(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021611
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】検知装置
(51)【国際特許分類】
G08B 17/107 20060101AFI20250206BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
G08B17/107 A
G08B17/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125430
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】江幡 弘道
(72)【発明者】
【氏名】岡安 克也
(72)【発明者】
【氏名】土肥 学
(72)【発明者】
【氏名】長澤 新治
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA03
5C085AA06
5C085AB01
5C085AC18
5C085BA33
5C085CA15
5C085CA16
5C085DA07
5C085DA08
5C085FA11
5C085FA40
5G405AA01
5G405AB02
5G405AB03
5G405AD06
5G405AD07
5G405AD09
5G405CA21
5G405CA23
5G405DA07
5G405DA08
5G405FA06
(57)【要約】
【課題】天井面付近(天井部の下側)に拡散する燃焼生成物を早期に感知することができるとともに、火災の前兆を検知可能な検知装置を提供する。
【解決手段】検知装置1は、内外に連通する開口部34aが形成された燃焼生成物導入部34と、燃焼生成物導入部34と接続し、燃焼生成物sを燃焼生成物導入部34に吸引するファン22と、ファン22によって吸引された燃焼生成物sを感知可能な燃焼生成物感知部23と、を有する装置本体2と、開口部34aを天井部bの下側に配置する配置部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内外に連通する開口部が形成された燃焼生成物導入部と、
前記燃焼生成物導入部と接続し、
燃焼生成物を前記燃焼生成物導入部に吸引するファンと、前記ファンによって吸引された前記燃焼生成物を感知可能な燃焼生成物感知部と、を有する装置本体と、
前記開口部を天井部の下側に配置する配置部と、を備える検知装置。
【請求項2】
前記燃焼生成物導入部は、少なくとも一部が筒形状の中空部材で構成され、
前記中空部材の下端側で前記装置本体と接続されている請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記中空部材の上端側に前記開口部が形成されている請求項2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記中空部材は、長手方向に伸縮可能である請求項2に記載の検知装置。
【請求項5】
前記中空部材は、上下方向に伸縮可能であり、
前記中空部材の上端部は、前記燃焼生成物導入部が前記天井部に当接するまで伸長する請求項2に記載の検知装置。
【請求項6】
内外に連通する開口部と、
前記開口部を介して燃焼生成物を吸引するファンと、前記ファンによって吸引された前記燃焼生成物を感知可能な燃焼生成物感知部と、を有する装置本体と、
前記開口部を天井部の下側に配置する配置部と、を備える検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災及び火災の前兆を検知可能な可搬型の検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、工事中や工場内における、溶接や塗料吹き付け等の火気や引火性の高い材料を扱う作業によって、火災に至ることがある。火災被害を低減することを目的として、サンプリング管を通して煙等を吸引して、火災を感知して報知する火災報知設備が知られている(下記の特許文献1参照)。
【0003】
また、逆U字状に形成された支持部材に取り付けられた火災感知器と、消火剤タンクと、を備え、車輪で移動可能な可搬式火災感知・消火装置が知られている(下記の特許文献2参照)。
【0004】
既設建物においては既存の火災報知設備で使用される火災感知器や住宅用火災警報器は、天井や壁等の建材にビス等で取り付けるようになっている。しかし、これらの火災感知器や住宅用火災警報器は、特に前述したピンポイントかつ短期間における作業により発生する火災を監視(火災発生時に検知を行うこと)することを目的としておらず、また当該火災報知設備は移設、増設、撤去が想定されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-325063号公報
