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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021589
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】検知装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/107 20060101AFI20250206BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250206BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
G08B17/107 A
H02J7/00 302A
G08B17/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125384
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】江幡 弘道
(72)【発明者】
【氏名】岡安 克也
(72)【発明者】
【氏名】土肥 学
(72)【発明者】
【氏名】長澤 新治
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
5G503
【Fターム(参考)】
5C085AA03
5C085AA06
5C085AB01
5C085AC18
5C085BA33
5C085CA15
5C085CA16
5C085DA07
5C085DA08
5C085FA11
5C085FA40
5G405AA01
5G405AB02
5G405AB03
5G405AD06
5G405AD07
5G405AD09
5G405CA21
5G405CA23
5G405DA07
5G405DA08
5G405FA06
5G503AA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503CB13
5G503DA04
5G503DA07
5G503EA05
5G503EA08
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】特定の場所、部位への固定が不要であり、電源供給がない状態であっても所定時間、予期しない動作停止や移動をされず確実に火災や火災の前兆を検知することができる検知装置を提供する。
【解決手段】検知装置は、燃焼生成物を感知可能な燃焼生成物感知部を備え、燃焼生成物感知部の動作に基づく火災監視が可能な検知装置であって、火災監視を開始してから火災監視を継続している時間である稼働時間を測定する時間測定部241と、時間測定部241が測定した稼働時間が閾値を超えない限り、火災監視を停止できないように制御する制御部24と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼生成物を感知可能な燃焼生成物感知部を備え、
前記燃焼生成物感知部の動作に基づく火災監視が可能な検知装置であって、
前記火災監視を開始してから前記火災監視を継続している時間である稼働時間を測定する時間測定部と、
前記時間測定部が測定した前記稼働時間が所定の閾値を超えない限り、前記火災監視を停止できないように制御する制御部と、を備える検知装置。
【請求項2】
前記検知装置を設置位置に固定する位置固定手段を備え、
前記制御部は、前記時間測定部が測定した前記稼働時間が前記所定の閾値を超えない限り、前記位置固定手段による前記検知装置の固定が解除できないように制御する請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
さらに内外に連通する開口部が形成された燃焼生成物導入部と、
前記燃焼生成物導入部に前記燃焼生成物を吸引するファンと、を備え、
前記制御部は、前記時間測定部が測定した前記稼働時間が前記所定の閾値を超えない限り、前記ファンを停止できないように制御する請求項1または2に記載の検知装置。
【請求項4】
さらに前記検知装置に電源を供給する電池部と、
前記電池部に外部電源から電気を供給する電源部と、
電池残量測定部と、を備え、
