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  • 特開-コーティング組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021581
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/06 20060101AFI20250206BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20250206BHJP
【FI】
C09D201/06
C09D7/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125374
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003812
【氏名又は名称】弁理士法人いくみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】市原 有人
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CG131
4J038GA03
4J038JC42
4J038KA03
4J038KA04
4J038KA06
4J038MA04
4J038MA08
4J038NA01
4J038NA25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】溶媒が水を含む場合であっても、主剤の凝集を抑制することができるコーティング組成物を提供すること。
【解決手段】コーティング組成物は、水酸基含有樹脂と、アルキルエーテル化メラミン樹脂と、マイクロカプセル触媒と、水とを含む。マイクロカプセル触媒は、触媒を含む芯物質と、触媒を内包する壁材とを含む。触媒のSP値が11以下である。触媒の酸性度が、-3.0以上5.0以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基含有樹脂と、
アルキルエーテル化メラミン樹脂と、
マイクロカプセル触媒と、
水とを含み、
前記マイクロカプセル触媒は、触媒を含む芯物質と、前記触媒を内包する壁材とを含み、
前記触媒のSP値が11以下であり、
前記触媒の酸性度が、-3.0以上5.0以下である、コーティング組成物。
【請求項2】
前記触媒が、ドデシルベンゼンスルホン酸亜鉛である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記壁材が、ポリウレアである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記ポリウレアが、水分散型ポリイソシアネートとポリアミンおよび/または水との反応生成物である、請求項3に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記水分散型ポリイソシアネートが、ポリイソシアネート成分とイオン性基を含有する活性水素基含有化合物との反応生成物である、請求項4に記載のコーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用塗料および家電用塗料の分野において、ポリオールとアルキルエーテル化メラミン樹脂とを含むコーティング組成物が使用されている。
【0003】
このようなコーティング組成物として、水酸基を有する樹脂と、アルキルエーテル化メラミン樹脂と、ルイス酸触媒と、溶剤とを含むコーティング組成物が、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2019/202964号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、環境保護の観点から、溶媒の一部または全部を、有機溶剤に代えて、水にすることが検討される。
【0006】
しかし、溶媒が水を含むと、主剤(水酸基を有する樹脂)が、金属系の触媒と相互作用して、凝集するという不具合がある。
【0007】
本発明は、溶媒が水を含む場合であっても、主剤の凝集を抑制することができるコーティング組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明[1]は、水酸基含有樹脂と、アルキルエーテル化メラミン樹脂と、マイクロカプセル触媒と、水とを含み、前記マイクロカプセル触媒は、触媒を含む芯物質と、前記触媒を内包する壁材とを含み、前記触媒のSP値が11以下であり、前記触媒の酸性度が、-3.0以上5.0以下である、コーティング組成物である。
【0009】
本発明[2]は、前記触媒が、ドデシルベンゼンスルホン酸亜鉛である、上記[1]に記載のコーティング組成物を含んでいる。
【0010】
本発明[3]は、前記壁材が、ポリウレアである、上記[1]または[2]に記載のコーティング組成物を含んでいる。
【0011】
本発明[4]は、前記ポリウレアが、水分散型ポリイソシアネートとポリアミンおよび/または水との反応生成物である、上記[3]に記載のコーティング組成物を含んでいる。
【0012】
本発明[5]は、前記水分散型ポリイソシアネートが、ポリイソシアネート成分とイオン性基を含有する活性水素基含有化合物との反応生成物である、上記[4]に記載のコーティング組成物を含んでいる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコーティング組成物は、所定の触媒を含むマイクロカプセル触媒を含む。そのため、溶媒が水を含む場合であっても、主剤(水酸基含有樹脂)の凝集を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1A図1Cは、積層体の製造方法一実施形態を示す。図1Aは、第1工程において、被塗装体を準備する工程を示す。図1Bは、第1工程において、被塗装体の表面(厚み方向一方面)に、塗膜を形成する工程を示す。図1Cは、塗膜を、所定の温度で硬化させ、硬化物としての硬化層を形成する第2工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
コーティング組成物は、水酸基含有樹脂と、アルキルエーテル化メラミン樹脂と、マイクロカプセル触媒と、水とを含む。
【0016】
<水酸基含有樹脂>
水酸基含有樹脂としては、例えば、水酸基含有アクリル樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂、水酸基含有ポリウレタン樹脂、および、水酸基含有エポキシ樹脂が挙げられる。水酸基含有樹脂として、好ましくは、水酸基含有アクリル樹脂が挙げられる。
【0017】
[水酸基含有アクリル樹脂]
水酸基含有アクリル樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、水酸基含有アクリルモノマーとを含む重合成分を重合させることによって得られる共重合体である。
【0018】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、炭素数1~12のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。炭素数1~12のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸iso-ブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルへキシル、および、(メタ)アクリル酸ラウリルが挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸および/またはアクリル酸を意味する。
【0019】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0020】
水酸基含有アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、および、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチルが挙げられる。
【0021】
水酸基含有アクリルモノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0022】