【特許文献2】特開2020-185256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、建設現場では、工事作業中のため天井や壁等の建材が未施工の場合には火災感知器(以下、「センサ」と称することがある)を設置することができず、建材が施工済みの場合でも建材に傷や汚れが生じる可能性があるため、むやみにセンサ等を取り付けることができないという問題点がある。
【0007】
また、特許文献2の可搬式火災感知・消火装置では、天井部近くの煙等を検知するために支持部材を高く延ばすと、装置自体のバランスが崩れて、安定性が悪いという問題点がある。
【0008】
また、内装工事の進捗に伴い間仕切り壁や天井等の遮蔽物が区画に応じて施工されるため、当初取り付けていたセンサでは対応できない、または不十分となる。このため工事進捗に伴ってセンサ等の増設や移設、撤去が頻繁に生じることとなり、火災監視用のセンサを建設中の建材に都度仮固定して仮設物として運用することは費用と手間がかかり困難である。
【0009】
また同様に、工場内における、溶接や塗料吹き付け等の火気や引火性の高い材料を扱うピンポイントかつ短期的な作業において当該作業現場にその期間火災監視用のセンサを都度固定して運用することは費用と手間がかかり困難である。また、当該短期的な作業を行う周辺に必ず火災監視用のセンサが設置されているとも限らない。
【0010】
一方、火災によって発生した燃焼生成物は、火災による上昇気流により昇り、天井付近に拡散する。このため、床面等の低い位置に火災を感知するセンサを設置しても有効に火災発生や火災の前兆を検出することはできず、天井付近のように高い位置に設置することが有効である。なお、燃焼生成物は、有機物の燃焼に伴い生じる煙、一酸化炭素、二酸化炭素、エチレン、ホルムアルデヒドといったガスなどの生成物をいう。燃焼生成物には有機物の燃焼前の温度上昇時点より生成されるものを含む。可燃物等が加熱され、燻焼や炎が生じた有炎燃焼により燃焼生成物が生成される状態を火災とする。火災となる前の段階で、可燃物等の温度上昇や燃焼生成物が生じた時点を火災の前兆とする。
【0011】
また、火災の初期段階では煙が発生するが、火源の発熱量が低く気流速が遅いため、既存の火災報知器の一種である煙感知器では、虫対策の防虫網や外乱光対策のラビリンス構造があって、流速が遅い煙に対して、煙を検出するセンサ部に煙が到達するまでに時間を要する虞がある。さらに、建設現場では、内壁、外壁及び窓ガラス等を含む窓が設置されるまでは遮蔽物が無いため風通しが良く、火災による煙が拡散しやすいために煙を検知する程度までに煙濃度が高まりづらい状況となっている。
【0012】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、天井面付近(天井部の下側)に拡散する燃焼生成物を早期に感知することができるとともに、火災の前兆を検知可能な検知装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る検知装置は、内外に連通する開口部が形成された燃焼生成物導入部と、前記燃焼生成物導入部と接続し、燃焼生成物を前記燃焼生成物導入部に吸引するファンと、前記ファンによって吸引された前記燃焼生成物を感知可能な燃焼生成物感知部と、を有する装置本体と、前記開口部を天井部の下側に配置する配置部と、を備える。
【0014】
このように構成された検知装置では、燃焼生成物をファンによって吸引し、燃焼生成物感知部が燃焼生成物を感知できる。よって、天井面付近(天井部の下側)に拡散する燃焼生成物を燃焼生成物感知部で早期に感知することができ、火災及びその前兆を検知することができる。
なお、「燃焼生成物導入部を天井部の下側に配置する」とは、例えば燃焼生成物導入部の開口部を天井部から0.5m以内の位置となるように固定する機能を備えるものである。
【0015】
また、本発明に係る検知装置は、前記燃焼生成物導入部は、少なくとも一部が筒形状の中空部材で構成され、前記中空部材の下端側で前記装置本体と接続されていてもよい。
【0016】
このように構成された検知装置では、燃焼生成物導入部は少なくとも一部が筒形状の中空部材で構成され、中空部材の下端側で装置本体と接続されている。よって、中空部材を介して、燃焼生成物を燃焼生成物感知部で早期に感知することができる。
【0017】
