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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002162
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】荷役装置
(51)【国際特許分類】
   B66D 1/46 20060101AFI20241226BHJP
   B66D 3/18 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B66D1/46 F
B66D3/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102128
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】591156799
【氏名又は名称】ユニパルス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄
(57)【要約】
【課題】荷役装置において、作業性の向上及び遠隔操作装置の消費電力の低減を課題としている。
【解決手段】本体装置2と、本体装置2を遠隔操作する遠隔操作装置9と、で構成されて、本体装置2に係止した荷役物7の移動を本体装置2内の動力によって行う荷役装置1であって、遠隔操作装置9は、本体装置2の動作状態を報知する報知部26と、操作指令信号を本体装置2へ送信する遠隔操作装置制御部20と、を備え、本体装置2は、遠隔操作装置制御部20から操作指令信号を受信して荷役物7の昇降を制御する本体装置制御部10を備え、本体装置制御部10は、本体装置2の動作状態を示す状態信号を所定の通信間隔を有する遠隔操作装置9への送信信号に含めて送信し、遠隔操作装置9は、報知部26によって、本体装置2の動作状態を報知する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体装置と、前記本体装置を遠隔操作する遠隔操作装置と、で構成されて、前記本体装置に係止した荷役物の移動を前記本体装置内の動力によって行う荷役装置であって、
前記遠隔操作装置は、前記本体装置の動作状態を報知する報知部と、操作指令信号を前記本体装置へ送信する遠隔操作装置制御部と、を備え、
前記本体装置は、前記遠隔操作装置制御部から前記操作指令信号を受信して前記荷役物の昇降を制御する本体装置制御部を備え、
前記本体装置制御部は、前記本体装置の動作状態を示す状態信号を所定の通信間隔を有する前記遠隔操作装置への送信信号に含めて送信し、
前記遠隔操作装置は、前記報知部によって、前記本体装置の動作状態を報知する荷役装置。
【請求項2】
前記報知部は、前記本体装置の動作状態を音声またはブザー音で報知する請求項1に記載の荷役装置。
【請求項3】
前記状態信号は、音声またはブザー音の開始、終了および繰り返しの組み合わせ指令を含む請求項2に記載の荷役装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造分野の製造組立てや搬送などに用いる荷役装置であって、例えば荷役物を昇降させる際にモータによって上下移動させる荷役装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から工業製品の組立てを行う工場では、大きな重量を有する工具、作業用機器、製品、半完成品などの荷役物を吊下げて上下移動させる荷役装置を使用している。その荷役装置の中でも、大きな重量の荷役物に対してバランス状態を作り出し、使用者が軽い操作力で任意の高さに上下移動できるように助力を発生させる荷役装置が使用されている。このように助力を発生させる荷役装置は、モータによって助力を行いバランス状態を作り出し、荷役物に小さな操作力を加えることでスムーズに移動させるため、単に上下動作を電動モータで行うものとは異なり、荷役物の荷重やこれに加わる操作力を例えば荷重検出器で検出して、回転角検出器と繋がったACサーボモータ等で細かいバランス制御を行うように構成されている。
【0003】
このような荷役装置を無線遠隔の操作で行うことが要望されている。特に荷役物の昇降をリンクチェーンで行うタイプの荷役装置は揚程を高くすることが容易であるため、高所に取り付けられて無線で操作を行うことによって作業範囲の拡大が可能となる。そして作業を行う装置を無線遠隔操作する技術については、例えば特許文献1にて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-119550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような荷役装置を操作する際に、作業者は荷役装置に設けられたブザーや発光表示器などを頼りに作業を行う場合がある。しかしながら荷役装置が高所に配置された場合には表示器の発光は視認性が優れず、そして作業環境の騒音が大きい場合においては、荷役装置から発せられる音が聞こえにくいことがある。したがって無線遠隔操作装置いわゆるリモコンに音を発する素子を内蔵することで音を聞こえ易くした場合、リモコンは通常電池駆動であることからリモコンの消費電力を下げて電池交換や内蔵の2次電池の充電の頻度を少なくしたいという要望がある。
