(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021618
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】運動解析装置、運動解析方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20250206BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
A63B69/00 C
A63B71/06 T
A63B71/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125443
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 佳嗣
(57)【要約】
【課題】解析対象となる運動の種類の誤設定をユーザに気付かせる。
【解決手段】運動解析装置10のCPU11は、ユーザの運動中に順次得られる運動データに基づいて、当該運動の種類(ランニング又はウォーキング)を推定し、推定された運動の種類が予め設定された運動の種類(設定モード)と矛盾するか否かを判定し、推定された運動の種類が予め設定された運動の種類と矛盾すると判定された場合、当該運動の種類の確認を促すための通知を行う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された種類の運動を解析する運動解析装置であって、
ユーザの運動中に順次得られる運動データに基づいて、当該運動の種類を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定された運動の種類が前記予め設定された運動の種類と矛盾するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記推定手段により推定された運動の種類が前記予め設定された運動の種類と矛盾すると判定された場合、当該運動の種類の確認を促すための通知を行う通知手段と、
を備えることを特徴とする運動解析装置。
【請求項2】
前記運動データに基づいて所定の運動を解析する解析手段を備え、
前記解析手段は、
前記判定手段によって、前記推定手段により推定された運動の種類が前記予め設定された運動の種類と矛盾すると判定された場合、前記予め設定された種類の運動を解析するとともに、前記推定手段により推定された種類の運動を解析する、
ことを特徴とする請求項1に記載の運動解析装置。
【請求項3】
前記解析手段は、
前記推定手段により推定された種類の運動を解析する場合、当該種類の運動を前記予め設定された種類の運動として解析するときと比較して当該種類の運動を簡易な方法で解析する、
ことを特徴とする請求項2に記載の運動解析装置。
【請求項4】
前記解析手段は、
前記判定手段によって、前記推定手段により推定された運動の種類が前記予め設定された運動の種類と矛盾しないと判定された場合、前記予め設定された種類の運動のみを解析する、
ことを特徴とする請求項2に記載の運動解析装置。
【請求項5】
前記予め設定された運動の種類の設定変更を受け付ける受付手段を備え、
前記受付手段は、
前記判定手段によって、前記推定手段により推定された運動の種類が前記予め設定された運動の種類と矛盾すると判定された場合に、前記運動の種類の設定変更を受け付ける、
ことを特徴とする請求項2に記載の運動解析装置。
【請求項6】
前記解析手段は、
前記推定手段により推定された種類の運動を解析する場合、前記推定された種類の運動における解析対象となる項目の数を、前記推定された種類と同じ種類の運動を予め設定した際における解析対象となる項目の数より少なくする、
ことを特徴とする請求項3に記載の運動解析装置。
【請求項7】
前記解析手段により解析された解析結果を提供する解析結果提供手段を備え、
前記解析結果提供手段は、
前記受付手段によって、前記運動の種類の設定変更が受け付けられた場合、当該設定変更の前に前記解析手段により解析された前記推定手段により推定された前記運動の種類に関する解析結果と、当該設定変更の後に前記解析手段により解析された当該設定変更された運動の種類に関する解析結果と、をまとめた一連の解析結果を提供する、
ことを特徴とする請求項5に記載の運動解析装置。
【請求項8】
予め設定された種類の運動を解析する運動解析装置による運動解析方法であって、
ユーザの運動中に順次得られる運動データに基づいて、当該運動の種類を推定する推定工程と、
前記推定工程により推定された運動の種類が前記予め設定された運動の種類と矛盾するか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程によって、前記推定工程により推定された運動の種類が前記予め設定された運動の種類と矛盾すると判定された場合、当該運動の種類の確認を促すための通知を行う通知工程と、