また、重合成分は、必要により、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび水酸基含有アクリルモノマーと共重合可能な共重合性ビニルモノマーを含むこともできる。
【0023】
共重合性ビニルモノマーとしては、例えば、カルボキシ基含有ビニルモノマー、アミノ基含有ビニルモノマー、グリシジル基含有ビニルモノマー、シアノ基含有ビニルモノマー、スルホン酸基含有ビニルモノマーおよびその塩、アセトアセトキシ基含有ビニルモノマー、リン酸基含有化合物、アミド基含有ビニルモノマー、芳香族ビニルモノマー、N-置換不飽和カルボン酸アミド、複素環式ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン化合物、α-オレフィン類、および、ジエン類などが挙げられる。
【0024】
カルボキシ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、および、クロトン酸が挙げられる。
【0025】
アミノ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、(メタ)アクリル酸2-(N-メチルアミノ)エチル、および、(メタ)アクリル酸2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルが挙げられる。
【0026】
グリシジル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルが挙げられる。
【0027】
シアノ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
【0028】
スルホン酸基含有ビニルモノマーとしては、例えば、アリルスルホン酸、および、メタリルスルホン酸が挙げられる。また、その塩としては、例えば、上記スルホン酸基含有ビニルモノマーのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、および、カリウム塩)、例えば、アンモニウム塩が挙げられる。具体的には、例えば、アリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、および、メタリルスルホン酸アンモニウムが挙げられる。
【0029】
アセトアセトキシ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシエチルなどが挙げられる。
【0030】
リン酸基含有化合物としては、例えば、2-メタクロイロキシエチルアシッドフォスフェートが挙げられる。
【0031】
アミド基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0032】
芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼンが挙げられる。
【0033】
N-置換不飽和カルボン酸アミドとしては、例えば、N-メチロール(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0034】
複素環式ビニル化合物としては、例えば、ビニルピロリドンが挙げられる。
【0035】
ハロゲン化ビニリデン化合物としては、例えば、塩化ビニリデン、および、フッ化ビニリデンが挙げられる。
【0036】
α-オレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。
【0037】
ジエン類としては、例えば、ブタジエンが挙げられる。
【0038】
共重合性ビニルモノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0039】
そして、水酸基含有アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと水酸基含有アクリルモノマーと、必要により配合される共重合性ビニルモノマーとを含む重合成分を、重合(共重合)させることにより得られる。
【0040】
重合方法は、特に制限されず、公知の重合方法が採用される。
【0041】
また、水酸基含有アクリル樹脂として、市販品を用いることもできる。このような市販品として、例えば、NeoCryl XK-110、NeoCryl XK-104(以上、DSM社製)が挙げられる。
【0042】
また、水酸基含有アクリル樹脂は、溶剤で希釈し、水酸基含有アクリル樹脂溶液として調製することもできる。水酸基含有アクリル樹脂溶液において、水酸基含有アクリル樹脂の固形分濃度は、例えば、30質量%以上、好ましくは、40質量%以上、また、70質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。
【0043】
水酸基含有樹脂の水酸基価は、例えば、15mgKOH/g以上、好ましくは、30mgKOH/g以上、より好ましくは、60mgKOH/g以上、さらに好ましくは、80mgKOH/g以下、また、例えば、150mgKOH/g以下、好ましくは、100mgKOH/g以下、より好ましくは、90mgKOH/g以下である。
【0044】
なお、水酸基含有樹脂の水酸基価は、例えば、JIS K 0070-1992(アセチル化法)に基づいて測定できる。
【0045】
また、水酸基含有樹脂の、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、例えば、5000以上、好ましくは、8000、より好ましくは、10000以上、た、例えば、200000以下、好ましくは、150000以下、より好ましくは、100000以下、さらに好ましくは、30000以下である。
【0046】
水酸基含有樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0047】
水酸基含有樹脂の含有割合は、水酸基含有樹脂およびアルキルエーテル化メラミン樹脂の総量100質量部に対して、例えば、40質量部以上、好ましくは、60質量部以上、また、例えば、90質量部以下、好ましくは、80質量部以下である。
【0048】
<アルキルエーテル化メラミン樹脂>
アルキルエーテル化メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとから得られるメラミン樹脂のメチロール基の少なくとも一部を、アルコールで変性(アルキルエーテル化)させることにより得られる。
【0049】
ホルムアルデヒドは、水溶液として調製できる。また、ホルムアルデヒドとして、固形のパラホルムアルデヒドをそのまま用いることもできる。
【0050】
ホルムアルデヒドを、水溶液として調製する場合には、その濃度は、例えば、80%以上、また、例えば、99%以下である。
【0051】
アルコールとしては、例えば、炭素数1以上6以下のアルコールが挙げられる。炭素数1以上6以下のアルコールとしては、例えば、炭素数1以上6以下の直鎖状の1価アルコール、および、炭素数1以上6以下の分岐状の1価アルコールが挙げられる。炭素数1以上6以下の直鎖状の1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、および、n-ヘキサノールが挙げられる。炭素数1以上6以下の分岐状の1価アルコールとしては、例えば、イソプロパノール、イソブタノール、sec-ブタノール、および、tert-ブタノールが挙げられる。
【0052】
アルコールとして、好ましくは、炭素数1以上6以下の直鎖状の1価アルコールが挙げられる。アルコールとして、より好ましくは、炭素数1以上4以下の直鎖状の1価アルコールが挙げられる。アルコールとして、さらに好ましくは、メタノール、エタノール、および、n-ブタノールが挙げられる。アルコールとして、とりわけ好ましくは、メタノールが挙げられる。
【0053】
アルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0054】
そして、アルキルエーテル化メラミン樹脂を得るには、まず、メラミンと、ホルムアルデヒドとをメチロール化反応させ、メラミン樹脂を得る。
【0055】