また、本発明に係る検知装置は、前記中空部材の上端他方側に前記開口部が形成されていてもよい。
【0018】
このように構成された検知装置では、中空部材の上端側に前記開口部が形成されている。
【0019】
また、本発明に係る検知装置では、前記中空部材は、長手方向に伸縮可能であってもよい。
【0020】
このように構成された検知装置では、中空部材は、長手方向に伸縮可能である。よって、検知装置を使用しない際には中空部材を収縮させてコンパクトに収容することができ、検知装置を使用する際には中空部材を伸長させればよい。よって、移動が容易でかつ固定対象である異なる高さに対応でき利便性が良い。中空部材の長さに応じて、燃焼生成物が導入される開口部の位置を調整することができる。
【0021】
また、本発明に係る検知装置では、前記中空部材は、上下方向に伸縮可能であり、前記中空部材の上端部は、前記燃焼生成物導入部が前記天井部に当接するまで伸長してもよい。
【0022】
このように構成された検知装置では、中空部材は天井部と装置本体との間で突っ張って固定されているため、中空部材自体を何らかの部材で固定する必要がなく、中空部材を伸長させて開口部を天井部の下側に配置することができる。
【0023】
また、本発明に係る検知装置は、内外に連通する開口部と、前記開口部を介して燃焼生成物を吸引するファンと、前記ファンによって吸引された前記燃焼生成物を感知可能な燃焼生成物感知部と、を有する装置本体と、前記開口部を天井部の下側に配置する配置部と、を備える。
【0024】
このように構成された検知装置では、燃焼生成物をファンによって燃焼生成物感知部に吸引する。開口部は、配置部によって天井部の下側に配置されている。よって、天井面付近(天井部の下側)に拡散する燃焼生成物を燃焼生成物感知部で早期に感知することができ、燃焼生成物が上昇気流により昇る火災及びその前兆を監視することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る検知装置によれば、天井面付近(天井部の下側)に拡散する燃焼生成物を早期に感知することができるとともに、火災の前兆を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る検知装置を示す模式的な図である。
【
図2】本発明の第二実施形態に係る検知装置を示す模式的な図である。
【
図3】本発明の第三実施形態に係る検知装置を示す模式的な図である。
【
図4】本発明の第四実施形態に係る検知装置を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係る検知装置ついて、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る検知装置を示す模式的な図である。
図1に示すように、検知装置1は、装置本体2と、中空部材3と、を備えている。
【0028】
装置本体2は、筐体部21と、ファン22と、燃焼生成物感知部23と、制御部24と、表示部25と、電源部26と、を有している。
【0029】
筐体部21は、ファン22、燃焼生成物感知部23、制御部24、表示部25及び電源部26の機能部品を収容している。筐体部21は、床面等の設置面aに設置される。
【0030】
ファン22は、後述する煙等の燃焼生成物を中空部材3の燃焼生成物導入部34から中空部材3経由で筐体部21内に吸引する。
【0031】
燃焼生成物感知部23は、筐体部21内に流入した燃焼生成物の濃度に関する情報を制御部24に出力する。「燃焼生成物の濃度に関連する情報」とは、燃焼生成物の濃度そのものの物理量、及び燃焼生成物の濃度に応じて変化する物理量を含む概念である。
【0032】
例えば、燃焼生成物感知部23は、煙感知部であり、発光部(図示せず)と、受光部と、を備えていてもよい。発光部は、筐体部21内に導入された燃焼生成物に光を照射する。受光部は、発光部から燃焼生成物に向けて照射され、燃焼生成物によって散乱された光を受光する。燃焼生成物感知部23は受光部が受光した光に基づいて、受光量を濃度に関連する情報として制御部24に出力する。
【0033】
燃焼生成物感知部23は、煙以外の燃焼生成物それぞれの成分を検知可能な感知部であってもよく、例えば、一酸化炭素は一酸化炭素センサ、エチレンはエチレンセンサなどで感知され、電気化学式、半導体式、赤外線式等、適宜の形態をとることができる。
また、燃焼生成物感知部23は複数の燃焼生成物を検知可能な感知部を組合せた感知部であってもよい。
【0034】
