(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021636
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】窓通気装置
(51)【国際特許分類】
E06B 7/10 20060101AFI20250206BHJP
E06B 5/00 20060101ALI20250206BHJP
F24D 5/04 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
E06B7/10
E06B5/00 A
F24D5/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125478
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】594055170
【氏名又は名称】北斗制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 清
【テーマコード(参考)】
2E036
2E239
3L071
【Fターム(参考)】
2E036JA07
2E036JC02
2E036KA06
2E036LA01
2E036MA01
2E036MA03
2E239AA02
2E239AA05
3L071AC03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】建物外壁に通気口を開けることなくかつ窓を開放状態とする窓パネルを用いることなく、既存の引き違い窓サッシの上部隙間を利用して窓枠通気路を構築した窓通気装置を提供する。
【解決手段】引き違い窓サッシの窓枠内の一対の窓のうちの室外側窓の上側横框2aと上側レール2d間を密閉するために設けられているシール部材を取り外して形成される窓枠通気路5と、上側横框2aの室外側側面2jに密着して取り付けられかつ窓枠2の上側網戸レール2hと密着或いは摺動可能に接触する気密断熱性を有する外部筐体6と、外部筐体6上面に上側横框2aの室外側側面2jと上側網戸レール間に開口する室内側通気口と、室内側通気口とは別に外部筐体6いずれかの面に室外に開口する室外側通気口6bを備えた。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き違い窓サッシの窓枠内に設けられる一対の窓のうち室外側窓の上側横框と上側レール間を密閉するために設けられているシール部材を取り外して形成される窓枠通気路と、
前記上側横框の室外側側面に密着して取り付けられかつ上側網戸レールと密着或いは摺動可能に接触する外部筐体と、
前記外部筐体上面に前記上側横框の室外側側面と前記上側網戸レール間に開口する室内側通気口と、
前記室内側通気口とは別に前記外部筐体のいずれかの面に室外に開口する室外側通気口と、を備え、
前記室外側通気口と前記外部筐体及び前記室内側通気口を経由して前記窓枠通気路を介して室外空気を室内に吸入し若しくは室内空気を室外に排出することを特徴とする窓通気装置。
【請求項2】
前記窓枠通気路の前記外部筐体で覆われていない両側隙間部分に、前記上側横框と前記上側網戸レールの隙間を覆う防風部材が前記上側横框の室外側側面に固定されている請求項1記載の窓通気装置。
【請求項3】
前記外部筐体の前記室外側通気口に接続され室内外に通気する外部配管を開閉可能な開閉バルブが設けられている請求項1又は請求項2記載の窓通気装置。
【請求項4】
筒状の前記外部筐体の長手方向一端面に設けられた室外側通気口に通気配管が接続されており、前記通気配管は前記窓枠あるいは建物壁面に固定されかつ前記室外側通気口において前記外部筐体の長さ範囲内で摺動可能に嵌合している請求項1又は請求項2記載の窓通気装置。
【請求項5】
前記外部筐体内の室内側通気口と室外側通気口との間に正逆回転駆動可能な電動ファンを設け、前記電動ファンの回転方向切り替えにより強制給気あるいは強制排気が行われる請求項1又は請求項2記載の窓通気装置。
【請求項6】
集熱パネルに外気を取り込む外気取り込み口と前記集熱パネルにて温められた外気を室内に送出する温風送出口と、集熱パネル内の空気を強制的に送風する正逆回転可能な電動ファンと、を備えた給気型太陽熱暖房装置を備え、一対の窓のうちの室外側窓の近傍あるいは室外側窓の近傍外壁面に前記集熱パネルを設け、前記集熱パネルの温風送出口と、外部筐体の室外側通気口が配管接続されている請求項1又は請求項2記載の窓通気装置。
【請求項7】
室外側窓の上側横框部分に第一外部筐体及び第二外部筐体を横並びに設け、前記集熱パネルの温風送出口と前記第一外部筐体の室外側通気口が配管接続され、前記集熱パネルの外気取り込み口と前記第二外部筐体の室外側通気口が配管接続されており、前記集熱パネルにて温められた温風を、前記第一外部筐体を経由して室内に送出し、前記集熱パネルに前記第二外部筐体を経由して外気取り込み口より室内空気を取り込み、前記集熱パネルにて再度温められた温風を前記第一外部筐体及び前記第二外部筐体を経由して室内と前記集熱パネル間で循環させる請求項1又は請求項2記載の窓通気装置。
【請求項8】