メラミンと、ホルムアルデヒドとをメチロール化反応させるには、メラミンと、ホルムアルデヒドとを配合する。具体的には、ホルムアルデヒドを、メラミン1molに対するホルムアルデヒドの平均付加数が、3mol以上、好ましくは、4mol以上、また、6mol以下となるよう、配合する。
【0056】
上記平均付加数は、例えば、13C-NMRによる分析で算出することができる。
【0057】
なお、メラミンの3つのアミノ基のすべてに、ホルムアルデヒドが付加した場合、ホルムアルデヒドの付加数は、6molである。
【0058】
また、上記メチロール化反応において、メラミンおよびホルムアルデヒドとともに、予め、アルコール(アルキルエーテル化に供するアルコール)を配合する。アルコールの配合割合は、メラミン1molに対して、例えば、4mol以上、好ましくは、6mol以上、また、例えば、7mol以下である。
【0059】
メチロール化反応の後、酸触媒を配合し、メラミン樹脂のメチロール基の少なくとも一部を、アルコールで変性(アルキルエーテル化)する。
【0060】
アルコールは、酸触媒とともに配合することもでき、または、メラミンおよびホルムアルデヒドとともに、予め配合することもできる。
【0061】
酸触媒としては、例えば、有機酸、および、無機酸が挙げられる。有機酸としては、例えば、蟻酸、蓚酸、および、パラトルエンスルホン酸が挙げられる。無機酸としては、例えば、燐酸、塩酸、硫酸、および、硝酸が挙げられる。酸触媒として、好ましくは、有機酸が挙げられる。酸触媒として、より好ましくは、パラトルエンスルホン酸が挙げられる。
【0062】
酸触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0063】
酸触媒の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0064】
反応条件として、反応温度は、例えば、60℃以上、また、例えば、120℃以下である。また、反応時間は、例えば、1時間以上、また、例えば、12時間以下である。
【0065】
その後、中和剤(例えば、水酸化ナトリウム)を配合し、反応生成物を中和する。
【0066】
これにより、アルキルエーテル化メラミン樹脂が得られる。
【0067】
また、アルキルエーテル化メラミン樹脂は、溶剤(例えば、イソプロピルアルコール)で希釈して、アルキルエーテル化メラミン樹脂溶液として調製することもできる。
【0068】
アルキルエーテル化メラミン樹脂溶液において、アルキルエーテル化メラミン樹脂の固形分濃度は、例えば、30質量%以上、好ましくは、40質量%以上、また、例えば、80質量%以下である。
【0069】
このようなアルキルエーテル化メラミン樹脂として、好ましくは、メラミン樹脂のメチロール基の少なくとも一部を、メタノールで変性(アルキルエーテル化)させるメチルエーテル化メラミン樹脂が挙げられる。
【0070】
アルキルエーテル化メラミン樹脂の、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、例えば、800以上、好ましくは、1000、より好ましくは、1300以上、また、例えば、10000以下、好ましくは、6000以下、より好ましくは、3000以下、さらに好ましくは、2000以下である。
【0071】
アルキルエーテル化メラミン樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0072】
アルキルエーテル化メラミン樹脂の含有割合は、水酸基含有樹脂およびアルキルエーテル化メラミン樹脂の総量100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上、また、例えば、60質量部以下、好ましくは、40質量部以下である。
【0073】
また、アルキルエーテル化メラミン樹脂に対する水酸基含有樹脂の質量比(水酸基含有樹脂/アルキルエーテル化メラミン樹脂)は、例えば、1.00以上、好ましくは、2.00以上、より好ましくは、2.20以上、また、例えば、4.00以下、好ましくは、3.00以下、より好ましくは、2.50以下である。
【0074】
<マイクロカプセル触媒>
マイクロカプセル触媒は、触媒を含む芯物質と、触媒を内包する壁材と含む。
【0075】
[触媒]
触媒は、カチオンと、対アニオンとからなる。
【0076】
カチオンは、金属のカチオンである。金属としては、例えば、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、コバルト、ニッケル、錫、亜鉛、銅、および、ビスマスが挙げられる。金属として、好ましくは、亜鉛が挙げられる。
【0077】
対アニオンは、プロトン酸の脱プロトン化体である。
【0078】
プロトン酸としては、例えば、無機酸、および、有機酸が挙げられる。
【0079】
無機酸としては、例えば、塩酸、リン酸、硫酸、および、硝酸が挙げられる。
【0080】
有機酸としては、例えば、カルボン酸、および、スルホン酸が挙げられる。
【0081】
カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクチル酸、および、ステアリン酸が挙げられる。カルボン酸として、好ましくは、オクチル酸が挙げられる。
【0082】
スルホン酸としては、例えば、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、および、ドデシルベンゼンスルホン酸が挙げられる。スルホン酸として、好ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸が挙げられる。
【0083】
このような触媒として、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸亜鉛、ドデシルベンゼンスルホン酸アルミニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ニッケル、および、オクチル酸亜鉛が挙げられる。触媒として、好ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸亜鉛、および、オクチル酸亜鉛が挙げられる。触媒として、より好ましくは、反応性の観点から、ドデシルベンゼンスルホン酸亜鉛が挙げられる。
【0084】
また、触媒のHildebrand溶解度パラメータ値(SP値)は、例えば、11.0以下であり、好ましくは、10.5以下、より好ましくは、10以下、また、例えば、5以上である。
【0085】
上記SP値が、上記上限以下であれば、極性が低く、疎水性であるため、耐湿性に優れるコーティング層を形成することができる。
【0086】
触媒の酸性度は、溶媒が水を含む場合における、水酸基含有樹脂の凝集を抑制する観点から、例えば、-3.0以上、好ましくは、-2.0以上、また、アルキルエーテル化メラミン樹脂の硬化反応の促進の観点から、例えば、5.0以下、好ましくは、3.0以下、より好ましくは、1.0以下、さらに好ましくは、-1.0以下である。
【0087】
なお、上記酸性度は、例えば、『化学便覧』、改訂5版、日本化学会、pp.II-332-333 ISBN 4-621-07341-9、 11.6 非水系の平衡定数、ibin、pp. 354-356に準拠して、測定することができる。
【0088】
また、触媒は、上記金属(上記金属の酸化物)と、プロトン酸とを反応させることにより調製することができる。
【0089】
[壁材]
壁材としては、特に限定されず、例えば、アミノ樹脂(例えば、尿素とホルムアルデヒドとの反応生成物、メラミンとホルムアルデヒドとの反応生成物)、アクリル樹脂(例えば、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする重合体)、および、ポリウレア(水分散型ポリイソシアネートとポリアミンおよび/または水との反応生成物)が挙げられる。壁材として、分散性および強度の観点から、好ましくは、ポリウレアが挙げられる。以下の説明では、壁材がポリウレアである場合について、詳述する。
【0090】
ポリウレアは、水分散型ポリイソシアネートを含むイソシアネート組成物とポリアミンおよび/または水との反応生成物である。
【0091】
イソシアネート組成物は、水分散型ポリイソシアネートを含む。
【0092】