前記電池残量測定部は、前記検知装置を稼働する際に、前記電源部の電池残量が、前記稼働時間が前記所定の閾値に達するまでに前記検知装置が消費する電力量よりも多いか否かを判定する請求項1または2に記載の検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災の早期発見を可能とする検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、工事施工中に火災に至ることを防止するために、建設現場に、火災の発生を感知して報知する煙感知用吸引装置(下記の特許文献1参照)が設置されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-325063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、建設現場では、工事中に使用できる常設の自火報設備が設置されていないこと、もしくは、稼働していないことが一般的であり、工事の進捗によって間仕切り壁や天井などが設置される等、環境が変化していくことから、運用自体が困難である。
また、工事中は、電源の場所が限られ、前述したように環境が変化していくため電源配線ができず、自火報設備に電源を供給することが困難である。
また、工事中は、作業者が作業の支障となるため自火報設備の作動を停止したり、移動させてしまい、正常に後述する燃焼生成物を検知することができないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、所定時間、予期しない作動停止や移動をされず確実に火災や火災の前兆を検知することができる検知装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る検知装置は、燃焼生成物を感知可能な燃焼生成物感知部を備え、前記燃焼生成物感知部の動作に基づく火災監視が可能な検知装置であって、前記火災監視を開始してから前記火災監視を継続している時間である稼働時間を測定する時間測定部と、前記時間測定部が測定した前記稼働時間が所定の閾値を超えない限り、前記火災監視を停止できないように制御する制御部と、を備える。
【0007】
燃焼生成物は、有機物の燃焼に伴い生じる煙、一酸化炭素、二酸化炭素、エチレン、ホルムアルデヒドといったガスなどの生成物をいう。燃焼生成物には有機物の燃焼前の温度上昇時点より生成されるものを含む。
【0008】
このように構成された検知装置では、制御部は、時間測定部が測定した稼働時間が閾値を超えない限り、火災監視を停止できないように制御している。よって、閾値までの所定時間、燃焼生成物感知部が燃焼生成物を感知して、火災監視を継続することができる。したがって、所定時間、予期しない作動停止をされず確実に火災や火災の前兆を検知することができる。
なお、稼働時間の閾値は、検知装置を設置するそれぞれの建設現場で設定できることが望ましい。
燃焼生成物の感知には、それぞれの成分を感知可能なセンサを用いる必要がある。例えば、一酸化炭素は一酸化炭素センサ、エチレンであればエチレンセンサなどを使用する。本願では、煙、一酸化炭素、エチレン、ホルムアルデヒドを感知可能なセンサを検知装置に搭載することとしている。
なお、可燃物等が加熱され、燻焼や炎が生じた有炎燃焼により燃焼生成物が生成される状態を火災とする。火災となる前の段階で、可燃物等の温度上昇や燃焼生成物が生じた時点を火災の前兆と定義する。
【0009】
また、本発明に係る検知装置は、さらに前記検知装置を設置位置に固定する位置固定手段を備え、前記制御部は、前記時間測定部が測定した前記稼働時間が前記所定の閾値を超えない限り、前記位置固定手段による前記検知装置の固定が解除できないように制御してもよい。
【0010】
このように構成された検知装置では、制御部は、時間測定部が測定した稼働時間が閾値を超えない限り、位置固定手段による検知装置の固定が解除できないように制御している。よって、閾値までの所定時間、検知装置が固定され、燃焼生成物感知部が燃焼生成物を感知して、火災監視を継続することができる。
【0011】
また、本発明に係る検知装置は、さらに内外に連通する開口部が形成された燃焼生成物導入部と、前記燃焼生成物導入部に前記燃焼生成物を吸引するファンと、を備え、前記制御部は、前記時間測定部が測定した前記稼働時間が前記所定の閾値を超えない限り、前記ファンを停止できないように制御してもよい。
【0012】
このように構成された検知装置では、制御部は、時間測定部が測定した稼働時間が閾値を超えない限り、ファンを停止できないように制御している。よって、閾値までの所定時間、燃焼生成物感知部が燃焼生成物を感知して、火災監視を継続することができる。
【0013】