前記太陽熱暖房装置の集熱パネルの両側若しくは集熱パネル中央部背面に、外気吸入口及び温風送出口と干渉しないように鉛直方向に一対の可変長ポールを備え、前記集熱パネル背面を建物外壁に接触して起立させて正風圧荷重を支え、前記可変長ポールを軒天まで伸ばして突き当て固定し、さらにロックねじで前記可変長ポールと軒天を強固に固定して負風圧荷重を支える請求項6又は請求項7記載の窓通気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き違い窓サッシの室外側窓の上側横框に取り付ける窓通気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
SDGsのために自然エネルギーの利用が求められており、その一つに壁面に集熱パネルを設け太陽光にて空気を温め室内に供給して暖房する太陽熱暖房装置がある。個人住宅では南面に居間の掃き出し窓を配置しすぐ横は耐力壁という間取りが多く、この南向きの耐力壁面に太陽熱暖房装置を設置すれば窓を拡大して入射光量を倍増したに等しい効果があり、また極めて高効率で居間に温風を供給できる合理性がある。ここに太陽光発電パネルを並べても面積が狭すぎて役に立たず、太陽熱温水器を配置しても配管や給湯タンクが問題となる。これらの背景技術から、今後は特にマンションなどの高層住宅においてベランダ壁面を使った太陽熱暖房装置は大いに普及するものと思われる。そこで太陽熱暖房装置にて生成した温風を室内に送る通気装置が普及するのには重要な点となるので以下に説明する。
【0003】
第一の方法としては、外壁に通気穴を開けて電動ファンで強制的に送風する穴あけ方式が主流である。
図18は穴あけ方式の構成例である。建物外壁51には通気口52となる貫通孔が穿設されている。建物外壁51には、集熱パネル53が組み付けられている。集熱パネル53は断熱ケーシング53a内に発熱体53bが収容されており、ガラス採光面53cより採光した太陽光により発熱体53bを発熱させて、断熱ケーシング53a内の空気を温める。断熱ケーシング53aの下部には、給気口53dが設けられている。また、断熱ケーシング53aのガラス採光面53cとは反対面には、通気路となる通気管53eが突設されており、通気管53e内には電動ファン54が設けられている。集熱パネル53は、通気管53eを通気口52に位置合わせして嵌め込んで組み付けられている。
【0004】
第二の方法として、通気口を設けたパネルを引き違い窓枠に増設する窓パネル方式があり
図19は窓パネル方式の構成例である。
窓枠55には、一対の引き違い窓56(室外側窓56a、室内側窓56b)が中央重なり部でクレッセント錠56cにより施錠可能に設けられている。一対の引き違い窓56のうち、室外側窓56aを開放し空いたスペースに窓パネル57を窓枠55の縦枠との間に挟み込む。また、建物外壁51に設けられた集熱パネル53と窓パネル57は、外部通気管58により配管接続されている。外部通気管58の断熱ケーシング53aとの接続部分には電動ファン59が設けられている。集熱パネル53の下部には、外気取り込み口60が設けられている。
【0005】
ここで温風式太陽熱暖房装置の動作を簡単に説明しておく。集熱パネル53の発熱体53b(例えば黒色の金属板)に太陽光が当たると発熱体53bが太陽光エネルギーを吸収して発熱し、集熱パネル53内の空気が温められ、温められた空気は集熱パネル53に設けられた電動ファン54,59により室内に送り込まれ、室内空気を温めることで暖房効果を発揮する。
【0006】
上記太陽熱暖房装置の一例として、以下の装置が知られている。例えば、ソーラーウォールユニットは、ソーラーパネルのファンをソーラーセルにより駆動するものであり、建築物の壁に形成した穴にスリーブを挿入し、スリーブ内にソーラーセルに接続されて駆動するファンを設けると共にフィルターを設け、そのスリーブに、ソーラーウォールユニットの吸い込みダクトを挿入してシールして組み付けられる。ソーラーパネルに太陽光が当たりソーラーパネルが太陽熱を吸収し、同時にソーラーセルが太陽光を電気エネルギーに変換し、その電力でファンを回転することで、吸入室は負圧となり小孔から外気が吸入室に流入し、その間に加熱されて20℃以上に昇温し、その昇温した外気を吹出空気として建築物の室内に暖房用空気として或いは換気用空気として吹き込むようになっている(特許文献1;特開2002-5530号)。
【0007】
また、窓換気扇や窓用エアコン等で外壁に通気口を設けることを避けるために既存の引き違い窓サッシに板状パネルを設ける窓パネル方式が提案されている。先行技術例では、換気用窓パネルとしてソーラーパネルと換気ファンを板状部材に取り付け、当該板状部材を窓枠と引戸の隙間に設けられている(特許文献2;実用新案登録第3230748号)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002-5530号公報
【特許文献2】実用新案登録第3230748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
(1)既設住宅における穴あけ方式の課題
建物外壁にφ100~150mmの大口径の通気口を開けることは建物漏水防止の観点から好ましくない。さらに壁内部には筋交いや電線が隠れており穴あけ作業は専門業者でないと困難な作業である。またマンションなどのコンクリート造り建物において穴あけはほぼ不可能であり、賃貸住宅では穴あけが許されず太陽熱暖房装置を設置できない。また壁面設置型は、集熱パネルの傾斜角・方位角が限定され効率を最適化できず、さらに室内側には家具等があり穴あけ位置はかなり制限される。また事前に効果を確認できずいきなり穴あけすることに対する不安感がある。このように建物外壁に通気口を設ける穴あけ方式はユーザーに大きな負担を強いるものであり、太陽熱暖房装置の普及を妨げる大きな要因となっている。