水分散型ポリイソシアネートは、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分との反応生成物である。
【0093】
ポリイソシアネート成分は、ポリイソシアネートを含む。
【0094】
ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。
【0095】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6-HDI)、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(1,5-PDI)、テトラメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,2-、2,3-または1,3-ブチレンジイソシアネート、および、2,4,4-または2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとして、好ましくは、1,6-HDIおよび1,5-PDIが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとして、より好ましくは、1,6-HDIが挙げられる。
【0096】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、脂環族ジイソシアネートが挙げられる。脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4′-、2,4′-または2,2′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)もしくはその混合物(H12MDI)、1,3-または1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物(HXDI)、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、および、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネートが挙げられる。脂環族ジイソシアネートとして、好ましくは、IPDIが挙げられる。
【0097】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネートが挙げられる。芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、例えば、4,4′-、2,4′-または2,2′-ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(MDI)、2,4-または2,6-トリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TDI)、o-トリジンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、m-またはp-フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4′-ジフェニルジイソシアネート、および、4,4′-ジフェニルエーテルジイソシアネートが挙げられる。
【0098】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネート(1,2-、1,3-または1,4-キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(XDI)、1,3-または1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TMXDI)、および、ω,ω′-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼンが挙げられる。
【0099】
ポリイソシアネートには、そのポリイソシアネートの誘導体も含まれる。
【0100】
ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネートのイソシアヌレート誘導体、アロファネート誘導体、ポリオール誘導体、ビウレット誘導体、ウレア誘導体、オキサジアジントリオン誘導体、カルボジイミド誘導体、ウレトジオン誘導体、および、ウレトンイミン誘導体が挙げられる。ポリイソシアネートの誘導体として、好ましくは、イソシアヌレート誘導体が挙げられる。
【0101】
ポリイソシアネートとして、好ましくは、脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートの誘導体(好ましくは、脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート誘導体)、および、脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。ポリイソシアネートとして、より好ましくは、脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。
【0102】
活性水素基含有成分は、親水性基を含有する活性水素基含有化合物を含む。
【0103】
親水性基を含有する活性水素基含有化合物は、ノニオン性基またはイオン性基などの親水性基を含有し、アミノ基または水酸基などの活性水素基を1つ以上含有する化合物である。親水性基を含有する活性水素基含有化合物として、例えば、ノニオン性基を含有する活性水素基含有化合物、イオン性基を含有する活性水素基含有化合物が挙げられる。
【0104】
ノニオン性基を含有する活性水素基含有化合物としては、例えば、ポリオキシエチレン基を含有する活性水素化合物が挙げられる。
【0105】
ポリオキシエチレン基を含有する活性水素化合物は、主鎖または側鎖にポリオキシエチレン基を含み、1つ以上の活性水素基を有する化合物である。活性水素基として、好ましくは、水酸基が挙げられる。
【0106】
ポリオキシエチレン基を主鎖に含有する活性水素化合物としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール(例えば、数平均分子量200以上、好ましくは、300以上、また、6000以下、好ましくは、3000以下)、片末端封止ポリオキシエチレングリコールが挙げられる。
【0107】
片末端封鎖ポリオキシエチレングリコールとしては、例えば、アルキル基で片末端封止したアルコキシエチレングリコール(モノアルコキシポリエチレングリコール)が挙げられる。
【0108】
モノアルコキシポリエチレングリコールにおいて、片末端を封止するためのアルキル基の炭素数は、例えば、1以上であり、例えば、20以下、好ましくは、10以下、より好ましくは、8以下、さらに好ましくは、4以下、とりわけ好ましくは、2以下である。すなわち、片末端を封止するためのアルキル基として、好ましくは、メチル基が挙げられる。
【0109】
そのようなアルキル基によって片末端封止されたモノアルコキシポリエチレングリコールとして、具体的には、メトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレングリコールが挙げられ、好ましくは、メトキシポリエチレングリコールが挙げられる。
【0110】
片末端封鎖ポリオキシエチレングリコールの数平均分子量(GPC測定によるポリスチレン換算分子量)は、例えば、200以上、好ましくは、300以上であり、例えば、6000以下、好ましくは、3000以下である。
【0111】
ポリオキシエチレン基を側鎖に含有する活性水素化合物としては、例えば、ポリオキシエチレン側鎖含有ポリオールが挙げられる。
【0112】
ポリオキシエチレン側鎖含有ポリオールは、側鎖にポリオキシエチレン基を含み、主鎖末端に2つ以上(好ましくは、2つ)の水酸基を有する有機化合物であって、次のように合成することができる。
【0113】
すなわち、まず、ジイソシアネート(好ましくは、HDI)と、上記片末端封鎖ポリオキシエチレングリコールとを、片末端封鎖ポリオキシエチレングリコールの水酸基に対して、ジイソシアネートのイソシアネート基が過剰となる割合でウレタン化反応させ、必要により未反応のジイソシアネートを除去することにより、ポリオキシエチレン鎖含有モノイソシアネートを得る。
