(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021585
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】車高調整部材
(51)【国際特許分類】
B60G 11/16 20060101AFI20250206BHJP
B60G 15/06 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
B60G11/16
B60G15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125378
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】519396603
【氏名又は名称】田中 健一
(74)【代理人】
【識別番号】110003764
【氏名又は名称】弁理士法人OMNI国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130580
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 靖
(72)【発明者】
【氏名】田中 健一
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301CA09
3D301DA08
3D301DA33
3D301DA64
(57)【要約】
【課題】既存のサスペンションを用いて、部品交換を行うことなく簡便に車高の高さ調整を行うことが可能な車高調整部材を提供する。
【解決手段】本発明に係る車高調整部材1は、ショックアブソーバー8のストラットストッパー7がピストンロッド81に貫通した状態で内部に収容されたアッパーサポート6を収容するストラットマウント部20と、車体装着用ボルト位置にネジ孔部32aを備え、ストラットマウント部20に固定されるベースプレート部30と、車体2のアッパーサポート収容凸部3の頂部3bに設けられた頂部開口部3cを閉塞するプレート部40と、ネジ孔部32aに螺合し、ベースプレート部30を車体2に固定する車体装着用ボルト部50とを備え、サスペンションに取り付けて自動車の車体2の車高を調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショックアブソーバーを有する自動車のサスペンションに取り付けて、車体の車高を調整する車高調整部材であって、
前記車体は、前記ショックアブソーバーの上端部に設けられたアッパーサポートの収容が可能なアッパーサポート収容凸部を備えるものであり、
前記ショックアブソーバーのストラットストッパーがピストンロッドに貫通した状態で内部に設けられた前記アッパーサポートを、前記アッパーサポート収容凸部に代えて収容するストラットマウント部と、
前記アッパーサポート収容凸部の開口部を閉塞した状態で、前記ストラットマウント部に固定され、かつ、車体装着用ボルト位置であって、前記アッパーサポート収容凸部の頂部に設けられた頂部開口部に対応する位置にネジ孔部を備えるベースプレート部と、
前記開口部を閉塞する前記ベースプレート部とは反対側の方向から前記頂部開口部を閉塞し、かつ、前記頂部開口部に対応する位置に貫通孔を有するプレート部と、
前記プレート部の貫通孔及び前記アッパーサポート収容凸部の頂部開口部を貫通した状態で、前記ベースプレート部の前記ネジ孔部に螺合し、前記ベースプレート部を前記車体に固定する車体装着用ボルト部と、
を備える、車高調整部材。
【請求項2】
前記プレート部における前記アッパーサポート収容凸部に当接する側には、前記頂部開口部に嵌合する嵌合凸部が設けられている、請求項1に記載の車高調整部材。
【請求項3】
前記車体装着用ボルト部の軸芯は、前記ピストンロッドの軸芯と同軸ではない、請求項1に記載の車高調整部材。
【請求項4】
前記ベースプレート部のネジ孔部は、前記アッパーサポート収容凸部に収容されるように設けられる、請求項1に記載の車高調整部材。
【請求項5】
前記ベースプレート部は、前記ピストンロッドと当接しないように、前記ピストンロッドに対向する位置に溝部を備える、請求項1に記載の車高調整部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のサスペンションに取り付けて車体の車高を調整する車高調整部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車体に取り付けられるサスペンションとしては、例えば、