【0010】
(2)窓パネル方式の課題
窓パネル方式は、窓を開けて窓パネルを取り付ける必要があり、鍵がかからず保安上問題がある。施錠できないことから都市部ではほぼ実用にならない。
また室内側窓と室外側窓の双方のガラス面に大きな隙間が生じ風雨や虫が侵入するため隙間充填部材を設けなければならないが完全に防ぐことは困難である。また窓パネルにより入射光が遮られるため冬季の入射エネルギー量が減り、特に掃き出し窓では遮光量が大きくなり太陽光による暖房効果が減る。このように窓パネル方式にも様々な課題があり採用しにくい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上述の穴あけ方式及び窓パネル方式の課題を解決するためになされたもので、建物外壁に通気口を開けることなくかつ窓を開放状態とする窓パネルを用いることなく、既存の引き違い窓サッシの上部隙間を利用して窓枠通気路を構築した窓通気装置を提供するものである。特に、既存の住宅にも設置し易い窓通気装置を提供し太陽光エネルギーを利用した太陽熱暖房装置の普及を目的としている。また、屋根がないことから太陽光発電装置や太陽熱温水器を設置できず自然エネルギーの利用が進んでいないマンションなどの高層住宅のベランダ壁面に太陽熱暖房装置を設置して自然エネルギー利用の道を拓くものである。
【0012】
引き違い窓サッシの窓枠内に設けられる一対の窓のうち室外側窓の上側横框と上側レール間を密閉するために設けられているシール部材を取り外して形成される窓枠通気路と、前記上側横框の室外側側面に密着して取り付けられかつ上側網戸レールと密着或いは摺動可能に接触する外部筐体と、前記外部筐体上面に前記上側横框の室外側側面と前記上側網戸レール間に開口する室内側通気口と、前記室内側通気口とは別に前記外部筐体のいずれかの面に室外に開口する室外側通気口と、を備え、前記室外側通気口と前記外部筐体及び前記室内側通気口を経由して前記窓枠通気路を介して室外空気を室内に吸入し若しくは室内空気を室外に排出することを特徴とする。
これにより、建物外壁に通気口を開けることなくかつ窓を開放状態とする窓パネルを用いることなく、既存の引き違い窓サッシの上部隙間を利用して窓枠通気路を構築することができる。よって、窓サッシの全閉・施錠運転により不審者・風雨・害虫の侵入を防止した状態で換気を行うことができる。火災の恐れがなく無人運転可能であり、留守時や就眠時も安心して使用することができる。
【0013】
前記窓枠通気路の前記外部筐体で覆われていない両側隙間部分に、前記上側横框と前記上側網戸レールの隙間を覆う防風部材が前記上側横框の室外側側面に固定されていてもよい。
これにより、上側横框と上側網戸レール間に形成される窓枠通気路の隙間からの風の侵入を防止し、室内から室外への空気の流出を防止することができる。
【0014】
前記外部筐体の前記室外側通気口に接続され室内外に通気する外部配管を開閉可能な開閉バルブが設けられていてもよい。
これにより、居住者の選択により通気をするときは開閉バルブを開放状態として室内外を通気し、通気をしないときは開閉バルブを閉鎖状態とすることで室内の気密性を維持することができる。
【0015】
筒状の前記外部筐体の長手方向一端面に設けられた室外側通気口に通気配管が接続されており、前記通気配管は前記窓枠あるいは建物壁面に固定されかつ前記室外側通気口において前記外部筐体の長さ範囲内で摺動可能に嵌合していてもよい。
これにより、外部筐体を取り付けた室外側窓を開閉する際に、通気配管と室外側通気口とが摺動することで、外部筐体の長さ範囲内で通気配管を相対的に移動させて室外側窓を開閉することができる。
【0016】
前記外部筐体内の室内側通気口と室外側通気口との間に正逆回転駆動可能な電動ファンを設け、前記電動ファンの回転方向切り替えにより強制給気あるいは強制排気が行われるようにしてもよい。
これにより、居住者のニーズに応じて室内への強制給気あるいは強制排気を行うことができる。また、強制給気或いは強制排気運転時のCO2排出は電動ファンのみであるので、環境負荷を減らすことができる。
【0017】
集熱パネルに外気を取り込む外気取り込み口と前記集熱パネルにて温められた外気を室内に送出する温風送出口と、集熱パネル内の空気を強制的に送風する正逆回転可能な電動ファンと、を備えた給気型太陽熱暖房装置を備え、一対の窓のうちの室外側窓の近傍あるいは室外側窓の近傍外壁面に前記集熱パネルを設け、前記集熱パネルの温風送出口と、外部筐体の室外側通気口が配管接続されていてもよい。
これにより、電動ファンを所定方向に回転駆動して外気取り込み口より外気が供給され集熱パネルにて温められた温風を外部筐体に送出しさらに外部筐体から上側横框部分の窓枠通気路を経由して温風送出口より温風を室内に送出して暖房として使用し、或いは電動ファンを逆方向に回転させて室内空気を外部筐体を介して集熱パネルに送出しさらに外気取り込み口から室外に排気することで室内換気をすることができる。
【0018】
室外側窓の上側横框部分に第一外部筐体及び第二外部筐体を横並びに設け、前記集熱パネルの温風送出口と前記第一外部筐体の室外側通気口が配管接続され、前記集熱パネルの外気取り込み口と前記第二外部筐体の室外側通気口が配管接続されており、前記集熱パネルにて温められた温風を、前記第一外部筐体を経由して室内に送出し、前記集熱パネルに前記第二外部筐体を経由して外気取り込み口より室内空気を取り込み、前記集熱パネルにて再度温められた温風を前記第一外部筐体及び前記第二外部筐体を経由して室内と前記集熱パネル間で循環させるようにしてもよい。これにより冬の晴天時は外気より高温の室内空気を集熱パネルにて加熱するため効率よく暖房することができる。
