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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021609
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】監視システム及び監視方法
(51)【国際特許分類】
   H02S 50/00 20140101AFI20250206BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
H02S50/00
H02J1/00 309W
H02J1/00 304F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125427
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】592062541
【氏名又は名称】木谷電器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125450
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 広明
(72)【発明者】
【氏名】田窪 義玄
(72)【発明者】
【氏名】木下 裕貴
【テーマコード(参考)】
5F251
5G165
【Fターム(参考)】
5F251JA27
5F251KA08
5G165BB11
5G165CA01
5G165DA02
5G165EA03
5G165HA01
5G165HA07
5G165HA17
5G165JA07
5G165KA03
5G165LA01
5G165LA02
5G165MA10
5G165NA06
5G165NA10
5G165PA01
5G165PA05
(57)【要約】
【課題】配線の盗難に対する抑止力を高めて盗難の被害を低減し得る監視システム及び監視方法を提供する。
【解決手段】本発明の1つの監視システム100は、太陽電池2と、インバータ3aを備えるパワーコンディショナ3と、太陽電池2とパワーコンディショナ3aとを電気的に接続する配線4と、配線4に電流を出力可能な電源部7と、電源部7に電気的に接続されるとともに、配線4と電気的に接続された導通状態と配線4と電気的に接続されない非導通状態とに切替可能な切替部9によって該導通状態であるときに、前述の電流を用いて配線4の接続状態を監視するための監視部8と、日没時を含む所定の時間内に、切替部9によって該導通状態に切り替えるとともに、電源部7から配線4に該電流を常時又は断続的に出力させる制御部10と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と、
インバータを備えるパワーコンディショナと、
前記太陽電池と前記パワーコンディショナとを電気的に接続する配線と、
前記配線に電流を出力可能な電源部と、
前記電源部に電気的に接続されるとともに、前記配線と電気的に接続された導通状態と前記配線と電気的に接続されない非導通状態とに切替可能な切替部によって前記導通状態であるときに、前記電流を用いて前記配線の接続状態を監視するための監視部と、
日没時を含む所定の時間内に、前記切替部によって前記導通状態に切り替えるとともに、前記電源部から前記配線に前記電流を常時又は断続的に出力させる制御部と、を備える、
監視システム。
【請求項2】
太陽電池と、
インバータを備えるパワーコンディショナと、
前記太陽電池と前記パワーコンディショナとを電気的に接続する配線と、
前記配線に電流を出力可能な電源部と、
前記電源部に電気的に接続されるとともに、前記配線と電気的に接続された導通状態と前記配線と電気的に接続されない非導通状態とに切替可能な切替部によって前記導通状態であるときに、前記電流を用いて前記配線の接続状態を監視するための監視部と、
前記太陽電池の起電力が所定の閾値以下になったときに、前記切替部によって前記導通状態に切り替えるとともに、前記電源部から前記配線に前記電流を常時又は断続的に出力させる制御部と、を備える、
監視システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記インバータに前記電流が流れない状態で、前記電源部から前記配線に前記電流を出力させる、
請求項1又は請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記太陽電池は、複数の太陽電池モジュールから構成され、
複数の前記太陽電池モジュールの各々から出力される直流電力を集電し、集電した電力をまとめて前記パワーコンディショナに入力する集電部をさらに備え、
前記配線は、各々の前記太陽電池モジュールと前記集電部とを電気的に接続して、各々の前記太陽電池モジュールから出力される直流電力を前記集電部に入力するための第1配線と、前記集電部と前記パワーコンディショナとを電気的に接続して、前記集電部で集電された電力を前記パワーコンディショナに入力するための第2配線とを備え、
前記監視部は、前記第2配線に設けられる、
請求項1又は請求項2に記載の監視システム。
【請求項5】
前記太陽電池は、複数の太陽電池モジュールから構成され、
複数の前記太陽電池モジュールの各々から出力される直流電力を集電し、集電した電力をまとめて前記パワーコンディショナに入力する集電部をさらに備え、
前記配線は、各々の前記太陽電池モジュールと前記集電部とを電気的に接続して、各々の前記太陽電池モジュールから出力される直流電力を前記集電部に入力するための第1配線と、前記集電部と前記パワーコンディショナとを電気的に接続して、前記集電部で集電された電力を前記パワーコンディショナに入力するための第2配線とを備え、
前記監視部は、前記第1配線に設けられる、
請求項1又は請求項2に記載の監視システム。
【請求項6】
太陽電池とインバータを備えるパワーコンディショナとを電気的に接続する配線と電気的に接続された導通状態と、前記配線と電気的に接続されない非導通状態とに切替可能な切替部が、日没時を含む所定の時間内に前記導通状態に切り替る切替工程と、
前記切替工程の後、前記導通状態の前記配線に電源部により電流を出力する出力工程と、
前記電源部に電気的に接続される監視部が、前記導通状態のときに、前記電流を用いて前記配線の接続状態を常時又は断続的に監視する監視工程と、を含む、
監視方法。
【請求項7】
太陽電池とインバータを備えるパワーコンディショナとを電気的に接続する配線と電気的に接続された導通状態と、前記配線と電気的に接続されない非導通状態とに切替可能な切替部が、太陽電池の起電力が所定の閾値以下になったときに前記導通状態に切り替る切替工程と、
前記切替工程の後、前記導通状態の前記配線に電源部により電流を出力する出力工程と、
前記電源部に電気的に接続される監視部が、前記導通状態のときに、前記電流を用いて前記配線の接続状態を常時又は断続的に監視する監視工程と、を含む、
監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、持続可能な社会を実現するための再生可能エネルギーとして、太陽光発電が注目されており、太陽光発電施設が各地で建設されている。
【0003】