【0006】
このような問題に鑑みて、本発明は無線遠隔操作装置を含んだ荷役装置において、作業性の向上及び遠隔操作装置の消費電力の低減を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の荷役装置は、
本体装置と、本体装置を遠隔操作する遠隔操作装置と、で構成されて、本体装置に係止した荷役物の移動を本体装置内の動力によって行う荷役装置であって、
遠隔操作装置は、本体装置の動作状態を報知する報知部と、操作指令信号を本体装置へ送信する遠隔操作装置制御部と、を備え、
本体装置は、遠隔操作装置制御部から操作指令信号を受信して荷役物の昇降を制御する本体装置制御部を備え、
本体装置制御部は、本体装置の動作状態を示す状態信号を所定の通信間隔を有する遠隔操作装置への送信信号に含めて送信し、
遠隔操作装置は、報知部によって、本体装置の動作状態を報知する。
【0008】
また、報知部は、本体装置の動作状態を音声またはブザー音で報知する。
【0009】
また、状態信号は、音声またはブザー音の開始、終了および繰り返しの組み合わせ指令を含む
【発明の効果】
【0010】
本発明の荷役装置によれば、遠隔操作装置の消費電力の低減により、電池交換若しくは充電の回数を減らすことができ、作業性の向上及び装置の管理を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る荷役装置全体の斜視構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る荷役装置の本体装置の一部を省略した斜視構成図と無線遠隔操作装置の拡大斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る荷役装置の電子回路のブロック構成図である。
図4】本発明の実施形態に係る荷役装置の本体装置から送信される送信データを示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る荷役装置の本体装置から送信された送信データと無線遠隔操作装置の報知状態を示すタイムチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る荷役装置の本体装置と無線遠隔操作装置の通信を示す図と、本体装置から送信された送信データと無線遠隔操作装置の報知状態を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る荷役装置について、図面を基に詳細な説明を行う。図1は本発明の実施形態の一例である荷役装置全体の斜視構成図である。
【0013】
荷役装置1は、本体装置2と、荷役物吊下げフック5と、遠隔操作装置9と、を含んで構成されている。本体装置2は、荷役物7の昇降移動を行う。荷役物吊下げフック5は、本体装置2から鉛直下方向へ伸びたリンクチェーン4の下方に連結されている。遠隔操作装置9は、本体装置2を遠隔操作するための所謂リモコンである。本体装置2の天面部には本体装置吊下げフック3が設けられて、本体装置2を建物の梁などの構造物8等に吊して使用することができる。
【0014】
係止部材6は、リンクチェーン4の一端に設けられた荷役物吊下げフック5に連結されて荷役物7を係止する部材である。本実施形態では、荷役物7は例えば天部の縁に鍔が設けられた容器とその中に入った部品等である。係止部材6は荷役物7を移動させるために、荷役物7の鍔に係止させる略コの字型断面の部材と、荷役物吊下げフック5に接続する部材で構成されている。図1において本体装置2がリンクチェーン4を繰り出してこの係止部材6を鉛直下方向に移動させて荷役物7を床面に接地させ、さらに鉛直下方向に移動させることで、係止部材6の折れ曲がった先端部は荷役物7の鍔から離れる。そして作業者がこの係止部材6を水平方向に移動させることで、荷役物7は解放される。
【0015】
図2は本発明の実施形態の荷役装置の本体装置2の一部を省略した斜視構成図と遠隔操作装置9の拡大斜視図である。
【0016】
本体装置2はカバーを備えていて、その内部には本体装置制御部10、モータ部11、昇降作動部16及び重量検出部12等が収納されている。
【0017】