【0019】
前記太陽熱暖房装置の集熱パネルの両側若しくは集熱パネル中央部背面に、外気吸入口及び温風送出口と干渉しないように鉛直方向に一対の可変長ポールを備え、前記集熱パネル背面を建物外壁に接触して起立させて正風圧荷重を支え、前記可変長ポールを軒天まで伸ばして突き当て固定し、さらにロックねじで前記可変長ポールと軒天を強固に固定して負風圧荷重を支えるようにしてもよい。
これにより、可変長ポールを用いて太陽熱暖房装置を既存の住宅やマンションなどの高層住宅のベランダ壁面に簡易に設置することができる。
【発明の効果】
【0020】
上述した窓通気装置によれば、既存住宅の外壁に通気穴を設けることなく、窓パネルも不要とする既存の住宅にも設置し易い窓通気装置を提供することができる。特に上側横框の室外側側面に外部筐体を密着して取り付けるだけで設置スペースを最小化でき、また集熱パネルの外壁面への鉛直設置により冬季に高効率を期待できる。また、屋根が無く再生可能エネルギーを利用できない高層住宅において、ベランダ壁面に集熱パネルを設置して太陽熱暖房装置を設置して自然エネルギー利用の道を拓くことができる。また、太陽熱暖房装置の燃費と施工費は低廉であり、初期投資費用も短期回収可能、長寿命でSDGsに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】引き違い窓サッシの一般的な構成例の正面図である。
【
図2】引き違い窓サッシの一般的な構成例の側面断面図である。
【
図3】窓枠上部及び室外側窓の上側横框の一般的な断面図である。
【
図5】
図4の窓通気装置の通気路を説明する斜視図である。
【
図6】外部筐体に防風部材を設ける場合の説明図である。
【
図7】実施例2に係る窓通気装置であって、外部通気管に設けられた開閉バルブの開放状態の説明図である。
【
図8】外部通気管に設けられた開閉バルブの閉鎖状態の説明図である。
【
図9】実施例3に係る窓通気装置であって、室外側窓を開閉する場合の外部筐体と外部通気管との接続状態を示す説明図である。
【
図10】実施例4に係る窓通気装置であって、外部筐体内に電動ファンを設けた場合の説明図である。
【
図11】実施例5に係る窓通気装置であって、窓通気装置に給気型太陽熱暖房装置を接続した場合の斜視図である。
【
図14】
図11の窓通気装置を用いた運転モードの説明図である。
【
図15】実施例6に係る窓通気装置であって、窓通気装置に給排気型太陽熱暖房装置を接続した場合の斜視図である。
【
図16】実施例7に係る窓通気装置であって、太陽熱暖房装置を可変長ポールで壁面固定した場合の説明図である。
【
図17】高層住宅における窓通気装置及び太陽熱暖房装置の設置例を示す説明図である。
【
図18】穴あけ方式の太陽熱暖房装置の構成例である。
【
図19】窓パネル方式の太陽熱暖房装置の構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔実施例1〕窓サッシ方式の構築
窓サッシ方式について
図1乃至
図6を参照して説明する。本発明は、既存の引き違い窓サッシを利用して室内と室外間の通気路を設けるものである。引き違い窓を一部でも開放した状態では風雨及び部外者の侵入を防止できないことから、引き違い窓を完全に閉鎖し施錠も可能な状態で換気することを前提とする。
【0023】
先ず、引き違い窓サッシの基本的な構成について説明する。
図1に示すように、引き違い窓サッシ1は室外側窓1aと室内側窓1bの一対の窓及びそれらを収納する窓枠2で構成される。室外側窓1aと室内側窓1bは、上側横框2a及び下側横框2bを縦框2cで連結された窓フレームにガラス板材Gが組み付けられている。室外側窓1aと室内側窓1bは、中央の重なり部に設けられたクレッセント錠3によって施錠される。
【0024】
図2に示すように、室外側窓1aと室内側窓1bの下端部には戸車1c,1dが各々自在に回転可能に設けられている。戸車1c,1dは、窓枠2の下部に敷設された下側レール2f,2gに沿って走行する。室外側窓1a及び室内側窓1bは、窓枠2の上部に敷設された上側レール2d,2eに案内され、戸車1c,1dが走行することで開閉される。窓枠2の室外側窓1aより外側には、上側網戸レール2h及び下側網戸レール2iが、上下に設けられており、図示しない網戸を装着可能になっている。
【0025】
また、縦框2c上部にはスリットが設けられており、窓枠2上部の上側レール2d,2eと各々嵌合し上側横框2a及び下側横框2bの壁面で窓位置を規制している。上側横框2aと上側レール2d,2e間の隙間は、上側横框2aに固定されたラバー製のシール部材4a,4bで塞がれ、シール部材4a,4bは上側レール2d,2eに当接したまま摺動することで、隙間を埋めて防水・防風・防虫を実現している。
【0026】
次に窓枠通気路について説明する。
図3は窓枠2の上部及び室外側窓1aの上側横框の一般的な断面図である。
図3に示すように、一般的に引き違い窓1は一枚ごと脱着するために上方に約10mm持ちあがるようになっており、上側横框2aの上方には約15mmの空隙が設けられている。そこで2枚の窓のうち、室外側に配置される室外側窓1aについて、上述のシール部材4aを取り外すと、上側横框2a上部の15mmの空隙を通って室外と室内とで通気が可能となる。さらに上側横框2aの室外側の外方には約5mmの空隙で上側網戸レール2hが設けられており、この隙間を通じて室外と室内の間で空気を流通させることができる。図中の矢印は空気の流れを表し窓枠通気路5を示す。