を含むことを特徴とする運動解析方法。
【請求項9】
予め設定された種類の運動を解析する運動解析装置のコンピュータを、
ユーザの運動中に順次得られる運動データに基づいて、当該運動の種類を推定する推定手段、
前記推定手段により推定された運動の種類が前記予め設定された運動の種類と矛盾するか否かを判定する判定手段、
前記判定手段によって、前記推定手段により推定された運動の種類が前記予め設定された運動の種類と矛盾すると判定された場合、当該運動の種類の確認を促すための通知を行う通知手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動解析装置、運動解析方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運動中の消費熱量を計測する計測装置が知られている。この計測装置に関して、例えば、下記特許文献1には、運動の種類に合わせてモード切換するモード切換手段を備え、計測された運動量を上記モード切換手段で切り換えた運動の種類に応じた消費熱量に換算する計測装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている計測装置では、モード切換手段で切り換えられた運動の種類が誤っていた場合に、そのことをユーザに知らせることは行われていない。このため、ユーザが意図しないモードで計測を開始してしまった場合、モードの切換が誤っていることにユーザが気づかない限り計測結果が無駄になってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、解析対象となる運動の種類の誤設定をユーザに気付かせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る運動解析装置は、
予め設定された種類の運動を解析する運動解析装置であって、
ユーザの運動中に順次得られる運動データに基づいて、当該運動の種類を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定された運動の種類が前記予め設定された運動の種類と矛盾するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって、前記推定手段により推定された運動の種類が前記予め設定された運動の種類と矛盾すると判定された場合、当該運動の種類の確認を促すための通知を行う通知手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、解析対象となる運動の種類の誤設定をユーザに気付かせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態の運動解析システムを示すブロック図である。
【
図2】運動解析装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】端末装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】運動解析処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図5】解析結果提供処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図6】解析結果の提供態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
≪運動解析システムの概要≫
図1は、本実施の形態の運動解析システム1を示すブロック図である。
図1に示すように、運動解析システム1は、運動解析装置10と、端末装置20とを備える。
【0011】
運動解析装置10は、ランニング時又はウォーキング時にユーザの身体(例えば、腰部)に装着された状態で用いられるウェアラブル端末である。運動解析装置10は、ランニング時又はウォーキング時にユーザの運動データ(例えば、加速度データ、角速度データ等)を採取し、当該運動データに基づいて、ユーザ操作により予め設定されたモード(ランニングモード又はウォーキングモード)に応じた解析を行う。
【0012】
端末装置20は、例えば、無線により運動解析装置10と通信接続されており、運動解析装置10で解析された解析結果を取得して表示する。端末装置20は、本実施形態ではスマートフォンであるものとするが、これに限られず、例えばスマートウォッチ、スマートグラス、タブレットPCなどであってもよい。
【0013】
≪運動解析システムの構成≫
<運動解析装置>