制御部24は、装置本体2の制御全般を行う。制御部24は、燃焼生成物感知部23及び表示部25と接続されている。制御部24は、例えば、制御部24内のハードウエア構成におけるストレージやメモリなどの記録部(図示せず)に格納されたプログラムに基づいて装置本体2を制御し、火災の感知及び火災の前兆を検知する。制御部24は、燃焼生成物感知部23より入力された燃焼生成物の濃度に関連する情報が記録部に記録されている閾値よりも高い場合には、火災の発生または火災の前兆と判断し表示部25に表示信号を送信する。なお、本願においては可燃物等が加熱され、燻焼や炎が生じた有炎燃焼により燃焼生成物が生成される状態を火災とする。前記火災となる前の段階で、可燃物等の温度上昇や燃焼生成物が生じた時点を火災の前兆とする。
【0035】
表示部25は、外部に対して色や音声で制御部24からの信号を出力する。表示部25は、表示信号を受信すると、所定の表示ランプを点灯させる。表示ランプは、筐体部21の外面に、外側から視認できるように取り付けられていて、例えば、火災を感知したときまたは火災の前兆を検知したときには赤色に表示ランプを点滅させるようにしてもよい。
また、表示部25は、表示ランプの点滅等に代え、警報音出力部としてサイレン等の警告音を発するようにしてもよく、火災の感知又は火災の前兆の検知に応じて警告音を変えてもよい。
また、表示部25および警報音出力部は故障や電池切れ等の火災に関するもの以外の状態である障害状態が発生した旨を、例えば黄色に表示ランプを点滅させたり、「障害発生中です」等の警報音を発したりなど、前述の表示及び警報音とは異なるように報知させるようにしてもよい。
また、表示部25は前述の火災に関する状態や障害状態が生じていない場合に緑色に表示ランプを点灯させるなど、検知装置1が正常に動作していることを示すようにしてもよい。
【0036】
制御部24は、装置本体2と通信装置(図示せず)を接続させることによって、制御部24からの出力信号を無線により事前に登録したPC、スマートフォン、タブレット端末等に送信するように構成されていてもよい。
【0037】
電源部26は、ファン22、燃焼生成物感知部23及び制御部24に電源を供給する。なお、電源部26は外部から電力を通電するのに代え、バッテリー等の蓄電池としてもよい。これにより、外部電源のない場所であっても検知装置1を稼働させることが可能となる。
【0038】
中空部材3は、長手方向である上下方向に伸縮可能な筒形状で構成され、複数の筒形状部31,32,33を有している。本実施形態では、3個の筒形状部31,32,33で構成されているが、筒形状部の個数は適宜設定可能である。筒形状部31,32,33は、金属材料や樹脂材料等で形成されている。筒形状部31,32,33が樹脂材料で形成されていれば、軽量であるため持ち運びやすい。
【0039】
筒形状部31,32,33は、筒状に形成されている。筒形状部31,32,33は、例えば円筒状をしている。なお、筒形状部31,32,33は、角筒状をしていてもよく、円錐台形形状であってもよく、上下方向に伸縮できるのであれば形状は問わない。
【0040】
筒形状部31,32,33は、上方に位置する筒形状部ほど外径が小さく隣り合う下側の筒形状部内に収納されるように構成されている。なお、筒形状部31,32,33は、上方に位置する筒形状部ほど内径が大きく隣り合う上側の筒形状部内に収納されるように構成されていてもよい。これによって、後述する天井部bの下面b1との接触面積を大きくして安定して設置することができる。
【0041】
筒形状部33は、筒形状部32から上方に突出した位置で、また筒形状部32は筒形状部31から上方に突出した位置で、それぞればね部材やピン部材等で固定可能である。なお、筒形状部33は、筒形状部32ら上方に任意の位置で固定できるようにしてもよく、そのときには筒形状部33の外周面と筒形状部32の内周面との間に空隙が生じないよう間隙塞ぎ材(図示せず)を筒形状部32の内周面に設けることが望ましい。
【0042】
筒形状部33の上部には、筒形状部33の内外に連通された水平方向に一つ以上の複数の開口34aが形成されている。燃焼生成物導入部34は、中空部材3で構成されている。なお、燃焼生成物導入部34は、少なくとも一部が中空部材3で構成されていればよい。燃焼生成物導入部34の開口34aは、筒形状部33の上部に周方向に1つ以上設けられていてもよく、筒形状部33の軸方向に1つ以上設けるようにしてもよい。なお、軸方向に複数の開口34aを設けるときには、開口34aの開口方向を変えて設けることがより望ましい。これによって異なる方向からの燃焼生成物を吸引しやすくなる。
【0043】
