体130等を周壁111内部から外部へと移動させるように、蓋体150をさらに引き出すことにより、弁体130および蓋体150のアセンブリを装置本体110から完全に取り外すことができる。上述したように、弁体130の排水動作時や強制排水時において、蓋体150の周壁111内部に臨む部位が排水で濡れることが抑えられ、且つ、弁体130の上面に滞留水Wが残ることが抑えられることから、外部に引き出される排水の量を効果的に軽減し、外部に排水をまき散らしてしまうことを防止することができる。
【0065】
以下、本発明に係る一実施形態の弁装置100における作用効果について説明する。
【0066】
本実施形態の弁装置100によれば、弁体130が、開口部117側に設けられた回動軸135を介して回動可能に軸支され、回動軸135を中心として閉鎖位置と開放位置との間を回動して変位するように構成されている。すなわち、弁体130が回動軸135を中心として回動して流路を開放する際、弁体130の開口部117から離隔した側から先に弁座114から大きく離れるとともに、弁体130の上面が、開口部117から離隔した側が下流側に向かうように傾斜することから、滞留水Wが弁体130の開口部117から離隔した側から優先的に流れ落ちて排水される。これにより、滞留水Wが排水されるときに、開口部117を介して装着された蓋体150の周壁111内部に臨む部位が濡れる量が軽減されるとともに、弁体130の上面に滞留水Wが残ることもまた抑えられる。したがって、本実施形態の弁装置100は、メンテナンスのために蓋体150および弁体130を装置本体110から取り外すときに、外部に引き出される排水の量を効果的に軽減し、外部に排水をまき散らしてしまうことを防止することができる。
【0067】
また、本実施形態の弁装置100によれば、弁体130が蓋体150の弁体支持部154によって支持されており、当該弁体130の膨出部133には、弁体130を周壁111の外部に移動させる行程において、装置本体110の一部に当接して、弁体130を弁座114から強制的に離間移動させる離間案内部133aが設けられている。そして、弁体130を支持する蓋体150を装置本体110から取り外す方向(引き出し方向)に移動させる操作に連動して、離間案内部133aによって弁体130を弁座114から強制的に離間させることができる。したがって、本実施形態の弁装置100は、作業者が蓋体150の取り外し操作を行うだけで、弁体130を強制的に開放して滞留水Wの水抜き操作を簡単且つ効率的に実施することを可能とし、なお且つ、作業者が水抜き操作を忘れて外部に排水をまき散らすことを確実に防止することができる。
【0068】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形例を取り得る。以下、本発明の変形例を説明する。なお、各変形例において、三桁で示される構成要素において下二桁が共通する構成要素は、説明がない限り、同一または類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0069】
(1)本発明の弁装置は、上記実施形態の構成に限定されない。図22は、別実施形態の弁装置200の概略断面図である。弁装置200は、上記実施形態とは異なり、付勢磁石272が、装置本体210の周壁211内面から延在する付勢磁石保持部219によって保持されている。本実施形態の弁装置200でも同様に、弁体230が、開口部217側に設けられた回動軸235を介して回動可能に軸支され、回動軸235を中心として閉鎖位置と開放位置との間を回動して変位することから、滞留水Wが排水されるときに、開口部217を介して装着された蓋体250の周壁211内部に臨む部位が濡れる量が軽減されるとともに、弁体230の上面に滞留水Wが残ることもまた抑えられる。したがって、弁装置200は、メンテナンスのために蓋体250および弁体230を装置本体210から取り外すときに、外部に引き出される排水の量を効果的に軽減し、外部に排水をまき散らしてしまうことを防止することができる。
【0070】