図2は、運動解析装置10の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、運動解析装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、記憶部13と、表示部14と、操作部15と、センサ部16と、音出力部17と、通信部18と、を備える。運動解析装置10の各部は、バス19を介して接続されている。
【0014】
CPU(推定手段、判定手段、通知手段、解析手段、受付手段、解析結果提供手段)11は、運動解析装置10の各部を制御する。CPU11は、記憶部13に記憶されているシステムプログラム及びアプリケーションプログラムのうち、指定されたプログラムを読み出してRAM12に展開し、当該プログラムとの協働で各種処理を実行する。
【0015】
RAM12は、揮発性のメモリであり、各種のデータやプログラムを一時的に格納するワークエリアを形成する。
【0016】
記憶部13は、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等により構成される。記憶部13には、CPU11で実行されるシステムプログラムやアプリケーションプログラム、これらのプログラムの実行に必要なデータ等が記憶されている。また、記憶部13には、ランニング時又はウォーキング時に採取された運動データに基づき解析された解析結果が記憶されるようになっている。
【0017】
表示部14は、複数のLEDランプにより構成され、電源のON/OFFの状態、データの取得状態(例えば、データを取得中であるか否か)、データの送信状態(例えば、データを送信中であるか否か)や、GPS受信機のON/OFF状態等を表示可能な表示部である。
【0018】
操作部15は、電源のON/OFFを切り替える電源ボタン(図示省略)、運動解析の開始/終了を指示する開始/終了ボタン(図示省略)、モード(ランニングモード又はウォーキングモード)を設定する設定ボタン(図示省略)等を備えており、この操作部15からの指示に基づいて、CPU11は各部を制御するようになっている。
【0019】
センサ部16は、加速度センサ、角速度センサ、GPS受信機などを備え、測定結果をCPU11に出力する。なお、センサ部16は、上記以外のセンサを更に有していてもよい。
【0020】
音出力部17は、DAコンバーター、アンプ、スピーカー等により構成される。音出力部17は、音出力時に音データをアナログ音声データに変換してスピーカーから出力する。
【0021】
通信部18は、上述の運動データから解析された解析結果を、CPU11による制御に基づいて端末装置20に送信する。通信部18は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの無線規格を採用した通信部や、USB端子などの有線式の通信部である。
【0022】
<端末装置>
図3は、端末装置20の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、端末装置20は、CPU21と、RAM22と、記憶部23と、表示部24と、操作部25と、通信部26と、を備える。端末装置20の各部は、バス27を介して接続されている。
【0023】
CPU21は、端末装置20の各部を制御する。CPU21は、記憶部23に記憶されているシステムプログラム及びアプリケーションプログラムのうち、指定されたプログラムを読み出してRAM22に展開し、当該プログラムとの協働で各種処理を実行する。
【0024】
RAM22は、揮発性のメモリであり、各種のデータやプログラムを一時的に格納するワークエリアを形成する。
【0025】
記憶部23は、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM、HDD(Hard Disk Drive)などにより構成される。記憶部23には、CPU21で実行されるシステムプログラムやアプリケーションプログラム、これらのプログラムの実行に必要なデータ等が記憶されている。
【0026】
表示部24は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、CPU21から指示された表示情報に従い各種表示を行う。
【0027】
操作部25は、端末装置20の本体部に設けられる各種の操作ボタン(図示省略)や、表示部24上に設けられるタッチセンサ(図示省略)等を有して構成され、ユーザの入力操作を受け付けて、その操作情報をCPU21に出力する。
【0028】
通信部26は、運動解析装置10で解析された解析結果を当該運動解析装置10から受信する。通信部26は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの無線規格を採用した通信部や、USB端子などの有線式の通信部である。