一般的に太陽光発電施設は、太陽光を受光して発電を行う太陽電池、太陽電池が発電した起電力を直流電力から交流電力に変換するパワーコンディショナを備えた電源設備、及び、太陽電池と電源設備とを接続する配線により構成されている。
【0004】
中規模から大規模な太陽光発電施設においては、太陽電池が設置される場所と電源設備が設置される場所とは物理的に離れた位置にある場合が多く、例えば太陽電池と電源設備とは数十メートルから数百メートルほど離れている。そのため、太陽電池と電源設備とを接続する配線は長距離にわたって敷設されている。配線には通常、導電率が高い銅線が使用されている。
【0005】
この銅線の材料である銅価格の高騰を受けて、銅線の盗難被害が各地で発生している。特に配線(銅線)を長距離にわたって敷設する太陽光発電設備は大きな被害を受けており被害は年々増加している。太陽光発電施設における配線(銅線)の盗難は、太陽光発電施設を営む事業者に損失を与えるばかりではなく、太陽光発電施設における電力供給を停止させるため、エネルギーの安定供給を阻害し、国民生活や社会・経済活動に甚大な影響を及ぼしかねない。そのため、太陽光発電施設における配線の盗難を防止することは、太陽光発電施設の安定的な電力供給、さらには持続可能な社会を実現する上でも喫緊の課題となっている。
【0006】
これまでに、直流電源系統の直流回路において電流を検出するクランプ部の取り付け箇所の下流部分における絶縁抵抗や静電容量を、カップリングコンデンサと交流電源を用いて、活線状態のままで測定することができる測定器と測定方法が開示されている(特許文献1)。
【0007】
この構成を採用すれば、太陽電池の静電容量が太陽電池とパワーコンディショナとを接続する配線の静電容量よりも極めて大きい値であることから、配線が断線されると前述の太陽電池の静電容量が切り離されるような仕組みによって静電容量の値が断線前の値を下回った場合に配線の断線を検知することも可能といえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-233825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、太陽電池は複数の太陽電池モジュールで構成され、各々の太陽電池モジュールの静電容量が集電されてパワーコンディショナに入力されることが一般的である。そのため、上述の構成では、複数の太陽電池モジュールから集電された静電容量を計測することはできるが、各々の太陽電池モジュールにおける静電容量を計測することはできない。そのため、各々の太陽電池モジュールにおいて配線の盗難があった場合であっても、複数の太陽電池モジュールの静電容量を集電した値が断線判定値以上となってしまえば断線を検知することができず、配線の盗難を見逃してしまうこととなる。
【0010】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するものであり、太陽光発電システムに用いられる配線の盗難に対する監視の容易性を実現するとともに、盗難事件の把握の即時性を高めることに貢献し得る。また、本発明は、該配線の盗難に対する有効な抑止力としての役割を担うことにより、安定的な電力供給にも大きく貢献し得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの監視システムは、太陽電池と、インバータを備えるパワーコンディショナと、該太陽電池と該パワーコンディショナとを電気的に接続する配線と、該配線に電流を出力可能な電源部と、該電源部に電気的に接続されるとともに、該配線と電気的に接続された導通状態と該配線と電気的に接続されない非導通状態とに切替可能な切替部によって該導通状態であるときに、前述の電流を用いて該配線の接続状態を監視するための監視部と、日没時を含む所定の時間内に、該切替部によって該導通状態に切り替えるとともに、該電源部から該配線に該電流を常時又は断続的に出力させる制御部と、を備える。
【0012】
この監視システムにおいては、日没時を含む所定の時間内、言い換えれば配線の盗難が行われ易い時間帯(例えば、日没前後、又は夜間)に、切替部が配線と監視部とを導通状態に切り替えて、制御部が電源部から配線に電流を出力する。その結果、監視部が前述の電流を用いて配線の接続状態を監視することができるため、配線の盗難に対する監視の容易性を実現することができる。また、このシステムでは、配線を流れる電流を用いて配線の接続状態を監視するので、配線の断線を確度高く監視することができるとともに、盗難事件があった場合の該事件の把握の即時性を高め得る。また、制御部が、切替部によって配線と監視部とを導通状態又は非導通状態に切り替えるので、配線の監視が特に必要な時間帯のみに監視部において配線の監視を行うことができる。
【0013】
なお、太陽電池が複数の太陽電池モジュールで構成されている場合は次の効果も奏され得る。具体的には、複数の太陽電池モジュールから出力された電力を集電しパワーコンディショナに出力する配線であっても、あるいは各々の太陽電池モジュールに接続される配線であっても、断線を監視することができる。その結果、配線の盗難事件の把握の即時性を高め、配線の盗難が見逃されることを確度高く防止できる。
【0014】
本発明のもう1つの監視システムは、太陽電池と、インバータを備えるパワーコンディショナと、該太陽電池と該パワーコンディショナとを電気的に接続する配線と、該配線に電流を出力可能な電源部と、該電源部に電気的に接続されるとともに、該配線と電気的に接続された導通状態と該配線と電気的に接続されない非導通状態とに切替可能な切替部によって該導通状態であるときに、前述の電流を用いて該配線の接続状態を監視するための監視部と、該太陽電池の起電力が所定の閾値以下になったときに、該切替部によって該導通状態に切り替えるとともに、該電源部から該配線に該電流を常時又は断続的に出力させる制御部と、を備える。
【0015】
この監視システムにおいては、太陽電池の起電力が所定の閾値以下になったとき、言い換えれば配線の盗難が行われ易い時間帯(例えば、日没前後、又は夜間)における太陽電池の起電力の変化(より具体的には、低下)を判断することにより、切替部が配線と監視部とを導通状態に切り替えて、配線の接続状態を監視することができる。
【0016】
なお、上述の各発明の変形例として、上述の制御部は、上述のインバータに上述の電流が流れない状態で、上述の電源部から上述の配線に該電流を出力させることは、好適な一態様である。該変形例を採用すれば、該インバータに該電流が流れないため、インバータに該電源部からの該電流が流れることによる該インバータの誤作動又は故障を確度高く防止できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、配線の盗難に対する監視の容易性を実現するとともに、盗難事件の把握の即時性を高める監視システム及び監視方法を実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態の監視システムの非導通状態を示す図である。
図2】第1の実施形態の監視システムの導通状態を示す図である。
図3】第2の実施形態の監視システムを示す図である。
図4】第3の実施形態の監視システムを示す図である。
図5】第4の実施形態の監視システムを示す図である。
図6】第4の実施形態の変形例の監視システムを示す図である。