筒形状部31は、装置本体2の筐体部21の上面21uから突出し、筒形状部33の上端部33uが天井や梁等の天井部bの下面b1に当接した状態で、押圧力によって固定されている。中空部材3は、筐体部21の上面21uと天井部bの下面b1との間で突っ張っている。つまり、中空部材3は、筐体部21の上面21uと天井部bの下面b1との間で突っ張っている。本実施形態では、中空部材3は、突っ張った状態で燃焼生成物導入部34を天井部bの下側に配置する配置部として機能している。
【0044】
火災により燃焼生成物sが発生すると、燃焼生成物sが昇って、天井部bの下面近辺(天井部bの下面から約0.5m程度)に拡散する。燃焼生成物sは、検知装置1のファン22によって、中空部材3の燃焼生成物導入部34から中空部材3の内部に吸引され、中空部材3内を下方に移動して、燃焼生成物感知部23で感知される。燃焼生成物感知部23が測定した燃焼生成物sの濃度に関連する情報が記録部に記録されている閾値よりも高い場合には、制御部24は表示部25に火災の感知または火災の前兆を検知した旨の表示信号を送信する。表示部25は、表示信号を受信すると、所定の表示ランプを点灯または警告音を発する。作業者は表示部25を視認または警告音を聞くことによって、火災及び火災の前兆の発生を知ることができる。
【0045】
このように構成された検知装置1では、燃焼生成物sをファン22によって吸引し、燃焼生成物感知部23は燃焼生成物sを感知できる。よって、天井部b付近に拡散する燃焼生成物sを燃焼生成物感知部23で早期に感知することができ、火災及びその前兆を検知することができる。
【0046】
また、燃焼生成物導入部34は、上下方向に伸縮可能な筒形状の中空部材3の上方に位置する筒形状部に形成されている。よって、検知装置1を使用しない際には中空部材3を収縮させてコンパクトに収容することができ、検知装置1を使用する際には中空部材3を伸長させればよい。よって、移動が容易で、かつ異なる高さの固定対象に対応できるため、利便性が良い。
【0047】
また、中空部材3は天井部bと装置本体2との間で突っ張って固定されているため、中空部材3自体を何らかの部材で固定する必要がなく、中空部材3を伸長させて開口34aを天井部bの下面b1に容易に配置することができる。
【0048】
特に設置面aと天井部bの下面b1との高さが中空部材3の強度を十分に確保できる、例えば6m程度まで特に有用である。中空部材3を三脚等の補助部材で支持してもよく、支持することで、6mを超え、より高く中空部材を伸長することが可能となる。
【0049】
(第二実施形態)
第二実施形態に係る検知装置について、主に
図2を用いて説明する。以下で説明する実施形態において、上記に示す実施形態に対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0050】
図2は、本発明の第二実施形態に係る検知装置を示す模式的な図である。
図2に示すように、本実施形態に係る検知装置1Aでは、装置本体2と、中空部材3Aと、を備えている。
【0051】
中空部材3Aは、筒形状に形成され、上下方向に伸びる固定中空部35と、接続部38と、を有している。接続部38は、固定中空部35の下部から検知装置1A側にL字状に折り曲げられている。ファン22は、燃焼生成物感知部23より中空部材3Aの接続部38側に設置され、燃焼生成物を燃焼生成物感知部23側に吸引する。なお、接続部38はL字状でなく、固定中空部35が直接検知装置1Aの上面に接続されていてもよい。この場合、第一実施形態と同様に燃焼生成物感知部23の上部にファン22が設けられていて、燃焼生成物を燃焼生成物感知部23に吸引する。中空部材3Aの上部には、中空部材3Aの内外に連通された水平方向に一つ以上の開口34aが形成された燃焼生成物導入部34が設けられている。
【0052】
天井部bの下方には、軽量鉄骨等で形成され、天井仕上げ材を支持する支持材cが天井部bと略対向する面において格子状に設置されている。
【0053】
中空部材3Aの上下方向の中間部には、固定部(配置部)4が設けられている。中空部材3Aは、固定部4によって、支持材cに着脱可能に固定されている。固定部4は、例えば支持材cを上下方向から挟持可能なクランプ部材によって構成されている。クランプ部材は手動で取り外し可能であってもよいし、電気的に開閉して取り外し可能であってもよい。
【0054】
中空部材3Aの燃焼生成物導入部34は、支持材cの上方且つ天井部bの下方に配置されている。燃焼生成物sを効率的に中空部材3A内に吸引するには、燃焼生成物導入部34は天井部bのすぐ直下に配置されていることが好ましいが、燃焼生成物導入部34は支持材cの下方に配置されていてもよい。
【0055】