本体装置制御部10はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、その他の記憶装置及び入出力装置を備えて、リンクチェーン4を介して複数の動作モードにて係止部材6の上下移動の制御等を行う。各動作モードについては後述する。
【0018】
係止部材6を上下移動させるための駆動源であるモータの負荷側には減速機が取り付けられて、モータと合わせてモータ部11を構成している。このモータは例えば交流サーボモータである。
【0019】
そして減速機はモータの回転速度を所定の速度に減速している。減速機は例えば波動歯車減速機である。波動歯車減速機は外周が楕円状のウエーブジェネレータと、外周に多数の外歯が形成されウエーブジェネレータに外嵌されてウエーブジェネレータの回転により円周方向へ撓まされる位置が変化するようにした弾性変形可能なフレクスプラインと、フレクスプラインの外周側にあってフレクスプラインの外歯と嵌合する内歯を備えたサーキュラスプラインとからなる。そして動力は、フレクスプラインを回転出力として繋げた出力軸15に取り出されて伝達するようになっている。この装置の減速機に例えば波動歯車減速機のようなバックラッシが微小なものを使用することで、モータの正逆回転切り換えを頻繁に行って上下移動を行う時に、切り換え時の制御不能な領域をなくし、スムーズな操作感を実現できる。
【0020】
出力軸15は減速機にて回転速度を減速されて増大させた動力を出力する回転軸であり、昇降作動部16に連結され、昇降作動部16を連続的に正逆に回転させるものである。
【0021】
リンクチェーン4は、半円弧部とこれに繋がる直線部からなる長円形の環が交差して交互に連接されたものであって、一端は係止部材6に繋がっていて、他端(無負荷側)はチェーン収納部17に収納されている。
【0022】
昇降作動部16は、駆動源のモータ部11からの動力の伝達によって回転する回転部材を含んで構成される。本実施形態では昇降作動部16の回転部材は中空円柱の形状であって、出力軸15と繋がっていて、リンクチェーン4を巻回し、リンクチェーン4の巻き上げ及び繰り出しを行う。リンクチェーン4が巻回される位置は、おおよそ本体装置吊下げフック3の鉛直下付近であって、本体装置2の重心位置に近いところに設けられる。リンクチェーン4は昇降作動部16の回転部材に設けられたポケット溝に嵌入されておおよそ180度ほど巻回される。本実施形態では係止部材6に繋がって昇降作動部16に巻回されるものにリンクチェーン4を用いたが、これに限らずワイヤーロープであっても良い。ワイヤーロープを使用した時は、昇降作動部16はドラム形状でワイヤーロープはその一端が固定されて回転部材に巻回される。
【0023】
モータ部11の反負荷側にはモータの回転角位置を検出する位置検出部13がモータ部11に連結されている。位置検出部13はいわゆるアブソリュートエンコーダであって、光学式にてモータの回転角位置を検出して位置値を出力する。したがってこの位置検出部13は、係止部材6の繰り出し位置すなわち昇降位置を検出することができる。
【0024】
重量検出部12は昇降作動部16に巻きつけられているリンクチェーン4から伝達される力を反力として検出できるように弾性変形する起歪体と起歪体に貼られた歪みゲージを備えている。歪みゲージは重量に応じて起歪体に生ずる歪みを電気信号に変換するホイートストーンブリッジ回路に組み込まれ、重量検出部12は昇降作動部16に加わる重量を検出して重量値を出力する。
【0025】
そして本体装置制御部10が本体装置2内の昇降作動部16の近傍に配置されている。本体装置制御部10は、位置検出部13からの位置値及び重量検出部12からの重量値を基に、モータ部11を制御する。本体装置制御部10に関連した電装部は、本体装置2を粉粒や水滴のかかる場所での使用も可能にするためにカバー内に配置されている。
【0026】
本実施形態では、位置検出部13はモータ部11の反負荷側に配置したがこれに限らず、減速機の出力である出力軸15や昇降作動部16に設けられても良く、また両方に設けられても良い。さらに光学式に限らず磁気式や静電容量式等であっても良い。
【0027】
また重量検出部12は昇降作動部16に加わる重量を検出できれば良く、減速機と昇降作動部16との間に設けた回転軸の捻れからトルクを検出するような回転型の構造や、モータ部11が受ける反力を検出する鼓型の構造のものであっても良い。さらに歪みゲージ式に限らず静電容量式等であっても良い。
【0028】
本体装置送受信部14が、本体装置制御部10の回路基板と並んで配置されている。本体装置送受信部14は、遠隔操作装置9と無線にて通信するための電子回路を有している。
【0029】