また、本発明に係る検知装置は、さらに前記検知装置に電源を供給する電池部と、前記電池部に外部電源から電気を供給する電源部と、電池残量測定部と、を備え、前記電池残量測定部は、前記検知装置を稼働する際に、前記電源部の電池残量が、前記稼働時間が前記所定の閾値に達するまでに前記検知装置が消費する電力量よりも多いか否かを判定してもよい。
【0014】
このように構成された検知装置では、電池残量判定部が判定する電源部の電池残量判定結果に応じて、事前の電池への電源供給や、配置対象箇所の選定等、火災監視に柔軟に対応することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る検知装置によれば、所定時間、予期しない作動停止や移動をされずに確実に火災や火災の前兆を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第一実施形態に係る検知装置を示す模式的な図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る検知装置の制御部の構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る検知装置の燃焼生成物濃度とファン回転速度との関係を示す図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る検知装置の電源部の放電容量と電圧との関係を示す図である。
図5】本発明の第一実施形態に係る検知装置の動作例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第二実施形態に係る検知装置を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係る検知装置ついて、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る検知装置を示す模式的な図である。
図1に示すように、検知装置1は、装置本体2と、燃焼生成物導入部3と、を備えている。本実施形態は燃焼生成物導入部3の構成材料および強度を鑑み、床面から天井面までが6m未満の場合に適用することが好ましい。本実施形態では、燃焼生成物導入部3自体が、位置固定手段として機能している。
【0018】
検知装置1は、燃焼生成物導入部3と、装置本体2とから構成され、装置本体2は、筐体部21と、ファン22と、燃焼生成物感知部23と、制御部24と、表示部25と、電源部26と、を有している。
【0019】
筐体部21は、ファン22、燃焼生成物感知部23、制御部24、表示部25及び電源部26の機能部品を収容している。筐体部21は、床面等の安定した設置面aに設置される。
【0020】
ファン22は、後述する煙等の燃焼生成物を燃焼生成物導入部3の開口部34から燃焼生成物を筐体部21内に吸引する。
【0021】
燃焼生成物感知部23は、筐体部21内に吸引した燃焼生成物の濃度に関連する情報を燃焼生成物感知部23の測定値として制御部24に出力する。燃焼生成物の濃度に関連する情報とは、燃焼生成物及び燃焼生成物の各種成分の濃度、物理量、及び燃焼生成物の濃度に応じて変化する物理量を含む概念である。
【0022】
例えば、燃焼生成物感知部23は煙感知部であり、発光部(図示せず)と、受光部と、を備えていてもよい。発光部は、筐体部21内に導入された煙に光を照射する。受光部は、発光部から煙に向けて照射され、煙によって散乱された光を受光する。煙感知部は受光部が受光した光に基づいて、受光量を濃度に関連する情報として制御部24に出力する。
【0023】
燃焼生成物感知部23は、煙以外の燃焼生成物の各種成分を検知可能な感知部であってもよく、例えば、一酸化炭素は一酸化炭素センサ、エチレンはエチレンセンサなどで構成され、電気化学式、半導体式、赤外線式等、適宜の形態をとることができる。
また、燃焼生成物感知部23は複数の燃焼生成物を検知可能な感知部を組合せた感知部であってもよい。
【0024】
燃焼生成物の濃度の一例である煙濃度の測定方法として、例えば粒子カウンター方式を採用することができる。発光素子からの光の照射による散乱光を受光素子で検出し、散乱光に応じた受光パルス信号(受光素子からの煙粒子ごとに得られる散乱光の受光パルス信号)を処理して、単位時間当たりの粒子数をカウントして煙濃度に変換する。
【0025】