【0114】
ジイソシアネートとして、好ましくは、上記脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
【0115】
なお、これらの反応条件は、公知の条件でよく、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0116】
次いで、得られるポリオキシエチレン鎖含有モノイソシアネートと、ジアルカノールアミン(例えば、ジエタノールアミンなど)とを、ジアルカノールアミンの2級アミノ基に対して、ポリオキシエチレン基含有モノイソシアネートのイソシアネート基がほぼ等量となる割合でウレア化反応させる。
【0117】
これにより、ポリオキシエチレン側鎖を含有するポリオール(好ましくは、ポリオキシエチレン側鎖含有ジオール)が得られる。
【0118】
ポリオキシエチレン側鎖含有ポリオールの数平均分子量(GPC測定によるポリスチレン換算分子量)は、例えば、200以上、好ましくは、300以上であり、例えば、6000以下、好ましくは、3000以下である。
【0119】
なお、ノニオン性基を含有する活性水素基含有化合物において、ノニオン性基、具体的には、ポリオキシエチレン基の数平均分子量は、例えば、600以上6000以下である。
【0120】
ノニオン性基を含有する活性水素基含有化合物として、好ましくは、ポリオキシエチレン側鎖を含有するポリオールが挙げられる。
【0121】
イオン性基を含有する活性水素基含有化合物は、例えば、カルボン酸などのアニオン性基、または、4級アミンなどのカチオン性基と、2つ以上の水酸基またはアミノ基などの活性水素基とを併有する有機化合物であって、好ましくは、アニオン性基と2つ以上の水酸基とを併有する有機化合物、より好ましくは、カルボン酸と2つの水酸基とを併有する有機化合物(カルボキシ基を含有する活性水素基含有化合物(例えば、カルボキシ基含有ポリオールなど))が挙げられる。
【0122】
カルボキシ基含有ポリオールとしては、例えば、2,2-ジメチロール酢酸、2,2-ジメチロール乳酸、2,2-ジメチロールプロピオン酸(別名:ジメチロールプロピオン酸)、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロール吉草酸などのポリヒドロキシアルカン酸(ジヒドロキシアルカン酸)が挙げられる。カルボキシ基含有ポリオールとして、好ましくは、2,2-ジメチロールプロピオン酸が挙げられる。
【0123】
親水性基を含有する活性水素基含有化合物として、好ましくは、反応性の観点から、イオン性基を含有する活性水素基含有化合物が挙げられる。つまり、好ましくは、水分散型ポリイソシアネートは、ポリイソシアネート成分とイオン性基を含有する活性水素基含有化合物との反応生成物である。
【0124】
親水性基を含有する活性水素基含有化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0125】
活性水素基含有成分は、必要により、低分子量ポリオールおよびマクロポリオールを含む。
【0126】
低分子量ポリオールは、50以上、好ましくは、70以上、また、650以下、好ましくは、600以下の分子量を有する化合物である。
【0127】
低分子量ポリオールとして、例えば、炭素数2~6の短鎖ジオールが挙げられる。炭素数2~6の短鎖ジオールとして、例えば、炭素数2~6のアルカンジオール(炭素数2~6のアルキレングリコール)、炭素数2~6のエーテルジオールおよび炭素数2~6のアルケンジオールが挙げられる。
【0128】
炭素数2~6のアルカンジオールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,3-または1,4-シクロヘキサンジオールが挙げられる。
【0129】
炭素数2~6のエーテルジオールとして、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびジプロピレングリコールが挙げられる。
【0130】
炭素数2~6のアルケンジオールとして、例えば、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテンが挙げられる。
【0131】
低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0132】
マクロポリオールは、650以上、好ましくは、700以上、また、3000以下、好ましくは、2000以下の分子量を有する化合物である。
【0133】
マクロポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオールおよびビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。マクロポリオールとして、好ましくは、ポリカーボネートポリオールが挙げられる。
【0134】
ポリカーボネートポリオールは、2価アルコールと炭酸エステルとを反応させることにより得られる。
【0135】
2価アルコールとしては、例えば、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオールが挙げられる。
【0136】
炭酸エステルとしては、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルが挙げられる。
【0137】
活性水素基含有成分は、好ましくは、低分子量ポリオールおよびマクロポリオールを含まず、親水性基を含有する活性水素基含有化合物からなるか、または、低分子量ポリオールを含まず、親水性基を含有する活性水素基含有化合物およびマクロポリオールからなる。
【0138】
活性水素基含有成分が、親水性基を含有する活性水素基含有化合物からなる場合には、親水性基を含有する活性水素基含有化合物は、好ましくは、ノニオン性基を含有する活性水素基含有化合物を含み、より好ましくは、ノニオン性基を含有する活性水素基含有化合物からなる。
【0139】
また、活性水素基含有成分が、親水性基を含有する活性水素基含有化合物およびマクロポリオールからなる場合には、親水性基を含有する活性水素基含有化合物は、好ましくは、イオン性基を含有する活性水素基含有化合物を含み、より好ましくは、イオン性基を含有する活性水素基含有化合物からなる。
【0140】
また、活性水素基含有成分が、親水性基を含有する活性水素基含有化合物およびマクロポリオールからなる場合には、親水性基を含有する活性水素基含有化合物の含有割合は、活性水素基含有成分に対して、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、また、例えば、20質量%以下、好ましくは、10質量%以下である。また、マクロポリオールの含有割合は、活性水素基含有成分に対して、例えば、80質量%以上、好ましくは、90質量%以上、また、例えば、99質量%以下、好ましくは、95質量%以下である。
【0141】
活性水素基含有成分は、より好ましくは、低分子量ポリオールを含まず、親水性基を含有する活性水素基含有化合物およびマクロポリオールからなる。
【0142】
そして、水分散型ポリイソシアネートを製造するには、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを、活性水素基含有成分における活性水素基(水酸基)に対する、ポリイソシアネート成分におけるイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)において、1を超える割合、好ましくは、1.1以上10以下の割合で配合して、これらを反応(重合)する。
【0143】
重合方法としては、バルク重合、溶液重合が挙げられる。重合方法として、好ましくは、溶液重合が挙げられる。
【0144】
溶液重合では、例えば、窒素雰囲気下、有機溶媒(溶剤)に、ポリイソシアネート成分と活性水素基含有成分とを配合して反応させる。反応条件として、反応温度は、例えば、20℃以上、また、例えば、80℃以下である。反応時間は、例えば、1時間以上、また、例えば、20時間以下である。
【0145】
有機溶媒としては、イソシアネート基に対して不活性で、かつ、親水性に富む、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなどが挙げられる。