遠隔操作装置9は、本体装置2を遠隔にて操作するための装置であって、本実施形態では電波によって通信している。遠隔操作装置9は、電池によって駆動される。遠隔操作装置9は、操作手段として例えばバランス釦21、保持釦22、上昇釦23及び下降釦24を有している。
【0030】
図3は本発明の実施形態に係る荷役装置の電子回路のブロック構成図である。荷役装置1は、本体装置2と遠隔操作装置9とを含んで構成されている。
【0031】
本体装置制御部10は本体装置2全体の制御を行っている。本体装置制御部10は、モータ部11を駆動する駆動回路を含んでいる。そして本体装置制御部10は、重量検出部12から昇降作動部16に加わる重量値を受信し、位置検出部13からモータ部11の回転角の位置値を受信し、本体装置送受信部14と信号の送受信を行う。本体装置送受信部14と本体装置制御部10とは有線で繋がっていて、極めて短い時間間隔で高速に信号の送受信を行う。
【0032】
本体装置送受信部14は、遠隔操作装置9の遠隔操作装置送受信部25と無線にて通信を行う。本体装置送受信部14及び遠隔操作装置送受信部25は無線通信を行う電子回路で構成され、電波による送信器と受信器を有する他、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有する場合がある。
【0033】
遠隔操作装置制御部20は遠隔操作装置9全体の制御を行っている。遠隔操作装置制御部20は操作手段による操作指令を受けて、操作の指令信号を遠隔操作装置送受信部25へ送信する。そして遠隔操作装置送受信部25は遠隔操作装置制御部20から受信した操作指令信号を、本体装置送受信部14へ無線にて送信する。この指令を含んだ信号は、遠隔操作装置9と本体装置2のペアリングを行う遠隔操作装置9の識別情報が付与されている。なお遠隔操作装置送受信部25から送信する信号は、操作の指令を含んだ操作指令信号の他に、本体装置送受信部14との通信が確立されているかの確認をするために送信する確認信号がある。
【0034】
そして遠隔操作装置9には、報知部26が設けられている。報知部26は遠隔操作装置制御部20からの指令によって使用者へ聴覚的情報を出力することで報知を行う音の発音器である。この報知は例えば、ブザー音であるがこれに限らず音声によるものであっても良い。遠隔操作装置制御部20は本体装置2からの指令によって、本体装置2の状態を示す信号を遠隔操作装置送受信部25経由で受信して、予め両者で定めた事項にしたがって報知部26に発音させる。
【0035】
次いで遠隔操作装置9に設けられている操作手段である各操作釦の役割について説明する。各操作釦は例えばモーメンタリスイッチである。作業者がバランス釦21を押すと、本体装置制御部10はこれを受けて本体装置2をバランスモードへ移行を開始する。本体装置制御部10は、重量検出部12が昇降作動部16に加わる重量を検出して出力した重量値を基に演算を行って、昇降作動部16に加わる重量をキャンセルしてバランス状態となるようにモータ部11を制御する。したがってバランス状態となった時から本体装置2はバランスモードとなる。
【0036】
一方で、作業者が保持釦22を押すと、本体装置制御部10はこれを受けて演算を行って、昇降作動部16を現在位置にて保持すなわち係止部材6及び荷役物7の昇降位置を一定に保つようにモータ部11を制御する。したがってこの時から本体装置2は保持モードとなる。
【0037】
作業者が上昇釦23若しくは下降釦24を押すと、本体装置制御部10はこれを受けてモータ部11を制御して、係止部材6を上昇若しくは下降させる。上昇釦23若しくは下降釦24が押されている間、本体装置2は上昇/下降モードであって、作業者は上昇釦23若しくは下降釦24を連続的に押すことで、モータ部11により係止部材6及び荷役物7を連続的に上下昇降させることができる。本体装置2が保持モード及びバランスモードいずれにあっても、作業者が上昇釦23若しくは下降釦24を押すと、上昇/下降モードへ切り替わり、押した上昇釦23若しくは下降釦24から手を離すとその直前の動作モードに戻る。
【0038】
図4は本発明の実施形態に係る荷役装置の本体装置2から遠隔操作装置9へ送信する送信信号の一例を示した図である。本体装置送受信部14と遠隔操作装置送受信部25とは送信すべき情報をパケット化して相互に通信を行う。そして図4はパケット全体を示しており、本体装置送受信部14から遠隔操作装置送受信部25へ送信される送信信号である。パケット全体は、ヘッダ部、データ部、報知データ部から構成される。ヘッダ部は本体装置2の識別ID、遠隔操作装置9のユニークな装置番号、本体装置送受信部14と遠隔操作装置送受信部25との無線通信の時間間隔など、で構成されている。ヘッダ部にはデータ部及び報知データ部の伝送レート情報及び送信側と受信側で必要な各種情報が含まれている。データ部は、遠隔操作装置9へ本体装置2の状態を知らせるデータを含んでいる。一方で報知データ部は、本体装置2の動作状態を示す状態信号を含み、遠隔操作装置送受信部25はこの状態信号を本体装置送受信部14から受信し、遠隔操作装置制御部20はこれをもとに報知部26に報知させるための報知信号を生成する。そして報知部26はこの遠隔操作装置制御部20からの報知信号に基づいて使用者へ、音若しくは音声などで発音して報知する。