図7】第5の実施形態の監視システムを示す図である。
図8】第5の実施形態の変形例の監視システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。なお、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、各実施形態の要素のそれぞれは、必ずしも互いの縮尺比を保って示されてはいない。また、各図面を見やすくするために、一部の符号が省略されうる。
【0020】
[監視システム]
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態の監視システム100の非導通状態を示す図である。また、図2は、本実施形態の監視システム100の導通状態を示す図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の監視システム100においては、地面(平地に限らず、山間部等の特殊な地形の地面を含む)の上、建物の屋上、又は家屋の屋根の上等、太陽光を受光することができる場所に設置される太陽電池2と、太陽電池2において発電された直流電力を交流電力に変換するインバータ3aを備えるパワーコンディショナ3と、太陽電池2とパワーコンディショナ3とを電気的に接続する配線4とを備える。
【0022】
太陽電池2は、代表的には、複数の太陽電池モジュールから構成されるものである。各々の太陽電池モジュールは、光電効果により発電を行う複数の太陽電池セルが導体によって電気的に直列に接続した太陽電池ユニットと、太陽電池ユニットを固定支持する基体とを備える。各々の太陽電池モジュールは、発電された電力を出力する正極コネクタ及び負極コネクタが設けられている。
【0023】
配線4は、一軸に延伸する導線を絶縁層により被覆するとともに、絶縁層の表面が露出しないようにカバーしたものである。導線、絶縁層、カバーを構成する材料は、太陽電池2が配置される環境や太陽電池2の発電容量等に基づいて適宜変更されるものであるが、本実施形態においては導線に銅線が使用される。
【0024】
図1及び図2に示すように、太陽電池2とパワーコンディショナ3とを接続する配線4は、太陽電池2とパワーコンディショナ3とを接続する出力用回路5と、出力用回路5から分岐して配線4の監視を行うための監視用回路6とを備える。
【0025】
出力用回路5は、太陽電池2で発電された直流電力をパワーコンディショナ3へ入力する。出力用回路5の一例は、出力用プラス線5Aと、出力用マイナス線5Bとを備える。出力用プラス線5Aは、太陽電池2を構成する各々の太陽電池モジュールの正極コネクタに接続されるとともに、インバータ3aの正極コネクタに接続されるものである。出力用マイナス線5Bは、太陽電池2を構成する各々の太陽電池モジュールの負極コネクタに接続されるとともに、インバータ3aの負極コネクタに接続されるものである。
【0026】
監視用回路6は、配線4の断線を監視するためのものである。監視用回路6は、出力用プラス線5Aから分岐する監視用プラス線6Aと、出力用マイナス線5Bから分岐する監視用マイナス線6Bとを備える。監視用回路6の一例は、電源部7と、監視部8と、切替部9と、制御部10とが設けられている。より具体的には、監視用回路6は、後述する切替部9の操作によって、電気的に、電源部7と監視部8と制御部10とに接続し得る。
【0027】
電源部7は、後述する切替部9の操作によって、監視用回路6が属する配線4から出力用回路5が属する配線4に電流を流すことができる電源である。本実施形態においては、正極が監視用プラス線6Aに接続されるとともに、負極が監視用マイナス線6Bに接続される。この構成により、電源部7から出力される電流は、太陽電池2からパワーコンディショナ3に入力する電流の流れとは正方向もしくは逆方向に流れることとなる。本実施形態においては、説明の便宜のため、電源部7から配線4に出力する電流を「監視用電流」と記載し、太陽電池2からパワーコンディショナ3に入力する電流を「出力用電流」と記載する。「監視用電流」の電流値は、「出力量電流」の電流値と比較すると十分に小さい値となり、代表的な電流値は、0.1mA超100mA以下である。
【0028】
なお、電源部7は、出力用回路5に監視用電流を出力する構成であればよい。従って、外部発電装置を電源部7として用いること、又は、太陽電池2が発電した電力を蓄電した蓄電池を電源部7として用いることは採用し得る一態様である。また、電源部7の一例は配線4に監視用電流を常時出力させるものであってもよいし、断続的に出力させるものであってもよい。電源部7から、常時監視用電流が出力される場合、配線4の接続状態を常に監視することができる。加えて、本実施形態においては、監視用回路6が電源部7を備えているが、出力用回路5が電源部7を備えても良い。
【0029】
監視部8は、後述する切替部9の操作によって、電源部7から配線4に出力される監視用電流を用いて配線4の接続状態を監視し得る。監視部8の一例は、電源部7に対して、出力用回路5と並列となるように監視用回路6に設けられている。本実施形態においては、監視部8の一例は電圧計である。監視部8は、監視用回路6の電圧値を計測し、計測値を後述する制御部10へ送信する。
【0030】
切替部9は、配線4と監視部8とが電気的に接続された導通状態と、配線4と監視部8とが電気的に接続されない非導通状態に切替可能なものである。切替部9の一例は、監視用回路6に設けられた監視側リレー12と、出力用回路5に設けられた出力側リレー11とを備える。
【0031】
監視側リレー12は、監視用回路6の監視用プラス線6A及び監視用マイナス線6Bの何れかまたは両方に設けられ、出力用回路5と監視用回路6とを電気的に接続の状態又は電気的に非接続の状態にすることができる。監視側リレー12の一例は、以下の(a)~(c)の構成を備える。
(a)出力用回路5から監視用回路6へ分岐する分岐点から、電源部7及び監視部8との間に配置する監視用プラス線6Aに設けられたスイッチ12a
(b)出力用回路5から監視用回路6へ分岐する分岐点から、電源部7及び監視部8との間に配置する監視用マイナス線6Bに設けられたスイッチ12b
(c)スイッチ12a及びスイッチ12bを作動させる監視側作動部12c
【0032】
出力側リレー11は、出力用プラス線5A及び出力用マイナス線5Bに各々設けられ、出力用回路5とパワーコンディショナ3とを電気的に接続の状態又は電気的に非接続の状態にすることができる。この出力側リレー11の一例は、以下の(d)~(f)の構成を備える。
(d)出力用回路5から監視用回路6へ分岐する分岐点からパワーコンディショナ3との間に配置する出力用プラス線5Aに設けられたスイッチ11a
(e)出力用回路5から監視用回路6へ分岐する分岐点からパワーコンディショナ3との間に配置する出力用マイナス線5Bに設けられたスイッチ11b
(f)スイッチ11a及びスイッチ11bを作動させる出力側作動部11c
【0033】