【0029】
≪運動解析システムの動作≫
次に、運動解析システム1の動作について説明する。具体的には、
図4及び
図5を参照して、運動解析装置10のCPU11が、ユーザの運動中に採取された運動データに基づいて、ユーザの運動時における動作を解析する動作について説明する。CPU11は、上記動作を実現するために、
図4に示す運動解析処理、及び
図5に示す解析結果提供処理を実行する。
【0030】
図4は、運動解析処理の制御手順を示すフローチャートである。
運動解析処理は、例えば、ランニングのトレーニングが開始される際に、上述の設定ボタン(操作部15)を介して、モード(例えば、ランニングモード)を設定する操作がユーザによりなされた後、上述の開始/終了ボタン(操作部15)を介して、運動解析の開始を指示する操作がなされたことを契機として開始される。
【0031】
運動解析処理が開始されると、運動解析装置10のCPU11は、フラグをOFFに設定する(ステップS101)。このフラグは、ユーザ操作により設定された上記モード(ランニングモード又はウォーキングモード)が誤っていないと判断された場合にONに設定されるようになっている。
【0032】
次いで、CPU11は、センサ部16の各センサ(加速度センサ、角速度センサ)で検出された運動データ(加速度データ、角速度データ)を順次取得する(ステップS102)。
【0033】
次いで、CPU11は、ステップS102で取得した運動データに基づいて、ユーザ操作により設定されたモード(以下、設定モードと称す)に対応した解析処理(以下、第1の解析処理と称す)を実行する(ステップS103)。具体的には、設定モードが“ランニングモード”である場合、CPU11は、“ランニングモード”に対応した第1の解析処理として、例えば、平均ペース、ピッチ、及びストライドを解析する。一方、設定モードが“ウォーキングモード”である場合、CPU11は、“ウォーキングモード” に対応した第1の解析処理として、例えば、歩行スピード、歩幅及び消費カロリーを解析する。
【0034】
次いで、CPU11は、フラグがONに設定されているか否かを判定する(ステップS104)。
【0035】
ステップS104において、フラグがONに設定されていると判定された場合(ステップS104;YES)、CPU11は、処理をステップS113に進める。
【0036】
また、ステップS104において、フラグがONに設定されていないと判定された場合(ステップS104;NO)、CPU11は、ステップS102で取得した運動データに基づいて、行動推定処理を行う(ステップS105)。具体的には、CPU11は、所定の時間間隔ごと(例えば、1秒間ごと)に行動推定処理を行う。ここでは、行動推定処理を行うことで、ユーザが行っている運動の種類が“ランニング”と“ウォーキング”とのうちのいずれかであるかを推定するものとする。なお、行動推定処理は公知の技術を採用して行っているため、ここではその詳細な説明は省略する。
【0037】
次いで、CPU11は、設定モードが示す運動の種類に矛盾があるか否かを判定する(ステップS106)。具体的には、所定の期間(例えば、1分間)における、行動推定処理による複数の推定結果のうち設定モードが示す運動の種類の比率が50%未満であった場合、CPU11は、設定モードが示す運動の種類に矛盾があると判定する。例えば、設定モードが示す運動の種類が“ランニング”である場合、下記式によりランニング比率を導出する。ここで、下記式におけるランニング推定回数とは、所定の期間(例えば、1分間)において行動推定処理の推定結果が“ランニング”であると推定された回数を意味する。
ランニング比率(%)=(ランニング推定回数/60)×100・・・(式)
なお、ここで「矛盾の有無」は上記の意味には限定されない。例えば、行動推定処理の推定結果と、設定モードが示す運動の種類が、所定の期間において所定の回数(例えば、5回)連続して一致する場合、「矛盾がない」と判定する。つまり、ここでの「設定モードの運動の種類に矛盾がない」は、「推定結果と設定モードが示す運動の種類が一致する」という意味も含まれる。
【0038】
ステップS106において、設定モードが示す運動の種類に矛盾がないと判定された場合(ステップS106;NO)、CPU11は、所定期間(例えば、5分間)の間にわたり、設定モードが示す運動の種類に矛盾がない状態が続いているか否かを判定する(ステップS111)。
【0039】
ステップS111において、所定期間の間にわたり、設定モードが示す運動の種類に矛盾がない状態が続いていると判定された場合(ステップS111;YES)、CPU11は、フラグをONに設定し(ステップS112)、処理をステップS113に進める。
【0040】