【0039】
この報知データ部は、例えば最大数が規定された文字列である。本実施形態では、文字列は0から9の数字、英文字で構成されているがこれに限るものではない。この報知データ部は、例えば、“NBN2BN” という文字列である。本体装置制御部10が、図4の形式で状態信号に含まれる報知データ部を“NBN2BN”として遠隔操作装置制御部20へ本体装置送受信部14及び遠隔操作装置送受信部25を介して送信すると、遠隔操作装置制御部20はこの報知データ部に基づいて、報知部26にブザー音を発音させる。ここでNは単位時間tの音の停止、Bは単位時間tの音の発音、数字はその直後の英文字の単位時間tに乗算するものと定義している。例えば単位時間t=0.1秒とすると、報知データ部“NBN2BN”では、0.1秒間の音の停止、0. 1秒間の音の発音、0.1秒秒間の音の停止、0.2秒間の音の発音、0.1秒間の音の停止というシーケンスで報知部26は報知を行う。すなわち、状態信号は、ブザー音の開始、終了および繰り返しの組み合わせ指令を含むものである。
【0040】
図5(a)及び図5(b)は、本発明の実施形態に係る荷役装置1の本体装置2の本体装置制御部10から本体装置送受信部14を経て送信された送信データと、遠隔操作装置9の報知部26が報知する音の状態を示すタイムチャートである。図5(a)及び図5(b)では、いずれも本体装置送受信部14から通信間隔T1にて、図4に示した送信信号を送信している。
【0041】
図5(a)では本体装置送受信部14が時刻taにて、報知データとして“NBN2BN”を含んだ図4のデータ信号を送信している。遠隔操作装置9の遠隔操作装置送受信部25はこのデータ信号を受信して、遠隔操作装置制御部20は遠隔操作装置送受信部25からこのデータ信号を基に、報知部26に報知するように制御を行う。そして報知部26は、遠隔操作装置送受信部25の制御に基づいて、“NBN2BN”による音の報知を行う。すなわち報知部26は、時間tの音の停止、時間tの音の発音、時間tの音の停止、時間2tの音の発音、時間tの音の停止を行い、このシーケンスが終えて音は停止したままとなる。
【0042】
次いで本体装置送受信部14が時刻tbにて、報知データとして“NBNBNBNBN”を含んだ図4のデータ信号を送信している。そうすると報知部26は、遠隔操作装置送受信部25の制御に基づいて、“NBNBNBNBN”による音の報知を行う。すなわち報知部26は、時間tの音の停止と時間tの音の発音を計4回繰り返した後、時間tの音の停止を行い、このシーケンスを終えて音は停止したままとなる。
【0043】
次いで本体装置送受信部14が時刻tcにて、報知データとして“N2BN”を含んだ図4のデータ信号を送信している。そうすると報知部26は、遠隔操作装置送受信部25の制御に基づいて、“N2BN”による音の報知を行う。すなわち報知部26は、時間tの音の停止、時間2tの音の発音、時間tの音の停止を行い、このシーケンスを終えて音は停止したままとなる。
【0044】
図5(b)では本体装置送受信部14が時刻tdにて、報知データとして“NBNBNBNR”を含んだ図4のデータ信号を送信している。遠隔操作装置9の遠隔操作装置送受信部25はこのデータ信号を受信して、遠隔操作装置制御部20は遠隔操作装置送受信部25からこのデータ信号を基に、報知部26に報知するように制御を行う。そして報知部26は、遠隔操作装置送受信部25の制御に基づいて、“NBNBNBNR”による音の報知を行う。ここで、“NBNBNBNR”のRについて説明する。“R”は、繰り返しを指示するものであって、“NBNBNBN”のシーケンスを繰り返し再生する指令である。すなわち報知部26は、時間tの音の停止、時間tの音の発音を計3回行い、このシーケンスが終わると再度このシーケンスを次の命令を遠隔操作装置制御部20が受け取るまで繰り返す。また次に遠隔操作装置制御部20が受け取った命令が同じであれば(時刻te)、報知部26は同様に同じ報知を繰り返す。
【0045】
そして本体装置送受信部14が時刻tfにて、報知データとして“N3BN”を含んだ図4のデータ信号を送信すると、遠隔操作装置制御部20は現在実施している繰り返し再生のシーケンスを速やかに止めて、“N3BN”に基づいた時間tの音の停止、時間3tの音の発音、時間tの音の停止、を報知部26に実行させる。
【0046】