(2)本発明の弁装置は、上記実施形態の構成に限定されない。上記実施形態では、離間案内部が弁体の膨出部の傾斜面に形成されたが、本発明はこれに限定されない。図23は、別実施形態の弁装置300の概略断面図である。弁装置300は、上記実施形態とは異なり、装置本体310側に弁座314に隣接する箇所に下流側に膨出する膨出部319が設けられ、その傾斜面に離間案内部319aが形成されている。また、弁体330の上面には、閉鎖位置にあるときに、膨出部319を収容する収容凹部339が設けられている。すなわち、装置本体310には、弁体330を周壁311の外部に移動させる行程において、弁体330に当接して、弁体330を弁座314から強制的に離間移動させる離間案内部319aが設けられている。図24に示す配管構造30において、蓋体350を開口部317から引き出すと、装置本体310の膨出部319に対して弁体330が開口部317側へと引き出し方向に沿って相対移動し、弁体330の上面(着座部332)が膨出部319の傾斜面を成す離間案内部319aに乗り上がり、弁体330が下流側に強制的に回動する。つまり、弁体330に設けられた離間案内部319aが、弁体330を周壁311の外部に移動させる行程において、弁体330の被当接部330aに当接して、弁体330を弁座314から強制的に離間移動させるように案内する。この蓋体350の引き出し操作に連動して、弁体330が弁座314から強制的に離間する。その結果、図24に示すように、弁体330の開口部317から離隔した側が先に弁座314から離間し、その開放箇所から滞留水Wが強制排水される。
【0071】
(3)上記実施形態の弁装置では、付勢手段が弁体側磁石および付勢磁石の間に発生する磁力によるが、本発明はこれに限定されない。例えば、付勢手段は、弁体を弁座へと常時的に付勢可能であれば、回動軸に設けられたトーションばねや、弁体および内挿部間に設けられた弾性体であってもよい。また、付勢手段として、磁気斥力を発生させるように3つ以上の磁石を配列させてもよい。
【0072】
(4)本発明の弁装置は、上記実施形態の構成に限定されない。上記実施形態では、回動軸が弁体に一体的に設けられているが、本発明はこれに限定されず、例えば、回動軸が弁体と別体であってもよく、または、蓋体の基部に設けられてもよい。
【0073】
(5)本発明の弁装置は、上記実施形態の構成に限定されない。上記実施形態では、弁体が蓋体の弁体支持部に軸支されているが、本発明はこれに限定されず、例えば、弁体が装置本体の周壁に回動可能に軸支されてもよい。このような場合であっても、メンテナンスの際に弁体を蓋体とともに外部に引き出すことができないが、弁体が回動軸を中心として回動して流路を開放する際、弁体の開口部から離隔した側から先に弁座から離れるとともに、弁体の上面が、開口部から離隔した側が下流側に向かうように傾斜することから、滞留水が弁体の開口部から離隔した側から優先的に流れ落ちる。これにより、滞留水が排水されるときに、開口部を介して装着された蓋体の周壁内部に臨む部位が濡れる量が軽減される。その結果、蓋体を装置本体から取り外すときに、外部に引き出される排水の量を効果的に軽減し、外部に排水をまき散らしてしまうことを防止することができる。
【0074】
(6)本発明の弁装置は、上記実施形態の構成に限定されない。上記実施形態では、付勢磁石が内挿部の先端に固定されているが、付勢磁石が、内挿部の先端の収容空間内でその姿勢を自在に変更可能な状態で収容されてもよい。弁体の回動に伴って、付勢磁石の姿勢が変位することにより、弁体が変位しても、付勢磁石および弁体側磁石の対向面を平行に維持し、弁体側磁石に対する付勢方向を一定にすることができる。
【0075】
(7)本発明の弁装置は、上記実施形態の構成に限定されない。上記実施形態では、弁座が装置本体に設けられたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、弁座は、周壁内部の流路上に配置されればよく、例えば、弁体支持部よりも上流側で蓋体の閉塞蓋部内面から延在するように形成されてもよい。
【0076】
(8)上記実施形態の弁装置から、離間案内部などの一部の構成要素が省略されてもよい。すなわち、本発明の弁装置は、少なくとも本発明の課題を解決することができればよく、その構成要素を簡略化してもよい。
【0077】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0078】
10 配管構造
11 ドレンパン
12 配管部
13 ポンプ
14 排水管
15 上流側配管
16 下流側配管
100 弁装置
110 装置本体
110a 被当接部
111 周壁
112 上流側開口端
113 下流側開口端
114 弁座
115 通孔
116 筒壁
116a 被取着部
117 開口部
117a 貫通孔
118 段部
130 弁体
131 閉鎖部
132 着座部
133 膨出部
133a 離間案内部
134 弁体側磁石保持部
135 回動軸
150 蓋体
151 閉塞蓋部
151a 連結凹部
151b 把持片
152 取着部
153 基部
153a 連結軸部
154 弁体支持部
155 内挿部
156 付勢磁石保持部
157 規制部
158 パッキン
171 弁体側磁石(付勢手段)
172 付勢磁石(付勢手段)
W 滞留水
図1
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