【0146】
また、例えば、親水性基としてアニオン性基が含まれている場合には、好ましくは、中和剤(例えば、トリエチルアミン)を添加して中和し、アニオン性基の塩を形成させる。
【0147】
また、上記重合では、必要に応じて、例えば、反応触媒(例えば、ジオクチルチンジラウレート)を添加してもよい。また、未反応のポリイソシアネート成分を、例えば、蒸留や抽出などの公知の方法により、除去することもできる。
【0148】
これにより、水分散型ポリイソシアネートを得る。
【0149】
水分散型ポリイソシアネートのイソシアネート基濃度は、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、1.0質量%以上、例えば、22質量%以下、好ましくは、15質量%以下である。
【0150】
イソシアネート組成物は、好ましくは、他のイソシアネート基末端プレポリマーを含む。
【0151】
他のイソシアネート基末端プレポリマーは、他のポリイソシアネート成分と他のマクロポリオールとの反応生成物である。
【0152】
他のポリイソシアネート成分としては、上記水分散型ポリイソシアネートのポリイソシアネートで例示したポリイソシアネートが挙げられる。他のポリイソシアネート成分として、好ましくは、脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。他のポリイソシアネート成分として、より好ましくは、IPDIが挙げられる。
【0153】
他のマクロポリオールとしては、上記水分散型ポリイソシアネートのマクロポリオールで例示したマクロポリオールが挙げられる。他のマクロポリオールとして、好ましくは、ポリカーボネートポリオールが挙げられる。
【0154】
そして、他のイソシアネート基末端プレポリマーは、他のポリイソシアネート成分と他のマクロポリオールとを、反応(重合)させることにより得られる。
【0155】
反応方法(重合における当量比(イソシアネート基/活性水素基)、反応温度および反応時間)は、上記水分散型ポリイソシアネートの同様である。
【0156】
これにより、他のイソシアネート基末端プレポリマーを得る。
【0157】
イソシアネート組成物が、他のイソシアネート基末端プレポリマーを含む場合には、他のイソシアネート基末端プレポリマーの含有割合は、イソシアネート組成物に対して、例えば、30質量%以上、好ましくは、45質量%以上、また、例えば、70質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。また、水分散型ポリイソシアネートの含有割合は、イソシアネート組成物に対して、例えば、30質量%以上、好ましくは、40質量%以上、また、例えば、70質量%以下、好ましくは、55質量%以下である。
【0158】
そして、後述する方法によって、イソシアネート組成物とポリアミンとを反応させることにより、ポリウレアを得る。
【0159】
[マイクロカプセル触媒の製造方法]
マイクロカプセル触媒の製造方法としては、特に限定されず、例えば、界面重合法、in-situ重合法、コアセルベーション法、液中乾燥法、スプレードライング法、融解分散冷却法、オリフィス法、気中懸濁被覆法、および、無機質壁マイクロカプセル化法が挙げられる。マイクロカプセル触媒の製造方法として、好ましくは、界面重合法が挙げられる。
【0160】
界面重合法では、まず、触媒を分散媒に分散させる。
【0161】
分散媒は、公知の有機溶剤であって、例えば、酢酸エチル、トルエンおよびヘキサノールが挙げられる。
【0162】
次いで、イソシアネート組成物を配合する。
【0163】
次いで、水を配合した後、例えば、ホモジナイザーを用いて、乳化分散させる。
【0164】
次いで、ポリアミンを配合する。
【0165】
ポリアミンとしては、例えば、芳香族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、脂肪族ポリアミン、アミノアルコール、ポリオキシエチレン基含有ポリアミン、第1級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物、第1級アミノ基および第2級アミノ基を併有するアルコキシシリル化合物、および、ヒドラジンが挙げられる。ポリアミンとして、好ましくは、ヒドラジンが挙げられる。
【0166】
そして、ポリイソシアネートとポリアミンおよび/または水(系中のわずかな水)とが、分散媒と水との界面で反応することにより、触媒を内包するマイクロカプセルの水分散液が製造される。
【0167】
また、上記反応において、反応温度は、例えば、5℃以上、好ましくは、10℃以上、また、例えば、50℃以下、好ましくは、30℃以下である。また、反応時間は、例えば、30分以上、好ましくは、60分以上、また、例えば、300分以下、好ましくは、180分以下である。また、ポリアミンのアミノ基に対する、ポリイソシアネートのイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/アミノ基)は、例えば、0.7以上、好ましくは、0.9以上、また、例えば、1.1以下である。
【0168】
マイクロカプセルの溶液の固形分濃度は、例えば、1質量%以上、好ましくは、3質量%以上、また、例えば、15質量%以下、好ましくは、10質量%以下である。
【0169】
マイクロカプセルの体積平均粒子径は、例えば、1.0μm以上、好ましくは、2.0μm以上、また、例えば、また、例えば、20.0μm以下、好ましくは、10.0μm以下、より好ましくは、8.0μm以下、さらに好ましくは、4.0μm以下、とりわけ好ましくは、3.0μm以下である。
【0170】
上記体積平均粒子径の測定方法は、後述する実施例において、詳述する。
【0171】
マイクロカプセル触媒における触媒の含有割合は、水酸基含有樹脂およびアルキルエーテル化メラミン樹脂の総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上、また、例えば、25質量部以下、好ましくは、15質量部以下、より好ましくは、8質量部以下である。
【0172】
<水>
水は、コーティング組成物における分散媒である。
【0173】
水の含有割合は、コーティング組成物に対して、例えば、50質量%以上、好ましくは、55質量%以上、より好ましくは、60質量%以上、また、例えば、80質量%以下でる。
【0174】
また、コーティング組成物は、有機溶剤を含む。具体的には、水酸基含有樹脂およびアルキルエーテル化メラミン樹脂を製造する際に用いられる有機溶剤を含む。
【0175】
有機溶剤の含有割合は、コーティング組成物に対して、環境保護の観点から、例えば、20質量%以下、好ましくは、15質量%以下である。
【0176】
また、コーティング組成物の固形分濃度は、例えば、10質量%以上、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。
【0177】
<コーティング組成物の調製>
コーティング組成物は、水酸基含有樹脂と、アルキルエーテル化メラミン樹脂と、マイクロカプセル触媒と、水と混合することにより調製される。水は、マイクロカプセル触媒を製造する際に用いる水をそのまま利用することもできるし、または、水酸基含有樹脂と、アルキルエーテル化メラミン樹脂と、マイクロカプセル触媒とを配合する際に、新たに水を配合してもよい。
【0178】
上記調製において、さらに、添加剤を、適宜の割合で配合することもできる。つまり、コーティング組成物は、添加剤を含むこともできる。
【0179】
添加剤として、例えば、顔料、染料、レベリング剤、安定向上剤、発泡抑制剤、耐候性向上剤、ワキ防止剤、酸化防止剤、分散剤、湿潤剤、チクソ剤、および、紫外線吸収剤が挙げられる。
【0180】
添加剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0181】
これにより、コーティング組成物が調製される。
【0182】
<積層体の製造方法>
図1を参照して、積層体の製造方法の製造方法(コーティング組成物の使用方法)の一実施形態を説明する。
【0183】