図10及び
図11に示すようなストラット式のサスペンション等が知られている。
図10は、車体に取り付けられた従来のサスペンションの構造を模式的に表す側面図である。また、
図11は、
図10に示す従来のサスペンションの構造のB-B線矢視断面図である。
【0003】
図10及び
図11に示すように、サスペンションはストラット100及びアッパーサポート200を備える。
【0004】
ストラット100は、ストラット式サスペンションの本体をなす構成要素である。ストラット100は、ショックアブソーバー110、コイルスプリング120及び一対のスプリングシート130を備える。
【0005】
ショックアブソーバー110は、コイルスプリング120の伸縮振動を減衰させる機能を有している。ショックアブソーバー110は、具体的には、ピストンロッド111、シリンダ112及びピストン113を備える。さらに、ピストンロッド111は、シリンダ112の内部に摺動可能に嵌合したピストン113の上端に接合されている。スプリングシート130は、シリンダ112の上部及びピストン113の下部にそれぞれ配置されている。シリンダ112側のスプリングシート130はコイルスプリング120の上端を支持し、ピストン113側のスプリングシート130はコイルスプリング120の下端を支持する。
【0006】
アッパーサポート200は、ストラット100から伝達される振動を吸収する機能を有する。車体には、このアッパーサポート200を収容するためのアッパーサポート収容凸部102が設けられており、これにより車体101にサスペンションが取り付けられる。アッパーサポート収容凸部102の開口部103にはピストンロッド111が挿通されている。また、アッパーサポート収容凸部102の開口部103を閉塞するように、ピストンロッド111が挿通された状態でストラットストッパー140が設けられている。また、ピストンロッド111の上端には、ネジ部141が形成されている。
【0007】
このような構造の従来のサスペンションにおいては、車高の高さを適宜調整することが困難である。そのため、車高の調整を可能にしたい場合には、既存のショックアブソーバー110を、車高調整が可能な部品に交換する必要がある。そのような部品としては、例えば、エアバッグやエアシリンダー等を用いて空気圧により車高を調整することが可能なエアサスペンション等が挙げられる。しかし、エアサスペンション等は高価である上、装着作業の手間が掛かり、工賃も発生するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、既存のサスペンションを用いて、部品交換を行うことなく簡便に車高の高さ調整を行うことが可能な車高調整部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る車高調整部材は、前記の課題を解決するために、ショックアブソーバーを有する自動車のサスペンションに取り付けて、車体の車高を調整する車高調整部材であって、前記車体は、前記ショックアブソーバーの上端部に設けられたアッパーサポートの収容が可能なアッパーサポート収容凸部を備えるものであり、前記ショックアブソーバーのストラットストッパーがピストンロッドに貫通した状態で内部に設けられた前記アッパーサポートを、前記アッパーサポート収容凸部に代えて収容するストラットマウント部と、前記アッパーサポート収容凸部の開口部を閉塞した状態で、前記ストラットマウント部に固定され、かつ、車体装着用ボルト位置であって、前記アッパーサポート収容凸部の頂部に設けられた頂部開口部に対応する位置にネジ孔部を備えるベースプレート部と、前記開口部を閉塞する前記ベースプレート部とは反対側の方向から前記頂部開口部を閉塞し、かつ、前記頂部開口部に対応する位置に貫通孔を有するプレート部と、前記プレート部の貫通孔及び前記アッパーサポート収容凸部の頂部開口部を貫通した状態で、前記ベースプレート部の前記ネジ孔部に螺合し、前記ベースプレート部を前記車体に固定する車体装着用ボルト部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
前記の構成において、前記プレート部における前記アッパーサポート収容凸部に当接する側には、前記頂部開口部に嵌合する嵌合凸部が設けられていることが好ましい。
【0012】