制御部24は、装置本体2の制御全般を行う。制御部24は、ファン22、燃焼生成物感知部23、表示部25、電源部26及び固定部27と接続されている。制御部24は、例えば、制御部24内のハードウエア構成におけるストレージやメモリ等の記録部(図示せず)に格納されたプログラムに基づいて装置本体2を制御し、火災の感知及び火災の前兆を検知する。制御部24は、燃焼生成物感知部23が測定した燃焼生成物及び燃焼生成物の各種成分の濃度に関連する情報が記録部242に登録されている閾値よりも高い場合には、火災の発生または火災の前兆と判断し表示部25に表示信号を送信する。
【0026】
表示部25は、外部に対して色や音声で制御部24からの信号を出力する。表示部25は、表示信号を受信すると、所定の表示ランプを点灯させる。表示ランプは、筐体部21の外面に、外側から視認できるように取り付けられており、例えば、火災または火災の前兆を検知したときには黄色に表示ランプを点滅させるようにしてもよい。
また、表示部25は、表示ランプの点滅等に代え、サイレン等の警告音を発するようにしてもよく、火災または火災の前兆の検知に応じて警告音を変えてもよい。
また、電源部26の電源容量が一定値以下となりバッテリーの交換または充電が必要となった際などにも警告音を発するようにしてもよい。
【0027】
制御部24は、装置本体2と通信装置(図示せず)を接続させることによって、制御部24からの出力信号を無線により事前に登録したPC、スマートフォン、タブレット端末等に送信するように構成されていてもよい。
【0028】
電源部26は、ファン22、燃焼生成物感知部23、制御部24及び表示部25に電源を供給する。電源部26は、バッテリー等の蓄電池である電池部(図示せず)と、電池部に外部電源から電気を供給する電源部(図示せず)とからなる。これにより、外部電源のない場所であっても検知装置1を稼働させることが可能となり、設置対象範囲を広くすることができる。なお、電源部26はAC100Vの電源(以下、電源)に接続することができる。
【0029】
燃焼生成物導入部3は、伸縮可能な中空部材である複数の筒形状部31,32,33で構成されている。本実施形態では、燃焼生成物導入部3は、3個の筒形状部31,32,33で構成されているとしたが、筒形状部の個数は適宜設定可能である。また、筒形状部の内径及び高さに関しても適宜変更可能である。
【0030】
筒形状部31,32,33は、金属材料や樹脂材料等で形成されている。筒形状部31,32,33が樹脂材料で形成されていれば、軽量であるため持ち運びやすい。
【0031】
筒形状部31,32,33は、例えば円筒状をしている。なお、筒形状部31,32,33は、角筒状をしていてもよく、円錐台形形状であってもよく、上下方向に伸縮できるのであれば形状は問わない。
【0032】
筒形状部33の外径は筒形状部32の内径より小さく、筒形状部32の外径は筒形状部31の内径より小さく、上方に位置する筒形状部ほど外径が小さく隣り合う下側の筒形状部内に収納されるように構成されている。
【0033】
筒形状部33は筒形状部32から上方に突出した位置で、また筒形状部32は筒形状部31から上方に突出して位置で、それぞればね部材やピン部材等で固定可能である。なお、筒形状部33は、筒形状部32ら上方に任意の位置で固定できるようにしてもよく、そのときには筒形状部33の外周面と筒形状部32の内周面との間に空隙が生じないよう間隙塞ぎ材(図示せず)を筒形状部32の内周面に設けることが望ましい。
【0034】
筒形状部31は、装置本体2の筐体部21の上面21uに上方向に突出するように固定され、下端部が筐体部21内のファン22に連通している。
【0035】
筒形状部33の上部には、筒形状部33の内外に連通された複数の開口部34aが周方向及び/または軸方向に1箇所以上形成されている。開口部34aは、水平方向に開口していることが望ましいが、下方から上昇気流により昇る燃焼生成物が燃焼生成物導入部3内に吸引されやすいように下方に向けて開口する等、検知装置1の使用環境や検知条件に合わせて開口部は任意に設定できる。
【0036】
燃焼生成物導入部3は、延出した状態、つまり筐体部21の上面21uから突出し、上端部33uが天井部材bの下面b1に当接した状態で、押圧力によって固定されている。つまり、燃焼生成物導入部3は、筐体部21の上面21uと天井部材bの下面b1との間で突っ張っている。本実施形態では、燃焼生成物導入部3は、突っ張った状態で開口部34を天井部材bの下側に配置するように検知装置1を設置位置に固定する配置部として機能している。
さらに、上端部33uが天井部材bの下面b1に当接することと、検知装置1の底面が設置面に当接することによるそれぞれの押圧力により検知装置1全体の位置が固定されるように、燃焼生成物導入部3自体が位置固定手段として機能している。
【0037】