図1において、紙面上下方向は、上下方向(厚み方向)であって、紙面上側が、上側(厚み方向一方側)、紙面下側が、下側(厚み方向他方側)である。また、紙面左右方向および奥行き方向は、上下方向に直交する面方向である。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
【0184】
積層体の製造方法は、被塗装体2の表面に、塗膜3を形成する第1工程と、塗膜3を、所定の温度で硬化させ、硬化層4を形成する第2工程とを備える。この方法では、積層体1を製造するとともに、硬化物としての硬化層4を製造する。
【0185】
[第1工程]
第1工程では、被塗装体2の表面(厚み方向一方面)に、塗膜3を形成する。
【0186】
第1工程では、図1Aに示すように、まず、被塗装体2を準備する。
【0187】
被塗装体2は、硬化層4によって、その表面(厚み方向一方面)に、各種物性が付与される被塗装体である。
【0188】
なお、図1Aにおいて、被塗装体2は、平板形状を有するが、被塗装体2の形状は、特に限定されず、種々の形状が選択される。
【0189】
被塗装体2として、好ましくは、産業的な入手の容易さの観点から、樹脂、および、金属が挙げられる。
【0190】
樹脂として、例えば、ポリエスエル樹脂、(メタ)アクリル樹脂(アクリル樹脂および/またはメタクリル樹脂を含む)、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合樹脂(ABS樹脂)、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン、スチレン・アクリロニトリル共重合体樹脂、および、酢酸セルロースが挙げられる。ポリエスエル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、および、ポリエチレンナフタレートが挙げられる。(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)が挙げられる。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、および、ポリプロピレン樹脂が挙げられる。
【0191】
金属としては、例えば、鉄、アルミ、亜鉛、ステンレス、および、これらの合金が挙げられる。
【0192】
次いで、図1Bに示すように、被塗装体2の表面(厚み方向一方面)に、コーティング組成物を塗布し、必要により、乾燥する。
【0193】
塗布方法として、例えば、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、グラビアコート法、スピンコート法、バーコーター法、および、ドクターブレード法が挙げられる。塗布方法として、好ましくは、バーコーター法が挙げられる。
【0194】
これにより、被塗装体2の表面(厚み方向一方面)に、塗膜3を形成する。
【0195】
[第2工程]
第2工程では、図1Cに示すように、塗膜3を、所定の温度で硬化させ、硬化層4を形成する。
【0196】
詳しくは、塗膜3を、例えば、40℃以上、好ましくは、60℃以上、また、例えば、100℃以下で硬化させる。
【0197】
また、硬化時間(加熱時間)は、例えば、15分以上、好ましくは、20分以上、また、例えば、120分以下、好ましくは、60分以下である。
【0198】
これにより、マイクロカプセル触媒における壁材から触媒が放出される。そして、触媒存在下で、水酸基含有樹脂と、アルキルエーテル化メラミン樹脂とが反応することにより、塗膜3が硬化して、硬化物としての硬化層4を形成する。
【0199】
硬化層4の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上、また、例えば、50μm以下、好ましくは、20μm以下、より好ましくは、16μm以下である。
【0200】
以上により、被塗装体2と、硬化層4とを厚み方向に順に備える積層体1を製造する。
【0201】
<作用効果>
コーティング組成物は、所定の触媒を含むマイクロカプセル触媒を含む。そのため、溶媒が水を含む場合であっても、水酸基含有樹脂の凝集を抑制することができる。
【0202】
詳しくは、環境保護のコーティング組成物の溶媒の一部または全部を、有機溶剤に代えて、水にすることが検討される。
【0203】
しかし、溶媒が水を含むと、相溶性の観点から、水酸基を有する樹脂が、金属系の触媒および必要により配合される添加剤のうち金属を含む添加剤(金属系の添加剤)と相互作用して、凝集するという不具合がある。
【0204】
一方、コーティング組成物では、触媒は、カプセル化されている。そのため、相溶性の観点から、水酸基含有樹脂の凝集を抑制することができる。
【実施例0205】
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0206】
<成分の詳細>
各製造例、各実施例、各調製例、および、各比較例で用いた成分の、商品名および略語について、詳述する。
NeoCryl XK-110:水酸基を含有するアクリル樹脂溶液、固形分濃度46.5質量%、重量平均分子量20,000、水酸基価84mgKOH/g、DSM社製
NeoCryl XK-104:水酸基を含有するアクリル樹脂溶液、固形分濃度53質量%、重量平均分子量120,000、水酸基価40mgKOH/g、DSM社製
オクチル酸亜鉛:SP値9.2、酸性度4.9、ナカライテスク製
硝酸アルミニウム九水和物:SP値15.4、酸性度-1.3、和光純薬製
ETERNACOLL UH-100:ポリカーボネートポリオール、宇部興産株式会社製
DHD-1000:MPEG-1000(メトキシポリエチレングルコール)と、HDIとを反応させ、未反応のHDIを除去した後、ジエタノールアミンと反応させることにより得られるポリオキシエチレン基を側鎖に含有する活性水素化合物
タケネートWD-726(ノニオン性基を含有する活性水素基含有化合物を用いて得られる水分散型ポリイソシアネート、イソシアネート基濃度10.1質量%、固形分濃度80質量%、三井化学株式会社製)
デュラネートTKA-100:HDIのイソシアヌレート誘導体とMPEG-1000(メトキシポリエチレングルコール)との反応生成物(イソシアネート基濃度21.8質量%、固形分濃度100質量%、旭化成株式会社製)
【0207】
<メチルエーテル化メラミン樹脂溶液の調製>
調製例1
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4つ口フラスコにメラミン126g、ホルマリン濃度が92%のパラホルムアルデヒド163.2gおよびメタノール192.2gを仕込み、還流温度まで昇温した。還流温度で1時間メチロール化反応を実施した。次いで、パラトルエンスルホン酸の50%水溶液0.180gを加え、還流状態にてメチルエーテル化反応を3時間実施した。その後、20%水酸化ナトリウム溶液0.160gで反応生成物を中和し、次いで、減圧下でエタノールおよび水を留去した後、イソプロピルアルコールで固形分濃度72.4質量%となるまで希釈して、メチルエーテル化メラミン樹脂溶液を得た。メチルエーテル化メラミン樹脂の重量平均分子量は、1400であった。
【0208】
<ドデシルベンゼンスルホン酸亜鉛の調製>
製造例1
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、99.5%エタノール100質量部と酸化亜鉛1重量部とを加えて、70℃で撹拌しながらドデシルベンゼンスルホン酸(TCI製)8.02質量部を添加し、透明になるまで撹拌した。反応後、減圧しながら100℃で蒸留することで未反応の成分および99.5%エタノールを除去した。これにより、ドデシルベンゼンスルホン酸亜鉛(SP値:9.4、酸性度-1.8)を得た。
【0209】
<他のイソシアネート基末端プレポリマーの製造>
製造例2
4つ口フラスコ(1L)に、ETERNACOLL UH-100 207.7質量部、イソホロンジイソシアネート(富士フィルム和光純薬株式会社製)92.3質量部、酢酸ブチル200質量部、および、ジオクチルチンジラウレート(ネオスタンU-810、日東化成工業株式会社製)0.02質量部を、室温(25℃)で撹拌し溶解させた後、75℃で反応させた。これにより、他のイソシアネート基末端プレポリマー(イソシアネート基濃度3.5質量%)を得た。
【0210】
<水分散型ポリイソシアネートの製造>
製造例3