本実施形態においては、配線4と監視部8とが電気的に接続された通電状態とは、図2に示す状態をいう。つまり、通電状態とは、切替部9が、監視側リレー12のスイッチ12a及びスイッチ12bを閉状態とすることで、出力用回路5と監視用回路6とが電気的に接続された状態とするとともに、出力側リレー11のスイッチ11aとスイッチ11bを開状態とすることで、出力用回路5とパワーコンディショナ3とが電気的に非接続の状態とすることをいう。そのため、通電状態において、パワーコンディショナ3に設けられたインバータ3aには監視用電流が流れない状態となる。従って、インバータ3aに電源部7からの電流が流れることによるインバータ3aの誤作動又は故障を確度高く防止することができる。
【0034】
本実施形態においては、配線4と監視部8とが電気的に接続されない非通電状態とは、図1に示す状態をいう。つまり、非通電状態とは、切替部9が、監視側リレー12のスイッチ12a及びスイッチ12bを開状態とすることで、出力用回路5と監視用回路6とが電気的に接続されない状態とするとともに、出力側リレー11のスイッチ11aとスイッチ11bを閉状態とすることで、出力用回路5とパワーコンディショナ3とが電気的に接続された状態とすることをいう。
【0035】
制御部10は、所定の条件を満たしたときに、切替部9によって、配線4と監視部8とが電気的に接続された通電状態に切り替えるとともに、電源部7から配線4に常時又は断続的に監視用電流を出力する。制御部10は、切替制御部13、電源制御部14、監視制御部15、記憶部16、アラート制御部17とを含み得る。制御部10は、例えばCPU(Central Processing Unit)によって構成され、公知のHDD(ハードディスクドライブ)又はSSD(ソリッドステートドライブ)に代表される記憶部16に記憶されるプログラムを実行することによって、上述の機能を実現する。また、制御部10の一部が、例えばインターネット等の公衆通信回線を介して遠隔地又はクラウド上に配置されることも採用し得る他の一態様である。
【0036】
本実施形態における「所定の条件」とは、時間的な条件であって、日没時を含む所定の時間内をいう。より具体的な一例は、日没時の1時間前から該日没時の1時間後までの間である。すなわち、所定の条件を満たしたときとは、太陽電池2が発電を行わない、例えば、日没前後又は夜間における、配線4が盗難されやすい時間帯となったときと言い換えることができる。
【0037】
なお、より狭義の上述の「所定の条件」は、日没時の30分前から該日没時の30分後であり、最も狭義の該「所定の条件」は、日没時の15分前から該日没時の15分後である。日没前の前述の時間を短縮することは、太陽光発電を行う時間を長くすることに貢献し、日没後の前述の時間を短縮することは、盗難の監視をより迅速に開始することに貢献し得る。他方、太陽電池(又は太陽電池モジュール)が山間地等の地形に配置される場合は、日没時刻よりも相当前に該太陽電池又は該太陽電池モジュールによる発電が実質的に行われなくなるため、そのような場合は、上述の「所定の条件」のうち、日没時よりも前の時間の長さが長い方が、盗難の監視の確度又は実効性を高め得る。従って、該「所定の条件」は、太陽電池(又は太陽電池モジュール)の設置場所を含む周辺環境(例えば、平地、山間地等の地形、及び外気温等の事情を含む)によって適宜設定され得る。
【0038】
切替制御部13は、例えば、CPUに内蔵されたクロックが、日没時を含む所定の時間内となると、監視側リレー12の監視側作動部12c及び出力側リレー11の出力側作動部11cに切替信号を送信して、図2に示すような通電状態となるように制御する。
【0039】
電源制御部14も、例えば、CPUに内蔵されたクロックが、日没時を含む所定の時間内となると、電源部7に電源信号を送信して、電源部7から常時又は断続的に、監視用回路6に監視用電流を出力する。
【0040】
監視制御部15は、監視部8から送信された計測値を受けて、計測値が予め定めた閾値を上回った場合に、配線4が断線され、盗難されたと判断して断線信号をアラート制御部17へ送信する。
【0041】
アラート制御部17は、監視制御部15からの断線信号を受けて、外部報知装置へアラート信号を送信する。この外部報知装置とは、例えば警報音を出す警報装置や、警告灯を発する光源、又は監視システム100とは遠隔の距離に配置された監視用PC等への、インターネットを介した電子メール又はSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を含む情報の送信手段等を含む公知の報知装置である。
【0042】
[監視方法]
本実施形態においては、監視システム100を用いて、以下のように配線4の監視を行うことができる。
【0043】
<切替工程>
本実施形態においては、日没時を含む所定の時間になると、制御部10の切替制御部13が、監視側リレー12の監視側作動部12c及び出力側リレー11の出力側作動部11cに切替信号を送信する。切替信号を受信した切替部9は、監視側リレー12によって、図2に示すような配線4と監視部8とが電気的に接続された通電状態となるように切替える。なお、上述のとおり、このときに切替部9が、出力側リレー11によって配線4(出力用回路5)とパワーコンディショナ3とを電気的に非接続の状態(図2に示す状態)にすることは、好適な一態様である。
【0044】
<出力工程>
上述した切替工程の後、電源制御部14が、電源部7に電源信号を送信する。電源部7は、電源信号を受けて、常時又は断続的に監視用回路6に監視用電流を出力する。
【0045】
<監視工程>
出力工程において監視用回路6に出力された監視用電流は、出力用回路5を流れた後に、太陽電池2を経由して再び監視用回路6へと入力される。ここで、電源部7と監視部8とは並列に配置されている。出力用回路5で配線4が断線すると、監視部8に設けられた電圧値が前述の電源部7の電圧値から十分に大きく変動することになる。この構成により、監視部8は、電圧値を計測して、電圧値の変化、すなわち配線4の接続状態を監視する。監視部8が計測した電圧値は、監視制御部15へと送信される。監視制御部15は、該電圧値が予め定めた閾値を上回った場合、配線4が盗難されたと判断して断線信号をアラート制御部17へ送信する。アラート制御部17は、監視制御部15からの断線信号を受けて、外部報知装置へアラート信号を送信する。
【0046】
本実施形態の監視工程において、電源部7が監視用電流を常時出力している場合には、監視部8も常時監視を行うこととなり、電源部7が断続的に電流を出力している場合には、監視部8も断続的に監視を行うこととなる。
【0047】
本実施形態の監視システム100は、監視用回路6に電源部7、監視部8、切替部9及び制御部10が設けられて、切替部9が、日没時を含む所定の時間内となると、配線4と監視部8とが電気的に接続される通電状態に切替える。通電状態において電源部7から出力された監視用電流は、監視用回路6から出力用回路5へと流れ、監視部8は並列に接続された出力用回路5の電圧値を計測する。ここで、配線4が盗難又は破壊行為等によって配線4に断線が生じていると、監視部8において電圧値が変動するため、配線4の盗難等の把握の即時性を高めるとともに、容易に且つ確度高く監視することができる。
【0048】
また、この監視システム100は、日没時を含む所定の時間内、言い換えれば、例えば日没前後又は夜間等の盗難が頻発する時間帯に作動するものであるため、配線4の盗難に対する有効な抑止力としての役割を担うことができる。
【0049】