また前記の構成において、前記車体装着用ボルト部の軸芯は、前記ピストンロッドの軸芯と同軸ではないことが好ましい。
【0013】
また前記の構成において、前記ベースプレート部のネジ孔部は、前記アッパーサポート収容凸部に収容されるように設けられることが好ましい。
【0014】
さらに前記の構成において、前記ベースプレート部は、前記ピストンロッドと当接しないように、前記ピストンロッドに対向する位置に溝部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ショックアブソーバーの上端部に設けられたアッパーサポートが、車体に設けられたアッパーサポート収容凸部に収容されないようにすることで、既存のショックアブソーバーを交換することなく簡便に、車体の車高を高くすることができる。
【0016】
すなわち、本発明の車高調整部材は、アッパーサポート収容凸部に代えて、アッパーサポートを収容することが可能なストラットマウント部を備える。また、本発明の車高調整部材は、アッパーサポート収容凸部の開口部を閉塞するように設けられるベースプレート部と、アッパーサポート収容凸部の頂部開口部を閉塞するように設けられるプレート部とを備え、さらに、これらのベースプレート部及びプレート部を、アッパーサポート収容凸部において車体装着用ボルト部により締結固定させる。そして、ベースプレート部には、アッパーサポートを収容したストラットマウント部を固定させるので、これにより既存のショックアブソーバーを用いながら、簡便に車体の車高を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る車高調整部材が車体に取り付けられたサスペンションの構造を模式的に表す側面図である。
【
図2】
図1に示す車高調整部材のA-A線矢視断面図である。
【
図3】本発明の実施の一形態に係る車高調整部材を模式的に表す要部拡大断面図である。
【
図4】車体に設けられたアッパーサポート収容凸部を模式的に表す断面図である。
【
図5】
図5(a)はショックアブソーバーのストラットストッパーを上面側から表す斜視図であり、
図5(b)は当該ストラットストッパーを下面側から表す斜視図である。
【
図6】本発明の実施の一形態の車高調整部材を模式的に表す分解斜視図である。
【
図7】
図7(a)は本発明の実施の一形態に係る車高調整部材のストラットマウント部を上面側から表す斜視図であり、
図7(b)は当該ストラットマウント部を下面側から表す斜視図である。
【
図8】
図8(a)は本発明の実施の一形態に係る車高調整部材のベースプレート部を上面側から表す斜視図であり、
図8(b)は当該ベースプレート部を下面側から表す斜視図である。
【
図9】
図9(a)は本発明の実施の一形態に係る車高調整部材のプレート部を上面側から表す斜視図であり、
図9(b)は当該プレート部を下面側から表す斜視図である。
【
図10】車体に取り付けられた従来のサスペンションの構造を模式的に表す側面図である。
【
図11】
図10に示す従来のサスペンションの構造のB-B線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の一形態に係る車高調整部材について、以下に説明する。
本実施の形態の車高調整部材1は、
図1~
図3に示すように、自動車のサスペンションに取り付けて車体2の車高を調整するものである。また本実施の形態の車高調整部材1は、アッパーサポート収容凸部3が設けられた車体2に対し好適に適用することができる。尚、
図1は、本実施の形態に係る車高調整部材1が車体2に取り付けられたサスペンションの構造を模式的に表す側面図である。
図2は、
図1に示す車高調整部材1のA-A線矢視断面図である。
図3は、本実施の形態の車高調整部材を模式的に表す要部拡大断面図である。
【0019】
アッパーサポート収容凸部3は、アッパーサポート(詳細については後述する。)を収容することが可能な空間を有しており、例えば、
図4に示すように、側壁3a、頂部3b、頂部3bに設けられた頂部開口部3c、車体2の下面側に設けられた開口部3d、開口部3dの周縁に設けられたフランジ部3e、及びフランジ部3eに設けられた嵌合孔部3fを有するものが挙げられる。
図4は、車体2に設けられたアッパーサポート収容凸部3を模式的に表す断面図である。
【0020】
サスペンションとしては特に限定されず、例えば、ストラット式サスペンションが挙げられる。以下では、ストラット式サスペンションを用いた場合を例にして説明する。ストラット式サスペンションは、例えば