【0027】
通気路幅は窓幅より若干狭くすると概ね600mmとなる。従って通気路の断面積は0.5cm×60cm=30cm2となり内径60mmのパイプに相当する。あるいは通気路幅を窓幅の半分とすると概ね300mmとなり、断面積は15cm2となり内径44mmのパイプに相当する。この断面積であれば10~20m2の部屋の換気あるいは暖房が可能である。
なお、シール部材4aは窓幅全体を取り外さなくてもよい。シール部材4aは両端部分をかしめて固定していることもあり、両端部分はそのまま残し中央部分を切り取るだけでも良い。
【0028】
次に窓通気装置の一例を説明する。
図4に示すように、窓枠通気路5の室内側開口部5aは、室内に開口しているだけでよいので特段の機構を設ける必要はない。これに対し窓枠通気路5の室外側開口部5bは、上側横框2aと上側網戸レール2h間の約5mmの隙間部分でありこの狭い空隙と太陽熱暖房装置からの温風配管を接続しなければならないことから特別な接続機構が必要である。以下の説明ではこの接続機構を「外部筐体6」と呼ぶことにする。外部筐体6は、直方体状でも、円筒状でもいずれでも良い。
【0029】
窓枠通気路5は、上側横框2aと上側レール2d間を密閉するために設けられているシール部材4aを部分的に取り外して形成されている。また、外部筐体6は、フック状の固定部材7を上側横框2aの上端部に係止させて室外側側面2jに取付面6dを密着させて固定ねじ8aでねじ止め固定されている。また窓枠2の上側網戸レール2hの外側面と外部筐体6の上面との間に密着するL型部材9により、窓枠通気路5の室外側開口部5bと外部筐体6が気密断熱性を維持して接続されている。外部筐体6は上側横框2aの室外側側面2jへ密着して取り付けられ、上側網戸レール2hとは摺動可能に接触あるいは密着している。
【0030】
図5に示すように、外部筐体6の上面に上側横框2aの室外側側面2jと窓枠2の上側網戸レール2h間に開口する室内側通気口6aが設けられ、室内側通気口6aとは別に外部筐体6のいずれかの面、例えば長手方向一端面に室外に開口する室外側通気口6bが設けられている。室外側通気口6bには、外部通気管10が接続され後述する太陽熱暖房装置と接続されてもよい。
図5の矢印は温風の流れる方向を示している。尚、外部筐体6の取付面6d側の上部には、フック状の取付部6cが2か所に突設されている。この取付部6cは、外部筐体6を上側横框2aに仮組する際に当該上側横框2aの上端部に係止して落下防止を行う。
【0031】
図6は上側横框2aに外部筐体2をフック状の固定部材7により長手方向両端側で上側横框2aに係止して組み付ける他に、外部筐体6で覆われていない上側横框2aの両側隙間部分に、窓枠2の上側網戸レール2hの内側に防風部材11を挿入して、上側横框2aの室外側側面2jに各々固定されていてもよい。これにより、上側横框2aと窓枠2の上側網戸レール2h間に形成される窓枠通気路5の隙間からの風の侵入を防止し、室内から室外への空気の流出を防止することができる。
【0032】
外部筐体6の取り付け手順の一例を示すと以下の通りである。
STEP1;室外側窓1aを窓枠2から外す。
STEP2;室外側窓1aの上側横框2aのシール部材4aを外し、窓枠通気路5をつくる。
STEP3;上側横框2aの室外側側面2jに外部筐体6の取付面6dを密着させて固定ねじ8aで固定部材7を強固にねじ止め固定する。
STEP4;室外側窓1aを窓枠2にはめて元の状態に戻す。
STEP5;L型部材9の位置を調整し上側網戸レール2hと接触させて外部筐体6の上面に固定ねじ8bでねじ止め固定する。
STEP6;必要に応じて防風部材11を上側横框2aの外部筐体6で覆われていない部分に貼付する。
以上で引き違い窓サッシ1に外部筐体6が取り付けられ、あとは集熱パネルを設置し、外部通気管により配管接続すれば太陽熱暖房装置を使用することができる。
【0033】
図6において、外部筐体6は室内側通気口6aと室外側通気口6bを備えており、空気はここを経由して流通する。室内側通気口6aは上側横框2aと上側網戸レール2hとの隙間に開口する細長い窓であり外部筐体6側から室内側へあるいは室内側から外部筐体6側へ空気が流通する。また室外側通気口6bは外部筐体6の長手方向一端面に設けられた円形の通気口であり、外部通気管10が接続されると外部筐体6側から外部通気管10側へあるいは外部通気管10側から外部筐体6側へ空気が流通する。
外部筐体6の取付面6d側上方に2か所に設けられた取付部6cは、外部筐体6を上側横框2aに組み付ける際に使用され、上側横框2aの室外側側面2jの上端に係止され外部筐体6の落下を防止する。また、外部筐体6は、長手方向両側において上側横框2aの室外側側面2jに取付面6dを密着した状態でフック状の固定部材7を上側横框2aの上端部に各々係止させて固定ねじ8aでねじ止め固定される。
L型部材9は、室外側窓1aを窓枠2から外し外部筐体6を取り付けたのち再び室外側窓1aを窓枠2に組み付けた状態で使用し、上側網戸レール2hに接触する位置で外部筐体6の上面に固定ねじ8bでねじ止めし、上側網戸レール2hとL型部材9は摺動可能とする。この摺動性により外部筐体6を取り付けた室外側窓1aの開閉を可能としている。外部筐体6を取り付けた室外側窓1aを固定し開閉しない場合は、上側網戸レール2hとL型部材9は密着させて固定してもよい。
【0034】