また、電源部7から電流を出力する際に、出力側リレー11によって、インバータ3aに監視用電流が流れない状態とすることで、インバータ3aに逆電流が流れることを防止できるため、インバータ3aに電源部7からの電流が流れることによるインバータ3aの誤作動又は故障を確度高く防止できる。
【0050】
加えて、配線4の断線が発生した場合、アラート制御部17から外部放置装置へとアラート信号が送信される。そのため、アラート信号を受けた警報音や警告灯等により盗難に対する抑止力を高めて盗難の被害を低減できるとともに、例えばアラート信号が発せられた時間を特定できれば、盗難者の特定にも役立てることができる。
【0051】
<第2の実施形態>
図3は、本実施形態の監視システム200を示す図である。なお、本実施形態の監視システム200は、制御部10が判定部18をさらに備えることを除いて、第1の実施形態の監視システム100と同じである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略され得る。
【0052】
図3に示すように、本実施形態の監視システム200は、制御部10が後述する所定の条件を満たしたか否かを判定する判定部18をさらに備えている。
【0053】
判定部18は、上述の所定の条件の一例として、太陽電池2に設けられた電圧計等からの測定値を受けて、該測定値が予め定めた所定の閾値以上となったことを判定すると、切替制御部13及び電源制御部14に判定信号を送信する。なお、「所定の閾値」は、太陽電池2の設置場所を含む周辺環境(例えば、平地、山間地等の地形、及び外気温等の事情を含む)によって適宜設定され得る。山間部等の特殊な地形を除く一般的な設置場所における代表的な閾値の設定の例は、12V以上120V以下である。
【0054】
切替制御部13が上述の判定信号を受けると、切替部9の監視側リレー12の監視側作動部12c及び出力側リレー11の出力側作動部11cに切替信号を送信する。その結果、スイッチ12a、スイッチ12b、スイッチ11a、スイッチ11bが作動することにより、切替制御部13は、第1の実施形態において説明した通電状態となるように切替部9を制御する。
【0055】
また、電源制御部14が上述の判定信号を受けると、電源部7に電源信号を送信する。電源部7は、常時又は断続的に、監視用回路6に監視用電流を出力する。
【0056】
[監視方法]
本実施形態においては、監視システム200を用いて、以下のように配線4の監視を行うことができる。なお、出力工程及び監視工程については、第1の実施形態で説明したことと重複するため、ここでは切替工程についてのみ説明を行う。
【0057】
<切替工程>
判定部18が太陽電池2の起電力の測定値を受けて、該測定値が予め定めた所定の閾値以下となったことを判定すると、判定部18は、切替制御部13及び電源制御部14に上述の判定信号を送信する。該判定信号を受信した切替制御部13は、切替部9によって、配線4と監視部8とが電気的に接続された通電状態となるように切替える。また、該判定信号を受信した電源制御部14は、電源部7によって、監視用電流を監視用回路6へ出力する。
【0058】
本実施形態の監視システム200は、判定部18が太陽電池2の起電力に基づいて切替制御部13及び電源制御部14に判定信号を送信するので、例えば日中でも太陽電池の起電力が低下しているときに本実施形態の監視システム200を作動させて、盗難に対する抑止力を高めて盗難の被害を低減し得る。
【0059】
<第3の実施形態>
図4は、本実施形態の監視システム300を示す図である。なお、本実施形態の監視システム300は、第1の実施形態における出力側リレー11の代わりに逆流防止ダイオード19が設けられたことを除いて、第1の実施形態の監視システム100又は第2の実施形態の監視システム200と同じである。従って、第1の実施形態及び第2の実施形態と重複する説明は省略され得る。
【0060】
図4に示すように、本実施形態の監視システム300は、出力用回路5と監視用回路6との分岐点から、パワーコンディショナ3の間に配置する出力用プラス線5Aに設けられた逆流防止ダイオード19を備える。
【0061】
切替部9は、監視側リレー12のみを備え、本実施形態においては、第1の実施形態の監視システム100で設けられていた出力側リレー11は設けられていない。
【0062】
本実施形態の監視システム300は、出力用回路5に逆流防止ダイオード19が設置されている。ここで、監視用電流の流れる方向と、出力用電流の流れる方向は逆方向となっている。そのため、出力用回路5側に出力側リレー11を設けなくても、逆流防止ダイオード19によって、インバータ3aに監視用電流が流れない。その結果、インバータ3aに逆電流が流れることによる該インバータ3aの誤作動又は故障を確度高く防止できる。
【0063】
<第4の実施形態>
図5は、本実施形態の監視システム400を示す図である。なお、本実施形態の監視システム400は、集電部20を新たに設けていることと、配線4が、第1配線21及び第2配線22を備えること、電源部7、監視部8、切替部(第1切替部30又は第2切替部40)、制御部(制御部10又は制御部31)がそれぞれ第1配線21及び第2配線22に設けられていることを除いて、第1の実施形態の監視システム100、第2の実施形態の監視システム200又は第3の実施形態の監視システム300と同じである。従って、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態と重複する説明は省略され得る。
【0064】
図5に示すように、本実施形態の監視システム400は、太陽電池2が複数の太陽電池モジュール2A、2B、2Cから構成されている。なお、太陽電池モジュールの数は太陽光発電システムの規模に応じて適宜変更され得る。
【0065】
配線4は、各々の太陽電池モジュール2A、2B、2Cから出力される直流電力を集電部20に入力するための第1配線21と、集電部20とパワーコンディショナ3とを電気的に接続して、集電部20で集電された電力をパワーコンディショナ3に入力するための第2配線22とを備える。
【0066】
第1配線21は、各々の太陽電池モジュール2A、2B、2Cと開閉器23aとを電気的に接続する第1出力用回路24(24A、24B、24C)と、第1出力用回路24から分岐する第1監視用回路25とを備える。
【0067】
第1出力用回路24(24A、24B、24C)は、各々の太陽電池モジュール2A、2B、2Cから出力された直流電力を開閉器23aに入力する。第1出力用回路24(24A、24B、24C)に属する配線は、それぞれ以下の(g)~(i)に示すとおりである。
(g)第1出力用回路24Aは、太陽電池モジュール2Aの正極コネクタと開閉器23aの正極端子とを接続する第1出力用プラス線26Aと、太陽電池モジュール2Aの負極コネクタと開閉器23aの負極端子とを接続する第1出力用マイナス線27Aとを備える。
(h)第1出力用回路24Bは、太陽電池モジュール2Bの正極コネクタと開閉器23aの正極端子とを接続する第1出力用プラス線26Bと、太陽電池モジュール2Bの負極コネクタと開閉器23aの負極端子とを接続する第1出力用マイナス線27Bとを備える。
(i)第1出力用回路24Cは、太陽電池モジュール2Cの正極コネクタと開閉器23aの正極端子とを接続する第1出力用プラス線26Cと、太陽電池モジュール2Cの負極コネクタと開閉器23aの負極端子とを接続する第1出力用マイナス線27Cとを備える。