また、ステップS111において、所定期間の間にわたり、設定モードが示す運動の種類に矛盾がない状態が続いていないと判定された場合(ステップS111;NO)、CPU11は、ステップS112をスキップして、処理をステップS113に進める。
【0041】
また、ステップS106において、設定モードが示す運動の種類に矛盾があると判定された場合(ステップS106;YES)、CPU11は、ステップS105の行動推定処理の結果(行動推定結果)に対応した解析処理(以下、第2の解析処理と称す)を行う(ステップS107)。具体的には、行動推定結果を参照して、設定モードが示す運動の種類(例えば、ランニング)とは異なる運動の種類(例えば、ウォーキング)が一定時間(例えば、5秒)連続して推定された場合、CPU11は、当該異なる運動の種類の推定が続いている間、当該異なる運動の種類に対応した第2の解析処理を行う。例えば、設定モードが示す運動の種類とは異なる運動の種類が“ランニング”であった場合、CPU11は、第2の解析処理として、ピッチ及びストライドを解析する。ここで、第2の解析処理では、“ランニングモード”に対応した第1の解析処理の対象である“平均ペース”が解析の対象から除外されている。つまり、第2の解析処理は、省電力化を図るとともにメモリ容量の削減を図ることを目的として第1の解析処理と比較して簡易な方法で行われるようになっている。また、例えば、設定モードが示す運動の種類とは異なる運動の種類が“ウォーキング”であった場合、CPU11は、第2の解析処理として、歩行スピード及び歩幅を解析する。ここで、第2の解析処理では、“ウォーキングモード”に対応した第1の解析処理の対象である“消費カロリー”が解析の対象から除外されている。つまり、第2の解析処理は、省電力化を図るとともにメモリ容量の削減を図ることを目的として第1の解析処理と比較して簡易な方法で行われるようになっている。なお、第2の解析処理の解析対象は、上述したように、行動推定された運動の種類が“ランニング”である場合には、ピッチ及びストライドであり、行動推定された運動の種類が“ウォーキング”である場合には、歩行スピード及び歩幅であるといったように、行動推定された運動の種類において特徴的な指標を対象とすることが好ましい。
【0042】
次いで、CPU11は、設定モードの確認をユーザに促す通知を行う(ステップS108)。具体的には、CPU11は、例えば、“設定モードが正しいか確認してください”というメッセージ情報を端末装置20に送信し、表示部24に当該メッセージ情報を表示させる。なお、このときに、CPU11は、音出力部17よりアラーム音を出力したり、上記のメッセージ情報を音声出力したりしてもよい。
【0043】
次いで、CPU11は、設定ボタン(操作部15)を介して、設定モードを変更する操作がなされたか否かを判定する(ステップS109)。
【0044】
ステップS109において、設定モードを変更する操作がなされたと判定された場合(ステップS109;YES)、CPU11は、設定モードを変更し(ステップS110)、処理をステップS113に進める。
【0045】
また、ステップS109において、設定モードを変更する操作がなされていないと判定された場合(ステップS109;NO)、CPU11は、ステップS110をスキップして、処理をステップS113に進める。
【0046】
次いで、CPU11は、解析結果提供処理を実行する(ステップS113)。
【0047】
図5は、解析結果提供処理の制御手順を示すフローチャートである。
解析結果提供処理が開始されると、CPU11は、運動解析処理(
図4参照)の実行中に設定モードの変更操作があったか否かを判定する(ステップS201)。
【0048】
ステップS201において、運動解析処理(
図4参照)の実行中に設定モードの変更操作があったと判定された場合(ステップS201;YES)、CPU11は、設定モードが変更される前に第2の解析処理により解析された解析結果と、設定モードが変更された後に第1の解析処理により解析された解析結果とをまとめた一連の解析結果を、端末装置20に送信(提供)し、表示部24に当該解析結果を表示させる(ステップS202)。例えば、ランニングのトレーニングを開始するユーザが、設定モードを誤って“ウォーキングモード”とした状態でランニングを開始した場合、
図6(a)に示すように、タイミングt1で第1の解析処理(運動解析処理のステップS103;
図4参照)が開始された後、ユーザが設定モードの誤りに気付き、タイミングt3において設定モードを“ランニングモード”に変更(運動解析処理のステップS110;
図4参照)するまでの期間(t1~t3)は、第1の解析処理によりウォーキング解析Aとして、歩行スピード、歩幅及び消費カロリーが解析される。また、タイミングt2で第2の解析処理(運動解析処理のステップS107;