尚、通気経路での熱損失を低減するために外部筐体6は断熱されていることが望ましい。断熱された外部筐体6により上側横框2aや上側網戸レール2hからの放熱も低減される。防風部材11は、上側横框2aと窓枠2の上側網戸レール2h間の隙間の内、外部筐体6で覆われていない部分の上側横框2aの室外側側面2jに固定して設けられる。防風部材11は窓枠2の上側網戸レール2hの内部に挿入され、上側横框2aとの隙間を塞ぎ、室外からの風の侵入を防止し、室内から室外への空気の流出も防止する。さらに雨や虫、砂埃などが室内側に侵入することも防ぐ。また、防風部材11は変形可能な形状とし柔軟な素材とすることが望ましい。
【0035】
〔実施例2〕
実施例1の窓通気装置の他例について説明する。実施例1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとし、以下では異なる構成を中心に説明する。
図7及び
図8に示すように、外部筐体6の室外側通気口6b近傍で外部通気管10を開閉可能な開閉バルブ12を設けてもよい。開閉バルブ12は円盤状シャッター12aを回転軸12bに接続するバルブ開閉ハンドル12cを手動で回転させて、外部通気管10内の通気路を開閉するものである。
【0036】
図7は外部通気管10内の開閉バルブ12が開放状態を示し、
図8は外部通気管10内の開閉バルブ12が閉鎖状態を示す。外部通気管10に設けられたバルブ開閉ハンドル12cを回し開放ポジションにすると円盤状シャッター12aは外部通気管10の長手方向と平行姿勢となり温風が流通できる(
図7参照)。バルブ開閉ハンドル12cを回し閉鎖ポジションにすると円盤状シャッター12aは外部通気管10の長手方向と直交姿勢となり温風は流通できない(
図8参照)。尚、回転軸12bを支持する軸受け等は防水とし外部通気管10内に雨などが漏水しないことが望ましい。また外部通気管10の集熱パネルに近い位置に排気口を設け、バルブ開閉ハンドル12cが閉鎖ポジションの時は排気口が開放し温風を室外へ排出してもよい。また電磁バルブ(図示せず)を用いて開閉バルブ12の開閉動作を自動制御してもよい。
これにより、居住者の選択により通気をするときは開閉バルブ12を開放状態として室内外を通気し通気をしないときは開閉バルブ12を閉鎖状態とすることで気密性を維持することができる。
【0037】
〔実施例3〕
実施例1の窓通気装置の他例について説明する。実施例1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとし、以下では異なる構成を中心に説明する。窓通気装置を装着した室外側窓1aを開閉可能とする実施例について
図9を用いて説明する。外部筐体6の長手方向一端面に設けられた室外側通気口6bと外部通気管10が気密状態で接続されている。外部通気管10は窓枠2あるいは建物外壁に配管固定用サドル13などで固定されている。また、外部通気管10は、室外側通気口6bから外部筐体6の長さ範囲内で嵌合しており、室外側窓1aの開閉動作に応じて外部筐体6は移動し、外部通気管10は室外側通気口6bと摺動しながら相対移動する。このとき、例えば、外部筐体6の室外側通気口6bにシール材を設ければ外部通気管10との隙間から空気が漏れることを防止できる。このように、外部通気管10と室外側通気口6bとが摺動することで、給排気中でも外部筐体6を取り付けた室外側窓1aをほぼ外部筐体6の長さ範囲で開閉することができる。尚、外部筐体6を取り付けない室内側窓1bはフルストロークで自由に開閉でき、網戸を使用することも可能である。
図9中の矢印は室外側窓1aの開閉にともなう外部筐体6の移動方向を示している。
室外側窓1aが閉じているとき外部通気管10及び外部筐体6は
図9の実線位置にある。室外側窓1aを開けると外部筐体6は矢印方向に移動するが外部通気管10は移動せず長手方向に露出長が長くなる。なお、例えば窓枠2の上側レール2d部分などにストッパー(図示せず)を設ければ、室外側窓1aは所定位置で停止し、配管が抜けてしまうことを防止することができる。
【0038】
〔実施例4〕
実施例1の窓通気装置の他例について説明する。実施例1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとし、以下では異なる構成を中心に説明する。外部筐体6内に電動ファン14を設置する場合について
図10を参照して説明する。外部筐体6の室内側通気口6aと室外側通気口6bの間に電動ファン14を設け、電動ファン14を回転させることにより室外から室内へ給気し、あるいは逆方向回転にて室内から室外へ室内空気を排気して換気を行うことができる。電動ファン14の吸排気効率を上げるために電動ファン外周部に隔壁を追加し電動ファン前後のバイパス形成を防止してもよい。
【0039】
電動ファン14の電源15やコントロールパネル16は室内壁面に設けられるが、電動ファン14を外部筐体6内に設置すれば距離が近いため配線17が容易であり風雨にさらされることもなく故障しにくい。例えば太陽熱暖房装置を接続する場合、電動ファン14を集熱パネル(図示せず)内に配置するとモータや温度センサ及びコネクタと配線は結露や風雨による冠水・凍結そして紫外線曝露など使用環境が厳しく耐久性が低下するおそれがある。そこで、電動ファン14を外部筐体6内の外部通気管10の接続口に移動すれば使用環境は改善され故障や漏電事故も大幅に減らすことができる。なお、電動ファン14の駆動用のモータは制御性と静粛性や耐久性からDCブラシレスモータが好ましい。また消費電力は数Wと小型ではあるが省エネ性能も要求される。室内のコントロールパネル16に接続する温度センサ(図示せず)を適宜配置すれば最適な自動制御が可能となる。