火災により燃焼生成物sが発生すると、燃焼生成物sが昇って、天井部材bの下面b1付近に伝播する。燃焼生成物sは、検知装置1のファン22によって、燃焼生成物導入部3の開口部34から燃焼生成物導入部3の内部に吸引され、燃焼生成物導入部3内を下方に移動して、燃焼生成物感知部23で感知される。燃焼生成物感知部23が測定した燃焼生成物sの濃度に関連する情報が記録部に登録されている閾値よりも高い場合には、制御部24は表示部25に火災を感知または前兆を検知した旨の表示信号を送信する。表示部25は、表示信号を受信すると、所定の表示ランプを点灯または警告音を発する。使用者や工事関係者は表示部25を視認または警告音を聞くことによって、火災または火災の前兆の発生を知ることができる。
【0038】
このように構成された検知装置1では、燃焼生成物sをファン22によって燃焼生成物感知部23まで吸引することによって、天井部材bの下面b1付近に伝播する燃焼生成物sを燃焼生成物感知部23で感知して、火災及び火災の前兆を検知することができる。つまり、ファン22が適切に稼働しないと燃焼生成物sを燃焼生成物導入部3を経由して燃焼生成物感知部23まで吸引することができず、火災及び火災の前兆を検知することができない。
【0039】
次に、制御部24の構成について詳細に説明する。
図2は、制御部24の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、制御部24は、時間測定部241と、記録部242と、時間判定部243と、燃焼生成物濃度判定部244と、長さ測定部245と、長さ判定部246と、駆動部247と、電池残量測定部252と、警告信号送信部253と、を有している。
【0040】
時間測定部241は、火災監視を開始してから火災監視を継続している時間である稼働時間を測定する。時間測定部241は、ファン22の回転速度に応じた稼働時間を測定している。
【0041】
また、いずれかの作業者がスイッチ(図示せず)を操作して、検知装置1を停止する操作が入力された際に、時間判定部243は記録部242に予め設定されている検知装置1が火災監視を継続すべき時間としての所定の閾値と稼働時間とを比較し、検知装置1の稼働時間が所定の闕値に満たない場合には、スイッチの効果を無効とする。
【0042】
また、検知装置1は検知装置1を設置位置に固定するため燃焼生成物導入部3が位置固定手段として機能しており、後述する固定部27が位置固定手段として機能する燃焼生成物導入部3を固定している。時間判定部243は記録部242に予め設定されている検知装置1が火災監視を継続すべき時間としての所定の閾値と稼働時間とを周期的または随時比較し、検知装置1の稼働時間が所定の闕値に満たない場合には、固定部27により位置固定手段を固定し、検知装置1の位置固定が解除できないように制御され、設置位置からの移動ができないものとしている。
【0043】
また、時間判定部243は、時間測定部241が測定したファン22の稼働時間と記録部242に予め設定されているファン22の稼働時間の閾値とを比較し、ファン22の稼働時間が所定の閾値以下の場合には、ファン22の稼働を継続と判定する。時間判定部243は、ファン22の稼働時間が所定の閾値を超えた場合には、ファン22の稼働を停止すると判定する。なお、稼働時間の所定の閾値は、それぞれの建設現場で定められることが望ましい。
【0044】
燃焼生成物濃度判定部244は、燃焼生成物感知部23が測定した燃焼生成物濃度に関連する情報と記録部242に予め登録されている燃焼生成物濃度に関連する情報の閾値とを比較する。燃焼生成物濃度判定部244は、燃焼生成物濃度に関連する情報が登録されている閾値以下の場合には、ファン22を間欠運転で駆動させてもよいと判定する。燃焼生成物濃度判定部244は、燃焼生成物濃度に関連する情報が登録されている閾値よりも高い場合には、ファン22を連続運転で駆動させると判定する。
【0045】
長さ測定部245には、燃焼生成物導入部3の長さ及び内径と設定すべきファン22の回転速度との関係情報が予め登録されている。長さ測定部245は、伸縮可能な燃焼生成物導入部3の長さL(図1参照)及び内径を測定する。例えば、リニアエンコーダーやレーザ距離計等の計測器を燃焼生成物導入部3に設けて、計測器から送信された長さ情報を長さ測定部245は受信する。また、燃焼生成物導入部3の内径は、あらかじめ測定した数値を長さ測定部245に登録する。
【0046】