図4参照)が開始された後、タイミングt3において設定モードを“ランニングモード”に変更するまでの期間(t2~t3)は、行動推定結果“ランニング”に対応した第2の解析処理が行われるため、当該第2の解析処理によりランニング解析Bとして、ピッチ及びストライドが解析される。ここで、第1の解析処理が開始されるタイミングt1と第2の解析処理が開始されるタイミングt2との時間差(タイムラグ)は、実際には極僅かであるが、タイミングt1とタイミングt2とには時間差があることを明示するため、
図6(a)では、タイミングt1及びタイミングt2を模式的に表している(
図6(b)のタイミングt11及びタイミングt12も同様)。また、タイミングt3において設定モードが“ランニングモード”に変更されてからタイミングt4の現在に至るまでの期間(t3~t4)は、第1の解析処理(運動解析処理のステップS103;
図4参照)によりランニング解析Aとして、平均ペース、ピッチ、及びストライドが解析される。このため、かかる場合には、タイミングt3において設定モードが変更される前に第2の解析処理により解析されたランニング解析Bの解析結果(ピッチ及びストライド)と、タイミングt3において設定モードが変更された後に第1の解析処理により解析されたランニング解析Aの解析結果(平均ペース、ピッチ、及びストライド)とをまとめた一連の解析結果が端末装置20に送信(提供)され、表示部24に当該解析結果が表示される。そして、CPU11は、解析結果提供処理を終了し、処理を運動解析処理に戻す。
図4に戻り、解析結果提供処理が終了すると、CPU11は、処理をステップS114に進める。
【0049】
また、ステップS201において、運動解析処理(
図4参照)の実行中に設定モードの変更操作がないと判定された場合(ステップS201;NO)、CPU11は、第2の解析処理による解析結果があるか否かを判定する(ステップS203)。
【0050】
ステップS203において、第2の解析処理による解析結果があると判定された場合(ステップS203;YES)、CPU11は、解析結果提供処理を終了し、処理を運動解析処理に戻す。例えば、ランニングのトレーニングを開始するユーザが、設定モードを誤って“ウォーキングモード”とした状態でランニングを開始し、当該設定モードの誤りに気付くことなく、すなわち、設定モードを変更することなく現在に至るまでランニングを行っている場合、
図6(b)に示すように、ユーザがランニングを行っている期間、すなわち、タイミングt11で第1の解析処理(運動解析処理のステップS103;
図4参照)が開始されてからタイミングt13の現在に至るまでの期間(t11~t13)は、第1の解析処理によりウォーキング解析Aとして、歩行スピード、歩幅及び消費カロリーが解析される。しかし、この解析は、ユーザが意図したものではないため、かかる場合には、第1の解析処理によるウォーキング解析Aの解析結果は提供されないようになっている。ただし、ユーザがランニングを行っている期間、詳しくは、タイミングt12で第2の解析処理(運動解析処理のステップS107;
図4参照)が開始されてからタイミングt13の現在に至るまでの期間(t12~t13)は、行動推定結果“ランニング”に対応した第2の解析処理が行われているため、当該第2の解析処理によりランニング解析Bとして、ピッチ及びストライドが解析され、当該解析結果が記憶部13に記録されるようになっている。
【0051】
また、ステップS203において、第2の解析処理による解析結果がないと判定された場合(ステップS203;NO)、CPU11は、第1の解析処理により解析された解析結果を端末装置20に送信(提供)し表示部24に当該解析結果を表示させる(ステップS204)。例えば、ランニングのトレーニングを開始するユーザが、設定モードを“ランニングモード”とした状態でランニングを開始し、現在に至るまでランニングを行っている場合、
図6(c)に示すように、ユーザがランニングを行っている期間、すなわち、タイミングt21で第1の解析処理(運動解析処理のステップS103;
図4参照)が開始されてからタイミングt22の現在に至るまでの期間(t21~t22)は、第1の解析処理によりランニング解析Aとして、平均ペース、ピッチ、及びストライドが解析される。この解析は、ユーザが意図したものであるため、かかる場合には、第1の解析処理により解析されたランニング解析Aの解析結果(平均ペース、ピッチ、及びストライド)が端末装置20に送信(提供)され、表示部24に当該解析結果が表示される。そして、CPU11は、解析結果提供処理を終了し、処理を運動解析処理に戻す。
図4に戻り、解析結果提供処理が終了すると、CPU11は、処理をステップS114に進める。
【0052】