【0068】
第1監視用回路25は、第1配線21(特に、第1出力用回路24)の断線を監視するためのものであって、以下の(j)~(l)に示す配線を備える。
(j)第1出力用プラス線26Aから分岐する第1監視用プラス線28A及び第1出力用マイナス線27Aから分岐する第1監視用マイナス線29A
(k)第1出力用プラス線26Bから分岐する第1監視用プラス線28B及び第1出力用マイナス線27Bから分岐する第1監視用マイナス線29B
(l)第1出力用プラス線26Cから分岐する第1監視用プラス線28C及び第1出力用マイナス線27Cから分岐する第1監視用マイナス線29C
【0069】
第1監視用回路25には、第1配線21に監視用電流を出力可能な電源部7と、監視用電流を用いて第1配線21の接続状態を監視するための監視部8と、第1切替部30と、制御部31とが設けられている。ここで、電源部7、監視部8については、上述の第1の実施形態において説明した内容と重複するため、ここでは、第1切替部30及び制御部31について以下説明する。
【0070】
第1切替部30は、第1配線21と監視部8とが電気的に接続された導通状態と、第1配線21と監視部8とが電気的に接続されない非導通状態に切替可能なものである。また、第1切替部30は、第1監視用回路25に設けられて、第1監視用回路25の第1監視用プラス線28及び第1監視用マイナス線29に各々設けられた第1監視側リレー32を備える。
【0071】
第1監視側リレー32は、第1出力用回路24と第1監視用回路25とを電気的に接続又は電気的に非接続とするものである。第1監視側リレー32の一例は、(m)~(o)を備える。
(m)第1出力用回路24と第1監視用回路25との分岐点から、電源部7及び監視部8の間に配置する第1監視用プラス線28に設けられたスイッチ33a
(n)第1出力用回路24と第1監視用回路25との分岐点から、電源部7及び監視部8の間に配置する第1監視用マイナス線29に設けられたスイッチ33b
(o)スイッチ33a及びスイッチ33bを作動させる第1監視側作動部33c
【0072】
スイッチ33aは、第1監視用プラス線28Aに設けられた端子Aと、第1監視用プラス線28Bに設けられた端子Bと、第1監視用プラス線28Cに設けられた端子Cと、電源部7及び監視部8側の第1監視用プラス線28に設けられた端子Dと、を備える。
【0073】
スイッチ33bは、第1監視用マイナス線29Aに設けられた端子Aと、第1監視用マイナス線29Bに設けられた端子Bと、第1監視用マイナス線29Cに設けられた端子Cと、電源部7及び監視部8側の第1監視用マイナス線29に設けられた端子Dと、を備える。
【0074】
ここで、本実施形態における第1配線21と監視部8とが電気的に接続された通電状態について説明する。本実施形態における通電状態とは、図5に示す状態をいう。つまり、第1切替部30において、スイッチ33a及びスイッチ33bの端子Dと端子A、端子B、端子Cのいずれかが接続された閉状態(図5では、一例として、スイッチ33a及びスイッチ33bの端子Dと、それぞれに対応する端子Bとが接続された閉状態)となり、第1出力用回路24と第1監視用回路25とが電気的に接続された状態をいう。
【0075】
また、第1配線21と監視部8とが電気的に接続されない非通電状態とは、第1切替部30において、スイッチ33a及びスイッチ33bの各端子Dが端子A、端子B、端子Cのいずれとも接続していない開状態となり、第1出力用回路24と第1監視用回路25とが電気的に非接続な状態をいう。
【0076】
制御部31は、所定の条件を満たしたときに、第1切替部30によって導通状態に切り替えるとともに、電源部7から第1配線21に監視用電流を出力させる。ここで、所定の条件とは、第1の実施形態で説明した時間的な条件、又は第2の実施形態において説明した太陽電池2の設置場所を含む周辺環境によって適宜設定される「所定の閾値」の条件のことである。本実施形態においては、第1の実施形態の条件を用いて以下に説明する。
【0077】
制御部31は、第1切替制御部113、電源制御部14、監視制御部15、記憶部16、アラート制御部17とを含み得る。制御部31は、第1の実施形態で説明した制御部10と同様の構成を備える。また、電源制御部14、監視制御部15、記憶部16、アラート制御部17の構成についても、第1の実施形態と重複するため説明を省略し、以下では第1切替制御部113について説明する。
【0078】
第1切替制御部113は、例えば、CPUに内蔵されたクロックが、日没時を含む所定の時間内となると、第1監視側リレー32の第1監視側作動部33cに切替信号を送信する。第1監視側作動部33cは、スイッチ33aにおいて、端子Dに接続させる端子を、端子A、端子B、端子Cの順に一定間隔の時間をおいて、又は不定期の時間間隔で切替えていく。同様に、スイッチ33bにおいても、スイッチ33aと同期させながら、端子Dに接続させる端子を、端子A、端子B、端子Cの順に一定間隔の時間をおいて、又は不定期の時間間隔で切替えていく。
【0079】
集電部20は、複数の太陽電池モジュール2A、2B、2Cの各々から出力される直流電力を集電し、集電した電力をまとめてパワーコンディショナ3に入力するものである。集電部20は、第1配線21と、第2配線22との間に配置されるものであって、開閉器23aと、集電器23bと、逆流防止ダイオード23cとを備え、例えば、接続箱に収容され得る。
【0080】
開閉器23aは、各々の太陽電池モジュール2A、2B、2Cが電気的に接続される接続状態と、電気的に接続されない遮断状態とに切替える。また、開閉器23aは、以下の(p)~(r)のスイッチ114を備える。
(p)太陽電池モジュール2Aと電気的に接続された第1出力用プラス線26A及び第1出力用マイナス線27Aに設けられたスイッチ114a
(q)太陽電池モジュール2Bと電気的に接続された第1出力用プラス線26B及び第1出力用マイナス線27Bに設けられたスイッチ114b
(r)太陽電池モジュール2Cと電気的に接続された第1出力用プラス線26C及び第1出力用マイナス線27Cに設けられたスイッチ114c
【0081】
上述の構成を備えることにより、スイッチ114aを切替えれば、第1出力用回路24Aを開閉することができるため、開閉器23aは、太陽電池モジュール2Aを接続状態又は遮断状態に切替えることができる。同様に、スイッチ114bを切替えれば、第1出力用回路24Bを開閉することができるため、開閉器23aは、太陽電池モジュール2Bを接続状態又は遮断状態に切替えることができる。スイッチ114cを切替えれば、第1出力用回路24Cを開閉することができるため、開閉器23aは、太陽電池モジュール2Cを接続状態又は遮断状態に切替えることができる。
【0082】
また、スイッチ114a、スイッチ114b、及びスイッチ114cは、それぞれに対応する、図示しないスイッチ114aを作動させる作動部、スイッチ114bを作動させる作動部、及びスイッチ114cを作動させる作動部によって、独立して切替えることができる。従って、太陽電池モジュール2A、太陽電池モジュール2B、及び太陽電池モジュール2Cの接続状態又は遮断状態は、それぞれ個別に切替えることができる。
【0083】