図6は本発明の実施形態に係る荷役装置の通信動作を示す図であって、遠隔操作装置制御部20、遠隔操作装置送受信部25、本体装置送受信部14、本体装置制御部10での通信の流れを示すものである。図5の本発明の実施形態に係る荷役装置の通信動作間隔は時間T1で行われているが、 図6は本発明の実施形態に係る荷役装置の通信は途中で通信動作間隔がT2からT3へ変化した場合であって、これについて説明する。
【0047】
図6(a)においては、本体装置2の本体装置制御部10は、モードAの制御を実行中である。モードAは例えば、遠隔操作装置9の保持釦22が使用者によって押されて、係止部材6及び荷役物7が昇降しないようにロックされた状態である。モードAでは、使用者が遠隔操作装置9の保持釦22以外の釦を押すのを待機していて、本体装置制御部10は昇降に関係する動作に関係した演算を行っていないことから、比較的長い時間間隔で遠隔操作装置9との通信を行っている。
【0048】
そして例えば使用者が遠隔操作装置9のバランス釦21を押すと、本体装置制御部10は先に説明したバランス動作に関係した演算を開始すると同時に、通信間隔をT3に変更する。なお通信間隔T2>通信間隔T3の関係である。
【0049】
図6(b)において、本体装置2の本体装置制御部10は、時刻tg及び時刻thにおいてはモードAの制御を実行中であって通信間隔はT2の状態である。この時、本体装置送受信部14は、報知データとして“NB5NR”を含んだ図4のデータ信号を送信していることから、報知部26は “NB5NR”に基づいた、時間tの音の停止、時間tの音の発音、時間5tの音の停止、を繰り返し実行する。これが本体装置制御部10のモードAにおける特徴音である。そして時刻thにおいても、本体装置送受信部14は、報知データとして“NB5NR”を含んだ図4のデータ信号を送信していることから、引き続き同じ報知が続く。
【0050】
そして時刻thと時刻tiの中間で、使用者が遠隔操作装置9のバランス釦21を押すことで、次の通信間隔T2を待たずして、本体装置制御部10はモードBに移行し、通信間隔をT3に変更して、遠隔操作装置9の遠隔操作装置制御部20と通信を始める。本体装置制御部10はモードBにおいては、“NBNB2NR”を含んだ図4のデータ信号を送信する。この“NBNB2NR”が本体装置制御部10のモードBにおける特徴音である。報知部26は本体装置制御部10から、時刻tiから時刻tmまでの期間、この“NBNB2NR”を送信し続ける。さらに時刻tmと時刻tnの間で、本体装置制御部10は新たに報知部26に報知させたい事項、例えば異常が発生し、これを“BR”にて送信する。すなわち“BR”は、持続音であって、次に音の停止命令があるまで報知部26は音を出し続ける。
【0051】
以上説明したように、本体装置2の本体装置制御部10は、その時の動作モードに応じて、遠隔操作装置9との通信間隔を設定して、本体装置制御部10から遠隔操作装置制御部20へ送るデータに、報知部26で報知させるデータを含めている。したがって、本体装置制御部10から報知部26で報知させたいイベントが発生した時その都度、報知データを遠隔操作装置制御部20へ送るのではなく、その時の動作モードに応じた通信間隔で行う状態信号に含めることから、通信頻度を適正なものにでき、遠隔操作装置9の消費電力を抑制できる。なお、図4の状態信号は、遠隔操作装置9から本体装置2へ送信された指令信号に対する返答である場合があるが、これに限らず、本体装置2で発生した異常を知らせる場合もある。
【0052】
また本実施形態では、報知部26が発音するのはブザー音であるが、これに限らず、言語などを含んだ音声であっても良い。そしてブザー音の音程は1種類に限らず、複数の音程を含んだものであっても良く、その場合は状態信号に音程を指定する情報が付加される。
【0053】
以上、本発明を好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の活用例として、荷役物の移動を助力して行う荷役装置への適用が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 :荷役装置
2 :本体装置
3 :本体装置吊下げフック
4 :リンクチェーン
5 :荷役物吊下げフック
6 :係止部材
7 :荷役物
8 :構造物
9 :遠隔操作装置
10 :本体装置制御部
11 :モータ部
12 :重量検出部
13 :位置検出部
14 :本体装置送受信部
15 :出力軸
16 :昇降作動部
17 :チェーン収納部
20 :遠隔操作装置制御部
21 :バランス釦
22 :保持釦
23 :上昇釦
24 :下降釦
25 :遠隔操作装置送受信部
26 :報知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6