このように、外部通気管10に太陽熱暖房装置を接続して電動ファン14を正方向に回転させれば集熱パネル(
図11参照)内の空気を室内に吹き出し暖房することができ、電動ファン14を逆方向回転させれば集熱パネル(
図11参照)を経由して室内空気を室外に送出する換気扇となり室内の熱気あるいは病人やペットなどの臭気を排出する換気を行うことができる。特に夏季は日中に逆方向回転させれば、窓を開けず施錠して不審者の侵入を防止しながら、室内にこもった熱気を排出して室温を下げることができる。
【0040】
〔実施例5〕
実施例1の窓通気装置の他例について
図11乃至
図14を参照して説明する。実施例1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとし、以下では異なる構成を中心に説明する。本実施例は、窓通気装置に給気型太陽熱暖房装置を接続した使用態様について用いて説明する。
【0041】
図11に示すように、室外側窓1aに組み付けられた外部筐体6と建物外壁18に設けられた集熱パネル19は外部通気管10により接続されている。なお、集熱パネル19は室外側窓1aの近傍あるいは近傍の建物外壁18に設けることができ、本例は建物外壁18に設ける場合を例示している。
図12は、集熱パネル19の構成例を示す。断熱材ケーシング19a内には平板状発熱体19bが設置されている。平板状発熱体19bの太陽光を取り込む集熱面は黒色でアルミなどでできていて、その部分に太陽熱を集め、断熱材ケーシング19a内の空気を温める。平板状発熱体19bを並べた採光面19cはガラス板で密閉されている。断熱材ケーシング19aの下部には外気取り込み口19dが設けられている。また、断熱材ケーシング19aの上部には温風送出口19eが設けられている。断熱材ケーシング19a内であって温風送出口19eの近傍には電動ファン14が設けられている。温風送出口19eと外部筐体6の室外側通気口6bは外部通気管10により接続されている(
図11参照)。
【0042】
集熱パネル19に太陽光が当たると内部の平板状発熱体19bが発熱し外気取り込み口19dから取り込まれた空気を温める。集熱パネル19の温風送出口19eの近傍には電動ファン14が設けられている。電動ファン14が回転すると集熱パネル19内の温められた空気が外部通気管10を通って室外側窓1aに取り付けられた外部筐体6に送出される。外部筐体6内に送出された空気は上側横框2a部分の窓枠通気路5(
図4参照)を経由して室内へ送出される(窓サッシ方式)。集熱パネル19からの温風の送出と同時に集熱パネル19には外気取り入れ口19dから外気が吸入されて加熱され、以上の動作が連続して行われて室内暖房が行われる。外気を電動ファン14にて加圧して室内へ強制的に供給することから給気型換気も行われる。
【0043】
尚、集熱パネル19の温風送出口19eより外部筐体6の室外側通気口6bの位置が高く、温風温度も室温より高い場合には集熱パネル19から自然対流により温風が外部筐体6を経て室内へ流入させることができる。従って、電動ファン14を止めるか、停電時はパッシブ型暖房装置として動作する。日射があり集熱パネル19内の温度が室温より高温の時は温風が室内に給気されて暖房動作となり、低温のときは空気の流れは停止する。これにより夜間に室内の暖気が集熱パネル19側へ排出され冷えてしまうことはない。暴風雨等で集熱パネル19を通って外気が流入するときは外部通気管10内に開閉バルブ12(
図8参照)を設け、開閉バルブ12を閉じて外気の侵入を防止すればよい。
【0044】
図13は、集熱パネル19の他の構成例を示す。両端が開口した複数の二重のガラス管20が横並びに併設されている。各二重ガラス管20は外側ガラス管と内側のガラス管との間がほぼ真空の状態となっている。そしてこの真空層の径方向内側に太陽光を吸収して集熱するための集熱膜が設けられている。各二重ガラス管20の下端部は吸入側ダクト21に接続され、各二重ガラス管20の上端部は排出側ダクト22に接続されている。吸入側ダクト21には外気取り込み口21aが接続されており、排出側ダクト22には温風送出口22aが接続されている。排出側ダクト22内であって温風送出口22aの近傍には電動ファン14が設けられている。温風送出口22aと外部筐体6の室外側通気口6bは外部通気管10により接続されている。上述した真空管型は、平板型に比べて太陽熱を外に逃がし難いため、冬場など外気温が低い時期であっても効率よく暖房することができる。
【0045】
給気型太陽熱暖房装置は、外部筐体6に外部通気管10を1本接続すればよいので室外側窓1aに取り付ける外部筐体6も1個でよい。設置に関しては、集熱パネル19は室外側窓1a近傍の建物外壁18に設置するだけでよく、室外側窓1aを外して外部筐体6を取り付け室外側窓1aを元通りに戻して配管すれば設置完了であり、あとは電動ファン14の配線を行えばよい。このように設置において穴あけ工事は不要であり、仮に設置して方向角や日照条件などの様子を見ることも可能で設置作業を迅速に行うことができる。なお、集熱パネル19の外気取り込み口19d,21aにはフィルターを設け虫や花粉の侵入を防止する必要があり、フィルター交換作業が発生する。あるいは夏の夜は冷えた外気を室内に取り込んで部屋を冷やすこともできる。外気を取り込むことで換気も行われ冷えすぎることもなく健康的な空調となる。