集電器23bは、開閉器23aと電気的に接続されて、開閉器23aによって接続状態となっている太陽電池モジュール2A、2B、2Cから出力される直流電力を集電する。
【0084】
逆流防止ダイオード23cは、開閉器23aと集電器23bとの間に配置される。この逆流防止ダイオード23cは、太陽電池モジュール2Aと電気的に接続された第1出力用プラス線26A、太陽電池モジュール2Bと電気的に接続された第1出力用プラス線26B、太陽電池モジュール2Cと電気的に接続された第1出力用プラス線26Cにそれぞれ設けられている。
【0085】
第2配線22は、集電部20とパワーコンディショナ3とを電気的に接続する第2出力用回路34と、第2出力用回路34から分岐する第2監視用回路35とを備える。
【0086】
第2出力用回路34は、集電部20において集電された各々の太陽電池モジュール2A、2B、2Cから出力された直流電力をパワーコンディショナ3へ入力する。第2出力用回路34は、集電部20の正極端子と、インバータ3aの正極コネクタとを接続する第2出力用プラス線36と、集電部20の負極端子と、インバータ3aの負極コネクタとを接続する第2出力用マイナス線37とを備える。
【0087】
第2監視用回路35は、第2配線22(特に、第2出力用回路34)の断線を監視するためのものであって、第2出力用プラス線36から分岐する第2監視用プラス線38と、第2出力用マイナス線37から分岐する第2監視用マイナス線39とを備える。
【0088】
第2監視用回路35には、電源部7と、監視部8と、第2切替部40と、制御部10とが設けられている。ここで、電源部7は、第2配線22に監視用電流を出力可能なものである。監視部8は、監視用電流を用いて第2配線22の接続状態を監視するためのものである。第2切替部40は、第2配線22と監視部8とを電気的に接続された導通状態と、第2配線22と監視部8とを電気的に接続されない非導通状態とに切替可能なものである。第2切替部40の一例は、第2監視側リレー47と第2出力側リレー46とを備える。第2監視側リレー47は、第2監視用プラス線38及び第2監視用マイナス線39に各々設けられ、第2出力用回路34と第2監視用回路35とを電気的に接続又は非接続の状態とするものである。第2出力側リレー46は、第2出力用プラス線36及び第2出力用マイナス線37に各々設けられ、集電部20とパワーコンディショナ3とを電気的に接続又は非接続の状態とするものである。制御部10は、所定の条件を満たしたときに、第2切替部40によって導通状態に切り替えるとともに電源部7から第2配線22に監視用電流を出力させるものである。監視部8、電源部7、制御部10は、第1の実施形態において説明した内容と重複し、また第2切替部40や、第2切替部40に含まれる第2監視側リレー47及び第2出力側リレー46についても、第1の実施形態において説明した切替部9、監視側リレー12及び出力側リレー11の構成と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0089】
本実施形態では、第1配線21及び第2配線22のそれぞれに電源部7、監視部8、切替部(第1切替部30又は第2切替部40)、制御部(制御部10又は制御部31)が設けられているので、第1配線21(特に、第1出力用回路24)及び第2配線22(特に、第2出力用回路34)の断線をそれぞれ監視することができる。
【0090】
また、第1監視側リレー32のスイッチ33a及びスイッチ33bがそれぞれ端子A、端子B、端子C、端子Dを備え、第1切替制御部113が、端子Dに接続させる端子を、端子A、端子B、端子Cの順に一定間隔の時間をおいて、又は不定期の時間間隔で切替えていく。そのため、第1配線21に含まれる、第1出力用回路24A、第1出力用回路24B、第1出力用回路24Cにそれぞれ監視用電流を流して、各々の太陽電池モジュール2A、2B、2Cにおける断線を個別に監視することができる。その結果、それぞれの配線である第1出力用回路24(24A、24B、24C)及び第2出力用回路34の盗難が見逃されることを確度高く防止できる。
【0091】
加えて、開閉器23aと集電器23bとの間に配置する、第1出力用プラス線26A、第1出力用プラス線26B及び第1出力用プラス線26Cに逆流防止ダイオード23cがそれぞれ設けられている。そのため、第1切替部30は、出力側リレーを設けずとも、インバータ3aに逆電流が流れることによる該インバータの誤作動又は故障を確度高く防止できる。
【0092】
ところで、既に設置されている太陽電池システムにおいて、第1出力用回路及び第2出力用回路が設けられている場合に、本実施形態の監視システム400を追加的に取り付ける例について説明する。
【0093】
上述の場合、まず、第1出力用回路に、本実施形態の集電部20、電源部7、監視部8、第1切替部30及び制御部31が設けられた第1監視用回路25を備える接続箱を外付けする。併せて、第2出力用回路に、電源部7、監視部8、第2切替部40及び制御部10が設けられた第2監視用回路35を適用する。このように構成すれば、たとえ既存の太陽電池システムであっても、本実施形態の監視システム400を取り付けることができるため、盗難に対する抑止力を高めて盗難の被害を低減できる。
【0094】
<第4の実施形態の変形例>
第4の実施形態の変形例として、監視システム500を以下に説明する。
【0095】
図6は、本実施形態の変形例の監視システム500を示す図である。本変形例の監視システム500は、既に設置されている太陽電池システムにおいて、第1出力用回路α及び第2出力用回路βが設けられて、かつ、逆流防止ダイオードが内蔵された接続箱Xが設置されている場合に好適に用いられる構成である。
【0096】
図6に示すように、本変形例の監視システム500は、接続箱Xが設置されているので、まず、第1出力用回路αに、電源部7、監視部8、第1切替部30及び制御部31が設けられた第1監視用回路25を外付けする。併せて、第2出力用回路βに、電源部7、監視部8、第2切替部40及び制御部10が設けられた第2監視用回路35を外付けする。これにより、既に設置されている太陽電池システムに本変形例の監視用システム500を実装することができるため、盗難に対する抑止力を高めて盗難の被害を低減できる。
【0097】
<第5の実施形態>
図7は、本実施形態の監視システム600を示す図である。なお、本実施形態の監視システム600は、集電部41が逆流防止ダイオードではなくヒューズ42bを備えていること、第1切替部43が第1監視側リレー32に加えて第1出力側リレー44を備えていることを除いて、第1の実施形態の監視システム100、第2の実施形態の監視システム200、第4の実施形態の監視システム400と同じである。従って、前述の実施形態と重複する説明は省略され得る。
【0098】
図7に示すように、本実施形態の監視システム600は、集電部41が、集電器42aと、集電器42aに対して、出力用電流の上流側に設けられて、過電流等を遮断してパワーコンディショナ3を保護するためのヒューズ42bとを備える。このヒューズ42bは、第1出力用プラス線26A、第1出力用プラス線26B及び第1出力用プラス線26Cにそれぞれ設けられている。
【0099】
第1切替部43は、第1配線21と監視部8とが電気的に接続された導通状態と、第1配線21と監視部8とが電気的に接続されない非導通状態に切替可能なものであり、第1監視側リレー32に加えて、第1出力側リレー44とを備える。