長さ判定部246は、長さ測定部245が受信した燃焼生成物導入部3の長さ情報に基づいて、記録部242に予め設定されている当該長さ情報に対応するファン22の回転速度を確認する。記録部242には、ファン22が間欠運転する際に、ファン22を高速で回転させる場合には、燃焼生成物導入部3の長さが長いほどファン22の回転速度が速くなるように設定されている。
【0047】
駆動部247は、ファン22の駆動を制御する。時間判定部243がファン22の稼働を継続と判定した場合には、駆動部247は、ファン22の駆動を継続する。時間判定部243がファン22の駆動を停止と判定した場合には、駆動部247は、ファン22の駆動を停止する。
【0048】
図3は、燃焼生成物濃度とファン22の回転速度との関係を示す図である。
燃焼生成物濃度判定部244がファン22を間欠運転で駆動させてもよいと判定した場合には、駆動部247はファン22を間欠運転で駆動する。本発明における間欠駆動においては、例えば高速駆動時間の方が、低速駆動時間よりも長くなるように設定してもよい。また、低速状態の時には、ファン22を低速稼働に代えて稼働停止してもよい。燃焼生成物濃度判定部244がファン22を連続運転で駆動と判定した場合には、駆動部247はファン22を高速で連続駆動する。また、燃焼生成物濃度判定部244がファン22を連続駆動と判定した場合のファン22の回転速度は、通常時の間欠運転でのファン22の回転速度よりも速くしてもよい。
【0049】
電池残量測定部252は、電源部26の電池残量を測定する。例えば、ファン22が2時間程度稼働できる電池の量を閾値として、それ未満の場合には、警告信号送信部253は表示部25に対して警告信号を送信する。表示部25は、当該警告信号を受信すると警告ランプ等の識別可能な表示を表示させる。また、表示部25は、警告信号を受信すると残電池量が少ない旨の警告音を発してもよい。警告信号を発するための電源部26の電池残量の閾値は、適宜設定可能である。
【0050】
電池残量測定部252は、検知装置1を稼働する際に、電源部の電池残量が、稼働時間が所定の閾値に達するまでに検知装置1が消費する電力量よりも多いか否かを判定する。
【0051】
装置本体2が設置される空間の温度に応じて、閾値を補正してもよい。装置本体2の設置場所の気温が低い場合には、電池の消耗が早いので、閾値を高く設定してもよい。
【0052】
所定動作時間分の電池容量の確認方法の一例を示す。
図4は、電源部の放電容量と電圧との関係を示す図である。
図4に示すように、電源部がリチウム電池の場合、リチウム電池は低温になるにしたがって内部電圧が低下する。このため、放電停止ラインとなるまでの放電容量が低下する。電池機種ごとに特性は異なるが、一例として45℃以上ならば2900mAh、25℃ならば2750mAh、0℃ならば2550mAh、-10℃ならば2450mAhである。設計時に各温度(5℃ステップ)で電池電圧と放電容量の関係を計測し、装置本体2の記録部242に予め登録させておく。装置本体2を所定時間動作させる分の電流の合計量Xを設計時に規定する。現在の温度及び現在の電池電圧を取得して、記録部242に登録された「電池電圧と放電容量との関係」より、満充電から現在までに放電した電流の合計量Yを計測する。現在の温度に基づき、満充電時の放電容量Zを求める。X+Y+α(余裕分)<Zを満たすかどうかにより、所定時間分の放電が可能か判断する。
なお、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池など他の種類の電池を用いる際にも同様に確認することが望ましい。
【0053】
図5は、検知装置の動作例を示すフローチャートである。
図5に示すように、検知装置1に電源が入ると、ファン22が駆動する(ステップ1)。
【0054】
ファン22が稼働を始めると、時間測定部241は、ファン22の稼働時間を測定する(ステップ2)。時間測定部241は、稼働時間を時間判定部243に送信する。
【0055】
時間判定部243は、稼働時間と記録部242に設定されている所定の閾値とを比較する(ステップ3)。
【0056】
稼働時間が所定の閾値以下の場合には、時間判定部243は、ファン22の稼働を継続と判定する。駆動部247は、ファン22の駆動を継続する。稼働時間が閾値を超えている場合には、時間判定部243は、ファン22の稼働を停止と判定する。駆動部247は、ファン22の駆動を停止して、火災監視を停止する(ステップ4)。
【0057】
ファン22の稼働時間が所定の閾値を超えていない場合には、制御部24は、位置固定手段である燃焼生成物導入部3の突っ張った状態を解除できない、例えば筒形状部31と筒形状部32との固定や筒形状部32と筒形状部33との固定が解除できないように制御する。