このように構成された検知装置1Aでは、燃焼生成物sをファン22によって吸引し、燃焼生成物感知部23は燃焼生成物sを感知できる。燃焼生成物導入部34は、固定部4によって、天井部bの下面b1付近に固定されている。よって、天井部b付近に拡散する燃焼生成物sを開口34aより吸引して、燃焼生成物感知部23で早期に感知することができ、火災及びその前兆を検知することができる。
【0056】
また、検知装置1Aは、固定部4によって天井部bの下側に配置される支持材cに着脱可能に固定されている。よって、検知装置1Aの設置及び撤去を容易に行うことができる。
【0057】
また、第二実施形態は、設置面aと天井部bの下面b1との高さが第一実施形態における中空部材3の強度を確保することが困難な、例えば6m以上の高さの場合に有用であり、例えば、各建物用途のエントランスホールなどや吹き抜け部分、倉庫・工場などの操業エリアなどが該当する。
【0058】
(第三実施形態)
第三実施形態に係る検知装置について、主に
図3を用いて説明する。なお、第一実施形態、第二実施形態と同様な構成に関しては各実施形態の説明に用いた符号を用いて説明する。
図3は、本発明の第三実施形態に係る検知装置を示す模式的な図である。
図3に示すように、本実施形態に係る検知装置1Bは、装置本体2と、中空部材3Bと、を備えている。
【0059】
中空部材3Bは、巻き取り中空部36と、固定中空部35と、を有している。固定中空部35は、天井部bの下面b1に当接するように支持材cに設けられた固定部4により固定されている。巻き取り中空部36は、巻き取り装置37により、巻き出し及び巻き取り可能なゴム素材により構成されている。巻き取り装置37は、巻き出し及び巻き取りされることにより固定中空部35の下端までの長さを変更することが可能である。巻き取り中空部36の一端部は、燃焼生成物導入部34が設けられた固定中空部35に接続されている。巻き取り中空部36の他端部は、装置本体2に接続されている。なお、中空部材3Bは固定中空部35と巻き取り中空部36とが一体に形成され、中空部材3Bの先端部に燃焼生成物導入部34が形成されていてもよいし、固定中空部35として実施形態1において記載した筒形状部33を用い、当該筒形状部33に巻き取り中空部36を接続するようにしてもよい。
【0060】
このように構成された検知装置1Bでは、燃焼生成物sをファン22によって吸引し、燃焼生成物感知部23は燃焼生成物sを感知できる。よって、天井部b付近に拡散する燃焼生成物sを燃焼生成物感知部23で早期に感知することができ、火災及びその前兆を検知することができる。
【0061】
また、検知装置1Bを使用しない際には、中空部材3Bを固定中空部35と分離して、又は一体として巻き取り装置37によって巻き取ることができるため、コンパクトに収容することができるとともに、持ち運びやすい。
【0062】
また、第三実施形態は、設置面aと天井部bの下面b1との高さが第一実施形態における中空部材3の強度を確保することが困難な、例えば6m以上の高さの場合に有用であり、例えば、各建物用途のエントランスホールなどや吹き抜け部分、倉庫・工場などの操業エリアなどが該当する。
【0063】
(第四実施形態)
第四実施形態に係る検知装置について、主に
図4を用いて説明する。なお、第一実施形態と同様な構成に関しては第一実施形態の説明に用いた符号を用いて説明する。
図4は、本発明の第四実施形態に係る検知装置を示す模式的な図である。
図4に示すように、本実施形態に係る検知装置1Cは、装置本体2と、中空部材3Cと、を備えている。
【0064】
中空部材3Cは、中空部材3Aと、燃焼生成物導入部34と、燃焼生成物導入部34の変形である横伸び中空部材3Dと、を有している。中空部材3Aは、第一実施形態において用いた筒形状部31,32,33と同じ部材であるが、第一実施形態と比較し装置本体2への接続構成が異なっている。筒形状部31は下方側部が装置本体2の側面に接続部材を経由して接続し、筒形状部31の下端部は、設置面aに設置された支持部eに支持されている。
【0065】
横伸び中空部材3Dは、複数の筒形状部41,42,43を有している。筒形状部の個数は、適宜設定可能である。筒形状部41は、筒形状部33の上端部に接続されている。筒形状部41,42,43は、軸線を水平方向に向けて配置されている。筒形状部42の内径は、筒形状部41の外径よりも大きい。筒形状部43の内径は、筒形状部42の外径よりも大きい。筒形状部42は、筒形状部41を内部に収納可能であるとともに、筒形状部41から側方に突出可能に構成されている。筒形状部43は、筒形状部41または筒形状部42を内部に収納可能であるとともに、筒形状部41または筒形状部42から側方に突出可能に構成されている。筒形状部43の先端部は、一つ以上の開口34aが水平方向に形成された燃焼生成物導入部34である。開口34aは、軸方向に一つ以上設けるようにしてもよい。