【0100】
第1出力側リレー44は、第1出力用回路24と集電部41とを電気的に接続又は電気的に非接続とするものである。すなわち、各々の太陽電池モジュール2A、2B、2Cと集電部41とを電気的に接続される接続状態と、電気的に接続されない遮断状態とに切替える開閉器としての役割を果たすものである。
【0101】
第1出力側リレー44の一例は、以下の構成(s)~(v)を備える。
(s)第1監視用回路25Aと第1出力用回路24Aとの分岐点から、集電器42aの間に配置する第1出力用プラス線26A及び第1出力用マイナス線27Aにそれぞれ設けられたスイッチ45A
(t)第1監視用回路25Bと第1出力用回路24Bとの分岐点から、集電器42aの間に配置する第1出力用プラス線26B及び第1出力用マイナス線27Bにそれぞれ設けられたスイッチ45B
(u)第1監視用回路25Cと第1出力用回路24Cとの分岐点から集電器42aの間に配置する第1出力用プラス線26C及び第1出力用マイナス線27Cにそれぞれ設けられたスイッチ45C
(v)スイッチ45A、スイッチ45B及びスイッチ45Cを作動させる第1出力側作動部45D
【0102】
ここで、第5の実施形態における第1配線21と監視部8とが電気的に接続された通電状態とは、図7に示す状態をいう。つまり、第1監視側リレー32において、スイッチ33a及びスイッチ33bの端子Dと端子A、端子B、端子Cのいずれかが接続された閉状態(図7では一例として、スイッチ33a及びスイッチ33bの端子Dと端子Bとが接続された閉状態)となり、第1出力用回路24と第1監視用回路25とが、電気的に接続された状態にする。併せて、第1出力側リレー44において、スイッチ45A、スイッチ45B及びスイッチ45Cのいずれもが開状態として、太陽電池2と集電部41とが電気的に接続されていない状態にすることをいう。
【0103】
また、第1配線21と監視部8とが電気的に接続されない非通電状態とは、以下の状態をいう。つまり、第1監視側リレー32において、スイッチ33a及びスイッチ33bの端子Dを、端子A、端子B、端子Cのいずれとも接続していない開状態となり、第1出力用回路24と第1監視用回路25とが電気的に非接続の状態とする。併せて、第1出力側リレー44において、スイッチ45A、スイッチ45B及びスイッチ45Cのいずれもを閉状態として、太陽電池2と集電部41とが電気的に接続された状態にすることをいう。
【0104】
本実施形態の監視システム600では、集電部41に逆流防止ダイオードを備えない場合であっても、第1出力側リレー44をさらに備えることにより、監視用電流が集電部41からパワーコンディショナ3に逆流することによるインバータ3aの誤作動や故障を確度高く防止することができる。
【0105】
ところで、既に設置されている太陽電池システムが、第1出力用回路及び第2出力用回路を備える場合に本実施形態の監視システム600を追加的に取り付ける例について説明する。
【0106】
上述の場合、まず、第1出力用回路に本実施形態の集電部41、電源部7、監視部8、第1切替部43及び制御部31が設けられた第1監視用回路25を備える接続箱を外付けする。併せて、第2出力用回路に電源部7、監視部8、第2切替部40及び制御部10が設けられた第2監視用回路35を設ける。このように構成すれば、たとえ既存の太陽電池システムであっても、本実施形態の監視システム600を取り付けることができるため、盗難に対する抑止力を高めて盗難の被害を低減できる。
【0107】
<第5の実施形態の変形例>
第5の実施形態の変形例として、監視システム700を以下に説明する。
【0108】
図8は、本実施形態の変形例の監視システム700を示す図である。本変形例の監視システム700は、既に設置されている太陽電池システムにおいて、第1出力用回路α及び第2出力用回路βが設けられて、かつ、ヒューズが内蔵された接続箱Yが設置されている場合に好適に用いられる構成である。
【0109】
図8に示すように、本変形例の監視システム700は、第1出力用回路αに、電源部7、監視部8、第1切替部43及び制御部31が設けられた第1監視用回路25を外付けする。併せて、第2出力用回路βに、電源部7、監視部8、第2切替部40及び制御部10が設けられた第2監視用回路35を外付けする。このとき、既存の太陽電池システムに既に開閉器が備えられている場合には、第1切替部43が第1監視側リレー32のみを備えるように構成すればよい。これにより、既に設置されている太陽電池システムに本変形例の監視用システム700を実装することができるため、盗難に対する抑止力を高めて盗難の被害を低減できる。
【0110】
なお、本発明は上述の実施形態に限られたものではない。例えば、第1の監視システム又は第2の監視システムに、第3の監視システムの逆流防止ダイオードを適用することも採用し得る他の一態様である。
【0111】
また、例えば、盗難等の被害が生じやすい配線が明らかである等の事情、あるいは設置のためのコスト上の事情等が存在する場合は、第4の監視システム、第5の監視システム、又はこれらの変形例において、第1配線又は第2配線のいずれか一方に、電源部、監視部、切替部及び制御部を設けて、第1配線又は第2配線のいずれか一方のみを監視するように構成してもよい。
【0112】
上述の各実施形態の開示は、それらの実施形態の説明のために記載したものであって、本発明を限定するために記載したものではない。加えて、各実施形態の他の組み合わせを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0113】
2 太陽電池
2A,2B,2C 太陽電池モジュール
3 パワーコンディショナ
3a インバータ
4 配線
5 出力用回路
6 監視用回路
5A,26A,26B、26C 出力用プラス線
5B,27A,27B,27C 出力用マイナス線
6A 監視用プラス線
6B 監視用マイナス線
7 電源部
8 監視部
9,30,40,43 切替部
10,31 制御部
11 出力側リレー
11a,11b,12a,12b,33a,33b,45A,45B,45C,114,114a,114b,114c スイッチ
11c 出力側作動部
12 監視側リレー
12c,33c 監視側作動部
13 切替制御部
113 第1切替制御部
14 電源制御部
15 監視制御部
16 記憶部
17 アラート制御部
18 判定部
19,23c 逆流防止ダイオード
20,41 集電部
21 第1配線
22 第2配線
23a 開閉器
23b,42a 集電器
24,24A,24B,24C 第1出力用回路
25,25A,25B,25C 第1監視用回路
28,28A,28B,28C 第1監視用プラス線
29,29A,29B,29C 第1監視用マイナス線
32 第1監視側リレー
34 第2出力用回路
35 第2監視用回路
36 第2出力用プラス線
37 第2出力用マイナス線
38 第2監視用プラス線
39 第2監視用マイナス線
42b ヒューズ
44 第1出力側リレー
45D 第1出力側作動部
46 第2出力側リレー
47 第2監視側リレー
100、200、300、400、500、600、700 監視システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8