筒形状部31と筒形状部32との固定およびその解除や筒形状部32と筒形状部33の固定およびその解除方法は任意であるが、例えば固定部27として、筒形状部31の先端付近内側に装置本体2と通信可能であり突出するかどうかを切り替え可能な凸部を備えるとともに筒形状部32の複数個所に前記凸部と係合可能な固定用孔部を設けることにより、突っ張った状態を解除可能なタイミングにおいては制御部24の制御により凸部を非突出状態とし、突っ張った状態を解除できないタイミングにおいては制御部24の制御により凸部を突出状態とすることで、筒形状部31と筒形状部32との固定およびその解除を行うようにしてもよい。また、筒形状部32と筒形状部33の固定およびその解除方法についても同様に行うようにしてもよい。
【0058】
また、ステップ3において、稼働時間が所定の閾値を超えている場合には、時間判定部243からその旨の信号を受信した警告信号送信部253が、装置本体2に設けられた発信部(図示せず)に対して音を出す制御信号を送信してもよい。あるいは、時間判定部243は、管理者等が使用するPC、スマートフォン、タブレット端末等にその旨を知らせる信号を送信してもよい。
【0059】
また、稼働時間が所定の閾値以下の場合に、スイッチ(図示せず)を操作して、検知装置1を停止する操作が入力された際に、時間判定部243からその旨の信号を受信した警告信号送信部253は、発信部に対して警告音を出す制御信号を送信したり、時間判定部243からその旨の信号を受信した警告信号送信部253が管理者等の使用するPC、スマートフォン、タブレット端末等にその旨を知らせる信号を送信したりしてもよい。
【0060】
また、装置本体2は、燃焼生成物導入部3内の粉塵等の目詰まりを監視する監視部を有していてもよい。例えば、燃焼生成物導入部3に流速計を設置して、測定された流速が閾値未満であれば目詰まりと判断する。監視部が目詰まりを生じていると判定した場合に、その旨の信号を受信した警告信号送信部253が、発信部に対して警告音を出す制御信号を送信してもよい。
【0061】
このように構成された検知装置1では、制御部24は、時間判定部243が測定した稼働時間が所定の閾値を超えない限り、ファン22及び検知装置1のその他各部を停止できないように制御している。よって、閾値までの所定時間、燃焼生成物感知部23が燃焼生成物sを感知して、火災監視を継続することができる。したがって、所定時間、予期しない作動停止や移動をされず確実に火災や火災の前兆を検知することができる。
【0062】
また、燃焼生成物感知部23が燃焼生成物を感知して、使用者や工事関係者に確実に火災及び火災の前兆を知らせることができる。
【0063】
また、制御部24は、時間測定部241が測定した稼働時間が閾値を超えない限り、位置固定手段で燃焼生成物導入部3の突っ張った状態を解除できないように制御している。よって、閾値までの所定時間、検知装置1が固定され、燃焼生成物感知部23が燃焼生成物sを感知して、火災監視を継続することができる。
【0064】
また、電池残量測定部252が判定する電源部の電池残量判定結果に応じて、事前の電池への充電や配置対象箇所の選定等、火災監視に柔軟に対応することができる。
【0065】
(第二実施形態)
第二実施形態に係る検知装置について、主に図6を用いて説明する。以下で説明する実施形態において、上記に示す実施形態に対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0066】
図6は、本発明の第二実施形態に係る検知装置を示す模式的な図である。
図6に示すように、本実施形態に係る検知装置1Aでは、装置本体2と、燃焼生成物導入部3Aと、を備えている。
【0067】
燃焼生成物導入部3Aは、筒形状に形成され、上下方向に伸びる固定中空部35と、接続部38と、を有している。接続部38は、固定中空部35の下部から検知装置1A側にL字状に折り曲げられている。ファン22は、燃焼生成物感知部23より燃焼生成物導入部3Aの接続部38側に設置され、燃焼生成物を燃焼生成物感知部23側に吸引する。なお、接続部38はL字状でなく、固定中空部35が直接検知装置1Aの上面に接続されていてもよい。この場合、第一実施形態と同様に燃焼生成物感知部23の上部にファン22が設けられていて、燃焼生成物を燃焼生成物感知部23に吸引する。燃焼生成物導入部3Aの上部には、燃焼生成物導入部3Aの内外に連通された水平方向に一つ以上の開口部34aが形成されている。
【0068】
天井部材bの下方には、軽量鉄骨等で形成され、天井仕上げ材を支持する支持材cが天井部材bと略対向する面において格子状に設置されている。