図1~
図3に示すように、ストラット5、アッパーサポート6及びストラットストッパー7を備える。
【0021】
ストラット5は、ストラット式サスペンションの本体を構成する。ストラット5は、ショックアブソーバー8、コイルスプリング9、アッパースプリングシート10及びロアースプリングシート11を少なくとも備える。
【0022】
ショックアブソーバー8はコイルスプリング9の伸縮振動を減衰させる機能を有している。ショックアブソーバー8としては、例えば、ツインチューブ式ガス入りショックアブソーバー等が挙げられる。本実施の形態のショックアブソーバー8は、ピストンロッド81、シリンダ82及びピストン83を少なくとも備える。ピストンロッド81は、シリンダ82の内部に摺動可能に嵌合したピストン83の上端に接合されている。また、ピストンロッド81は、アッパーサポート6の中央部に設けられたアッパーサポート貫通孔62を貫通し、当該アッパーサポート6から突出している。
【0023】
コイルスプリング9は、アッパースプリングシート10とロアースプリングシート11との間でショックアブソーバー8の外周に巻回されている。コイルスプリング9は、後述の通り、アッパースプリングシート10及びロアースプリングシート11により支持されている。
【0024】
アッパースプリングシート10は、シリンダ82の上部に配置されている。アッパースプリングシート10は下方に開口したカップ形状に形成されており、コイルスプリング120の上端を受承している。また、ロアースプリングシート11は、ピストン83の下部に配置されている。ロアースプリングシート11は上方に開口したカップ形状に形成されており、コイルスプリング120の下端を受承している。
【0025】
アッパーサポート6は、
図2及び
図3に示すように、防振ゴム等からなる弾性体61を少なくとも備える。弾性体61にはアッパーサポート貫通孔62が設けられており、当該アッパーサポート貫通孔62からはショックアブソーバー8のピストンロッド81が突出している。さらに、ピストンロッド81には第1ナット12が螺合されており、これによりアッパーサポート6は、ピストンロッド81においてショックアブソーバー8に締結固定されている。弾性体61としては特に限定されず、例えば、天然ゴム等の材料からなるものが挙げられる。アッパーサポート6は、本実施の形態の車高調整部材1とショックアブソーバー8との間に位置し、車体2の重量により車体2及びショックアブソーバー8に挟持される。
【0026】
ストラットストッパー7は、リバウンド方向、すなわちショックアブソーバー8が下方に変位した場合にアッパーサポート6が車体2から脱落するのを防止する機能を有する。ストラットストッパー7は、具体的には、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、底部71と、底部の中心に設けられたストラットストッパー開口部72と、傾斜面73と、フランジ部74と、フランジ部74の外周縁に環状に装着されたストッパーゴム75とを備える。
図5(a)はショックアブソーバー8のストラットストッパー7を上面側から表す斜視図であり、
図5(b)は当該ストラットストッパー7を下面側から表す斜視図である。
【0027】
底部71、傾斜面73及びフランジ部74は、例えば、金属製材料により一体的に形成されたものである。また、ストッパーゴム75は、例えば、天然ゴム等の弾性体からなる。
【0028】
ストラットストッパー開口部72には、アッパーサポート6から突出したショックアブソーバー8のピストンロッド81が貫通して突出している。ピストンロッド81には第2ナット13が螺合されており、これによりストラットストッパー7は、ピストンロッド81においてショックアブソーバー8に締結固定されている。
【0029】
次に、本実施の形態の車高調整部材1について説明する。本実施の形態の車高調整部材1は、ストラットマウント部20と、ベースプレート部30と、プレート部40と、車体装着用ボルト部50とを少なくとも備える。
【0030】
ストラットマウント部20は、
図3、
図6、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、ストラットマウント基台部21と、ストラットマウント基台部21の中央部に設けられたストラットマウント開口部22と、ストラットマウント開口部22を囲うようにして、当該ストラットマウント基台部21の下面側から突出する収容部23とを備える。