【0066】
中空部材3Aが伸長して燃焼生成物導入部34が天井部bに当接した後に、燃焼生成物導入部34の上部から水平方向に横伸び中空部材3Dが所定の長さ伸長する。また、所定の長さ伸長するまでに横伸び中空部材3Dの先端部が梁や壁等の障害物dに接触すると、横伸び中空部材3Dの伸長が停止するように制御されている。
【0067】
このように構成された検知装置1Cでは、燃焼生成物導入部34及び横伸び中空部材3Dは、天井部bの下面b1に固定されている。よって、天井部b付近に拡散する燃焼生成物sを中空部材3Cよりファン22に吸引し、燃焼生成物感知部23は燃焼生成物sを感知できる。よって、天井部b付近に拡散する燃焼生成物sを燃焼生成物感知部23で早期に感知することができ、火災及びその前兆を検知することができる。
【0068】
また、横伸び中空部材3Dは水平方向に伸長するため、天井部bの下側の上部空間の水平方向に幅広い領域において、燃焼生成物sを早期に監視することができる。
【0069】
なお、上述した実施の形態において示した組立手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0070】
例えば、第一実施形態では、中空部材3の筒形状部31の下端部31dが装置本体2の筐体部21の上面21uに当接し、筒形状部33の上端部33uが天井部bを構成する部材の下面b1に当接して、突っ張っているが、本発明はこれに限られない。中空部材3の筒形状部31の下端部31dを床面等の設置面aに当接させて、天井部bの下面b1と設置面aとの間で突っ張るようにしてもよい。この場合には、筒形状部31の上下方向の中間を分岐させて、その先端部に装置本体2を設けるようにしてもよい。また、筒形状部31の下端部31dや筒形状部33の上端部33uにクッション材を設けて、突っ張った際に、設置面aや下面b1が損傷することを防止するようにしてもよい。
【0071】
また、中空部材3は、装置本体2に固定されていたが、筒形状部31の下端部を装置本体2の上面に設けた孔とネジ構造で取り付けられるようにしてもよい。
【0072】
また、第二実施形態では、中空部材3Aを支持材cに、クランプ部材によって構成される固定部4によって着脱可能に固定しているが、本発明はこれに限られない。支持材cが磁性体金属で形成されていたり、支持材cに磁性体金属を取り付けたりする場合に、中空部材3Aに磁石を設けて、中空部材3Aを支持材cに磁力によって固定してもよい。あるいは、中空部材3Aの磁石を電磁石とすることで、通電の切換によって、着脱の切換を容易にすることができる。また、支持材c側に磁石または電磁石を設けて、中空部材3A側に磁性体を設けてもよい。
【0073】
また、固定部4は、鋲であってもよい。この場合には、中空部材3Aに鋲が取り付けられていて、支持材cのコンクリート面や鉄面に鋲を打ち込むことによって、中空部材3Aを支持材cに着脱可能に固定してもよい。
【0074】
また、固定部4は、吸盤であってもよい。この場合には、中空部材3Aに吸盤が取り付けられていて、支持材cの平滑な面に、真空ポンプ等によって吸盤の吸着面を吸着させることによって、中空部材3Aを支持材cに着脱可能に固定してもよい。
【0075】
また、第二実施形態では、中空部材3Aは支持材cに着脱可能に固定されているが、本発明はこれに限られない。中空部材3Aを天井部bの下面b1に固定してもよい。
【0076】
また、各実施形態等において、中空部材3の上端部が天井部bの下面b1に当接していなくてもよい。
天井面付近(天井部の下側)に拡散する燃焼生成物sを燃焼生成物導入部34から燃焼生成物感知部23まで吸引できればよく、第一実施形態及び第四実施形態においては、中空部材を三脚等で支持することで天井部bの下面b1に当接することなく設置でき、天井付近を拡散する燃焼生成物sを吸引し、検知することが可能である。また、第二実施形態及び第三実施形態においても天井部bの下面b1に当接せず、その下方にある部材等に検知装置もしくは中空部材を設置することで天井付近を拡散する燃焼生成物sを吸引し、検知することが可能である。
【0077】
また、燃焼生成物導入部を備えずに、内外に連通する開口部から装置本体が燃焼生成物を直接吸引するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1,1A,1B,1C 検知装置
2 装置本体
3,3A,3B,3C 中空部材
3 中空部材
3D 横伸び中空部材
4 固定部(配置部)
22 ファン
23 燃焼生成物感知部
34 燃焼生成物導入部
34a 開口
b 天井部
s 燃焼生成物