次いで、CPU11は、上述の開始/終了ボタン(操作部15)を介して、運動解析の終了を指示する押下操作(終了指示操作)がなされたか否かを判定する(ステップS114)。
【0053】
ステップS114において、終了指示操作がなされていないと判定された場合(ステップS114;NO)、CPU11は、処理をステップS102に戻し、それ以降の処理を繰り返し行う。
【0054】
また、ステップS114において、終了指示操作がなされたと判定された場合(ステップS114;YES)、CPU11は、運動解析処理を終了する。
【0055】
≪効果≫
以上のように、本実施形態の運動解析装置10のCPU11は、ユーザの運動中に順次得られる運動データに基づいて、当該運動の種類(ランニング又はウォーキング)を行動推定し、行動推定された運動の種類が予め設定された運動の種類(設定モード)と矛盾するか否かを判定し、行動推定された運動の種類が予め設定された運動の種類と矛盾すると判定された場合、当該運動の種類の確認を促すための通知を行う。これにより、解析対象となる運動の種類の誤設定をユーザに気付かせることができるので、ユーザが意図しない設定モードで運動解析を開始してしまった場合でも、解析結果が無駄になってしまうことを抑制できる。
【0056】
また、CPU11は、行動推定された運動の種類が予め設定された運動の種類と矛盾すると判定された場合、第1の解析処理によって、予め設定された種類の運動を解析するとともに、第2の解析処理によって、行動推定された種類の運動を解析する。これにより、ユーザが意図しない設定モードで運動解析を開始してしまった場合でも、行動推定された種類の運動を解析しているので、所望の解析結果が得られないといった不具合を抑制できる。
【0057】
また、CPU11は、第2の解析処理によって、行動推定された種類の運動を解析する場合、当該種類の運動を、第1の解析処理によって、予め設定された種類の運動として解析するときと比較して当該種類の運動を簡易な方法で解析するので、省電力化を図るとともにメモリ容量の削減を図ることができる。
【0058】
また、CPU11は、行動推定された運動の種類が予め設定された運動の種類と矛盾しないと判定された場合、第1の解析処理によって、予め設定された種類の運動のみを解析する。これにより、かかる場合には、第2の解析処理を行う必要がなくなるので、省電力化を図るとともにメモリ容量の削減を図ることができる。
【0059】
また、CPU11は、行動推定された運動の種類が予め設定された運動の種類と矛盾すると判定された場合に、運動の種類の設定変更を受け付ける。これにより、解析対象となる運動の種類の誤設定をユーザに変更させることができるので、ユーザが意図しない設定モードで運動解析を開始してしまった場合でも、解析結果が無駄になってしまうことを抑制できる。
【0060】
また、CPU11は、運動の種類の設定変更が受け付けられた場合、当該設定変更の前に第2の解析処理により解析された行動推定された運動の種類に関する解析結果と、当該設定変更の後に第1の解析処理により解析された当該設定変更された運動の種類に関する解析結果と、をまとめた一連の解析結果を提供する。これにより、ユーザが意図しない設定モードで運動解析を開始してしまった場合でも、当初よりユーザが意図したとおりの設定モードで運動解析が開始された場合と同様の解析結果が得られる。
【0061】
≪その他≫
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る運動解析装置、運動解析方法及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、運動解析を行う際のモードとして、ランニングモードとウォーキングモードとの2種類を例に挙げているが、モードの種類はこれらに限定されない。例えば、ランニングモードやウォーキングモード以外にスイムモードやバイクモードを設定できるようにしてもよい。なお、かかる場合には、運動解析処理(
図4参照)の行動推定処理(ステップS105)では、“スイム”及び“バイク”を推定できるものとする。
【0062】
また、上記実施形態では、運動解析処理(
図4参照)のステップS107において、行動推定結果に対応した第2の解析処理を行う際に、例えば、行動推定結果が“ランニング”である場合には、解析対象を平均ペース、ピッチ及びストライドの3項目からピッチ及びストライドの2項目に限定することで、省電力化を図るとともにメモリ容量の削減を図っているが、平均ペース、ピッチ及びストライドの3項目それぞれの解析を間引いて行うことで省電力化等を図るようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、運動解析装置10において、ユーザ操作により予め設定されたモード(ランニングモード又はウォーキングモード)に応じた解析を行うが、本発明はこれに限定されない。運動解析装置10の記憶部13に記憶された所定のプログラムが実行することで、初期のモード(プログラム起動時のデフォルトのモード)を予め設定するようにしてもよい。これにより、ユーザが予めモードの設定を忘れてしまった場合に、モードが不定となることを防止することが可能となる。