さらに電動ファン14を逆方向に回転させれば、集熱パネル19を経由して室内空気を排気する排気型換気扇となる。これにより室内にこもった熱気あるいは臭気を排気できる。
【0046】
図14は給気型太陽熱暖房装置を接続した窓通気装置の運転モードの説明図である。第一の運転モードは、冬の晴天時に室内へ温風を給気する暖房運転となる。日没後は運転を中止する。第二の運転モードは、夏の夜間に室内へ冷風を給気し部屋を冷やす冷房運転となる。第三の運転モードは、夏の昼間に電動ファンを逆方向に回転させれば、室外へ室内空気を排気する排気運転となる。これにより室内の熱気を排出する。
これらの暖房運転や冷房運転、または排気運転は窓を閉め施錠したままで行えるので、不審者や虫などの侵入もなく安心である。また火災の恐れもないことから留守時の無人運転も可能である。
【0047】
〔実施例6〕
窓通気装置に給排気型太陽熱暖房装置を接続する他の実施例について
図15を参照して説明する。給気型太陽熱暖房装置とほぼ同様の構成であるが、集熱パネル19には外気ではなく室内空気が吸入される点が異なる。そのため外部筐体6を2個使用して室外側窓1aに併置し、第一外部筐体6A及びこれに接続する第一外部通気管10Aは温風の通路、第二外部筐体6B及びこれに接続する第二外部通気管10Bは室内空気の通路として使用する。
具体的には、
図15において、室外側窓1aの上側横框2aに第一外部筐体6A及び第二外部筐体6Bを横並びに設けられている。集熱パネル19の温風送出口19eと第一外部筐体6Aの室外側通気口6bが第一外部通気管10Aにより配管接続され、集熱パネル19の外気取り込み口19dと第二外部筐体6Bの室外側通気口6bが第二外部通気管10Bにより配管接続されている。
【0048】
集熱パネル19にて温められた空気を電動ファン14により第一外部筐体6Aを経由して室内に送出し、集熱パネル19に第二外部筐体6Bを経由して室内空気を取り込み、集熱パネル19にて温められた空気を再度第一外部筐体6Aを経由して室内へ送出して、室内空気を集熱パネル19との間で循環させるようにしてもよい。
これにより外気に比べ高温の室内空気を温めるため暖房効果は強力となる。フィルターも不要のため高効率となる。ただし換気はされないので別途換気手段を設ける必要がある。
【0049】
〔実施例7〕
窓通気装置に接続する太陽熱暖房装置を可変長ポールで建物に壁面固定する実施例について
図16を用いて説明する。
図16は集熱パネル19を2本の可変長ポール23a,23bで壁面に固定する実施例である。太陽熱暖房装置の集熱パネル19の両側(若しくは集熱パネル19の中央部背面)に、外気取り込み口19d及び温風送出口19eと干渉しないように鉛直方向に一対の可変長ポール23a,23bを備えている。可変長ポール23a,23bは、床面24から軒天25間で鉛直方向に起立させてロックねじ26a,26bを締め付けて突き当て固定するものである。
集熱パネル19の背面をベランダなどの建物外壁18に接触して直立させ、正風圧荷重を建物外壁18に逃がし、さらにロックねじ26a,26bで可変長ポール23a,23bを床面24から軒天25間で強固に固定し、負風圧荷重を支えるようになっている。
これにより温風太陽熱暖房装置を最小のスペースで設置でき、施工業者による設置工事もいらず、強風に対しても安全性を確保できる。建物外壁18にはねじ一本打たないのでコンクリート壁やタイル壁でも極めて簡単に設置あるいは撤去できる。
【0050】
図17は高層住宅における窓通気装置に接続する太陽熱暖房装置の設置レイアウトを示す。建物外壁18には一対の引き違い窓サッシ1が窓枠2内で開閉可能に設けられている。引き違い窓サッシ1の両側に示す破線で囲まれたエリアEが、太陽熱暖房装置の設置レイアウトとなる。これにより太陽熱暖房装置を高層住宅のベランダ壁面に設置すれば室内への入射エネルギーを倍増できることが判る。即ち窓面積を倍増したことに等しい。鉛直設置であることから設置スペースは最小となり、穴あけ工事やネジ打ち工事もなく、またベランダ壁面は手すりより奥にあり装置には風雨が当たらず積雪もなく、外部から集熱パネルは見えにくく景観にも影響せず、冬季の太陽高度が低いことから入射光量は夏より増大する。これらの特性から本発明は、マンションのベランダでの自然エネルギー利用に最適である。
【符号の説明】
【0051】
1 引き違い窓サッシ 1a 室外側窓 1b 室内側窓 1c,1d 戸車 2 窓枠 2a 上側横框 2b 下側横框 2c 縦框 2d,2e 上側レール 2f,2g 下側レール 2h 上側網戸レール 2i 下側網戸レール 2j 室外側側面 G ガラス板材 3 クレッセント錠 4a,4b シール部材 5 窓枠通気路 5a 室内側開口部 5b 室外側開口部 6 外部筐体 6A 第一外部筐体 6B 第二外部筐体 6a 室内側通気口 6b 室外側通気口 6c 取付部 6d 取付面 7 固定部材 8a,8b 固定ねじ 9 L型部材 10 外部通気管 10A 第一外部通気管 10B 第二外部通気管 11 防風部材 12 開閉バルブ 12a 円盤状シャッター 12b 回転軸 12c バルブ開閉ハンドル 13 配管固定用サドル 14 電動ファン 15 電源 16 コントロールパネル 17 配線 18 建物外壁 19 集熱パネル 19a 断熱ケーシング 19b 平板状発熱体 19c 採光面 19d,21a 外気取り込み口 19e,22a 温風送出口 20 二重ガラス管(真空管) 21 吸入側ダクト 22 排出側ダクト 23a,23b 可変長ポール 24 床面 25 軒天 26a,26b ロックねじ