4つ口フラスコ(1L)にDHD-1000 310.8質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(東ソー株式会社製)89.2質量部、酢酸ブチル100酢酸部、および、ジオクチルチンジラウレート(ネオスタンU-810、日東化成工業株式会社製)0.02質量部を室温(25℃)で撹拌し溶解させた後、75℃で反応させた。これにより、水分散型ポリイソシアネート(イソシアネート基濃度5.6質量%)を得た。
【0211】
製造例4
4つ口フラスコ(1L)に、ジメチロールプロピオン酸(東京化成工業株式会社製)19.1質量部、ETERNACOLL UH-100 242.5質量部、イソホロンジイソシアネート(富士フィルム和光純薬株式会社製)138.4質量部、酢酸ブチル100質量部、ジオクチルチンジラウレート(ネオスタンU-810、日東化成工業株式会社製)0.02質量部を室温(25℃)で撹拌し溶解させた後、75℃で反応させた。これにより、水分散型ポリイソシアネート(イソシアネート基濃度5.0質量%)を得た。
【0212】
<マイクロカプセル触媒水分散液の製造>
製造例5(ノニオン性基を含有する活性水素基含有化合物を用いて得られる水分散型ポリイソシアネートを用いる態様)
製造例1のドデシルベンゼンスルホン酸亜鉛1.6質量部および酢酸ブチル4.36質量部を均一混合した後、タケネートWD-726 1.8質量部およびデュラネートTKA-100 1.4質量部を含むイソシアネート組成物を添加し、均一に撹拌した。次いで、蒸留水86.8質量部を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。
【0213】
次いで、10℃で撹拌しながら10%ヒドラジン水溶液3.6質量部を加え、2時間撹拌後、20℃に昇温して、イソシアネート組成物とヒドラジンとを2時間反応させた。
【0214】
これにより、マイクロカプセル触媒水分散液を得た。マイクロカプセル触媒水分散液の固形分濃度は、4.8質量%であった。マイクロカプセルの体積平均粒子径は、7.09μmであった。
【0215】
製造例6(ノニオン性基を含有する活性水素基含有化合物を用いて得られる水分散型ポリイソシアネートを用いる態様)
オクチル酸亜鉛(ナカライテスク製)1.2質量部および酢酸ブチル2.4質量部を均一混合した後、タケネートWD-726 4.0質量部を含むイソシアネート組成物を添加し、均一に撹拌した。次いで、蒸留水89.5質量部を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。
【0216】
次いで、10℃で撹拌しながら10%ヒドラジン水溶液2.9質量部を加え、イソシアネート組成物とヒドラジンとを2時間反応させた。
【0217】
これにより、マイクロカプセル触媒水分散液を得た。マイクロカプセル触媒水分散液の固形分濃度は、4.6質量%であった。マイクロカプセルの体積平均粒子径は、3.5μmであった。
【0218】
製造例7(ポリオキシエチレン基を側鎖に含有する活性水素化合物を用いて得られる水分散型ポリイソシアネート、および、他のイソシアネート基末端プレポリマーを用いる態様)
製造例1のドデシルベンゼンスルホン酸亜鉛2.3質量部および酢酸ブチル4.7部を均一混合した後、製造例2の他のイソシアネート基末端プレポリマー1.7質量部および製造例3の水分散型ポリイソシアネート1.2質量部を含むイソシアネート組成物を添加し、均一に撹拌した。次いで、蒸留水89.3質量部を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。
【0219】
次いで、10℃にて撹拌しながら10%ヒドラジン水溶液0.8質量部を加え、2時間撹拌後、20℃に昇温して、イソシアネート組成物とヒドラジンとを2時間反応させた。
【0220】
これにより、マイクロカプセル触媒水分散液を得た。マイクロカプセル触媒水分散液の固形分濃度は、4.4質量%であった。マイクロカプセルの体積平均粒子径は、3.4μmであった。
【0221】
製造例8(イオン性基を含有する活性水素基含有化合物を用いて得られる水分散型ポリイソシアネート、および、他のイソシアネート基末端プレポリマーを用いる態様)
製造例1のドデシルベンゼンスルホン酸亜鉛2.0部質量、トルエン2.0質量部およびヘキサノール0.9質量部を均一混合した後、製造例2の他のイソシアネート基末端プレポリマー2.5質量部および製造例4の水分散型ポリイソシアネート2.5質量部を含むイソシアネート組成物を添加し、均一に撹拌した。その後、トリエチルアミン(中和剤)0.05質量部添加し撹拌した。次いで、蒸留水89.2質量部を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。
【0222】
次いで、10℃で撹拌しながら10%ヒドラジン水溶液0.9質量部を加え、2時間撹拌後、20℃に昇温してイソシアネート組成物とヒドラジンとを2時間反応させた。
【0223】
これにより、マイクロカプセル触媒水分散液を得た。マイクロカプセル触媒水分散液の固形分濃度は、5.1質量%であった。マイクロカプセルの体積平均粒子径は、2.3μmであった。
【0224】
製造例9
1000mLフラスコに、ドデシルベンゼンスルホン酸亜鉛90質量部を、トルエン10質量部に加え、室温(25℃)で撹拌し溶解させた後、撹拌した。これにより、10%ドデシルベンゼンスルホン酸亜鉛溶液を調製した。
【0225】
<コーティング組成物の調製>
実施例1~実施例7および比較例1~比較例3
水酸基含有樹脂と、アルキルエーテル化メラミン樹脂と、マイクロカプセル触媒と、水とを、表1に記載の配合処方に基づいて混合した。これにより、コーティング組成物を調製した。
【0226】
<評価>
[イソシアネート基濃度(単位:質量%)]
イソシアネート基濃度は、JIS K 1603-1に準拠したn-ジブチルアミン法により測定した。
【0227】
<体積平均粒子径(単位:μm)>
各製造例のマイクロカプセル粒子について、試料1gと蒸留水10gとを30mlガラス製サンプル瓶に採取し、マグネティックスターラーで5分撹拌した後、粒度分析計マイクロトラックHRA(日機装株式会社製)を用い、粒度分析測定を実施した。
【0228】
[積層体の製造]
(第1工程)
被塗装体として、鋼板(150mm×70mm×厚さ0.8mm)を準備した。
【0229】
[第2工程]
被塗装体の表面(厚み方向一方面)に、各実施例および各比較例のコーティング組成物を、バーコーターを用いて塗布し、80℃、30分乾燥して、塗膜を形成した。
【0230】
[第3工程]
塗膜を、80℃で30分間加熱して硬化させることにより、コーティング層(厚み:15μm)を形成した。これにより、積層体を製造した。
【0231】
[コーティング組成物の外観]
各実施例および各比較例のコーティング組成物物を目視で観察した。外観について、以下の基準に基づき評価した。その結果を表1に示す。
{基準}
〇:凝集物および沈殿物が観察されなかった。
△:一部に凝集物および/または沈殿物が観察されるが、撹拌すると観察されなくなった。
×:明らかに凝集物および/または沈殿物が観察された。
【0232】
[塗膜外観]
各実施例および各比較例の塗膜を目視で観察した。塗膜の外観について、以下の基準に基づき評価した。その結果を表1に示す。
{基準}
〇:塗膜にブツが観察されなかった。
△:塗膜の一部にブツが観察された。
×:塗膜に大量のブツが観察された。
【0233】
[硬化性(ゲル分率の測定)]
各実施例および各比較例の積層体を、ソックスレー脂肪抽出器で還流させたアセトン中に、4時間浸漬した。その後、加熱によりアセトンを乾燥させた。アセトン浸漬前後の塗装積層体の質量を測定し、下記式(1)を用いてゲル分率を算出した。ゲル分率が高ければ、水性樹脂組成物から形成される塗膜が硬化するときに、メチルエーテル化メラミン樹脂が、十分に硬化(架橋)反応するため、硬化性に優れることがわかる。なお、比較例3は、硝酸アルミニウム九水和物を添加した際に、水性樹脂組成物に凝集物が発生したため、測定ができなかった。
G=100×(m2/m1) (1)
G:ゲル分率(%)
m1:アセトン浸漬前の試験片の質量(mg)
m2:アセトン浸漬後の残留物の質量(mg)
【0234】
【表1】
【符号の説明】
【0235】
1 積層体
2 被塗装体
3 塗膜
4 硬化層
図1