【0069】
燃焼生成物導入部3Aの上下方向の中間部には、位置固定手段4が設けられている。燃焼生成物導入部3Aは、位置固定手段4によって、支持材cに着脱可能に固定されている。位置固定手段4は、例えば支持材cを上下方向から上下に分かれた部材により挟持可能なクランプ部材によって構成されている。また、上下に分かれた両部材は固定部27として機能する。固定部27として機能する両部材は、その一方又は両方が制御部24の制御に基づいて磁力がONOFF切り替え可能な電磁石として構成され、磁力がONとなっているときに両部材に引力が生じて固定され、その間、位置固定手段4による支持材cの挟持が解除できないようになっている。
また、位置固定手段4は、例えば支持材cをヒンジ部を中心に回転可能な2つの部材により挟持可能な電気錠によって構成されてもよい。ヒンジ部は固定部27として機能する。固定部27として機能するヒンジ部は制御部24の制御に基づいて2つの部材を回転不能と回転自在を切替可能とするように構成され、2つの部材を回転不能に制御されている間、位置固定手段4による支持材cの挟持が解除できないようになっている。
上記の通り、ファン22の稼働時間が所定の閾値を超えていない場合には、固定部27により位置固定手段4の解除ができないように制御部24によって制御されている。
【0070】
燃焼生成物導入部3Aは、支持材cの上方且つ天井部材bの下方に配置されている。燃焼生成物sを効率的に燃焼生成物導入部3A内に吸引するには、開口部34aは天井部材bのすぐ直下に配置されていることが好ましいが、開口部34aは支持材cの下方に配置されていてもよい。
【0071】
このように構成された検知装置1Aでは、制御部24は、時間判定部243が測定した稼働時間が所定の閾値を超えない限り、ファン22、燃焼生成物感知部23、表示部25、電源部26及び固定部27を停止又は解除できないように制御している。よって、所定の閾値までの時間、燃焼生成物感知部23が燃焼生成物sを感知し、固定部27が設置場所からの移動を阻害して、所定の設置場所で火災監視を継続することができる。したがって、所定時間、予期しない作動停止や移動をされず確実に火災や火災の前兆を検知することができる。
【0072】
なお、上述した実施の形態において示した組立手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0073】
また、上記に示す実施形態では、制御部24は電池残量測定部252を備えているが、本発明はこれに限られない。制御部24は電池残量測定部252を備えていなくてもよい。
【0074】
また、検知装置1は、操作部を備えていてもよい。操作部は、予期せず稼働を停止されないために装置の電源ボタンを押すだけでは電源が切れないようにする。操作方法を知っていなければ操作しえない操作、例えば電源ボタンを2~3秒長押したうえで他のボタンと組み合せて同時に押したり、パスワードにより電源操作のロック等の簡易な方法によって、誤操作しづらく、かつ、検知装置を停止できないようにすることができる。
【0075】
また、検知装置1は、各種センサのような移動検知部(図示せず)を備えていてもよい。移動検知部は、検知装置1の移動の際の加速度や傾斜角を検知することで、検知位置から移動されてしまうことを防止できる。同様に、検知装置1が人との接触や風等の影響により転倒してしまうことを検知できる。移動検知部は、検知装置1の移動や転倒等を検知した場合においては、制御部24に信号を送り、検知装置1を使用する者や管理する者に、移動や転倒を通知することを可能とする。工事中の作業や風等により生じる検知装置の振動による誤検知を防ぐために移動検知部には加速度や傾斜角の閾値を設定できる。また、検知装置の稼働直後、一定時間は加速度や傾斜角を測定しないことで、検知装置の設置位置の調整等を可能とする。
【0076】
また、時間測定部241は、ファン22のファンの稼働状況とは異なる時間を測定するようにしてもよい。電源投入からの経過時間や監視開始のボタン操作からの経過時間など適宜の時間を測定し、稼働時間としてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 検知装置
2 装置本体
3 燃焼生成物導入部
5 溶接機
22 ファン
23 燃焼生成物感知部
24 制御部
26 電源部
34a 開口部
51 制御部
241 時間測定部
245 測定部
252 電池残量測定部
b 天井部
s 燃焼生成物
図1
図2
図3
図4
図5
図6