図6は、車体に取り付けられた車高調整部材1を模式的に表す分解斜視図である。また、
図7(a)は車高調整部材1のストラットマウント部20を上面側から表す斜視図であり、
図7(b)は当該ストラットマウント部20を下面側から表す斜視図である。
【0031】
ストラットマウント基台部21は、平面視において略五角形状の形状を有している。また、ストラットマウント基台部21の角部にはR加工が施されている。さらに、ストラットマウント基台部21の角部には、それぞれストラットマウント貫通孔21aが設けられている。ストラットマウント貫通孔21aは、ベースプレート部30に固定されるために用いられる(詳細については後述する。)。ストラットマウント基台部21の上面には、
図7(a)に示すように、環状の段差部21bが設けられている。段差部21bは、上面を基準にして、それ以外の部分と比べ、高さが低くなるように形成されている。また、段差部21bは、ストラットマウント開口部22の周縁部に設けられている。ストラットマウント基台部21の中央にはその上面側からストラットストッパー7が載置されており、ストラットマウント基台部21の下面側に向かってストラットマウント開口部22からストラットストッパー7の底部71が表出している。また、段差部21bには、ストラットストッパー7の環状のストッパーゴム75が係止しており、ストラットストッパー7がストラットマウント基台部21のストラットマウント開口部22から脱落するのを防止している。さらに、ストッパーゴム75が段差部21bに係止することで、ストラットストッパー7はストラットマウント部20に弾性的に支持される。尚、ストラットマウント基台部21の平面視における形状は五角形状である場合に限定されず、適宜必要に応じて変更可能である。また、ストラットマウント貫通孔21aの数についても特に限定されず、適宜必要に応じて変更可能である。
【0032】
収容部23は、車体2に設けられたアッパーサポート収容凸部3に代えて、アッパーサポート6の弾性体61を収容する。収容部23の内側面23aは、
図7(b)に示すように、当該収容部23がすり鉢状となるように傾斜しており、アッパーサポート6の弾性体61と当接している。これにより、ストラットマウント基台部21の段差部21b及び収容部23の内側面23aが、ストラットストッパー7のストッパーゴム75とアッパーサポート6の弾性体61とにより挟持される結果、ストラットマウント部20をショックアブソーバー8の上端に固定することができる。また、ストラットマウント部20は、アッパーサポート6の弾性体61により弾性的に支持される。
【0033】
ベースプレート部30は、
図3、
図6、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、基台部31と、基台部31の中央部に設けられた突出部32とを少なくとも備える。
図8(a)は車高調整部材1のベースプレート部30を上面側から表す斜視図であり、
図8(b)は当該ベースプレート部30を下面側から表す斜視図である。
【0034】
基台部31は、
図8(a)に示すように、平面視において車体2におけるアッパーサポート収容凸部3の開口部3dを閉塞する形状及び大きさを有していればよい。そのため、基台部31の上面側における外周縁部は、車体2におけるアッパーサポート収容凸部3のフランジ部3eに全周にわたって当接している。また、基台部31の上面側には、アッパーサポート収容凸部3の頂部3bに向かって突出する突出部32が設けられている。そのため、突出部32は、アッパーサポートを収容するためのものであったアッパーサポート収容凸部3の空間内に収容された状態になっている。また、突出部32の中央には、車体装着用ボルト部50との螺合を可能にするネジ孔部32aが設けられている。
【0035】
また基台部31には、ストラットマウント基台部21に設けられた4つのストラットマウント貫通孔21aに対応する位置に、それぞれベースプレート貫通孔31aが設けられている。そして、それぞれのストラットマウント貫通孔21a及びベースプレート貫通孔31aには、六角スクリューボルト(固定手段)90が基台部31の上面側から貫通しており、この六角スクリューボルト90はストラットマウント基台部21の下面側から第3ナット(固定手段)91と螺合することにより締結している。これにより、ストラットマウント部20は、固定手段によりベースプレート部30に固定される。尚、六角スクリューボルト90の頭部は、基台部31の上面から表出せず面一となるように、ベースプレート貫通孔31aに埋入されている。これにより、基台部31の上面側では、基台部31の外周縁部を、アッパーサポート収容凸部3のフランジ部3eに全面にわたって密着させることができる。