【0064】
また、上記実施形態では、設定モードがランニングモードである場合に平均ペース、ピッチ及びストライドを解析し、設定モードがウォーキングモードである場合に歩行スピード、歩幅及び消費カロリーを解析したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ランニングモードであれば、上記に変えて又は加えて走行距離(km)、身体の上下動(cm)及び足の接地時間(ms)等を解析してもよい。同様に、ウォーキングモードであれば、上記に変えて又は加えて歩数(歩)、歩行時間(h:m:s)及び骨盤の回転(°)等を解析してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、第2の解析処理において、複数の解析対象に対して予め決められた項目(ランニングであれば平均ペース、ピッチ及びストライドのうち、ピッチ及びストライドを解析対象の項目とする)を設定したが、本発明はこれに限定されない。例えば、運動を行うユーザの運動レベルに応じて、複数の項目のうち解析対象となる項目を自動的に設定するようにしてもよい。例えば、ユーザの運動レベルが初級レベルの場合では平均ペース、ピッチ及びストライドが選択されて解析され、上級レベルの場合では平均ペース、身体の上下動、足の着地衝撃が選択されて解析される。これにより、ユーザの運動レベルによって第2の解析処理にて解析される項目が変化するため、メモリ容量の削減を行いながら、ユーザの運動レベルに応じた指標(項目)を解析することが可能となる。なお、この場合において、ユーザの運動レベルは操作部15により予め設定したり、記憶部13に記憶された過去の運動の実績(解析結果)に含まれる平均ペース等の運動指標から、CPU11によって予め設定されればよい。
【0066】
また、第2の解析処理において解析対象が限定される指標(項目)を、過去の運動による解析結果の内容に応じて設定するようにしてもよい。具体的には、前回のランニングによる指標の解析結果が、前回よりも以前のランニングによる指標の解析結果より改善した場合、当該指標は今回の解析対象から省くようにしてもよい。これにより限定される指標が、過去のランニングによって改善されていない指標に優先的に選択されるようになるため、ユーザは効率的に運動に取り組むことが可能となる。
【0067】
また、第2の解析処理において解析対象となる指標(項目)は、第1の解析処理で行う指標(項目)のうち、CPUでの処理負荷が比較的に軽いものが選択されるようになっていてもよい。これにより、第1の解析処理と第2の解析処理を並行して行う場合のCPUの負荷を軽減させることが可能となる。
【0068】
また、上記実施形態では、運動解析処理(
図4参照)のステップS107において、行動推定結果に対応した第2の解析処理を行う際に、設定モードに対応した第1の解析処理と同一の内容で解析を行うようにしてもよい。例えば、行動推定結果が“ランニング”である場合には、“ランニングモード”に対応した第1の解析処理と同様に、平均ペース、ピッチ及びストライドの3項目を対象として解析を行うようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、
図4に示した運動解析処理及び
図5に示した解析結果提供処理を運動解析装置10のCPU11が実行する場合について説明してきたが、運動解析処理及び解析結果提供処理を端末装置20のCPU21が実行するようにしてもよい。かかる場合、端末装置20のCPU21は、運動解析処理のステップS102において、運動解析装置10から運動データを順次取得するものとする。なお、端末装置20が、運動解析装置10のセンサ部16と同様のセンサ部を備えている場合には、当該センサ部から運動データを順次取得するようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施形態における運動解析装置10及び端末装置20の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0071】
1 運動解析システム
10 運動解析装置
11 CPU
12 RAM
13 記憶部
14 表示部
15 操作部
16 センサ部
17 音出力部
18 通信部
19 バス
20 端末装置
21 CPU
22 RAM
23 記憶部
24 表示部
25 操作部
26 通信部
27 バス