【0036】
また、基台部31の上面には、
図8(a)に示すように、嵌合凸部31bが設けられている。嵌合凸部31bは、アッパーサポート収容凸部3のフランジ部3eに設けられた嵌合孔部3fの開口形状に対応する形状を有している。そのため、ベースプレート部30でアッパーサポート収容凸部3の開口部3dを閉塞させる際、嵌合凸部31bを嵌合孔部3fに嵌合させることができる。その結果、車体2に固定されるベースプレート部30の位置ズレを防止することができる。
【0037】
基台部31の下面には、
図8(b)に示すように、溝部31cが設けられている。溝部31cは、基台部31の下面において、アッパーサポート6から突出したショックアブソーバー8のピストンロッド81に対向する位置に配置されている。これにより、基台部31の下面が、ピストンロッド81に当接しない構造となっている。尚、車体装着用ボルト部50の軸芯は、ピストンロッド81の軸芯と同軸ではない。そのため、ベースプレート部30においても、車体装着用ボルト部50が螺合するネジ孔部32aは、溝部31cに対応しない位置に設けられている(
図2参照)。
【0038】
プレート部40は、
図3、
図6、
図9(a)及び
図9(b)に示すように、車体2におけるアッパーサポート収容凸部3の頂部開口部3cを閉塞する機能を有している。プレート部40はアッパーサポート収容凸部3の頂部開口部3cを閉塞する形状及び大きさを有していればよく、本実施の形態では平面視において円形状を有している。また、プレート部40の中央には、車体装着用ボルト部50を貫通させるプレート貫通孔41が設けられている。さらに、プレート部40の下面側(すなわち、アッパーサポート収容凸部3に当接する側)には、平面視において円形状の嵌合凸部42が設けられている。嵌合凸部42はアッパーサポート収容凸部3の頂部開口部3cに嵌合しており、これによりプレート部40が位置ズレするのを防止することができる。尚、
図9(a)は車高調整部材1のプレート部40を上面側から表す斜視図であり、
図9(b)は当該プレート部40を下面側から表す斜視図である。
【0039】
車体装着用ボルト部50は、
図3及び
図6に示すように、プレート部40の上面側から挿入され、ベースプレート部30のネジ孔部32aに螺合している。これにより、ベースプレート部30は車体2に締結固定される。ここで、車体装着用ボルト部50の軸芯をピストンロッド81の軸芯と同軸にした場合、
図10及び
図11に示す従来のサスペンションのストラット100のように、ショックアブソーバー110の中心軸を車体に対し略垂直方向に平行にすることが困難となり、傾斜状態で取り付けられることになる。しかし、本実施の形態では、前述の通り、車体装着用ボルト部50の軸芯はピストンロッド81の軸芯と同軸とならないように取り付けられる。これにより、車体装着用ボルト部50の軸芯及びピストンロッド81の軸芯をそれぞれ車体2に対し略垂直方向に平行となるようにすることができ、その結果、ショックアブソーバー8(又はピストンロッド81)においても、その中心軸が車体2に対し略垂直方向に平行となるように取り付けることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 車高調整部材
2 車体
3 アッパーサポート収容凸部
3a 側壁
3b 頂部
3c 頂部開口部
3d 開口部
3e フランジ部
3f 嵌合孔部
5 ストラット
6 アッパーサポート
7 ストラットストッパー
8 ショックアブソーバー
12 第1ナット
13 第2ナット
20 ストラットマウント部
21 ストラットマウント基台部
21a ストラットマウント貫通孔
21b 段差部
22 ストラットマウント開口部
23 収容部
23a 内側面
30 ベースプレート部
31 基台部
31a ベースプレート貫通孔
31b 嵌合凸部
31c 溝部
32 突出部
32a ネジ孔部
40 プレート部
41 プレート貫通孔
42 嵌合凸部
50 車体装着用ボルト部
61 弾性体
62 アッパーサポート貫通孔
71 底部
72 ストラットストッパー開口部
73 傾斜面
74 フランジ部
75 ストッパーゴム
81 ピストンロッド
90 六角スクリューボルト(固定手段)
91 第3ナット(固定手段)